(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
D06F 33/47 20200101AFI20231101BHJP
D06F 33/34 20200101ALI20231101BHJP
D06F 33/42 20200101ALI20231101BHJP
【FI】
D06F33/47
D06F33/34
D06F33/42
(21)【出願番号】P 2020061898
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】解 奥晨
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-273544(JP,A)
【文献】特開2006-158764(JP,A)
【文献】特表2019-520923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/00-34/34
D06F 58/30-58/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機の排水速度に関する時系列データを取得する排水速度取得部と、
前記洗濯機の運転回数または運転時間に対応付けられた前記時系列データの変化量を算出する変化量算出部と、
前記変化量に基づいて、前記洗濯機の排水に関する異常を判定する判定部と、を備え
、
前記変化量算出部は、前記時系列データの中から連続する2つの前記排水速度の変化量を算出し、
前記判定部は、前記2つの排水速度の前記変化量が、前記洗濯機の通常の使用において前記運転回数又は前記運転時間に応じて低下する排水速度のばらつきをもとに予め設定された所定の範囲から外れた場合に前記異常として判定する、制御装置。
【請求項2】
前記時系列データの変化量から算出される予測排水速度に基づいて、排水時間を算出する排水時間算出部をさらに備える、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記洗濯機の排水フィルタの交換のタイミングとして予め設定された前記排水速度の所定の閾値と、前記時系列データの変化量とに基づいて、前記交換のタイミングを予測する交換タイミング予測部をさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記洗濯機の給水速度に関するデータを取得する給水速度取得部をさらに備え、
前記判定部は、前記洗濯機の運転が行われる時間帯から予測される予測給水速度と、前記給水速度取得部が取得した前記給水速度と、を比較して前記洗濯機の給水に関する異常を判定する、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記予測給水速度に基づいて、給水時間を算出する給水時間算出部をさらに備える、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記洗濯機の設置された所定領域の外部情報を取得する外部情報取得部をさらに備え、
前記判定部は、前記洗濯機の排水又は給水に関する異常として判定した場合、前記外部情報に基づいて前記異常の要因を推定する、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、排水フィルタの詰まりを検知するように構成された洗濯機が開示されている。上述の洗濯機は、洗濯槽内の水位を検出する水位センサを備え、水位センサにより検出した時間当たりの水位の変化量(排水速度)を所定の閾値と比較して、排水フィルタの詰まりの有無を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の洗濯機の制御装置(運転制御部)では、例えば、排水フィルタや排水経路の異常に起因するトラブルが発生しているのにも関わらず排水速度が閾値以上であると、そのトラブルを発見することができない場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、一例として、排水に関する異常をより高い精度で発見することができる制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る制御装置は、洗濯機の排水速度に関する時系列データを取得する排水速度取得部と、前記時系列データの変化量を算出する変化量算出部と、前記変化量に基づいて、前記洗濯機の排水に関する異常を判定する判定部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係るデータ処理システムの一例を示す図である。
【
図2】データ処理システムで実行される洗濯機の排水に関する異常を判定する処理フローの一例である。
【
図4】排水速度に関する時系列データを示すグラフである。
【
図5】外部情報テーブルのデータ構成の一例である。
【
図7】データ処理システムで実行される洗濯機の給水に関する異常を判定する処理フローの一例を示す図である。
【
図8】データ処理システムで実行される排水時間算出の処理フローの一例である。
【
図9】データ処理システムで実行される給水時間算出の処理フローの一例である。
【
図10】データ処理システムで実行される排水フィルタの交換のタイミングを予測する処理フローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書及び図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付することにより重複する説明は省略し、また、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する場合がある。さらに、かかる実施の形態に示す構成要素の形態はあくまでも例示であって、これらの形態に限定されるものではない。
【0009】
図1から
図10までを参照して、本発明の実施形態に係るデータ処理システム100について説明する。
図1は、データ処理システム100の一例を示す図である。
【0010】
図1に示すように、データ処理システム100は、洗濯機200、サーバ装置300、携帯端末400を含む。洗濯機200は、一例として、衣類等を洗濯するためのものである。サーバ装置300は、一例として、洗濯機200から取得したデータや、外部から取得したデータ(以下、外部情報とも称する)を用いて、洗濯機200の異常等を判定するためのコンピュータである。洗濯機200の異常とは、例えば、給水又は排水に関する異常を指す。携帯端末400は、一例として、サーバ装置300から出力された各種情報(例えば、洗濯機200の異常に関するデータ)を表示(通知)するためのものである。
【0011】
洗濯機200は、制御部210、記憶部220、通信部230、水位センサ240を含む。制御部210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)からなる。制御部210は、記憶部220に記録されるプログラムを読みだして実行することにより、洗濯機200の制御を司る。
【0012】
記憶部220は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等であって、制御部210によって実行されるプログラムや、制御部210にて使用される各種パラメータ等を記録する。
【0013】
通信部230は、ネットワークに接続して通信するためのインタフェースである。通信部230は、洗濯機200から離れて設けられたサーバ装置300との通信を制御する。
【0014】
水位センサ240は、洗濯機200の洗濯槽(図示せず)の水位を検出するためのものである。水位センサ240は、一例として、洗濯槽内の水位に応じて変化する検圧管(図示せず)内の圧力に基づいて洗濯槽の水位を検出する。
【0015】
制御部210は、排水速度算出部211と、給水速度算出部212と、を含む。排水速度算出部211は、水位センサ240により検出された洗濯槽内の水位の単位時間当たりの変化量に基づいて、排水速度を算出する。排水速度算出部211は、一例として、洗濯機200の運転毎の排水速度を算出する。給水速度算出部212は、水位センサ240により検出された洗濯槽内の水位の単位時間当たりの変化量に基づいて、給水速度を算出する。給水速度算出部212は、一例として、洗濯機200の運転毎の給水速度を算出する。
【0016】
サーバ装置300は、制御部310、記憶部320、通信部330を含む。制御部310は、例えば、CPU(Central Processing Unit)からなる。制御部310は、記憶部320に記憶されるプログラムを読みだして実行することにより、サーバ装置300の制御を司る。
【0017】
記憶部320は、プログラム及びデータを記憶可能な非一過性の記録媒体であり、例えばHDDによって構成される大容量の不揮発性メモリである。
【0018】
通信部330は、ネットワークに接続して通信するためのインタフェースである。通信部330は、一例として、サーバ装置300から離れて設けられた洗濯機200及び携帯端末400との通信を制御する。
【0019】
制御部310は、記憶部320に記録されるプログラム及びデータに従って、各種処理を実行する。本実施形態では、制御部310がプログラムを実行することで、
図1に例示する各機能ブロックが実現される。制御部310は、例えば、排水速度取得部311、給水速度取得部312、外部情報取得部313、変化量算出部314、判定部315、抽出部316、運転時間算出部317、交換タイミング予測部318として機能する。
【0020】
排水速度取得部311は、洗濯機200の排水速度に関する時系列データを取得する。給水速度取得部312は、洗濯機200の給水速度に関するデータを取得する。外部情報取得部313は、洗濯機200が設置された所定領域の外部情報を取得する。変化量算出部314は、洗濯機200の排水速度に関する時系列データの変化量を算出する。判定部315は、排水速度に関する時系列データの変化量に基づいて、洗濯機200の排水に関する異常を判定する。抽出部316は、洗濯機200の運転が行われた時間帯から基準となる給水速度(予測給水速度)を予測する。また、判定部315は、予測給水速度と、給水速度取得部312が取得した給水速度と、を比較して、洗濯機200の給水に関する異常を判定する。さらに、判定部315は、洗濯機200の排水又は給水に関する異常として判定した場合、外部情報に基づいて、異常の要因を推定(特定)する。
【0021】
運転時間算出部317は、例えば、運転コース、工程内容(例えば、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程等)、水量等に基づいて総運転時間(洗濯時間)を算出する。運転時間算出部317は、排水時間を算出する排水時間算出部317aと、給水時間を算出する給水時間算出部317bを含む。排水時間算出部317aは、排水速度に関する時系列データから算出される予測排水速度に基づいて、排水時間を算出する。給水時間算出部317bは、洗濯機200の運転が行われる時間帯から予測される予測給水速度に基づいて、給水時間を算出する。交換タイミング予測部318は、洗濯機200の排水フィルタの交換のタイミングとして予め設定された排水速度の所定の閾値と、排水速度に関する時系列データの変化量とに基づいて、交換のタイミングを予測する。
【0022】
図2を用いて、データ処理システム100で実行される洗濯機200の排水に関する異常を判定する処理フローの一例を説明する。
【0023】
排水速度取得部311は、排水速度に関する時系列データD1を取得する(S201)。S201では、排水速度取得部311は、例えば、洗濯機200の運転が行われる毎に、通信部330を介して洗濯機200から排水速度に関するデータを取得する。排水速度取得部311は、排水速度に関するデータとして、洗濯機200の運転が行われた日付、時間帯、排水速度を、洗濯機200を識別する識別情報(例えば、洗濯機200の機種、ID等)と関連付けて取得する。排水速度取得部311は、取得した排水速度に関するデータを、順次、記憶部320に記録する。本実施形態では、記憶部320に記録された複数の排水速度に関するデータが、排水速度に関する時系列データD1である。
【0024】
図3に示すように、排水速度に関するデータは、記憶部320にある速度テーブル321に記録される。速度テーブル321には、複数の排水速度に関するデータが時系列に記録される。
【0025】
なお、排水速度取得部311は、洗濯機200の運転が行われる毎に、洗濯機200から排水速度に関するデータを取得しているが、これに限らず、例えば、任意のタイミングで、洗濯機200において検出された排水速度に関する時系列データD1を一括して取得してもよいし、所定の時間毎に、洗濯機200において検出された排水速度に関する時系列データD1を一括して取得してもよい。
【0026】
また、排水速度取得部311は、洗濯機200の運転毎に算出された排水速度を取得しているが、これに限らず、例えば、工程毎に算出された排水速度を取得してもよいし、所定の時間毎に算出された排水速度を取得してもよい。
【0027】
変化量算出部314は、排水速度に関する時系列データD1の変化量を算出する(S202)。時系列データD1の変化量は、一例として、洗濯機200の1回の運転毎に変化する排水速度の変化量を指す。
図4は、横軸を運転回数(洗濯回数)とし、縦軸を排水速度としたグラフである。
図4に示すように、変化量算出部314は、例えば、時系列データD1の中から連続する2つの運転回数の排水速度を抽出し、抽出した連続する2つの排水速度の変化量αを算出する。
【0028】
なお、変化量算出部314は、洗濯機200の1回の運転毎に変化する変化量を算出しているが、これに限らず、例えば、洗濯機200の運転が所定回数行われる間に変化する変化量の平均値から、1回の運転における変化量を算出してもよい。
【0029】
また、変化量算出部314は、時系列データD1の変化量として、洗濯機200の運転回数を基準とした排水速度の変化量を用いているが、これに限らず、洗濯機200の排水速度の低下要因を基準とした排水速度の変化量を用いればよく、例えば、洗濯機200の運転時間を基準とした排水速度の変化量を用いてもよい。この場合、排水速度取得部311は、排水速度と、運転時間と、を関連付けて取得する。
【0030】
判定部315は、排水速度に関する時系列データD1の変化量αに基づいて、洗濯機200の排水に関する異常を判定する。判定部315は、変化量αが、所定の範囲外にあるか否かを判定する(S203)。判定部315は、変化量αが所定の範囲から外れると判定した場合(S203:YES)、洗濯機200の排水に関する異常として判定する(S204)。判定部315は、変化量αが所定の範囲内であると判定した場合(S203:NO)、洗濯機200の排水に関する異常はないと判定して、処理フローを終了する。
【0031】
本実施形態では、所定の範囲は、洗濯機200の通常の使用において、運転回数(又は運転時間)に応じて低下する排水速度の値のばらつきをもとに予め設定された、変化量αの許容範囲である。通常の使用は、排水に関する異常(例えば、排水フィルタや排水経路の異常)が生じていない状態において、洗濯機200が標準的な運転を実行することをいう。なお、所定の範囲として、予め定められた範囲を用いているが、これに限らず、例えば、洗濯機200の通常の使用時に取得された時系列データD1の変化量をもとに設定してもよい。
【0032】
次に、外部情報取得部313は、通信部330を介して、洗濯機200が設置された所定領域の外部情報を取得する(S205)。外部情報取得部313は、排水に関する異常を判定した場合に、洗濯機200が設置された所定領域の外部情報を、例えばサーバ装置300とネットワークを介して接続された他のコンピュータから取得する。洗濯機200が設置された所定領域は、例えば、洗濯機200の位置情報をもとに設定される。洗濯機200が設置された地域と同一の地域(市区町村)を所定領域として設定してもよいし、洗濯機200が設置された建物内を所定領域として設定してもよい。外部情報取得部313は、外部情報を、洗濯機200を識別する識別情報(例えば、洗濯機200のID)と関連付けて取得する。外部情報取得部313は、取得した外部情報に関するデータを、順次、記憶部320に記録する。
【0033】
図5に示すように、外部情報に関するデータは、記憶部320にある外部情報テーブル322に記録される。外部情報は、例えば、水源地、水道水経路のトラブル情報、災害情報、水質情報、気温情報等を含む。取得された外部情報は、洗濯機200の排水に関する異常に関連し得る情報と、洗濯機200の給水に関する異常に関連し得る情報と、その他の情報に分類されて、記憶部320に記録される。例えば、気温情報は、所定の温度以下である場合、給水経路に凍結の恐れがあるとして、洗濯機200の給水に関する異常に関連し得る情報に分類される。また、例えば、水質情報は、硬度が所定の硬度以上である場合、給水フィルタの詰まりが発生する恐れがあるとして、洗濯機200の給水に関する異常に関連し得る情報に分類される。また、水道水経路トラブル情報や災害情報がある場合、洗濯機200の給水及び排水に関する異常に関連し得る情報に分類される。
【0034】
次に、判定部315は、洗濯機200の排水に関する異常を判定した場合、外部情報に基づいて、異常の要因を推定する。具体的には、判定部315は、取得した外部情報のうち、洗濯機200の排水に関する異常に関連し得る情報があるか否かを判定する(S206)。
【0035】
判定部315は、取得した外部情報に、洗濯機200の排水に関する異常に関連し得る情報があると判定した場合(S206:YES)、当該外部情報を洗濯機200の排水に関する異常の要因として推定し(S207)、S208に移行する。判定部315は、取得した外部情報に、洗濯機200の排水に関する異常に関連し得る情報がないと判定した場合(S206:NO)、S208に移行する。
図6に示すように、S208では、洗濯機200の異常に関するデータをユーザに通知するための通知データ323を生成し、通信部330を介して、通知データ323を携帯端末400に送信して、処理は終了となる。S208では、異常の要因を推定している場合は、異常の要因に関するデータを含めて通知データ323を生成する。また、S208では、複数の異常の要因を推定している場合は、当該複数の異常の要因に関するデータを含めて通知データ323を生成する。また、通知データ323を携帯端末400に送信しているが、これに限らず、例えば、洗濯機200に送信してもよい。
【0036】
図7を用いて、データ処理システム100で実行される洗濯機200の給水に関する異常を判定する処理フローの一例を説明する。
【0037】
給水速度取得部312は、給水速度に関するデータを取得する(S701)。S701では、給水速度取得部312は、例えば、洗濯機200の運転が行われる毎に、通信部330を介して洗濯機200から給水速度に関するデータを取得する。給水速度取得部312は、給水速度に関するデータとして、洗濯機200の運転が行われた日付、時間帯、給水速度を、洗濯機200を識別する識別情報(例えば、洗濯機200の機種、ID等)と関連付けて取得する。給水速度取得部312は、取得した給水速度に関するデータを、順次、記憶部320に記録する。本実施形態では、記憶部320に記録された複数の給水速度に関するデータが、給水速度に関する時系列データD1である。
【0038】
図3に示すように、給水速度に関するデータは、記憶部320にある速度テーブル321に記録される。速度テーブル321には、一例として、給水速度に関するデータが時系列に記録される。
【0039】
抽出部316は、洗濯機200の運転が行われた時間帯から基準となる給水速度(予測給水速度)を予測する。具体的には、抽出部316は、記憶部320に記録されたデータから、対象となる給水速度の時間帯と同一の時間帯に属する給水速度を予測給水速度として抽出する(S702)。S702では、記憶部320には、給水速度取得部312が予め取得した各時間帯に対応した給水速度に関するデータを記録しているものとする。
【0040】
例えば、対象となる給水速度が午前9:00の給水速度である場合、前回運転が行われた日の午前9:00の給水速度が、記憶部320から予測給水速度として抽出される。ここでは、対象となる給水速度の時間と、同一の時間に取得された給水速度を予測給水速度として抽出しているが、これに限らず、対象となる給水速度の時間を含む所定の時間帯と、同一の時間帯に取得された給水速度を予測給水速度として抽出してもよい。また、記憶部320に、対象となる給水速度の時間帯と同一の時間帯に属する給水速度が複数存在する場合、複数の給水速度の値のばらつきをもとに基準となる給水速度を、予測給水速度として設定することが望ましい。同一の時間帯に属する給水速度が複数存在する場合、例えば、複数の給水速度の平均値を予測給水速度として設定してもよい。
【0041】
判定部315は、対象となる給水速度と、予測給水速度と、を比較して、洗濯機200の給水に関する異常を判定する。判定部315は、対象となる給水速度と、予測給水速度との差分を算出する(S703)。判定部315は、算出した差分が所定の閾値を上回るか否かを判定する(S704)。判定部315は、差分が所定の閾値を上回っていると判定した場合(S704:YES)、洗濯機200の給水に関する異常として判定する(S705)。判定部315は、差分が所定の閾値を上回っていないと判定した場合(S704:NO)、洗濯機200の給水に関する異常はないと判定され、処理は終了となる。
【0042】
本実施形態では、所定の閾値は、洗濯機200の通常の使用において、同一の時間帯に取得される複数の給水速度の値のばらつきをもとに予め設定された、対象となる給水速度と、予測給水速度との差分の許容値である。通常の使用は、給水に関する異常(例えば、給水経路の異常)が生じていない状態において、洗濯機200が標準的な運転を実行することをいう。
【0043】
次に、外部情報取得部313は、通信部330を介して、洗濯機200が設置された所定領域の外部情報を取得する(S706)。ここでは、S205と同様の処理であるため、説明を省略する。
【0044】
次に、判定部315は、洗濯機200の給水に関する異常を判定した場合、外部情報に基づいて、異常の要因を推定する。具体的には、判定部315は、取得した外部情報のうち、洗濯機200の給水に関する異常に関連し得る情報があるか否かを判定する(S707)。
【0045】
判定部315は、取得した外部情報に、洗濯機200の給水に関する異常に関連し得る情報があると判定した場合(S707:YES)、当該外部情報を洗濯機200の給水に関する異常の要因として推定し(S708)、S709に移行する。判定部315は、取得した外部情報に、洗濯機200の給水に関する異常に関連し得る情報がないと判定した場合(S707:NO)、S709に移行する。
図6に示すように、S709では、洗濯機200の異常に関するデータをユーザに通知するための通知データ323を生成し、通信部330を介して、通知データ323を携帯端末400に送信して、処理は終了となる。S709では、異常の要因を推定している場合は、異常の要因に関するデータを含めて通知データ323を生成する。また、S709では、複数の異常の要因を推定している場合は、当該複数の異常の要因に関するデータを含めて通知データ323を生成する。また、通知データ323を携帯端末400に送信しているが、これに限らず、例えば、洗濯機200に送信してもよい。
【0046】
なお、外部情報は、他の洗濯機が取得した情報を含んでもよい。他の洗濯機が取得した情報とは、例えば、他の洗濯機の排水速度に関する時系列データや他の洗濯機の給水速度に関する時系列データである。この場合、例えば、他の洗濯機が取得した給水速度を、対象となる洗濯機200の予測給水速度として抽出してもよい。より具体的には、所定領域内にある各洗濯機の位置情報(例えば、住所情報)から、対象となる洗濯機200と略同一の給水速度となり得る他の洗濯機を抽出して、当該他の洗濯機の給水速度を予測給水速度として用いることができる。
【0047】
さらに、所定領域内にある各洗濯機の位置情報(例えば、住所情報)から、対象となる洗濯機200の給水速度と近似する他の洗濯機を抽出し、当該他の洗濯機の給水速度から対象となる洗濯機200の給水速度を予測してもよい。より具体的には、例えば、対象となる洗濯機200と、同一の建物内で異なる階層に設置される他の洗濯機を抽出し、階層差に基づいて他の洗濯機の給水速度から対象となる洗濯機200の給水速度を予測してもよい。
【0048】
なお、判定部315は、対象となる給水速度と、予測給水速度とを比較して洗濯機200の給水に関する異常を判定しているが、これに限らない。例えば、給水フィルタの詰まりによって給水速度の低下が懸念される場合、例えば、硬度の高い水を使用する場合や風呂水ポンプ(図示せず)を介してお風呂の水を使用する場合等には、判定部315は、給水速度に関する時系列データD1の変化量に基づいて、洗濯機200の給水に関する異常を判定してもよい。この場合、洗濯機200の排水に関する異常を判定する処理フローと同様のため、説明は省略する。
【0049】
図8を用いて、データ処理システム100で実行される排水時間算出の処理フローの一例について説明する。排水時間算出の処理フローのうち、S801からS802に至るまでの処理フローは、
図2に示す洗濯機200の排水に関する異常を判定する処理フローのS201からS202に至るまでの処理フローと同様のため、説明を省略する。
【0050】
変化量算出部314によって、洗濯機200の1回の運転毎に変化する排水速度の変化量が算出されると、運転時間算出部317(排出時間算出部317a)は、当該変化量に基づいて、予測排水速度を算出する(S803)。
【0051】
次に、運転時間算出部317(排水時間算出部317a)は、算出した予測排水速度を用いて排水時間を算出(補正)する(S804)。S804では、例えば、運転コースに応じた各工程において、水量等から予め定められている排水時間を、予測排水速度を用いて算出した排水時間に補正する。これにより、洗濯機200の運転時間の精度をより高めることができる。
【0052】
図9を用いて、データ処理システム100で実行される給水時間算出の処理フローの一例について説明する。給水時間算出の処理フローのうち、S901からS902に至るまでの処理フローは、
図7に示す洗濯機200の給水に関する異常を判定する処理フローのS701からS702に至るまでの処理フローと同様のため、説明を省略する。
【0053】
抽出部316が予測給水速度を抽出すると、運転時間算出部317(給水時間算出部317b)は、予測給水速度を用いて給水時間を算出(補正)する(S903)。S903では、例えば、運転コースに応じた各工程において、水量等から予め定められている給水時間を、予測給水速度によって算出した給水時間に補正する。これにより、洗濯機200の運転時間の精度をより高めることができる。
【0054】
以上の構成において、予測排水時間及び予測給水時間を用いて、運転時間を算出することで、正確な運転時間を算出することができる。また、
図6に示すように、洗濯機200の運転時間に関するデータを通知データ323に含めて、通信部330を介して、通知データ323を洗濯機200や携帯端末400に送信してもよい。
【0055】
なお、排水時間及び給水時間の算出に、それぞれ予測排水速度及び予測給水速度を用いているが、これに限らず、例えば、洗濯機200の工程毎、もしくは随時、排水速度及び給水速度を取得する構成であれば、リアルタイムに取得された排水速度及び給水速度を用いて、排水時間及び給水時間をそれぞれ補正してもよい。
【0056】
図10を用いて、データ処理システム100で実行される排水フィルタの交換のタイミングを予測する処理フローの一例について説明する。排水フィルタの交換のタイミングを予測する処理フローのうち、S1001からS1002に至るまでの処理フローは、
図2に示す洗濯機200の排水に関する異常を判定する処理フローのS201からS202に至るまでの処理フローと同様のため、説明を省略する。
【0057】
変化量算出部314によって、洗濯機200の排水速度に関する時系列データD1の変化量が算出されると、交換タイミング予測部318は、洗濯機200の排水フィルタの交換のタイミングとして予め設定された排水速度の所定の閾値T1(
図4参照)と、時系列データD1の変化量とに基づいて、交換のタイミングを予測する(S1003)。S1002では、時系列データD1の変化量として、洗濯機200の1回の運転毎に変化する排水速度の変化量が算出されている。S1003では、運転回数に基づいて、排水フィルタの交換のタイミングを予測している。具体的には、現在の排水速度と、交換のタイミングとして設定された排水速度の所定の閾値T1と、の差分と、運転1回毎の変化量から、交換のタイミングを予測している。ここでは、交換のタイミングを、所定の閾値T1に至ると予想される残りの運転回数にて表している。通知データ323に排水フィルタの交換に至るまでの残りの運転回数を含めてもよい。また、
図6に示すように、通知データ323に、排水フィルタの詰まり率を含めてもよい。排水フィルタの詰まり率は、現在の排水速度と、交換のタイミングとして設定された排水速度所定の閾値T1とに基づいて、算出する。
【0058】
なお、サーバ装置300の制御部(制御装置)310が、一例として、排水速度取得部311、給水速度取得部312、外部情報取得部313、変化量算出部314、判定部315、抽出部316、運転時間算出部317、交換タイミング予測部318として機能しているが、これに限らず、洗濯機200の制御部(制御装置)210が、上述の機能を有してもよいし、携帯端末400の制御部(制御装置)が、上述の機能を有してもよい。また、サーバ装置300の制御部310の処理を、クラウド上などのサーバが担う形態であってもよい。
【0059】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0060】
100 データ処理システム、200 洗濯機、300 サーバ装置、310 制御部、311 排水速度取得部、312 給水速度取得部、313 外部情報取得部、314 変化量算出部、315 判定部、316 抽出部、317 運転時間算出部、317a 排水時間算出部、317b 給水時間算出部、318 交換タイミング予測部、400 携帯端末