(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】壁紙裏打ち用耐火シート
(51)【国際特許分類】
D21H 27/20 20060101AFI20231101BHJP
D04H 1/4218 20120101ALI20231101BHJP
D04H 1/545 20120101ALI20231101BHJP
D21H 13/16 20060101ALI20231101BHJP
D21H 13/40 20060101ALI20231101BHJP
D21H 19/36 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
D21H27/20 A
D04H1/4218
D04H1/545
D21H13/16
D21H13/40
D21H19/36 Z
(21)【出願番号】P 2020107011
(22)【出願日】2020-06-22
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】重松 俊広
【審査官】藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-100394(JP,A)
【文献】特開平07-119090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21H 11/00 - 27/42
D04H 1/00 - 18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と無機粒子層とを含有し、該基材がガラス繊維と湿熱接着性バインダー繊維とフィブリル化耐熱性繊維
からなり、
基材に含まれる全繊維成分に対して、ガラス繊維の含有率は75~95質量%であり、湿熱接着性バインダー繊維の含有率は3~20質量%であり、フィブリル化耐熱性繊維の含有率は1質量%以上12質量%以下であり、該無機粒子層が無機粒子と無機バインダー
からなり、
無機粒子層に含まれる無機バインダーの含有率は、無機粒子の総量に対して、2質量%以上100質量%以下であり、無機粒子層の含有率(「無機粒子層の塗工量(g/m
2
)/基材坪量(g/m
2
)×100」で算出される値)は90質量%以上160質量%未満であり、且つ、該無機粒子層が、該基材に含有される繊維の表面を被覆していることを特徴とする壁紙裏打ち用耐火シート。
【請求項2】
該湿熱接着性バインダー繊維がシラノール変性ポリビニルアルコール繊維である請求項1記載の壁紙裏打ち用耐火シート。
【請求項3】
基材に含まれる全繊維成分に対して、該フィブリル化耐熱性繊維の含有率が2質量%以上10質量%以下である請求項1又は2記載の壁紙裏打ち用耐火シート。
【請求項4】
該壁紙裏打ち用耐火シートの少なくとも片側の面を共焦点レーザー顕微鏡によって表面粗さを計測して得られるコア部のレベル差Skが55μm以下である請求項1~3のいずれか記載の壁紙裏打ち用耐火シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋等に使用される内装用の壁紙裏打ち用耐火シートに関するものであり、発泡ポリ塩化ビニル樹脂(発泡塩ビゾル)塗工の壁紙裏打ち用耐火シートに好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
建築基準法及び同法施行令によって防火対象となる建築物が定められている。これに該当する商業施設、オフィスビル、医療・福祉施設などを中心に、新築又はリニューアルの際に、壁、天井などの内装制限を受ける物件では、不燃材料認定の防火性能を持つ壁装材料を使用することが要求されている。そのため、防炎性、耐熱性、不燃性等を有する壁装材料がいくつか提案されている。しかし、防炎性、耐熱性、不燃性等の性能を満足すると共に、ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面の平坦性が良好で、施工しやすい柔軟性を兼ね備えた壁紙裏打ち用シートは未だ見出されていないというのが現状である。
【0003】
例えば、シート材料として、特許文献1では、ガラス繊維が20~100%で、パルプ及び/又はその他の有機繊維が80~0%である繊維基材シートの間隙部に、無機質充填材と有機系合成樹脂とを混合して付与(附与)したシート材料が開示されている。このように、無機質充填材を使用した場合には、繊維基材シートには、無機質充填材を付与する際の塗工性が優れていることが求められる。また、シート材料には、無機質充填材が脱落する「粉落ち」と呼ばれる現象が発生し難いことが求められる。特許文献1のシート材料は、有機繊維が使用されるため、不燃性が不十分であり、また、有機繊維が使用されない場合、シート強度が弱く、無機質充填材を付与しにくく、塗工性が低いという課題がある。また、無機質充填材のバインダーとして、有機系合成樹脂を使用しており、不燃性と耐熱性が低下する問題点があった。さらに、ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面の平坦性も不十分であった。
【0004】
また、光沢を有する難燃紙として、特許文献2では、消炎性ガスを発生する無機粉体を主成分とする難燃塗料を、無機繊維の紙状物に含浸せしめてなるシート状物が開示されている。この難燃紙では、難燃塗料に有機バインダーが使用されているため、不燃性が十分でなく、また、無機粉体の塗工に離型紙が使用されており、生産性が悪く、コスト高になる課題があり、さらに、壁紙用裏打ちシートとしては、柔軟性に欠ける問題点があった。
【0005】
また、特許文献3では、少なくとも、ガラス繊維、木材パルプ、及びバインダー繊維からなるガラス繊維混抄紙の表面にラテックスを含む樹脂組成物を塗工することが開示されている。このガラス繊維混抄紙は、木材パルプやラテックス等の樹脂組成物を塗工しているため、不燃性や耐火性が低かった。また、発泡ポリ塩化ビニル樹脂表面の平滑性も、クッション床材用としては十分であるものの、壁紙裏打ち用としては不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実公昭61-21240号公報
【文献】実開昭62-114100号公報
【文献】特開平10-046485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、無機粒子層の塗工性に優れ、ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面の平坦性が良好で、さらに柔軟性と耐火性と不燃性を兼ね備え、粉落ちが少ない壁紙裏打ち用耐火シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、下記発明を見出した。
【0009】
(1)基材と無機粒子層とを含有し、該基材がガラス繊維と湿熱接着性バインダー繊維とフィブリル化耐熱性繊維からなり、基材に含まれる全繊維成分に対して、ガラス繊維の含有率は75~95質量%であり、湿熱接着性バインダー繊維の含有率は3~20質量%であり、フィブリル化耐熱性繊維の含有率は1質量%以上12質量%以下であり、該無機粒子層が無機粒子と無機バインダーからなり、無機粒子層に含まれる無機バインダーの含有率は、無機粒子の総量に対して、2質量%以上100質量%以下であり、無機粒子層の含有率(「無機粒子層の塗工量(g/m
2
)/基材坪量(g/m
2
)×100」で算出される値)は90質量%以上160質量%未満であり、且つ、該無機粒子層が、該基材に含有される繊維の表面を被覆していることを特徴とする壁紙裏打ち用耐火シート。
【0010】
(2)該湿熱接着性バインダー繊維がシラノール変性ポリビニルアルコール繊維である上記(1)記載の壁紙裏打ち用耐火シート。
【0011】
(3)基材に含まれる全繊維成分に対して、該フィブリル化耐熱性繊維の含有率が2質量%以上10質量%以下である上記(1)又は(2)記載の壁紙裏打ち用耐火シート。
【0012】
(4)該壁紙裏打ち用耐火シートの少なくとも片側の面を共焦点レーザー顕微鏡によって表面粗さを計測して得られるコア部のレベル差Skが55μm以下である上記(1)~(3)のいずれか記載の壁紙裏打ち用耐火シート。
【発明の効果】
【0013】
本発明の壁紙裏打ち用耐火シートは、ガラス繊維と湿熱接着性バインダー繊維とフィブリル化耐熱性繊維を含有する基材を含有している。ガラス繊維とフィブリル化耐熱性繊維が絡み合い、絡み合った交点を湿熱接着性バインダー繊維で固定するため、基材の湿潤引張強度が優れており、無機粒子層の塗工性に優れ、無機粒子層形成用塗工液を基材へ塗工する際の操業安定性に優れている。
【0014】
また、無機粒子と無機バインダーを含有する無機粒子層を含有し、且つ、該無機粒子層が、該基材に含有される繊維の表面を被覆することによって、耐火性及び不燃性に優れるという効果を達成できる。そして、基材がフィブリル化耐熱性繊維を含有するため、無機粒子層形成用塗工液の浸透性と液保持性に優れるため、無機粒子の含有率を高めることができ、耐火性及び不燃性を高めることができる。さらに、湿熱接着性バインダー繊維とフィブリル化耐熱性繊維を含有することで、ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面の平坦性が良好で、粉落ちが少なく、施工しやすい柔軟性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】壁紙裏打ち用耐火シートに含有される繊維の表面を被覆する無機粒子層の表面観察画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において、壁紙裏打ち用耐火シートは、基材と無機粒子層とを含有し、該基材がガラス繊維と湿熱接着性バインダー繊維とフィブリル化耐熱性繊維を含有し、該無機粒子層が無機粒子と無機バインダーを含有し、且つ、該無機粒子層が、該基材に含有される繊維の表面を被覆していることを特徴とする。本明細書において、「壁紙裏打ち用耐火シート」を「耐火シート」と略記する場合がある。
【0017】
本発明におけるガラス繊維としては、例えば、チョップドストランド、グラスウール、グラスフレークが挙げられる。折れ難く、基材の形成能があればいずれのガラス繊維でも良い。ガラス繊維の繊維径は、1~11μmであることが好ましく、2~8μmであることがより好ましく、3~7μmであることがさらに好ましい。繊維径が1μm未満の場合、細か過ぎて抄造時に基材からガラス繊維が脱落し、基材の強度及び厚みが不十分となる場合がある。繊維径が11μmを超えた場合、ガラス繊維が太くなり過ぎて、基材の隙間が大きくなり、無機粒子層を形成しても、ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面の平坦性が損なわれる場合や無機粒子の粉落ちが増加する場合や柔軟性が悪化する場合がある。ガラス繊維の繊維径が1~11μmである場合、基材の隙間が細かく、均一となるため、無機粒子層を形成後の粉落ちが少なく、ポリ塩化ビニル樹脂を塗工した表面が平坦となりやすく、さらに、柔軟性も優れた耐火シートになる。
【0018】
また、本発明におけるガラス繊維の繊維長は、1~15mmであることが好ましく、2~10mmであることがより好ましく、3~6mmであることがさらに好ましい。繊維長が1mm未満では、基材の強度が不足する場合があり、繊維長が15mmを超えた場合、基材の地合が悪くなる場合や柔軟性が悪化する場合がある。
【0019】
また、ガラス繊維の含有率は、基材に含まれる全繊維成分に対して、75~95質量%であることが好ましく、80~93質量%であることがより好ましく、85~90質量%であることがさらに好ましい。含有率が75質量%未満であると、耐火性又は不燃性が悪くなる場合があり、含有率が95質量%を超えると、ガラス繊維同士の結合は弱いことから、基材強度が弱くなり、無機粒子層の塗工性が悪化する場合があり、さらに、基材の繊維の隙間が大きくなるため、ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面の平坦性が損なわれる場合がある。
【0020】
本発明に用いるバインダー繊維は湿熱接着性バインダー繊維である。湿熱接着性バインダー繊維とは、湿潤状態において、ある温度で繊維状態から流動、又は容易に変形して接着機能を発現する繊維のことを言う。具体的には、熱水(例えば、80~120℃程度)で軟化して自己接着、又は他の繊維に接着可能な熱可塑性繊維であり、例えば、ポリビニル系繊維(ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなど)、セルロース系繊維(メチルセルロースなどのC1-3アルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのヒドロキシC1-3アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシC1-3アルキルセルロース、又はその塩など)、変性ビニル系共重合体からなる繊維(イソブチレン、スチレン、エチレン、ビニルエーテルなどのビニル系単量体と、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、又は、その無水物との共重合体、又はその塩など)などが挙げられる。本発明に用いる湿熱接着性バインダー繊維としては、ポリビニル系繊維が好ましく、ポリビニルアルコール(PVA)繊維がより好ましく、基材強度がより高くなり、また、繊維間に皮膜を形成しやすく、無機粒子を繊維間に保持しやすくなる。
【0021】
本発明に用いる湿熱接着性バインダー繊維としては、架橋性官能基を有する化合物で変性された変性ポリビニルアルコール繊維、架橋剤を用いて紡糸時又は紡糸後に温和な条件下で架橋を行った架橋ポリビニルアルコール繊維が、低延伸糸に耐熱水性を付与することが可能となり、より好ましい。
【0022】
架橋性官能基としては、シラノール基、カルボキシル基、メチロール基等が挙げられる。pH等を調整することによって、架橋性官能基を有する化合物で変性されたポリビニルアルコールを架橋させることなく水に溶解し、紡糸して、変性ポリビニルアルコール繊維を得ることができる。紡糸時又は紡糸後に、変性ポリビニルアルコール繊維を架橋させても良い。変性度は、好ましくは0.01~10mol%であり、より好ましくは、0.1~5mol%である。好適な例としては、シラノール変性ポリビニルアルコール(変性度0.1~2mol%)をアルカリ溶液(pH9~13)に溶解し、該溶液を酸性(pH5~6)にすることにより架橋させつつ紡糸し、乾燥後熱処理して得られるシラノール変性ポリビニルアルコール繊維が挙げられる。
【0023】
また、自己架橋性のない未変性ポリビニルアルコールを紡糸後、各種有機系又は無機系架橋剤を付与して架橋せしめる方法によって得られた、架橋ポリビニルアルコール繊維を用いることもできる。無機系架橋剤としては、リン酸、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸チタニル等が挙げられる。また、有機系架橋剤として、メチロール系、エポキシ系、イソシアネート系、アルデヒド系等の架橋剤が挙げられる。これらの架橋剤を未変性ポリビニルアルコール紡糸原液に添加して紡糸した後、又は、未変性ポリビニルアルコールを単独で紡糸して架橋剤含有浴を通した後、熱処理することで架橋を進行させることができる。また、これらの方法を併用することも可能である。
【0024】
本発明に用いる湿熱接着性バインダー繊維は上記に限定されるものではないが、シラノール変性ポリビニルアルコール繊維は、ガラス繊維との接着性がさらに高まるため、基材の湿潤引張強度をさらに高めることができるため、特に好ましい。
【0025】
湿熱接着性バインダー繊維の繊度は、0.1~5.6デシテックスであることが好ましく、0.4~2.2デシテックスであることがより好ましく、0.6~1.1デシテックスであることがさらに好ましい。繊度が0.1デシテックス未満の場合、繊維自体が非常に高価になり、また、基材が緻密で薄くなり過ぎる場合がある。一方、5.6デシテックスを超えた場合、ガラス繊維との接点が少なくなり、湿潤状態での強度維持が困難になる場合がある。また、均一な地合が取れない場合がある。湿熱接着性バインダー繊維の繊維長は、1~15mmであることが好ましく、2~10mmであることがより好ましく、3~5mmであることがさらに好ましい。繊維長が1mm未満の場合、抄造時に抄紙ワイヤーから湿熱接着性バインダー繊維が抜け落ちる場合があり、十分な強度の耐火シートが得られない場合がある。一方、15mmを超えた場合、水に分散する際に湿熱接着性バインダー繊維がもつれる場合があり、耐火シートの地合が不均一になる場合がある。
【0026】
湿熱接着性バインダー繊維の含有率は、基材に含まれる全繊維成分に対して、3~20質量%であることが好ましく、4~15質量%であることがより好ましく、5~10質量%であることがさらに好ましい。湿熱接着性バインダー繊維が3質量%未満の場合、基材の強度が低下し、無機粒子層を塗工する際に断紙する場合やガラス繊維が脱落する場合がある。一方、湿熱接着性バインダー繊維の含有率が20質量%を超えた場合、基材を湿式抄造法で抄紙する際、ドライヤーからの剥離性が悪化する場合があり、また、無機粒子層を塗工する際に、基材への浸透性が低下する場合があり、壁紙裏打ち用耐火シートの耐火性が悪化する場合がある。
【0027】
本発明に用いるフィブリル化耐熱性繊維としては、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリ-p-フェニレンベンゾビスチアゾール、ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリテトラフルオロエチレン等の耐熱性樹脂からなるフィブリル化耐熱性繊維が挙げられる。これらの中でも、親水性が高く、フィブリル化しやすい全芳香族ポリアミドのフィブリル化耐熱性繊維が好ましい。
【0028】
このような全芳香族ポリアミドの代表的な例としては、ポリ(m-フェニレンイソフタルアミド)、ポリ(m-フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(p-フェニレンイソフタルアミド)、ポリ(4,4′-オキシジフェニレンイソフタルアミド)、ポリ(4,4′-オキシジフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(m-ベンズアミド)、ポリ(p-ベンズアミド)などが挙げられるが、これらのコポリマーであっても良いし、また、少量の芳香族基以外の成分を含んだものであっても良い。
【0029】
また、全芳香族ポリアミドのフィブリル化耐熱性繊維は、抄紙機を用いて紙に似た構造物を作ることができる多数のフィブリル部を有する繊維状、薄膜状、又はリボン状構造を持っており、芳香族系重合体の溶液を沈殿剤中に導入して、微細な粒子として沈殿させて得られるものでも良い。
【0030】
本発明において、基材に含まれる全繊維成分に対して、フィブリル化耐熱性繊維の含有率は2質量%以上10質量%以下であることが好ましく、3質量%以上8質量%以下であることがより好ましく、3.5質量%以上6質量%以下であることがさらに好ましく、3.5質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。フィブリル化耐熱性繊維の含有率が10質量%を超えた場合、基材が薄くなりやすく、基材の空隙が減少するため、無機粒子層が基材表面に形成されやすく、ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面の平坦性は良化するものの、耐火シートの柔軟性が損なわれる場合や無機粒子の粉落ちが悪化する場合がある。また、耐火性や不燃性が低下する場合がある。一方、フィブリル化耐熱性繊維の含有率が2質量%未満である場合、フィブリル化耐熱性繊維間やフィブリル化耐熱性繊維とガラス繊維との緻密なネットワーク構造が形成されにくく、湿潤引張強度の向上効果が発現しにくくなる。また、基材の空隙が増大するため、ポリ塩化ビニル樹脂が基材内部に入り込みやすくなり、ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面の平坦性は悪化する場合がある。
【0031】
本発明におけるフィブリル化耐熱性繊維の変法濾水度は40ml以上であることが好ましく、より好ましくは50ml以上700ml以下であり、さらに好ましくは100ml以上600ml以下であり、特に好ましくは300ml以上450ml以下である。変法濾水度が700mlを超えた場合、フィブリル化があまり進んでいないため、ガラス繊維との絡み合いが少なくなるため、湿潤引張強度の向上効果が低下する場合がある。また、ガラス繊維間の空隙が広がりやすくなるため、無機粒子層が不均一となり、ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面の平坦性が悪化する場合がある。一方、変法濾水度が40ml未満の場合、フィブリル化耐熱性繊維のファイン分が増えて、基材から脱落する割合が増え、歩留まりが低下する場合がある。また、繊維のフィブリル化処理に時間が掛かり、非常に高価なものになる。また、基材が薄くなりやすく、高密度化しやすくなるため、無機粒子層形成用塗工液が内部に浸透しにくくなり、耐火性が悪化する場合がある。
【0032】
本発明において、変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度を0.1%にした以外はJIS P8121-2:2012に準拠して測定した値のことである。
【0033】
本発明のフィブリル化耐熱性繊維において、質量加重平均繊維長は、0.02mm以上1.50mm以下であることが好ましい。また、長さ加重平均繊維長は、0.02mm以上1.00mm以下であることが好ましい。平均繊維長が好ましい範囲よりも短い場合、基材からフィブリル化耐熱性繊維が脱落する場合がある。平均繊維長が好ましい範囲よりも長い場合、繊維の離解が悪くなり、分散不良が発生しやすくなる。
【0034】
フィブリル化耐熱性繊維が、上記の質量加重平均繊維長と長さ加重平均繊維長を持つ場合、基材に含まれるフィブリル化耐熱性繊維の含有率が少ない場合でも、フィブリル化耐熱性繊維間やフィブリル化耐熱性繊維とガラス繊維との間において、繊維による緻密なネットワーク構造が形成され、湿潤引張強度が高く、無機粒子塗工液の浸透性や液保持性を高めることができる基材が得られやすくなる。
【0035】
フィブリル化耐熱性繊維の平均繊維幅は、0.5μm以上40μm以下が好ましく、3μm以上35μm以下がより好ましく、5μm以上30μm以下がさらに好ましい。平均繊維幅が40μmを超えた場合、フィブリル化耐熱性繊維とガラス繊維の絡み合いが減少するため、湿潤引張強度が低下する場合があり、平均繊維幅が0.5μm未満の場合、基材からフィブリル化耐熱性繊維が脱落するようになり、交点が増え過ぎるために、湿熱接着性バインダー繊維を増やさないと、湿潤引張強度が低下する場合がある。
【0036】
本発明において、フィブリル化耐熱性繊維の質量加重平均繊維長、長さ加重平均繊維長及び平均繊維幅は、KajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)を使用して、投影繊維長(Proj)モードにおいて測定した質量加重平均繊維長(L(w))、長さ加重平均繊維長(L(l))及び繊維幅である。
【0037】
フィブリル化耐熱性繊維は、耐熱性繊維をリファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃によりせん断力を与える回転式ホモジナイザー、高速の回転する円筒の内刃と固定された外刃との間でせん断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に少なくとも20MPaの圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより、繊維にせん断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等を用いて処理することによって得ることができる。
【0038】
本発明において、ガラス繊維、湿熱接着性バインダー繊維、フィブリル化耐熱性繊維に加えて、必要に応じて、性能を阻害しない範囲で、各種繊維を配合することができる。その結果、さらに細かい空隙部を増やすことができ、無機粒子の保持性や壁紙裏打ち用耐火シートの強度を向上させることができる。このような繊維としては、レーヨン、キュプラ、リヨセル繊維等の再生繊維、アセテート、トリアセテート、プロミックス等の半合成繊維、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系、ベンゾエート、ポリクラール、フェノール、メラミン、フラン、尿素、アニリン、不飽和ポリエステル、フッ素、シリコーン、これらの誘導体等の合成樹脂繊維、金属繊維、炭素繊維、アルミナ、シリカ、セラミックス、岩石繊維等の無機繊維を加えることができる。
【0039】
合成樹脂繊維は、単一の樹脂からなる繊維(単繊維)であっても良いし、2種以上の樹脂からなる複合繊維であっても良い。また、本発明の壁紙裏打ち用耐火シートに含まれる合成樹脂繊維は、1種でも良いし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。複合繊維としては、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型が挙げられる。
【0040】
本発明において、基材の厚みは、0.2mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましく、0.4mm以上であることがさらに好ましい。また、1.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以下であることがより好ましく、0.6mm以下であることがさらに好ましい。基材の厚みを上記の範囲とした場合において、本発明における基材では、抄紙工程や塗工工程で必要な引張強度を維持できるため、基材の抄造性も含め、各工程での作業性が良好なものとなる。基材の厚みが1.0mmを超えると、壁紙裏打ち用耐火シートとして、柔軟性が損なわれて、取り扱い難くなる場合がある。基材の厚みが0.20mm未満であると、基材の空隙が大きくなり、塗工し難くなり、また、無機粒子層を多く塗工する必要があり、粉落ちが増える場合や柔軟性が悪化する場合がある。
【0041】
本発明における基材の密度は、0.07g/cm3以上であることが好ましく、0.10g/cm3以上であることがより好ましい。また、0.30g/cm3以下であることが好ましく、0.20g/cm3以下であることがより好ましい。密度が0.07g/cm3未満である場合、基材の引張強度が弱くなり過ぎて、基材の取り扱い時や塗工時に破損するおそれがあり、0.30g/cm3を超えた場合、基材の柔軟性が悪化して、抄紙のリーラーで巻き取り難くなる場合や無機粒子層の塗工量が低下する場合がある。
【0042】
本発明における基材は、湿式抄造法(抄紙法)によって製造される湿式不織布であることが好ましい。湿式抄造法は繊維を水に分散して均一な抄紙スラリーとし、この抄紙スラリーを抄紙機で抄きあげて湿式不織布を製造する。抄紙機としては、円網抄紙機、長網抄紙機、傾斜型抄紙機、傾斜短網抄紙機、これらの複合機が挙げられる。また、複数のヘッドボックスを有し、ワイヤー上で湿紙を重ね合わせる抄紙機にて製造することができる。抄紙スラリーには、繊維原料の他に、必要に応じて、分散剤、紙力増強剤、増粘剤、無機填料、有機填料、消泡剤などを適宜添加することができる。抄紙スラリーの固形分濃度は、0.5~0.001質量%程度であることが好ましい。この抄紙スラリーを、さらに所定濃度に希釈してから抄造し、湿紙ウェブを得る。ついで、抄造された湿紙ウェブは、プレスロールなどでニップされ、ついで、ヤンキードライヤーを使用し、湿熱接着性バインダー繊維を溶融させて、強度を発現させる。ヤンキードライヤーにて乾燥することにより、乾燥された表面は平滑となり、表面の凹凸が少ない面を形成できる。その他、補助乾燥として、熱風乾燥機、加熱ロール、赤外線ヒーターなどの加熱装置を併用しても問題ない。この時の乾燥温度としては、湿紙ウェブの水分が十分に除去でき、湿熱接着性バインダー繊維により強度を発現できる温度とすることが好ましい。
【0043】
本発明において、無機粒子層は、無機粒子と無機バインダーを含有している層である。この無機粒子層が、基材に含有される繊維の表面全体を被覆しており、また、基材の空隙に充填されていることによって、耐火シートの耐火性と不燃性の効果が得られる。さらに、ポリ塩化ビニル樹脂の浸透性が抑えられ、塗工表面の平坦性が良好となる。
【0044】
図1は、無機粒子層が壁紙裏打ち用耐火シートに含有される繊維の表面を被覆している表面観察画像であり、電子顕微鏡(SEM)観察写真である。基材に含有される繊維である、ガラス繊維及びフィブリル化耐熱性繊維と
図1では確認できないが、湿熱接着性バインダー繊維の表面全体が、無機粒子(カオリン)及び無機バインダー(セピオライト)を含有している無機粒子層によって被覆されている。繊維の表面全体が無機粒子によって覆われることによって、耐火シートの耐火性が発現する。
【0045】
無機粒子としては、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、二水和石膏、アルミン酸三カルシウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、タルク、二酸化チタン等の水分散性の良い無機粒子が使用できる。上記無機粒子は、単独で使用しても良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い
【0046】
無機粒子の中でも、水酸化酸化アルミニウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、炭酸塩系の無機粒子は、火炎が当たった際に無機粒子が固化し、耐火シートから無機粒子が脱落することを防止できるため好ましい。さらに、水酸化酸化アルミニウム、クレー、カオリン、焼成カオリンは、耐火シートを高温化で保持した場合でも、耐火性と不燃性に優れ、耐火シートの強度を維持できるため、より好ましい。
【0047】
本発明において、無機粒子の粒子径は、0.08μm以上2.00μm以下であることが好ましく、0.30μm以上1.50μm以下であることがより好ましく、0.40μm以上1.00μm以下であることがさらに好ましい。粒子径が2.00μmを超えると、壁紙裏打ち用耐火シートの耐火性が悪化する場合や粉落ちや高温下に曝した際の断熱性が悪化する場合がある。一方、粒子径が0.08μm未満の場合、無機粒子を分散する際に増粘しやすく、分散し難くなり、基材に塗工した場合、無機粒子が基材から脱落しやすくなる場合や、脱落を防ぐために無機バインダーを増量する必要があり、耐火シートの柔軟性が損なわれる場合がある。なお、本発明で言う粒子径とは、無機粒子のSEM写真から得られた無機粒子の面積から真円の直径を換算した値である。
【0048】
本発明において、無機粒子層は無機バインダーを含む。無機バインダーとしては、例えば、セピオライト、コロイダルシリカ、水ガラス、アルミナゾル、ベントナイトなどが挙げられる。上記無機バインダーは、単独で使用しても良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0049】
本発明において、無機粒子層に含まれる無機バインダーの含有率は、無機粒子の総量に対して、2質量%以上100質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。無機バインダーの含有率が2質量%未満の場合、無機粒子が基材から脱落しやすくなる場合がある。また、無機バインダーの含有率が100質量%を超えた場合、無機粒子の塗工性が悪化する場合がある。
【0050】
無機粒子層形成用塗工液を調製するための媒体としては、無機バインダーや無機粒子を均一に溶解又は分散できるものであれば特に限定されない。例えば、トルエン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メチルエチルケトン等のケトン類、イソプロピルアルコール等のアルコール類、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、水等を必要に応じて用いることができる。また、使用する媒体は、基材を膨張させない媒体又は基材を溶解しない媒体が好ましい。
【0051】
無機粒子層の含有率は、「無機粒子層の塗工量(g/m2)/基材坪量(g/m2)×100」で算出される値であり、90質量%以上が好ましく、100質量%以上がより好ましく、130質量%以上がさらに好ましい。無機粒子層の含有率が90質量%以上であれば、壁紙裏打ち用耐火シートに火炎を当てた場合でも、耐火シートの溶融や損傷がほとんどない。一方、無機粒子層の含有率は160質量%未満が好ましい。無機粒子層の含有率が高いほど、耐火シートの厚みが増加し、耐火性と不燃性は高くなるが、無機粒子層の含有率が160質量%以上の場合、粉落ちが発生する場合や耐火シートの柔軟性が損なわれる場合がある。
【0052】
無機粒子層を形成するために、無機粒子を基材に塗工する装置としては、各種の塗工装置を用いることができる。例えば、2ロールサイズプレス、ゲートロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、エアーナイフコーター、ロッドコーター、キスタッチコーター、ディップコーター等の含浸、又は塗工装置による各種コーターを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0053】
本発明において、無機粒子層には、前記無機粒子及び無機バインダーの他に、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の各種分散剤、塗工液の液安定性を増すため、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレンオキサイド等の各種増粘剤、各種保水剤、各種の濡れ剤、防腐剤、消泡剤等の各種添加剤を、必要に応じて添加することもできる。一般に、媒体として有機溶剤を使用した非水系塗工液は表面張力が低く、媒体として水を用いた水系塗工液の表面張力は高い。本発明の基材は、塗工液の受理性が高いため、非水系塗工液も水系塗工液も、両方共に問題なく塗工することができるが、本発明において、媒体として水のみを用いた水系塗工液を使用することが好ましい。
【0054】
本発明において、壁紙裏打ち用耐火シートの少なくとも片側の面を共焦点レーザー顕微鏡によって表面粗さを計測して得られるコア部のレベル差Skが55μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、45μm以下であることがさらに好ましい。また、Skは25μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、35μm以上であることがさらに好ましい。そして、ポリ塩化ビニル樹脂は、Skが55μm以下である面に塗工されることが好ましい。ポリ塩化ビニル樹脂の塗工では、発泡ポリ塩化ビニル樹脂を塗工し、乾燥・ゲル化させた後、発泡させる。本発明の壁紙裏打ち用耐火シートの少なくとも片側の面のSkが55μm以下である場合、ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面の平坦性が良好となる。さらに、無機粒子層の粉落ちが少なく、柔軟性と耐火性と不燃性を兼ね備えた壁紙裏打ち用耐火シートが得られやすくなる。Skが55μmを超えた場合、ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面の平坦性が悪化する場合がある。一方、Skが25μm未満の場合、ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面の平坦性が良好で、耐火性や不燃性も良好であるが、壁紙裏打ち用耐火シートとして柔軟性が損なわれる場合がある。
【0055】
本明細書において、「コア部のレベル差Sk」は、表面粗さを比較する指標であり、ISO25178に準拠したコア部の上側レベルと下側レベルとの差である。Skの測定方法を説明する。
【0056】
(1)壁紙裏打ち用耐火シートの写真撮影
壁紙裏打ち用耐火シートを幅45mm×長さ60mmに断裁して試料とする。断裁した壁紙裏打ち用耐火シートの写真を、キーエンス社製共焦点レーザー顕微鏡VK-X1050(製品名)を用いて、以下の条件で観察する。
【0057】
「VK観察アプリケーション」の「形状計測」の「簡易測定」で、同軸照明で壁紙裏打ち用耐火シートを照らし、撮影倍率20倍で観察する。「ナビゲーション画像作成」を行い、「連結測定」の「連結領域の指定方法」として「始点と長さ」を選び、撮影サイズを「横:3000μm×縦:2000μm」に指定し、写真撮影位置を決定して、測定を開始する。
【0058】
(2)画像補正
得られた壁紙裏打ち用耐火シートの写真を「マルチファイル解析アプリケーション」で開き、以下の順で画像補正処理を行う。
【0059】
面形状補正:補正方法は「うねり除去」、指定方法は「補正の強さ」を選び、補正の強さを「5」に設定して面形状補正を行う。
【0060】
(3)表面粗さ計測
計測領域として「全領域」を指定し、Skを計測する。一つの壁紙裏打ち用耐火シートについて、5箇所で本測定を実施し、5箇所におけるSkの平均値を算出する。
【0061】
表面粗さ計測の詳細設定条件を表1に記載する。
【0062】
【0063】
壁紙裏打ち用耐火シートのSkを55μm以下にする方法としては、
(I)繊維径の細いガラス繊維を使用する。
(II)湿熱接着性バインダー繊維を増量する。
(III)フィブリル化耐熱性繊維を増量する。
(IV)無機粒子層の塗工量を増量する。
(V)無機粒子層を、例えば、グラビアコーターやロッドコーター等の表面塗工方式で塗工する。
等が挙げられる。
【実施例】
【0064】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において百分率(%)及び部は、断りのない限り全て質量基準である。また、塗工量は絶乾塗工量である。
【0065】
実施例1
<基材の作製>
ガラス繊維(日東紡績社製、繊維径6.5μm×繊維長6mm)を90部、シラノール変性PVA繊維(湿熱接着性バインダー繊維、商品名:SPG056-11、株式会社クラレ製、0.6デシテックス×3mm)を5部、パラ系全芳香族ポリアミド繊維のパルプ状物(平均繊維長1.7mm、平均繊維径10μm)を、高圧ホモジナイザーを用いて変法濾水度250mlまでフィブリル化させたフィブリル化耐熱性繊維5部を、パルパーにより水中に分散し、濃度0.5%の均一な抄紙スラリーを調成し、円網抄紙機を用いて湿紙ウェブを得て、表面温度140℃のヤンキードライヤーによって乾燥し、坪量51.1g/m2、厚み0.367mmの基材を作製した。
【0066】
<無機粒子層形成用塗工液の調製>
カオリン(商品名:ASP(登録商標) NC X-1、BASF CORPORATION製)100部と、水溶性アクリル酸系分散剤(商品名:アロン(登録商標)T-50、東亞合成株式会社製)0.4部を水中に混合し十分撹拌し、カオリン分散液を調製した。ついで、セピオライト(商品名:ミルコン(登録商標)SP-2、昭和KDE株式会社製)20部と水溶性アクリル酸系分散剤(アロンT-50)1.0部を水中に混合し十分撹拌し、セピオライト分散液を調製した。ついで、カオリン分散液全量とセピオライト分散液全量を混合、撹拌し、水で濃度を調整して、固形分濃度40%の塗工液を調製した。
【0067】
<壁紙裏打ち用耐火シートの作製>
前記基材に、サイズプレスにて塗工液を含浸し、乾燥し、絶乾塗工量64.4g/m2、総坪量115.5g/m2、厚み0.334mmの壁紙裏打ち用耐火シートを作製した。
【0068】
実施例2
実施例1で使用したガラス繊維を90部、実施例1で使用したシラノール変性PVA繊維を5部と、パラ系全芳香族ポリアミド繊維のパルプ状物(平均繊維長1.7mm、平均繊維径10μm)を、高圧ホモジナイザーを用いて変法濾水度50mlまでフィブリル化させたフィブリル化耐熱性繊維5部を、実施例1と同様な抄紙方法で、坪量50.8g/m2、厚み0.345mmの基材を作製した。
【0069】
この基材に実施例1で用いた塗工液をサイズプレスにて含浸し、乾燥し、絶乾塗工量61.5g/m2、総坪量112.3g/m2、厚み0.328mmの壁紙裏打ち用耐火シートを作製した。
【0070】
実施例3
実施例1で使用したガラス繊維を90部、実施例1で使用したシラノール変性PVA繊維を8部、実施例2で使用したフィブリル化耐熱性繊維2部を実施例1と同様な抄紙方法で、坪量50.5g/m2、厚み0.355mmの基材を作製した。
【0071】
この基材に実施例1で用いた塗工液をサイズプレスにて含浸し、乾燥し、絶乾塗工量65.0g/m2、総坪量115.5g/m2、厚み0.338mmの壁紙裏打ち用耐火シートを作製した。
【0072】
実施例4
実施例1で使用したガラス繊維を85部、実施例1で使用したシラノール変性PVA繊維を5部、実施例1で使用したフィブリル化耐熱性繊維10部を実施例1と同様な抄紙方法で、坪量50.2g/m2、厚み0.328mmの基材を作製した。
【0073】
この基材に実施例1で用いた塗工液をサイズプレスにて含浸し、乾燥し、絶乾塗工量60.0g/m2、総坪量110.2g/m2、厚み0.311mmの壁紙裏打ち用耐火シートを作製した。
【0074】
実施例5
実施例1で使用したガラス繊維を90部、実施例1で使用したシラノール変性PVA繊維を9部、実施例2で使用したフィブリル化耐熱性繊維1部を実施例1と同様な抄紙方法で、坪量50.7g/m2、厚み0.362mmの基材を作製した。
【0075】
この基材に実施例1で用いた塗工液をサイズプレスにて含浸し、乾燥し、絶乾塗工量66.5g/m2、総坪量117.2g/m2、厚み0.352mmの壁紙裏打ち用耐火シートを作製した。
【0076】
実施例6
実施例1で使用したガラス繊維を83部、実施例1で使用したシラノール変性PVA繊維を5部、実施例1で使用したフィブリル化耐熱性繊維12部を実施例1と同様な抄紙方法で、坪量50.5g/m2、厚み0.325mmの基材を作製した。
【0077】
この基材に実施例1で用いた塗工液をサイズプレスにて含浸し、乾燥し、絶乾塗工量60.1g/m2、総坪量110.6g/m2、厚み0.306mmの壁紙裏打ち用耐火シートを作製した。
【0078】
実施例7
ガラス繊維(繊維径4.0μm×繊維長3mm)を90部、実施例1で使用したシラノール変性PVA繊維を5部、実施例1で使用したフィブリル化耐熱性繊維5部を実施例1と同様な抄紙方法で、坪量50.5g/m2、厚み0.338mmの基材を作製した。
【0079】
この基材に実施例1で用いた塗工液をサイズプレスにて含浸し、乾燥し、絶乾塗工量62.0g/m2、総坪量112.5g/m2、厚み0.316mmの壁紙裏打ち用耐火シートを作製した。
【0080】
実施例8
実施例1で使用したガラス繊維を90部、実施例1で使用したシラノール変性PVA繊維を5部、実施例1で使用したフィブリル化耐熱性繊維5部を実施例1と同様な抄紙方法で、坪量51.1g/m2、厚み0.367mmの基材を作製した。
【0081】
この基材に実施例1で用いた塗工液に保水剤(商品名:SNシックナー926、サンノプコ製)0.08部を添加した塗工液をコンマコーターにて、表裏それぞれ1回ずつ表面塗工し、乾燥し、合計の絶乾塗工量75.0g/m2、総坪量126.1g/m2、厚み0.368mmの壁紙裏打ち用耐火シートを作製した。
【0082】
実施例9
実施例1で使用したガラス繊維を90部、PVA繊維(湿熱接着性バインダー繊維、商品名:VPB107-1、株式会社クラレ製、1.1デシテックス×3mm)を5部、実施例1で使用したフィブリル化耐熱性繊維5部を、実施例1と同様な抄紙方法で、坪量50.5g/m2、厚み0.322mmの基材を作製した。
【0083】
この基材に実施例1で用いた塗工液をサイズプレスにて含浸し、乾燥し、絶乾塗工量65.0g/m2、総坪量115.5g/m2、厚み0.385mmの壁紙裏打ち用耐火シートを作製した。
【0084】
比較例1
実施例1で使用したガラス繊維90部、実施例1で使用したシラノール変性PVA繊維10部とした以外、実施例1と同様な抄紙方法で坪量50.1g/m2、厚み0.317mmの基材を作製した。
【0085】
この基材に実施例1で用いた塗工液をサイズプレスにて含浸し、乾燥し、絶乾塗工量55.2g/m2、総坪量105.3g/m2、厚み0.308mmの壁紙裏打ち用耐火シートを作製した。
【0086】
比較例2
実施例1で使用したガラス繊維90部、メタ系全芳香族ポリアミド繊維(商品名:メタワン、Huvis製)のパルプ状物を、高速ミキサーを用いて変法濾水度150mlまでフィブリル化させたフィブリル化耐熱性繊維10部とした以外、実施例1と同様な抄紙方法で坪量50.5g/m2、厚み0.370mmの基材を作製した。
【0087】
この基材に実施例1で用いた塗工液をサイズプレスにて含浸し、乾燥し、絶乾塗工量58.0g/m2、総坪量108.5g/m2、厚み0.350mmの壁紙裏打ち用耐火シートを作製した。
【0088】
比較例3
実施例1で使用したガラス繊維90部、実施例9で使用したPVA繊維5部、未叩解NBKPを5部とした以外、実施例1と同様な抄紙方法で坪量50.5g/m2、厚み0.300mmの基材を作製した。
【0089】
この基材に実施例1で用いた塗工液をサイズプレスにて含浸し、乾燥し、絶乾塗工量55.0g/m2、総坪量105.5g/m2、厚み0.305mmの壁紙裏打ち用耐火シートを作製した。
【0090】
比較例4
実施例1で使用したガラス繊維90部、実施例1で使用したシラノール変性PVA繊維5部、リファイナーを用いて平均繊維径12μm、繊維長5mmの溶剤紡糸セルロース繊維を微細化し、変法濾水度100mlに叩解されてなるフィブリル化セルロース繊維5部とした以外、実施例1と同様な抄紙方法で坪量51.2g/m2、厚み0.293mmの基材を作製した。
【0091】
この基材に実施例1で用いた塗工液をサイズプレスにて含浸し、乾燥し、絶乾塗工量59.1g/m2、総坪量110.3g/m2、厚み0.298mmの壁紙裏打ち用耐火シートを作製した。
【0092】
比較例5
無機粒子層形成用塗工液として、実施例1で使用したカオリン100部と水溶性アクリル酸系分散剤0.4部と塩化ビニル系エマルジョン(商品名:ビニブラン(登録商標)278、固形分濃度43%、日信化学工業株式会社製)20部を水中で混合し十分撹拌し、固形分濃度40%の塗工液を調製した。
【0093】
この塗工液を実施例1で作製した坪量51.1g/m2、厚み0.367mmの基材に、サイズプレスにて含浸し、乾燥し、絶乾塗工量63.5g/m2、総坪量114.6g/m2、厚み0.338mmの壁紙裏打ち用耐火シートを作製した。
【0094】
実施例及び比較例の壁紙裏打ち用耐火シート用基材及び壁紙裏打ち用耐火シートについて、下記物性の測定と評価を行い、結果を表2に示した。
【0095】
<基材の坪量及び無機粒子層の塗工量>
JIS P8124:2011に準拠して、基材の坪量及び無機粒子層の塗工量を測定した。無機粒子層の塗工量は壁紙裏打ち用耐火シートの総坪量から基材の坪量を差し引いて算出した。
【0096】
<基材及び壁紙裏打ち用耐火シートの厚み>
JIS B7502:2016に規定された外側マイクロメーターを用いて、5N荷重時の厚みを測定した。
【0097】
<コア部のレベル差Sk>
上述した測定方法によって、各壁紙裏打ち用耐火シートにおいて、基材の乾燥時にヤンキードライヤーに接触している面を表面として、表面のSkを測定した。
【0098】
<基材の引張強度>
各基材について、長辺が流れ方向になるように、流れ方向250mm×幅方向50mmのサンプル片を5枚切り出し、卓上型万能試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、商品名STB-1225S)を用いて、JIS P8113:1998に準じて、引張速度100mm/minで引張試験を行った。引張応力の最大値を「引張強度」とし、5枚の平均値とした。
【0099】
<基材の湿潤引張強度>
各基材について、長辺が流れ方向になるように、流れ方向250mm×幅方向50mmのサンプル片を5枚切り出し、23℃のイオン交換水中に3分間浸漬し、サンプル片を取り出した後、表面のイオン交換水をキムタオル(登録商標)で軽く拭き取り、卓上型万能試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、商品名STB-1225S)を用いて、JIS P8113:1998に準じて、引張速度100mm/minで引張試験を行った。引張応力の最大値を「湿潤引張強度」とし、5枚の平均値とした。
【0100】
<無機粒子層の塗工性>
基材に無機粒子層を形成する際の塗工しやすさを、次の評価基準で評価した。
【0101】
○:塗工液を塗工する際に、基材に断紙や亀裂や割れが発生しない場合
△:塗工液を塗工する際に、基材に断紙や亀裂や割れがたまに発生する場合
×:塗工液を塗工する際に、基材に断紙や亀裂や割れが発生する場合
【0102】
<耐火性>
壁紙裏打ち用耐火シートの耐火性の評価としては、各シートから幅方向100mm×流れ方向100mmサイズの試験片を3枚切り出し、各試験片の中央部にバーナー(商品名:ラボバーナーAPTL、株式会社フェニックスデント製)の火炎を5分間当てた。その後、火炎を当てた側の耐火シートの表面を目視にて観察し、次の評価基準で評価した。バーナーの火炎温度は、1000℃であった。
【0103】
○:耐火シートに穴や亀裂や溶融がない。
△:火炎を当てた耐火シートの表面に溶融や凹みがわずかに見られる。
×:耐火シートに穴や亀裂がある。
【0104】
<不燃性>
壁紙裏打ち用耐火シートを不燃性の評価としては、各シートから幅方向100mm×流れ方向100mmサイズの試験片を2枚切り出し、各試験片を750℃±5℃に保持できる加熱電気炉の中に挿入し、次の評価基準で評価した。
【0105】
○:挿入後、発火しない。
△:挿入後、一瞬発火する。
×:挿入後、シート表面が発火する。
【0106】
<ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面の平坦性>
上記の壁紙裏打ち用耐火シートを幅15cm長さ20cmに裁断し、ガラス板の上に表面が上になるように載せ、表面に壁紙用の発泡ポリ塩化ビニルゾルをギャップ0.15mmのアプリケーターバーで塗工し、150℃の恒温熱風乾燥機で25秒加熱し、ゲル化させた。その後、220℃の恒温熱風乾燥機で40秒加熱し、発泡ポリ塩化ビニルゾルを発泡させた。上記の作成させた発泡塩ビ表面の凹凸を目視で観察し、次の評価基準で評価した。
【0107】
○:発泡面が平滑である。
△:発泡面に少し凹凸がある。
×:発泡面の凹凸が大きい。
【0108】
<粉落ち>
上記の壁紙裏打ち用耐火シートの表面を手で触った際に、手に無機粒子が付着する状態と卓上ギロチンカッターでシートを裁断した際の粉落ちを目視で観察し、次の基準で評価した。
【0109】
○:手に無機粒子が付着しないし、裁断しても粉落ちしない。
△:手に無機粒子がうっすらと付着し、10枚以上裁断すると、粉落ちが見られる。
×;手に無機粒子が付着し、裁断すると、粉落ちが見られる。
【0110】
<柔軟性>
上記の壁紙裏打ち用耐火シートを塗工後、コーターのリーラーで外周直径10cmの紙管に巻き付けた際に、シートの様子を目視で観察し、次の基準で評価した。
【0111】
○:紙管にきれいに巻き付けることができる。
△:紙管の巻き付け直後、シートが紙管外周から多少浮き気味、もしくはシワが見られるが、しばらくするときれいに巻くことができる。
×:紙管にきれいに巻き付けることができず、大きな浮きや割れやシワが発生する。
【0112】
<無機粒子層の繊維表面の被覆>
壁紙裏打ち用耐火シートの無機粒子層が繊維の表面を被覆しているかどうかの評価は、SEM観察によって、次の基準で評価した。
【0113】
○:無機粒子層が繊維の表面を被覆している。
×:無機粒子層が繊維の表面を被覆していない。
【0114】
【0115】
表2に示した通り、実施例1~9で作製した壁紙裏打ち用耐火シートは、基材と無機粒子層とを含有し、該基材がガラス繊維と湿熱接着性バインダー繊維とフィブリル化耐熱性繊維を含有し、該無機粒子層が無機粒子と無機バインダーを含有し、且つ、該無機粒子層が、該基材に含有される繊維の表面を被覆している。ガラス繊維とフィブリル化耐熱性繊維が緻密に絡み合い、その絡み合った交点を湿熱接着性バインダー繊維が固定するため、湿潤引張強度が強くなり、無機粒子層形成用塗工液を塗工しても、断紙等が発生することがほとんどなかった。また、実施例1~9で作製した壁紙裏打ち用耐火シートは、耐火性と不燃性に優れていた。さらに、ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面の平坦性が良好で、無機粒子層からの粉落ちが少なく、柔軟性に優れていた。
【0116】
実施例1と実施例9を比較すると、湿熱接着性バインダー繊維として、シラノール変性ポリビニルアルコール繊維を使用することで、湿潤引張強度はさらに良化し、無機粒子層の塗工性が向上することが判った。
【0117】
実施例1と実施例2を比較すると、フィブリル化耐熱性繊維の変法濾水度を低くすると、ガラス繊維とフィブリル化耐熱性繊維の絡み合いが増加するため、湿潤引張強度が向上し、シートのコア部のレベル差Skが小さくなった。
【0118】
実施例2と実施例3と実施例5を比較すると、フィブリル化耐熱性繊維の含有率が2質量%を下回ると、ガラス繊維とフィブリル化耐熱性繊維の絡み合いが低下するため、基材が厚くなり、無機粒子層の塗工性は問題ないものの、湿潤引張強度が低下した。また、フィブリル化耐熱性繊維の含有率が減少するほど、Skが大きくなり、ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面は徐々に凹凸が見られるようになった。
【0119】
実施例1と実施例4と実施例6を比較すると、フィブリル化耐熱性繊維が増加するほど、Skが小さくなった。しかし、無機粒子層からの粉落ちが見られた。
【0120】
実施例1と実施例8を比較すると、無機粒子層を基材表面に表面塗工方式で塗工した方が、Skは小さくなった。しかし、耐火シートが硬くなり、コーターのリーラーで巻きにくくなった。
【0121】
比較例1の壁紙裏打ち用耐火シートは、フィブリル化耐熱性繊維を含まない場合であるが、湿潤引張強度が低く、無機粒子層形成用塗工液を塗工する際に断紙等が発生した。750℃の加熱電気炉に挿入した際、表面が一瞬発火し、不燃性が不十分であった。また、Sk値が大きくなり、発泡ポリ塩化ビニル樹脂塗工表面に凹凸が見られた。また、粉落ちは発生しやすくなり、シートが硬くなり、コーターのリーラーで巻きにくくなった。
【0122】
比較例2の壁紙裏打ち用耐火シートは、湿熱接着性バインダー繊維を含まない場合であるが、引張強度と湿潤引張強度が共に低下したため、無機粒子層形成用塗工液を塗工する際に断紙等が発生した。また、Skが小さくなるが、粉落ちしやすくなった。
【0123】
比較例3と比較例4は、セルロース繊維を含む場合であるが、750℃の加熱電気炉に挿入した際、表面が一瞬発火し、不燃性が不十分であった。また、比較例3はフィブリル化繊維を含まないため、湿潤引張強度が低下し、無機粒子層形成用塗工液を塗工する際に断紙等が発生した。
【0124】
比較例5の壁紙裏打ち用耐火シートは、無機粒子層に有機系バインダーを使用した場合であるが、750℃の加熱電気炉に挿入した際、表面が発火し、不燃性が不十分であった。
【0125】
実施例3と実施例5を比較すると、Skが55μm以下である場合、発泡塩化ビニル樹脂塗工表面の平坦性が良好になることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の壁紙裏打ち用耐火シートは、家屋等に使用される内装用の壁紙裏打ち用シートに関するものであり、発泡ポリ塩化ビニル(発泡塩ビゾル)塗工の壁紙裏打ち用シートに好適に使用できる。