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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20231101BHJP
   H02M 7/493 20070101ALI20231101BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02M7/493
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020130439
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022026811
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390029089
【氏名又は名称】高周波熱錬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】金井 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 春樹
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-118693(JP,A)
【文献】特開平11-235056(JP,A)
【文献】特開2003-257516(JP,A)
【文献】特開2018-133864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 7/493
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の交流電流を出力する第1の出力部と、
第2の交流電流を出力する第2の出力部と、
前記第1の交流電流と前記第2の交流電流を合成する電流合成部と、
を備え、
前記電流合成部は、
第1のブスバーと、
第2のブスバーと、
前記第1のブスバーの第1面に溶接され、前記第1の出力部に接続された第1の導電部材と、
前記第1のブスバーの第2面に溶接され、前記第2のブスバーを貫通し、前記第2の出力部に接続された第2の導電部材と、
前記第2のブスバーの第1面に溶接され、前記第2の出力部に接続された第3の導電部材と、
前記第2のブスバーの第2面に溶接され、前記第1のブスバーを貫通し、前記第1の出力部に接続された第4の導電部材と、
を有し、
前記第1のブスバーの第2面は前記第2のブスバーの第2面に対向している電源装置。
【請求項2】
前記第1のブスバー及び前記第2のブスバーが積層された方向から見て、前記第1の導電部材は前記第2の導電部材と重なり、前記第3の導電部材は前記第4の導電部材と重なる請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記電流合成部は、
第1の絶縁部材と、
第2の絶縁部材と、
をさらに有し、
前記第1のブスバーには第1の孔が形成されており、
前記第1の絶縁部材は前記第1の孔内に配置されており、
前記第1の絶縁部材には第2の孔が形成されており、
前記第2のブスバーには第3の孔が形成されており、
前記第2の絶縁部材は前記第3の孔内に配置されており、
前記第2の絶縁部材には第4の孔が形成されており、
前記第2の導電部材は前記第4の孔を貫通しており、
前記第4の導電部材は前記第2の孔を貫通している請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
第1の交流電流を出力する第1の出力部と、
第2の交流電流を出力する第2の出力部と、
前記第1の交流電流と前記第2の交流電流を合成する電流合成部と、
を備え、
前記電流合成部は、
第1のブスバーと、
第2のブスバーと、
前記第1のブスバー及び前記第2のブスバーを貫通し、前記第1のブスバー、前記第1の出力部及び前記第2の出力部に接続された第1の導電部材と、
前記第1のブスバー及び前記第2のブスバーを貫通し、前記第2のブスバー、前記第1の出力部及び前記第2の出力部に接続された第2の導電部材と、
を有した電源装置。
【請求項5】
前記電流合成部は、
第1の絶縁部材と、
第2の絶縁部材と、
をさらに有し、
前記第1のブスバーには第1の孔及び第2の孔が形成されており、
前記第1の絶縁部材は前記第1の孔内に配置されており、
前記第1の絶縁部材には第3の孔が形成されており、
前記第2のブスバーには第4の孔及び第5の孔が形成されており、
前記第2の絶縁部材は前記第4の孔内に配置されており、
前記第2の絶縁部材には第6の孔が形成されており、
前記第1の導電部材は前記第2の孔及び前記第3の孔を貫通しており、
前記第2の導電部材は前記第5の孔及び前記第6の孔を貫通している請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記電流合成部は、
前記第1のブスバーと前記第1の出力部との間の電流経路、及び、前記第2のブスバーと前記第1の出力部との間の電流経路にインダクタンスを付加する第1のインダクタンス調整部と、
前記第1のブスバーと前記第2の出力部との間の電流経路、及び、前記第2のブスバーと前記第2の出力部との間の電流経路にインダクタンスを付加する第2のインダクタンス調整部と、
をさらに有した請求項1~5のいずれか1つに記載の電源装置。
【請求項7】
前記第1のブスバー及び前記第2のブスバーが積層された方向において、前記第1のブスバー及び前記第2のブスバーは、前記第1の出力部と前記第2の出力部との間に配置されている請求項1~6のいずれか1つに記載の電源装置。
【請求項8】
前記第1のブスバー及び前記第2のブスバーが積層された方向から見て、前記第1の出力部は前記第2の出力部と重なる請求項1~7のいずれか1つに記載の電源装置。
【請求項9】
第3の交流電流を出力する第3の出力部と、
第4の交流電流を出力する第4の出力部と、
をさらに備え、
前記電流合成部は、前記第3の交流電流及び前記第4の交流電流を前記第1の交流電流及び前記第2の交流電流に合成し、
前記第1のブスバー及び前記第2のブスバーが積層された方向から見て、前記第3の出力部は前記第4の出力部と重なり、
前記第1のブスバー及び前記第2のブスバーが延びる方向から見て、前記第1の出力部は前記第3の出力部と重なり、前記第2の出力部は前記第4の出力部と重なる請求項8に記載の電源装置。
【請求項10】
前記第1のブスバー及び前記第2のブスバーは、誘導加熱装置の整合部に接続される請求項1~9のいずれか1つに記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導加熱装置には、大電流の高周波電力を供給する電源装置が必要とされる。電源装置がより大きな電流を出力するためには、複数のパワー半導体を使用した複数の出力回路を並列に接続することが有効である。一方、高周波の大電流を流す導体は、インダクタンスを低減しようとすると、配置が制約される。このため、出力回路を複数設けると、電源装置が大型化するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6251838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の目的は、小型化が可能な電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に係る電源装置は、第1の交流電流を出力する第1の出力部と、第2の交流電流を出力する第2の出力部と、前記第1の交流電流と前記第2の交流電流を合成する電流合成部と、を備える。前記電流合成部は、第1のブスバーと、第2のブスバーと、第1の導電部材と、第2の導電部材と、第3の導電部材と、第4の導電部材と、を有する。前記第1の導電部材は、前記第1のブスバーの第1面に溶接され、前記第1の出力部に接続されている。前記第2の導電部材は、前記第1のブスバーの第2面に溶接され、前記第2のブスバーを貫通し、前記第2の出力部に接続されている。前記第3の導電部材は、前記第2のブスバーの第1面に溶接され、前記第2の出力部に接続されている。前記第4の導電部材は、前記第2のブスバーの第2面に溶接され、前記第1のブスバーを貫通し、前記第1の出力部に接続されている。前記第1のブスバーの第2面は前記第2のブスバーの第2面に対向している。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、小型化が可能な電源装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る電源装置を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態における1つの出力部を示す回路図である。
図3】第1の実施形態に係る電源装置のインバータ部及び電流合成部の各構成要素の位置関係を示す図である。
図4】第1の実施形態における導体部の一部を示す斜視図である。
図5】第1の実施形態における導体部の一部を示す断面図である。
図6】(a)及び(b)は、第1の実施形態におけるインダクタンス調整部を示す断面図である。
図7】第2の実施形態に係る電源装置のインバータ部及び電流合成部の各構成要素の位置関係を示す図である。
図8】第2の実施形態における導体部の一部を示す斜視図である。
図9】第2の実施形態における導体部の一部を示す断面図である。
図10】第2の実施形態における導体部の一部を示す斜視分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る電源装置を示すブロック図である。
本実施形態に係る電源装置1は、例えば、誘導加熱装置の電源である。
【0009】
図1に示すように、本実施形態に係る電源装置1においては、コンバータ部10、インバータ部20、及び、電流合成部30が設けられている。コンバータ部10は、外部電源、例えば、商用の交流電源100に接続される。電流合成部30は、外部負荷200に接続される。電源装置1が誘導加熱装置の電源として使用される場合は、外部負荷200は誘導加熱装置の整合部である。なお、本明細書において、「接続」とは電気的な接続を意味する。
【0010】
コンバータ部10は、交流電源100から供給された交流電流を直流電流に変換して、インバータ部20に出力する。コンバータ部10には、例えば、交流電流を整流するサイリスタ又はダイオードと、整流された電流を平滑化するコンデンサが設けられている。
【0011】
インバータ部20は、コンバータ部10から供給された直流電流を任意の周波数の交流電流に変換して、電流合成部30に出力する。インバータ部20においては、例えば4つの出力部21~24が設けられており、相互に並列に接続されている。但し、出力部の数は4には限定されない。出力部21~24の構成は、相互に同じである。以下、出力部21を例に挙げて、その構成を説明する。
【0012】
図2は、本実施形態における1つの出力部を示す回路図である。
図2に示すように、出力部21においては、4つのパワー半導体素子Q1~Q4が設けられている。パワー半導体素子Q1~Q4は、2水準の電位が入力され、外部から入力される制御信号に基づいて、出力電位を切り替えることができるスイッチング素子であり、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor:金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)である。パワー半導体素子Q1~Q4のそれぞれには、還流ダイオードDが並列に接続されている。
【0013】
出力部21において、パワー半導体素子Q1~Q4はフルブリッジ回路を構成している。すなわち、出力部21には、コンバータ部10から直流電流が入力される高電位側端子21H及び低電位側端子21Lと、電流合成部30に対して交流電流を出力するU端子21U及びV端子21Vが設けられている。そして、パワー半導体素子Q1及びQ2は高電位側端子21Hと低電位側端子21Lとの間に直列に接続されており、パワー半導体素子Q3及びQ4も高電位側端子21Hと低電位側端子21Lとの間に直列に接続されている。
【0014】
パワー半導体素子Q1とパワー半導体素子Q2とのノードN1はU端子21Uに接続されており、パワー半導体素子Q3とパワー半導体素子Q4とのノードN2はV端子21Vに接続されている。パワー半導体素子Q1~Q4のゲートには、外部から制御信号が入力される。これにより、パワー半導体素子Q1及びQ4がオンとなり、パワー半導体素子Q2及びQ3がオフとなる状態と、パワー半導体素子Q2及びQ3がオンとなり、パワー半導体素子Q1及びQ4がオフとなる状態とを交互に繰り返すことにより、U端子21U及びV端子21Vから交流電流が出力される。
【0015】
電流合成部30は、インバータ部20の出力部21~24(以下、総称して単に「出力部」ともいう)からそれぞれ出力された交流電流を合成する。図1に示すように、電流合成部30においては、インダクタンス調整部31~34と、導体部35が設けられている。導体部35は、出力部21のU端子21U及びV端子21Vに接続されており、出力部21から出力された交流電流が入力される。同様に、導体部35には、出力部22、23、24からそれぞれ出力された交流電流が入力される。
【0016】
インダクタンス調整部31は、出力部21と導体部35との間の電流経路CP21に介在している。インダクタンス調整部32は、出力部22と導体部35との間の電流経路CP22に介在している。インダクタンス調整部33は、出力部23と導体部35との間の電流経路CP23に介在している。インダクタンス調整部34は、出力部24と導体部35との間の電流経路CP24に介在している。
【0017】
図3は、本実施形態に係る電源装置のインバータ部及び電流合成部の各構成要素の位置関係を示す図である。
図4は、本実施形態における導体部の一部を示す斜視図である。
図5は、本実施形態における導体部の一部を示す断面図である。
【0018】
図3図5に示すように、導体部35においては、一対のブスバー36U及び36Vが設けられている。ブスバー36U及び36V(以下、総称して単に「ブスバー」ともいう)は、銅等の高導電率の金属材料からなり、その形状は帯状である。ブスバー36U及び36Vの厚さは例えば3mm前後、幅は例えば200mm前後であり、一方向、例えば、鉛直(長さ)方向に延びている。長さは例えば2000mm前後である。ブスバー36Uの主面は、第1面36U1及び第2面36U2である。ブスバー36Vの主面は、第1面36V1及び第2面36V2である。ブスバー36Uの第2面36U2はブスバー36Vの第2面36V2に対向している。ブスバー36U及び36Vは、外部負荷200、例えば、誘導加熱装置の整合部に接続される。
【0019】
一対のブスバー36U及び36Vは、絶縁シート50の両面に積層されている。すなわち、絶縁シート50は、ブスバー36Uとブスバー36Vの間に配置されており、ブスバー36Uの第2面36U2及びブスバー36Vの第2面36V2に接している。これにより、ブスバー36Uとブスバー36Vは、一定の距離を隔てて相互に絶縁されつつ、十分に近い位置に配置されることにより、インダクタンスの発生が抑制される。絶縁シート50は、例えば、エポキシガラス又はテフロン(登録商標、ポリテトラフルオロエチレン)等の絶縁性材料により形成されている。絶縁シート50の幅及び長さは、ブスバー36U及び36Vの幅及び長さよりも広く、絶縁シート50の幅方向及び長さ方向の両側部は、ブスバー36U及び36Vの幅方向及び長さ方向の両端縁からはみ出している。これにより、ブスバー36Uとブスバー36Vとの間の沿面距離が長くなり、ブスバー36Uとブスバー36Vとが確実に絶縁される。絶縁シート50の厚さは例えば2mm前後である。
【0020】
また、導体部35においては、導電部材として、4対の導電部材37U1及び37U2、37V1及び37V2、38U1及び38U2、38V1及び38V2が設けられている。ブスバー36U及び36Vの積層方向から見て、導電部材37U1は導電部材37U2と重なり、導電部材37V1は導電部材37V2と重なり、導電部材38U1は導電部材38U2と重なり、導電部材38V1は導電部材38V2と重なっている。導電部材37U1及び37U2、37V1及び37V2、38U1及び38U2、38V1及び38V2(以下、総称して単に「導電部材」ともいう)は、例えば銅により形成されている。
【0021】
導電部材37U1の一方の端部は、ブスバー36Uの第1面36U1に溶接されている。導電部材37U2の一方の端部は、ブスバー36Uの第2面36U2に溶接されている。導電部材37V1の一方の端部は、ブスバー36Vの第2面36V2に溶接されている。導電部材37V2の一方の端部は、ブスバー36Vの第1面36V1に溶接されている。これにより、各ブスバーと各導電部材との接触部分の少なくとも一部には、溶接部Wが形成されている。
【0022】
更に、導体部35においては、4対の枝ブスバー41U及び41V、42U及び42V、43U及び43V、44U及び44Vが設けられている。枝ブスバー41U及び41V、42U及び42V、43U及び43V、44U及び44V(以下、総称して単に「枝ブスバー」ともいう)の形状は、例えば、一端部がL字形に屈曲した帯状である。
【0023】
枝ブスバー41Uは導電部材37U1の他方の端部に連結されている。これにより、枝ブスバー41Uは導電部材37U1を介してブスバー36Uに接続されている。枝ブスバー41Vは導電部材37V1の他方の端部に連結されている。これにより、枝ブスバー41Vは導電部材37V1を介してブスバー36Vに接続されている。枝ブスバー42Uは導電部材37U2の他方の端部に連結されている。これにより、枝ブスバー42Uは導電部材37U2を介してブスバー36Uに接続されている。枝ブスバー42Vは導電部材37V2の他方の端部に連結されている。これにより、枝ブスバー42Vは導電部材37V2を介してブスバー36Vに接続されている。
【0024】
同様に、枝ブスバー43Uは導電部材38U1を介してブスバー36Uに接続されている。枝ブスバー43Vは導電部材38V1を介してブスバー36Vに接続されている。枝ブスバー44Uは導電部材38U2を介してブスバー36Uに接続されている。枝ブスバー44Vは導電部材38V2を介してブスバー36Vに接続されている。各枝ブスバーと各導電部材は、ネジ60によって連結されていてもよく、溶接されていてもよく、それ以外の手段によって連結されていてもよい。
【0025】
対をなす枝ブスバー41Uと枝ブスバー41Vとの間には、絶縁シート51が設けられている。枝ブスバー41Uと枝ブスバー41Vは、絶縁シート51の両側に積層されており、これにより、一定の距離を維持しつつ相互に絶縁されている。絶縁シート51の幅及び長さは、枝ブスバー41U及び41Vの幅及び長さよりも広く、絶縁シート51の幅方向及び長さ方向の両側部は、枝ブスバー41U及び41Vの幅方向及び長さ方向の両端縁からはみ出している。これにより、枝ブスバー41Uと枝ブスバー41Vとの間の沿面距離を増加させ、枝ブスバー41Uと枝ブスバー41Vとを確実に絶縁している。絶縁シート51の厚さは例えば2mm前後である。
【0026】
同様に、対をなす枝ブスバー42Uと枝ブスバー42Vとの間には、絶縁シート52が設けられており、対をなす枝ブスバー43Uと枝ブスバー43Vとの間には、絶縁シート53(図6(b)参照)が設けられており、対をなす枝ブスバー44Uと枝ブスバー44Vとの間には、絶縁シート(図示せず)が設けられている。これらの絶縁シートも、絶縁シート50と同様に、例えば、エポキシガラス又はテフロン(登録商標)等の絶縁性材料により形成されている。
【0027】
以下、ブスバー36U及び36Vと、枝ブスバー41U及び41V、42U及び42Vとの接続部分の機械的な構成について説明する。ブスバー36U及び36Vと、枝ブスバー43U及び43V、44U及び44Vとの接続部分の機械的な構成についても、以下の説明と同様である。
【0028】
絶縁シート50には、孔50a及び孔50bが形成されている。孔50a及び50bは円形であり、絶縁シート50を厚さ方向に貫通している。絶縁シート50の孔50a及び50bの直径は、導電部材の外径よりも僅かに大きい。
【0029】
ブスバー36Uには、孔36Uaが形成されている。孔36Uaは円形であり、ブスバー36Uを厚さ方向に貫通している。孔36Uaの直径は、導電部材の外径よりも大きい。ブスバー36Vには、孔36Vaが形成されている。孔36Vaは円形であり、ブスバー36Vを厚さ方向に貫通している。孔36Vaの直径は、導電部材の外径よりも大きい。ブスバー36Uの孔36Uaの直径は、ブスバー36Vの孔36Vaの直径と略等しい。
【0030】
ブスバー36Uの孔36Ua内には、絶縁部材として、環状の絶縁ワッシャー56が設けられている。絶縁ワッシャー56の中央部には、孔56aが形成されている。導電部材37V1は、絶縁シート50の孔50a及び絶縁ワッシャー56の孔56aを貫通している。これにより、導電部材37V1はブスバー36Uから絶縁されている。
【0031】
ブスバー36Vの孔36Va内には、絶縁部材として、環状の絶縁ワッシャー57が設けられている。絶縁ワッシャー57の中央部には、孔57aが形成されている。導電部材37U2は、絶縁シート50の孔50b及び絶縁ワッシャー57の孔57aを貫通している。これにより、導電部材37U2はブスバー36Vから絶縁されている。絶縁ワッシャー56及び57は、例えば、エポキシガラス又はテフロン(登録商標)等の絶縁性材料により形成されている。
【0032】
このようにして、ブスバー36Uは、枝ブスバー41U及び枝ブスバー42Uに接続されている。一方、ブスバー36Uは、絶縁シート50によってブスバー36Vから絶縁されており、絶縁ワッシャー56によって導電部材37V1から絶縁されている。また、ブスバー36Vは、枝ブスバー42V及び枝ブスバー41Vに接続されている。一方、ブスバー36Vは、絶縁シート50によってブスバー36Uから絶縁されており、絶縁ワッシャー57によって導電部材37U2から絶縁されている。
【0033】
この結果、導電部材37U1及び37U2を介して、ブスバー36U及び36Vの積層方向の両側にU端子を取り出すことができると共に、導電部材37V1及び37V2を介して、ブスバー36U及び36Vの積層方向の両側にV端子を取り出すことができる。この結果、ブスバー36U及び36Vの積層方向の両側に出力部21及び出力部22を配置することができる。このとき、ブスバー36U及び36Vの積層方向において、ブスバー36U及び36Vは、出力部21と出力部22との間に配置される。
【0034】
例えば、出力部21と出力部22は、ブスバー36U及び36Vを挟み、絶縁シート50に関して対称な位置に配置することができる。この場合、出力部21から外部負荷200(例えば、誘導加熱装置の整合部)までの電流経路CP21の長さと、出力部22から外部負荷200までの電流経路CP22の長さを等しくし、電流経路CP21のインダクタンスと電流経路CP22のインダクタンスを略等しくすることができる。
【0035】
同様な構成により、導電部材38U1及び38U2を介して、ブスバー36U及び36Vの積層方向の両側にU端子を取り出すことができると共に、導電部材38V1及び38V2を介して、ブスバー36U及び36Vの積層方向の両側にV端子を取り出すことができる。この結果、ブスバー36U及び36Vの積層方向の両側に出力部23及び出力部24を配置することができる。このとき、ブスバー36U及び36Vの積層方向において、ブスバー36U及び36Vは、出力部23と出力部24との間に配置される。
【0036】
例えば、出力部23と出力部24は、ブスバー36U及び36Vを挟み、絶縁シート50に関して対称な位置に配置することができる。この場合、出力部23から外部負荷200までの電流経路CP23の長さと、出力部24から外部負荷200までの電流経路CP24の長さを等しくし、電流経路CP23のインダクタンスと電流経路CP24のインダクタンスを略等しくすることができる。
【0037】
例えば、出力部21~24は、ブスバー36Uの幅方向から見て、2行2列のマトリクス状に配置することができる。この場合、ブスバー36U及び36Vの積層方向から見て、出力部21は出力部22と重なり、出力部23は出力部24と重なる。また、ブスバー36U及び36Vが延びる方向、例えば、鉛直方向から見て、出力部21は出力部23と重なり、出力部22は出力部24と重なる。
【0038】
上述の如く、本実施形態においては、出力部21から外部負荷200までの電流経路CP21の長さと、出力部22から外部負荷200までの電流経路CP22の長さを、実質的に等しくすることができる。これにより、これらの電流経路のインダクタンスを実質的に等しくすることができる。また、出力部23から外部負荷200までの電流経路CP23の長さと、出力部24から外部負荷200までの電流経路CP24の長さを、実質的に等しくすることができる。これにより、これらの電流経路のインダクタンスを実質的に等しくすることができる。但し、図3に示すように、出力部23から外部負荷200までの電流経路CP23は、出力部21から外部負荷200までの電流経路CP21に対して、距離Lだけ長く、その分、インダクタンスが大きい。
【0039】
このため、本実施形態においては、各出力部から外部負荷200までの電流経路のインダクタンスを揃えるために、出力部21~24とブスバー36U及び36Vとの間に、インダクタンス調整部31~34をそれぞれ設けている。例えば、電流経路CP21及び電流経路CP22に、距離Lに相当するインダクタンスを付加して、これらの電流経路のインダクタンスを、電流経路CP23のインダクタンス及び電流経路CP24のインダクタンスと略等しくする。これにより、各出力部に流れる電流を均等にし、各出力部の負担を均等にする。この結果、各出力部の発熱量も均一化し、特定の出力部の寿命が著しく短くなることを回避できる。また、電流経路CP21~CP24のインダクタンスを相互に等しくすることにより、各出力部から出力される高周波電流の位相を揃え、損失を抑制することができる。
【0040】
図6(a)及び(b)は、本実施形態におけるインダクタンス調整部を示す断面図である。
図6(a)に示すように、インダクタンス調整部31においては、枝ブスバー41U、絶縁シート51及び枝ブスバー41Vからなる積層体66が設けられている。枝ブスバー41Uと枝ブスバー41Vとは、絶縁シート51の厚さt1だけ離れている。インダクタンス調整部32の構成は、インダクタンス調整部31の構成と同様である。
図6(b)に示すように、インダクタンス調整部33においては、枝ブスバー43U、絶縁シート53及び枝ブスバー43Vからなる積層体67が設けられている。枝ブスバー43Uと枝ブスバー43Vとは、絶縁シート53の厚さt2だけ離れている。厚さt2は厚さt1よりも小さい。インダクタンス調整部34の構成は、インダクタンス調整部33の構成と同様である。
【0041】
絶縁シートが厚いほど、その両側に配置した枝ブスバーに印加されるインダクタンスが大きくなる。このため、インダクタンス調整部31が枝ブスバー41U及び41Vに付加するインダクタンスは、インダクタンス調整部33が枝ブスバー43U及び43Vに付加するインダクタンスよりも大きい。したがって、インダクタンス調整部31が電流経路CP21に付加するインダクタンス、及び、インダクタンス調整部32が電流経路CP22に付加するインダクタンスは、インダクタンス調整部33が電流経路CP23に付加するインダクタンス、及び、インダクタンス調整部34が電流経路CP24に付加するインダクタンスよりも大きい。このようにして、インダクタンス調整部31~34により、電流経路の長さの違いを補償し、電流経路CP21~CP24のインダクタンスを均等化することができる。
【0042】
また、積層体66の周囲には、一対のコア部材68a及び68bが設けられており、積層体67の周囲にも、一対のコア部材68a及び68bが設けられている。コア部材68a及び68bは、例えば、磁性体により形成されており、その形状は半環状である。積層体66の周囲に配置されたコア部材68aとコア部材68bは、距離L1だけ離れている。積層体67の周囲に配置されたコア部材68aとコア部材68bは、距離L2だけ離れている。距離L2は距離L1よりも短い。コア部材68a及び68bを設けることにより、対をなす枝ブスバー41Uと枝ブスバー41Vとの間の電流のばらつき、及び、対をなす枝ブスバー43Uと43Vとの間の電流のばらつきを抑制することができる。なお、コア部材68aとコア部材68bとを繋ぐコア部材を設けてもよい。
【0043】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る電源装置1においては、各ブスバーの両面に導電部材を溶接することにより、一対のブスバー36U及び36Vから、ブスバー36U及び36Vの積層方向の両側にU端子及びV端子を取り出すことができる。この結果、ブスバー36U及び36Vの積層方向の両側に一対の出力部21及び22を配置し、単純な電流経路により、これらの一対の出力部21及び22をブスバー36U及び36Vの双方に接続することができる。このため、複数の出力部を設けても、電源装置1の小型化が可能である。
【0044】
図3に示すように、電源装置1においては、4つの出力部21~24を設け、ブスバー36U及び36Vの積層方向の両側に2つずつ配置すると共に、鉛直方向に2段に配置することができる。これにより、電源装置1の設置面積を抑制しつつ、電源装置1の高さも抑制することができる。電源装置1を誘導加熱装置の電源として工場内に設置する場合は、設置面積が制約される場合が多く、また、高さも制限されることがある。本実施形態に係る電源装置1は、このような場合でも、特段の処置を講じることなく、設置が可能である。
【0045】
これに対して、ブスバーの両側に端子を取り出せないと、ブスバー36Uからはブスバー36Vの反対側にU端子を取り出し、ブスバー36Vからはブスバー36Uの反対側にV端子を取り出すことになる。この場合は、U端子とV端子が相互に逆方向に取り出されるため、電流経路の構成が複雑になる。高周波の大電流を流すためには、電流経路の全長にわたって断面積を一定値以上に維持する必要があるため、ブスバーを繋げて電流経路を構成する。また、ブスバー間のインダクタンスを抑制するために、U相のブスバーとV相のブスバーは相互に絶縁しつつも可及的に近い位置に配置する必要がある。さらに、高周波電流の損失を抑制するために、電流経路の屈曲は少ない方が好ましい。以上の要件を満たすように電流経路を構成しようとすると、出力部の配置が制約されてしまい、電源装置内にデッドスペースが発生し、小型化が困難になる。
【0046】
また、電源装置1においては、出力部21から外部負荷200までの電流経路CP21の長さと、出力部22から外部負荷200までの電流経路CP22の長さが、略同じであるため、インダクタンス調整部31の構成とインダクタンス調整部32の構成を同じにすることができる。また、出力部23から外部負荷200までの電流経路CP23の長さと、出力部24から外部負荷200までの電流経路CP24の長さが、略同じであるため、インダクタンス調整部33の構成とインダクタンス調整部34の構成を同じにすることができる。これにより、インダクタンス調整部の部品を共通化し、コストを低減できる。これに対して、各出力部から外部負荷までの電流経路の長さが相互に異なっていると、インダクタンス調整部が付加するインダクタンスを相互に異ならせる必要があるため、部品の共通化が困難である。
【0047】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図7は、本実施形態に係る電源装置のインバータ部及び電流合成部の各構成要素の位置関係を示す図である。
図8は、本実施形態における導体部の一部を示す斜視図である。
図9は、本実施形態における導体部の一部を示す断面図である。
図10は、本実施形態における導体部の一部を示す斜視分解図である。
【0048】
図7図10に示すように、本実施形態に係る電源装置2は、第1の実施形態に係る電源装置1(図1図6参照)と比較して、電流合成部30の導体部35の機械的な構成が異なっている。本実施形態における各ブスバーと各枝ブスバーとの電気的な接続関係は、第1の実施形態と同様である。
【0049】
電源装置2の導体部35においては、2対の導電部材37U及び37V、38U及び38V(以下、総称して単に「導電部材」ともいう)が設けられている。また、導体部35においては、第1の実施形態と同様に、4対の枝ブスバー41U及び41V、42U及び42V、43U及び43V、44U及び44Vが設けられている。なお、図10においては、枝ブスバーは図示を省略している。
【0050】
枝ブスバー41Uは、ブスバー36Uに接続されている。枝ブスバー41Vは、導電部材37Vを介してブスバー36Vに接続されている。枝ブスバー42Uは、導電部材37Uを介してブスバー36Uに接続されている。枝ブスバー42Vは、ブスバー36Vに接続されている。枝ブスバー43Uは、ブスバー36Uに接続されている。枝ブスバー43Vは、導電部材38Vを介してブスバー36Vに接続されている。枝ブスバー44Uは、導電部材38Uを介してブスバー36Uに接続されている。枝ブスバー44Vは、ブスバー36Vに接続されている。
【0051】
本実施形態においては、4つの出力部21~24に対して、2対の導電部材37U及び37V、38U及び38Vと、4対の枝ブスバー41U及び41V、42U及び42V、43U及び43V、44U及び44Vが設けられている。より一般的に表現すると、出力部の数がn(nは2以上の偶数)であるとき、導電部材は(n/2)対設けられており、枝ブスバーはn対設けられている。また、出力部の数がm(mは3以上の奇数)であるとき、導電部材は{(m+1)/2}対設けられており、枝ブスバーはm対設けられている。
【0052】
以下、ブスバー36U及び36Vと、枝ブスバー41U及び41V、42U及び42Vとの接続部分の機械的な構成について説明する。ブスバー36U及び36Vと、枝ブスバー43U及び43V、44U及び44Vとの接続部分の機械的な構成についても、以下の説明と同様である。
【0053】
ブスバー36Uには、孔36Ua及び孔36Ubが形成されている。孔36Ua及び孔36Ubは円形であり、ブスバー36Uを厚さ方向に貫通している。孔36Uaの直径は、孔36Ubの直径よりも大きい。ブスバー36Vには、孔36Va及び孔36Vbが形成されている。孔36Va及び孔36Vbは円形であり、ブスバー36Vを厚さ方向に貫通している。孔36Vaの直径は、孔36Vbの直径よりも大きい。ブスバー36Uの孔36Uaの直径は、ブスバー36Vの孔36Vaの直径と略等しい。ブスバー36Uの孔36Ubの直径は、ブスバー36Vの孔36Vbの直径と略等しい。
【0054】
絶縁シート50には、孔50a及び孔50bが形成されている。孔50a及び50bは円形であり、絶縁シート50を厚さ方向に貫通している。絶縁シート50の孔50a及び50bの直径は、ブスバー36Uの孔36Ubの直径及びブスバー36Vの孔36Vbの直径と略等しく、導電部材の外径よりも僅かに大きい。
【0055】
ブスバー36Uの孔36Ua内には、絶縁部材として、環状の絶縁ワッシャー56が設けられている。絶縁ワッシャー56の中央部には、孔56aが形成されている。ブスバー36Vの孔36Va内には、絶縁部材として、環状の絶縁ワッシャー57が設けられている。絶縁ワッシャー57の中央部には、孔57aが形成されている。孔56a及び孔57aの直径は、絶縁シート50の孔50a及び50bの直径と略等しく、したがって、導電部材の外径よりも僅かに大きい。
【0056】
ブスバー36Uと枝ブスバー41Vとの間には、絶縁シート58が設けられており、枝ブスバー41Vをブスバー36Uから絶縁している。絶縁シート58には、孔58aが形成されている。ブスバー36Vと枝ブスバー42Uとの間には、絶縁シート59が設けられており、枝ブスバー42Uをブスバー36Vから絶縁している。絶縁シート59には、孔59aが形成されている。孔58a及び孔59aの直径は、絶縁シート50の孔50a及び50bの直径と略等しく、したがって、導電部材の外径よりも僅かに大きい。絶縁ワッシャー56及び57、絶縁シート58及び59も、例えば、エポキシガラス又はテフロン(登録商標)等の絶縁性材料により形成されている。
【0057】
また、枝ブスバー41Uには孔41Uaが形成されており、枝ブスバー41Vには孔41Vaが形成されており、枝ブスバー42Uには孔42Uaが形成されており、枝ブスバー42Vには孔42Vaが形成されている。孔41Ua、孔41Va、孔42Ua、孔42Vaの形状は円形であり、その直径は、導電部材の外径よりも僅かに大きい。
【0058】
ブスバー36U及び36Vの積層方向から見て、枝ブスバー41Vの孔41Va、絶縁シート58の孔58a、絶縁ワッシャー56の孔56a、絶縁シート50の孔50a、ブスバー36Vの孔36Vb、枝ブスバー42Vの孔42Vaは、相互に同じ位置に配置されており、これらの孔を導電部材37Vが貫通している。導電部材37Vの両端部は、一対のナット61a及び61bによってネジ止めされている。一対のナット61a及び61bにより、枝ブスバー41Vと枝ブスバー42Vとは、相互に近づく方向に付勢されている。なお、図10においては、ナット61aは図示を省略されている。
【0059】
これにより、ブスバー36Vは、枝ブスバー42Vの屈曲した端部と接し、枝ブスバー42Vに接続されている。また、ブスバー36Vは、孔36Vbの内面、枝ブスバー42Vの孔42Vaの内面、及び、ナット61bを介して、導電部材37Vに接続されている。導電部材37Vは、ブスバー36Vに溶接されていてもよい。導電部材37Vは、枝ブスバー41Vの孔41Vaの内面、及び、ナット61aを介して、枝ブスバー41Vに接続されている。この結果、ブスバー36Vは、枝ブスバー42V及び枝ブスバー41Vに接続されている。
【0060】
一方、ブスバー36Uは、絶縁シート50によってブスバー36Vから絶縁されており、絶縁ワッシャー56によって導電部材37Vから絶縁されており、絶縁シート58によって枝ブスバー41Vから絶縁されている。このため、ブスバー36Uは枝ブスバー41V及び42Vから絶縁されている。
【0061】
ブスバー36U及び36Vの積層方向から見て、枝ブスバー42Uの孔42Ua、絶縁シート59の孔59a、絶縁ワッシャー57の孔57a、絶縁シート50の孔50b、ブスバー36Uの孔36Ub、枝ブスバー41Uの孔41Uaは、相互に同じ位置に配置されており、これらの孔を導電部材37Uが貫通している。導電部材37Uの両端部は、一対のナット62a及び62bによってネジ止めされている。一対のナット62a及び62bにより、枝ブスバー41Uと枝ブスバー42Uとは、相互に近づく方向に付勢されている。なお、図10においては、ナット62aは図示を省略されている。
【0062】
これにより、ブスバー36Uは、枝ブスバー41Uの屈曲した端部と接し、枝ブスバー41Uに接続されている。また、ブスバー36Uは、孔36Ubの内面、枝ブスバー41Uの孔41Uaの内面、及び、ナット62aを介して、導電部材37Uに接続されている。導電部材37Uは、ブスバー36Uに溶接されていてもよい。導電部材37Uは、枝ブスバー42Uの孔42Uaの内面、及び、ナット62bを介して、枝ブスバー42Uに接続されている。この結果、ブスバー36Uは、枝ブスバー41U及び枝ブスバー42Uに接続されている。
【0063】
一方、ブスバー36Vは、絶縁シート50によってブスバー36Uから絶縁されており、絶縁ワッシャー57によって導電部材37Uから絶縁されており、絶縁シート59によって枝ブスバー42Uから絶縁されている。このため、ブスバー36Uは枝ブスバー41U及び42Uから絶縁されている。
【0064】
このようにして、導電部材37Uを介して、ブスバー36U及び36Vの積層方向の両側にU端子を取り出すことができると共に、導電部材37Vを介して、ブスバー36U及び36Vの積層方向の両側にV端子を取り出すことができる。この結果、ブスバー36U及び36Vの積層方向の両側に出力部21及び出力部22を配置することができる。このとき、ブスバー36U及び36Vの積層方向において、ブスバー36U及び36Vは、出力部21と出力部22との間に配置される。
【0065】
同様な構成により、導電部材38Uを介して、ブスバー36U及び36Vの積層方向の両側にU端子を取り出すことができると共に、導電部材38Vを介して、ブスバー36U及び36Vの積層方向の両側にV端子を取り出すことができる。この結果、ブスバー36U及び36Vの積層方向の両側に出力部23及び出力部24を配置することができる。このとき、ブスバー36U及び36Vの積層方向において、ブスバー36U及び36Vは、出力部23と出力部24との間に配置される。
【0066】
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0067】
前述の各実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、前述の各実施形態において、いくつかの構成要素を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。例えば、電源装置1又は2が高周波電力を供給する外部負荷は誘導加熱装置の整合部には限定されない。また、前述の各実施形態においては、導電部材が丸棒材である例を図示したが、導電部材の形状はこれには限定されない。導電部材は、例えば、両端部にネジが形成されたスタッドボルトであってもよく、他の形状であってもよい。更に、絶縁部材は絶縁ワッシャーには限定されない。更にまた、枝ブスバーの形状は上述の例には限定されない。枝ブスバーと出力部との間に、他の導電部材が接続されていてもよい。
【0068】
本発明は、例えば、高周波の大電流を供給する電源装置に利用可能であり、例えば、誘導加熱装置の電源装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1、2:電源装置
10:コンバータ部
20:インバータ部
21、22、23、24:出力部
21H:高電位側端子
21L:低電位側端子
21U:U端子
21V:V端子
30:電流合成部
31、32、33、34:インダクタンス調整部
35:導体部
36U、36V:ブスバー
36Ua、36Ub、36Va、36Vb:孔
37U、37U1、37U2、37V、37V1、37V2、38U、38U1、38U2、38V、38V1、38V2:導電部材
41U、41V、42U、42V、43U、43V、44U、44V:枝ブスバー
41Ua、41Va、42Ua、42Va:孔
50、51、52、53、54:絶縁シート
50a、50b:孔
56、57:絶縁ワッシャー
56a、57a:孔
58、59:絶縁シート
58a、59a:孔
60:ネジ
61a、61b、62a、62b:ナット
66、67:積層体
68a、68b:コア部材
100:交流電源
200:外部負荷
CP21、CP22、CP23、CP24:電流経路
D:還流ダイオード
L、L1、L2:距離
N1、N2:ノード
Q1、Q2、Q3、Q4:パワー半導体素子
t1、t2:厚さ
W:溶接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10