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特許7377203金属合金および金属合金を含む医療デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】金属合金および金属合金を含む医療デバイス
(51)【国際特許分類】
   C22C 23/00 20060101AFI20231101BHJP
   A61F 2/88 20060101ALI20231101BHJP
   A61L 31/02 20060101ALI20231101BHJP
   A61L 31/06 20060101ALI20231101BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20231101BHJP
   C22F 1/06 20060101ALN20231101BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20231101BHJP
【FI】
C22C23/00
A61F2/88
A61L31/02
A61L31/06
A61L31/14 500
C22F1/06
C22F1/00 613
C22F1/00 630A
C22F1/00 630K
C22F1/00 670
C22F1/00 675
C22F1/00 685Z
C22F1/00 686A
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 691Z
C22F1/00 625
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020533373
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 GB2018052459
(87)【国際公開番号】W WO2019043394
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】1713907.2
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520070725
【氏名又は名称】エム.アー.メド アライアンス ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】ボウ デイヴィッド ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】マクラウド カルム ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ジャンプ ジェフリー
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-534841(JP,A)
【文献】特開平06-025789(JP,A)
【文献】特開2008-220811(JP,A)
【文献】特開2015-186573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 23/00
A61F 2/88
A61L 31/02
A61L 31/06
A61L 31/14
C22F 1/06
C22F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3.2~4.8質量%のリチウム、
0.5~2.0質量%のイットリウム、
150pm以下のFeおよびCa、
500ppm未満の他の全ての希土類金属、および
残りはマグネシウムからなる合金。
【請求項2】
請求項1に記載の合金を備えるか、又は、前記合金から延伸したワイアを備える、移植可能な医療デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の合金から延伸したワイアを備え、円周を有するステントスキャフォールド。
【請求項4】
前記ワイアが、交互の頂部および谷を有する繰返し波形に成形されており、前記繰返し波形が、螺旋状に巻かれて管状構造を形成している、請求項3に記載のステントスキャフォールド。
【請求項5】
前記ワイアが、交互の頂部および谷を有する繰返し波形に成形され、前記波形の少なくとも3つの螺旋状の巻きが存在する、請求項3に記載のステントスキャフォールド。
【請求項6】
前記ワイアが、交互の頂部および谷を有する繰返し波形に成形され、
前記繰返し波形の前記頂部が、前記ステントスキャフォールドの長手方向軸に沿って位置合わせされるか、又は、
前記繰返し波形の前記頂部が、前記ステントスキャフォールドの前記長手方向軸に対して反時計回りの螺旋に位置合わせされるか、又は、
前記繰返し波形の前記頂部が、前記ステントスキャフォールドの前記長手方向軸に対して時計回りの螺旋に位置合わせされる、
請求項3~5のいずれか1項に記載のステントスキャフォールド。
【請求項7】
生体吸収性の脂肪族ポリエステルポリマー層によって少なくとも部分的に被覆される、請求項3~6までのいずれか1項に記載のステントスキャフォールド。
【請求項8】
請求項3~7までのいずれか1項に記載のステントスキャフォールドを備えるステントであって、前記ステントスキャフォールドの少なくとも2つの巻きをつなぐ生体吸収性ポリマーコネクタをさらに備え、内腔を有する、
ステント。
【請求項9】
2つ、3つ、または4つのコネクタを備え、前記コネクタが、前記ステントスキャフォールドの円周の周りに互いに等距離に隔置されている、
請求項8に記載のステント。
【請求項10】
請求項8に記載のステントであって、
第1の組の生体吸収性ポリマーコネクタを更に備え、各コネクタが前記ステントスキャフォールドの少なくとも2つの巻きをつないでおり、各コネクタが、前記第1の組のうちの他の各コネクタの長手方向軸と互いに位置合わせされる長手方向軸を有し、各コネクタの長さが、前記ステントスキャフォールドの長さより小さい、
ステント。
【請求項11】
請求項8に記載のステントであって、
第1の組の生体吸収性ポリマーコネクタを更に備え、各コネクタが前記ステントスキャフォールドの少なくとも2つの巻きをつないでおり、各コネクタが、前記第1の組のうちの他の各コネクタの長手方向軸と互いに同じ螺旋角を有する長手方向軸を有し、各コネクタの長さが、前記ステントスキャフォールドの長さより小さい、
ステント。
【請求項12】
第1および第2の組のコネクタを備え、各組が、前記ステントスキャフォールドの前記円周の周りに等距離に隔置される、請求項10又は11に記載のステント。
【請求項13】
前記ステントのさに沿ってあらゆる断面に少なくとも1つのコネクタが存在し、各コネクタが前記ステントスキャフォールドの少なくとも2つの巻きをつなぐ、請求項10~12までのいずれか1項に記載のステント。
【請求項14】
前記ワイアが直径を有し、前記コネクタが前記ステントスキャフォールドのストラットを部分的に包むように、少なくとも1つのコネクタが前記ステントスキャフォールドに接合され、前記少なくとも1つのコネクタの幅が、前記ワイアの前記直径の100%~500%であり、前記コネクタは、ステントスキャフォールドのストラットと交差する箇所において断面積が低減している、請求項8~13までのいずれか1項に記載のステント。
【請求項15】
少なくとも1つのコネクタが、外部フィンを有する、請求項8~14までのいずれか1項に記載のステント。
【請求項16】
生体吸収性ポリマーコネクタによって長手方向にともに連結された、請求項3~7までのいずれか1項に記載の2つ以上のステントスキャフォールドを備え、内腔を有するステント。
【請求項17】
前記ワイアが直径を有し、前記コネクタが、螺旋状に配置され、各コネクタが、幅を有し、前記コネクタの前記幅が、前記ワイアの前記直径の100%~500%であり、配置後、前記ステントの前記内腔に、前記内腔を進む流体の渦巻き状の流れを引き起こす内部渦巻き状突起が形成される、請求項8~16までのいずれか1項に記載のステント。
【請求項18】
請求項8に記載のステントであって、前記ワイアが、交互の頂部および谷を有する繰返し波形に成形され、前記波形の高さが0.8mm~1.2mmであり、前記ステントスキャフォールドの少なくとも2つの巻きをつなぐ生体吸収性ポリマーコネクタをさらに備え、前記生体吸収性ポリマーが脂肪族ポリエステルであり、前記ステントが、生物活性剤を含む被覆を有する、ステント。
【請求項19】
ハイブリッドステントを作製する方法であって、
3Dプリンタを使用して請求項3~7までのいずれか1項に記載のステントスキャフォールドの表面上へポリマーを押し出し、前記表面上にポリマーコネクタを形成することを含む、
方法。
【請求項20】
前記ステントスキャフォールドが、印刷プロセス中に加熱される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ステントスキャフォールドが、前記3Dプリンタにつながれた回転心棒上へ取り付けられる、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記ステントスキャフォールドが、生体吸収性の脂肪族ポリエステルポリマー層によって少なくとも部分的に被覆され、次に3Dプリンタを使用して前記部分的に被覆されたステントスキャフォールドの前記表面上へポリマーを押し出し、前記表面上にポリマーコネクタを形成する、請求項19~21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記生体吸収性の脂肪族ポリエステルポリマー層が、20ミクロン以下の厚さを有する脂肪族ポリエステルポリマー層である、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、罹患または損傷した組織を治療するための移植可能な医療デバイスでの使用、特に時間とともに身体によって再吸収される一時的な医療デバイスでの使用に好適な新規な合金に関する。本発明はさらに、新規な再吸収可能な医療デバイス、詳細には自然体腔、たとえば動脈血管の進行性狭窄を改善するために使用することができるステントなどのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
動脈硬化症とは、生命維持に必要な臓器および組織の虚血をもたらす動脈血管の狭窄を指す。血液供給が低下すると、心臓の狭窄冠状動脈に対する労作性狭心症などの症状から、上脚および下脚の主幹動脈の狭窄に対する重症虚血肢による下肢の切断につながる。血管の疾患に加えて、食道、胆管、尿管、および気管などの他の身体構造も、疾患、外傷、または先天性欠損によって狭窄または閉塞する可能性がある。
1980年代以降、血管内腔のそのような狭窄は、狭窄血管内腔をその自然な直径まで拡張するカテーテルによる低侵襲性の医療デバイス技術によって治療可能になってきた。最初のカテーテルによるまたは介入性の治療は、バルーン血管形成であり、長い可撓性のカテーテルの端部に位置する高圧のバルーンを狭窄血管内へ挿入し、典型的には810kPa(8気圧)より大きい圧力まで膨張させた。多くの場合、このバルーン圧力によって血管の内膜が切開され、中心内腔をその自然な直径近くまで拡張することが可能になった。この技術は、冠状動脈および末梢血管の両方へのインターベンション、ならびに体内の他の管腔構造に広く採用された。
【0003】
バルーン血管形成の2つの合併症としては、血管の痙攣および/または切開された内膜フラップによる血管の急性閉塞、ならびに機械的損傷から始まる新生内膜組織の増殖による遅発性再狭窄が挙げられる。痙攣または内膜フラップによる急性閉塞の問題は、血管内腔を恒久的に支持する拡張可能ケージであるステントの開発によって改善された。Palmazは、EP0221570Aにおいて、ステントのレーザ切断式溝付きハイポチューブ設計について記載している。ステントの出現は、血管内腔の緊急の機械的支持を提供したが、相当数の患者が、再狭窄と呼ばれる長期的な血管狭窄の再発を経験した。バルーン治療およびステント配置中、血管の内層、すなわち内膜は、ステントの過膨張によって切開されることが多い。血管内膜からの平滑筋細胞が、内腔内で移動して増殖し、瘢痕組織または「新生内膜肥厚」をもたらし、恒久ステント内で血管内腔の狭窄を招く可能性がある。
恒久ステントの表面からの強力な抗増殖薬の局所的送達の使用は、再狭窄の発症を低減させる重要な開発であった。移植後数週間から数か月の期間にわたって放出制御製剤から送達されるシロリムスおよびパクリタキセルなどの薬剤は、ステント治療中の血管損傷に起因する平滑筋細胞の移動および増殖を阻害することが示されている。
【0004】
しかし、恒久ステントによる1つの永続性合併症として、概して移植後1年以降、典型的には抗血小板剤二剤併用療法を停止した後にステント内に閉塞性血栓症または血塊が形成される遅発性ステント血栓症(LST)が挙げられる。LSTにはいくつかの要因が寄与すると考えられる。1つの要因としては、恒久ステントを用いることで、血管内のステントの柔軟性のない機械的特質によって血管の正常な蠕動運動が本質的に失われることが挙げられる。別の要因としては、抗増殖薬を送達するために使用されるポリマーが、完全な血管の回復にとって理想的ではなく、血栓の形成を防止する主要な機構である完全に機能する内皮の形成を阻害することが挙げられる。また、血管壁に対して付着不良の従来のステントからのステントストラットは、後発性のステント内血栓症の形成にとって好ましい環境を生み出す。
恒久ステントによるこれらの慢性合併症を解消する1つの手法としては、一時的なスキャフォールドによって罹患した血管を治療することが挙げられる。そのようなスキャフォールドは、再び開かれたが機械的には障害のある血管へ緊急の機械的支持を提供し、任意選択で抗増殖薬を送達し、次いで身体によって安全に再吸収され、内皮化または回復された局所的な蠕動運動に対する物理的な障害なしに、再造形された自己血管を残す。
【0005】
完全に生体吸収性の血管スキャフォールド(BVS)の開発にはいくつかの手法がある。初期の手法は、ポリ-L-乳酸(PLLA)ポリマーから作られた拡張可能な設計を使用することであった。この手法は、周知の生物学的安全性を有する材料に影響を及ぼすが、PLLAから形成されたステントは、ヤング率、引張り強さ、および塑性変形性が著しく低いという点で、316LVMステンレス鋼、コバルトクロム、またはニチノールなどの従来のステント材料に比べて機械的特質が不十分である。PLLAの限られた機械的特質の結果には、所与のステント設計に対する拡張範囲が非常に限られ、特にステントがプラーク、角形成、曲折などによる先細りした血管または何らかの円筒形でない血管内に配備されたとき、ストラットと壁の付着が不十分になることが含まれる。低い機械的特質は、より細い金属ストラットと同じ方法では血管壁に埋め込むことができないより大きくかさばるストラットによって補償する必要があり、その結果、LSTの形成を好むと考えられる状態になる。
PLLAに基づくステントに伴う別の主要な問題は、吸収時間が非常に長いことであり、処置後2年以上、血栓事象では高い率で3年以上にわたって、ポリマーの断片が血管壁内に保持される。
【0006】
BVSを開発しようとする別の試みは、マグネシウム合金などのいわゆる生体吸収性金属の導入であった(米国特許第6287332号に記載)。これらのステントは、ストラットの埋込みおよびストラットと壁の付着を実現する能力の点で、従来のステンレス鋼ステントのように挙動する。マグネシウム合金は、金属の酸化によって再吸収され、その後、生体内で形成される金属酸化物、金属ハロゲン化合物などは可溶化および代謝される。しかし、生体吸収性マグネシウム合金のステントは、長い吸収時間とあいまって早期ストラット破損を受け、最適以下の臨床結果を招くことが知られている。長い吸収時間は、合金中で不溶性の重金属(希土類)元素が使用され、そのため異物反応が長引くことに関連する。
したがって、米国特許第6287332号は、マグネシウム合金に希土類金属を加えて降伏強さを改善することを提案しているが、生理的水性流体におけるこれらの金属の不十分な可溶性には、吸収時間が延びるという悪影響がある。
【0007】
米国特許第8888841号および米国特許第8986369号は、いかなる希土類元素も含まないMg-Li合金を教示しているが、これらの合金は柱状マイクロ構造を呈し、したがって不十分な機械的特質を呈する。米国特許第8888841号は、一方向に凝固したまたは単結晶のようなマイクロ構造の一部として、希土類元素を実質上含まないMg-Li合金について記載している。この合金は、希土類元素を含有する合金に比べて改善された生物学的安全性を有するはずであるが、正常なまたは石灰化した血管内での反跳に耐える機械的強さを有していない可能性がある。米国特許第8888841号に記載されている合金はまた、金属の分解および再吸収のタイミングおよび均一性に関して柱状マイクロ構造の制限を受ける。生体吸収性インプラントに対する最終段階の分解は、それらの生体適合性の鍵であり、後発性の重症の事象は、分解物の濃度が最後に急上昇することに関連し、それが重度の炎症を伴うことが多く実証されている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、特にストラット破損の減少の点で、医療デバイス、たとえば耐荷重性の医療デバイス、たとえばステントにおいて実用的になるほど十分な機械的強さを有し、かつ好適な生体再吸収プロファイルを有し、たとえば1年未満の期間内に完全に吸収され、それによってホスト血管が完全に回復および再造形することを可能にする、生体適合性の生体吸収性金属合金を提供することである。
【0009】
本発明は、イットリウムおよびその塩が、軟組織インプラント部位から吸収および代謝されるのに十分なほど高い水性流体における可溶性を有しながら、合金に組み込まれたときに降伏強さの十分な改善も可能にすることに注目した。したがって、本発明の目的は、イットリウムを含有する生体適合性の生体吸収性金属合金を提供することである。
さらに、本発明の目的は、微細なポリグレインマイクロ構造を有する生体適合性の生体吸収性金属合金を提供することである。
さらに、本発明の目的は、本発明の生体適合性の生体吸収性金属合金を含むステントなどの医療デバイスを提供することである。
さらに、本発明の目的は、少なくとも1つの生体吸収性ポリマー要素とともに本発明の生体適合性の生体吸収性金属合金から形成されたステントを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明によるステントスキャフォールドを示す図である。
図2】ステントスキャフォールドおよびポリマーコネクタを備える本発明によるステントの概略図である。
図3】本発明によるステントスキャフォールドでの使用に好適な単位波形の詳細を示す図である。
図4】たとえば図2に示す本発明によるステントスキャフォールドで使用するための代替単位波形の詳細を示す図である。
図5】本発明によるステントスキャフォールドで使用するための延長波形を示す図である。
図6】たとえば図2に示す本発明によるステントスキャフォールドで使用するための延長波形の代替実施形態を示す図である。
図7】ステントスキャフォールドの圧縮後の図3による単位波形の詳細を示す図である。
図8】ステントスキャフォールドの拡張後の図3による単位波形の詳細を示す図である。
図9】山および谷がステントスキャフォールドの長手方向軸に位置合わせされるように図6の波形が螺旋状に巻かれている、本発明によるステントスキャフォールドを示す図である。
図10】山および谷が反時計回りの向きを有するように位置合わせされるように図6の波形が巻かれている、ステントスキャフォールドの代替実施形態を示す図である。
図11】山および谷が時計回りの向きを有するように位置合わせされるように図6の波形が巻かれている、ステントスキャフォールドの代替実施形態を示す図である。
図12A】ステントスキャフォールドの長さに沿って2つのコネクタを有する本発明によるステントの一実施形態を示す概略図である。
図12B】側面から見たときの図12Aの実施形態を示す図である。
図13A】上面から見たときの図12Aの実施形態を示す図である。
図13B図13Aの囲み部分内のコネクタの詳細を示す図である。
図14】ステントスキャフォールドの長さに沿って3つのコネクタを有する本発明によるステントの一実施形態を示す概略図である。
図15A】コネクタが螺旋方向を有するように向けられている、本発明によるステントのさらなる実施形態を示す図である。
図15B】側面から見たときの図15Aの実施形態を示す図である。
図16A】コネクタが代替螺旋方向を有するように向けられている、本発明によるステントの代替実施形態を示す図である。
図16B】側面から見たときの図16Aの実施形態を示す図である。
図17】コネクタ部材が各端部で拡大されている、本発明によるステントのさらなる実施形態を示す図である。
図18】コネクタ部材が不連続な長さで設けられている、本発明によるステントのさらなる実施形態を示す図である。
図19】コネクタ部材が不連続であり、螺旋状の向きを有する、本発明によるステントの別の実施形態を示す図である。
図20】2つの連続コネクタを有し、各コネクタが螺旋状の向きを有する、本発明によるステントを示す図である。
図21】ポリマーコネクタの位置における埋込みを低減させることでステントの内腔に内部螺旋状突起がどのように生じるかを示す概略図である。
図22】蛇行した血管内の配置に対応することが可能なステントを形成するように生体吸収性ポリマーによってともにつながれた管状ステントスキャフォールドのいくつかの短いセグメントを備える本発明によるステントを示す図である。
図23】コネクタがフランジ付きの外縁部を有する、本発明によるステントのさらなる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の金属合金、医療デバイス、およびステントについて、さらに詳細に次に説明する。
合金
第1の態様では、本発明は、本質的に、
3.0~5.0質量%のリチウム、および
0.25~4.0質量%のイットリウムからなる合金を提供し、
残りはマグネシウム(たとえば、91.0~96.75質量%のマグネシウム)および微量元素である。
一実施形態では、合金は、微量レベルを超えるいかなる他の希土類金属も実質上含まない。本明細書では、「微量レベル」という用語は、500ppm(百万分の1)未満、好ましくは400ppm未満、たとえば300ppm未満の含有率を指す。
一実施形態では、この合金は、150ppm以下のFeおよびCaの含有率を有する。
マグネシウムは、好ましくは、高純度マグネシウムである。「高純度マグネシウム」という用語は、99%より大きい純度、たとえば99.8%より大きい純度、99.9%より大きい純度などの99.5%より大きい純度、またはたとえば99.99%の純度などの99.9%より大きい純度を有するマグネシウムを指す。概して、高レベルの純度が好ましい。
【0012】
任意選択で、本発明は、本質的に、
3.2~4.8質量%のリチウム、および
0.5~2.0質量%のイットリウムからなる合金を提供し、
残りはマグネシウム(たとえば、93.2~96.3質量%のマグネシウムであり、好ましくは上記で定義した高純度マグネシウムである)および微量元素である。
任意選択で、合金は、微量レベルを超えるいかなる他の希土類金属も実質上含まない。合金は、150ppm以下のFeおよびCaの含有率を有することができる。
【0013】
任意選択で、本発明は、実質上、
3.2~4.8質量%(好ましくは、3.2~4.2質量%)のリチウム、0.5~2.0質量%(好ましくは、0.5~1.5質量%)のイットリウム、および
93.2~96.3質量%のマグネシウムからなり、あらゆる微量元素とともに合計100%の合金になる合金を提供する。
一実施形態は、実質上4質量%のリチウムおよび0.5質量%のイットリウムからなる合金であり、残りはマグネシウム(およびあらゆる微量元素)である。
さらなる実施形態は、実質上4.2質量%のリチウムおよび0.5%~1.5質量%のイットリウムからなる合金であり、残りはマグネシウム(およびあらゆる微量元素)である。
【0014】
本発明の合金には、鋳造インゴットのマイクロ構造が従来の多結晶であり、主に等軸結晶寸法を有するという利点がある。これは、米国特許第8888841号および米国特許第6387332号に記載されている合金の柱状または単結晶のマイクロ構造に比べて有利である。
合金は、最低の不純物レベルを維持するように、周知のプロセスによって溶融してインゴットに形成することができ、次いで一連のより小さい直径のダイによるマグネシウムに対する従来の線引き手段およびインライン熱アニーリングステップによって延伸することができる。
イットリウムを加えることで、Mg-Li系の改善された降伏応力を提供し、それによってステントが生体内で圧縮力に耐えるための追加の径方向強さを与える。
【0015】
第2の態様では、本発明は、合金ワイアを提供し、この合金は、本発明の第1の態様に関して上述した組成を有する。ワイアは、好都合には、従来知られているように、バーストックを延伸し、延伸したワイアをアニーリングすることによって形成することができる。
合金は、最低の不純物レベルを維持するように、周知のプロセスによって溶融してインゴットに形成することができ、次いで一連のより小さい直径のダイによるマグネシウムに対する従来の線引き手段およびインライン熱アニーリングステップによって延伸することができる。ワイアは、典型的に円形の断面であるが、これは必須ではない。適当なワイア径または断面厚さは、ワイアの所望の最終用途に依存する。
一実施形態では、本発明のMg-Li-Y合金から形成されたワイアは、200MPa以上の降伏応力、たとえば250MPa以上の降伏応力、たとえば300MPa以上の降伏応力を有する。必要とされる降伏応力は、ワイア径に依存しないことに留意されたい。
【0016】
一実施形態では、本発明のMg-Li-Y合金から形成されるワイアは、少なくとも8%の伸長、たとえば少なくとも9%の伸長、たとえば少なくとも10%の伸長、たとえば少なくとも11%の伸長、たとえば少なくとも12%の伸長、たとえば少なくとも13%の伸長、たとえば少なくとも14%の伸長、たとえば少なくとも15%の伸長、たとえば少なくとも16%の伸長、たとえば少なくとも17%の伸長、たとえば少なくとも18%の伸長を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも10%の伸長が好適であるが、最小伸長の増大も有益である可能性がある。いくつかの実施形態では、少なくとも15%の最小伸長が好ましい。伸長%は、関係するワイアの元の長さを参照することによるものであり、ワイア径に依存しないことに留意されたい。
【0017】
一実施形態では、本発明のMg-Li-Y合金から形成されるワイアは、200MPa以上の降伏応力および少なくとも10%、たとえば12%、たとえば15%以上の伸長を有する。
一実施形態では、本発明のMg-Li-Y合金から形成されるワイアは、250MPa以上の降伏応力および少なくとも10%、たとえば12%、たとえば15%以上の伸長を有する。
一実施形態では、本発明のMg-Li-Y合金から形成されるワイアは、300MPa以上の降伏応力および少なくとも10%、たとえば12%、たとえば15%以上の伸長を有する。
【0018】
一実施形態では、本発明のMg-Li-Y合金から形成されるワイアは、337MPa以上の降伏応力および少なくとも11%以上の伸長を有する。
一実施形態では、本発明のMg-Li-Y合金から形成されるワイアは、延伸した微細な多結晶マイクロ構造を有する(米国特許第8986369号に教示されている柱状結晶構造ではない)。比較的等軸(たとえば、多面体またはわずかに長円の粒子)であることは、バーストックの微粒径多結晶構造から開始し、線引きが延伸方向の粒子配向をもたらし、次いで線引き後に合金を少なくとも1回完全にアニーリングした結果である。
延伸したワイアの熱アニーリングは、任意の従来の手段によって行うことができ、その手順は、必要とされる厳密な所望の機械的特質に応じて、通常の方法で最適化することができる。本発明のワイアの場合、摂氏200~350度の温度で5~30分間にわたって熱アニーリングを実施することができる。一例では、ワイアは、摂氏約300度の温度で20~30分間にわたってアニーリングされる。
【0019】
医療デバイス
第3の態様では、本発明は、移植可能な医療デバイスを提供し、前記デバイスは、上述した組成を有する合金を含む。
強さ、延性、塑性変形性、および生体吸収性の組合せにより、本発明の合金は、回復中に短期の構造的支持が必要とされる広範囲の医療インプラントにとって有益になるはずである。これらの医療インプラントには、たとえば不妊手術用の結紮クリップ、縫合糸アンカ、骨固定ピンおよびねじ、ならびに体内および皮膚ステープルが含まれる。
【0020】
ステントスキャフォールド
第4の態様では、本発明は、ステントスキャフォールドを提供し、前記スキャフォールドは、本発明の第1の態様のMg-Li-Y合金を含む。
任意選択で、ステントスキャフォールドは、本発明の第2の態様のワイアを備える。任意選択で、ステントスキャフォールドは、本発明の第2の態様のワイアから実質上形成される。
任意選択で、ステントスキャフォールドは、本発明の第2の態様のワイアを好適なサイズおよび形状の心棒に巻き付けて螺旋状の巻きを形成することによって形成される。ワイアは、心棒から取り外された後でもコイル形状を維持するように、心棒上でアニーリングすることができる。このアニーリングは、支持心棒の有無にかかわらず、電気アニーリング(ワイアに電流を通す)、電磁誘導加熱、または従来の真空オーブンなど、当技術分野では知られている任意の好適な方法を使用して実現することができる。当業者であれば、アニーリングの程度およびワイアの長さに応じて、上記で必要とされるパラメータが変化しうることを認識されよう。電気アニーリングで使用される制御パラメータは、電圧および時間である。所与の電圧に対して、その結果得られる電流は、ワイアの長さに依存する。したがって、ワイアは、20~100cmの所与の長さのワイアに対して、10秒~30分間にわたって0.1~5.0ボルトでアニーリングすることができる。一例では、ワイアが好適な形状に形成された後、45cmのワイアを完全にアニーリングするために、15秒間にわたって5ボルトの電源が接続される。別法として、形成されたスキャフォールド(コイル状のワイア)は、摂氏200~350度の温度で5~30分間にわたってアニーリングすることができる。
【0021】
適当なワイア径は、治療すべき血管の内径に依存する。直径2.5~4.5mmの冠状サイズの血管の場合、完成したワイアの直径は60ミクロン~150ミクロンであることが適当である。30mmの大動脈の切開を治療するためには、0.5~2mmのワイア径を使用することができる。
任意選択で、ワイアは2つのステップで形成される。1つ目で、ワイアを繰返し波形に成形し、ワイアは頂部(山)および谷の繰返しを有するパターンを採用する(図5および図6参照)。波形は、径方向強さおよび剛性を提供する。2つ目で、繰返し波形を螺旋状に巻き、それによって管状のステントスキャフォールドを形成する。波形は、これらのステップのいずれかの後、またはワイアが冷間加工された何らかのステップ後、たとえば上述したアニーリングプロセスによってアニーリングすることができる。したがって、ステントスキャフォールドの製造プロセスにおいて、複数回のアニーリングを行うことができる。
【0022】
一態様では、ワイアを長手方向セグメントまたは脚部によって連結された交互の頂部および谷を有する繰返し波形に成形し、次いで繰返し波形を螺旋状に巻いて、管状構造を形成する。したがって一態様では、繰返し波形は、単位波形の繰返しからなり、各単位波形では、第1の頂部セグメントが第1の脚部によって谷に連結され、谷が第2の脚部に連結され、第2の脚部が第2の頂部セグメントに連結され、第2の頂部セグメントが隣接する単位波形の第1の頂部セグメントに連結(および隣接)されて、頂部を形成する。
任意選択で、単位波形は、傾斜面が生じるように階段状である(図4および図6参照)。これには、螺旋状の形状をステントスキャフォールドにより容易に形成することが可能になるという利点がある。階段状の波形は、単位波形セルの一方の脚部またはまっすぐな長手方向セグメント(105)を、他方の脚部または長手方向セグメント(106)より短くすることによって実現される。
したがって一態様では、階段状の繰返し波形は、単位波形の繰返しからなり、各単位波形では、第1の頂部セグメントが第1の脚部によって谷に連結され、谷が第2の脚部に連結され、第2の脚部が第2の頂部セグメントに連結され、第2の頂部セグメントが隣接する単位波形の第1の頂部セグメントに連結されて、頂部を形成し、第1の脚部は、第2の脚部とは異なる長さを有する。任意選択で、第1の脚部は、第2の脚部より長くすることができる。別法として、第1の脚部は、第2の脚部より短くすることができる。
【0023】
一実施形態では、繰返し波形は、頂部(山)がステントスキャフォールドの長手方向軸に沿って位置合わせされるように、螺旋状に巻くことができる(図9参照)。
一実施形態では、繰返し波形は、頂部(山)がステントスキャフォールドの長手方向軸に対して反時計回りの螺旋に位置合わせされるように、螺旋状に巻くことができる(図10参照)。
一実施形態では、繰返し波形は、頂部(山)がステントスキャフォールドの長手方向軸に対して時計回りの螺旋に位置合わせされるように、螺旋状に巻くことができる(図11参照)。
【0024】
ステントスキャフォールドのワイア自体は、時計回りまたは反時計回りの向きに巻くことができる。
拡張されていないステントスキャフォールドの波形の全高は、所期の最終用途によってのみ制限される。波形の好適な高さは、0.5~20mmを含む。30mmの大動脈の切開を治療するために使用されるスキャフォールドの場合、5mm~20mmの全体的な波形の高さが適当である。他の用途の場合、より小さい波形の高さ、たとえば0.5mm~1.5mmが適当である。いくつかの実施形態では、0.6mm~1.4mm、たとえば0.7mm~1.3mm、0.8mm~1.2mmなどの波形の高さを使用することができる。
【0025】
主要な実施形態では、形成された位置(圧着前)における波形の頂部の内径Dcrownは、
crown=X×Dwire
により、上式で、比率パラメータXは2.4~2.8の範囲内であり、DwireはMg-Li-Yワイアの断面直径である。別法として、比率パラメータXは、2.2~3.2の範囲内とすることができる。
典型的には、螺旋の1回転当たりの波の数は、5~8の範囲内であり、ここで波は、波形の単一の繰返し可能単位セルであると考えられる(図3および図4に示す)。
【0026】
ステント
第5の態様では、本発明は、本発明の第4の態様によるステントスキャフォールドを備え、ステントスキャフォールドの少なくとも2巻きをつなぐ生体吸収性ポリマーコネクタをさらに備えるステントを提供する。
したがって、本発明によるステントは、ハイブリッド生体吸収性血管ステント(BVS)として説明することができる。この文脈で、「ハイブリッド」という用語は、従来のすべてポリマーまたはすべて金属のBVS設計とは区別するために、金属およびポリマーの両方の構造的設計特徴を含むステント構造について説明するために使用される。
【0027】
本発明のBVSは、管状の幾何形状を有しており、可撓性カテーテル上で体内へ挿入するためのより小さい直径から、血管内径に適当なサイズのより大きい直径まで拡張可能である。拡張は、好都合には、送達カテーテルの遠位端に取り付けられているとき、BVSの内腔内に位置する高圧血管形成バルーンの膨張によって実現することができる。カテーテルは、従来の血管アクセスデバイスおよび導入器を介して体腔内へ挿入することができ、蛍光透視法によって注入部位へ案内することができ、この注入部位でステントは、カテーテルの近位側にある膨張ポートによって拡張される。この文脈で、「遠位」とは、最初に臨床医(の手)から最も遠くまで体腔内へ挿入されるカテーテルの端部を指し、「近位」とは、BVSをインプラント部位へ誘導する間に臨床医が保持して操作するカテーテルの端部を指す。
上述したように、ステントは、径方向強さおよび剛性を提供するための波形に形成されるマグネシウム合金ワイアから形成されたスキャフォールドを備える。BVSはまた、追加の構造的支持をBVSに提供するために生体吸収性ポリマーから作られた少なくとも1つのコネクタを含む。任意選択で、ステントは、2つまたは3つのコネクタを含むことができる。概して、コネクタは、波形を長手方向に連結する。
【0028】
長手方向のポリマーコネクタの機能は、ステント配置、バルーン抜去、および生体内荷重中に長手方向に印加される引張りまたは圧縮力に対する構造的抵抗を提供することである。しかし、多数または高密度の長手方向コネクタは、ステントを過度に剛性にし、屈曲に耐え、ステントの送達可能性(バルーンカテーテル上に取り付けられたステントを蛇行した血管を介して所期のインプラント部位へ通す)および大幅に角張ったまたは蛇行した血管に対する拡張後の共形性にとって、最適以下になる。また、コネクタの幅に応じて、ポリマーは、マグネシウム波形要素の圧着中の圧縮またはバルーン拡張中の開放を阻害することがある。したがって、コネクタの配置、幾何形状、および幅/体積の制御は、全体的なステント性能に影響を及ぼす。
コネクタは、ステントスキャフォールドの全長に沿って存在することができ、すなわち連続コネクタであり、ステントスキャフォールドの螺旋の1巻きごとに取り付けられる。ポリマーコネクタが連続コネクタである場合、概して1つ、2つ、3つ、または4つのコネクタが存在する。好都合には、コネクタは、ステントスキャフォールドの円周に等距離に隔置される。
【0029】
別法として、ポリマーコネクタは、ステントスキャフォールドの部分的な長さのみに沿って存在することができ、すなわち不連続コネクタである。しかし、各不連続ポリマーコネクタはそれでもなお、ステントスキャフォールドの少なくとも2巻きの間を連結しなければならない。たとえば、コネクタは、ステントスキャフォールドの長さに沿って2、3、4、または5巻きの隣接する螺旋に取り付けられ、それらを連結する。概して、必要とされる連結度を提供するために、複数の不連続コネクタが存在する。
任意選択で、1組の複数の不連続コネクタが存在することができる。任意選択で、各コネクタの長手方向軸は、この組のコネクタの長手方向軸と互いに位置合わせされる。この組の各コネクタは、この組のコネクタから互いに隔置された(好ましくは、等距離に隔置された)関係とすることができる。任意選択で、1組のコネクタの長手方向軸は、ステントスキャフォールドの長手方向軸と位置合わせすることができ、またはステントスキャフォールドの長手方向軸から角度的にずらすことができる。任意選択で、2組以上(たとえば、3組)の不連続コネクタが存在することができ、各組は、ステントスキャフォールドの円周に等距離に隔置される。
【0030】
一実施形態では、ステントスキャフォールドの繰返し波形は、波形の頂部がステントスキャフォールドの長手方向軸に沿って位置合わせされ、各コネクタの長手方向軸がステントの長手方向軸に沿って位置合わせされるように、螺旋状に巻かれる。
一実施形態では、ステントスキャフォールドの繰返し波形は、波形の頂部および谷がステントスキャフォールドの長手方向軸に対して反時計回りの螺旋に位置合わせされ(図10参照)、ポリマーコネクタが反時計回りまたは時計回りの渦巻きをたどるように、螺旋状に巻かれる。
一実施形態では、ステントスキャフォールドの繰返し波形は、波形の頂部および谷がステントスキャフォールドの長手方向軸に対して時計回りの螺旋に位置合わせされ(図11参照)、ポリマーコネクタが反時計回りまたは時計回りの渦巻きをたどるように、螺旋状に巻かれる。
任意選択で、ステントスキャフォールドの各端に存在するコネクタは、増大された質量を有し、ワイア螺旋の最後の1巻きに取り付けられる。有利には、増大された質量は、ワイアの自由端を覆う。任意選択で、ワイアの自由端は、ポリマーコネクタの一方または両方の端部で、この質量内にカプセル化される。
【0031】
任意選択で、ステントは、外部フィンを有する少なくとも1つのコネクタを備える。このフィンは、外向き縁部を有する。配置中、フィンは血管壁の内膜に押し付けられ、制御された精密な形で切開を引き起こす。
さらなる実施形態では、本発明によるステントは、ポリマーコネクタによって長手方向にともに連結された2つ以上のステントスキャフォールドを備える。
上述したように、ステントスキャフォールドは、3.2~4.8質量%のリチウム、0.5~2.0質量%のイットリウムから構成された延伸した微細なワイアから形成され、残りは高純度マグネシウムであり、微量レベルを超えるいかなる他の希土類金属も実質上含まない。任意選択で、合金は、150ppmを下回るFeおよびCaの含有率を有する。
【0032】
ワイアを形成するために、合金は、最低の不純物レベルを維持するように、周知のプロセスによって溶融してインゴットに形成することができ、次いで一連のより小さい直径のダイによるマグネシウムに対する従来の線引き手段およびインライン熱アニーリングステップによって延伸することができる。適当なワイア径は、治療すべき血管の直径に依存する。直径2.5~4.5mmの冠状サイズの血管の場合、完成したワイアの直径は60ミクロン~150ミクロンであることが適当である。30mmの大動脈の切開を治療するために使用されるスキャフォールドの場合、ワイア径は0.5~2mmであることが適当である。
【0033】
任意選択で、合金は、3.2~4.8(質量)%のLiおよび0.5~2.0(質量)%のYを含み、残りは高純度マグネシウムである。一実施形態では、ステントスキャフォールド(100)は、心棒に螺旋状に巻き付けられて管状の形状を形成するようにアニーリングされた連続波形からなる(図1)。別の実施形態では、この管状構造は、上述した2つのステップではなく、1つの連続3Dプロセスによって形成される。
任意選択で、単位波形は、傾斜面が生じるように階段状である(図4および図6参照)。これには、螺旋状の形状をステントスキャフォールドにより容易に形成することが可能になるという利点がある。階段状の波形は、単位波形セルの一方の脚部またはまっすぐな長手方向セグメント(105)を他方の脚部(106)より短くすることによって実現される。
【0034】
2つの隣接する単位波形間の頂部セグメントは、バルーンカテーテル上への構造の圧縮(圧着として知られている)中およびデバイスのインプラント上での拡張中にヒンジとして作用する。それぞれ図7および図8に示すように、波形が圧縮または拡張されるにつれて、ストラットセグメントは角度を変化させる。圧着中および拡張中の両方におけるMg-Li-Y合金の塑性変形は、構造が最初に形成された位置へ反跳することを防止する。
管状のステントスキャフォールド単独では、拡張中に完全性を維持しかつ長手方向の引張りおよび圧縮力(たとえば、コラム強さ)に対する抵抗を提供するのに必要な長手方向コネクタを収容しないため、機能ステントではない。したがって、本発明では、生体吸収性ポリマーのコネクタ(101)が、螺旋の隣接する巻きを結ぶように設けられる(図2)。
コネクタに対する好適なポリマーには、ポリエステル、たとえば線状ポリエステル、特に脂肪族線状ポリエステル、たとえばポリラクチド-グリコリド族の単独重合体および共重合体、ならびにその近類似体などの任意の生体適合性の生体吸収性ポリマーが含まれる。所望の吸収時間を提供する任意の好適な分子量を使用することができる。好適な吸収時間は、6か月~2年、たとえば9か月~18か月、たとえば9か月~15か月、約1年などである。50k~100kg/モルの分子量を有するポリマーが好適であることに言及することができる。
【0035】
上述したように、BVSは、生体吸収性ポリマーから形成された少なくとも1つのコネクタを備える。ポリマーは、ラクチド-グリコリド族の共重合体および/もしくは単独重合体群またはその類似体から得ることができる。これらのポリマーは、典型的に、移植後1年以内に完全な吸収(インプラント部位における90%の質量損失)を示す線状脂肪族ポリエステルである。好適なポリマーには、20~30質量%のグリコリドおよび70~80質量%のラクチドの非晶質共重合体が含まれ、このポリマーは、70kg/モルより大きい分子量を有する。別の例では、コネクタは、90質量%より大きいグリコリドを有するPLGAから形成することができ、残りの含有物は、80kg/モルより大きい出発分子量を有するラクチドであり、これは9か月以内の完全な吸収を実証している。別法として、ポリマーは、90質量%より大きい半結晶PLGAとすることができ、最高10質量%のグリコリドを有し、出発分子量は約60kg/モルである。ポリマーコネクタ材料の他の実施形態には、分子量50k~100kg/モルのポリカプロラクトン-ラクチド(PCL-PLA)共重合体およびポリジオキサノン(polydiaxanone)(PDSまたはPDO)が含まれる。
【0036】
生体吸収性ポリマーコネクタは、様々な手段によって形成することができる。一実施形態では、コネクタは、事前に押出成形したフィラメントとすることができ、このフィラメントは、ステントスキャフォールドの表面に配置され、次いでたとえば内側コアまたは心棒を有する2つの部分からなる成形型内で加熱および圧縮されたとき、熱および圧力の作用によってワイア波形の平面に溶融される。その結果得られる構造は、十分なコラム強さおよび軸方向の可撓性を有するバルーン拡張が可能な機能ステントである。
別の実施形態は、ポリマーコネクタを形成する異なる新規な方法を使用し、これはステントスキャフォールドの表面上への溶融押出である。熱溶解積層法またはFDMに使用されるタイプの修正「3Dプリンタ」を使用することができる。この製造方法は、製造の設計、速度、および精度、ならびに機能性能において様々な利点を提供する。螺旋コネクタパターンの非連続コネクタを含むいくつかの設計上の変形形態が、ステントの可撓性および圧着性に対する利益を提供し、生体内で渦巻き状の血流を誘発することが可能なステントを実現することが実証されている。
【0037】
任意選択で、3D印刷ポリマーの連結を強固にするために、印刷後にシュリンクラップを使用して、ポリマーコネクタを事前定義された直径のワイアに圧縮することができる。
より詳細には、市販の3Dプリンタ(「3DP」)(たとえば、BQ社からのHephestos2)が、固定の高さの数値制御式の回転心棒上へ「印刷」するように修正される(累積的z方向層によるx-y空間への従来の印刷ではない)。本発明の修正3D印刷プロセスでは、プリンタヘッドは主に1方向(Z)にのみ駆動され、心棒は、機械のGコードにプログラムされたアルゴリズムによって角回転で駆動される。ポリマーの出発フィラメント(たとえば、1.75mmのPLLA)が溶融され、ステントスキャフォールドの回転面上へノズルを介して精密に押し出される。ノズルサイズは、コネクタに所望の厚さを提供するように選択することができ、たとえばノズルは、0.5mm以下、たとえば0.2mmの内部サイズを有することができる。ステントスキャフォールドへのコネクタの粘着を改善するために、印刷中にステントスキャフォールドのワイアを40~60℃の温度まで任意選択で加熱することができる。本発明者らは、ステントスキャフォールドの加熱されたワイア上へ生体吸収性ポリマーを直接溶融押出することによって、十分な粘着が実現されることを見出した。
【0038】
溶融された生体吸収性ポリマーコネクタによって形成されるスキャフォールド構造は、ステントスキャフォールドのストラットを部分的に包み、それにより機械的接合をもたすが、この機械的接合は、大きく蛇行したまたは角張った解剖学的構造、たとえば血管における拡張中に優先的に切り離すことができることが重要である。したがって一実施形態では、本発明のステントは、ステントの拡張中に身体血管の大きく角張った内腔内の場所に位置決めされた場合、コネクタが拡張中にステントスキャフォールドから少なくとも部分的に切り離されるようにステントスキャフォールドに接合された少なくとも1つのコネクタを備える。この優先的切離し能力は、リングおよび長手方向コネクタの接合点における多次元の応力状態が早期の破局的なリング破損およびストラットの壁への付着の損失を招く可能性のあるすべてのマグネシウムレーザ切断式ハイポチューブ設計に対する別個の利点である。マグネシウム合金は、典型的に、その制限された結晶滑り面による多方向荷重下におけるその脆性のため、この障害モードに対して非常に脆弱であるが、本開示のハイブリッドステント設計は、この弱点を緩和する。優先的な切離しは、ステントスキャフォールドのワイアが交差する箇所におけるコネクタの断面積の低減によって可能になる。断面積の低減とは、その場所、すなわち制御された所定の箇所で、何らかの破断が発生することを意味する。少なくとも1つのコネクタからのステントスキャフォールドの制御された解放を可能にすることで、ステントとステントが配備されている内腔との間の付着の損失なく、ステントが大きく蛇行した体腔(たとえば、血管)の湾曲に適合することが可能になる。
【0039】
ポリマーコネクタの形成のための3D印刷製造プロセスの利点は、長手方向の可撓性、圧着可能性、より良好な粘着性、および最終固定、ならびに生体内でさらなる生理的流れを促進する螺旋パターンなど、ステント特質の改善につながる様々な設計上の選択肢を可能にする。
一実施形態では、3DPは、ステント全体が過度に堅くなることなく最終固定を保証するために、通常の長手方向コネクタ体積に対して最終固定点に追加のポリマー体積(1.25倍~2.0倍)を印刷するようにプログラムされる。
したがって、本発明は、ハイブリッドステントを作製する方法をさらに提供し、前記プロセスは、
3Dプリンタを使用してステントスキャフォールドの表面上へポリマーを押し出し、この表面上にポリマーコネクタを形成することを含む。
【0040】
任意選択で、ステントスキャフォールドは、印刷プロセス中に加熱され、たとえばポリマーの転移温度まで加熱され、たとえば40~60℃の温度まで加熱される。
任意選択で、ステントスキャフォールドは、3Dプリンタにつながれた回転心棒上へ取り付けられる。
任意選択で、単一の層のポリマーのみが、印刷中にステントスキャフォールド上へ堆積させられる。
任意選択で、3D印刷ポリマーの連結を強固にするために、印刷後にシュリンクラップを使用して、ポリマーコネクタを事前定義された直径のワイアに圧縮することができる。
【0041】
ポリマーコネクタの固定前に、ステントスキャフォールドの端部を生体吸収性ポリマーの下塗りで被覆することが有利になる可能性がある。下塗りは、好適な生体吸収性ポリマーの希釈液(たとえば、酢酸エチルまたはTHFなどの好適な溶剤中の10%の固体ポリマー)を使用して形成することができる。下塗りに使用するための好適な生体吸収性ポリマーには、脂肪族ポリエステルなどのポリエステルが含まれる。PGLAの単独重合体または共重合体を使用することができる。下塗りに使用される生体吸収性ポリマーは、コネクタに使用される生体吸収性ポリマーと同じであっても異なってもよい。下塗りは、典型的に、20ミクロン以下、たとえば10ミクロン以下の厚さを有することができる。下塗りは、ステントスキャフォールドの一方もしくは両方の端部に施すことができ、またはステントスキャフォールドの実質上すべて、たとえばステントスキャフォールドのすべてに施すことができる。下塗りは、20ミクロン以下、たとえば10ミクロン以下の厚さを有する共形の層とすることができる。下塗りは、任意の従来の技法、たとえば噴霧被覆、蒸着、浸漬被覆などによって実現することができる。ポリマーの下塗りを含むことで、金属に対するポリマーのさらなる粘着を提供し、これはステントの端部で特に有利になる可能性がある。したがって、ポリマーの下塗りを含むことには、拡張中にステントがほどけることを防止することができるという利点がある。本発明は、本発明によるステントを装備したカテーテルをさらに提供する。概して、カテーテルは、ステントの内腔内に位置する拡張可能バルーンを含み、このバルーンを膨張させて(ステントが所望の場所に位置決めされた後)、その拡張を引き起こす。
本発明は、体腔の治療方法を提供し、前記方法は、
a)本発明によるステントを装備したカテーテルを前記体腔内へ挿入することと、
b)前記内腔の所望の場所で前記ステントの拡張を引き起こすこととを含む。
【0042】
本発明の各態様または実施形態の好ましい特徴または代替の特徴は、本発明の各態様または実施形態に準用される(文脈上別途要求がない場合)。
本明細書では、「備える、含む(comprising)」という用語は、「~からなる(consisting of」、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」、または「含む(including)」を意味し、「備える、含む(comprising)」または「備える、含む(comprises)」という単語の各使用は、「含む(includes)」、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」、または「~からなる(consisting of」という用語による置換えによって独立して修正することができる。
本発明の上記その他の目的は、後述する実施形態の1つまたは複数によって提供される。
【0043】
図面の詳細な説明
図1に示すように、ステントスキャフォールド(100)は、連続波形(12)に成形された連続ワイア(11)から形成される。波形(12)は、交互に位置する頂部(山)および谷のパターンを描写している(より詳細には図3および図4に示す)。波形(12)は、少なくとも3回転、螺旋状の形状に巻かれて、管状の形状、好ましくは一定の直径の円筒形の形状を形成する。
図1で、波形(12)の頂部および谷は、ステントスキャフォールド(100)の長手方向軸の方向に位置合わせされており、すなわちステントスキャフォールドの完全な円周(「巻き」)ごとに、整数の波形単位から形成される。代替実施形態では、頂部および谷は、このように位置合わせされる必要はなく、ステントスキャフォールド(100)の隣接する巻きから互いにわずかにずらすことができる。
米国特許第8888841号は、ポリマーコネクタによって連結されるリングを教示しているが、ステントスキャフォールド(100)で使用される連続波形は、巻きの間隔および連続製造の制御に関して容易な製造を提供する。螺旋形はまた、改善されたトルク抵抗などの構造的利点、および軸方向のせん断力に対する全体的な構造的安定性を提供する。
【0044】
図2は、本発明によるステント(10)を示す。図示のステント(10)は、ステントスキャフォールド(100)(たとえば、図1に示す)と、生体吸収性ポリマーから形成されたコネクタ(101)とを備える。図示のように、ステントスキャフォールド(100)は、波形(11)の3つの螺旋状の巻きから形成されるが、必要とされる長さのステント(10)を提供するために、より多い(またはより少ない)螺旋状の巻きからも同様に形成することができる。ポリマーコネクタ(101)は、ステントスキャフォールド(100)の全長に延びる連続ポリマーストリップからなる。ポリマーコネクタ(101)は、任意の好適な生体適合性の生体吸収性ポリマーから形成することができ、たとえばPLGAなどのポリラクチドから形成することができる。任意選択で、ポリマーコネクタ(101)は、ステントスキャフォールド(100)の表面上への3D印刷によって形成することができる。ポリマーコネクタ(101)は、ワイア(11)の自由端(11a、図1参照)を覆ってステントスキャフォールド(100)の下端(図示)からステントスキャフォールド(100)の全長に沿って上端(図示のように)まで延び、再びワイア(11a)の自由端を覆う。この配置は、カテーテルからのステント(100)の解放中またはそれ以外のステント(100)の配置中に、ワイア(11)の自由端(11a)が引っ掛からないことを確実にする。
【0045】
図3は、ステントスキャフォールド(100)の波形(12)を形成するように繰り返される波形単位セル(13)の詳細を示す。波形(12)は、本発明によるMg-Li-Y合金のワイア(11)から形成される。波形単位セル(13)は、一連の湾曲した頂部セグメント(103)、湾曲した谷セグメント(103a)、および接合するまっすぐな長手方向のストラットセグメント(104)を備え、これらはすべて円形の断面である。湾曲した谷セグメント(103a)の内径は、湾曲した頂部セグメント(103)の内径と同一であり、Dcrownとして定義される。波形単位セル(13)の高さは、H(107)でラベル付けされた矢印として示されている。図3の繰返し波形単位セル(13)からなる連続ストリップは、図5に示す波形(12)を形成する。
【0046】
図4は、ステントスキャフォールド(100)の波形(12)を形成するように繰り返される波形単位セル(13)の代替実施形態の詳細を示す。波形(12)は、本発明によるMg-Li-Y合金のワイア(11)から形成される。図3と同様に、波形単位セル(13)は、一連の湾曲した頂部セグメント(103)、湾曲した谷セグメント(103a)、および接合するまっすぐな長手方向のストラットセグメント(105、106)を備える。湾曲した谷セグメント(103a)の内径は、湾曲した頂部セグメント(103)の内径と同一であり、Dcrownとして定義される。波形単位セル(13)のそれぞれの側のストラットの高さは、A(108)でラベル付けされた矢印およびB(107)でラベル付けされた矢印によって示されている。図4の波形単位セル(13)は「階段状」であり、すなわちストラット(105)の長さは、ストラット(106)の長さとは異なる。したがって、単位セル(13)の高さはそれぞれの側で異なり、比較すると、矢印A(108)の高さは矢印B(109)の高さより小さい。逆の構成も可能であり、すなわちストラット(105)の高さAがストラット(106)の高さBより大きいことも可能である。
図3を参照すると、図示の実施形態で、波形の全高H(107)は、典型的に、0.8~1.2mmの範囲内である。図4に示す階段状の波形の場合、実効的な全高Hは、図4に示す長さA(108)およびB(109)の平均であると考えられる。この場合も、好適な波形の高さは、典型的に、0.8~1.2mmの範囲内である。
図3および図4に示す波形(13)は、ステントスキャフォールド(100)を形成するように、たとえば心棒に螺旋状に巻き付けることができる。ステントスキャフォールド(100)は、概して、少なくとも3つの完全な巻きを含む。概して、螺旋状に巻かれた波形(12)は、心棒上に位置する間にアニーリングされる。アニーリングは、制御された加熱を介して実現することができる。これは、ワイアに電流を通して心棒上で所望の温度まで加熱する電気アニーリングを介して達成され、これにより形成された管状の形状が取外し後に維持されることが確実になる。別法として、螺旋状に巻かれたワイアは、心棒から取り外す前に、オーブン内に配置して加熱することができる。
【0047】
図5および図6は、それぞれ図3および図4の波形単位セル(13)を繰り返すによって作製された波形(12)を示す。一実施形態は、Mg-4.0Li-0.5Yの合金からなりワイア径は125μm、X値は2.52、および全体的な波の高さは0.95mmである。X値は、DcrownとDwireの比を指す。少なくとも4.0N/mmの最初の径方向強さ、回復中の完全性を維持する強さ保持率、および約1年以内のインプラント部位における完全な吸収を含む特質の有利な組合せが得られる。
【0048】
それぞれ図7および図8に示すように、ステントスキャフォールド(100)の波形(12)が圧縮または拡張されるにつれて、ストラットセグメントは角度を変化させる。したがって、図7は、単位セル(13)のストラット(104)がスキャフォールド(100)の圧縮中にともに押されたときの図3の単位セルの変化を示す。圧縮は、典型的に、「圧着」と呼ばれるプロセスにおいて送達前にステント(10)を送達カテーテル上へ装填する間に生じる。図8は、ステント(10)が配備されるときに単位セルのストラット(104)がスキャフォールド(100)の拡張中に引き離されたときの図3の単位セルの変化を示す。圧縮および拡張中のストラット角度の類似の変化は、図4に示す単位セルを使用して形成されたステントの場合でも生じる。
【0049】
波形構造(12)の巻かれたワイア(11)から形成されたステントスキャフォールド(100)は、ステントスキャフォールド(100)の1回転当たりの波形(12)の数および螺旋の隣接する巻き間の間隔に応じて、異なる頂部(103)の位置合わせを有することができる。図9図10、および図11は、3つの異なる例示的な配置を示す。図9は、隣接する螺旋状の巻きまたは層上の頂部(103)が、ステントスキャフォールドの中心長手方向軸に平行なまっすぐな経路をたどっていることを示す。対照的に、図10および図11はそれぞれ、隣接する螺旋状の巻き上の頂部(103)がステントスキャフォールド(100)の周りで湾曲した経路をたどり、またはより正確には独自の螺旋経路をたどる配置を示す。これらの実施形態では、頂部(103)の位置合わせの変化は、この構造に連結ポリマーを正確に適用する能力に影響を及ぼし、これらの変数を最適化することによって単位ステント長さ当たりより高密度の波形パターンを使用することを可能にする。これにより、ステント内の材料が増大し、これはステントの径方向強さおよび吸収時間に直接影響する。
【0050】
図12Aは、本発明の一実施形態によるステント(10)を示す。図示のように、ステント(10)は、波形パターンのワイア(11)の複数の巻きによって形成されたステントスキャフォールド(100)からなる。図示のように、波形(12)の頂部(103)は、ステント(10)の軸方向に位置合わせされる。図12Aに示す実施形態は、2つのポリマーコネクタ(101)を示す。ポリマーコネクタ(101)は、ステント(10)の円周上で互いに直径方向に反対に位置決めされる。別法として、ポリマーコネクタ(101)の幅(W)は、ワイア(11)の直径に等しい値からワイア(11)の直径の5倍に等しい値までのものとして定義することができる。ここで論じるポリマーコネクタの「幅」は、図12AにWとして示すようにステントスキャフォールドの円周に向けられているコネクタの寸法を指す。図示の実施形態は、ステント(10)の全長に延びる両方のポリマーコネクタ(101)を示す。便宜上、ステント(10)は、ワイア(11)の3つの螺旋状の巻きのみからなることが示されているが、ステント(10)の所望の長さを提供するために、より多くの螺旋状の巻きからなることもできることに留意されたい。ワイア(11)の自由端(11a)は、好都合には、ポリマーコネクタ(101)によって覆うことができ、またはポリマーコネクタ(101)内に埋め込むことができる。ポリマーコネクタ(101)を形成する任意の方法を使用することができるが、好都合には、コネクタ(101)は、たとえば0.2mmのノズルを使用し、任意選択でステントスキャフォールド(100)のワイア(11)を予熱する3D印刷プロセスによって形成される。
図12Bは、側面から見たときの図12Aに示す実施形態を示す。コネクタ(101)は、等しい長さである必要はないことに留意されたい。図示の実施形態では、波形(12)は、波形(12)の螺旋配置の作製を助ける階段状の波形単位セル(13)を有する(図4参照)。
【0051】
図13Aは、上面から見たときの図12Aに示す実施形態を示す。ステントスキャフォールド(100)の円周における各ポリマーコネクタ(101)の直径方向に反対の位置決めが、はっきりと示されている。図13Aの囲み部分が、図13Bの拡大図に示されている。ポリマーコネクタ(101)は、ステントスキャフォールド(100)の外面上に位置し、波形(12)を形成するワイア(11)の厚さの周りに実質上位置決めされる。
【0052】
図示のように、ポリマーコネクタ(101)の第1の部分は、波形(12)の表面から外方へ延びる厚さt1(107)を有する。厚さt1は、典型的に、ステントスキャフォールド内で使用されるワイア径の20~50%と同等である。ポリマーコネクタの第2の部分は内方へ延び、ワイア径の50~100%の厚さt2(108)だけステントスキャフォールドのワイアに径方向に重複する(図15)。このポリマーコネクタ(101)または各ポリマーコネクタ(101)の幅(W)(上記で定義)は、任意選択で最終固定の改善のためにコネクタの増大された幅を使用することができるステント端部を除いて、概してワイア径の100%~500%の範囲である。ポリマーコネクタ(101)がこの制限を超過する幅を有する場合、コネクタ(101)には、その場所におけるステントの後の圧着および拡張を阻害するという悪影響がある可能性がある。ポリマーコネクタの幅(W)をワイア径の100%~500%に等しくすることで、コネクタのその部分がステントの拡張中に身体血管の大きく角張った内腔内の場所に位置決めされた場合、コネクタが拡張中にステントスキャフォールドから少なくとも部分的に切り離されるように、コネクタがステントスキャフォールドに接合されることを確実にする。いくつかの実施形態では、コネクタの幅は、そのように大きく蛇行した内腔におけるステントの配置中に、コネクタがステントスキャフォールドのワイアから優先的に離れるように決定することができる。さらに、コネクタの幅は、大きく蛇行した内腔におけるステントの配置中に、コネクタがワイアから優先的に離れ、コネクタが2つの破片に分解されるように決定することができる。
【0053】
最も簡単な実施形態では、概して一定の幅(W)の単一の長手方向の連続コネクタ(101)が形成され、スキャフォールド(100)の全長に沿って角回転を生じない(図2)。別の実施形態では、第1の連続コネクタから180度間隔をあけて、第2の類似の連続コネクタ(101)が形成される(図12A図12B、および図13A)。さらに別の例では、それぞれ角回転を生じない3つの連続コネクタ(101)が、ステントスキャフォールド(100)の周りに約120度の間隔をあけて隔置される(図14)。
【0054】
別の実施形態では、単一の連続ポリマー長手方向コネクタ(101)が、ステントの長さに沿って螺旋経路をたどるように形成される(図15Aおよび図15B)。1つのそのような例では、コネクタ(101)は、ステントの約40mmの長さにわたって180度回転して進むが、別法として、たとえば120度~240度の他のピッチ角を使用することもでき、本発明は、いかなる特定のピッチ角にも限定されるものではない。角回転のないコネクタに関して上述した実施形態と同様に、同じピッチおよび方向の2重または3重の螺旋状の連続コネクタを、ステントスキャフォールド(100)の円周にそれぞれ180および120度隔置して加えることができる。単一のBVS上のすべての螺旋コネクタは、構造の周りで同じ方向をたどり、ポリマーコネクタのいかなる架橋も防止する。
一実施形態では、ポリマーコネクタ(101)の印刷前に、波形(12)は螺旋軌道に巻かれて、管状のステントスキャフォールド(100)を形成する。波形(12)は、「右巻き」螺旋に巻くことができる、次いでポリマーコネクタ(101)を「左巻き」螺旋(または複数の螺旋)に印刷することができ、その結果、印加されるトルクに耐えることが可能な均衡のとれた構造が得られる(図16Aおよび図16B)。
【0055】
代替実施形態では、ステントスキャフォールド(100)およびコネクタ(101)はどちらも同じ進行方向をたどり(すなわち、スキャフォールドおよびコネクタはどちらも「左巻き」螺旋であり、またはスキャフォールドおよびコネクタはどちらも「右巻き」螺旋である)、それにより拡張に対する抵抗が小さく、生理的利益があると考えられる局所的な螺旋血流を生じさせることがさらに可能な構造を与える。
別の実施形態では、連続長手方向コネクタ(101)は、図17に示すように、ステントスキャフォールド(100)を形成するワイアの自由端における端子連結の機械的強さを改善するために幅または体積が少なくとも30%増大された端部区分(110)を含む。
上述した例では、最高の構造上的完全性レベルを提供する一定の幅および体積の連続ポリマー長手方向コネクタ(101)を使用するが、トレードオフは、大きく角張った血管に対応するために送達可能性にとって重要なステントの軸方向の可撓性の低減である。
【0056】
別の実施形態では、ステント(10)は、非連続(または不連続)の少なくとも1つのポリマーコネクタ(101)を含む。したがって、少なくとも長さ1mmの区分(111)だけ互いから隔置された2つ以上の非連続長手方向コネクタ(101)を提供することができる。図18は、それぞれの隣接する1対のコネクタ間に1mmより大きい間隙(111)を有する3つの不連続ポリマーコネクタ(101a、101b、101c)を含むステント(10)を示す。したがって、2つのコネクタ(101)間に完全な連続性の破断(111)が存在する。一実施形態では、断続的な設計は、ノズルがステント(10)に対して動いている間に押出を遮断するように、修正ソフトウェアを介して3D印刷フィラメントの前進または休止を制御することによって形成される。別の実施形態では、連続コネクタ(101)が印刷され、次いで後に、ポリマーコネクタ(101)の区分が、マグネシウム合金ではなくワイア(11)のポリマーに対して調整された適当なエネルギー源によって、レーザ切断/アブレーションによって取り除かれる。
【0057】
一例では、Mg-4.2Li-1.5Yの合金の直径125ミクロンの丸いワイアが階段状の波形に形成され、次いで1.6mmの心棒に螺旋状に巻き付けられ、アニーリングされる。次いで、管状のステントスキャフォールド(100)は、180度ずれている2つの螺旋状の断続的なポリマーコネクタ(101)に3D印刷される。ステント端部に位置決めされたすべてのコネクタ(101)に対して、最終固定を確実にするために、ワイア波形(12)の少なくとも3つの螺旋状の巻きが含まれる。破断は、長さ2mmであり、ステント長さに沿ってあらゆる断面に常に少なくとも1つの固体コネクタが位置するように互い違いである(図19)。
別の実施形態では、コネクタ(101)の位置は、ワイア螺旋に対して位置合わせされる。すべての場合、コネクタ(101)の中心線は、ステント(10)を介する螺旋の隣接する層/巻きの頂部(103)をたどる。一実施形態では、コネクタ(101)の経路は、隣接する層内の最も近い頂部(103)をたどることによって画定される。図12A~20は、これを実証する。
血管壁および内皮にかかるせん断応力を低減させるために、正常な動脈生理学において血液の渦巻き状の流れの重要性が認識されてきた。ステント血管または人工血管内に渦巻き流を与える以前の試みは、再狭窄率の明らかな低減を示している。渦巻き状の流れを与えるための今までの技術的手法は、自己拡張ステントを3D螺旋に加熱硬化し、それに応じて血管を再形成することを含んだ。別の手法は、血液を流して螺旋状の流れにするPTFE移植片内の内部螺旋フィンを成形することである。
【0058】
本発明では、螺旋コネクタ(101)を有するステントはまた、血管内に螺旋状の流れを誘発することが可能である。特に、ステント(10)を形成するワイア(11)の差分埋込みは、血管内膜への埋込みに耐えて内部螺旋状突起を生じるコネクタ(101)の場所で引き起こされる。たとえば、図21では、螺旋チャネル(200)は、ポリマーコネクタ(101)内に埋め込まれていないステントスキャフォールド(100)を形成するワイアの場所(202)とは対照的に、ポリマーコネクタ(101)の場所(201)におけるワイア(11)の差分埋込みによって形成され、その結果、そのような場所で埋め込まれた最適の内膜壁(202)が得られる。バルーン拡張後、それによって突起(101)間の経路をたどる内部螺旋チャネルが生じ、この螺旋経路は、ステント(10)の長さに沿って渦巻き状の流れを誘起する。これは、比較的広いポリマーコネクタ(101)(ワイア径の最大500%の幅Wを有する)によって実現されるが、ステント(10)の大部分を構成する細いワイアストラットとは対照的に、高圧バルーンの配置中に血管壁内に完全に埋め込むことができない。この影響は、1つまたは2つの連続螺旋コネクタ設計(図20)にとって最も強くなるが、本明細書に記載するすべての連続および断続的なコネクタ設計にも存在することが予期される。
【0059】
図21は、差分埋込みによって引き起こされる2つの内部螺旋状突起を示す概略図であり、ステント(10)の内腔にもたらされる螺旋状の渦巻き形状を示す。
管状のステントスキャフォールド(100)は、典型的に、長さ10mm~200mmの管状構造を作製するように形成されるはずである。別の実施形態では、より短い管状のステントスキャフォールド(100)のいくつかのセグメントを生体吸収性ポリマーコネクタ(101)によってともにつないで、より長いステントを形成することができ、セグメントは、湾曲したトラックをたどる列車の車両と同様に接合が血管(120)の曲折に対応することを可能にする(図22)。
別の実施形態では、ステントスキャフォールド(100)は、生体内の視覚化を改善し、デバイスのその部分の精密な位置決めを容易にするために、1つまたは複数の放射線不透過性マーカ(図示せず)を含むことができる。放射線不透過性マーカは、たとえば金、白金、もしくはタンタル、または316SSなどの生体適合性の重金属から作ることができる。マーカは、追加の最終固定としても働く放射線不透過性のワイアのループまたは「C」クリップを備えることができる。
他の実施形態では、印刷された生体吸収性ポリマーコネクタのすべてまたは一部に炭酸バリウムもしくは硫酸バリウムまたはヨウ素化化合物などの周知の生体適合剤を装填することによって、X線不透過性を実現することができる。
【0060】
他の実施形態では、本発明のステントは、たとえば抗菌性、麻酔性、または抗血栓性の作用を有する生物活性剤によって被覆することができる。ステントは、5~10μg/mmのステント長さの総用量および30日以上の溶出時間で、DL-PLAまたはPLGAポリマー中の薬剤(ラパマイシンとしても知られているシロリムスなど)の50-50の製剤によって被覆することができる。他の実施形態は、類似の用量のエベロリムスおよびバイオリムスなどの類似の「リムス薬」を利用する。生物活性剤の被覆は、ステントの実質上全体またはステントスキャフォールドの実質上全体を覆うことができ、たとえばコネクタの追加前に生物活性剤を含有する被覆を施すのに好都合なことがある。別法として、コネクタをステントスキャフォールドに追加することができ、次いでステント全体に被覆を施すことができる。特定の実施形態では、被覆は、ステントの選択された部分またはステントスキャフォールドのみに施すことができ、たとえばデバイスの端部部分またはデバイスの中間区分に施すこともできる。被覆は、連続層であっても不連続層であってもよく、すなわちデバイス外面のすべての部分を覆う必要がある。被覆は、通常の被覆方法、たとえば浸漬被覆、噴霧被覆、蒸着などを使用して施すことができる。
別の実施形態では、スキャフォールドは、パクリタキセル-PLGA製剤(たとえば、内容が参照により組み込まれているEuroIntervention 8(12):1441-50, April 2013に記載)によって被覆される。
【0061】
さらに別の実施形態では、「切断バルーン」の機能を提供する完全に生体吸収性のステントスキャフォールド(100)が提供される。切断バルーンは、高圧拡張中に血管内膜により制御された切開面を引き起こすようにバルーンの長さに沿って長手方向に延びるブレードのようなワイアを組み込む。これは、拡張に耐えかつ/または大きな血管反跳を受けるいわゆる線維損傷または高石灰化損傷で特に実効的である。ポリマーコネクタ(101)は、コネクタの外面に高さ約50~250ミクロンのポリマーフィン(112)を生じさせるように微細成形することができる(図23)。別の実施形態では、類似の作用は、外面上でステントの全長に延びる三角形の断面のMg系合金ワイアのセグメントによって実現され、ステント端部でステントに取り付けられる。さらに別の実施形態では、ワイアは、切断作用を提供し、放射線不透過性マーカとしても働くように、白金系とすることができる。
使用の際、生体吸収性ステント(10)は、バルーンカテーテル上へ圧着され、滅菌した障壁パッケージ内に配置され、EtOまたは他の非電離放射方法によって滅菌される。
【0062】
本明細書に参照するすべての文献は、参照により組み込まれている。当業者には明らかなはずである記載の実施形態に対するあらゆる修正形態および/または変形形態が、本発明に包含される。本発明について特定の具体的な実施形態および例を参照して本明細書に説明したが、本発明はこれらの具体的な実施形態または例にのみ限定されることを意図したものではないことを理解されたい。
[付記]
(付記1)
本質的に、
3.2~4.8質量%のリチウム、および
0.5~2.0質量%のイットリウムからなる合金であり、
残りは高純度マグネシウムであり、前記合金は、150ppm以下のFeおよびCaの含有率を有し、微量レベルを超えるいかなる他の希土類金属も実質上含まない、合金。
(付記2)
付記1に記載の合金から延伸したワイア。
(付記3)
付記1に記載の合金を含む移植可能な医療デバイス。
(付記4)
付記2に記載のワイアを備える移植可能な医療デバイス。
(付記5)
付記2に記載のワイアを備えるステントスキャフォールド。
(付記6)
前記ワイアが、交互の頂部および谷を有する繰返し波形に成形される、付記5に記載のステントスキャフォールド。
(付記7)
前記繰返し波形が、螺旋状に巻かれて管状構造を形成する、付記6に記載のステントスキャフォールド。
(付記8)
形成された位置における前記波形の前記頂部の内径D crown が、
crown =X×D wire
により、上式で、Xは2.4~2.8の値を有する比率パラメータであり、D wire はワイアの断面直径である、付記6または7に記載のステントスキャフォールド。
(付記9)
前記波形の高さが、0.5mm~20mmである、付記6~8までのいずれか1項に記載のステントスキャフォールド。
(付記10)
前記波形の前記高さが、0.8mm~1.2mmである、付記9に記載のステントスキャフォールド。
(付記11)
前記波形の少なくとも3つの螺旋状の巻きが存在する、付記6~10までのいずれか1項に記載のステントスキャフォールド。
(付記12)
前記繰返し波形の前記頂部が、前記ステントスキャフォールドの長手方向軸に沿って位置合わせされる、付記6~11までのいずれか1項に記載のステントスキャフォールド。
(付記13)
前記繰返し波形の前記頂部が、前記ステントスキャフォールドの前記長手方向軸に対して反時計回りの螺旋に位置合わせされる、付記6~11までのいずれか1項に記載のステントスキャフォールド。
(付記14)
前記繰返し波形の前記頂部が、前記ステントスキャフォールドの前記長手方向軸に対して時計回りの螺旋に位置合わせされる、付記6~11までのいずれか1項に記載のステントスキャフォールド。
(付記15)
前記繰返し波形が、単位波形の繰返しからなり、各単位波形では、第1の頂部セグメントが第1の脚部によって谷に連結され、前記谷が第2の脚部に連結され、前記第2の脚部が第2の頂部セグメントに連結され、前記第2の頂部セグメントが前記隣接する単位波形の前記第1の頂部セグメントに連結されて、頂部を形成し、前記第1の脚部が、前記第2の脚部とは異なる長さを有する、付記6~14までのいずれか1項に記載のステントスキャフォールド。
(付記16)
前記繰返し波形が、単位波形の繰返しからなり、各単位波形では、第1の頂部セグメントが第1の脚部によって谷に連結され、前記谷が第2の脚部に連結され、前記第2の脚部が第2の頂部セグメントに連結され、前記第2の頂部セグメントが前記隣接する単位波形の前記第1の頂部セグメントに連結されて、頂部を形成し、前記第1の脚部が、前記第2の脚部と同じ長さである、付記6~14までのいずれか1項に記載のステントスキャフォールド。
(付記17)
生体吸収性の脂肪族ポリエステルポリマー層によって少なくとも部分的に被覆される、付記6~16までのいずれか1項に記載のステントスキャフォールド。
(付記18)
前記ステントスキャフォールドが、前記生体吸収性の脂肪族ポリエステルポリマー層によって一方または両方の端部で被覆される、付記17に記載のステントスキャフォールド。
(付記19)
前記ステントスキャフォールドが、前記生体吸収性の脂肪族ポリエステルポリマー層によって実質上被覆される、付記17に記載のステントスキャフォールド。
(付記20)
前記ポリマー層が、20ミクロン以下の厚さを有する共形の脂肪族ポリエステルポリマー層である、付記17~19までのいずれか1項に記載のステントスキャフォールド。
(付記21)
付記5~20までのいずれか1項に記載のステントスキャフォールドを備え、前記ステントスキャフォールドの少なくとも2つの巻きをつなぐ生体吸収性ポリマーコネクタをさらに備えるステント。
(付記22)
前記コネクタが、前記ステントスキャフォールドの全長に沿って前記スキャフォールドの1巻きごとに取り付けられる、付記21に記載のステント。
(付記23)
2つ、3つ、または4つのコネクタを備え、前記コネクタが、前記ステントスキャフォールドの円周に互いから等距離に隔置される、付記21または22に記載のステント。
(付記24)
前記コネクタまたは各コネクタの前記長手方向軸が、前記ステントスキャフォールドの前記長手方向軸と位置合わせされる、付記21~23までのいずれか1項に記載のステント。
(付記25)
前記コネクタまたは各コネクタの長手方向軸が、前記ステントスキャフォールドの前記長手方向軸から角度的にずれている、付記21~23までのいずれか1項に記載のステント。
(付記26)
第1の組のコネクタを備え、各コネクタの前記長手方向軸が、前記第1の組のコネクタの前記長手方向軸と互いに位置合わせされ、各コネクタの長さが、前記ステントスキャフォールドの長さより小さい、付記21に記載のステント。
(付記27)
前記第1の組の前記コネクタの前記長手方向軸が、前記ステントスキャフォールドの前記長手方向軸と位置合わせされる、付記26に記載のステント。
(付記28)
前記第1の組の前記コネクタの前記長手方向軸が、前記ステントスキャフォールドの前記長手方向軸から角度的にずれている、付記26に記載のステント。
(付記29)
第1の組のコネクタを備え、各コネクタの前記長手方向軸が、前記第1の組のコネクタの前記長手方向軸と互いに同じ螺旋角を有し、各コネクタの長さが、前記ステントスキャフォールドの長さより小さい、付記21に記載のステント。
(付記30)
第1および第2の組のコネクタを備え、各組が、前記ステントスキャフォールドの前記円周に等距離に隔置される、付記26~29までのいずれか1項に記載のステント。
(付記31)
第1、第2、および第3の組のコネクタを備え、各組が、前記ステントスキャフォールドの前記円周に等距離に隔置される、付記30に記載のステント。
(付記32)
前記ステントの前記長さに沿ってすべての箇所に少なくとも1つのコネクタが存在する、付記26~31までのいずれか1項に記載のステント。
(付記33)
前記コネクタが前記ステントスキャフォールドのストラットを部分的に包み、したがって角張った体腔における前記ステントの拡張中に、前記コネクタが前記ステントスキャフォールドから少なくとも部分的に切り離されるように、少なくとも1つのコネクタが前記ステントスキャフォールドに接合される、付記21~32までのいずれか1項に記載のステント。
(付記34)
前記少なくとも1つのコネクタの幅が、前記ワイアの前記直径の100%~500%である、付記33に記載のステント。
(付記35)
少なくとも1つのコネクタが、外部フィンを有する、付記21~34までのいずれか1項に記載のステント。
(付記36)
生体吸収性ポリマーコネクタによって長手方向にともに連結された、付記5~20までのいずれか1項に記載の2つ以上のステントスキャフォールドを備えるステント。
(付記37)
前記生体吸収性ポリマーコネクタがポリエステルである、付記36に記載のステント。
(付記38)
前記生体吸収性ポリマーコネクタが脂肪族ポリエステルである、付記38に記載のステント。
(付記39)
前記生体吸収性ポリマーコネクタが、PLGA(乳酸-グリコール酸共重合体)もしくはPLGA共重合体、またはそれらの混合物である、付記38に記載のステント。
(付記40)
前記ステントの前記長さに沿ってすべての箇所に少なくとも1つのコネクタが存在する、付記36~39までのいずれか1項に記載のステント。
(付記41)
前記生体吸収性ポリマーコネクタが、20~30%のグリコリドおよび70~80%のラクチドの非晶質共重合体であり、前記ポリマーが、70kg/モルより大きい分子量を有する、付記36に記載のステント。
(付記42)
前記コネクタが、螺旋状に配置され、前記コネクタの前記幅が、前記ワイアの前記直径の100%~500%であり、配置後、前記ステントの前記内腔に、前記内腔を進む流体の渦巻き状の流れを引き起こす内部渦巻き状突起が形成される、付記21~41までのいずれか1項に記載のステント。
(付記43)
生物活性剤を含む被覆を有する、付記21~42までのいずれか1項に記載のステント。
(付記44)
前記ステントスキャフォールドの少なくとも2つの巻きをつなぐ生体吸収性ポリマーコネクタをさらに備え、前記生体吸収性ポリマーが脂肪族ポリエステルであり、前記ステントが、生物活性剤を含む被覆を有する、付記10に記載のステント。
(付記45)
ハイブリッドステントを作製する方法であって、
3Dプリンタを使用して付記5~20までのいずれか1項に記載のステントスキャフォールドの表面上へポリマーを押し出し、前記表面上にポリマーコネクタを形成することを含む、方法。
(付記46)
前記ポリマーが生体吸収性ポリマーである、付記45に記載の方法。
(付記47)
前記ポリマーがポリエステルである、付記46に記載の方法。
(付記48)
前記生体吸収性ポリマーが、PGLAの単独重合体または共重合体である、付記46または47に記載の方法。
(付記49)
前記ステントスキャフォールドが、印刷プロセス中に加熱される、付記45~48までのいずれか1項に記載の方法。
(付記50)
前記ステントスキャフォールドが、40~60℃の温度まで加熱される、付記49に記載の方法。
(付記51)
前記ステントスキャフォールドが、前記3Dプリンタにつながれた回転心棒上へ取り付けられる、付記45~50までのいずれか1項に記載の方法。
(付記52)
3Dプリンタを使用して前記ステントスキャフォールドの前記表面上へポリマーを押し出し、前記表面上にポリマーコネクタを形成する前記ステップの前に、前記ステントスキャフォールドが、生体吸収性の脂肪族ポリエステルポリマー層によって少なくとも部分的に被覆される、付記45~51までのいずれか1項に記載の方法。
(付記53)
前記ステントスキャフォールドが、前記生体吸収性の脂肪族ポリエステルポリマー層によって一方または両方の端部で被覆される、付記52に記載の方法。
(付記54)
前記ステントスキャフォールドが、前記生体吸収性の脂肪族ポリエステルポリマー層によって実質上被覆される、付記52に記載の方法。
(付記55)
前記生体吸収性の脂肪族ポリエステルポリマー層が、20ミクロン以下の厚さを有する共形の脂肪族ポリエステルポリマー層である、付記53または54に記載の方法。
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