(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】表示装置、モジュール及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H10K 59/30 20230101AFI20231101BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231101BHJP
H10K 50/852 20230101ALI20231101BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20231101BHJP
H10K 59/60 20230101ALI20231101BHJP
H10K 59/80 20230101ALI20231101BHJP
H10K 59/90 20230101ALI20231101BHJP
【FI】
H10K59/30
G09F9/30 308Z
G09F9/30 349B
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
H10K50/852
H10K59/10
H10K59/60
H10K59/80
H10K59/90
(21)【出願番号】P 2020560640
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 IB2019060681
(87)【国際公開番号】W WO2020128735
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2018239832
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018239835
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大介
(72)【発明者】
【氏名】大澤 信晴
(72)【発明者】
【氏名】渡部 剛吉
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 太介
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-066626(JP,A)
【文献】特開2018-147877(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0261652(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0364527(US,A1)
【文献】特開2010-050014(JP,A)
【文献】特開2015-162463(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0096959(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 59/30
G09F 9/30
H10K 50/852
H10K 59/10
H10K 59/60
H10K 59/80
H10K 59/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を有する表示装置であり、
前記表示部は、第1の発光デバイス、第2の発光デバイス、及び受光デバイスを有し、
前記第1の発光デバイスは、可視光及び赤外光の双方を発する機能を有し、
前記第2の発光デバイスは、可視光を発する機能を有し、
前記受光デバイスは、可視光及び赤外光のうち少なくとも一部を吸収する機能を有し、
前記第1の発光デバイスは、第1の画素電極、第1の発光層、第2の発光層、及び共通電極を有し、
前記第1の発光層及び前記第2の発光層は、それぞれ、前記第1の画素電極と前記共通電極との間に位置し、
前記第2の発光デバイスは、第2の画素電極、第3の発光層、及び前記共通電極を有し、
前記第3の発光層は、前記第2の画素電極と前記共通電極との間に位置し、
前記受光デバイスは、第3の画素電極、活性層、及び前記共通電極を有し、
前記活性層は、前記第3の画素電極と前記共通電極との間に位置し、
前記第1の発光層は、赤外光を発する発光材料を有し、
前記第2の発光層及び前記第3の発光層は、それぞれ異なる波長の可視光を発する発光材料を有し、
前記活性層は、有機化合物を有する、表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の発光デバイスは、共通層を有し、
前記第2の発光デバイスは、前記共通層を有し、
前記受光デバイスは、前記共通層を有し、
前記共通層は、前記第1の画素電極と前記共通電極との間に位置する領域と、前記第2の画素電極と前記共通電極との間に位置する領域と、前記第3の画素電極と前記共通電極との間に位置する領域と、を有する、表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第1の発光層は、前記第1の画素電極と前記第2の発光層との間に位置する、表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記第1の画素電極は、可視光及び赤外光を反射する機能を有し、
前記共通電極は、可視光及び赤外光を透過する機能を有し、
前記第2の発光層は、青色の光を発する発光材料を有する、表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記第1の発光層は、ピーク波長λ
aの光を発し、
前記第2の発光層は、ピーク波長λ
bの光を発し、
前記第1の発光層の発光領域は、前記第1の画素電極からの光学距離がλ
a/4
の±20nm以内の範囲に位置し、
前記第2の発光層の発光領域は、前記第1の画素電極からの光学距離が3λ
b/4
の±20nm以内の範囲に位置する、表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
前記第1の発光デバイスは、さらに、正孔輸送層を有し、
前記第1の発光層は、ピーク波長λ
aの光を発し、
前記第2の発光層は、ピーク波長λ
bの光を発し、
前記正孔輸送層は、波長λ
bの光に対する屈折率が、波長λ
aの光に対する屈折率よりも0.1以上大きい、表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
前記第1の発光デバイスは、さらに、電子輸送層を有し、
前記第1の発光層は、ピーク波長λ
aの光を発し、
前記第2の発光層は、ピーク波長λ
bの光を発し、
前記電子輸送層は、波長λ
bの光に対する屈折率が、波長λ
aの光に対する屈折率よりも0.1以上大きい、表示装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2において、
前記第2の発光層は、前記第1の画素電極と前記第1の発光層との間に位置する、表示装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記第1の画素電極は、可視光及び赤外光を透過する機能を有し、
前記共通電極は、可視光及び赤外光を反射する機能を有し、
前記第2の発光層は、青色の光を発する発光材料を有する、表示装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9において、
前記第1の発光層は、ピーク波長λ
aの光を発し、
前記第2の発光層は、ピーク波長λ
bの光を発し、
前記第1の発光層の発光領域は、前記第1の画素電極からの光学距離が3λ
a/4
の±20nm以内の範囲に位置し、
前記第2の発光層の発光領域は、前記第1の画素電極からの光学距離がλ
b/4
の±20nm以内の範囲に位置する、表示装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一において、
前記第1の発光デバイスは、さらに、電荷発生層を有し、
前記電荷発生層は、前記第1の発光層と前記第2の発光層との間に位置する、表示装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか一において、
前記第1の発光デバイス及び前記第2の発光デバイスは、それぞれ、微小光共振器構造を有し、
前記第1の発光デバイスが有する前記微小光共振器構造は、赤色、緑色、または青色の光と、赤外光と、の双方を強める構成であり、
前記第2の発光デバイスが有する前記微小光共振器構造は、赤色、緑色、または青色の光を強める構成である、表示装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか一において、
さらに、第3の発光デバイスを有し、
前記第3の発光デバイスは、第4の画素電極、前記第1の発光層、前記第2の発光層、及び前記共通電極を有し、
前記第1の発光デバイス及び前記第3の発光デバイスは、それぞれ、微小光共振器構造を有し、
前記第1の発光デバイスが有する前記微小光共振器構造は、赤外光を強める構成であり、
前記第3の発光デバイスが有する前記微小光共振器構造は、赤色、緑色、または青色の光を強める構成である、表示装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか一において、
前記表示部は、可撓性を有する、表示装置。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか一に記載の表示装置と、
コネクタまたは集積回路と、を有する、モジュール。
【請求項16】
請求項15に記載のモジュールと、
アンテナ、バッテリ、筐体、カメラ、スピーカ、マイク、及び操作ボタンのうち、少なくとも一つと、を有する、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、発光デバイス、発光装置、発光モジュール、電子機器、及び照明装置に関する。本発明の一態様は、表示装置、表示モジュール、及び電子機器に関する。本発明の一態様は、受光デバイスと発光デバイスとを有する表示装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置(例えば、タッチセンサなど)、入出力装置(例えば、タッチパネルなど)、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
近年、表示装置は様々な用途への応用が期待されている。例えば、大型の表示装置の用途としては、家庭用のテレビジョン装置(テレビまたはテレビジョン受信機ともいう)、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、PID(Public Information Display)等が挙げられる。また、携帯情報端末として、タッチパネルを備えるスマートフォンやタブレット端末の開発が進められている。
【0004】
表示装置としては、例えば、発光デバイス(発光素子ともいう)を有する発光装置が開発されている。エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、以下ELと記す)現象を利用した発光デバイス(ELデバイス、EL素子とも記す)は、薄型軽量化が容易である、入力信号に対し高速に応答可能である、直流低電圧電源を用いて駆動可能である等の特徴を有し、表示装置に応用されている。例えば、特許文献1に、有機ELデバイス(有機EL素子ともいう)が適用された、可撓性を有する発光装置が開示されている。
【0005】
また、個人認証、不良解析、医療診断、セキュリティ関連など、様々な用途でイメージセンサが用いられている。イメージセンサは、用途に応じて、用いる光源の波長が使い分けられている。イメージセンサでは、例えば、可視光、X線などの短波長の光、近赤外光などの長波長の光など、様々な波長の光が用いられている。
【0006】
発光デバイスは、上記のようなイメージセンサの光源としての応用も検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一態様は、可視光及び赤外光を発する機能を有する発光装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、利便性の高い発光装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、多機能の発光装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、新規な発光装置を提供することを課題の一とする。
【0009】
本発明の一態様は、光検出機能を有する表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、可視光及び赤外光を発する機能と、光検出機能と、を有する表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、利便性の高い表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、多機能の表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、新規な表示装置を提供することを課題の一とする。
【0010】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、第1の発光デバイスと、第2の発光デバイスと、を有する、発光装置である。第1の発光デバイスは、第1の画素電極、第1の発光層、第2の発光層、及び共通電極を有する。第1の発光層及び第2の発光層は、それぞれ、第1の画素電極と共通電極との間に位置する。第2の発光デバイスは、第2の画素電極、第3の発光層、及び共通電極を有する。第3の発光層は、第2の画素電極と共通電極との間に位置する。第1の発光層は、赤外光を発する発光材料を有する。第2の発光層及び第3の発光層は、それぞれ異なる波長の可視光を発する発光材料を有する。
【0012】
例えば、第1の画素電極が可視光及び赤外光を反射する機能を有し、共通電極が可視光及び赤外光を透過する機能を有し、第2の発光層が青色の光を発する発光材料を有する場合、第1の発光層は、第1の画素電極と第2の発光層との間に位置することが好ましい。つまり、第1の発光デバイスの発する光が共通電極側に取り出される場合、第1の発光層は、第1の画素電極と第2の発光層との間に位置することが好ましい。
【0013】
第1の発光層がピーク波長λaの光を発し、第2の発光層がピーク波長λbの光を発する場合、第1の発光層の発光領域は、第1の画素電極からの光学距離がλa/4またはその近傍に位置することが好ましく、第2の発光層の発光領域は、第1の画素電極からの光学距離が3λb/4またはその近傍に位置することが好ましい。
【0014】
第1の発光デバイスは、さらに、正孔輸送層及び電子輸送層の一方又は双方を有することが好ましい。第1の発光層がピーク波長λaの光を発し、第2の発光層がピーク波長λbの光を発する場合、正孔輸送層は、波長λbの光に対する常光屈折率が、波長λaの光に対する常光屈折率よりも0.1以上大きいことが好ましい。また、電子輸送層は、波長λbの光に対する常光屈折率が、波長λaの光に対する常光屈折率よりも0.1以上大きいことが好ましい。
【0015】
例えば、第1の画素電極が可視光及び赤外光を透過する機能を有し、共通電極が可視光及び赤外光を反射する機能を有し、第2の発光層が青色の光を発する発光材料を有する場合、第2の発光層は、第1の画素電極と第1の発光層との間に位置することが好ましい。つまり、第1の発光デバイスの発する光が第1の画素電極側に取り出される場合、第2の発光層は、第1の画素電極と第1の発光層との間に位置することが好ましい。
【0016】
第1の発光層は、ピーク波長λaの光を発し、第2の発光層は、ピーク波長λbの光を発する場合、第1の発光層の発光領域は、第1の画素電極からの光学距離が3λa/4またはその近傍に位置することが好ましく、第2の発光層の発光領域は、第1の画素電極からの光学距離がλb/4またはその近傍に位置することが好ましい。
【0017】
第1の発光デバイスは、可視光及び赤外光の双方を発する機能を有することが好ましく、第2の発光デバイスは、可視光を発する機能を有することが好ましい。
【0018】
第1の発光デバイスは、第1の発光層と第2の発光層との間に位置する電荷発生層を有することが好ましい。
【0019】
第1の発光デバイス及び第2の発光デバイスは、それぞれ、微小光共振器構造を有することが好ましい。第1の発光デバイスが有する微小光共振器構造は、赤色、緑色、または青色の光と、赤外光と、の双方を強める構成であることが好ましい。第2の発光デバイスが有する微小光共振器構造は、赤色、緑色、または青色の光を強める構成であることが好ましい。
【0020】
本発明の一態様の発光装置は、さらに、第3の発光デバイスを有することが好ましい。第3の発光デバイスは、第3の画素電極、第1の発光層、第2の発光層、及び共通電極を有する。第1の発光デバイス及び第3の発光デバイスは、それぞれ、微小光共振器構造を有することが好ましい。第1の発光デバイスが有する微小光共振器構造は、赤外光を強める構成であることが好ましい。第3の発光デバイスが有する微小光共振器構造は、赤色、緑色、または青色の光を強める構成であることが好ましい。
【0021】
第1の発光デバイス及び第2の発光デバイスは、さらに、共通層を有することが好ましい。共通層は、第1の画素電極と共通電極との間に位置する領域と、第2の画素電極と共通電極との間に位置する領域と、を有することが好ましい。
【0022】
本発明の一態様は、第1の電極、第1の発光層、第2の発光層、及び第2の電極を有し、赤外光及び可視光の双方を発する機能を有する発光デバイスである。第1の発光層及び第2の発光層は、それぞれ、第1の電極と第2の電極との間に位置する。第1の発光層は、赤外光を発する発光材料を有する。第2の発光層は、可視光を発する発光材料を有する。
【0023】
第1の電極が可視光及び赤外光を反射する機能を有し、第2の電極が可視光及び赤外光を透過する機能を有する場合、第1の発光層は、第1の電極と第2の発光層との間に位置することが好ましい。このとき、第2の発光層は、青色の光を発する発光材料を有することが好ましい。
【0024】
第1の発光層が、ピーク波長λaの光を発し、第2の発光層が、ピーク波長λbの光を発する場合、第1の発光層の発光領域は、第1の電極からの光学距離がλa/4またはその近傍に位置することが好ましく、第2の発光層の発光領域は、第1の電極からの光学距離が3λb/4またはその近傍に位置することが好ましい。
【0025】
本発明の一態様の発光デバイスは、さらに、正孔輸送層及び電子輸送層の一方又は双方を有することが好ましい。第1の発光層がピーク波長λaの光を発し、第2の発光層がピーク波長λbの光を発する場合、正孔輸送層は、波長λbの光に対する常光屈折率が、波長λaの光に対する常光屈折率よりも0.1以上大きいことが好ましい。また、電子輸送層は、波長λbの光に対する常光屈折率が、波長λaの光に対する常光屈折率よりも0.1以上大きいことが好ましい。
【0026】
第1の電極が可視光及び赤外光を反射する機能を有し、第2の電極が可視光及び赤外光を透過する機能を有する場合、第2の発光層は、第1の電極と第1の発光層との間に位置することが好ましい。
【0027】
本発明の一態様の発光デバイスは、さらに、第1の発光層と第2の発光層との間に位置する電荷発生層を有することが好ましい。
【0028】
本発明の一態様の発光デバイスは、赤色、緑色、または青色の光と、赤外光と、の双方を強める構成の微小光共振器構造を有することが好ましい。
【0029】
本発明の一態様は、上記構成の発光デバイスを発光部に有する発光装置である。
【0030】
本発明の一態様は、表示部に、第1の発光デバイス、第2の発光デバイス、及び受光デバイスを有する表示装置である。第1の発光デバイスは、可視光及び赤外光の双方を発する機能を有する。第2の発光デバイスは、可視光を発する機能を有する。受光デバイスは、可視光及び赤外光のうち少なくとも一部を吸収する機能を有する。第1の発光デバイスは、第1の画素電極、第1の発光層、第2の発光層、及び共通電極を有する。第1の発光層及び第2の発光層は、それぞれ、第1の画素電極と共通電極との間に位置する。第2の発光デバイスは、第2の画素電極、第3の発光層、及び共通電極を有する。第3の発光層は、第2の画素電極と共通電極との間に位置する。受光デバイスは、第3の画素電極、活性層、及び共通電極を有する。活性層は、第3の画素電極と共通電極との間に位置する。第1の発光層は、赤外光を発する発光材料を有する。第2の発光層及び第3の発光層は、それぞれ異なる波長の可視光を発する発光材料を有する。活性層は、有機化合物を有する。
【0031】
本発明の一態様は、表示部に、第1の発光デバイス、第2の発光デバイス、及び受光デバイスを有する表示装置である。第1の発光デバイスは、可視光及び赤外光の双方を発する機能を有する。第2の発光デバイスは、可視光を発する機能を有する。受光デバイスは、可視光及び赤外光のうち少なくとも一部を吸収する機能を有する。第1の発光デバイスは、第1の画素電極、共通層、第1の発光層、第2の発光層、及び共通電極を有する。第1の発光層及び第2の発光層は、それぞれ、第1の画素電極と共通電極との間に位置する。第2の発光デバイスは、第2の画素電極、共通層、第3の発光層、及び共通電極を有する。第3の発光層は、第2の画素電極と共通電極との間に位置する。受光デバイスは、第3の画素電極、共通層、活性層、及び共通電極を有する。活性層は、第3の画素電極と共通電極との間に位置する。第1の発光層は、赤外光を発する発光材料を有する。第2の発光層及び第3の発光層は、それぞれ異なる波長の可視光を発する発光材料を有する。活性層は、有機化合物を有する。共通層は、第1の画素電極と共通電極との間に位置する領域と、第2の画素電極と共通電極との間に位置する領域と、第3の画素電極と共通電極との間に位置する領域と、を有する。
【0032】
表示装置が有する第1の発光デバイス及び第2の発光デバイスの好ましい構成は、上記発光装置が有する第1の発光デバイス及び第2の発光デバイスの構成と同様である。
【0033】
表示部は、さらに、第3の発光デバイスを有することが好ましい。第3の発光デバイスは、第4の画素電極、第1の発光層、第2の発光層、及び共通電極を有する。第1の発光デバイス及び第3の発光デバイスは、それぞれ、微小光共振器構造を有することが好ましい。第1の発光デバイスが有する微小光共振器構造は、赤外光を強める構成であることが好ましい。第3の発光デバイスが有する微小光共振器構造は、赤色、緑色、または青色の光を強める構成であることが好ましい。
【0034】
表示部は、さらに、レンズを有することが好ましい。レンズは、受光デバイスと重なる部分を有することが好ましい。レンズを透過した光が、受光デバイスに入射する。
【0035】
表示部は、さらに、隔壁を有することが好ましい。隔壁は、第1の画素電極の端部、第2の画素電極の端部、及び第3の画素電極の端部を覆うことが好ましい。第3の画素電極は、隔壁によって、第1の画素電極及び第2の画素電極のそれぞれと電気的に絶縁されていることが好ましい。隔壁は、第1の発光デバイスが発した光の少なくとも一部を吸収する機能を有することが好ましい。
【0036】
表示部は、さらに、有色層を有することが好ましい。有色層は、隔壁の側面に接する部分を有することが好ましい。有色層は、カラーフィルタまたはブラックマトリクスを有することが好ましい。
【0037】
表示部は、可撓性を有することが好ましい。
【0038】
本発明の一態様は、上記いずれかの構成の発光装置または表示装置を有し、フレキシブルプリント回路基板(Flexible Printed Circuit、以下、FPCと記す)もしくはTCP(Tape Carrier Package)等のコネクタが取り付けられたモジュール、またはCOG(Chip On Glass)方式もしくはCOF(Chip On Film)方式等により集積回路(IC)が実装されたモジュール等のモジュールである。なお、本明細書等では、発光装置を有するモジュールを、発光モジュールと呼び、表示装置を有するモジュールを、表示モジュールと呼ぶ場合がある。
【0039】
本発明の一態様は、上記のモジュールと、アンテナ、バッテリ、筐体、カメラ、スピーカ、マイク、及び操作ボタンのうち少なくとも一つと、を有する電子機器である。
【発明の効果】
【0040】
本発明の一態様により、可視光及び赤外光を発する機能を有する発光装置を提供できる。本発明の一態様により、利便性の高い発光装置を提供できる。本発明の一態様により、多機能の発光装置を提供できる。本発明の一態様により、新規な発光装置を提供できる。
【0041】
本発明の一態様により、光検出機能を有する表示装置を提供できる。本発明の一態様により、可視光及び赤外光を発する機能と、光検出機能を有する表示装置を提供できる。本発明の一態様により、利便性の高い表示装置を提供できる。本発明の一態様により、多機能の表示装置を提供できる。本発明の一態様により、新規な表示装置を提供できる。
【0042】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1A~
図1Fは、発光装置の一例を示す断面図である。
図2A~
図2Eは、画素の一例を示す上面図である。
図3A~
図3Dは、発光デバイスの積層構造を説明する図である。
図4A~
図4Dは、発光デバイスの積層構造を説明する図である。
図5A~
図5Dは、発光領域の位置関係を説明する図である。
図6A、
図6Bは、発光装置の一例を示す断面図である。
図6C、
図6Dは、画素の一例を示す上面図である。
図6Eは、発光デバイスの積層構造を説明する図である。
図7A~
図7Cは、発光装置の一例を示す断面図である。
図8A~
図8Cは、発光装置の一例を示す断面図である。
図9は、発光装置の一例を示す斜視図である。
図10A、
図10Bは、発光装置の一例を示す断面図である。
図11Aは、発光装置の一例を示す断面図である。
図11Bは、トランジスタの一例を示す断面図である。
図12A~
図12Dは、表示装置の一例を示す断面図である。
図13A~
図13Eは、画素の一例を示す上面図である。
図14A~
図14Cは、表示装置の一例を示す断面図である。
図15A~
図15Cは、表示装置の一例を示す断面図である。
図16は、表示装置の一例を示す断面図である。
図17A、
図17Bは、表示装置の一例を示す断面図である。
図18Aは、表示装置の一例を示す断面図である。
図18Bは、トランジスタの一例を示す断面図である。
図19は、表示装置の一例を示す断面図である。
図20A、
図20Bは、画素回路の一例を示す回路図である。
図21A、
図21Bは、電子機器の一例を示す図である。
図22A~
図22Dは、電子機器の一例を示す図である。
図23A~
図23Fは、電子機器の一例を示す図である。
図24A~
図24Dは、実施例の発光デバイスを示す図である。
図25は、実施例1の計算に用いた発光スペクトルを示す図である。
図26は、実施例1の計算結果である発光スペクトルを示す図である。
図27は、実施例1の計算結果であるCIE1931色度座標を示す図である。
図28は、実施例1の計算に用いた屈折率を示す図である。
図29は、実施例2の計算に用いた発光スペクトルを示す図である。
図30は、実施例2の計算結果である発光スペクトルを示す図である。
図31は、実施例2の計算結果である発光スペクトルを示す図である。
図32は、実施例2の計算結果であるCIE1931色度座標を示す図である。
図33は、実施例2の計算結果であるCIE1931色度座標を示す図である。
図34は、実施例3の計算に用いた発光スペクトルを示す図である。
図35は、実施例3の計算結果である発光スペクトルを示す図である。
図36は、実施例3の計算結果であるCIE1931色度座標を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0045】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0046】
また、図面において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0047】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能である。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能である。
【0048】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について
図1~
図11を用いて説明する。
【0049】
本発明の一態様の発光装置は、可視光及び赤外光を発する発光デバイスと、可視光を発する発光デバイスと、を有する。可視光としては、波長400nm以上750nm未満の光が挙げられ、例えば、赤色、緑色、または青色の光が挙げられる。赤外光としては、近赤外光が挙げられ、具体的には、波長750nm以上1300nm以下の光が挙げられる。
【0050】
本発明の一態様の発光装置は、第1の発光デバイスと、第2の発光デバイスと、を有する。第1の発光デバイスは、第1の画素電極、第1の発光層、第2の発光層、及び共通電極を有する。第1の発光層及び第2の発光層は、それぞれ、第1の画素電極と共通電極との間に位置する。第2の発光デバイスは、第2の画素電極、第3の発光層、及び共通電極を有する。第3の発光層は、第2の画素電極と共通電極との間に位置する。第1の発光層は、赤外光を発する発光材料を有する。第2の発光層及び第3の発光層は、それぞれ異なる波長の可視光を発する発光材料を有する。
【0051】
第1の発光層が有する発光材料は、最大ピーク波長(ピーク強度が最も高い波長ともいえる)が750nm以上1300nm以下の光を発することが好ましい。第2の発光層及び第3の発光層が有する発光材料は、それぞれ、最大ピーク波長が400nm以上750nm以下の光を発することが好ましい。なお、本明細書等において、単に、ピーク波長と記す場合であっても、最大ピーク波長と言い換えることができる。
【0052】
本発明の一態様の発光装置は、センサ(例えば、イメージセンサや光学式タッチセンサ)の光源として利用することができる。本発明の一態様の発光装置は、可視光及び赤外光の双方を発することができるため、可視光を光源に用いるセンサと赤外光を光源に用いるセンサのどちらとも組み合わせることができ、利便性が高い。また、可視光及び赤外光の双方を光源に用いるセンサの光源としても用いることができ、センサの機能性を高めることができる。さらに、本発明の一態様の発光装置は、可視光を発することができるため、表示装置として利用することができる。
【0053】
また、本発明の一態様の発光装置では、1つの副画素が、可視光と赤外光との双方を発する構成とすることができる。例えば、それぞれ、赤色、緑色、または青色を発する3つの副画素のいずれかを赤外光を発する構成とすることができる。可視光を発する副画素が、赤外光を発する副画素を兼ねることで、赤外光を発する副画素を別途設けなくてよい。したがって、1つの画素が有する副画素の数を増やさずに、発光装置を、可視光及び赤外光の双方を発する構成とすることができる。これにより、画素の開口率の低下を抑制でき、発光装置の発光効率を高めることができる。
【0054】
また、本発明の一態様の発光装置は、可視光及び赤外光を発する発光デバイスと、可視光を発する発光デバイスと、で、共通の構成の層を有することができる。そのため、作製工程を大幅に増やすことなく、発光装置に、赤外光を発する機能を付加することができる。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層のうち少なくとも1つを、可視光及び赤外光を発する発光デバイスと、可視光を発する発光デバイスと、で、同一の構成にすることができる。
【0055】
【0056】
図1A~
図1Fに示す発光装置40A~発光装置40Fは、それぞれ、赤色(R)の光、緑色(G)の光、青色(B)の光、及び赤外光(IR)が射出される構成である。
【0057】
発光装置40A~発光装置40Fは、赤色の光、緑色の光、及び青色の光のうちいずれか一つを発する発光デバイスが、赤外光も発することができる構成である。
【0058】
本発明の一態様の発光装置は、発光デバイスが形成されている基板とは反対方向に光を射出するトップエミッション型、発光デバイスが形成されている基板側に光を射出するボトムエミッション型、両面に光を射出するデュアルエミッション型のいずれであってもよい。
【0059】
図1A~
図1Fでは、発光デバイスが基板152側に光を射出する発光装置を示す。
【0060】
図1Aに示す発光装置40Aは、基板151と基板152との間に、発光デバイス47R、発光デバイス47G、及び発光デバイス47Bを有する。
【0061】
図1Bに示す発光装置40Bは、発光装置40Aの構成に加えて、基板151と基板152との間に、トランジスタを有する層45を有する。
【0062】
発光装置40A及び発光装置40Bにおいて、発光デバイス47Rは、赤色(R)の光と、赤外光(IR)と、の双方を発することができ、発光デバイス47Gは、緑色(G)の光を発することができ、発光デバイス47Bは、青色(B)の光を発することができる。
【0063】
図1Cに示す発光装置40Cは、基板151と基板152との間に、発光デバイス47R、発光デバイス47G、及び発光デバイス47Bを有する。
【0064】
図1Dに示す発光装置40Dは、発光装置40Cの構成に加えて、基板151と基板152との間に、トランジスタを有する層45を有する。
【0065】
発光装置40C及び発光装置40Dにおいて、発光デバイス47Gは、緑色(G)の光と、赤外光(IR)と、の双方を発することができ、発光デバイス47Rは、赤色(R)の光を発することができ、発光デバイス47Bは、青色(B)の光を発することができる。
【0066】
図1Eに示す発光装置40Eは、基板151と基板152との間に、発光デバイス47R、発光デバイス47G、及び発光デバイス47Bを有する。
【0067】
図1Fに示す発光装置40Fは、発光装置40Eの構成に加えて、基板151と基板152との間に、トランジスタを有する層45を有する。
【0068】
発光装置40E及び発光装置40Fにおいて、発光デバイス47Bは、青色(B)の光と、赤外光(IR)と、の双方を発することができ、発光デバイス47Rは、赤色(R)の光を発することができ、発光デバイス47Gは、緑色(G)の光を発することができる。
【0069】
トランジスタを有する層45は、複数のトランジスタを有する。例えば、トランジスタを有する層45は、発光デバイスと電気的に接続されるトランジスタを有する。
【0070】
発光デバイス47Bの発光スペクトルの可視光領域の最大ピーク波長(第1のピーク波長ともいう)は、例えば、400nm以上480nm以下とすることができる。
【0071】
発光デバイス47Rの発光スペクトルの可視光領域の最大ピーク波長(第2のピーク波長ともいう)は、例えば、580nm以上750nm未満とすることができる。
【0072】
発光デバイス47Gの発光スペクトルの可視光領域の最大ピーク波長(第3のピーク波長ともいう)は、第1のピーク波長と第2のピーク波長の間の波長とすることができる。例えば、第3のピーク波長は、480nm以上580nm未満とすることができる。
【0073】
赤外光を発する発光デバイスの発光スペクトルの赤外領域の最大ピーク波長(第4のピーク波長ともいう)は、第2のピーク波長よりも長波長とすることができる。例えば、第4のピーク波長は、750nm以上1300nm以下とすることができる。
【0074】
【0075】
本発明の一態様の発光装置は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。1つの画素は、1つ以上の副画素を有する。1つの副画素は、1つの発光デバイスを有する。例えば、画素には、副画素を3つ有する構成(R、G、Bの3色、または、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色など)、または、副画素を4つ有する構成(R、G、B、白色(W)の4色、または、R、G、B、Yの4色など)を適用できる。
【0076】
本発明の一態様の発光装置は、画素を構成するこれら副画素の少なくとも1つが可視光に加えて赤外光を射出する構成である。
【0077】
図2A~
図2Cに示す画素は、それぞれ、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の副画素(3つの発光デバイス)を有する。
図2Aは、赤色(R)の副画素が赤外光(IR)を射出する構成であり、
図2Bは、緑色(G)の副画素が赤外光(IR)を射出する構成であり、
図2Cは、青色(B)の副画素が赤外光(IR)を射出する構成である。
【0078】
図2D、
図2Eに示す画素は、それぞれ、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、及び白色(W)の4色の副画素(4つの発光デバイス)を有する。
図2D、
図2Eは、赤色(R)の副画素が赤外光(IR)を射出する構成であるが、これに限定されず、他の色の副画素が赤外光を射出する構成であってもよい。
図2Dは、横一列に4つの副画素が配置されている例であり、
図2Eは、2×2のマトリクス状に4つの副画素が配置されている例である。
【0079】
[発光デバイスの構成]
以下では、
図3~
図5を用いて、本発明の一態様の発光装置が有する発光デバイスの構成について説明する。
【0080】
なお、本明細書等において、特に説明のない限り、要素(発光デバイス、発光層など)を複数有する構成を説明する場合であっても、各々の要素に共通する事項を説明する場合には、アルファベットを省略して説明する。例えば、発光層193R及び発光層193G等に共通する事項を説明する場合に、発光層193と記す場合がある。
【0081】
図3A~
図3D及び
図4A~
図4Dに示す発光装置は、それぞれ、基板151上に、トランジスタを有する層45を介して、赤色(R)の光を発する発光デバイス47R、緑色(G)の光を発する発光デバイス47G、及び青色(B)の光を発する発光デバイス47Bを有する。3つの発光デバイスのうち少なくとも1つは赤外光を発する機能を有する。
図3A~
図3D及び
図4A~
図4Dにおいて、赤外光を発する発光デバイスには、符号の後に(IR)を付す。
【0082】
各色の発光デバイスは、画素電極191、共通電極115、及び、少なくとも1つの発光ユニットを有する。画素電極191は、発光デバイスごとに設けられる。共通電極115は、複数の発光デバイスに共通で用いられる。画素電極191及び共通電極115は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。発光ユニットは、少なくとも1つの発光層193を有する。
【0083】
図3A~
図3D及び
図4A~
図4Dでは、発光デバイスが基板151に形成されており、発光デバイスが共通電極115側に光を射出するトップエミッション型の発光装置を示す。共通電極115は可視光及び赤外光に対する透過性を有する電極(透明電極ともいう)、または、可視光及び赤外光に対する透過性及び反射性を有する電極(半透過・半反射電極ともいう)である。画素電極191は可視光及び赤外光に対する反射性を有する電極(反射電極ともいう)であることが好ましい。
【0084】
発光デバイスは、画素電極191と共通電極115との間に1つの発光ユニットを有するシングル構造であってもよく、複数の発光ユニットを有するタンデム構造であってもよい。
【0085】
可視光を発し、かつ赤外光を発しない発光デバイスは、シングル構造であると、生産性が高まり好ましい。可視光及び赤外光の双方を発する発光デバイスも、シングル構造であると、生産性が高まり好ましい。また、可視光及び赤外光の双方を発する発光デバイスは、タンデム構造であると、光学距離の最適化が容易となる、発光強度が高まる、等の利点があり好ましい。
【0086】
図3A~
図3Dは、各色の発光デバイスがシングル構造である例である。
【0087】
図3A、
図3Bは、発光デバイス47B(IR)が青色の光及び赤外光を発する構成である。
【0088】
図3Aに示す発光デバイス47Rは、画素電極191と共通電極115との間に、バッファ層192R、発光層193R、及びバッファ層194Rをこの順で有する。発光層193Rは、赤色の光を発する発光材料を有する。
【0089】
図3Aに示す発光デバイス47Gは、画素電極191と共通電極115との間に、バッファ層192G、発光層193G、及びバッファ層194Gをこの順で有する。発光層193Gは、緑色の光を発する発光材料を有する。
【0090】
図3Aに示す発光デバイス47B(IR)は、画素電極191と共通電極115との間に、バッファ層192B、発光層193N、発光層193B、及びバッファ層194Bをこの順で有する。発光層193Nは、赤外光を発する発光材料を有する。発光層193Bは、青色の光を発する発光材料を有する。
【0091】
詳細は後述するが、発光デバイス47B(IR)では、発光層193Nの方が発光層193Bよりも、反射電極(
図3Aでは画素電極191)の近くに位置することが好ましい。反射電極と発光層193Bの間に発光層193Nを設け、反射電極から発光層193Bを離すことで、青色の光の取り出し効率を高めることができる。
【0092】
発光ユニットは、発光層193以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。これらの層は、各色の発光デバイスで互いに異なる構成であってもよい。
【0093】
例えば、各色の発光デバイスにおいて、画素電極191と発光層193との間に設けられるバッファ層192は、それぞれ、正孔注入層及び正孔輸送層の一方又は双方を有することが好ましい。また、例えば、各色の発光デバイスにおいて、発光層193と共通電極115との間に設けられるバッファ層194は、それぞれ、電子輸送層及び電子注入層の一方または双方を有することが好ましい。バッファ層192R、192G、192B、194R、194G、194Bは、それぞれ単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0094】
図3Bに示す発光装置は、バッファ層192R、192G、192Bを有さず、共通層112を有する点、及び、バッファ層194R、194G、194Bを有さず、共通層114を有する点で、
図3Aに示す発光装置と異なる。
【0095】
共通層112は、正孔注入層及び正孔輸送層の一方または双方を有することが好ましい。共通層114は、電子輸送層及び電子注入層の一方または双方を有することが好ましい。共通層112、114は、それぞれ単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0096】
発光層193以外の層の少なくとも一部を、各色の発光デバイスで共通の構成とすることができる。これにより、発光装置の作製工程を削減でき、好ましい。
【0097】
図3C、
図3Dは、発光デバイス47R(IR)が赤色の光及び赤外光を発する構成である。
【0098】
図3C、
図3Dに示す発光デバイス47R(IR)は、画素電極191と共通電極115との間に、共通層112、バッファ層192R、発光層193R、発光層193N、バッファ層194R、及び共通層114を有する。発光層193Rは、赤色の光を発する発光材料を有する。発光層193Nは、赤外光を発する発光材料を有する。
【0099】
図3Cに示す発光デバイス47R(IR)は、画素電極191と発光層193Nとの間に発光層193Rを有する。一方、
図3Dに示す発光デバイス47R(IR)は、画素電極191と発光層193Rとの間に発光層193Nを有する。発光層193Rと発光層193Nの積層順に特に限定はない。
【0100】
図3C、
図3Dに示す発光デバイス47Gは、画素電極191と共通電極115との間に、共通層112、バッファ層192G、発光層193G、バッファ層194G、及び共通層114をこの順で有する。発光層193Gは、緑色の光を発する発光材料を有する。
【0101】
図3C、
図3Dに示す発光デバイス47Bは、画素電極191と共通電極115との間に、共通層112、バッファ層192B、発光層193B、バッファ層194B、及び共通層114をこの順で有する。発光層193Bは、青色の光を発する発光材料を有する。
【0102】
図3C、
図3Dに示すように、各色の発光デバイスは、発光層193以外の層の一部(バッファ層)を色ごとに作り分け、他の一部(共通層)を共通で用いる構成である。このように、発光層193以外の層の一部を、各色の発光デバイスで共通の構成とすることで、発光装置の作製工程を削減でき、好ましい。なお、本発明の一態様の発光装置は、バッファ層192R、192G、192B、194R、194G、194B及び共通層112、114のうち、一部の層を有していなくてもよい。
【0103】
例えば、
図3C、
図3Dにおいて、共通層112は正孔注入層を有し、バッファ層192R、192G、192Bは正孔輸送層を有し、バッファ層194R、194G、194Bは電子輸送層を有し、共通層114は電子注入層を有することが好ましい。
【0104】
図4A~
図4Cは、赤外光を発する発光デバイスがタンデム構造であり、他の発光デバイスがシングル構造である例である。
【0105】
図4Aは、発光層193Nと発光層193Bとの間に中間層198を有する点で、
図3Aと異なる。同様に、
図4Bは、発光層193Nと発光層193Bとの間に中間層198を有する点で、
図3Bと異なる。また、
図4Cは、発光層193Nと発光層193Rとの間に中間層198を有する点で、
図3Cと異なる。
【0106】
中間層198は、少なくとも電荷発生層を有する。電荷発生層は2つの発光ユニットの間に位置する。電荷発生層は、一対の電極間に電圧が印加されたとき、隣接する一方の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔(ホール)を注入する機能を有する。中間層198は、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質等を含む層をさらに有していてもよい。
【0107】
赤外光を発する発光層(発光層193N)と、可視光を発する発光層(発光層193B、発光層193G、または発光層193R)と、を1つの発光ユニットに有するシングル構造の場合、励起子を2つの発光層で分け合うため、可視光及び赤外光の発光強度が低くなる。
図4A~
図4Cに示すように、発光層193Nを有する発光ユニットと、発光層193Bまたは発光層193Rを有する発光ユニットと、を分けたタンデム構造を発光デバイスに適用することで、可視光及び赤外光の発光強度を高めることができる。
【0108】
可視光及び赤外光の双方を発する発光デバイスにタンデム構造を適用する場合でも、発光層以外の層の一部を、他の発光デバイスと共通の構成にすることができる。
【0109】
例えば、
図4Bに示す発光デバイス47B(IR)は、画素電極191と下側の発光層193Nとの間に共通層112を有し、共通電極115と上側の発光層193Bとの間に共通層114を有する。共通層112及び共通層114は、他の発光デバイスと共通の構成である。
【0110】
また、
図4Cに示す発光デバイス47R(IR)は、画素電極191と下側の発光層193Nとの間に共通層112及びバッファ層192Rを有し、共通電極115と上側の発光層193Bとの間に共通層114及びバッファ層194Rを有する。共通層112及び共通層114は、他の発光デバイスと共通の構成であり、バッファ層192R及びバッファ層194Rは、他の発光デバイスと作り分けられた構成である。
【0111】
また、
図4Dに示す発光装置は、共通電極115上にバッファ層116を有する点で、
図3Aに示す発光装置と異なる。バッファ層116としては、有機膜、半導体膜、無機絶縁膜等が挙げられる。
図4Dに示す発光装置は、発光デバイスの発光をバッファ層116側に取り出す構成であるため、バッファ層116は可視光及び赤外光を透過する機能を有することが好ましい。これにより、バッファ層116による光の吸収を抑制し、発光デバイスの光取り出し効率を高めることができる。有機膜としては、発光デバイスに用いることができる、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質等を含む層が挙げられる。半導体膜としては、可視光及び赤外光を透過する半導体膜が挙げられる。無機絶縁膜としては、窒化シリコン膜などが挙げられる。バッファ層116は、パッシベーション機能を有することが好ましい。これにより、発光デバイスに水分等の不純物が入り込むことを抑制できる。また、共通電極115が可視光及び赤外光を反射する機能を有する場合、バッファ層116を設けることで、共通電極115における表面プラズモンによる光エネルギーの損失を低減することができる。
【0112】
発光デバイスには、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造が適用されていることが好ましい。したがって、発光デバイスが有する一対の電極の一方は、可視光及び赤外光に対する透過性及び反射性を有する電極(半透過・半反射電極)を有することが好ましく、他方は、可視光及び赤外光に対する反射性を有する電極(反射電極)を有することが好ましい。
【0113】
透光性を有する電極の光の透過率は、40%以上とする。例えば、発光デバイスには、可視光(波長400nm以上750nm未満の光)及び近赤外光(波長750nm以上1300nm以下の光)のそれぞれの透過率が40%以上である電極を用いることが好ましい。また、半透過・半反射電極の可視光及び近赤外光それぞれの反射率は、10%以上95%以下、好ましくは30%以上80%以下とする。反射電極の可視光及び近赤外光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、これらの電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。
【0114】
以下では、画素電極191に反射電極を用い、共通電極115に半透過・半反射電極を用いた、トップエミッション型の発光デバイスを例に挙げて説明する。発光デバイスがマイクロキャビティ構造を有することで、発光層193から得られる発光を両電極間で共振させ、共通電極115を透過して射出される光を強めることができる。
【0115】
なお、発光デバイスに、画素電極191側に光を射出する構成(ボトムエミッション型)を適用することもできる。具体的には、共通電極115に反射電極を用い、画素電極191に可視光及び赤外光を透過する電極(透明電極ともいう)または半透過・半反射電極を用いることで、画素電極191側に光を射出させることができる。
【0116】
各色の発光デバイスが有する一対の電極の材料及び膜厚等は等しくすることができる。これにより、発光装置の作製コストの削減及び作製工程の簡略化ができる。
【0117】
発光デバイスは、色ごとに異なる構成で形成される。赤色の光を発する発光デバイス47Rにおいて、一対の電極間の光学距離が赤色発光を強める光学距離となるように、発光ユニットの膜厚を調整することが好ましい。同様に、緑色の光を発する発光デバイス47Gにおいて、一対の電極間の光学距離が緑色発光を強める光学距離となるように、発光ユニットの膜厚を調整することが好ましい。そして、青色の光を発する発光デバイス47Bにおいて、一対の電極間の光学距離が青色発光を強める光学距離となるように、発光ユニットの膜厚を調整することが好ましい。さらに、赤外光を発する発光デバイスにおいては、一対の電極間の光学距離が赤外発光をも強める光学距離となることが好ましい。つまり、可視光及び赤外光の双方を発する発光デバイスでは、可視光(赤、緑、または青色)と赤外光との双方が強まる光学距離となるように、発光ユニットの膜厚を調整することが好ましい。なお、半透過・半反射電極が、反射電極と透明電極との積層構造の場合、一対の電極間の光学距離とは、一対の反射電極間の光学距離を示す。
【0118】
具体的には、発光層193から得られる光の波長λに対して、画素電極191と共通電極115との光学距離がnλ/2(nは自然数)またはその近傍となるように調整することが好ましい。
【0119】
なお、本明細書等において、発光層193から得られる光の波長λは、発光層193のピーク波長(特に、最大ピーク波長)とすることができる。また、本明細書等において、波長Xの近傍とは、Xの±20nm以内、好ましくは、Xの±10nm以内の範囲を表す。
【0120】
マイクロキャビティ構造では、一対の電極間の光学距離(反射による位相シフトを含む)の倍数を整数で除した値の波長の光を強めて取り出すことができる。例えば、当該光学距離が500nmの場合、(500×2/1=)1000nm、(500×2/2=)500nm、(500×2/3=)333nm、(500×2/4=)250nm、などの光を強めて取り出すことができる。または、当該光学距離が500nmの場合、(500×3/1=)1500nm、(500×3/2=)750nm、(500×3/3=)500nm、(500×3/4=)375nm、などの光を強めて取り出すこともできる。
【0121】
したがって、可視光と赤外光との公倍数となる光学距離を採用することで、可視光及び赤外光の双方を効率的に取り出すことができる。
【0122】
ここで、フルカラー表示における品質の指標としていくつかの規格値が定められている。例えば、ディスプレイ、プリンタ、デジタルカメラ、スキャナなどの機器において、機器間の色再現の違いを統一するためにIEC(国際電気標準会議)が定めた国際標準の色空間に関する規格としてsRGB規格が広く定着している。そのほかの規格としては、アメリカの国家テレビ標準化委員会(National Television System Committee)が作成したアナログテレビ方式の色域規格であるNTSC規格、デジタル映画(シネマ)を配給する際の国際的な統一規格であるDCI-P3(Digital Cinema Initiatives)規格、NHKが定めた高精細なUHDTV(Ultra High Definition Television、スーパーハイビジョンともいう)で使われる規格、Recommendation ITU-R BT.2020(以下、BT.2020)などが挙げられる。このような規格値によって、R、G、Bの波長は既定されているため、可視光と共に取り出すことができる赤外光の波長は制限される。
【0123】
例えば、BT.2020で規定されているR、G、Bに相当する光の波長とそのn次光(nは自然数)を表1に示す。
【0124】
【0125】
表1から、マイクロキャビティ構造により、BT.2020で規定されているR、G、Bの光のいずれかと共に強めて取り出すことができる赤外光の波長を見積もることができる。なお、nが大きすぎると、光の取り出し効率が低下するため、nは1以上3以下が好ましく、nは1または2であることが特に好ましい。したがって、R、G、Bのn=2に対応する波長である、934nm、1064nm、1260nmや、R、Gのn=3を2で除した波長である、798nm、945nmなどが、R、G、Bの光のいずれかと共に強めて取り出すことができる赤外光であることがわかる。
【0126】
以上のことから、取り出したい赤外光の波長に合わせて、どの色のn次光を応用するか、を適宜決定することが好ましい。
【0127】
また、発光デバイスの光の取り出し効率を高めるためには、一対の電極間の光学距離だけでなく、発光層193の所望の光が得られる領域(発光領域)と反射が生じる電極との間の光学距離も重要である。具体的には、画素電極191と発光領域との間の光学距離を(2m’+1)λ/4またはその近傍とし、共通電極115と発光領域との間の光学距離を(2M+1)λ/4またはその近傍とすることで(m’及びMは、それぞれ、0または自然数、かつ、n=m’+M+1)、効率よく光を取り出すことができる。なお、ここでいう発光領域とは、発光層における正孔(ホール)と電子との再結合領域を示す。
【0128】
図5A、
図5Bに、可視光の2次光(n=2)を応用する例を示す。つまり、赤外光の波長λiは、可視光の波長λvの2倍の長さである。一対の電極間の光学距離は、λi/2=λvである。
図5A、
図5Bに示すように、可視光の2次光を応用する場合、可視光の発光領域と赤外光の発光領域の好ましい位置の組み合わせは2通りである。
【0129】
図5Aでは、画素電極191と可視光の発光領域EM(V)との間の光学距離が、λv/4であり、共通電極115と可視光の発光領域EM(V)との間の光学距離が、3λv/4であり、画素電極191と赤外光の発光領域EM(IR)との間の光学距離が、λi/4であり、共通電極115と赤外光の発光領域EM(IR)との間の光学距離が、λi/4である例を示す。
【0130】
図5Bでは、画素電極191と可視光の発光領域EM(V)との間の光学距離が、3λv/4であり、共通電極115と可視光の発光領域EM(V)との間の光学距離が、λv/4であり、画素電極191と赤外光の発光領域EM(IR)との間の光学距離が、λi/4であり、共通電極115と赤外光の発光領域EM(IR)との間の光学距離が、λi/4である例を示す。
【0131】
ここで、反射電極として、特定の金属膜(例えば銀のような貴金属を含む金属膜など)を用いると、表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)の影響により、光取出し効率が低下する場合がある。これは、金属膜の表面またはその近傍で光が金属固有のプラズモン振動と共鳴し、その固有振動に対応する波長の光が取り出せなくなるためである。これは、反射電極と発光層の発光領域までの光学距離が近いほど生じやすい。また、青色の光を発する発光デバイスにおいて生じやすい。
【0132】
そのため、トップエミッション型の青色の光を発する発光デバイス47Bにおいて、画素電極191から発光層193Bの発光領域までの光学距離を(2m’+1)λ/4(m’は自然数)またはその近傍となるように調節するのが好ましい。
【0133】
つまり、トップエミッション型の、青色の光及び赤外光を発する発光デバイス47B(IR)の場合、
図5Bに示す構成を適用することが好ましい。
図5Bの構成は、
図5Aの構成に比べて、画素電極191(反射電極)から青色の発光層193Bの発光領域までの光学距離を長くすることができるため、表面プラズモン共鳴の影響を抑制でき、光の取り出し効率を高めることができる。
【0134】
図3A、
図3B、
図4A、
図4Bに示す発光デバイス47B(IR)では、画素電極191上に発光層193Nを介して、発光層193Bが設けられている。このように、赤外光を発する発光層193Nよりも、赤外光よりも波長が短い青色の光を発する発光層193Bを、画素電極191(反射電極)から離すことで、青色の光の取り出し効率を高めることができる。
【0135】
一方、ボトムエミッション型の発光デバイスの場合、共通電極115に反射電極を用いる。そのため、ボトムエミッション型の青色の光を発する発光デバイスにおいて、共通電極115から発光層193Bの発光領域までの光学距離を(2M+1)λ/4(Mは自然数)またはその近傍となるように調節するのが好ましい。
【0136】
つまり、青色の光及び赤外光を発する、ボトムエミッション型の発光デバイスの場合、
図5Aに示す構成を適用することが好ましい。
図5Aの構成は、
図5Bの構成に比べて、共通電極115(反射電極)から青色の発光層193Bの発光領域までの光学距離を長くすることができるため、表面プラズモン共鳴の影響を抑制でき、光の取り出し効率を高めることができる。
【0137】
青色の光及び赤外光を発する、ボトムエミッション型の発光デバイスの場合、例えば、発光層193Nの方が発光層193Bよりも、反射電極(共通電極115)の近くに位置することが好ましい。反射電極と発光層193Bの間に発光層193Nを設け、反射電極から発光層193Bを離すことで、青色の光の取り出し効率を高めることができる。
【0138】
なお、赤色の光及び赤外光を発する発光デバイス47R(IR)または緑色の光及び赤外光を発する発光デバイス47G(IR)の場合は、
図5A、
図5Bのいずれの構成を適用してもよい。なお、波長によっては、上記の理由から、光取り出し方向に応じて好ましい構成が異なる場合がある。
【0139】
このような光学調整を行うことにより、発光層193から得られる特定の単色光のスペクトルを狭線化させ、色純度のよい発光を得ることができる。また、発光デバイスの光取り出し効率の低下を抑制し、発光装置の消費電力を下げることができる。
【0140】
なお、画素電極191と共通電極115との間の光学距離は、厳密には、画素電極191における反射面から共通電極115における反射面までの距離と屈折率の積に、反射で生じる位相シフトを足し合わせた値で表される。しかし、画素電極191と共通電極115における反射面及び位相シフトを厳密に決定することは困難である。そのため、画素電極191と共通電極115の任意の位置を反射面と仮定し、任意の位相シフトを仮定することで十分に上述の効果を得ることができるものとする。
【0141】
同様に、画素電極191と発光領域との間の光学距離は、厳密には、画素電極191における反射面から発光層における発光領域までの距離と屈折率の積に、反射で生じる位相シフトを足し合わせた値で表される。しかし、画素電極191における反射面及び位相シフト、並びに、発光層における発光領域を厳密に決定することは困難である。そのため、画素電極191の任意の位置を反射面と仮定し、任意の位相シフトを仮定し、発光層の任意の位置を発光領域と仮定することで十分に上述の効果を得ることができるものとする。
【0142】
例えば、発光層193における発光領域は、画素電極191側の面、共通電極115側の面、または、発光層193の中心などと仮定することができる。
【0143】
また、発光デバイス47B(IR)は、一対の電極間の光学距離が、発光層193Bの青色発光の波長となり、かつ、発光層193Nの赤外光の波長の1/2となるよう調整することが好ましい。発光デバイス47Rは、一対の電極間の光学距離が、発光層193Rの赤色発光の波長の1/2となるよう調整することが好ましい。発光デバイス47Gは、一対の電極間の光学距離が、発光層193Gの緑色発光の波長の1/2となるよう調整することが好ましい。このような構成とすることで、各色の光の取り出し効率を高めることができる。
【0144】
R、G、Bの3色の発光デバイスを有する発光装置において、R、Gの一対の電極間の光学距離が各色の波長の1/2となり、Bの一対の電極間の光学距離が青色の波長となるよう作製するには、R、G、Bで、発光層以外の層も作り分ける必要があり、生産性が低下しやすい。また、R、G、Bで、発光層以外の層を共通にする場合、青色の発光の効率向上の観点から、3色で共通に設ける層が厚くなり、3色とも一対の電極間の光学距離が各色の波長となってしまう。
【0145】
一方、本発明の一態様において、青色の光を発する発光デバイスが赤外光を発する構成では、一対の電極間の光学距離を青色の波長に合わせるために、赤外光を発する発光層または発光ユニットの膜厚を調整することができる。したがって、赤色、緑色の光を発する発光デバイスと共通に用いる層を厚くしなくてもよい。これにより、生産性高く、R、Gの一対の電極間の光学距離が各色の波長の1/2となり、Bの一対の電極間の光学距離が青色の波長となるよう作製することができる。
【0146】
図5C、
図5Dに、可視光の3次光(n=3)を応用する例を示す。赤外光の波長λiは、可視光の波長λvの3倍を2で除した長さである。一対の電極間の光学距離は、λi=3λv/2である。
図5C、
図5Dに示すように、可視光の3次光を応用する場合、可視光の発光領域と赤外光の発光領域の好ましい位置の組み合わせは6通りである。
【0147】
図5Cでは、画素電極191と赤外光の発光領域EM(IR)との間の光学距離が、λi/4であり、共通電極115と赤外光の発光領域EM(IR)との間の光学距離が、3λi/4である例を示す。
【0148】
図5Dでは、画素電極191と赤外光の発光領域EM(IR)との間の光学距離が、3λi/4であり、共通電極115と赤外光の発光領域EM(IR)との間の光学距離が、λi/4である例を示す。
【0149】
図5C、
図5Dに示す可視光の発光領域の位置(a)は、画素電極191と可視光の発光領域EM(V)との間の光学距離が、λv/4であり、共通電極115と可視光の発光領域EM(V)との間の光学距離が、5λv/4である。
【0150】
図5C、
図5Dに示す可視光の発光領域の位置(b)は、画素電極191と可視光の発光領域EM(V)との間の光学距離が、3λv/4であり、共通電極115と可視光の発光領域EM(V)との間の光学距離が、3λv/4である。
【0151】
図5C、
図5Dに示す可視光の発光領域の位置(c)は、画素電極191と可視光の発光領域EM(V)との間の光学距離が、5λv/4であり、共通電極115と可視光の発光領域EM(V)との間の光学距離が、λv/4である。
【0152】
タンデム構造の場合、可視光を発する発光層と赤外光を発する発光層との距離が離れていることが好ましいため、
図5Cでは、可視光の発光領域の位置(b)、(c)が好ましく、
図5Dでは、可視光の発光領域の位置(a)、(b)が好ましい。
【0153】
シングル構造の場合、可視光を発する発光層と赤外光を発する発光層との距離が近いことが好ましいため、
図5Cでは、可視光の発光領域の位置(a)が好ましく、
図5Dでは、可視光の発光領域の位置(c)が好ましい。
【0154】
また、発光デバイスを構成する有機膜の屈折率には、波長依存性がある。屈折率の波長依存性を利用して、所望の波長の赤外光を取り出すことができる。
【0155】
可視光から赤外光にかけての波長域において、有機膜の屈折率は低くなる傾向がある。屈折率が低下することで、同じ膜厚でも、色によって光路長が変化し、長波長の光ほど光学距離が短くなる。特に、青色の光の波長と赤外光の波長とでは屈折率に大きな差がある。例えば、青色の光の2次光を応用した場合に取り出せる赤外光の波長は、青色の光の波長の2倍よりも小さくなることがある。有機膜の屈折率の波長依存性を利用して、取り出す赤外光の波長を制御することができる。なお、膜に屈折率の異方性が生じる場合は、常光屈折率の値を利用して、取り出す赤外光の波長を制御することが好ましい。
【0156】
例えば、発光デバイスが有する正孔輸送層は、可視光の波長λvの光に対する常光屈折率が、赤外光の波長λiの光に対する常光屈折率よりも0.1以上大きいことが好ましく、0.2以上大きいことがより好ましい。また、発光デバイスが有する電子輸送層は、可視光の波長λvの光に対する常光屈折率が、赤外光の波長λiの光に対する常光屈折率よりも0.1以上大きいことが好ましく、0.2以上大きいことがより好ましい。これにより、取り出す赤外光のピーク波長を短波長側にシフトすることができる。
【0157】
[変形例]
図6A、
図6Bに本発明の一態様の発光装置の断面図を示す。
【0158】
図6A、
図6Bに示す発光装置40G及び発光装置40Hは、それぞれ、赤色(R)の光、緑色(G)の光、青色(B)の光、及び赤外光(IR)が射出される構成である。
【0159】
発光装置40G及び発光装置40Hは、赤色の光、緑色の光、及び青色の光を取り出す発光デバイスとは別に、赤外光を取り出す発光デバイスを有する構成である。
【0160】
図6Aに示す発光装置40Gは、基板151と基板152との間に、発光デバイス47R、発光デバイス47G、発光デバイス47B、及び発光デバイス47Nを有する。
【0161】
図6Bに示す発光装置40Hは、発光装置40Gの構成に加えて、基板151と基板152との間に、トランジスタを有する層45を有する。
【0162】
発光装置40G及び発光装置40Hにおいて、発光デバイス47Rは、赤色(R)の光を発することができ、発光デバイス47Gは、緑色(G)の光を発することができ、発光デバイス47Bは、青色(B)の光を発することができ、発光デバイス47Nは、赤外光(IR)を発することができる。
【0163】
図6C、
図6Dに、画素の構成例を示す。
図6C、
図6Dに示す画素は、それぞれ、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、赤外光の4つの副画素(4つの発光デバイス)を有する。
図6Cは、横一列に4つの副画素が配置されている例であり、
図6Dは、2×2のマトリクス状に4つの副画素が配置されている例である。
【0164】
図6Eに、本発明の一態様の発光装置が有する発光デバイスの構成例を示す。
【0165】
図6Eに示す発光装置は、基板151上に、トランジスタを有する層45を介して、赤色(R)の光を発する発光デバイス47R、緑色(G)の光を発する発光デバイス47G、青色(B)の光を発する発光デバイス47B、赤外光(IR)を発する発光デバイス47Nを有する。
【0166】
図6Eに示す赤色の光を発する発光デバイス47Rと赤外光を発する発光デバイス47Nは、一対の電極間の構成を同一とすることができる。このとき、発光デバイス47Rと発光デバイス47Nには、どちらも赤色の光及び赤外光を発する構成を適用する。発光デバイス47Nでは、共通電極115上に設けられたフィルタ141aによって赤色の光が遮られ、赤外光のみが外部に取り出される。また、発光デバイス47Rでは、共通電極115上に設けられたフィルタ141bによって赤外光が遮られ、赤色の光のみが外部に取り出される。
【0167】
なお、発光デバイス47Rと発光デバイス47Nの双方に、発光層193R及び発光層193Nを設け、それぞれ、赤色または赤外光のみが取り出されるように、発光ユニットの膜厚を調整してもよい。
【0168】
以上のように、可視光を発する発光デバイスと赤外光を発する発光デバイスとで共通の構成を適用することで、発光装置の作製工程を大幅に増やすことなく、赤外光を発する副画素を設けることができる。
【0169】
以下では、
図7及び
図8を用いて、本発明の一態様の発光装置の構成について説明する。以下では、R、G、Bの3色の発光デバイスのうち、G、Bの光を発する発光デバイスについて主に説明する。Rの光を発する発光デバイスの構成は、Gの光を発する発光デバイスと同様とすることができる。
【0170】
[発光装置30A]
図7Aに発光装置30Aの断面図を示す。
【0171】
発光装置30Aは、発光デバイス190B及び発光デバイス190Gを有する。発光デバイス190Bは、青色の光21Bと赤外光21Nを発する機能を有する。発光デバイス190Gは、緑色の光21Gを発する機能を有する。
【0172】
発光デバイス190Bは、画素電極191、バッファ層192B、発光層193B、発光層193N、バッファ層194B、及び共通電極115を有する。なお、
図7A等では、発光層193Bと発光層193Nを1つの層で記すが、発光層193Bと発光層193Nは別々の層であることが好ましい。発光デバイス190Bはトップエミッション型であるため、上述の通り、画素電極191と発光層193Bとの間に発光層193Nを有することが好ましい。
【0173】
発光デバイス190Gは、画素電極191、バッファ層192G、発光層193G、バッファ層194G、及び共通電極115を有する。
【0174】
画素電極191、バッファ層192B、バッファ層192G、発光層193B、発光層193N、発光層193G、バッファ層194B、バッファ層194G、及び共通電極115は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0175】
画素電極191は、絶縁層214上に位置する。各発光デバイスが有する画素電極191は、同一の材料及び同一の工程で形成することができる。
【0176】
発光装置30Aは、発光デバイスが有する、発光層以外の層も、色ごとに作り分ける構成である。具体的には、発光デバイス190Bと発光デバイス190Gとで、一対の電極(画素電極191と共通電極115)間に、共通の層を有さない例を示す。
【0177】
発光デバイス190Bと発光デバイス190Gは、絶縁層214上に2つの画素電極191を同一の材料及び同一の工程で形成し、一方の画素電極191上にバッファ層192B、発光層193N、発光層193B、及びバッファ層194Bを形成し、他方の画素電極191上にバッファ層192G、発光層193G、及びバッファ層194Gを形成した後、2つの画素電極191、バッファ層192B、発光層193N、発光層193B、バッファ層194B、バッファ層192G、発光層193G、及びバッファ層194Gを覆うように共通電極115を形成することで作製できる。なお、バッファ層192B、発光層193N、発光層193B、及びバッファ層194Bの積層構造と、バッファ層192G、発光層193G、及びバッファ層194Gの積層構造の作製順は特に限定されない。例えば、バッファ層192B、発光層193N、発光層193B、及びバッファ層194Bを成膜した後に、バッファ層192G、発光層193G、及びバッファ層194Gを作製してもよい。逆に、バッファ層192B、発光層193N、発光層193B、及びバッファ層194Bを成膜する前に、バッファ層192G、発光層193G、及びバッファ層194Gを作製してもよい。また、バッファ層192B、バッファ層192G、発光層193N、などの順に交互に成膜してもよい。
【0178】
バッファ層192B及びバッファ層192Gとしては、例えば、正孔注入層及び正孔輸送層の一方または双方を形成することができる。
【0179】
発光層193B及び発光層193Nは、バッファ層192Bを介して、画素電極191と重なる。発光層193B及び発光層193Nは、バッファ層194Bを介して、共通電極115と重なる。発光層193Bは、青色の光を発する発光材料を有する。発光層193Nは、赤外光を発する発光材料を有する。
【0180】
発光層193Gは、バッファ層192Gを介して、画素電極191と重なる。発光層193Gは、バッファ層194Gを介して、共通電極115と重なる。発光層193Gは、緑色の光を発する発光材料を有する。
【0181】
バッファ層194B及びバッファ層194Gとしては、例えば、電子注入層及び電子輸送層の一方または双方を形成することができる。
【0182】
共通電極115は、バッファ層192B、発光層193B、発光層193N、及びバッファ層194Bを介して、画素電極191と重なる部分を有する。また、共通電極115は、バッファ層192G、発光層193G、及びバッファ層194Gを介して、画素電極191と重なる部分を有する。共通電極115は、発光デバイス190Bと発光デバイス190Gに共通で用いられる層である。
【0183】
発光装置30Aは、一対の基板(基板151及び基板152)間に、発光デバイス190B、発光デバイス190G、トランジスタ42等を有する。
【0184】
基板152の基板151側の面には、遮光層BMが設けることが好ましい。遮光層BMは、各発光デバイスと重なる位置に開口を有する。
【0185】
なお、
図7Bに示すように、遮光層BMを有していなくてもよい。
【0186】
遮光層BMとしては、発光デバイス190からの発光を遮る材料を用いることができる。遮光層BMは、可視光を吸収することが好ましい。遮光層BMとして、例えば、金属材料、又は、顔料(カーボンブラックなど)もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。遮光層BMは、赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、及び青色のカラーフィルタの積層構造であってもよい。
【0187】
各色の発光デバイス190において、それぞれ画素電極191及び共通電極115の間に位置するバッファ層192、発光層193、バッファ層194は、EL層ということもできる。
【0188】
画素電極191は可視光及び赤外光を反射する機能を有することが好ましい。画素電極191の端部は隔壁216によって覆われている。共通電極115は可視光及び赤外光を透過する機能を有する。発光デバイス190は、画素電極191と共通電極115との間に電圧を印加することで、基板152側に光を射出する電界発光デバイスである(光21B、光21G、赤外光21N参照)。
【0189】
画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ42が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。トランジスタ42は、発光デバイス190の駆動を制御する機能を有する。
【0190】
発光デバイス190は、保護層195に覆われていることが好ましい。
図7Aでは、保護層195が、共通電極115上に接して設けられている。保護層195を設けることで、発光デバイス190に水などの不純物が入り込むことを抑制し、発光デバイス190の信頼性を高めることができる。また、接着層142によって、保護層195と基板152とが貼り合わされている。なお、保護層195は、バッファ層116を有する、またはバッファ層116の機能を兼ねていてもよい。または、保護層195は、共通電極115上にバッファ層116を介して設けられていてもよい。
【0191】
なお、
図7Bに示すように、発光デバイス190上に保護層を有していなくてもよい。
図7Bでは、接着層142によって、共通電極115と基板152とが貼り合わされている。
【0192】
[発光装置30B]
図7Bに発光装置30Bの断面図を示す。なお、以降の発光装置の説明において、先に説明した発光装置と同様の構成については、説明を省略することがある。
【0193】
発光装置30Bは、バッファ層192B及びバッファ層192Gを有さず、共通層112を有する点で、発光装置30Aと異なる。
【0194】
共通層112は、画素電極191上に位置する。共通層112は、発光デバイス190Bと発光デバイス190Gに共通で用いられる層である。
【0195】
共通層112としては、例えば、正孔注入層及び正孔輸送層の一方または双方を形成することができる。共通層112は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0196】
発光層以外の層のうち少なくとも一部を、発光デバイスの色によらず共通の構成とすることで、発光装置の作製工程を削減でき、好ましい。
【0197】
[発光装置30C]
図7Cに発光装置30Cの断面図を示す。
【0198】
発光装置30Cは、バッファ層194B及びバッファ層194Gを有さず、共通層114を有する点で、発光装置30Aと異なる。
【0199】
共通層114は、隔壁216上、発光層193B上、発光層193N上、及び発光層193G上に位置する。共通層114は、発光デバイス190Bと発光デバイス190Gに共通で用いられる層である。
【0200】
共通層114としては、例えば、電子注入層及び電子輸送層の一方または双方を形成することができる。共通層114は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0201】
発光層以外の層のうち少なくとも一部を、発光デバイスの色によらず共通の構成とすることで、発光装置の作製工程を削減でき、好ましい。
【0202】
[発光装置30D]
図8Aに発光装置30Dの断面図を示す。
【0203】
発光装置30Dは、バッファ層192B、バッファ層192G、バッファ層194B、及びバッファ層194Gを有さず、共通層112及び共通層114を有する点で、発光装置30Aと異なる。
【0204】
発光層以外の全ての層を、発光デバイスの色によらず共通の構成とすることで、発光装置の作製工程をより削減でき、好ましい。
【0205】
[発光装置30E]
図8Bに発光装置30Eの断面図を示す。
【0206】
発光装置30Eは、発光層193Nと発光層193Bとの間に中間層198を有する点で、発光装置30Dと異なる。つまり、発光装置30Dの発光デバイス190Bは、シングル構造であるのに対し、発光装置30Eの発光デバイス190Bは、タンデム構造である。また、赤外光を発しない発光デバイス190Gは、シングル構造であることが好ましい。
【0207】
可視光及び赤外光を発する発光デバイスがシングル構造であると、発光装置の生産性が高まり好ましい。また、可視光及び赤外光を発する発光デバイスがタンデム構造であると、光学距離の最適化が容易となる、発光強度が高まる、等の利点があり好ましい。
【0208】
[発光装置30F]
図8Cに発光装置30Fの断面図を示す。
【0209】
図8Cに示す発光装置30Fは、基板151及び基板152を有さず、基板153、基板154、接着層155、及び絶縁層212を有する点で、発光装置30Aと異なる。
【0210】
基板153と絶縁層212とは接着層155によって貼り合わされている。基板154と保護層195とは接着層142によって貼り合わされている。
【0211】
発光装置30Fは、作製基板上に形成された絶縁層212、トランジスタ42及び発光デバイス190等を、基板153上に転置することで作製される構成である。基板153及び基板154は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、発光装置30Fの可撓性を高めることができる。例えば、基板153及び基板154には、それぞれ、樹脂を用いることが好ましい。
【0212】
基板153及び基板154としては、それぞれ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等を用いることができる。基板153及び基板154の一方または双方に、可撓性を有する程度の厚さのガラスを用いてもよい。
【0213】
本実施の形態の発光装置が有する基板には、光学等方性が高いフィルムを用いてもよい。光学等方性が高いフィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC、セルローストリアセテートともいう)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、シクロオレフィンコポリマー(COC)フィルム、及びアクリルフィルム等が挙げられる。
【0214】
以下では、
図9~
図11を用いて、本発明の一態様の発光装置の、より詳細な構成について説明する。
【0215】
[発光装置200A]
図9に、発光装置200Aの斜視図を示し、
図10Aに、発光装置200Aの断面図を示す。
【0216】
発光装置200Aは、基板152と基板151とが貼り合わされた構成を有する。
図9では、基板152を破線で明示している。
【0217】
発光装置200Aは、発光部163、回路164、配線165等を有する。
図9では発光装置200AにIC(集積回路)173及びFPC172が実装されている例を示している。そのため、
図9に示す構成は、発光装置200A、IC、及びFPCを有する発光モジュールということもできる。
【0218】
回路164としては、例えば走査線駆動回路を用いることができる。
【0219】
配線165は、発光部163及び回路164に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC172を介して外部から、またはIC173から配線165に入力される。
【0220】
図9では、COG(Chip On Glass)方式またはCOF(Chip on Film)方式等により、基板151にIC173が設けられている例を示す。IC173は、例えば走査線駆動回路または信号線駆動回路などを有するICを適用できる。なお、発光装置200A及び発光モジュールは、ICを設けない構成としてもよい。また、ICを、COF方式等により、FPCに実装してもよい。
【0221】
図10Aに、
図9で示した発光装置200Aの、FPC172を含む領域の一部、回路164を含む領域の一部、発光部163を含む領域の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0222】
図10Aに示す発光装置200Aは、基板151と基板152の間に、トランジスタ201、トランジスタ206、トランジスタ207、発光デバイス190B、発光デバイス190G、保護層195等を有する。
【0223】
基板151と基板152は接着層142を介して接着されている。発光デバイス190B及び発光デバイス190Gの封止には、固体封止構造または中空封止構造などが適用できる。
図10Aでは、基板151、接着層142、及び基板152に囲まれた空間143が、不活性ガス(窒素やアルゴンなど)で充填されており、中空封止構造が適用されている。接着層142は、発光デバイス190と重ねて設けられていてもよい。また、基板151、接着層142、及び基板152に囲まれた空間143を、接着層142とは異なる樹脂で充填してもよい。
【0224】
発光デバイス190Bは、絶縁層214側から画素電極191B、共通層112、発光層193N、発光層193B、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191Bは、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ206が有する導電層222bと接続されている。トランジスタ206は、発光デバイス190Bの駆動を制御する機能を有する。
【0225】
発光デバイス190Gは、絶縁層214側から画素電極191G、共通層112、発光層193G、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191Gは、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ207が有する導電層222bと接続されている。トランジスタ207は、発光デバイス190Gの駆動を制御する機能を有する。
【0226】
画素電極191Bの端部及び画素電極191Gの端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極191B及び画素電極191Gは可視光及び赤外光を反射する材料を含み、共通電極115は可視光及び赤外光を透過する材料を含む。
【0227】
発光デバイス190が発する光は、基板152側に射出される。基板152には、可視光及び赤外光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。
【0228】
画素電極191B及び画素電極191Gは同一の材料及び同一の工程で作製することができる。共通層112、共通層114、及び共通電極115は、発光デバイス190Bと発光デバイス190Gとの双方に用いられる。発光デバイス190Bと発光デバイス190Gとは、発光層以外の構成の少なくとも一部を共通の構成とすることができる。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、発光装置200Aに赤外光を発する機能を付与することができる。
【0229】
発光デバイス190は、保護層195によって覆われている。保護層195により、発光デバイス190に水などの不純物が入り込むことを抑制し、発光デバイス190の信頼性を高めることができる。
【0230】
発光装置200Aの端部近傍の領域228において、絶縁層214の開口を介して、絶縁層215と保護層195とが互いに接することが好ましい。特に、絶縁層215が有する無機絶縁膜と保護層195が有する無機絶縁膜とが互いに接することが好ましい。これにより、有機絶縁膜を介して外部から発光部163に不純物が入り込むことを抑制することができる。したがって、発光装置200Aの信頼性を高めることができる。
【0231】
図10Bに、保護層195が3層構造である例を示す。
図10Bにおいて、保護層195は、共通電極115上の無機絶縁層195aと、無機絶縁層195a上の有機絶縁層195bと、有機絶縁層195b上の無機絶縁層195cと、を有する。
【0232】
無機絶縁層195aの端部と無機絶縁層195cの端部は、有機絶縁層195bの端部よりも外側に延在し、互いに接している。そして、無機絶縁層195aは、絶縁層214(有機絶縁層)の開口を介して、絶縁層215(無機絶縁層)と接する。これにより、絶縁層215と保護層195とで、発光デバイス190を囲うことができるため、発光デバイス190の信頼性を高めることができる。
【0233】
このように、保護層195は、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層構造であってもよい。このとき、有機絶縁膜の端部よりも無機絶縁膜の端部を外側に延在させることが好ましい。
【0234】
基板152の基板151側の面には、遮光層BMが設けられている。遮光層BMは、発光デバイス190と重なる位置に開口を有する。
【0235】
トランジスタ201、トランジスタ206、及びトランジスタ207は、いずれも基板151上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の材料及び同一の工程により作製することができる。
【0236】
基板151上には、絶縁層211、絶縁層213、絶縁層215、及び絶縁層214がこの順で設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層213は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層215は、トランジスタを覆って設けられる。絶縁層214は、トランジスタを覆って設けられ、平坦化層としての機能を有する。なお、ゲート絶縁層の数及びトランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、それぞれ単層であっても2層以上であってもよい。
【0237】
トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、発光装置の信頼性を高めることができる。
【0238】
絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。
【0239】
ここで、有機絶縁膜は、無機絶縁膜に比べてバリア性が低いことが多い。そのため、有機絶縁膜は、発光装置200Aの端部近傍に開口を有することが好ましい。これにより、発光装置200Aの端部から有機絶縁膜を介して不純物が入り込むことを抑制することができる。または、有機絶縁膜の端部が発光装置200Aの端部よりも内側にくるように有機絶縁膜を形成し、発光装置200Aの端部に有機絶縁膜が露出しないようにしてもよい。
【0240】
平坦化層として機能する絶縁層214には、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。
【0241】
図10Aに示す領域228では、絶縁層214に開口が形成されている。これにより、絶縁層214に有機絶縁膜を用いる場合であっても、絶縁層214を介して外部から発光部163に不純物が入り込むことを抑制できる。したがって、発光装置200Aの信頼性を高めることができる。
【0242】
トランジスタ201、トランジスタ206、及びトランジスタ207は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、ソース及びドレインとして機能する導電層222a及び導電層222b、半導体層231、ゲート絶縁層として機能する絶縁層213、並びに、ゲートとして機能する導電層223を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。絶縁層211は、導電層221と半導体層231との間に位置する。絶縁層213は、導電層223と半導体層231との間に位置する。
【0243】
本実施の形態の発光装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0244】
トランジスタ201、トランジスタ206、及びトランジスタ207には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。または、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
【0245】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0246】
トランジスタの半導体層は、金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を有することが好ましい。または、トランジスタの半導体層は、シリコンを有していてもよい。シリコンとしては、アモルファスシリコン、結晶性のシリコン(低温ポリシリコン、単結晶シリコンなど)などが挙げられる。
【0247】
半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種または複数種であることが好ましい。
【0248】
特に、半導体層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。
【0249】
半導体層がIn-M-Zn酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットは、Inの原子数比がMの原子数比以上であることが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=5:2:5等が挙げられる。
【0250】
スパッタリングターゲットとしては、多結晶の酸化物を含むターゲットを用いると、結晶性を有する半導体層を形成しやすくなるため好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比は、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。例えば、半導体層に用いるスパッタリングターゲットの組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の場合、成膜される半導体層の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]の近傍となる場合がある。
【0251】
なお、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍と記載する場合、Inの原子数比を4としたとき、Gaの原子数比が1以上3以下であり、Znの原子数比が2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍であると記載する場合、Inの原子数比を5としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍であると記載する場合、Inの原子数比を1としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が0.1より大きく2以下である場合を含む。
【0252】
回路164が有するトランジスタと、発光部163が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路164が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、発光部163が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。
【0253】
基板151の、基板152が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線165が導電層166及び接続層242を介してFPC172と電気的に接続されている。接続部204の上面は、画素電極191B及び画素電極191Gと同一の導電膜を加工して得られた導電層166が露出している。これにより、接続部204とFPC172とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0254】
基板152の外側には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルム等が挙げられる。また、基板152の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等を配置してもよい。
【0255】
基板151及び基板152には、それぞれ、ガラス、石英、セラミック、サファイア、樹脂などを用いることができる。基板151及び基板152に可撓性を有する材料を用いると、発光装置の可撓性を高めることができる。
【0256】
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0257】
接続層242としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0258】
発光デバイス190は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型などがある。光を取り出す側の電極には、可視光及び赤外光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光及び赤外光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0259】
発光デバイス190Bは、赤外光(IR)と青色(B)の光を発する。発光デバイス190Bは少なくとも発光層193B及び発光層193Nを有する。発光デバイス190Gは、緑色(G)の光を発する。発光デバイス190Gは、少なくとも発光層193Gを有する。発光デバイス190は、発光層193以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質等を含む層をさらに有していてもよい。例えば、共通層112は、正孔注入層及び正孔輸送層の一方又は双方を有することが好ましい。例えば、共通層114は、電子輸送層及び電子注入層の一方または双方を有することが好ましい。
【0260】
共通層112、発光層193、及び共通層114には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。共通層112、発光層193、及び共通層114を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0261】
発光層193は、発光材料として、量子ドットなどの無機化合物を有していてもよい。
【0262】
トランジスタのゲート、ソース及びドレインのほか、発光装置を構成する各種配線及び電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、及びタングステンなどの金属、並びに、当該金属を主成分とする合金などが挙げられる。これらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。
【0263】
また、透光性を有する導電材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、及びチタンなどの金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすることが好ましい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、発光装置を構成する各種配線及び電極などの導電層や、発光デバイスが有する導電層(画素電極や共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
【0264】
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料が挙げられる。
【0265】
[発光装置200B]
図11Aに、発光装置200Bの断面図を示す。
【0266】
発光装置200Bは、トランジスタの構造が、発光装置200Aと異なる。
【0267】
発光装置200Bは、トランジスタ202、トランジスタ208、及びトランジスタ210を有する。
【0268】
トランジスタ202、トランジスタ208、及びトランジスタ210は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、チャネル形成領域231i及び一対の低抵抗領域231nを有する半導体層、一対の低抵抗領域231nの一方と接続する導電層222a、一対の低抵抗領域231nの他方と接続する導電層222b、ゲート絶縁層として機能する絶縁層225、ゲートとして機能する導電層223、並びに、導電層223を覆う絶縁層215を有する。絶縁層211は、導電層221とチャネル形成領域231iとの間に位置する。絶縁層225は、導電層223とチャネル形成領域231iとの間に位置する。
【0269】
導電層222a及び導電層222bは、それぞれ、絶縁層225及び絶縁層215に設けられた開口を介して低抵抗領域231nと接続される。導電層222a及び導電層222bのうち、一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。
【0270】
発光デバイス190Bの画素電極191Bは、導電層222bを介してトランジスタ210の一対の低抵抗領域231nの一方と電気的に接続される。
【0271】
発光デバイス190Gの画素電極191Gは、導電層222bを介してトランジスタ208の一対の低抵抗領域231nの一方と電気的に接続される。
【0272】
図11Aでは、絶縁層225が半導体層の上面及び側面を覆う例を示す。一方、
図11Bでは、絶縁層225は、半導体層231のチャネル形成領域231iと重なり、低抵抗領域231nとは重ならない。例えば、導電層223をマスクに絶縁層225が加工することで、
図11Bに示す構造を作製できる。
図11Bでは、絶縁層225及び導電層223を覆って絶縁層215が設けられ、絶縁層215の開口を介して、導電層222a及び導電層222bがそれぞれ低抵抗領域231nと接続されている。さらに、トランジスタを覆う絶縁層218を設けてもよい。
【0273】
また、発光装置200Bは、基板151及び基板152を有さず、基板153、基板154、接着層155、及び絶縁層212を有する点で、発光装置200Aと異なる。
【0274】
基板153と絶縁層212とは接着層155によって貼り合わされている。基板154と保護層195とは接着層142によって貼り合わされている。
【0275】
発光装置200Bは、作製基板上で形成された絶縁層212、トランジスタ202、トランジスタ208、トランジスタ210、及び発光デバイス190等を、基板153上に転置することで作製される構成である。基板153及び基板154は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、発光装置200Bの可撓性を高めることができる。
【0276】
絶縁層212には、絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215に用いることができる無機絶縁膜を用いることができる。
【0277】
また、発光装置200Bでは、保護層195と基板154とが接着層142によって貼り合わされている。接着層142は、発光デバイス190と重ねて設けられており、
図11Aでは、発光装置に固体封止構造が適用されている。
【0278】
[金属酸化物]
以下では、半導体層に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0279】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。例えば、亜鉛酸窒化物(ZnON)などの窒素を有する金属酸化物を、半導体層に用いてもよい。
【0280】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal)、及びCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合がある。CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能または材料の構成の一例を表す。
【0281】
例えば、半導体層にはCAC(Cloud-Aligned Composite)-OS(Oxide Semiconductor)を用いることができる。
【0282】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの半導体層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0283】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0284】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0285】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0286】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0287】
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、及び非晶質酸化物半導体などがある。
【0288】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0289】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形及び七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0290】
また、CAAC-OSは、インジウム、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0291】
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損(VO:oxygen vacancyともいう。)など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0292】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0293】
なお、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する金属酸化物の一種である、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(以下、IGZO)は、上述のナノ結晶とすることで安定な構造をとる場合がある。特に、IGZOは、大気中では結晶成長がし難い傾向があるため、大きな結晶(ここでは、数mmの結晶、または数cmの結晶)よりも小さな結晶(例えば、上述のナノ結晶)とする方が、構造的に安定となる場合がある。
【0294】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0295】
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0296】
半導体層として機能する金属酸化物膜は、不活性ガス及び酸素ガスのいずれか一方または双方を用いて成膜することができる。なお、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)に、特に限定はない。ただし、電界効果移動度が高いトランジスタを得る場合においては、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)は、0%以上30%以下が好ましく、5%以上30%以下がより好ましく、7%以上15%以下がさらに好ましい。
【0297】
金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上であることが好ましく、2.5eV以上であることがより好ましく、3eV以上であることがさらに好ましい。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0298】
金属酸化物膜の成膜時の基板温度は、350℃以下が好ましく、室温以上200℃以下がより好ましく、室温以上130℃以下がさらに好ましい。金属酸化物膜の成膜時の基板温度が室温であると、生産性を高めることができ、好ましい。
【0299】
金属酸化物膜は、スパッタリング法により形成することができる。そのほか、例えばPLD法、PECVD法、熱CVD法、ALD法、真空蒸着法などを用いてもよい。
【0300】
以上のように、本実施の形態の発光装置は、可視光及び赤外光を発する発光デバイスと、可視光を発する発光デバイスと、を有する。本実施の形態の発光装置は、可視光及び赤外光の双方を発することができるため、可視光を光源に用いるセンサ、赤外光を光源に用いるセンサ、並びに、可視光及び赤外光の双方を光源に用いるセンサの、いずれの光源としても用いることができ、利便性が高い。
【0301】
また、本実施の形態の発光装置では、1つの副画素が、可視光と赤外光との双方を発する構成とすることができる。したがって、1つの画素が有する副画素の数を増やさずに、発光装置を、可視光及び赤外光の双方を発する構成とすることができる。また、可視光及び赤外光を発する発光デバイスと、可視光を発する発光デバイスと、で、共通の構成の層を有することができる。そのため、発光装置の画素レイアウトの大きな変更や、作製工程の大幅な増加を生じることなく、発光装置に、赤外光を発する機能を付加することができる。
【0302】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0303】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について
図12~
図19を用いて説明する。
【0304】
本発明の一態様の表示装置は、表示部に、可視光及び赤外光を発する発光デバイスと、可視光を発する発光デバイスと、可視光及び赤外光のうち少なくとも一部を検出する受光デバイスと、を有する。可視光としては、波長400nm以上750nm未満の光が挙げられ、例えば、赤色、緑色、または青色の光が挙げられる。赤外光としては、近赤外光が挙げられ、具体的には、波長750nm以上1300nm以下の光が挙げられる。
【0305】
本発明の一態様の表示装置は、表示部に、第1の発光デバイス、第2の発光デバイス、及び受光デバイスを有する。第1の発光デバイスは、可視光及び赤外光の双方を発する機能を有する。第2の発光デバイスは、可視光を発する機能を有する。受光デバイスは、可視光及び赤外光のうち少なくとも一部を吸収する機能を有する。第1の発光デバイスは、第1の画素電極、第1の発光層、第2の発光層、及び共通電極を有する。第1の発光層及び第2の発光層は、それぞれ、第1の画素電極と共通電極との間に位置する。第2の発光デバイスは、第2の画素電極、第3の発光層、及び共通電極を有する。第3の発光層は、第2の画素電極と共通電極との間に位置する。受光デバイスは、第3の画素電極、活性層、及び共通電極を有する。活性層は、第3の画素電極と共通電極との間に位置する。第1の発光層は、赤外光を発する発光材料を有する。第2の発光層及び第3の発光層は、それぞれ異なる波長の可視光を発する発光材料を有する。活性層は、有機化合物を有する。
【0306】
本発明の一態様の表示装置は、発光デバイスが発する可視光を用いて、画像を表示することができる。具体的には、表示部に、発光デバイスがマトリクス状に配置されており、当該表示部で画像を表示することができる。
【0307】
さらに、本発明の一態様の表示装置では、発光デバイスを、センサ(例えば、イメージセンサや光学式タッチセンサ)の光源として利用することができる。本発明の一態様の表示装置は、可視光及び赤外光の双方を発することができるため、可視光を光源に用いるセンサと赤外光を光源に用いるセンサのどちらとも組み合わせることができ、利便性が高い。また、可視光及び赤外光の双方を光源に用いるセンサの光源としても用いることができ、センサの機能性を高めることができる。
【0308】
また、本発明の一態様の表示装置では、1つの副画素が、可視光と赤外光との双方を発する構成とすることができる。例えば、それぞれ、赤色、緑色、または青色を発する3つの副画素のいずれかが赤外光を発する構成とすることができる。可視光を発する副画素が、赤外光を発する副画素を兼ねることで、赤外光を発する副画素を別途設けなくてよい。したがって、1つの画素が有する副画素の数を増やさずに、表示装置が可視光及び赤外光を発する構成とすることができる。これにより、画素の開口率の低下を抑制でき、表示装置の光取り出し効率を高めることができる。
【0309】
また、当該表示部には、受光デバイスがマトリクス状に配置されており、表示部は、受光部としての機能も有する。受光デバイスは、可視光及び赤外光の一方または双方を検出することができる。受光部は、イメージセンサやタッチセンサに用いることができる。つまり、受光部で光を検出することで、画像を撮像することや、対象物(指やペンなど)の近接もしくは接触を検出することができる。
【0310】
本発明の一態様の表示装置は、受光デバイスが検出する波長の光を、発光デバイスから発することで、センサとして機能することができる。したがって、表示装置と別に受光部及び光源を設けなくてよく、電子機器の部品点数を削減することができる。
【0311】
本発明の一態様の表示装置では、表示部が有する発光デバイスの発光を対象物が反射した際、受光デバイスがその反射光を検出できるため、暗い場所でも、撮像やタッチ(さらには近接)検出が可能である。
【0312】
また、本発明の一態様の表示装置は、可視光及び赤外光を発する発光デバイス、可視光を発する発光デバイス、及び受光デバイスの3つのデバイスで、共通の構成の層を有することができる。そのため、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に、赤外光を発する機能を付加すること及び受光デバイスを内蔵することができる。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層のうち少なくとも1つを、3つのデバイスで、同一の構成にすることができる。
【0313】
なお、受光デバイスと発光デバイスが共通で有する層は、発光デバイスにおける機能と受光デバイスにおける機能とが異なる場合がある。本明細書中では、発光デバイスにおける機能に基づいて構成要素を呼称する。例えば、正孔注入層は、発光デバイスにおいて正孔注入層として機能し、受光デバイスにおいて正孔輸送層として機能する。同様に、電子注入層は、発光デバイスにおいて電子注入層として機能し、受光デバイスにおいて電子輸送層として機能する。なお、正孔輸送層は、発光デバイスと受光デバイスの双方において正孔輸送層として機能する。同様に、電子輸送層は、発光デバイスと受光デバイスの双方において電子輸送層として機能する。
【0314】
本発明の一態様の表示装置には、実施の形態1で説明した発光デバイスを用いることができる。本実施の形態の表示装置が有する発光デバイスの構成及び特長は、実施の形態1を参照することができるため、詳細な説明は省略することがある。
【0315】
受光デバイスをイメージセンサに用いる場合、本実施の形態の表示装置は、受光デバイスを用いて、画像を撮像することができる。
【0316】
例えば、イメージセンサを用いて、指紋、掌紋、または虹彩などのデータを取得することができる。つまり、本実施の形態の表示装置に、生体認証用センサを内蔵させることができる。表示装置が生体認証用センサを内蔵することで、表示装置とは別に生体認証用センサを設ける場合に比べて、電子機器の部品点数を少なくでき、電子機器の小型化及び軽量化が可能である。
【0317】
また、イメージセンサを用いて、ユーザーの表情、目の動き、または瞳孔径の変化などのデータを取得することができる。当該データを解析することで、ユーザーの心身の情報を取得することができる。当該情報をもとに表示及び音声の一方又は双方の出力内容を変化させることで、例えば、VR(Virtual Reality)向け機器、AR(Augmented Reality)向け機器、またはMR(Mixed Reality)向け機器において、ユーザーが機器を安全に使用できるよう図ることができる。
【0318】
また、受光デバイスをタッチセンサに用いる場合、本実施の形態の表示装置は、受光デバイスを用いて、対象物の近接または接触を検出することができる。
【0319】
受光デバイスとしては、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオードを用いることができる。受光デバイスは、受光デバイスに入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換デバイスとして機能する。入射する光量に基づき、発生する電荷量が決まる。
【0320】
特に、受光デバイスとして、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードを用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。
【0321】
本発明の一態様では、発光デバイスとして有機ELデバイスを用い、受光デバイスとして有機フォトダイオードを用いる。有機フォトダイオードは、有機ELデバイスと共通の構成にできる層が多い。そのため、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光デバイスを内蔵することができる。例えば、受光デバイスの活性層と発光デバイスの発光層とを作り分け、それ以外の層は、発光デバイスと受光デバイスとで同一の構成にすることができる。
【0322】
【0323】
図12Aに示す表示装置50Aは、基板151と基板152との間に、受光デバイスを有する層53と、発光デバイスを有する層57と、を有する。
【0324】
図12Bに示す表示装置50Bは、基板151と基板152との間に、受光デバイスを有する層53、トランジスタを有する層55、及び、発光デバイスを有する層57を有する。
【0325】
表示装置50A及び表示装置50Bは、発光デバイスを有する層57から、赤色(R)の光、緑色(G)の光、青色(B)の光、及び赤外光(IR)が射出される構成である。
【0326】
発光デバイスを有する層57の構成は、実施の形態1の発光装置の構成を参照することができる。つまり、実施の形態1の発光装置が有する発光デバイスを、発光デバイスを有する層57に用いることができる。
【0327】
トランジスタを有する層55は、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを有することが好ましい。第1のトランジスタは、受光デバイスと電気的に接続される。第2のトランジスタは、発光デバイスと電気的に接続される。
【0328】
受光デバイスを有する層53は、可視光を検出する構成、赤外光を検出する構成、または可視光及び赤外光の双方を検出する構成とすることができる。センサの用途に応じて、受光デバイスが検出する光の波長を決定することができる。
【0329】
本発明の一態様の表示装置は、表示装置に接触している指などの対象物を検出する機能を有していてもよい。例えば、
図12Cに示すように、発光デバイスを有する層57において発光デバイスが発した光を、表示装置50Bに接触した指52が反射することで、受光デバイスを有する層53における受光デバイスがその反射光を検出する。これにより、表示装置50Bに指52が接触したことを検出することができる。
【0330】
本発明の一態様の表示装置は、
図12Dに示すように、表示装置50Bに近接している(接触していない)対象物を検出または撮像する機能を有していてもよい。
【0331】
【0332】
本発明の一態様の表示装置は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。1つの画素は、1つ以上の副画素を有する。1つの副画素は、1つの発光デバイスを有する。例えば、画素には、副画素を3つ有する構成(R、G、Bの3色、または、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色など)、または、副画素を4つ有する構成(R、G、B、白色(W)の4色、または、R、G、B、Yの4色など)を適用できる。
【0333】
本発明の一態様の表示装置は、画素を構成するこれら副画素の少なくとも1つが可視光に加えて赤外光を射出する構成である。
【0334】
さらに、画素は、受光デバイスを有する。受光デバイスは、全ての画素に設けられていてもよく、一部の画素に設けられていてもよい。また、1つの画素が複数の受光デバイスを有していてもよい。
【0335】
図13A~
図13Dに示す画素は、R、G、Bの3つの副画素(3つの発光デバイス)と、受光デバイスPDと、を有する。
図13A、
図13Dは、赤色(R)の副画素が赤外光(IR)を射出する構成であり、
図13Bは、緑色(G)の副画素が赤外光(IR)を射出する構成であり、
図13Cは、青色(B)の副画素が赤外光(IR)を射出する構成である。
【0336】
図13A~
図13Cは、2×2のマトリクス状に、3つの副画素と受光デバイスPDとが配置されている例であり、
図13Dは、横1列に、3つの副画素と受光デバイスPDとが配置されている例である。
【0337】
図13Eに示す画素は、R、G、B、Wの4つの副画素(4つの発光デバイス)と、受光デバイスPDと、を有する。
【0338】
図13D、
図13Eは、赤色(R)の副画素が赤外光(IR)を射出する構成であるが、これに限定されず、他の色の副画素が赤外光を射出する構成であってもよい。
【0339】
以下では、
図14~
図19を用いて、本発明の一態様の表示装置の構成について説明する。以下では、R、G、Bの3色の発光デバイスのうち、G、Bの光を発する発光デバイスについて主に説明する。Rの光を発する発光デバイスの構成は、Gの光を発する発光デバイスと同様とすることができる。
【0340】
[表示装置10A]
図14Aに表示装置10Aの断面図を示す。
【0341】
表示装置10Aは、受光デバイス110、発光デバイス190B、及び発光デバイス190Gを有する。受光デバイス110は、赤外光21Nを検出する機能を有する。発光デバイス190Bは、青色の光21Bと赤外光21Nを発する機能を有する。発光デバイス190Gは、緑色の光21Gを発する機能を有する。
【0342】
なお、受光デバイス110は、赤外光だけでなく、可視光を検出する機能を有していてもよい。また、赤外光21Nを発する発光デバイスは、発光デバイス190Bに限定されない。可視光(例えば、赤、緑、青など)を発する発光デバイスの少なくとも1つを、赤外光21Nを発する機能を有する構成とすることができる。
【0343】
発光デバイス190Bは、画素電極191、バッファ層192B、発光層193B、発光層193N、バッファ層194B、及び共通電極115を有する。なお、
図14A等では、発光層193Bと発光層193Nを1つの層で記すが、発光層193Bと発光層193Nは別々の層である。発光デバイス190Bはトップエミッション型であるため、実施の形態1で説明した通り、画素電極191と発光層193Bとの間に発光層193Nを有することが好ましい。
【0344】
発光デバイス190Gは、画素電極191、バッファ層192G、発光層193G、バッファ層194G、及び共通電極115を有する。
【0345】
受光デバイス110は、画素電極181、バッファ層182、活性層183、バッファ層184、及び共通電極115を有する。
【0346】
画素電極181、バッファ層182、バッファ層192B、バッファ層192G、活性層183、発光層193B、発光層193N、発光層193G、バッファ層184、バッファ層194B、バッファ層194G、及び共通電極115は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0347】
画素電極181及び画素電極191は、絶縁層214上に位置する。画素電極181と画素電極191は、同一の材料及び同一の工程で形成することができる。
【0348】
表示装置10Aは、受光デバイス110が有する活性層183と発光デバイス190が有する発光層193だけでなく、その他の層(バッファ層)も作り分ける構成である。具体的には、受光デバイス110、発光デバイス190B、及び発光デバイス190Gが、一対の電極(画素電極181または画素電極191と共通電極115)間に、共通の層を有さない例を示す。
【0349】
受光デバイス110及び発光デバイス190は、絶縁層214上に画素電極181と画素電極191とを同一の材料及び同一の工程で形成し、画素電極181上にバッファ層182、活性層183、及びバッファ層184を形成し、画素電極191上にバッファ層192、発光層193、及びバッファ層194を形成した後、画素電極181、画素電極191、バッファ層182、バッファ層192、活性層183、発光層193、バッファ層184、及びバッファ層194を覆うように共通電極115を形成することで作製できる。なお、バッファ層182、活性層183、及びバッファ層184の積層構造と、バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194の積層構造の作製順は特に限定されない。例えば、バッファ層182、活性層183、及びバッファ層184を成膜した後に、バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194を作製してもよい。逆に、バッファ層182、活性層183、及びバッファ層184を成膜する前に、バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194を作製してもよい。また、バッファ層182、バッファ層192B、バッファ層192G、活性層183、発光層193N、などの順に交互に成膜してもよい。
【0350】
バッファ層182としては、例えば、正孔輸送層を形成することができる。バッファ層192B及びバッファ層192Gとしては、例えば、正孔注入層及び正孔輸送層の一方または双方を形成することができる。
【0351】
活性層183は、バッファ層182を介して、画素電極181と重なる。活性層183は、バッファ層184を介して、共通電極115と重なる。活性層183は、有機化合物を有する。具体的には、活性層183は、発光デバイス190の発光層193が有する有機化合物とは異なる有機化合物を有する。
【0352】
発光層193B及び発光層193Nは、バッファ層192Bを介して、画素電極191と重なる。発光層193B及び発光層193Nは、バッファ層194Bを介して、共通電極115と重なる。発光層193Bは、青色の光を発する発光材料を有する。発光層193Nは、赤外光を発する発光材料を有する。
【0353】
発光層193Gは、バッファ層192Gを介して、画素電極191と重なる。発光層193Gは、バッファ層194Gを介して、共通電極115と重なる。発光層193Gは、緑色の光を発する発光材料を有する。
【0354】
バッファ層184としては、例えば、電子輸送層を形成することができる。バッファ層194B及びバッファ層194Gとしては、例えば、電子注入層及び電子輸送層の一方または双方を形成することができる。
【0355】
共通電極115は、バッファ層182、活性層183、及びバッファ層184を介して、画素電極181と重なる部分を有する。また、共通電極115は、バッファ層192B、発光層193B、発光層193N、及びバッファ層194Bを介して、画素電極181と重なる部分を有する。さらに、共通電極115は、バッファ層192G、発光層193G、及びバッファ層194Gを介して、画素電極191と重なる部分を有する。共通電極115は、受光デバイス110、発光デバイス190B、及び発光デバイス190Gに共通で用いられる層である。
【0356】
本実施の形態の表示装置では、受光デバイス110の活性層183に有機化合物を用いる。受光デバイス110は、発光デバイス190(ELデバイス)における一対の電極間の構成の少なくとも一部を変えるのみで作製することができる。そのため、表示装置の表示部に、受光デバイス110を内蔵することができる。
【0357】
表示装置10Aは、一対の基板(基板151及び基板152)間に、受光デバイス110、発光デバイス190B、発光デバイス190G、トランジスタ41、及びトランジスタ42等を有する。
【0358】
受光デバイス110において、それぞれ画素電極181及び共通電極115の間に位置するバッファ層182、活性層183、及びバッファ層184は、有機層(有機化合物を含む層)ということもできる。画素電極181は可視光及び赤外光を反射する機能を有することが好ましい。画素電極181の端部は隔壁216によって覆われている。共通電極115は可視光及び赤外光を透過する機能を有する。
【0359】
受光デバイス110は、光を検知する機能を有する。具体的には、受光デバイス110は、表示装置10Aの外部から入射される光22を受光し、電気信号に変換する、光電変換デバイスである。光22は、発光デバイス190の発光を対象物が反射した光ということもできる。また、光22は、後述するレンズを介して受光デバイス110に入射してもよい。
【0360】
基板152の基板151側の面には、遮光層BMを設けることが好ましい。遮光層BMは、受光デバイス110と重なる位置及び発光デバイス190と重なる位置に開口を有する。遮光層BMを設けることで、受光デバイス110が光を検出する範囲を制御することができる。
【0361】
ここで、発光デバイス190の発光が対象物によって反射された光を受光デバイス110は検出する。しかし、発光デバイス190の発光が、表示装置10A内で反射され、対象物を介さずに、受光デバイス110に入射されてしまう場合がある。遮光層BMは、このような迷光の影響を抑制することができる。例えば、遮光層BMが設けられていない場合、発光デバイス190が発した光23aは、基板152で反射され、反射光23bが受光デバイス110に入射することがある。遮光層BMを設けることで、反射光23bが受光デバイス110に入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受光デバイス110を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0362】
発光デバイス190において、それぞれ画素電極191及び共通電極115の間に位置するバッファ層192、発光層193、及びバッファ層194は、EL層ということもできる。画素電極191は可視光及び赤外光を反射する機能を有することが好ましい。画素電極191の端部は隔壁216によって覆われている。画素電極181と画素電極191とは隔壁216によって互いに電気的に絶縁されている。共通電極115は可視光及び赤外光を透過する機能を有する。
【0363】
発光デバイス190Bは、可視光及び赤外光を発する機能を有する。具体的には、発光デバイス190Bは、画素電極191と共通電極115との間に電圧を印加することで、基板152側に可視光(青色の光21B)及び赤外光(赤外光21N)を射出する電界発光デバイスである。
【0364】
発光デバイス190Gは、可視光を発する機能を有する。具体的には、発光デバイス190Gは、画素電極191と共通電極115との間に電圧を印加することで、基板152側に可視光(緑色の光21G)を射出する電界発光デバイスである。
【0365】
発光層193は、受光デバイス110の受光領域と重ならないように形成されることが好ましい。これにより、発光層193が光22を吸収することを抑制でき、受光デバイス110に照射される光量を多くすることができる。
【0366】
画素電極181は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ41が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。画素電極181の端部は、隔壁216によって覆われている。
【0367】
画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ42が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。トランジスタ42は、発光デバイス190の駆動を制御する機能を有する。
【0368】
トランジスタ41とトランジスタ42とは、同一の層(
図14Aでは基板151)上に接している。
【0369】
受光デバイス110と電気的に接続される回路の少なくとも一部は、発光デバイス190と電気的に接続される回路と同一の材料及び同一の工程で形成されることが好ましい。これにより、2つの回路を別々に形成する場合に比べて、表示装置の厚さを薄くすることができ、また、作製工程を簡略化できる。
【0370】
受光デバイス110及び発光デバイス190は、それぞれ、保護層195に覆われていることが好ましい。
図14Aでは、保護層195が、共通電極115上に接して設けられている。保護層195を設けることで、受光デバイス110及び発光デバイス190に水などの不純物が入り込むことを抑制し、受光デバイス110及び発光デバイス190の信頼性を高めることができる。また、接着層142によって、保護層195と基板152とが貼り合わされている。
【0371】
なお、
図14Bに示すように、受光デバイス110上及び発光デバイス190上に保護層を有していなくてもよい。
図14Bでは、接着層142によって、共通電極115と基板152とが貼り合わされている。
【0372】
[表示装置10B]
図14Bに表示装置10Bの断面図を示す。なお、以降の表示装置の説明において、先に説明した表示装置と同様の構成については、説明を省略することがある。
【0373】
表示装置10Bは、バッファ層182、バッファ層192B、及びバッファ層192Gを有さず、共通層112を有する点で、表示装置10Aと異なる。
【0374】
共通層112は、画素電極181上及び画素電極191上に位置する。共通層112は、受光デバイス110、発光デバイス190B、及び発光デバイス190Gに共通で用いられる層である。
【0375】
共通層112としては、例えば、正孔注入層及び正孔輸送層の一方または双方を形成することができる。共通層112は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0376】
活性層及び発光層以外の層のうち少なくとも一部を、受光デバイスと発光デバイスとで互いに共通の構成とすることで、表示装置の作製工程を削減でき、好ましい。
【0377】
[表示装置10C]
図14Cに表示装置10Cの断面図を示す。
【0378】
表示装置10Cは、バッファ層184、バッファ層194B、及びバッファ層194Gを有さず、共通層114を有する点で、表示装置10Aと異なる。
【0379】
共通層114は、隔壁216上、活性層183上、発光層193B上、発光層193N上、及び発光層193G上に位置する。共通層114は、受光デバイス110、発光デバイス190B、及び発光デバイス190Gに共通で用いられる層である。
【0380】
共通層114としては、例えば、電子注入層及び電子輸送層の一方または双方を形成することができる。共通層114は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0381】
活性層及び発光層以外の層のうち少なくとも一部を、受光デバイスと発光デバイスとで互いに共通の構成とすることで、表示装置の作製工程を削減でき、好ましい。
【0382】
[表示装置10D]
図15Aに表示装置10Dの断面図を示す。
【0383】
表示装置10Dは、バッファ層182、バッファ層192B、バッファ層192G、バッファ層184、バッファ層194B、及びバッファ層194Gを有さず、共通層112及び共通層114を有する点で、表示装置10Aと異なる。
【0384】
本実施の形態の表示装置では、受光デバイス110の活性層183に有機化合物を用いる。受光デバイス110は、活性層183以外の層を、発光デバイス190(ELデバイス)と共通の構成にすることができる。そのため、発光デバイス190の作製工程に、活性層183を成膜する工程を追加するのみで、発光デバイス190の形成と並行して受光デバイス110を形成することができる。また、発光デバイス190と受光デバイス110とを同一基板上に形成することができる。したがって、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光デバイス110を内蔵することができる。
【0385】
表示装置10Dでは、受光デバイス110の活性層183と、発光デバイス190の発光層193と、を作り分ける以外は、受光デバイス110と発光デバイス190が共通の構成である例を示す。ただし、受光デバイス110と発光デバイス190の構成はこれに限定されない。受光デバイス110と発光デバイス190は、活性層183と発光層193のほかにも、互いに作り分ける層を有していてもよい(前述の表示装置10A、10B、10C参照)。受光デバイス110と発光デバイス190は、共通で用いられる層(共通層)を1層以上有することが好ましい。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光デバイス110を内蔵することができる。
【0386】
[表示装置10E]
図15Bに表示装置10Eの断面図を示す。
【0387】
図15Bに示す表示装置10Eは、表示装置10Aの構成に加え、レンズ149を有する。
【0388】
本実施の形態の表示装置は、レンズ149を有していてもよい。レンズ149は、受光デバイス110と重なる位置に設けられている。表示装置10Eでは、レンズ149が基板152に接して設けられている。表示装置10Eが有するレンズ149は、基板151側に凸面を有している。または、レンズ149は基板152側に凸面を有していてもよい。
【0389】
基板152の同一面上に遮光層BMとレンズ149との双方を形成する場合、形成順は問わない。
図15Bでは、レンズ149を先に形成する例を示すが、遮光層BMを先に形成してもよい。
図15Bでは、レンズ149の端部が遮光層BMによって覆われている。
【0390】
表示装置10Eは、光22がレンズ149を介して受光デバイス110に入射する構成である。レンズ149を有すると、レンズ149を有さない場合に比べて、受光デバイス110の撮像範囲を狭くすることができ、隣接する受光デバイス110と撮像範囲が重なることを抑制できる。これにより、ぼやけの少ない、鮮明な画像を撮像できる。また、受光デバイス110の撮像範囲が同じ場合、レンズ149を有すると、レンズ149を有さない場合に比べて、ピンホールの大きさ(
図15Bでは受光デバイス110と重なる遮光層BMの開口の大きさに相当する)を大きくすることができる。したがって、レンズ149を有することで、受光デバイス110に入射する光量を増やすことができる。
【0391】
また、基板152側に凸面を有するレンズ149を、保護層195の上面に接して設けてもよい。また、基板152の表示面側(基板151側の面とは逆側)に、レンズアレイを設けてもよい。レンズアレイが有するレンズは、受光デバイス110と重なる位置に設ける。基板152の基板151側の面には、遮光層BMが設けられていることが好ましい。
【0392】
本実施の形態の表示装置に用いるレンズの形成方法としては、基板上または受光デバイス上にマイクロレンズなどのレンズを直接形成してもよいし、別途作製されたマイクロレンズアレイなどのレンズアレイを基板に貼り合わせてもよい。
【0393】
[表示装置10F]
図15Cに表示装置10Fの断面図を示す。
【0394】
図15Cに示す表示装置10Fは、基板151、基板152、及び隔壁216を有さず、基板153、基板154、接着層155、絶縁層212、及び隔壁217を有する点で、表示装置10Dと異なる。
【0395】
基板153と絶縁層212とは接着層155によって貼り合わされている。基板154と保護層195とは接着層142によって貼り合わされている。
【0396】
表示装置10Fは、作製基板上に形成された絶縁層212、トランジスタ41、トランジスタ42、受光デバイス110、及び発光デバイス190等を、基板153上に転置することで作製される構成である。基板153及び基板154は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、表示装置10Fの可撓性を高めることができる。例えば、基板153及び基板154には、それぞれ、樹脂を用いることが好ましい。また、本実施の形態の表示装置が有する基板には、光学等方性が高いフィルムを用いてもよい。
【0397】
隔壁217は、発光デバイスが発した光を吸収することが好ましい。隔壁217として、例えば、顔料もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。また、茶色レジスト材料を用いることで、着色された絶縁層で隔壁217を構成することができる。
【0398】
発光デバイス190が発した光は、基板152及び隔壁217で反射され、反射光が受光デバイス110に入射することがある。また、発光デバイス190が発した光が隔壁217を透過し、トランジスタまたは配線等で反射されることで、反射光が受光デバイス110に入射することがある。隔壁217によって光が吸収されることで、このような反射光が受光デバイス110に入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受光デバイス110を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0399】
隔壁217は、少なくとも、受光デバイス110が検知する光の波長を吸収することが好ましい。例えば、発光デバイス190Gが発する緑色の光21Gを受光デバイス110が検知する場合、隔壁217は、少なくとも緑色の光を吸収することが好ましい。例えば、隔壁217が、赤色のカラーフィルタを有すると、緑色の光を吸収することができ、反射光が受光デバイス110に入射することを抑制できる。
【0400】
なお、光を透過する隔壁216の上面及び側面の一方又は双方に接して、光を吸収する有色層を設けてもよい。有色層は、発光デバイスが発した光を吸収することが好ましい。有色層として、例えば、顔料もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。また、茶色レジスト材料を用いることで、着色された絶縁層で有色層を構成することができる。
【0401】
有色層は、少なくとも、受光デバイス110が検知する光の波長を吸収することが好ましい。例えば、発光デバイス190Gが発する緑色の光21Gを受光デバイス110が検知する場合、有色層は、少なくとも緑色の光を吸収することが好ましい。例えば、有色層が、赤色のカラーフィルタを有すると、緑色の光を吸収することができ、反射光が受光デバイス110に入射することを抑制できる。
【0402】
有色層が表示装置10F内で生じた迷光を吸収することで、受光デバイス110に入射される迷光の量を低減できる。これにより、ノイズを低減し、受光デバイス110を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0403】
本実施の形態の表示装置において、有色層は、受光デバイス110と発光デバイス190との間に配置される。これにより、発光デバイス190から受光デバイス110に入射される迷光を抑制することができる。
【0404】
以下では、
図16~
図19を用いて、本発明の一態様の表示装置の、より詳細な構成について説明する。
【0405】
[表示装置100A]
図16に、表示装置100Aの断面図を示す。なお、表示装置100Aは、
図9に示す発光装置200Aの発光部163を表示部162に変えた構成を有する。この場合、
図16に示す構成は、表示装置100A、IC、及びFPCを有する表示モジュールということもできる。
【0406】
図16に、表示装置100Aの、FPC172を含む領域の一部、回路164を含む領域の一部、表示部162を含む領域の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0407】
図16に示す表示装置100Aは、基板151と基板152の間に、トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ206、トランジスタ207、発光デバイス190B、発光デバイス190G、受光デバイス110等を有する。
【0408】
基板152と絶縁層214は接着層142を介して接着されている。発光デバイス190B、発光デバイス190G、及び受光デバイス110の封止には、固体封止構造または中空封止構造などが適用できる。
図16では、基板152、接着層142、及び絶縁層214に囲まれた空間143が、不活性ガス(窒素やアルゴンなど)で充填されており、中空封止構造が適用されている。接着層142は、発光デバイス190B、発光デバイス190G、及び受光デバイス110と重ねて設けられていてもよい。また、基板152、接着層142、及び絶縁層214に囲まれた空間143を、接着層142とは異なる樹脂で充填してもよい。
【0409】
発光デバイス190Bは、絶縁層214側から画素電極191B、共通層112、発光層193N、発光層193B、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191Bは、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ206が有する導電層222bと接続されている。トランジスタ206は、発光デバイス190Bの駆動を制御する機能を有する。
【0410】
発光デバイス190Gは、絶縁層214側から画素電極191G、共通層112、発光層193G、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191Gは、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ207が有する導電層222bと接続されている。トランジスタ207は、発光デバイス190Gの駆動を制御する機能を有する。
【0411】
画素電極191Bの端部及び画素電極191Gの端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極191B及び画素電極191Gは可視光及び赤外光を反射する材料を含み、共通電極115は可視光及び赤外光を透過する材料を含む。
【0412】
受光デバイス110は、絶縁層214側から画素電極181、共通層112、活性層183、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極181は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ205が有する導電層222bと電気的に接続されている。画素電極181の端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極181は可視光及び赤外光を反射する材料を含み、共通電極115は可視光及び赤外光を透過する材料を含む。
【0413】
発光デバイス190が発する光は、基板152側に射出される。また、受光デバイス110には、基板152及び空間143を介して、光が入射する。基板152には、可視光及び赤外光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。
【0414】
画素電極181及び画素電極191は同一の材料及び同一の工程で作製することができる。共通層112、共通層114、及び共通電極115は、受光デバイス110と発光デバイス190との双方に用いられる。受光デバイス110と発光デバイス190とは、活性層183と発光層193の構成が異なる以外は全て共通の構成とすることができる。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置100Aに受光デバイス110を内蔵することができる。
【0415】
基板152の基板151側の面には、遮光層BMが設けられている。遮光層BMは、受光デバイス110と重なる位置及び発光デバイス190と重なる位置に開口を有する。遮光層BMを設けることで、受光デバイス110が光を検出する範囲を制御することができる。また、遮光層BMを有することで、対象物を介さずに、発光デバイス190から受光デバイス110に光が直接入射することを抑制できる。したがって、ノイズが少なく感度の高いセンサを実現できる。
【0416】
トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ206、及びトランジスタ207は、いずれも基板151上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の材料及び同一の工程により作製することができる。
【0417】
基板151上には、絶縁層211、絶縁層213、絶縁層215、及び絶縁層214がこの順で設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層213は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層215は、トランジスタを覆って設けられる。絶縁層214は、トランジスタを覆って設けられ、平坦化層としての機能を有する。なお、ゲート絶縁層の数及びトランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、それぞれ単層であっても2層以上であってもよい。
【0418】
トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0419】
絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。
【0420】
ここで、有機絶縁膜は、無機絶縁膜に比べてバリア性が低いことが多い。そのため、有機絶縁膜は、表示装置100Aの端部近傍に開口を有することが好ましい。これにより、表示装置100Aの端部から有機絶縁膜を介して不純物が入り込むことを抑制することができる。または、有機絶縁膜の端部が表示装置100Aの端部よりも内側にくるように有機絶縁膜を形成し、表示装置100Aの端部に有機絶縁膜が露出しないようにしてもよい。
【0421】
平坦化層として機能する絶縁層214には、有機絶縁膜が好適である。
図16に示す領域228では、絶縁層214に開口が形成されている。これにより、絶縁層214に有機絶縁膜を用いる場合であっても、絶縁層214を介して外部から表示部162に不純物が入り込むことを抑制できる。したがって、表示装置100Aの信頼性を高めることができる。
【0422】
表示装置100Aが有するトランジスタの構造は、発光装置200A(
図10A)が有するトランジスタの構造と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0423】
本実施の形態の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。本実施の形態の表示装置には、例えば、実施の形態1で説明した、発光装置に用いることができるトランジスタを適用することができる。
【0424】
基板151の、基板152が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線165が導電層166及び接続層242を介してFPC172と電気的に接続されている。接続部204の上面は、画素電極191と同一の導電膜を加工して得られた導電層166が露出している。これにより、接続部204とFPC172とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0425】
基板152の外側には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルム等が挙げられる。また、基板152の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等を配置してもよい。
【0426】
表示装置の各構成要素に用いることができる材料については、実施の形態1で説明した、発光装置に用いることができる各構成要素に用いることができる材料を適用することができる。
【0427】
発光デバイス190は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型などがある。光を取り出す側の電極には、可視光及び赤外光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光及び赤外光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0428】
発光デバイス190Bは、赤外光(IR)と青色(B)の光を発する。発光デバイス190Bは少なくとも発光層193B及び発光層193Nを有する。発光デバイス190Gは、緑色(G)の光を発する。発光デバイス190Gは、少なくとも発光層193Gを有する。発光デバイス190は、発光層193以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質等を含む層をさらに有していてもよい。例えば、共通層112は、正孔注入層及び正孔輸送層の一方又は双方を有することが好ましい。例えば、共通層114は、電子輸送層及び電子注入層の一方または双方を有することが好ましい。
【0429】
共通層112、発光層193、及び共通層114には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。共通層112、発光層193、及び共通層114を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0430】
発光層193は、発光材料として、量子ドットなどの無機化合物を有していてもよい。
【0431】
受光デバイス110の活性層183は、半導体を含む。当該半導体としては、シリコンなどの無機半導体、及び、有機化合物を含む有機半導体が挙げられる。本実施の形態では、活性層が有する半導体として、有機半導体を用いる例を示す。有機半導体を用いることで、発光デバイス190の発光層193と、受光デバイス110の活性層183と、を同じ方法(例えば、真空蒸着法)で形成することができ、製造装置を共通化できるため好ましい。
【0432】
活性層183が有するn型半導体の材料としては、フラーレン(例えばC60、C70等)またはその誘導体等の電子受容性の有機半導体材料が挙げられる。また、活性層183が有するp型半導体の材料としては、銅(II)フタロシアニン(Copper(II) phthalocyanine;CuPc)やテトラフェニルジベンゾペリフランテン(Tetraphenyldibenzoperiflanthene;DBP)等の電子供与性の有機半導体材料が挙げられる。
【0433】
例えば、活性層183は、n型半導体とp型半導体と共蒸着して形成することが好ましい。
【0434】
[表示装置100B]
図17Aに、表示装置100Bの断面図を示す。
【0435】
表示装置100Bは、レンズ149及び保護層195を有する点で、主に表示装置100Aと異なる。
【0436】
受光デバイス110及び発光デバイス190を覆う保護層195を設けることで、受光デバイス110及び発光デバイス190に水などの不純物が入り込むことを抑制し、受光デバイス110及び発光デバイス190の信頼性を高めることができる。
【0437】
表示装置100Bの端部近傍の領域228において、絶縁層214の開口を介して、絶縁層215と保護層195とが互いに接することが好ましい。特に、絶縁層215が有する無機絶縁膜と保護層195が有する無機絶縁膜とが互いに接することが好ましい。これにより、有機絶縁膜を介して外部から表示部162に不純物が入り込むことを抑制することができる。したがって、表示装置100Bの信頼性を高めることができる。
【0438】
図17Bに、保護層195が3層構造である例を示す。
図17Bにおいて、保護層195は、共通電極115上の無機絶縁層195aと、無機絶縁層195a上の有機絶縁層195bと、有機絶縁層195b上の無機絶縁層195cと、を有する。
【0439】
無機絶縁層195aの端部と無機絶縁層195cの端部は、有機絶縁層195bの端部よりも外側に延在し、互いに接している。そして、無機絶縁層195aは、絶縁層214(有機絶縁層)の開口を介して、絶縁層215(無機絶縁層)と接する。これにより、絶縁層215と保護層195とで、受光デバイス110及び発光デバイス190を囲うことができるため、受光デバイス110及び発光デバイス190の信頼性を高めることができる。
【0440】
このように、保護層195は、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層構造であってもよい。このとき、有機絶縁膜の端部よりも無機絶縁膜の端部を外側に延在させることが好ましい。
【0441】
基板152の基板151側の面に、レンズ149が設けられている。レンズ149は、基板151側に凸面を有する。受光デバイス110の受光領域は、レンズ149と重なり、かつ、発光層193と重ならないことが好ましい。これにより、受光デバイス110を用いたセンサの感度及び精度を高めることができる。
【0442】
レンズ149は、1.3以上2.5以下の屈折率を有することが好ましい。レンズ149は、無機材料及び有機材料の少なくとも一方を用いて形成することができる。例えば、樹脂を含む材料をレンズ149に用いることができる。また、酸化物及び硫化物の少なくとも一方を含む材料をレンズ149に用いることができる。
【0443】
具体的には、塩素、臭素、またはヨウ素を含む樹脂、重金属原子を含む樹脂、芳香環を含む樹脂、硫黄を含む樹脂などをレンズ149に用いることができる。または、樹脂と当該樹脂より屈折率の高い材料のナノ粒子を含む材料をレンズ149に用いることができる。酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどをナノ粒子に用いることができる。
【0444】
また、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、インジウムとスズを含む酸化物、またはインジウムとガリウムと亜鉛を含む酸化物などを、レンズ149に用いることができる。または、硫化亜鉛などを、レンズ149に用いることができる。
【0445】
また、表示装置100Bでは、保護層195と基板152とが接着層142によって貼り合わされている。接着層142は、受光デバイス110及び発光デバイス190とそれぞれ重ねて設けられており、表示装置100Bには、固体封止構造が適用されている。
【0446】
[表示装置100C]
図18Aに、表示装置100Cの断面図を示す。
【0447】
表示装置100Cは、トランジスタの構造が、表示装置100Bと異なる。
【0448】
表示装置100Cは、基板151上に、トランジスタ202、トランジスタ209、及びトランジスタ210を有する。
【0449】
表示装置100Cが有するトランジスタの構造は、発光装置200B(
図11A)が有するトランジスタの構造と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0450】
図18Aでは、絶縁層225が半導体層の上面及び側面を覆う例を示す。一方、
図18Bでは、絶縁層225は、半導体層231のチャネル形成領域231iと重なり、低抵抗領域231nとは重ならない。例えば、導電層223をマスクに絶縁層225が加工することで、
図18Bに示す構造を作製できる。
図18Bでは、絶縁層225及び導電層223を覆って絶縁層215が設けられ、絶縁層215の開口を介して、導電層222a及び導電層222bがそれぞれ低抵抗領域231nと接続されている。さらに、トランジスタを覆う絶縁層218を設けてもよい。
【0451】
[表示装置100D]
図19に、表示装置100Dの断面図を示す。
【0452】
表示装置100Dは、有色層148aを有する点で、表示装置100Cと異なる。
【0453】
有色層148aは、受光デバイス110が有する画素電極181の上面に接する部分と、隔壁216の側面に接する部分と、を有する。
【0454】
有色層148aが表示装置100D内で生じた迷光を吸収することで、受光デバイス110に入射される迷光の量を低減できる。これにより、ノイズを低減し、受光デバイス110を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0455】
また、表示装置100Dは、基板151及び基板152を有さず、基板153、基板154、接着層155、及び絶縁層212を有する点で、表示装置100Cと異なる。
【0456】
基板153と絶縁層212とは接着層155によって貼り合わされている。基板154と保護層195とは接着層142によって貼り合わされている。
【0457】
表示装置100Dは、作製基板上で形成された絶縁層212、トランジスタ202、トランジスタ209、トランジスタ210、受光デバイス110、及び発光デバイス190等を、基板153上に転置することで作製される構成である。基板153及び基板154は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、表示装置100Dの可撓性を高めることができる。
【0458】
絶縁層212には、絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215に用いることができる無機絶縁膜を用いることができる。
【0459】
また、表示装置100Cでは、レンズ149を有さない例を示し、表示装置100Dでは、レンズ149を有する例を示す。レンズ149はセンサの用途等に応じて適宜設けることができる。
【0460】
以上のように、本実施の形態の表示装置は、表示部に、可視光及び赤外光を発する発光デバイスと、可視光を発する発光デバイスと、可視光及び赤外光のうち少なくとも一部を検出する受光デバイスと、を有する。表示部は画像を表示する機能と光を検出する機能との双方を有する。これにより、表示部の外部または表示装置の外部にセンサを設ける場合に比べて、電子機器の小型化及び軽量化を図ることができる。また、表示部の外部または表示装置の外部に設けるセンサと組み合わせて、より多機能の電子機器を実現することもできる。
【0461】
受光デバイスは、活性層以外の少なくとも一層を、発光デバイス(ELデバイス)と共通の構成にすることができる。さらには、受光デバイスは、活性層以外の全ての層を、発光デバイス(ELデバイス)と共通の構成にすることもできる。例えば、発光デバイスの作製工程に、活性層を成膜する工程を追加するのみで、発光デバイスと受光デバイスとを同一基板上に形成することができる。また、受光デバイスと発光デバイスは、画素電極と共通電極とを、それぞれ、同一の材料及び同一の工程で形成することができる。また、受光デバイスと電気的に接続される回路と、発光デバイスと電気的に接続される回路と、を、同一の材料及び同一の工程で作製することで、表示装置の作製工程を簡略化できる。このように、複雑な工程を有さなくとも、受光デバイスを内蔵し、利便性の高い表示装置を作製することができる。
【0462】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0463】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光デバイスに用いることができる材料について、説明する。
【0464】
<電極>
発光デバイスの一対の電極を形成する材料としては、金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを適宜用いることができる。具体的には、In-Sn酸化物(ITOともいう)、In-Si-Sn酸化物(ITSOともいう)、In-Zn酸化物、In-W-Zn酸化物が挙げられる。その他、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)などの金属、及びこれらを適宜組み合わせて含む合金を用いることもできる。その他、上記例示のない元素周期表の第1族または第2族に属する元素(例えば、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr))、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)などの希土類金属及びこれらを適宜組み合わせて含む合金、グラフェン等を用いることができる。
【0465】
なお、マイクロキャビティ構造を有する発光デバイスを作製する場合は、反射電極と半透過・半反射電極とを用いる。したがって、所望の導電性材料を単数または複数用い、単層または積層して形成することができる。電極の作製には、スパッタリング法や真空蒸着法を用いることができる。
【0466】
<正孔注入層及び正孔輸送層>
正孔注入層は、陽極から発光ユニットに正孔を注入する層であり、正孔注入性の高い材料を含む層である。
【0467】
正孔注入性の高い材料としては、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の遷移金属酸化物、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物等を用いることができる。
【0468】
正孔注入性の高い材料としては、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’-ビス(N-{4-[N’-(3-メチルフェニル)-N’-フェニルアミノ]フェニル}-N-フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
【0469】
正孔注入性の高い材料としては、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)等を用いることができる。または、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(略称:PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物等を用いることもできる。
【0470】
正孔注入性の高い材料としては、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とを含む複合材料を用いることもできる。この場合、アクセプター性材料により正孔輸送性材料から電子が引き抜かれて正孔注入層で正孔が発生し、正孔輸送層を介して発光層に正孔が注入される。なお、正孔注入層は、正孔輸送性材料とアクセプター性材料とを含む複合材料からなる単層で形成してもよく、正孔輸送性材料とアクセプター性材料とをそれぞれ別の層で積層して形成してもよい。
【0471】
正孔輸送層は、正孔注入層によって、陽極から注入された正孔を発光層に輸送する層である。正孔輸送層は、正孔輸送性材料を含む層である。正孔輸送層に用いる正孔輸送性材料は、特に正孔注入層のHOMO準位と同じまたは近いHOMO準位を有するものを用いることが好ましい。
【0472】
正孔注入層に用いるアクセプター性材料としては、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を用いることができる。具体的には、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムが挙げられる。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。その他、キノジメタン誘導体、クロラニル誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体などの有機アクセプターを用いることができる。電子吸引基(ハロゲン基やシアノ基)を有するものとしては、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F4-TCNQ)、クロラニル、2,3,6,7,10,11-ヘキサシアノ-1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT-CN)、1,3,4,5,7,8-ヘキサフルオロテトラシアノ-ナフトキノジメタン(略称:F6-TCNNQ)等を挙げることができる。特に、HAT-CNのように複素原子を複数有する縮合芳香環に電子吸引基が結合している化合物が、熱的に安定であり好ましい。また、電子吸引基(特にフルオロ基のようなハロゲン基やシアノ基)を有する[3]ラジアレン誘導体は、電子受容性が非常に高いため好ましく、具体的にはα,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[4-シアノ-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,6-ジクロロ-3,5-ジフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゼンアセトニトリル]などが挙げられる。
【0473】
正孔注入層及び正孔輸送層に用いる正孔輸送性材料としては、10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。
【0474】
正孔輸送性材料としては、π電子過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体など)や芳香族アミン(芳香族アミン骨格を有する化合物)等の正孔輸送性の高い材料が好ましい。
【0475】
カルバゾール誘導体(カルバゾール骨格を有する化合物)としては、ビカルバゾール誘導体(例えば、3,3’-ビカルバゾール誘導体)、カルバゾリル基を有する芳香族アミン等が挙げられる。
【0476】
ビカルバゾール誘導体(例えば、3,3’-ビカルバゾール誘導体)としては、具体的には、3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCCP)、9,9’-ビス(1,1’-ビフェニル-4-イル)-3,3’-ビ-9H-カルバゾール、9,9’-ビス(1,1’-ビフェニル-3-イル)-3,3’-ビ-9H-カルバゾール、9-(1,1’-ビフェニル-3-イル)-9’-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(略称:mBPCCBP)、9-(2-ナフチル)-9’-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(略称:βNCCP)などが挙げられる。
【0477】
カルバゾリル基を有する芳香族アミンとしては、具体的には、4-フェニル-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、N-(4-ビフェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCBiF)、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)、4,4’-ジフェニル-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4-(1-ナフチル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’-ジ(1-ナフチル)-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、4-フェニルジフェニル-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)アミン(略称:PCA1BP)、N,N’-ビス(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N,N’-ジフェニルベンゼン-1,3-ジアミン(略称:PCA2B)、N,N’,N’’-トリフェニル-N,N’,N’’-トリス(9-フェニルカルバゾール-3-イル)ベンゼン-1,3,5-トリアミン(略称:PCA3B)、9,9-ジメチル-N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]フルオレン-2-アミン(略称:PCBAF)、N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-アミン(略称:PCBASF)、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、3-[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA1)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA2)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-(1-ナフチル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN2)、2-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:PCASF)、N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N-(4-フェニル)フェニルアニリン(略称:YGA1BP)、N,N’-ビス[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニル-9,9-ジメチルフルオレン-2,7-ジアミン(略称:YGA2F)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)などが挙げられる。
【0478】
カルバゾール誘導体としては、上記に加えて、3-[4-(9-フェナントリル)-フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPPn)、3-[4-(1-ナフチル)-フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPN)、1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’-ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3,6-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)-9-フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、1,3,5-トリス[4-(N-カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9-[4-(10-フェニル-9-アントラセニル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)等が挙げられる。
【0479】
チオフェン誘導体(チオフェン骨格を有する化合物)及びフラン誘導体(フラン骨格を有する化合物)としては、具体的には、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)、2,8-ジフェニル-4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-III)、4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]-6-フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-IV)などのチオフェン骨格を有する化合物、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P-II)、4-{3-[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi-II)等が挙げられる。
【0480】
芳香族アミンとしては、具体的には、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα-NPD)、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(略称:TPD)、4,4’-ビス[N-(スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-イル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4-フェニル-3’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-N-{9,9-ジメチル-2-[N’-フェニル-N’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ]-9H-フルオレン-7-イル}フェニルアミン(略称:DFLADFL)、N-(9,9-ジメチル-2-ジフェニルアミノ-9H-フルオレン-7-イル)ジフェニルアミン(略称:DPNF)、2-[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:DPASF)、2,7-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:DPA2SF)、4,4’,4’’-トリス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1-TNATA)、TDATA、m-MTDATA、N,N’-ジ(p-トリル)-N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、DPAB、DNTPD、DPA3B等が挙げられる。
【0481】
正孔輸送性材料としては、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly-TPDなどの高分子化合物を用いることもできる。
【0482】
正孔輸送性材料は、上記に限られることなく公知の様々な材料を1種または複数種組み合わせて、正孔注入層及び正孔輸送層に用いることができる。
【0483】
<発光層>
発光層は、発光物質を含む層である。発光層は、1種または複数種の発光物質を有することができる。発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いる。また、発光物質として、近赤外光を発する物質を用いることもできる。
【0484】
発光層は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料等)を有していてもよい。1種または複数種の有機化合物としては、本実施の形態で説明する正孔輸送性材料及び電子輸送性材料の一方または双方を用いることができる。また、1種または複数種の有機化合物として、バイポーラ性材料を用いてもよい。
【0485】
発光層に用いることができる発光物質として、特に限定は無く、一重項励起エネルギーを可視光領域もしくは近赤外光領域の発光に変える発光物質、または三重項励起エネルギーを可視光領域もしくは近赤外光領域の発光に変える発光物質を用いることができる。
【0486】
一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)が挙げられ、例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体などが挙げられる。特にピレン誘導体は発光量子収率が高いので好ましい。ピレン誘導体の具体例としては、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)、N,N’-ビス(ジベンゾフラン-2-イル)-N,N’-ジフェニルピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FrAPrn)、N,N’-ビス(ジベンゾチオフェン-2-イル)-N,N’-ジフェニルピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6ThAPrn)、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(N-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-6-アミン](略称:1,6BnfAPrn)、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(N-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-8-アミン](略称:1,6BnfAPrn-02)、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(6,N-ジフェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-8-アミン](略称:1,6BnfAPrn-03)などが挙げられる。
【0487】
その他にも、5,6-ビス[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6-ビス[4’-(10-フェニル-9-アントリル)ビフェニル-4-イル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAPP2BPy)、N,N’-ビス[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベン-4,4’-ジアミン(略称:YGA2S)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、4-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPBA)、ペリレン、2,5,8,11-テトラ(tert-ブチル)ペリレン(略称:TBP)、N,N’’-(2-tert-ブチルアントラセン-9,10-ジイルジ-4,1-フェニレン)ビス[N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPPA)、N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)等を用いることができる。
【0488】
三重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、例えば、燐光を発する物質(燐光材料)や熱活性化遅延蛍光を示す熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料が挙げられる。
【0489】
燐光材料としては、例えば、4H-トリアゾール骨格、1H-トリアゾール骨格、イミダゾール骨格、ピリミジン骨格、ピラジン骨格、またはピリジン骨格を有する有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、白金錯体、希土類金属錯体等が挙げられる。
【0490】
青色または緑色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が450nm以上570nm以下である燐光材料としては、以下のような物質が挙げられる。
【0491】
例えば、トリス{2-[5-(2-メチルフェニル)-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-κN2]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz-dmp)3])、トリス(5-メチル-3,4-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz)3])、トリス[4-(3-ビフェニル)-5-イソプロピル-3-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrptz-3b)3])、トリス[3-(5-ビフェニル)-5-イソプロピル-4-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPr5btz)3])、のような4H-トリアゾール骨格を有する有機金属錯体、トリス[3-メチル-1-(2-メチルフェニル)-5-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz1-mp)3])、トリス(1-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Prptz1-Me)3])のような1H-トリアゾール骨格を有する有機金属錯体、fac-トリス[1-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-フェニル-1H-イミダゾール]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrpmi)3])、トリス[3-(2,6-ジメチルフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(dmpimpt-Me)3])のようなイミダゾール骨格を有する有機金属錯体、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2-[3’,5’-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:[Ir(CF3ppy)2(pic)])、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))のように電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体等が挙げられる。
【0492】
緑色または黄色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が495nm以上590nm以下である燐光材料としては、以下のような物質が挙げられる。
【0493】
例えば、トリス(4-メチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)3])、トリス(4-t-ブチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)3])、(アセチルアセトナト)ビス(6-メチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(6-tert-ブチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[6-(2-ノルボルニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(nbppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[5-メチル-6-(2-メチルフェニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(mpmppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス{4,6-ジメチル-2-[6-(2,6-ジメチルフェニル)-4-ピリミジニル-κN3]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(dmppm-dmp)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(4,6-ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)2(acac)])のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、(アセチルアセトナト)ビス(3,5-ジメチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-Me)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(5-イソプロピル-3-メチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-iPr)2(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)3])、ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(ppy)2(acac)])、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bzq)2(acac)])、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(bzq)3])、トリス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(pq)3])、ビス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(pq)2(acac)])、[2-(4-フェニル-2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)2(4dppy)])、ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC][2-(4-メチル-5-フェニル-2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、ビス(2,4-ジフェニル-1,3-オキサゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(dpo)2(acac)])、ビス{2-[4’-(パーフルオロフェニル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(p-PF-ph)2(acac)])、ビス(2-フェニルベンゾチアゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bt)2(acac)])などの有機金属錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:[Tb(acac)3(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。
【0494】
黄色または赤色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が570nm以上750nm以下である燐光材料としては、以下のような物質が挙げられる。
【0495】
例えば、(ジイソブチリルメタナト)ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)2(dibm)])、ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)2(dpm)])、ビス[4,6-ジ(ナフタレン-1-イル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(d1npm)2(dpm)])、トリス(4-t-ブチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)3])のようなピリミジン骨格を有する有機金属錯体、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)2(acac)])、ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)2(dpm)])、ビス{4,6-ジメチル-2-[3-(3,5-ジメチルフェニル)-5-フェニル-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-P)2(dibm)])、ビス{4,6-ジメチル-2-[5-(4-シアノ-2,6-ジメチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-dmCP)2(dpm)])、(アセチルアセトナト)ビス[2-メチル-3-フェニルキノキサリナト-N,C2’]イリジウム(III)(略称:[Ir(mpq)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(2,3-ジフェニルキノキサリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dpq)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Fdpq)2(acac)])、ビス{4,6-ジメチル-2-[5-(5-シアノ-2-メチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-m5CP)2(dpm)])のようなピラジン骨格を有する有機金属錯体や、トリス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(piq)3])、ビス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(piq)2(acac)])、ビス[4,6-ジメチル-2-(2-キノリニル-κN)フェニル-κC](2,4-ペンタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)のようなピリジン骨格を有する有機金属錯体、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(II)(略称:[PtOEP])のような白金錯体、トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(DBM)3(Phen)])、トリス[1-(2-テノイル)-3,3,3-トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(TTA)3(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。
【0496】
発光層に用いる有機化合物(ホスト材料、アシスト材料等)としては、発光物質のエネルギーギャップより大きなエネルギーギャップを有する物質を、一種もしくは複数種選択して用いることができる。
【0497】
発光層に用いる発光物質が蛍光材料である場合、発光物質と組み合わせて用いる有機化合物としては、一重項励起状態のエネルギー準位が大きく、三重項励起状態のエネルギー準位が小さい有機化合物を用いるのが好ましい。
【0498】
一部上記の具体例と重複するが、発光物質(蛍光材料、燐光材料)との好ましい組み合わせという観点から、以下に有機化合物の具体例を示す。
【0499】
発光物質が蛍光材料である場合、発光物質と組み合わせて用いることができる有機化合物としては、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられる。
【0500】
蛍光材料と組み合わせて用いる有機化合物(ホスト材料)の具体例としては、9-フェニル-3-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:PCzPA)、3,6-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:DPCzPA)、PCPN、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:CzA1PA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPA)、N,9-ジフェニル-N-{4-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]フェニル}-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPBA)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、6,12-ジメトキシ-5,11-ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’-オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン-2,7,10,15-テトラアミン(略称:DBC1)、CzPA、7-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBCzPA)、6-[3-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン(略称:2mBnfPPA)、9-フェニル-10-{4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)-ビフェニル-4’-イル}アントラセン(略称:FLPPA)、9,10-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、9,9’-ビアントリル(略称:BANT)、9,9’-(スチルベン-3,3’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’-(スチルベン-4,4’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、1,3,5-トリ(1-ピレニル)ベンゼン(略称:TPB3)、5,12-ジフェニルテトラセン、5,12-ビス(ビフェニル-2-イル)テトラセンなどが挙げられる。
【0501】
発光物質が燐光材料である場合、発光物質と組み合わせて用いる有機化合物としては、発光物質の三重項励起エネルギー(基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差)よりも三重項励起エネルギーの大きい有機化合物を選択すればよい。
【0502】
励起錯体を形成させるべく複数の有機化合物(例えば、第1のホスト材料、及び第2のホスト材料(またはアシスト材料)等)を発光物質と組み合わせて用いる場合は、これらの複数の有機化合物を燐光材料(特に有機金属錯体)と混合して用いることが好ましい。
【0503】
このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を用いた発光を効率よく得ることができる。なお、複数の有機化合物の組み合わせとしては、励起錯体が形成しやすいものがよく、正孔を受け取りやすい化合物(正孔輸送性材料)と、電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性材料)とを組み合わせることが特に好ましい。なお、正孔輸送性材料及び電子輸送性材料の具体例については、本実施の形態で示す材料を用いることができる。この構成により、発光デバイスの高効率、低電圧、長寿命を同時に実現できる。
【0504】
発光物質が燐光材料である場合に発光物質と組み合わせて用いることができる有機化合物としては、芳香族アミン、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、亜鉛やアルミニウム系の金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体等が挙げられる。
【0505】
なお、上記のうち、正孔輸送性の高い有機化合物である芳香族アミン(芳香族アミン骨格を有する化合物)、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体(チオフェン誘導体)、ジベンゾフラン誘導体(フラン誘導体)の具体例としては、上記に示した正孔輸送性材料の具体例と同じものが挙げられる。
【0506】
電子輸送性の高い有機化合物である、亜鉛やアルミニウム系の金属錯体の具体例としては、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq3)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。
【0507】
この他、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。
【0508】
電子輸送性の高い有機化合物である、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体の具体例としては、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、9-[4-(5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO11)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、3-(4-tert-ブチルフェニル)-4-(4-エチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,2,4-トリアゾール(略称:p-EtTAZ)、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm-II)、4,4’-ビス(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベン(略称:BzOs、バソフェナントロリン(略称:Bphen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBphen)、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq-II)、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、2-[3’-(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、2-[4-(3,6-ジフェニル-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq-III)、7-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq-II)、及び6-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq-II)などが挙げられる。
【0509】
電子輸送性の高い有機化合物である、ジアジン骨格を有する複素環化合物、トリアジン骨格を有する複素環化合物、ピリジン骨格を有する複素環化合物の具体例としては、4,6-ビス[3-(フェナントレン-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6-ビス[3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm-II)、4,6-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)、9-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-9’-フェニル-2,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:mPCCzPTzn-02)、3,5-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5-トリ[3-(3-ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)などが挙げられる。
【0510】
電子輸送性の高い有機化合物としては、ポリ(2,5-ピリジンジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(ピリジン-3,5-ジイル)](略称:PF-Py)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(2,2’-ビピリジン-6,6’-ジイル)](略称:PF-BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。
【0511】
TADF材料とは、三重項励起状態をわずかな熱エネルギーによって一重項励起状態にアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態からの発光(蛍光)を効率よく呈する材料のことである。また、熱活性化遅延蛍光が効率良く得られる条件としては、三重項励起準位と一重項励起準位のエネルギー差が0eV以上0.2eV以下、好ましくは0eV以上0.1eV以下であることが挙げられる。また、TADF材料における遅延蛍光とは、通常の蛍光と同様のスペクトルを持ちながら、寿命が著しく長い発光をいう。その寿命は、10-6秒以上、好ましくは10-3秒以上である。
【0512】
TADF材料としては、例えば、フラーレンやその誘導体、プロフラビン等のアクリジン誘導体、エオシン等が挙げられる。また、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリンが挙げられる。金属含有ポルフィリンとしては、例えば、プロトポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(Proto IX))、メソポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(Meso IX))、ヘマトポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(Copro III-4Me))、オクタエチルポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(OEP))、エチオポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(Etio I))、オクタエチルポルフィリン-塩化白金錯体(略称:PtCl2OEP)等が挙げられる。
【0513】
その他にも、2-(ビフェニル-4-イル)-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:PIC-TRZ)、PCCzPTzn、2-[4-(10H-フェノキサジン-10-イル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PXZ-TRZ)、3-[4-(5-フェニル-5,10-ジヒドロフェナジン-10-イル)フェニル]-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾール(略称:PPZ-3TPT)、3-(9,9-ジメチル-9H-アクリジン-10-イル)-9H-キサンテン-9-オン(略称:ACRXTN)、ビス[4-(9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン(略称:DMAC-DPS)、10-フェニル-10H,10’H-スピロ[アクリジン-9,9’-アントラセン]-10’-オン(略称:ACRSA)、等のπ電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有する複素環化合物を用いることができる。なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環のドナー性とπ電子不足型複素芳香環のアクセプター性が共に強くなり、一重項励起状態と三重項励起状態のエネルギー差が小さくなるため、特に好ましい。
【0514】
なお、TADF材料を用いる場合、他の有機化合物と組み合わせて用いることもできる。特に、上述したホスト材料、正孔輸送材料、電子輸送材料と組み合わせることができる。
【0515】
また、上記の材料は、低分子材料や高分子材料と組み合わせることにより発光層の形成に用いることができる。また、成膜には、公知の方法(蒸着法や塗布法や印刷法など)を適宜用いることができる。
【0516】
<電子輸送層>
電子輸送層は、電子注入層によって、陰極から注入された電子を発光層に輸送する層である。なお、電子輸送層は、電子輸送性材料を含む層である。電子輸送層に用いる電子輸送性材料は、1×10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。
【0517】
電子輸送性材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体等の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン配位子を有するキノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、その他含窒素複素芳香族化合物を含むπ電子不足型複素芳香族化合物等の電子輸送性の高い材料を用いることができる。
【0518】
電子輸送性材料の具体例としては、上記に示した材料を用いることができる。
【0519】
<電子注入層>
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF3)のような希土類金属化合物を用いることができる。また、電子注入層にエレクトライドを用いてもよい。エレクトライドとしては、例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物に電子を高濃度添加した物質等が挙げられる。なお、上述した電子輸送層を構成する物質を用いることもできる。
【0520】
また、電子注入層に、電子輸送性材料とドナー性材料(電子供与性材料)とを含む複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性及び電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層に用いる電子輸送性材料(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
【0521】
<電荷発生層>
電荷発生層は2つの発光ユニットの間に設けられる。電荷発生層は、陽極と陰極との間に電圧を印加したときに、隣接する一方の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔を注入する機能を有する。
【0522】
電荷発生層は、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とを含む構成であっても、電子輸送性材料とドナー性材料とを含む構成であってもよい。このような構成の電荷発生層を形成することにより、EL層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0523】
正孔輸送性材料、アクセプター性材料、電子輸送性材料、及びドナー性材料は、それぞれ上述の材料を用いることができる。
【0524】
なお、本発明の一態様の発光デバイスの作製には、蒸着法などの真空プロセスや、スピンコート法やインクジェット法などの溶液プロセスを用いることができる。蒸着法を用いる場合には、スパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、分子線蒸着法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD法)や、化学蒸着法(CVD法)等を用いることができる。特にEL層に含まれる機能層(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層)及び電荷発生層については、蒸着法(真空蒸着法等)、塗布法(ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法等)、印刷法(インクジェット法、スクリーン(孔版印刷)法、オフセット(平版印刷)法、フレキソ(凸版印刷)法、グラビア法、マイクロコンタクト法等)などの方法により形成することができる。
【0525】
発光デバイスを構成する機能層及び電荷発生層の材料は、それぞれ、上述の材料に限定されない。例えば、機能層の材料として、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)、中分子化合物(低分子と高分子の中間領域の化合物:分子量400乃至4000)、無機化合物(量子ドット材料等)等を用いてもよい。なお、量子ドット材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料などを用いることができる。
【0526】
本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例と適宜組み合わせることができる。
【0527】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について、
図20を用いて説明する。
【0528】
本発明の一態様の表示装置は、受光デバイスを有する第1の画素回路と、発光デバイスを有する第2の画素回路と、を有する。第1の画素回路と第2の画素回路は、それぞれ、マトリクス状に配置される。
【0529】
図20Aに、受光デバイスを有する第1の画素回路の一例を示し、
図20Bに、発光デバイスを有する第2の画素回路の一例を示す。
【0530】
図20Aに示す画素回路PIX1は、受光デバイスPD、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、トランジスタM4、及び容量C1を有する。ここでは、受光デバイスPDとして、フォトダイオードを用いた例を示している。
【0531】
受光デバイスPDは、カソードが配線V1と電気的に接続し、アノードがトランジスタM1のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM1は、ゲートが配線TXと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が容量C1の一方の電極、トランジスタM2のソースまたはドレインの一方、及びトランジスタM3のゲートと電気的に接続する。トランジスタM2は、ゲートが配線RESと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線V2と電気的に接続する。トランジスタM3は、ソースまたはドレインの一方が配線V3と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方がトランジスタM4のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM4は、ゲートが配線SEと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT1と電気的に接続する。
【0532】
配線V1、配線V2、及び配線V3には、それぞれ定電位が供給される。受光デバイスPDを逆バイアスで駆動させる場合には、配線V2に、配線V1の電位よりも低い電位を供給する。トランジスタM2は、配線RESに供給される信号により制御され、トランジスタM3のゲートに接続するノードの電位を、配線V2に供給される電位にリセットする機能を有する。トランジスタM1は、配線TXに供給される信号により制御され、受光デバイスPDに流れる電流に応じて上記ノードの電位が変化するタイミングを制御する機能を有する。トランジスタM3は、上記ノードの電位に応じた出力を行う増幅トランジスタとして機能する。トランジスタM4は、配線SEに供給される信号により制御され、上記ノードの電位に応じた出力を配線OUT1に接続する外部回路で読み出すための選択トランジスタとして機能する。
【0533】
図20Bに示す画素回路PIX2は、発光デバイスEL、トランジスタM5、トランジスタM6、トランジスタM7、及び容量C2を有する。ここでは、発光デバイスELとして、発光ダイオードを用いた例を示している。特に、発光デバイスELとして、有機ELデバイスを用いることが好ましい。
【0534】
トランジスタM5は、ゲートが配線VGと電気的に接続し、ソースまたはドレインの一方が配線VSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が、容量C2の一方の電極、及びトランジスタM6のゲートと電気的に接続する。トランジスタM6のソースまたはドレインの一方は配線V4と電気的に接続し、他方は、発光デバイスELのアノード、及びトランジスタM7のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM7は、ゲートが配線MSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT2と電気的に接続する。発光デバイスELのカソードは、配線V5と電気的に接続する。
【0535】
配線V4及び配線V5には、それぞれ定電位が供給される。発光デバイスELのアノード側を高電位に、カソード側をアノード側よりも低電位にすることができる。トランジスタM5は、配線VGに供給される信号により制御され、画素回路PIX2の選択状態を制御するための選択トランジスタとして機能する。また、トランジスタM6は、ゲートに供給される電位に応じて発光デバイスELに流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。トランジスタM5が導通状態のとき、配線VSに供給される電位がトランジスタM6のゲートに供給され、その電位に応じて発光デバイスELの発光輝度を制御することができる。トランジスタM7は配線MSに供給される信号により制御され、トランジスタM6と発光デバイスELとの間の電位を、配線OUT2を介して外部に出力する機能を有する。
【0536】
なお、本実施の形態の表示装置では、発光デバイスをパルス状に発光させることで、画像を表示してもよい。発光デバイスの駆動時間を短縮することで、表示装置の消費電力の低減、及び、発熱の抑制を図ることができる。特に、有機ELデバイスは周波数特性が優れているため、好適である。周波数は、例えば、1kHz以上100MHz以下とすることができる。
【0537】
ここで、画素回路PIX1が有するトランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、及びトランジスタM4、並びに、画素回路PIX2が有するトランジスタM5、トランジスタM6、及びトランジスタM7には、それぞれチャネルが形成される半導体層に金属酸化物(酸化物半導体)を用いたトランジスタを適用することが好ましい。
【0538】
シリコンよりもバンドギャップが広く、かつキャリア密度の小さい金属酸化物を用いたトランジスタは、極めて小さいオフ電流を実現することができる。そのため、その小さいオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。そのため、特に容量C1または容量C2に直列に接続されるトランジスタM1、トランジスタM2、及びトランジスタM5には、酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることが好ましい。また、これ以外のトランジスタも同様に酸化物半導体を適用したトランジスタを用いることで、作製コストを低減することができる。
【0539】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM7に、チャネルが形成される半導体にシリコンを適用したトランジスタを用いることもできる。特に単結晶シリコンや多結晶シリコンなどの結晶性の高いシリコンを用いることで、高い電界効果移動度を実現することができ、より高速な動作が可能となるため好ましい。
【0540】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM7のうち、一以上に酸化物半導体を適用したトランジスタを用い、それ以外にシリコンを適用したトランジスタを用いる構成としてもよい。
【0541】
なお、
図20A、
図20Bにおいて、トランジスタをnチャネル型のトランジスタとして表記しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることもできる。
【0542】
画素回路PIX1が有するトランジスタと画素回路PIX2が有するトランジスタは、同一基板上に並べて形成されることが好ましい。特に、画素回路PIX1が有するトランジスタと画素回路PIX2が有するトランジスタとを1つの領域内に混在させて周期的に配列する構成とすることが好ましい。
【0543】
また、受光デバイスPDまたは発光デバイスELと重なる位置に、トランジスタ及び容量の一方又は双方を有する層を1つまたは複数設けることが好ましい。これにより、各画素回路の実効的な占有面積を小さくでき、高精細な受光部または表示部を実現できる。
【0544】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0545】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、
図21~
図23を用いて説明する。
【0546】
本実施の形態の電子機器は、本発明の一態様の発光装置を有する。例えば、電子機器の表示部に、本発明の一態様の発光装置を適用することができる。この時、電子機器は、発光装置とは別に光センサを有することが好ましい。本発明の一態様の発光装置は、可視光及び赤外光の双方を発する機能を有するため、表示部で画像を表示するだけでなく、光センサの光源として用いる光(可視光及び赤外光の一方又は双方)を発することができる。発光装置と光センサとを組み合わせることで、生体認証を行うこと、または、タッチ(さらには近接)を検出することができる。これにより、電子機器の機能性や利便性などを高めることができる。
【0547】
または、本実施の形態の電子機器は、本発明の一態様の表示装置を有する。例えば、電子機器の表示部に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の表示装置は、可視光と赤外光との双方を発する機能及び光を検出する機能を有するため、表示部で画像を表示するだけでなく、生体認証を行うこと、または、タッチ(さらには近接)を検出することができる。これにより、電子機器の機能性や利便性などを高めることができる。
【0548】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0549】
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0550】
本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0551】
図21Aに示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0552】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0553】
表示部6502に、本発明の一態様の発光装置または表示装置を適用することができる。
【0554】
図21Bは、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0555】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0556】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
【0557】
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0558】
表示パネル6511には本発明の一態様のフレキシブルな発光装置またはフレキシブルな表示装置を適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0559】
図22Aにテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0560】
表示部7000に、本発明の一態様の発光装置または表示装置を適用することができる。
【0561】
図22Aに示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
【0562】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0563】
図22Bに、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
【0564】
表示部7000に、本発明の一態様の発光装置または表示装置を適用することができる。
【0565】
【0566】
図22Cに示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0567】
図22Dは円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
【0568】
図22C、
図22Dにおいて、表示部7000に、本発明の一態様の発光装置または表示装置を適用することができる。
【0569】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0570】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、ユーザーが直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0571】
また、
図22C、
図22Dに示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザーが所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0572】
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザーが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0573】
図23A乃至
図23Fに示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0574】
図23A乃至
図23Fに示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画や動画を撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0575】
【0576】
図23Aは、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。
図23Aでは3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールやSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
【0577】
図23Bは、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えばユーザーは、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。ユーザーは、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
【0578】
図23Cは、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチとして用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うことや、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
【0579】
図23D~
図23Fは、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、
図23Dは携帯情報端末9201を展開した状態、
図23Fは折り畳んだ状態、
図23Eは
図23Dと
図23Fの一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0580】
本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例と適宜組み合わせることができる。
【実施例1】
【0581】
本実施例では、本発明の一態様の発光装置または表示装置に用いることができる、可視光及び赤外光を発する発光デバイスのデバイス構造について、ソフトウェアを用いて検討した結果について説明する。
【0582】
具体的には、本実施例では、
図24Aに示す青色の光及び赤外光を発する発光デバイス47B(IR)のデバイス構造について検討した結果について説明する。
【0583】
まず、本実施例の計算に実測値(屈折率n、消衰係数k、発光スペクトルなど)を利用した有機化合物の構造式を以下に示す。
【0584】
【0585】
本実施例では、有機デバイスシミュレータ(semiconducting emissive thin film optics simulator:setfos;サイバネットシステム株式会社)を用いて計算を行った。
【0586】
当該計算では、発光デバイスを構成する各層の膜厚、屈折率n(実測値)、及び消衰係数k(実測値)、発光材料の発光スペクトル(フォトルミネッセンス(PL)スペクトル)の実測値、並びに、発光領域の位置を入力し、パーセルファクターを乗じ、励起子の放射崩壊レートの変調を考慮した、正面方向の発光強度及びスペクトル波形を算出した。
【0587】
各層の屈折率n及び消衰係数kは分光エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン社製M-2000U)を用いて測定した。測定には、石英基板上に各層の材料を真空蒸着法により約50nm成膜した膜を使用した。
【0588】
発光材料の発光スペクトルは、可視光の検出器としてマルチチャンネル分光器(浜松ホトニクス社製C10029-01)、近赤外光の検出器として近赤外分光放射計(SR-NIRトプコン社製)、励起光として紫外発光LED(日亜化学工業社製NSCU033B)、バンドパスフィルターとしてUV U360(エドモンドオプティクス社製)、ロングパスフィルターとしてSCF-50S-42L(シグマ光機社製)を用いて測定した。
【0589】
可視光の発光スペクトルの測定には、石英基板上に7-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBCzPA)とN,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)とを重量比1:0.03、膜厚は50nmとなるように真空蒸着法を用いた共蒸着により成膜した膜を使用した。
【0590】
赤外光の発光スペクトルの測定には、石英基板上に2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)、及び、ビス{4,6-ジメチル-2-[3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ベンゾ[g]キノキサリニル-κN]フェニル-κC}(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdpbq)2(dpm)])を、重量比0.7:0.3:0.1、膜厚は50nmとなるように真空蒸着法を用いた共蒸着により成膜した膜を使用した。なお、[Ir(dmdpbq)2(dpm)]の合成例は、参考例で後述する。
【0591】
計算に用いたPLスペクトルを、
図25に示す。
図25において、横軸は波長(単位:nm)を示し、縦軸はエネルギーベースの規格化PL強度(任意単位)を示す。なお、エネルギーベースのPL強度に波長をかけ合わせることで、フォトンベースのPL強度を求めることができる。
【0592】
発光領域は発光層の中心と仮定した。
【0593】
可視光、赤外光ともに、発光量子収率、励起子生成確率、再結合確率は100%と仮定した。すなわち、計算により得られた外部量子効率(ランバーシアン仮定)は、正面の発光強度からランバーシアン配光を仮定して算出した光取り出し効率を示す。
【0594】
図24Aに示す、本実施例で用いた発光デバイス47B(IR)は、中間層198に電荷発生層を有するタンデム構造である。発光デバイス47B(IR)では、発光層193Nから赤外光を発する発光ユニット上に発光層193Bから青色の光を発する発光ユニットが設けられている。
【0595】
図24Aに示すように、画素電極191と発光層193Bの発光領域との間の光学距離は3λB/4程度となり、共通電極115と発光層193Bの発光領域との間の光学距離が、λB/4程度となり、画素電極191と発光層193Nの発光領域との間の光学距離が、λi/4程度となり、共通電極115と発光層193Nの発光領域との間の光学距離が、λi/4程度となるように、初期値を設定し、計算を行った。
【0596】
本実施例では、可視光の波長λBは、BT.2020で規定されている青色の光の波長(467nm)とし、赤外光の波長λiは、青色の光の2次光(934nm)と仮定した。
【0597】
本実施例で用いた発光デバイス47B(IR)のデバイス構造について、表2を用いて説明する。なお、計算の簡略化のため、正孔注入層、電子注入層、及び電荷発生層は省略した。
【0598】
【0599】
基板151として、膜厚0.7mm、屈折率1.5のガラス基板を想定した。
【0600】
画素電極191として、膜厚100nmの銀(Ag)膜と、膜厚10nmの酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)膜と、の積層構造を用いた。
【0601】
バッファ層192Bには、正孔輸送層を想定し、PCBBiFを用いた。バッファ層192Bは、光学調整に使用する層であり、計算により最適な膜厚を求めた。
【0602】
発光層193Nは、膜厚40nmとし、ホスト材料として、2mDBTBPDBq-IIを用いた。
【0603】
中間層198として、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBphen)と、膜厚10nmの3-[4-(9-フェナントリル)-フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPPn)と、の積層構造を用いた。中間層198が有するNBphenは、光学調整に使用する層であり、計算により最適な膜厚を求めた。
【0604】
発光層193Bには、ホスト材料として、膜厚25nmのcgDBCzPAを用いた。
【0605】
バッファ層194Bには、電子輸送層を想定し、NBphenを用いた。バッファ層194Bは、光学調整に使用する層であり、計算により最適な膜厚を求めた。
【0606】
共通電極115として、膜厚15nmの銀膜を用いた。
【0607】
バッファ層116として、膜厚70nmの1,3,5-トリ(ジベンゾチオフェン-4-イル)ベンゼン(略称:DBT3P-II)を用いた。
【0608】
なお、バッファ層116の上側(共通電極115と接する側とは反対側)は、空気(屈折率1)を仮定した。
【0609】
以上の条件を用いて、計算により、発光デバイスの最適なデバイス構造を求めた。
【0610】
計算では、可視光の外部量子効率(ランバーシアン仮定)が最大となる発光デバイス全体の光学距離及びバッファ層194BのNBPhenの膜厚を求め、当該発光デバイス全体の光学距離及びバッファ層194BのNBPhenの膜厚で、外部量子効率(ランバーシアン仮定)が最大になるように、バッファ層192BのPCBBiFの膜厚及び中間層198のNBPhenの膜厚を求めた。
【0611】
具体的には、中間層198のNBPhenの膜厚の値を一度設定し、その条件で、可視光の外部量子効率(ランバーシアン仮定)が最大となるように、バッファ層192BのPCBBiFの膜厚と、バッファ層194BのNBPhenの膜厚と、を最適化した。その後、赤外光のピーク波長を固定したまま、外部量子効率(ランバーシアン仮定)が最大になるように、バッファ層192BのPCBBiFの膜厚と、中間層198のNBPhenの膜厚と、を最適化した。
【0612】
計算の結果、表2に示すように、発光デバイス47B(IR)において、バッファ層192BのPCBBiFの膜厚は63nm、中間層198のNBPhenの膜厚は5.6nm、バッファ層194BのNBPhenの膜厚は36nmとそれぞれ求められた。
【0613】
図26に、計算から得られた発光デバイス47B(IR)の発光(EL)スペクトルを示す。
図26において、横軸は波長(単位:nm)を示し、縦軸はエネルギーベースの規格化発光強度(任意単位)を示す。
【0614】
図26に示すように、発光デバイス47B(IR)の可視光のピーク波長は460nmであり、赤外光のピーク波長は880nmであった。赤外光のピーク波長は、可視光のピーク波長の2倍(920nm)よりも短いことがわかった。
【0615】
計算から得られた発光デバイス47B(IR)は、可視光の外部量子効率(ランバーシアン仮定)が約30%であり、高い値を示した。また、赤外光の外部量子効率(ランバーシアン仮定)も約30%であり、高い値を示した。
【0616】
図27に、計算から得られた発光デバイスの、CIE1931色度座標(xy色度座標)を示す。
図27には、NTSC規格及びBT.2020規格の色度座標も示す。
図27に示すように、当該発光デバイスのCIE1931色度座標における色度(x,y)は、(0.138,0.050)であり、NTSC規格及びBT.2020規格に対応した値を示すことがわかった。
【0617】
上記のように、本実施例の計算から得られた発光デバイスでは、赤外光のピーク波長が、可視光のピーク波長の2倍(920nm)よりも短いことがわかった。これは、屈折率の波長依存性に由来すると考えられる。
【0618】
ここで、PCBBiFとNBPhenの常光屈折率の波長依存性を
図28に示す。また、
図28では、比較例として、1,1-ビス-(4-ビス(4-メチル-フェニル)-アミノ-フェニル)-シクロヘキサン(略称:TAPC)の常光屈折率の波長依存性も示す。
【0619】
屈折率の測定には、石英基板上に各材料を真空蒸着法により約50nm成膜した膜を使用した。当該膜には屈折率の異方性が生じていたため、屈折率を算出する際に、常光屈折率と異常光屈折率とに分離した。なお、上記計算では常光屈折率を用いた。
【0620】
図28から、PCBBiFの波長460nmの光に対する常光屈折率は約1.94であり、波長880nmの光に対する常光屈折率は約1.77であり、その差は約0.17であった。また、NBPhenの波長460nmの光に対する常光屈折率は約1.97であり、波長880nmの光に対する常光屈折率は約1.80であり、その差は約0.17であった。このように、本実施例で膜厚を最適化したPCBBiFとNBPhenは、可視光に比べて赤外光に対する屈折率が低いことがわかった。このことから、赤外光のピーク波長が短波長側にシフトし、可視光のピーク波長の2倍(920nm)よりも短くなったと示唆される。
【0621】
一方で、比較例として示したTAPCの波長460nmの光に対する常光屈折率は約1.72であり、波長880nmの光に対する常光屈折率は約1.65であり、その差は約0.07であった。
【0622】
このように、有機膜によって屈折率の波長依存性に差があることが確認された。有機膜の屈折率の波長依存性を利用して、赤外光のピーク波長を制御できることが示唆された。
【0623】
本実施例の結果から、青色の光及び赤外光の双方を高い効率で取り出すことができる発光デバイスのデバイス構造を見積もることができた。
【実施例2】
【0624】
本実施例では、本発明の一態様の発光装置または表示装置に用いることができる、可視光及び赤外光を発する発光デバイスのデバイス構造について、ソフトウェアを用いて検討した結果について説明する。
【0625】
具体的には、本実施例では、
図24B、
図24Cに示す赤色の光及び赤外光を発する発光デバイス47R(IR)a及び発光デバイス47R(IR)bのデバイス構造について検討した結果について説明する。
【0626】
本実施例では、実施例1と同様の有機デバイスシミュレータを用いて計算を行った。
【0627】
当該計算では、発光デバイスを構成する各層の膜厚、屈折率n、及び消衰係数k、発光材料の発光スペクトル(フォトルミネッセンス(PL)スペクトル)の実測値、並びに、発光領域の位置を入力し、パーセルファクターを乗じ、励起子の放射崩壊レートの変調を考慮した、正面方向の発光強度及びスペクトル波形を算出した。
【0628】
本実施例では、後述の通り、赤外光の波長が1000nmを超える場合を仮定したが、銀膜を除いて、各層の屈折率及び消衰係数の1000nmを超える波長域の測定値を有していないため、本実施例では、銀膜以外の全ての層について、屈折率n=1.8と仮定し、計算を行った。
【0629】
可視光の発光スペクトルの測定には、石英基板上に2mDBTBPDBq-II、PCBBiF、及び、ビス{2-[5-(2,6-ジメチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]-4,6-ジメチルフェニル-κC}(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-dmp)2(dpm)])を、重量比0.8:0.2:0.05、膜厚は50nmとなるように真空蒸着法を用いた共蒸着により成膜した膜を使用した。その他の測定条件は、実施例1と同様である。
【0630】
以下に、[Ir(dmdppr-dmp)2(dpm)]の構造式を示す。
【0631】
【0632】
赤外光の発光スペクトルは、可視光の発光スペクトルを655nm長波長側にシフトさせたスペクトルを用いた。
【0633】
計算に用いたフォトルミネッセンス(PL)スペクトルを、
図29に示す。
図29において、横軸は波長(単位:nm)を示し、縦軸はエネルギーベースの規格化PL強度(任意単位)を示す。
【0634】
発光領域は発光層の中心と仮定した。
【0635】
可視光、赤外光ともに、発光量子収率、励起子生成確率、再結合確率は100%と仮定した。
【0636】
図24B、
図24Cに示す、本実施例で用いた発光デバイス47R(IR)a及び発光デバイス47R(IR)bは、中間層198に電荷発生層を有するタンデム構造である。2つの発光デバイスは、発光層193Nと発光層193Rの積層順が互いに異なる。
【0637】
図24Bに示す発光デバイス47R(IR)aでは、発光層193Nから赤外光を発する発光ユニット上に発光層193Rから赤色の光を発する発光ユニットが設けられている。
【0638】
図24Bに示すように、画素電極191と発光層193Rの発光領域との間の光学距離は3λR/4程度となり、共通電極115と発光層193Rの発光領域との間の光学距離が、λR/4程度となり、画素電極191と発光層193Nの発光領域との間の光学距離が、λi/4程度となり、共通電極115と発光層193Nの発光領域との間の光学距離が、λi/4程度となるように、初期値を設定し、計算を行った。
【0639】
図24Cに示す発光デバイス47R(IR)bでは、発光層193Rから赤色の光を発する発光ユニット上に発光層193Nから赤外光を発する発光ユニットが設けられている。
【0640】
図24Cに示すように、画素電極191と発光層193Rの発光領域との間の光学距離はλR/4程度となり、共通電極115と発光層193Rの発光領域との間の光学距離が、3λR/4程度となり、画素電極191と発光層193Nの発光領域との間の光学距離が、λi/4程度となり、共通電極115と発光層193Nの発光領域との間の光学距離が、λi/4程度となるように、初期値を設定し、計算を行った。
【0641】
本実施例では、可視光の波長λRは、BT.2020で規定されている赤色の光の波長(630nm)とし、赤外光の波長λiは、赤色の光の2次光(1260nm)と仮定した。
【0642】
本実施例で用いた発光デバイス47R(IR)a及び発光デバイス47R(IR)bのデバイス構造について、表3及び表4を用いて説明する。
【0643】
なお、計算の簡略化のため、正孔注入層、電子注入層、及び電荷発生層は省略した。
【0644】
【0645】
【0646】
基板151として、膜厚0.7mm、屈折率1.5のガラス基板を想定した。
【0647】
画素電極191として、膜厚100nmの銀膜と、膜厚10nmの層(透明電極を想定)と、の積層構造を用いた。
【0648】
バッファ層192Rには、正孔輸送層を想定した。バッファ層192Rは、光学調整に使用する層であり、計算により最適な膜厚を求めた。
【0649】
発光層193N及び発光層193Rは、それぞれ膜厚40nmとした。
【0650】
中間層198として、光学調整に使用する層(電子輸送層を想定)と、膜厚10nmの層(正孔輸送層を想定)と、の積層構造を用いた。中間層198が有する光学調整に使用する層は、計算により最適な膜厚を求めた。
【0651】
バッファ層194Rには、電子輸送層を想定した。バッファ層194Rは、光学調整に使用する層であり、計算により最適な膜厚を求めた。
【0652】
共通電極115として、膜厚15nmの銀膜を用いた。
【0653】
バッファ層116は、膜厚70nmの層とした。
【0654】
なお、バッファ層116の上側(共通電極115と接する側とは反対側)は、空気(屈折率1)を仮定した。
【0655】
以上の条件を用いて、計算により、発光デバイスの最適なデバイス構造を求めた。
【0656】
計算では、可視光の外部量子効率(ランバーシアン仮定)が最大となる発光デバイス全体の光学距離及びバッファ層194RのNBPhenの膜厚を求め、当該発光デバイス全体の光学距離及びバッファ層194RのNBPhenの膜厚で、赤外光の外部量子効率(ランバーシアン仮定)が最大になるように、バッファ層192RのPCBBiFの膜厚及び中間層198のNBPhenの膜厚を求めた。
【0657】
具体的には、中間層198のNBPhenの膜厚の値を一度設定し、その条件で、可視光の外部量子効率(ランバーシアン仮定)が最大となるように、バッファ層192RのPCBBiFの膜厚と、バッファ層194RのNBPhenの膜厚と、を最適化した。その後、赤外光のピーク波長を固定したまま、外部量子効率(ランバーシアン仮定)が最大になるように、バッファ層192RのPCBBiFの膜厚と、中間層198のNBPhenの膜厚と、を最適化した。
【0658】
計算の結果、表3に示すように、発光デバイス47R(IR)aにおいて、バッファ層192RのPCBBiFの膜厚は106nm、中間層198のNBPhenの膜厚は27nm、バッファ層194RのNBPhenの膜厚は58nmとそれぞれ求められた。また、表4に示すように、発光デバイス47R(IR)bにおいて、バッファ層192RのPCBBiFの膜厚は35nm、中間層198のNBPhenの膜厚は30nm、バッファ層194RのNBPhenの膜厚は127nmとそれぞれ求められた。
【0659】
図30及び
図31に、計算から得られた発光デバイス47R(IR)a及び発光デバイス47R(IR)bの発光(EL)スペクトルを示す。
図30及び
図31において、横軸は波長(単位:nm)を示し、縦軸はエネルギーベースの規格化発光強度(任意単位)を示す。
【0660】
図30に示すように、発光デバイス47R(IR)aの可視光のピーク波長は612nmであり、赤外光のピーク波長は1272nmであった。赤外光のピーク波長は、可視光のピーク波長の2倍(1224nm)に近い値を示していることがわかった。
【0661】
計算から得られた発光デバイス47R(IR)aは、可視光の外部量子効率(ランバーシアン仮定)が約38%であり、高い値を示した。また、赤外光の外部量子効率(ランバーシアン仮定)も約90%であり、高い値を示した。赤外光のピーク波長が、仮定した波長(1260nm)と近い値を示したため、マイクロキャビティ構造の効果により、赤外光の光取り出し効率が大幅に向上したと考えられる。
【0662】
図31に示すように、発光デバイス47R(IR)bの可視光のピーク波長は614nmであり、赤外光のピーク波長は1274nmであった。赤外光のピーク波長は、可視光のピーク波長の2倍(1228nm)に近い値を示していることがわかった。
【0663】
計算から得られた発光デバイス47R(IR)bは、可視光の外部量子効率(ランバーシアン仮定)が約34%であり、高い値を示した。また、赤外光の外部量子効率(ランバーシアン仮定)も約88%であり、高い値を示した。赤外光のピーク波長が、仮定した波長(1260nm)と近い値を示したため、マイクロキャビティ構造の効果により、赤外光の光取り出し効率が大幅に向上したと考えられる。
【0664】
図32及び
図33に、計算から得られた発光デバイス47R(IR)a及び発光デバイス47R(IR)bの、CIE1931色度座標(xy色度座標)を示す。
図32及び
図33には、NTSC規格及びBT.2020規格の色度座標も示す。
図32に示すように、発光デバイス47R(IR)aのCIE1931色度座標における色度(x,y)は、(0.657,0.343)であった。
図33に示すように、発光デバイス47R(IR)bのCIE1931色度座標における色度(x,y)は、(0.662,0.338)であった。
図32及び
図33から、発光デバイス47R(IR)a及び発光デバイス47R(IR)bは、どちらも、NTSC規格及びBT.2020規格に対応した値を示すことがわかった。
【0665】
本実施例の結果から、赤色の発光層と赤外光の発光層との積層順に問わず、赤色の光及び赤外光の双方を高い効率で取り出すことができる発光デバイスのデバイス構造を見積もることができた。
【実施例3】
【0666】
本実施例では、本発明の一態様の発光装置または表示装置に用いることができる、可視光及び赤外光を発する発光デバイスのデバイス構造について、ソフトウェアを用いて検討した結果について説明する。
【0667】
具体的には、本実施例では、
図24Dに示す赤色の光及び赤外光を発する発光デバイス47R(IR)cのデバイス構造について検討した結果について説明する。
【0668】
本実施例では、実施例1と同様の有機デバイスシミュレータを用いて計算を行った。
【0669】
当該計算では、発光デバイスを構成する各層の膜厚、屈折率n(実測値)、及び消衰係数k(実測値)、発光材料の発光スペクトル(フォトルミネッセンス(PL)スペクトル)の実測値、並びに、発光領域の位置を入力し、パーセルファクターを乗じ、励起子の放射崩壊レートの変調を考慮した、正面方向の発光強度及びスペクトル波形を算出した。
【0670】
各層の屈折率n及び消衰係数kは分光エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン社製M-2000U)を用いて測定した。測定には、石英基板上に各層の材料を真空蒸着法により約50nm成膜した膜を使用した。
【0671】
可視光の発光スペクトルの測定には、石英基板上に2mDBTBPDBq-II、PCBBiF、及びビス{4,6-ジメチル-2-[5-(5-シアノ-2-メチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-m5CP)2(dpm)])を、重量比0.8:0.2:0.1、膜厚は50nmとなるように真空蒸着法を用いた共蒸着により成膜した膜を使用した。その他の測定条件は、実施例1と同様である。
【0672】
以下に、[Ir(dmdppr-m5CP)2(dpm)]の構造式を以下に示す。
【0673】
【0674】
本実施例で用いた赤外光の発光スペクトルは、実施例1と同様である。
【0675】
計算に用いたフォトルミネッセンス(PL)スペクトルを、
図34に示す。
図34において、横軸は波長(単位:nm)を示し、縦軸はエネルギーベースの規格化PL強度(任意単位)を示す。
【0676】
発光領域は発光層の中心と仮定した。
【0677】
可視光、赤外光ともに、発光量子収率、励起子生成確率、再結合確率は100%と仮定した。
【0678】
図24Dに示す、本実施例で用いた発光デバイス47R(IR)cは、中間層198に電荷発生層を有するタンデム構造である。
【0679】
図24Dに示す発光デバイス47R(IR)cでは、発光層193Nから赤外光を発する発光ユニット上に発光層193Rから赤色の光を発する発光ユニットが設けられている。
【0680】
図24Dに示すように、画素電極191と発光層193Rの発光領域との間の光学距離は5λR/4程度となり、共通電極115と発光層193Rの発光領域との間の光学距離が、λR/4程度となり、画素電極191と発光層193Nの発光領域との間の光学距離が、λi/4程度となり、共通電極115と発光層193Nの発光領域との間の光学距離が、3λi/4程度となるように、初期値を設定し、計算を行った。
【0681】
本実施例では、可視光の波長λRは、BT.2020で規定されている赤色の光の波長(630nm)とし、赤外光の波長λiは、945nmと仮定した。
【0682】
本実施例で用いた発光デバイス47R(IR)cのデバイス構造について、表5を用いて説明する。
【0683】
なお、計算の簡略化のため、正孔注入層、電子注入層、及び電荷発生層は省略した。
【0684】
【0685】
基板151として、膜厚0.7mm、屈折率1.5のガラス基板を想定した。
【0686】
画素電極191として、膜厚100nmの銀膜と、膜厚10nmのITSO膜と、の積層構造を用いた。
【0687】
バッファ層192Rには、正孔輸送層を想定し、PCBBiFを用いた。バッファ層192Rは、光学調整に使用する層であり、計算により最適な膜厚を求めた。
【0688】
発光層193N及び発光層193Rは、それぞれ膜厚40nmとし、ホスト材料として、2mDBTBPDBq-IIを用いた。
【0689】
中間層198として、NBphenと、膜厚10nmのPCBBiFと、の積層構造を用いた。中間層198が有するNBphenは、光学調整に使用する層であり、計算により最適な膜厚を求めた。
【0690】
バッファ層194Rには、電子輸送層を想定し、NBphenを用いた。バッファ層194Rは、光学調整に使用する層であり、計算により最適な膜厚を求めた。
【0691】
共通電極115として、膜厚15nmの銀膜を用いた。
【0692】
バッファ層116として、膜厚70nmのDBT3P-IIを用いた。
【0693】
なお、バッファ層116の上側(共通電極115と接する側とは反対側)は、空気(屈折率1)を仮定した。
【0694】
以上の条件を用いて、計算により、発光デバイスの最適なデバイス構造を求めた。計算方法は実施例2と同様であるため、詳細は省略する。
【0695】
計算の結果、表5に示すように、発光デバイス47R(IR)cにおいて、バッファ層192RのPCBBiFの膜厚は99nm、中間層198のNBPhenの膜厚は229nm、バッファ層194RのNBPhenの膜厚は60nmとそれぞれ求められた。
【0696】
図35に、計算から得られた発光デバイス47R(IR)cの発光(EL)スペクトルを示す。
図35において、横軸は波長(単位:nm)を示し、縦軸はエネルギーベースの規格化発光強度(任意単位)を示す。
【0697】
図35に示すように、発光デバイス47R(IR)cの可視光のピーク波長は651nmであり、赤外光のピーク波長は978nmであった。赤外光のピーク波長は、可視光のピーク波長の1.5倍(977nm)とほぼ同じ値を示していることがわかった。
【0698】
計算から得られた発光デバイス47R(IR)cは、可視光の外部量子効率(ランバーシアン仮定)が約27%であり、高い値を示した。また、赤外光の外部量子効率(ランバーシアン仮定)も約11%であり、高い値を示した。
【0699】
図36に、計算から得られた発光デバイス47R(IR)cの、CIE1931色度座標(xy色度座標)を示す。
図36には、NTSC規格及びBT.2020規格の色度座標も示す。
図36に示すように、発光デバイス47R(IR)cのCIE1931色度座標における色度(x,y)は、(0.704,0.285)であった。
図36から、発光デバイス47R(IR)cは、NTSC規格及びBT.2020規格に対応した値を示すことがわかった。
【0700】
本実施例の結果から、赤色の光及び赤外光の双方を高い効率で取り出すことができる発光デバイスのデバイス構造を見積もることができた。
【0701】
(参考例)
上記実施例1で用いたビス{4,6-ジメチル-2-[3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ベンゾ[g]キノキサリニル-κN]フェニル-κC}(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdpbq)2(dpm)])の合成方法について、具体的に説明する。[Ir(dmdpbq)2(dpm)]の構造を以下に示す。
【0702】
【0703】
<ステップ1;2,3-ビス-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ベンゾ[g]キノキサリン(略称:Hdmdpbq)の合成>
まず、ステップ1では、Hdmdpbqを合成した。3,3’,5,5’-テトラメチルベンジル3.20g、2,3-ジアミノナフタレン1.97g、エタノール60mLを、還流管を付けた三口フラスコに入れ、内部を窒素置換した後、90℃で7時間半撹拌した。所定時間経過後、溶媒を留去した。その後、トルエンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物を得た(黄色固体、収量3.73g、収率79%)。ステップ1の合成スキームを(a-1)に示す。
【0704】
【0705】
ステップ1で得られた黄色固体の核磁気共鳴分光法(1H-NMR)による分析結果を下記に示す。分析結果から、Hdmdpbqが得られたことがわかった。
【0706】
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。
1H-NMR.δ(CD2Cl2):2.28(s,12H),7.01(s,2H),7.16(s,4H),7.56-7.58(m,2H),8.11-8.13(m,2H),8.74(s,2H).
【0707】
<ステップ2;ジ-μ-クロロ-テトラキス{4,6-ジメチル-2-[3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ベンゾ[g]キノキサリニル-κN]フェニル-κC}ジイリジウム(III)(略称:[Ir(dmdpbq)2Cl]2)の合成>
次に、ステップ2では、[Ir(dmdpbq)2Cl]2を合成した。2-エトキシエタノール15mL、水5mL、ステップ1で得たHdmdpbq1.81g、及び、塩化イリジウム水和物(IrCl3・H2O)(フルヤ金属社製)0.66gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を2時間照射し、反応させた。所定時間経過後、得られた残渣をメタノールで吸引ろ過、洗浄し、目的物を得た(黒色固体、収量1.76g、収率81%)。ステップ2の合成スキームを(a-2)に示す。
【0708】
【0709】
<ステップ3;[Ir(dmdpbq)2(dpm)]の合成>
そして、ステップ3では、[Ir(dmdpbq)2(dpm)]を合成した。2-エトキシエタノール20mL、ステップ2で得た[Ir(dmdpbq)2Cl]21.75g、ジピバロイルメタン(略称:Hdpm)0.50g、及び、炭酸ナトリウム0.95gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を3時間照射した。得られた残渣を、メタノールで吸引ろ過した後、水、メタノールで洗浄した。得られた固体を、ジクロロメタンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後、ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒にて再結晶することにより、目的物を得た(暗緑色固体、収量0.42g、収率21%)。得られた暗緑色固体0.41gを、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力2.7Pa、アルゴンガスを流量10.5mL/minで流しながら、300℃で暗緑色固体を加熱した。昇華精製後、暗緑色固体を収率78%で得た。ステップ3の合成スキームを(a-3)に示す。
【0710】
【0711】
ステップ3で得られた暗緑色固体の核磁気共鳴分光法(1H-NMR)による分析結果を下記に示す。分析結果から、[Ir(dmdpbq)2(dpm)]が得られたことがわかった。
【0712】
1H-NMR.δ(CD2Cl2):0.75(s,18H),0.97(s,6H),2.01(s,6H),2.52(s,12H),4.86(s,1H),6.39(s,2H),7.15(s,2H),7.31(s,2H),7.44-7.51(m,4H),7.80(d,2H),7.86(s,4H),8.04(d,2H),8.42(s,2H),8.58(s,2H).
【符号の説明】
【0713】
C1:容量、C2:容量、M1:トランジスタ、M2:トランジスタ、M3:トランジスタ、M4:トランジスタ、M5:トランジスタ、M6:トランジスタ、M7:トランジスタ、OUT1:配線、OUT2:配線、PIX1:画素回路、PIX2:画素回路、V1:配線、V2:配線、V3:配線、V4:配線、V5:配線、10A:表示装置、10B:表示装置、10C:表示装置、10D:表示装置、10E:表示装置、10F:表示装置、21B:光、21G:光、21N:赤外光、22:光、23a:光、23b:反射光、30A:発光装置、30B:発光装置、30C:発光装置、30D:発光装置、30E:発光装置、30F:発光装置、40A:発光装置、40B:発光装置、40C:発光装置、40D:発光装置、40E:発光装置、40F:発光装置、40G:発光装置、40H:発光装置、41:トランジスタ、42:トランジスタ、45:トランジスタを有する層、47B:発光デバイス、47G:発光デバイス、47N:発光デバイス、47R:発光デバイス、50A:表示装置、50B:表示装置、52:指、53:受光デバイスを有する層、55:トランジスタを有する層、57:発光デバイスを有する層、100A:表示装置、100B:表示装置、100C:表示装置、100D:表示装置、110:受光デバイス、112:共通層、114:共通層、115:共通電極、116:バッファ層、141a:フィルタ、141b:フィルタ、142:接着層、143:空間、148a:有色層、149:レンズ、151:基板、152:基板、153:基板、154:基板、155:接着層、162:表示部、163:発光部、164:回路、165:配線、166:導電層、172:FPC、173:IC、181:画素電極、182:バッファ層、183:活性層、184:バッファ層、190:発光デバイス、190B:発光デバイス、190G:発光デバイス、191:画素電極、191B:画素電極、191G:画素電極、192:バッファ層、192B:バッファ層、192G:バッファ層、192R:バッファ層、193:発光層、193B:発光層、193G:発光層、193N:発光層、193R:発光層、194:バッファ層、194B:バッファ層、194G:バッファ層、194R:バッファ層、195:保護層、195a:無機絶縁層、195b:有機絶縁層、195c:無機絶縁層、198:中間層、200A:発光装置、200B:発光装置、201:トランジスタ、202:トランジスタ、204:接続部、205:トランジスタ、206:トランジスタ、207:トランジスタ、208:トランジスタ、209:トランジスタ、210:トランジスタ、211:絶縁層、212:絶縁層、213:絶縁層、214:絶縁層、215:絶縁層、216:隔壁、217:隔壁、218:絶縁層、221:導電層、222a:導電層、222b:導電層、223:導電層、225:絶縁層、228:領域、231:半導体層、231i:チャネル形成領域、231n:低抵抗領域、242:接続層、6500:電子機器、6501:筐体、6502:表示部、6503:電源ボタン、6504:ボタン、6505:スピーカ、6506:マイク、6507:カメラ、6508:光源、6510:保護部材、6511:表示パネル、6512:光学部材、6513:タッチセンサパネル、6515:FPC、6516:IC、6517:プリント基板、6518:バッテリ、7000:表示部、7100:テレビジョン装置、7101:筐体、7103:スタンド、7111:リモコン操作機、7200:ノート型パーソナルコンピュータ、7211:筐体、7212:キーボード、7213:ポインティングデバイス、7214:外部接続ポート、7300:デジタルサイネージ、7301:筐体、7303:スピーカ、7311:情報端末機、7400:デジタルサイネージ、7401:柱、7411:情報端末機、9000:筐体、9001:表示部、9003:スピーカ、9005:操作キー、9006:接続端子、9007:センサ、9008:マイクロフォン、9050:アイコン、9051:情報、9052:情報、9053:情報、9054:情報、9055:ヒンジ、9101:携帯情報端末、9102:携帯情報端末、9200:携帯情報端末、9201:携帯情報端末