(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】コンテナおよびコンテナの製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 88/12 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
B65D88/12 B
(21)【出願番号】P 2021012479
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】519273315
【氏名又は名称】合同会社箱一
(74)【代理人】
【識別番号】110002778
【氏名又は名称】弁理士法人IPシーガル
(72)【発明者】
【氏名】増永 路人
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-524430(JP,A)
【文献】特開2001-055292(JP,A)
【文献】再公表特許第2017/183133(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略矩形状の底面部と、前記底面部の周縁から立設された一対の対向する平面視略矩形状の側面部と、を少なくとも備え、前記側面部に隣接する側面の一方又は両方に開口部を有するコンテナであって、
前記一対の対向する側面部のうち、一方の側面部には、高さ方向に所定の間隔を存して一又は複数の段部が形成されるとともに、他方の側面部にも、対称となるように一又は複数の段部が形成され、
前記段部は、いずれも、前記側面部の外面側から対向方向に向けて突出し、かつ対向方向に直交する方向に延びる凹部を形成することにより形成されたもので
、開口方向から見て、前記側面部の端縁から対向方向に向けて水平に突出するように延在する平坦な上壁部と、前記上壁部の端部又は前記上壁部の端縁から下方に延出した一若しくは複数の側壁部の端部と前記側面部の端部とを繋ぎ、かつ前記側壁部から前記側面部へ向けて下り傾斜した底壁部とを有するものであり、
相対向する段部の上に架け渡して、被搬送物を載置するための棚板が、開口方向に平行する方向に摺動自在に配設されていること
を特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記段部は、
開口方向から見て略多角形状になるよう構成され、前記側面部の端縁から対向方向に向けて水平に突出するように延在する平坦な上壁部と、前記上壁部の端部又は前記上壁部の端縁から下方に延出した一若しくは複数の側壁部の端部と前記側面部の端部とを繋ぎ、かつ前記側壁部から前記側面部へ向けて下り傾斜した底壁部とを有するものであること
を特徴とする請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
前記段部は、
開口方向から見て略台形状になるよう構成され、側面部の端縁から対向方向に向けて水平に突出するように延在する平坦な上壁部と、この上壁部の端縁から垂下する側壁部と、前記側壁部の端部と前記側面部の端部とを繋ぎ、かつ前記側壁部から前記側面部へ向けて下り傾斜した底壁部と、開口方向に平行する方向の両端に設けられる一対の側壁部と、を有するものであること
を特徴とする請求項1に記載のコンテナ。
【請求項4】
前記側面部は、いずれも
引張強度400MPa以上の鋼板で構成されていること
を特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のコンテナ。
【請求項5】
前記側面部は、いずれも
厚さ2.0mmを超えるよう構成されていること
を特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のコンテナ。
【請求項6】
前記凹部の一端部と他端部との間には、補強部材が取り付けられていること
を特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のコンテナ。
【請求項7】
前記コンテナは、
前記底面部に対向して設けられる平面視略矩形状の天面部を備え、
高さ方向に延びる長尺状に形成された部材で構成された補強部材が、高さ方向に所定の間隔を存して形成された全ての段部を貫通した状態で前記段部に結合され、上端部で前記側面部の上端部又は前記天面部と結合し、下端部で前記側面部の下端部又は前記底面部と結合していること
を特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のコンテナ。
【請求項8】
平面視略矩形状の底面部と、前記底面部の周縁から立設された一対の対向する平面視略矩形状の側面部とを少なくとも備え、前記側面部に隣接する側面の一方又は両方に開口部を有するコンテナの製造方法であって、
前記一対の対向する側面部のうち、一方の側面部には、高さ方向に所定の間隔を存して一又は複数の段部を形成するとともに、他方の側面部にも、対称となるように一又は複数の段部を形成するに際して、
前記段部を、いずれも、
開口方向から見て、前記側面部の端縁から対向方向に向けて水平に突出するように延在する平坦な上壁部と、前記上壁部の端部又は前記上壁部の端縁から下方に延出した一若しくは複数の側壁部の端部と前記側面部の端部とを繋ぎ、かつ前記側壁部から前記側面部へ向けて下り傾斜した底壁部とを有するものになるように、前記側面部の外面側から対向方向に向けて突出させ、かつ対向方向に直交する方向に延びる凹部を形成することにより形成したこと
を特徴とするコンテナの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンテナおよびコンテナの製造方法に関するものである。
より具体的には、被搬送物を大量に積載・貯蔵することにより、高い輸送効率を実現することを可能にするコンテナおよびコンテナの製造方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被搬送物の搬送方法として、箱型のコンテナを利用した搬送方法がある。
【0003】
このようなコンテナによる搬送において、ボトル詰めの飲料や缶詰めの飲料などの容器詰め飲料を搬送する場合には、容器詰め飲料を、ケースに収容した状態でパレットに載置して搬送が行われる。
しかしながら、このような搬送方法では、コンテナ内に上下に積み重ねて積載すると、ケース内の容器が変形、破損するおそれがあるため、トラックの荷台に上下に積み重ねずに平積みして搬送が行われるため、大量に搬送することができない、輸送の無駄なスペースが形成される、という問題があった。
そのため、高い輸送効率を得られず、輸送コストが高くなってしまう、という問題が生じていた。
【0004】
そこで、被搬送物を大量に搬送する方法の一例が、特許文献1に開示されている。
【0005】
特開2001-55292号公報(特許文献1)においては、棚板の引き出し特性および引き抜き防止特性に優れ、しかも部品点数の削減および構造の単純化を図ることができる引出棚付きコンテナが提案されている。
【0006】
この引出棚付きコンテナは、対向する2側板の間に収容空間が形成されたコンテナ本体と、
前記2側板に対して両側端部がスライド移動自在に装着される引出用棚板と、
前記2側板のうちの少なくともいずれか一方に回動自在に装着され、前記引出用棚板が前記収容空間内に位置している状態では、前記引出用棚板の側端部に装着してある側端枠の前方または後方開口部に係合し、前記引出用棚板が前記収容空間内から引き出される途中では、前記側端枠の上面を滑り、前記引出用棚板が前記収容空間内から所定位置に引き出された状態で、前記側端枠の上面に形成してある係合孔内に自重により入り込み、前記引出用棚板の引き出し移動を制限するストッパ部材と、
を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-55292号公報(特許請求の範囲,
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1に記載された引出棚付きコンテナでは、引出用棚板は、その両側部に装着されている側端枠を介して、樋状部の内に装着してあるガイドローラの上に保持され、ガイドレールの長手方向に沿ってスライド移動自在になっている。
したがって、前記引出用棚板は、特に大型のコンテナにおいて、かなり大量の被搬送物が載置された場合には、破損するおそれがあるものである。
【0009】
この発明はかかる現状に鑑み、被搬送物を大量に積載・貯蔵することにより、高い輸送効率を実現することを可能にするコンテナおよびコンテナの製造方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の請求項1に記載の発明は、
平面視略矩形状の底面部と、前記底面部の周縁から立設された一対の対向する平面視略矩形状の側面部と、を少なくとも備え、前記側面部に隣接する側面の一方又は両方に開口部を有するコンテナであって、
前記一対の対向する側面部のうち、一方の側面部には、高さ方向に所定の間隔を存して一又は複数の段部が形成されるとともに、他方の側面部にも、対称となるように一又は複数の段部が形成され、
前記段部は、いずれも、前記側面部の外面側から対向方向に向けて突出し、かつ対向方向に直交する方向に延びる凹部を形成することにより形成されたもので、開口方向から見て、前記側面部の端縁から対向方向に向けて水平に突出するように延在する平坦な上壁部と、前記上壁部の端部又は前記上壁部の端縁から下方に延出した一若しくは複数の側壁部の端部と前記側面部の端部とを繋ぎ、かつ前記側壁部から前記側面部へ向けて下り傾斜した底壁部とを有するものであり、
相対向する段部の上に架け渡して、被搬送物を載置するための棚板が、開口方向に平行する方向に摺動自在に配設されていること
を特徴とするコンテナである。
【0011】
この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のコンテナにおいて、
前記段部は、
開口方向から見て略多角形状になるよう構成され、前記側面部の端縁から対向方向に向けて水平に突出するように延在する平坦な上壁部と、前記上壁部の端部又は前記上壁部の端縁から下方に延出した一若しくは複数の側壁部の端部と前記側面部の端部とを繋ぎ、かつ前記側壁部から前記側面部へ向けて下り傾斜した底壁部とを有するものであること
を特徴とするものである。
【0012】
この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1に記載のコンテナにおいて、
前記段部は、
開口方向から見て略台形状になるよう構成され、側面部の端縁から対向方向に向けて水平に突出するように延在する平坦な上壁部と、この上壁部の端縁から垂下する側壁部と、前記側壁部の端部と前記側面部の端部とを繋ぎ、かつ前記側壁部から前記側面部へ向けて下り傾斜した底壁部と、開口方向に平行する方向の両端に設けられる一対の側壁部と、を有するものであること
を特徴とするものである。
【0013】
この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項1~3のいずれかに記載のコンテナにおいて、
前記側面部は、いずれも
引張強度400MPa以上の鋼板で構成されていること
を特徴とするものである。
【0014】
この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項1~4のいずれかに記載のコンテナにおいて、
前記側面部は、いずれも
厚さ2.0mmを超えるよう構成されていること
を特徴とするものである。
【0015】
この発明の請求項6に記載の発明は、
請求項1~5のいずれかに記載のコンテナにおいて、
前記凹部の一端部と他端部との間には、補強部材が取り付けられていること
を特徴とするものである。
【0016】
この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項1~5のいずれかに記載のコンテナにおいて、
前記コンテナは、
前記底面部に対向して設けられる平面視略矩形状の天面部を備え、
高さ方向に延びる長尺状に形成された部材で構成された補強部材が、高さ方向に所定の間隔を存して形成された全ての段部を貫通した状態で前記段部に結合され、上端部で前記側面部の上端部又は前記天面部と結合し、下端部で前記側面部の下端部又は前記底面部と結合していること
を特徴とするものである。
【0017】
この発明の請求項8に記載の発明は、
平面視略矩形状の底面部と、前記底面部の周縁から立設された一対の対向する平面視略矩形状の側面部とを少なくとも備え、前記側面部に隣接する側面の一方又は両方に開口部を有するコンテナの製造方法であって、
前記一対の対向する側面部のうち、一方の側面部には、高さ方向に所定の間隔を存して一又は複数の段部を形成するとともに、他方の側面部にも、対称となるように一又は複数の段部を形成するに際して、
前記段部を、いずれも、開口方向から見て、前記側面部の端縁から対向方向に向けて水平に突出するように延在する平坦な上壁部と、前記上壁部の端部又は前記上壁部の端縁から下方に延出した一若しくは複数の側壁部の端部と前記側面部の端部とを繋ぎ、かつ前記側壁部から前記側面部へ向けて下り傾斜した底壁部とを有するものになるように、前記側面部の外面側から対向方向に向けて突出させ、かつ対向方向に直交する方向に延びる凹部を形成することにより形成したこと
を特徴とするコンテナの製造方法である。
【発明の効果】
【0018】
この発明にかかるコンテナは、平面視略矩形状の底面部と、前記底面部の周縁から立設された一対の対向する平面視略矩形状の側面部と、を少なくとも備え、前記側面部に隣接する側面の一方又は両方に開口部を有するものであって、前記一対の対向する側面部のうち、一方の側面部には、高さ方向に所定の間隔を存して一又は複数の段部を形成するとともに、他方の側面部にも、対称となるように一又は複数の段部を形成したもので、前記段部を、いずれも、前記側面部の外面側から対向方向に向けて突出し、かつ対向方向に直交する方向に延びる凹部を形成することにより形成し、相対向する段部の上に架け渡して、被搬送物を載置するための棚板が、開口方向に平行する方向に摺動自在に配設されるよう構成されたものである。
したがって、このコンテナにおいては、前記段部は、前記側面部と一体的に形成されているため極めて強固であるので、被搬送物が載置された比較的高重量の棚板を支持することが可能である。
さらに、このコンテナによれば、前記棚板は、高さ方向に所定の間隔を存して配設されているので、多量の被搬送物を積載することが可能である。
さらにまた、前記棚板は、開口方向に対して平行となる方向に摺動自在であるので、被搬送物の出し入れは、極めて容易である。
【0019】
前記コンテナにおいて、前記段部を、開口方向から見て略多角形状になるよう構成するとともに、前記側面部の端縁から対向方向に向けて水平に突出するように延在する平坦な上壁部と、前記上壁部の端部又は前記上壁部の端縁から下方に延出した一若しくは複数の側壁部の端部と前記側面部の端部とを繋ぎ、かつ前記側壁部から前記側面部へ向けて下り傾斜した底壁部とを有するよう構成することができる。
このような構成によって、前記棚板が被搬送物を載置した状態であっても、前記段部に負荷される荷重を、分散・軽減することが可能となる。
【0020】
その際、前記コンテナにおいて、前記段部を、開口方向から見て略台形状になるよう構成するとともに、側面部の端縁から対向方向に向けて水平に突出するように延在する平坦な上壁部と、この上壁部の端縁から垂下する側壁部と、前記側壁部の端部と前記側面部の端部とを繋ぎ、かつ前記側壁部から前記側面部へ向けて下り傾斜した底壁部と、開口方向に平行する方向の両端に設けられる一対の側壁部と、を有するよう構成することができる。
【0021】
さらに、前記コンテナにおいて、前記側面部を、いずれも引張強度400MPa以上の鋼板で構成することができ、その厚さが2.0mmを超えるよう構成することができる。
このような構成によって、前記側面部に形成される前記段部は、被搬送物が載置された比較的高重量の棚板を、より確実に支持することが可能となる。
【0022】
さらに、前記コンテナにおいて、前記凹部の一端部と他端部との間には、補強部材を取り付けることができる。
このような構成によって、前記凹部の一端部と他端部との間(ないし前記段部の上端部と下端部との間)を固定して前記段部の強度を補強することができるので、被搬送物が載置された棚板の重量が高い場合であっても、これを前記段部で、より確実に支持することが可能となる。
【0023】
なお、前記コンテナが、前記底面部に対向して設けられる平面視略矩形状の天面部を備える場合には、前記補強部材を、高さ方向に延びる長尺状に形成された部材で構成するとともに、高さ方向に所定の間隔を存して形成された全ての段部を貫通した状態で前記段部に結合し、上端部で前記側面部の上端部又は前記天面部と結合し、下端部で前記側面部の下端部又は前記底面部と結合するように構成することができる。
このような構成によって、前記段部の強度を、さらに補強することができるので、被搬送物が載置された棚板の重量が高い場合であっても、これを前記段部で、より確実に支持することが可能となる。
【0024】
この発明にかかるコンテナの製造方法は、平面視略矩形状の底面部と、前記底面部の周縁から立設された一対の対向する平面視略矩形状の側面部とを少なくとも備え、前記側面部に隣接する側面の一方又は両方に開口部を有するコンテナを製造するもので、前記一対の対向する側面部のうち、一方の側面部には、高さ方向に所定の間隔を存して一又は複数の段部を形成するとともに、他方の側面部にも、対称となるように一又は複数の段部を形成するに際して、前記段部を、いずれも、前記側面部の外面側から対向方向に向けて突出させ、かつ対向方向に直交する方向に延びる凹部を形成することにより形成するものである。
したがって、前記製造方法によれば、前記段部は、前記側面部と一体的に形成されているため極めて強固である。
さらに、相対向する一対の段部毎に棚板を摺動自在に配設することによって、前記棚板の上に多量の被搬送物を積載することが可能となり、前記棚板は、開口方向に対して平行となる方向に摺動自在であるので、被搬送物の出し入れは、極めて容易である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この発明にかかるコンテナの実施の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図1のコンテナを構成する側面部に形成される段部を示す概略説明図である。
【
図4】この発明にかかるコンテナの他の実施形態を示す概略説明図である。
【
図6】この発明にかかるコンテナの他の実施形態を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明にかかるコンテナの実施の一例を、添付の図面に基づいて具体的に説明する。
なお、この発明は開示された実施例にのみ限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内において種々改良することができるものである。
【0027】
この発明において、コンテナ1は、
図1で明らかなように、直方体形状のコンテナ主体2で構成されている。
なお、この実施例において、前記コンテナ主体2は、前後方向の全長が40フィート(約12m)となるように構成されている。
【0028】
図1において、前記コンテナ主体2は、平面視略矩形状の底面部3と、前記底面部3に対向して設けられる平面視略矩形状の天面部4と、前記底面部3の前後方向に互いに対向して起立状に設けられる一対の平面視略矩形状の側面部5,6と、前記底面部3の左側に起立状に設けられる平面視略矩形状の側面部7とで、右側の側面を開口部8とした細長の箱形に形成されている。
なお、この実施例においては、右側の側面を開口部としたが、前記底面部3の前後又は左右方向に互いに対向して起立状に設けられる一対の側面部に隣接する側面の一方或いは両方を開口部とし、或いは開口部を設けることができる。
また、
図1(及び
図2、4、5)においては、前記コンテナ1の持ち運びを容易に行うことを可能にするため、前記底面部3の右端部(開口部8側の端部)に、フォークリフトの爪などを挿入できるよう一対の挿入孔31,31が形成されている。
【0029】
前記開口部8については、扉等によって閉止可能に構成することができる。
この実施例においては、前記開口部8には観音開き式の扉(図示せず)が開閉自在に装着されている。
【0030】
なお、
図1において、前記コンテナ主体2は天面部4を備えるが、前記コンテナ主体2は、少なくとも底面部と、その前後又は左右方向に互いに対向して起立状に設けられる一対の側面部とを有するよう構成されていればよい。
したがって、前記天面部は、必ずしも設けることを要しないものである。
【0031】
図1及び2において、前記一対の側面部5,6のうち、一方の側面部5の対向面(内面)には、高さ(上下)方向に所定の間隔を存して複数の段部51が形成されている。
また、他方の側面部6の対向面(内面)にも、対称となるように複数の段部61が形成されている。
したがって、相対向する前記一対の段部51,61を利用して、被搬送物を載置するための棚板9を配設することが可能である。
なお、この実施例において、前記段部51,61は、前記一対の側面部5,6の対向面に、それぞれ4つずつ形成されているが、前記対向面のそれぞれに必要に応じて一又は複数形成することができるものである。
【0032】
前記段部51,61は、
図1~3に示すように、いずれも側面部5,6の外面側から内方(対向方向)に向けて突出するとともに対向方向に直交する方向(
図1~3において左右方向)に延びる凹部52,62を形成することにより、形成されている。
したがって、前記段部51,61は、前記側面部5,6と一体的に形成されているので、極めて強固であり、後述するように被搬送物が載置された比較的高重量の棚板を支持することが可能である。
【0033】
前記段部51,61の突出長さについては、前記段部51,61が棚板を支持するのに十分な長さであればよく、特段の制限はない。
前記突出長さとしては、例えば、100mm以上を選択することができるが、好ましくは120mm以上、より好ましくは120~200mm程度が選択される。
なお、この実施例において、前記段部51,61の突出長さSは、いずれも124mm程度に設定されている。
【0034】
前記段部51(又は61)の形状については、前記コンテナ主体2の開口方向から見て、前記側面部5(又は6)から鉛直に延出した平坦な面(後述する棚板との当接面)を上面として有する形状である限りにおいて、特段の制限はないが、好ましくは前記側面部5(又は6)から鉛直に延出した平坦な面を有する上壁部と、前記上壁部の端部又は前記上壁部の端縁から下方に延出した一若しくは複数の側壁部の端部と前記側面部の端部とを繋ぎ、かつ前記側壁部から前記側面部5(又は6)へ向けて下り傾斜した底壁部とを有する形状が選択される。
このような構成によって、前記段部51,61に負荷される、棚板又は被搬送物が載置された棚板の荷重を、分散・軽減することができる。
【0035】
より好ましくは、前記段部51(又は61)は、その形状が、前記コンテナ主体2の開口方向から見て、前記側面部5(又は6)から鉛直に延出した平坦な面を有する上壁部と、前記上壁部の端部と前記側面部5(又は6)の端部とを繋ぎ、かつ前記側壁部から前記側面部5(又は6)へ向けて下り傾斜した底壁部とを有する略三角形状、或いは前記側面部5(又は6)から鉛直に延出した平坦な面を有する上壁部と、前記上壁部の端縁(内側の端縁)から下方に延出した一又は複数の側壁部と、前記側壁部の端部と前記側面部の端部とを繋ぎ、かつ前記側壁部から前記側面部5(又は6)へ向けて下り傾斜する底壁部とを有する略多角形状(特に略台形状)となるよう構成される。
【0036】
この実施例において、前記段部51,61は、
図1~3に示すように、いずれも、その形状が左右方向(開口方向)から見て略台形状になるよう構成されたもので、側面部5,6の端縁(下端縁)から内方に向けて水平に突出するように延在する平坦な上壁部51a,61aと、この上壁部51a,61aの端縁(内側の端縁)から垂下する側壁部(上底部分)51b,61bと、前記側壁部51b,61bの端部と前記側面部5,6の端部とを繋ぎ、かつ前記側壁部から前記側面部5,6へ向けて下り傾斜した底壁部51c,61cと、左右方向(開口方向に平行する方向)の両端に設けられる一対の側壁部51d,61dと、を有している。
【0037】
さらに、この実施例において、前記段部51,61は、
図1及び2に示すように、左右方向(開口方向に平行する方向)に沿って連続的に形成されているが、棚板を支持することができる限りにおいて、連続的に形成されていてもよく、或いは非連続的(断続的)に形成されていてもよい。
【0038】
この実施例において、前記凹部52,62の一端部と他端部との間(ないし前記段部51,61の上端部と下端部との間)を固定して前記段部51,61の強度を補強するために、補強部材10を、前記凹部52,62の一端部と他端部との間に取り付けることができる。
このような構成によって、被搬送物が載置された棚板の重量が高い場合であっても、これを前記段部51,61で支持することが可能となる。
【0039】
なお、前記補強部材10については、
図4及び5に示すように、これを高さ方向に延びる長尺状に形成された柱状の部材で構成し、高さ方向に所定の間隔を存して形成された全ての段部51(又は61)を貫通した状態で前記段部51(又は61)に結合させ、上端部が前記側面部5(又は6)の上端部又は前記天面部4と結合し、下端部が前記側面部5(又は6)の下端部又は前記底面部3と結合するように構成することもできる。
このような構成によって、被搬送物が載置された棚板の重量が高い場合であっても、これを前記段部51,61で、より確実に支持することが可能となる。
その際、この実施例においては、前記補強部材10は、コンテナ主体2の開口方向に平行する方向(
図4及び5において左右方向)に所定の間隔を存して3つ設けられているが、前記補強部材10については、コンテナ主体2の開口方向に平行する方向に所定の間隔を存して一又は複数設けることができる。
【0040】
この発明において、前記段部51,61が形成される前記側面部5,6については、被搬送物が載置された棚板(特に、比較的高重量の棚板)を支持することができるよう構成されていればよい。
【0041】
前記側面部5,6の強度については、被搬送物が載置された棚板を支持することができる限りにおいて特段の制限はないが、好ましくは、前記側面部5,6は、いずれも引張強度400MPa以上の鋼板で構成される。
なお、この実施例において、前記側面部5,6は、いずれも引張強度480MPa程度の鋼板で構成されている。
【0042】
前記側面部5,6の厚さについても、被搬送物が載置された棚板を支持することができる限りにおいて特段の制限はないが、好ましくは、前記側面部5,6は、いずれも厚さ2.0mmを超えるよう構成される。
なお、この実施例において、前記側面部5,6は、いずれも厚さ2.3mm程度の鋼板で構成されている。
【0043】
この発明において、前記一対の段部51,61上に架け渡して、被搬送物を載置するための棚板9が、開口方向に平行する方向に摺動自在に配設される。
【0044】
図1及び2において、前記棚板9は、前記一対の段部51,61の各対向面間の幅と同程度の幅と所要の厚さを有する平面視略矩形状の板状体で構成されているもので、その長手方向(開口方向に直交する方向)の両端部には、その下方を所要の深さ切り欠いて形成された、段部51,61と係合するための係合部91が左右方向(開口方向に平行する方向)に沿って延在している。
一方、前記段部51,61は、
図1及び2に示すように、開口方向に平行する方向に延在している。
したがって、前記棚板9は、開口方向に対して平行となる方向に摺動自在であるので、被搬送物の出し入れが極めて容易である。
なお、前記棚板9については、
図6に示すように、その長手方向(開口方向に直交する方向)の両端部に段部51,61と係合するため、左右方向(開口方向に平行する方向)に沿って延びる係合部93を、長手方向に向けて突設ないし延設するよう構成してもよい。
【0045】
図1、2、4及び5において、前記棚板9の右端部(開口部8側の端部)には、フォークリフトの爪などを挿入できるよう一対の挿入孔92,92が形成されている。
したがって、前記一対の挿入孔92,92を利用して、前記棚板9の出し入れや持ち運びを容易に行うことができる。
【0046】
かかる構成のコンテナ1においては、前記一対の側面部5,6の対向面に一対の段部51,61が強固に形成されるとともに、相対向する前記一対の段部51,61の上に架け渡して載置された棚板9が、段部51,61上を摺動する。
したがって、前記棚板9に載置された被搬送物を取り出すに際しては、この棚板9を開口側に摺動させることで、被搬送物を容易に取り出すことができる。
【0047】
なお、この発明のコンテナは、車両に搭載することができるもので、その場合には、前記開口部が左右又は後部側に位置するように搭載することができる。
【0048】
また、この発明のコンテナは、あらゆる貨物の搬送用として使用することが可能なもので、特にボトル詰めの飲料や缶詰めの飲料などの容器詰め飲料を搬送する場合に好適なものである。
【0049】
この発明にかかるコンテナの製造方法は、平面視略矩形状の底面部と、前記底面部の周縁から立設された一対の対向する平面視略矩形状の側面部とを少なくとも備え、前記側面部に隣接する側面の一方又は両方に開口部を有するコンテナの製造方法であって、
前記一対の対向する側面部のうち、一方の側面部には、高さ方向に所定の間隔を存して一又は複数の段部を形成するとともに、他方の側面部にも、対称となるように一又は複数の段部を形成するに際して、
前記段部を、いずれも、前記側面部の外面側から対向方向に向けて突出させ、かつ対向方向に直交する方向に延びる凹部を形成することにより形成したこと
を特徴とするものである。
かかる製造方法は、前記コンテナについての記載を参考にして容易に実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
この発明のコンテナは、これを構成する一対の対向する側面部のそれぞれに、高さ方向に所定の間隔を存して一又は複数の段部を形成するに際して、前記段部を、いずれも、前記側面部の外面側から対向方向に向けて突出し、かつ対向方向に直交する方向に延びる凹部を形成することにより形成したもので、相対向する一対の段部に棚板が摺動自在に配設されるよう構成されたものである。
したがって、この発明のコンテナは、高さ方向に所定の間隔を存して配設されている棚板に多量の被搬送物を積載することを可能とし、棚板を開口方向に対して平行となる方向に摺動させることで被搬送物の出し入れを容易に行うことを可能とするもので、あらゆるコンテナに利用することができるものである。
【符号の説明】
【0051】
1 コンテナ
2 コンテナ主体
3 底面部
31 挿入孔
4 天面部
5 側面部(前妻側)
51 段部
51a 上壁部
51b 側壁部(上底部分)
51c 底壁部
51d 側壁部
52 凹部
52a 凹部の一端部
52b 凹部の他端部
6 側面部(後妻側)
61 段部
61a 上壁部
61b 側壁部(上底部分)
61c 底壁部
61d 側壁部
62 凹部
7 側面部(左側)
8 開口部
9 棚板
91 係合部
92 挿入孔
93 係合部
10 補強部材
10a 補強部材の上端部
10b 補強部材の下端部
S 突出長さ