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特許7377240減法製造によって得られた製品の品質を確認するための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】減法製造によって得られた製品の品質を確認するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/404 20060101AFI20231101BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20231101BHJP
   B23Q 15/12 20060101ALI20231101BHJP
   B23Q 17/09 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
G05B19/404 K
G05B19/18 W
B23Q15/12 Z
B23Q17/09 H
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021095042
(22)【出願日】2021-06-07
(65)【公開番号】P2022013731
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】20183727.5
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502281471
【氏名又は名称】キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビューレント タスデレン
(72)【発明者】
【氏名】グンナー カイトゼル
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-146838(JP,A)
【文献】特開昭50-045187(JP,A)
【文献】特開2020-069600(JP,A)
【文献】特開2008-281390(JP,A)
【文献】特表2014-531332(JP,A)
【文献】特開2019-209420(JP,A)
【文献】国際公開第2013/043102(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/043742(WO,A1)
【文献】米国特許第03986010(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0307200(US,A1)
【文献】特開昭56-119357(JP,A)
【文献】特開2020-089924(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0115153(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 1/00-25/06
B23C 1/00-9/00
B23Q 15/00-15/28
B23Q 17/00-23/00
B24B 41/00-51/00
B25J 1/00-21/02
G05B 19/18-19/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(20)から装置(1)を用いた減法製造によって得られた製品(21)の品質を確認する方法であって、前記方法が、
-前記装置(1)の撓み(D15)に対する少なくとも1つの撓み/試験力関係(DFX,DFY,DFZ)を決定する;
第1のステップ(I)と、
-実際に加えられた加工力(AMF)を測定し;
前記実際に加えられた加工力(AMF)の内の、所定の評価時間(ET)中に安定したままである前記実際に加えられた加工力(AMF)の大きさ(M)を加工力基準(MFR)として決定し;
-前記実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力基準(MFR)から逸脱しているかどうかを自動的に評価し;
-実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力基準(MFR)から逸脱している場合、前記撓み/試験力関係(DFX,DFY,DFZ)を使用して、前記実際に加えられた加工力(AMF)に対して前記装置(1)の少なくとも1つの補正撓み(CDX,CDY,CDZ)を自動的に決定し;
-前記補正撓み(CDX,CDY,CDZ)を完全にまたは部分的に低減するために、少なくとも1つの補正された駆動制御信号(CDS,CDS’)を自動的に生成する;
第2のステップ(II)と、
を含み、
前記第1のステップ(I)において:
-前記装置(1)を撓ませるために、前記装置(1)に試験力(TF)を加え;
-前記加えられた試験力(TF)について少なくとも1つのアクチュエータ信号(AS)を生成し;
-前記装置(1)の撓み(D15)を測定し;
-前記測定された撓み(D15)について少なくとも1つの撓み信号(FS)を生成し;
-前記アクチュエータ信号(AS)および前記撓み信号(FS)から前記撓み/試験力関係(DFX,DFY,DFZ)を決定し、
-前記撓み(D15)を水平軸(X)に沿った水平撓み距離(ΔX)として測定し、前記撓み(D15)を横軸(Y)に沿った横方向撓み距離(ΔY)として測定し、前記撓み(D15)を垂直軸(Z)に沿った垂直撓み距離(ΔZ)として測定する、方法。
【請求項2】
前記第2のステップ(II)において:
-前記ワークピース(20)から材料を除去するために前記ワークピース(20)に実際の加工力(AMF)を加えるための少なくとも1つの駆動制御信号(DS,DS’)を生成し;
-前記実際に加えられた加工力(AMF)の水平軸(X)に沿って作用する水平成分(CX)、前記実際に加えられた加工力(AMF)の横軸(Y)に沿って作用する横方向成分(CY)、および前記実際に加えられた加工力(AMF)の垂直軸(Z)に沿って作用する垂直成分(CZ)を測定し;
-評価時間(ET)中に安定したままである前記実際に加えられた加工力(AMF)の大きさ(M)を加工力基準(MFR)として使用する、
請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のステップ(II)において:
-実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力基準(MFR)から逸脱する場合、前記実際に加えられた加工力(AMF)の少なくとも1つの力部分(FP)が決定され;
-前記撓み/試験力関係(DFX,DFY,DFZ)を使用して、前記力部分(FP)について前記装置(1)の少なくとも1つの補正撓み(CDX,CDY,CDZ)を決定し;
-前記補正された駆動制御信号(CDS,CDS’)が、選択された切削工具(15)の補正された位置(P)、前記ワークピース(20)の補正された位置(P)、補正された回転運動(R)、補正された送り運動(FM)、補正された切削深さ(D)、補正されたゲイン(G)、補正された振幅(A)、補正されたフィルタ(F)のうちの少なくとも1つである、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第3のステップ(III)において、
-前記ワークピース(20)から材料を除去するために前記ワークピース(20)に加工力(MF)を加えるための少なくとも1つの駆動制御信号(DS,DS’)を生成し;
-前記加えられた加工力(MF)を測定し;
-前記測定された加工力(MF)について少なくとも1つのセンサ信号(SS)を生成し;
-前記製品(21)の少なくとも1つの製品品質(PQ)を測定し;
-前記測定された製品品質(PQ)について少なくとも1つのプロフィロメータ信号(PS)を生成し;
-前記加工力(MF)と、前記加工力(MF)からの前記製品品質(PQ)と、前記製品品質(PQ)との間の製品品質/加工力相関(PQMF)を決定する、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ワークピース(20)から装置(1)を用いた減法製造によって得られた製品(21)の品質を確認する方法であって、前記方法が、
-前記装置(1)の撓み(D15)に対する少なくとも1つの撓み/試験力関係(DFX,DFY,DFZ)を決定する;
第1のステップ(I)と、
-実際に加えられた加工力(AMF)を測定し;
-前記実際に加えられた加工力(AMF)の内の、所定の評価時間(ET)中に安定したままである前記実際に加えられた加工力(AMF)の大きさ(M)を加工力基準(MFR)として決定し;
-前記実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力基準(MFR)から逸脱しているかどうかを自動的に評価し;
-実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力基準(MFR)から逸脱している場合、前記撓み/試験力関係(DFX,DFY,DFZ)を使用して、前記実際に加えられた加工力(AMF)に対して前記装置(1)の少なくとも1つの補正撓み(CDX,CDY,CDZ)を自動的に決定し;
-前記補正撓み(CDX,CDY,CDZ)を完全にまたは部分的に低減するために、少なくとも1つの補正された駆動制御信号(CDS,CDS’)を自動的に生成する;
第2のステップ(II)とを含み、
第3のステップ(III)において、
-前記ワークピース(20)から材料を除去するために前記ワークピース(20)に加工力(MF)を加えるための少なくとも1つの駆動制御信号(DS,DS’)を生成し;
-前記加えられた加工力(MF)を測定し;
-前記測定された加工力(MF)について少なくとも1つのセンサ信号(SS)を生成し;
-前記製品(21)の少なくとも1つの製品品質(PQ)を測定し;
-前記測定された製品品質(PQ)について少なくとも1つのプロフィロメータ信号(PS)を生成し;
-前記加工力(MF)と、前記加工力(MF)からの前記製品品質(PQ)と、前記製品品質(PQ)との間の製品品質/加工力相関(PQMF)を決定し、
前記センサ信号(SS)を加工力データ(195)として利用できるようにし;
-前記加工力データ(195)を加工力グラフ(MFG)としてプロットし;
-前記製品品質(PQ)を製品品質データ(196)として利用できるようにし;
-前記製品品質データ(196)を製品品質グラフ(PQG)としてプロットし;
-次のいずれかの方法で、前記製品品質/加工力相関(PQMF)を決定する:
-前記加工力グラフ(MFG)および前記製品品質グラフ(PQG)における特徴的パターンの識別であって、前記パターンが相関している;または
-前記加工力グラフ(MFG)における位置(P)の識別、および前記製品品質グラフ(PQG)における製品位置の識別であって、前記加工力グラフ(MFG)における前記識別された位置(P)と、前記製品品質グラフ(PQG)における前記識別された製品位置(PP)とが相関している;または
-前記製品品質グラフ(PQG)の回帰直線(RL)の決定、および前記加工力グラフ(MFG)の回帰直線(RL’)の決定であって、前記製品品質グラフ(PQG)の前記決定された回帰直線(RL)と、前記加工力グラフ(MFG)の前記決定された回帰直線(RL’)とが相関している方法。
【請求項6】
第4のステップ(IV)において:
-前記製品品質(PQ)のための少なくとも1つの製品品質境界(PQB,PQB’)を提供し;
-前記製品品質/加工力相関(PQMF)を使用して、前記実際に加えられた加工力(AMF)の少なくとも1つの加工力境界(MFB,MFB’)を決定し;
-前記実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力境界(MFB,MFB’)を超えるかどうかを評価し;
-前記実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力境界(MFB,MFB’)を超えない場合、前記製品(21)の製品品質(PQ)が自動的に確認される、
請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記第4のステップ(IV)において:
-前記補正された駆動制御信号(CDS,CDS’)について、実際に加えられた加工力(AMF)または将来加えられる加工力(FMF)のうちの少なくとも1つが前記加工力境界(MFB,MFB’)を超えるかどうかを自動的に評価する、
請求項に記載の方法。
【請求項8】
ワークピース(20)から装置(1)を用いた減法製造によって得られた製品(21)の品質を確認する方法を実行するように適合された装置(1)であって、前記方法が、
-前記装置(1)の撓み(D15)に対する少なくとも1つの撓み/試験力関係(DFX,DFY,DFZ)を決定する;
第1のステップ(I)と、
-実際に加えられた加工力(AMF)を測定し;
-前記実際に加えられた加工力(AMF)の内の、所定の評価時間(ET)中に安定したままである前記実際に加えられた加工力(AMF)の大きさ(M)を加工力基準(MFR)として決定し;
-前記実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力基準(MFR)から逸脱しているかどうかを自動的に評価し;
-実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力基準(MFR)から逸脱している場合、前記撓み/試験力関係(DFX,DFY,DFZ)を使用して、前記実際に加えられた加工力(AMF)に対して前記装置(1)の少なくとも1つの補正撓み(CDX,CDY,CDZ)を自動的に決定し;
-前記補正撓み(CDX,CDY,CDZ)を完全にまたは部分的に低減するために、少なくとも1つの補正された駆動制御信号(CDS,CDS’)を自動的に生成する;
第2のステップ(II)と、
を含み、
-前記装置(1)が、前記実際に加えられた加工力(AMF)を測定するセンサ装置(16)を備え;
-前記センサ装置(16)が、水平軸(X)に沿って作用する前記実際に加えられた加工力(AMF)の水平成分(CX)を測定し、前記センサ装置(16)が、横軸(Y)に沿って作用する前記実際に加えられた加工力(AMF)の横方向成分(CY)を測定し、前記センサ装置(16)が、垂直軸(Z)に沿って作用する前記実際に加えられた加工力(AMF)の垂直成分(CZ)を測定し;
-前記センサ装置(16)が、前記測定された実際に加えられた加工力(AMF)のための少なくとも1つのセンサ信号(SS)を生成し、
-前記装置(1)が、実際に前記加工力(AMF)を加えるために少なくとも1つの駆動制御信号(DS,DS’)を生成する駆動制御ユニット(12)を備え;
-前記装置(1)が、評価時間(ET)中に安定したままである実際に加えられた加工力(AMF)の大きさ(M)を加工力基準(MFR)として使用する制御ユニット(19)を備え、
-前記制御ユニット(19)が、前記実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力基準(MFR)から逸脱しているかどうかを評価し;
-前記制御ユニット(19)が、前記撓み/試験力関係(DFX,DFY,DFZ)の撓みデータ(192)を記憶し;
-前記実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力基準(MFR)から逸脱している場合、前記制御ユニット(19)が、前記撓みデータ(192)を使用して、前記実際に加えられた加工力(AMF)について前記装置(1)の少なくとも1つの補正撓み(CDX,CDY,CDZ)を決定し;
-前記制御ユニット(19)が、前記補正撓み(CDX,CDY,CDZ)を使用して、少なくとも1つの補正された駆動制御信号(CDS,CDS’)を生成し;
-前記駆動制御ユニット(12,12’)が、前記補正された駆動制御信号(CDS,CDS’)を使用して、前記補正撓み(CDX,CDY,CDZ)を完全にまたは部分的に低減する、装置(1)。
【請求項9】
-前記装置(1)が、切削工具ホルダ(14)および少なくとも1つの切削工具(15,15’,15’’,15’’’)を備え、前記切削工具ホルダ(14)が、前記少なくとも1つの切削工具(15,15’,15’’,15’’’)を保持し;
-前記装置(1)が、前記選択された切削工具(15)の撓み(D15)を測定する撓みセンサ(32)を備え;
-前記撓みセンサ(32)が、水平軸(X)に沿った水平撓み距離(ΔX)として前記撓み(D15)を測定し、前記撓みセンサ(32)が、横軸(Y)に沿った横方向撓み距離(ΔY)として前記撓み(D15)を測定し、前記撓みセンサ(32)が、垂直軸(Z)に沿った垂直撓み距離(ΔZ)として前記撓み(D15)を測定する、
請求項に記載の装置(1)。
【請求項10】
ワークピース(20)から装置(1)を用いた減法製造によって得られた製品(21)の品質を確認する方法を実行するように適合された制御プログラム製品(190)であって、前記方法が、
-前記装置(1)の撓み(D15)に対する少なくとも1つの撓み/試験力関係(DFX,DFY,DFZ)を決定する;
第1のステップ(I)と、
-実際に加えられた加工力(AMF)を測定し;
-前記実際に加えられた加工力(AMF)の内の、所定の評価時間(ET)中に安定したままである前記実際に加えられた加工力(AMF)の大きさ(M)を加工力基準(MFR)として決定し;
-前記実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力基準(MFR)から逸脱しているかどうかを自動的に評価し;
-実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力基準(MFR)から逸脱している場合、前記撓み/試験力関係(DFX,DFY,DFZ)を使用して、前記実際に加えられた加工力(AMF)に対して前記装置(1)の少なくとも1つの補正撓み(CDX,CDY,CDZ)を自動的に決定し;
-前記補正撓み(CDX,CDY,CDZ)を完全にまたは部分的に低減するために、少なくとも1つの補正された駆動制御信号(CDS,CDS’)を自動的に生成する;
第2のステップ(II)と、
を含み、
-前記制御プログラム製品(190)が、測定された実際に加えられた加工力(AMF)の少なくとも1つのセンサ信号(SS)を読み取り;
-前記制御プログラム製品(190)が、評価時間(ET)の間安定したままである前記センサ信号(SS)の大きさ(M)を加工力基準(MFR)として使用し;
-前記制御プログラム製品(190)が、前記実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力基準(MFR)から逸脱しているかどうかを評価し;
-前記撓み/試験力関係(DFX,DFY,DFZ)の撓みデータ(192)が前記制御プログラム製品(190)に利用可能にされ;
-前記実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力基準(MFR)から逸脱する場合、前記制御プログラム製品(190)が、前記撓みデータ(192)を使用して、前記実際に加えられた加工力(AMF)に対して前記装置(1)の少なくとも1つの補正撓み(CDX,CDY,CDZ)を決定し;
-前記制御プログラム製品(190)が、少なくとも1つの補正された駆動制御信号(CDS,CDS’)を生成して、前記補正撓み(CDX,CDY,CDZ)を完全にまたは部分的に低減する、
制御プログラム製品(190)。
【請求項11】
-加工力境界(MFB,MFB’)の加工力基準データ(199)が制御プログラム製品(190)に利用可能にされ;
-前記制御プログラム製品(190)が、前記実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力境界(MFB,MFB’)を超えるかどうかを評価し;
-前記実際に加えられた加工力(AMF)が前記加工力境界(MFB,MFB’)を超えない場合、前記製品(21)の製品品質(PQ)が自動的に確認される、
請求項10に記載の制御プログラム製品(190)。
【請求項12】
請求項10または11に記載の制御プログラム製品(190)を備えるコンピュータ読み取り可能な記憶装置(50,19.3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減法製造によって得られた製品の品質を確認するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
減法製造は、製品への制御された材料除去によってワークピースが成形される機械加工プロセスを指定する。主要な機械加工プロセスは、旋削、穿孔、およびミリングに分類される:
-旋削において、切削工具は、回転するワークピースから材料を除去する。ワークピースは主軸の周りを回転し、切削工具の送り運動は少なくとも1つの別の軸に沿って生じる。主軸および別の軸は、平行であってもよく、または角度が付けられていてもよい。
-穿孔において、回転する切削工具が静的ワークピースから材料を除去する。切削工具の回転軸は主軸であり、切削工具の送り運動は1つの別の軸に沿って生じる。主軸および別の軸は平行である。
-ミリングにおいて、回転する切削工具が静的または可動ワークピースから材料を除去する。切削工具は主軸の周りを回転し、切削工具の送り運動は少なくとも1つの別の軸に沿って生じる。ミリングにおいて、主軸および別の軸は、直交していてもよく、または角度が付けられていてもよい。
【0003】
減法製造は、CNC(コンピュータ数値制御)機械装置などの装置によって実行される。装置は、ワークピースを保持するためのワークピースホルダと、切削工具を保持するための切削工具ホルダとを備える。装置は、駆動制御ユニットと駆動ユニットとを備える。製品のデジタル設計に基づいて、駆動制御ユニットは、ワークピース位置、切削工具位置、ワークピース形状、回転速度などの駆動制御信号を決定する。駆動制御ユニットは、ワークピースホルダおよび/または切削工具ホルダを駆動するための駆動ユニットに駆動制御信号を送信する。駆動制御信号に従って、切削工具とワークピースとの間に機械的接触が確立され維持される。機械的接触の間、切削工具はワークピースに加工力を加え、ワークピースから材料を除去して製品を得る。
【0004】
減法製造によって得られる製品は、寸法精度、表面粗さなどの品質特性を満たさなければならない。品質特性を満たすためには、研削、ホーニングなどの追加の機械加工プロセスを行わなければならず、これは投資および時間を必要とし、コストを発生させる。
【0005】
国際公開第2013043102号パンフレットは、ワークピースを製品に旋削するための装置を開示している。ワークピースに法線方向に作用する加工力の大きさは、旋削中に測定され、CNC機械装置の予め確立された撓みと比較される。法線方向の加工力と撓みは線形関係にある。線形関係は、形状誤差および製造上の欠陥の補償を可能にする。旋削中、切削工具は、法線方向の加工力の大きさの測定された増加が打ち消され、製品の品質特性が満たされるように、ワークピースに対して調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2013043102号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、減法製造によって得られた製品の品質を確認するためのより効率的で寸法的により正確な方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明の独立請求項によって達成される。
【0009】
本発明は、ワークピースから装置を用いた減法製造によって得られた製品の品質を確認する方法に関し、前記方法は:
前記装置の撓みに対する少なくとも1つの撓み/試験力関係を決定する、第1のステップと;
実際に加えられた加工力を測定し;前記実際に加えられた加工力に対する加工力基準を自動的に決定し;前記実際に加えられた加工力が前記加工力基準から逸脱しているかどうかを自動的に評価し;実際に加えられた加工力が前記加工力基準から逸脱する場合、前記撓み/試験力関係を使用して、前記実際に加えられた加工力に対して前記装置の少なくとも1つの補正撓みを自動的に決定し;前記補正撓みを完全にまたは部分的に低減するために、少なくとも1つの補正された駆動制御信号を自動的に生成する、第2のステップと、
を含む。
【0010】
本発明の方法は、実際に加えられた加工力についての基準が自動的に決定され、実際に加えられた加工力が実際に加えられた加工力基準から逸脱する場合、実際に加えられた加工力を監視し補正するために自動的に使用されるという点で、国際公開第2013043102号パンフレットとは異なる。本発明の意味における「自動」という用語は、人間の技術者との相互作用がないことを意味する。超過加工力は、装置の目的に応じて決定された補正撓みによって自動的に補正される。補正撓みは、補正撓みを完全にまたは部分的に低減するために補正された駆動制御信号を自動的に生成するために使用されるものである。
【0011】
本発明はまた、減法製造によって得られた製品の品質を確認する方法を実行するように適合された装置に関し、前記装置は、前記実際に加えられた加工力を測定するセンサ装置を備え、前記センサ装置は、前記実際に加えられた加工力の少なくとも3つの成分を測定し、前記成分の水平成分は水平軸に沿って作用し、前記成分の横方向成分は横軸に沿って作用し、前記成分の垂直成分は垂直軸に沿って作用し、前記センサ装置は、前記測定された実際に加えられた加工力のための少なくとも1つのセンサ信号を生成する。
【0012】
本発明の装置は、実際に加えられた加工力の法線成分が測定されるだけでなく、3つの成分が測定され、より正確である点で、国際公開第2013043102号パンフレットとは異なる。
【0013】
以下では、図面を参照して例として本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】旋削装置1’の実施形態における本発明による装置1の一部の概略図である。
図2】穿孔装置1’’の実施形態における本発明による装置1の一部の概略図である。
図3】ミリング装置1’’’の実施形態における本発明による装置1の一部の概略図である。
図4】本発明による方法の第1のステップI、第2のステップII、第3のステップIII、および第4のステップIVを示すフローチャートである。
図5】切削工具15の撓み測定中の図1の旋削装置1’の一部の概略図である。
図6】切削工具15の撓み測定中の図2の穿孔装置1’’の一部の概略図である。
図7】切削工具15の撓み測定中の図3のミリング装置1’’’の一部の概略図である。
図8図1の旋削装置1’および図2の穿孔装置1’’の撓みD15のグラフであり、撓みD15は、図5および図6の撓み測定値から得られている。
図9図3のミリング装置1’’’の撓みD15のグラフであり、撓みD15は図7の撓み測定値から得られている。
図10図8および図9から決定された撓み/試験力関係DFX,DFY,DFZを表にまとめたものである。
図11図1の旋削装置1’の実際に加えられた加工力AMFおよび加工力基準MFRを概略的に示す図である。
図12図2の穿孔装置1’’の実際に加えられた加工力AMFおよび加工力基準MFRを概略的に示す図である。
図13図3のミリング装置1’’’の実際に加えられた加工力AMFおよび加工力基準MFRを概略的に示す図である。
図14図1図3のいずれかの装置1について、図11図13から決定された力部分FPと、図10からの撓み/試験力関係DFX,DFY,DFZとを表にまとめたものである。
図15図1の旋削装置1’の加工力MFを概略的に示す図である。
図16図2の穿孔装置1’’の加工力MFを概略的に示す図である。
図17図3のミリング装置1’’’の加工力MFを概略的に示す図である。
図18図1図3のいずれかの装置1を用いた減法製造によって得られた製品21の製品品質測定中のプロフィロメータ41の一部の概略図である。
図19図18のプロフィロメータ41を用いて測定された製品21の製品品質PQを概略的に示す図であり、製品21は、図1の旋削装置1’を用いた減法製造によって得られている。
図20図18のプロフィロメータ41を用いて測定された製品21の製品品質PQを概略的に示す図であり、製品21は、図2の穿孔装置1’’を用いた減法製造によって得られている。
図21図18のプロフィロメータ41を用いて測定された製品21の製品品質PQを概略的に示す図であり、製品21は、図3のミリング装置1’’’を用いた減法製造によって得られている。
図22図1の旋削装置1’について、図15の加工力MFと図19の製品21の製品品質PQとの相関関係を概略的に示す図である。
図23図2の穿孔装置1’’について、図16の加工力MFと図20の製品品質PQとの相関関係を概略的に示す図である。
図24図3のミリング装置1’’’について、図17の加工力MFと図21の製品品質PQとの相関関係を概略的に示す図である。
図25図1の旋削装置1’について、図15の加工力MFに対する加工力境界MFB,MFB’の決定を概略的に示す図である。
図26図2の穿孔装置1’’について、図16の加工力MFに対する加工力境界MFB,MFB’の決定を概略的に示す図である。
図27図3のミリング装置1’’’について、図17の加工力MFに対する加工力境界MFB,MFB’の決定を概略的に示す図である。
図28】加工力基準MFRおよび加工力境界MFB,MFB’を有する図1の旋削装置1’の実際に加えられた加工力AMFを概略的に示す図である。
図29】加工力基準MFRおよび加工力境界MFB,MFB’を有する図2の穿孔装置1’’の実際に加えられた加工力AMFを概略的に示す図である。
図30】加工力基準MFRおよび加工力境界MFB,MFB’を有する図3のミリング装置1’’’の実際に加えられた加工力AMFを概略的に示す図である。
図31】コンピュータ読み取り可能な記憶装置50から図1図3のいずれかの装置1への制御プログラム製品190のロードを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0016】
図1図3は、本発明の装置1の3つの実施形態を示している。装置1は、CNC機械装置である。図1は、旋削装置1’の実施形態における装置1に関し、図2は、穿孔装置1’’の実施形態における装置1に関し、図3は、ミリング装置1’’’の実施形態における装置1に関する。
【0017】
装置1は、3つの直交する座標または軸、すなわち水平軸X、横軸Y、および垂直軸Zを有する三次元座標系XYZで示されている。
【0018】
装置1は、ベース10と、ワークピースホルダ18とを備える。ベース10およびワークピースホルダ18は、金属、合金などの塑性変形に対する良好な耐性を提供する材料から作製される。通常、ベース10は、装置1に高い剛性を提供し、装置1の要素の大部分を支持する、大規模で重い鋳造物である。ワークピースホルダ18は、ワークピース20を保持する。図1によれば、ワークピースホルダ18はチャックである。図2および図3によれば、ワークピースホルダ18はテーブルである。
【0019】
ワークピース20は、製品への制御された材料除去によって成形される。ワークピース20は、製品への材料除去によって成形され得る任意の材料からのものであってもよい。典型的なワークピース材料は、金属、プラスチック、木材など、または金属、プラスチック、木材などのうちの少なくとも2つの組み合わせである。
【0020】
装置1は、切削工具ホルダ14と、少なくとも1つの切削工具15,15’,15’’,15’’’とを備える。切削工具ホルダ14は、金属、合金などの塑性変形に対する良好な耐性を提供する材料から作製される。切削工具ホルダ14は、少なくとも1つの切削工具15,15’,15’’,15’’’を保持する。図1によれば、切削工具ホルダ14は、単一の切削工具15を保持する。図2および図3によれば、切削工具ホルダ14は、4つの切削工具15,15’,15’’,15’’’を保持する。当業者は、4つより多いまたは少ない切削工具を保持する切削工具ホルダを用いて本発明を実現することができる。
【0021】
切削工具15,15’,15’’,15’’’は、高炭素鋼、非鉄鋳造合金、超硬合金、セラミックおよび焼結酸化物、サーメット、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素などの、塑性変形ならびに熱的および機械的衝撃に対する良好な耐性を提供する材料から作製される。図1によれば、切削工具15は、旋削工具、ネッキング工具、ねじ切り工具などである。図2によれば、切削工具15,15’,15’’,15’’’は、ドリル、穿孔工具、リーマなどである。図3によれば、切削工具15,15’,15’’,15’’’は、カッター、ドリル、ブローチングビットなどである。
【0022】
装置1は、切削工具ポスト13および切削工具チャック13’の少なくとも一方を備える。切削工具ポスト13および切削工具チャック13’は、金属、合金などの塑性変形に対する良好な耐性を提供する材料から作製される。図1によれば、切削工具ポスト13は、切削工具ホルダ14をしっかりと締め付ける。図2および図3によれば、切削工具チャック13’は、切削工具ホルダ14をしっかりと締め付ける。切削工具ホルダ14の剛性クランプを一時的に解放して、切削工具ホルダ14を切削工具チャック13’に対して回転させて、切削工具15,15’,15’’,15’’’のいずれかをワークピース20の隣の機械加工位置に選択的に配置することができる。切削工具15,15’,15’’,15’’’の選択が完了すると、切削工具チャック13’は再び切削工具ホルダ14をしっかりと締め付ける。図1図3によれば、切削工具15が選択され、ワークピース20の隣の加工位置に配置される。
【0023】
装置1は、駆動制御ユニット12と、少なくとも1つの駆動ユニット11,11’,11’’とを備え、駆動制御ユニット12は、駆動ユニット11,11’,11’’を制御する。駆動ユニット11,11’,11’’は、ワークピースホルダ18および/または切削工具ホルダ14を駆動するための電気機械である。「および/または」という表現は、ブール論理積演算子「および」の意味、ならびにブール論理和演算子「または」の意味を有する。第1の駆動ユニット11は、主軸の周りの回転運動を提供する。第2の駆動ユニット11’は、少なくとも1つの別の軸に沿って送り運動を提供する。第3の駆動ユニット11’’は、主軸の周りの回転運動および別の軸に沿った送り運動を提供する。回転運動は、主軸の周りの両面湾曲矢印によって表される。送り運動は、別の軸に沿った両側直線矢印によって表される。
図1による旋削装置1’では、第1の駆動ユニット11は、三次元座標系XYZにワークピースホルダ18を位置決めし、垂直軸Zを主軸としてワークピースホルダ18を回転させる。第2の駆動ユニット11’は、切削工具ホルダ14を三次元座標系XYZに位置決めし、別の軸として垂直軸Zに沿って切削工具ホルダ14を送っている。当業者は、2つ以上の別の軸に沿って切削工具ホルダを送っている旋削装置を用いて本発明を実現することができる。
図2による穿孔装置1’’では、第3の駆動ユニット11’’は、切削工具ホルダ14を三次元座標系XYZに位置決めし、第3の駆動ユニット11’’は、垂直軸Zを主軸として切削工具ホルダ14を回転させ、別の軸として垂直軸Zに沿って切削工具ホルダ14を送っている。
図3によるミリング装置1’’’では、第3の駆動ユニット11’’は、切削工具ホルダ14を三次元座標系XYZに位置決めし、第3の駆動ユニット11’’は、垂直軸Zを主軸として切削工具ホルダ14を回転させ、第1の別の軸として水平軸Xに沿って切削工具ホルダ14を送っている。また、第2の駆動ユニット11’は、三次元座標系XYZにワークピースホルダ18を位置決めし、第2の別の軸として横軸Yに沿ってワークピースホルダ18を送っている。当業者は、2つ以上の別の軸に沿って切削工具ホルダを送り、2つ以上の別の軸に沿ってワークピースホルダを送っているミリング装置を用いて本発明を実現することができる。
【0024】
本発明の減法製造のための装置1は、旋削装置1’、穿孔装置1’’、またはミリング装置1’’’であってもよく、したがって国際公開第2013043102号パンフレットとは異なり、減法製造は旋削装置についてのみ開示されている。
【0025】
駆動ユニット11,11’,11’’は、少なくとも1つのエンコーダ11.1,11.1’’を備える。エンコーダ11.1,11.1’’は、ロータリエンコーダ11.1またはリニアエンコーダ11.1’であってもよい。第1の駆動ユニット11はロータリエンコーダ11.1を有し、第2の駆動ユニット11’はリニアエンコーダ11.1’を有し、第3の駆動ユニット11’’はロータリエンコーダ11.1およびリニアエンコーダ11.1’を有する。エンコーダ11.1,11.1’は、ワークピース20および/または選択された切削工具15の位置Pを測定する。ワークピース20および/または選択された切削工具15の位置Pは、三次元座標系XYZの基準位置に対するワークピース20および/または選択された切削工具15の絶対位置であることが好ましい。ロータリエンコーダ11.1は、0.001°の分解能でワークピース20および/または選択された切削工具15の位置Pを測定することが好ましい。リニアエンコーダ11.1’は、選択された切削工具15の位置Pを0.2μmの分解能で測定することが好ましい。ワークピース20および/または選択された切削工具15の測定位置Pについて、エンコーダ11.1,11.1’は、少なくとも1つのエンコーダ信号ES,ES’を生成する。エンコーダ11.1,11.1’は、信号ケーブルなどの少なくとも1つの駆動制御ユニットライン12.1,12.1’によって、エンコーダ信号ES,ES’を駆動制御ユニット12に送信する。
【0026】
駆動制御ユニット12は、プロセッサ装置12.2および記憶装置12.3を有するコンピュータである。記憶装置12.3は、コンピュータ読み取り可能な記憶装置である。駆動制御ユニット12は、少なくとも1つの駆動制御プログラム製品120を有する。駆動制御プログラム製品120は、駆動制御ユニット12のプロセッサ装置12.2によって実行される。駆動制御ユニット12は、製品のデジタル設計の設計データ121を用いる。デジタル設計は、減法製造によって得られる製品を表す。好ましくは、デジタル設計は製品の三次元表現である。デジタル設計は、製品のコンピュータ支援設計(CAD)である。好ましくは、製品の設計データ121は、駆動制御ユニット12の記憶装置12.3に記憶される。
【0027】
あるいは、デジタル設計としてCADを使用する代わりに、ユーザが設計データ121を駆動制御ユニット12に入力してもよい。
【0028】
駆動制御プログラム製品120は、設計データ121を読み取る。駆動制御プログラム製品120は、読み取った設計データ121を用いて、製品のコンピュータ支援製造(CAM)を行う。
【0029】
好ましくは、設計データ121から、駆動制御コンピュータプログラム製品120は、曲率、ポケットなどの製品特徴データを自動的に決定する。好ましくは、設計データ121から、駆動制御プログラム製品120が製品属性データを自動的に決定する。製品属性データは、位置、直径などの製品特徴の物理的特性である。好ましくは、設計データ121から、駆動制御プログラム製品120は製品品質データを自動的に決定する。製品品質データは、寸法精度、表面粗さなどの製品特徴の物理的要件である。
【0030】
あるいは、駆動制御プログラム製品120による製品特徴データ、製品属性データ、および製品品質データの自動決定の代わりに、ユーザは、製品特徴データ、製品属性データ、および製品品質データを駆動制御プログラム製品120に入力することによって、少なくとも1つの製品特徴、少なくとも1つの製品属性、および少なくとも1つの製品品質を決定することができる。
【0031】
駆動制御ユニット12は、少なくとも1つの製造プロセスの製造プロセスデータ122を使用する。各製品特徴は、少なくとも1つの製造プロセスに関連付けられる。好ましくは、製造プロセスデータ122は、駆動制御ユニット12の記憶装置12.3に記憶される。決定された製品特徴データごとに、駆動制御プログラム製品120は、関連する製造プロセスデータ122を読み取る。
【0032】
あるいは、駆動制御プログラム製品120によって関連する製造プロセスデータ122を自動的に読み取る代わりに、ユーザは、関連する製造プロセスデータ122を駆動制御プログラム製品120に入力することによって、決定された製品特徴に関連する少なくとも1つの製造プロセスを決定することができる。
【0033】
好ましくは、駆動制御プログラム製品120は、決定された製品属性データおよび決定された製品品質データに従って製造プロセスデータ122を修正する。この製造プロセスデータ122の修正の結果は、少なくとも1つの駆動制御信号DS,DS’である。
【0034】
あるいは、駆動制御プログラム製品120による製造プロセスデータ122の自動修正の代わりに、ユーザは、修正された製造プロセスデータを駆動制御プログラム製品120に入力することによって、決定された製品属性および決定された製品品質に従って製造プロセスを修正することができる。この製造プロセスデータ122の修正の結果は、少なくとも1つの駆動制御信号DS,DS’である。
【0035】
駆動制御信号DS,DS’によって、駆動制御ユニット12は駆動ユニット11,11’,11’’を制御する。好ましくは、駆動制御ユニット12は、比例・積分・微分(PID)コントローラなどの閉ループコントローラである。閉ループコントローラは、エンコーダ信号ES,ES’などの少なくとも1つのプロセス値を読み取るために制御ループを使用する。閉ループコントローラは、読み取ったプロセス値を設定点と比較し、読み取ったプロセス値と設定点との差を決定する。決定された差に基づいて、閉ループコントローラは、制御信号DS,DS’を生成する。駆動制御ユニット12は、3ミリ秒~30ミリ秒の範囲内の補間(IPO)周期で駆動制御信号DS,DS’を生成する。駆動制御信号DS,DS’は、次のうちの少なくとも1つである:
-選択された切削工具15の位置Pであって、選択された切削工具15の位置Pは、過去の位置、実際の位置、または将来の位置であり得る;
-ワークピース20の位置Pであって、ワークピース20の位置Pは、過去の位置、実際の位置、または将来の位置であり得る;
-三次元座標系XYZの基準位置に関して配置された表面点のクラウドによって定義される、実際の製造プロセスの最後に得られるワークピース20の形状;
-三次元座標系XYZの基準位置に関して配置された公差点のクラウドによって定義される、実際の製造プロセスの最後に得られるワークピース20の形状公差;
-ワークピース20または選択された切削工具15が主軸の周りを回転する速度として定義される回転運動R;
-選択された切削工具15が別の軸に沿って前進する速度として定義される送り運動FM;
-選択された切削工具15によってワークピース20から材料が除去される速度として定義される切削速度であって、切削速度は、回転運動と送り運動との間の速度差である;
-選択された切削工具15のワークピース20への侵入深さとして定義される切削深さD;
-駆動されるワークピース20および/または選択された切削工具15の位置決め精度として定義されるゲインGであって、ゲインGは、読み取られたプロセス値と設定点との差であり;したがって、装置1は、ワークピース20および/または選択された切削工具15の実際の位置と設定点との間に位置誤差を有する;
-読み取ったプロセス値の増幅Aであって、増幅Aが高いほど、新しい設定点への到達が速くなり;したがって、閉ループコントローラは、制御ループ速度と位置誤差の比率であるkvファクタを使用し、kvファクタが大きいほど、増幅Aが大きくなり、所定の位置誤差が減少してゼロになる速度が速くなり;大きなkvファクタの場合、装置1は振動する傾向があり、装置の振動は読み取りプロセス値の振動をもたらす;
-読み取られたプロセス値のフィルタFであって、フィルタFは、読み取られたプロセス値の周波数を除去するために使用され、フィルタFは、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタなどのうちの少なくとも1つであり;したがって、閉ループコントローラはフィルタFを使用して、読み取ったプロセス値の振動の周波数を除去する。
【0036】
駆動制御ユニット12は、駆動制御信号DS,DS’を駆動制御ユニットライン12.1,12.1’によって駆動ユニット11,11’,11’’に送信する。
【0037】
製品の減法製造は、ワークピース20からの制御された材料除去によって行われる。通常、減法製造は、複数の切削工具15,15’,15’’,15’’’によって順次実行される複数の製造プロセスを含む。各製造プロセスにおいて、駆動制御信号DS,DS’に従って、選択された切削工具15とワークピース20との間に機械的接触が確立され維持される。機械的接触中、選択された切削工具15は、ワークピース20に加工力MFを加え、ワークピース20から材料を除去して製品を得る。異なる切削工具15,15’,15’’,15’’’は、ワークピース20に異なる加工力MFを加える。
【0038】
装置1は、センサ装置16と、センサ評価ユニット17とを備える。センサ装置16は、力センサおよび/またはトルクセンサであってもよい。センサ装置16は、圧電センサ、ピエゾ抵抗センサ、歪みゲージなどであってもよい。センサ装置16は、加工力MFを測定する。センサ装置16は、加工力MFの水平成分CX、横方向成分CY、および垂直成分CZのうちの少なくとも1つを測定する。水平成分CXは、水平軸Xに沿って作用し、横方向成分CYは、横軸Yに沿って作用し、垂直成分CZは、垂直軸Zに沿って作用する。測定された加工力MFに対して、センサ装置16は、少なくとも1つのセンサ信号SSを生成する。好ましくは、センサ信号SSの強度は、加工力MFの大きさに比例する。好ましくは、センサ装置16は、少なくとも10Hzの測定周波数で加工力MFを動的に測定する。好ましくは、センサ装置16は、50N~1000Nの測定範囲で加工力MFを測定する。
【0039】
高感度のために、センサ装置16は、切削工具15,15’,15’’,15’’’の可能な限り近くに配置される。感度は、加工力MFの大きさとセンサ信号SSの強度との比として定義される。図1によれば、センサ装置16は、切削工具ホルダ14をしっかりと締め付ける切削工具ポスト13に配置される。図2によれば、センサ装置16は、切削工具ホルダ14をしっかりと締め付ける切削工具チャック13’内に配置される。図2によれば、センサ装置16は、切削工具ホルダ14内に配置される。
【0040】
センサ装置16は、信号ケーブルなどの少なくとも1つのセンサ装置ライン16.1によってセンサ信号SSをセンサ評価ユニット17に送信する。
【0041】
センサ評価ユニット17は、センサ信号SSを用いて、増幅、フィルタリング、およびデジタル化の動作のうちの少なくとも1つを実行する。センサ信号SSのこの動作性能の結果は、少なくとも1つの評価されたセンサ信号ESSである。
【0042】
図4は、本発明による方法の第1のステップI、第2のステップII、第3のステップIII、および第4のステップIVを有するフローチャートである。第1のステップIは、時間的に第2のステップIIまたは第4のステップIVの開始前に完了する。第3のステップIIIは、時間的に第2のステップIIまたは第4のステップIVの開始前に完了してもよい。
【0043】
第1のステップI
第1のステップIは、少なくとも1つの撓み/試験力関係DFX,DFY,DFZの決定に関する。図5図7によれば、装置1の少なくとも1つの撓み測定が実行され、少なくとも1つの試験力TFおよび少なくとも1つの撓みD15が測定される。撓み測定は、力アクチュエータ31および撓みセンサ32によって行われる。
【0044】
力アクチュエータ31は、圧電アクチュエータ、サーボモータなどであってもよい。好ましくは、力アクチュエータ31は、10N~1000Nの範囲の軸に沿って試験力TFを加えることができるリニアアクチュエータである。好ましくは、力アクチュエータ31は、制御されない一連の試験力TFを加える。加えられた試験力TFについて、力アクチュエータ31は、少なくとも1つのアクチュエータ信号ASを生成する。
【0045】
撓みセンサ32は、線形可変差動変圧器(LVDT)、レーザ変位センサなどであってもよい。撓みセンサ32は、選択された切削工具15の撓みD15を測定する。好ましくは、撓みセンサ32は、0.01μmの分解能で1μm~1mmの範囲の軸に沿って撓みD15を測定する。好ましくは、撓みセンサ32は、一連の撓みD15を測定する。測定された撓みD15について、撓みセンサ32は少なくとも1つの撓み信号FSを生成する。好ましくは、撓み信号D15の強度は試験力TFの大きさに比例する。
【0046】
装置1は、制御ユニット19を備える。制御ユニット19は、プロセッサ装置19.2および記憶装置19.3を有するコンピュータである。記憶装置19.3は、コンピュータ読み取り可能な記憶装置である。
【0047】
力アクチュエータ31は、信号ケーブルなどの少なくとも1つの力アクチュエータライン31.1によってアクチュエータ信号ASを制御ユニット19に送信する。制御ユニット19は、アクチュエータ信号ASをデジタルの試験力データ191として利用可能にする。好ましくは、試験力データ191は、制御ユニット19の記憶装置19.3に記憶される。
【0048】
撓みセンサ32は、信号ケーブルなどの少なくとも1つの撓みセンサライン32.1によって撓み信号FSを制御ユニット19に送信する。制御ユニット19は、撓み信号FSをデジタル撓みデータ192として利用可能にする。好ましくは、撓み信号データ192は、制御ユニット19の記憶装置19.3に記憶される。
【0049】
図5は、図1による旋削装置1’の実施形態における装置1の撓み測定値を示している。力アクチュエータ31は、選択された切削工具15に水平軸Xに沿って試験力TFを加える。この目的のために、力アクチュエータ31は、選択された切削工具15の第1の側面に機械的に接触し、撓みセンサ32は、選択された切削工具15の第2の側面に機械的に接触する。垂直軸Zに関して、選択された切削工具15の第2の側面は、選択された切削工具15の第1の側面と反対側にある。加えられた試験力TFに対する反作用として、装置1が変位し、選択された切削工具15の水平軸Xに沿った撓みD15が撓みセンサ32によって測定される。
【0050】
図6は、図2による穿孔装置1’’の実施形態における装置1の撓み測定値を示している。力アクチュエータ31は、選択された切削工具15に水平軸Xに沿って試験力TFを加える。この目的のために、力アクチュエータ31は、選択された切削工具15の第1の側面に機械的に接触し、撓みセンサ32は、選択された切削工具15の第2の側面に機械的に接触する。垂直軸Zに関して、選択された切削工具15の第2の側面は、選択された切削工具15の第1の側面と反対側にある。加えられた試験力TFに対する反作用として、装置1が変位し、選択された切削工具15の水平軸Xに沿った撓みD15が撓みセンサ32によって測定される。
【0051】
図7は、図3によるミリング装置1’’’の実施形態における装置1の撓み測定値を示している。力アクチュエータ31は、選択された切削工具15に垂直軸Zに沿って試験力TFを加える。この目的のために、力アクチュエータ31は、選択された切削工具15の第1の側面に機械的に接触し、撓みセンサ32は、選択された切削工具15の第2の側面に機械的に接触する。水平軸Xに関して、選択された切削工具15の第2の側面は、選択された切削工具15の第1の側面と反対側にある。加えられた試験力TFに対する反作用として、装置1が変位し、選択された切削工具15の垂直軸Zに沿った撓みD15が撓みセンサ32によって測定される。
【0052】
好ましくは、装置1の撓み測定は、三次元座標系XYZのすべての軸に沿って実行される。撓み測定は、水平軸Xに沿った水平撓み距離ΔX、横軸Yに沿った横方向撓み距離ΔY、および垂直軸Zに沿った垂直撓み距離ΔZをもたらす。したがって、本発明の装置1は、撓み測定は垂直力に対してのみ実行される国際公開第2013043102号パンフレットとは異なる。
【0053】
制御ユニット19は、少なくとも1つの制御プログラム製品190を有し、制御プログラム製品190は、制御ユニット19のプロセッサ装置19.2によって実行される。制御プログラム製品190は、試験力データ191および撓みデータ192を読み取る。制御プログラム製品190は、試験力データ191および撓みデータ192をプロットする。得られたグラフを図8および図9に示す。横座標には、水平撓み距離ΔXおよび垂直撓み距離ΔZがμmで示されている。縦座標には、試験力TFがNで示されている。撓みD15は、加えられた試験力TFに対して線形関係を有する。グラフの傾きは、撓みD15ごとに異なる。当業者は、J字形関係、S字形関係などの非線形関係を有する撓みによって本発明を実現することができる。
【0054】
図8は、図1の旋削装置1’の撓みD15のグラフおよび図2の穿孔装置1’’の撓みD15のグラフを示している。旋削装置1’の撓みD15は、100Nの試験力TFに対して10μmの水平撓み距離ΔXを示している。穿孔装置1’’の撓みD15は、200Nの試験力TFに対して8μmの水平撓み距離ΔXを示している。
【0055】
図9は、図3のミリング装置1’’’の撓みD15のグラフを示している。撓み15は、300Nの試験力TFについて6μmの垂直撓み距離ΔZを示す。
【0056】
図10は、図5図7による撓みD15の撓み/試験力関係DTX,DTY,DTZをまとめた表である。表の1列目は、装置1の実施形態を示す。表の2列目は、加えられた最大試験力TFを示す。表の3列目は、加えられた試験力TFについて得られた撓みD15の水平撓み距離ΔXを示す。表の4列目は、加えられた試験力TFについて得られた撓みD15の横方向撓み距離ΔYを示す。表の5列目は、加えられた試験力TFについて得られた撓みD15の垂直撓み距離ΔZを示す。表の6列目は、1Nの試験力TFの標準単位についての水平撓み/試験力関係DFXを示す。表の7列目は、1Nの試験力TFの標準単位に対する横方向の撓み/試験力関係DFYを示す。表の8列目は、1Nの試験力TFの標準単位に対する垂直撓み/試験力関係DFXを示す。
【0057】
撓み/試験力関係DTX,DTY,DTZはファクタである。撓み/試験力関係DTX,DTY,DTZは、デジタル撓み/試験力データ193として利用可能にされる。好ましくは、撓み/試験力データ193は、制御ユニット19の記憶装置19.3に記憶される。
【0058】
第2のステップII
減法加工中に、実際に加えられた加工力AMFがセンサ装置16によって測定される。本発明の意味における「実際に」という用語は、リアルタイムでは、実際に加えられた加工力AMFに対応する評価された信号ESSが、少なくとも10Hzのセンサ装置16の測定周波数の逆数である0.1ミリ秒の時間内に制御ユニット19に送信されることを意味する。したがって、「実際に」という用語は、実際に加えられる加工力AMFを用いて実際に行われる製品21の減法加工を指す。
【0059】
図1図3のいずれかの装置1について、駆動制御ユニット12は、少なくとも1つの駆動制御信号DS,DS’を生成して、選択された切削工具15とワークピース20との間の機械的接触を確立し維持する。機械的接触の間、選択された切削工具15はワークピース20に加工力AMFを実際に加え、ワークピース20から材料を除去して製品を得る。
【0060】
実際に加えられた加工力AMFがセンサ装置16によって測定され、対応するセンサ信号SSが生成される。センサ信号SSから、1つの評価されたセンサ信号ESSが得られる。センサ評価ユニット17は、評価されたセンサ信号ESSをセンサ評価ユニットライン17によって制御ユニット19に送信する。制御ユニット19は、評価されたセンサ信号ESSをデジタル加工力データ195として利用可能とする。ワークピース20および/または選択された切削工具15の位置Pが測定され、対応するエンコーダ信号ES,ES’が生成される。駆動制御ユニット12は、制御ユニットライン19.1によりエンコーダ信号ES,ES’を制御ユニット19に送信する。制御ユニット19は、エンコーダ信号ES,ES’をデジタル位置データ194として利用可能にする。
【0061】
制御プログラム製品190は、位置データ194および加工力データ195を読み取る。制御プログラム製品190は、加工力データ195をプロットする。結果は図11図13に示されており、図1図3のいずれかの装置1の実際に加えられた加工力AMFのプロットが、切削工具時間tにわたって実際に加えられた加工力グラフAMFGとして示されている。切削工具時間tは、20秒程度の持続時間である。実際に加えられた加工力AMFは、成分CX,CY,CZに示されている。水平成分CXは、実際に加えられた加工力AMFの水平軸Xに沿って作用し、横方向成分CYは、実際に加えられた加工力AMFの横軸Yに沿って作用し、垂直成分CZは、実際に加えられた加工力AMFの垂直軸Zに沿って作用する。
【0062】
位置データ194および加工力データ195から、制御プログラム製品190は、評価時間ETの間安定したままである実際に加えられた加工力AMFの大きさMを加工力基準MFRとして使用する。図11図13によれば、評価時間ETは、切削工具時間tの5秒間の持続時間の最初の部分である。評価時間ETの間、大きさMは安定したままである。本発明の意味における「安定」という用語は、10%未満、好ましくは5%未満のマージン内での一定を意味する。加工力基準MFRは、点線で表される。当業者は、より短いまたはより長い評価時間、および多かれ少なかれ実際に加えられる加工力の安定した大きさによって本発明を実現することができる。
【0063】
制御プログラム製品190は、実際に加えられた加工力AMFが加工力基準MFRから逸脱しているか否かを評価する。
図11によれば、図1の旋削装置1’について、切削工具時間t=2.5秒で、実際に加えられた加工力AMFは、加工力基準MFRに等しく、水平成分CX=50N、横方向成分CY=150N、および垂直成分CZ=200Nを含む。
図12によれば、図2の穿孔装置1’’について、切削工具時間t=3秒で、実際に加えられた加工力AMFは、加工力基準MFRに等しく、水平成分CX=50N、横方向成分CY=50N、および垂直成分CZ=300Nを含む。
図13によれば、図3のミリング装置1’’’について、切削工具時間t=2秒で、実際に加えられた加工力AMFは、加工力基準MFRに等しく、水平成分CX=60N、横方向成分CY=150N、および垂直成分CZ=190Nを含む。
【0064】
実際に加えられた加工力AMFが加工力基準MFRから逸脱しない場合、製品21の製品品質PQが自動的に確認される。
【0065】
しかしながら、図11図13では、特定の切削工具時間tにおいて、実際に加えられる加工力AMFは、加工力基準MFRから逸脱する。
図11によれば、図1の旋削装置1’について、切削工具時間t=10秒で、実際に加えられた加工力AMFは、加工力基準MFRから逸脱し、水平成分CX=50N、横方向成分CY=170N、および垂直成分CZ=240Nを含む。
図12によれば、図2の穿孔装置1’’について、切削工具時間t=13秒で、実際に加えられた加工力AMFは、加工力基準MFRから逸脱し、水平成分CX=50N、横方向成分CY=60N、および垂直成分CZ=330Nを含む。
図13によれば、図3のミリング装置1’’’について、切削工具時間t=15秒で、実際に加えられた加工力AMFは、加工力基準MFRから逸脱し、水平成分CX=60N、横方向成分CY=160N、および垂直成分CZ=220Nを含む。
【0066】
制御プログラム製品190は、実際に加えられた加工力AMFの加工力基準MFRからの偏差を検出する。検出された偏差に対して、制御プログラム製品190は、実際に加えられた加工力AMFの補正対象の少なくとも1つの力部分FPを決定する。
図11によれば、図1の旋削装置1’について、力部分FPは、水平成分部分ΔCX=0N、横方向成分部分ΔCY=20N、および垂直成分部分ΔCZ=40Nを有する。
図12によれば、図2の穿孔装置1’’について、力部分FPは、水平成分部分ΔCX=0N、横方向成分部分ΔCY=10N、および垂直成分部分ΔCZ=30Nを有する。
図13によれば、図3のミリング装置1’’’について、力部分FPは、水平成分部分ΔCX=0N、横方向成分部分ΔCY=10N、および垂直成分部分ΔCZ=30Nを有する。
【0067】
制御プログラム製品190は、撓み/試験力データ193を読み取り、撓み/試験力関係DFX,DFY,DFZを使用して、決定された力部分FPについて、装置1の少なくとも1つの補正撓みCDX,CDY,CDZを決定する。
【0068】
図14は、図11図13による決定された力部分FPと、図1図3のいずれかの装置1の図10による撓みD15についての撓み/試験力関係DFX,DFY,DFZとをまとめた表である。表の1列目は、装置1の実施形態を示す。表の2列目は、力部分FPの水平成分部分ΔCXを示している。表の3列目は、力部分FPの横方向成分部分ΔCYを示している。表の4列目は、力部分FPの垂直成分部分ΔCZを示している。表の5列目は、撓みD15の水平方向の撓み/試験力関係DFXを示している。表の6列目は、撓みD15の横方向撓み/試験力関係DFYを示している。表の7列目は、撓みD15の垂直撓み/試験力関係DFZを示している。表の8列目は、水平成分部分ΔCXに水平撓み/試験力関係DFXを乗算することによって得られた水平補正撓みCDXを示している。表の9列目は、横方向成分部分ΔCYに横方向撓み/試験力関係DFYを乗算することによって得られた横方向補正撓みCDYを示している。表の10列目は、垂直成分部分ΔCZに垂直撓み/試験力関係DFZを乗算することによって得られた垂直補正撓みCDZを示している。
図1の旋削装置1’の図11による実際に加えられた加工力AMFについて、水平成分部分ΔCX=0Nであり、したがって、制御プログラム製品190は、水平補正撓みCDX=0.00μmを決定する。しかしながら、横方向成分部分ΔCY=20Nについて、制御プログラム製品190は、横方向補正撓みCDY=2.00μmを決定する。また、垂直成分部分ΔCZ=40Nについて、制御プログラム製品190は、垂直補正撓みCDY=1.60μmを決定する。
図2の穿孔装置1’’の図12による実際に加えられた加工力AMFについて、水平成分部分ΔCX=0Nであり、したがって、制御プログラム製品190は、水平補正撓みCDX=0.00μmを決定する。しかしながら、横方向成分部分ΔCY=10Nについて、制御プログラム製品190は、横方向補正撓みCDY=0.80μmを決定する。また、垂直成分部分ΔCZ=30Nについて、制御プログラム製品190は、垂直補正撓みCDY=0.75μmを決定する。
図3のミリング装置1’’’の図13による実際に加えられた加工力AMFについて、水平成分部分ΔCX=0Nであり、制御プログラム製品190は、水平補正撓みCDX=0.00μmを決定する。横方向成分部分ΔCY=10Nについて、制御プログラム製品190は、横方向補正撓みCDY=0.40μmを決定する。また、垂直成分部分ΔCZ=30Nについて、制御プログラム製品190は、垂直補正撓みCDY=1.20μmを決定する。
【0069】
制御プログラム製品190は、決定された補正撓みCDX,CDY,CDZを使用して、少なくとも1つの補正された駆動制御信号CDS,CDS’を生成する。駆動制御信号CDS,CDS’は、選択された切削工具15の補正された位置P、ワークピース20の補正された位置P、補正された回転運動R、補正された送り運動FM、補正された切削深さD、補正されたゲインG、補正された増幅A、および補正されたフィルタFのうちの少なくとも1つである。
-選択された切削工具15の補正された位置Pは、補正撓みCDX,CDY,CDZを完全にまたは部分的に考慮することができる。選択された切削工具15は、補正撓みCDX,CDY,CDZを完全にまたは部分的に低減するために、三次元座標系XYZに再配置されてもよい。
-ワークピース20の補正された位置Pは、補正撓みCDX,CDY,CDZを完全にまたは部分的に考慮に入れることができる。ワークピース20は、補正撓みCDX,CDY,CDZを完全にまたは部分的に低減するために、三次元座標系XYZに再配置されてもよい。
-補正された回転運動Rは、ワークピース20または選択された切削工具15が主軸の周りを回転する速度の変化であってもよい。この回転速度の変化により、補正撓みCDX,CDY,CDZは、完全にまたは部分的に低減される。
-補正された送り運動FMは、選択された切削工具15が別の軸に沿って前進する速度の変化であってもよい。この前進速度の変化により、補正撓みCDX,CDY,CDZは、完全にまたは部分的に低減される。
-補正された切削深さDは、選択された切削工具15のワークピース20への侵入深さの変化であってもよい。この侵入深さの変化により、補正撓みCDX,CDY,CDZは、完全にまたは部分的に低減される。
-補正されたゲインGは、駆動されるワークピース20および/または駆動される選択された切削工具15の設定点を再配置する。設定点は、補正撓みCDX,CDY,CDZを完全にまたは部分的に低減するように、三次元座標系XYZに再配置される。
-補正された増幅Aは、新しい設定点に達する速度を変更する。設定点は、補正撓みCDX,CDY,CDZを完全にまたは部分的に低減するために、三次元座標系XYZにおいて変更された速度で達成される。
-補正されたフィルタFは、閉ループ制御で使用されるリード処理値を変更する。制御ループで使用される変更された読み取りプロセス値は、補正撓みCDX,CDY,CDZを完全にまたは部分的に低減する。
【0070】
切削工具およびワークピースが正しい構成および切削深さに維持されるが、これがどのように行われるかについての詳細を与えない国際公開第2013043102号パンフレットとは対照的に、本発明は、補正撓みCDX,CDY,CDZを完全にまたは部分的に低減するための様々な補正された駆動制御信号CDS,CDS’を開示する。
【0071】
制御ユニット19は、補正された駆動制御信号CDS,CDS’を制御ユニットライン19.1によって駆動制御ユニット12に送信する。
【0072】
駆動制御ユニット12は、補正された駆動制御信号CDS,CDS’を使用して、補正撓みCDX,CDY,CDZを完全にまたは部分的に低減する。その結果、補正された加工力CMFが加工力基準MFRから逸脱しなくなる。
【0073】
駆動制御ユニット12は、補正された駆動制御信号CDS,CDS’を、製品21の実際の製造プロセスMPにおいて使用してもよいし、将来の製品21の将来の製造プロセスMPにおいて使用してもよい。実際の製造プロセスMPでは、実際の加工力AMFが加えられ、将来の製造プロセスMPでは、将来の加工力FMFが加えられる。好ましくは、制御プログラム製品190は、補正された駆動制御信号CDS,CDS’について、実際に加えられた加工力AMFまたは将来加えられる加工力FMFの少なくとも一方が加工力基準MFRから逸脱しているか否かを評価する。
【0074】
第3のステップIII
第3のステップIIIは、製品品質/加工力相関PQMFの決定に関するものであり、時間的に第2のステップIIの前に完了することができる。図15図17によれば、図1図3のいずれかの装置1を用いてワークピース20に加えられる加工力MFが測定され、図19図21によれば、ワークピース20の減法製造によって得られた製品21の少なくとも1つの製品品質PQが測定される。
【0075】
図1図3のいずれかの装置1について、駆動制御ユニット12は、少なくとも1つの駆動制御信号DS,DS’を生成して、選択された切削工具15とワークピース20との間の機械的接触を確立し維持する。機械的接触中、選択された切削工具15は、ワークピース20に加工力MFを加え、ワークピース20から材料を除去して製品を得る。
【0076】
加工力MFは、センサ装置16によって測定され、対応するセンサ信号SSが生成される。センサ信号SSから、1つの評価されたセンサ信号ESSが得られる。センサ評価ユニット17は、評価されたセンサ信号ESSをセンサ評価ユニットライン17によって制御ユニット19に送信する。制御ユニット19は、評価されたセンサ信号ESSをデジタル加工力データ195として利用可能とする。ワークピース20および/または選択された切削工具15の位置Pが測定され、対応するエンコーダ信号ES,ES’が生成される。駆動制御ユニット12は、制御ユニットライン19.1によりエンコーダ信号ES,ES’を制御ユニット19に送信する。制御ユニット19は、エンコーダ信号ES,ES’をデジタル位置データ194として利用可能にする。
【0077】
制御プログラム製品190は、位置データ194および加工力データ195をプロットする。結果として得られる加工力グラフMFGは、図15図17に表されている。加工力MFは、成分CX,CY,CZで示される。切削工具時間tは秒で示される。切削工具時間tは、20秒~25秒程度の持続時間であり、選択された切削工具15の送り運動の持続時間を表す。
図15によれば、図1の旋削装置1’の加工力MFが切削工具時間tにわたってプロットされ、加工力グラフMFGが得られる。切削工具時間t=5秒において、加工力MFは、水平成分CX=50N、横方向成分CY=150N、および垂直成分CZ=200Nを含む。その後、切削工具時間t=20秒において、加工力MFの大きさは僅かに減少する。
図16によれば、図2の穿孔装置1’’の加工力MFが切削工具時間tにわたってプロットされ、加工力グラフMFGが得られる。切削工具時間t=5秒において、加工力MFは、水平成分CX=50N、横方向成分CY=50N、および垂直成分CZ=300Nを含む。その後、切削工具時間t=12秒で、加工力MFの大きさは最小値を通過する。
図17によれば、図3のミリング装置1’’’の加工力MFが切削工具時間tにわたってプロットされ、加工力グラフMFGが得られる。切削工具時間t=5秒において、加工力MFは、水平成分CX=50N、横方向成分CY=150N、および垂直成分CZ=200Nを含む。その後、加工力MFの大きさが振動している。切削工具時間tとともに加工力MFの振動が大きくなる。
【0078】
図18によれば、製品21の少なくとも1つの製品品質PQが測定される。製品品質PQは、寸法精度、表面粗さなどの製品21の物理的要件である。製品品質PQの測定は、ダイヤモンドスタイラス、干渉計などのプロフィロメータ41によって行われる。
【0079】
製品21の測定された製品品質PQについて、プロフィロメータ41は、少なくとも1つのプロフィロメータ信号PSを生成する。プロフィロメータ信号PSは、寸法精度偏差、表面粗さ偏差などのうちの少なくとも1つである。各プロフィロメータ信号PSは、製品距離εなどの正確に1つの製品位置PPにリンクされる。実際には、製品21の測定された製品品質PQは、数千のプロフィロメータ信号PSをもたらし、各プロフィロメータ信号PSは製品位置PPとリンクされる。
【0080】
プロフィロメータ41は、信号ケーブルなどの少なくとも1つのプロフィロメータライン41.1によってプロフィロメータ信号PSを制御ユニット19に送信する。制御ユニット19は、プロフィロメータ信号PSをデジタル製品品質データ196として利用可能にする。好ましくは、製品品質データ196は、制御ユニット19の記憶装置19.3に記憶される。
【0081】
制御プログラム製品190は、製品品質データ196および製品位置データ197を読み取る。制御プログラム製品190は、製品品質データ196をプロットする。得られた製品品質グラフPQGは、図19図21に表されている。
図19によれば、旋削装置1’の実施形態における装置1を用いて得られた製品21の製品品質PQが製品距離εにわたってプロットされ、製品品質グラフPQGが得られる。製品品質PQは、μmで示される寸法精度偏差であり、対応する製品距離εはmmで示される。製品距離εは、約100mmの長さを有する。製品距離εの長さに沿って、寸法精度偏差は+6μmから-6μmに減少する。
図20によれば、穿孔装置1’’の実施形態における装置1によって得られた製品21の製品品質PQは、製品距離εにわたってプロットされ、製品品質グラフPQGが得られる。製品品質PQは、μmで示される表面粗さ偏差であり、対応する製品距離εは、mmで示される。製品距離εは、約100mmの長さを有する。製品距離εの長さに沿って、表面粗さはほとんどが+4μm~-2μmの範囲にある。しかし、製品距離ε=55mmの場合、表面粗さは-6μmである。
図21によれば、ミリング装置1’’’の実施形態における装置1によって得られた製品21の製品品質PQは、製品距離εにわたってプロットされ、製品品質グラフPQGが得られる。製品品質PQは、μmで示される表面粗さ偏差であり、対応する製品距離εはmmで示される。製品距離εは、約100mmの長さを有する。表面粗さの偏差は振動している。製品距離εの長さに沿って、表面粗さの振動の振幅は、+/-0μmから+/-4μmに増加する。
【0082】
図19図21の製品品質PQを有する製品21の減法製造は、図1図3のいずれかの装置1を用いて行われている。製品21の減法製造中に、図15図17の加工力MFがワークピース20に加えられている。製品品質PQを、加工力MFと相関させることができる。以下では、制御プログラム製品190は、製品品質/加工力相関PQMFを決定するために、図19図21の製品21の製品品質グラフPQGを図15図17の加工力グラフMFGと相関させる。
【0083】
図22によれば、図19の製品21の製品品質グラフPQGは、図15の旋削装置1’の加工力グラフMFGと相関している。制御プログラム製品190は、両方のグラフを空間にプロットする。制御プログラム製品190は、ピーク、谷などの両方のグラフの特徴的パターンを識別する。特徴的パターンは、破線の円によって識別される。好ましくは、制御プログラム製品190は、識別された特徴的パターンが上下の空間に存在するように、加工力グラフMFGの上に製品品質グラフPQGをプロットする。制御プログラム製品190は、製品品質グラフPQGおよび加工力グラフMFG内の識別された特徴的パターンを相関させる。識別された特徴的パターンの結果として得られる製品品質/加工力相関PQMFは、両側破線矢印によって示されている。好ましくは、両方のグラフの識別された特徴的パターンは、相関線CLに対して同じ距離で縦座標に沿っている。
【0084】
図23によれば、図20の製品21の製品品質グラフPQGは、図16の穿孔装置1’’の加工力グラフMFGと相関している。制御プログラム製品190は、製品品質グラフPQG内の製品位置PPを識別する。また、制御プログラム製品190は、加工力グラフMFG内の位置Pを識別する。制御プログラム製品190は、製品品質グラフPQG内の識別された製品位置PPと、加工力グラフMFG内の識別された位置Pとを相関させる。好ましくは、製品品質グラフPQG内の製品位置PPと、加工力グラフMFG内の位置Pとは、三次元座標系XYZにおいて同一の基準位置を有するので、相関している。識別され相関された製品品質グラフPQG内の識別された製品位置PPと、加工力グラフMFG内の位置Pは、破線の円で示されている。製品品質グラフPQGにおける識別された製品位置PPと、加工力グラフMFGにおける識別された位置Pとの、結果として得られる製品品質/加工力相関PQMFが、両側破線矢印によって示されている。好ましくは、製品品質グラフPQGにおける識別された製品位置PPと加工力グラフMFGにおける識別された位置Pとは、相関線CLに対して同一の距離で縦座標に沿っている。
【0085】
図24によれば、図21の製品21の製品品質グラフPQGは、図17のミリング装置1’’’の加工力グラフMFGと相関している。制御プログラム製品190は、空間内の2つのグラフをプロットし、製品品質グラフPQGに対して回帰直線RLを決定し、加工力グラフMFGに対して回帰直線RL’を決定する。制御プログラム製品190は、製品品質グラフPQGの回帰直線RLを加工力グラフMFGの回帰直線RL’と相関させる。結果として得られる製品品質/加工力相関PQMFは、両側破線矢印によって示されている。好ましくは、両方のグラフの2つの回帰直線RL,RL’は、相関線CLに対して同じ距離で縦座標に沿っている。
【0086】
製品品質/加工力相関PQMFは、デジタル製品品質/加工力データ198として利用可能となる。好ましくは、製品品質/加工力データ198は、制御ユニット19の記憶装置19.3に記憶される。
【0087】
第4のステップIV
所定の寸法精度、所定の表面粗さなどの製品21の少なくとも1つの物理的に必要な製品品質境界PQB,PQB’が提供される。好ましくは、製品品質境界PQB,PQB’は、駆動制御ユニット12の記憶装置12.3に記憶される設計データ121の一部である。駆動制御ユニット12は、製品品質境界PQB,PQB’を制御ユニットライン19.1によって制御ユニット19に送信する。
【0088】
制御プログラム製品190は、製品品質境界PQB,PQB’を読み取り、製品品質境界PQB,PQB’を図22図24の製品品質グラフPQGに追加する。製品品質境界PQB,PQB’は、点線で表される。
【0089】
図25によれば、製品品質PQは、可能な限り最良の製品品質PQを表す0μmの寸法精度に正規化される。この最良の可能な製品品質PQに関して、製品品質グラフPQGは、+2μmの寸法精度の上側製品品質境界PQBおよび-2μmの寸法精度の下側製品品質境界PQB’を有する。
【0090】
図26によれば、製品品質PQは、可能な限り最良の製品品質PQを表す0μmの寸法精度に正規化される。この最良の可能な製品品質PQに関して、製品品質グラフPQGは、+2μmの寸法精度の上側製品品質境界PQBおよび-2μmの寸法精度の下側製品品質境界PQB’を有する。
【0091】
図27によれば、製品品質PQは、可能な限り最良の製品品質PQを表す0μmの表面粗さに正規化される。この可能な限り最良の製品品質PQに関して、製品品質グラフPQGは、+2μmの表面粗さの上側製品品質境界PQBおよび-2μmの表面粗さの下側製品品質境界PQB’を有する。
【0092】
制御プログラム製品190は、製品品質/加工力相関PQMFを使用して、加工力MFの少なくとも1つの加工力境界MFB,MFB’を決定する。
【0093】
図25によれば、図22による相関線CLに対する両方のグラフの識別された特徴的パターンの既知の距離に起因して、制御プログラム製品190は、製品品質境界PQB,PQB’と形状およびサイズが類似している加工力境界MFB,MFB’を決定する。
【0094】
図26によれば、図23による相関線CLに対する製品品質グラフPQG内の識別された製品位置PPおよび加工力グラフMFG内の識別された位置Pの既知の距離に起因して、制御プログラム製品190は、製品品質境界PQB,PQB’と形状およびサイズが類似している加工力境界MFB,MFB’を決定する。
【0095】
図27によれば、図24による相関線CLに対する両方のグラフの回帰直線RL,RL’の既知の距離に起因して、制御プログラム製品190は、製品品質境界PQB,PQB’と形状およびサイズが類似している加工力境界MFB,MFB’を決定する。
【0096】
制御プログラム製品19は、決定された加工力境界MFB,MFB’を図25図27の加工力グラフMFGに追加する。加工力境界MFB,MFB’は、点線で表される。
【0097】
加工力境界MFB,MFB’は、デジタル加工力基準データ199として利用可能とされる。好ましくは、加工力基準データ199は、制御ユニット19の記憶装置19.3に記憶される。
【0098】
このレベルから、第4のステップIVは第2のステップIIと同様であり、第2のステップIIの図11図14の説明を参照する。以下の図28図30は、制御プログラム製品19が実際に加えられた加工力グラフAMFGに加工力境界MFB,MFB’を追加していることを除いて、図11図13と同様である。加工力境界MFB,MFB’は点線で表される。
【0099】
制御プログラム製品19は、実際に加えられた加工力AMFが加工力境界MFB,MFB’を超えるか否かを評価する。実際に加えられた加工力AMFが加工力境界MFB,MFB’を超えない場合、製品21の製品品質PQが自動的に確認される。
【0100】
実際に加えられた加工力AMFが加工力境界MFB,MFB’を超える場合、制御プログラム製品190は、補正の対象となる実際に加えられた加工力AMFの少なくとも1つの力部分FPを決定する。ここでも、このレベルから、第4のステップIVは第2のステップIIと同様であり、図11図14の説明を参照し、制御プログラム製品190は、実際に加えられた加工力AMFの少なくとも1つの力部分FPを決定し、制御プログラム製品190は、撓み/試験力データ193を読み取り、撓み/試験力関係DFX,DFY,DFZを使用して、決定された力部分FPについて、装置1の少なくとも1つの補正撓みCDX,CDY,CDZを決定する。次に、制御プログラム製品190は、決定された補正撓みCDX,CDY,CDZを使用して、少なくとも1つの補正された駆動制御信号CDS,CDS’を生成する。
【0101】
制御ユニット19と駆動制御ユニット12とは、独自の筐体を備えた物理的に分離されたユニットであってもよい。物理的に分離されたユニットは、世界中のどこに位置してもよい。この場合、制御ユニットライン19.1は、有線であってもよいし、電話網、インターネットなどの無線であってもよい。
【0102】
制御ユニット19および駆動制御ユニット12は、共通の筐体を備えた物理的に一体化されたユニットであってもよい。物理的に統合されたユニットは、共通のプロセッサ装置および共通の記憶装置を有することができる。
【0103】
制御プログラム製品190は、図35に示すようなコンピュータ読み取り可能な記憶装置50上で実行されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶装置50は、世界中のどこに位置してもよい。制御プログラム製品190は、伝送ライン50.1によってコンピュータ読み取り可能な記憶装置50から制御ユニット19の記憶装置19.3にロードされてもよい。伝送ライン50.1は、有線であってもよいし、電話網、インターネットなどの無線であってもよい。
【0104】
本発明は、多くの異なる形態で実現されてもよく、図の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0105】
1、1’、1’’、1’’’ 装置
10 ベース
11、11’、11’’ 駆動ユニット
11.1、11.1’、11.1’’ エンコーダ
12 駆動制御ユニット
120 駆動制御プログラム製品
121 デジタル設計データ
122 製造ステップデータ
12.1、12.1’ 駆動制御ユニットライン
12.2 駆動制御ユニットのプロセッサ装置
12.3 駆動制御ユニットの記憶装置
13 切削工具ポスト
13’ 切削工具チャック
14 切削工具ホルダ
15、15’、15’’、15’’’ 切削工具
16 センサ装置
16.1 センサ装置ライン
17 センサ評価ユニット
17.1 センサ評価ユニットライン
18 ワークピースホルダ
19 制御ユニット
19.1 制御ユニットライン
19.2 制御ユニットのプロセッサ装置
19.3 制御ユニットの記憶装置
190 制御プログラム製品
191 試験力データ
192 撓みデータ
193 撓み/試験力データ
194 位置データ
195 加工力データ
196 製品品質データ
197 製品位置データ
198 製品品質/加工力相関データ
199 加工基準力データ
20 ワークピース
21 製品
31 力アクチュエータ
31.1 力アクチュエータライン
32 撓みセンサ
32.1 撓みセンサライン
41 プロフィロメータ
41.1 プロフィロメータライン
50 コンピュータ読み取り可能な記憶装置
50.1 伝送ライン
AMF 実際に加えられた加工力
AMFG 実際に加えられた加工力グラフ
AS アクチュエータ信号
CDS、CDS’ 補正された駆動制御信号
CDX、CDY、CDZ 補正撓み
CL 相関線
CMF 補正された加工力
CX、CY、CZ 成分
ΔX、ΔY、ΔZ 撓み距離
ΔCX、ΔCY、ΔCZ 成分部分
D 切削深さ
D15 撓み
DS、DS’ 駆動制御信号
DFX、DFY、DFZ 撓み/試験力関係
ε 製品距離
ES、ES’ エンコーダ信号
ESS 評価されたセンサ信号
ET 評価時間
F フィルタ
FM 送り運動
FMF 将来加えられる加工力
FP 力部分
FS 撓み信号
G ゲイン
I、II、III、IV ステップ
M 大きさ
MF 加工力
MFB、MFB’ 加工力境界
MFG 加工力グラフ
MFR 加工力基準
P 位置
PP 製品位置
PQ 製品品質
PQB、PQB’ 製品品質境界
PQG 製品品質グラフ
PQMF 製品品質/加工力関係
PS プロフィロメータ信号
QS 品質信号
R 回転運動
RL、RL’ 回帰直線
SS センサ信号
t 切削工具時間
TF 試験力
XY 平面
XYZ 三次元座標系
X、Y、Z 軸
図1
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