(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】カートリッジの能動的加温のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20231101BHJP
G01N 35/00 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
G01N35/02 A
G01N35/00 B
(21)【出願番号】P 2021530212
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(86)【国際出願番号】 US2019062814
(87)【国際公開番号】W WO2020112550
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-17
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514202402
【氏名又は名称】イラミーナ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】カークパトリック ダブリュー ノートン
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-039050(JP,A)
【文献】特開2016-218074(JP,A)
【文献】特開2006-125868(JP,A)
【文献】国際公開第2005/045399(WO,A1)
【文献】特開2012-127974(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0087359(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/02
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジであって、
ある量の試薬をその内部に格納するチャンバを画定するハウジングと、
前記ハウジング内に埋め込まれ、前記チャンバの近くに位置決めされた能動的加温素子と、
前記ハウジングに結合され、前記ハウジング内に埋め込まれた前記能動的加温素子に電気的に結合された電源コネクタと、を備え、
前記能動的加温素子が、前記電源コネクタへの電力の供給に応答して、前記チャンバ内の前記ある量を解凍するためのものである、カートリッジ。
【請求項2】
前記ハウジングが、前記チャンバ内に延在する1つ以上のフィンを画定する、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記能動的加温素子の少なくとも一部分が、前記1つ以上のフィン内に延在する、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記能動的加温素子が、前記ハウジング内に埋め込まれた導電性炭素を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記能動的加温素子が、前記ハウジング内に埋め込まれた抵抗テープを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記チャンバが、第1のサブ構成要素によって画定され、前記ハウジングが、別々に構築され、互いに結合された複数のサブ構成要素を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記能動的加温素子が、前記第1のサブ構成要素の外面に結合されている、請求項6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記電源コネクタが、導電性接着剤を有する導電性ステッカーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記電源コネクタが、前記ハウジングに封止された上部の一部分を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記上部が、アルミニウム箔を含む、請求項9に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記ハウジングに結合された識別子を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記識別子が、RFIDトランスポンダを含む、請求項11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記識別子が、バーコードを含む、請求項11に記載のカートリッジ。
【請求項14】
方法であって、
カートリッジの電源コネクタを電源に結合することと、
前記カートリッジのチャンバに格納された試薬を解凍するための能動的加熱プロセスを開始することと、を含み、
前記能動的加熱プロセスが、前記試薬を格納する前記チャンバに近接する前記カートリッジのハウジングに埋め込まれた能動的加温素子に前記電源から電力を所定の期間、印加することを含む、方法。
【請求項15】
前記所定の期間が、前記カートリッジの前記ハウジングに結合された識別子のデータにアクセスすることに応答して設定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記識別子が、RFIDトランスポンダを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記識別子が、バーコードを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記カートリッジの前記ハウジングが、第2の試薬をその内部に格納する第2のチャンバに近接した第2の能動的加温素子を含み、前記能動的加熱プロセスが、前記電源から前記第2の能動的加温素子に第2の所定の期間にわたって第2の電力を印加することを含み、前記第2の所定の期間が、前記所定の期間とは異なる、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
カートリッジであって、
その内部に第1の量の第1の試薬を格納する第1のチャンバと、その内部に第2の量の第2の試薬を格納する第2のチャンバと、を画定するハウジングと、
前記ハウジング内に埋め込まれ、前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバに近接して位置決めされた能動的加温素子と、
前記ハウジングに結合され、前記ハウジング内に埋め込まれた前記能動的加温素子に電気的に結合された電源コネクタと、を備え、
前記能動的加温素子が、前記第1のチャンバ内の前記第1の量の前記第1の試薬を第1の目標温度まで解凍し、前記第2のチャンバ内の前記第2の量の前記第2の試薬を、前記電源コネクタに電力を供給することに応答して第2の目標温度まで解凍させるためのものである、カートリッジ。
【請求項20】
前記ハウジング内に埋め込まれたRFIDトランスポンダを更に備え、前記第1の目標温度及び前記第2の目標温度が、前記RFIDトランスポンダのデータにアクセスすることに応答して決定される、請求項19に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年11月30日に出願された米国特許仮出願第62/773,737号の出願日の、米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
様々な生化学的プロトコルは、支持面上又は指定された反応チャンバ内で多数の制御された反応を行うことを含む。制御された反応は、生体試料を分析するために、又はその後の分析のために生体試料を調製するために実施され得る。分析は、反応に関与する化学物質の特性を特定又は明らかにすることができる。例えば、配列ベースのサイクルシーケンシングアッセイ(例えば、合成によるシーケンシング(sequencing-by-synthesis、SBS))では、DNA特徴部(例えば、テンプレート核酸)の濃密配列は、酵素的操作の反復サイクルを通じて配列決定される。各サイクル後、画像を捕捉し、その後、他の画像で分析して、DNA特徴部のシーケンスを決定することができる。別の生化学的アッセイでは、識別可能な標識(例えば、蛍光標識)を有する未知の検体が、アレイ内に所定のアドレスを有する既知のプローブのアレイに曝されてもよい。プローブと未知の検体との間で生じる化学反応を観察することは、検体の特性を特定又は明らかにするのに役立ち得る。
【発明の概要】
【0003】
本明細書で説明されるのは、1つ以上の能動的加温素子を有するカートリッジを構築及び利用するためのデバイス、システム、及び方法である。一実装形様は、ハウジングと、能動的加温素子と、電源コネクタとを含むことができるカートリッジに関する。ハウジングは、その内部にある量の試薬を格納するチャンバを画定することができる。能動的加温素子は、ハウジング内に埋め込まれ、チャンバに近接して位置決めされ得る。電源コネクタは、ハウジングに結合され、ハウジング内に埋め込まれた能動的加温素子に電気的に結合することができる。能動的加温素子は、電源コネクタに電力を供給することに応答して、チャンバ内のある量の試薬を解凍するためのものである。
【0004】
いくつかの実装形態では、ハウジングは、チャンバ内に延在する1つ以上のフィンを画定する。いくつかの実装形態では、能動的加温素子の少なくとも一部分は、1つ以上のフィン内に延在する。いくつかの実装形態では、能動的加温素子は、ハウジング内に埋め込まれた導電性炭素を含む。いくつかの実装形態では、能動的加温素子は、ハウジング内に埋め込まれた抵抗テープを含む。いくつかの実装形態では、チャンバは、第1のサブ構成要素によって画定され、ハウジングは、別々に構築され、一緒に結合される複数のサブ構成要素を含む。いくつかの実装形態では、能動的加温素子は、第1のサブ構成要素の外面に結合される。いくつかの実装形態では、電源コネクタは、導電性接着剤を有する導電性ステッカーを含む。いくつかの実装形態では、電源コネクタは、ハウジングに封止された上部の一部分を備える。いくつかの実装形態では、上部は、アルミニウム箔を含む。いくつかの実装形態では、消耗品カートリッジは、ハウジングに結合された識別子を含むことができる。識別子は、RFIDトランスポンダ又はバーコードを含むことができる。
【0005】
別の実装形態は、カートリッジの電源コネクタを電源に結合することと、カートリッジのチャンバ内に格納された試薬を解凍する能動的加熱プロセスを開始することと、を含み得る方法に関する。能動的加熱プロセスは、所定の期間、試薬を格納するチャンバに近接してカートリッジのハウジング内に埋め込まれた能動的加温素子に電源から電力を印加することを含み得る。
【0006】
いくつかの実装形態では、所定の期間は、カートリッジのハウジングに結合された識別子のデータにアクセスすることに応答して設定される。識別子は、RFIDトランスポンダ又はバーコードを含むことができる。いくつかの実装形態では、カートリッジのハウジングは、第2の試薬を内部に格納する第2のチャンバに近接する第2の能動的加温素子を含むことができる。能動的加熱プロセスは、電源から第2の能動的加温素子に第2の所定期間にわたって第2の電力を印加することを含むことができ、第2の所定の期間は、所定の期間と異なる。
【0007】
更に別の実装態様は、ハウジングと、能動的加温素子と、電源コネクタとを含むことができるカートリッジに関する。ハウジングは、内部に第1の量の第1の試薬を格納する第1のチャンバと、その内部に第2の量の第2の試薬を格納する第2のチャンバと、を画定することができる。能動的加温素子は、ハウジング内に埋め込まれ、第1のチャンバ及び第2のチャンバに近接して位置決めされてもよい。電源コネクタは、ハウジングに結合され、ハウジング内に埋め込まれた能動的加温素子に電気的に結合することができる。能動的加温素子は、第1のチャンバ内の第1の量の第1の試薬を第1の目標温度まで解凍し、第2のチャンバ内の第2の量の第2の試薬を、電源コネクタに電力を供給することに応答して第2の目標温度まで解凍するためのものである。
【0008】
いくつかの実装形態では、消耗品カートリッジは、ハウジング内に埋め込まれたRFIDトランスポンダを含むことができる。第1の目標温度及び第2の目標温度は、RFIDトランスポンダのデータにアクセスすることに応答して決定することができる。
【0009】
以下でより詳細に考察される、前述の概念及び更なる概念の全ての組み合わせが、(かかる概念が相互に矛盾しないことを提供する)本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図されることを理解されたい。具体的には、本開示の終わりに現れる特許請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
1つ以上の実装形態の詳細が、添付の図面及び以下の説明に記載される。他の特徴、態様、及び利点は、本明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【
図1】生化学分析又は試料調製のうちの少なくとも1つを実施するための例示的なシステムのブロック概略概要図である。
【
図2】
図1の取り外し可能なカートリッジの一部として実装することができる例示的な消耗品カートリッジのブロック概略断面図である。
【
図3】埋め込まれた能動的加温素子を示す、
図2の消耗品カートリッジの壁の例示的な構造の部分断面図である。
【
図4】1つ以上のフィン又はサブ壁を有する埋め込まれた能動的加温素子を示す、
図2の消耗品カートリッジの壁の例示的な構造の部分断面図である。
【
図5】消耗品カートリッジの能動的加熱のための例示的なプロセスを示すプロセス図である。
【0011】
図の一部又は全ては、例示の目的のための概略図であることが認識されるであろう。図面は、特許請求の範囲の範囲又は意味を制限するために使用されないことを明確に理解した上で、1つ以上の実装形態を例示する目的で提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
いくつかの態様では、生物学的又は化学的分析器具用の消耗品カートリッジを能動的に加温するための方法及びシステムが本明細書に開示される。本明細書で使用するとき、用語「消耗品カートリッジ」、「試薬カートリッジ」、「取り外し可能カートリッジ」、及び/又は「カートリッジ」は、カートリッジ又はカートリッジシステムのためのアセンブリを作製する、同じカートリッジ及び/又は構成要素の組み合わせを指す。本明細書で使用するとき、用語「生化学分析」は、生物学分析又は化学分析のうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実装形態では、消耗品カートリッジは、遺伝子シーケンシング器具用の1つ以上の試薬を収容し得る。輸送及び/又は貯蔵中、消耗品カートリッジ内に収容される試薬は、-20℃などの、-10℃~-30℃などの低温で保持され得る。このような低温での貯蔵は、輸送中及び/又は使用前に、試薬中の化合物を長期間保存することができる。
【0013】
試薬を使用するとき、試薬を収容するカートリッジを、2℃~8℃などの、0℃~10℃の温度まで温めて、生化学分析器具と共に使用するためにその中の試薬を解凍する。試薬の解凍は、固体又は半固体の凍結状態から液体状態に試薬を温めることを含み得る。場合によっては、試薬の解凍は、-10℃~-30℃などの低貯蔵温度から、0℃~10℃などの初期動作温度まで試薬を温めることを単に含み得る。このような試薬の加温は、水浴(すなわち、消耗品カートリッジを、所望の目標温度以上の水に部分的又は完全に浸漬する)、2℃~8℃の冷凍機内の曝露、室温(例えば、19℃~25℃)への曝露、外部に取り付けられた加熱器、及び/又は消耗品カートリッジの開口部に挿入された加熱バーを介して達成することができる。しかしながら、試薬の動作温度へのこのような加温は、試薬を目標温度に十分かつ実質的に均一に温めるために、長いプロセス(例えば、およそ1時間~数時間)であり得る。水、空気、加熱器、又は加熱バーにより高い温度を使用することなどによって、加温プロセスを加速しようとすると、消耗品カートリッジ上にホットスポット、又はその他の不均一な温度をもたらす結果となり得る。そのような不均一な温度は、消耗品カートリッジ内に格納された試薬及び/又は消耗品カートリッジに結合された他の構成要素に悪影響を及ぼし得る。
【0014】
本明細書に記載されるのは、1つ以上の壁に統合された1つ以上の能動的加温素子、又はその中に格納された試薬への熱伝達のための他の構造的特徴を有するカートリッジである。1つ以上の能動的加温素子は、導電性炭素、導電性ワイヤ、抵抗テープ、加熱コイル、及び/又は温度制御可能な任意の他の素子を含むことができる。能動的加温素子は、消耗品カートリッジ内の試薬への決定された熱伝達速度に基づいて、1つ以上の壁又は他の構造的特徴内に分布させることができる。例えば、導電性炭素の密度、導電性媒体自体、印加電圧、及び/又は能動的加温素子の抵抗率は、内部に格納された試薬の体積及び熱伝達が発生する表面積を使用して、消耗品カートリッジの区画内の試薬の所望の目標温度に基づいて調整することができる。すなわち、少量の試薬の場合、より低密度の導電性炭素、より低抵抗の導電性媒体、より低い印加電圧、及び/又は能動的加温素子のより低い抵抗率を利用することができる。より大きな量の試薬の場合は、より高密度の導電性炭素、より高抵抗導電性媒体、より高い印加電圧、及び/又は能動的加温素子のより高い抵抗率を利用することができる。能動的加温素子は、試薬を所望の目標温度に加熱するように制御される。制御は、能動的加温素子に所望の量の電力を送達するために、既知の又は計算された能動的加温素子抵抗に基づいて特定の電圧を印加することができる開ループ能動的加熱であり得る。他の実装形態では、制御は、能動的加温素子の温度を定期的に決定することによって電圧又は電流を修正することができる閉ループ能動的加熱であり得る。抵抗対温度曲線又は式は、所定又は既知であり得、測定された抵抗に基づいて温度を決定するために使用することができる。他の例では、温度センサを実装して温度を決定することができる。いくつかの実装形態では、サブ壁又はフィンが、熱伝達のための表面積を増加させるために試薬が格納された容積内に突出するように実装することができる。したがって、より小さい体積及びより大きな体積の両方を加熱して、実質的に同時に所望の目標温度を達成することができる。
【0015】
いくつかの実装形態では、2つの異なる体積は、両方の体積が実質的に同時に対応する目標温度を達成するように、加温のための異なる開始時間を有することができる。いくつかの実装形態では、異なる体積の目標温度は、異なる目標温度であり得る。すなわち、1つの試薬は摂氏2°の動作温度を有してもよく、一方別の試薬は摂氏8°の動作温度を有してもよい。したがって、能動的加温素子は、異なる体積に対して異なる目標温度を実質的に同時に達成するように構成することができる。
【0016】
いくつかの実装形態では、能動的加温素子は、消耗品カートリッジ材料内に埋め込まれ、及び/又は別の方法で位置付けされ得る。例えば、消耗品カートリッジの材料が導電性炭素で注入されるか、ないしは別の方法で構築されている間に、導電性炭素のメッシュ又は他のネットワークを提供することができる。他の実装形態では、消耗品カートリッジの材料が注入されるか、又は別の方法で素子の周りに構築されている間に、導電性ワイヤ、抵抗テープ、加熱コイル、及び/又は任意の他の素子を提供することができる。
【0017】
他の実装形態では、区画は、そこに外面上に位置決めされた能動的加温素子と共に個別に形成され得、区画のうちの1つ以上は、一緒に結合されて、完成した消耗品カートリッジ又はそのサブアセンブリを形成することができる。他の実装形態では、能動的加温素子は、区画容積内及び/又は内部表面上に位置付けることができる。このような実装形態では、断熱材料又はコーティングを能動的加温素子に適用することができる。このような絶縁材料は、区画材料(例えば、プラスチック又は他のポリマー)であることができる。このような絶縁は、区画内の試薬を、その中の試薬を電気分解することができる電流に曝す可能性を低減することができる。
【0018】
消耗品カートリッジは、1つ以上の能動的加温素子を電源に電気的に結合するための、導電性接着剤、導電性パッド、バネ仕掛けのタブ、及び/又は他の導電性材料を備えた1つ以上の導電性ステッカーなどの1つ以上の電源コネクタを含むことができる。いくつかの実装形態では、区画内の試薬を封止する金属又は他の導電性フィルムを使用して、1つ以上の能動的加温素子を電源に電気的に結合することができる。単一の電源コネクタが、能動的加温素子の全てに電力を供給することができ、又はいくつかの電源コネクタの各々が、能動的加温素子が選択的に活性化され得るように、対応する能動的加温素子に電力を供給することができる。いくつかの実装形態では、電源は、生化学分析器具であってもよく、又は消耗品カートリッジの制御された解凍のための別個のデバイスであってもよい。
【0019】
いくつかの実装形態では、能動的加温素子を介して消耗品カートリッジを能動的に加熱するプロセスは、電力が所定の期間にわたって能動的加温素子に印加されるように、消耗品カートリッジの電源コネクタ(複数可)を電源に接続することを単に含むことができる。1つ以上の能動的加温素子は、試薬が各々、少なくとも実質的に同時に目標温度を達成するように、同じ又は異なる熱伝達速度で、その中の試薬を温めるように、消耗品カートリッジ内に位置付けられ及び/又は構成されてもよい。
【0020】
他の実装形態では、能動的加温素子は、生化学分析器具又は消耗品カートリッジの制御された解凍のための別個のデバイスのいずれかによって制御可能であり得る。能動的加温素子の制御は、器具又は別個のデバイスのユーザによって選択可能な加熱アルゴリズムに基づいて予め定めることができ、又は加熱アルゴリズムは、消耗品カートリッジの特定されたものに基づいて選択的に活性化され得る。例えば、消耗品カートリッジの識別子は、無線周波数識別(radio-frequency identification、RFID)トランスポンダ、バーコード、識別チップ、及び/又は他の識別子であってもよい。識別子に基づいてデータを受信する器具又は他のデバイスに応答して、加熱アルゴリズムを活性化させて、能動的加温素子を自動的に開始することができる。いくつかの実装形態では、大きな容積の区画に関連付けられたものなど、1つ以上の能動的加温素子の第1のセットは、第1の時間に活性化することができ、1つ以上の能動的加温素子の第2のセットは、第1の時間に続いて第2の時間に活性化することができる。他の実装形態では、加熱アルゴリズムは、異なる加熱速度が消耗品カートリッジ内の試薬に適用されるように、第1の電力を1つ以上の能動的加温素子の第1のセットに適用し、第2の電力を1つ以上の能動的加温素子の第2のセットに適用することができる。両方の例において、加熱アルゴリズムは、内部に格納された試薬が各々、実質的に同時に目標温度を達成するように、消耗品カートリッジ内の試薬を温める。
【0021】
本明細書に記載される実装形態は、消耗品カートリッジ内の試薬の構成可能及び/又は制御可能な能動的加温又は加熱を有利に提供して、内部に格納された試薬に影響を及ぼす可能性のある消耗品カートリッジの温点又は高温ゾーンをもたらすことなく、1つ以上の目標温度を達成する。このような実装形態は、生化学分析のための試薬の解凍時間を低減し、及び/又は消耗品カートリッジ内の1つ以上の試薬の目標温度を制御することができる。試薬の解凍時間の低減は、試薬消耗品が貯蔵温度から動作温度まで解凍するのを待つダウンタイムを低減することにより、遺伝子シーケンシング器具などの器具の生化学分析の処理量を増加させることができる。
【0022】
本明細書に記載される実装形態は、消耗品カートリッジの調製及び/又は生化学分析のために指定された反応を実行するために使用され得る。
図1は、生化学分析を実施するように構成されたシステム100の概略図である。システム100は、取り外し可能なカートリッジ200を受容し、分離可能に係合するように構成されたベース器具102を含むことができる。ベース器具102及び取り外し可能なカートリッジ200は、生体試料をシステム100内の異なる場所に輸送するように互いに相互作用して、その後の分析のために生体試料を調製し、任意選択的に、生体試料を用いて1つ以上の事象を検出するために、生体試料を含む指定された反応を実施するように構成され得る。いくつかの実装形態では、ベース器具102は、取り外し可能なカートリッジ200上で直接生体試料を用いて1つ以上の事象を検出するように構成することができる。事象は、生体試料との指定された反応を示すことができる。取り外し可能なカートリッジ200は、本明細書に記載のカートリッジのいずれかに従って構築され得る。
【0023】
以下は、
図1に示されるベース器具102及び取り外し可能なカートリッジ200を参照しているが、ベース器具102及び取り外し可能なカートリッジ200は、システム100の一実装形態のみを示し、他の実装形態が存在することが理解される。例えば、ベース器具102及び取り外し可能なカートリッジ200は、生体試料を調製するため及び/又は生体試料を分析するためのいくつかの動作を集合的に実行する、様々な構成要素及び特徴を含む。図示した実装形態では、ベース器具102及び取り外し可能なカートリッジ200の各々は、特定の機能を実行することができる。しかしながら、ベース器具102及び取り外し可能なカートリッジ200は、異なる機能を実行してもよく、及び/又はそのような機能を共有してもよいことが理解される。例えば、ベース器具102は、取り外し可能なカートリッジ200で指定された反応を検出するように構成された検出アセンブリ110(例えば、撮像デバイス)を含むように示される。代替の実装形態では、取り外し可能なカートリッジ200は、検出アセンブリを含んでもよく、ベース器具102の1つ以上の構成要素に通信可能に結合されてもよい。別の例として、ベース器具102は、取り外し可能なカートリッジ200と液体を提供、受容、又は交換しない「乾燥」器具である。すなわち、示されるように、取り外し可能なカートリッジ200は、消耗品試薬部分210及びフローセル部分220を含む。消耗品試薬部分210は、生化学分析中に使用される試薬を収容することができ、フローセル部分220は、フローセル部分220内で発生する1つ以上の事象の検出を実行するために、検出アセンブリ110のための光学的に透明な領域又は他の検出可能な領域を含むことができる。代替の実装形態では、ベース器具102は、例えば、試薬又は他の液体を取り外し可能なカートリッジ200に提供し得、これらは、その後、取り外し可能なカートリッジ200によって消費される(例えば、指定された反応で使用される)。
【0024】
本明細書で使用するとき、生体試料は、ヌクレオシド、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、タンパク質、酵素、ポリペプチド、抗体、抗原、リガンド、受容体、多糖類、炭水化物、ポリリン酸、ナノポア、オルガネラ、脂質層、細胞、組織、生物などの1つ以上の生体又は化学物質、及び/又は前述の種の類似体又は模倣体などの生物学的に活性な化学化合物(複数可)、を含み得る。場合によっては、生体試料は、全血、リンパ液、血清、血漿、汗、涙液、唾液、痰、脳脊髄液、羊水、精液、膣排泄、漿液、滑液、心膜液、腹水、胸膜液、漏出液、滲出液、嚢胞性流体、胆汁、尿、胃液、腸液、糞便試料、単一又は複数の細胞を含有する液体、細胞器官を含有する液体、流動組織、流動生物、多細胞生物を含有する液体、生物学的スワブ及び生物学的洗浄を含み得る。
【0025】
いくつかの実装形態では、生体試料は、水、脱イオン水、生理食塩水、酸性溶液、塩基性溶液、洗剤溶液、及び/又はpH緩衝剤などの添加材料を含み得る。添加材料はまた、生化学反応を実施するために指定されたアッセイプロトコル中に使用される試薬を含み得る。例えば、添加された液体は、生体試料を用いて複数のポリメラーゼ連鎖反応(polymerase-chain-reaction、PCR)サイクルを実施するための材料を含み得る。
【0026】
しかしながら、分析される生体試料は、システム100に装填された生体試料とは異なる形態又は状態であってもよいことを理解されたい。例えば、システム100に装填された生体試料は、調製された核酸を提供するために、その後処理される(例えば、分離又は増幅手順を介して)全血又は唾液を含んでもよい。次いで、調製された核酸は、システム100によって分析され得る(例えば、PCRにより定量化されるか、又はSBSにより配列決定される)。したがって、「生体試料」という用語が、PCRなどの第1の動作を説明する間使用され、シーケンシングなどの後続の第2の動作を説明する間再び使用される場合、第2の動作における生体試料は、第1の動作の前又は間の生体試料に関して修正され得ることが理解される。例えば、シーケンシングステップ(例えば、SBS)は、前の増幅ステップ(例えばPCR)で増幅されたテンプレート核酸から生成されるアンプリコン核酸上で実行され得る。この場合、アンプリコンはテンプレートのコピーであり、アンプリコンはテンプレートの量と比較してより多量に存在する。
【0027】
いくつかの実装形態では、システム100は、ユーザによって提供される物質(例えば、全血又は唾液)に基づいて、生化学分析用の試料を自動的に調製し得る。しかしながら、他の実装形態では、システム100は、ユーザによる分析のために部分的又は予備的に調製された生体試料を分析してもよい。例えば、ユーザは、全血から既に単離された及び/又は増幅された核酸を含む溶液を提供してもよい。
【0028】
本明細書で使用するとき、「指定された反応」は、対象となる検体の化学的、電気的、物理的、又は光学的特性(又は品質)のうちの少なくとも1つの変化を含む。特定の実装形態では、指定された反応は、結合性結合事象である(例えば、蛍光標識された生体分子の対象となる検体への組み込み)。指定された反応は、解離性結合事象(例えば、対象となる検体から蛍光標識された生体分子の放出)であり得る。指定された反応は、化学変換、化学変化、又は化学的相互作用であってもよい。指定された反応はまた、電気特性の変化であってもよい。例えば、指定された反応は、溶液内のイオン濃度の変化であってもよい。いくつかの反応としては、還元、酸化、付加、脱離、再配列、エステル化、アミド化、エーテル化、環化、又は置換などの化学反応、第1の化学物質が第2の化学物質に結合する結合相互作用、2つ以上の化学物質が互いに分離する解離反応、蛍光、発光、生物発光、化学発光、並びに核酸複製、核酸増幅、核酸ハイブリダイゼーション、核酸ライゲーション、リン酸化、酵素触媒、受容体結合、又はリガンド結合などの生体反応、が挙げられるが、これらに限定されない。指定された反応はまた、例えば、周囲の溶液又は環境のpHの変化として検出可能である、プロトンの添加又は除去であってもよい。追加の指定された反応は、膜(例えば、天然又は合成の二分子膜)を横切るイオンの流れを検出することであり得る。例えば、イオンが膜を通って流れると、電流が妨害され、破壊が検出され得る。荷電タグの場検知もまた、熱感知及び他の好適な分析感知技術として使用することができる。
【0029】
特定の実装形態では、指定された反応は、検体への蛍光標識分子の組み込みを含む。検体はオリゴヌクレオチドであってもよく、蛍光標識分子はヌクレオチドであってもよい。指定された反応は、励起光が標識ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドに向けられ、蛍光団が検出可能な蛍光シグナルを発するときに、検出され得る。代替の実装形態では、検出された蛍光は、化学発光又は生物発光の結果である。指定された反応はまた、例えば、ドナーフルオロフォアをアクセプタ蛍光団に近接させることによって蛍光(又はForster)共鳴エネルギー移動(Fluorescence Resonance Energy Transfer、FRET)を増加させることができ、ドナーとアクセプタ蛍光団とを分離することによってFRETを減少させ、消光剤をフルオロフォアから分離することによって蛍光を増加させるか、又は消光剤及び蛍光団を共局在させることによって蛍光を減少させることができる。
【0030】
本明細書で使用するとき、「反応成分」は、指定された反応を得るために使用され得る任意の物質を含む。例えば、反応成分としては、試薬、酵素などの触媒、反応のための反応物質、試料、反応生成物、他の生体分子、塩、金属補因子、キレート剤、及び緩衝溶液(例えば、水素化緩衝液)が挙げられる。反応成分は、溶液中で個別に、又は1つ以上の混合物内で組み合わされて、流体ネットワーク内の様々な場所に送達され得る。例えば、反応成分は、生体試料が固定化される反応チャンバに送達され得る。反応成分は、生体試料と直接又は間接的に相互作用し得る。いくつかの実装形態では、取り外し可能なカートリッジ200は、指定されたアッセイプロトコルを実行することに関与する反応成分のうちの1つ以上で予め装填される。予めの装填は、ユーザによるカートリッジ200の受け取り(例えば、顧客の施設で)の前に、1つの場所(例えば、製造施設)で行うことができる。例えば、1つ以上の反応成分又は試薬は、消耗品試薬部分210に予め装填することができる。いくつかの実装形態では、取り外し可能なカートリッジ200はまた、フローセル部分220にフローセルを予め装填することができる。
【0031】
いくつかの実装形態では、ベース器具102は、セッションごとに1つの取り外し可能なカートリッジ200と相互作用するように構成され得る。セッション後、取り外し可能なカートリッジ200は、別の取り外し可能なカートリッジ200と交換され得る。他の実装形態では、ベース器具102は、セッションごとに1つを超える取り外し可能なカートリッジ200と相互作用するように構成され得る。本明細書で使用するとき、用語「セッション」は、試料調製及び/又は生化学分析プロトコルのうちの少なくとも1つを実行することを含む。試料調製は、調製された生体試料が分析に好適であるように、生体試料の1つ以上の成分を分離、単離、修正、及び/又は増幅することを含み得る。いくつかの実装形態では、セッションは、(a)指定された数の反応が実施される、(b)指定された回数の事象が検出される、(c)システム時間の指定された期間が経過する、(d)信号対ノイズが指定された閾値に低下する、(e)標的成分が同定される、(f)システム故障又は誤動作が検出される、及び/又は(g)反応を実施するためのリソースの1つ以上が使い果たされる、までいくつかの制御された反応が実施される連続的な活動を含み得る。あるいは、セッションは、ある期間(例えば、分、時間、日、週)の間、システム活動を一時停止し、その後、(a)~(g)のうちの少なくとも1つが発生するまでセッションを完了することを含み得る。
【0032】
アッセイプロトコルは、指定された反応を実施すること、指定された反応を検出すること、及び/又は指定された反応を分析すること、の一連の動作を含み得る。集合的に、取り外し可能なカートリッジ200及びベース器具102は、異なる動作を実行するための構成要素を含み得る。アッセイプロトコルの動作は、流体動作、熱制御動作、検出動作、及び/又は機械的動作を含み得る。流体動作は、ベース器具102によって、及び/又は取り外し可能なカートリッジ200によって作動され得るシステム100を通る流体(例えば、液体又は気体)の流れを制御することを含む。例えば、流体動作は、生体試料又は反応成分の流れを反応チャンバ内に誘導するためのポンプを制御することを含み得る。熱制御動作は、取り外し可能なカートリッジ200の1つ以上の部分など、システム100の指定された部分の温度を制御することを含み得る。例として、熱制御動作は、生体試料を含む液体が格納されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ゾーンの温度を上昇又は低下させることを含み得る。検出動作は、検出器の活性化を制御すること、又は検出器の活動を監視して、生体試料の所定の特性、品質、又は特徴を検出することを含み得る。一例として、検出動作は、指定されたエリアから蛍光発光を検出するために、生体試料を含む指定エリアの画像を捕捉することを含み得る。検出動作は、生体試料を照明するために光源を制御すること、又は生体試料を観察するために検出器を制御することを含み得る。機械的動作は、指定された構成要素の動き又は位置を制御することを含み得る。例えば、機械的動作は、取り外し可能なカートリッジ200内の可動弁に動作可能に係合する、ベース器具102内の弁制御構成要素を動かすようにモータを制御することを含み得る。場合によっては、異なる動作の組み合わせが同時に行われてもよい。例えば、検出器は、ポンプが反応チャンバを通る流体の流れを制御する際に、反応チャンバの画像を捕捉し得る。場合によっては、異なる生体試料に向けられた異なる動作が同時に行われてもよい。例えば、第1の生体試料は、第2の生体試料が検出されている間に、増幅(例えば、PCR)を受け得る。
【0033】
同様又は同一の流体要素(例えば、チャネル、ポート、リザーバなど)は、流体要素をより容易に区別するために、異なってラベル付けされてもよい。例えば、ポートは、リザーバポート、供給ポート、ネットワークポート、フィードポートなどと呼ばれる場合がある。異なってラベル付けされる2つ以上の流体要素(例えば、リザーバチャネル、試料チャネル、フローチャネル、ブリッジチャネル)は、流体要素が構造的に異なることを必要としないことが理解される。更に、特許請求の範囲は、特許請求の範囲内のそのような流体要素をより容易に区別するために、そのようなラベルを追加するように修正され得る。
【0034】
本明細書で使用するとき、「液体」は、比較的非圧縮性であり、流動し、物質を保持する容器又はチャネルの形状に適応する能力を有する物質である。液体は水性基剤であり得、液体を一緒に保持する表面張力を呈する極性分子を含み得る。液体はまた、油性又は非水性物質などの非極性分子を含み得る。本出願における液体への言及は、2つ以上の液体の組み合わせを含む液体を含んでもよいことが理解される。例えば、別個の試薬溶液を後で組み合わせて、指定された反応を実施することができる。
【0035】
取り外し可能なカートリッジ200は、カートリッジチャンバ140でベース器具102に分離可能に係合するか、又は取り外し可能に結合するように構成される。本明細書で使用するとき、用語「分離可能に係合される」又は「取り外し可能に結合された」(又は同様のもの)が、取り外し可能なカートリッジ200とベース器具102との間の関係を説明するために使用される場合、この用語は、取り外し可能なカートリッジ200とベース器具102との間の接続が、ベース器具102を破壊することなく容易に分離可能であることを意味することを意図する。したがって、取り外し可能なカートリッジ200は、ベース器具102の電気接点が破壊されないように、電気的方式でベース器具102に分離可能に係合され得る。取り外し可能なカートリッジ200は、カートリッジチャンバ140などの取り外し可能なカートリッジ200を保持するベース器具102の機構が破壊されないように、機械的方式でベース器具102に分離可能に係合されてもよい。取り外し可能なカートリッジ200は、ベース器具102のポートが破壊されないように、流体方式でベース器具102に分離可能に係合されてもよい。ベース器具102は、例えば、構成要素に対する単純な調節(例えば、再整列)又は単純な交換(例えば、ノズルの交換)のみが必要とされる場合、「破壊されている」とは見なされない。構成要素(例えば、取り外し可能なカートリッジ200及びベース器具102)は、構成要素を分離する際に過度の労力又はかなりの量の時間を費やすことなく、構成要素を互いに分離することができるときに容易に分離可能であり得る。いくつかの実装形態では、取り外し可能なカートリッジ200及びベース器具102は、取り外し可能なカートリッジ200又はベース器具102のいずれかを破壊することなく容易に分離可能であり得る。
【0036】
いくつかの実装形態では、取り外し可能なカートリッジ200は、ベース器具102とのセッション中に永久的に修正又は部分的に損傷されてもよい。例えば、液体を保持する容器は、液体がシステム100を通って流れることを可能にするように穿孔されたホイルカバーを含んでもよい。このような実装形態では、損傷した容器が別の容器と交換されるように、ホイルカバーが損傷されてもよい。特定の実装形態では、取り外し可能なカートリッジ200は、取り外し可能なカートリッジ200が、単一の使用後に交換され、任意選択で廃棄され得るように、使い捨てカートリッジである。
【0037】
他の実装形態では、取り外し可能なカートリッジ200は、ベース器具102と係合している間に2つ以上のセッションに使用されてもよく、及び/又はベース器具102から取り外され、試薬が再装填され、追加の指定された反応を実施するようにベース器具102に再係合されてもよい。したがって、取り外し可能なカートリッジ200は、同じ取り外し可能なカートリッジ200が異なる消耗品(例えば、反応成分及び生体試料)で使用され得るように、場合によっては改修されてもよい。改修は、顧客の施設に位置するベース器具102からカートリッジ200が取り外された後、製造施設で実行することができる。
【0038】
カートリッジチャンバ140は、取り外し可能なカートリッジ200又はその一部分を受容してベース器具102と相互作用するように、スロット、マウント、コネクタインターフェース、及び/又は任意の他の機構を含むことができる。
【0039】
取り外し可能なカートリッジ200は、それを通して流体(例えば、液体又は気体)を保持し、方向付けることができる流体ネットワークを含むことができる。流体ネットワークは、流体を格納することができる、及び/又は流体がそこを通って流れることを可能にすることができる、複数の相互接続された流体要素を含むことができる。流体要素の非限定的な例としては、チャネル、チャネルのポート、空洞、貯蔵モジュール、貯蔵モジュールのリザーバ、反応チャンバ、廃棄物リザーバ、検出チャンバ、反応及び検出のための多目的チャンバなどが挙げられる。例えば、消耗品試薬部分210は、試薬を格納する1つ以上の試薬ウェル又はチャンバを含むことができ、流体ネットワークの一部であるか、又は流体ネットワークに結合することができる。流体要素は、システム100が試料調製及び/又は分析を行うことができるように、指定された方式で互いに流体結合され得る。
【0040】
本明細書で使用するとき、用語「流体結合」(又は同様の用語)は、液体又は気体が2つの空間領域間で方向付けられ得るように、互いに接続されている2つの空間領域を指す。場合によっては、流体結合は、流体が2つの空間領域間で前後に方向付けられることを可能にする。他の場合には、流体結合は、2つの空間領域間に一方向の流れのみが存在するように、一方向性である。例えば、アッセイリザーバは、液体がアッセイリザーバからチャネル内に輸送され得るように、チャネルと流体結合され得る。しかしながら、いくつかの実装形態では、チャネル内の流体をアッセイリザーバに戻すことは不可能であり得る。特定の実装形態では、流体ネットワークは、生体試料を受容し、生体試料を試料調製及び/又は試料分析を通して方向付けるように構成される。流体ネットワークは、生体試料及び他の反応成分を廃棄物リザーバに方向付けることができる。
【0041】
1つ以上の実装形態は、生体試料が分析される指定された場所に、生体試料(例えば、テンプレート核酸)を保持することを含み得る。本明細書で使用するとき、用語「保持された」は、生体試料に関して使用されるとき、生体試料を表面に実質的に付着させること、又は指定されたスペース内に生体試料を閉じ込めることを含む。本明細書で使用するとき、用語「固定化された」は、生体試料に関して使用されるとき、生体試料を固体支持体内又はその上の表面に実質的に付着させることを含む。固定化は、生体試料を分子レベルで表面に付着させることを含み得る。例えば、生体試料は、非共有結合相互作用(例えば、静電力、ファンデルワールス、及び疎水性界面の脱水)を含む吸着技術、並びに官能基又はリンカーが生体試料を表面へ付着させるのを促進する共有結合技術を使用して、基材の表面に固定化されてもよい。生体試料を基材の表面に固定化することは、基材の表面の特性、生体試料を担持する液体媒体、及び生体試料自体の特性に基づき得る。いくつかの場合において、基材表面は、生体試料を基材表面へ固定することを容易にするために、官能化(例えば、化学的又は物理的に修飾)され得る。基材表面は、表面に結合した官能基を有するように最初に改質されてもよい。次いで、官能基は、生体試料に結合して、生体試料をその上に固定化することができる。場合によっては、生体試料をゲルを介して表面に固定化することができる。
【0042】
いくつかの実装形態では、核酸は表面に固定化され、ブリッジ増幅を使用して増幅することができる。表面上の核酸を増幅するための別の有用な方法は、例えば、以下で更に詳細に説明する方法を使用する、ローリングサークル増幅(rolling circle amplification、RCA)である。いくつかの実装形態では、核酸は、表面に付着され、1つ以上のプライマー対を使用して増幅され得る。例えば、プライマーのうちの1つは溶液中であってもよく、他のプライマーは、表面上に固定化され得る(例えば、5’-付着)。例として、核酸分子は、表面上のプライマーのうちの1つにハイブリダイズし、続いて固定化プライマーを伸長させて、核酸の第1のコピーを生成することができる。溶液中のプライマーは、次いで、核酸の第1のコピーをテンプレートとして使用して伸長させることができる核酸の第1のコピーにハイブリダイズする。任意選択で、核酸の第1のコピーが生成された後、元の核酸分子は、表面上の第2の固定化プライマーにハイブリダイズすることができ、同時に、又は溶液中のプライマーが伸長された後に伸長され得る。任意の実装形態において、固定化プライマー及び溶液中のプライマーを使用する伸長の反復ラウンド(例えば、増幅)は、核酸の複数のコピーを提供する。いくつかの実装形態では、生体試料は、生体試料の増幅(例えば、PCR)中に使用されるように構成された反応成分を有する所定のスペース内に閉じ込められ得る。
【0043】
本明細書に記載される1つ以上の実装形態は、増幅(又はPCR)プロトコルであるか、又はそれを含むアッセイプロトコルを実行するように構成され得る。増幅プロトコル中、生体試料(例えば、生体試料のDNA)を増幅するために、リザーバ又はチャネル内の生体試料の温度を変化させることができる。例として、生体試料は、(1)約95℃で約75秒間の予備加熱段階、(2)約95℃で約15秒間の変性段階、(3)約59℃で約45秒間のアニーリング伸張段階、及び(4)約72℃で約60秒間の温度保持段階、を経験し得る。実装形態は、複数の増幅サイクルを実行し得る。上記サイクルは、1つの特定の実装形態のみを説明し、代替の実装形態は、増幅プロトコルに対する修正を含み得ることに留意されたい。
【0044】
本明細書に記載の方法及びシステムは、例えば、少なくとも約10個の特徴部/cm2、約100個の特徴部/cm2、約500個の特徴部/cm2、約1,000個の特徴部/cm2、約5,000個の特徴部/cm2、約10,000個の特徴部/cm2、約50,000個の特徴部/cm2、約100,000個の特徴部/cm2、約1,000,000個の特徴部/cm2、約5,000,000個の特徴部/cm2、又はそれ以上を含む、様々な密度のいずれかの特徴部を有するアレイを使用することができる。本明細書に記載される方法及び装置は、これらの密度のうちの1つ以上で個々の特徴部を分解するのに少なくとも十分な解像度を有する検出構成要素又はデバイスを含むことができる。
【0045】
ベース器具102は、指定されたアッセイプロトコルを実施するためのユーザ入力を受信するように構成された、及び/又はアッセイに関する情報をユーザに通信するように構成されたユーザインターフェース130を含み得る。ユーザインターフェース130は、ベース器具102に組み込まれ得る。例えば、ユーザインターフェース130は、ベース器具102のハウジングに取り付けられ、ユーザからのタッチ、及びタッチスクリーン上に表示された情報に対するタッチの場所を識別するように構成されたタッチスクリーンを含み得る。あるいは、ユーザインターフェース130は、ベース器具102に対して遠隔に位置してもよい。
【0046】
ベース器具102はまた、取り外し可能なカートリッジ200及び/又は検出アセンブリ110のうちの少なくとも1つの動作を制御するように構成されたシステムコントローラ120を含み得る。システムコントローラ120は、専用ハードウェア回路、ボード、DSP、プロセッサなどの任意の組み合わせを利用して実装することができる。あるいは、システムコントローラ120は、単一のプロセッサ又は複数のプロセッサを備えた既製のPCを利用して実装され得、機能的な動作はプロセッサ間で分散される。更なる選択肢として、システムコントローラ120は、特定のモジュール式機能が専用ハードウェアを利用して実行されるハイブリッド構成を利用して実装されてもよく、一方、残りのモジュール式機能は、既製のPCなどを利用して実行される。
【0047】
システムコントローラ120は、ベース器具102及び/又は取り外し可能なカートリッジ200の特定の構成要素の動作を制御するように構成された複数の回路モジュールを含み得る。例えば、回路モジュールは、取り外し可能なカートリッジ200の流体ネットワークを通る流体の流れを制御するように構成された流れ制御モジュールを含み得る。流れ制御モジュールは、弁アクチュエータ及び/又はsシステムポンプに動作可能に結合されてもよい。流れ制御モジュールは、1つ以上の経路を通る流体の流れを誘導するため、及び/又は1つ以上の経路を通る流体の流れを遮断するために、弁アクチュエータ及び/又はシステムポンプを選択的に作動させ得る。
【0048】
システムコントローラ120はまた、熱制御モジュールも含み得る。熱制御モジュールは、サーモサイクラ又は他の熱構成要素を制御して、取り外し可能なカートリッジ200の試料調製領域から熱エネルギーを提供及び/又は除去し得る。特定の一実施例では、サーモサイクラは、PCRプロトコルに従って、生体試料によって経験される温度を上昇及び/又は低下させ得る。
【0049】
システムコントローラ120はまた、生体試料に関するデータを取得するために検出アセンブリ110を制御するように構成された検出モジュールを含み得る。検出モジュールは、直接有線接続を介して、又は検出アセンブリ110が取り外し可能なカートリッジ200の一部である場合は接触アレイを介してのいずれかで検出アセンブリ110の動作を制御し得る。検出モジュールは、検出アセンブリ110を制御して、所定の時間に、又は所定の期間にわたってデータを取得し得る。例として、検出モジュールは、生体試料がそれに付着したフルオロフォアを有する場合、検出アセンブリ110を制御して、取り外し可能なカートリッジのフローセル部分220の反応チャンバの画像を捕捉し得る。いくつかの実装形態では、複数の画像が取得されてもよい。
【0050】
任意選択的に、システムコントローラ120は、システム100のユーザに少なくとも部分的な結果を提供するためにデータを分析するように構成された分析モジュールを含む。例えば、分析モジュールは、検出アセンブリ110によって提供される画像化データを分析し得る。分析は、生体試料の核酸のシーケンスを同定することを含み得る。
【0051】
上述のシステムコントローラ120及び/又は回路モジュールは、1つ以上のマイクロコントローラ、プロセッサ、縮小命令セットコンピュータ(reduced instruction set computer、RISC)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、論理回路、及び本明細書に記載される機能を実行することができる任意の他の回路を含む、1つ以上の論理ベースのデバイスを含み得る。実装形態では、システムコントローラ120及び/又は回路モジュールは、1つ以上のアッセイプロトコル及び/又は他の動作を実行するために、コンピュータ又はその中の機械可読媒体に記憶された命令のセットを実行する。命令のセットは、ベース器具102及び/又は取り外し可能なカートリッジ200内の情報源又は物理メモリ要素の形態で記憶され得る。システム100によって実行されるプロトコルは、例えば、DNA又はRNAの定量分析、タンパク質分析、DNAシーケンシング(例えば、合成によるシーケンシング(SBS))、試料調製、及び/又はシーケンシング用のフラグメントライブラリの調製を実行することであり得る。
【0052】
命令のセットは、本明細書に記載される様々な実装形態の方法及びプロセスなどの特定の動作を実行するようにシステム100に指示する様々なコマンドを含み得る。命令のセットは、ソフトウェアプログラムの形態であってもよい。本明細書で使用するとき、用語「ソフトウェア」及び「ファームウェア」は互換可能であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び不揮発性RAM(non-volatile RAM、NVRAM)メモリを含むコンピュータによって実行されるメモリに記憶された任意のコンピュータプログラムを含む。上記のメモリタイプは単なる例であり、コンピュータプログラムの記憶に使用可能なメモリのタイプに関して限定するものではない。
【0053】
ソフトウェアは、システムソフトウェア又はアプリケーションソフトウェアなどの様々な形態であってもよい。更に、ソフトウェアは、別個のプログラムの集合、又はより大きいプログラム内のプログラムモジュール若しくはプログラムモジュールの一部分の形態であってもよい。ソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュール式プログラミングを含んでもよい。検出データを取得した後、検出データは、システム100によって自動的に処理され得、ユーザ入力に応じて処理され、又は別の処理マシンによって行われる要求(例えば、通信リンクを介したリモート要求)に応じて処理されてもよい。
【0054】
システムコントローラ120は、有線又は無線であり得る通信リンクを介して、システム100の他の構成要素又はサブシステムに接続され得る。システムコントローラ120はまた、オフサイトシステム又はサーバに通信可能に接続されてもよい。システムコントローラ120は、ユーザインターフェース130からユーザ入力又はコマンドを受信してもよい。ユーザインターフェース130は、キーボード、マウス、タッチスクリーンパネル、及び/又は音声認識システムなどを含んでもよい。
【0055】
システムコントローラ120は、ソフトウェア命令を記憶、解釈、及び/又は実行すること、並びにシステム100の全体動作を制御するなどの処理能力を提供するように機能し得る。システムコントローラ120は、様々な構成要素のデータ及び/又は電力態様を制御するように構成及びプログラムされ得る。システムコントローラ120は、
図1では単一の構造として表されるが、システムコントローラ120は、異なる場所でシステム100全体にわたって分散される複数の別個の構成要素(例えば、プロセッサ)を含んでもよいことが理解される。いくつかの実装形態では、1つ以上の構成要素は、ベース器具102と一体化されてもよく、1つ以上の構成要素は、ベース器具102に対して遠隔に位置してもよい。
【0056】
図2は、消耗品カートリッジ300の実装形態を示す。消耗品カートリッジは、
図1の取り外し可能なカートリッジ200の消耗品試薬部分210などの、組み合わされた取り外し可能なカートリッジの一部であることができ、又は別個の試薬カートリッジであることができる。消耗品カートリッジ300は、ハウジング302及び上部304を含む。ハウジング302は、非導電性ポリマー又は他の材料を含むことができ、1つ以上の試薬チャンバ310、320、330を作製するように形成される。試薬チャンバ310、320、330は、その中に格納される様々な体積の試薬を収容するために、サイズを変えることができる。例えば、第1のチャンバ310は第2のチャンバ320よりも大きくてもよく、第2のチャンバ320は第3のチャンバ330よりも大きくてもよい。第1のチャンバ310は、緩衝試薬などの、特定の試薬のより大きな体積を収容するようにサイズ決めされる。第2のチャンバ320は、開裂試薬を保持する試薬チャンバなどの、第1のチャンバ310よりも小さな体積の試薬を収容するようにサイズ決めされる。第3のチャンバ330は、ffN含有試薬を保持する試薬チャンバなどの、第1のチャンバ310及び第2のチャンバ320よりも更に小さい体積の試薬を収容するようにサイズ決めされる。
【0057】
図示された実装形態では、ハウジング302は、その中にチャンバ310、320、330を形成する複数のハウジング壁又は側部350を有する。図示の実装形態では、ハウジング302は、少なくとも実質的に一体構造を形成する。代替的な実装形態において、ハウジング302は、チャンバ310、320及び330のために独立して形成された区画など、ハウジング302を形成するように組み合わされた1つ以上のサブ構成要素によって構築されてもよい。
【0058】
試薬がそれぞれのチャンバ310、320、330内に提供されると、ハウジング302は上部304によって封止され得る。上部304は、導電性又は非導電性材料を含むことができる。例えば、上部304は、ハウジング302の上面に接着結合されて、それぞれのチャンバ310、320、330内の試薬を封止するアルミニウム箔シールであることができる。他の実装形態では、上部304は、ハウジング302の上面に接着結合されて、それぞれのチャンバ310、320、330内の試薬を封止するプラスチックシールであることができる。
【0059】
いくつかの実装形態では、ハウジング302はまた、1つ以上の電源コネクタ380を含むことができる。以下でより詳細に説明するように、1つ以上の電源コネクタ380は、電源をハウジング302の1つ以上の要素に電気的に結合するように構成される。1つ以上の電源コネクタ380は、
図4に示される1つ以上の能動的加温素子400などのハウジング302の1つ以上の要素を電源に電気的に結合するための、導電性接着剤、導電パッド、バネ仕掛けのタブ、及び/又は他の導電性材料を有する導電性ステッカーであることができる。
【0060】
いくつかの実装形態では、ハウジング302はまた、識別子390を含む。識別子390は、無線周波数識別(RFID)トランスポンダ、バーコード、識別チップ、及び/又は他の識別子であってもよい。いくつかの実装形態では、識別子390は、ハウジング302内に埋め込まれるか、又は外面に取り付けられ得る。識別子390は、消耗品カートリッジ300の固有識別子のデータ及び/又は消耗品カートリッジ300のタイプに関するデータを含むことができる。識別子390のデータは、本明細書でより詳細に説明されるように、ベース器具102又は消耗品カートリッジ300を温めるように構成された別個のデバイスによって読み取ることができる。
【0061】
図3は、埋め込まれた能動的加温素子400を示す、
図2の消耗品カートリッジ300の壁350の例示的な構造の部分断面図を示す。消耗品カートリッジ300の全て又は一部分は、その中に配設された導電性材料などの埋め込まれた能動的加温素子400と共に構築することができる。能動的加温素子400は、1つ以上の電源コネクタ380に電力を供給することに応答して、消耗品カートリッジ300のチャンバ310、320、330内の試薬の体積を解凍するように構成される。能動的加温素子400は、導電性炭素、導電性ワイヤ、抵抗テープ、加熱コイル、及び/又は温度制御することができる任意の他の要素を含むことができる。いくつかの実装形態では、いくつかの能動的加温素子400は、消耗品カートリッジ300の1つ以上の壁350内に埋め込むことができる。場合によっては、1つ以上の能動的加温素子400は、1つ以上の他の能動的加温素子400とは独立して選択的に動作される、チャンバ310のための1つ以上の能動的加温素子400など、チャンバ320のための1つ以上の能動的加温素子400など、消耗品カートリッジ300の一部分に設けることができ、それにより、各チャンバ310、320を別々に制御し、加温することができる。
【0062】
抵抗加熱素子などの能動的加温素子400の場合、消耗品カートリッジ300の能動的加温素子400に電流を通すことができ、消耗品カートリッジ300が、その中のチャンバに格納された試薬(複数可)と直接接触するか、又は少なくともその近くにある能動的加温素子400を使用して、内部から加熱されることを可能にする。いくつかの実装形態では、能動的加温素子400は、内壁350及び外壁350の両方にあってもよい。一実装形態では、消耗品カートリッジ300全体は、消耗品カートリッジ300の全体を導電性にするために、導電性炭素を含有するプラスチックを含むことができる。次いで、電流が導電性炭素領域を通過して、消耗品カートリッジ300内から試薬を温める。これにより、消耗品カートリッジ300の外側からのみ(例えば、外部加熱器、水浴、又は空気温度から)熱を単純に適用するよりも迅速に解凍が発生することを可能にする。
【0063】
電気的に制御された能動的加温素子400の構成では、加熱電流経路は、どの材料が導電性であるかに基づいて選択することができ、又は、消耗品カートリッジ300全体が導電性材料で作製される場合には、消耗品カートリッジ300の電源コネクタ380の位置に基づいて加熱経路を制御することができる。
【0064】
いくつかの実装形態では、壁350の非導電性材料又は別個のコーティング、ラミネートなどのような絶縁層410は、チャンバ内に格納された試薬から能動的加温素子400を電気的に絶縁するために提供され得る。例えば、消耗品カートリッジ300の全体が導電性炭素などの導電性材料を含む場合、チャンバの壁350の内部に別個のコーティング又はラミネートを適用して、試薬を有害な電圧から絶縁して、試薬が電気分解する可能性を防止するか、又は少なくとも実質的に低減することができる。いくつかの実装形態では、絶縁層410は、非導電性材料に加えて又はその代わりに、断熱材を含むことができる。断熱材は、解凍中に、消耗品カートリッジ300内部の能動的加温素子400から試薬を分離するために使用することができる。これは、より高い温度を使用して、試薬を損傷することなくより短い解凍時間を達成することを可能にし得る。
【0065】
抵抗加熱器である能動的加温素子400の場合、材料の抵抗は、試薬を過剰な熱又は損傷電圧に曝すことなく、対応するチャンバ310、320、330内の試薬を温めるために適切な量の熱を生成することができるように選択することができる。例えば、10ミリボルト未満の電圧は、試薬に対して任意の有害な電気化学反応を引き起こすには低すぎる場合があり、そのため、能動的加温素子400は、能動的加温素子400を通過する加熱電流が10mVを超える電圧降下を生成しないように、適切な抵抗を有するように設計することができる。
【0066】
図4を参照して、いくつかの実装形態では、消耗品カートリッジ300の1つ以上の壁350は、チャンバ310、320、330などのチャンバの容積の一部分内に延在する1つ以上のフィン又はサブ壁450を含むことができる。1つ以上のフィン又はサブ壁450は、1つ以上のフィン又はサブ壁450を加熱するために1つ以上のフィン又はサブ壁450内に延在する能動的加温素子400又はその一部分を含むことができる。1つ以上のフィン又はサブ壁450は、チャンバ310、320、330内に収容される試薬に対して壁350の露出表面積を増加させる。能動的加温素子400によって加熱されたときに、増加した露出表面積は、凍結した試薬への熱伝達が発生する速度を増加させることができ、それによって、チャンバ内の試薬を目標温度まで解凍する時間を短縮する。いくつかの実装形態では、1つ以上のフィン又はサブ壁450は、より大きいチャンバ310などの第1のチャンバ内にあることができ、一方、チャンバ320、330などの他のチャンバは、1つ以上のフィン又はサブ壁450を有さない。
【0067】
図5は、能動的加温素子400などの能動的加温素子を使用して消耗品カートリッジ300などの消耗品カートリッジに格納された試薬を解凍するためのプロセス500を示す。プロセス500は、電源を消耗品カートリッジの1つ以上の電源コネクタに結合することを含む(ブロック510)。いくつかの実装形態では、1つ以上の電源コネクタは、1つ以上の導電性ステッカーであってもよく、1つ以上の導電パッド、1つ以上のばね仕掛けのタブ、及び/又は他の導電性材料を有する1つ以上の導電性ステッカーとすることができる。他の実装形態では、1つ以上の電源コネクタは、消耗品カートリッジの導電性上部若しくは蓋、又はその導電部分を含むことができる。電源を1つ以上の電源コネクタに結合することは、消耗品カートリッジをベース器具102のようなベース器具に挿入又は接続することに応答し得る。他の実装形態では、カートリッジ解凍システムなどの別個のデバイスは、消耗品カートリッジの1つ以上の電源コネクタに電気的に結合される電源を含むことができる。
【0068】
いくつかの実装形態では、プロセス500は、任意選択的に、消耗品カートリッジの識別子からデータにアクセスすることを含むことができる(ブロック520)。識別子は、無線周波数識別(RFID)トランスポンダ、バーコード、識別チップ、及び/又は他の識別子であってもよい。いくつかの実装形態では、識別子は、消耗品カートリッジのハウジング内に埋め込まれるか、又は外面に取り付けられてもよい。識別子は、消耗品カートリッジ及び/又は消耗品カートリッジのタイプのデータに関する固有識別子に関するデータを含むことができる。いくつかの実装形態では、識別子からのデータにアクセスすることは、RFIDリーダを使用してRFIDトランスポンダを読み取ることを含み得る。いくつかの実装形態では、識別子からデータにアクセスすることは、バーコードリーダを使用してバーコードを読み取ることを含み得る。いくつかの実装形態では、識別子からデータにアクセスすることは、1つ以上のコネクタを使用して識別チップと電気的又は通信可能にインターフェース接続することを含み得る。いくつかの実装形態では、ベース器具102のシステムコントローラ120は、アクセスされたデータを受信する。他の実装形態では、カートリッジ解凍システムなどの別個のデバイスは、アクセスされたデータを受信することができる。いくつかの実装形態では、識別子は、ベース器具102及び/又はカートリッジ解凍システムなどの別個のデバイスによって決定され得る、消耗品カートリッジの物理的形状又は寸法であり得る。
【0069】
プロセス500は、能動的加熱プロセスを開始することを含む(ブロック530)。能動的加熱プロセスは、所定の期間、試薬を格納するチャンバに近接して、消耗品カートリッジのハウジング内に埋め込まれた能動的加温素子に電源から電力を印加することを含む。
【0070】
特定の実装形態では、識別子からのデータにアクセスしないものなど、能動的加熱プロセスを開始することは、ベース機器102又はカートリッジ解凍システムなどの別個のデバイスでの所定の又はユーザ設定のプロセスであり得る。すなわち、能動加熱プロセスは、1つ以上の所定の期間に印加される1つ以上の事前設定された入力電力電圧及び/又は電流を含んでもよい。例えば、所定の能動的加熱プロセスは、試薬を解凍するために、事前設定された電圧及び/又は電流を1時間の期間印加してもよい。他の実装形態では、所定の加熱プロセスは、経時的に電圧及び/又は電流を増加又は減少させることができる。更に他の実装形態では、所定の加熱プロセスは、第1の期間にわたって第1の事前設定された電圧及び/又は電流、及び第2の期間にわたって第2の事前設定された電圧及び/又は電流を印加することができる。いくつかの実装形態では、1つ以上の事前設定された入力電力、電流、及び/又は期間は、ベース器具102又はカートリッジ解凍システムなどの別個のデバイスに通信可能に結合されたタッチスクリーン又はキーボードなどのユーザインターフェースを介してユーザによって定義されてもよい。
【0071】
識別子からのデータがアクセスされる実装形態では、アクセスされたデータに応じて能動的加熱プロセスを選択することができる。例えば、RFIDトランスポンダがベース機器102のRFIDリーダ又はカートリッジ解凍システムなどの別個のデバイスによって読み取られる場合、対応する事前設定された能動的加熱プロセスは、アクセスされたデータに基づいて選択することができる。対応する事前設定された能動的加熱プロセスは、1つ以上の所定の期間にわたって印加される1つ以上の事前設定された入力電圧及び/又は電流を含むことができる。例えば、第1のタイプの消耗品カートリッジに対応する第1のデータを有する識別子を有する第1の消耗品カートリッジの場合、ベース機器102又はカートリッジ解凍システムなどの別個のデバイスは、識別子の第1のデータにアクセスし、第1の消耗品カートリッジ内に格納された試薬を解凍するために、第1の所定の期間、第1の電圧及び/又は電流を適用する第1の事前設定された能動的加熱プロセスを選択することができる。例えば、第2のタイプの消耗品カートリッジに対応する第2のデータを有する識別子を有する第2の消耗品カートリッジの場合、ベース機器102又はカートリッジ解凍システムなどの別個のデバイスは、識別子の第2のデータにアクセスし、第2の消耗品カートリッジ内に格納された試薬を解凍するために、第2の所定の期間、第2の電圧及び/又は電流を適用する第1の事前設定された能動的加熱プロセスとは異なり得る第2の事前設定された能動的加熱プロセスを選択することができる。いくつかの実装形態では、印加された電圧及び/又は電流のシーケンスは、事前設定された能動的加熱プロセスの1つ以上の期間に印加され得る。
【0072】
電圧及び/又は電流の印加は、印加された電力が消耗品カートリッジの1つ以上の能動的加温素子に伝達されるように、消耗品カートリッジの1つ以上の電源コネクタによって提供され得る。能動的加温素子は温度を上昇させ、それによって、消耗品カートリッジのチャンバ内に格納された試薬を解凍するために熱を伝達する。電圧及び/又は電流の印加は、開ループ能動的加熱又は閉ループ能動的加熱プロセスの一部であり得る。開ループ能動的加熱は、既知の又は計算された能動的加温素子抵抗に基づいて特定の電圧又は電流を印加して、所望の量の電力を能動的加温素子に送達することを含むことができる。閉ループ能動的加熱は、能動的温感素子(すなわち、フィードバック制御)の温度を定期的に判定することに基づいて、電圧又は電流を制御することを含み得る。抵抗-温度曲線又は式は、所定又は既知であり得、能動的加温素子の測定された抵抗に基づいて温度を決定するために使用することができる。他の例では、温度センサを実装して、能動的加温素子の温度を決定することができる。決定された温度に基づいて、印加される電圧及び/又は電流は、所望の目標温度を達成するように修正され得る。
【0073】
いくつかの実装形態では、第1の能動的加温素子は、第1の加熱経路と関連付けることができ、第2の能動的加温素子は、第2の加熱経路と関連付けることができる。例えば、第1の能動的加温素子は、消耗品カートリッジの第1のチャンバの壁に埋め込むことができ、第2の能動的加温素子は、消耗品カートリッジの第2のチャンバの壁に埋め込むことができる。第1の能動的加温素子は、第1の電源コネクタに電気的に結合することができ、第2の能動的加温素子は、第2の電源コネクタに電気的に接続することができる。能動的加熱プロセスは、第1の時間に第1のチャンバ内の試薬を解凍するために第1の電源コネクタに電力を供給し、第2の時間に第2のチャンバ内の試薬を解凍するために第2の電源コネクタに電力を供給することができる。すなわち、能動的加熱プロセスは、別個の分離された電流経路を有することによって、消耗品カートリッジの異なる領域内のジュール加熱量を制御することができる。他の実装形態では、各能動的加温素子の抵抗は、異なる量のジュール加熱を提供するために、材料の相違及び/又は幾何学的相違によって変化させることができる。
【0074】
いくつかの実装形態では、本明細書に記載の消耗品カートリッジは、包装材又は他の容器内に収容されて、消耗品カートリッジを外部汚染物質から隔離することができる。場合によっては、包装材又はその一部分は、消耗品カートリッジの1つ以上の電源コネクタを電源に電気的に結合するための1つ以上の導電性要素を含むことができ、一方、消耗品のカートリッジは、包装材又は他の容器内に残る。
【0075】
カートリッジの実装形態は、ある量の試薬をその内部に格納するチャンバを画定するハウジングと、ハウジング内に埋め込まれ、チャンバの近くに位置決めされた能動的加温素子と、ハウジングに結合され、ハウジング内に埋め込まれた能動的加温素子に電気的に結合された電源コネクタと、を含むことができる。いくつかの実装形態では、能動的加温素子は、電源コネクタに電力を供給することに応答して、チャンバ内のある量の試薬を解凍することができる。
【0076】
前述の実装形態のカートリッジは、ハウジングがチャンバ内に延在する1つ以上のフィンを画定することを含み得る。前述の実装形態のカートリッジは、能動的加温素子の少なくとも一部分が1つ以上のフィン内に延在することを含み得る。前述の実装形態のいずれかのカートリッジは、能動的加温素子が、ハウジング内に埋め込まれた導電性炭素を含むことを含み得る。前述の実装形態のいずれかのカートリッジは、能動的加温素子がハウジング内に埋め込まれた抵抗テープを備えることを含み得る。前述の実装形態のいずれかのカートリッジは、チャンバが第1のサブ構成要素によって画定され、ハウジングが、別々に構築され、一緒に結合される複数のサブ構成要素を含むことを含み得る。前述の実装形態のいずれかのカートリッジは、能動的加温素子が第1のサブ構成要素の外面に結合されることを含み得る。前述の実装形態のいずれかのカートリッジは、電源コネクタが導電性接着剤を有する導電性ステッカーを含むことを含むことができる。前述の実装形態のいずれかのカートリッジは、電源コネクタがハウジングに封止された上部の一部分を含むことを含むことができる。前述の実装形態のうちのいずれかのカートリッジは、上部がアルミニウム箔を含むことを含むことができる。前述の実装形態のいずれかのカートリッジは、ハウジングに結合された識別子を更に含むことができる。前述の実装形態のいずれかのカートリッジは、識別子がRFIDトランスポンダを含むことを含むことができる。前述の実装形態のいずれかのカートリッジは、識別子がバーコードを含むことを含むことができる。
【0077】
方法の実装形態は、カートリッジの電源コネクタを電源に結合することと、カートリッジのチャンバに保存されている試薬を解凍するためのアクティブな加熱プロセスを開始することと、を含み得、能動的加熱プロセスは、電源から、試薬を所定の期間格納するチャンバに近接するカートリッジのハウジングに埋め込まれた能動的加温素子に電力を印加することを含む。前述の実装形態の方法は、カートリッジのハウジングに結合された識別子のデータにアクセスすることに応答して、所定の期間が設定されることを含むことができる。上述の実装形態のいずれかの方法は、識別子がRFIDトランスポンダを含むことを含むことができる。前述の実装形態のいずれかの方法は、識別子がバーコードを含むことを含むことができる。前述の実装形態のいずれかの方法は、カートリッジのハウジングが、第2の試薬をその内部に格納する第2のチャンバに近接した第2の能動的加温素子を含み、能動的加熱プロセスが、電源から第2の能動的加温素子に第2の所定の期間にわたって第2の電力を印加することを含み、第2の所定の期間は、所定の期間とは異なる。前述の方法の実装形態のいずれも、前述のカートリッジ実装形態又は以下のカートリッジ実装形態のいずれかと共に利用することができる。
【0078】
カートリッジの実装形態は、その内部に第1の量の第1の試薬を格納する第1のチャンバと、その内部に第2の量の第2の試薬を格納する第2のチャンバとを画定するハウジングと、ハウジング内に埋め込まれ、第1のチャンバ及び第2のチャンバの近くに位置決めされた能動的加温素子と、ハウジングに結合され、ハウジング内に埋め込まれた能動的加温素子に電気的に結合された電源コネクタと、を含む。いくつかの実装形態では、能動的加温素子は、第1のチャンバ内の第1の量の第1の試薬を第1の目標温度まで解凍し、第2のチャンバ内の第2の量の第2の試薬を、電源コネクタに電力を供給することに応答して第2の目標温度まで解凍するためのものである。上記実装形態のカートリッジは、ハウジング内に埋め込まれたRFIDトランスポンダを更に含み得る、第1の目標温度及び第2の目標温度が、RFIDトランスポンダのデータにアクセスすることに応答して決定される。
【0079】
前述の説明は、当業者が本明細書に記載される様々な構成を実践することを可能にするために提供される。主題技術は、様々な図及び構成を参照して特に説明されてきたが、これらは例示目的のみのためであり、主題技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0080】
本明細書で使用するとき、単数形に列挙され、単語「a」又は「an」で進められた要素又は工程は、かかる除外が明示的に記載されていない限り、複数の当該要素又は工程を除外しないものとして理解されるべきである。更に、「一実装形態」への言及は、列挙された特徴をまた組み込む追加の実装形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図するものではない。更に、反対に明示的に述べられていない限り、特定の特性を有する要素又は複数の要素を「含む」又は「有する」実装形態は、それらがその特性を有するかどうかにかかわらず、追加の要素を含み得る。
【0081】
本明細書全体を通して使用される用語「実質的に」及び「約」は、処理のばらつきなどの小さな変動を記述及び説明するために使用される。例えば、それらは、±5%以下、例えば±2%以下、例えば±1%以下、例えば±0.5%以下、例えば±0.2%以下、例えば±0.1%以下、例えば±0.05%以下)を指すことができる。
【0082】
対象技術を実施するための多くの他の様式が存在し得る。本明細書に記載される様々な機能及び要素は、対象技術の範囲から逸脱することなく示されるものとは異なって分割されてもよい。これらの実装形態に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり得、本明細書で定義される一般的な原理は、他の実装形態に適用され得る。したがって、対象技術の範囲から逸脱することなく、当業者によって、多くの変更及び修正を対象技術に行うことができる。例えば、所与のモジュール又はユニットの異なる数が用いられてもよく、所与のモジュール又はユニットの異なるタイプ又は複数のタイプが用いられてもよく、所与のモジュール又はユニットが追加されてもよく、又は所与のモジュール又はユニットが省略されてもよい。
【0083】
下線付き及び/又はイタリック体の見出し及びサブ見出しは、便宜上のみ使用され、対象技術を限定するものではなく、対象技術の説明の解釈と関連して言及されない。当業者に知られている、又は後に知られるようになる、本開示を通して記載される様々な実装形態の要素との全ての構造的及び機能的同等物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、対象技術に包含されることを意図する。更に、本明細書で開示されないものは、そのような開示が上記の説明において明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公開専用であることを意図するものではない。
【0084】
以下でより詳細に考察される、前述の概念及び更なる概念の全ての組み合わせが、(かかる概念が相互に矛盾しないことを提供する)本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図されることを理解されたい。具体的には、本開示の終わりに現れる特許請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図される。