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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】レーザシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/10 20060101AFI20231101BHJP
   B23K 26/073 20060101ALI20231101BHJP
   H01S 3/23 20060101ALI20231101BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20231101BHJP
   G02B 27/09 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
G02B27/10
B23K26/073
H01S3/23
G02B7/00 A
G02B27/09
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021541537
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2020050985
(87)【国際公開番号】W WO2020156821
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】102019102511.7
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520475388
【氏名又は名称】トゥルンプフ レイザー- ウント システムテクニック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティアフェルダー、ジルケ
(72)【発明者】
【氏名】ティルコルン、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ベック、トシュテン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルシュテルン、ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】ハイメス、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】リンゲル、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】マルシャル、フェリクス
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-541419(JP,A)
【文献】国際公開第2015/194056(WO,A1)
【文献】特表2003-516553(JP,A)
【文献】特表2018-514940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0210671(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/10,27/09
H01S 3/23
B23K 26/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーザビーム(14)によって供給される直線ビーム断面を有する有用な光分布(L)を生成するためのレーザシステム(10)であって、
レーザビーム(14)を放射するための少なくとも2つのレーザ光源(12a、12b)と、
少なくとも第1の光入力チャネル(18a)と第2の光入力チャネル(18b)とを備え、レーザビーム(14)のための第1の光出力チャネル(24a)と第2の光出力チャネル(24b)とを有する供給光学系(20)と、
光出力チャネル(24a,24b)のレーザビーム(14)から有用な光分布(L)を成形するビーム成形光学系(28)と、
を備え、
前記第1の光入力チャネル(18a)と前記第2の光入力チャネル(18b)とは、各々が少なくとも2つのレーザビーム(14)を含む1つの入力ビーム群(16a、16b)を供給するように設計され、前記第1の光出力チャネル(24a)と第2の光出力チャネル(24b)とは、各々が少なくとも2つのレーザビーム(14)を含む1つの出力ビーム群(26a、26b)を案内するように設計され、
且つ供給光学系(20)は、前記第1の光出力チャネル(24a)から案内される一方の出力ビーム群(26a)と前記第2の光出力チャネル(24b)から案内される他方の出力ビーム群(26b)の各々が、第1の光入力チャネル(18a)の入力ビーム群(16a)からの少なくとも1つのレーザビーム(14)および第2の光入力チャネル(18b)の入力ビーム群(16b)からの少なくとも1つのレーザビーム(14)を含むように、供給されたレーザビーム(14)を再配置するように設計されており
前記一方の出力ビーム群(26a)と前記他方の出力ビーム群(26b)との距離は、前記一方の出力ビーム群(26a)内における複数のレーザビーム同士の距離、及び、前記他方の出力ビーム群(26b)内における複数のレーザビーム同士の距離よりも長い、ことを特徴とする、レーザシステム(10)。
【請求項2】
各光入力チャネル(18a、18b)のための供給光学系(20)は、ビーム偏向及び/又はビーム誘導のための少なくとも1つの光学素子(40)を有し、前記光学素子(40)は、夫々の光入力チャネル(18a、18b)の入力ビーム群(16a、16b)の1つのレーザビーム(14)のみ、又は夫々の光入力チャネル(18a、18b)の入力ビーム群(16a、16b)のレーザビーム(14)のサブグループのみが案内されるように設計及び配置される、請求項1に記載のレーザシステム(10)。
【請求項3】
前記光学素子(40)は、それぞれの光入力チャネル(18a、18b)の案内されたレーザビーム(14)又は案内されたレーザビームのサブグループ(14)が、前記光学素子(40)によって案内されない同一の光入力チャネル(18a、18b)のレーザビーム(14)とは別の光出力チャネル(26a、26b)に入るように設計される、請求項2に記載のレーザシステム(10)。
【請求項4】
前記供給光学系(20)は、前記光入力チャネル(18a、18b)から前記光出力チャネル(24a、24b)へのビーム経路(38)を規定するためのビームステアリング要素(36)及び/又はビーム誘導要素(36)を有し、前記ビーム経路(38)は、少なくとも1回の方向の変化、又は複数回の方向の変化を有し、更に、数回折り畳まれていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項5】
前記供給光学系(20)は、前記ビーム経路(38)が、前記ビーム成形光学系(28)内のビーム経路が走行する平面に垂直な平面内を走行するように設計される、請求項4に記載のレーザシステム(10)。
【請求項6】
前記供給光学系(20)は、第1の光入力チャネル(18a)及び第2の光入力チャネル(18b)に、異なるビーム方向、且つ反対のビーム方向を有するレーザビーム(14)が供給されるように設計されていることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項7】
少なくとも1つの光出力チャネル(24a、24b)のための供給光学系(20)は、経路調整光学系(42)を備え、前記経路調整光学系(42)は、光出力チャネル(24a、24b)の他のレーザビーム(14)と比較して少なくとも1つのレーザビーム(14)の光路を提供するように設定される、請求項1~6の何れか1項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項8】
2つ以上の光入力チャネル(18a、18b)が設けられ、且つ/又は2つ以上の入力ビーム群(16a、16b)が設けられ、且つ前記供給光学系(20)は、出力ビーム群(26a、26b)の夫々が、夫々の入力ビーム群(16a、16b)からの少なくとも1つのレーザビーム(14)の夫々を含むように設計されている、請求項1~7の何れか1項に記載のレーザシステム。
【請求項9】
前記ビーム成形光学系(28)は、前記光出力チャネル(24a、24b)の前記レーザビーム(14)を受光し、それらを線形の拡張ビーム断面を有するビームパッケージに変換する再成形光学系(32)を含む、請求項1~8の何れか1項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項10】
前記ビーム成形光学系(28)は、光出力チャネル(24a、24b)からの出力ビーム群(26a、26b)のレーザビーム(14)又は複数の光出力チャネル(24a、24b)からの出力ビーム群(26a、26b)のレーザビーム(14)を前記再成形光学系(32)の前において結合して結合ビームとするように構成された結合光学系(35)をさらに含み、前記再成形光学系(32)は、前記結合ビームを受光するように設計及び配置される、請求項9に記載のレーザシステム。
【請求項11】
ビーム成形光学系(28)が、光出力チャネル(24a、24b)の1つ又は複数のレーザビーム(14)に作用する少なくとも1つのアナモルフィック望遠鏡(30)を備える、請求項1~10の何れか1項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項12】
異なるレーザ光源(12a、12b)は、異なる光入力チャネル(18a、18b)に供給されることを特徴とする請求項1~11の何れか1項に記載のレーザシステム(10)。
【請求項13】
夫々のレーザ光源(12a、12b)は、少なくとも2つの別々のレーザビーム(14)を提供し、異なる光入力チャネル(18a、18b)に出射するように設計されている請求項1~12の何れか1項に記載のレーザシステム(10)。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレーザビームによって提供される有用な光分布(L)を生成するためのレーザシステム又はレーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有利であるが排他的ではない適用分野は、線形ビームプロファイルを有する有用な光分布、特に伝搬方向に沿って広がる出力ビームであって、作用面内で消失しない強度を有する線方向に沿って延びる線形ビーム断面を有する出力ビームの生成である。
【0003】
このような線状ビームプロファイルは、例えば、半導体又はガラスの表面の加工、例えば、TFTディスプレイの製造、半導体のドーピング、太陽電池の製造、又は建築目的のために美的に設計されたガラス表面の製造に使用される。ここで、線状ビームプロファイルは、加工される表面にわたって線の延長方向に垂直に走査される。例えば、放射線は、表面改質プロセス(再結晶、融解、拡散プロセス)をトリガすることができ、所望の加工結果を達成することができる。
【0004】
レーザシステムは、高エネルギー密度及び/又は空間的に強く拡張された直線強度分布を生成するために、所望の有用な光分布を供給するための複数のレーザ光源を含む。例えば、DE 10 2008 027 229 B4は、複数のレーザ光源によって放射され、それらの光学チャネルの一部の途中についてグループで実行される幾つかのレーザビームをビーム成形し、組み合わせるための装置を示し、この装置においては、レーザビームは最終的に一緒にされ、所望の線状ビームプロファイルに変換され得る。これを有用な光分布に変換するために、レーザ放射は、種々のレーザ光源からのレーザビームによって照射されるように設計された複数の光学素子を通過する。従って、光学素子の均一な照射を達成するために、全てのレーザ光源が常に作動しているべきである。レーザ光源が故障した場合、又はレーザ光源を弱め又は非活性化することによって有用な光分布の強度を減少させようとする場合、光学素子はもはや均等に照射されない。これは、有用な光分布の品質及び均質性を損なう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】DE 10 2008 027 229 B4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、パワー変動が発生した場合、又は個々のレーザ光源が不活性化された場合に、レーザシステムの機能性及び有用な光分布の質を改善するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載のレーザシステムによって達成される。レーザシステムは、全体として、複数の装置及び/又は構成部分を備える装置である。特に、レーザシステムは、レーザビームを指定するための少なくとも2つのレーザ光源と、レーザビームのための供給光学系とを備える。供給光学系は、レーザビームのための少なくとも第1の光入力チャネル及び第2の光入力チャネルを有する。さらに、供給光学系は、少なくとも1つの第1の光出力チャネルと、レーザビームが供給光学系から出る第2の光出力チャネルとを備える。次いで、供給光学系のレーザビームは、光出力チャネルのレーザビームから直線的な断面を有する所望の有用な光分布を形成するように設計されたビーム成形光学系を通ってビーム経路内を続いて走行する。
【0008】
第1及び第2の光入力チャネルは、それぞれ、入力ビーム群が供給され得るように設計され、入力ビーム群は、各々、少なくとも2つのレーザビームを含み得る。第1及び第2の光出力チャネルは、それぞれ、1つの出力ビーム群を案内するように設計されており、各出力ビーム群は、今度は、少なくとも2つのレーザビームを含み得る。
【0009】
供給光学系は、供給されたレーザビームが入力チャネルから出力チャネルへの遷移で再ソートされるように設定される。特に、供給光学系は、各出力ビーム群が、第1光入力チャネルの入力ビーム群からの少なくとも1つのレーザビームと、第2光入力チャネルの入力ビーム群からの1つのレーザビームとを含むように作用する。
【0010】
その結果、各出力ビーム群は、両方の光入力チャネルからの寄与を含む。特に、入力チャネルのうちの1つからのレーザビームは、出力ビーム群のそれぞれに存在する。その結果、例えば、光入力チャネルを通る照射が減少する場合(例えば、レーザ光源の1つが非活性化される場合)、各光出力チャネルも照射される。その結果、特に、種々のレーザ光源の放射パワーが互いに対して変化する場合、又は個々のレーザ光源が全く放射しない場合に、有用な光分布の質及び均質性を改善することができる。
【0011】
本文脈では、光学チャネル(入力チャネル、出力チャネル)は、特に、レーザビームの群が、チャネル内の他のチャネルから空間的に分離されかつ/又は光学的に分離されて案内されるという事実によって特徴付けられる。光学チャネルは、複数の光学的に有効な要素(レンズ、ミラー、開口など)を備えることができる。この点において、入力チャネルは、特に、レーザビーム又はレーザビーム群を照射することができ、次いで、他のビーム又はビーム群とは別個に走行することができる光学素子を備えた供給光学系のセクションである。入力ビーム群の異なるレーザビームは、各出力ビーム群が、第1の光入力チャネルの少なくとも入力ビーム群及び第2の光入力チャネルの入力ビーム群からのレーザビームを含むように、供給光学系において出力ビーム群に再分配される。
【0012】
供給光学系は、基本的に、入力ビーム群の各レーザビームが、この入力ビーム群の他のレーザビームと混合されることなく、供給光学系を通過し、出力チャネルのうちの1つに導かれるように設計することができる。この点において、レーザビームは、次いで、他のレーザビームと組み合わされることなく、それぞれの入力ビームチャネルから出力ビームチャネルへと導かれる。異なるレーザビームの混合(例えば、均質化光学系、円筒レンズアレイ等による)は、そのような構成において、例えば、ビーム成形光学系においてのみ行われる。原理的には、それぞれの光入力チャネルを介して放射される種々のレーザビームが、互いに分離された光サブチャネル内の供給光学系内を走行することが考えられる。光学的意味での混合は、例えば、供給光学系内で互いに空間的に離間されたレーザビームを導くことによって回避することができる。ただし、上記の構成は必須ではない。
【0013】
供給光学系は、好ましくは、各光入力チャネルに対して少なくとも1つの光学素子を有し、その光学素子は、ビーム偏向及び/又はビーム誘導のために設計される。また、光学素子は、それぞれの光入力チャネルの入力ビーム群のうちの1つのレーザビームのみ、又はそれぞれの光入力チャネルの入力ビーム群のうちのレーザビームのサブグループのみを検出するように、供給光学系内にセットアップ及び配置される。入力ビーム群のレーザビーム上又はそれぞれのサブグループ上にのみ選択的に作用するこのような光学要素によって、レーザビームは、入力ビーム群と出力ビーム群との間に言及される方法で再配置することができる。
【0014】
特に、光学素子は、光学素子によって選択的に検出されるレーザビーム、又は光学素子によって選択的に検出されるレーザビームのサブグループが、同一の光入力チャネルにおいて光学素子によって検出されないそれぞれのレーザビームとは異なる光出力チャネルに導かれるように設計され、配置されている場合には有利である。例えば、光学素子が、入力ビーム群のレーザビームのうちの1つを、検出されない他のレーザビームとは異なる光出力チャネルに選択的に向けることが考えられる。
【0015】
供給光学系は、好ましくは、1つ又は複数のビームステアリング要素及び/又は1つ又は複数のビーム誘導要素を備え、その手段によって、光入力チャネルから光出力チャネルへのビーム経路が画定される。ビーム経路は、好ましくは、方向の変化を有し、特に、複数回の方向の変化を有する。ビーム経路が、例えばZ折りのように(文字Zの形状に類似して)数回折り畳まれる場合、特に有利である。その結果、長い光路をコンパクトな設置スペースに収めることができる。これにより、例えば、屈折強度が比較的低く且つ/又は比較的大きな焦点距離を有する望遠鏡又は他のビーム成形光学系をビーム経路内で使用することが可能となる。屈折強度が低く且つ/又は焦点距離が大きい光学系では通常収差が小さくなる傾向があるので、ビーム経路を折り畳むことによって光学精度を高くすることができる。
【0016】
他の実施態様においては、特に折り畳まれたビーム経路は、後続のビーム成形光学系においてビーム経路の平面に垂直な平面内を走る。この点において、ビーム成形光学系はまた、複数の光学素子を含み、その光学素子の手段によって、ビーム経路が指定され、それによって、特に、方向の1つ又は複数の変化も有し、好ましくは、1回又は複数回折り畳まれる。この点において、折り畳まれたビーム経路は、今度は、ビーム経路が走る平面を割り当てることができる。
【0017】
供給光学系は、好ましくは、第1の光入力チャネル及び第2の光入力チャネルが、例えば反対のビーム方向を有し、特に反対側からの異なるビーム方向を有するレーザビームがチャネルに放射され得るように配置されるように設計される。特に、供給光学系は、それ自体の筐体を有し、第1の光入力チャネルへのビーム入口と、第2の光入力チャネルへのさらなるビーム入口とが、筐体の反対側に配置される。これらの手段により、レーザシステム内の供給光学系に対して互いに反対のレーザ光源を配置することが可能になる。更なるレーザ光源のための更なるビーム入口も設けることができ、これは特に筐体の更なる自由側に配置される。その結果、レーザ光源は互いに空間的に分離される。これは、例えば、冷却及び給電が可能になるので、動作信頼性を増大させる。保守作業も簡単になる。
【0018】
他の実施態様においては、少なくとも1つの光出力チャネルに対する供給光学系は、このそれぞれの光出力チャネルの他のレーザビームと比較して少なくとも1つのレーザビームの光路を変更するように設定される光路調整光学系を含む。このような経路調整光学系は、好ましくは、各光出力チャネルに対して提供される。光路調整光学系は、特に、光出力チャネルからの1つのレーザビームのみ、又は光出力チャネルからのレーザビームのサブグループのみを受光するように設計される。光路調整光学系は、例えば、偏向ミラーの組み合わせを有することができ、それによって、付加的な可変長光路を規定することができる。次いで、それぞれ検出されたレーザビーム又はそれぞれ検出されたレーザビームのサブグループは、この付加的な可変長光路を横断する。
【0019】
このシステムは、モジュール式で、スケーラブルであることが有利である。特に、2つ以上の光入力チャネルを設けることができる。代替的又は付加的に、供給光学系は、2つよりも多い入力ビーム群を照射できるように設計することができる。供給光学系は、入力ビーム群のビームが幾つかの異なる出力ビーム群に分割されるように設計されるのが有利である。供給光学系は、さらに、出力ビーム群の各々が、複数の入力ビーム群の各々からの少なくとも1つのレーザビームを含むように設計されることが好ましい。このようなシステムは、1つ又は複数のレーザ光源が非活性化された場合でも、ほぼ均一に照射される。
【0020】
他の実施態様においては、ビーム成形光学系は、光出力チャネルから出現するレーザビームを受光する再成形光学系を有する。再成形光学系は、検出されたレーザビームから直線的に延びるビーム断面を有するビームパッケージを形成するように設計される。この目的のために、再成形光学系がいくつかの別個の変換素子を有し、各々がそれぞれの出力ビーム群に割り当てられている1つの変換素子が考えられる。各出力ビーム群は、説明したように、いくつかの入力チャネルからの寄与を含むので、レーザ光源がレーザビームを照射していないときでも形成光学系は均一に照射される。
【0021】
ただし、別個の変換エレメントを持つデザインは必須ではない。また、出力ビーム群が結合されて、再成形光学系の前方に結合ビームを形成することも考えられる。この点において、ビーム成形光学系は、それぞれの光出力チャネルの出力ビーム群のレーザビームを組み合わせるように設定される組み合わせ光学系、又は再成形光学系の前の幾つかの光出力チャネルの出力ビーム群からのレーザビームを組み合わせて組み合わせビームを形成するように設定される組み合わせ光学系を更に含み得る。再成形光学系は、好ましくは、次いで、それらが組み合わせビームを受光し、それらを直線的に延在するビーム断面を有するビームパッケージに再成形するように配置される。
【0022】
更なる精密化のために、ビーム経路の下流、すなわち再成形光学系に続いて均質化光学系を設けることができ、これは、有用な光分布に所望の特性を与えるために、再成形光学系のビームパケットを検出し、更に再成形する。
【0023】
出力ビーム群のレーザビームは、任意に、ビーム成形光学系において互いに独立して光学的に成形することができる。この目的のために、ビーム成形光学系は、少なくとも1つの望遠鏡、特にアナモルフィック望遠鏡を有し、これは、光出力チャネルの1つ又は複数のレーザビームに作用することが考えられる。望遠鏡は、特に、ビーム経路内で互いに続く2つの収束レンズを備えることができ、これらのレンズは、例えば、それらの付加焦点距離から、それらの対向焦点面が一致するように(例えば、ケプラー望遠鏡の方法で)距離を置いて配置される。望遠鏡は、好ましくは、アナモルフィック望遠鏡として設計され、その結果、レーザビームは、それぞれのチャネル内でアナモルフィックに変形される。特に、望遠鏡は、レーザビームの伝搬方向に垂直な軸に沿って、画像スケールの円筒状の歪みを生じさせるように設計される。例えば、ビーム成形光学系が、2つの異なる歪方向(特に、2つの垂直方向に関して)に関して作用する、各出力ビーム群に対して又はある出力ビーム群に対して、ビーム経路内に直列に配置された2つのアナモルフィック望遠鏡を有することが考えられる。このようにして、ビームのプロパティを2つの垂直軸に対して調整できる。ここで述べた望遠鏡は特に再成形光学系の前のビーム経路に配置される。
【0024】
本発明の有利な態様は、異なるレーザ光源が異なる光入力チャネルに供給されることである。それぞれの光出力チャネルは、幾つか又は全ての入力チャネルからレーザビームを導くので、レーザ光源が故障しても、光出力チャネルは依然として均一に照射される。したがって、レーザ光源は、互いに独立して動作させることができる。
【0025】
また、本発明の有利な態様は、各レーザ光源が少なくとも2つの別個の(すなわち、互いに空間的に分離された)レーザビームを放射するように設計されているという事実から成る。特に、次いで、2つのレーザ光源が異なる光入力チャネルに放射され、1つのレーザ光源によって放射された少なくとも2つのレーザ光が入力ビーム群を形成することが提供される。このようなレーザ光源は、例えば、周波数倍増レーザ又は周波逓倍増レーザとして実装することができ、そこでは、残りの変換ビームもまた、再変換され、したがって、2つ以上の出力ビームを提供することができる。
【0026】
本発明を以下に、図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明によるレーザシステムのビーム経路及び機能的構成要素を説明するための概略図である。
図2図2は、本発明によるコンパクトな構造のレーザシステムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明及び図において、同一の参照記号は、同一の又は相互に対応する特徴のために使用される。
【0029】
図1及び図2では、レーザシステム又はレーザ装置が示されており、これは全体として符号10で示されている。図示の例では、レーザシステム10は、レーザビームを放射するための2つのレーザ光源12a、12bを含む。図示の例では、レーザ光源12a、12bの各々は、2つの別個のレーザビーム14が平行に放射されるように設計されている。
【0030】
各レーザ光源12a,12bからのレーザ光は、それぞれ入力ビーム群16a,16bを形成する。入力ビーム群は、例えば、各々が1つのレーザビーム14のみを放射する複数のレーザ光源によって供給することもできることは言うまでもない。入力ビーム群16a、16bはそれぞれ、光入力チャネル18a及び18bを通って供給光学系20に放射される。この点に関し、供給光学系20は、各光入力チャネル18a又は18bに対して、関連するビーム入口22a又は22bを有する(図2参照)。光入力チャネル18a又は18bは、例えば、レーザビームを供給光学系20に結合するための適切な光学素子又は光学装置を有することができる。
【0031】
また、供給光学系20は、第1及び第2の光出力チャネル24a及び24bをそれぞれ有する。供給光学系20では、第1及び第2の光入力チャネル18a、18bを通して照射されたレーザビーム14は、以下により詳細に説明する方法で、光出力チャネル24a及び24bに導かれる。この点において、レーザビーム14の出力ビーム群26a及び26bは、それぞれ第1及び第2の光出力チャネル24a、24bにおいて提供される。
【0032】
次いで、光出力チャネル24a、24bから送出された出力ビーム群26a、26bは、ビーム成形光学系28によって受光され、所望の有用な光分布Lに変換される。図示の例では、線形ビーム断面を有する。
【0033】
出力ビーム群26a,26bのレーザビーム14からの線状の有用な光分布Lを成形するために、ビーム成形光学系28は、通常、様々な光学的に機能する装置を備える。例えば、出力ビーム群26a又は26bのレーザビーム又はそのサブグループが最初に1つ以上の望遠鏡30を通過することが考えられる。このような望遠鏡30は、特にアナモルフィックに設計することができ、その結果、ビーム断面が適切な方法で予備成形される。
【0034】
次いで、ビーム経路に続いて、レーザビーム14は、例えば、出力ビーム群26a、26bのレーザビーム14から細長いビーム断面を有する1つ以上のビームパケットを形成する再成形光学系32を通って案内される。このようにして予め形成されたビームパケットは、例えば均質化光学系34と混合され、強度プロファイルにおいて平滑化されるので、所望の有用な光分布Lを提供することができる。
【0035】
再成形光学系32は、原理的に、いくつかの別個の変換素子33を有し得る(図1参照)。例えば、1つの変換素子33がそれぞれ、出力ビーム群26a、26bのうちの1つのみからのレーザビーム14に作用することが考えられる。ただし、この構成は必須ではない。また、再成形光学系32は、出力ビーム群26a、26bの全てのレーザビームに対する共通変換素子を備えることができる。この場合、ビーム成形光学系28は、様々な出力ビーム群26a、26bのレーザビームを結合ビームに結合する、再成形光学系の上流に接続された組み合わせ光学系を有することができる。一実施形態(図1参照)によれば、ビーム成形光学系28は、それぞれの光出力チャネル24a、24bの出力ビーム群26a、26bのレーザビームを組み合わせる組み合わせ光学系35を有することもできる。
【0036】
供給光学系20は、複数のビームステアリング要素及び/又はビームガイド要素36を有し、その手段により、ビーム経路38が供給光学系20内に予め定められている。図示の例では、ビーム経路38が数回折り畳まれるので、比較的長い光路をコンパクトな設置スペースで覆うことができ、従って、ビーム特性を成形するための光学素子(詳細には示されていない)のために十分なスペースが提供される。
【0037】
供給光学系20は、入力ビーム群16a、16bのレーザビーム14が、最初に互いに分離して走行し、また、それぞれの他の入力ビーム群のレーザビームとは別個に走行するように設計される。図示の例では、供給光学系20はまた、ビーム偏向及び/又はビーム誘導のための光学素子40(ここでは、偏向ミラー)を含み、これは、それぞれの入力ビーム群16a又は16bの1つのレーザビームにのみ作用する。
【0038】
光学素子40は、光学素子40によって検出されないそれぞれの入力ビーム群16a又は16bのレーザビーム14よりも、寧ろ検出されたレーザビームをそれぞれの他の光出力チャネル24a又は24bに向けるように設計される。これは、各出力ビーム群26a、26bが、各々、第1の光入力チャネル18aの入力ビーム群16aからの少なくとも1つのレーザビーム14と、第2の光入力チャネル18bの入力ビーム群16bからの少なくとも1つのレーザビーム14とを含むことを確実にする。この点に関し、供給光学系20は、光出力チャネル24a、24bのそれぞれの出力ビーム群26a、26bにおいて異なる対で走行するように、2つの入力ビーム群16a及び16bにグループ分けされたレーザビーム14を再配置するように設計される。
【0039】
また、供給光学系20は、他のレーザビーム14に対して少なくとも1つのレーザビームの光路を変更することができる経路調整光学系42を含むことができる。これにより、例えば、パルスレーザ光源12a、12bによる動作中に、レーザシステム10に所望の動作を経時的に与えることが可能になる。
【0040】
図2に見られるように、レーザシステム10は、特にモジュール構造を有する。特に、供給光学系20及び/又はビーム成形光学系28は、それぞれ、それ自体のモジュール筐体44を有してよい。モジュール構造のため、設置スペースが比較的小さくコンパクトなシステムが構築できる。この目的のために、供給光学系20内及びビーム成形光学系28内のビーム経路が、互いに直線的に隣接せず、代わりに、角度を付けられ又は折り畳まれた構成である場合に、特に有利である。図示の例では、供給光学系20内のビーム経路38は、数回折り畳まれ、1つの平面内に延びている(図1参照)。従って、供給光学系20のモジュール筐体44は、(すなわち、平面に対して平行な延長部よりも小さい、前記平面に対して垂直な延長部を有する)平坦な立方形又は箱状の筐体として成形することができる。次いで、光出力チャネル24a、24b(出力ビーム群26a、26b)に設けられたレーザビームを別の方向に通過させることができる。例えば、ビーム成形光学系28は、供給光学系20のビーム経路38に対して本質的に垂直な平面内に延在するビーム経路を有することができる(図1参照)。
【0041】
図示の例では、第1の光入力チャネル18a及び第2の光入力チャネル18bに対するビーム入口22a、22bは、供給光学系20のモジュール筐体44の異なる側に配置されている。例えば、レーザ光源12a、12bは、供給光学系20に対して互いに対向して配置され、反対のビーム方向に放射することができる。種々のレーザ光源は、もちろん、それらのそれぞれのビーム方向が互いに鋭角又は鈍角を包むように配置することもできる。また、レーザ光源は、平行なビーム方向を有し、例えば、互いに垂直方向にオフセットして配置することができる。一般的な態様によれば、種々のレーザ光源12a、12bは、それらの筐体が互いに離間するように配置される。このように、2つのレーザ光源のうちの1つに対する作業は、他のレーザ光源に影響を与えることなく行うことができる。また、コンパクトな構造を可能にした。
図1
図2