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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】靴用のクリートアセンブリ、靴
(51)【国際特許分類】
   A43C 13/04 20060101AFI20231101BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20231101BHJP
   F16B 43/00 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
A43C13/04
F16B35/00 M
F16B35/00 U
F16B43/00 A
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2021552727
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 US2020021501
(87)【国際公開番号】W WO2020185599
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】16/811,847
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/815,819
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512291662
【氏名又は名称】ホスピタル フォー スペシャル サージャリー
【氏名又は名称原語表記】Hospital for Special Surgery
【住所又は居所原語表記】535 East 70th Street, New York, NY 10021, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス エルナン
(72)【発明者】
【氏名】ピットゥーロ ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】リ ボ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルストロム ハワード
(72)【発明者】
【氏名】クラシェフスキ アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ドラコス マーク
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-141901(JP,A)
【文献】特開平06-237803(JP,A)
【文献】特表2021-514684(JP,A)
【文献】特開平10-201502(JP,A)
【文献】特開平08-294404(JP,A)
【文献】特表2014-533529(JP,A)
【文献】米国特許第02911738(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43C 13/04
A43B 13/00
F16B 35/00
F16B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴用のクリートアセンブリにおいて、
前記靴に固定するためのアンカーと、
前記アンカーに対して回動可能なクリートと、
前記アンカーを囲む第1の付勢部材と、
前記第1の付勢部材を付勢する第2の付勢部材と、
を備えるクリートアセンブリ。
【請求項2】
靴用のクリートアセンブリにおいて、
前記靴に固定するためのアンカーと、
クリートと、
前記アンカーを囲む第1の付勢部材と、
前記第1の付勢部材を付勢する第2の付勢部材と、
を備え
前記クリートは、前記アンカー、前記第1の付勢部材、および前記第2の付勢部材を囲む、クリートアセンブリ。
【請求項3】
靴用のクリートアセンブリにおいて、
前記靴に取り外し可能に固定されたアンカーと、
クリートと、
前記アンカーを囲む第1の付勢部材と、
前記第1の付勢部材を付勢する第2の付勢部材と、
を備えるクリートアセンブリ。
【請求項4】
前記アンカーは、
本体と、
前記本体のうち前記靴に最も近い端である前記本体の近位端から延びる締結具と、
前記本体のうち前記靴から最も離れた端である前記本体の遠位端の周りの実質的に平坦な底部と、
を有し、
前記実質的に平坦な底部は、前記本体から半径方向外側に延びる、請求項1,2または3に記載のクリートアセンブリ。
【請求項5】
前記実質的に平坦な底部は、前記クリート内に完全に収容される、請求項に記載のクリートアセンブリ。
【請求項6】
前記クリートは、前記アンカー、前記第1の付勢部材、および前記第2の付勢部材を囲む、請求項1または3に記載のクリートアセンブリ。
【請求項7】
前記クリートは、前記第1の付勢部材を受け入れるための内側レースを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のクリートアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の付勢部材は、前記内側レースに圧入されている、請求項に記載のクリートアセンブリ。
【請求項9】
前記アンカーを囲むブッシングをさらに備える、請求項1,2または3に記載のクリートアセンブリ。
【請求項10】
前記ブッシングは、前記アンカーと摺動可能に係合する、請求項に記載のクリートアセンブリ。
【請求項11】
前記第1の付勢部材は、前記ブッシングを囲む、請求項に記載のクリートアセンブリ。
【請求項12】
前記第1の付勢部材は、前記ブッシングに接続される、請求項9,10または11に記載のクリートアセンブリ。
【請求項13】
前記第1の付勢部材は、環状の付勢部材である、請求項1,2または3に記載のクリートアセンブリ。
【請求項14】
前記第1の付勢部材は、前記アンカーと前記クリートとの間に設けられる、請求項1,2または3に記載のクリートアセンブリ。
【請求項15】
前記第1の付勢部材は、前記アンカーの軸方向に沿った付勢力を提供する前記第2の付勢部材とは独立の曲げ力を提供する、請求項1,2,3,13または14に記載のクリートアセンブリ。
【請求項16】
前記第2の付勢部材は、前記第1の付勢部材に直接係合する、請求項1,2または3に記載のクリートアセンブリ。
【請求項17】
前記第2の付勢部材は、前記ブッシングに直接係合する、請求項に記載のクリートアセンブリ。
【請求項18】
前記第2の付勢部材は、前記アンカーを囲む、請求項1,2または3に記載のクリートアセンブリ。
【請求項19】
前記アンカー、前記第1の付勢部材、および前記第2の付勢部材は、前記クリート内に収容される、請求項1,2,3,16,17または18に記載のクリートアセンブリ。
【請求項20】
前記クリートから延びるシュラウドを更に備える、請求項1,2または3に記載のクリートアセンブリ。
【請求項21】
前記クリートアセンブリから破片を除去または防止するために、前記クリートと前記アンカーの締結具との間に変形可能な部材を更に備える、請求項1,2または3に記載のクリートアセンブリ。
【請求項22】
前記変形可能な部材は、シュラウド、膨張可能なエラストマー、ベローズ、および/またはシールである、請求項21に記載のクリートアセンブリ。
【請求項23】
ソールと、
前記ソールに固定された請求項1に記載のクリートアセンブリと、
を備える靴。
【請求項24】
前記アンカーは、保持ポストを有する、請求項1,2または3に記載のクリートアセンブリ。
【請求項25】
前記アンカーは、ボールおよびソケット継手を有する締結具を含む、請求項24に記載のクリートアセンブリ。
【請求項26】
前記第1の付勢部材は、前記締結具を囲む、請求項25に記載のクリートアセンブリ。
【請求項27】
前記保持ポストは、環状フランジを含む、請求項24に記載のクリートアセンブリ。
【請求項28】
前記保持ポストは、ポストを含み、
前記第2の付勢部材は、前記ポストを囲む、請求項24に記載のクリートアセンブリ。
【請求項29】
前記第2の付勢部材は、前記クリート内に完全に収容される、請求項24に記載のクリートアセンブリ。
【請求項30】
前記クリートは、前記保持ポスト上の戻り止めを受けるための内側レースを含む、請求項24,25,26,27,28または29に記載のクリートアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の例示的な実施形態は、一般に、靴用のクリートアセンブリに関し、より具体的には、多数の自由度でクリートの移動を可能にするための多数の付勢部材を有するクリートアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
靴に対するクリートの軸方向の移動を可能にする靴のクリートアセンブリが知られている。そのようなアセンブリは、クリートの縦軸に沿ってクリートが移動することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第4146979号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなアセンブリは、単一の自由度に沿った移動に限定される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な一実施形態によれば、靴に固定するためのアンカーと、クリートと、アンカーを囲み、クリートと係合する第1の付勢部材と、第1の付勢部材を付勢する第2の付勢部材と、を備える靴用のクリートアセンブリが提供される。
【0006】
一態様によれば、アンカーは、本体と、本体の近位端から延びる締結具と、本体の遠位端の周りの実質的に平坦な底部と、を有し、実質的に平坦な底部は、本体から半径方向外側に延びる。
【0007】
一態様によれば、実質的に平坦な底部は、クリート内に完全に収容される。一態様によれば、クリートは、アンカー、第1の付勢部材、および第2の付勢部材を囲む。一態様によれば、クリートは、第1の付勢部材を受け入れるための内側レースを含む。一態様によれば、第1の付勢部材は、内側レースに圧入されている。
【0008】
一態様によれば、クリートアセンブリは、アンカーを囲むブッシングをさらに備える。一態様によれば、ブッシングは、アンカーと摺動可能に係合する。一態様によれば、第1の付勢部材は、ブッシングを囲む。一態様によれば、第1の付勢部材は、ブッシングに接続される。
【0009】
一態様によれば、第1の付勢部材は、環状の付勢部材である。一態様によれば、第1の付勢部材は、クリート内に完全に収容される。一態様によれば、第1の付勢部材は、約0.08N・m/deg~0.15N・m/degのねじり剛性係数を有する。一態様によれば、第1の付勢部材は、アンカーの軸方向に沿った付勢力を提供する第2の付勢部材とは独立した曲げ力を提供する。
【0010】
一態様によれば、第2の付勢部材は、第1の付勢部材に直接係合する。一態様によれば、第2の付勢部材は、ブッシングに直接係合する。一態様によれば、第2の付勢部材は、アンカーを囲む。一態様によれば、第2の付勢部材は、約99,997N/m~200,170N/mのバネ定数を有する。一態様によれば、アンカー、第1の付勢部材、および第2の付勢部材は、クリート内に収容される。
【0011】
一態様によれば、クリートアセンブリは、クリートから延びるシュラウドを更に備える。一態様によれば、クリートアセンブリは、クリートアセンブリから破片を除去または防止するために、クリートとアンカーの締結具との間に変形可能な部材を更に備える。一態様によれば、変形可能な部材は、シュラウド、膨張可能なエラストマー、ベローズ、および/またはシールである。
【0012】
一態様によれば、ソールと、ソールに固定されたクリートアセンブリと、を備える靴が提供される。クリートアセンブリは、靴に固定するためのアンカーと、クリートと、アンカーを囲み、クリートと係合する第1の付勢部材と、第1の付勢部材を付勢する第2の付勢部材と、を備える。
【0013】
一態様によれば、アンカーは、保持ポストと、保持ポストの近位端に回動可能に接続された締結具と、を備える。一態様によれば、締結具は、ボールおよびソケット継手を介して保持ポストに接続される。一態様によれば、第1の付勢部材は、締結具を囲む。
【0014】
一態様によれば、保持ポストは、環状フランジを含む。一態様によれば、保持ポストは、ポストを含み、第2の付勢部材は、ポストを囲む。一態様によれば、第2の付勢部材は、クリート内に完全に収容される。一態様によれば、クリートは、保持ポスト上に戻り止めを受けるための内側レースを含む。
【0015】
別の態様によれば、アンカーは、保持ポストと、保持ポストの近位端に回動可能に接続された締結具と、を備える。別の態様によれば、締結具は、ボールおよびソケット継手を介して保持ポストに接続される。
【0016】
別の態様によれば、第1の付勢部材は、締結具を囲む。別の態様によれば、第2の付勢部材は、クリート内に完全に収容される。
【0017】
別の態様によれば、保持ポストは、環状フランジおよびポストを含み、第2の付勢部材は、ポストを囲む。別の態様によれば、クリートは、保持ポスト上の戻り止めを受けるための内側レースを含む。
【0018】
そのように構成されると、クリートアセンブリは、クリートの回転可能性およびクリートの360°の傾斜と相まって、効果的な軸方向衝撃吸収を提供し、クリートアセンブリを備える靴を着用する場合、突然かつ容易に方向を変えるユーザの能力を向上させ、それにより、筋肉、関節および靭帯に対するストレスおよび衝撃を最小限にし、かつ、そのような靴を着用する競技者の能力を向上させる。さらに、クリートアセンブリは、軟部組織の損傷(例えば、ACLまたは半月板損傷)の発生を最小限にするために、回転または並進のリリースを強化する。軟部組織損傷の患者の約50%が変形性関節症を発症することがよく知られている。
【0019】
本開示の他の特徴および利点は、例示的な実施形態の以下のより詳細な説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本開示の例示的実施形態によるクリートアセンブリの側面断面図である。
図2図2は、本開示の別の例示的実施形態によるクリートアセンブリの側面断面図である。
図3A図3Aは、図1および図2のクリートアセンブリのいずれかに適用可能なアンカーの上面斜視図である。
図3B図3Bは、図3Aのアンカーの底面斜視図である。
図4A図4Aは、図1および図2のいずれかのクリートアセンブリのクリートの底部斜視図である。
図4B図4Bは、図4Aのクリートの底面図である。
図5図5は、図1および図2のクリートアセンブリのいずれかの第1の付勢部材の斜視図である。
図6図6は、図2のクリートアセンブリのブッシングの側面図である。
図7図7は、図1および図2のクリートアセンブリのいずれかの第2の付勢部材の側面図である。
図8A図8Aは、本開示の別の例示的実施形態によるクリートアセンブリの側面図である。
図8B図8Bは、本開示の別の例示的実施形態によるクリートアセンブリの側面図である。
図8C図8Cは、本開示の別の例示的実施形態によるクリートアセンブリの側面図である。
図8D図8Dは、本開示の別の例示的実施形態によるクリートアセンブリの側面図である。
図9図9は、本開示の別の例示的実施形態によるクリートアセンブリの、クリートが非偏向状態の場合における側面断面図である。
図10図10は、図9のクリートアセンブリの、クリートが偏向状態の場合における側面断面図である。
図11A図11Aは、図9のクリートアセンブリのアンカーの締結具の上面斜視図である。
図11B図11Bは、図11Aの締結具の底面斜視図である。
図12図12は、図9のクリートアセンブリのクリートの底面斜視図である。
図13図13は、図9のクリートアセンブリの第1の付勢部材の斜視図である。
図14A図14Aは、図9のクリートアセンブリのアンカーの保持ポストの側面図である。
図14B図14Bは、図14Aの保持ポストの上面斜視図である。
図15図15は、図9の靴用のクリートアセンブリの第2の付勢部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
前述の要約、ならびに本開示の例示的実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読めば、より良く理解されるであろう。本開示を例示するために、図面に例示的な実施形態が示されている。しかしながら、本出願は、示された正確な配置及び器具に限定されないことを理解されたい。ここで、添付の図面に示される本開示の種々の例示的実施形態を詳細に参照する。可能な限り、同一または類似の特徴を参照するために、図面全体を通じて同一または類似の参照番号が使用される。図面は単純化された形であり、正確な縮尺で描かれていないことに留意されたい。特定の用語は、便宜上、以下の説明においてのみ使用され、限定するものではない。添付図面に関しては、上端、下端、左、右、上方、下方および対角線のような方向性のある用語が使用される。「遠位」とは、本体の中心から離れることをいう。「近位」とは、本体の中心に近いこと及び/または「遠位」端から離れることをいう。「内向き」および「外向き」は、それぞれ、識別された要素およびその指定された部分の幾何学的中心に向かう方向および離れる方向を指す。図面の以下の説明に関連して使用されるこのような方向性のある用語は、明示的に記載されていない方法で、対象出願の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。また、明細書において使用される「a」という用語は、「少なくとも1つ」を意味する。用語には、上記で具体的に言及された単語、その派生語、および類似の意味を有する単語が含まれる。
【0022】
本明細書で使用される「約」とは、量、時間的持続時間等の測定可能な値を言及する場合、例えば、変動が適切であるように、指定された値から±20%、±10%、±5%、±1%または±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0023】
本明細書において使用される場合、「実質的に」とは、当該技術分野において容認される範囲、大部分ではあるが完全には特定されていないかなりの範囲、または当該技術分野において容認されるような、当該技術分野からの適切な変更を意味するものとする。
【0024】
主題の出願全体を通して、その様々な側面を範囲形式で提示することができる。範囲形式の説明は、単に便宜性及び簡潔性のためのものであり、本開示の範囲に対する柔軟性のない制限と解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の個々の数値だけでなく、すべての可能な範囲を具体的に開示したものとみなすべきである。例えば、1~6の範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等のような範囲、並びに例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6のような範囲内の個々の数字を具体的に開示しているとみなすべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0025】
さらに、本開示の例示的実施形態の記載された特徴、利点および特徴は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。当業者は、本明細書の説明に照らして、特定の例示的実施形態の1つ以上の特定の特徴または利点なしに、主題の開示を実施することができることを認識するであろう。他の例では、本開示の全ての例示的な実施形態に存在しない可能性がある特定の実施形態において、追加の特徴および利点が認識され得る。
【0026】
図面を参照すると、図1は、本開示の例示的実施形態によるクリートアセンブリ100を示す。クリートアセンブリ100は、靴105のソール104に固定するためのアンカー102、クリート106、第1の付勢部材108、および第2の付勢部材110を備えている。図1は、靴底に固定された単一のクリートアセンブリを示すが、複数のそのようなクリートアセンブリが靴底に固定されてもよいことが理解される。
【0027】
アンカー102は、図1図3Aおよび図3Bに最も良く示されるように構成される。アンカーは、本体112と、本体の近位端から延びる締結具(fastener)114と、本体の遠位端の周りの実質的に平坦な底部116とを含む。実質的に平坦な底部は、本体112から半径方向外方に延びてフランジ115を画定する。さらに、図1に示すように、実質的に平坦な底部は、クリート106内に完全に収容される。締結具114は、本体から近位に延びている。アンカー102の本体112は、円筒形状であり(かつ、他の形状、例えば、四角の縦断面であり得る)、締結具114は、本体よりも直径が小さい。更に、本体は、クリートの長手方向の長さと実質的に同一またはわずかに小さい長さを有する。本実施形態では、締結具は、例えば、ソール104に設けられた対応するねじ山とねじ山係合するためのねじ山付き締結具である。本体112は、靴底の内外に締結具を回すためのレンチ等の工具を受け入れるように構成された凹部119を有することができる。締結具の本例示的実施形態は、ねじが切られているが、意図された目的に適用可能な他のタイプの締結具、例えば、Jロック(J-lock)または摩擦嵌めファスナー(friction-fit fasteners)等が許容される。
【0028】
クリート106は、図1図4Aおよび図4Bに最も良く示されるように構成される。クリートは、実質的に中空の内部を有する円錐台状の錐体として成形される。クリートの内部は、円筒状の側壁117を含む。一態様によると、クリートは、第1の付勢部材を受け入れるための、円筒状の側壁117内の内側レース118を含む。図1を参照すると、クリートは、円筒状の側壁117によって画定された内径「ID」を有し、内径「ID」は、例えば、アンカー102のほぼ平坦な底部の最大外径「ODA」より大きい。クリートは、高さ「h」を有する中空の内部を有する。軸方向の力がクリート106の下端に加えられると、中空内部の高さは、クリート106の上部が、後述するブッシング120としてソール104と嵌合できるようにするのに十分なクリアランスを有する。ブッシング120は、アンカーの本体112に沿って上方にスライドし、第2の付勢部材110を圧縮する。
【0029】
クリートアセンブリは、図1に最もよく示されるように、ブッシング120を更に備えている。ブッシングは、好ましくは環状ブッシングとして構成され、例えば、金属、硬質プラスチック等から作られる。代替的に、ブッシュは、アンカー102との回転係合を容易にするためにベアリングを含んでもよい。図1に示すように、例えば、ブッシング120は、アンカー102に外接し、アンカーと摺動可能に係合する。すなわち、ブッシングは、アンカー102の本体112と同じ、またはわずかに大きい直径を有し、これにより、ブッシングは、アンカーの長手方向の長さに沿って摺動することができる。ブッシング120は、アンカー102の実質的に平坦な底部の最大外径「ODA」よりも小さい最大外径「ODB」を有する。
【0030】
第1の付勢部材108は、ブッシング120を包囲し、クリートと係合する。第1の付勢部材は、第1の付勢部材をクリートに対して確実に位置決めするために、内側レース118に圧入されている。一態様によれば、第1の付勢部材は、摩擦嵌合、接着剤または他の適切なコネクタ機構を介してブッシングに接続することができる。図5に最もよく示されるように、第1の付勢部材は、環状の付勢部材である。一態様によれば、第1の付勢部材は、例えばエラストマーまたは他の弾性材料から形成することができ、0.06、0.07、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.16、0.17 N・m/degを含む、約0.08N・m/degから0.15 N・m/degまでのねじり剛性係数を有する。第1の付勢部材は、クリート106内に完全に収容される。第1の付勢部材は、アンカー102の軸方向に沿った付勢力を提供する第2の付勢部材110とは独立した曲げ力を提供する。このトルクに対する角度の関係は、直線的であっても非直線的であってもよい。
【0031】
図1に示す実施形態では、第2の付勢部材110は、第1の付勢部材108および/またはブッシング120と係合し、より詳細には、第1の付勢部材および/またはブッシングと直接係合する。第2の付勢部材は、アンカー102を、例えば、その本体112の周りに囲む。第2の付勢部材は、バネ、または適切に構成されたエラストマー、ポリマー部材、または直線付勢部材、または非直線付勢部材であってもよい。一態様によれば、第2の付勢部材は、83,185;87,563;91,941;96,320;100,698;105,076;109,454;113,832;118,211;122,589;126,967;131,345;135,723;140,101;144,480;148,858;153,236;157,614;161,992;166,370;170,749;175,127;179,505;183,883;188,261;192,640;197,018;201,396;205,774;210,152;214,530;218,909;223,287および227,665N/mを含む、約99,997N/mから200,170N/mまでのバネ定数を有する。クリート106は、アンカー102、第1の付勢部材108、および第2の付勢部材110を取り囲む。すなわち、アンカー、第1の付勢部材および第2の付勢部材は、クリートの内部に収容されている。
【0032】
図2には、本開示の別の例示的実施形態に従って構成されたクリートアセンブリ200が示されている。クリートアセンブリ200は、クリートアセンブリ100と同様に構成される。従って、クリートアセンブリ200の構造および/または機能において、クリートアセンブリ100内のそれらの対応物から実質的に離れるか、または別の方法で、本開示の適切な理解のために必要なこれらの態様のみが、詳細に論じられる。
【0033】
図2に示されるように、ブッシング220は、実質的に平坦な底部のようなアンカー202の最大外径ODAより大きい最大外径ODBを有する。
【0034】
図2および図6に示す実施形態では、ブッシング220は、内側レース221を含む。内側レースは、クリート206(図2)の内側レース218に対向している。内側レース218および221は、第1の付勢部材208をクリート206内に保持するように働く。第1の付勢部材は、第1及び第2のレース218,221への圧入、および/または接着剤、溶接等を介して取り付けることができる。さらに、第2の付勢部材210は、ブッシング220および第2の付勢部材と係合し、より詳細には、ブッシング220と直接係合する。
【0035】
図7に示されるように、第2の付勢部材110,210は、圧縮バネとして示される。図示された実施形態では、第2の付勢部材110,210は、波形バネであるが、上述したように、弾性体、ポリマー部材、線形付勢部材、または非線形付勢部材を含むが、これらに限定されるものではなく、環状または非環状、例えば線形、正方形、六角形などの他の形態を想定することができる。
【0036】
図8A図8Dを参照すると、本開示の別の例示的実施形態に従って構成されたクリートアセンブリ300が示されている。クリートアセンブリ300は、クリートアセンブリ100および200と同様に構成される。従って、クリートアセンブリ100および200内の構造および/または機能において実質的にそれらの対応物から離れるか、またはその他本開示の適切な理解のために必要なクリートアセンブリ300のこれらの態様のみが、詳細に論じられる。
【0037】
クリートアセンブリ300は、クリート306とアンカー302の締結具314との間に変形可能な部材を備え、クリートと靴との間の領域のようなクリートアセンブリから破片を阻止または排出する。変形可能な部材は、シュラウド322(図8A)、拡張可能なエラストマー322’(図8B)、ベローズ322’’(図8C)、および/またはシール322'''(図8D)であってもよく、これは、例えば、クリートを取り囲むかまたは完全に取り囲み、クリートから延びる。一態様によれば、変形可能な部材は、クリート306から延びる環状シュラウドを含む。
【0038】
図9および図10を参照すると、本開示の別の例示的実施形態に従って構成されたクリートアセンブリ900が示されている。クリートアセンブリ900は、靴905のソール904、クリート906、第1の付勢部材908、および第2の付勢部材910に固定するためのアンカー902を備えている。図9および図10は、靴底に固定された単一のクリートアセンブリを示すが、複数のそのようなクリートアセンブリを靴底に固定してもよいことが理解される。
【0039】
アンカー902は、保持ポスト924と、保持ポストの近位端に回動可能に接続された締結具926とを備えている。一態様によれば、締結具926は、保持ポストの近位端部に設けられた凹部930内に配置されたボールおよびソケット継手928を介して保持ポスト924に接続される。ボールとソケット継手は、固定ポストを締結具にしっかりと接続する。その近位端において、保持ポストは、以下により詳細に説明されるように、第1の付勢部材908と接触するように構成および配置された環状フランジ932を含む。一態様によれば、環状フランジは、第1の付勢部材の外周に実質的に対応する大きさおよび形状を有する外周を有する。その遠位端において、保持ポストはポスト934を含む。保持ポストは、さらに、保持ポストの円周壁938上に形成された環状ビードの形態の戻り止め(detent)936(図9図10図14Aおよび図14B)を含む。
【0040】
図9図10および図12に示されるように、クリート906は、保持ポスト924上に戻り止め936を受けるための内側レース939を含む。内側レースは、例えば、戻り止め936がクリートの長手軸方向に移動できるように、保持ポストに対するクリートの軸方向の移動を可能にするのに十分な大きさである。
【0041】
締結具926は、図11Aおよび図11Bに最も良く示されている。一態様によれば、締結具926は、ソール904に設けられた対応するねじ切り942(図9および図10)と螺合するための外部ねじ切り940を含む。締結具の近位端部には、締結具を靴底にしっかりと固定するためのレンチ等の適当な図示していない工具によって係合され得るソケット944を設けることができる。締結具926の本例示的実施形態は、ねじが切られているが、意図された用途に適用可能な他のタイプの締結具、例えば、Jロックまたは摩擦嵌めファスナー等が許容される。一態様によれば、締結具926は、ボール及びソケット継手928をその遠位端部に保持する。
【0042】
図9および図10は、さらに、第1の付勢部材908が締結具926を囲むことを示す。一態様によれば、第1の付勢部材は、保持ポスト924の環状フランジ932または靴905のソール904に、例えば、接着剤または他の適切なコネクタ機構によって接続することができる。図13に最もよく示されるように、第1の付勢部材は、環状の付勢部材である。一態様によれば、第1の付勢部材は、例えばエラストマーまたは他の好適な弾性材料から形成することができ、0.06、0.07、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.16および0.17N・m/degを含む、約0.08N・m/degから0.15N・m/degまでのねじり剛性係数を有する。このトルクに対する角度の関係は、直線的であっても非直線的であってもよい。
【0043】
再び図9および図10を参照すると、第2の付勢部材910は、保持ポスト924のポスト934を囲み、クリート906内に完全に収容される。図9図10及び図15に示すように、第2の付勢部材は、アコーディオン状の圧縮バネとして構成することができる。しかしながら、第2の付勢部材は、限定されるものではないが、エラストマー、ポリマー部材、直線付勢部材、または非直線付勢部材を含む他の形態をとることができ、これらは、形状が環状または非環状、例えば直線、正方形、六角形などであってもよい。一態様によれば、第2の付勢部材910は、24,518;25,393;26,269;27,145;28,020;28,896;29,772;30,647;31,523;32,398;33,274;34,150;35,025;35,901;36,777;37,652;38,528;39,404;40,279;41,155;42,030;42,906;44,657;45,533;46,409;47,284;および48,160N/mを含む、約28,020N/mから43,785N/mまでのバネ定数を有している。
【0044】
図9に戻って参照すると、クリートアセンブリ900のクリート906は、偏向のない状態で示されており、それによって、第1の付勢部材908は、保持ポスト924またはフランジ932によって付勢されたり、圧縮されたりしない。対照的に、図10は、ユーザが走行中に方向の変化の途中にいるときのような偏向のある状態におけるクリートアセンブリのクリートを示す。この状態では、第1の付勢部材908は、保持ポスト924およびフランジ932によって、その側面に沿って圧縮または付勢される。同時に、第1の付勢部材は、保持ポスト924およびフランジ932に対して曲げ付勢力を発揮し、このフランジは、ユーザがクリートに対して偏向力を発揮しなくなったときに、クリートを偏向されていない状態に戻すように動作する。
【0045】
当業者には、上述の例示的な実施形態を、その広範な発明概念から逸脱することなく変更することができることが理解されるであろう。したがって、本開示は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲内の変更をカバーすることを意図していることを理解されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図15