IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カヤバ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-緩衝器 図1
  • 特許-緩衝器 図2
  • 特許-緩衝器 図3
  • 特許-緩衝器 図4
  • 特許-緩衝器 図5
  • 特許-緩衝器 図6
  • 特許-緩衝器 図7
  • 特許-緩衝器 図8
  • 特許-緩衝器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】緩衝器
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/54 20060101AFI20231101BHJP
   F16F 9/32 20060101ALI20231101BHJP
   B60G 3/28 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
F16F9/54
F16F9/32 J
B60G3/28
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022046220
(22)【出願日】2022-03-23
(65)【公開番号】P2023140404
(43)【公開日】2023-10-05
【審査請求日】2023-08-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】安藤 積磨
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-197129(JP,A)
【文献】特開2021-092322(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102006008732(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00-99/00
F16F 9/00- 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における車体と車輪との間に介装され筒状のアウターシェルを有する緩衝器本体と、
前記アウターシェルの側部に設けられて径方向外側へ突出する突出部と、
前記アウターシェルの外周に取付けられるブラケットとを備え、
前記ブラケットは、前記アウターシェルの外周を抱持して前部に割の入った断面C字状の筒状部と、前記筒状部の周方向の両端から径方向外側へ突出して前記車輪を支持するナックルに取付可能な一対の取付部とを有し、
前記筒状部には、前記筒状部の一方の側部に位置して前記突出部が挿通される挿通孔が形成されており、
前記筒状部は少なくとも前記筒状部の一方の側部側から見て前記アウターシェルの軸線よりも一方の前記取付部側に位置する前記挿通孔の縁の全てから起立する防護壁を有する
ことを特徴とする緩衝器。
【請求項2】
車両における車体と車輪との間に介装され筒状のアウターシェルを有する緩衝器本体と、
前記アウターシェルの側部に設けられて径方向外側へ突出する突出部と、
前記アウターシェルの外周に取付けられるブラケットとを備え、
前記ブラケットは、前記アウターシェルの外周を抱持して前部に割の入った断面C字状の筒状部と、前記筒状部の周方向の両端から径方向外側へ突出して前記車輪を支持するナックルに取付可能な一対の取付部とを有し、
前記筒状部には、前記筒状部の一方の側部に位置して前記突出部が挿通される挿通孔が形成されており、
前記筒状部は少なくとも前記筒状部の軸線と前記突出部の軸線を通る平面より一方の前記取付部側に位置する前記挿通孔の縁の全てから起立する防護壁を有する
ことを特徴とする緩衝器。
【請求項3】
前記ブラケットは金属板から形成され、
前記防護壁は前記金属板を折り曲げ加工することにより形成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の緩衝器。
【請求項4】
前記挿通孔は前記筒状部の一方の側部から背部にかけて形成され、
前記挿通孔の前記筒状部の背部に位置する部分の軸方向長さは、前記挿通孔の前記筒状部の一方の側部に位置する部分の軸方向長さよりも長い
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の緩衝器。
【請求項5】
前記防護壁が前記挿通孔の前記筒状部の一方の側部に位置する部分の縁の全周のみから起立する
ことを特徴とする請求項4に記載の緩衝器。
【請求項6】
前記防護壁は、前記挿通孔の縁の全周から起立する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、緩衝器の中には、アウターシェルの側部に減衰力可変バルブを取り付けたものがある(例えば、特許文献1)。当該緩衝器では、減衰力可変バルブで緩衝器の伸縮時に生じる作動液の流れに与える抵抗を調節して緩衝器が発生する減衰力を高低調節できる。さらに、減衰力可変バルブをアウターシェルの側部に径方向外側へ突出させるように設けると、緩衝器のストローク長を犠牲にせずに緩衝器の軸方向長さを短くできる。よって、このような緩衝器では搭載性を良好にできる。
【0003】
また、緩衝器の中には、ストラット式サスペンションに使用され、アウターシェルの下端部外周に溶接により固定したブラケットを介して車輪を保持するナックルに連結されて、車輪の位置決め用の支柱として利用されるものがある。当該ブラケットを有する緩衝器が前述の減衰力可変バルブのような突出部を備える場合には、当該突出部がブラケットで覆われる部分に配置されることがある。その場合には、ブラケットに突出部の挿通を許容する孔を設け、当該孔により露出させたアウターシェルの側部に突出部を溶接する(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-59574号公報
【文献】特開2018-25224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の緩衝器では、突出部の溶接部はブラケットの孔から完全に露出しており、溶接部では塗膜の付きが悪い。そのため、この緩衝器が車両に搭載される場合、車両の走行時に路面からの飛び石等が突出部の溶接部に当たって、当該溶接部の塗膜が剥がれてしまう恐れがある。そして、塗膜が剥がれてしまうと溶接部が外部へむき出しとなって錆を生じる原因となる。
【0006】
そこで、本発明は、突出部の溶接部の塗膜の剥がれを防止して、当該溶接部が錆びるのを防止する緩衝器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成させるため、本発明の緩衝器では、アウターシェルの外周に取付けられるブラケットが、アウターシェルの外周を抱持して前部に割の入った断面C字状の筒状部と、筒状部の周方向の両端から径方向外側へ突出して車輪を支持するナックルに取付可能な一対の取付部とを有し、筒状部には筒状部の一方の側部に位置してアウターシェルの側部に設けられる突出部が挿通される挿通孔が形成されており、筒状部は少なくとも筒状部の一方の側部側から見てアウターシェルの軸線よりも一方の取付部側に位置する挿通孔の縁の全てから起立する防護壁を有している。この構成によると、少なくとも飛び石等が最も飛来しやすい方向である突出部の溶接部の車輪側が防護壁によって囲われて保護される。
【0008】
上記の目的を達成させるため、本発明の他の緩衝器では、アウターシェルの外周に取付けられるブラケットが、アウターシェルの外周を抱持して前部に割の入った断面C字状の筒状部と、筒状部の周方向の両端から径方向外側へ突出して車輪を支持するナックルに取付可能な一対の取付部とを有し、筒状部には筒状部の一方の側部に位置してアウターシェルの側部に設けられる突出部が挿通される挿通孔が形成されており、筒状部は少なくとも筒状部の軸線と突出部の軸線を通る平面より一方の取付部側に位置する挿通孔の縁の全てから起立する防護壁を有している。この構成によると、少なくとも飛び石等が最も飛来しやすい方向である突出部の溶接部の車輪側が防護壁によって囲われて保護される。 また、本発明の緩衝器では、前記ブラケットは金属板から形成され、前記防護壁は前記金属板を折り曲げ加工することにより形成されてもよい。この構成によると、金属板を折り曲げ加工してブラケットを形成するのと同時に防護壁も形成できるので、防護壁を容易に形成できる。
【0009】
また、本発明の緩衝器では、前記挿通孔を前記筒状部の一方の側部から背部にかけて形成し、前記挿通孔の前記筒状部の背部に位置する部分の軸方向長さを前記挿通孔の前記筒状部の一方の側部に位置する部分の軸方向長さよりも長くしてもよい。この構成によると、ブラケットをアウターシェルの外周に固定する前に、突出部を挿通孔における軸方向長さの長い部分である背部開口から外方へ突出させた状態でアウターシェルに溶接できるので、突出部をアウターシェルに対して容易に溶接できる。また、上記構成によると、突出部を背部開口に配置して突出部を溶接した後、ブラケットを周方向に回転させて背部開口より軸方向長さの短い側部開口へ突出部を配置し、ブラケットをアウターシェルに溶接すれば突出部を側部開口内に設置できる。そのため、側部開口の軸方向長さが短く突出部を側部開口内に配置した状態では突出部をアウターシェルに溶接できない場合であっても、突出部を側部開口から突出させた状態で、ブラケットをアウターシェルの外周に固定できる。したがって、側部開口の軸方向長さを短くできるので、側部開口から突出する突出部と側部開口の縁から起立する防護壁との距離を短くできる。よって、防護壁は、飛び石等から突出部の溶接部をより確実に保護できる。
【0010】
また、本発明の緩衝器では、防護壁を前記挿通孔の前記筒状部の一方の側部に位置する部分の縁の全周のみから起立させてもよい。この構成によると、突出部を挿通孔における筒状部の背部に位置する部分である背部開口から突出させた状態でアウターシェルに溶接する際に、防護壁が溶接作業の邪魔にならない。
【0011】
また、本発明の緩衝器では、前記防護壁を、前記挿通孔の縁の全周から起立させてもよい。この構成によると、突出部の溶接部の全周が防護壁に囲われるので、車輪側以外の方向から飛来する飛び石等からも突出部の溶接部を保護できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の緩衝器によれば、突出部の溶接部の塗膜の剥がれを防止して、突出部の溶接部が錆びるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態の緩衝器の取付状態を示した取付図である。
図2】本発明の実施の形態の緩衝器の緩衝器本体の縦断面を簡略化して示した縦断面図である。
図3】本発明の実施の形態の緩衝器のブラケット部分を拡大して示した側面図である。
図4】本発明の実施の形態の緩衝器のブラケットを示した正面図である。
図5】本発明の実施の形態の緩衝器のブラケットを示した平面図である。
図6】本発明の実施の形態の緩衝器のブラケットを展開したときの挿通孔を示した正面図である。
図7】本発明の実施の形態の緩衝器のブラケット部分を拡大して示した斜視図である。
図8】(a)は、突出部をアウターシェルに溶接した状態の緩衝器を説明する説明図である。(b)は、ブラケットをアウターシェルに溶接した状態の緩衝器を説明する図である。各説明図において、ブラケットを簡略化して記載している。
図9】本発明の実施の形態の変形例の緩衝器のブラケット部分を拡大して示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品を示す。
【0015】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る緩衝器Aは、ストラット型サスペンションに使用されており、四輪自動車等の車両に利用されている。緩衝器Aは、筒状のアウターシェル1と、アウターシェル1内に挿入されるロッド2とを有する緩衝器本体Dと、ロッド2を車体に連結する車体側マウント(図示せず)と、アウターシェル1を車輪Wに連結するブラケットBと、車体側マウントに取り付けられる上側ばね受け(図示せず)と、アウターシェル1の外周に取り付けられる皿状の下側ばね受け10と、両ばね受けの間に介装される懸架ばねSとを備える。これにより、緩衝器本体Dは、車両における車体と車輪Wとの間に介装されている。
【0016】
より具体的には、車輪WはナックルNにより回転自在に支持されており、ブラケットBは、ナックルNに設けられて図1中斜め上方へ延びるナックルアームn1にボルトで固定され、緩衝器本体Dが車輪Wの位置決め用の支柱として機能する。そして、車両が凹凸のある路面を走行するなどして車輪Wが車体に対して上下に動くと、ロッド2がアウターシェル1に出入りして緩衝器本体Dが伸縮するとともに、上側ばね受けが遠近して懸架ばねSが伸縮し、これにより緩衝器Aが伸縮する。
【0017】
懸架ばねSは、コイルばねであり、緩衝器本体Dの外周に設けられている。懸架ばねSは、圧縮されると弾発力を発揮し、この弾発力は懸架ばねSの圧縮量が大きくなるほど大きくなる。この懸架ばねSにより車体が弾性支持されている。なお、懸架ばねSの構成は、適宜変更できる。例えば、懸架ばねSがエアばね等、コイルばね以外のばねであってもよい。
【0018】
また、緩衝器本体Dは、前述のように、アウターシェル1とロッド2とを備えるとともに、図2に示すように、シリンダ11と、シリンダ11内に摺動自在に挿入されるピストン20と、シリンダ11の上端部に固定される環状のロッドガイド12と、シリンダ11の下端部に固定されるボトム部材13と、シリンダ11の外周に設けた中間筒14とを備える。シリンダ11と中間筒14は、アウターシェル1の内側に配置されており、シリンダ11と中間筒14とアウターシェル1とで三重管を構成する。ロッド2は、図2中下端がピストン20に連結されており、その上側がロッドガイド12で支えられつつアウターシェル1の外方へ突出する。
【0019】
アウターシェル1は、図2に示すように、有底筒状であり、底部となるボトムキャップ1aと、ボトムキャップ1aの外周部から上方へ延びる筒状部1bとを有する。そして、筒状部1bの上端開口部をロッドガイド12で塞ぎ、アウターシェル1の内部にできる空間を密閉している。また、アウターシェル1の側部には、筒状部1bの肉厚を貫通する取付孔1cが形成されている。当該取付孔1cには、後述する減衰力可変バルブVが先端を挿し込まれた状態で取り付けられている。
【0020】
シリンダ11内は、ピストン20で伸側室R1と圧側室R2の二つの部屋に区画されており、各部屋の中には作動油等の液体が充填されている。ピストン20のロッド2側に形成される部屋が伸側室R1、反対側の部屋が圧側室R2であり、伸側室R1の中心部をロッド2が貫通する。ピストン20には、圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体の流れのみを許容するピストン通路20aが形成されている。
【0021】
また、シリンダ11の外周には、シリンダ11と中間筒14との間に筒状の排出通路Lが形成されるとともに、中間筒14とアウターシェル1との間に筒状の液溜室R3が形成されている。液溜室R3には、上記液体と気体が充填されている。シリンダ11には、伸側室R1に臨む位置に透孔11aが形成されており、排出通路Lは、上記透孔11aを介して伸側室R1と液溜室R3とを連通する。排出通路Lには、減衰力可変バルブVが設けられており、この減衰力可変バルブVで排出通路Lにおける液体の流れに抵抗を与えるとともに、当該抵抗を調節できる。
【0022】
また、ボトム部材13には、液溜室R3の液体をボトム部材13とボトムキャップ1aとの間に導くための切欠き13aと、液溜室R3から圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容する吸込通路13bが形成されている。
【0023】
上記構成によれば、ロッド2がアウターシェル1から退出して緩衝器Aが伸長する場合、ピストン20がシリンダ11内を図2中上方へ移動して、伸側室R1が縮小し、圧側室R2が拡大する。緩衝器Aの伸長時において縮小する伸側室R1の液体は、透孔11aと排出通路Lを通って液溜室R3へ流出する。当該液体の流れに対して減衰力可変バルブVにより抵抗が与えられるので、緩衝器Aの伸長時には伸側室R1内の圧力が上昇し、緩衝器Aの伸長作動が抑制される。このようにして緩衝器Aは、伸長作動を抑制する伸側減衰力を発揮する。また、拡大する圧側室R2には、切欠き13aと、吸込通路13bを通じて液溜室R3の液体が供給される。
【0024】
反対に、ロッド2がアウターシェル1に進入して緩衝器Aが収縮する場合、ピストン20がシリンダ11内を図2中下方へ移動して、圧側室R2が縮小し、伸側室R1が拡大する。緩衝器Aの収縮時において縮小する圧側室R2の液体は、ピストン通路20aを通って拡大する伸側室R1へ移動する。さらに、緩衝器Aの収縮時には、シリンダ11内へ進入するロッド2体積分の液体がシリンダ11内で余剰になるので、この余剰分の液体が透孔11aと排出通路Lを通って液溜室R3へ流出する。当該液体の流れに対して減衰力可変バルブVにより抵抗が与えられるので、緩衝器Aの収縮時にはシリンダ11内の圧力が上昇し、緩衝器Aの収縮作動が抑制される。このようにして緩衝器Aは、収縮作動を抑制する圧側減衰力を発揮する。
【0025】
つまり、緩衝器Aでは、中間筒14とアウターシェル1とで内部に液溜室R3が形成されるリザーバを構成しており、当該リザーバでシリンダ11に出入りするロッド体積分のシリンダ内容積変化を補償したり、温度変化による液体の体積変化を補償したりできる。
【0026】
また、緩衝器Aは、ユニフロー型に設定されていて、緩衝器Aが伸縮作動を呈すると、液体が伸側室R1、液溜室R3(リザーバ)、圧側室R2の三つの部屋をこの順に一方通行で循環するとともに、排出通路Lを伸側室R1から液溜室R3(リザーバ)へ向けて液体が必ず流れるようになっている。このため、排出通路Lの途中に設けた単一の減衰力可変バルブVで伸圧両側の減衰力を発揮できるとともに、液体の流れに与える抵抗を調節して伸圧両側の減衰力を高低調節できる。
【0027】
減衰力可変バルブVの構成は、如何なる構成であってもよいが、減衰力可変バルブVは、例えば、排出通路Lに接続される通路が形成された弁座部材と、弁座部材に離着座して通路を開閉する主弁と、主弁の上流側の圧力を減圧して主弁の背面に導くパイロット通路と、パイロット通路の途中に設けられて主弁の背圧を制御するパイロット弁とを備えて構成される。そして、パイロット弁が電磁弁である場合には、パイロット弁への通電量を調節してパイロット弁の開弁圧を大小させると、主弁の開弁圧を大小させて減衰力を高低調節できる。
【0028】
また、減衰力可変バルブVは、ケースに収容されており、当該ケースは、アウターシェル1の側部に形成された取付孔1cの縁部に溶接される筒状のスリーブ30と、当該スリーブ30の開口を塞ぐキャップ31とを有して構成される。このため、スリーブ30をアウターシェル1に溶接してから、当該スリーブ30内に減衰力可変バルブVを収容すると、アウターシェル1の側部に減衰力可変バルブVを径方向外方へ突出させた状態で固定できる。このように、緩衝器Aでは、減衰力可変バルブVを収容するケース部分がアウターシェル1の側部に径方向外側へ突出する突出部3となる。そして、図1に示すように、アウターシェル1を取付対象であるナックルNへ連結するためのブラケットBには、突出部3との干渉を避けるための挿通孔8が形成されている。なお、本実施の形態では、突出部3は、アウターシェル1の軸方向に対して垂直に突出しているが、アウターシェル1の軸方向に対して傾斜しながら突出してもよい。
【0029】
以下、本実施の形態のブラケットBについて詳細に説明する。ブラケットBは、図3から図5に示すように、アウターシェル1の外周面に倣うように湾曲し、アウターシェル1の外周を覆う断面C字状の筒状部4と、この筒状部4の周方向の両端から径方向外側へ延びる一対の板状の取付部5,6と、補強用のリブ7a,7b,7cとを有する。そして、筒状部4に形成される挿通孔8は、図3図4及び図6に示すように、筒状部4の一方の側部から背部にかけて形成されている。
【0030】
以下の説明では、図5に示すように、ブラケットBを軸方向で見た時に、周方向で一対の取付部5,6が設けられる側の部分をブラケットB及び筒状部4の前部、前部の反対側の部分を背部、図中左側部分及び右側部分を左右の側部とする。また、以下、説明の便宜上、図4に示すブラケットBの上、下、左、右、手前、及び奥を、特別な説明のない限り、単に「上」「下」「左」「右」「手前」「奥」とする。
【0031】
筒状部4の前部には、軸方向に沿って割4aが形成されており、筒状部4を径方向に切断したときの断面が軸方向の全てでC字状となる。左右の取付部5,6は、筒状部4の周方向の両端から一定の間隔を保ちつつ手前側へ延びており、向い合せに配置されている。リブ7a,7b,7cは、全て、筒状部4から各取付部5,6にかけてそれぞれ設けられ、ブラケットBの上部と、軸方向(上下)の中央部と、下端にそれぞれ形成されている。なお、リブ7a,7b,7cの位置及び形状は、図示する限りではなく、ブラケットBの剛性を確保できればよい。
【0032】
また、図3に示すように、左右の取付部5,6には、それぞれの上部と下部に、ボルトを挿通可能な孔9a,9bが形成されている。そして、図1に示すように、一対の取付部5,6の間にナックルアームn1を挿入し、一方の取付部6の上側の孔9aから他方の取付部5の上側の孔9aにかけてボルトを挿通し、一方の取付部6の下側の孔9bから他方の取付部5の下側の孔9bにかけてボルトを挿通し、上下のボルトにそれぞれナットを螺合してこれらのナットを締め付けることにより、ブラケットBがナックルNに連結される。
【0033】
つづいて、筒状部4には、前述のように、図3及び図6に示すように、当該筒状部4の右側である一方の側部から背部にかけて挿通孔8が形成されている。挿通孔8において、筒状部4の一方の側部に形成される部分を側部開口80、筒状部4の背部に形成される部分を背部開口81とする。
【0034】
側部開口80は、図3に示すように、ブラケットBをアウターシェル1の外周に溶接した状態で、突出部3が筒状部4の側部から外方へ突出するのを許容しつつ、ブラケットBと突出部3が干渉するのを防止する。また、側部開口80の縁は、前部側へ膨らむように円弧状に湾曲している。このため、突出部3を筒状部4の側部から突出させた状態で、挿通孔8の縁と突出部3の干渉を避けつつブラケットBの剛性を確保するのが容易である。また、詳しくは後述するが、筒状部4は、図3に示すように、側部開口80の縁から起立する防護壁40を有している。
【0035】
背部開口81は、筒状部4にアウターシェル1が挿入された状態で、突出部3が筒状部4の背部から外方へ突出するのを許容しつつ、ブラケットBと突出部3が干渉するのを防止する。さらに、ブラケットBを展開した状態での挿通孔8の形状を示す図6に示すように、背部開口81の軸方向長さは、側部開口80の軸方向長さよりも長く、背部開口81の上側の縁は、上方へ膨らむように湾曲している。このため、突出部3を筒状部4の背部から突出させた状態で、突出部3から挿通孔8の縁までの距離を長く取りつつブラケットBの剛性を確保するのが容易である。また、図6に示すように、側部開口80は背部開口81の下側とつながっている。
【0036】
ただし、上述した挿通孔8の形状は、一例であって、上述した形状には限定されず、例えば、側部開口80が、背部開口81の上側とつながってもよい。また、背部開口81は、不要であれば省略されてもよい。
【0037】
また、挿通孔8は、筒状部4の左右の側部から背部にかけて形成されてもよい。この場合、筒状部4の左右の側部にそれぞれ側部開口が形成され、筒状部4の背部に左右の側部開口よりも軸方向長さの長い背部開口が形成されるので、ブラケットBが筒状部4の軸線Eに対して左右対称の線対称形状となる。
【0038】
このように、ブラケットBが筒状部4の軸線Eに対して線対称形状であると、緩衝器Aが車両に利用される場合に、突出部3を左右いずれかの側部開口から突出させることができるので、左側の車輪Wに取り付けられる緩衝器Aと、右側の車輪Wに取り付けられる緩衝器Aの両方で共通のブラケットBを利用できる。よって、車両を構成する部品の種類を削減できるとともに、左側用の緩衝器Aに右側用のブラケットBを装着する等、ブラケットBの誤組の発生も防止できる。
【0039】
また、本実施の形態のブラケットBは、一枚の金属板である母材を折り曲げ加工することにより形成されている。そのため、ブラケットBを筒状部4の軸線Eに対して線対称形状とすると、ブラケットBを折り曲げ加工で形成する際に、ブラケットBの左右の剛性差が小さくなるので、ブラケットBの形成が容易となる。なお、本実施の形態のブラケットBは、一枚の金属板からなる一枚板構造となっているが、一対の取付部5,6の間に挿入される断面U字状のインナーブラケットを備えて、二枚板構造となっていてもよい。
【0040】
戻って、本実施の形態の防護壁40は、図3に示すように、挿通孔8における側部開口80の縁から起立している。なお、図7に示すところでは、防護壁40は、側部開口80の縁から側部開口80の中心側である内側に向けて傾斜しながら起立しているが、側部開口80の縁から垂直に起立してもよいし、又は側部開口80の縁から外側に向けて傾斜しながら起立してもよい。
【0041】
このように、側部開口80の縁から起立する防護壁40が設けられていると、図3図7に示すように、挿通孔8の側部開口80内に突出部3が配置された状態では、突出部3の溶接部15の上下と前方となる図3中左側である一方の取付部5側が、側部開口80の縁から筒状部4の外方へ向けて突出する防護壁40によって囲われることになる。
【0042】
ここで、取付部5,6は、図1に示すように、車輪Wを支持するナックルNに取付けられているため、ブラケットBの取付部5,6側に車輪Wが配置される。そのため、このように突出部3の溶接部15の上下と一方の取付部5側が防護壁40によって囲われると、防護壁40が盾となって車両の上下方向と車輪W側から飛来する飛び石等から溶接部15を保護できる。よって、飛び石等が当たることにより突出部3の溶接部15の塗膜が剥がれて、溶接部15が錆びるのを防止できる。さらに、防護壁40は、補強リブとしても機能するので、ブラケットBの剛性が向上する。
【0043】
また、本実施の形態では、防護壁40は、側部開口80の縁の全周から起立しているが、防護壁40は、図3に示すように、少なくとも筒状部4の一方の側部側から見てアウターシェル1の軸線Fよりも一方の取付部5側に位置する挿通孔8の縁の全てから起立していればよい。このようにすれば、少なくとも飛び石等が最も飛来しやすい突出部3の溶接部15の車輪W側を防護壁40によって囲うことができる。
【0044】
または、防護壁40は、図3図7に示すように、少なくとも筒状部4の軸線Eと突出部3の軸線Gを通る平面Hより一方の取付部5側に位置する挿通孔8の縁の全てから起立していればよい。このようにすれば、少なくとも飛び石等が最も飛来しやすい突出部3の溶接部15の車輪W側を防護壁40によって囲うことができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、アウターシェル1の軸線Fと筒状部4の軸線Eが同軸線上にあり、突出部3がアウターシェル1の軸方向に対して垂直に突出している。そのため、図3では、緩衝器Aを筒状部4の一方の側部側から見たときにアウターシェル1の軸線Fと平面Hの縁部の縦線が重なって見えているが、例えば、突出部3がアウターシェル1の周方向で図3に示す位置から前後方向へ回転した位置に配置された場合には、緩衝器Aを筒状部4の一方の側部側から見たときにアウターシェル1の軸線Fと平面Hの縁部の縦線は周方向にずれる。
【0046】
このように、緩衝器Aを筒状部4の一方の側部側から見たときにアウターシェル1の軸線Fと平面Hの縁部の縦線は周方向にずれる場合であっても、防護壁40は、少なくとも、筒状部4の一方の側部側から見てアウターシェル1の軸線Fよりも一方の取付部5側に位置する挿通孔8の縁の全てから起立するか、或いは、少なくとも筒状部4の軸線Eと突出部3の軸線Gを通る平面Hより一方の取付部5側に位置する挿通孔8の縁の全てから起立していれば、突出部3側から見て車輪W側は必ず防護壁40によって囲われるので、防護壁40が盾となって突出部3の溶接部15を保護できる。
【0047】
また、前述したように、本実施の形態のブラケットBは、一枚の金属板である母材を折り曲げ加工することにより形成されており、防護壁40も上記金属板を折り曲げ加工することで形成されている。したがって、ブラケットBの形成と同時に防護壁40も形成できるので、防護壁40を容易に形成できるとともに、ブラケットBの加工工数も低減できる。ただし、防護壁40を備えないブラケットBを折り曲げ加工により形成した後に、挿通孔8の縁に防護壁40を溶接で後付けして、ブラケットBを形成してもよい。
【0048】
また、防護壁40の高さは特に限定されないが、本実施の形態では、防護壁40の高さを突出部3の溶接部15の反アウターシェル側端よりも高く設定している。そのため、防護壁40の高さが突出部3の反アウターシェル側端よりも低い場合に比べて、突出部3の溶接部15を飛び石等からより確実に保護できる。
【0049】
つづいて、本実施の形態の緩衝器Aの製造方法について説明する。まず、突出部3を設ける前のアウターシェル1をブラケットBの筒状部4内に挿入する。そして、背部開口81の軸方向中央位置から露出させたアウターシェル1の側部にスリーブ30を押し付けつつ、当該スリーブ30をアウターシェル1の側部に形成された取付孔1cの縁部に溶接する。
【0050】
このようにすると、突出部3が、側部開口80よりも軸方向長さの長い背部開口81から突出させた状態でアウターシェル1に溶接されるので、挿通孔8の縁と突出部3との距離を長く取れる。よって、突出部3の溶接時において、溶接トーチと挿通孔8の縁との干渉を避けやすいので、突出部3をアウターシェル1に容易に溶接できる。加えて、取付部5,6が突出部3の反対側を向いた状態で、突出部3をアウターシェル1に溶接できるので、突出部3の溶接時に取付部5,6が邪魔にならず、突出部3の溶接作業を容易にできる。
【0051】
また、本実施の形態のブラケットBでは、防護壁40が側部開口80の縁の全周のみに設けられており、背部開口81の縁には設けられていない。そのため、突出部3を背部開口81から突出させた状態で、アウターシェル1に溶接すると、防護壁40が突出部3の溶接の邪魔にならない。
【0052】
このように突出部3がアウターシェル1に溶接されると、図8(a)に示すように、突出部3は、背部開口81を通じてブラケットBの背部から外方へ突出した状態となる。なお、取付孔1cは、スリーブ30の溶接前に形成しても、スリーブ30の溶接後に形成してもよい。
【0053】
次に、図8(b)に示すように、突出部3が側部開口80と周方向で対向するようにブラケットBをアウターシェル1の軸方向に沿ってずらしてから、ブラケットBをアウターシェル1の周方向に沿って回転させて、突出部3を側部開口80へ移動させる。そして、突出部3を側部開口80から外方へ突出させた状態で、筒状部4をアウターシェル1に溶接する。
【0054】
すると、図1に示すように、緩衝器Aを車両に取付けた状態では、ブラケットBの前部が車輪W側を向き、突出部3が車両の前方或いは後方へ向けて突出する。よって、突出部3が車両における周辺部品に干渉するのを回避できる。
【0055】
最後に、アウターシェル1にシリンダ11、中間筒14、ロッド2、ピストン20、ボトム部材13等を組み付ける工程を行うようになっており、当該工程においてスリーブ30に減衰力可変バルブVが収容されて、キャップ31が装着される。しかし、スリーブ30が溶接された後であれば、いつでも、スリーブ30に減衰力可変バルブVとキャップ31を組み付けられる。
【0056】
上記製造方法によると、側部開口80の軸方向長さが短く、突出部3を側部開口80内に配置した状態では、突出部3をアウターシェル1に溶接できない場合であっても、突出部3を側部開口80から突出させた状態で、ブラケットBをアウターシェル1の外周に溶接できる。
【0057】
このように、上記製造方法によれば、側部開口80の軸方向長さを短くできるので、側部開口80から突出する突出部3と側部開口80の縁から起立する防護壁40との距離を短くできる。よって、防護壁40は、飛び石等から突出部3の溶接部15をより確実に保護できる。
【0058】
なお、上述した緩衝器Aの製造方法は、一例であって、上記製造方法には限定されない。例えば、側部開口80の大きさが、突出部3を外方へ突出させた状態でアウターシェル1に溶接しても、溶接トーチが挿通孔8の縁に干渉しない大きさであれば、側部開口80から突出部3を外方へ突出させた状態で、突出部3のアウターシェル1への溶接と、筒状部4のアウターシェル1への溶接を行ってもよく、この場合、挿通孔8は、側部開口80のみで形成されてもよい。
【0059】
前述したように、本実施の形態の緩衝器Aは、車両における車体と車輪Wとの間に介装され筒状のアウターシェル1を有する緩衝器本体Dと、アウターシェル1の側部に設けられて径方向外側へ突出する突出部3と、アウターシェル1の外周に取付けられるブラケットBとを備え、ブラケットBは、アウターシェル1の外周を抱持して前部に割4aの入った断面C字状の筒状部4と、筒状部4の周方向の両端から径方向外側へ突出して車輪Wを支持するナックルNに取付可能な一対の取付部5,6とを有し、筒状部4には、筒状部4の一方の側部に位置して突出部3が挿通される挿通孔8が形成されている。
【0060】
そして、筒状部4は少なくとも筒状部4の一方の側部側から見てアウターシェル1の軸線Fよりも一方の取付部5側に位置する挿通孔8の縁の全てから起立する防護壁40或いは、少なくとも筒状部4の軸線Eと突出部3の軸線Gを通る平面Hより一方の取付部5側に位置する挿通孔8の縁の全てから起立する防護壁40を有している。
【0061】
この構成によると、少なくとも飛び石等が最も飛来しやすい突出部3の溶接部15の車輪W側が、防護壁40によって囲われて飛び石等から保護される。すると、突出部3の溶接部15は、塗膜の付きが悪いため塗膜が剥がれやすいが、防護壁40によって飛び石等から保護されるので、突出部3の溶接部15の塗膜が剥がれにくくなる。よって、突出部3の溶接部15が錆びにくくなる。さらに、防護壁40は補強リブとしても機能するため、防護壁40が設けられるとブラケットBの剛性も向上する。
【0062】
また、図9に示すように、防護壁40は、挿通孔8の縁の全周から起立してもよい。この構成によると、突出部3の溶接部15の周囲全てが防護壁40によって囲われるので、車体や車両における周辺部品に当たって跳ね返るなどして車輪W側以外の方向から飛来する飛び石等からも突出部3の溶接部15を保護できる。さらに、防護壁40を挿通孔8の縁の全周から起立させると、補強リブとしても機能する防護壁40が長くなるので、ブラケットBの剛性がより向上する。
【0063】
ただし、本実施の形態のように、挿通孔8における側部開口80の縁の全周のみから防護壁40を起立させてもよい。この構成によると、突出部3を背部開口81から外方へ突出させた状態でアウターシェル1に溶接する際に、防護壁40が溶接作業の邪魔にならない点で有利である。
【0064】
また、本実施の形態の緩衝器Aでは、ブラケットBは金属板から形成され、防護壁40は金属板を折り曲げ加工することにより形成されている。この構成によると、金属板を折り曲げ加工してブラケットBを形成するのと同時に防護壁40も形成できるので、防護壁40を容易に形成できるとともに、ブラケットBの加工工数も低減できる。
【0065】
ただし、防護壁40を備えないブラケットBを折り曲げ加工により形成した後に、挿通孔8の縁に防護壁40を溶接で後付けしてブラケットBを形成してもよい。このようにすると、突出部3をアウターシェル1に溶接してから防護壁40を挿通孔8の縁に溶接できるので、図9に示すように、防護壁40を挿通孔8の縁の全周から起立させる場合であっても、突出部3を背部開口81から外方へ突出させた状態でアウターシェル1に溶接する際に、防護壁40が溶接作業の邪魔になる恐れがない。
【0066】
また、本実施の形態の緩衝器Aでは、挿通孔8は筒状部4の一方の側部から背部にかけて形成され、挿通孔8の筒状部4の背部に位置する部分である背部開口81の軸方向長さは、挿通孔8の筒状部4の一方の側部に位置する部分である側部開口80の軸方向長さよりも長くなっている。
【0067】
この構成によると、ブラケットBをアウターシェル1の外周に固定する前に、突出部3を挿通孔8における軸方向長さの長い部分である背部開口81から外方へ突出させた状態でアウターシェル1に溶接できる。すると、挿通孔8の縁と突出部3との距離を長く取れるので、突出部3の溶接時において、溶接トーチと挿通孔8の縁との干渉を避けやすく、突出部3をアウターシェル1に対して容易に溶接できる。
【0068】
さらに、上記構成によると、突出部3を背部開口81に配置して突出部3を溶接した後、ブラケットBを周方向に回転させて背部開口81より軸方向長さの短い側部開口80へ突出部3を配置し、ブラケットBをアウターシェル1に溶接すれば突出部3を側部開口80内に設置できる、そのため、側部開口80の軸方向長さが短く、突出部3を側部開口80内に配置した状態では突出部3をアウターシェル1に溶接できない場合であっても、突出部3を側部開口80から突出させた状態で、ブラケットBをアウターシェル1の外周に固定できる。
【0069】
このように、上記構成によれば、側部開口80の軸方向長さを短くできるので、側部開口80から突出する突出部3と側部開口80の縁から起立する防護壁40との距離を短くできる。よって、防護壁40は、飛び石等から突出部3の溶接部15をより確実に保護できる。
【0070】
また、本実施の形態では、突出部3は、減衰力可変バルブVを収容するケース部分であるが、突出部3は、当該ケース部分以外の構成であってもよい。また、本実施の形態の緩衝器Aは、液体の流れに抵抗を与えて減衰力を発揮するが、これ以外の方法(例えば、電磁力、摩擦力等)で減衰力を発揮してもよく、対象物を積極的に駆動するアクチュエータであってもよい。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1・・・アウターシェル、3・・・突出部、4・・・筒状部、4a・・・割、5,6・・・取付部、8・・・挿通孔、15・・・溶接部、40・・・防護壁、80・・・側部開口(挿通孔の筒状部の一方の側部に位置する部分)、81・・・背部開口(挿通孔の筒状部の背部に位置する部分)、B・・・ブラケット、D・・・緩衝器本体、E・・・筒状部の軸線、F・・・アウターシェルの軸線、G・・・突出部の軸線、H・・・平面、N・・・ナックル、W・・・車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9