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特許7377306収束レンズ及びコヒーレント画像ガイドを備えるクローキングデバイス、並びにこれを備えるビークル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】収束レンズ及びコヒーレント画像ガイドを備えるクローキングデバイス、並びにこれを備えるビークル
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20231101BHJP
   B60R 1/08 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
G02B13/00
B60R1/08 Z
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022056039
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2019045549の分割
【原出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2022082654
(43)【公開日】2022-06-02
【審査請求日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】15/946,065
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】イ キュ-テ
(72)【発明者】
【氏名】ミンディ チャン
(72)【発明者】
【氏名】デバシシュ バナージー
(72)【発明者】
【氏名】ウ ソンタオ
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0183375(US,A1)
【文献】特表2016-536642(JP,A)
【文献】特開2002-372684(JP,A)
【文献】特開昭57-185003(JP,A)
【文献】特開平08-220432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
G02B 19/00-21/00
G02B 21/06-21/36
B60R 1/08
B60R 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローキングデバイスであって、
物体側、画像側、及び、前記物体側と前記画像側との間に位置する被クローキング領域と、
前記物体側に位置する、第1の物体側焦点距離を有する第1の物体側収束レンズ及び第2の物体側焦点距離を有する第2の物体側収束レンズであって、前記第1の物体側収束レンズが、前記第2の物体側収束レンズよりも前記被クローキング領域に関し外側に位置する、第1の物体側収束レンズ及び第2の物体側収束レンズと、
前記画像側に位置する、第1の画像側焦点距離を有する第1の画像側収束レンズ及び第2の画像側焦点距離を有する第2の画像側収束レンズであって、前記第1の画像側収束レンズが、前記第2の画像側収束レンズよりも前記被クローキング領域に関し外側に位置する、第1の画像側収束レンズ及び第2の画像側収束レンズと、
物体側端及び画像側端を備えたコヒーレント画像ガイドであって、前記物体側端が前記第2の物体側収束レンズと光学的に整列され、前記画像側端が前記第2の画像側収束レンズと光学的に整列される、コヒーレント画像ガイドと、
を備え、
前記クローキングデバイスの物体側に位置しかつ前記被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、前記第1の物体側収束レンズ及び前記第2の物体側収束レンズにより、前記コヒーレント画像ガイドの前記物体側端上に平行に集束され、前記コヒーレント画像ガイドを通って前記コヒーレント画像ガイドの前記画像側端まで伝播し、前記第2の画像側収束レンズ及び前記第1の画像側収束レンズにより、平行に集束されて、前記クローキングデバイスの前記画像側に前記物体の画像を形成し、こうして前記物体からの前記光が前記被クローキング領域を通過したように見え、
前記第1の物体側収束レンズが外向き凸面及び内向き平面を備え、前記第2の物体側収束レンズが内向き凸面及び外向き平面を備え、
前記第1の画像側収束レンズが外向き凸面及び内向き平面を備え、前記第2の画像側収束レンズが内向き凸面及び外向き平面を備え、
前記物体からの光が、
前記第1の物体側収束レンズによって第1の物体側焦線上に集束され、
前記第1の物体側焦線と前記第2の物体側収束レンズの前記外向き平面との間で発散し、
前記第2の物体側収束レンズによって前記コヒーレント画像ガイドの前記物体側端上に平行に集束され、
前記コヒーレント画像ガイドの前記画像側端を出て、前記第2の画像側収束レンズの前記内向き凸面まで平行に伝播し、
前記第2の画像側収束レンズによって第2の画像側焦線上に集束され、
前記第2の画像側焦線と前記第1の画像側収束レンズの前記内向き平面との間で発散し、
前記第1の画像側収束レンズによって平行に集束されて、前記クローキングデバイスの前記画像側に前記物体の画像を形成し、
前記第1の物体側焦点距離が前記第2の物体側焦点距離よりも長く、前記第1の画像側焦点距離が前記第2の画像側焦点距離よりも長い、
クローキングデバイス。
【請求項2】
前記第1の物体側収束レンズ及び前記第2の物体側収束レンズが、前記第1の物体側焦点距離と前記第2の物体側焦点距離との合計に等しい距離だけ互いに離間され、前記第1の画像側収束レンズ及び前記第2の画像側収束レンズが、前記第1の画像側焦点距離と前記第2の画像側焦点距離との合計に等しい距離だけ互いに離間される、請求項1に記載のクローキングデバイス。
【請求項3】
前記第1の物体側収束レンズが第1の物体側焦線を備え、前記第2の物体側収束レンズが第2の物体側焦線を備え、
前記第1の物体側焦線及び前記第2の物体側焦線が、前記第1の物体側収束レンズと前記第2の物体側収束レンズとの間に位置する、
請求項1に記載のクローキングデバイス。
【請求項4】
前記第1の物体側焦線及び前記第2の物体側焦線が共線である、請求項3に記載のクローキングデバイス。
【請求項5】
前記第1の画像側収束レンズが第1の画像側焦線を備え、前記第2の画像側収束レンズが第2の画像側焦線を備え、
前記第1の画像側焦線及び前記第2の画像側焦線が、前記第1の画像側収束レンズと前記第2の画像側収束レンズとの間に位置する、
請求項3に記載のクローキングデバイス。
【請求項6】
前記第1の画像側焦線及び前記第2の画像側焦線が共線である、請求項5に記載のクローキングデバイス。
【請求項7】
前記第1の物体側収束レンズ、前記第2の物体側収束レンズ、前記第1の画像側収束レンズ、及び、前記第2の画像側収束レンズが、平凸レンズ、フレネルレンズ、又は、平凸レンズとフレネルレンズとの組み合わせである、請求項1に記載のクローキングデバイス。
【請求項8】
前記コヒーレント画像ガイドがライトパイプ及び光ファイバの少なくとも一方を備える、請求項1に記載のクローキングデバイス。
【請求項9】
光が、物体-第1の物体側収束レンズ-第2の物体側収束レンズ-コヒーレント画像ガイドの物体側端-コヒーレント画像ガイドの画像側端-第2の画像側収束レンズ-第1の画像側収束レンズ-画像、という光路を介し、前記クローキングデバイスを通って伝播する、請求項1に記載のクローキングデバイス。
【請求項10】
光が、物体-第1の物体側収束レンズの外向き凸面-第1の物体側収束レンズの内向き平面-第2の物体側収束レンズの外向き平面-第2の物体側収束レンズの内向き凸面-コヒーレント画像ガイドの物体側端-コヒーレント画像ガイドの画像側端-第2の画像側収束レンズの内向き凸面-第2の画像側収束レンズの外向き平面-第1の画像側収束レンズの内向き平面-第1の画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という光路を介し、前記クローキングデバイスを通って伝播する、請求項1に記載のクローキングデバイス。
【請求項11】
ビークルであって、
Aピラーと、
前記Aピラーに位置する、請求項1に記載のクローキングデバイスと、
を備え、
前記Aピラーが前記被クローキング領域内に位置し、前記物体側が前記ビークルの外部に位置し、前記画像側が前記ビークルの内部に位置し、
前記第1の物体側収束レンズ及び前記第2の物体側収束レンズが、光学的に互いに整列されるとともに、前記第1の物体側焦点距離と前記第2の物体側焦点距離との合計に等しい距離だけ互いに離間され、
前記第1の画像側収束レンズ及び前記第2の画像側収束レンズが、光学的に互いに整列されるとともに、前記第1の画像側焦点距離と前記第2の画像側焦点距離との合計に等しい距離だけ互いに離間される、
ビークル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本明細書は、概して、物体を透明に見えるようにするための装置及び方法に関し、より具体的には、ビークル(車両、乗り物、輸送体)のピラーのためのクローキングデバイス、及び、ビークルのピラーを透明に見えるようにするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ビークルのピラーを透明にするように見えるクローキングデバイスについての研究が公表されている。このような研究は、メタマテリアルを使用して、又は、表示スクリーンと組み合わせてビデオカメラを使用して、ビークルの乗員がビークルピラーを通して見掛け上「見る」ことができるようにし、これによってビークルの死角を減少させることを開示している。しかしながら、メタマテリアル及びビデオ技術は、複雑な材料設計及び設備を使用する。
【発明の概要】
【0003】
したがって、ビークルのピラーを透明にするように見える代替的なデバイスに対するニーズが存在する。
【0004】
概要
一実施形態では、クローキングデバイスは、物体側、画像側、及び、被クローキング領域を備える。第1の物体側焦点距離を有する第1の物体側収束レンズ及び第2の物体側焦点距離を有する第2の物体側収束レンズは、物体側に位置し、第1の画像側焦点距離を有する第1の画像側収束レンズ及び第2の画像側焦点距離を有する第2の画像側収束レンズは、画像側に位置する。第2の物体側収束レンズと光学的に整列される物体側端と、第2の画像側収束レンズと光学的に整列される画像側端とを有するコヒーレント画像ガイドが含まれる。クローキングデバイスの物体側に位置しかつ被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、第1の物体側収束レンズ及び第2の物体側収束レンズにより、コヒーレント画像ガイドの物体側端上に平行に集束される。コヒーレント画像ガイドの物体側端上に平行に集束された光はコヒーレント画像ガイドを通って伝播し、画像側端で出る。コヒーレント画像ガイドの画像側端を出た光は、第2の画像側収束レンズ及び第1の画像側収束レンズにより、平行に集束されて、クローキングデバイスの画像側に物体の画像を形成し、こうして物体からの光が被クローキング領域を通過したように見える。
【0005】
第1の物体側収束レンズ及び第1の画像側収束レンズはそれぞれ、外向き凸面及び内向き平面を備えてもよく、第2の物体側収束レンズ及び第2の画像側収束レンズはそれぞれ、内向き凸面及び外向き平面を備えてもよい。いくつかの実施形態では、第1の物体側収束レンズ、第2の物体側収束レンズ、第1の画像側収束レンズ、及び、第2の画像側収束レンズは、平凸レンズ又はフレネルレンズであってよい。別の実施形態では、第1の物体側収束レンズ、第2の物体側収束レンズ、第1の画像側収束レンズ、及び、第2の画像側収束レンズは、平凸レンズとフレネルレンズとの組み合わせであってよい。
【0006】
第1の物体側収束レンズ及び第2の物体側収束レンズは、第1の物体側焦点距離と第2の物体側焦点距離との合計に等しい距離だけ互いに離間されてもよい。また、第1の画像側収束レンズ及び第2の画像側収束レンズは、第1の画像側焦点距離と第2の画像側焦点距離との合計に等しい距離だけ互いに離間されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の物体側焦点距離は第2の物体側焦点距離よりも長く、第1の画像側焦点距離は第2の画像側焦点距離よりも長い。第1の物体側収束レンズは第1の物体側焦線を備えてもよく、第2の物体側収束レンズは第2の物体側焦線を備えてもよく、第1の画像側収束レンズは第1の画像側焦線を備えてもよく、第2の画像側収束レンズは第2の画像側焦線を備えてもよい。第1の物体側焦線及び第2の物体側焦線は、第1の物体側収束レンズと第2の物体側収束レンズとの間に位置してもよく、第1の画像側焦線及び第2の画像側焦線は、第1の画像側収束レンズと第2の画像側収束レンズとの間に位置してもよい。いくつかの実施形態では、第1の物体側焦線及び第2の物体側焦線は共線であってよく、第1の画像側焦線及び第2の画像側焦線は共線であってよい。
【0007】
クローキングデバイスの物体側の物体からの光は、第1の物体側収束レンズによって第1の物体側焦線上に集束され、第1の物体側焦線と第2の物体側収束レンズの外向き平面との間で発散し、第2の物体側収束レンズによってコヒーレント画像ガイドの物体側端上に平行に集束されてもよい。コヒーレント画像ガイドの物体側端上に平行に集束された光は、画像側端を出て、第2の画像側収束レンズの内向き凸面まで平行に伝播し、第2の画像側収束レンズによって第2の画像側焦線上に集束される。第2の画像側焦線上に集束された光は、第2の画像側焦線と第1の画像側収束レンズの内向き平面との間で発散し、第1の画像側収束レンズによって平行に集束されて、クローキングデバイスの画像側に物体の画像を形成する。したがって、クローキングデバイスの物体側にある物体からの光は、物体-第1の物体側収束レンズ-第2の物体側収束レンズ-コヒーレント画像ガイドの物体側端-コヒーレント画像ガイドの画像側端-第2の画像側収束レンズ-第1の画像側収束レンズ-画像、という光路を介し、クローキングデバイスを通って伝播してもよい。すなわち、物体-第1の物体側収束レンズの外向き凸面-第1の物体側収束レンズの内向き平面-第2の物体側収束レンズの外向き平面-第2の物体側収束レンズの内向き凸面-コヒーレント画像ガイドの物体側端-コヒーレント画像ガイドの画像側端-第2の画像側収束レンズの内向き凸面-第2の画像側収束レンズの外向き平面-第1の画像側収束レンズの内向き平面-第1の画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という光路を介し、クローキングデバイスを通って伝播してもよい。
【0008】
別の実施形態では、クローキングデバイスアセンブリは、物体側、画像側、被クローキング領域、及び、被クローキング領域内に位置する被クローキング物品を備える。一対の物体側収束レンズは物体側に位置し、一対の画像側収束レンズは画像側に位置する。一対の物体側収束レンズは、焦点距離と、焦点距離に位置する焦線とをそれぞれ有し、一対の物体側収束レンズの焦点距離の合計に等しい距離だけ互いに離間される。一対の画像側収束レンズは、焦点距離と、焦点距離に位置する焦線とをそれぞれ有し、一対の画像側収束レンズの焦点距離の合計に等しい距離だけ互いに離間される。物体側端及び画像側端を備えたコヒーレント画像ガイドが含まれ、物体側端は、一対の物体側収束レンズの一方と光学的に整列され、画像側端は一対の画像側収束レンズの一方と光学的に整列される。クローキングデバイスの物体側に位置しかつ被クローキング領域により視認不能化された物体からの光は、一対の物体側収束レンズにより、コヒーレント画像ガイドの物体側端上に平行に集束される。コヒーレント画像ガイドの物体側端上に平行に集束された光は、コヒーレント画像ガイドを通って伝播し、画像側端から出る。コヒーレント画像ガイドの画像側端から出た光は、一対の画像側収束レンズにより、平行に集束されて、クローキングデバイスアセンブリの画像側に物体の画像を形成し、こうして物体からの光が被クローキング領域を通過したように見える。一対の物体側収束レンズの一方及び一対の画像側収束レンズの一方は、外向き凸面及び内向き平面を備える。また、一対の物体側収束レンズの他方及び一対の画像側収束レンズの他方は、内向き凸面及び外向き平面を備える。クローキングデバイスアセンブリの物体側にある物体からの光は、物体-一対の物体側収束レンズの一方-一対の物体側収束レンズの他方-コヒーレント画像ガイドの物体側端-コヒーレント画像ガイドの画像側端-一対の画像側収束レンズの一方-一対の画像側収束レンズの他方-画像、という光路を介し、クローキングデバイスアセンブリを通って伝播する。
【0009】
更に別の実施形態では、ビークルは、Aピラーと、Aピラーに位置するクローキングデバイスと、を備える。クローキングデバイスは、物体側、画像側、及び、被クローキング領域を備える。Aピラーは被クローキング領域内に位置し、物体側はビークルの外部に位置し、画像側はビークルの内部に位置する。第1の物体側焦点距離を有する第1の物体側収束レンズ及び第2の物体側焦点距離を有する第2の物体側収束レンズは、物体側に位置する。第1の物体側収束レンズ及び第2の物体側収束レンズは、第1の物体側焦点距離と第2の物体側焦点距離との合計に等しい距離だけ互いに離間される。第1の画像側焦点距離を有する第1の画像側収束レンズ及び第2の画像側焦点距離を有する第2の画像側収束レンズは、画像側に位置する。第1の画像側収束レンズ及び第2の画像側収束レンズは、第1の画像側焦点距離と第2の画像側焦点距離との合計に等しい距離だけ互いに離間される。物体側端及び画像側端を備えたコヒーレント画像ガイドが含まれ、物体側端は第2の物体側収束レンズと光学的に整列され、画像側端は第2の画像側収束レンズと光学的に整列される。クローキングデバイスの物体側に位置しかつ被クローキング領域により視認不能化された物体からの光は、第1の物体側収束レンズ及び第2の物体側収束レンズにより、コヒーレント画像ガイドの物体側端上に平行に集束される。コヒーレント画像ガイドの物体側端上に平行に集束された光は、コヒーレント画像ガイドを通って伝播し、画像側端から出る。コヒーレント画像ガイドの画像側端から出た光は、第2の画像側収束レンズ及び第1の画像側収束レンズにより、平行に集束されて、クローキングデバイスアセンブリの画像側に物体の画像を形成し、こうして物体からの光が被クローキング領域を通過したように見える。
【0010】
第1の物体側収束レンズ及び第1の画像側収束レンズはそれぞれ、外向き凸面及び内向き平面を備えてもよく、第2の物体側収束レンズ及び第2の画像側収束レンズはそれぞれ、内向き凸面及び外向き平面を備えてもよい。いくつかの実施形態では、第1の物体側収束レンズは第1の物体側焦線を備えてもよく、第2の物体側収束レンズは第2の物体側焦線を備えてもよく、第1の画像側収束レンズは第1の画像側焦線を備えてもよく、第2の画像側収束レンズは第2の画像側焦線を備えてもよい。このような実施形態では、第1の物体側焦線及び第2の物体側焦線は、第1の物体側収束レンズと第2の物体側収束レンズとの間に位置してもよく、第1の画像側焦線及び第2の画像側焦線は、第1の画像側収束レンズと第2の画像側収束レンズとの間に位置してもよい。また、第1の物体側焦線及び第2の物体側焦線は共線であってよく、第1の画像側焦線及び第2の画像側焦線は共線であってよい。クローキングデバイスの物体側にある物体からの光は、物体-第1の物体側収束レンズ-第2の物体側収束レンズ-コヒーレント画像ガイドの物体側端-コヒーレント画像ガイドの画像側端-第2の画像側収束レンズ-第1の画像側収束レンズ-画像、という光路を介し、クローキングデバイスを通って伝播する。
【0011】
本開示中に記載の実施形態により提供されるこれらの及び付加的な特徴は、図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解される。
【0012】
図面の簡単な説明
図面中に記されている実施形態は、事実上説明的かつ例示的なものであり、特許請求の範囲によって定義されている主題を限定するように意図されたものではない。例示的実施形態についての以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むと、理解可能であり、これらの図面中、類似の構造には、類似の参照番号が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示中に開示されかつ説明されている1つ以上(1つ又は複数)の実施形態に係るクローキングデバイスの頂面図を概略的に描く図である。
【0014】
図1A図1の区域1Aの拡大図を概略的に描く図である。
【0015】
図1B図1の区域1Bの拡大図を概略的に描く図である。
【0016】
図2】本開示中に開示されかつ説明されている1つ以上の実施形態に係るクローキングデバイスの頂面図を概略的に描く図である。
【0017】
図2A図2の区域2Aの拡大図を概略的に描く図である。
【0018】
図2B図2の区域2Bの拡大図を概略的に描く図である。
【0019】
図3】本開示中に開示されかつ説明されている1つ以上の実施形態に係るクローキングデバイスの一側に第1の物体があり、クローキングデバイスの被クローキング領域内に第2の物体がある、図1のクローキングデバイスの頂面斜視図を概略的に描く図である。
【0020】
図4】第1の物体がクローキングデバイスの一側にあり、第2の物体がクローキングデバイスの被クローキング領域内にある、図1のクローキングデバイスの側面図を概略的に描く図である。
【0021】
図5】本開示中に開示されかつ説明されている1つ以上の実施形態に係るビークルのビークルAピラーをクローキング(遮蔽)するクローキングデバイスを概略的に描く図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
本開示中に記載される1つ以上の実施形態によれば、クローキングデバイスは、概して、入射光を被クローキング領域の周りに導く、クローキングデバイスの一側の一対の収束レンズと、クローキングデバイスの他側の一対の収束レンズと、コヒーレント画像ガイドと、を備えてもよい。本開示中に記載されるクローキングデバイスは、平凸レンズ及び/又はフレネルレンズを利用して、物体からの光を集束させ、発散させ、再度集束させるようにしてもよい。ビークルAピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラーなどのビークル部材をクローキングしてビークル部材により生ずる「死角」を除去するのに、クローキングデバイスを使用してもよい。死角とは、乗員の視界が妨害され得るビークルの領域を意味する。収束レンズ及びコヒーレント画像ガイドを使用することにより、ドライバは、クローキングデバイスがなければビークルのピラーによって妨害されると思われる画像を知覚することが可能になる。本開示では、クローキングデバイスのさまざまな実施形態及びそれらを使用する方法が、添付図面を具体的に参照しながら、さらに詳細に説明される。
【0023】
本開示では、「収束レンズ」(1つ及び複数)というフレーズは、入射平行光を焦点又は焦線に集束し又は入射発散光を平行光に集束するレンズ(1つ及び複数)を意味する。本開示では、「平行」という用語並びに「平行光」及び「~に対し平行な光」というフレーズは、コリメート光、すなわち互いに平行に伝播する光線を意味する。本開示では、「発散する」及び「発散している」という用語並びに「発散光」というフレーズは、互いに離間しつつ伝播する光線を意味する。したがって、平行光のビームの断面積は、平行光のビームが進行する距離が増えるにつれて、概して一定であり、発散光のビームの断面積は、発散光のビームの進行する距離が増えるにつれて、増加する。本開示では、「コヒーレント画像ガイド」というフレーズは、電磁波を可視スペクトルに案内する物理構造を意味する。コヒーレント画像ガイドの非限定的な例には、ライトパイプ、1つの光ファイバ、複数の光ファイバ、複数の光ファイバの束、などが含まれる。
【0024】
図1は概して、クローキングデバイスの一実施形態を描いている。クローキングデバイスは、クローキングデバイスの物体側の一対の収束レンズ及びクローキングデバイスの画像側の一対の収束レンズによって少なくとも部分的に境界付けられた被クローキング(クローキングされる)領域を含む。一対の物体側収束レンズは、第1の物体側収束レンズ及び第2の物体側収束レンズを備える。第1の物体側収束レンズは、外向き凸面、内向き平面、及び、第1の物体側焦点距離を有してもよい。第2の物体側収束レンズは、内向き凸面、外向き平面、及び、第2の物体側焦点距離を有してもよい。本開示では、「内向き(の)面」というフレーズは、クローキングデバイスの被クローキング領域に向かう又はこれに近位の表面を意味し、「外向き(の)面」というフレーズは、クローキングデバイスの被クローキング領域とは逆向きの又はこれから遠位の表面を意味する。一対の画像側収束レンズは、第1の画像側収束レンズ及び第2の画像側収束レンズを備える。第1の画像側収束レンズは、外向き凸面、内向き平面、及び、第1の画像側焦点距離を有してもよい。第2の画像側収束レンズは、内向き凸面、外向き平面、及び、第2の画像側焦点距離を有してもよい。クローキングデバイスの物体側に位置する物体側端と、クローキングデバイスの画像側に位置する画像側端とを備えるコヒーレント画像ガイドが、一対の物体側収束レンズと一対の画像側収束レンズとの間を延びてもよい。図1に描かれているように、クローキングデバイスの物体側に位置する物体から第1の物体側収束レンズに入射した光は、集束され、発散し、第2の物体側収束レンズに入射する。第2の物体側収束レンズに入射した光は、コヒーレント画像ガイドの物体側端に平行に集束される。コヒーレント画像ガイドの物体側端に入射した光は、コヒーレント画像ガイドの画像側端を出て平行に伝播し、第2の画像側収束レンズに入射する。図1に描かれているように、コヒーレント画像ガイドの画像側端から伝播して第2の画像側収束レンズに入射した光は、集束され、発散し、第1の画像側収束レンズに入射し、ここで光が平行に集束されて、クローキングデバイスの画像側に画像が提供される。
【0025】
更に図1を参照すると、クローキングデバイスの実施形態は、物体側12と、画像側14と、4つの平凸レンズ100,120,140,160とを備えるクローキングデバイスアセンブリ10を含む。被クローキング領域CRは、平凸レンズ100,120と平凸レンズ140,160との間に位置する。4つの平凸レンズ100,120,140,160はそれぞれ、図面に示された座標軸のX軸に沿う長さ、Y軸に沿う厚さ、Z軸に沿う高さを有する。すなわち、図面に示されるX軸は、4つの平凸レンズ100,120,140,160の長さに沿って延び、図面に示されるY軸は、4つの平凸レンズ100,120,140,160の厚さに沿って延び、図面に示されるZ軸は、4つの平凸レンズ100,120,140,160の高さに沿って延びる。2つの平凸レンズ100,120は、物体「O」に面するようにクローキングデバイスアセンブリ10の物体側12に位置してもよく、本開示では、物体側平凸レンズ100,120、一対の物体側平凸レンズ100,120、並びに/又は、第1の物体側平凸レンズ100及び第2の物体側平凸レンズ120、と称されることもある。2つの平凸レンズ140,160は、クローキングデバイスアセンブリ10により形成される画像「I」を提供するように、クローキングデバイスアセンブリ10の画像側14に位置してもよく、本開示では、画像側平凸レンズ140,160、一対の画像側平凸レンズ140,160、並びに/又は、第1の画像側平凸レンズ160及び第2の画像側平凸レンズ140、と称されることもある。
【0026】
第1の物体側平凸レンズ100及び第1の画像側平凸レンズ160はそれぞれ、外向き凸面102,162と、内向き平面104,164と、第1の端106,166と、第2の端108,168と、を有する。第1の物体側平凸レンズ100及び第1の画像側平凸レンズ160の外向き凸面102,162及び内向き平面104,164はそれぞれ、第1の端106,166と第2の端108,168との間に拡がる。第1の物体側平凸レンズ100は第1の物体側焦点距離fOS1を有し、第1の画像側平凸レンズ160は第1の画像側焦点距離fIS1を有する。いくつかの実施形態では、第1の物体側焦点距離fOS1は第1の画像側焦点距離fIS1に等しい(すなわち、fOS1=fIS1)。別の実施形態では、第1の物体側焦点距離fOS1は第1の画像側焦点距離fIS1に等しくない(すなわち、fOS1≠fIS1)。
【0027】
さて、図1,1A,1Bを参照すると、第2の物体側平凸レンズ120及び第2の画像側平凸レンズ140は、内向き凸面122,142と、外向き平面124,144と、第1の端126,146と、第2の端128,148と、を有する。第2の物体側平凸レンズ120及び第2の画像側平凸レンズ140の内向き凸面122,142及び外向き平面124,144はそれぞれ、第1の端126,146と第2の端128,148との間に拡がる。第2の物体側平凸レンズ120は第2の物体側焦点距離fOS2を有し、第2の画像側平凸レンズ140は第2の画像側焦点距離fIS2を有する。いくつかの実施形態では、第2の物体側焦点距離fOS2は第2の画像側焦点距離fIS2に等しい(すなわち、fOS2=fIS2)。別の実施形態では、第2の物体側焦点距離fOS2は第2の画像側焦点距離fIS2に等しくない(すなわち、fOS2≠fIS2)。
【0028】
いくつかの実施形態では、被クローキング領域CRは、境界110によって、少なくとも部分的に境界付けられてもよい。例えば、被クローキング領域CRは、複数の境界110によって、少なくとも部分的に境界付けられてもよい。このような実施形態では、被クローキング領域CRは、クローキングされるべき物品(図示しない)を備えていてもよく、物品は1つ以上の境界110を備えていてもよい。本開示では、「境界」(1つ及び複数)という用語は物理的な表面を意味する。
【0029】
物体側12から画像側14までコヒーレント画像ガイド130が延びており、コヒーレント画像ガイド130は、それを通る平行光の伝播を提供する。コヒーレント画像ガイド130は、第2の物体側平凸レンズ120と光学的に整列された物体側端132と、第2の画像側平凸レンズ140と光学的に整列された画像側端136と、物体側端132と画像側端136との間を延びる光導波路134と、を備える。本開示では、「光学的に整列された」というフレーズは、2つの光コンポーネント間の向きであって、光コンポーネントのうちの1つを通る光伝播の概してすべてが当該光コンポーネントから他の光コンポーネントに入射するような向きを意味する。いくつかの実施形態では、図1に描かれているように、コヒーレント画像ガイド130は、物体側12から画像側14まで、被クローキング領域CRの周りを延びる。別の実施形態では、コヒーレント画像ガイド130は、物体側12から画像側14まで、被クローキング領域CRの少なくとも一部を通って延びる(図示しない)。
【0030】
いくつかの実施形態では、平凸レンズ100,120,140,160は、図面に長方形として描かれるX-Z平面内の断面を有するシリンドリカル平凸レンズであってよい。このような実施形態では、第1の物体側平凸レンズ100は第1の物体側焦線f100を備えてもよく、第1の物体側焦線f100は、Z軸に沿って延びるとともに、第1の物体側平凸レンズ100から内向き(-Y方向)に第1の物体側焦点距離fOS1に位置し、第1の画像側平凸レンズ160は第1の画像側焦線f160を備えてもよく、第1の画像側焦線f160は、Z軸に沿って延びるとともに、第1の画像側平凸レンズ160から内向き(+Y方向)に第1の画像側焦点距離fIS1に位置する。また、第2の物体側平凸レンズ120は第2の物体側焦線f120を備えてもよく、第2の物体側焦線f120は、Z軸に沿って延びるとともに、第2の物体側平凸レンズ120から外向き(+Y方向)に第2の物体側焦点距離fOS2に位置し、第2の画像側平凸レンズ140は第2の画像側焦線f140を備えてもよく、第2の画像側焦線f140は、Z軸に沿って延びるとともに、第2の画像側平凸レンズ140から外向き(-Y方向)に第2の画像側焦点距離fIS2に位置する。図1及び図1Aに描かれているように、第1の物体側平凸レンズ100は、第1の物体側焦線f100及び第2の物体側焦線f120が互いに共線であるように、第2の物体側平凸レンズ120に対し指向されてもよい。図1及び図1Bに描かれているように、第1の画像側平凸レンズ160は、第1の画像側焦線f160及び第2の画像側焦線f140が互いに共線であるように、第2の画像側平凸レンズ140に対し指向されてもよい。したがって、第1の物体側平凸レンズ100及び第2の物体側平凸レンズ120は、第1の物体側焦点距離fOS1と第2の物体側焦点距離fOS2との合計に等しい距離だけ互いに(Y方向)離間されてもよい(すなわち、間隙はfOS1+fOS2)。また、第1の画像側平凸レンズ160及び第2の画像側平凸レンズ140は、第1の画像側焦点距離fIS1と第2の画像側焦点距離fIS2との合計に等しい距離だけ互いに(Y方向)離間されてもよい(すなわち、間隙はfIS1+fIS2)。
【0031】
更に図1を参照すると、他の実施形態において、平凸レンズ100,120,140,160は、図面に円の形に描かれるX-Z平面内の断面を有する球面平凸レンズであってよい。このような実施形態では、第1の物体側平凸レンズ100は第1の物体側焦点f100を備えてもよく、第1の物体側焦点f100は、第1の物体側平凸レンズ100から内向き(-Y方向)に第1の物体側焦点距離fOS1に位置し、第1の画像側平凸レンズ160は第1の画像側焦点f160を備えてもよく、第1の画像側焦点f160は、第1の画像側平凸レンズ160から内向き(+Y方向)に第1の画像側焦点距離fIS1に位置する。また、第2の物体側平凸レンズ120は第2の物体側焦点f120を備えてもよく、第2の物体側焦点f120は、第2の物体側平凸レンズ120から外向き(+Y方向)に第2の物体側焦点距離fOS2に位置し、第2の画像側平凸レンズ140は第2の画像側焦点f140を備えてもよく、第2の画像側焦点f140は、第2の画像側平凸レンズ140から外向き(-Y方向)に第2の画像側焦点距離fIS2に位置する。図1に描かれているように、第1の物体側平凸レンズ100は、第1の物体側焦点f100及び第2の物体側焦点f120が互いに同一の焦点であるように、第2の物体側平凸レンズ120に対し指向されてもよい。また、第1の画像側平凸レンズ160は、第1の画像側焦点f160及び第2の画像側焦点f140が互いに同一の焦点であるように、第2の画像側平凸レンズ140に対し指向されてもよい。
【0032】
平凸レンズ100,120,140,160がシリンドリカル平凸レンズである実施形態では、コヒーレント画像ガイド130は、図面に描かれるZ軸に沿って拡がる幅を有するコヒーレント画像リボン(図3)であってよい。すなわち、コヒーレント画像ガイド130は、厚さ(X及びY方向)よりも大きい幅(Z方向)を有するリボンを形成するよう整列された、複数のコヒーレント画像ファイバ束、ライトパイプ、光ファイバ、などから形成されてよい。平凸レンズ100,120,140,160が球面平凸レンズである実施形態では、コヒーレント画像ガイド130は、コヒーレント画像ケーブルであってよい。すなわち、コヒーレント画像ガイド130は、シリンドリカルケーブルの形の1つ以上の画像ファイバ束から形成されてよい。コヒーレント画像ファイバ束のそれぞれを、数百又は数千の個々の光ファイバ、ライトパイプ、などから形成してもよいことが理解されるべきである。
【0033】
平凸レンズ100,120,140,160、及び、本開示に開示される他の平凸レンズを、光線を集束させるのに適した任意のレンズ材料から形成してもよい。適した平凸レンズ材料の非限定的な例には、ガラス、アクリルポリマ、ポリカーボネートポリマ、硬質ビニルポリマが含まれる。コヒーレント画像ガイド、及び、本開示に開示される他のコヒーレント画像ガイドを、光線が伝播するのに適した任意のファイバ材料から形成してもよい。適したコヒーレント画像ガイド材料の非限定的な例には、シリカ、フッ化物ガラス、リン酸ガラス、カルコゲナイドガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、などが含まれる。
【0034】
第1の物体側平凸レンズ100は、物体Oからクローキングデバイスアセンブリ10に入射した光(図1に矢印「1」として示される)が第1の物体側平凸レンズ100を通り伝播して屈折され(図1に矢印「2」として示される)、出て、第2の物体側平凸レンズ120まで伝播する(図1に矢印「3」として示される)ように、第2の物体側平凸レンズ120に対し位置する。第2の物体側平凸レンズ120は、光3が第2の物体側平凸レンズ120を通り伝播して屈折され(図1Aに矢印「4」として示される)、物体側端13まで伝播する(図1Aに矢印「5」として示される)ように、コヒーレント画像ガイド130の物体側端132に対し位置する。特に、第1の物体側平凸レンズ100の外向き凸面102に入射した光1は屈折され、光2(図1)として内向き平面104まで伝播する。光2は、内向き平面104において屈折され、光3として第1の物体側焦線f100上に集束される(図1,1A)。光3は、第1の物体側焦線f100から第2の物体側平凸レンズ120の外向き平面124まで、発散して伝播し、外向き平面124において光4として屈折される(図1A)。光4は、第2の物体側平凸レンズ120を通って内向き凸面122まで伝播し、内向き凸面122において屈折され、平行光5として集束される(図1,1A)。平行光5は、内向き凸面122からコヒーレント画像ガイド130の物体側端132まで、コヒーレント画像ガイド130の光導波路134を通って伝播し、平行光として画像側端136を出る(図1Bに矢印「6」として示される)。
【0035】
コヒーレント画像ガイド130の画像側端136は、画像側端136から伝播する平行光6が第2の画像側平凸レンズ140に入射するように、第2の画像側平凸レンズ140に対し位置する。第2の画像側平凸レンズ140は、第2の画像側平凸レンズ140を通って伝播する平行光6(図1に矢印「7」として示される)が屈折され、出て、第1の画像側平凸レンズ160まで伝播する(図1,1Bに矢印「8」として示される)ように、第1の画像側平凸レンズ160に対し位置する。光8は、第1の画像側平凸レンズ160を通って伝播し(図1Bに矢印「9」として示される)、平行に集束されて(図1Bに矢印「11」として示される)、クローキングデバイスアセンブリ10の画像側14に画像「I」を形成する。特に、平行光6は、コヒーレント画像ガイド130の画像側端136から第2の画像側平凸レンズ140の内向き凸面142まで、伝播し、内向き凸面142において光7として屈折される(図1B)。光7は、第2の画像側平凸レンズ140を通って外向き平面144まで伝播し、外向き平面144において屈折され、光8として第2の画像側焦線f140上に集束される(図1,1B)。光8は、発散して、第2の画像側焦線f140から第1の画像側平凸レンズ160の内向き平面164まで伝播し、内向き平面164において光9として屈折される(図1)。光9は、第1の画像側平凸レンズ160を通って外向き凸面162まで伝播し、外向き凸面162において屈折され、光11として平行に集束される(図1)。平行光11は、外向き凸面162から伝播して、クローキングデバイスアセンブリ10の画像側14に画像Iを形成する。
【0036】
したがって、クローキングデバイスアセンブリ10の物体側12にある物体Oからの光1は、物体O-第1の物体側平凸レンズ100-第2の物体側平凸レンズ120-コヒーレント画像ガイド130の物体側端132-コヒーレント画像ガイド130の画像側端136-第2の画像側平凸レンズ140-第1の画像側平凸レンズ160-画像I、という光路を介して、クローキングデバイスアセンブリ10の画像側14に画像Iを形成するよう、画像側14まで伝播する。すなわち、物体Oからの光1は、物体O-第1の物体側平凸レンズ100の外向き凸面102-第1の物体側平凸レンズ100の内向き平面104-第2の物体側平凸レンズ120の外向き平面124-第2の物体側平凸レンズ120の内向き凸面122-コヒーレント画像ガイド130の物体側端132-コヒーレント画像ガイド130の画像側端136-第2の画像側平凸レンズ140の内向き凸面142-第2の画像側平凸レンズ140の外向き平面144-第1の画像側平凸レンズ160の内向き平面164-第1の画像側平凸レンズ160の外向き凸面162-画像I、という光路を介して、画像Iを形成するよう伝播する。
【0037】
図1には収束レンズ100,120,140,160が平凸レンズであるとして描かれているけれども、いくつかの実施形態では、収束レンズ100,120,140,160は、平凸レンズでない。特に図2には、フレネルレンズを備える収束レンズ200,220,240,260を有するクローキングデバイスアセンブリ20が描かれている。クローキングデバイスアセンブリ20は、物体側20と、画像側24と、4つのフレネルレンズ200,220,240,260と、を含む。被クローキング領域CRは、フレネルレンズ200,220とフレネルレンズ240,260との間に位置する。4つのフレネルレンズ200,220,240,260はそれぞれ、図面に示された座標軸のX軸に沿う長さ、Y軸に沿う厚さ、Z軸に沿う高さを有する。すなわち、図面に示されるX軸は、4つのフレネルレンズ200,220,240,260の長さに沿って延び、図面に示されるY軸は、4つのフレネルレンズ200,220,240,260の厚さに沿って延び、図面に示されるZ軸は、4つのフレネルレンズ200,220,240,260の高さに沿って延びる。2つのフレネルレンズ200,220は、物体「O」に面するようにクローキングデバイスアセンブリ20の物体側22に位置してもよく、本開示では、物体側フレネルレンズ200,220、一対の物体側フレネルレンズ200,220、並びに/又は、第1の物体側フレネルレンズ200及び第2の物体側フレネルレンズ220、と称されることもある。2つのフレネルレンズ240,260は、クローキングデバイスアセンブリ20により形成される画像「I」を提供するように、クローキングデバイスアセンブリ20の画像側24に位置してもよく、本開示では、画像側フレネルレンズ240,260、一対の画像側フレネルレンズ240,260、並びに/又は、第1の画像側フレネルレンズ260及び第2の画像側フレネルレンズ240、と称されることもある。
【0038】
第1の物体側フレネルレンズ200及び第1の画像側フレネルレンズ260はそれぞれ、外向き凸面202,262(「凸面」とも称される)と、内向き平面204,264と、第1の端206,266と、第2の端208,268と、を有する。第1の物体側フレネルレンズ200及び第1の画像側フレネルレンズ260の外向き凸面202,262及び内向き平面204,264はそれぞれ、第1の端206,266と第2の端208,268との間に拡がる。第1の物体側フレネルレンズ200は第1の物体側焦点距離fOS1を有し、第1の画像側フレネルレンズ260は第1の画像側焦点距離fIS1を有する。いくつかの実施形態では、第1の物体側焦点距離fOS1は第1の画像側焦点距離fIS1に等しい(すなわち、fOS1=fIS1)。別の実施形態では、第1の物体側焦点距離fOS1は第1の画像側焦点距離fIS1に等しくない(すなわち、fOS1≠fIS1)。
【0039】
さて、図2,2A,2Bを参照すると、第2の物体側フレネルレンズ220及び第2の画像側フレネルレンズ240は、内向き凸面222,242と、外向き平面224,244と、第1の端226,246と、第2の端228,248と、を有する。第2の物体側フレネルレンズ220及び第2の画像側フレネルレンズ240の内向き凸面222,242及び外向き平面224,244はそれぞれ、第1の端226,246と第2の端228,248との間に拡がる。第2の物体側フレネルレンズ220は第2の物体側焦点距離fOS2を有し、第2の画像側フレネルレンズ240は第2の画像側焦点距離fIS2を有する。いくつかの実施形態では、第2の物体側焦点距離fOS2は第2の画像側焦点距離fIS2に等しい(すなわち、fOS2=fIS2)。別の実施形態では、第2の物体側焦点距離fOS2は第2の画像側焦点距離fIS2に等しくない(すなわち、fOS2≠fIS2)。
【0040】
いくつかの実施形態では、被クローキング領域CRは、境界210によって、少なくとも部分的に境界付けられてもよい。例えば、被クローキング領域CRは、複数の境界210によって、少なくとも部分的に境界付けられてもよい。このような実施形態では、被クローキング領域CRは、クローキングされるべき物品(図示しない)を備えていてもよく、物品は1つ以上の境界110を備えていてもよい。物体側22から画像側24までコヒーレント画像ガイド230が延びる。特に、コヒーレント画像ガイド230は、第2の物体側フレネルレンズ220と光学的に整列された物体側端232と、第2の画像側フレネルレンズ240と光学的に整列された画像側端236と、物体側端232と画像側端236との間を延びる光導波路234と、を備える。いくつかの実施形態では、図2に描かれているように、コヒーレント画像ガイド230は、物体側22から画像側24まで、被クローキング領域CRの周りを延びる。別の実施形態では、コヒーレント画像ガイド230は、物体側22から画像側24まで、被クローキング領域CRの少なくとも一部を通って延びる(図示しない)。
【0041】
いくつかの実施形態では、フレネルレンズ200,220,240,260は、図面に長方形として描かれるX-Z平面内の断面を有するシリンドリカルフレネルレンズであってよい。このような実施形態では、第1の物体側フレネルレンズ200は第1の物体側焦線f200を備えてもよく、第1の物体側焦線f200は、Z軸に沿って延びるとともに、第1の物体側フレネルレンズ200から内向き(-Y方向)に第1の物体側焦点距離fOS1に位置し、第1の画像側フレネルレンズ260は第1の画像側焦線f260を備えてもよく、第1の画像側焦線f260は、Z軸に沿って延びるとともに、第1の画像側フレネルレンズ260から内向き(+Y方向)に第1の画像側焦点距離fIS1に位置する。また、第2の物体側フレネルレンズ220は第2の物体側焦線f220を備えてもよく、第2の物体側焦線f220は、Z軸に沿って延びるとともに、第2の物体側フレネルレンズ220から外向き(+Y方向)に第2の物体側焦点距離fOS2に位置し、第2の画像側フレネルレンズ240は第2の画像側焦線f240を備えてもよく、第2の画像側焦線f240は、Z軸に沿って延びるとともに、第2の画像側フレネルレンズ240から外向き(-Y方向)に第2の画像側焦点距離fIS2に位置する。図2及び図2Aに描かれているように、第1の物体側フレネルレンズ200は、第1の物体側焦線f200及び第2の物体側焦線f220が互いに共線であるように、第2の物体側フレネルレンズ220に対し指向されてもよい。図2及び図2Bに描かれているように、第1の画像側フレネルレンズ260は、第1の画像側焦線f260及び第2の画像側焦線f240が互いに共線であるように、第2の画像側フレネルレンズ240に対し指向されてもよい。したがって、第1の物体側フレネルレンズ200及び第2の物体側フレネルレンズ220は、第1の物体側焦点距離fOS1と第2の物体側焦点距離fOS2との合計に等しい距離だけ互いに(Y方向)離間されてもよい(すなわち、間隙はfOS1+fOS2)。また、第1の画像側フレネルレンズ260及び第2の画像側フレネルレンズ240は、第1の画像側焦点距離fIS1と第2の画像側焦点距離fIS2との合計に等しい距離だけ互いに(Y方向)離間されてもよい(すなわち、間隙はfIS1+fIS2)。
【0042】
更に図2を参照すると、他の実施形態において、フレネルレンズ200,220,240,260は、図面に円の形に描かれるX-Z平面内の断面を有する球面フレネルレンズであってよい。このような実施形態では、第1の物体側フレネルレンズ200は第1の物体側焦点f200を備えてもよく、第1の物体側焦点f200は、第1の物体側フレネルレンズ200から内向き(-Y方向)に第1の物体側焦点距離fOS1に位置し、第1の画像側フレネルレンズ260は第1の画像側焦点f260を備えてもよく、第1の画像側焦点f260は、第1の画像側フレネルレンズ260から内向き(+Y方向)に第1の画像側焦点距離fIS1に位置する。また、第2の物体側フレネルレンズ220は第2の物体側焦点f220を備えてもよく、第2の物体側焦点f220は、第2の物体側フレネルレンズ220から外向き(+Y方向)に第2の物体側焦点距離fOS2に位置し、第2の画像側フレネルレンズ240は第2の画像側焦点f240を備えてもよく、第2の画像側焦点f240は、第2の画像側フレネルレンズ240から外向き(-Y方向)に第2の画像側焦点距離fIS2に位置する。図2に描かれているように、第1の物体側フレネルレンズ200は、第1の物体側焦点f200及び第2の物体側焦点f220が互いに同一の焦点であるように、第2の物体側フレネルレンズ220に対し指向されてもよい。また、第1の画像側フレネルレンズ260は、第1の画像側焦点f260及び第2の画像側焦点f240が互いに同一の焦点であるように、第2の画像側フレネルレンズ240に対し指向されてもよい。
【0043】
フレネルレンズ200,220,240,260がシリンドリカルフレネルレンズである実施形態では、コヒーレント画像ガイド230は、図面に描かれるZ軸に沿って拡がる幅を有するコヒーレント画像リボンであってよい。すなわち、コヒーレント画像ガイド230は、厚さ(X及びY方向)よりも大きい幅(Z方向)を有するリボンを形成するよう整列された、複数のコヒーレント画像ファイバ束、ライトパイプ、光ファイバ、などから形成されてよい。フレネルレンズ200,220,240,260が球面フレネルレンズである実施形態では、コヒーレント画像ガイド230は、コヒーレント画像ケーブルであってよい。すなわち、コヒーレント画像ガイド230は、シリンドリカルケーブル、ライトパイプ、などの形の1つ以上の画像ファイバ束から形成されてよい。
【0044】
フレネルレンズ200,220,240,260、及び、本開示に開示される他のフレネルレンズを、光線を集束させるのに適した任意のレンズ材料から形成してもよい。適した平凸レンズ材料の非限定的な例には、ガラス、アクリルポリマ、ポリカーボネートポリマ、硬質ビニルポリマが含まれる。
【0045】
第1の物体側フレネルレンズ200は、物体Oからクローキングデバイスアセンブリ20に入射した光(図2に矢印「1」として示される)が第1の物体側フレネルレンズ200を通り伝播して屈折され(図2に矢印「2」として示される)、出て、第2の物体側フレネルレンズ220まで伝播する(図2に矢印「3」として示される)ように、第2の物体側フレネルレンズ220に対し位置する。第2の物体側フレネルレンズ220は、光3が第2の物体側フレネルレンズ220を通り伝播して屈折され(図2Aに矢印「4」として示される)、物体側端23まで伝播する(図2Aに矢印「5」として示される)ように、コヒーレント画像ガイド230の物体側端232に対し位置する。特に、第1の物体側フレネルレンズ200の外向き凸面202に入射した光1は屈折され、光2(図2)として内向き平面204まで伝播する。光2は、内向き平面204において屈折され、光3として第1の物体側焦線f200上に集束される(図2,2A)。光3は、第1の物体側焦線f200から第2の物体側フレネルレンズ220の外向き平面224まで、発散して伝播し、外向き平面224において光4として屈折される(図2A)。光4は、第2の物体側フレネルレンズ220を通って内向き凸面222まで伝播し、内向き凸面222において屈折され、平行光5として集束される(図2,2A)。平行光5は、内向き凸面222からコヒーレント画像ガイド230の物体側端232まで、コヒーレント画像ガイド230の光導波路234を通って伝播し、平行光として画像側端236を出る(図2Bに矢印「6」として示される)。
【0046】
コヒーレント画像ガイド230の画像側端236は、画像側端236から伝播する平行光6が第2の画像側フレネルレンズ240に入射するように、第2の画像側フレネルレンズ240に対し位置する。第2の画像側フレネルレンズ240は、第2の画像側フレネルレンズ240を通って伝播する平行光6(図2に矢印「7」として示される)が屈折され、出て、第1の画像側フレネルレンズ260まで伝播する(図2,1Bに矢印「8」として示される)ように、第1の画像側フレネルレンズ260に対し位置する。光8は、第1の画像側フレネルレンズ260を通って伝播し(図2Bに矢印「9」として示される)、平行に集束されて(図2Bに矢印「11」として示される)、クローキングデバイスアセンブリ20の画像側24に画像「I」を形成する。特に、平行光6は、コヒーレント画像ガイド230の画像側端236から第2の画像側フレネルレンズ240の内向き凸面242まで、伝播し、内向き凸面242において光7として屈折される(図2B)。光7は、第2の画像側フレネルレンズ240を通って外向き平面244まで伝播し、外向き平面244において屈折され、光8として第2の画像側焦線f240上に集束される(図2,2B)。光8は、発散して、第2の画像側焦線f240から第1の画像側フレネルレンズ260の内向き平面264まで伝播し、内向き平面264において光9として屈折される(図2)。光9は、第1の画像側フレネルレンズ260を通って外向き凸面262まで伝播し、外向き凸面262において屈折され、光11として平行に集束される(図2)。平行光11は、外向き凸面262から伝播して、クローキングデバイスアセンブリ20の画像側24に画像Iを形成する。
【0047】
したがって、クローキングデバイスアセンブリ20の物体側22にある物体Oからの光1は、物体O-第1の物体側フレネルレンズ200-第2の物体側フレネルレンズ220-コヒーレント画像ガイド230の物体側端232-コヒーレント画像ガイド230の画像側端236-第2の画像側フレネルレンズ240-第1の画像側フレネルレンズ260-画像I、という光路を介して、クローキングデバイスアセンブリ20の画像側24に画像Iを形成するよう、画像側24まで伝播する。すなわち、物体Oからの光1は、物体O-第1の物体側フレネルレンズ200の外向き凸面202-第1の物体側フレネルレンズ200の内向き平面204-第2の物体側フレネルレンズ220の外向き平面224-第2の物体側フレネルレンズ220の内向き凸面222-コヒーレント画像ガイド230の物体側端232-コヒーレント画像ガイド230の画像側端236-第2の画像側フレネルレンズ240の内向き凸面242-第2の画像側フレネルレンズ240の外向き平面244-第1の画像側フレネルレンズ260の内向き平面264-第1の画像側フレネルレンズ260の外向き凸面262-画像I、という光路を介して、画像Iを形成するよう伝播する。
【0048】
ここで図1,3,及び4を参照すると、図1に関連して説明された実施形態に係るクローキングデバイスの頂面斜視図及び側面図が、それぞれ図3及び4に示される。具体的には、図3は、クローキングデバイスアセンブリ10の被クローキング領域CR内の支柱「C」の形の物品、及び、クローキングデバイスアセンブリ10の物体側12の支柱Cの+Y方向後ろに位置する自動車「A」の頂面斜視図である。支柱Cは、クローキングデバイスの高さhよりも大きい高さ寸法をZ方向に(+Z方向に高さは増大する)有する(図4)。図4は、図1に示されたクローキングデバイスアセンブリ10の+Y方向から見た側面図であって、クローキングデバイスアセンブリ10を+Y方向に見る観察者には、被クローキング領域内にある支柱Cの部分を視認不能であり、支柱Cの+Y方向後ろに位置する自動車Aを視認可能である、ということを示している。したがって、クローキングデバイスアセンブリ10の画像側14を見ている観察者は、被クローキング領域内に位置する支柱Cを視認できず、画像側14を見ている観察者は自動車Aを視認できる。図4及び図5の支柱Cは被クローキング領域CR境界110から離間しており、すなわち支柱Cはクローキングデバイスアセンブリ10とは別個の物体であるけれども、支柱Cが、構造的にクローキングデバイスアセンブリ10の一部であって、被クローキング領域CR境界110を提供する又はこれと均等である外面を有してもよい、ということが理解されるべきである。
【0049】
図5を参照すると、クローキングデバイスによりクローキングされているビークルのピラーの実施形態が示される。特に、図5は、ビークルVのピラーPの一部分をクローキングしている、本開示で説明されるクローキングデバイス19を示す。いくつかの実施形態では、ピラーPはAピラーである。別の実施形態では、ピラーはBビラーである。更に別の実施形態では、ピラーはCビラーである。ピラーPには、クローキングデバイス19の被クローキング領域(図示せず)内に位置する部分もあれば、クローキングデバイスを越え延びてトリムTによりカバーされる部分もある。クローキングデバイス19の物体側のビークルVの外側には、歩行者の形のターゲット物体「O」が図示される。歩行者Oには、ビークルVのサイドウィンドウを通して視認可能な部分もあれば、クローキングデバイス19によりクローキングされたピラーPを「通して」視認可能な部分もある。クローキングデバイス19は、歩行者Oから反射された光を、クローキングデバイス19のクローキング領域内に位置するピラーPの周りに方向変換し、歩行者Oの方を見ているビークルVの乗員が視認可能な歩行者Oの画像Iをクローキングデバイス19の画像側のビークルの内部に形成する。したがって、歩行者Oからの光は、ピラーPを通過したように見え、典型的にピラーPが作り出す死角は、ピラーPがクローキングデバイス19の被クローキング領域内に位置していない場合ほど存在しない。実施形態において、ピラーP自体が被クローキング領域として役立つ。すなわちピラーPは、歩行者からの光をピラーPの周りに方向変換するのを補助する1つ以上の内向き面を備える外面を有する。クローキングデバイス19を用いてピラーPをクローキングすること、及び、ピラーPが生成する死角を迂回することが、メタマテリアル、ビデオ画像、カメラ、複雑な電子工学、などを用いることなく実施される、ということが理解されるべきである。
【0050】
ビークルの内部から見た場合のビークル物品、例えばビークルAピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラーなどをクローキングし、ビークル物品により生ずる死角を迂回するのに、本開示に記載のクローキングデバイスを用いてもよい。「物体」及び「物品」という用語は、互換的に、光を反射し又は光を透過する視覚的物体又は画像(2D又は3D)を意味してもよく、「~からの光」という用語は、「~から反射された光」又は「~から透過された光」を意味してもよい。「概して」及び「約」という用語を、本開示では、いずれかの定量的比較、値、測定、又は他の表現に起因するおそれのある固有の不確実性の程度を表わすのに使用してもよい。また、これらの用語を、本開示において、問題となっている主題の基本的機能の変化を結果としてもたらすことなく、定量的表現が定められた基準から変動し得る程度を表わすのに使用してもよい。
【0051】
図面に開示され説明された実施形態は、4つの平坦レンズ又は4つのフレネルレンズにより境界付けられた被クローキング領域を備えるクローキングデバイスアセンブリを描いているけれども、2つの平坦レンズ及び2つのフレネルレンズにより境界付けられた被クローキング領域を備えるクローキングデバイスアセンブリが提供される。例えば、非限定的に、クローキングデバイスアセンブリは、一対の物体側平凸レンズ及び一対の画像側フレネルレンズ、又は代替的に、一対の物体側フレネルレンズ及び一対の画像側平凸レンズ、を備えていてもよい。
【0052】
本開示で使用されている方向用語、例えば頂部及び底部は、描画された通りの図面を参照するにすぎず、別段の規定のない限り、絶対的向きを暗示するように意図するものではない。
【0053】
本開示では特定の実施形態が例示され説明されてきたけれども、請求対象の主題の真意及び範囲から逸脱することなく、種々の他の変更及び修正を行ってもよい、ということが理解されるべきである。その上、本開示では、請求対象の主題の種々の態様が説明されてきたけれども、このような態様を組み合わせて使用する必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は請求対象の主題の範囲内に包含されるこのような変更及び修正のすべてを網羅する、ということが意図されている。
【0054】
[例1]
クローキングデバイスであって、
物体側、画像側、及び、前記物体側と前記画像側との間に位置する被クローキング領域と、
前記物体側に位置する、第1の物体側焦点距離を有する第1の物体側収束レンズ及び第2の物体側焦点距離を有する第2の物体側収束レンズであって、前記第1の物体側収束レンズが、前記第2の物体側収束レンズよりも前記被クローキング領域に関し外側に位置する、第1の物体側収束レンズ及び第2の物体側収束レンズと、
前記画像側に位置する、第1の画像側焦点距離を有する第1の画像側収束レンズ及び第2の画像側焦点距離を有する第2の画像側収束レンズであって、前記第1の画像側収束レンズが、前記第2の画像側収束レンズよりも前記被クローキング領域に関し外側に位置する、第1の画像側収束レンズ及び第2の画像側収束レンズと、
物体側端及び画像側端を備えたコヒーレント画像ガイドであって、前記物体側端が前記第2の物体側収束レンズと光学的に整列され、前記画像側端が前記第2の画像側収束レンズと光学的に整列される、コヒーレント画像ガイドと、
を備え、
前記クローキングデバイスの物体側に位置しかつ前記被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、前記第1の物体側収束レンズ及び前記第2の物体側収束レンズにより、前記コヒーレント画像ガイドの前記物体側端上に平行に集束され、前記コヒーレント画像ガイドを通って前記コヒーレント画像ガイドの前記画像側端まで伝播し、前記第2の画像側収束レンズ及び前記第1の画像側収束レンズにより、平行に集束されて、前記クローキングデバイスの前記画像側に前記物体の画像を形成し、こうして前記物体からの前記光が前記被クローキング領域を通過したように見える、
クローキングデバイス。
[例2]
前記第1の物体側収束レンズ及び前記第2の物体側収束レンズが、前記第1の物体側焦点距離と前記第2の物体側焦点距離との合計に等しい距離だけ互いに離間され、前記第1の画像側収束レンズ及び前記第2の画像側収束レンズが、前記第1の画像側焦点距離と前記第2の画像側焦点距離との合計に等しい距離だけ互いに離間される、例1に記載のクローキングデバイス。
[例3]
前記第1の物体側焦点距離が前記第2の物体側焦点距離よりも長く、前記第1の画像側焦点距離が前記第2の画像側焦点距離よりも長い、例1に記載のクローキングデバイス。
[例4]
前記第1の物体側収束レンズが第1の物体側焦線を備え、前記第2の物体側収束レンズが第2の物体側焦線を備え、
前記第1の物体側焦線及び前記第2の物体側焦線が、前記第1の物体側収束レンズと前記第2の物体側収束レンズとの間に位置する、
例1に記載のクローキングデバイス。
[例5]
前記第1の物体側焦線及び前記第2の物体側焦線が共線である、例4に記載のクローキングデバイス。
[例6]
前記第1の画像側収束レンズが第1の画像側焦線を備え、前記第2の画像側収束レンズが第2の画像側焦線を備え、
前記第1の画像側焦線及び前記第2の画像側焦線が、前記第1の画像側収束レンズと前記第2の画像側収束レンズとの間に位置する、
例4に記載のクローキングデバイス。
[例7]
前記第1の画像側焦線及び前記第2の画像側焦線が共線である、例6に記載のクローキングデバイス。
[例8]
前記第1の物体側収束レンズが外向き凸面及び内向き平面を備え、前記第2の物体側収束レンズが内向き凸面及び外向き平面を備え、
前記第1の画像側収束レンズが外向き凸面及び内向き平面を備え、前記第2の画像側収束レンズが内向き凸面及び外向き平面を備える、
例1に記載のクローキングデバイス。
[例9]
前記物体からの光が、
前記第1の物体側収束レンズによって第1の物体側焦線上に集束され、
前記第1の物体側焦線と前記第2の物体側収束レンズの前記外向き平面との間で発散し、
前記第2の物体側収束レンズによって前記コヒーレント画像ガイドの前記物体側端上に平行に集束され、
前記コヒーレント画像ガイドの前記画像側端を出て、前記第2の画像側収束レンズの前記内向き凸面まで平行に伝播し、
前記第2の画像側収束レンズによって第2の画像側焦線上に集束され、
前記第2の画像側焦線と前記第1の画像側収束レンズの前記内向き平面との間で発散し、
前記第1の画像側収束レンズによって平行に集束されて、前記クローキングデバイスの前記画像側に前記物体の画像を形成する、
例8に記載のクローキングデバイス。
[例10]
前記第1の物体側収束レンズ、前記第2の物体側収束レンズ、前記第1の画像側収束レンズ、及び、前記第2の画像側収束レンズが、平凸レンズ、フレネルレンズ、又は、平凸レンズとフレネルレンズとの組み合わせである、例1に記載のクローキングデバイス。
[例11]
前記コヒーレント画像ガイドがライトパイプ及び光ファイバの少なくとも一方を備える、例1に記載のクローキングデバイス。
[例12]
光が、物体-第1の物体側収束レンズ-第2の物体側収束レンズ-コヒーレント画像ガイドの物体側端-コヒーレント画像ガイドの画像側端-第2の画像側収束レンズ-第1の画像側収束レンズ-画像、という光路を介し、前記クローキングデバイスを通って伝播する、例1に記載のクローキングデバイス。
[例13]
光が、物体-第1の物体側収束レンズの外向き凸面-第1の物体側収束レンズの内向き平面-第2の物体側収束レンズの外向き平面-第2の物体側収束レンズの内向き凸面-コヒーレント画像ガイドの物体側端-コヒーレント画像ガイドの画像側端-第2の画像側収束レンズの内向き凸面-第2の画像側収束レンズの外向き平面-第1の画像側収束レンズの内向き平面-第1の画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という光路を介し、前記クローキングデバイスを通って伝播する、例1に記載のクローキングデバイス。
[例14]
クローキングデバイスアセンブリであって、
物体側、画像側、前記物体側と前記画像側との間に位置する被クローキング領域、及び、前記被クローキング領域内に位置する被クローキング物品と、
前記物体側に位置する一対の物体側収束レンズであって、前記一対の物体側収束レンズのそれぞれが、物体側焦点距離と、前記物体側焦点距離に位置する物体側焦線とを有し、前記一対の物体側収束レンズの一方が、前記一対の物体側収束レンズの他方から前記被クローキング領域に関し外向きに離間され、前記一対の物体側収束レンズが、前記一対の物体側収束レンズの前記物体側焦点距離の合計に等しい距離だけ互いに離間される、一対の物体側収束レンズと、
前記画像側に位置する一対の画像側収束レンズであって、前記一対の画像側収束レンズのそれぞれが、画像側焦点距離と、前記画像側焦点距離に位置する画像側焦線とを有し、前記一対の画像側収束レンズの一方が、前記一対の画像側収束レンズの他方から前記被クローキング領域に関し外向きに離間され、前記一対の画像側収束レンズが、前記一対の画像側収束レンズの前記画像側焦点距離の合計に等しい距離だけ互いに離間される、一対の画像側収束レンズと、
物体側端及び画像側端を備えたコヒーレント画像ガイドであって、前記物体側端が前記一対の物体側収束レンズと光学的に整列され、前記画像側端が前記一対の画像側収束レンズと光学的に整列される、コヒーレント画像ガイドと、
を備え、
前記クローキングデバイスの物体側に位置しかつ前記被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、前記一対の物体側収束レンズにより、前記コヒーレント画像ガイドの前記物体側端上に平行に集束され、前記コヒーレント画像ガイドを通って前記コヒーレント画像ガイドの前記画像側端まで伝播し、前記一対の画像側収束レンズにより、平行に集束されて、前記クローキングデバイスアセンブリの前記画像側に前記物体の画像を形成し、こうして前記物体からの前記光が前記被クローキング領域を通過したように見える、
クローキングデバイスアセンブリ。
[例15]
前記一対の物体側収束レンズの一方が外向き凸面及び内向き平面を備え、前記一対の物体側収束レンズの他方が内向き凸面及び外向き平面を備え、
前記一対の画像側収束レンズの一方が外向き凸面及び内向き平面を備え、前記一対の画像側収束レンズの他方が内向き凸面及び外向き平面を備える、
例14に記載のクローキングデバイスアセンブリ。
[例16]
光が、物体-一対の物体側収束レンズの一方-一対の物体側収束レンズの他方-コヒーレント画像ガイドの物体側端-コヒーレント画像ガイドの画像側端-一対の画像側収束レンズの一方-一対の画像側収束レンズの他方-画像、という光路を介し、前記クローキングデバイスアセンブリを通って伝播する、例14に記載のクローキングデバイスアセンブリ。
[例17]
ビークルであって、
Aピラーと、
前記Aピラーに位置するクローキングデバイスであって、
物体側、画像側、及び、前記物体側と前記画像側との間に位置する被クローキング領域であって、前記Aピラーが前記被クローキング領域内に位置し、前記物体側が前記ビークルの外部に位置し、前記画像側が前記ビークルの内部に位置する、物体側、画像側、及び、被クローキング領域と、
第1の物体側焦点距離を有する第1の物体側収束レンズ及び第2の物体側焦点距離を有する第2の物体側収束レンズであって、前記第1の物体側収束レンズ及び前記第2の物体側収束レンズが、光学的に互いに整列されるとともに、前記第1の物体側焦点距離と前記第2の物体側焦点距離との合計に等しい距離だけ互いに離間される、第1の物体側収束レンズ及び第2の物体側収束レンズと、
第1の画像側焦点距離を有する第1の画像側収束レンズ及び第2の画像側焦点距離を有する第2の画像側収束レンズであって、前記第1の画像側収束レンズ及び前記第2の画像側収束レンズが、光学的に互いに整列されるとともに、前記第1の画像側焦点距離と前記第2の画像側焦点距離との合計に等しい距離だけ互いに離間される、第1の画像側収束レンズ及び第2の画像側収束レンズと、
物体側端及び画像側端を備えたコヒーレント画像ガイドであって、前記物体側端が前記第2の物体側収束レンズと光学的に整列され、前記画像側端が前記第2の画像側収束レンズと光学的に整列される、コヒーレント画像ガイドと、
を備える、クローキングデバイスと、
を備え、
前記クローキングデバイスの物体側に位置しかつ前記被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、前記第1の物体側収束レンズ及び前記第2の物体側収束レンズにより、前記コヒーレント画像ガイドの前記物体側端上に平行に集束され、前記コヒーレント画像ガイドを通って前記コヒーレント画像ガイドの前記画像側端まで伝播し、前記第2の画像側収束レンズ及び前記第1の画像側収束レンズにより、平行に集束されて、前記クローキングデバイスの前記画像側に前記物体の画像を形成し、こうして前記物体からの前記光が前記被クローキング領域を通過したように見える、
ビークル。
[例18]
前記第1の物体側収束レンズが外向き凸面及び内向き平面を備え、前記第2の物体側収束レンズが内向き凸面及び外向き平面を備え、
前記第1の画像側収束レンズが外向き凸面及び内向き平面を備え、前記第2の画像側収束レンズが内向き凸面及び外向き平面を備える、
例17に記載のビークル。
[例19]
前記第1の物体側収束レンズが第1の物体側焦線を備え、前記第2の物体側収束レンズが第2の物体側焦線を備え、前記第1の画像側収束レンズが第1の画像側焦線を備え、前記第2の画像側収束レンズが第2の画像側焦線を備え、
前記第1の物体側焦線及び前記第2の物体側焦線が、前記第1の物体側収束レンズと前記第2の物体側収束レンズとの間に位置し、
前記第1の画像側焦線及び前記第2の画像側焦線が、前記第1の画像側収束レンズと前記第2の画像側収束レンズとの間に位置し、
前記第1の物体側焦線及び前記第2の物体側焦線が共線であり、前記第1の画像側焦線及び前記第2の画像側焦線が共線である、
例17に記載のビークル。
[例20]
光が、物体-第1の物体側収束レンズ-第2の物体側収束レンズ-コヒーレント画像ガイドの物体側端-コヒーレント画像ガイドの画像側端-第2の画像側収束レンズ-第1の画像側収束レンズ-画像、という光路を介し、前記クローキングデバイスを通って伝播する、例17に記載のビークル。
図1
図1A
図1B
図2
図2A
図2B
図3
図4
図5