(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】電子霧化装置及びそのアトマイザー
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20231101BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20231101BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/10
(21)【出願番号】P 2022527090
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(86)【国際出願番号】 CN2020114846
(87)【国際公開番号】W WO2021128957
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】201911367819.0
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】何丹充
(72)【発明者】
【氏名】雷桂林
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-038399(JP,A)
【文献】特開平11-089551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0044965(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03569076(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧化モジュール(2)、及び、前記霧化モジュール(2)を支承する上ベース(11)を含むアトマイザーであって、
前記上ベース(11)は、底壁(110)の辺縁付近を貫通する少なくとも1つの吸気孔(111)と、前記底壁(110)の中央部に設けられる気流合流室(112)と、前記少なくとも1つの吸気孔(111)から前記上ベース(11)の内壁面沿いに一定の距離延伸したあと、前記気流合流室(112)と連通する導流経路(113)とを含み、
前記導流経路(113)は前記霧化モジュール(2)の霧化面に対応しており、前記気流合流室(112)は、空気と前記霧化面から溢れ出したミストとの混合物を集めてから導出するために用いられることを特徴とするアトマイザー。
【請求項2】
前記上ベース(11)は、前記上ベース(11)の内壁面から前記吸気孔(111)に沿っ
たのち、円心が前記底壁(110)の中心にある、前記底壁(110)の同心円の外周の1部を形成するように、前記底壁(110)の中央部まで延伸する円弧状壁体(114)を含み、
前記円弧状壁体(114)と前記上ベース(11)の内壁面との間には前記導流経路(113)が規定されており、
前記底壁(110)の中央部における壁体(114)の間には、導流口(115)を有する前記気流合流室(112)が形成されており、前記導流経路(113)は、前記導流口(115)を通じて前記気流合流室(112)と連通することを特徴とする請求項1に記載のアトマイザー。
【請求項3】
前記上ベース(11)は、底壁(110)の辺縁部分を貫通する2つの対向する吸気孔(111)を含み、前記上ベース(11)の内壁面から、前記吸気孔(111)に沿っ
たのち、円心が前記底壁(110)の中心にある、前記底壁(110)の同心円の外周の1部を形成するように、前記底壁(110)の
中央部まで延伸することで、2つの円弧状壁体(114)が形成されるとともに、2つの導流経路(113)が規定され、
前記底壁(110)の
中央部における壁体(114)の間には、2つの対向する導流口(115)を有する筒状の気流合流室(112)が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のアトマイザー。
【請求項4】
前記霧化モジュール(2)は、前記上ベース(11)に支承される霧化コア(20)と、前記霧化コア(20)を縦方向に貫通する第1排気経路(21)と、前記霧化コア(20)の底部に設けられる発熱シートとを含み、
前記霧化コア(20)の底部には前記霧化面が形成され、前記第1排気経路(21)は、ガスを案内するよう前記気流合流室(112)に接続されることを特徴とする請求項2に記載のアトマイザー。
【請求項5】
前記アトマイザーは、更に、前記上ベース(11)が嵌設される下ベース(10)を含み、前記下ベース(10)には、前記吸気孔(111)と連通する吸気経路(100)が開設されていることを特徴とする請求項4に記載のアトマイザー。
【請求項6】
前記アトマイザーは、更に、前記上ベース(11)及び前記下ベース(10)に覆接されるハウジング(3)を含み、前記ハウジング(3)と前記上ベース(11)との間に貯液室(4)が規定され、前記ハウジング(3)には、ガスを案内するよう前記第1排気経路(21)に接続される第2排気経路(30)が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のアトマイザー。
【請求項7】
前記アトマイザーは密封部材(5)を更に含み、
前記密封部材(5)は、一端が、前記第1排気経路(21)内に嵌設されて、前記底壁(110)の中央部における壁体(114)と当接し、且つ前記気流合流室(112)と連通し、
他端が、前記霧化コア(20)に覆設されて、前記上ベース(11)の内壁面との間に吸液溝(51)を規定し、且つ、前記第2排気経路(30)が挿着されて、ガスを案内するよう接続されることを特徴とする請求項6に記載のアトマイザー。
【請求項8】
前記吸気孔(111)部分の壁体(114)と前記霧化面の間には隙間が存在することを特徴とする請求項7に記載のアトマイザー。
【請求項9】
前記上ベース(11)及び前記密封部材(5)は軟質材料であることを特徴とする請求項8に記載のアトマイザー。
【請求項10】
霧化モジュール(2)、及び、前記霧化モジュール(2)を支承する上ベース(11)を含む電子霧化装置であって、
前記上ベース(11)は、底壁(110)の辺縁付近を貫通する少なくとも1つの吸気孔(111)と、前記底壁(110)の中央部に設けられる気流合流室(112)と、前記少なくとも1つの吸気孔(111)から前記上ベース(11)の内壁面沿いに一定の距離延伸したあと、前記気流合流室(112)と連通する導流経路(113)を含み、
前記導流経路(113)は前記霧化モジュール(2)の霧化面に対応しており、前記気流合流室(112)は、空気と前記霧化面から溢れ出したミストとの混合物を集めてから導出するために用いられることを特徴とする電子霧化装置。
【請求項11】
前記上ベース(11)は、前記上ベース(11)の内壁面から前記吸気孔(111)に沿っ
たのち、円心が前記底壁(110)の中心にある、前記底壁(110)の同心円の外周の1部を形成するように、前記底壁(110)の中央部まで延伸する円弧状壁体(114)を含み、
前記円弧状壁体(114)と前記上ベース(11)の内壁面との間には前記導流経路(113)が規定されており、
前記底壁(110)の中央部における壁体(114)の間には、導流口(115)を有する前記気流合流室(112)が形成されており、前記導流経路(113)は、前記導流口(115)を通じて前記気流合流室(112)と連通することを特徴とする請求項10に記載の電子霧化装置。
【請求項12】
前記上ベース(11)は、底壁(110)の辺縁部分を貫通する2つの対向する吸気孔(111)を含み、前記上ベース(11)の内壁面から、前記吸気孔(111)に沿っ
たのち、円心が前記底壁(110)の中心にある、前記底壁(110)の同心円の外周の1部を形成するように、前記底壁(110)の
中央部まで延伸することで、2つの円弧状壁体(114)が形成されるとともに、2つの導流経路(113)が規定され、
前記底壁(110)の
中央部における壁体(114)の間には、2つの対向する導流口(115)を有する筒状の気流合流室(112)が形成されていることを特徴とする請求項11に記載の電子霧化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化装置に関し、特に、電子霧化装置及びそのアトマイザーに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電子タバコは概ね小型化傾向にあり、加熱体の体積が制限されていることから、加熱体がタバコリキッドを霧化して得られる霧化量には限界がある。それにも関わらず、ユーザが吸引する際にミストを最大限に放出できないことが多く、ユーザの満足感に支障をきたしている。また、一部のミストが霧化面の周囲に滞留し、凝縮液を形成することで、ユーザが吸引する際に凝縮液を吸い込む場合があり、ユーザエクスペリエンスを低下させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、改良した電子霧化装置及びそのアトマイザーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
【0005】
霧化モジュールと、前記霧化モジュールを支承する上ベースを含むアトマイザーを構成する。前記上ベースは、底壁の辺縁付近を貫通する少なくとも1つの吸気孔と、前記底壁の中央部に設けられる気流合流室と、前記少なくとも1つの吸気孔から前記上ベースの内壁面沿いに一定の距離延伸したあと、前記気流合流室と連通する導流経路を含む。
【0006】
前記導流経路は前記霧化モジュールの霧化面に対応しており、前記気流合流室は、空気と前記霧化面から溢れ出したミストとの混合物を集めてから導出するために用いられる。
【0007】
好ましくは、本発明で記載するアトマイザーにおいて、前記上ベースは、前記上ベースの内壁面から前記吸気孔に沿って共通内接線方向に前記底壁の中央部まで延伸する円弧状壁体を含む。
【0008】
前記円弧状壁体と前記上ベースの内壁面の間には前記導流経路が規定されている。
【0009】
前記底壁の中央部における壁体の間には、導流口を有する前記気流合流室が形成されており、前記導流経路は、前記導流口を通じて前記気流合流室と連通する。
【0010】
好ましくは、本発明で記載するアトマイザーにおいて、前記上ベースは、底壁の辺縁部分を貫通する2つの対向する吸気孔を含む。また、前記上ベースの内壁面から、前記吸気孔に沿って共通内接線方向に前記底壁の中心円箇所まで延伸することで、2つの円弧状壁体が形成されるとともに、2つの導流経路が規定される。
【0011】
前記底壁の中心円箇所における壁体の間には、2つの対向する導流口を有する筒状の気流合流室が形成されている。
【0012】
好ましくは、本発明で記載するアトマイザーにおいて、前記霧化モジュールは、前記上ベースに支承される霧化コアと、前記霧化コアを縦方向に貫通する第1排気経路と、前記霧化コアの底部に設けられる発熱シートを含む。
【0013】
前記霧化コアの底部には前記霧化面が形成され、前記第1排気経路は、ガスを案内するよう前記気流合流室に接続される。
【0014】
好ましくは、本発明で記載するアトマイザーにおいて、前記アトマイザーは、更に、前記上ベースが嵌設される下ベースを含み、前記下ベースには、前記吸気孔と連通する吸気経路が開設されている。
【0015】
好ましくは、本発明で記載するアトマイザーにおいて、前記アトマイザーは、更に、前記上ベース及び前記下ベースに覆接されるハウジングを含む。前記ハウジングと前記上ベースの間には貯液室が規定される。前記ハウジングには、ガスを案内するよう前記第1排気経路に接続される第2排気経路が設けられている。
【0016】
好ましくは、本発明で記載するアトマイザーにおいて、前記アトマイザーは密封部材を更に含む。
【0017】
前記密封部材は、一端が、前記第1排気経路内に嵌設されて、前記底壁の中央部における壁体と当接し、且つ前記気流合流室と連通する。
【0018】
他端は、前記霧化コアに覆設されて、前記上ベースの内壁面との間に吸液溝を規定し、且つ、前記第2排気経路が挿着されて、ガスを案内するよう接続される。
【0019】
好ましくは、本発明で記載するアトマイザーにおいて、前記吸気孔部分の壁体と前記霧化面の間には隙間が存在する。
【0020】
好ましくは、本発明で記載するアトマイザーにおいて、前記上ベース及び前記密封部材は軟質材料である。
【0021】
本発明は、更に、霧化モジュールと、前記霧化モジュールを支承する上ベースを含む電子霧化装置を構成する。前記上ベースは、底壁の辺縁付近を貫通する少なくとも1つの吸気孔と、前記底壁の中央部に設けられる気流合流室と、前記少なくとも1つの吸気孔から前記上ベースの内壁面沿いに一定の距離延伸したあと、前記気流合流室と連通する導流経路を含む。
【0022】
前記導流経路は前記霧化モジュールの霧化面に対応しており、前記気流合流室は、空気と前記霧化面から溢れ出したミストとの混合物を集めてから導出するために用いられる。
【0023】
好ましくは、本発明で記載する電子霧化装置において、前記上ベースは、前記上ベースの内壁面から前記吸気孔に沿って共通内接線方向に前記底壁の中央部まで延伸する円弧状壁体を含む。
【0024】
前記円弧状壁体と前記上ベースの内壁面の間には前記導流経路が規定されている。
【0025】
前記底壁の中央部における壁体の間には、導流口を有する前記気流合流室が形成されており、前記導流経路は、前記導流口を通じて前記気流合流室と連通する。
【0026】
好ましくは、本発明で記載する電子霧化装置において、前記上ベースは、底壁の辺縁部分を貫通する2つの対向する吸気孔を含む。また、前記上ベースの内壁面から、前記吸気孔に沿って共通内接線方向に前記底壁の中心円箇所まで延伸することで、2つの円弧状壁体が形成されるとともに、2つの導流経路が規定される。
【0027】
前記底壁の中心円箇所における壁体の間には、2つの対向する導流口を有する筒状の気流合流室が形成されている。
【0028】
本発明を実施することで、以下の有益な効果を有する。
【0029】
ユーザが吸引する際には、空気を吸気孔から進入させたあと、導流経路によって気流を霧化面沿いに一定の距離だけ流動させる。その後、空気と霧化面から溢れ出したミストとを十分に混合し、気流合流室に集めてから導出することで、ミストを最大限に放出可能となる。よって、1回の吸引で放出されるベイパー量が増加し、使用者の満足感が向上する。
【0030】
また、本願は、導流経路によって気流を霧化面沿いに一定の距離だけ流動させたあと、空気と霧化面から溢れ出したミストとを十分に混合し、気流合流室に集めてから導出する。よって、凝縮液の発生を最大限低下させることもでき、ユーザが凝縮液を吸い込むとの事態が回避されるため、ユーザエクスペリエンスが向上する。
【0031】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施例におけるアトマイザーの立体構造の概略図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すアトマイザーの縦方向の断面構造の概略図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すアトマイザーの立体分解構造の概略図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すアトマイザーの霧化シートモジュールの立体分解構造の概略図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す上ベースの立体構造の概略図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す上ベースの別の角度からの立体構造の概略図である。
【
図7】
図7は、
図1に示すアトマイザーの縦方向断面の立体構造の概略図である。
【
図8a】
図8aは、
図2に示すアトマイザーの空洞及び換気溝の縦方向断面の拡大構造の概略図である。
【
図8b】
図8bは、
図2に示すアトマイザーの空洞及び換気溝の縦方向断面の拡大構造の概略図である。
【
図8c】
図8cは、
図2に示すアトマイザーの空洞及び換気溝の縦方向断面の拡大構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。
【0034】
理解すべき点として、「上」、「下」、「天井」、「底」等で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係であって、特定の方向による構成及び操作は本技術方案の記載の便宜上のものにすぎず、指摘する装置又は部材が特定の方向を有さねばならないことを示すものではない。よって、本発明を制限するものと解釈すべきではない。
【0035】
図1及び
図2は、本発明の第1実施例におけるアトマイザーを示している。当該アトマイザーは、バッテリ装置とともに電子霧化装置を形成可能であり、タバコリキッド又は液状薬等の液状媒体を霧化するために用いられる。本実施例において、当該アトマイザーは、バッテリ装置に機械的及び電気的に接続される霧化シート1、霧化シート1に装着される霧化モジュール2、及び、霧化シート1に覆接されるハウジング3を含み得る。霧化シート1とハウジング3の間には、液状媒体を貯蔵するための貯液室4が規定されている。霧化モジュール2は、導液可能に貯液室4に接続されており、且つ、霧化シート1との間に霧化室が規定されている。当該霧化室は、霧化モジュール2の通電後に加熱により霧化された媒体を外気と混合するために用いられる。
【0036】
図3及び
図4を合わせて参照する。本実施例において、霧化シート1は、バッテリ装置に機械的及び電気的に接続される下ベース10と、当該下ベース10の上部に嵌設される上ベース11を含む。当該上ベース11は霧化モジュール2を搭載するために用いられる。本実施例では、下ベース10に外部と連通する吸気経路100が開設されている。下ベース10は、内部空間を有する筒状ベースを含み、当該内部空間に上ベース11の下部が収容される。本実施例において、当該下ベース10の内部空間は立設する仕切り101によって分割されている。仕切り101の両側の壁面には、下ベース10の底壁を貫通する正負の極板がそれぞれ設けられている。また、上ベース11の下部には十字型の凹溝が備わっている。第1凹溝119を仕切り101に挿着して組み合わせることで、上ベース11を下ベース10に係止する。吸気経路100は、下ベース10の側壁に開設される一対の吸気口と、上ベース11を下ベース10に嵌設する際に第2凹溝120と下ベース10の内部空間の間に形成される空間を含み得る。
【0037】
本実施例において、霧化モジュール2は上ベース11に支承される。上ベース11は、内部空間を有する逆円錐台状とすることができる。上ベース11の内部空間の上部には、霧化モジュール2の底部の辺縁を支承する支承部121が設けられている。いくつかの実施例において、上ベース11は、底壁110と、底壁110の辺縁付近を貫通する少なくとも1つの吸気孔111と、底壁110の中央部に設けられ、空気と霧化面から溢れ出したミストとの混合物を集めてから導出する気流合流室112と、吸気孔111から上ベース11の内壁面沿いに一定の距離延伸したあと、気流合流室112と連通する導流経路113を含む。吸気孔111は、上ベース11の下部の第2凹溝120と連通することで、吸気経路100と連通する。
【0038】
図5及び
図6に示すように、いくつかの実施例において、上ベース11の底壁110には、上ベース11の内壁面から吸気孔111に沿って共通内接線方向に底壁の中央部まで延伸する円弧状壁体114が設けられている。当該円弧状壁体114と上ベース11の内壁面の間には導流経路113が規定されている。且つ、導流経路113は霧化モジュール2の霧化面に対応しているため、霧化面から溢れ出したミストは、当該導流経路113を経由して外部からの空気と混合される。よって、当該導流経路113は、当該アトマイザーの霧化室を形成する。また、底壁の中央部における壁体114の間には、導流口115を有する気流合流室112が形成されている。前記導流経路113は、導流口115を通じて気流合流室112と連通する。いくつかの実施例において、吸気孔111部分の壁体114と霧化面の間には隙間が存在しており、互いに接触しない。よって、霧化面と壁体114との接触により壁体114が過剰に加熱されるとの事態が回避される。
【0039】
本実施例において、上ベース11は、底壁110の辺縁部分を貫通する2つの対向する吸気孔111を含む。また、上ベース11の内壁面から、前記吸気孔111に沿って共通内接線方向に底壁110の中心円箇所まで延伸することで、2つの円弧状壁体114が形成されている。当該2つの円弧状壁体114と上ベース11の内壁面の間には2つの導流経路113が規定されている。且つ、当該2つの円弧状壁体114は、底壁110の中心円の円周を包囲して、2つの対向する導流口115を有する筒状の気流合流室112を形成している。いくつかの実施例において、上ベース11は、例えばシリコーン等の軟質材料で作製され、下ベース10は、金属、プラスチック等の硬質材料で作製可能である。
【0040】
図2及び
図7を合わせて参照する。本実施例において、霧化モジュール2は、上ベース11に支承される霧化コア20と、霧化コア20を縦方向に貫通する第1排気経路21と、霧化コア20の底部に設けられる発熱シート22を含む。本実施例において、霧化コア20内の第1排気経路21は、ガスを案内するよう気流合流室112に接続されている。霧化コア20は、環状の多孔質セラミックス体であり、上ベース11の内部空間上部における支承部121に支承される。また、上ベース11と接触しない霧化コア20の底部には、環状の発熱シートが設けられている。接続管を上ベース11の底壁110に挿通し、下ベース10の正負の極板に電気的に接続する。そして、正負の極板を外部の電源装置に接続し、発熱シートを発熱させることで、霧化コア20底部の液状媒体が霧化されて、霧化面を形成する。
【0041】
また、図示するように、本実施例において、ハウジング3は上ベース11及び下ベース10に覆接される。ハウジング3と上ベース11の間には貯液室4が規定される。また、ハウジング3と下ベース10は係接により組み合わされる。本実施例において、下ベース10の側壁には係接部118が設けられており、ハウジング3の係合孔と係合することで、ハウジング3を下ベース10に覆接及び固定する。また、ハウジング3内には、ガスを案内するよう霧化モジュール2の第1排気経路21に接続される第2排気経路30が更に設けられている。これらによって、完全な排気経路が形成される。本発明のベイパー搬送経路は、順に連通する吸気経路100、吸気孔111、導流経路113、気流合流室112、第1排気経路21及び第2排気経路30を含む。
【0042】
本実施例において、前記アトマイザーは密封部材5を更に含み得る。密封部材5の一端は、霧化モジュール2の第1排気経路21内に嵌設されて、上ベース11の底壁110の中央部における壁体114と当接する。即ち、気流合流室112を形成する壁体114と当接し、且つ気流合流室112と連通する。また、密封部材5の他端は、霧化コア20の上部に覆設されてハウジング3の第2排気経路30が挿着され、且つガスを案内するよう接続される。また、密封部材5の他端と上ベース11の内壁面の間には吸液溝51が規定される。霧化コア20は、当該吸液溝51を通じて貯液室4内の液状媒体を吸収する。いくつかの実施例において、密封部材5は軟質材料からなる。
【0043】
本発明を実施することで、ユーザが吸引する際には、空気を吸気孔から進入させたあと、導流経路によって気流を霧化面沿いに一定の距離だけ流動させる。その後、空気と霧化面から溢れ出したミストとの混合物を気流合流室に集めてから導出することで、ミストを最大限に放出可能となる。よって、1回の吸引で放出されるベイパー量が増加し、使用者の満足感が向上する。
【0044】
且つ、本願は、導流経路によって気流を霧化面沿いに一定の距離だけ流動させたあと、空気と霧化面から溢れ出したミストとを十分に混合し、気流合流室に集めてから導出する。よって、凝縮液の発生を最大限低下させることもでき、ユーザが凝縮液を吸い込むとの事態が回避されるため、ユーザエクスペリエンスが向上する。
【0045】
また、本実施例において、当該アトマイザーは、リキッドを貯蔵するための貯液室4と、貯液室4を外部と連通させる換気経路を含む。当該換気経路は、外部と連通する吸気口63と、吸気口63と連通する空洞61、及び、空洞61と貯液室4を連通させる換気溝を含む。当該換気経路によって貯液室と外部との連通を実現し、貯液室に空気を補って気液平衡を実現することで、貯液室からのリキッド供給をより円滑とする。
【0046】
いくつかの実施例において、空洞61は、環状又は環状の一部をなしており、換気溝62に近接する空洞61の一端が毛細管力を有する。貯液室4のリキッドが空洞61に溢れ出した場合には、換気溝62に近接する空洞61の一端が毛細管力によってリキッドを保持し、放置状態における液止めを実現する。また、吸引状態では、換気溝62に近接する空洞61の一端における漏出液の回収利用を実現する。
【0047】
且つ、当該アトマイザーは霧化コア20を更に含む。空洞61は、閉環をなしていてもよいし、1区間又は分割された環状をなしていてもよい。空間を十分に活用するために、空洞61は霧化コア20を包囲するか、部分的に包囲する。本実施例において、空洞61は閉環である。
【0048】
本実施例では、換気溝62に近接する空洞61の一端が毛細管力を有するよう、空洞61は、換気溝62の方向に向かって徐々に収縮している。且つ、好ましくは、空洞61の縦方向の横断面は逆V字型をなしている。
【0049】
本実施例において、当該アトマイザーは、バッテリ装置に機械的及び電気的に接続される霧化シート1、霧化シート1に装着される霧化モジュール2、及び、霧化シート1に覆接されるハウジング3を含み得る。霧化シート1とハウジング3の間には、液状媒体を貯蔵するための貯液室4が規定されている。霧化モジュール2は、導液可能に貯液室4に接続されており、且つ、霧化シート1との間に霧化室が規定されている。当該霧化室は、霧化モジュール2の通電後に加熱により霧化された媒体を外気と混合するために用いられる。
【0050】
本実施例において、空洞61は、ハウジング3の内壁と霧化シート1の一部の外壁により包囲されている。また、その他の実施例において、空洞61は、霧化シート1の内部に形成してもよい。この場合、霧化シート1はハウジング3に密着するよう嵌接され、且つ、空洞61と連通する吸気口63が形成される。また、霧化シート1の上部に、貯液室4と連通する換気溝62が開設される。
【0051】
図3及び
図4を合わせて参照する。本実施例において、霧化シート1は、バッテリ装置に機械的及び電気的に接続される下ベース10と、当該下ベース10の上部に嵌設される上ベース11を含む。当該上ベース11は霧化モジュール2を搭載するために用いられる。ハウジング3は、上ベース11及び下ベース10に覆接される。ハウジング3と上ベース11の間には貯液室4及び換気経路が規定される。また、ハウジング3と下ベース10は係接により組み合わされる。
【0052】
図2及び
図7に示すように、具体的に、上ベース11は外周面を含み、ハウジング3は上ベース11に対応する内周面を含む。前記換気経路は、上ベース11の外周面とハウジング3の内周面で規定される空洞61、上ベース11又は前記ハウジング3に開設される少なくとも1つの換気溝62、及びハウジング3に開設される少なくとも1つの吸気口63を含む。換気溝62は、貯液室4及び空洞61と連通し、吸気口63は空洞61及び外部と連通する。
【0053】
ユーザが吸引すると、霧化室内部の気圧が負圧となって、空気が吸気経路100から霧化室に進入する。また、制御回路が加熱チップを起動して、多孔質セラミックス体内に吸着された液状媒体を霧化する。多孔質セラミックス体の液状媒体が減少すると、毛細管力の作用によって多孔質セラミックス体が貯液室4からリキッドを吸入することで、霧化が継続される。貯液室4の液状媒体が減少し、ガス空間が増大すると、貯液室4の気圧に過剰な負圧が発生する。すると、空気がハウジングの吸気口63から空洞61に進入したあと、換気溝62を通過して貯液室4に進入することで、気液平衡が実現される。これにより、リキッド供給の速度と液状媒体の霧化速度を一致させる。
【0054】
次に、
図5、
図6及び
図7に示すように、本実施例において、前記上ベース11の上部は逆円錐台形の外周面を含み、ハウジング3は円柱形の内周面を含む。また、上ベース11の中央部には環状のボス116が設けられている。逆円錐台形の外周面の上部とボス116の外周面がそれぞれ円柱形の内周面と当接することで、換気溝62の方向に向かって徐々に収縮する空洞61が形成される。当該空洞61の縦方向の横断面は、上が狭く、下が広くなっている。
【0055】
図8a~8cを参照する。貯液室4から換気溝62を通じて空洞61に進入したタバコリキッドは、毛細管力により逆V字型の上部に吸着されて、空洞61内に貯えられる。ユーザが吸引すると、貯液室4のリキッドは減少し、気圧が低下することで、逆V字型の上部に吸着されていたリキッドが換気溝62から貯液室4へと戻る。このような逆V字型の構造設計によって、第一に、ハウジングからのリキッドの流出を防止可能となり、第二に、空洞61底部のリキッドを逆V字型構造に沿って貯液室4に戻すことも可能となる。
図8a~8cのAは、異なる状況において、タバコリキッドが逆V字型の上部に吸着される際の吸着量を示している。具体的には、次の通りである。
【0056】
図8aは、放置状態の場合である。貯液室4の内部圧力が外部圧力と同じであるとき、リキッドは換気溝62に油膜を形成し、張力が発生する。これにより、液止めが実現されて、気液平衡状態となる。
【0057】
図8bは、放置状態において、外部環境に変化が生じた場合である。例えば、外部に負圧が発生し、貯液室4の内部圧力が外部圧力よりも大きくなった場合、タバコリキッドは換気溝62から空洞61に更に滲入する。しかし、空洞61は逆V字型構造をなしているため、リキッドは、空洞61の先端の隙間において、最大の毛細管力及び張力によって引っ張られ、液止め機能を実現する。毛細管力と張力は、下に向かうほどリキッドを引っ張る力が小さくなる。そして、張力が途絶えると、少量のタバコリキッドがボス116に滞留するが、ボス116によって吸気口63からのタバコリキッドの流出は回避される。
【0058】
図8cは、吸引状態の場合である。貯液室4の液状媒体が減少し、ガス空間が増大すると、貯液室4の気圧に過剰な負圧が発生する。貯液室4の内部圧力が外部圧力よりも小さくなると、外部圧力が換気溝62部分のリキッドの張力を打ち破り、外気が貯液室4に進入することで換気動作が完了する。同時に、逆V字型の上部に吸着されていたリキッドが貯液室4に押し戻されることで、漏出液の回収利用も実現可能となる。
【0059】
いくつかの実施例において、換気溝62は、逆円錐台形の外周面の上部と円柱形の内周面との当接箇所における上ベース11又はハウジング3に開設される。本実施例において、換気溝62は、逆円錐台形の外周面の上部と円柱形の内周面との当接箇所における上ベース11に開設される。且つ、換気溝62の溝の深さは、空洞61の方向に向かって徐々に小さくなるよう設けられる。当該換気溝61を十分に小さくすることで、毛細管力が備わる。好ましくは、換気溝61の上部の開口サイズは1.0mm*0.3mmである。
【0060】
いくつかの実施例において、吸気口63と換気溝62は上下に設置され、且つ、周方向においてずらして設置される。好ましくは、本実施例において、吸気口63からのタバコリキッドの流出を更に回避するために、吸気口63と換気溝62を周方向において対向して設置するよう設計する。この場合、液状媒体は、換気溝62から吸気口63に進入して流出するまでに半周の距離を流動せねばならないため、タバコリキッドの流出を最大限に回避可能となる。
【0061】
本実施例において、当該アトマイザーは、更に、ハウジング3に開設される少なくとも1つの係合孔、霧化シート1に設置されて係合孔とスナップフィットする少なくとも1つのフック部118、及び、貯液室4と連通する換気経路を含む。当該換気経路は、更に、少なくとも1つの係合孔を通じて外部と連通する。且つ、係合孔とフック部118の間に吸気スリットを形成し、換気経路が吸気スリットを通じて外部と連通してもよい。その他の実施例では、フック部118に吸気孔として孔を開設し、換気経路が当該吸気孔を通じて外部と連通してもよい。
【0062】
本発明において、係合孔は当該換気経路の吸気口63となり得るため、ハウジング上の開孔が減少し、見た目が良くなり、ユーザエクスペリエンスが向上する。
【0063】
ハウジング3を下ベース10に覆接する際には、下ベース10の係接部118が吸気口63に係接するとともに、吸気スリットを形成する。当該吸気スリットは空洞61と連通する。且つ、本実施例において、ボス116が吸気口63と対向する場合には、ボス116に空洞61と連通する吸気溝62を開設し、吸気溝62と吸気口63又は吸気スリットを連通させてもよい。
【0064】
本発明では、外部と連通する吸気口、吸気口と連通する空洞、空洞と貯液室を連通させる換気溝を含む換気経路を設計している。これにより、貯液室と外部との連通を実現し、貯液室に空気を補って気液平衡を実現することで、貯液室からのリキッド供給をより円滑とする。また、当該空洞は、環状又は環状の一部をなしており、換気溝に近接する空洞の一端が毛細管力を有するため、放置状態における液止め及び吸引状態における漏出液の回収も実現される。
【0065】
第2の実施例において、本発明は、更に、アトマイザーとバッテリ装置を一体化した電子霧化装置を構成する。当該一体型の電子霧化装置の実施例には、上述した全ての実施例が適用される。電子霧化装置は、上記のアトマイザーに関連する全ての実現方式を含むが、ここでは改めて詳述しない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
具体的実施例によって本発明につき説明したが、当業者は、本発明の範囲を逸脱しない場合、本発明について各種の変形及び同等の置換を実施してもよいと解釈すべきである。このほか、特定の状況又は具体的状況に応じて、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明につき各種の修正を加えてもよい。従って、本発明は、開示した具体的実施例に限定されず、本発明の特許請求の範囲に属する全ての実施形態を含むものとする。