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特許7377394電極板およびウェアラブル除細動デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】電極板およびウェアラブル除細動デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20231101BHJP
   A61N 1/39 20060101ALN20231101BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/39
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023516639
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2021091765
(87)【国際公開番号】W WO2021238593
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】202010479606.3
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522465341
【氏名又は名称】マイクロポート ソアリング シーアールエム (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ヘ ミンチェン
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-527117(JP,A)
【文献】特開2000-51372(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0001101(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/04
A61N 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓除細動に使用するための電極板であって、前記電極板は、
膨張ポートおよびオーバーフロー開口部を有する気密シェルであって、前記オーバーフロー開口部は前記気密シェルの露出面に設けられ、前記露出面は導電性を有する、気密シェルと、
前記気密シェルに配置されるカプセルであって、前記カプセルは、その中に導電性ペーストを収納するためのキャビティを画定し、前記キャビティは入口オリフィスおよび出口オリフィスを画定し、前記オーバーフロー開口部は前記出口オリフィスに配置され、前記キャビティは前記気密シェルの中空の内部空間から隔離されている、カプセルと、
封止コンポーネントおよび力付与コンポーネントを備える封止構造であって、前記封止コンポーネントは前記オーバーフロー開口部に配置され、前記封止コンポーネントは、前記気密シェルが膨張しない場合、前記オーバーフロー開口部および前記出口オリフィスを閉じるように構成され、前記力付与コンポーネントは、前記気密シェルに配置され、前記入口オリフィスを通して前記カプセルに挿入された後、前記封止コンポーネントに接続され、前記力付与コンポーネントは、前記気密シェルが膨張し、拡張するときに、前記封止コンポーネントを引っ張るように構成され、それにより前記オーバーフロー開口部および前記出口オリフィスが開き、互いに連通する、封止構造と、
を備える、電極板。
【請求項2】
前記力付与コンポーネントの一部は、前記気密シェルの外側に配置され、前記力付与コンポーネントの残りの部分は、前記入口オリフィスを通して前記カプセル内に挿入され、前記封止コンポーネントにねじ込み式に接続される、請求項1に記載の電極板。
【請求項3】
前記オーバーフロー開口部は雌ねじボアであり、前記封止コンポーネントは、前記雌ねじボア内に挿入され、前記気密シェルに封止様式でねじ込み式に接続される、請求項2に記載の電極板。
【請求項4】
前記気密シェルの内壁には、前記雌ねじボアを備えるねじ付きボスが設けられ、前記ねじ付きボスは、前記出口オリフィスを通して前記カプセルの内部に延び、前記カプセルは、前記ねじ付きボスに封止様式で接続される、請求項3に記載の電極板。
【請求項5】
前記封止コンポーネントは、バリアシートおよび前記バリアシートに設けられる接続部材を備え、前記バリアシートは、前記オーバーフロー開口部を覆うように前記気密シェル上に設けられ、前記力付与コンポーネントの残りの部分は、前記入口オリフィスを通して前記カプセルの内部に挿入され、前記接続部材に接続される、請求項2に記載の電極板。
【請求項6】
前記接続部材は、前記出口オリフィスを通して前記カプセルの内部に延び、ブラインドねじ付きボアを画定するねじ付きボスであり、前記力付与コンポーネントの残りの部分は、前記入口オリフィスを通して前記カプセルの内部に挿入され、前記ねじ付きボスに封止様式でねじ込み式に接続される、請求項5に記載の電極板。
【請求項7】
前記気密シェルは、除細動パネルおよび後部シェル部材を備え、前記除細動パネルおよび前記後部シェル部材は一緒に結合して囲まれたケーシングを形成し、前記除細動パネルは前記露出面を備え、前記除細動パネルは、前記後部シェル部材の材料強度よりも強い材料強度を有し、前記後部シェル部材は、前記膨張ポートを介した前記気密シェル内へのガスの充填の結果として変形可能であるように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の電極板。
【請求項8】
前記除細動パネルは、導電性パネルおよび前部シェル部材を備え、前記前部シェル部材および前記後部シェル部材の両方が絶縁体であり、前記導電性パネルは導体であり、前記前部シェル部材および前記後部シェル部材は一緒に結合されて囲まれたケーシングを形成し、前記導電性パネルは前記露出面を備え、前記後部シェル部材から離れた前記前部シェル部材の側に配置され、前記カプセルは、前記囲まれたケーシング内に配置され、前記前部シェル部材上に配置され、前記前部シェル部材の材料強度は、前記後部シェル部材の材料強度よりも強い、請求項7に記載の電極板。
【請求項9】
前記オーバーフロー開口部は前記前部シェル部材に配置され、前記封止コンポーネントは、前記オーバーフロー開口部を覆うように前記導電性パネル上に配置される、請求項8に記載の電極板。
【請求項10】
前記後部シェル部材の内面が、その上に前記除細動パネルおよび/または環状波形部に向かって突出する隆起部を備える、請求項7に記載の電極板。
【請求項11】
前記後部シェル部材の内面が、その上に前記カプセルに当接するように構成された突出部を備える、請求項7に記載の電極板。
【請求項12】
前記カプセルは、前記キャビティを画定する本体と、前記本体から外側に延びるカラーとを備え、前記カラーは、前記出口オリフィスとして作用する中空チャネルを画定し、前記カラーには、前記カラーの軸の外側に延び、前記カラーの軸の周囲に延びる基礎支持体が設けられ、前記カラーは前記気密シェルの内壁上に設けられ、したがって前記カプセルを固定する、請求項1~6のいずれか一項に記載の電極板。
【請求項13】
前記封止コンポーネントおよび前記オーバーフロー開口部は、前記封止コンポーネントに対して作用する引っ張り力が所定の値まで増加すると、前記封止コンポーネントが前記オーバーフロー開口部から分離することができ、前記キャビティに収納された前記導電性ペーストが、前記出口オリフィスから流れ出し、前記オーバーフロー開口部を通して前記露出面上に流れるように構成される、請求項1に記載の電極板。
【請求項14】
ベストならびに、前記ベストに設けられる、検出電極、ホストおよびエアバッグを備えるウェアラブル除細動デバイスであって、前記ベストに設けられる、請求項1~13のいずれか一項に記載の電極板をさらに備える、ウェアラブル除細動デバイス。
【請求項15】
前記電極板はエアバッグとして構成される、請求項14に記載のウェアラブル除細動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイスの分野に関し、特に、電極板およびウェアラブル除細動デバイス(defibrillation device)に関する。
【背景技術】
【0002】
生活の中で、心室細動(cardiac ventricular fibrillation)は一般的に見られる心臓病であり、発症の兆候がなく、救助時間が短く(発症から死亡までわずか4分)、突然死率が高いという特徴がある。この疾患を有する患者では、現在の緊急処置アプローチは、主に心臓に高DC電圧(high DC voltage)を供給することによって心臓を除細動し、心臓を正常なリズムに戻すことである。既存の除細動器デバイスは、主に次の4つのタイプに分類されることができる。
(1)移動させることができるが、かさばるため持ち運びに不便であり、そのため主に病院に配置されている、移動式除細動器、
(2)持ち運びが容易で、通常、公共の場所の非常に目につく位置に設置されている、自動体外式除細動器(AED)、
(3)完全に自動化された方法で操作可能であり、患者に植え込むことができる、植え込み型心臓除細動器(implantable cardioverter-defibrillator)(ICD)、ならびに
(4)完全に自動化された方法で操作可能であり、主に診断からICD植え込みまでの患者保護、およびICD植え込みに適さない患者に使用される、ウェアラブル心臓除細動器(WCD)。
【0003】
前者の2つのタイプの除細動器デバイスは、手動操作が必要である。しかしながら、患者は通常、発症後10秒~20秒以内に意識を失い、このような短い時間は、手動操作には非常に困難である。したがって、これらのデバイスは患者を常時保護するには適していない。対照的に、後者の2つのタイプの除細動器デバイスは両方とも、手動操作を必要としない完全に自動化された方法で操作可能であり、そのため患者を常時保護するのに適している。現在、WCDデバイスは、外科的移植を必要とせず、容易に取り外すことができるため、臨床業務において広範に使用されている。
【0004】
図1は、従来のウェアラブル心臓除細動器(WCD)デバイスを使用する方法を説明している。図1に示すように、WCDデバイスは、ショルダーストラップハーネスの形態で上部胴体(upper torso)に装着するように意図されており、ショルダーストラップ1、除細動パッド2、検出電極3、ホスト4およびエアバッグ5を備える。具体的な動作原理は、検出電極3がECG信号を検出し、ECG信号をホスト4に供給することである。ホスト4は、応答して心電図(electrocardiogram)を生成し、心電図に基づいて決定を行う。患者が心室細動を経験していると判断された場合、ショルダーストラップ1上のエアバッグ5が膨張して、除細動パッド2を患者の皮膚に対して押し付け、除細動パッド2に除細動処置のための高DC電圧(high DC voltage)を供給させる。この除細動器デバイスに関する課題の1つは、電極板による電気除細動の前に、除細動パッド2と皮膚との間の接触抵抗が十分に小さくなければならず、そうでなければ、比較的大きな接触抵抗は、除細動パッドによる電気除細動の場合、患者の皮膚および心筋(skin and myocardium)を焼く傾向があるか、または患者を緊急保護するための除細動に失敗することさえある。
【0005】
この課題に取り組むために、点火されたガス生成ペレットによって生成された大量のガスの作用下で導電性ペーストを含むカプセルがバーストし、その結果、除細動パッドがコーティングされ、それによって治療電極の導電面と患者の皮膚との間のインピーダンスが減少する。しかしながら、このアプローチは、カプセルをガスが破壊して開くのに十分に高い、ガス発生剤の爆発によってガス圧を生成するために、カプセルを封入するためのボックスが、可能な限り強く設計されなければならないという点で不都合である。結果として、ボックスは、十分に厚くて硬い壁を有しなければならず、このデバイスを装着している患者に不快感を与え、彼/彼女がこれ以上それを装着したくないと思わせる。さらに、ガス発生剤の安全性を確保することも困難である。さらに、複数のカプセルが使用される場合、それらの間で強度に差があると、個々のカプセルが破壊して開く可能性がある。破壊すると、あるものは、ガス漏れが発生し、それによって急激な圧力低下が起こり、他のものは、それ以上破壊することができず、その中に含まれる導電性ペーストを放出することができない。一定量の導電性ペーストの放出を保証することができないため、除細動器デバイスが、患者に緊急保護をもたらすように常に適時に機能できることを確保することは不可能である。したがって、このアプローチは、信頼性が不十分であるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の問題を克服するために、本発明の目的は、導電性ペーストの自動コーティングを可能にし、適時に患者を保護することができる電極板およびウェアラブル除細動デバイスを提供することである。さらに、導電性ペーストは確実で安全な様式で放出される。特に、電極板を、患者の装着の快適性および適合性を高めるのに十分に軽量でスリムにすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明の一態様では、心臓除細動に使用するための電極板が提供され、電極板は、
膨張ポートおよびオーバーフロー開口部を有する気密シェルであって、オーバーフロー開口部は気密シェルの露出面に設けられ、露出面は導電性である、気密シェルと、
気密シェル内に配置されるカプセルであって、カプセルは、その中に導電性ペーストを収納するためのキャビティを画定し、キャビティは入口オリフィスおよび出口オリフィスを画定し、オーバーフロー開口部は出口オリフィスに配置され、キャビティは気密シェルの中空の内部空間から隔離されている、カプセルと、
封止コンポーネントおよび力付与コンポーネントを備える封止構造であって、封止コンポーネントはオーバーフロー開口部に配置され、気密シェルが膨張しない場合、封止コンポーネントは、オーバーフロー開口部および出口オリフィスを閉じるように構成され、力付与コンポーネントは、気密シェル上に配置され、入口オリフィスを通してカプセルに挿入された後、封止コンポーネントに結合され、力付与コンポーネントは、気密シェルが膨張し、拡張した結果として、封止コンポーネントを引っ張るように構成され、それによりオーバーフロー開口部および出口オリフィスが開き、それらを連通する、封止構造と、
を備える。
【0008】
必要に応じて、力付与コンポーネントの一部は、気密シェルの外側に配置されてもよく、力付与コンポーネントの残りの部分は、入口オリフィスを通してカプセル内に挿入され、封止コンポーネントにねじ込み式に結合される。
【0009】
必要に応じて、オーバーフロー開口部は雌ねじボアであり得、封止コンポーネントは、雌ねじボア内に挿入され、気密シェルに封止様式でねじ込み式に結合される。
【0010】
必要に応じて、気密シェルの内壁には、雌ねじボアを備えるねじ付きボスが設けられてもよく、ねじ付きボスは、出口オリフィスを通してカプセルの内部に延び、カプセルは、ねじ付きボスに封止様式で結合される。
【0011】
必要に応じて、封止コンポーネントは、バリアシートおよびバリアシートに設けられる接続部材を備えることができ、バリアシートは、オーバーフロー開口部を覆うように気密シェル上に設けられ、力付与コンポーネントの残りの部分は、入口オリフィスを通してカプセルの内部に挿入され、接続部材に結合される。
【0012】
必要に応じて、接続部材は、出口オリフィスを通してカプセルの内部に延び、ブラインドねじ付きボアを画定するねじ付きボスであり得、力付与コンポーネントの残りの部分は、入口オリフィスを通してカプセルの内部に挿入され、ねじ付きボスに封止様式でねじ込み式に結合される。
【0013】
必要に応じて、気密シェルは、除細動パネルおよび後部シェル部材を備えることができ、除細動パネルおよび後部シェル部材は一緒に結合して囲まれたケーシングを形成し、除細動パネルは露出面を備え、除細動パネルは、後部シェル部材の材料強度よりも強い材料強度を有し、後部シェル部材は、膨張ポートを介した気密シェル内へのガスの充填の結果として変形可能であるように構成される。
【0014】
必要に応じて、除細動パネルは、導電性パネルおよび前部シェル部材を備えることができ、前部シェル部材および後部シェル部材の両方が絶縁体であり、導電性パネルは導体であり、前部シェル部材および後部シェル部材は一緒に結合されて囲まれたケーシングを形成し、導電性パネルは露出面を備え、後部シェル部材から離れた前部シェル部材の側に配置され、カプセルは、囲まれたケーシング内に配置され、前部シェル部材上に配置され、前部シェル部材の材料強度は、後部シェル部材の材料強度よりも強い。
【0015】
必要に応じて、オーバーフロー開口部は前部シェル部材に配置されてもよく、封止コンポーネントは、オーバーフロー開口部を覆うように導電性パネル上に配置される。
【0016】
必要に応じて、除細動パネルは、導電性ゴムから作製され得る。あるいは、それは、絶縁ゴムおよび金属材料から作製されるか、または金属材料およびプラスチックから作製される複合構造であってもよい。
【0017】
必要に応じて、バリアシートおよび気密シェルは、バリアシートに設けられる脆弱化された特徴部を有して互いに一体的に形成されてもよい。脆弱化された特徴部は、気密シェルの残りの部分が耐えることができる最大圧力より低い最大圧力に耐えることができる。
【0018】
必要に応じて、脆弱化された特徴部は溝であり得る。
【0019】
必要に応じて、バリアシートおよび導電性パネルは、前部シェル部材に設けられるオーバーフロー開口部を有して互いに一体的に形成されてもよい。
【0020】
必要に応じて、後部シェル部材の内面は、除細動パネルに向かって突出する隆起部および/または環状波形部がその上に設けられてもよい。
【0021】
必要に応じて、電極板は、除細動パネルから離れた後部シェル部材の側に設けられる固定プレートをさらに備えることができ、後部シェル部材は、ねじによって固定プレートを介して除細動パネルに結合される。
【0022】
必要に応じて、電極板は、除細動パネルから離れた後部シェル部材の側に配置され、後部シェル部材に結合される、強化プレートをさらに備えることができる。
【0023】
必要に応じて、カプセルレセプタクルが気密シェル内に設けられてもよく、カプセルは、カプセルレセプタクル内に固定されてもよい。
【0024】
必要に応じて、後部シェル部材の内面が、カプセルに当接するように構成された突出部をその上に備えることができる。
【0025】
必要に応じて、突出部は、後部シェル部材に接着された平形ガスケットであり得る。
【0026】
必要に応じて、気密シェルは、ケーブルポートおよび端子ポストをさらに備えることができ、ケーブルポートは、外部リードケーブルを気密シェル内を通して通過させ、端子ポストと接続するように構成され、端子ポストが露出面に電気的に接続される。
【0027】
必要に応じて、カプセルは、キャビティを画定する本体と、本体から外側に延びるカラーとを備えることができ、カラーは、出口オリフィスとして作用する中空チャネルを画定し、カラーには、カラーの軸の外側に延び、カラーの軸の周囲に延びる基礎支持体が設けられ、カラーは気密シェルの内壁に設けられる。
【0028】
必要に応じて、カプセルには、環状波形部が設けられてもよい。
【0029】
必要に応じて、複数のカプセルが含まれてもよい。
【0030】
必要に応じて、気密シェルは、注入ポートをさらに備え、それを介して導電性ペーストがカプセル内に注入され得る。
【0031】
本発明の別の態様では、ベストならびに、ベストに設けられる、検出電極、ホスト、エアバッグおよび以前の段落のいずれかに定義される電極板を備える、ウェアラブル除細動デバイスが提供される。
【0032】
必要に応じて、電極板は、エアバッグとして構成され得る。
【0033】
本発明の電極板およびウェアラブル除細動デバイスにおいて、力付与コンポーネントは、気密シェルの拡張の作用下で、封止コンポーネントをオーバーフロー開口部から引き離すので、それを封止コンポーネントから分離し、それによって、オーバーフロー開口部およびカプセルの出口オリフィスを開く。このようにして、導電性ペーストの自動適用が達成され、患者の適時の保護が容易になる。ガス発生剤の爆発によって激しく生成された十分に高いガス圧の作用下でカプセルを破壊するのと比較して、本発明によれば、膨張ポートを介して電極板内にガスを導入することによって、力付与コンポーネントが封止コンポーネントを引っ張って、比較的安全な膨張圧力の影響下でオーバーフロー開口部から完全にまたは部分的にそれを分離させることが確保され得る。したがって、本発明の電極板およびウェアラブル除細動デバイスは、特に高い安全性および信頼性を提供する。さらに、本発明の気密シェルは、比較的低い膨張圧力でそれを膨張させることによって拡張することができる。これにより、気密シェルを十分に軽量でスリムに設計して、装着の快適性および適合性を向上させることがでる。さらに、本発明の電極板は安価な使い捨て製品であり、患者の治療負担を軽減することができる。
【0034】
本発明の電極板の気密シェルは、除細動パネルおよび後部シェル部材を備え、除細動パネルの材料強度は、後部シェル部材の材料強度よりも強い。この構成により、一方では、電極板は全体的に柔軟性があり、良好な装着の快適性を提供することができ、他方では、電極板は依然として十分な靭性を示し、患者の日常の装着の間、例えば、彼/彼女の身体活動の間に電極板がねじれ、変形した場合の電極板の除細動性能の低下を防止する。
【0035】
本発明の電極板において、封止コンポーネントを引っ張ってオーバーフロー開口部および出口オリフィスを開き、したがってそれらを互いに連通させることを可能にするために、オーバーフロー開口部は、雌ねじボアとして構成されてもよく、これにより、封止コンポーネントをその中にロックするだけで、オーバーフロー開口部を塞いで閉じることができる。さらに、単に、力付与コンポーネントおよび封止コンポーネントを互いに締め付けることによって、力付与コンポーネントは、封止コンポーネントを引っ張ることができ、それにより、拡張を引き起こす気密シェルの膨張の結果として、オーバーフロー開口部からの完全または部分的な分離を引き起こすことができる。あるいは、バリアシートが、オーバーフロー開口部を覆うように設けられてもよく、単に、力付与コンポーネントがバリアシート上の接続部材を引っ張ることによって、オーバーフロー開口部および出口オリフィスが開き、互いに連通させることができる。これらの構成は、構造が単純で、実現が容易でありながら、高い安全性および信頼性を提供する。
【0036】
本発明の電極板において、気密シェルの後部シェル部材の内面には、除細動パネルに向かって突出する隆起部が設けられ、および/または後部シェル部材の内面には、環状波形部が設けられる。隆起部および環状波形部の両方は、気密シェルの変形量を増加させることができ、これにより、気密シェルを引っ張ってオーバーフロー開口部を開くプロセスに制御性が与えられ、導電性ペーストのより確実で簡便な放出が可能になる。
【0037】
本発明の電極板において、後部シェル部材の内面に設けられた突出部は、カプセルを押し付けて保持し、日常の装着の間にカプセルが脱落するのを防止することができる。カプセルをより強固に固定するために、カプセルレセプタクルを気密シェルに設けることができる。
【0038】
本発明の電極板において、複数のカプセルが、好ましくは、多くの量の導電性ペーストの放出、より大きなコーティング領域、およびより高い除細動の安全性を達成するために含まれる。特に、導電性ペーストの放出の間、カプセルのキャビティは全て気密シェルの中空の内部空間から隔離されているため、いずれかのオーバーフロー開口部が開いた場合でも、残りの部分のカプセルをこれ以上開くことができなくなる場合がある圧力低下は気密シェル内で起こらず、導電性ペーストの確実な放出が確保される。
【0039】
本発明の電極板は、エアバッグとして直接機能することができる。このようにして、別個のエアバッグの使用が不要になり、単に電極板を膨張させるだけで電極板を患者の皮膚に対して押し付け、導電性ペーストを放出することができる。これにより、除細動デバイスの構造がより単純になり、操作がより容易になる。
【0040】
添付の図面は、本発明のより良い理解を促すために提供され、いかなる意味においてもその範囲を過度に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、従来のウェアラブル心臓除細動器を使用する方法を説明している。
図2図2は、本発明の第1の実施形態による電極板の概略的な組立図である。
図3図3は、本発明の第1の好ましい実施形態による電極板の概略的な分解図である。
図4図4は、本発明の第1の好ましい実施形態による電極板の概略的な分解図である。
図5図5は、本発明の第1の好ましい実施形態によるカプセルの概略的な3次元図である。
図6図6は、本発明の第1の好ましい実施形態によるカプセルの断面図である。
図7図7は、本発明の第1の好ましい実施形態による電極板の正面図であり、断面線B-Bを示す。
図8図8は、図7の電極板の線B-Bに沿った断面図である。
図9図9は、本発明の第1の好ましい実施形態による電極板の別の正面図であり、断面線D-Dを示す。
図10図10は、図9の電極板の線D-Dに沿った断面図である。
図11図11は、図8の電極板の部分拡大図である。
図12図12は、図10の電極板の部分拡大図である。
図13図13は、本発明の第1の好ましい実施形態による後部シェル部材の部分拡大図である。
図14図14は、本発明の第1の好ましい実施形態によるウェアラブル除細動デバイスを使用する方法を説明している。
図15図15は、本発明の第2の実施形態による電極板の概略的な組立正面図であり、バリアシートがまだ引き裂かれて開いていないものである。
図16図16は、本発明の第2の実施形態による電極板の別の概略的な組立正面図であり、バリアシートがすでに引き裂かれて開いているものである。
図17図17は、本発明の第2の実施形態による電極板の概略的な分解図である。
図18図18は、本発明の第2の実施形態による電極板の概略的な組立背面図である。
図19図19は、本発明の第2の実施形態による導電性パネルの3次元図である。
図20図20は、本発明の第2の実施形態による前部シェル部材の3次元図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の実施形態を特定の例によって以下に説明する。本明細書で提供される開示および教示に基づいて、当業者は、本発明によって提供される他の利益および利点を容易に理解するであろう。本発明はまた、異なる実施形態を通じて他の方法で具体化または適用することができ、本発明の精神から逸脱することなく、異なる観点から、または異なる用途のために、本明細書に開示された詳細に対して様々な修正または変更を行うことができる。添付の図面は、本発明の基本的な概念を概略的に示すためだけに本明細書に提供されていることに留意されたい。したがって、それらは本発明に関連する構成要素のみを示しており、必ずしも全ての構成要素ならびに実用的な実装におけるそれらの実際の形状および寸法を示しているわけではない。実際には、構成要素の構成、数、および相対的なスケールは任意に変更することができ、それらの配置はより複雑になる場合がある。
【0043】
以下では、実施形態の各々は、1つまたは複数の技術的特徴を有するものとして説明される。しかしながら、これは、本発明が必ずしもそのような技術的特徴の全てとともに実施されなければならないことを意味するものではなく、または実施形態のいずれかの技術的特徴の一部もしくは全部とは別個に実施されなければならないことを意味するものではない。換言すれば、本発明を実現することができる限り、当業者は、本明細書の教示に基づき、関連する設計仕様または実際の用途の要件に応じて、実施形態のいずれかにおける技術的特徴の一部もしくは全部を選択することができるか、または異なる実施形態の技術的特徴の一部もしくは全部を組み合わせることができる。これにより、本発明をより柔軟に実施することができる。
【0044】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その」は、文脈が明確に他を指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書で使用される場合、「複数の」という用語は、文脈が明確に他を指示しない限り、2つ以上を意味する。本明細書で使用される場合、「または」という用語は、文脈が明確に他を指示しない限り、「および/または」を含む意味で利用される。さらに、参照番号および/または文字は、本明細書以下に開示される実施形態全体にわたって繰り返し使用される場合があることに留意されたい。このような繰り返しの使用は、単純化および明確化を目的としており、議論された実施形態および/または構成の間の関係を意味するものではない。構成要素が別の構成要素に「接続されている」と本明細書で説明されている場合、それは直接または1つもしくは複数の介在要素を介して他の構成要素に接続され得ることにも留意されたい。
【0045】
一般的には、本発明は、主に心臓除細動に使用するための電極板を提供しようとするものである。電極板は、気密シェルと、気密シェルに収容されたカプセルとを備える。気密シェルは、膨張ポートと、オーバーフロー開口部(ペーストオーバーフロー開口部)とを有する。オーバーフロー開口部は、導電性である、気密シェルの露出面に設けられる。カプセルは、その中に導電性ペーストを収納するためのキャビティを画定する。キャビティは入口オリフィスおよび出口オリフィスを画定する。オーバーフロー開口部は出口オリフィスに配置され、キャビティは、気密シェルの中空の内部空間から隔離されている。電極板は、封止コンポーネントおよび力付与コンポーネントを備える、封止構造をさらに備える。封止コンポーネントは、オーバーフロー開口部に配置され、気密シェルが膨張しない場合、オーバーフロー開口部および出口オリフィスを閉じるように構成される。力付与コンポーネントは、その入口オリフィスを介してカプセルを通過させるように気密シェルに配置され、封止コンポーネントに結合される。力付与コンポーネントは、気密シェルの膨張および拡張の結果として、封止コンポーネントを引っ張って、オーバーフロー開口部および出口オリフィスを開き、これにより、それらは互いに連通することになるように構成される。
【0046】
電極板の使用の間、ガスが気密シェル内に導入されず、力付与コンポーネントからの引っ張り力を受けることなく、封止コンポーネントがオーバーフロー開口部を遮断し、それを閉じた構成に維持する場合、オーバーフロー開口部は出口オリフィスと連通せず、導電性ペーストの放出が防止される。ガスが膨張ポートを介して気密シェル内に導入されると、気密シェルの拡張の影響下で、力付与コンポーネントが封止コンポーネントを引っ張り、それをオーバーフロー開口部から完全にまたは部分的に分離し、それを開いた構成にし、それは出口オリフィスと連通し、これによって導電性ペーストを放出し、ガス圧の作用下で、導電性ペーストが出口オリフィスからオーバーフローし、オーバーフロー開口部を通って露出面に流れる。ここで、露出面は患者の皮膚と接触するように構成されているため、患者の皮膚と露出面との間に充填された導電性ペーストがインピーダンス降下をもたらす。
【0047】
本発明の電極板は、導電性ペーストの自動適用(automatic application of the conductive paste)を可能にし、ウェアラブル除細動デバイスが患者に適時の保護を提供するのに役立つ。さらに、ガス発生剤の爆発(explosion of a gas-producing agent)によりカプセルを破壊させる場合に比べて、オーバーフロー開口部をより安全で、より確実な様式で開くことができる。加えて、電極板の気密シェルは、装着の快適性および適合性を増加させるように十分に軽量でスリムに設計することができる。さらに、本発明の電極板は使い捨て製品であるため、安価であり、患者の治療負担を軽減することができる。
【0048】
本発明で提供される電極板およびウェアラブル除細動デバイスは、本発明のいくつかの好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して以下でさらに説明される。
【0049】
実施形態1
図2は、本発明の好ましい実施形態による電極板の概略的な組立図である。図3および図4は、本発明の好ましい実施形態による電極板の概略的な分解図である。図5は、本発明の好ましい実施形態によるカプセルの3次元図である。図6は、本発明の好ましい実施形態によるカプセルの断面図である。
【0050】
図2図4に示すように、本実施形態の電極板100は、主に心臓除細動に使用することを意図しており、気密シェル110およびカプセル120を備える。カプセル120は、気密シェル110内に配置され、その中に導電性ペーストを収納するように構成される。図5図6に示すように、カプセル120は本体121を備え、本体121は、導電性ペーストが収納される中空のキャビティ122を画定する。キャビティ122は、入口オリフィス123および出口オリフィス124を画定する。導電性ペーストは、入口オリフィス123を介してカプセル120内に注入され、出口オリフィス124を介してそこから放出される。
【0051】
図2図4に戻って参照すると、気密シェル110は、膨張ポート111およびオーバーフロー開口部112を有する。膨張ポート111を通して、外部ガス(好ましくは空気)を気密シェル110内に通過させることができる。この実施形態では、気密シェル110は、ウェアラブル除細動デバイスに含まれる膨張ポンプを使用して膨張させることができ、これにより、比較的安全な膨張圧力を提供することができる。オーバーフロー開口部112は気密シェル110の露出面113に配置され、露出面113は導電性であり、患者の皮膚と接触することを意図している。カプセル120は、カプセル120の出口オリフィス124がオーバーフロー開口部112と位置合わせされ、オーバーフロー開口部112を通って導電性ペーストを放出できるように、オーバーフロー開口部112に対応して気密シェル110内に固定される。ここで、本発明は、カプセル120を固定する方法について限定されない。例えば、カプセル120は、気密シェル110の内壁に接着されてもよい。好ましくは、カプセルレセプタクル(図示せず)が気密シェル110の内壁に設けられてもよい。この場合、カプセル120は、カプセルレセプタクルに取り付けられ、接着され得る。このようにして、カプセル120をきつく固定することができ、カプセル120は使用中に容易に脱落しない。
【0052】
電極板100は、封止構造130をさらに備え、封止構造130は、力付与コンポーネントおよび封止コンポーネントを備える。この実施形態では、力付与コンポーネントは締め付けねじ131であり、封止コンポーネントは封止ねじ132である。さらに、オーバーフロー開口部112は雌ねじボアである。実際の使用では、封止ねじ132は、オーバーフロー開口部112にねじ込まれ、封止様式でねじ締めされる。続いて、カプセル120は封止ねじ132の外側に嵌め込まれ、次いで締め付けねじ131が封止ねじ132に挿入されて締め付けられる。より具体的には、締め付けねじ131は、気密シェル110における取り付け孔114、およびカプセル120の入口オリフィス123を順次通ってカプセル120に到達し、次いで封止ねじ132でねじ締めされる。換言すれば、締め結けねじ131の一部が気密シェル110の取り付け孔114に受容され(図4を参照のこと)、残りの部分は、カプセル120の入口オリフィス123を通してカプセル120内に挿入され、次いで封止ねじ132でねじ締めされる。このようにして、オーバーフロー開口部112は、閉じた構成または開いた構成のいずれかを取ることができる。ガスが気密シェル110内に導入されない場合、締め付けねじ131からの引っ張り力を受けずに、封止ねじ132はオーバーフロー開口部112に締め付けられたままであり、オーバーフロー開口部112を閉じた構成に維持し、導電性ペーストがカプセル120から放出されるのを防止する。逆に、ガスが膨張ポート111を通して気密シェル110内に導入されると、気密シェル110の拡張の影響下で、締め結けねじ131が封止ねじ132を引っ張り始め、引っ張り力が特定のレベルまで増加すると、封止ねじ132はオーバーフロー開口部112から分離され、オーバーフロー開口部112を開いた構成に配置し、カプセル120のキャビティ122がオーバーフロー開口部112と直接連通し、カプセル120内の導電性ペーストがガス圧の作用下でカプセル120内の出口オリフィス124からオーバーフローすることを可能にし、オーバーフロー開口部112を通って露出面113と患者の皮膚との間の隙間に流れ込み、インピーダンス降下をもたらす。この時点で、電極板100は、除細動治療のために高DC電圧(high DC voltage)を供給することができる。締め結けねじ131を受容するための取り付け孔114は、露出面113とは反対側の気密シェル110の面に設けられる。力付与コンポーネントは、封止コンポーネントにねじ込み式に結合されることに限定されないことは理解されるであろう。他の実施形態では、力付与コンポーネントは、締まり嵌め(interference fit)または接着剤によって封止コンポーネントに結合され得る。同様に、封止コンポーネントは、締まり嵌めまたは接着剤によってオーバーフロー開口部112に結合することもできるので、オーバーフロー開口部112にねじ込み式に結合されることに限定されない。電極板100は使い捨て製品であるため、一度破壊すると再確立できない取り外し不可能な接続も可能である。本発明は、締め付けねじ131および封止ねじ132の任意の特定の材料に限定されず、金属材料および非金属材料の両方が可能である。封止ねじ132は、圧力下の場合でさえも導電性ペーストが漏れないことを保証する良好な封止性能を有するように構成されるべきであることを理解されたい。さらに、カプセル120のキャビティ122が気密シェル110の中空の内部空間から隔離されているので、カプセル120の出口オリフィス124を出た導電性ペーストは、気密シェル110の内部に入り込まず、オーバーフロー開口部112が開いている場合、圧力低下が気密シェル110内で起こらないことが理解されるであろう。したがって、気密シェル110の気密性は確保され得る。
【0053】
この実施形態では、気密シェル110は、オーバーフロー開口部112として構成された雌ねじボアを画定するねじ付きボス115(図4を参照のこと)を内壁に備えている。具体的には、ねじ付きボス115は、露出面113から気密シェル110の内部に向かって突出し(図4を参照のこと)、雌ねじボアが軸方向にねじ付きボス115を通して延びる。ねじ付きボス115は、カプセル120の出口オリフィス124を通ってカプセル120の内部に延び、カプセル120は、ねじ付きボス115に封止結合される。実際の組み立て中、オーバーフロー開口部112は、単に封止ねじ132をねじ付きボス115に挿入し、それを気密シェル110に封止様式でねじ込み式に結合することによって封止することができる。これは、単純な構造および容易な操作を伴う。封止ねじ132がねじ付きボス115内で封止的に締め付けられた後、カプセル120はねじ付きボス115の外側に嵌め込まれ、次いでカプセル120とねじ付きボス115との間に封止結合が確立される。さらに、露出面113が、その上に端子ポスト(図示せず)を備えることができ、以下に説明するホスト400に接続されている外部リードケーブルが、電流の供給を可能にするように端子ポストに結ばれ得る。
【0054】
図14に示すように、この実施形態では、ベスト200ならびに、ベスト200上に設けられる、電極板100、検出電極300、ホスト400およびエアバッグ500を備えるウェアラブル心臓除細動器(WCD)デバイスも提供される。図14を参照すると、実際の使用では、ベスト200が患者に装着され、WCDデバイスの操作原理は、検出電極300がECG信号を検出し、ECG信号をホスト400に供給することである。ホスト400は応答して心電図(electrocardiogram)を生成し、それに基づいて判断を行う。ホスト400が、患者が除細動を必要としていると判断した場合、エアバッグ500および電極板100が膨張する。膨張したエアバッグ500は、電極板100を患者の皮膚に対して押し付け、電極板100の膨張は気密シェル110を拡張させ、引っ張り力を締め付けねじ131に与える。気密シェル110内の内部圧力が上昇するので、封止ねじ132は最終的にねじ付きボス115から分離し、それによってオーバーフロー開口部112を開く。その結果として、カプセル120内に含まれる導電性ペーストがガス圧によって押し出されて、気密シェル110上のオーバーフロー開口部112を通って、露出面113と患者の皮膚との間に隙間に流出し、インピーダンス降下をもたらす。これが起こると、電極板100は、除細動治療のために高いDC電圧を供給することができる。電極板100およびエアバッグ500は、本発明を何ら制限することなく、同時にまたは連続的に膨張させることができ、同時膨張がより好ましいことを理解されたい。より好ましくは、電極板100はエアバッグ500としても機能する。このようにして、別個のエアバッグの使用が省かれ、電極板100を患者の皮膚に対して押し付けることができ、単に電極板100を膨張させることによって導電性ペーストを放出することができる。これにより、除細動デバイスの構造がより単純になり、操作がより容易になる。オーバーフロー開口部112は、封止ねじ132がオーバーフロー開口部112から完全にまたは部分的に分離された結果として開くことができることも理解されたい。「オーバーフロー開口部112の部分的な分離」とは、封止ねじ132とオーバーフロー開口部112との間に漏出隙間が存在する限り、導電性ペーストを放出することができることを意図する。
【0055】
本発明の気密シェル110の構造的強度は、電極板100が、患者が日常的に装着している間、彼/彼女の身体活動中に圧縮またはねじられたときに生じる変形による除細動性能の低下を受けるのを防ぎ、中のカプセル120が偶発的に圧縮されて破壊されるのを防ぐのに十分であるべきであることを理解されたい。他方で、気密シェル110はまた、十分に柔軟性を有するべきであり、これにより、膨張したときに拡張することを保証する。これは膨張圧力低下をもたらし、これにより、膨張プロセスの安全性および信頼性が確保され、患者の装着の快適性および適合性を向上させる。これらの理由のために、気密シェル110は、十分な強度およびある程度の柔軟性の両方を備えて構造的に構成される。したがって、電極板100の使用により、WCDデバイスを完全に自動的に操作することができ、患者の適時の保護を容易にする。さらに、電極板100による除細動作用の前に、導電性ペーストの自動適用が達成されて、電極板100と皮膚との間の十分に低い接触抵抗を効果的に保証し、安全で効果的な除細動を保証する。さらに、電極板100は低コストの使い捨て製品であり、それを使用することにより、手術に対する患者の負担を軽減することができる。
【0056】
この実施形態では、気密シェル110は、除細動パネル110aおよび後部シェル部材110b(図3を参照のこと)を備え、これらは一緒に結合されて囲まれたケーシングを形成する。除細動パネル110aの外面は露出面113として機能し、カプセル120は後部シェル部材110bに面する側で除細動パネル110aに固定されている。除細動パネル110aおよび後部シェル部材110bは一緒に接着され得る。好ましくは、除細動パネル110aの材料強度は、後部シェル部材110bの材料強度よりも強い。このように、除細動パネル110aにより、電極板100に十分な強度を持たせることができ、一方、後部シェル部材110bにより、電極板100に十分な柔軟性を持たせることができる。さらに、比較的柔軟な後部シェル部材110bは、膨張圧力の低下をもたらして、安全で信頼できる膨張を保証することができる。本発明は、後部シェル部材110bが絶縁特性を提供し、除細動パネル110aの露出面113が導電性であり得る限り、除細動パネル110aおよび後部シェル部材110bの任意の特定の材料に限定されない。非限定的な例として、除細動パネル110aは、導電性ゴムから製造されてもよいか、または絶縁ゴム/金属シートもしくは金属材料/プラスチック複合構造として提供されてもよい。後部シェル部材110bは、軟質材料から作製され、その例には、ゴム、PVC、およびTPUが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0057】
後部シェル部材110bの変形量の制御を容易にするために、封止ねじ132を引っ張ってオーバーフロー開口部112を開くプロセスに制御性を与え、導電性ペーストのより信頼でき、簡便な放出を可能にし、後部シェル部材110bは、好ましくは、その内面に除細動パネル110aに向かって突出する隆起部(符号なし)を備えるか、または後部シェル部材110bは、その内面に環状波形部(図示せず)を備えるか、または隆起部および環状波形部の両方を備える。好ましくは、電極板100は、除細動パネル110aから離れた後部シェル部材110bの側に配置された補強プレート(図示せず)をさらに備える。補強プレートは、後部シェル部材110bに取り付けられて、後部シェル部材110bに対する支持を提供する。補強プレートは、金属材料または非金属材料のいずれであってもよい。
【0058】
一部の実施形態では、除細動パネル110aは、導電性パネルおよび前部シェル部材からなるツーピースコンポーネントである。前部シェル部材は絶縁体であり、一方、導電性パネルは導体である。この場合、前部シェル部材および後部シェル部材110bは一緒に結合されて、囲まれたケーシングを形成し、導電性パネルは露出面113を設け、後部シェル部材110bから離れた前部シェル部材の側に配置される。さらに、カプセル120は前部シェル部材に取り付けられ、オーバーフロー開口部112は2つの部分からなり得、そのうちの一方は導電性パネル上に配置され、他方は前部シェル部材上に配置される。好ましくは、前部シェル部材の材料強度は、後部シェル部材の材料強度よりも強い。実際の操作では、導電性パネルは前部シェル部材に接着され得、導電性パネルは、導電性ゴムまたは安価な金属プレートから形成され得る。前部シェル部材は、金属材料または非金属材料から作製され得る。非金属材料の非限定的な例はプラスチックである。他の実施形態では、導電性パネルは省略されてもよい。この場合、除細動パネルは前部シェル部材のみから作製され、少なくとも前部シェル部材の露出面113は導電性である。
【0059】
本発明は、カプセル120が作製される任意の特定の材料に限定されず、材料の例には、シリカゲル、ラテックス、TPUなどが含まれ得るが、これらに限定されない。カプセル120は一体的にまたは別個に作製されてもよい。さらに図5および図6を参照すると、カプセル120は、本体121から外側に延びるカラー125をさらに備えることが好ましい。カラー125は、出口オリフィス124を提供する中空チャネルを画定する。この場合、カプセル120のカラー125は、ねじ付きボス115上に嵌め込まれ得る。さらに、カラー125は、そこから外向きに延び、その軸の周りに延びる基礎支持体(footing support)126を有することができる。基礎支持体126は、気密シェル110の内壁に配置され、カプセル120の取り付けを達成する。ここで、カラー125は、カプセル120の耐衝撃性を高め、偶発的な損傷を防ぐことができる。さらに、カプセル120は、その変形能力の量を増加させ、引っ張られたときにカプセルが破裂(rupture)するのを防止するために環状波形部を有するように設計され得る。
【0060】
ここで、図7図8を参照すると、図7は、本発明の好ましい実施形態による電極板の正面組立図であり、図8は、図7の線B-Bに沿った断面図である。カラー125の内部ボア(すなわち、前述のチャネル)がねじ付きボス115の上に嵌め込まれ、封止ねじ132がねじ付きボス115に挿入される前に、ねじ付きボス115の雌ねじボア(すなわち、オーバーフロー開口部112)が、カプセル120のキャビティ122と直接連通する。封止ねじ131がねじ付きボス115に挿入されると、ねじ付きボス115の雌ねじボアが塞がれる。その後、締め付けねじ131をカプセル120に挿入し、それを封止ねじ132に連結することによって、カプセル120の入口オリフィス123を閉じることができる。この実施形態では、カラー125は、本体121と一体的にまたは別個に作製されてもよい。さらに、引っ張られたときにカプセル120が脱落するのを防止するために、突出部(図示せず)が、カプセル120をきつく押し付け、保持するために後部シェル部材110bの内壁に設けられてもよい。突出部は、後部シェル部材110bと一体的に製造されてもよいし、別個に製造されてもよいが、製造コストが低いため、別個に製造することがより好ましい。必要に応じて、突出部は、後部シェル部材110bに接着された平形ガスケット(flat gasket)であってもよい。
【0061】
ここで図9図10を参照すると、図9は、本発明の好ましい実施形態による電極板の正面組立図であり、図10は、図9の線D-Dに沿った断面図である。その図において、複数のカプセル120が含まれており、理解を容易にするために、図10では、封止ねじ132の一部が引き抜かれているが、他のものは引き抜かれていないと仮定し、使用中のこれらの構成の違いを示している。さらに、図11および図12の部分拡大図を参照すると、ホスト400が、患者が除細動を必要としていると判断すると、電極板100が膨張する。内部のガス圧が増加するにつれて、気密シェル110は徐々に拡張し、したがって除細動パネル110aと後部シェル部材110bとの間の距離を拡大する。その結果、封止ねじ132は引っ張り力を受ける。除細動パネル110aはかなり柔軟であるため、引っ張り力が特定のレベルまで増加すると、封止ねじ132が、除細動パネル110aのねじ付きボス115から引き抜かれ、それによってオーバーフロー開口部112が開き、出口オリフィス124と連通する。その後、カプセル120が伸長により変形し、ガス圧により導電性ペーストSがそこから押し出される。
【0062】
好ましくは、複数、すなわち、2つ以上のカプセル120が含まれ得る。この場合、本発明は、カプセル120の任意の特定の数に限定されず、収容空間が許容される限り、多くの量の導電性ペーストの放出、より多くのコーティング領域、およびより高い除細動の安全性を達成するために、可能な限り多くのカプセル120を中に配置することができる。さらに、各カプセル120は、それぞれのオーバーフロー開口部112を備えて構成されてもよい。このようにして、導電性ペーストは、それぞれのオーバーフロー開口部112によりカプセル120から流れ出るようにされ得る。各カプセル120は上記のように構成され、カプセル120は、任意の特定の方法で配置されることに限定されないことを理解されたい。非限定的な例として、それらは、図に示されるように、N行およびM列に配置されてもよく、ここで、NおよびMは両方とも正の整数である。また、複数のカプセル120が含まれる場合、カプセル120のキャビティ122は気密シェル110の中空の内部空間から隔離されているので、いずれかのオーバーフロー開口部112が開いた場合でも、残りの部分のカプセル120がこれ以上開くことができない場合がある圧力低下が気密シェル110内で起こらず、導電性ペーストの信頼できる放出が確保されることも理解されたい。
【0063】
再び図2図4を参照すると、気密シェル110はケーブルポート116をさらに備え、外部リードケーブルがケーブルポート116を通って気密シェル110に出入りするのを容易にし、それによって除細動パネル110aに電流を提供する。ケーブルポート116は、好ましくは、膨張ポート111の近くに配置される。本発明は、気密シェル110の任意の特定の形状に限定されない。それは、図に示されるような直方体、または別の六面体もしくは外形であってもよい。さらに、本発明では、患者への損傷または除細動の失敗を引き起こす可能性がある、過圧による破壊を防止するために、気密シェル110に充填されたガスの圧力を設定値内に制御することができる。
【0064】
次に、本発明の好ましい実施形態による後部シェル部材の概略的な部分図である図13を参照する。後部シェル部材110bには、内部に注入ポートが設けられ、それを通して導電性ペーストがカプセル120に注入される。取り付け孔114は、注入ポートとして機能することができる。実際の操作では、導電性ペーストは、単にシリンジを使用して取り付け孔114を通して短時間内でカプセル120内に簡便に注入することができる。注入が完了した後、単に締め付けねじ131を取り付け孔114に封止様式で配置することによって、導電性ペーストの漏れを防止することができる。好ましくは、締め付けねじ131の頭部を収容し、それによって締め付けねじ131の脱落を効果的に防止するためのねじレセプタクル117が、取り付け孔114の周囲に形成される。ねじレセプタクル117は、外側に突出し、取り付け孔114の周りに円周方向に延びる壁によって画定され得る。
【0065】
実施形態2
図15図16は、本発明の好ましい実施形態による電極板の概略的な組立図である。図17は、本発明の好ましい実施形態による電極板の概略的な分解図である。図18は、本発明の好ましい実施形態による電極板の組み立てられた3次元図である。図15図18に示すように、この実施形態における電極板600は、気密シェル610と、カプセル620とを備える。カプセル620は、気密シェル610内に配置され、その中に導電性ペーストを収納するように構成される。本質的に第1の実施形態と同様に、カプセル620は、中空のキャビティを画定する本体を備える。キャビティは、入口オリフィスおよび反対側の出口オリフィスを画定する。導電性ペーストは、入口オリフィスを通してカプセル620内に注入され、出口オリフィスを通して放出され得る。カプセル620は除細動パネル610aに接着され得、貫通オーバーフロー開口部612が除細動パネル610aの内壁に設けられ得る。オーバーフロー開口部612は、カプセル620の出口オリフィスを通じてカプセル620のキャビティと連通する。
【0066】
電極板600は、封止構造630をさらに備え、封止構造630は、力付与コンポーネントおよび封止コンポーネントを備える。この実施形態では、力付与コンポーネントは締め付けねじ631であり、封止コンポーネントはバリアシート632および接続部材を備える。接続部材は、ねじ付きボス633であることが好ましい。ねじ付きボス633は、カプセル620の出口オリフィスを通ってカプセル620の内部に延び、漏れを防止するためのねじ付きブラインドボアを画定する。ねじ付きボス633の例示的な文脈では、ねじ付きボス633はバリアシート632上に設けられ、オーバーフロー開口部612を覆うように、すなわち、バリアシート632がオーバーフロー開口部612を閉じるように、バリアシート632は除細動パネル610a上に設けられる。実際の使用では、締め付けねじ631の一部は後部シェル部材610bの取り付け孔に配置され、残りの部分はカプセル620の入口オリフィスを通してカプセル620内に挿入され、ねじ付きボス633にねじ締めされる。このようにして、オーバーフロー開口部612は、閉じた構成または開いた構成のいずれかをとることができる。ガスが気密シェル610内に導入されていない場合、ねじ付きボス633は、締め付けねじ631からの引っ張り力を受けず、バリアシート632は破壊して開かれず、オーバーフロー開口部612を閉じ、オーバーフロー開口部612を、導電性ペーストが放出されるのを防止する閉じた構成に維持する。反対に、ガスが、膨張ポートを介して気密シェル610内に導入されると、気密シェル610の拡張の影響下で、締め付けねじ631がねじ付きボス633を引っ張り、それにより、ねじ付きボス633を介してバリアシート632を引っ張る。結果として、バリアシート632が破壊して開き、オーバーフロー開口部612を開いた構成にし、このとき、導電性ペーストは、ガス圧によって押し出されて、カプセル620の出口オリフィスから流れ出し、オーバーフロー開口部612を通って、露出面と患者の皮膚との間の隙間に流れて、インピーダンス降下がもたらされる。この時点で、電極板600は、除細動治療のために高DC電圧を供給することができる。他の実施形態では、同様の効果を達成しながら、締まり嵌めまたは接着剤によって力付与構成要素を接続部材に結合することができることを理解されたい。この実施形態によれば、バリアシート632によりオーバーフロー開口部612を覆うことは、オーバーフロー開口部612へのその結合を含み得ることも理解されたい。この場合、バリアシート632がオーバーフロー開口部612に結合されたままである限り、バリアシート632はオーバーフロー開口部612を覆う。しかしながら、バリアシート632がオーバーフロー開口部612から切り離されると、バリアシート632はもはやオーバーフロー開口部612を覆わず、オーバーフロー開口部612が露出する。
【0067】
この実施形態では、気密シェル610は、除細動パネル610aおよび後部シェル部材610bを備える。除細動パネル610aは、導電性パネル610cおよび前部シェル部材610dをさらに備えることができる。前部シェル部材610dおよび後部シェル部材610bの両方は絶縁体である。前部シェル部材610dおよび後部シェル部材610bは、それらが一緒に結合されると囲まれたケーシングを形成する。この場合、導電性パネル610cには、露出面が設けられ、後部シェル部材610bから離れた前部シェル部材610dの側に設けられる。さらに、カプセル620は、囲まれたケーシング内に配置され、前部シェル部材610dに封止して取り付けられる。加えて、バリアシート632および導電性パネル610cが一体的に形成され、オーバーフロー開口部612が前部シェル部材610dに設けられる。さらに、必要に応じて、溝として実装される脆弱化された特徴部が、導電性パネル610c上に設けられてもよい。バリアシート632は、溝に沿って引き裂かれて開くことができる。より具体的には、図15は、まだ引き裂かれて開かれていないバリアシート632を模式的に示し、図16は、引き裂かれて開かれたバリアシート632を模式的に示す。他の実施形態では、脆弱化された特徴部は別の方法で実装されてもよい。脆弱化された特徴部は、バリアシート632が引っ張られたときに脆弱化された特徴部において壊れて開くことができるようにするために、導電性パネルの残りの部分が耐えることができる最大圧力よりも低い最大圧力に耐えることができる。さらに、ねじ付きボス633は、前部シェル部材610dに面する導電性パネル610cの側に設けられ、締め付けねじ631により容易に結合するように、カプセル620内に延び得る。
【0068】
実際の操作では、ホスト400が、患者が除細動を必要としていると判断すると、電極板600は膨張する。内部のガス圧が増加するにつれて、気密シェル610は徐々に拡張し、したがって除細動パネル610aと後部シェル部材610bとの間の距離を拡大する。結果として、締め付けねじ631が引っ張り力を受け、ねじ付きボス633がバリアシート632を引っ張る。引っ張り力が特定のレベルまで増加すると、バリアシート632が溝に沿って引き裂かれて開き、それによってオーバーフロー開口部612を開く。続いて、導電性ペーストSが、ガス圧の作用下で絞り出され、オーバーフロー開口部612を通って、除細動パネル610aと患者の皮膚との間の隙間に流れ、インピーダンス降下をもたらす。
【0069】
好ましくは、導電性パネル610は金属プレートとして実装され、前部シェル部材610dはプラスチック部品として、後部シェル部材610bはゴム部品として実装される。図19に示すように、導電性パネル610cには2つの端子ポスト613が設けられ、これらは外部リードケーブルによってホスト400に接続されて、導電性パネル610cへの電流の供給を可能にする。導電性パネル610cは、前部シェル部材610dに接着され得る。
【0070】
図17を参照すると、オーバーフロー開口部612は、前部シェル部材610dを貫通して延びるように前部シェル部材610dに設けられる。バリアシート623がオーバーフロー開口部612を正確に覆って閉じるように、導電性パネル610cが前部シェル部材610dに取り付けられる。限定されることを望むものではないが、オーバーフロー開口部612は楕円形を有してもよい。図20を参照すると、カプセルレセプタクル614が、好ましくは、導電性パネル610cから離れた前部シェル部材610dの側に設けられる。カプセルレセプタクル614は、オーバーフロー開口部612を取り囲むように配置され、カプセル120の形状と一致する形状を有する。このようにして、より大きな接着結合領域を得ることができ、カプセル620の確実な取り付けを保証する。図18を参照すると、カプセル620は、第1の実施形態で使用されたものと同じ材料から作製される。好ましくは、カプセル620には環状波形部(符号なし)が設けられ、これにより、カプセル620が引っ張られたときに変形量が増大し、したがってカプセル620が損傷するのを回避することができる。
【0071】
再び図17を参照すると、後部シェル部材610bは、必要に応じて、パッドが膨張したときに変形することができる金属材料または非金属材料から作製された絶縁体である。後部シェル部材610bは、必要に応じて、絶縁ゴム、PVCまたはTPUから作製され、それらは、柔軟で容易に変形可能であり、装着の快適性を向上させることができる。さらに、後部シェル部材610bの変形量を制御するために、後部シェル部材610bの内面には、好ましくは、前部シェル部材610dに向かって突出する隆起部615、もしくは環状波形部、またはその両方が設けられる。
【0072】
気密シェル610は、前部シェル部材610dから離れた後部シェル部材610bの側に配置された固定プレート640をさらに備えることが好ましい。固定プレート640は、後部シェル部材610bを前部シェル部材610dに固定するように構成され、それにより、前部シェル部材610dおよび後部シェル部材610bが一緒に結合されて囲まれたケーシングを形成する。この実施形態では、固定プレート640、後部シェル部材610bおよび前部シェル部材610dは、ねじによって一緒に締め付けられる。気密シェル610は、前部シェル部材610dから離れた後部シェル部材610bの側に配置された補強プレート650をさらに備えることが好ましい。補強プレート650は、後部シェル部材610bに結合してその支持を提供するように構成される。この実施形態では、補強プレート650には貫通孔が設けられている。さらに、締め付けねじ631の一部は補強プレート650の貫通孔に受容され、残りの部分は後部シェル部材610bの貫通孔、およびカプセル620を順次通って、次いで残りの部分はねじ付きボス633にねじ締めされる。後部シェル部材610bの内面には、カプセル620が脱落するのを防止するためにカプセル620を押し付け、保持するように構成される、好ましくは平形ガスケット660として実装される突出部がさらに設けられてもよい。固定プレート640、補強プレート650、および平形ガスケット660は、本発明を決して限定するものではないが、金属材料または非金属材料から形成され得る。
【0073】
ケーブルポート、膨張ポート、露出面およびカプセルの数などの、第1の実施形態の特徴と同じであるこの実施形態の特徴は、再度詳細に説明していないことを理解されたい。これらの特徴の詳細については、第1の実施形態に関連する開示を参照することができる。
【0074】
要約すると、本発明の電極板およびWCDデバイスでは、力付与コンポーネントは、気密シェルの拡張の作用下で、オーバーフロー開口部から封止コンポーネントを引っ張り、したがって封止コンポーネントからそれを分離し、それによってオーバーフロー開口部およびカプセルの出口オリフィスを開く。このようにして、導電性ペーストの自動適用が達成され、患者の適時の保護が促進される。ガス発生剤の爆発によって激しく生成された十分に高いガス圧の作用下でカプセルを破壊することと比較して、本発明によれば、膨張ポートを通して電極板にガスを導入することによって、力付与コンポーネントが封止コンポーネントを引っ張って、比較的安全な膨張圧力の影響下でオーバーフロー開口部からそれを完全にまたは部分的に分離させることが確保され得る。したがって、本発明の電極板およびWCDデバイスは、特に高い安全性および信頼性を提供する。特に、本発明の電極板は、柔軟で快適であり、患者に向上した装着の快適性および適合性を提供する。さらに、本発明の電極板は、安価で低コストの使い捨て製品である。これらとは別に、本発明の電極板は、別個のエアバッグの必要性を省いて、直接的にエアバッグとして機能することができる。これにより、構造がより単純になり、操作がより容易になる。さらに、複数のカプセルが使用される場合、多くの量の導電性ペーストの放出、より多くのコーティング領域、およびより高い除細動の安全性が達成され得る。特に、導電性ペーストの放出の間、カプセルのキャビティが気密シェルの中空の内部空間から隔離されているため、いずれかのオーバーフロー開口部が開いた場合でも、残りの部分のカプセルがこれ以上開くことができなくなる場合がある圧力低下は気密シェル内で起こらず、導電性ペーストの確実な放出を保証する。
【0075】
本発明の特徴は、当業者が本発明をよりよく理解できるように、前述の好ましい実施形態に開示されていることを理解されたい。本明細書の開示に基づいて、本明細書に開示された実施形態と同じ目的および/または利点を達成しながら本発明を修正することは容易であることが当業者には理解されよう。当業者はまた、そのような同様の構成が本発明の開示の範囲から逸脱せず、本発明の開示の範囲を逸脱することなく様々な変更、置換、および改変を受け得ることを認識するであろう。
【符号の説明】
【0076】
1 ショルダーストラップ
2 電極板
3 検出電極
4 ホスト
5 エアバッグ
100、600 電極板
110、610 気密シェル
111 膨張ポート
112、612 オーバーフロー開口部
113 露出面
114 取り付け孔
115 ねじ付きボス
116 ケーブルポート
117 ねじ込みレセプタクル
110a、610a 除細動パネル
110b、610b 後部シェル部材
610c 導電性パネル
610d 前部シェル部材
613 端子ポスト
614 カプセルレセプタクル
615 隆起部
120、620 カプセル
121 本体
122 キャビティ
123 入口オリフィス
124 出口オリフィス
125 カラー
126 基礎支持体
130、630 密封構造
131、631 締め付けねじ
132 封止ねじ
632 バリアシート
633 ねじ付きボス
640 固定プレート
650 補強プレート
660 平形ガスケット
S 導電性ペースト
200 ベスト
300 検出電極
400 ホスト
500 エアバッグ
図1
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