(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】光源位置制御方法、装置、プログラムおよびコンピューター読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06T 15/50 20110101AFI20231102BHJP
【FI】
G06T15/50
(21)【出願番号】P 2019096023
(22)【出願日】2019-05-22
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知樹
(72)【発明者】
【氏名】石川 克則
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-010497(JP,A)
【文献】特開2015-201839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 15/50
G06T 1/00
G06T 19/00
G06F 3/0484
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイデバイスおよびタッチパネルを有するコンピューティングデバイスにより実行される光源位置制御方法であって、
前記ディスプレイデバイスに表示される画像上の基準位置を決定するステップと、
前記タッチパネルに対してユーザーにより触れられた位置を検出するステップと、
前記基準位置に基づいて、
前記基準位置と前記検出された触れられた位置とを通る直線上の前記検出された触れられた位置とは異なる位置に、仮想空間内の光源の位置を決定するステップと、
前記決定した光源の位置に基づいて出力画像を作成するステップと、
前記作成した出力画像を前記ディスプレイデバイスに表示させるステップと
を含むことを特徴とする光源位置制御方法。
【請求項2】
前記基準位置に基づいて、前記検出された触れられた位置とは異なる位置に、仮想空間内の光源の位置を決定するステップは、
前記基準位置と前記検出された触れられた位置との間の距離を計算するステップと、
前記計算した距離の値に係数を乗算することに基づいて仮想空間内の光源の位置を決定するステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の光源位置制御方法。
【請求項3】
前記計算した距離の値に係数を乗算することに基づいて仮想空間内の光源の位置を決定するステップは、さらに前記基準位置を基にして仮想空間内の光源の位置を決定することを特徴とする請求項2に記載の光源位置制御方法。
【請求項4】
前記係数は1よりも大きい値であることを特徴とする請求項2または3に記載の光源位置制御方法。
【請求項5】
ディスプレイデバイスおよびタッチパネルを有する光源位置制御装置であって、
前記ディスプレイデバイスに表示される画像上の基準位置を決定する手段と、
前記タッチパネルに対してユーザーにより触れられた位置を検出する手段と、
前記基準位置に基づいて、
前記基準位置と前記検出された触れられた位置とを通る直線上の前記検出された触れられた位置とは異なる位置に、仮想空間内の光源の位置を決定する手段と、
前記決定した光源の位置に基づいて出力画像を作成する手段と、
前記作成した出力画像を前記ディスプレイデバイスに表示させる手段と
を備えたことを特徴とする光源位置制御装置。
【請求項6】
前記基準位置に基づいて、前記検出された触れられた位置とは異なる位置に、仮想空間内の光源の位置を決定する手段は、
前記基準位置と前記検出された触れられた位置との間の距離を計算する手段と、
前記計算した距離の値に係数を乗算することに基づいて仮想空間内の光源の位置を決定する手段と
を含むことを特徴とする請求項5に記載の光源位置制御装置。
【請求項7】
前記計算した距離の値に係数を乗算することに基づいて仮想空間内の光源の位置を決定する手段は、さらに前記基準位置を基にして仮想空間内の光源の位置を決定することを特徴とする請求項6に記載の光源位置制御装置。
【請求項8】
前記係数は1よりも大きい値であることを特徴とする請求項6または7に記載の光源位置制御装置。
【請求項9】
コンピューティングデバイスに、請求項1ないし4のいずれかに記載の
光源位置制御方法の各ステップを実行させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピューティングデバイスに、請求項1ないし4のいずれかに記載の
光源位置制御方法の各ステップを実行させるためのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。
【請求項11】
ディスプレイデバイスおよびタッチパネルを有するコンピューティングデバイスにより実行される光源位置制御方法であって、
前記ディスプレイデバイスに表示される画像上の基準位置を決定するステップと、
前記タッチパネルに対してユーザーにより触れられた第一の位置を検出するステップと、
前記基準位置および前記第一の位置に基づいて仮想空間内の第一光源位置を決定するステップと、
前記タッチパネルに対して、前記ユーザーにより触れられる位置が変化すると、前記ユーザーにより触れられた第二の位置を検出するステップと、
前記基準位置および前記第二の位置に基づいて仮想空間内の第二光源位置を決定するステップであって、前記第一光源位置にある光源の前記基準位置に対する照射角度と前記第二光源位置にある光源の前記基準位置に対する照射角度との差が、前記第一の位置および前記基準位置を通る直線と仮想空間内の画像の位置する平面とのなす角度と前記第二の位置および前記基準位置を通る直線と仮想空間内の画像の位置する平面とのなす角度との差より大きい、ステップと
を含むことを特徴とする光源位置制御方法。
【請求項12】
ディスプレイデバイスおよびタッチパネルを有する光源位置制御装置であって、
前記ディスプレイデバイスに表示される画像上の基準位置を決定する手段と、
前記タッチパネルに対してユーザーにより触れられた第一の位置を検出する手段と、
前記基準位置および前記第一の位置に基づいて仮想空間内の第一光源位置を決定する手段と、
前記タッチパネルに対して、前記ユーザーにより触れられる位置が変化すると、前記ユーザーにより触れられた第二の位置を検出する手段と、
前記基準位置および前記第二の位置に基づいて仮想空間内の第二光源位置を決定する手段であって、前記第一光源位置にある光源の前記基準位置に対する照射角度と前記第二光源位置にある光源の前記基準位置に対する照射角度との差が、前記第一の位置および前記基準位置を通る直線と仮想空間内の画像の位置する平面とのなす角度と前記第二の位置および前記基準位置を通る直線と仮想空間内の画像の位置する平面とのなす角度との差より大きい、手段と
を備えたことを特徴とする光源位置制御装置。
【請求項13】
コンピューティングデバイスに、請求項11に記載の
光源位置制御方法の各ステップを実行させるためのプログラム。
【請求項14】
コンピューティングデバイスに、請求項11に記載の
光源位置制御方法の各ステップを実行させるためのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源位置の制御に関し、より詳細には、ビューワアプリでの質感鑑賞における光源位置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タブレット端末のビューワアプリを使用して、高画質のデジタル画像を再生し、例えば、絵画、版画、刺繍画などの美術品を鑑賞することができる。コンピューターグラフィックスにおいて美術品の画像に写実的な表現を与える技法として、例えば、物体の表面に対する光の当たり具合を考慮して画像を表示させることができるシェーディング処理などがある。実際に、タブレット端末の画面上をユーザーがタップをすると、タップをした位置に光源があるかのような画像を表示させて、ユーザーが、例えば、凹凸感、光沢感などの質感を体験することができる。
【0003】
質感などの視覚効果を有するオブジェクトを表示する方法として、光源が設定されたオブジェクトを仮想環境に表示し、光源に基づいてオブジェクト周辺の領域に照明を当てる方法が知られている(例えば、特許文献1(第13-15頁、第8-10図)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、タブレット端末の画面において、ユーザーがタップをした位置に光源があると、ユーザーが美術品の繊細な質感を体験することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ユーザーに対して物体の質感の体験を向上させることができる、ビューワアプリでの質感鑑賞における光源位置の制御を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明の一態様は、ディスプレイデバイスおよびタッチパネルを有するコンピューティングデバイスにより実行される光源位置制御方法であって、ディスプレイデバイスに表示される画像上の基準位置を決定するステップと、タッチパネルに対してユーザーにより触れられた位置を検出するステップと、基準位置に基づいて、検出された触れられた位置とは異なる位置に、仮想空間内の光源の位置を決定するステップと、決定した光源の位置に基づいて出力画像を作成するステップと、作成した出力画像をディスプレイデバイスに表示させるステップとを備える。
【0008】
本発明の別の態様は、ディスプレイデバイスおよびタッチパネルを有する光源位置制御装置であって、ディスプレイデバイスに表示される画像上の基準位置を決定する手段と、タッチパネルに対してユーザーにより触れられた位置を検出する手段と、基準位置に基づいて、検出された触れられた位置とは異なる位置に、仮想空間内の光源の位置を決定する手段と、決定した光源の位置に基づいて出力画像を作成する手段と、作成した出力画像をディスプレイデバイスに表示させる手段とを備える。
【0009】
さらに、本発明の別の態様は、ディスプレイデバイスおよびタッチパネルを有するコンピューティングデバイスにより実行される光源位置制御方法であって、ディスプレイデバイスに表示される画像上の基準位置を決定するステップと、タッチパネルに対してユーザーにより触れられた第一の位置を検出するステップと、基準位置および第一の位置に基づいて仮想空間内の第一光源位置を決定するステップと、タッチパネルに対して、ユーザーにより触れられる位置が変化すると、ユーザーにより触れられた第二の位置を検出するステップと、基準位置および第二の位置に基づいて仮想空間内の第二光源位置を決定するステップであって、第一光源位置にある光源の基準位置に対する照射角度と第二光源位置にある光源の基準位置に対する照射角度との差が、第一の位置および基準位置を通る直線と仮想空間内の画像の位置する平面とのなす角度と第二の位置および基準位置を通る直線と仮想空間内の画像の位置する平面とのなす角度との差より大きい、ステップとを備える。
【0010】
さらにまた、本発明の別の態様は、ディスプレイデバイスおよびタッチパネルを有する光源位置制御装置であって、ディスプレイデバイスに表示される画像上の基準位置を決定する手段と、タッチパネルに対してユーザーにより触れられた第一の位置を検出する手段と、基準および第一の位置に基づいて仮想空間内の第一光源位置を決定する手段と、タッチパネルに対して、ユーザーにより触れられる位置が変化すると、ユーザーにより触れられた第二の位置を検出する手段と、基準位置および第二の位置に基づいて仮想空間内の第二光源位置を決定する手段であって、第一光源位置にある光源の基準位置に対する照射角度と第二光源位置にある光源の基準位置に対する照射角度との差が、第一の位置および基準位置を通る直線と仮想空間内の画像の位置する平面とのなす角度と第二の位置および基準位置を通る直線と仮想空間内の画像の位置する平面とのなす角度との差より大きい、手段とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タッチパネル上においてユーザーが触れる位置の変化に応じた、物体の質感のユーザー体験を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる光源位置を制御する装置を示す構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかるGPUの機能ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態にかかる光源位置を制御する方法を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態にかかる光源位置を制御する方法を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態にかかる光源位置を制御する方法を説明するためのタッチパネル上のユーザーが指を使ってタップをしている位置と仮想空間における光源との位置関係を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態にかかる光源位置を制御する方法を説明するためのタッチパネル上のユーザーが指を使ってタップをしている位置と仮想空間における光源との位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態にかかる光源位置を制御する装置を示す構成図である。コンピューティングデバイスであるタブレット端末100において、各ブロックを制御するCPU(中央処理装置)101と、画像処理および画面出力処理をするGPU(グラフィックスプロセッサー)102と、ディスプレイデバイスである液晶パネル103と、入力装置であるタッチパネル104と、プログラムおよびデータを記憶するメインメモリー105と、メインメモリー105からのデータなどを一時的に保管するフラッシュメモリー106とが、バス107を介して相互に接続されている。
【0015】
CPU101は、タッチパネル104から入力された情報を受信して、例えば、
図2~4を参照して後述する、頂点処理、ピクセル処理などに必要な描画情報を作成し、作成した描画情報をGPU102に送信する。ここで、描画情報は、物体の位置に関する情報と、光源に関する情報、例えば、光源の位置、光量、光色などとを含むことができる。
【0016】
GPU102は、CPU101からの描画情報を受信して、例えば、
図2~4を参照して後述する、頂点処理、ラスタライズ処理、ピクセル処理などを実行する。
【0017】
本明細書において、光源位置を制御する装置を、CPU101とGPU102とに分離して実装しているが、CPU101の機能がGPU102の機能を含むことにより、CPU101のみでも実装することができる。
【0018】
本明細書において、液晶パネル103とタッチパネル104を分離しているが、液晶パネル103とタッチパネル104とは一体であってもよい。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態にかかるGPUの機能ブロック図である。GPU102は、CPU101から描画情報を受信する描画情報受信処理部201と、頂点処理を実行する頂点処理部202と、ラスタライズ処理を実行するラスタライズ処理部203と、ピクセル処理を実行するピクセル処理部204と、液晶パネル103に出力画像を表示させる画面出力処理部205とを含んでいる。
【0020】
頂点処理部202は、描画情報受信処理部201において受信された描画情報に含まれるデータに基づいて、3次元モデルを2次元画像として表現するために必要な座標変換の処理と、画面上における3次元モデルの頂点、表面を形成するポリゴンの位置および大きさを決定する処理と、3次元モデルの頂点における照明の計算をする処理とを含む頂点処理を実行する。
【0021】
ラスタライズ処理部203は、頂点処理部202において作成された、頂点、ポリゴンなどに関するデータに基づいて、ピクセルを作成するラスタライズ処理を実行する。
【0022】
ピクセル処理部204は、ラスタライズ処理203において作成されたピクセルに対して、画面上におけるピクセルの色と、3次元モデルの質感を表現するテクスチャの模様とを計算して、ピクセルの色情報を作成するピクセル処理を実行する。
【0023】
画面出力処理部205は、ピクセル処理部204において作成されたピクセルの色情報を、ラスタライズ処理部203において作成されたピクセルに合成して、合成したデータを出力画像として液晶パネル103に画面出力させる。
【0024】
このような構成により、詳細な方法については以下に説明するが、ユーザーに対して物体の繊細な質感を体験させることができる。ここで、本明細書において、質感は、素材や表面の状態の違い、特に、素材による表面反射特性の違いから受ける感じのことをいう。さらに、本明細書において、質感鑑賞は、素材や表面の状態の違い、特に、素材による表面反射特性の違いに接して、味わい理解することをいう。
【0025】
図3、4は、本発明の一実施形態にかかる光源位置を制御する方法を示すフローチャートである。ユーザーによりビューワアプリが起動され、液晶パネル103にデフォルトの画像をGPU102が表示した状態から開始する方法を、後述する
図5をさらに参照して、説明する。
【0026】
ステップS301において、質感鑑賞の対象である、液晶パネル103に表示されている、デフォルトの画像における中心の位置501をCPU101が決定する。また、決定される、液晶パネル103に表示されている、デフォルトの画像における中心の位置501は、代替として、単に液晶パネル103の中心とすることができる。
【0027】
ステップS302において、例えば、ビューワアプリを起動したユーザーなどによって、例えば、指先、ペン先などを使って、例えば、タップ、スワイプ、フリックなどの操作により、液晶パネル103に表示されたデフォルトの画像が触れられる。デフォルトの画像におけるユーザーにより触れられた位置502aを、タッチパネル104上の位置情報としてCPU101が検出する。
【0028】
ステップS303において、デフォルトの画像における中心の位置501とユーザーにより触れられた位置502aとの間の距離をCPU101が計算する。ここで、デフォルトの画像における中心の位置501とユーザーにより触れられた位置502aとの間の、計算された距離をrとおく。デフォルトの画像における中心の位置501とユーザーにより触れられた位置502aとにより作られる線分を、デフォルトの画像における中心の位置501からユーザーにより触れられた位置502aの方へ延長してできる延長線上に、デフォルトの画像における中心の位置501から、例えばrの2倍離れた位置を、仮想空間における光源の位置503aとして、CPU101が決定する。
【0029】
さらに、rの値に応じて光源の光量が増減するよう、光源の光量をCPU101が決定することができる。また、rの値に応じて光源の光色が変化するよう、光源の光色をCPU101が決定することができる。
【0030】
ステップS304において、デフォルトの画像に関する、例えば、形状データ、材質データなどの情報と、ステップS303にて決定された光源の位置および例えば、光量、光色などに関する光源情報とを含む、描画情報のデータを、GPU102に対してCPU101が送信する。
【0031】
ステップS401において、CPU101により送信された描画情報のデータをGPU102が受信する。
【0032】
ステップS402において、受信した描画情報のデータに基づいて、頂点情報をGPU102が作成する。具体的には、3次元モデルを2次元画像として表現するために必要な座標変換の計算を、GPU102が実行する。さらに、画面上における3次元モデルの頂点、表面を形成するポリゴンの位置および大きさを、GPU102が決定する。そして、ステップS303にて決定された光源情報に基づいて、3次元モデルの頂点における照明の計算を、GPU102が実行する。
【0033】
ステップS403において、作成された頂点情報に含まれる頂点、ポリゴンなどに関するデータに基づいてラスタライズ処理を実行し、ピクセルをGPU102が作成する。
【0034】
ステップS404において、作成されたピクセルに対して、ピクセルの色情報をGPU102が決定する。具体的には、ステップS402にて作成した描画情報のデータに基づいて、液晶パネル103に表示する色をGPU102が計算する。さらに、液晶パネル103に表示する画像に対して質感を表現するテクスチャの模様を、GPU102が計算する。ピクセルの色情報には、計算したピクセルの色と、テクスチャの模様とに関する情報を含むことができる。
【0035】
ステップS405において、決定されたピクセルの色情報を、ステップS403にて作成されたピクセルに合成して、出力画像をGPU102が作成する。作成した出力画像を、液晶パネル103にGPU102が表示させる。
【0036】
以上の方法の各ステップを実行するための処理を、タブレット端末100のメインメモリー105に記憶されるプログラムに記述することができる。また、タブレット端末100のメインメモリー105に記憶されるプログラムを、例えば、ハードディスク、USBメモリー、CDなどのコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録することができる。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態にかかる光源位置を制御する方法を説明するためのタッチパネル上のユーザーが指を使ってタップをしている位置と仮想空間における光源との位置関係を示す図である。
図5は、タッチパネル104上に表示されたデフォルトの画像における中心の位置501と、ユーザーにより触れられた位置502aと、仮想空間における光源の位置503aを含む。
【0038】
図6は、本発明の一実施形態にかかる光源位置を制御する方法を説明するためのタッチパネル上のユーザーが指を使ってタップをしている位置と仮想空間における光源との位置関係を示す図である。
図6は、仮想空間においてデフォルトの画像が位置する平面601上のデフォルトの画像における中心の位置501と、タッチパネル104上においてユーザーにより触れられた位置502a、502bと、仮想空間において光源が位置する平面602上の仮想空間における光源の位置503a、503bとを含む。
【0039】
ここで、仮想空間においてデフォルトの画像が位置する平面601と、仮想空間において光源が位置する平面602と、タッチパネル104の表面とは、平行である。
【0040】
タッチパネル104上においてユーザーにより触れられた位置502aに対して、ステップS303において決定された仮想空間における光源の位置503aが対応する。さらに、タッチパネル104上においてユーザーにより触れられた位置502bに対して、ステップS303において決定された仮想空間における光源の位置503bが対応する。
【0041】
図6を参照すれば、タッチパネルに対してユーザーの触れる位置が画像の中心から遠ざかれば遠ざかるほど、光源が画像の中心から離れていく。しかも、ユーザーの触れる位置の移動距離よりも光源の位置の移動距離の方が長い。従って、より鋭角的な指向性において画像に光をあてたような視覚効果を与えることができることを容易に理解することができる。
【0042】
本明細書において、ステップS303にて仮想空間における光源の位置503aを決定する際に、説明の目的として、デフォルトの画像における中心の位置501を基準位置として、仮想空間における光源の位置503aを決定した。別の実施形態においては、デフォルトの画像の他の位置を基準位置として、仮想空間における光源の位置503aを決定することができる。
【0043】
さらに、本明細書において、ステップS303にて仮想空間における光源の位置503aを決定する際に、説明の目的として、デフォルトの画像における中心の位置501からrの2倍離れた位置を光源の位置に決定した。別の実施形態において、2でない係数をrに乗算することにより光源の位置に決定することができる。
【0044】
さらにまた、本明細書において、ステップS303にて仮想空間における光源の位置503aを決定する際に、説明の目的として、デフォルトの画像における中心の位置501からユーザーにより触れられた位置502aの方へ延長してできる延長線上に光源の位置を決定した。別の実施形態において、デフォルトの画像における中心の位置501とユーザーにより触れられた位置502aとにより作られる線分を含み、タッチパネル104の表面と垂直に交わる平面上に、光源の位置を決定することができる。
【0045】
ここで、仮想空間において、ユーザーにより触れられた位置502aおよび中心の位置501を通る直線とデフォルトの画像が位置する平面601とのなす角の大きさをα、ユーザーにより触れられた位置502bおよび中心の位置501を通る直線とデフォルトの画像が位置する平面601とのなす角の大きさをβとおく。仮想空間において、光源の位置503aおよび中心の位置501を通る直線とデフォルトの画像が位置する平面601とのなす角の大きさである、光源の位置503aの照射角度と、光源の位置503bおよび中心の位置501を通る直線とデフォルトの画像が位置する平面601とのなす角の大きさである、光源の位置503bの照射角度との差が、αとβとの差より大きくなるように光源の位置を決定することができる。
【0046】
また、仮想空間において、αとβとの差を大きく変えない場合、デフォルトの画像における中心の位置501からユーザーにより触れられた位置502a、bの方へ延長してできるそれぞれの延長線上に、中心の位置501から一定の距離だけ離れた位置を、それぞれの光源の位置503a、bとしてもよい。
【0047】
また、光源の位置は、デフォルトの画像における中心の位置501からユーザーにより触れられた位置502aの方へ延長してできる延長線上になくてもよい。
【0048】
本明細書において、説明の目的として、ディスプレイデバイスとして液晶パネル103を用いたが、別の実施形態において、液晶パネル103でない、他のフラットパネルディスプレイなどのディスプレイデバイスを用いることができる。
【0049】
本実施形態によれば、画像の中心に対して触れられた位置の外側に光源を置くことによって、ユーザーに、物体の繊細な質感を体験させることができる。
【0050】
さらに、本実施形態によれば、画像の中心に対して触れられた位置の外側に光源を置くことによって、ユーザーがタッチパネル104の表面を触れた状態を維持して、ユーザーにより触れられた位置502aを連続的に変化させると、ユーザーは、物体の繊細な質感に関する動的な変化を鑑賞することができる。
【符号の説明】
【0051】
100 タブレット端末
101 CPU
102 GPU
103 液晶パネル
104 タッチパネル
105 メインメモリー
106 フラッシュメモリー
107 バス
201 描画情報受信処理部
202 頂点処理部
203 ラスタライズ処理部
204 ピクセル処理部
205 画面出力処理部
501 デフォルトの画像における中心の位置
502a ユーザーにより触れられた位置
502b ユーザーにより触れられた位置
503a 仮想空間における光源の位置
503b 仮想空間における光源の位置
601 デフォルトの画像が位置する平面
602 光源が位置する平面