(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】ガイド付顕像化体、表示キット、光透過層及び金型
(51)【国際特許分類】
B42D 25/342 20140101AFI20231102BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20231102BHJP
G09F 19/12 20060101ALI20231102BHJP
B41M 3/14 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B42D25/342
G02B5/18
G09F19/12 H
B41M3/14
(21)【出願番号】P 2019170319
(22)【出願日】2019-09-19
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】井ノロ 雅美
(72)【発明者】
【氏名】前平 誠
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-107483(JP,A)
【文献】特開2005-010341(JP,A)
【文献】特開2000-280664(JP,A)
【文献】特開2016-221917(JP,A)
【文献】特開2011-093153(JP,A)
【文献】特開2017-007228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 25/342
G02B 5/18
G09F 19/12
B41M 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向へ規則的に配列した複数の帯状領域を含み、部分的に隠蔽した場合に顕像化する潜像が前記複数の帯状領域に記録されている表示体と重ね合わされて、前記表示体の前記潜像を顕像化するガイド付顕像化体であって、
第1方向に伸びた形状を各々が有し、前記第1方向と交差する第2方向へ交互に且つ規則的に配列した第1及び第2領域を含み、前記第1領域の各々には、光偏向性を有した光偏向構造が設けられており、前記第2領域の各々は、平坦な前面及び平坦な背面を有している透明領域である光透過層と、
前記複数の帯状領域が前記光透過層の前記第1及び第2領域に対応した部分と向き合い且つ前記帯状領域の長さ方向が前記第1方向と一致するように、前記光透過層に対して前記表示体を位置合わせさせるガイド部と
を備えたガイド付顕像化体。
【請求項2】
前記第1領域の各々の幅W1と前記第2領域の各々の幅W2との比W1/W2は1乃至20の範囲内にある請求項1に記載のガイド付顕像化体。
【請求項3】
前記第1又は第2領域は、50乃至1000μmの範囲内の周期で配列している請求項1又は2に記載のガイド付顕像化体。
【請求項4】
前記光透過層と向き合った裏面層を更に備え、前記表示体は、前記光透過層と前記裏面層との間に位置させるカードであり、前記ガイド部は前記光透過層と前記裏面層との間に設置された請求項1乃至3の何れか1項に記載のガイド付顕像化体。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記第1方向と交差する方向へ各々が伸びた一対の部分を含み、前記一対の部分は、前記光透過層と前記裏面層との間に設置された前記カードを間に挟むように互いから離間している請求項4に記載のガイド付顕像化体。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のガイド付顕像化体と、前記表示体とを具備した表示キット。
【請求項7】
前記複数の帯状領域には同一の画像が記録されている請求項6に記載の表示キット。
【請求項8】
前記複数の帯状領域の1以上は、第1乃至第4サブ領域を各々が含み、前記複数の帯状領域の前記1以上の各々において、前記第1及び第2サブ領域の各々は第1色を表示し、前記第3及び第4サブ領域の各々は、前記第1色とは異なる第2色を表示し、前記第1及び第3サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第2及び第4サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第1及び第2サブ領域は、前記幅方向における位置が異なり、前記第3及び第4サブ領域は、前記幅方向における位置が異なる請求項6又は7に記載の表示キット。
【請求項9】
前記複数の帯状領域の前記1以上は、第5及び第6サブ領域を各々が更に含み、前記複数の帯状領域の前記1以上の各々において、前記第5及び第6サブ領域の各々は、前記第1及び第2色とは異なる第3色を表示し、前記第1、第3及び第5サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第2、第4及び第6サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第5及び第6サブ領域は、前記幅方向における位置が異なる請求項8に記載の表示キット。
【請求項10】
前記複数の帯状領域の前記1以上は、第5及び第6サブ領域を各々が更に含み、前記複数の帯状領域の前記1以上の各々において、前記第5及び第6サブ領域の各々は、前記第1及び第2色とは異なる第3色を表示し、前記第1、第3及び第5サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第2、第4及び第6サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第5及び第6サブ領域は、前記幅方向における位置が等しい請求項8に記載の表示キット。
【請求項11】
前記第1又は第2領域は第1周期P1で配列し、前記複数の帯状領域は第2周期
P2で配列し、前記第1周期P1と前記第2周期P2との比P1/P2は整数からずれている請求項6乃至10の何れか1項に記載の表示キット。
【請求項12】
前記第1又は第2領域は第1周期P1で配列し、前記複数の帯状領域は第2周期P2で配列し、前記第1周期P1と前記第2周期P2との比P1/P2は整数である請求項6乃至10の何れか1項に記載の表示キット。
【請求項13】
第1方向に伸びた形状を各々が有し、前記第1方向と交差する第2方向へ交互に且つ規則的に配列した第1及び第2領域を含み、前記第1領域の各々には、光偏向性を有した光偏向構造が設けられており、前記第2領域の各々は、平坦な前面及び平坦な背面を有している透明領域であ
り、前記第1又は第2領域は、50乃至1000μmの範囲内の周期で配列している光透過層。
【請求項14】
前記第1領域の各々の幅W1と前記第2領域の各々の幅W2との比W1/W2は1乃至20の範囲内にある請求項13に記載の光透過層。
【請求項15】
請求項13
又は14に記載の光透過層の製造に使用するための金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
社員証、運転免許証、及び学生証などのID(identification)カードには、固定情報と個別情報とが、例えば画像として記録されている。画像として記録された固定情報は、模様のように、カード間で共通の画像である。他方、画像として記録された個別情報は、氏名、カード固有番号、及び有効期限などのように、個人やカードを特定するための画像である。このようなIDカードは、例えば、会社、公的機関又はその他施設において、個人の身分を証明するのにしばしば使用されている。
【0003】
IDカードには、その偽造や変造がなされないように、特殊インキを用いた印刷、特殊印刷、及び、顔写真やホログラムの貼着といった対策が講じられている。しかしながら、最近におけるカラー複写機の普及や、高機能化した写真製版装置の出現に伴い、偽造や変造の技術も高度化している。その結果、偽造又は変造したIDカードが不正に使用されるリスクが高まっている。
【0004】
また、肉眼で観察した場合には判別できず、判別には読み取り装置や判別具が必要な情報をIDカードに記録することもある。このように記録された情報は、通常の状態では判別できない。そのため、この技術を併用すると、IDカードの偽造又は変造をより効果的に防止できる。
【0005】
例えば、万線又は網点から各々がなり、互いに隣接した2つの印刷パターンを、IDカードに形成しておく。それら印刷パターン間では、例えば、細線若しくは網点の配列方向を異ならしめるか、又は、細線若しくは網点の位置を半周期だけ異ならしめる。なお、それら印刷パターン間では、肉眼で観察した場合にそれら印刷パターンを互いから区別できないように、単位領域に占める細線又は網点の面積比を等しくする。即ち、それら印刷パターンで潜像を構成する。
【0006】
このIDカードに、細線又は網点からなる隠蔽パターンが設けられた判別フィルムを、例えば、一方の印刷パターンの細線又は網点のほぼ全てが隠蔽パターンの細線又は網点によって隠蔽されるように重ねた場合、他方の印刷パターンの細線又は網点の多くは隠蔽パターンの細線又は網点によって隠蔽されない。その結果、印刷パターンが構成している潜像が顕像化する。この顕像を確認することにより、IDカードが真正品であるか又は偽像若しくは変造品であるかを判別できる。
【0007】
この判別を行うためには、判別フィルムとIDカードとを、それらの万線又は網点の配列方向を厳密に一致させて重ね合わせる必要がある。また、顕像を確認する間、IDカードに対して判別フィルムを手で固定しておく必要がある。この問題を解消するために、上述した判別フィルムとしての機能をカードケースに与えて、カードに対する隠蔽パターンの位置決めを行うようにしたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2000-280664号公報
【文献】特開2006-25899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のカードケースは、所謂、顕像化体である。この顕像化体では、隠蔽パターンは遮光パターンであるため、この隠蔽パターンが、潜像を構成していない可視画像の印刷パターン、例えば、顔画像の印刷パターンと重なり合うと、可視画像の視認性が著しく低下する。
そこで、本発明は、隠蔽パターンが可視画像の印刷パターンと重なり合っても、可視画像の視認性を著しく低下させることがない顕像化体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によると、幅方向へ規則的に配列した複数の帯状領域を含み、部分的に隠蔽した場合に顕像化する潜像が前記複数の帯状領域に記録されている表示体と重ね合わされて、前記表示体の前記潜像を顕像化するガイド付顕像化体であって、第1方向に伸びた形状を各々が有し、前記第1方向と交差する第2方向へ交互に且つ規則的に配列した第1及び第2領域を含み、前記第1領域の各々には、光偏向性を有している光偏向構造が設けられており、前記第2領域の各々は、平坦な前面及び平坦な背面を有している透明領域である光透過層と、前記複数の帯状領域が前記光透過層の前記第1及び第2領域に対応した部分と向き合い且つ前記帯状領域の長さ方向が前記第1方向と一致するように、前記光透過層に対して前記表示体を位置合わせさせるガイド部とを備えたガイド付顕像化体が提供される。
【0011】
第1領域の各々には、光偏向性を有した光偏向構造が設けられている。例えば、第1領域の各々は、光散乱性を有しているか又はレンチキュラとして機能する。そのような第1領域の各々は、光散乱性又は光拡散性を有している。他方、第2領域の各々は、透明層の一部であって、平坦な前面及び平坦な背面を有している領域である。即ち、第2領域の各々は、光散乱性又は光拡散性を有していない透明領域である。それ故、例えば、この光透過層の背面側に鏡面反射体を設置し、光透過層を斜め前方から照明した場合、第2領域は、正反射光を観察可能な角度に、第1領域と比較してより高い強度の光を射出する。
【0012】
それ故、表示体をガイド付顕像化体に対して上記のように設置した場合、例えば、光透過層において第2領域が形成している周期構造と、表示体の帯状領域が形成している周期構造との干渉に起因してモアレを生じる。或いは、帯状領域の少なくとも一部が第1領域によって隠蔽され、表示体をガイド付顕像化体に対して上記のように設置する前とは異なる画像であると観察者に認識される画像が表示される。即ち、潜像が顕像化する。
【0013】
また、このガイド付顕像化体では、第1領域が隠蔽パターンに相当する。第1領域の各々は、透明層の一部であるため、光透過性を有している。それ故、第2領域の配列が、周期構造を含まない印刷パターンと重なり合っていたとしても、この印刷パターンが表示する画像の視認性が著しく低下することはない。即ち、このガイド付顕像化体は、隠蔽パターンが可視画像の印刷パターンと重なり合っても、可視画像の視認性を著しく低下させることがない。
【0014】
本発明の他の側面によると、前記第1領域の各々の幅W1と前記第2領域の各々の幅W2との比W1/W2は1乃至20の範囲内にある上記側面に係るガイド付顕像化体が提供される。比W1/W2を小さくするか又は大きくすると、表示体における帯状領域の配列と、ガイド付顕像化体における第2領域との配列とを重ね合わせることによって生じる画像の変化が分かり難くなる。比W1/W2は、2乃至15の範囲内にあることが好ましい。
【0015】
本発明の更に他の側面によると、前記第2領域の各々の幅W2は、5乃至250μmの範囲内にある上記側面の何れかに係るガイド付顕像化体が提供される。幅W2は、30乃至150μmの範囲内にあることが好ましい。
【0016】
本発明の更に他の側面によると、前記第1又は第2領域は、50乃至1000μmの範囲内の周期で配列している上記側面の何れかに係るガイド付顕像化体が提供される。この周期は、300乃至700μmの範囲内にあることが好ましい。
【0017】
本発明の更に他の側面によると、前記光透過層と向き合った裏面層を更に備え、前記表示体は、前記光透過層と前記裏面層との間に位置させるカードであり、前記ガイド部は前記光透過層と前記裏面層との間に設置された上記側面の何れかに係るガイド付顕像化体が提供される。このようなガイド付顕像化体は、例えば、カードホルダとして使用可能である。
【0018】
本発明の更に他の側面によると、前記ガイド部は、前記第1方向と交差する方向へ各々が伸びた一対の部分を含み、前記一対の部分は、前記光透過層と前記裏面層との間に設置された前記カードを間に挟むように互いから離間している上記側面に係るガイド付顕像化体が提供される。この構造は、上記の位置合わせを特に容易にする。
【0019】
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに係るガイド付顕像化体と、前記表示体とを具備した表示キットが提供される。
【0020】
本発明の更に他の側面によると、前記第1又は第2領域は第1周期P1で配列し、前記複数の帯状領域は第2周期P2で配列し、前記第1周期P1と前記第2周期P2との比P1/P2は整数からずれている上記側面に係る表示キットが提供される。この構成は、上記の位置合わせをした場合に、帯状領域と第1及び第2領域との組み合わせが、モアレを利用した画像表示を行うのに適している。
【0021】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の帯状領域には同一の画像が記録されている上記側面に係る表示キットが提供される。この構成は、上記の位置合わせをした場合に、帯状領域と第1及び第2領域との組み合わせが、例えば、各帯状領域に記録された画像を上記幅方向へ伸張してなる画像と同じ形状を有する画像を表示するのに適している。
【0022】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の帯状領域の1以上は、第1乃至第4サブ領域を各々が含み、前記複数の帯状領域の前記1以上の各々において、前記第1及び第2サブ領域の各々は第1色を表示し、前記第3及び第4サブ領域の各々は、前記第1色とは異なる第2色を表示し、前記第1及び第3サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第2及び第4サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第1及び第2サブ領域は、前記幅方向における位置が異なり、前記第3及び第4サブ領域は、前記幅方向における位置が異なる上記側面の何れかに係る表示キットが提供される。
【0023】
この構成によると、例えば、第1及び第3サブ領域を含む領域と、第2及び第4サブ領域を含む領域とを、肉眼で観察した場合には互いから区別不可能であり、光透過層に対して表示体を上記のように位置合わせすることにより互いから区別可能とすることができる。即ち、第1及び第3サブ領域を含む領域と、第2及び第4サブ領域を含む領域とに、潜像を記録することができる。
【0024】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の帯状領域の前記1以上は、第5及び第6サブ領域を各々が更に含み、前記複数の帯状領域の前記1以上の各々において、前記第5及び第6サブ領域の各々は、前記第1及び第2色とは異なる第3色を表示し、前記第1、第3及び第5サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第2、第4及び第6サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第5及び第6サブ領域は、前記幅方向における位置が異なる上記側面に係る表示キットが提供される。
【0025】
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記複数の帯状領域の前記1以上は、第5及び第6サブ領域を各々が更に含み、前記複数の帯状領域の前記1以上の各々において、前記第5及び第6サブ領域の各々は、前記第1及び第2色とは異なる第3色を表示し、前記第1、第3及び第5サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第2、第4及び第6サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第5及び第6サブ領域は、前記幅方向における位置が等しい上記側面に係る表示キットが提供される。
【0026】
これら構成によると、例えば、第1、第3及び第5サブ領域を含む領域と、第2、第4及び第6サブ領域を含む領域とを、肉眼で観察した場合には互いから区別不可能であり、光透過層に対して表示体を上記のように位置合わせすることにより互いから区別可能とすることができる。即ち、第1、第3及び第5サブ領域を含む領域と、第2、第4及び第6サブ領域を含む領域とに、潜像を記録することができる。
【0027】
本発明の更に他の側面によると、前記第1又は第2領域は第1周期P1で配列し、前記複数の帯状領域は第2周期P2で配列し、前記第1周期P1と前記第2周期P2との比P1/P2は整数からずれている上記側面の何れかに係る表示キットが提供される。この構成は、上記の位置合わせをした場合に、帯状領域と第1及び第2領域との組み合わせが、例えば、各帯状領域に記録された画像を上記幅方向へ伸張してなる画像と同じ形状を有する画像を表示するのに適している。また、この構成は、上述した潜像を顕像化するのに適している。この構成を採用した場合、第1周期P1と第2周期P2との差と第2周期P2との比(P1-P2)/P2は、-0.25乃至-0.10の範囲内にあるか又は0.10乃至0.25の範囲内にあることが好ましい。
【0028】
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記第1又は第2領域は第1周期P1で配列し、前記複数の帯状領域は第2周期P2で配列し、前記第1周期P1と前記第2周期P2との比P1/P2は整数である上記側面の何れかに係る表示キットが提供される。この構成は、上述した潜像を顕像化するのに適している。
【0029】
本発明の更に他の側面によると、前記第2領域の幅W2は、前記複数の帯状領域の配列の周期P2と比較してより小さい上記側面の何れかに係る表示キットが提供される。幅W2と周期P2との比は、1.1乃至2.5の範囲内にあることが好ましく、1.1乃至2.0の範囲内にあることがより好ましい。この比が大きい場合、表示体をガイド付顕像化体に対して上記のように設置することに伴う画像の変化が小さい。この比が小さい場合、表示体をガイド付顕像化体に対して上記のように設置した際に表示される画像が暗くなる。
【0030】
本発明の更に他の側面によると、前記ガイド部は、前記第1方向と交差する方向へ各々が伸びた一対の部分を含み、前記一対の部分は、前記光透過層と前記裏面層との間に設置された前記表示体を間に挟むように互いから離間しており、前記一対の部分間の距離は、前記表示体の幅に対して、110乃至1000%の範囲内にある上記側面の何れかに係る表示キットが提供される。表示体の幅に対する一対の部分間の距離の比が小さいと、表示体を光透過層と裏面層との間に設置することが難しい。この比が大きいと、光透過層に対する表示体の相対位置にずれを生じ易い。この比は、500乃至120%の範囲内にあることが好ましい。
【0031】
本発明の更に他の側面によると、第1方向に伸びた形状を各々が有し、前記第1方向と交差する第2方向へ交互に且つ規則的に配列した第1及び第2領域を含み、前記第1領域の各々は、光散乱性を有しているか又はレンチキュラとして機能し、前記第2領域の各々は、平坦な前面及び平坦な背面を有している透明領域である光透過層が提供される。
【0032】
本発明の更に他の側面によると、ガイド付顕像化体の光透過層について上述した特徴の1以上を含んだ上記側面に係る光透過層が提供される。
【0033】
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに係る光透過層の製造に使用するための金型が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る表示キットが含んでいるガイド付顕像化体を概略的に示す平面図。
【
図2】
図1に示すガイド付顕像化体のII-II線に沿った断面図。
【
図3】
図1及び
図2に示すガイド付顕像化体に使用可能な光透過層の一例を概略的に示す断面図。
【
図4】
図3に示す光透過層の製造に使用可能な金型の一例を概略的に示す断面図。
【
図5】
図4に示す金型の製造方法における一工程を概略的に示す断面図。
【
図6】
図4に示す金型の製造方法における他の工程を概略的に示す断面図。
【
図7】
図1及び
図2に示すガイド付顕像化体に使用可能な光透過層の他の例を概略的に示す断面図。
【
図8】
図7に示す光透過層の製造に使用可能な金型の一例を概略的に示す断面図。
【
図9】
図8に示す金型の製造方法における一工程を概略的に示す断面図。
【
図10】
図1及び
図2に示すガイド付顕像化体と組み合わせて使用され得る表示体の一例を概略的に示す平面図。
【
図12】
図11に示す構造のXII-XII線に沿った断面図。
【
図13】
図1及び
図2に示すガイド付顕像化体と組み合わせて使用され得る表示体の他の例を概略的に示す断面図。
【
図15】ガイド付顕像化体と表示体との配置の一例を概略的に示す平面図。
【
図16】ガイド付顕像化体と表示体との配置の他の例を概略的に示す平面図。
【
図17】本発明の第2実施形態に係る表示キットを概略的に示す平面図。
【
図18】
図17に示す表示キットが含んでいるガイド付顕像化体を概略的に示す平面図。
【
図19】
図17に示す表示キットが含んでいる表示体を概略的に示す平面図。
【
図20】
図17に示す表示キットが表示する画像の一例を概略的に示す平面図。
【
図21】
図17に示す表示キットが表示する画像の他の例を概略的に示す平面図。
【
図22】本発明の第3実施形態に係る表示キットが含んでいるガイド付顕像化体を概略的に示す平面図。
【
図23】本発明の第3実施形態に係る表示キットが含んでいる表示体を概略的に示す平面図。
【
図25】本発明の第4実施形態に係る表示キットが含んでいる表示体を概略的に示す平面図。
【
図27】本発明の第5実施形態に係る表示キットが含んでいるガイド付顕像化体を概略的に示す平面図。
【
図28】本発明の第5実施形態に係る表示キットが含んでいる表示体を概略的に示す平面図。
【
図30】表示体の製造装置の一例を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。なお、同様又は類似した機能を有する要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0036】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示キットが含んでいるガイド付顕像化体を概略的に示す平面図である。
図2は、
図1に示すガイド付顕像化体のII-II線に沿った断面図である。
【0037】
図中、X1方向はガイド付顕像化体の前面に平行な方向であり、Y1方向はガイド付顕像化体の前面に平行であり且つX1方向に対して垂直な方向であり、Z1方向はガイド付顕像化体の厚さ方向、即ち、X1方向及びY1方向に対して垂直な方向である。
【0038】
図1及び
図2に示すガイド付顕像化体10は、カードホルダ又はカードケースである。このガイド付顕像化体10は、裏面層11と前面層12とガイド部13と光透過層14とを含んでいる。
【0039】
裏面層11と前面層12とは向き合っている。ここでは、裏面層11と前面層12とは別々の部品であるが、それらは一体に形成されていてもよい。
【0040】
裏面層11及び前面層12の材料としては、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂を使用することができる。光硬化性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル系樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート(PET)、及びポリプロピレンが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、アクリルニトリルスチレン共重合体樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びアルキド樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、及びポリアセタール樹脂が挙げられる。
【0041】
ガイド部13は、裏面層11と前面層12との間に介在している。ガイド部13は、裏面層11と前面層12との間に隙間を生じさせている。後述する表示体は、この隙間へ挿入される。ガイド部13は、光透過層14に対する表示体の位置合わせを補助する。
【0042】
ガイド部13は、Y1方向へ各々が伸び、互いから離間した一対の部分を含んでいる。表示体は、これら部分の間に設置される。ガイド部13は、X1方向へ伸びた部分を更に含んでいる。Y1方向へ各々が伸びた一対の部分と、X1方向へ伸びた部分とは、略U字型に配置されている。
【0043】
ガイド部13は、例えば、接着剤層である。或いは、ガイド部13は、裏面層11及び前面層12とは別に形成され、それらの少なくとも一方に固定されたものである。或いは、ガイド部13は、裏面層11及び前面層12の一方と一体に形成され、任意に、それらの他方に貼り付けられたものである。
【0044】
光透過層14は、前面層12に貼り付けられている。ここでは、光透過層14と前面層12とは別々の部品であるが、それらは一体に形成されていてもよい。光透過層14の材料としては、例えば、裏面層11及び前面層12について上述したものを使用することができる。
【0045】
光透過層14は、機能部分14aを含んでいる。光透過層14のうち機能部分14a以外の部分は、平坦な前面及び平坦な背面を有している透明部分である。
【0046】
図3は、
図1及び
図2に示すガイド付顕像化体に使用可能な光透過層の一例を概略的に示す断面図である。
図3には、光透過層14のうち、機能部分14aを描いている。
【0047】
この光透過層14の機能部分14aは、第1領域R1と第2領域R2とを含んでいる。第1領域R1及び第2領域R2は、第1方向、ここではX1方向に伸びた形状を各々が有している。また、第1領域R1及び第2領域R2は、第1方向と交差する第2方向、ここではY1方向へ交互に且つ規則的に配列している。
【0048】
第1領域R1の各々は、光散乱性を有している。ここでは、第1領域R1の各々は、一方の表面に、ランダムに配置された凹部又は凸部を有している。第1領域R1の各々は、幅W1を有している。第1領域R1は、Y1方向に第1周期P1で配列している。
【0049】
第2領域R2の各々は、平坦な前面及び平坦な背面を有している透明領域である。これら前面及び背面は互いに平行である。第2領域の各々は、幅W2を有している。第2領域R2は、Y1方向に第1周期P1で配列している。
【0050】
図4は、
図3に示す光透過層の製造に使用可能な金型の一例を概略的に示す断面図である。
【0051】
図4に示す金型20は、金型基材21を有している。金型基材21の一方の主面には、第1領域R1の凹部又は凸部に対応して凸部又は凹部が設けられている。
図3の光透過層14は、例えば、この金型20を用いた射出成型により製造することができる。
【0052】
図5は、
図4に示す金型の製造方法における一工程を概略的に示す断面図である。
図6は、
図4に示す金型の製造方法における他の工程を概略的に示す断面図である。
【0053】
図4に示す金型20は、例えば、以下の方法により製造する。
先ず、
図5に示すように、金型基材21の主面に、マスク層22を形成する。マスク層22は、第2領域R2と機能部分14a以外の部分とに対応したパターンで形成する。
【0054】
マスク層22は、例えば、金型基材21の主面にフォトレジストを塗工し、このフォトレジスト層を部分的に露光し、その後、これを現像することにより得る。或いは、マスク層22は、金型基材21の主面にインキを印刷することにより形成する。
【0055】
この高精細印刷は、例えば、シルクスクリーン印刷又はグラビアオフセット印刷である。グラビアオフセット印刷によると、他の印刷手法に比べて高い精細度を達成することが容易である。
【0056】
インキを構成するワニス(ビヒクル)としては、例えば、ポリエチレン系樹脂及び塩化ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニル系アルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化型ポリ(メタ)アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、アセチルブチルセルロース、及びエチルオキシエチルセルロース等の繊維素系樹脂、塩化ゴム及び環化ゴム等のゴム系樹脂、石油系樹脂、ロジン及びカゼイン等の天然樹脂、アマニ油及び大豆油等の油脂類、並びにその他の樹脂から選ばれる1種又は2種以上の混合物を使用することができる。ワニスには、染料及び顔料等の着色剤、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤、並びにその他の添加剤から選ばれる1種又は2種以上を任意に添加することができる。インキは、これらを溶剤又は希釈剤等とともに十分に混錬することにより得られる。
【0057】
次に、金型基材21の上記主面を、化学的エッチング又は物理的エッチングに供する。例えば、上記主面を、化学腐食、電解腐食、きさげ仕上げ、ワイヤブラシ仕上げ、サンドブラスト、又は液体ホーニングに供する。或いは、上記主面を分散めっき法等の電気めっきに供する。
【0058】
その後、上記主面からマスク層22を除去する。以上のようにして、
図3に示す金型20を得る。なお、このようにして得られた金型20をマザー版として用いて複製版を製造し、この複製版を用いて光透過層14を形成してもよい。
【0059】
図7は、
図1及び
図2に示すガイド付顕像化体に使用可能な光透過層の他の例を概略的に示す断面図である。
【0060】
図7に示す光透過層14では、第1領域R1は、第1領域R1の長さ方向に伸びたレンチキュラとして機能する。これ以外は、
図7に示す光透過層14は、
図3等を参照しながら説明した光透過層14と同様である。
【0061】
図8は、
図7に示す光透過層の製造に使用可能な金型の一例を概略的に示す断面図である。
【0062】
図8に示す金型20は、金型基材21の一方の主面であって第1領域R1に対応した位置に、レンチキュラの凸形状に対応した凹部が設けられていること以外は、
図4等を参照しながら説明した金型20と同様である。
図7の光透過層14は、例えば、この金型20を用いた射出成型により製造することができる。
【0063】
図9は、
図8に示す金型の製造方法における一工程を概略的に示す断面図である。
図8に示す金型20の製造では、例えば、先ず、
図5を参照しながら説明したように、金型基材21の主面上にマスク層22を形成する。次に、この主面を化学的エッチング又は物理的エッチングに供する。その後、金型基材21からマスク層22を除去する。以上のようにして、
図8に示す金型20を得る。
【0064】
光透過層14を製造するための射出成型では、機能部分14aに対応した部分から離れた端から金型20へ樹脂を射出することが好ましい。こうすると、金型20に樹脂を均一に充填すること、即ち、充填不足を防ぐことができる。例えば、金型20のうち機能部分14aに対応した位置に設けられている凹部の一部が樹脂で充填されないという問題が生じるのを回避できる。
【0065】
図10は、
図1及び
図2に示すガイド付顕像化体と組み合わせて使用され得る表示体の一例を概略的に示す平面図である。
図11は、
図10に示す表示体の一部を拡大して示す平面図である。
図12は、
図11に示す構造のXII-XII線に沿った断面図である。
【0066】
図10乃至
図12に示す表示体30は、カードである。この表示体30は、基材31と画像担持層32とを含んでいる。
【0067】
基材31は、例えば、紙である。基材31は、ポリマー基板、金属基板、又はセラミックス基板であってもよい。
【0068】
画像担持層32は、基材31上に設けられている。画像担持層32は、例えば、染料及び顔料の少なくとも一方を含んだ層、感熱発色剤を含んだ層、又はそれらの組み合わせである。染料及び顔料の少なくとも一方を含んだ画像担持層32は、例えば、サーマルヘッドを用いた熱転写記録法、インクジェット記録法、電子写真法、又はそれらの2つ以上の組み合わせを利用して形成することができる。感熱発色剤を含んだ層には、レーザービームで描画することにより画像を記録することができる。ここでは、一例として、画像担持層32は、印刷層321からなるとする。
【0069】
画像担持層32は、文字情報記録部32aと照合画像記録部32bとを含んでいる。
文字情報記録部32aには、表示体30の所有者の個人情報等が文字情報として記録されている。
【0070】
照合画像記録部32bは、第1照合画像記録部32b1と第2照合画像記録部32b2とを含んでいる。第1照合画像記録部32b1には、表示体30の本来の所有者と表示体30を所持している人とが同一であることを確認するための画像、ここでは顔画像が記録されている。第2照合画像記録部32b2には、表示体30が真正品であることを確認するための画像が潜像として記録されている。
【0071】
第2照合画像記録部32b2は、幅方向へ規則的に配列した複数の帯状領域BRを含んでいる。ここでは、帯状領域BRは、長さ方向がX2方向に平行であり、Y2方向へ第2周期P2で配列している。
【0072】
これら帯状領域BRには、同一の画像が記録されている。ここでは、各帯状領域BRには、文字列「JP」を横方向に伸ばしてなる画像が、黒インキを印刷することによって記録されている。
【0073】
帯状領域BRに記録された画像は、黒色でなくてもよい。例えば、帯状領域BRに記録された画像は、シアン、イエロー、及びマゼンタの1以上で構成されたものであってもよい。
【0074】
帯状領域BRに記録する画像を、シアン、イエロー、及びマゼンタの2以上で構成する場合、2色以上のインキは、所定のエリア内で部分的に重なり合ったドットのパターンに印刷することが望ましい。この場合、これをカラー複写機などで再現することは困難であり、高い偽造又は改竄防止効果を達成できる。
【0075】
図13は、
図1及び
図2に示すガイド付顕像化体と組み合わせて使用され得る表示体の他の例を概略的に示す断面図である。
【0076】
図13に示す表示体30では、画像担持層32は、保護層322と着色層323と接着層324とを含んでいる。
【0077】
保護層322は、ポリマーシート又はフィルムである。保護層322の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びポリエチレン(PE)等のプラスチックを使用することができる。
【0078】
着色層323は、保護層322上に設けられている。着色層323は、画像の表示に寄与する。着色層323は、例えば、インクリボンとサーマルヘッドとを用いた熱転写により、保護層322上に形成することができる。
【0079】
接着層324は、着色層323が設けられた保護層322を基材31に接着している。接着強さを高めるために、基材31に接着アンカー層を設け、その上に接着層324を介して保護層322を貼り付けてもよい。
【0080】
【0081】
図14は、表示体30がガイド付顕像化体10内に挿入された状態を描いている。上記の通り、ガイド付顕像化体10は、ガイド部13を含んでいる。ガイド部13は、帯状領域BRが機能部分14aと向き合い且つ帯状領域BRの長さ方向が第1方向と一致するように、光透過層14に対して表示体30を位置合わせすることを補助する。ここでは、ガイド部13は、第2照合画像記録部32b2が機能部分14aと向き合い且つX1及びY1方向がそれぞれX2及びY2方向と一致するように、ガイド付顕像化体10に対する表示体30の相対的な位置を規制する。
【0082】
表示体30をガイド付顕像化体10内に挿入すると、第2照合画像記録部32b2に記録されている潜像が顕像化する。具体的には、各帯状領域BRに記録されている画像が、帯状領域BRの幅方向に伸張されて表示される。これについて、
図15及び
図16を参照しながら説明する。
【0083】
図15は、ガイド付顕像化体と表示体との配置の一例を概略的に示す平面図である。
図16は、ガイド付顕像化体と表示体との配置の他の例を概略的に示す平面図である。
【0084】
図15及び
図16に示すガイド付顕像化体10及び表示体30は、以下の構成を採用したこと以外は、
図1乃至
図14を参照しながら説明したガイド付顕像化体10及び表示体30と同様である。
【0085】
即ち、
図15及び
図16に示す表示体30では、各帯状領域BRは、X2方向とY2方向とに配列した複数のセルCを含んでいる。セルCの一部は第1色を表示し、セルCの残りは、第1色とは異なる第2色を表示する。ここでは、第1色を表示するセルCには、印刷層321が形成されている。各帯状領域BR上で、印刷層321は、横方向に伸びた形状を各々が有し、この横方向がX2方向と平行になるようにX2方向に配列した、上下反転した2つの「T」字型のパターンを形成している。
【0086】
各「T」字型のパターンは、横方向に伸びた形状を各々が有しており且つ高さ方向の寸法が小さいため、肉眼で観察した場合には判別が不可能か又は困難である。即ち、各「T」字型のパターンは、潜像を構成している。
【0087】
また、
図15及び
図16に示すガイド付顕像化体10では、第1領域R1又は第2領域R2は、第1周期P1で配列している。他方、
図15及び
図16に示す表示体30では、帯状領域BRは第2周期P2で配列している。
【0088】
第1周期P1と第2周期P2との比P1/P2は整数からずれている。
図15では、比P1/P2は6/5である。他方、
図16では、比P1/P2は4/5である。
【0089】
図15及び
図16の何れにおいても、第2領域R2の幅W2は、セルCのY2方向における寸法と等しい。
図15では、第1領域R1の幅W1と第2領域R2の幅W2との比W1/W2は5である。他方、
図16では、比W1/W2は3である。
【0090】
図15及び
図16の配置では、帯状領域BRの長さ方向は、第1領域R1及び第2領域R2の長さ方向に対して平行である。
【0091】
上述した構成を採用すると、比P1/P2が整数からずれていることに起因して、幅方向に伸びた形状を有している「T」字型のパターンのうち、第1領域R1によって隠蔽される部分が、帯状領域BR間で変化する。第1領域R1によって隠蔽されると、その部分が表示に及ぼす影響は小さくなる。即ち、第1領域R1によって隠蔽されていない部分が、主に表示へ寄与する。その結果、横方向に伸びた形状を有している「T」字型のパターンを高さ方向に伸張してなるパターンが表示される。即ち、潜像が顕像化する。
【0092】
図10乃至
図12を参照しながら説明した表示体30では、各帯状領域BRには、文字列「JP」を横方向に伸ばしてなる画像が記録されている。従って、
図14に示すように、この表示体30をガイド付顕像化体10内へ挿入すると、横方向に伸びた文字列「JP」を高さ方向に伸張してなるパターンが表示される。即ち、潜像が顕像化する。
【0093】
以上の通り、ガイド付顕像化体10の各第1領域R1は、光散乱性又は光拡散性を有している。他方、各第2領域R2は、光散乱性又は光拡散性を有していない透明領域である。それ故、例えば、光透過層14の背面側に鏡面反射体を設置し、光透過層14を斜め前方から照明した場合、第2領域R2は、正反射光を観察可能な角度に、第1領域R1と比較してより高い強度の光を射出する。また、上記の通り、第1周期P1と第2周期P2との比P1/P2は整数からずれている。それ故、表示体30をガイド付顕像化体10に対して上記のように設置した場合、光透過層14において第2領域R2が形成している周期構造と、表示体30の帯状領域BRが形成している周期構造との干渉に起因してモアレを生じる。
【0094】
また、このガイド付顕像化体10では、第1領域R1が隠蔽パターンに相当する。第1領域R1の各々は、透明層の一部であるため、光透過性を有している。それ故、第2領域R2の配列が、周期構造を含まない印刷パターンと重なり合っていたとしても、この印刷パターンが表示する画像の視認性が著しく低下することはない。即ち、このガイド付顕像化体10は、隠蔽パターンが可視画像の印刷パターンと重なり合っても、可視画像の視認性を著しく低下させることがない。
【0095】
<第2実施形態>
図17は、本発明の第2実施形態に係る表示キットを概略的に示す平面図である。
図18は、
図17に示す表示キットが含んでいるガイド付顕像化体を概略的に示す平面図である。
図19は、
図17に示す表示キットが含んでいる表示体を概略的に示す平面図である。
【0096】
図17乃至
図19に示すガイド付顕像化体及び表示体は、以下の点を除き、第1実施形態において説明したガイド付顕像化体及び表示体と同様である。
【0097】
即ち、
図18のガイド付顕像化体10では、第1領域R1の幅W1と第2領域R2の幅W2との比W1/W2は1である。
【0098】
また、
図19の表示体30では、帯状領域BRの一部は、第1サブ領域SR1と第2サブ領域SR2と第3サブ領域SR3と第4サブ領域SR4とを含んでいる。そして、帯状領域BRの残りは、第1サブ領域SR1及び第3サブ領域SR3のみを含んでいる。第1サブ領域SR1及び第2サブ領域SR2の各々は第1色を表示し、第3サブ領域SR3及び第4サブ領域SR4の各々は、第1色とは異なる第2色を表示する。
【0099】
第1サブ領域SR1と第2サブ領域SR2と第3サブ領域SR3と第4サブ領域SR4とを含んだ各帯状領域BRにおいて、第1サブ領域SR1及び第3サブ領域SR3は幅方向に配列し、第2サブ領域SR2及び第4サブ領域SR4は幅方向に配列している。また、これらサブ領域を含んだ各帯状領域BRにおいて、第1サブ領域SR1及び第2サブ領域SR2は、幅方向における位置が異なり、第3サブ領域SR3及び第4サブ領域SR4は、幅方向における位置が異なる。具体的には、第1サブ領域SR1及び第4サブ領域SR4は長さ方向に隣り合い、第2サブ領域SR2及び第3サブ領域SR3は長さ方向に隣り合っている。第1サブ領域SR1と第2サブ領域SR2と第3サブ領域SR3と第4サブ領域SR4とは、X2方向の寸法が互いに等しい。
【0100】
第1サブ領域SR1及び第3サブ領域SR3のみを含んだ各帯状領域BRにおいて、第1サブ領域SR1及び第3サブ領域SR3は幅方向に配列している。これら帯状領域BRの各々における第1サブ領域SR1及び第3サブ領域SR3の配列順序は、第1サブ領域SR1と第2サブ領域SR2と第3サブ領域SR3と第4サブ領域SR4とを含んだ各帯状領域BRにおける第1サブ領域SR1及び第3サブ領域SR3の配列順序と等しい。また、これら帯状領域BRの各々において、第1サブ領域SR1と第3サブ領域SR3とは、X2方向の寸法が互いに等しい。
【0101】
第1サブ領域SR1と第3サブ領域SR3との配列は、第1表示部DP1を構成している。第2サブ領域SR2と第4サブ領域SR4との配列は、第2表示部DP2を構成している。第2表示部DP2は、
図20に示すように、X2方向に配列した2つの「T」字型パターンを形成している。第1表示部DP1は、それら「T」字型パターンの背景を構成している。
【0102】
上記サブ領域のX2方向における寸法が十分に小さい場合、肉眼で観察したときに、第1表示部DP1と第2表示部DP2とを互いから区別することは不可能であるか又は困難である。ここでは、上記サブ領域のX2方向における寸法は十分に小さく、第1表示部DP1と第2表示部DP2とは潜像を構成していることとする。
【0103】
第2領域R2の幅W2は、各サブ領域のX2方向の寸法と等しい。また、第1領域R1又は第2領域R2の第1周期P1と帯状領域BRの第2周期P2との比P1/P2は整数である。ここでは、第1周期P1は第2周期P2と等しい。
【0104】
図20は、
図17に示す表示キットが表示する画像の一例を概略的に示す平面図である。
図21は、
図17に示す表示キットが表示する画像の他の例を概略的に示す平面図である。
【0105】
第1領域R1が第1サブ領域SR1を隠蔽するように表示体30がガイド付顕像化体10に対して配置されている場合、第4サブ領域SR4も隠蔽される。第1表示部DP1では、第1サブ領域SR1は第1領域R1によって隠蔽されているため、第1サブ領域SR1による第1色の表示が妨げられるが、第1領域R1によって隠蔽されていない第3サブ領域SR3による第2色の表示は妨げられない。また、第2表示部DP2では、第4サブ領域SR4は第1領域R1によって隠蔽されているため、第4サブ領域SR4による第2色の表示が妨げられるが、第1領域R1によって隠蔽されていない第2サブ領域SR2による第1色の表示は妨げられない。従って、
図20に示すように、第1表示部DP1と第2表示部DP2との間で色の相違を生じ、それらは互いから区別可能となる。即ち、潜像が顕像化する。
【0106】
また、第1領域R1が第2サブ領域SR2を隠蔽するように表示体30がガイド付顕像化体10に対して配置されている場合、第3サブ領域SR3も隠蔽される。第1表示部DP1では、第3サブ領域SR3は第1領域R1によって隠蔽されているため、第3サブ領域SR3による第2色の表示が妨げられるが、第1領域R1によって隠蔽されていない第1サブ領域SR1による第1色の表示は妨げられない。また、第2表示部DP2では、第2サブ領域SR2は第1領域R1によって隠蔽されているため、第2サブ領域SR2による第1色の表示が妨げられるが、第1領域R1によって隠蔽されていない第4サブ領域SR4による第2色の表示は妨げられない。従って、
図21に示すように、第1表示部DP1と第2表示部DP2との間で色の相違を生じ、それらは互いから区別可能となる。即ち、潜像が顕像化する。そして、この配置では、
図20を参照しながら説明した配置とは、第1表示部DP1と第2表示部DP2とで色が入れ替わっている。
【0107】
以上の通り、ガイド付顕像化体10の各第1領域R1は、光散乱性又は光拡散性を有している。他方、各第2領域R2は、光散乱性又は光拡散性を有していない透明領域である。それ故、例えば、光透過層14の背面側に鏡面反射体を設置し、光透過層14を斜め前方から照明した場合、第2領域R2は、正反射光を観察可能な角度に、第1領域R1と比較してより高い強度の光を射出する。また、上記の通り、第1周期P1と第2周期P2とは等しい。そして、第1表示部DP1では、第1色を表示する第1サブ領域SR1と第2色を表示する第2サブ領域SR2との帯状領域BRにおける配列順序をこの順とし、第2表示部DP2では、第1色を表示する第2サブ領域SR2と第2色を表示する第4サブ領域SR4との帯状領域BRにおける配列順序を逆順としている。
【0108】
それ故、表示体30をガイド付顕像化体10に対して上記のように設置した場合、第1表示部DP1と第2表示部DP2とが互いから区別可能となり、潜像が顕像化する。即ち、各帯状領域BRの一部が第1領域R1によって隠蔽され、表示体30をガイド付顕像化体10に対して上記のように設置する前とは異なる画像であると観察者に認識される画像が表示される。また、この状態から、ガイド付顕像化体10に対する表示体30の位置を第1周期P1の半分(即ち第2周期P2の半分)だけずらすと、第1表示部DP1と第2表示部DP2との間で色が入れ替わる。
【0109】
また、このガイド付顕像化体10では、第1領域R1が隠蔽パターンに相当する。第1領域R1の各々は、透明層の一部であるため、光透過性を有している。それ故、第2領域R2の配列が、周期構造を含まない印刷パターンと重なり合っていたとしても、この印刷パターンが表示する画像の視認性が著しく低下することはない。即ち、このガイド付顕像化体10は、隠蔽パターンが可視画像の印刷パターンと重なり合っても、可視画像の視認性を著しく低下させることがない。
【0110】
<第3実施形態>
図22は、本発明の第3実施形態に係る表示キットが含んでいるガイド付顕像化体を概略的に示す平面図である。
図23は、本発明の第3実施形態に係る表示キットが含んでいる表示体を概略的に示す平面図である。
【0111】
図22に示すガイド付顕像化体10及び
図23に示す表示体30は、以下の点を除き、第2実施形態において説明したガイド付顕像化体10及び表示体30と同様である。
【0112】
即ち、
図23の表示体30では、帯状領域BRの一部は、第1サブ領域SR1と第2サブ領域SR2と第3サブ領域SR3と第4サブ領域SR4と第5サブ領域SR5と第6サブ領域SR6とを含んでいる。そして、帯状領域BRの残りは、第1サブ領域SR1、第3サブ領域SR3及び第5サブ領域SR5のみを含んでいる。第1サブ領域SR1及び第2サブ領域SR2の各々は第1色を表示し、第3サブ領域SR3及び第4サブ領域SR4の各々は、第1色とは異なる第2色を表示し、第5サブ領域SR5及び第6サブ領域SR6の各々は、第1色及び第2色とは異なる第3色を表示する。
【0113】
第1サブ領域SR1と第2サブ領域SR2と第3サブ領域SR3と第4サブ領域SR4と第5サブ領域SR5と第6サブ領域SR6とを含んだ各帯状領域BRにおいて、第1サブ領域SR1、第3サブ領域SR3及び第5サブ領域SR5は幅方向に配列し、第2サブ領域SR2、第4サブ領域SR4及び第6サブ領域SR6は幅方向に配列している。また、これらサブ領域を含んだ各帯状領域BRにおいて、第1サブ領域SR1及び第2サブ領域SR2は、幅方向における位置が異なり、第3サブ領域SR3及び第4サブ領域SR4は、幅方向における位置が異なり、第5サブ領域SR5及び第6サブ領域SR6は、幅方向における位置が異なる。具体的には、第1サブ領域SR1及び第4サブ領域SR4は長さ方向に隣り合い、第2サブ領域SR2及び第5サブ領域SR5は長さ方向に隣り合い、第3サブ領域SR3及び第6サブ領域SR6は長さ方向に隣り合っている。第1サブ領域SR1と第2サブ領域SR2と第3サブ領域SR3と第4サブ領域SR4と第5サブ領域SR5と第6サブ領域SR6とは、X2方向の寸法が互いに等しい。
【0114】
第1サブ領域SR1、第3サブ領域SR3及び第5サブ領域SR5のみを含んだ各帯状領域BRにおいて、第1サブ領域SR1、第3サブ領域SR3及び第5サブ領域SR5は幅方向に配列している。これら帯状領域BRの各々における、第1サブ領域SR1、第3サブ領域SR3及び第5サブ領域SR5の配列順序は、第1サブ領域SR1と第2サブ領域SR2と第3サブ領域SR3と第4サブ領域SR4と第5サブ領域SR5と第6サブ領域SR6とを含んだ各帯状領域BRにおける、第1サブ領域SR1、第3サブ領域SR3及び第5サブ領域SR5の配列順序と等しい。また、これら帯状領域BRの各々において、第1サブ領域SR1と第3サブ領域SR3と第5サブ領域SR5とは、X2方向の寸法が互いに等しい。
【0115】
第1サブ領域SR1と第3サブ領域SR3と第5サブ領域SR5との配列は、第1表示部DP1を構成している。第2サブ領域SR2と第4サブ領域SR4と第6サブ領域SR6との配列は、第2表示部DP2を構成している。
【0116】
上記サブ領域のX2方向における寸法が十分に小さい場合、肉眼で観察したときに、第1表示部DP1と第2表示部DP2とを互いから区別することは不可能であるか又は困難である。ここでは、上記サブ領域のX2方向における寸法は十分に小さく、第1表示部DP1と第2表示部DP2とは潜像を構成していることとする。
【0117】
第2領域R2の幅W2は、各サブ領域のX2方向の寸法とは異なっている。ここでは、幅W2は、各サブ領域のX2方向の寸法の1.5倍である。
【0118】
また、第1領域R1又は第2領域R2の第1周期P1と帯状領域BRの第2周期P2との比P1/P2は整数である。ここでは、第1周期P1は第2周期P2と等しい。
【0119】
図24は、
図22のガイド付顕像化体と
図23の表示体との配置の一例を概略的に示す平面図である。
【0120】
上記の通り、第1周期P1は第2周期P2と等しく、幅W2は各サブ領域のX2方向の寸法の1.5倍である。
【0121】
従って、例えば、
図24に示すように表示体30がガイド付顕像化体10に対して配置されている場合、第1表示部DP1では、第5サブ領域SR5は第1領域R1によって隠蔽されているため、第5サブ領域SR5による第3色の表示は妨げられる。第3サブ領域SR3は第1領域R1によって部分的に隠蔽されているため、第3サブ領域SR3による第2色の表示は部分的に妨げられる。そして、第1領域R1によって隠蔽されていない第1サブ領域SR1による第1色の表示は妨げられない。
【0122】
また、第2表示部DP2では、第2サブ領域SR2は第1領域R1によって隠蔽されているため、第2サブ領域SR2による第1色の表示は妨げられる。第6サブ領域SR6は第1領域R1によって部分的に隠蔽されているため、第6サブ領域SR6による第3色の表示は部分的に妨げられる。そして、第1領域R1によって隠蔽されていない第4サブ領域SR4による第2色の表示は妨げられない。
【0123】
従って、第1表示部DP1と第2表示部DP2との間で色の相違を生じ、それらは互いから区別可能となる。即ち、潜像が顕像化する。
【0124】
この表示キットは、第2実施形態の表示キットと同様の効果を奏する。また、第2実施形態の表示キットでは、ガイド付顕像化体10に対する表示体30の位置をX2方向(X1方向)へ少しずつずらすと、或る位置で第1表示部DPの色と第2表示部DP2の色とが等しくなる。これに対し、本実施形態の表示キットでは、ガイド付顕像化体10に対する表示体30の位置をX2方向(X1方向)へずらしても、第1表示部DPの色と第2表示部DP2の色とが等しくなることはない。
【0125】
<第4実施形態>
図25は、本発明の第4実施形態に係る表示キットが含んでいる表示体を概略的に示す平面図である。
【0126】
図25に示す表示体30は、以下の点を除き、第3実施形態において説明した表示体30と同様である。
【0127】
即ち、
図25の表示体30では、第1サブ領域SR1、第2サブ領域SR2、第3サブ領域SR3、第4サブ領域SR4、第5サブ領域SR5、及び第6サブ領域SR6を含んだ各帯状領域BRにおいて、第1サブ領域SR1及び第2サブ領域SR2は、幅方向における位置が異なり、第3サブ領域SR3及び第4サブ領域SR4は、幅方向における位置が異なっているが、第5サブ領域SR5及び第6サブ領域SR6は、幅方向における位置が等しい。具体的には、第1サブ領域SR1及び第4サブ領域SR4は長さ方向に隣り合い、第2サブ領域SR2及び第3サブ領域SR3は長さ方向に隣り合い、第5サブ領域SR5及び第6サブ領域SR6は長さ方向に隣り合っている。
【0128】
この表示体30は、例えば、
図22を参照しながら説明したガイド付顕像化体10と組み合わせる。
【0129】
図26は、
図22のガイド付顕像化体と
図25の表示体との配置の一例を概略的に示す平面図である。
【0130】
この表示キットは、第3実施形態の表示キットとほぼ同様の効果を奏する。但し、この表示キットでは、第5サブ領域SR5及び第6サブ領域SR6は長さ方向に隣り合っているため、ガイド付顕像化体10に対する表示体30の位置をX2方向(X1方向)へ少しずつずらすと、或る位置で第1表示部DPの色と第2表示部DP2の色とが等しくなる。
【0131】
<第5実施形態>
図27は、本発明の第5実施形態に係る表示キットが含んでいるガイド付顕像化体を概略的に示す平面図である。
図28は、本発明の第5実施形態に係る表示キットが含んでいる表示体を概略的に示す平面図である。
【0132】
図27に示すガイド付顕像化体10及び
図28に示す表示体30は、以下の点を除き、第3実施形態において説明したガイド付顕像化体10及び表示体30と同様である。
【0133】
即ち、
図27のガイド付顕像化体10では、第1領域R1及び第2領域R2は、各々がX1方向に対して傾いた方向に伸び、それらの幅方向へ交互に配列している。ここでは、一例として、第1領域R1及び第2領域R2の長さ方向は、X1方向に対して45°の角度を成しているとする。
【0134】
また、
図28の表示体30では、帯状領域BRの長さ方向は、X2方向に対して傾いている。ここでは、一例として、帯状領域BRの長さ方向は、X2方向に対して45°の角度を成しているとする。
【0135】
第1サブ領域SR1と第2サブ領域SR2と第3サブ領域SR3と第4サブ領域SR4と第5サブ領域SR5と第6サブ領域SR6とを含んだ各帯状領域BRにおいて、第1サブ領域SR1、第3サブ領域SR3及び第5サブ領域SR5は互いから一定の間隔で離間して幅方向に配列し、第2サブ領域SR2、第4サブ領域SR4及び第6サブ領域SR6は互いから一定の間隔で離間して幅方向に配列している。また、これらサブ領域を含んだ各帯状領域BRにおいて、第1サブ領域SR1、第3サブ領域SR3及び第5サブ領域SR5の各々は、第2サブ領域SR2、第4サブ領域SR4及び第6サブ領域SR6の何れとも、幅方向における位置が異なっている。これらサブ領域は、幅方向の寸法が互いに等しい。
【0136】
第1サブ領域SR1、第3サブ領域SR3及び第5サブ領域SR5のみを含んだ各帯状領域BRにおいて、第1サブ領域SR1、第3サブ領域SR3及び第5サブ領域SR5は、互いから一定の間隔で離間して幅方向に配列している。これら帯状領域BRの各々における、第1サブ領域SR1、第3サブ領域SR3及び第5サブ領域SR5の配列順序は、第1サブ領域SR1と第2サブ領域SR2と第3サブ領域SR3と第4サブ領域SR4と第5サブ領域SR5と第6サブ領域SR6とを含んだ各帯状領域BRにおける、第1サブ領域SR1、第3サブ領域SR3及び第5サブ領域SR5の配列順序と等しい。また、これら帯状領域BRの各々において、それが含んでいるサブ領域は、幅方向の寸法が互いに等しい。
【0137】
上記サブ領域の幅方向における寸法が十分に小さく且つ隣り合ったサブ領域間の距離が十分に短い場合、肉眼で観察したときに、第1表示部DP1と第2表示部DP2とを互いから区別することは不可能であるか又は困難である。ここでは、上記サブ領域の幅方向における寸法は十分に小さく且つ隣り合ったサブ領域間の距離が十分に短く、第1表示部DP1と第2表示部DP2とは潜像を構成していることとする。
【0138】
第1領域R1の幅W1は、各サブ領域の幅と等しい。また、第1周期P1と第2周期P2との比P1/P2は、4/9である。
【0139】
図29は、
図27のガイド付顕像化体と
図28の表示体との配置の一例を概略的に示す平面図である。
上記の通り、第1領域R1の幅W1は各サブ領域の幅と等しく、第1周期P1と第2周期P2との比P1/P2は4/9である。従って、第1表示部DP1及び第2表示部DP2の各々において、サブ領域の配列方向に、第2周期P2よりも長い周期で、色の変化を生じる。この周期が十分に長ければ、第1表示部DP1及び第2表示部DP2の各々における色の変化を、肉眼で確認することができる。また、先の周期が十分に長ければ、第1表示部DP1と第2表示部DP2との境界の位置におけるそれらの色の相違を確認することができる。従って、第1表示部DP1と第2表示部DP2とは、互いから区別可能となる。即ち、潜像が顕像化する。
【0140】
この表示キットは、第3実施形態の表示キットと同様の効果を奏する。また、本実施形態の表示キットによると、第1表示部DP1及び第2表示部DP2の各々における色の周期的な変化を観察することができる。
【実施例】
【0141】
<表示体の製造>
以下のようにして、
図10、
図11及び
図13を参照しながら説明した表示体30を製造した。
【0142】
先ず、基材31を用意した。この基材31に、彩文パターンなどを印刷して、意匠性を付与した。次に、この基材31に対して画像担持層32を設けた。
【0143】
具体的には、先ず、通常の縦横比を有する文字列「JP」の画像を、画像処理ソフトを用いて、横幅が5倍になるように加工した。次に、
図30に示す装置を用いて、転写箔を製造した。
【0144】
図30は、表示体の製造装置の一例を概略的に示す図である。
図30に示す製造装置100は、サーマルヘッド110と、転写ローラ120と、ガイドローラ150とを含んでいる。この製造装置100は、サーマルヘッド110と転写ローラ120との間に、保護層を剥離可能に支持した中間転写媒体130と転写リボン140とを、それらが重なるように案内し、そこで、それらに熱及び圧力を加えることにより、転写リボン140から中間転写媒体130上の保護層へ着色層を転写する。
【0145】
ここでは、転写は、文字情報記録部32a及び第2照合画像記録部32b2の情報がブラックのインキによって表示され、第1照合画像記録部32b1の情報が、シアン、マゼンタ及びイエローのインキによって表示されるように行った。また、ここでは、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの順に転写した。そして、第2照合画像記録部32b2には、文字列「JP」を横方向に伸ばしてなる画像を、高さ方向に380μmの周期で配列するように記録した。
【0146】
その後、中間転写媒体130と基材31とを重ね合わせ、ヒートローラを用いて、保護層322及び着色層323を、中間転写媒体130から基材31上へ転写した。
以上のようにして、表示体30を得た。
【0147】
<ガイド付顕像化体の製造>
以下のようにして、
図1乃至
図3を参照しながら説明したガイド付顕像化体10を製造した。
【0148】
先ず、
図5に示すように、金型基材21上に、グラビアオフセット印刷によってマスク層22を形成した。マスク層22としては、ラインの周期が425μmであり、各ラインの幅が85μmであるラインアンドスペースパターンを形成した。
【0149】
次に、金型基材21のマスク層22を形成した主面のうち、マスク層22で覆われていない部分をサンドブラスト処理して、
図6に示す構造を得た。その後、溶剤を染み込ませたウエスで、この構造からマスク層を拭き取った。以上のようにして、
図4に示す金型20を得た。
【0150】
次いで、この金型20を用いた射出成型を行い、
図1乃至
図3に示す光透過層14を得た。更に、この光透過層14と他の部品とを組み合わせて、
図1及び
図2に示すガイド付顕像化体10を得た。
【0151】
<評価>
以上のようにして得られたガイド付顕像化体10に、上記の表示体30を挿入した。その結果、機能部分14aの位置で、文字列「JP」を横方向に伸ばしてなる画像が、高さ方向に伸張されて表示された。また、機能部分14aの位置では、彩文パターンも視認することができた。
【0152】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、実施形態の2以上を適宜組み合わせて実施してもよく、その場合、組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から組み合わせを選択することにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から1以上の構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
幅方向へ規則的に配列した複数の帯状領域を含み、部分的に隠蔽した場合に顕像化する潜像が前記複数の帯状領域に記録されている表示体と重ね合わされて、前記表示体の前記潜像を顕像化するガイド付顕像化体であって、
第1方向に伸びた形状を各々が有し、前記第1方向と交差する第2方向へ交互に且つ規則的に配列した第1及び第2領域を含み、前記第1領域の各々には、光偏向性を有した光偏向構造が設けられており、前記第2領域の各々は、平坦な前面及び平坦な背面を有している透明領域である光透過層と、
前記複数の帯状領域が前記光透過層の前記第1及び第2領域に対応した部分と向き合い且つ前記帯状領域の長さ方向が前記第1方向と一致するように、前記光透過層に対して前記表示体を位置合わせさせるガイド部と
を備えたガイド付顕像化体。
[2]
前記第1領域の各々の幅W1と前記第2領域の各々の幅W2との比W1/W2は1乃至20の範囲内にある項1に記載のガイド付顕像化体。
[3]
前記第1又は第2領域は、50乃至1000μmの範囲内の周期で配列している項1又は2に記載のガイド付顕像化体。
[4]
前記光透過層と向き合った裏面層を更に備え、前記表示体は、前記光透過層と前記裏面層との間に位置させるカードであり、前記ガイド部は前記光透過層と前記裏面層との間に設置された項1乃至3の何れか1項に記載のガイド付顕像化体。
[5]
前記ガイド部は、前記第1方向と交差する方向へ各々が伸びた一対の部分を含み、前記一対の部分は、前記光透過層と前記裏面層との間に設置された前記カードを間に挟むように互いから離間している項4に記載のガイド付顕像化体。
[6]
項1乃至5の何れか1項に記載のガイド付顕像化体と、前記表示体とを具備した表示キット。
[7]
前記複数の帯状領域には同一の画像が記録されている項6に記載の表示キット。
[8]
前記複数の帯状領域の1以上は、第1乃至第4サブ領域を各々が含み、前記複数の帯状領域の前記1以上の各々において、前記第1及び第2サブ領域の各々は第1色を表示し、前記第3及び第4サブ領域の各々は、前記第1色とは異なる第2色を表示し、前記第1及び第3サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第2及び第4サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第1及び第2サブ領域は、前記幅方向における位置が異なり、前記第3及び第4サブ領域は、前記幅方向における位置が異なる項6又は7に記載の表示キット。
[9]
前記複数の帯状領域の前記1以上は、第5及び第6サブ領域を各々が更に含み、前記複数の帯状領域の前記1以上の各々において、前記第5及び第6サブ領域の各々は、前記第1及び第2色とは異なる第3色を表示し、前記第1、第3及び第5サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第2、第4及び第6サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第5及び第6サブ領域は、前記幅方向における位置が異なる項8に記載の表示キット。
[10]
前記複数の帯状領域の前記1以上は、第5及び第6サブ領域を各々が更に含み、前記複数の帯状領域の前記1以上の各々において、前記第5及び第6サブ領域の各々は、前記第1及び第2色とは異なる第3色を表示し、前記第1、第3及び第5サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第2、第4及び第6サブ領域は前記幅方向に配列し、前記第5及び第6サブ領域は、前記幅方向における位置が等しい項8に記載の表示キット。
[11]
前記第1又は第2領域は第1周期P1で配列し、前記複数の帯状領域は第2周期で配列し、前記第1周期P1と前記第2周期P2との比P1/P2は整数からずれている項6乃至10の何れか1項に記載の表示キット。
[12]
前記第1又は第2領域は第1周期P1で配列し、前記複数の帯状領域は第2周期P2で配列し、前記第1周期P1と前記第2周期P2との比P1/P2は整数である項6乃至10の何れか1項に記載の表示キット。
[13]
第1方向に伸びた形状を各々が有し、前記第1方向と交差する第2方向へ交互に且つ規則的に配列した第1及び第2領域を含み、前記第1領域の各々には、光偏向性を有した光偏向構造が設けられており、前記第2領域の各々は、平坦な前面及び平坦な背面を有している透明領域である光透過層。
[14]
前記第1領域の各々の幅W1と前記第2領域の各々の幅W2との比W1/W2は1乃至20の範囲内にある項13に記載の光透過層。
[15]
前記第1又は第2領域は、50乃至1000μmの範囲内の周期で配列している項13又は14に記載の光透過層。
[16]
項13乃至15の何れか1項に記載の光透過層の製造に使用するための金型。
【符号の説明】
【0153】
10…ガイド付顕像化体、11…裏面層、12…前面層、13…ガイド部、14…光透過層、14a…機能部分、20…金型、21…金型基材、22…マスク層、30…表示体、31…基材、32…画像担持層、32a…文字情報記録部、32b…照合画像記録部、32b1…第1照合画像記録部、32b2…第2照合画像記録部、100…製造装置、110…サーマルヘッド、120…転写ローラ、130…中間転写媒体、140…転写リボン、150…ガイドローラ、321…印刷層、322…保護層、323…着色層、324…接着層、BR…帯状領域、C…セル、DP1…第1表示部、DP2…第2表示部、R1…第1領域、R2…第2領域、SR1…第1サブ領域、SR2…第2サブ領域、SR3…第3サブ領域、SR4…第4サブ領域、SR5…第5サブ領域、SR6…第6サブ領域。