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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】調光シートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20231102BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20231102BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20231102BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G02F1/13 101
B32B7/023
B32B15/08 D
G02F1/13 505
G02F1/1343
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019201377
(22)【出願日】2019-11-06
(65)【公開番号】P2021076640
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉野 昌明
(72)【発明者】
【氏名】玉田 英明
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/068419(WO,A1)
【文献】特開平02-158717(JP,A)
【文献】特開2007-187926(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0092260(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基材フィルムと、前記第1の基材フィルムの一方の面に形成された第1の透明電極層と、を有する第1の透明電極フィルムと、
第2の基材フィルムと、前記第2の基材フィルムの一方の面に形成された第2の透明電極層と、を有する第2の透明電極フィルムと、
前記第1の透明電極層と前記第2の透明電極層とを対向させて配置された前記第1の透明電極フィルムと前記第2の透明電極フィルムとの間に挟持された液晶組成物を含む調光層と、を備え、
前記第1の透明電極層と前記第2の透明電極層は、それぞれ外周部の端部より内側に枠状の絶縁部を有しており、前記枠状の絶縁部より内側の透明電極層である電極部に駆動電圧が印加される構成である調光シートであって、
前記枠状の絶縁部は、前記第1の透明電極フィルムおよび前記第2の透明電極フィルム上に形成された前記第1の透明電極層および前記第2の透明電極層を、前記電極部と、前記枠状の絶縁部よりも外側の透明電極層である外周導電部との間で電気的に絶縁し、
前記第1の透明電極フィルムは、第一切り欠け部を備え、
前記第2の透明電極フィルムは、第二切り欠け部を備え、
前記調光シートの表面と対向する視点から前記調光シートを見た平面視において、
前記第一切り欠け部は、前記第2の透明電極層に駆動電圧を印加するための第二給電電極部と重なり、かつ前記第二給電電極部の領域より大きく、前記第一切り欠け部と前記第2の透明電極フィルムの縁とに囲まれて前記第2の透明電極層の一部を露出した第2接続領域を前記調光シートに区切り、
前記第二切り欠け部は、前記第1の透明電極層に駆動電圧を印加するための第一給電電極部と重なり、かつ前記第一給電電極部の領域より大きく、前記第二切り欠け部と前記第1の透明電極フィルムの縁とに囲まれて前記第1の透明電極層の一部を露出した第1接続領域を前記調光シートに区切り、
前記平面視における前記調光シートのなかで前記絶縁部の配置された領域が絶縁領域であり、
前記平面視における前記調光シートのなかで前記絶縁領域と前記調光シートの縁とに囲まれた領域が導電領域であり、
前記平面視における前記調光シートの外周部が、前記導電領域、前記第1接続領域、および前記第2接続領域から構成され、前記平面視における前記調光シートのなかで前記導電領域、前記第1接続領域、および前記第2接続領域に囲まれた領域が調光領域であり、
前記絶縁領域は、前記調光領域の縁に沿って延び、かつ前記第1接続領域と前記調光領域との境界で途切れる線状を有した主絶縁領域と、前記主絶縁領域が途切れた部分を含み、前記第1接続領域と前記導電領域との境界を区切るように、前記調光シートの縁まで延びる副絶縁領域と、を備える
ことを特徴とする調光シート。
【請求項2】
前記絶縁部は、前記透明電極層が局所的に破壊または変質されて絶縁化した部分であることを特徴とする請求項に記載の調光シート。
【請求項3】
長尺の第1の基材フィルム上に支持された第1の透明電極層を有する長尺の第1の透明電極フィルムに対して、前記第1の透明電極層にレーザを照射して、前記第1の透明電極層のレーザ照射部を変性させてなる枠状の絶縁部を形成する工程と、
長尺の第2の基材フィルム上に支持された第2の透明電極層を有する長尺の第2の透明電極フィルムに対して、前記第2の透明電極層にレーザを照射して、前記第2の透明電極層のレーザ照射部を変性させてなる枠状の絶縁部を形成する工程と、
前記第1の透明電極層と前記第2の透明電極層とを、それぞれの透明電極層に形成した前記枠状の絶縁部が対向する様に配置された前記第1の透明電極フィルムと前記第2の透明電極フィルムとの間に、液晶組成物を含む調光層を挟持してなる長尺の多層体として、ロールツーロール方式で形成する工程と、
前記長尺の多層体を、前記第1の透明電極層と前記第2の透明電極層に形成された前記枠状の絶縁部を取り囲む外周において断裁する工程と、
を含む調光シートの製造方法であって、
前記多層体のなかで断裁された部分である前記調光シートは、前記枠状の絶縁部よりも当該絶縁部を備えた前記透明電極層の内側の部分である電極部に駆動電圧が印加されるように構成され、
前記枠状の絶縁部は、前記第1の透明電極フィルムおよび前記第2の透明電極フィルム上に形成された前記第1の透明電極層および前記第2の透明電極層を、前記電極部と前記枠状の絶縁部より外側の透明電極層である外周導電部との間で電気的に絶縁し、
前記調光シートの製造方法は、
断裁された前記多層体において、
前記第1の透明電極フィルムに第一切り欠け部を形成すること、および
前記第2の透明電極フィルムに第二切り欠け部を形成することをさらに備え、
前記調光シートの表面と対向する視点から前記調光シートを見た平面視において、
前記第一切り欠け部は、前記第2の透明電極層に駆動電圧を印加するための第二給電電極部と重なり、かつ前記第二給電電極部の領域より大きく、前記第一切り欠け部と前記第2の透明電極フィルムの縁とに囲まれて前記第2の透明電極層の一部を露出した第2接続領域を前記調光シートに区切り、
前記第二切り欠け部は、前記第1の透明電極層に駆動電圧を印加するための第一給電電極部と重なり、かつ前記第一給電電極部の領域より大きく、前記第二切り欠け部と前記第1の透明電極フィルムの縁とに囲まれて前記第1の透明電極層の一部を露出した第1接続領域を前記調光シートに区切り、
前記平面視における前記調光シートのなかで前記絶縁部の配置された領域が絶縁領域であり、
前記平面視における前記調光シートのなかで前記絶縁領域と前記調光シートの縁とに囲まれた領域が導電領域であり、
前記平面視における前記調光シートの外周部が、前記導電領域、前記第1接続領域、および前記第2接続領域から構成され、前記平面視における前記調光シートのなかで前記導電領域、前記第1接続領域、および前記第2接続領域に囲まれた領域が調光領域であり、
前記絶縁領域は、前記調光領域の縁に沿って延び、かつ前記第1接続領域と前記調光領域との境界で途切れる線状を有した主絶縁領域と、前記主絶縁領域が途切れた部分を含み、前記第1接続領域と前記導電領域との境界を区切るように、前記調光シートの縁まで延びる副絶縁領域と、を備える
ことを特徴とする調光シートの製造方法。
【請求項4】
長尺の第1の基材フィルム上に支持された第1の透明電極層を有する長尺の第1の透明電極フィルムに対して、前記第1の透明電極層の対向する両端部近傍にレーザを照射して、前記第1の透明電極層のレーザ照射部を変性させてなる2本の線状の絶縁部を形成する工程と、
長尺の第2の基材フィルム上に支持された第2の透明電極層を有する長尺の第2の透明電極フィルムに対して、前記第2の透明電極層の対向する両端部近傍にレーザを照射して、前記第2の透明電極層のレーザ照射部を変性させてなる2本の線状の絶縁部を形成する工程と、
前記第1の透明電極層と前記第2の透明電極層とを、それぞれの透明電極層の両端部近傍に形成した前記線状の絶縁部が対向する様に配置された前記第1の透明電極フィルムと前記第2の透明電極フィルムとの間に、液晶組成物を含む調光層を挟持してなる長尺の多層体として、ロールツーロール方式で形成する工程と、
前記長尺の多層体を断裁して、対向する2辺の端部近傍に線状の絶縁部が形成された矩形の多層体とする工程と、
前記矩形の多層体のうち、前記線状の絶縁部が形成されていない2辺の端部近傍にレーザを照射して、レーザ照射部の前記1透明電極層および第2の透明電極層を変性させてなる2本の線状の絶縁部を形成する工程と、
を含む調光シートの製造方法。
【請求項5】
第1の基材フィルム上に支持された第1の透明電極層を有する矩形に断裁された第1の透明電極フィルムに対して、前記矩形の外周部の端部近傍にあたる前記第1の透明電極層にレーザを照射して、レーザ照射部の前記第1の透明電極層を変性させてなる枠状の絶縁部を形成する工程と、
第2の基材フィルム上に支持された第2の透明電極層を有する矩形に断裁された第2の透明電極フィルムに対して、前記矩形の外周部の端部近傍にあたる前記第2の透明電極層にレーザを照射して、レーザ照射部の前記第2の透明電極層を変性させてなる枠状の絶縁部を形成する工程と、
前記第1の透明電極層と前記第2の透明電極層とを対向させて配置された前記第1の透明電極フィルムと前記第2の透明電極フィルムとの間に、液晶組成物を含む調光層を挟持してなる多層体を形成する工程と、
を含む調光シートの製造方法であって、
前記多層体である前記調光シートは、前記枠状の絶縁部よりも当該絶縁部を備えた透明電極層の内側の部分である電極部に駆動電圧が印加されるように構成され、
前記枠状の絶縁部は、前記第1の透明電極フィルムおよび前記第2の透明電極フィルム上に形成された前記第1の透明電極層および前記第2の透明電極層を、前記電極部と、前記枠状の絶縁部よりも外側の透明電極層である外周導電部との間で電気的に絶縁し、
前記調光シートの製造方法は、
前記第1の透明電極フィルムに第一切り欠け部を形成すること、および
前記第2の透明電極フィルムに第二切り欠け部を形成することをさらに備え、
前記調光シートの表面と対向する視点から前記調光シートを見た平面視において、
前記第一切り欠け部は、前記第2の透明電極層に駆動電圧を印加するための第二給電電極部と重なり、かつ前記第二給電電極部の領域より大きく、前記第一切り欠け部と前記第2の透明電極フィルムの縁とに囲まれて前記第2の透明電極層の一部を露出した第2接続領域を前記調光シートに区切り、
前記第二切り欠け部は、前記第1の透明電極層に駆動電圧を印加するための第一給電電極部と重なり、かつ前記第一給電電極部の領域より大きく、前記第二切り欠け部と前記第1の透明電極フィルムの縁とに囲まれて前記第1の透明電極層の一部を露出した第1接続領域を前記調光シートに区切り、
前記平面視における前記調光シートのなかで前記絶縁部の配置された領域が絶縁領域であり、
前記平面視における前記調光シートのなかで前記絶縁領域と前記調光シートの縁とに囲まれた領域が導電領域であり、
前記平面視における前記調光シートの外周部が、前記導電領域、前記第1接続領域、および前記第2接続領域から構成され、前記平面視における前記調光シートのなかで前記導電領域、前記第1接続領域、および前記第2接続領域に囲まれた領域が調光領域であり、
前記絶縁領域は、前記調光領域の縁に沿って延び、かつ前記第1接続領域と前記調光領域との境界で途切れる線状を有した主絶縁領域と、前記主絶縁領域が途切れた部分を含み、前記第1接続領域と前記導電領域との境界を区切るように、前記調光シートの縁まで延びる副絶縁領域と、を備える
ことを特徴とする調光シートの製造方法。
【請求項6】
レーザ照射による透明電極層への絶縁部の形成工程は、アブレーションによる請求項3から5のいずれか一項に記載の調光シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過率の可変な調光領域を有する調光シートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
調光シートは、液晶組成物を含む調光層と、調光層を挟む一対の透明電極層とを備えている。一対の透明電極層間の電位差に応じて液晶分子の配向状態が変わることにより、調光シートの光透過率が変わる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-187775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
調光シートの使用形態として、屋外と屋内との境界部や温度差の大きい2つの空間の境界部に調光シートが配置される場合等に、雨水や結露等に起因した水分が調光シートに付着することが起こり得る。水滴や導電性の塵などの導電性物質が調光シートの端面に付着すると、当該端面に露出している各透明電極層の端部間に短絡が生じる。本発明は、調光シートの端面への導電性物質の付着に起因した短絡の発生を抑えることのできる調光シートおよび調光シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する調光シートは、
第1の基材フィルムと、前記第1の基材フィルムの上に形成された第1の透明電極層と、を有する第1の透明電極フィルムと、
第2の基材フィルムと、前記第2の基材フィルムの上に形成された第2の透明電極層と、を有する第2の透明電極フィルムと、
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極とを対向させて配置された前記第1の透明電極フィルムと前記第2の透明電極フィルムとの間に挟持された液晶組成物を含む調光層と、を備え、
前記第1の透明電極層と前記第2の透明電極層は、それぞれ外周部の端部近傍に枠状の絶縁部を有しており、前記枠状の絶縁部より内側の透明電極層に駆動電圧が印加される構成であることを特徴とする。
【0006】
前記枠状の絶縁部は、前記第1および第2の透明電極フィルム上に形成された第1および第2の透明電極層を、前記枠状の絶縁部より内側の透明電極層と前記枠状の絶縁部より外側の透明電極層とを電気的に絶縁した構成としても良い。
【0007】
前記第1の透明電極フィルムおよび前記第2の透明電極フィルムはそれぞれ第一切り欠け部および前記第二切り欠け部を有し、
前記透明電極フィルムの前記切り欠け部を除く外周部の端部より内側に枠状の絶縁部を有しており、
前記調光シートの積層方向と直交する平面視方向において、前記第一切り欠け部は前記第2の透明電極層に駆動電圧を印加するための第二給電電極部と重なり、かつ前記第二給電電極部の領域より大きく、
前記第二切り欠け部は前記第1の透明電極層に駆動電圧を印加するための第一給電電極部と重なり、かつ前記第一給電電極部の領域より大きい構成としても良い。
【0008】
前記絶縁部は、透明電極層が局所的に破壊または変質されて絶縁化した部分である。
【0009】
調光シートの外形は矩形であり、前記第1および第2の透明電極層に形成される給電電極部を除いた箇所に、端部から10mm以内の外周に沿って、連続的に前記絶縁部が形成されてなる構成としても良い。
【0010】
本発明による調光シートの製造方法は、
長尺の第1の基材フィルム上に支持された第1の透明電極層を有する長尺の第1の透明電極フィルムに対して、前記第1の透明電極層にレーザを照射して、前記第1の透明電極層のレーザ照射部を変性させてなる枠状の絶縁部を形成する工程と、
長尺の第2の基材フィルム上に支持された第2の透明電極層を有する長尺の第2の透明電極フィルムに対して、前記第2の透明電極層にレーザを照射して、前記第2の透明電極層のレーザ照射部を変性させてなる枠状の絶縁部を複数箇所に形成する工程と、
前記第1の透明電極層と前記第2の透明電極層とを、それぞれの透明電極層に形成した前記枠状の絶縁部が対向する様に配置された前記第1の透明電極フィルムと前記第2の透明電極フィルムとの間に、液晶組成物を含む調光層を挟持してなる長尺の多層体として、ロールツーロール方式で形成する工程と、
前記長尺の多層体を、前記第1の透明電極層と前記第2の透明電極層に形成された前記枠状の絶縁部を取り囲む外周において断裁する工程と、
を含む。
【0011】
本発明による調光シートの製造方法の変形例では、
長尺の第1の基材フィルム上に支持された第1の透明電極層を有する長尺の第1の透明電極フィルムに対して、前記第1の透明電極層の両端部近傍にレーザを照射して、レーザ照射部の前記第1の透明電極層を変性させてなる2本の線状の絶縁部を形成する工程と、
長尺の第2の基材フィルム上に支持された第2の透明電極層を有する長尺の第2の透明電極フィルムに対して、前記第2の透明電極層の両端部近傍にレーザを照射して、レーザ照射部の前記第2の透明電極層を変性させてなる2本の線状の絶縁部を形成する工程と、
前記第1の透明電極層と前記第2の透明電極層とを、それぞれの透明電極層の両端部近傍に形成した前記線状の絶縁部が対向する様に配置された前記第1の透明電極フィルムと前記第2の透明電極フィルムとの間に、液晶組成物を含む調光層を挟持してなる長尺の多層体として、ロールツーロール方式で形成する工程と、
前記長尺の多層体を断裁して、対向する2辺の端部近傍に線状の絶縁部が形成された矩形の多層体とする工程と、
前記矩形の多層体のうち、前記線状の絶縁部が形成されていない2辺の端部近傍にレーザを照射して、レーザ照射部の前記1透明電極層および第2の透明電極層を変性させてなる2本の線状の絶縁部を形成する工程と、
を含む。
【0012】
本発明による調光シートの製造方法の更なる変形例では、
第1の基材フィルム上に支持された第1の透明電極層を有する矩形に断裁された第1の透明電極フィルムに対して、前記矩形の外周部の端部近傍にあたる前記第1の透明電極層にレーザを照射して、レーザ照射部の前記第1の透明電極層を変性させてなる枠状の絶縁部を形成する工程と、
第2の基材フィルム上に支持された第2の透明電極層を有する矩形に断裁された第2の透明電極フィルムに対して、前記矩形の外周部の端部近傍にあたる前記第2の透明電極層にレーザを照射して、レーザ照射部の前記第2の透明電極層を変性させてなる枠状の絶縁部を形成する工程と、
前記第1の透明電極層と前記第2の透明電極層とを対向させて配置された前記第1の透明電極フィルムと前記第2の透明電極フィルムとの間に、液晶組成物を含む調光層を挟持してなる多層体を形成する工程と、
を含む。
【0013】
本発明による調光シートの製造方法におけるレーザ照射による透明電極層への絶縁部の形成工程では、アブレーションが採用される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、調光シートの端面への導電性物質の付着に起因した短絡の発生を抑えることができる。また、電極部が酸化物半導体から構成される場合には、端面への水分の付着に起因して電極部が腐食することも抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】調光シートの第1実施形態について、ノーマルタイプの調光シートの断面構造を示す図。
図2】調光シートの第1実施形態について、リバースタイプの調光シートの断面構造を示す図。
図3】第1実施形態の調光シートの平面構造を示す図。
図4】(a)は、図3におけるIVa-IVa線に沿った断面構造を示す図、(b)は、図3におけるIVb-IVb線に沿った断面構造を示す図。
図5】調光シートの第2実施形態について、調光シートの平面構造を示す図。
図6】(a)は、図18におけるXa-Xa線に沿った断面構造を示す図、(b)は、図5におけるXb-Xb線に沿った断面構造を示す図。
図7】調光シートの製造工程を示す説明図。
図8】第1実施形態の調光シートにおける絶縁部の構成の第1例を示す図。
図9】第1実施形態の調光シートにおける絶縁部の構成の第1例を示す図。
図10】第1実施形態の調光シートにおける絶縁部の構成の第2例を示す図。
図11】第1実施形態の調光シートにおける絶縁部の構成の第2例を示す図。
図12】絶縁部21A,21Bのパターン例を示す説明図。
図13】絶縁部21A,21Bのパターン例を示す説明図。
図14】ロールツーロール方式による調光シートの製造にあたり、各透明電極フィルムに形成する絶縁部21A,21Bのパターン例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
図1図4を参照して、調光シートおよびその製造方法の第1実施形態を説明する。第1実施形態の調光シート10は、ノーマルタイプおよびリバースタイプのいずれかの構造を有する。図1は、ノーマルタイプの調光シート10Nの断面構造を示す。
【0017】
[調光シートの構成]
図1が示すように、ノーマルタイプの調光シート10Nは、調光層11と、一対の透明電極層である第1の透明電極層12Aおよび第2の透明電極層12Bと、一対の透明支持層である第1の基材フィルム13Aおよび第2の基材フィルム13Bとを備えている。第1の基材フィルム13Aと第1の透明電極層12Aとで第1の透明電極フィルムを構成し、第2の基材フィルム13Bと第2の透明電極層12Bとで第2の透明電極フィルムを構成する。第1の透明電極層12Aと第2の透明電極層12Bとは、調光層11を挟み、第1の基材フィルム13Aと第2の基材フィルム13Bとは、調光層11および透明電極層12A,12Bを挟んでいる。第1の基材フィルム13Aは、第1の透明電極層12Aを支持し、第2の基材フィルム13Bは、第2の透明電極層12Bを支持している。調光シート10Nを構成する上述の各層は、いずれも、調光シート10Nの端面10Eまで延びている。
【0018】
調光シート10Nは、透明板50に取り付けられている。具体的には、調光シート10Nの裏面が、透明粘着層51を介して、透明板50の表面に貼り付けられている。調光シート10Nの裏面は、第2の基材フィルム13Bにおける第2の透明電極層12Bに接する面とは反対側の面である。透明板50は、ガラスや樹脂等からなる透明な板状の部材である。透明板50は、単層構造を有していてもよいし、複層構造を有していてもよい。また、透明板50の表面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。具体的には、透明板50は、例えば、窓ガラスやガラス壁等の建材であってもよいし、自動車の窓ガラス等の車両用部材であってもよい。
【0019】
第1の透明電極層12Aは、電極部20Aと、絶縁部21Aと、外周導電部22Aとを有している。電極部20Aは、第1の透明電極層12Aにおける面方向の中央部を含む領域に位置する。面方向は、各層の広がる方向であって、言い換えれば、調光シート10の表面に沿った方向であり、積層方向と直交する方向である。外周導電部22Aは、第1の透明電極層12Aにおける面方向の端部に位置し、外周導電部22Aの端面は、調光シート10Nの端面10Eの一部を構成している。絶縁部21Aは、電極部20Aと外周導電部22Aとの各々に隣接し、これら電極部20Aと外周導電部22Aとに挟まれている。すなわち、端面10Eに近い位置から、面方向に沿って、外周導電部22A,絶縁部21A,電極部20Aは、この順に位置する。外周導電部22Aと絶縁部21Aとの各々は、調光シート10Nの表面と対向する位置から見て、調光層11と重なる位置に配置されている。
【0020】
第1の透明電極層12Aと同様に、第2の透明電極層12Bは、電極部20Bと、絶縁部21Bと、外周導電部22Bとを有している。電極部20Bは、第2の透明電極層12Bにおける面方向の中央部を含む領域に位置する。外周導電部22Bは、第2の透明電極層12Bにおける面方向の端部に位置し、外周導電部22Bの端面は、調光シート10Nの端面10Eの一部を構成する。絶縁部21Bは、電極部20Bと外周導電部22Bとの各々に隣接し、面方向に沿って電極部20Bと外周導電部22Bとに挟まれている。
【0021】
電極部20A,20Bは、駆動電圧が印加されることにより、調光層11を挟む電極として機能する。絶縁部21A,21Bは絶縁性を有し、外周導電部22A,22Bは導電性を有する。外周導電部22Aは、絶縁部21Aの介在によって電極部20Aとは絶縁されており、外周導電部22Bは、絶縁部21Bの介在によって電極部20Bとは絶縁されている。すなわち、外周導電部22A,22Bには駆動電圧は印加されない。
【0022】
電極部20Aと電極部20Bとは、調光層11を挟んで対向し、絶縁部21Aと絶縁部21Bとは、調光層11を挟んで対向し、外周導電部22Aと外周導電部22Bとは、調光層11を挟んで対向している。調光シート10Nの表面と対向する位置から見た平面視において、電極部20Aが位置する領域と電極部20Bが位置する領域とは、電極部20A,20Bに配線部が接続される領域を除いて一致する。また、上記平面視において、絶縁部21Aが位置する領域と絶縁部21Bが位置する領域とは一致しており、外周導電部22Aが位置する領域と外周導電部22Bが位置する領域とは一致している。
【0023】
上記平面視において調光シート10Nが有する領域のなかで、電極部20Aと電極部20Bとに調光層11が挟まれている領域は、光透過率が可変な調光領域SLである。ノーマルタイプにおいては、電極部20A,20Bに駆動電圧が印加されているとき、調光層11が含む液晶分子が配向され、液晶分子の長軸方向が電極部20A,20B間の電界方向に沿った向きとなる。その結果、調光層11を光が透過しやすくなるため、調光領域SLは、透明になる。一方、電極部20A,20Bに駆動電圧が印加されていないとき、液晶分子の長軸方向の向きは不規則になる。そのため、調光層11に入射した光は散乱する。その結果、調光領域SLは白濁して不透明になる。
【0024】
図2は、リバースタイプの調光シート10Rの断面構造を示す。リバースタイプの調光シート10Rは、調光層11、透明電極層12A,12B、基材フィルム13A,13Bに加えて、調光層11を挟む一対の配向層である第1配向層14Aおよび第2配向層14Bを備えている。リバースタイプでは、第1の基材フィルム13Aと第1の透明電極層12Aと第1配向層14Aとで第1の透明電極フィルムを構成し、第2の基材フィルム13Bと第2の透明電極層12Bと第2配向層14Bとで第2の透明電極フィルムを構成する。第1配向層14Aは、調光層11と第1の透明電極層12Aとの間に位置し、第2配向層14Bは、調光層11と第2の透明電極層12Bとの間に位置する。第1の透明電極層12Aの構成および第2の透明電極層12Bの構成は、ノーマルタイプと同様である。
【0025】
配向層14A,14Bは、例えば、垂直配向膜である。配向層14A,14Bは、第1の透明電極層12Aと第2の透明電極層12Bとが等電位であるときに、調光層11が含む液晶分子の長軸方向を、配向層14A,14Bの法線方向に沿わせるように、液晶分子を配向する。一方、配向層14A,14Bは、透明電極層12A,12B間に電位差が生じているときに、調光層11が含む液晶分子の長軸方向を上記法線方向以外の方向に変更可能にする。
【0026】
リバースタイプにおいては、電極部20A,20Bに駆動電圧が印加されているとき、調光層11に含まれる液晶分子の長軸方向の向きが、配向層14A,14Bの法線方向とは異なった向きになる。その結果、調光領域SLは不透明になる。一方、電極部20A,20Bに駆動電圧が印加されていないとき、液晶分子の長軸方向が配向層14A,14Bの法線方向に沿った向きとなる。その結果、調光領域SLは透明になる。
【0027】
ノーマルタイプとリバースタイプとで、調光シート10の平面構造は同一である。図3は、透明板50に取り付けられた調光シート10の平面図であって、絶縁部21A,21Bが位置する領域を、ドットを付して示している。
【0028】
図3が示すように、調光シート10の表面と対向する位置から見た平面視において、絶縁部21A,21Bが位置する領域が絶縁領域SIであり、外周導電部22A,22Bが位置する領域が導電領域SOである。上記平面視において、絶縁領域SIは、調光領域SLの外側に位置し、調光領域SLの外縁に沿って延びている。さらに、絶縁領域SIの外側に導電領域SOが位置し、導電領域SOは絶縁領域SIの外縁に沿って延びている。絶縁領域SIは、調光領域SLの全体を囲む環状あるいは枠状のパターンであり、導電領域SOは、調光領域SLおよび絶縁領域SIの全体を囲む環状あるいは枠状のパターンである。なお、絶縁部21A,21Bは、絶縁領域SIが延びる方向に沿って、絶縁性を有する部分が連続的に並ぶ構成を有している。
【0029】
上記平面視において、導電領域SOの幅WOは、1mm以上10mm以下であることが好ましい。幅WOが1mm以上であれば、導電領域SOが細すぎないため、外周導電部22A,22Bの形成が容易である。また、透明電極層12A,12Bと厚さ方向に隣接する層に対する外周導電部22A,22Bの密着力が十分に得られる。幅WOが10mm以下であれば、調光領域SLが小さくなることが抑えられる。なお、導電領域SOの幅方向の長さが一定ではない場合、幅WOは導電領域SOの幅方向の長さの平均値である。
【0030】
また、絶縁領域SIの幅WIは、導電領域SOの幅WO以下であることが好ましい。幅WIが幅WO以下であれば、調光領域SLが小さくなることが抑えられる。また、絶縁部21A,21Bによる絶縁性を高めるためには、絶縁領域SIの幅WIは5μm以上であ
ることが好ましい。なお、絶縁領域SIの幅方向の長さが一定ではない場合、幅WIは絶縁領域SIの幅方向の長さの平均値である。
【0031】
上記平面視において、調光シート10は、絶縁領域SIに囲まれる範囲内に、調光領域SLと、第1の透明電極層12Aの電極部20Aを駆動回路と接続するための第1接続領域SAと、第2の透明電極層12Bの電極部20Bを駆動回路と接続するための第2接続領域SBとを有している。絶縁領域SIに囲まれる範囲内において、接続領域SA,SB以外の領域は調光領域SLである。
【0032】
接続領域SA,SBは、絶縁領域SIに囲まれる範囲内において、絶縁領域SIから離れていてもよいし、絶縁領域SIに接していてもよい。図3では、接続領域SA,SBが絶縁領域SIから離れている形態を例示している。言い換えれば、第1接続領域SAと第2接続領域SBの各々は、調光領域SLに囲まれている。接続領域SA,SBが絶縁領域SIから離れている方が、接続領域SA,SBと絶縁領域SIとの位置合わせに高い精度を要さないため、接続領域SA,SBおよび絶縁領域SIの形成が容易である。第1接続領域SAと第2接続領域SBとの位置関係は特に限定されないが、例えば、第1接続領域SAと第2接続領域SBとは、矩形形状の調光シート10の一辺に沿った方向に並ぶ。
【0033】
第1接続領域SAには、第1配線部40Aが接続され、第2接続領域SBには、第2配線部40Bが接続されている。第1の透明電極層12Aの電極部20Aは、第1配線部40Aを通じて駆動回路に接続され、第2の透明電極層12Bの電極部20Bは、第2配線部40Bを通じて駆動回路に接続される。駆動回路は、電源から受ける電圧を駆動電圧に変換して配線部40A,40Bを通じて電極部20A,20Bに印加する。
【0034】
図4を参照して、接続領域SA,SBの付近の構造を説明する。なお、図4では、ノーマルタイプの調光シート10Nの構造を例示している。
【0035】
図4(a)が示すように、第1接続領域SAにおいては、第1の透明電極層12Aの一方の面が、調光層11、第2の透明電極層12B、および、第2の基材フィルム13Bを含む調光シート10の他の層から露出されて、透明板50と対向する。第1の基材フィルム13Aは、第1の透明電極層12Aを支持して調光シート10の表面を構成する。
【0036】
調光領域SLと第1接続領域SAとの間で第1の透明電極層12Aは連続しており、調光領域SLと第1接続領域SAとのいずれにも電極部20Aが位置する。第1接続領域SAにて電極部20Aに第1配線部40Aが接続される。
【0037】
第1配線部40Aは、電極部20Aと駆動回路とを導通可能な構成を有していればよい。例えば、第1配線部40Aは、導電性接着層41Aと、リード線42Aと、はんだ部43Aとを備える。導電性接着層41Aは、例えば、銅テープ等の導電テープから構成される。導電性接着層41Aが、第1接続領域SAにて電極部20Aの表面に接合し、導電性接着層41Aの表面に、リード線42Aがはんだ部43Aによって固定されている。また、フレキシブルプリント配線板でもよい。
【0038】
図4(b)が示すように、第2接続領域SBにおいては、第2の透明電極層12Bの一方の面が、調光層11、第1の透明電極層12A、および、第1の基材フィルム13Aを含む調光シート10の他の層から露出されて、調光シート10の最外面を構成する。第2の基材フィルム13Bは、第2の透明電極層12Bを支持して透明粘着層51に接する。
【0039】
調光領域SLと第2接続領域SBとの間で第2の透明電極層12Bは連続しており、調光領域SLと第2接続領域SBとのいずれにも電極部20Bが位置する。第2接続領域S
Bにて電極部20Bに第2配線部40Bが接続される。
【0040】
第2配線部40Bは、電極部20Bと駆動回路とを導通可能な構成を有していればよく、例えば、第1配線部40Aと同様に、導電性接着層41Bと、リード線42Bと、はんだ部43Bとを備える。導電性接着層41Bが、第2接続領域SBにて電極部20Bの表面に接合し、導電性接着層41Bの表面に、リード線42Bがはんだ部43Bによって固定されている。また、フレキシブルプリント配線板でもよい。
【0041】
(第2実施形態)
図5および図6を参照して、調光シート、および、調光シートの製造方法の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、接続領域SA,SBおよび絶縁部21A,21Bの配置が第1実施形態と異なる。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。なお、第2実施形態の調光シートにも、ノーマルタイプとリバースタイプとのいずれの構造も適用可能である。
【0042】
[調光シートの構成]
図5が示すように、第2実施形態の調光シート15は、表面と対向する位置から見た平面視にて矩形形状を有し、その角部に接続領域SA,SBを有している。詳細には、第1接続領域SAと第2接続領域SBとは、調光シート15の一辺に沿って並ぶ。そして、第1接続領域SAは、当該一片が延びる方向における調光シート15の一方の端部に位置し、第2接続領域SBは、当該一片が延びる方向における調光シート15の他方の端部に位置する。
【0043】
調光シート15の角部にて、接続領域SA,SBの外縁は調光シート15の外縁を構成する。すなわち、上記平面視にて、接続領域SA,SBは、絶縁部21A,21Bおよび外周導電部22A,22Bの各々には囲まれておらず、調光領域SLにも囲まれていない。
【0044】
上記平面視において、絶縁領域SIは、調光領域SLの外側に位置する。ただし、絶縁領域SIは、調光領域SLの全体を囲んではいない。第1接続領域SAの周囲の少なくとも一部、および、第2接続領域SBの周囲の少なくとも一部には、絶縁領域SIが配置されていない。
【0045】
絶縁領域SIには、調光領域SLの外側で調光領域SLの外縁に沿って延びる主絶縁領域SIaと、主絶縁領域SIaの端部から調光シート15の外縁まで延びる副絶縁領域SIbとが含まれる。主絶縁領域SIaは、第1接続領域SAの周囲で途切れ、主絶縁領域SIaが途切れている部分で調光領域SLと第1接続領域SAとが隣接している。また、主絶縁領域SIaは、第2接続領域SBの周囲で途切れ、主絶縁領域SIaが途切れている部分で調光領域SLと第2接続領域SBとが隣接している。そして、主絶縁領域SIaの途切れている端部から、副絶縁領域SIbが、調光シート15の外縁まで延びている。これにより、絶縁領域SIと調光シート15の外縁とによって囲まれて、調光領域SLと分離された導電領域SOが形成されている。導電領域SOは、調光領域SLの外側に位置するが、調光領域SLの全体を囲んではいない。
【0046】
図5に例示する形態では、調光領域SLは略矩形形状を有しており、調光領域SLの一辺に沿った部分で調光領域SLと第1接続領域SAとが隣接し、この隣接部分で主絶縁領域SIaが途切れている。そして、主絶縁領域SIaの途切れている端部の各々から、第1接続領域SAに沿って、副絶縁領域SIbが、調光シート15の外縁まで延びている。また、調光領域SLの上記一辺に沿った部分で調光領域SLと第2接続領域SBとが隣接し、この隣接部分でも、主絶縁領域SIaが途切れている。そして、主絶縁領域SIaの途切れている端部の各々から、第2接続領域SBに沿って、副絶縁領域SIbが、調光シ
ート15の外縁まで延びている。
【0047】
なお、調光領域SLの形状および絶縁領域SIの配置は、図5に示した例に限られない。調光領域SLの外縁に沿って絶縁領域SIが位置する一方で、絶縁領域SIが配置されておらず調光領域SLと接続領域SA,SBとが隣接する部分が設けられ、かつ、絶縁領域SIによって調光領域SLと導電領域SOが分離されていればよい。
【0048】
図6を参照して、接続領域SA,SBの付近の構造を説明する。なお、図6では、ノーマルタイプの構造を例示している。図6(a)が示すように、第1実施形態と同様、第1接続領域SAにおいては、第1の透明電極層12Aの一方の面が、調光シート15の他の層から露出されて、透明板50と対向する。絶縁領域SIが途切れている部分において、調光領域SLと第1接続領域SAとの間で電極部20Aは連続している。第1接続領域SAにて電極部20Aに第1配線部40Aが接続されることにより、第1配線部40Aを通じて、調光領域SLの電極部20Aに駆動電圧が印加される。
【0049】
図6(b)が示すように、第1実施形態と同様、第2接続領域SBにおいては、第2の透明電極層12Bの一方の面が、調光シート15の他の層から露出されて、調光シート15の最外面を構成する。絶縁領域SIが途切れている部分において、調光領域SLと第2接続領域SBとの間で電極部20Bは連続している。第2接続領域SBにて電極部20Bに第2配線部40Bが接続されることにより、第2配線部40Bを通じて、調光領域SLの電極部20Bに駆動電圧が印加される。
【0050】
[調光シートの製造方法]
上述した実施形態1,2に係る調光シートの製造方法を、ノーマルタイプの調光シートを例に、絶縁部の形成手法を中心に説明する。尚、説明の便宜上、実際の縮尺とは異なるサイズで誇張して図示する場合もある。
【0051】
調光シート10は、調光層11、透明電極層12A,12B、基材フィルム13A,13Bが積層された大判のシートからの切り出しによって、貼付対象に応じた所望の形状に形成される。本実施形態においては、長尺の基材フィルム13に透明電極層12が成膜されてなる長尺の透明電極フィルムを用いたロールツーロール(roll to roll)方式を採用して、大判のシートを製造する。
【0052】
調光層11は、液晶組成物を含む。調光層11は、例えば、高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、カプセル型ネマティック液晶(NCAP:Nematic Curvilinear Aligned Phase)等から構成される。例えば、高分子ネットワーク型液晶は、3次元の網目状を有した高分子ネットワークを備え、高分子ネットワークが有する空隙に液晶分子を保持する。調光層11が含む液晶分子は、例えば、誘電率異方性が正であって、液晶分子の長軸方向の誘電率が液晶分子の短軸方向の誘電率よりも大きい。液晶分子は、例えば、シッフ塩基系,アゾ系,アゾキシ系,ビフェニル系,ターフェニル系,安息香酸エステル系,トラン系,ピリミジン系,シクロヘキサンカルボン酸エステル系,フェニルシクロヘキサン系,ジオキサン系の液晶分子である。以降の説明では、調光層11にPNLCを採用する場合について説明する。PNLCは、液晶層内部の網目状の高分子繊維に沿って液晶分子が不規則に並んだ状態では、表示が不透明(散乱状態)となり、液晶分子が表示面に対して垂直に整列した状態では、表示が透明(透過状態)になる。
【0053】
なお、調光層11は、所定の色を有する色素であって、調光層11に印加された電圧の大きさに応じた液晶分子の運動を妨げない色素を含んでもよい。こうした構成によれば、
所定の色を有する調光領域SLが実現される。
【0054】
透明電極層12A,12Bを構成する材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO),フッ素ドープ酸化スズ(FTO),酸化スズ,酸化亜鉛,カーボンナノチューブ(CNT),ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を含むポリマー,Ag合金薄膜を含む多層膜等が挙げられる。
【0055】
第1の基材フィルム13Aおよび第2の基材フィルム13Bの各々は、透明な基材である。透明支持層13A,13Bとしては、例えば、ガラス基板やシリコン基板、あるいは、ポリエチレン,ポリスチレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリビニルアルコール,ポリカーボネート,ポリ塩化ビニル,ポリイミド,ポリサルホン,シクロオレフィンポリマー,トリアセチルセルロース等からなる高分子フィルムが用いられる。
【0056】
図7(a)は、基材フィルム13A,13Bに透明電極層12A,12Bが成膜されてなる透明電極フィルムの概略断面図である。
【0057】
本発明では、所望のサイズおよび形状に切り出されて調光シート10となる場合の調光領域SL(電極部20A,20B),導電領域SO(外周導電部22A,22B)接続領域SA,SBとなる予定の領域を、予め区画するための絶縁部21A,21B(絶縁領域SIに該当)を透明電極フィルムの透明電極層12A,12Bに形成しておくことが主要な特徴となっている。
【0058】
透明電極層12(A,B)に絶縁部21(A,B)を形成する手法として、レーザ照射による透明電極層12(A,B)のアブレーションあるいは変性を採用する。基材フィルム13Aに透明電極層12Aが成膜された透明電極フィルムについて説明する。図7(b)に示すように、レーザ装置60から透明電極フィルムの透明電極層12Aに焦点を合わせてレーザLaを照射する。これにより、レーザ照射部の透明電極層12Aが変性あるいは切断され、絶縁性を有する部分が形成されて、第1の透明電極層12Aに、絶縁部21Aと、絶縁部21Aによって区分けされた電極部20Aおよび外周導電部22Aとが形成される。
【0059】
透明電極層12(A,B)へのレーザ照射による絶縁部21(A,B)の形成は、透明電極フィルムの段階で2枚が別々に行なわれるとは限らず、調光シート10の製造過程または所定サイズ・形状に調光シート10を切り出した後で行われる場合もある。その場合は、アブレーションでなく、透明電極層12のみが変性されるレーザ照射が要求される。
【0060】
図7(b)のように透明電極層12側からのレーザ照射でなく、基材フィルム13と対向する位置から、基材フィルム13を透過させて透明電極層12に焦点を合わせてレーザLaを照射してもよい。基材フィルム13の少なくとも外表面はレーザLaによって改質されず、透明電極層12に絶縁性を有する部分が形成されることによって絶縁部21が形成される。
【0061】
レーザ照射に用いられるレーザの媒質および波長は特に限定されない。レーザとしては、例えば、Nd:YAGレーザ,Nd:YVO4レーザ,CO2レーザ,半導体レーザ等が利用可能である。レーザの波長としては、例えば、赤外領域の波長が利用される。レーザの発振方式は連続発振であってもよいし、パルス発振であってもよい。尚、レーザLaの照射により絶縁部が形成されるメカニズムおよび各種照射パターンについては後述する。
【0062】
図7(c)は、ロールツーロール方式による調光シート製造装置の概略構成図である。それぞれ所定箇所に絶縁部が形成された透明電極層12A,12Bが基材フィルム13a
,13Bに支持されてなる第1,第2の透明電極フィルムが、互いの透明電極層12A,12Bの形成面側を対向させてロール70A,70Bから巻き出される。PNLCの塗工ユニット80で透明電極層12A,12B間に液晶材料と光重合性化合物が封入される。
【0063】
PNLCの駆動電圧は、一般にポリマーネットワークの構造上の特性(ドメインの大きさや形状,ポリマーネットワークの膜厚など)に依存しており、ポリマーネットワークの構造と、得られる光透過と散乱の度合いとの関係において、駆動電圧が決定されている。100V以下の電圧領域において、十分な光透過と散乱の度合いが得られるようなPNLCを構成するには、各ドメインがいずれも適正な大きさで均一となるように、かつ、形状も均一となるようにポリマーネットワークを形成する必要がある。本発明では、ポリマーネットワーク構造に依存するドメインサイズを好ましくは2μm以下、一層好ましくは約1μmとなる様に制御する。
【0064】
製造方法の詳細については、九州ナノテック光学株式会社による特許第4387931号に説明されており、本実施形態においても、調光層11となるPNLCの製造は前記特許に準拠したプロセスを採用する。このプロセスは、上述した「ドメインサイズ等が制御されたネットワーク構造」の設計~製造の上で有効である。図7(c)の調光シート製造装置内では、照射する紫外線の強度,波長,重合温度を厳格にコントロールする紫外線露光ユニット90が該当する。
【0065】
調光層11、透明電極層12A,12B、基材フィルム13A,13Bが一体的に積層された大判(長尺)のシート状の調光シート10は、ロール100に巻き取られて、ロールツーロール方式による調光シートの製造は終了する。
【0066】
図7(d)は、所定サイズ・形状に切り出された調光シート10の外周近傍を拡大して示す断面図である。同図では、絶縁部21A,21Bは形成箇所が一致する様に図示されているが、調光領域SL,導電領域SOを区画する上で21A,21Bのアライメントは厳格である必要はなく、互いにずれた箇所であっても、本発明の主目的(22Aと22Bの電気的短絡防止)の実現の上では問題ない。
【0067】
[絶縁部の構成]
上述の手法によって製造された絶縁部21A,21Bの構成について、詳細に説明する。上述のように、絶縁部21A,21Bは、レーザ照射によって形成されたレーザ加工痕である。まず、このレーザ加工痕の詳細について説明する。
【0068】
図8および図9は、絶縁部21A付近の断面構造の第1例を拡大して示す図である。第1例において、絶縁部21Aは、第1の透明電極層12Aを構成する導電膜が小片状に破壊されている部分である。図8が示すように、絶縁部21Aでは、レーザ照射によって導電膜が粉々となり、第1の透明電極層12Aの一部が第1の基材フィルム13Aから剥がれる。すなわち、絶縁部21Aは、第1の基材フィルム13Aから導電膜が剥がれている部分である。図中、符号Fgは第1の基材フィルム13Aから剥がれた導電膜の膜片である。
【0069】
レーザ照射による導電膜の破壊の程度によっては、図9が示すように、絶縁部21Aは、導電膜が第1の基材フィルム13Aに接した状態で物理的に破壊されている部分であることもあり得る。絶縁部21Aの表面は、電極部20Aおよび外周導電部22Aの表面よりも粗い。
【0070】
図10および図11は、絶縁部21A付近の断面構造の第2例を拡大して示す図である。第2例において、絶縁部21Aはレーザ照射によって化学的に改質された領域である。例えば、図10が示すように、絶縁部21Aは、電極部20Aおよび外周導電部22Aと比較して、導電性に寄与する原子、あるいは、導電性に寄与する分子の一部である元素Pcが第1の透明電極層12Aの下層に流出することにより組成が変化している領域である。こうした組成の変化に起因して、絶縁部21Aは、絶縁性を有している。
【0071】
調光層11や第1配向層14A等の第1の透明電極層12Aと接触する機能層のなかで絶縁部21Aと接触する部分では、機能層のなかで電極部20Aおよび外周導電部22Aと接触する部分よりも、元素Pcの含有量が高い。
【0072】
電極部20Aと絶縁部21Aと外周導電部22Aとは、相互に連続した1つの層を構成しており、第1の透明電極層12Aは平膜状を有する。ただし、元素Pcが抜け出していることに起因して、絶縁部21Aは電極部20Aおよび外周導電部22Aよりも脆くなっている。例えば、絶縁部21Aの表面は、電極部20Aおよび外周導電部22Aの表面よりも粗い。
【0073】
また例えば、図11が示すように、絶縁部21Aは、電極部20Aおよび外周導電部22Aと比較して、化合物内での原子位置の移動や、分子内での結合の切断等による化学構造の変化が生じている領域である。こうした化学構造の変化に起因して、絶縁部21Aは、絶縁性を有している。絶縁部21Aでは組成の変化は生じていない。電極部20Aと絶縁部21Aと外周導電部22Aと絶縁部21Aとは、相互に連続した1つの層を構成しており、第1の透明電極層12Aは平膜状を有する。
【0074】
絶縁部21Aが、第1例および第2例のいずれの構造を有するかは、第1の透明電極層12Aを構成する材料、すなわち、第1の透明電極層12Aを構成する材料や、レーザのパワー等によって決まる。また、絶縁部21Aは、第1例と第2例とを組み合わせた構造を有し得る。例えば、第1の透明電極層12Aは、絶縁部21Aの部分にて、電極部20Aを構成する複数の元素のうちの一部の元素Pcが第1の透明電極層12Aの下層に流出しているとともに、導電膜が物理的に破壊された構造を有していてもよい。また、第2の透明電極層12Bの絶縁部21Bも、第1例、第2例、およびその組み合わせのいずれかの絶縁部21Aと同様の構造を有する。
【0075】
[絶縁部のパターン]
電極部20A,20B(調光領域SL)と外周導電部22A,22B(導電領域SO)を分離して区画する枠状の絶縁部21A,21B(絶縁領域SI)のパターン例を図12に示す。同図では、第1の透明電極フィルムと第2の透明電極フィルムを積層した状態の調光シートの平面視を表している。
【0076】
図12(a)は、矩形の調光シートの周縁部近傍の全周に渡って連続する環状(矩形)に形成した絶縁部21(A,B)である。図3に示される第1実施形態と同一の絶縁部パターンであり、調光領域SLおよび接続領域SA,SBは閉じた枠状の絶縁部21(A,B)内に含まれる。
【0077】
枠状の絶縁部21(A,B)は、第1および第2の透明電極フィルム上に形成された第1および第2の透明電極層を、枠状の絶縁部21(A,B)より内側の透明電極層20(A,B)と枠状の絶縁部21(A,B)より外側の透明電極層22(A,B)とを電気的に絶縁した構成である。
【0078】
枠状の絶縁部21(A,B)は、矩形の調光シートの端部から10mm以内の外周に沿って、連続的に形成されることが、調光領域SLの確保の上で好適である。
【0079】
図12(b)は、矩形の調光シートの周縁部(シート端部)の全周に渡って連続する環状(矩形)に形成した絶縁部21(A,B)である。枠状の絶縁部21(A,B)より外
側の透明電極層22(A,B)は存在しないため、矩形の調光シートの端部で第1および第2の透明電極フィルムが接触しても、絶縁部21(A,B)同士で接触するため、電気的短絡の問題は一層解消される。
【0080】
図12(c)は、絶縁部21(A,B)を連続する環状(矩形)に形成する際、コーナー部分の製造を容易にするべく、それぞれ上辺,下辺,左辺,右辺に渡る4本の直線を連結して形成した絶縁部21(A,B)である。
【0081】
図13は、枠状の絶縁部21(A,B)が閉じた環状(矩形)の連続線ではない場合のパターンを示す説明図である。
【0082】
図13(a)に示される第1の透明電極フィルムに形成される絶縁部21Aは、図13(b)に示される第2の透明電極層(電極部20B)に駆動電圧を印加するための給電電極部(接続領域SB)が枠外に位置する様に形成されている。換言すると、第1の透明電極フィルムおよび第2の透明電極フィルムを積層した状態(図13の(a)+(b))を平面視で見た場合、絶縁部21Aは接続領域SBを含まないように配置されている。
【0083】
図13(b)に示される第2の透明電極フィルムに形成される絶縁部21Bは、図13(a)に示される第1の透明電極層(電極部20A)に駆動電圧を印加するための給電電極部(接続領域SA)が枠外に位置する様に形成されている。換言すると、第1の透明電極フィルムおよび第2の透明電極フィルムを積層した状態(図13の(a)+(b))を平面視で見た場合、絶縁部21Bは接続領域SAを含まないように配置されている。
【0084】
第1および第2の透明電極フィルムは、それぞれ他方の透明電極フィルムの透明電極層に駆動電圧を印加するための給電電極部にあたる箇所を切り欠け部とした構成である。
【0085】
透明電極層22A,22Bが図13の切り欠け部を備えることで、調光シートとして積層一体化した場合、対向する箇所に位置する給電電極部(接続領域SB,SA)と導電性材料の接触を解消できるため、電気的短絡の可能性を一層低減することが可能となる。
【0086】
以上例示した各種パターンの絶縁部21A,21Bを予め形成しておいた所定サイズ・形状の第1および第2の透明電極フィルムを用いて、枚葉方式で調光シートを製造することは可能である。
【0087】
図14では、第1の透明電極フィルムをロール70Aから供給し、第2の透明電極フィルムをロール70Bから供給するロールツーロール方式による調光シートの製造(図7(c)に概略を図示)にあたり、各透明電極フィルムに形成しておく絶縁部21A,21B(パターンの全部または一部)を示す。
【0088】
図14(a)は、図3図12(a)で示したタイプの閉じた枠状の絶縁部21A,21Bを有する調光シートをロールツーロール方式で製造する場合の概念図である。ロール70Aから供給される第1の透明電極フィルムの第1透明電極12Aおよびロール70Bから供給される第2の透明電極フィルムの第2透明電極12Bには、それぞれ予め枠状の絶縁部21A,21Bがレーザ照射により形成されてある。枠状の絶縁部21A,21Bをアライメントして重ね合わせ、図7(c)で示す手順で、長尺の大判のシートを製造した上で、カットラインCLで断裁し、所定サイズ・形状の調光シートを切り出す。供給される第1,第2の透明電極フィルムの幅が切り出す調光シートのサイズ(矩形の何れかの辺)と一致する場合は図示のようにカットラインは少なく済むが、第1,第2の透明電極フィルムの幅と切り出す調光シートのサイズが異なる場合には、枠状の絶縁部を取り囲む外周において最大で4辺を断裁して切り出すことも必要となる。
【0089】
尚、図13で示した構成の調光シートの製造にあたっては、絶縁部21A,21Bを予め形成しておいた所定サイズ・形状の第1および第2の透明電極フィルムを用いて、枚葉方式で製造することが可能である。また、図14(a)のロールツーロール方式を採用して製造する場合には、第1および第2の透明電極フィルムの積層体が図14(c)に示す様に切り出された状態とされた後で、第1および第2の透明電極フィルムのそれぞれに切り欠け部を形成する(調光シートの対応する箇所をハーフカットして除去して、接続領域SA,SBの透明電極層12A,12Bを露出する)という加工を行なうことになる。
【0090】
図14(b)は、図12(c)で示したタイプの閉じた枠状の絶縁部21A,21Bを有する調光シートをロールツーロール方式で製造する場合の概念図である。図14(b)の場合、目的とする絶縁部21A,21Bのパターンの一部(縦辺または横辺の一方)を第1の透明電極フィルムの第1透明電極12Aおよびロール70Bから供給される第2の透明電極フィルムの第2透明電極12Bに、それぞれ予め線状の絶縁部21A,21Bとしてレーザ照射により形成されてある。線状の絶縁部21A,21Bをアライメントして重ね合わせ、同様の手順で、長尺の大判のシートを製造した上で、カットラインCLで断裁し、所定サイズ・形状の調光シートを切り出す。同図に示すように、調光シートの絶縁部21A,21Bは横辺2本のみなので、透明電極フィルムの幅方向に渡る縦辺2本は、追加でレーザ照射して形成する。この場合、第1,第2の透明電極フィルムの積層一体化の後なので、第1,第2の基材フィルム側からのレーザ照射による焦点を制御して、第1,第2透明電極12A,12Bに対して絶縁部21A,21B(縦辺)を形成する。
【符号の説明】
【0091】
10,10N,10R,15,16…調光シート
11…調光層
12A,12B…透明電極層
13A,13B…基材フィルム
14A,14B…配向層
20A,20B…電極部
21A,21B…絶縁部
22A,22B…外周導電部
40A,40B…配線部
41A,41B…導電性接着層
42A,42B…はんだ部
43A,43B…リード線
50…透明板
51…透明粘着層
60…レーザ装置
70A,70B…ロール
80…塗工ユニット
90…紫外線露光ユニット
100…ロール
La…レーザ
SA,SB…接続領域
SI…絶縁領域
SL…調光領域
SO…導電領域
図1
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