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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】情報出力装置及び情報出力方法
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/12 20060101AFI20231102BHJP
   B60P 1/04 20060101ALI20231102BHJP
   B60P 5/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G01G19/12 Z
B60P1/04 G
B60P5/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022042363
(22)【出願日】2022-03-17
(65)【公開番号】P2023136599
(43)【公開日】2023-09-29
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】今井 聡
(72)【発明者】
【氏名】堀 賢治
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-1257(JP,A)
【文献】特開2016-102662(JP,A)
【文献】特開2020-85514(JP,A)
【文献】特開2009-257864(JP,A)
【文献】特開2002-215689(JP,A)
【文献】特開2017-96704(JP,A)
【文献】特開2006-182567(JP,A)
【文献】特開2018-1903(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0317212(US,A1)
【文献】米国特許第5167289(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/00-19/64,
B60P 1/00-9/00,
B62D 41/00-67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタとトレーラとにより構成される車両における前記トレーラに搭載された荷物の積載量を示す情報を出力する情報出力装置であって、
複数のトラクタの車両識別情報と、それぞれのトラクタの重量であるトラクタ非連結時 後軸重と、カプラオフセットと、ホイールベースとを関連付けて記憶し、複数のトレーラの車両識別情報と、それぞれのトレーラの重量とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記トレーラの車両識別情報と、前記トラクタの車両識別情報と、前記トラクタに取り付けられたトラクタ後軸重センサにより測定されたトラクタ測定値である測定トラクタ荷 と、前記トレーラに取り付けられたトレーラ重量センサにより測定された第1測定荷重とを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記トラクタの車両識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶され ている前記トラクタ非連結時後軸重、前記カプラオフセット及び前記ホイールベースを特 定する特定部と、
前記トラクタ後軸重センサにより測定された前記測定トラクタ荷重から前記特定部が特 定した前記トラクタ非連結時後軸重を差し引いた値と特定した前記ホイールベースとの積 を、特定した前記カプラオフセットを当該ホイールベースから差し引いた値で除算するこ とにより、前記トラクタと前記トレーラとの連結部において前記トラクタが前記トレーラ を支持する荷重である第2測定荷重を算出し、当該第2測定荷重と前記第1測定荷重との合計値から、前記取得部が取得した前記トレーラの車両識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記トレーラの重量を減算することにより前記積載量を算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記積載量を示す情報を出力する出力部と、
を備える、情報出力装置。
【請求項3】
コンピュータが実行する、トラクタとトレーラとにより構成される車両における前記トレーラに搭載された荷物の積載量を示す情報を出力する情報出力方法であって、
前記トレーラの車両識別情報と、前記トラクタの車両識別情報と、前記トラクタに取り付けられたトラクタ後軸重センサにより測定されたトラクタ測定値である測定トラクタ荷 と、前記トレーラに取り付けられたトレーラ重量センサにより測定された第1測定荷重とを取得するステップと、
複数のトラクタの車両識別情報と、それぞれのトラクタの重量であるトラクタ非連結時 後軸重と、カプラオフセットと、ホイールベースとを関連付けて記憶し、複数のトレーラの車両識別情報と、それぞれのトレーラの重量とを関連付けて記憶する記憶部を参照して、取得した前記トラクタの車両識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記ト ラクタ非連結時後軸重、前記カプラオフセット及び前記ホイールベースを特定するステッ プと、
前記トラクタ後軸重センサにより測定された前記測定トラクタ荷重から、特定した前記 トラクタ非連結時後軸重を差し引いた値と特定した前記ホイールベースとの積を、特定し た前記カプラオフセットを当該ホイールベースから差し引いた値で除算することにより、 前記トラクタと前記トレーラとの連結部において前記トラクタが前記トレーラを支持する 荷重である第2測定荷重を算出し、当該第2測定荷重と前記第1測定荷重との合計値から、取得した前記トレーラの車両識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記トレーラの重量を減算することにより前記積載量を算出するステップと、
算出した前記積載量を示す情報を出力するステップと、
を備える、情報出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の情報を出力する情報出力装置及び情報出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックのトレーラに積載した積載物の重量を算出することが行われている。例えば、特許文献1には、積載物を積載した時のトレーラの後部車輪の懸架装置に設けた荷重検知部で計測した荷重及びトレーラの車体重量等を用いて、積載物の重量を算出することが記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-1257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術では、トラクタがけん引するトレーラを別のトレーラに変更した場合、トレーラの車体重量等が変化するため、積載物の重量を算出することができないという問題があった。
【0005】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、トラクタがけん引するトレーラを別のトレーラに変更した場合において積載物の重量を算出することができる情報出力装置及び情報出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報出力装置は、トラクタとトレーラとにより構成される車両における前記トレーラに搭載された荷物の積載量を示す情報を出力する情報出力装置であって、複数のトラクタの車両識別情報と、それぞれのトラクタの重量とを関連付けて記憶し、複数のトレーラの車両識別情報と、それぞれのトレーラの重量とを関連付けて記憶する記憶部と、前記トレーラの車両識別情報と、前記トラクタの車両識別情報と、前記トラクタに取り付けられたトラクタ後軸重センサにより測定されたトラクタ測定値と、前記トレーラに取り付けられたトレーラ重量センサにより測定された第1測定荷重とを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記トラクタの車両識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記トラクタの重量と、前記トラクタ測定値とに基づいて、第2測定荷重を算出し、当該第2測定荷重と前記第1測定荷重との合計値から、前記取得部が取得した前記トレーラの車両識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記トレーラの重量を減算することにより前記積載量を算出する算出部と、前記算出部が算出した前記積載量を示す情報を出力する出力部と、を備える。
【0007】
前記記憶部は、複数のトラクタの車両識別情報と、それぞれのトラクタの重量であるトラクタ非連結時後軸重と、カプラオフセットと、ホイールベースとを関連付けて記憶し、前記取得部が取得した前記トラクタの車両識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記トラクタ非連結時後軸重、前記カプラオフセット及び前記ホイールベースを特定する特定部をさらに備え、前記取得部は、前記トラクタ後軸重センサにより測定された測定トラクタ荷重を前記トラクタ測定値として取得し、前記算出部は、前記特定部が特定した前記トラクタ非連結時後軸重と、特定した前記カプラオフセットと、特定した前記ホイールベースと、前記取得部が取得した前記測定トラクタ荷重とに基づいて、前記第2測定荷重を算出してもよい。
【0008】
前記算出部は、前記トラクタ後軸重センサにより測定された前記測定トラクタ荷重から前記特定部が特定した前記トラクタ非連結時後軸重を差し引いた値と特定した前記ホイールベースとの積を、特定した前記カプラオフセットを当該ホイールベースから差し引いた値で除算することにより前記第2測定荷重を算出してもよい。前記取得部は、前記トラクタ測定値と、前記第1測定荷重と、車両の位置を示す位置情報とを走行中の前記車両から取得し、前記出力部は、前記車両の位置と、前記算出部が算出した前記車両の前記積載量を示す情報とを対応付けてマップ上に出力してもよい。
【0009】
本発明の第2の態様の情報出力方法は、コンピュータが実行する、トラクタとトレーラとにより構成される車両における前記トレーラに搭載された荷物の積載量を示す情報を出力する情報出力方法であって、前記トレーラの車両識別情報と、前記トラクタの車両識別情報と、前記トラクタに取り付けられたトラクタ後軸重センサにより測定されたトラクタ測定値と、前記トレーラに取り付けられたトレーラ重量センサにより測定された第1測定荷重とを取得する取得部と、複数のトラクタの車両識別情報と、それぞれのトラクタの重量とを関連付けて記憶し、複数のトレーラの車両識別情報と、それぞれのトレーラの重量とを関連付けて記憶する記憶部を参照して、取得した前記トラクタの車両識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記トラクタの重量と、前記トラクタ測定値とに基づいて、第2測定荷重を算出し、当該第2測定荷重と前記第1測定荷重との合計値から、取得した前記トレーラの車両識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記トレーラの重量を減算することにより前記積載量を算出するステップと、算出した前記積載量を示す情報を出力するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トラクタがけん引するトレーラを別のトレーラに変更した場合において積載物の重量を算出するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の情報出力システムの概要を示す図である。
図2】測定トラクタ荷重及び測定トレーラ荷重の測定方法の例を示す。
図3】情報出力装置の構成を示す。
図4】トラクタ諸元情報の例を示す。
図5】トレーラ諸元情報の例を示す。
図6】出力部による積載量を示す情報の出力の例を示す。
図7】情報出力装置による処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[情報出力システムSの概要]
図1は、本実施形態の情報出力システムSの概要を示す図である。図2は、測定トラクタ荷重及び測定トレーラ荷重の測定方法の例を示す。情報出力システムSは、車両の管理者又は車両の運転手等のユーザが、積載量を把握したいトラクタ1のトラクタIDを設定しておくことで、トラクタ1に接続されているトレーラ2の種別によらず、トレーラ2の積載量をユーザの情報端末300に表示させるシステムである。情報出力システムSは、車両100と、情報出力装置200と、情報端末300とを備える。
【0013】
車両100は、トラクタ1とトレーラ2とにより構成される。トラクタ1は、テレマティクスユニット11と、第1制御装置12と、トラクタ後軸重センサ13と、第2制御装置14とを備える。トレーラ2は、トレーラ重量センサ21と、第3制御装置22とを備える。
【0014】
テレマティクスユニット11は、ネットワークを介して情報出力装置200と無線通信するための通信モジュールである。第1制御装置12は、例えば、例えば、ECU(Electronic Control Unit)である。第1制御装置12は、第2制御装置14及び第3制御装
置22と通信する。第1制御装置12は、テレマティクスユニット11を介して、情報出力装置200と通信する。
【0015】
トラクタ後軸重センサ13は、例えば、エアサスペンションに設けられている。トラクタ後軸重センサ13は、エアサスペンションの内部の空気圧を測定することにより、測定トラクタ荷重(トラクタ測定値に相当)を測定する。測定トラクタ荷重は、図2の太い矢印に示すように、トラクタ1の後輪に加わる荷重である。
【0016】
第2制御装置14は、例えば、ECUである。第2制御装置14は、第1制御装置12と通信する。第2制御装置14は、トラクタ後軸重センサ13により測定された測定トラクタ荷重を取得する。
【0017】
トレーラ重量センサ21は、例えば、エアサスペンションに設けられている。トレーラ重量センサ21は、トレーラの複数の車輪に加わる荷重を測定する。本明細書の例では、トレーラ重量センサ21は、エアサスペンションの内部の空気圧を測定することにより、測定トレーラ荷重(第1測定荷重に相当)を測定する。測定トレーラ荷重は、図2に示す
ように、トレーラ2の複数の車輪に加わる荷重の合計である。
【0018】
第3制御装置22は、例えば、ECUである。第3制御装置22は、第1制御装置12と通信する。第3制御装置22は、トレーラ重量センサ21から、測定された測定トレーラ荷重を取得する。
【0019】
情報出力装置200は、例えば、サーバである。情報出力装置200は、ネットワークを介して車両100及び情報端末300と通信する。情報出力装置200は、複数のトラクタの車両識別情報(以下、トラクタIDともいう)と、それぞれのトラクタ非連結時後軸重(トラクタの重量に相当)等の諸元情報とを関連付けて記憶している。情報出力装置200は、複数のトレーラの車両識別情報(以下、トレーラIDともいう)と、それぞれのトレーラ重量等の諸元情報とを関連付けて記憶している。情報端末300は、例えば車両100の運転者が所有するスマートフォンである。情報端末300は、ネットワークを介して、情報出力装置200と通信する。
【0020】
情報出力装置200は、車両100のトレーラ2に搭載された荷物の積載量を示す情報を出力することを特徴とする。以下、図1を参照して、情報出力装置200が積載量を示す情報を出力する処理の流れについて説明する。
【0021】
車両100の運転手又は車両100の管理者が、情報端末300において、車両100の積載量を表示するための操作を行うと、情報端末300は、トラクタIDとともに、積載量表示要求を情報出力装置200に送信する(図1中の(1))。その後、情報出力装置200は、例えば定期的に車両100に対して、車両100において測定された荷重を示す情報を要求する。
【0022】
荷重を示す情報を要求された車両100においては、第2制御装置14が、トラクタ後軸重センサ13により測定された測定トラクタ荷重を示す情報を第1制御装置12へ送信する。第2制御装置14は、トラクタIDを、測定トラクタ荷重を示す情報とともに第1制御装置12へ送信する(図1中の(2))。
【0023】
第3制御装置22は、トレーラ重量センサ21より測定された測定トレーラ荷重を示す情報を第1制御装置12へ送信する。第3制御装置22は、トレーラIDを、測定トレーラ荷重を示す情報とともに第1制御装置12へ送信する(図1中の(3))。第1制御装置12は、第2制御装置14から取得したトラクタIDと、測定トラクタ荷重を示す情報と、第3制御装置22から取得したトレーラIDと、測定トレーラ荷重を示す情報とを情報出力装置200へ送信する(図1中の(4))。
【0024】
情報出力装置200は、情報端末300から取得したトラクタIDに関連付けて記憶しているトラクタ軸重等の諸元情報を特定する。情報出力装置200は、第1制御装置12
から、情報端末300から取得したトラクタIDとともに取得したトレーラIDに関連付けて記憶しているトレーラ重量等の諸元情報を特定する(図1中の(5))。
【0025】
情報出力装置200は、車両100から取得した測定トラクタ荷重と、記憶しているトラクタ非連結時後軸重とに基づいて、第5輪荷重(第2測定荷重に相当)を算出する。第5輪荷重は、トラクタ1とトレーラ2との連結部であるカプラにおいてトラクタ1がトレーラ2を支持する荷重である。情報出力装置200は、取得した測定トレーラ荷重と、算出した第5輪荷重との合計値から、特定したトレーラ重量を差し引くことによりトレーラ2の積載量を特定する(図1中の(6))。情報出力装置200は、車両100の積載量の表示を要求したユーザの情報端末300に対し、算出した積載量を出力する(図1中の(7))。
【0026】
このようにして、情報出力装置200は、トラクタID及びトレーラIDに対応する諸元情報をそれぞれ特定し、特定した諸元情報に基づいて、トレーラ2の積載量を算出する。このため、情報出力装置200は、トラクタ1がけん引するトレーラ2が別のトレーラ2に変更された場合においても、積載物の重量を算出することができる。
【0027】
[情報出力装置200の構成]
図3は、情報出力装置200の構成を示す。情報出力装置200は、通信部201、記憶部202及び制御部203を備える。制御部203は、取得部31、特定部32、算出部33及び出力部34を備える。
【0028】
通信部201は、車両100及び情報端末300と通信するためのインターフェースである。記憶部202は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等により構成される。記憶部202は、制御部203を機能させるための各種プログラムや各種データを記憶する。
【0029】
記憶部202には、複数のトラクタIDと、それぞれのトラクタ非連結時後軸重と、カプラオフセットと、ホイールベースとを関連付けたトラクタ諸元情報が記憶されている。トラクタ諸元情報は、トラクタ1の各部の寸法及び重量に関する情報である。図4は、トラクタ諸元情報の例を示す。ホイールベースは、図2に示すように、トラクタの前輪中心と後輪中心との間の距離である。カプラオフセットは、図2に示すように、トラクタの後輪中心とカプラとの間の距離である。カプラは、トラクタ1とトレーラ2との連結部である。トラクタ非連結時後軸重は、トラクタ1にトレーラ2を連結していない状態においてトラクタ後軸重センサ13により測定されたトラクタ1の後輪に加わる荷重である。
【0030】
図4の上から1段目の例では、記憶部202に記憶されているトラクタ諸元情報には、トラクタID「T101」と、ホイールベース「7000」ミリメートルと、カプラオフセット「1300」ミリメートルと、トラクタ非連結時後軸重「2700」キログラムとが関連付けられている。記憶部202に記憶されているトラクタ諸元情報では、トラクタIDに前軸重が関連付けられていてもよい。前軸重は、トラクタ1にトレーラ2が連結されていない状態においてトラクタ1の前輪に加わる荷重である。
【0031】
記憶部202には、複数のトレーラIDと、それぞれのトレーラの車両重量とを関連付けたトレーラ諸元情報が記憶されている。図5は、トレーラ諸元情報の例を示す。トレーラ重量は、荷物を積載していない状態のトレーラの重量を示す。図5の上から1段目の例では、トレーラID「L101」と、トレーラ重量「7000」キログラムとが関連付けられている。
【0032】
記憶部202には、トラクタIDと、トラクタ1の運転者の情報端末300のユーザIDとを関連付けた運転者情報が記憶されている。記憶部202には、トラクタIDと、車両100の位置を示す位置情報と、位置情報を取得した取得時刻と、この取得時刻に対応する車両100の積載量とを関連付けた積載履歴情報が記憶されている。積載履歴情報は、車両100の積載量の過去の時系列変化を示す。
【0033】
制御部203は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部203は
、記憶部202に記憶されているプログラムを実行することにより、取得部31、特定部32、算出部33及び出力部34として機能する。
【0034】
取得部31は、通信部201を介して、車両100から各種の情報を取得する。取得部31は、トラクタ1に取り付けられたトラクタ後軸重センサ13により測定された測定トラクタ荷重と、トラクタIDとを取得する。取得部31は、トレーラ2に取り付けられたトレーラ重量センサ21により測定された測定トレーラ荷重(第1測定荷重に相当)と、トレーラIDとを取得する。取得部31は、車両の位置を示す位置情報を取得する。
【0035】
取得部31は、例えば、測定トラクタ荷重、トラクタID、測定トレーラ荷重、トレーラID及び位置情報を所定期間ごとに取得する。所定期間は、例えば、車両100の運転者により予め設定されており、1分でもよく10分でもよい。取得部31は、車両100が停止した時点で測定トラクタ荷重等を取得してもよい。取得部31は、取得したトラクタIDと、トラクタIDを取得した取得日時と、測定トラクタ荷重と、トレーラIDと、測定トレーラ荷重と、位置情報とを関連付けた車両情報を記憶部202に記憶させる。
【0036】
また、取得部31は、積載量の出力を要求するユーザの指示と、トラクタIDとを情報端末300から取得する。取得部31は、記憶部202に記憶されている車両情報を参照して、情報端末300から取得したトラクタIDに関連付けて記憶されている測定トラクタ荷重と、トレーラIDと、測定トレーラ荷重とを取得する。取得部31は、取得したトラクタID及びトレーラIDを特定部32へ出力する。取得部31は、取得した測定トラクタ荷重及び測定トレーラ荷重を算出部33へ出力する。
【0037】
特定部32は、ユーザの情報端末300から取得部31が取得したトラクタIDに関連付けて記憶部202に記憶されているトラクタ非連結時後軸重を特定する。特定部32は、トラクタ非連結時後軸重に加えて、取得部31が取得したトラクタIDに関連付けて記憶部202に記憶されているカプラオフセット及びホイールベースを特定する。図4の例では、特定部32は、取得部31がトラクタID「T101」を取得した場合に、記憶部202に記憶されているトレーラ諸元情報においてトラクタID「T101」に関連付けられたホイールベース「7000」ミリメートル、カプラオフセット「1300」ミリメートル及びトラクタ非連結時後軸重「2700」キログラムを特定する。特定部32は、取得部31が取得したトラクタIDに関連付けて記憶部202にされている前軸重を特定してもよい。
【0038】
特定部32は、ユーザの情報端末300から取得部31が取得したトラクタIDに車両情報において関連付けられたトレーラIDに関連付けて記憶部202に記憶されているトレーラ重量を特定する。図5の例では、特定部32は、取得部31がトレーラID「L101」を取得したと仮定すると、記憶部202に記憶されているトラクタ諸元情報においてトレーラID「L101」に関連付けられたトレーラ重量「7000」キログラムを特定する。
【0039】
算出部33は、トレーラ2の積載量を算出する。まず、算出部33は、特定部32が特定したトラクタ非連結時後軸重と、取得部31が取得した測定トラクタ荷重とに基づいて、第5輪荷重を測定する。本明細書の例では、算出部33は、特定部32が特定したトラクタ非連結時後軸重と、取得部31が取得した測定トラクタ荷重とに加えて、特定したカプラオフセットと、特定したホイールベースとに基づいて、第5輪荷重を算出する。
【0040】
より詳しくは、算出部33は、トラクタ後軸重センサ13により測定された測定トラクタ荷重から特定部32が特定したトラクタ非連結時後軸重を差し引いた値と、特定したホイールベースとの積を、特定したカプラオフセットをホイールベースから差し引いた値で除算することにより第5輪荷重を算出する。数式で表現すると、算出部33は、以下の式
FWL=(DAL―DAW)*(WB/(WB―CO))...(1)
により、第5輪荷重FWL(kg)を算出する。式(1)中、DALは、測定トラクタ荷重(kg)である。DAWは、トラクタ非連結時後軸重(kg)である。WBは、ホイールベース(mm)である。COは、カプラオフセット(mm)である。
【0041】
次に、算出部33は、算出した第5輪荷重と、取得部31が取得した測定トレーラ荷重との合計値を算出する。算出部33は、算出した合計値から、特定部32が特定したトレーラ重量を減算することにより積載量を算出する。数式で表現すると、算出部33は、以下の式
CL=ALS+FWL-TVW...(2)
によりトレーラの積載量CL(kg)を算出する。式(2)中、ALSは、測定トレーラ荷重(kg)である。TVWは、トレーラ重量(kg)である。
【0042】
算出部33は、ホイールベース及びカプラオフセットが変化しないことを利用して、トラクタ後軸重センサ13により測定された測定トラクタ荷重から第5輪荷重を精度よく算出することができる。算出部33は、算出した第5輪荷重と、トレーラ重量センサ21により測定された測定トレーラ荷重とを用いて積載量を算出するので、トレーラ2内の荷物の位置が変化しても算出した積載量に誤差が発生することを抑制することができる。このため、算出部33は、積載量を算出する精度を向上させることができる。
【0043】
算出部33は、トラクタ1の前輪に加わる荷重である前軸荷重を算出してもよい。例えば、算出部33は、以下の式
FAL=FAW+FWL*(CO/WB)...(3)
により前軸荷重を算出する。式(3)中、FALは、前軸荷重(kg)である。FAWは、前軸重(kg)である。算出部33は、算出した積載量及び前軸荷重を出力部34に通知する。
【0044】
[積載量を示す情報の出力]
出力部34は、通信部201を介して、車両100又は情報端末300と通信する。出力部34は、算出部33が算出した積載量を示す情報を出力する。例えば、出力部34は、算出部33が算出した積載量を示す情報を情報端末300のディスプレイに出力する。出力部34は、トラクタIDと、トラクタ1の運転者の情報端末300のユーザIDとを関連付けた運転者情報を記憶部202から読み出す。出力部34は、読み出した運転者情報を参照して、取得部31が取得したトラクタIDに関連付けて記憶されているユーザIDの情報端末300に対し、積載量を示す情報を出力する。
【0045】
出力部34は、車両の位置と、算出部33が算出した車両の積載量を示す情報とを対応付けて、情報端末300に表示するマップに重ねて表示させる。出力部34は、積載量を出力する前に、取得部31が情報端末300から取得したトラクタIDと、このトラクタIDに車両情報において関連付けて記憶されている位置情報と、取得日時と、算出した積載量とを関連付けた積載履歴情報を記憶部202に記憶させる。出力部34は、積載量の出力を要求するユーザの指示と、トラクタIDとを情報端末300から取得部31が取得した場合に、記憶部202に記憶されている積載履歴情報を参照して、取得したトラクタIDの車両100について、異なる時刻に対応する複数の車両100の位置と、それぞれの車両100の位置に対応する車両100の積載量とをマップに重ねて表示させる。
【0046】
図6は、出力部34による積載量を示す情報の出力の例を示す。図6に示す画像は、情報端末300のディスプレイ上に表示される。出力部34は、図6に示すように、車両100の移動経路をマップ上に重ねて表示させる。出力部34は、この移動経路上の複数の位置に対応する位置情報の取得日時と、車両100の積載量とをそれぞれ表示させる。図6の例では、出力部34は、トラクタID「T101」のトラクタ1を含む車両100が2022年2月9日午前11時50分にAターミナルに到達し、この時刻においてトレーラ2の積載量が2000キログラムであったことを示す情報を出力する。
【0047】
出力部34は、積載量に加えて、算出部33が算出した前軸荷重を出力してもよい。出力部34は、車両100の位置と、算出部33が算出した車両100の積載量及び前軸荷重を示す情報とを対応付けてマップ上に出力してもよい。
【0048】
[積載量等を車両100のディスプレイに出力する変形例]
また、出力部34は、積載量を示す情報を情報端末300に出力する例に限定されない。例えば、出力部34は、車両100に搭載されたディスプレイオーディオ等のディスプレイ(不図示)に積載量を示す情報を出力してもよい。同様に、出力部34は、車両の位置と、算出部33が算出した車両の積載量を示す情報とを対応付けて車両100のディスプレイに表示されたマップ上に出力してもよい。この場合、車両の第1制御装置12は、
車両の運転手による積載量を表示するための操作を受け付けると、トラクタID及びトレーラIDとともに、積載量を算出するための要求を情報出力装置200に送信することにより、積載量を示す情報を取得する。
【0049】
[情報出力装置200による処理手順]
図7は、情報出力装置200による処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、例えば、積載量の表示を要求するユーザの指示をユーザの情報端末300から取得部31が取得したときに開始する(S100)。
【0050】
取得部31は、ユーザの指示とともに取得したトラクタIDに対応する車両100からトレーラID、測定トラクタ荷重及び測定トレーラ荷重を取得する(S101)。特定部32は、記憶部202に記憶されているトラクタ諸元情報を参照して、情報端末300から、積載量表示指示とともに取得部31が取得したトラクタIDに関連付けて記憶部202に記憶されている、トラクタ非連結時後軸重と、カプラオフセットと、ホイールベースとを特定する。特定部32は、記憶部202に記憶されているトレーラ諸元情報を参照して、取得部31が車両100から当該トラクタIDとともに取得したトレーラIDに関連付けて記憶部202に記憶されているトレーラ重量を特定する。
【0051】
算出部33は、特定部32が特定したトラクタ非連結時後軸重と、取得部31が取得した測定トラクタ荷重とに基づいて、第5輪荷重を算出する(S102)。算出部33は、算出した第5輪荷重と、取得部31が取得した測定トレーラ荷重との合計値を算出する。算出部33は、算出した合計値から、特定部32が特定したトレーラ重量を減算することにより積載量を算出する(S103)。出力部34は、算出部33が算出した積載量を示す情報を情報端末300へ出力する(S104)。
【0052】
続いて、制御部203は、次に積載量を算出するまでの待機期間である所定期間が経過したか否かを判定する(S105)。制御部203は、所定期間が経過したと判定した場合(S105においてYES)、積載量の出力の終了を要求するユーザの指示を取得部31が情報端末300から取得したか否かを判定する(S106)。制御部203は、積載量の出力の終了を要求するユーザの指示を取得部31が情報端末300から取得したと判定した場合に(S106のYES)、処理を終了する。制御部203は、S106の判定において積載量の出力の終了を要求するユーザの指示を取得部31が情報端末300から取得していないと判定した場合(S106のNO)、S101の処理に戻り、S101からS105までの処理を繰り返す。
【0053】
[本実施形態の情報出力装置による効果]
本実施形態の情報出力装置200では、特定部32は、トラクタID及びトレーラIDに対応する諸元情報をそれぞれ特定し、算出部33は、特定した諸元情報に基づいて、トレーラ2の積載量を算出する。このため、算出部33は、トラクタ1がけん引するトレーラ2が別のトレーラ2に変更された場合においても、このトラクタ1の諸元情報と、変更後のトレーラ2の諸元情報とを用いて積載物の重量を算出することができる。
【0054】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0055】
1 トラクタ
2 トレーラ
11 テレマティクスユニット
12 第1制御装置
13 トラクタ後軸重センサ
14 第2制御装置
21 トレーラ重量センサ
22 第3制御装置
31 取得部
32 特定部
33 算出部
34 出力部
100 車両
200 情報出力装置
201 通信部
202 記憶部
203 制御部
300 情報端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7