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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20231102BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231102BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20231102BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231102BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G15/00 303
B41J29/393 101
B41J29/38 350
H04N1/00 002A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020014930
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021121840
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 厚史
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-015306(JP,A)
【文献】特開2009-284257(JP,A)
【文献】特開2014-199244(JP,A)
【文献】特開2015-117957(JP,A)
【文献】特開2010-271055(JP,A)
【文献】特開2017-191979(JP,A)
【文献】特開2019-101074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/34
15/00
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
B41J 2/01
2/165-2/20
2/21-2/215
29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント装置と、
画像読取装置と、
画像診断処理部とを備え、
前記画像診断処理部は、(a)第1画像診断原稿画像を前記プリント装置にプリントさせて第1画像診断原稿を出力させ、(b)前記第1画像診断原稿の画像を第1診断画像として前記画像読取装置に読み取らせ、(c)前記第1診断画像における画像欠陥を検出し、(d)検出した前記画像欠陥の位置を特定し、(e)検出した前記画像欠陥の位置を示すとともに当該画像欠陥に対するメンテナンス処理の要否の選択を操作者に促す指示画像を含む第2画像診断原稿画像を、前記プリント装置にプリントさせて第2画像診断原稿を出力させ、(f)前記第2画像診断原稿の画像を第2診断画像として前記画像読取装置に読み取らせ、(g)前記第2診断画像に基づいて、前記操作者によってメンテナンス処理が必要であると指定された前記画像欠陥を特定し、(h)特定した前記画像欠陥に対応する自動または手動でのメンテナンス処理を特定し、
前記第1画像診断原稿画像は、主走査方向に沿った画像欠陥を検出するための副走査方向に沿った第1テストパターンを含み、
前記第2画像診断原稿画像は、前記第1テストパターンと同一の第2テストパターンを含み、
前記プリント装置は、電子写真プロセスに使用させる回転体を備え、
前記画像診断処理部は、前記第2画像診断原稿画像の前記第2テストパターンを前記プリント装置にプリントさせるときの前記回転体の回転角度位置を、前記第1画像診断原稿画像の前記第1テストパターンを前記プリント装置にプリントさせるときの前記回転体の回転角度位置に一致させること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記第2テストパターンは、前記第1テストパターンの形状と同一の形状を有し、
前記第1画像診断原稿画像の第1テストパターンは、前記第2画像診断原稿画像の第2テストパターンのスクリーンパターンと異なるスクリーンパターンを有し、
前記第1テストパターンのスクリーンパターンは、前記画像欠陥としての主走査方向または副走査方向に沿ったスジが前記第2テストパターンのスクリーンパターンに比べ現れやすいドットパターンを有すること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
記第1テストパターンは、濃度が均一な画像であり、
前記第2テストパターンは、濃度グラデーションを有する画像であること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像処理装置は、テストチャートをプリンターでプリントし、そのテストチャートをスキャナーで読み取り、得られたスキャン画像に画像不良が含まれるか否かを自動的に判定し、画像不良が含まれる場合、その画像不良を示す画像診断結果を通知する。その画像診断結果には、その画像診断結果に対応するメンテナンス処理案が付加されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-46595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の画像処理装置では、装置が画像不良であるか否かを自動的に判定し対応するメンテナンス処理案を提示しているため、本来メンテナンス処理の必要がない画像不良の場合でも、画像不良を示す画像診断結果が通知されてしまい、不必要なメンテナンス処理が実行されてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、メンテナンス処理が適切に実行される画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、プリント装置と、画像読取装置と、画像診断処理部とを備える。そして、前記画像診断処理部は、(a)第1画像診断原稿画像を前記プリント装置にプリントさせて第1画像診断原稿を出力させ、(b)前記第1画像診断原稿の画像を第1診断画像として前記画像読取装置に読み取らせ、(c)前記第1診断画像における画像欠陥を検出し、(d)検出した前記画像欠陥の位置を特定し、(e)検出した前記画像欠陥の位置を示すとともに当該画像欠陥に対するメンテナンス処理の要否の選択を操作者に促す指示画像を含む第2画像診断原稿画像を、前記プリント装置にプリントさせて第2画像診断原稿を出力させ、(f)前記第2診断原稿の画像を第2診断画像として前記画像読取装置に読み取らせ、(g)前記第2診断画像に基づいて、前記操作者によってメンテナンス処理が必要であると指定された前記画像欠陥を特定し、(h)特定した前記画像欠陥に対応する自動または手動でのメンテナンス処理を特定する。さらに、前記第1画像診断原稿画像は、主走査方向に沿った画像欠陥を検出するための副走査方向に沿った第1テストパターンを含み、前記第2画像診断原稿画像は、前記第1テストパターンと同一の第2テストパターンを含み、前記プリント装置は、電子写真プロセスに使用させる回転体を備え、前記画像診断処理部は、前記第2画像診断原稿画像の前記第2テストパターンを前記プリント装置にプリントさせるときの前記回転体の回転角度位置を、前記第1画像診断原稿画像の前記第1テストパターンを前記プリント装置にプリントさせるときの前記回転体の回転角度位置に一致させる。



【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、メンテナンス処理が適切に実行される画像形成装置が得られる。
【0008】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置におけるプリント装置の機械的な構成を示す側面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図3図3は、第1画像診断原稿画像の一例を示す図である。
図4図4は、第1画像診断原稿画像におけるテストパターンに使用されるスクリーンパターンの一例を示す図である。
図5図5は、図3に示す第1画像診断原稿画像に対応する第1診断画像の一例を示す図である。
図6図6は、図3に示す第1画像診断原稿画像および図5に示す第1診断画像に対応する第2画像診断原稿画像の一例を示す図である。
図7図7は、第2画像診断原稿画像におけるテストパターンに使用されるスクリーンパターンの一例を示す図である。
図8図8は、図7に示す第2画像診断原稿画像に対応する第2診断画像の一例を示す図である。
図9図9は、第2診断画像の別の例を示す図である。
図10図10は、実施の形態1に係る画像形成装置の動作について説明するフローチャートである。
図11図11は、実施の形態2における第1画像診断原稿画像の一例を示す図である。
図12図12は、実施の形態2における第2画像診断原稿画像の一例を示す図である。
図13図13は、実施の形態2における第2診断画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
実施の形態1.
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置におけるプリント装置の機械的な構成を示す側面図である。
【0013】
この画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、複写機、複合機などといった、電子写真プロセスのプリント機能を有する装置であって、図1に示すようなプリント装置10を備える。
【0014】
図1に示すプリント装置10は、タンデム方式のカラー現像装置を有する。このカラー現像装置は、感光体ドラム1a~1d、露光装置2および現像装置3a~3dを備える。感光体ドラム1a~1dは、円柱形状の回転体であって、ブラック、マゼンタ、シアン、およびイエローの4色の感光体である。露光装置2は、感光体ドラム1a~1dの表面へレーザー光を照射して静電潜像を形成する装置である。露光装置2は、レーザー光の光源であるレーザーダイオード、そのレーザー光を感光体ドラム1a~1dへ導く光学素子(レンズ、ミラー、感光体ドラム1a~1dの表面において主走査方向に沿って光を走査するためのポリゴンミラーなど)、ポリゴンミラーを回転させるポリゴンモーターなどを有する。
【0015】
現像装置3a~3dは、トナーカートリッジ内のトナーを感光体ドラム1a~1d上の静電潜像に付着させて現像しトナー像を形成する。感光体ドラム1aおよび現像装置3aにより、ブラックの現像が行われ、感光体ドラム1bおよび現像装置3bにより、マゼンタの現像が行われ、感光体ドラム1cおよび現像装置3cにより、シアンの現像が行われ、感光体ドラム1dおよび現像装置3dにより、イエローの現像が行われる。
【0016】
中間転写ベルト5は、感光体ドラム1a~1dに接触し、感光体ドラム1a~1d上のトナー像を転写される環状の中間転写体である。中間転写ベルト5は、駆動ローラー6およびテンションローラー7に張架され、駆動ローラー6からの駆動力によって、感光体ドラム1dとの接触位置から感光体ドラム1aとの接触位置への方向へ周回していく。
【0017】
転写ローラー8は、搬送されてくる用紙を中間転写ベルト5に接触させ、中間転写ベルト5上のトナー像を用紙に転写する。なお、トナー像を転写された用紙は、図示せぬ定着器へ搬送され、トナー像が用紙へ定着される。
【0018】
濃度センサー9は、中間転写ベルト5に光を照射し、その反射光を検出する。特に、濃度センサー9は、自動濃度調整処理時において、中間転写ベルト5上の調整トナーパターンの濃度、位置などを検出する。この濃度センサー9は、反射型光学センサーである。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【0020】
図2に示す画像形成装置は、上述のプリント装置10と、画像読取装置21と、記憶装置22と、コントローラー23とを備える。
【0021】
プリント装置10は、図1に示す機械的な構成で、ユーザーにより指定される原稿や後述の画像診断原稿をプリントする。
【0022】
画像読取装置21は、原稿から原稿画像を光学的に読み取り、原稿画像の画像データ(ここでは、カラー画像データ)を生成する内部装置である。
【0023】
記憶装置22は、フラッシュメモリーなどの不揮発性記憶装置であり、プログラムやデータを記憶している。例えば、記憶装置22は、後述の画像診断原稿の画像データ、画像診断結果に対応するメンテナンス処理を示すテーブルなどを記憶している。
【0024】
コントローラー23は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)および/またはマイクロコンピューターを有し、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで、画像形成装置内の各部(プリント装置10、画像読取装置21など)を制御するとともに、各種処理部として動作する。ここでは、コントローラー23は、画像診断処理部31として動作する。
【0025】
画像診断処理部31は、ユーザー、サービスパーソンなどといった操作者による操作に従って、プリント装置10に、第1画像診断原稿画像をプリント用紙上にプリントさせて第1画像診断原稿を出力させ、その操作者による操作に従って、プリント生成物としての第1画像診断原稿の画像を第1診断画像として画像読取装置21に読み取らせ、その第1診断画像に基づいて画像欠陥(濃度変化によるスジ、点など)を検出する自動診断工程を実行する。
【0026】
さらに、画像診断処理部31は、(a)検出した画像欠陥の位置を特定し、検出した画像欠陥の位置を示すとともに当該画像欠陥に対するメンテナンス処理の要否の選択を操作者に促す指示画像(例えばチェックボックスなど)を含む第2画像診断原稿画像を生成し、(b)プリント装置10に、第2画像診断原稿画像を別のプリント用紙上にプリントさせて第2画像診断原稿を出力させ、(c)操作者による操作に従って、第2診断原稿の画像を第2診断画像として画像読取装置21に読み取らせ、(d)その第2診断画像に基づいて、操作者によってメンテナンス処理が必要と指定された画像欠陥を特定し、(e)指定された画像欠陥に対応する自動または手動でのメンテナンス処理を特定する。
【0027】
具体的には、操作者は、上述のようにして出力された第2画像診断原稿におけるテストパターンを目視で確認し、メンテナンス処理が必要であると判断した画像欠陥に対応する指示画像に対して、メンテナンス処理が必要である旨を示す記入(例えばチェックボックスに対するチェックなど)を行い、メンテナンス処理が必要ではないと判断した画像欠陥に対応する指示画像に対しては、メンテナンス処理が必要である旨を示す記入を行わない。そして、画像診断処理部31は、指示画像に対して操作者が行った記入の画像を第2診断画像において検出し、そのような記入の画像が検出された指示画像に対応する画像欠陥は操作者によってメンテナンス処理が必要と指定された画像欠陥であると判定し、そのような記入の画像が検出されなかった指示画像に対応する画像欠陥は操作者によってメンテナンス処理が必要と指定された画像欠陥ではないと判定する。
【0028】
図3は、第1画像診断原稿画像の一例を示す図である。図4は、第1画像診断原稿画像におけるテストパターンに使用されるスクリーンパターンの一例を示す図である。図5は、図3に示す第1画像診断原稿画像に対応する第1診断画像の一例を示す図である。
【0029】
図3に示す第1画像診断原稿画像101は、画像欠陥としての副走査方向に沿ったスジを検出するためのものであって、プリント装置10のトナー色(ここでは、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラック)に対応して、主走査方向に沿ったバンド形状のテストパターン101C,101M,101Y,101Kを含む。
【0030】
例えば図3に示すような第1画像診断原稿画像101の画像データが予め記憶装置22に記憶されており、その画像データに基づいて、第1画像診断原稿画像101がプリント装置10でプリントされて第1画像診断原稿が出力される。その際、テストパターン101C,101M,101Y,101Kは、例えば図4に示すようなスクリーンパターンで描画される。そして、第1画像診断原稿から、例えば図5に示すような第1診断画像111が画像読取装置21によって読み取られる。第1診断画像111は、テストパターン101C,101M,101Y,101Kに対応するテストパターン111C,111M,111Y,111Kを含む。このとき、プリント装置10などの状態に起因してテストパターン111C,111M,111Y,111Kにおいて画像欠陥が発生することがある。図5に示す場合では、テストパターン111C,111M,111Kにおいて画像欠陥が発生している。
【0031】
図6は、図3に示す第1画像診断原稿画像および図5に示す第1診断画像に対応する第2画像診断原稿画像の一例を示す図である。図7は、第2画像診断原稿画像におけるテストパターンに使用されるスクリーンパターンの一例を示す図である。図8は、図7に示す第2画像診断原稿画像に対応する第2診断画像の一例を示す図である。
【0032】
第2画像診断原稿画像のベース画像データ(つまり、指示画像を含まない第2画像診断原稿画像の画像データ)が予め記憶装置22に記憶されており、上述のように、第1診断画像111から画像欠陥の位置が自動的に特定されると、そのベース画像データに基づいて、例えば図6に示すように、ベース画像データに基づく画像(つまり、指示画像を含まない第2画像診断原稿画像)において指示画像131~134を特定された画像欠陥の位置に追加することで第2画像診断原稿画像121の画像データが生成される。なお、ベース画像データに基づく第2画像診断原稿画像は、テストパターン101C,101M,101Y,101Kに対応するテストパターン121C,121M,121Y,121Kを含む。
【0033】
その第2画像診断原稿画像121の画像データに基づいて、第2画像診断原稿画像121がプリント装置10でプリントされて第2画像診断原稿が出力される。その際、テストパターン121C,121M,121Y,121Kは、例えば図7に示すようなスクリーンパターンで描画される。そして、操作者の記入後の第2画像診断原稿から、例えば図8に示すような第2診断画像141が画像読取装置21によって読み取られる。第2診断画像141は、テストパターン121C,121M,121Y,121Kに対応するテストパターン141C,141M,141Y,141Kを含むとともに、指示画像131~134に対応する指示画像151~154を含む。さらに、第2診断画像141は、操作者の記入に基づく記入画像161~163を含み、この記入画像161~163によって、操作者により指定された指示画像151,152,154(つまり、対応する画像欠陥)が特定される。
【0034】
この実施の形態では、第1画像診断原稿画像111のテストパターン101C,101M,101Y,101Kは、例えば図3に示すように、濃度が均一な画像であり、第2画像診断原稿画像121のテストパターン121C,121M,121Y,121Kは、例えば図6に示すように、濃度グラデーション(ここでは、副走査方向に沿って濃度が変化する濃度グラデーション)を有する画像である。
【0035】
具体的には、各テストパターン101C,101M,101Y,101Kは、自動画像診断で画像欠陥が検出されやすくするために濃度が均一な画像とされ、各テストパターンテストパターン121C,121M,121Y,121Kは、操作者の目視によって各中間調レベルでの画像欠陥の度合いを判定しやすくするために濃度グラデーションを有する画像とされている。
【0036】
さらに、この実施の形態では、テストパターン121C,121M,121Y,121Kは、テストパターン101C,101M,101Y,101Kの形状と同一の形状をそれぞれ有する。そして、例えば図4および図7に示すように、第1画像診断原稿画像111のテストパターン101C,101M,101Y,101Kは、第2画像診断原稿画像121のテストパターン121C,121M,121Y,121Kのスクリーンパターンと異なるスクリーンパターンを有する。
【0037】
つまり、テストパターン101C,101M,101Y,101Kのスクリーンパターンは、画像欠陥としての主走査方向または副走査方向に沿ったスジがテストパターン121C,121M,121Y,121Kのスクリーンパターンに比べ現れやすいドットパターンを有する。具体的には、例えば、テストパターン101C,101M,101Y,101Kのスクリーンパターンは、ラインが主走査方向または副走査方向に沿ったラインスクリーン、ドット配列方向が主走査方向および/または副走査方向に沿ったドットスクリーンなどである。例えば、テストパターン121C,121M,121Y,121Kのスクリーンパターンは、ラインが主走査方向または副走査方向から傾斜したラインスクリーン、ドット成長方向が主走査方向または副走査方向から傾斜した方向であるドットスクリーンなどである。
【0038】
上述の例では、画像欠陥として副走査方向に沿ったスジを検出するための画像診断を行っているが、画像欠陥として主走査方向に沿ったスジを検出するための画像診断を同様にして行うようにしてもよい。図9は、第2診断画像の別の例を示す図である。この場合、例えば図9に示すような第2診断画像181が得られる。この場合も同様にして、副走査方向に沿ったテストパターン181C,181M,181Y,181Kに、主走査方向に沿ったスジが現れると、第2診断画像181は、そのスジに対応した指示画像182~184を含み、さらに操作者による記入画像191~193を含む。
【0039】
この実施の形態1では、画像欠陥として主走査方向に沿ったスジを検出するための画像診断を行う場合、第1画像診断原稿画像は、主走査方向に沿った画像欠陥を検出するための副走査方向に沿った第1テストパターンを含み、第2画像診断原稿画像は、前記第1テストパターンと同一の第2テストパターンを含む。ここでは、いずれのテストパターンも濃度が均一な画像とされるが、上述のように、スクリーンパターンは互いに異なる。さらに、この場合、プリント装置10が電子写真プロセスに使用させる回転体(感光体ドラム1a~1dなど)を備えており、その回転体の周期に対応して主走査方向に沿ったスジが発生することがあるため、画像診断処理部31は、第2画像診断原稿画像の第2テストパターンをプリント装置10にプリントさせるときのその回転体の回転角度位置を、第1画像診断原稿画像の第1テストパターンをプリント装置10にプリントさせるときの回転体の回転角度位置に一致させる。つまり、第1テストパターンに現れるスジの位置(副走査方向における位置)と、第2テストパターンに現れるスジの位置(副走査方向における位置)とが一致するように、第2画像診断原稿画像のプリント時にその回転体の回転角度位置が制御される。
【0040】
次に、実施の形態1に係る画像形成装置の動作について説明する。図10は、実施の形態1に係る画像形成装置の動作について説明するフローチャートである。
【0041】
図示せぬ操作パネルなどで操作者の所定の操作が検出されると、画像診断処理部31は、第1画像診断原稿画像101をプリント装置10にプリントさせて第1画像診断原稿を出力させる(ステップS1)。
【0042】
操作者は、その第1画像診断原稿を画像読取装置21にセットし、図示せぬ操作パネルなどに所定の操作を行う。
【0043】
その操作が図示せぬ操作パネルなどで検出されると、画像診断処理部31は、第1画像診断原稿の画像を第1診断画像111として画像読取装置21に読み取らせ(ステップS2)、第1診断画像111が得られると、第1診断画像111に基づく自動画像診断処理を実行する(ステップS3)。自動画像診断処理では、画像診断処理部31は、第1診断画像111におけるテストパターン111C,111M,111Y,111Kの濃度分布に基づいて、第1診断画像111における画像欠陥(本来の濃度と異なる濃度を有する箇所)を検出し、テストパターン111C,111M,111Y,111Kにおける、検出した画像欠陥の位置を特定する。
【0044】
その後、ただちに、画像診断処理部31は、第1画像診断原稿画像101およびその画像欠陥の位置に対応する第2画像診断原稿画像121を生成し、プリント装置10にプリントさせて第2画像診断原稿を出力させる(ステップS4)。
【0045】
操作者は、その第2画像診断原稿におけるテストパターンのプリント状態を目視で確認し、指示画像が付されている画像欠陥(スジなど)を、メンテナンス処理が必要なものかどうかを判断し、メンテナンス処理が必要な画像欠陥に付されている指示画像に対して、メンテナンス処理が必要であることを示す記入を手書きで行う。その後、操作者は、その第2画像診断原稿を画像読取装置21にセットし、図示せぬ操作パネルなどに所定の操作を行う。
【0046】
その操作が図示せぬ操作パネルなどで検出されると、画像診断処理部31は、第2画像診断原稿の画像を第2診断画像141として画像読取装置21に読み取らせ(ステップS5)、第2診断画像141が得られると、第2診断画像141における指示画像に対する記入画像を検出し、操作者により指定された画像欠陥を特定する(ステップS6)。
【0047】
そして、画像診断処理部31は、操作者により指定されたその画像欠陥に基づいて(つまり、操作者により指定されなかった画像欠陥を考慮せずに)、メンテナンス特定処理を実行する(ステップS7)。メンテナンス特定処理では、画像診断処理部31は、その画像欠陥の状態(位置、濃度、形状など)に基づいて、上述のテーブルなどに基づいて、その画像欠陥に対応する手動または自動のメンテナンス処理を特定する。手動のメンテナンス処理の場合、特定されたメンテナンス処理(メンテナンス処理)が、例えば図示せぬ表示装置で表示され操作者に提示され、操作者は、提示されたメンテナンス処理を実行する。自動のメンテナンス処理の場合、特定されたメンテナンス処理が、画像診断処理部31によって実行される。例えば、手動のメンテナンス処理としては、プリント装置10内の特定部品の交換などがあり、自動のメンテナンス処理としては、プリント装置10のキャリブレーション動作、感光体ドラム1a~1dのドラムリフレッシュ動作などがある。
【0048】
以上のように、上記実施の形態1によれば、画像診断処理部31は、(a)第1画像診断原稿画像101をプリント装置10にプリントさせて第1画像診断原稿を出力させ、(b)第1画像診断原稿の画像を第1診断画像111として画像読取装置21に読み取らせ、(c)第1診断画像111における画像欠陥を検出し、(d)検出した画像欠陥の位置を特定し、(e)検出した画像欠陥の位置を示すとともに当該画像欠陥に対するメンテナンス処理の要否の選択を操作者に促す指示画像131~134を含む第2画像診断原稿画像121を、プリント装置10にプリントさせて第2画像診断原稿を出力させ、(f)第2診断原稿の画像を第2診断画像141として画像読取装置21に読み取らせ、(g)第2診断画像141に基づいて、操作者によってメンテナンス処理が必要であると指定された画像欠陥を特定し、(h)特定した画像欠陥に対応する自動または手動でのメンテナンス処理を特定する。
【0049】
これにより、自動的に検出された画像欠陥のうち、操作者の目視によりメンテナンス処理が必要であると判断されなかった画像欠陥を考慮せずにメンテナンス処理が選定されるため、不必要なメンテナンス処理の実行が抑制され、メンテナンス処理が適切に実行される。
【0050】
実施の形態2.
【0051】
図11は、実施の形態2における第1画像診断原稿画像の一例を示す図である。図12は、実施の形態2における第2画像診断原稿画像の一例を示す図である。図13は、実施の形態2における第2診断画像の一例を示す図である。
【0052】
実施の形態2では、例えば図11および図12に示すように、第1画像診断原稿画像201および第2画像診断原稿画像211が、それぞれ、(a)上述のテストパターン101C,101M,101Y,101Kと同様の、自動画像診断用のテストパターン201C,201M,201Y,201K、および(b)上述のテストパターン121C,121M,121Y,121Kと同様の、操作者の目視診断用のテストパターン202C,202M,202Y,202Kの両方を含んでいる。なお、例えば図12に示すように、第2画像診断原稿画像211は、指示画像221~224を含む。そして、例えば図13に示すように、対応するテストパターン231C,231M,231Y,231K,232C,232M,232Y,232K、対応する指示画像241~244、および記入画像251~253を含む第2診断画像231が得られる。
【0053】
なお、実施の形態2に係る画像形成装置のその他の構成および動作については実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0054】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、例えば、画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1a~1d 感光体ドラム(回転体の一例)
10 プリント装置
21 画像読取装置
31 画像診断処理部
図1
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