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特許7377442ピロロキノリンキノンの安定化剤及び安定化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】ピロロキノリンキノンの安定化剤及び安定化方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/3562 20060101AFI20231102BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20231102BHJP
   A23L 2/44 20060101ALI20231102BHJP
   A23L 2/60 20060101ALI20231102BHJP
   A23L 3/3544 20060101ALI20231102BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20231102BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231102BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20231102BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20231102BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231102BHJP
   A61P 3/10 20060101ALN20231102BHJP
   A61P 17/18 20060101ALN20231102BHJP
   A61P 25/28 20060101ALN20231102BHJP
   A61P 39/06 20060101ALN20231102BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20231102BHJP
【FI】
A23L3/3562
A23L2/00 F
A23L2/00 P
A23L2/44
A23L2/60
A23L3/3544
A23L33/10
A61K9/08
A61K31/4745
A61K47/22
A61K47/26
A61P3/10
A61P17/18
A61P25/28
A61P39/06
A61P43/00 111
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020539586
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(86)【国際出願番号】 JP2019033887
(87)【国際公開番号】W WO2020045562
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2018162001
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】池本 一人
(72)【発明者】
【氏名】伊丸岡 智子
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-175966(JP,A)
【文献】特開平11-123069(JP,A)
【文献】特開2015-177798(JP,A)
【文献】国際公開第2013/073642(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/020767(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/157721(WO,A1)
【文献】特開2004-033226(JP,A)
【文献】特開平11-046701(JP,A)
【文献】特開2011-026226(JP,A)
【文献】特開2013-053116(JP,A)
【文献】特開平01-156903(JP,A)
【文献】特開昭62-228227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00- 2/84
A23L 3/00- 3/3598
C07D 471/00-471/22
FSTA/CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリスリトール、アセスルファムカリウム及び還元水あめから成る群から選択される、1又は複数の甘味成分を有効成分として含む、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩の安定化剤。
【請求項2】
還元水あめがマルチトール、ソルビトール及び/又はラクチトールを主成分とする、請求項1に記載の安定化剤。
【請求項3】
甘味成分がエリスリトールであり、更に羅漢果抽出物を含む、請求項1に記載の安定化剤。
【請求項4】
甘味成分が還元水あめであり、更にスクラロース及び/又はステビア抽出物を含む、請求項1又は2に記載の安定化剤。
【請求項5】
ピロロキノリンキノンの塩がピロロキノリンキノンジナトリウムである、請求項1~4のいずれか一項に記載の安定化剤。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の安定化剤とピロロキノリンキノン及び/又はその塩とを接触させる工程を含む、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩の安定化方法。
【請求項7】
ピロロキノリンキノン及び/又はその塩の安定化剤を製造するための、エリスリトール、アセスルファムカリウム及び還元水あめから成る群から選択される1又は複数の甘味成分の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くピロロキノリンキノンの安定化剤、それを含む組成物及び安定化方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
ピロロキノリンキノンは脳機能改善、血糖値改善、抗酸化、寿命延長効果等有する機能性を有していることが知られている。また、ピロロキノリンキノンはミトコンドリア活性化機能もあるビタミン様の物質である。
【0003】
ピロロキノリンキノンは種々の機能性を有するだけでなく、安全性の高い成分であることから、機能性食品やサプリメントなどに配合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-26226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
食品やサプリメントを製造する際には糖類が各種用途で配合され得る。例えば、特開2011-26226号公報では、ショ糖、異性化糖などが甘味料として使用されることや、これらがピロロキノリンキノンと共存した場合でも特段問題ないことが記載されている。
【0006】
しかしながら、本発明者らが検討した結果、食品等に一般的に配合されるショ糖や異性化糖などがピロロキノリンキノンを経時的に減少させうることが新たにわかった。
【0007】
上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明者らは、特定の甘味成分を使用することで、安定性を維持したピロロキノリンキノンを提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本願は以下の発明を包含する。
[1]エリスリトール、アセスルファムカリウム及び還元水あめから成る群から選択される1又は複数の甘味成分を有効成分として含む、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩の安定化剤。
[2]還元水あめがマルチトール、ソルビトール又はラクチトールを主成分とする、[1]に記載の安定化剤。
[3]甘味成分がエリスリトールであり、更に羅漢果抽出物を含む、[1]に記載の安定化剤。
[4]甘味成分が還元水あめであり、更にスクラロース又はステビア抽出物を含む、[1]又は[2]に記載の安定化剤。
[5]ピロロキノリンキノンの塩がピロロキノリンキノンジナトリウムである[1]~[4]のいずれかに記載の安定化剤。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の安定化剤を含む組成物。
[7]飲食品の形態である、[6]に記載の組成物。
[8]酸性の飲料の形態である、[7]に記載の組成物。
[9][1]~[5]のいずれかに記載の安定化剤とピロロキノリンキノン及び/又はその塩とを接触させる工程を含む、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩の安定化方法。
[10]ピロロキノリンキノン及び/又はその塩の安定化剤を製造するための、エリスリトール、アセスルファムカリウム及び還元水あめから成る群から選択される1又は複数の甘味成分の使用。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特定の甘味成分を配合することで、飲料等の溶液においてもピロロキノリンキノンを安定した状態で長期間保存することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第一の実施形態において、本発明は、エリスリトール、アセスルファムカリウム及び還元水あめから成る群から選択される1又は複数の甘味成分を有効成分として含む、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩の安定化剤、を提供する。
【0011】
還元水あめは、マルチトール、ソルビトール及び/又はラクチトールのいずれか1つを主成分としてもよい。
【0012】
甘味成分としてエリスリトールが使用される場合、羅漢果抽出物を併用してもよい。
【0013】
甘味成分として還元水あめが使用される場合、スクラロース又はステビア抽出物を併用してもよい。
【0014】
上記甘味成分は本来の呈味を改善する目的で使用することもできる。最終製品の呈味は、ピロロキノリンキノンと有効成分以外のその他の成分の存在により変動するが、複数種類の甘味成分を使用することで、呈味のバランスを整えることができる。
【0015】
本発明に用いられる甘味成分はショ糖換算3~20%濃度に相当する甘みである。これらは還元麦芽糖水あめとその他の甘味成分を合わせた値である。より好ましくは5~15%濃度に相当する量である。還元麦芽糖水あめとしては1~25%添加することができる。
【0016】
本発明において用いられるピロロキノリンキノンは、以下の式(1)に示す構造の物質である。この物質は塩の形態としても存在し得る。
【化1】
【0017】
本発明において用いられる「ピロロキノリンキノンの塩」としてはピロロキノリンキノンのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩が挙げられるが、好ましくは、アルカリ金属塩である。
【0018】
本発明において用いられるピロロキノリンキノンのアルカリ金属塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、ルビジュウムなどの塩が挙げられる。好ましくは、入手しやすい点で、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましい。ピロロキノリンキノンは、1~3個のアルカリ金属で置換されるピロロキノリンキノンのアルカリ金属塩であってよく、モノアルカリ金属塩、ジアルカリ金属塩、トリアルカリ金属塩のどれでも良いが、好ましくは、ジアルカリ金属塩である。ピロロキノリンキノンのアルカリ金属塩として、特に好ましくは、ジナトリウム塩又はジカリウム塩である。
【0019】
本発明において用いられるピロロキノリンキノン及び/又はその塩は、市販されているものを入手することができるし、公知の方法により製造することができる。
【0020】
最終製品が飲料である場合、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩は、例えば0.01~1g/L程度の濃度、好ましくは0.02~0.5g/L濃度であることが想定される。限定されることを意図するものではないが、このような濃度のピロロキノリンキノンを安定化するのに必要な有効成分の量は、ショ糖の濃度に換算した場合に3~20重量%に相当する量である。例えば、ショ糖の甘味度を100とした場合、エリスリトールの甘味度は75~85であるため、ピロロキノリンキノンの安定化に必要な量は3.5~26.7重量%である。また、ショ糖の200~700倍の甘味度を有するアセスルファムカリウムがピロロキノリンキノンを安定化するのに必要な量は、0.004~0.1重量%である。
【0021】
ピロロキノリンキノンの含有量は、通常知られているピロロキノリンキノンの分析法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することができる。具体的には、後掲の実施例に記載の液体クロマトグラフィーで分析することが可能である。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0022】
第二の実施形態において、本発明は、安定化剤を含む組成物、を提供する。
【0023】
安定化剤を配合できる組成物であればその形態は特に限定されないが、組成物は、飲食品として提供されることが想定される。安定化剤は、飲食品の中でも、飲料、特に酸性飲料において好適に使用され得る。飲料の形態としては、スポーツ飲料、果実飲料、茶飲料、コーヒー飲料、乳性飲料、炭酸飲料、機能性飲料、エナジードリンク等が例示できるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明が想定する酸性飲料とは、酸味料を使用する飲料であって、pHが2~5.5の範囲のものを意味する。スポーツ飲料の場合、pHは酸性にすることで清涼感を出すことが多く、pH1~4に調節され得る。
【0025】
pHの調整に使用する酸味料は食品に添加できる物質であれば特に制限がない。そのような例としてクエン酸などが例示される。pH調整の酸味料としてアスコルビン酸も一般には使用されるが、ピロロキノリンキノンの安定性を下げる場合がある。
【0026】
本発明の酸性飲料中の酸味料は0.0001g/L~15g/Lが使用でき、より好ましくは0.01~4g/Lである。
【0027】
最終製品としての飲食品には、甘味成分による安定化効果が阻害されない限り、飲食品に一般に用いられる種々の添加物を配合することができる。そのような添加物の例としては、甘味料、酸味料、保存料、色素類、酸化防止剤、香料等が挙げられる。また、目的に応じて、果汁、コーヒー抽出物、茶葉抽出物、乳成分等の食品成分を添加してもよい。添加物の量は、所望とする効果と安定性に及ぼす影響を比較考量して当業者が適宜決定することができる。
【0028】
上記甘味成分はその内在的な性質のため当然甘味料としての役割も果たすが、その安定化効果を阻害しない限り、飲食品は更に別の甘味料を含んでもよい。
【0029】
香料の例としては、ピーチエッセンス、バニラエッセンス、ストロベリーエッセンス、アップルエッセンス、レモンエッセンス、ドリンク剤香料等が挙げられる。これらを添加することで、飲食品の呈味を更に好適なものとすることができる。
【0030】
添加物のさらなる例として、果汁、植物エキス、炭酸ガス、ビタミン、ミネラル、色素、乳化剤、調味料、品質安定剤等が挙げられる。これらの添加剤の含有量も、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
【0031】
飲料はピロロキノリンキノンの機能性を考慮して非アルコール飲料であることが想定されるが、アルコールを含有していてもよい。
【0032】
非アルコール飲料とは、エタノールが1質量%未満の飲料を意味する。例えば、炭酸飲料、果汁ジュース、野菜ジュース、スポーツ飲料、アイソトニック飲料、エンハンスドウォーター、ボトルドウォーター、ニアウォーター、コーヒー飲料、茶飲料、ビアテイスト飲料、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等を挙げることができる。
【0033】
アルコール飲料としては、例えば、ビール、ワイン、清酒、梅酒、発泡酒、ウィスキー、ブランデー、焼酎、ラム、ジン、リキュール類等を挙げることができる。
【0034】
飲料は、製品の態様によっては加熱殺菌され得る。加熱殺菌方法は、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものが想定され、例えば、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)、充填後殺菌法(パストリゼーション)等を挙げることができる。
【0035】
また、加熱殺菌法を適宜選択することも可能であり、例えば、金属缶、瓶のように、飲料を容器に充填後、容器ごと加熱殺菌(例えば60~140℃、1~60分)できる場合にあってはレトルト殺菌や充填後殺菌法(パストリゼーション)を採用することができる。充填後殺菌法(パストリゼーション)の場合、例えば65℃で1~60分間、好ましくは65℃で5~30分間、更に好ましくは65℃で10~20分間で加熱殺菌することができる。
【0036】
PETボトルのようにレトルト殺菌できないものについては、飲料をあらかじめ上記と同等の殺菌条件(例えば65~140℃で0.1秒~30分間、好ましくは70~125℃で1秒~25分間、更に好ましくは75~120℃で10秒~20分間)で加熱殺菌し、無菌環境下で殺菌処理した容器に充填するアセプティック充填や、ホットパック充填等を採用することができる。
【0037】
飲料は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、瓶等の通常の包装容器に充填し容器詰酸性飲料として提供することができる。好ましくは小型容器である50~200mL容器が好ましい。
【0038】
第四の実施形態において、本発明は、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩の安定化剤を製造するための、エリスリトール、アセスルファムカリウム及び還元水あめから成る群から選択される1又は複数の甘味成分の使用、を提供する。
【0039】
安定化剤は、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩と甘味成分以外に、上述した組成物に添加される成分などを含んでいてもよい。
【0040】
本発明を以下の実施例により更に詳しく説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。
【実施例
【0041】
本発明で使用するピロロキノリンキノン二ナトリウム塩は三菱瓦斯化学製BioPQQを使用した。還元麦芽糖水あめは上野テクノフード製MU-75(固形分75%)を使用した。これはでんぷんを糖化して得られる麦芽糖を還元したマルチトールシロップである。この製品は固形糖分を100とすると、単糖を4以下、二糖を73以上、三糖を14~20、四糖以上のオリゴ糖を5~11含む。特に断りがないかぎり、和光純薬の試薬を使用した。異性化糖は王子コーンスターチ株式会社製の異性化糖を使用した。組成は使用した商品の重量を示し、含水量や純度補正はしていない。クエン酸ナトリウムはクエン酸トリナトリウム製造用を使用した。
【0042】
ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩分析条件
HPLC条件:
島津LC―2010
カラム:YMC-Pack ODS-A
検出波長:259nm
移動相:30mM酢酸-70mM酢酸アンモニウム
カラム温度40℃
【0043】
調製したサンプルは、三菱瓦斯化学株式会社内の研究者1名をパネラーとする官能試験にかけられた。
味の評価得点
5:非常においしい
4:味に深みがありおいしい
3:単調な味
2:やや刺激を感じる
1:強く刺激を感じる
【0044】
(実施例1)還元水あめ、糖アルコール、高甘味度甘味料の組み合わせ
合計50mL容量になるように還元麦芽糖水あめ5g、エリスリトール2g、アセスルファムK10mg、クエン酸60mg、クエン酸ナトリウム40mg、BioPQQ22mg、ストロベリーエッセンス100mg(ゴールデンケリーパテント製)、残り水を調合することにより飲料を調製した。味の評価得点5
【0045】
(加速保存試験)
実施例1のサンプルを室温2年に相当する60℃2週間の条件で保存した。保存後のサンプルをHPLCにかけたところ、97%のBioPQQが回収された。飲料中に沈殿物は見られなかった。
【0046】
(実施例2)還元水あめ、糖アルコール、高甘味度甘味料の組み合わせ
ストロベリーエッセンスに代えて相当量の水を添加した点を除き、実施例1と同様に飲料を調製し、官能試験と加速保存試験を行った。
【0047】
実施例2の飲料の味の評価得点は4であった。室温2年相当の加速保存試験後にサンプルをHPLCにかけたところ、98%のBioPQQが回収された。飲料中に沈殿物は見られなかった。
【0048】
(実施例3)
ストロベリーエッセンス100mgに代えてレモンエッセンス100mg(ゴールデンケリーパテント製)を添加した点を除き、実施例1と同様に飲料を調製し、官能試験と60℃で1週間(1年相当)の加速保存試験を行った。
【0049】
室温1年相当の加速保存試験後にサンプルをHPLCにかけたところ、99%のBioPQQが回収された。飲料中に沈殿物は見られなかった。実施例3の飲料の味の評価得点は4であった。
【0050】
(比較例1-2)
使用する甘味成分を還元麦芽糖水あめ5g、エリスリトール2g、アセスルファムK10mgから以下の表に記載のものに置き換えた点を除き、実施例2と同様に飲料を調製し、官能試験と60℃で1週間(室温1年相当)の加速保存試験を行った。結果を以下の表に示す。
【表1】
【0051】
還元麦芽糖水あめ、エリスリトール、アセスルファムの組み合わせを、ショ糖単独又は異性化糖単独に置き換えた結果、ピロロキノリンキノンの回収率が低下した。また、結果は示さないが、アスパルテーム単独の場合でもピロロキノリンキノンの回収率が低下した。
【0052】
(実施例4-10)香料の変更
ストロベリーエッセンスに代えて下記表に記載の香料を添加した点を除き、実施例1と同様に飲料を調製し、官能試験と加速保存試験を行った。加速保存試験の条件は、実施例4-6のサンプルについて60℃2週間、実施例7-10について60℃1週間とした。結果を以下に示す。
【表2】

安定性、味、ともに優れた飲料であった。また、すべてのサンプルで沈殿物は見られなかった。
【0053】
(実施例11-14)還元水あめ単独又は高甘味度甘味料との組み合わせ
使用する甘味成分を還元麦芽糖水あめ5g、エリスリトール2g、アセスルファムK10mgから以下の表に記載のものに置き換えた点を除き、実施例1と同様に飲料を調製し、官能試験と60℃で1週間(1年相当)の加速保存試験を行った。
【表3】
【0054】
(実施例15)糖アルコール、高甘味度甘味料の組み合わせ
使用する甘味成分を還元麦芽糖水あめ5g、エリスリトール2g、アセスルファムK10mgからエリスリトール2.5g、アセスルファムK10mgに置き換えた点を除き、実施例1と同様に飲料を調製し、官能試験と60℃で2週間(室温2年相当)の加速保存試験を行った。味の評価点は4で、BioPQQ回収率は100%であった。沈殿物はなかった。
【0055】
(実施例16)
使用する甘味成分を還元麦芽糖水あめ5g、エリスリトール2g、アセスルファムK10mgからアセスルファムK20mgに置き換えた点を除き、実施例10と同様に飲料を調製し、官能試験と60℃で2週間(室温2年相当)の加速保存試験を行った。BioPQQ回収率は100%であった。味の評価点は3であった。飲料中には沈殿物が見られた。このように、甘味料がアセスルファムK単独の場合にはピロロキノリンキノンの保存安定性は高かったが、沈殿が生じ、味も単調になった。
【0056】
(実施例17)糖アルコール、高甘味度甘味料の組み合わせ
合計100mL容量になるようにラカント(サラヤ株式会社、エリスリトール/羅漢果抽出物)11g、クエン酸120mg、クエン酸ナトリウム80mg、BioPQQ22mg、残り水を調合することにより飲料を調製した。味の評価点は4で60℃1週間後のBioPQQ回収率は100%であった。
【0057】
(実施例18-20)還元水あめの変更
還元麦芽糖水あめに代えて下記表に記載の還元水あめ(いずれも物産フードサイエンス製)を添加した点を除き、実施例1と同様に飲料を調製し、官能試験と60℃で1週間(1年相当)の加速保存試験を行った。使用した還元水あめはいずれも単糖のソルビトール及び二糖のマルチトールが主な成分である。固形分100とした時、エスイー600は単糖40~50、二糖40~50、三糖8~13、四糖1~5、五糖以上1~5である。スイートG2は単糖1~6、二糖70~77、三糖10~20、四糖1~6、五糖以上1~10である。スイートP EMは単糖40~50、二糖45~55、三糖1~5、四糖0~3、五糖以上0~3である。
【表4】
【0058】
(実施例21-25)糖アルコール単独、高甘味度甘味料単独、糖アルコールと高甘味度甘味料の組み合わせ
合計100mL容量になるように、以下の表に記載の甘味成分、クエン酸70mg、クエン酸酸ナトリウム30mg、BioPQQ20mg、残り水を調合することにより飲料を調製した。調製した飲料を60℃で所定期間保存してHPLC分析を行った。結果を以下に示す。
【表5】
【0059】
エリスリトールとラカントは高い安定化効果を示し、中でもエリスリトールは室温2年相当保存した場合でも安定であった。