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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/34 20060101AFI20231102BHJP
   B66B 1/50 20060101ALI20231102BHJP
   B66B 1/14 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B66B1/34 Z
B66B1/50 Z
B66B1/14 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022013148
(22)【出願日】2022-01-31
(65)【公開番号】P2023111339
(43)【公開日】2023-08-10
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0022575(US,A1)
【文献】特開2020-175975(JP,A)
【文献】特開2011-126613(JP,A)
【文献】特開2014-172676(JP,A)
【文献】特開平09-267978(JP,A)
【文献】特開2004-137044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00 - 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の昇降路と、該昇降路内を移動する1又は複数のかごと、エレベータの制御をする制御部と、を備え、
該制御部は、前記昇降路内における前記かごの運行に関する制御である運行制御、及び、前記昇降路の外部との通信に関する制御である通信制御について集中制御するように構成され、
一又は複数の昇降路で構成される昇降路群を複数備え、
前記複数の昇降路群の間に亘って延び、前記昇降路内を移動するかごが移動可能な連絡経路が設けられ、
前記かごは、前記連絡経路を介して一の昇降路群から他の昇降路群に移動可能に構成され、
前記複数の昇降路は、少なくとも1つの前記制御部の制御下に置かれ、
前記制御部は、各昇降路群に対して少なくとも1つ設けられ、
前記制御部は、自身が制御する前記昇降路内を移動する前記かごについて運行制御するように構成され
前記かごが前記一の昇降路群から前記他の昇降路群に移動しようとする場合に、前記他の昇降路群を制御する前記制御部に対して前記他の昇降路群に移動することの許可を求めるとともに、前記他の昇降路群を制御する前記制御部が、前記一の昇降路群内の前記かごを受け入れることができるか否かを判断して、前記かごの移動を許可又は禁止するよう構成されるエレベータ。
【請求項2】
前記他の昇降路群を制御する前記制御部は、前記一の昇降路群から前記他の昇降路群への前記かごの移動を許可又は禁止を前記一の昇降路群を制御する前記制御部に通知し、
前記一の昇降路群を制御する前記制御部は、許可の通知を受けた場合に前記かごを前記他の昇降路群へ移動させるよう制御する請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記制御部は、自身が制御する前記昇降路内を移動する前記かごについて運行制御するように構成され、かつ、制御対象の機器との間で無線通信を行うように構成され、
前記制御対象の機器は、前記無線通信における中継器として機能するように構成された請求項1又は2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記制御部は、前記昇降路の外部又は前記かごの内部に設けられるように構成される請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記複数の制御部のうち一の制御部は、前記昇降路についての集中制御を行い、他の制御部は、前記一の制御部が停止した場合又は前記一の制御部に不具合が発生した際のバックアップとして構成される請求項1乃至のいずれか1項に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来エレベータとして、特許文献1に記載のエレベータが知られている。エレベータは、乗りかごを昇降させる巻き上げ機の駆動、乗りかごの位置の取得、巻き上げ機による乗りかごの昇降制御、及び、乗りかごのドアの開閉駆動を含む、乗りかごの駆動に関する制御を行う第1の制御手段と、かご呼び及び乗場呼びを登録し、呼びに対する乗りかごの応答制御を行う第2の制御手段と、エレベータの運転状態を監視する監視盤との間で通信制御を行う第3の制御手段と、を備える。また、第1の制御手段、第2の制御手段、及び、第3の制御手段は、それぞれ昇降路内の異なった位置に設けられるように構成されている。
【0003】
上記のようなエレベータによれば、第2の制御手段及び第3の制御手段のうちいずれかが故障しても第1の制御手段が正常に動作していれば乗りかごの駆動に関する制御を継続することができるため、信頼性を確保できるとされている。また、第1の制御手段、第2の制御手段、及び、第3の制御手段を分散して配置することで、昇降路内に機械室を別途設ける必要がなくなり、昇降路内の機器設置スペースを削減できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-255272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のようなエレベータでは、制御手段が複数設けられているので、システムの構成が複雑になり、また、昇降路内の複数の箇所で制御手段を点検や交換等の管理業務をする必要がある。そのため、エレベータの管理が非効率的になっていた。
【0006】
そこで本発明は、効率的に管理をすることができるエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエレベータは、少なくとも1つの昇降路と、該昇降路内を移動する1又は複数のかごと、エレベータの制御をする制御部と、を備え、該制御部は、前記昇降路内における前記かごの運行に関する制御である運行制御、及び、前記昇降路の外部との通信に関する制御である通信制御について集中制御するように構成される。
【0008】
かかる構成によれば、制御部は、運行制御及び通信制御について集中制御するので、制御部を一元化することができ、システムの構成が単純となり、また、点検や交換等の管理の対象を1箇所に集約することができる。よって、エレベータを効率的に管理することができる。
【0009】
また、前記制御部は、前記昇降路の外部又は前記かごの内部に設けられるように構成されることもできる。
【0010】
かかる構成によれば、制御部が昇降路の外部又はかごの内部に設けられるので、保守点検の際に制御部にアクセスしやすい。
【0011】
また、前記制御部は、複数設けられ、前記複数の制御部のうち一の制御部は、前記昇降路についての集中制御を行い、他の制御部は、前記一の制御部が停止した場合又は前記一の制御部に不具合が発生した際のバックアップとして構成されることもできる。
【0012】
かかる構成によれば、エレベータを集中制御するバックアップとしての制御部が配置されるので、信頼性を高めつつ、システム構成が複雑になることを抑制できる。
【0013】
また、複数の前記昇降路を備え、前記制御部は、複数設けられ、前記複数の昇降路の間に亘って延び、前記昇降路内を移動するかごが移動可能な連絡経路が設けられ、前記かごは、前記連絡経路を介して一の昇降路から他の昇降路に移動可能に構成され、前記複数の昇降路は、少なくとも1つの前記制御部の制御下に置かれ、前記制御部は、自身が制御する前記昇降路内を移動する前記かごについて運行制御するように構成することもできる。
【0014】
かかる構成によれば、制御部が昇降路群内におけるかごの運行について集中制御するので、他の昇降路群から移動してきたかごについても確実に運行することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、効率的に管理をすることができるエレベータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るエレベータを示す概略図である。
図2】同エレベータの乗場及びかごを示す概略図である。
図3】同エレベータを示すブロック図である。
図4】同エレベータの乗場及び制御部を示すブロック図である。
図5】同エレベータのかご内コンピュータを示すブロック図である。
図6】本発明の他の実施形態に係るエレベータの乗場コンピュータを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係るエレベータ1について図1乃至図5を参照して説明する。
【0018】
図1に示すように、エレベータ1は、複数の昇降路2と、昇降路2内を移動する複数のかご3と、複数の昇降路2の間に設けられる連絡通路4と、を備える。昇降路2は、上下方向に延びる筒状体であり、連絡通路4は昇降路2の延伸方向と交差する方向に延びる筒状体である。本実施形態のエレベータ1では、1又は複数の昇降路2によって構成される昇降路群5が複数設けられ、昇降路群5同士は連絡通路4によって連結されている。昇降路群5とは、後述する一の制御部8によって制御される一群の昇降路2である。また、エレベータ1は、昇降路2及び連絡通路4の内部でかご3を移動させるための駆動装置7と、エレベータ1の制御をする制御部8を備える(図3参照)。
【0019】
図2に示すように、昇降路2は、内部にかご3が移動可能な経路を形成する上下方向に延びる筒状体である。昇降路2には、乗場6が上下方向に離間して複数設けられる。本実施形態の昇降路2は、2本で1つの昇降路群5を構成する。このような昇降路群5は、昇降路群5を構成する各昇降路2間をかご3が移動可能なように構成されている。具体的に、昇降路群5には、かご3が横方向(昇降路2の延伸方向と交差する方向)に移動可能な横移動部21が設けられている。横移動部21は、例えば、一の昇降路2と他の昇降路2に亘って延びる通路を有する部位である。また、横移動部21は、乗場6と上下方向で離間した位置に設けられる。さらに、図3に示すように、昇降路2には、かご3の位置を検出可能なかご位置検出部22と、かご位置検出部22にされた入力を制御部8に送信する昇降路通信部23が設けられる。かご位置検出部22は、かご3が通過する際に押下されるスイッチ(図示しない)及びかご3が乗場6に対応した位置に位置したときに検知する乗場センサ(図示しない)を昇降路2の延伸方向に離間して複数備え、かご3によってスイッチが押下される又は乗場センサがかご3を検知することで昇降路2内の該スイッチの位置にかご3が位置していることを検出可能である。昇降路通信部23は、かご位置検出部22が検出したかご3の位置を制御部8に送信する。本実施形態の昇降路通信部23は、無線で制御部8と通信を行う。
【0020】
図2に示すように、乗場6は、昇降路2の内外を連通する開口が形成され、該開口を開閉する乗場ドア61が設けられる部位である。このような乗場6は、昇降路2の上下方向に離間した複数の位置に配置されている。また、図2及び図4に示すように、乗場6は、かご3の運行に関する入力がされる入力装置としての乗場呼部62と、利用者に対してかご3の運行状況を報知する乗場報知部63と、乗場呼部62及び乗場報知部63と制御部8との間で通信をするための乗場通信部64と、を備える。本実施形態で乗場呼部62は、利用者が行き先(例えば上階又は下階)を入力してかご3を乗場6に呼ぶ入力ができるように構成され、本実施形態では複数の押し釦を備えている。乗場報知部63は、制御部8の制御によってかご3の到着及び行き先を利用者に報知可能であり、本実施形態では、発光体の点灯によってかご3の到着及び行き先を報知する。図3に示すように、乗場通信部64は、乗場呼部62に対してされた入力を制御部8に伝達可能であり、また、かご3の運行に関する情報を制御部8から受信可能である。本実施形態の乗場通信部64は、無線で制御部8と通信を行う。
【0021】
図2に示すように、かご3は、箱型で側面に開口を有するかご本体31と、かご本体31の開口を開閉する板状のかごドア32と、かごドア32を開閉するドア開閉装置33と、を備える。かごドア32は、各乗場6の乗場ドア61に対して係脱可能な係合手段を有し(図示しない)、乗場ドア61と一体となって開閉する。ドア開閉装置33は、かご本体31の上部に設けられ、かごドア32を開閉方向に移動させることができる駆動源を有する。また、図3に示すように、かご3は、かご内コンピュータ9と、開閉通信部34と、を備える。開閉通信部34は、ドア開閉装置33と制御部8の間で情報の通信をする部位である。開閉通信部34は、かごドア32の開閉についての指示を制御部8から受け付け、また、かごドア32の開閉の状況に関する情報を制御部8に対して送信する。本実施形態のかご3は、移動する昇降路2又は連絡通路4を制御する制御部8によって制御される。
【0022】
かご内コンピュータ9は、かご本体31に設けられ、少なくともかご本体31の内部から入力可能なコンピュータである。図5に示すように、かご内コンピュータ9は、かご内コンピュータ9と外部との通信をするかご通信部91と、かご3の運行状況についてかご本体31の内部にいる利用者に報知するかご報知部92と、かご3の状態を監視するセンサを有するかごセンサ部93と、かご本体31の内部から入力可能なかご入力部94と、かご本体31の内部状況を監視するかご内カメラ95と、を備える。また、かご内コンピュータ9は、少なくとも中央処理装置(CPU)、記憶装置、かご通信部91、かご入力部94及びかご報知部92が一体となったいわゆるオールインワンコンピュータである。本実施形態のかご内コンピュータ9は、中央処理装置(CPU)、記憶装置、かご通信部91、かご報知部92、かごセンサ部93、かご入力部94及びかご内カメラ95が一体となったコンピュータである。さらに、本実施形態のかご内コンピュータ9は、かご入力部94及びかご報知部92としてのタッチパネルを有する。
【0023】
かご通信部91は、かご内コンピュータ9と外部との通信をする。具体的に、かご通信部91は、かごセンサ部93で検知したかご3の状態に関する情報、かご入力部94に対してされた入力に関する情報、及び、かご内カメラ95で撮影されたかご本体31の内部の状態に関する情報を制御部8に送信し、また、かご報知部92で報知する情報を制御部8から受け取る。本実施形態のかご通信部91は、無線で制御部8と通信を行う。
【0024】
かご報知部92は、かご3の運行についての情報を表示してかご本体31の内部にいる利用者に報知するかご表示部921と、かご3の運行についての情報を音によりかご本体31の内部にいる利用者に報知するかご内スピーカ922と、を備える。かご表示部921は、かご内コンピュータ9におけるモニタであり、本実施形態ではタッチパネルである。本実施形態のかご表示部921は、制御部8の制御によりかご3の昇降路2内における現在位置に関する情報や、かご3の行先に関する情報などのかご3の運行状況についての情報を表示可能である。また、かご内スピーカ922は、音を発することができる装置であり、本実施形態では、かご内コンピュータ9に内蔵されたスピーカである。かご内スピーカ922は、制御部8の制御により、ドアの開閉に関する情報や、かご3が乗場6に到着する旨の情報などを音(例えば音声)でかご本体31内の使用者に報知する。
【0025】
本実施形態のかご報知部92は、後述する管理モードにおいて、かご本体31の内部の作業者がエレベータ1の点検又は故障からの復旧作業をするための情報を作業者に報知可能である。具体的に、かご報知部92は、作業者に対して、エレベータ1の故障内容や、かご3の加速度の変化のようなエレベータ1の点検又は故障に関する情報をかご表示部921による表示又はかご内スピーカ922が発する音によって報知可能である。
【0026】
かごセンサ部93は、センサによってかご3の状態を検出することでかご3の状態を監視する。具体的に、かごセンサ部93は、かご3の加速度を検出する加速度センサ931と、かご3内の温度を検出する温度センサ932と、かご3の重量を検出する重量センサ933と、を備える。加速度センサ931は、かご3が昇降路2内及び連絡通路4内で移動する際の加速度を検出するセンサである。本実施形態の加速度センサ931は、かご3の加速度を測定するように構成されている。なお、このような構成に限らず加速度センサ931は、かご3が所定の加速度を超えたことを検出するように構成することもできる。温度センサ932は、かご本体31の内部の温度を検出するセンサである。本実施形態の温度センサ932は、かご本体31の内部の温度を測定するように構成されている。なお、このような構成に限らず、温度センサ932は、かご本体31の内部の温度が所定の温度を超えたことを検出するように構成することもできる。重量センサ933は、かご3の重量を検出可能である。本実施形態の重量センサ933は、かご3の重量を測定するように構成されている。なお、このような構成に限らず、重量センサ933は、かご3の重量が所定の重量を超えたことを検出するように構成することもできる。
【0027】
かご入力部94は、かご内コンピュータ9に入力するための入力装置である。かご入力部94はかご本体31の内部の利用者がかご3の行先又はドア(乗場ドア61及びかごドア32)の開閉に関する操作を入力可能なかご呼部941と、かご本体31の内部の作業者がエレベータ1の点検又は故障からの復旧のための操作を入力可能なかご点検入力部942と、かご本体31の内部から音声入力可能なかご内マイク943と、を備える。本実施形態のかご入力部94は、入力部分として、タッチパネル及びマイク(かご内マイク943)を有し、後述するモードの切り替えによって前記タッチパネルがかご呼部941として機能する状態とかご点検入力部942として機能する状態とを切り替え可能である。また、かご内マイク943は、例えば、非常時に外部の管理者とかご本体31内の利用者で音声通話をする際や、エレベータ1の操作を音声認識で行う場合の入力部分である。
【0028】
かご内カメラ95は、かご本体31の内部の状態を撮影可能なカメラである。本実施形態のかご内カメラ95は、かご本体31の内部の状態を監視するカメラであり、かご本体31の外部からかご内カメラ95を通してかご本体31の内部を遠隔監視可能である。
【0029】
本実施形態のかご3は、後述する駆動装置7に対して結合可能であり、結合した駆動装置7によって昇降路2内を移動可能である。また、本実施形態のかご3は、横移動部21又は連絡通路4を介して一の昇降路2内から他の昇降路2内に移動可能である。
【0030】
図3に示すように、駆動装置7は、昇降路2及び連絡通路4の内部を移動可能な移動体である。また、駆動装置7には、かご3が結合及び分離可能であり、かご3が結合した状態で昇降路2及び連絡通路4の内部を移動可能である。本実施形態の駆動装置7は、昇降路2の延伸方向に沿って昇降路2の内部を移動する縦駆動装置と、昇降路2の延伸方向に交差する方向に、横移動部21又は連絡通路4の内部を移動する横駆動装置と、を含む。また、各駆動装置7は、かご3を移動させるための駆動源としてのモータを有し、該駆動源の駆動力によって昇降路2内及び連絡通路4内を移動する移動体としての駆動部71と、駆動部71と制御部8の間で情報の通信をする駆動通信部72と、を備える。駆動部71は、かご3を移動させるための駆動源としてのモータを有し、該駆動源の駆動力によって昇降路2内及び連絡通路4内を移動する移動体である。本実施形態の駆動部71は、リニアモータを駆動源として備える。
【0031】
駆動通信部72は、駆動部71と制御部8の間で情報の通信をする部位である。具体的に、駆動通信部72は、制御部8から駆動部71の駆動に関する指示を受け取り、駆動部71を動作させる。また、駆動通信部72は、駆動部71の状態に関する情報を駆動部71から受け取り、制御部8に送信する。本実施形態の駆動通信部72は、無線で制御部8と通信を行う。
【0032】
このような駆動装置7は、かご3に対して結合及び分離して、昇降路2内及び連絡通路4内を移動することでかご3を昇降路2内及び連絡通路4内で移動させる。具体的には、縦駆動装置がかご3に結合して、かご3を昇降路2の延伸方向に移動させ、横駆動装置がかご3に結合してかご3を昇降路2の延伸方向と交差する方向に移動させる。即ち、かご3は、縦駆動装置に結合して昇降路2の延伸方向に移動し、縦駆動装置から分離して横駆動装置に結合し、昇降路2の延伸方向と交差する方向に移動する。
【0033】
図3及び図4に示すように、制御部8は、昇降路2内のかご3の運行に関する制御である運行制御及び昇降路2の外部との通信に関する制御である通信制御について集中制御を行う。運行制御とは、かご3の運行のためのデータ処理を指し、通信制御とは、外部との通信のためのデータ処理を指す。本実施形態の制御部8は、一の昇降路群5についての運行制御及び通信制御を行い、各昇降路群5に少なくとも1つの制御部8が設けられる。本実施形態において、連絡通路4は、連絡通路4が連絡する一の昇降路群5及び他の昇降路群5のいずれか一方を制御する制御部8によって制御される。本実施形態の制御部8は、各昇降路群5に対して複数設けられ、例えば、第1制御部81、第2制御部82、及び第3制御部83が設けられる。また、一の昇降路群5に対して設けられる複数の制御部8は、それぞれ同様の構成である。さらに、制御部8は、前記昇降路2の外部又は前記かご3の内部に設けられるように構成され、本実施形態では、昇降路2の外である乗場6に設けられている(図2参照)。また、複数の制御部8は、昇降路2の延伸方向に離間して設けられた乗場6に分散して設けられている。
【0034】
制御部8の運行制御について説明する。運行制御は、かご3の運行に関する制御である。具体的に、運行制御は、昇降路2内及び連絡通路4内でのかご3の移動に関する制御である移動制御、ドアの開閉に関する制御である開閉制御、利用者への報知に関する制御である報知制御、及び、自身の制御下の昇降路群5と他の昇降路群5の間でのかご3の移動を許可又は禁止する連絡制御、を含む。
【0035】
移動制御は、かご呼部941及び乗場呼部62にされた入力に基づいてかご3を昇降路2内及び連絡通路4内で移動させる制御である。具体的に、移動制御は、乗場呼部62に入力がされた乗場6及びかご呼部941に入力された行先として指定された乗場6をかご3の行先として設定し、該設定された行き先にかご3が移動するように駆動装置7を駆動させる制御である。本実施形態の移動制御では、制御部8が駆動部71の駆動源の動作を直接制御する。
【0036】
開閉制御は、乗場呼部62に入力があった乗場6若しくはかご呼部941に行先として指定された乗場6にかご3が到着した場合、又は、かご呼部941に対してドア開閉に関する操作が入力された場合に、ドアを開閉する制御である。具体的に、開閉制御は、かご位置検出部22によって、乗場呼部62に入力があった乗場6若しくはかご呼部941に行先として指定された乗場6にかご3が到着したと検知されたときに、ドア開閉装置33を制御してかごドア32及び乗場ドア61を開き、かごドア32及び乗場ドア61を開いてから所定時間経過した場合又はかご呼部941にドアを閉じる操作が入力された場合に、ドア開閉装置33を制御してかごドア32及び乗場ドア61を閉じる制御である。また、開閉制御では、重量センサ933によって検出された重量が所定の重量を超える場合に、ドアが閉じることを禁止する。実施形態の開閉制御では、制御部8がドア開閉装置33の駆動源を直接制御する。
【0037】
報知制御は、かご3の運行に関する情報を利用者に報知する制御である。具体的に、報知制御は、例えば、かご位置検出部22によって検出された昇降路2内におけるかご3の位置に関する情報、かご3の行き先に関する情報、かご3が行き先として設定された乗場6に到着した情報、及びドアの開閉に関する情報、等を利用者に報知する制御である。また、報知制御は、重量センサ933によって検出された重量が所定の重量を超える場合に、重量オーバーであることを報知する。本実施形態の報知制御では、制御部8がかご報知部92を直接制御する。即ち、本実施形態の制御部8は、報知制御において、かご表示部921で表示する内容及びかご内スピーカ922で発する音についての制御を行う。
【0038】
連絡制御は、他の昇降路群5と自身の制御下の昇降路群5の間でのかご3の移動を許可又は禁止する制御である。本実施形態の連絡制御は、自身が制御する一の昇降路群5内を移動するかご3が連絡通路4を介して他の昇降路群5に移動することについて、他の昇降路群5を集中制御する制御部8に許可を求める制御及び、他の昇降路群5から一の昇降路群5にかご3が移動することについて他の昇降路群5を集中制御する制御部8から許可を求められた場合に、移動を許可又は禁止する制御である。かご3の移動が許可された場合に、かご3は他の昇降路群5から連絡通路4を介して一の昇降路群5に移動する。一方、かご3の移動が禁止された場合には、かご3は一の昇降路2内にとどまり、再度他の昇降路群5から一の昇降路群5に移動することについて許可を求める。なお、かご3の移動が禁止された場合に、かご3は他の昇降路群5にとどまる場合に限らず、例えば、連絡通路4内にとどまるように構成することもできる。また、連絡制御において、移動が許可されたかご3は、移動元の昇降路2を制御する制御部8に制御される状態から移動先の昇降路2を制御する制御部8に制御される状態に切り替わる。即ち、制御部8は、複数の昇降路2及び連絡通路4のうち自身が制御する範囲内を移動するかご3について運行制御をし、自身が制御する範囲を離れたかご3については制御しないように構成されている。
【0039】
一の昇降路群5に対して設けられる複数の制御部8のうち、一の制御部8が一の昇降路群5に対して集中制御し、他の制御部8は、一の昇降路群5に対して集中制御をしない待機状態となる。具体的に、一の昇降路群5に対して集中制御する第1制御部81から第3制御部83のうち、1つの制御部8(例えば第1制御部81)が一の昇降路群5に対して集中制御をし、他の制御部8(例えば第2制御部82及び第3制御部83)は、一の昇降路群5に対して集中制御しない待機状態となる。他の制御部8は、一の制御部8が停止した場合又は一の制御部8に不具合が発生した際のバックアップとして構成され、一の制御部8が停止した場合又は一の制御部8に不具合が発生した場合に、一の制御部8に代わって、他の制御部8のうちの一つが一の昇降路群5に対して集中制御を行う。具体的には、待機状態の他の制御部8が、一の制御部8が停止していることや、一の制御部8の通信状態や運行制御に不具合が生じていることを検知した場合に、他の制御部8のうちの一つが一の制御部8に代わって集中制御を行う。他の制御部8が一の制御部8に代わって集中制御を行うと、一の制御部8は待機状態となる。
【0040】
制御部8は、昇降路群5内の他の制御部8又は制御対象の機器(本実施形態では乗場通信部64、開閉通信部34、かご通信部91、及び駆動通信部72)との間で無線通信を行うように構成されており、昇降路群5内の他の制御部8又は制御対象の機器は、無線通信における中継器として構成されている。本実施形態では、昇降路群5内において、一の制御部8、他の制御部8及び制御対象の機器がマルチホップ無線ネットワークを形成している。
【0041】
また、制御部8は、昇降路群5外の設備との間で無線通信を行うように構成されている。具体的に、制御部8は、他の昇降路群5を制御する制御部8及び後述する遠隔監視サーバSとの間で無線通信を行う。制御部8が他の昇降路群5を制御する制御部8及び後述する遠隔監視サーバSとの間で電波不良により通信ができない又は不安定になるという不具合が発生した場合には、待機状態の他の制御部8が集中制御を行い、他の昇降路群5を制御する制御部8及び後述する遠隔監視サーバSとの間での通信を行う。
【0042】
遠隔監視サーバSは、昇降路2の外部(例えばエレベータ1が設置される建物の管理室やエレベータ1の保守点検をする会社)に設けられる、エレベータ1の管理及び監視をするためのサーバである。遠隔監視サーバSには、エレベータ1の現在の状況を監視するための監視情報と、エレベータ1の運行に関するデータを蓄積し、エレベータ1の管理をするための管理情報と、が制御部8から送信される。監視情報は、エレベータ1の現在の状態を示す情報であり、例えば、エレベータ1の稼働状況やかご内カメラ95で撮影された映像である。また、管理情報は、エレベータ1の使用回数や扉の開閉回数など、エレベータ1の管理、特に、保守点検のための情報である。
【0043】
さらに、制御部8は、運行制御及び通信制御について集中制御する運行モードと、エレベータ1についての管理をするための管理モードと、を備え、点検者の入力によって運行モード及び管理モードを切り替え可能に構成されている。制御部8の運行モード及び管理モードの切り替えは、乗場呼部62又はかご入力部94への入力によりなされるように構成されており、本実施形態では、かご呼部941への入力により運行モード及び管理モードが切り替えられる。例えば、かご入力部94に対して所定のパスワードを入力することで運行モード及び管理モードの切り替えがなされる。運行モードから管理モードの切り替えがなされると、かご入力部94の入力部分がかご呼部941として機能する状態からかご点検入力部942として機能する状態に切り替わり、管理モードから運行モードへの切り替えがなされると、かご入力部94の入力部分がかご点検入力部942として機能する状態からかご呼部941として機能する状態に切り替わる。
【0044】
以上のような構成のエレベータ1によれば、制御部8は、運行制御及び通信制御について集中制御するので、制御部8を一元化することができ、システムの構成が単純となり、また、点検や交換等の管理の対象を1箇所に集約することができる。よって、エレベータ1を効率的に管理することができる。
【0045】
また、制御部8が昇降路2の外部又はかご3の内部に設けられるので、保守点検の際に制御部8にアクセスしやすい。
【0046】
さらに、エレベータ1を集中管理するバックアップとしての制御部8が配置されるので、信頼性を高めつつ、システム構成が複雑になることを抑制できる。
【0047】
また、制御部8が昇降路2内におけるかご3の運行について集中制御するので、他の昇降路2から移動してきたかご3についても確実に運行することができる。
【0048】
さらに、制御部8は一の昇降路群5に対して複数設けられ、無線通信により昇降路群5の外部と通信するように構成され、複数の制御部8は、複数の乗場6に分散して配置される。よって、一の制御部8について、電波不良等により外部と無線通信できない不具合が発生したときに、他の乗場6に配置された他の制御部8がバックアップとして動作することで、電波不良を解消できる場合がある。よって、制御部8と昇降路群5の外部との通信の信頼性が高まる。
【0049】
また、制御部8は、制御対象の機器との間で無線通信を行うように構成され、複数の制御部8は、それぞれ無線通信の中継器として構成される。よって、一の制御部8と制御対象の機器との間の距離が遠く、一の制御部8と制御対象の機器の間で直接通信をすることが困難な場合であっても、複数の乗場6に配置された制御部8が中継器として構成されるので、他の制御部8を介して一の制御部8と制御対象の機器の間で無線通信をすることができる。よって、制御部8と制御対象の機器の間を無線通信としつつも、通信の信頼性を高めることができる。
【0050】
さらに、制御部8は、制御対象の機器との間で無線通信を行うように構成され、複数の制御部8及び制御対象の機器は、それぞれ無線通信の中継器として構成される。よって、よって、一の制御部8と制御対象の機器との間の距離が遠く、一の制御部8と制御対象の機器の間で直接通信をすることが困難な場合であっても、複数の乗場6に配置された制御部8又は制御対象の機器が中継器として構成されるので、他の制御部8又は制御対象の機器を介して一の制御部8と制御対象の機器の間で無線通信をすることができる。よって、制御部8と制御対象の機器の間を無線通信としつつも、通信の信頼性を高めることができる。
【0051】
また、一の昇降路群5について集中制御する制御部8は、一の昇降路群5内の前記かご3が前記他の昇降路群5に移動しようとする場合に、他の昇降路群5について集中制御する制御部8に対してかご3が他の昇降路群5に移動することの許可を求め、他の昇降路群5について集中制御する制御部8は、一の昇降路群5内のかご3を受け入れることができるか否かを判断し、一の昇降路群5に対して許可又は禁止を通知し、一の昇降路群5について集中制御する制御部8は、許可の通知を受けた場合にかご3を他の昇降路群5に移動させるよう構成される。よって、一の昇降路群5から他の昇降路群5にかご3が移動することについて、かご3を受け入れる側の他の昇降路群5が受け入れの可否を判断するので、他の昇降路群5内にかご3が移動することにより不都合が生じることを抑制できる。
【0052】
さらに、制御部8は、昇降路群5内におけるかご3の運行について集中制御する運行モードと、エレベータ1についての管理をするための管理モードと、を備え、乗場6及びかご3には、運行モードにおいて、かご3の運行に関する操作を入力可能な入力部(乗場呼部62及びかご入力部94)が設けられ、管理モードにおける入力は、乗場6及び前記かご3の少なくとも一方に設けられる入力部(かご入力部94)で入力可能に構成される。よって、制御部8は運行モードと管理モードとを備え、入力部を運行モードと管理モードで兼用できるので、管理のために別途管理部及び入力部を設ける必要がない。よって、エレベータ1の管理を効率的にすることができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0054】
例えば、かご3が昇降路2の延伸方向及び昇降路2の延伸方向に交差する方向に移動可能な場合について説明したが、かご3が昇降路2の延伸方向にのみ移動するように構成することもできる。かご3が昇降路2の延伸方向にのみ移動する場合には、連絡通路4や横移動部21を設けなくてもよい。
【0055】
また、エレベータ1はかご3を移動させるための駆動手段を備えるいわゆるロープレスエレベータである場合について説明したが、このような場合に限らず、ワイヤによってかご3が吊り下げられ、ワイヤを巻き上げ機で巻き上げることでかご3が昇降するいわゆるロープ式エレベータや、油圧でかご3を昇降させるいわゆる油圧式エレベータに対しても本発明を適用できる。
【0056】
さらに、制御部8と各設備との間の通信、及び、制御部8と外部との通信は無線接続により行われる場合について説明したが、有線接続で行われるように構成することもできる。
【0057】
また、かご3には、かご内コンピュータ9が配置され、かご内コンピュータ9は、中央処理装置(CPU)、入力装置、及び、出力装置が一体として構成されたいわゆるオールインワンコンピュータである場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、入力装置と出力装置が別々に構成されたコンピュータとして構成することもできるし、中央処理装置を備えず、制御部8が直接入力装置及び出力装置と入出力を行うように構成することもできる。
【0058】
さらに、制御部8は乗場6に設けられる場合について説明したが、このような場合に限らず、例えば、かご3内や昇降路2内に設けることもできるし、建物内の設備(例えば守衛室)に設けることもできる。また、例えば、エレベータ1が設けられる建物の外部に制御部8を設け、遠隔制御によりエレベータ1を制御するように構成することもできる。
【0059】
また、連絡通路4内のかご3の移動について、連絡経路が連絡する2つの昇降路群5の内、一方の昇降路群5について集中制御する制御部8が制御する場合について説明したが、このような構成に限らず、連絡経路内でのかご3の移動について制御する制御部8を別途設けることもできる。
【0060】
また、乗場6は、乗場通信部64と、乗場呼部62と、乗場報知部63と、を備える場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、図6に示すように、乗場6は、乗場6から操作可能な乗場コンピュータ69を備えるように構成することができる。以下、乗場コンピュータ69を備える場合の構成について説明する。なお、乗場コンピュータ69を備える構成にあっては、制御部8(第1制御部81~第3制御部83のいずれか)が乗場コンピュータ69と一体として設けられるように構成することもできる。
【0061】
乗場コンピュータ69は、乗場コンピュータ69は、乗場コンピュータ69と外部との通信をする乗場通信部64と、かご3の運行状況について乗場6にいる利用者に報知する乗場報知部63と、乗場6の状態を監視するセンサを有する乗場センサ部65と、乗場6から入力可能な乗場入力部66と、乗場6の状況を監視する乗場カメラ67と、を備える。また、乗場コンピュータ69は、少なくとも中央処理装置(CPU)、記憶装置、乗場通信部64、乗場報知部63及び乗場入力部66が一体となったいわゆるオールインワンコンピュータである。本実施形態の乗場コンピュータ69は、中央処理装置(CPU)、記憶装置、乗場通信部64、乗場報知部63、乗場センサ部65、及び、乗場入力部66が一体となったコンピュータである。
【0062】
乗場通信部64は、かご内コンピュータ9と外部との通信をする。具体的に、乗場通信部64は、乗場センサ部65で検知した乗場6の状態に関する情報、及び、乗場入力部66に対してされた入力に関する情報、を制御部8に送信し、また、乗場報知部63で報知する情報を制御部8から受け取る。
【0063】
乗場報知部63は、かご3の運行についての情報を表示して乗場6にいる利用者に報知する乗場表示部631と、かご3の運行についての情報を音により乗場6にいる利用者に報知する乗場スピーカ632と、を備える。乗場表示部631は、例えば、乗場コンピュータ69におけるモニタであり、本実施形態ではタッチパネルである。本実施形態の乗場表示部631は、制御部8の制御によりかご3の昇降路2内における現在位置に関する情報や、かご3の行先に関する情報などのかご3の運行状況についての情報を表示可能である。また、乗場スピーカ632は、音を発することができる装置であり、本実施形態では、乗場コンピュータ69に内蔵されたスピーカである。乗場スピーカ632は、制御部8の制御により、ドアの開閉に関する情報や、かご3が乗場6に到着する旨の情報などを音(例えば音声)で乗場6の使用者に報知する。
【0064】
本実施形態の乗場報知部63は、管理モードにおいて、乗場6の作業者がエレベータ1の点検又は故障からの復旧作業をするための情報を作業者に報知可能である。具体的に、乗場報知部63は、作業者に対して、エレベータ1の点検又は故障に関する情報を乗場表示部631による表示又は乗場スピーカ632が発する音によって報知可能である。
【0065】
乗場センサ部65は、センサによって乗場6の状態を検出することで乗場6の状態を監視する。具体的に、乗場センサ部65は、乗場6の加速度を検出する乗場加速度センサ651と、乗場6の温度を検出する乗場温度センサ652と、を備える。乗場加速度センサ651は、乗場6の加速度を検出するセンサであり、例えば、エレベータ1が設置される建物自体の揺れを検知可能である。乗場温度センサ652は、乗場6の温度を検出するセンサである。
【0066】
乗場入力部66は、乗場コンピュータ69に入力するための入力装置である。乗場入力部66は乗場呼部62と、乗場6の作業者がエレベータ1の点検又は故障からの復旧のための操作を入力可能な乗場点検入力部661と、乗場6から音声入力を可能な乗場マイク662と、を備える。本実施形態の乗場入力部66は、乗場呼部62及び乗場点検入力部661として機能する第一の入力部分(例えばタッチパネル)と、乗場マイク662として機能する第二の入力手段(マイク)を有し、後述するモードの切り替えによって前記第一の入力部分が乗場呼部62として機能する状態と乗場点検入力部661として機能する状態とを切り替え可能である。
【0067】
乗場カメラ67は、乗場6の状態を撮影可能なカメラである。本実施形態の乗場カメラ67は、乗場6の状態を監視するカメラであり、外部やかご本体31の内部から乗場カメラ67を通して乗場6の状態を遠隔監視可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…エレベータ、2…昇降路、21…横移動部、22…かご位置検出部、23…昇降路通信部、3…かご、31…かご本体、32…かごドア、33…ドア開閉装置、34…開閉通信部、4…連絡通路、5…昇降路群、6…乗場、61…乗場ドア、62…乗場呼部、63…乗場報知部、631…乗場表示部、632…乗場スピーカ、64…乗場通信部、65…乗場センサ部、651…乗場加速度センサ、652…乗場温度センサ、66…乗場入力部、661…乗場点検入力部、662…乗場マイク、67…乗場カメラ、69…乗場コンピュータ、7…駆動装置、71…駆動部、72…駆動通信部、8…制御部、81…第1制御部、82…第2制御部、83…第3制御部、9…かご内コンピュータ、91…かご通信部、92…かご報知部、921…かご表示部、922…かご内スピーカ、93…かごセンサ部、931…加速度センサ、932…温度センサ、933…重量センサ、94…かご入力部、941…かご呼部、942…かご点検入力部、943…かご内マイク、95…かご内カメラ、S…遠隔監視サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6