(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】エレベータの開閉ドア用の接触検知装置
(51)【国際特許分類】
B66B 13/26 20060101AFI20231102BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B66B13/26 G
B66B3/00 M
(21)【出願番号】P 2022108876
(22)【出願日】2022-07-06
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】大脇 裕之
(72)【発明者】
【氏名】沈 強
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-052705(JP,A)
【文献】特開昭55-123877(JP,A)
【文献】特開昭63-306189(JP,A)
【文献】特開昭55-011420(JP,A)
【文献】国際公開第1998/018710(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/00 - 13/30
B66B 3/00 - 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉ドアの付近に人がいることを検知する人検知部と、
前記開閉ドアの静電容量の変化に基づいて前記開閉ドアと人との接触を検知する接触検知部と、
前記開閉ドアを接地部に電気的に接続した接地状態と、前記開閉ドアを接地部から電気的に切り離した絶縁状態とを切替可能な接地切替部と、を備え、
前記人検知部が前記開閉ドアの付近に人がいることを検知すると、前記接地切替部が前記開閉ドアの状態を前記絶縁状態に切り替えるように構成される、
エレベータの開閉ドア用の接触検知装置。
【請求項2】
前記開閉ドアの開閉状態を検知する開閉検知部を備え、
前記接地切替部は、前記開閉ドアが開状態であることを前記開閉検知部が検知した後に前記開閉ドアの状態を前記接地状態に切り替えるように構成される
請求項1に記載のエレベータの開閉ドア用の接触検知装置。
【請求項3】
前記開閉ドアの開閉状態を検知する開閉検知部を備え、
前記接触検知部の検知動作を有効にした検知有効状態と、前記接触検知部の前記検知動作を無効にした検知無効状態とを切替可能な検知動作切替部を備え、
前記検知動作切替部は、前記開閉ドアが開状態になっていることを前記開閉検知部が検知した後に前記接触検知部を前記検知無効状態に切り替えた状態で前記人検知部が前記開閉ドアの付近に人がいることを検知すると、前記接触検知部を前記検知有効状態に切り替える、
請求項1又は請求項2に記載のエレベータの開閉ドア用の接触検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの開閉ドアへの人の接触を検知するエレベータの開閉ドア用の接触検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータの乗り場の出入口と乗りかごの出入口を開閉する開閉ドアには、人が接触したことを検知する接触検知装置が設置されることがある。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている人体検出手段は、乗場出入口とかご出入口を開閉するドアの静電容量の変化に基づいて、ドアに人が接触したことを検知できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記人体検出手段のように、静電容量の変化に基づいてドアに人が接触したことを検知する場合、ドアと乗場出入口やかご出入口とを絶縁する必要があるが、これに伴い、ドアが帯電しやすくなることが問題になる。
【0006】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、開閉ドアへの帯電を抑制できるエレベータの開閉ドア用の接触検知装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエレベータの開閉ドア用の接触検知装置は、
開閉ドアの付近に人がいることを検知する人検知部と、
前記開閉ドアの静電容量の変化に基づいて前記開閉ドアと人との接触を検知する接触検知部と、
前記開閉ドアを接地部に電気的に接続した接地状態と、前記開閉ドアを接地部から電気的に切り離した絶縁状態とを切替可能な接地切替部と、を備え、
前記人検知部が前記開閉ドアの付近に人がいることを検知すると、前記接地切替部が前記開閉ドアの状態を前記絶縁状態に切り替えるように構成される。
【0008】
上記構成のエレベータの開閉ドア用の接触検知装置は、開閉検知部が検知した後に人検知部が開閉ドアの付近に人がいることを検知した場合、すなわち、開閉ドアへの人の接触を検知する必要が生じたタイミングに合わせて開閉ドアの状態を絶縁状態に切り替えるように構成されているため、開閉ドアが帯電してしまう機会を減らすことができる。
【0009】
本発明のエレベータの開閉ドア用の接触検知装置において、
前記開閉ドアの開閉状態を検知する開閉検知部を備え、
前記接地切替部は、前記開閉ドアが開状態であることを前記開閉検知部が検知した後に前記開閉ドアの状態を前記接地状態に切り替えるように構成されるようにしてもよい。
【0010】
このようにすれば、開閉ドアが開状態であることを前記開閉検知部が検知した後、すなわち、開閉ドアへの人の接触を検知する必要がなくなったタイミングに合わせて、開閉ドアが帯びた電気を接地部に逃がせるようにすることによっても開閉ドアが帯電してしまう機会を減らすことができるようになる。
【0011】
本発明のエレベータの開閉ドア用の接触検知装置において、
前記接触検知部の検知動作を有効にした検知有効状態と、前記接触検知部の前記検知動作を無効にした検知無効状態とを切替可能な検知動作切替部を備え、
前記検知動作切替部は、前記開閉ドアが開状態になっていることを前記開閉検知部が検知した後に前記接触検知部を前記検知無効状態に切り替えた状態で前記人検知部が前記開閉ドアの付近に人がいることを検知すると、前記接触検知部を前記検知有効状態に切り替える、ようにしてもよい。
【0012】
このようにすれば、開閉ドアへの人の接触を検知する必要がある場合と開閉ドアへの人の接触を検知する必要がない場合とで、接触検知部の検知動作を有効にした検知有効状態と、接触検知部の前記検知動作を無効にした検知無効状態とを切り替えることができるため、開閉ドアへの人の接触を検知する必要がない場合における接触検知部の誤検知を抑制することもできる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明のエレベータの開閉ドア用の接触検知装置は、開閉ドアへの帯電を抑制できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るエレベータの開閉ドア用の接触検知装置の構成の概要を説明するためのブロック図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るエレベータの開閉ドア用の接触検知装置の動作中の状態を説明するための図であって、開閉ドアが閉状態であり且つ開閉ドアの付近に人がいない状態の説明図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係るエレベータの開閉ドア用の接触検知装置の動作中の状態を説明するための図であって、開閉ドアが閉状態であり且つ開閉ドアの付近に人がいる状態の説明図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るエレベータの開閉ドア用の接触検知装置の動作中の状態を説明するための図であって、開閉ドアが開状態である状態の説明図である。
【
図5】
図5は、本発明のエレベータの開閉ドア用の接触検知装置を用いた安全装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態にかかるエレベータの開閉ドア用の接触検知装置(以下、接触検知装置と称する)について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0016】
本実施形態に係る接触検知装置1は、
図1に示すように、開閉ドアDの付近に人がいることを検知する人検知部2と、開閉ドアDの開閉状態を検知する開閉検知部3と、開閉ドアDに設置された状態で開閉ドアDと人との接触を検知する接触検知部4と、接触検知部4の検知動作を有効にした状態(検知有効状態)と、接触検知部4の検知動作を無効にした状態(検知無効状態)とを切替可能な検知動作切替部5と、開閉ドアDを接地部Eに接続した接地状態と、開閉ドアDを接地部Eから切り離した絶縁状態とを切替可能な接地切替部6と、を備えている。
【0017】
開閉ドアDとは、乗り場ドアや、かごドアのことであるが、本実施形態の接触検知装置1の説明においては、接触検知装置1が開閉ドアDとしての乗り場ドアと人との接触を検知するように構成されていることを一例に挙げている。
【0018】
なお、接触検知装置1は、開閉ドアDとしての乗り場ドアと人との接触を検知するように構成されている場合は、乗り場ドアの外面(乗り場側に露出する一面)と人との接触を検知し、接触検知装置1が開閉ドアDとしてのかごドアと人との接触を検知するように構成されている場合は、かごドアの内面(乗りかごの室内に露出する一面)と人との接触を検知することになる。
【0019】
人検知部2は、開閉ドアDの付近に人がいることを検知すると、信号(以下、検知信号と称する)を出力するように構成されている。
【0020】
人検知部2は、例えば、撮像装置で乗り場やかごの室内を撮像した画像に基づいて開閉ドアDの付近に人がいることを検知するように構成されていてもよいし、乗り場やかごの室内に設置されている操作盤への操作(押しボタンの押し操作)が行われたことをもって開閉ドアDの付近に人がいることを検知するように構成されていてもよい。
【0021】
開閉検知部3は、開閉ドアDが完全に閉じた状態(完全閉状態)に切り替わったとき(すなわち、開閉ドアDの閉動作が完了したとき)に戸閉信号を出力し、開閉ドアDが完全に開いた状態(完全開状態)に切り替わったとき(すなわち、開閉ドアDの開動作が完了したとき)に戸開信号を出力するように構成されている。
【0022】
接触検知部4は、いわゆる、静電容量センサである。接触検知部4は、接続切替部51を介して開閉ドアDに接続されている。開閉ドアDに人体等の導体が接触すると開閉ドアDの静電容量が変化する。接触検知部4は、この開閉ドアDの静電容量の変化を検知するように構成されている。
【0023】
また、本実施形態の接触検知部4は、電力の供給を受けることによって検知機能を発揮している作動状態に切り替わり、電力の供給が途絶えることによって検知機能を発揮していない停止状態に切り替わるように構成されている。
【0024】
なお、接触検知部4は、例えば、開閉ドアDの一面全体(乗り場ドアの場合は外面全体、かごドアの場合は内面全体)に取り付けられていてもよいし、開閉ドアDの開動作時の進行方向における先端側に取り付けられていてもよい。開閉ドアDの開動作時の進行方向における先端側に取り付ける場合、開閉ドアDの開動作時に引き込みが起きやすいエリアで開閉ドアDへの人の接触を検知できるようにしつつ、開閉ドアDへの接触検知部4の取り付け面積を狭めることによって開閉ドアDの周囲の構造物の影響を受けて静電容量が変化してしまうこと(すなわち、接触検知部4の検知精度が低下してしまうこと)を抑制できる。
【0025】
検知動作切替部5は、接触検知部4を作動状態または停止状態に切り替える作動切替部50と、接触検知部4と開閉ドアDとの電気的な接続状態を切り替える接続切替部51と、を備える。
【0026】
作動切替部50は、開閉ドアDが完全閉状態に切り替わったことを開閉検知部3が検知した後に人検知部2が開閉ドアDの付近に人がいることを検知した時点(以下、起動時点と称する)で接触検知部4を前記作動状態に切り替え、開閉ドアDが完全開状態に切り替わったことを開閉検知部3が検知した時点(以下、リセット時点と称する)に接触検知部4を前記停止状態に切り替えるように構成されている。
【0027】
開閉ドアDの閉状態には、開閉ドアDが閉動作を開始してから完了するまでの閉動作中の状態(閉動作状態)と、開閉ドアDの閉動作が完了して完全に閉じた状態(上述の完全閉状態)とが含まれており、本実施形態の作動切替部50は、開閉ドアDが閉動作状態に切り替わっている間は接触検知部4を検知無効状態から検知有効状態に切り替えないように構成されている。
【0028】
なお、作動切替部50は、例えば、開閉検知部3から出力された戸閉信号を受信した後に人検知部2から出力された検知信号を受信することによって起動時点であると判定し、開閉検知部3から出力された戸開信号を受信することによってリセット時点であると判定するように構成されていればよい。
【0029】
接続切替部51は、起動時点で接触検知部4と開閉ドアDとを電気的に接続した接続状態に切り替え、リセット時点で接触検知部4と開閉ドアDとを電気的に切り離した切離状態に切り替えるように構成されている。
【0030】
作動切替部50と接続切替部51とについてより具体的に説明する。
【0031】
作動切替部50は、
図2に示すように、例えば、電源500aを有する電源回路500であって、起動時点になると電力が流れる通電状態になり、リセット時点になると電力の流れが止まる不通状態になる電源回路500と、電源回路500と接触検知部4とに接続される通電リレー501であって、電源回路500から電力を受けている状態で入状態になり、電源回路500から電力を受けていない状態で切状態になる通電リレー501とを有する。
【0032】
電源回路500は、上記の電源500aと、電源500aに接続される入スイッチ500bであって、起動時点になると切状態から入状態に切り替わる入スイッチ500bと、入スイッチ500bと電源500aの間に接続される連動リレー500cであって、電源500aから電力を受けている状態で入状態に切り替わり、電源500aから電力を受けていない状態で切状態に切り替わる連動リレー500cと、入スイッチ500bに並列に接続される保持リレー500dであって、電源500aから電力を受けている状態で入状態に切り替わり、電源500aから電力を受けていない状態で切状態に切り替わる保持リレー500dと、連動リレー500cと電源500aの間に接続される切スイッチ500eであって、リセット時点になると入状態から切状態に切り替わる切スイッチ500eと、を有する。
【0033】
入スイッチ500bは、a接点のスイッチであり、起動時点になると入状態に切り替わるように構成されている。
【0034】
本実施形態の入スイッチ500bは、人検知部2に接続されている。人検知部2が乗り場やかごの室内に設置されている操作盤への操作(押しボタンの押し操作)が行われたことをもって開閉ドアDの付近に人がいることを検知するように構成されていている場合、入スイッチ500bは、操作盤への操作が行われている間は入状態に切り替わるが、操作盤への操作が行われていない状態になると切状態に切り替わる。すなわち、入スイッチ500bは、起動時点に入状態に切り替わった後、リセット時点に至る前に切状態に切り替わることがある。
【0035】
保持リレー500dは、起動時点からリセット時点に至るまでの間において、入スイッチ500bが入状態から切状態に切り替わっても電源回路500の通電状態を保持できるようにするためのリレーである。
【0036】
保持リレー500dは、a接点のリレーであり、起動時点からリセット時点に至るまでの間は入状態になり、リセット時点に至ると切状態に切り替わるように構成されている。
【0037】
入スイッチ500bと連動リレー500cが入状態に切り替わると電源回路500が閉回路になり、保持リレー500dは、電源500aから電力を受けて入状態に切り替わる。この状態で入スイッチ500bが入状態から切状態に切り替わっても、保持リレー500dが入状態であれば電源回路500が閉回路になっている状態が保持される。そのため、起動時点からリセット時点までの間(切スイッチ500eが入状態である間)は、保持リレー500dによって電源回路500の通電状態が保持されるようになっている。
【0038】
リセット時点になると切スイッチ500eが入状態から切状態に切り替わるため、電源回路500が開放されて不通状態になる。これに伴い、保持リレー500dも入状態から切状態に切り替わる。
【0039】
切スイッチ500eは、開閉検知部3に接続されており、開閉検知部3から戸開信号を受信したときに入状態から切状態に切り替わり、開閉検知部3から戸閉信号を受信したときに切状態から入状態に切り替わるように構成さていればよい。
【0040】
通電リレー501は、a接点のリレーであり、起動時点になり電源回路500が通電状態に切り替わると、電源回路500(電源500a)から電力を受けて入状態に切り替わり、リセット時点になり電源回路500が不通状態に切り替わると、電源回路500(電源500a)からの電力が途絶えて切状態に切り替わるように構成されている。
【0041】
接続切替部51は、接触検知部4と開閉ドアDとに接続される接続リレー510によって構成されている。
【0042】
接続リレー510は、a接点のリレーであり、起動時点になると入状態に切り替わり、リセット時点になると切状態に切り替わるように構成されている。
【0043】
起動時点になると電源回路500が通電状態になり、通電リレー501が入状態になるため、接続リレー510も電源回路500(電源500a)から電力を受けて入状態になる。これにより、作動状態に切り替わった接触検知部4が開閉ドアDに電気的に接続され、接触検知部4が検知有効状態になる。
【0044】
一方で、リセット時点になると電源回路500が不通状態になり通電リレー501が切状態になるため、接続リレー510も電源回路500(電源500a)からの電力が途絶えて切状態になる。これにより、接触検知部4が停止状態に切り替えられ且つ開閉ドアDから電気的に切り離され、接触検知部4が検知無効状態になる。
【0045】
接地切替部6は、開閉ドアDと接地部Eとに接続される接地リレー60によって構成されている。
【0046】
接地リレー60は、b接点のリレーであり、起動時点になると切状態に切り替わり、リセット時点になると入状態に切り替わるように構成されている。
【0047】
上述のように、起動時点になると電源回路500が通電状態になり、通電リレー501と接続リレー510とが入状態になり、接地リレー60が電源回路500(電源500a)の電力を受けて切状態に切り替わる。これにより、開閉ドアDは、接地部Eから切り離された絶縁状態になる。
【0048】
一方で、リセット時点になると電源回路500が不通状態になり、通電リレー501と接続リレー510とが切状態になるため、接地リレー60は電源回路500(電源500a)の電力が途絶えることによって入状態に切り替わる。これにより、開閉ドアDは、接地部Eに電気的に接続された接地状態になる。
【0049】
なお、接地リレー60と接続リレー510とは、電気的に接続されていれば、一体の部品により構成されていてもよいし、別々の部品により構成されていてもよい。
【0050】
本実施形態に係る接触検知装置1の構成は、以上の通りである。続いて、接触検知装置1の動作を説明する。
【0051】
開閉ドアDが完全閉状態であり、且つ人検知部2が開閉ドアDに人が接近していることを検知していない場合、
図2に示すように、入スイッチ500bと保持リレー500dが切状態であるため電源回路500が不通状態になっており、通電リレー501が切状態になっている。そのため、接触検知部4は、電源回路500から電力が供給されておらず、停止状態になっている。また、接続リレー510も切状態になっているため、接触検知部4は切離状態になっている。すなわち、接触検知部4が検知無効状態になっている。
【0052】
開閉ドアDが完全閉状態であり、且つ人検知部2が開閉ドアDに人が接近していることを検知している場合、
図3に示すように、入スイッチ500bが入状態に切り替わる。これにより、電源回路500は、閉回路になり、通電状態に切り替わる。電源回路500が通電状態に切り替わると、保持リレー500dが閉状態に切り替わるため、入スイッチ500bが切状態に切り替わっても電源回路500の通電状態が保持されるようになる。
【0053】
また、電源回路500が通電状態になると、通電リレー501は、電源回路500から電力を受けて入状態になり、接触検知部4が起動状態になる。また、接続リレー510も入状態になるため、接触検知部4が接続状態になる。さらに、接地リレー60が切状態になるため、開閉ドアDが絶縁状態になり、これにより、接触検知部4が検知有効状態になる。
【0054】
この状態で開閉ドアDに人が接触すると、接触検知部4が開閉ドアDの静電容量の変化(すなわち、開閉ドアDに人が接触したこと)を検知する。
【0055】
開閉ドアDが完全開状態になると、
図4に示すように、切スイッチ500eが切状態になり、電源回路500が通電状態から不通状態に切り替わる。これに伴い、保持リレー500dも切状態になる。
【0056】
電源回路500が不通状態に切り替わると、通電リレー501が切状態になり、接触検知部4が停止状態になる。また、接続リレー510も切状態になるため、接触検知部4が切離状態になる。すなわち、接触検知部4が検知無効状態になる。
【0057】
一方で、接地リレー60は入状態になるため、開閉ドアDが接地状態になり、これにより、開閉ドアDが帯電しにくい状態になる。
【0058】
以上のように、本実施形態に係る接触検知装置1は、人検知部2が開閉ドアDの付近に人がいることを検知した場合、すなわち、開閉ドアDへの人の接触を検知する必要が生じたタイミングに合わせて開閉ドアDの状態を絶縁状態に切り替えるように構成されているため、開閉ドアDの絶縁状態が常時継続することがなくなる。そのため、接触検知装置1は、開閉ドアDが帯電してしまう機会を減らすことができるようになっており、これにより、開閉ドアDへの帯電を抑制できるという優れた効果を奏し得る。
【0059】
また、本実施形態の接触検知装置1は、開閉ドアDが完全開状態に切り替わったことを前記開閉検知部3が検知した後、すなわち、開閉ドアDへの人の接触を検知する必要がなくなったタイミングに合わせて、開閉ドアDが帯びた電気を接地部Eに逃がせるようにすることによっても開閉ドアDが帯電してしまう機会を減らすことができるようになっている。
【0060】
さらに、本実施形態の接触検知装置1では、開閉ドアDが完全開状態に切り替わったことを開閉検知部3が検知した後に、検知動作切替部5が接触検知部4を検知無効状態に切り替え、人検知部2が開閉ドアDの付近に人がいることを検知すると、接触検知部4を検知有効状態に切り替えるように構成されている。そのため、開閉ドアDへの人の接触を検知する必要がある場合と開閉ドアDへの人の接触を検知する必要がない場合とで、接触検知部4の検知動作を有効にした検知有効状態と、接触検知部4の前記検知動作を無効にした検知無効状態とを切り替えることができ、これにより、開閉ドアDへの人の接触を検知する必要がない場合における接触検知部4の誤検知を抑制することもできるようになっている。
【0061】
なお、本発明に係るエレベータの開閉ドア用の接触検知装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0062】
上記実施形態において、接触検知部4は、起動時点とリセット時点とに合わせて作動状態と停止状態とが切り替わるように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、接触検知部4は、常に作動状態であってもよい。
【0063】
上記実施形態において、電源回路500は、リセット時点において不通状態になるように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、電源回路500は、開閉ドアDが開動作を開始してからリセット時点に至るまでの間、すなわち、開閉ドアDが開動作を開始してから完了するまでの開動作中の状態(開動作状態)において不通状態になるように構成されていてもよい。
【0064】
この場合、開閉ドアDが開動作状態であるときに、作動切替部50が接触検知部4を停止状態に切り替え、接続切替部51が接触検知部4を接地状態に切り替えることになる。
【0065】
上記実施形態の接触検知装置1は、開閉ドアDが完全閉状態であり、且つ人検知部2が開閉ドアDに人が接近していることを検知した場合、接触検知部4が接続状態に切り替わった後に、開閉ドアDが絶縁状態に切り替わるように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、接触検知装置1は、接触検知部4が接続状態に切り替わるタイミングと、開閉ドアDが絶縁状態に切り替わるタイミングは同時であってもよい。
【0066】
上記実施形態の説明において特に言及しなかったが、接触検知装置1は、
図5に示すように、接触検知部4から受信した検知結果に基づいて安全対策を講じる対策装置7に接続されていてもよい。すなわち、接触検知装置1と、対策装置7とでエレベータの開閉ドア用の安全装置8を構成してもよい。
【0067】
なお、対策装置7は、安全対策として、例えば、開閉ドアDに人が接触したことを知らせる処理や、開閉ドアDを開く速度を低くする処理や、開閉ドアDの閉状態を維持する処理等を行うように構成されていればよい。
【0068】
上記実施形態において特に言及しなかったが、接触検知部4は、開閉ドアDが開動作を開始する直前に、開閉ドアDと人との接触を検知している状態から開閉ドアDと人との接触を検知していない状態に切り替わった場合は、所定時間の間、開閉ドアDと人との接触を検知しているとみなすように構成されていてもよい。
【0069】
このようにすれば、例えば、接触検知装置1を対策装置7に接続して用いるような場合においては、開閉ドアDから人が離れた直後であっても対策装置7が安全対策を講じることができるため、安全性が高まる。
【符号の説明】
【0070】
1…接触検知装置、2…人検知部、3…開閉検知部、4…接触検知部、5…検知動作切替部、6…接地切替部、7…対策装置、8…安全装置、50…作動切替部、51…接続切替部、60…接地リレー、500…電源回路、500a…電源、500b…入スイッチ、500b…通電スイッチ、500…入スイッチ、500c…連動リレー、500d…保持リレー、500e…切スイッチ、501…通電リレー、510…接続リレー、D…開閉ドア、E…接地部
【要約】
【課題】開閉ドアDへの帯電を抑制できるエレベータの開閉ドアD用の接触検知装置の提供。
【解決手段】開閉ドアDの付近に人がいることを検知する人検知部2と、前記開閉ドアDの開閉状態を検知する開閉検知部3と、前記開閉ドアDに設置された状態で前記開閉ドアDと人との接触を検知する接触検知部4と、前記開閉ドアDを接地部Eに接続した接地状態と、前記開閉ドアDを接地部Eから切り離した絶縁状態とを切替可能な接地切替部6と、を備え、前記開閉ドアDが閉状態に切り替わったことを検知した後に前記人検知部2が前記開閉ドアDの付近に人がいることを検知すると、前記接地切替部6が前記開閉ドアDの状態を前記絶縁状態に切り替えるように構成される、エレベータの開閉ドアD用の接触検知装置。
【選択図】
図2