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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】掘削装置の芯振れ防止装置
(51)【国際特許分類】
   E21B 17/10 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
E21B17/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019198636
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021070987
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】519390416
【氏名又は名称】株式会社野間産業
(73)【特許権者】
【識別番号】000177416
【氏名又は名称】三和機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】古川 辰男
(72)【発明者】
【氏名】野間 二郎
(72)【発明者】
【氏名】野間 和昭
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏男
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-091690(JP,U)
【文献】特開2004-011316(JP,A)
【文献】特開2012-112227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースマシン1に設けたリーダー2に昇降自在に回転駆動部3を取付け、回転駆動部3には、下部に地盤改良や掘削作業を行う装置5を駆動する回転軸6の上部側を取付け、リーダー2の上下方向の所定位置には、回転軸6が軸心方向に対して放射方向に振れるのを防止する芯振れ防止装置10を設け、芯振れ防止装置10は、回転駆動部3より下方の回転軸6の外周面に当接して回転軸6と共回りする回転側筒部材11と、前記リーダー2側に取付けた固定側筒部材12とにより構成し、回転側筒部材11の上部側には回転側筒部材11の軸心に対して放射方向に回転側筒部材11の全周に亘って水平方向に突出するようにフランジ部16を設け、フランジ部16は、フランジ部16の下面のみが固定側筒部材12の一部である支持筒部23上に当接して垂直方向に支持されると共に、回転側筒部材11が固定側筒部材12に対して、回転自在でかつ上下方向には固定されるように支持する構成とし、フランジ部16より下方の回転側筒部材11の筒本体15はフランジ部16以外で固定側筒部材12により支持されていない片持ち上げ状態により支持する構成とし、固定側筒部材12の上部には、上方に起立し、かつ、上部に固定側筒部材12の軸心に向かって屈曲して回転側筒部材11のフランジ部16に当接する押さえ部36を有する押さえ部材35を設け、回転側筒部材11のフランジ部16の外周端30は、側面視において、固定側筒部材12のフランジ部22の外周端31よりも外側に位置させた掘削装置の芯振れ防止装置。
【請求項2】
請求項1において、前記回転側筒部材11の上下中間の所定位置の外周面には固定側筒部材12の内周に垂直状態で当接する当接部17を形成した掘削装置の芯振れ防止装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記回転側筒部材11は、回転軸6を挿通させる挿通孔13を有し、挿通孔13内の内周面の一部または全部を回転軸6の外周に当接させる構成とした掘削装置の芯振れ防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削装置の芯振れ防止装置のおよび掘削装置の芯振れ防止装置の製作方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アースオーガーの回転軸の掘削装置の芯振れ防止装置として、回転軸の外周面に当接して回転軸と共回りする回転側筒部材と、固定側筒部材とにより構成し、固定側筒部材の上下両側にリング状の蓋部材を設け、蓋部材と回転側筒部材の上下両端の間にシール部材を液密的に介在させて回転側筒部材を浮き支持状態で設けた構成は、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平6-53692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例では、回転側筒部材が固定側筒部材に対してシール部材を液密的に介在させて浮き支持状態に取付ける構成のため、回転側筒部材の上下両側を固定側筒部材により支持する構成となり、しかも、液密的に支持するのでシール部材の取付けが必要になって、複雑な構造になっているという課題がある。
本願は、芯振れ防止装置の固定側筒部材と回転側筒部材の配置および支持構成を工夫し、特に、回転方向の摩擦を軽減させることにより、補修作業や部品交換を減らし、低コストな芯振れ防止装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、ベースマシン1に設けたリーダー2に昇降自在に回転駆動部3を取付け、回転駆動部3には、下部に地盤改良や掘削作業を行う装置5を駆動する回転軸6の上部側を取付け、リーダー2の上下方向の所定位置には、回転軸6が軸心方向に対して放射方向に振れるのを防止する芯振れ防止装置10を設け、芯振れ防止装置10は、回転駆動部3より下方の回転軸6の外周面に当接して回転軸6と共回りする回転側筒部材11と、前記リーダー2側に取付けた固定側筒部材12とにより構成し、回転側筒部材11の上部側には回転側筒部材11の軸心に対して放射方向に回転側筒部材11の全周に亘って水平方向に突出するようにフランジ部16を設け、フランジ部16は、フランジ部16の下面のみが固定側筒部材12の一部である支持筒部23上に当接して垂直方向に支持されると共に、回転側筒部材11が固定側筒部材12に対して、回転自在でかつ上下方向には固定されるように支持する構成とし、フランジ部16より下方の回転側筒部材11の筒本体15はフランジ部16以外で固定側筒部材12により支持されていない片持ち上げ状態により支持する構成とし、固定側筒部材12の上部には、上方に起立し、かつ、上部に固定側筒部材12の軸心に向かって屈曲して回転側筒部材11のフランジ部16に当接する押さえ部36を有する押さえ部材35を設け、回転側筒部材11のフランジ部16の外周端30は、側面視において、固定側筒部材12のフランジ部22の外周端31よりも外側に位置させた掘削装置の芯振れ防止装置としたものである。
請求項の発明は、前記回転側筒部材11の上下中間の所定位置の外周面には固定側筒部材12の内周に垂直状態で当接する当接部17を形成した掘削装置の芯振れ防止装置としたものである。
請求項の発明は、前記回転側筒部材11は、回転軸6を挿通させる挿通孔13を有し、挿通孔13内の内周面の一部または全部を回転軸6の外周に当接させる構成とした掘削装置の芯振れ防止装置としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、芯振れ防止装置を、回転軸6と共回りする回転側筒部材11と、リーダー2側に取付けた固定側筒部材12とにより構成し、回転側筒部材11を、固定側筒部材12に対して、回転自在でかつ上下方向には固定されるように、少なくとも、回転側筒部材11に設けたフランジ部16が下方から支持され、回転側筒部材11の筒本体15の下部は固定側筒部材12により支持されていない片持ち上げ状態により支持しているので、簡素に構成でき、芯振れを防止ししつつ、回転側筒部材11を支持する固定側筒部材12の回転方向の摩耗を防止して、芯振れ防止装置10の耐久性を向上させることができ、また、固定側筒部材12の上部には、上方に起立し、かつ、上部に固定側筒部材12の軸心に向かって屈曲して回転側筒部材11のフランジ部16に当接する押さえ部36を有する押さえ部材35を設けているので、回転側筒部材11に下方から突き上げ荷重が掛かっても、回転側筒部材11が固定側筒部材12の上側に向けて移動するのを防止し、回転側筒部材11により回転軸6の芯振れを確実に防止でき、芯振れ防止装置10の構成を簡素にでき、芯振れ防止装置10の重量の軽量化が図れ、製作・組立コストを低くでき、また、回転側筒部材11のフランジ部16の外周端30は、側面視において、固定側筒部材12のフランジ部22の外周端31よりも外側に位置させているので、上方から落下する土砂等が固定側筒部材12の内周と回転側筒部材11の外周の間の隙間32に侵入するのを防止することができ、それゆえ、回転側筒部材11のフランジ部16は固定側筒部材12の上部に載って回転側筒部材11を支持する支持部材と固定側筒部材12の内周と回転側筒部材11の外周の間の隙間32への異物侵入を防止する閉塞部材を兼用する合理的構成となって、終始略同径の固定側筒部材12の嵌合孔20に回転側筒部材11を嵌合させる簡素な構成でありながら、回転側筒部材11を回転軸6(機器7)と一体状に共回りさせて回転軸6(機器7)の放射方向の芯振れを防止すると共に、回転側筒部材11の内周面が回転軸6の外周面との接触(摺接)摩擦による回転方向の摩耗を抑制して耐久性を向上させることができる。
請求項の発明では、回転側筒部材11の上下中間の所定位置の外周面に固定側筒部材12の内周に当接する当接部17を形成しているので、固定側筒部材12が摩耗するのを抑制して、芯振れ防止装置10の耐久性を向上させることができる。
請求項の発明では、回転側筒部材11は、回転軸6を挿通させる挿通孔13を有し、挿通孔13内の内周面の一部または全部を回転軸6の外周に当接させる構成としているので、回転側筒部材11は回転軸6を確実に支持でき、芯振れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】掘削作業機の側面図。
図2】芯振れ防止装置の側面図。
図3】同平面図。
図4】同側面図。
図5】同縦断側面図。
図6】回転側筒部材の側面図。
図7】固定側筒部材の側面図。
図8】芯振れ防止装置の一部縦断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図により説明する。1はベースマシン、2はベースマシン1に設けたリーダー、3はリーダー2に昇降自在に取付けた回転駆動部(アースオーガー)であり、回転駆動部3には回転軸体4の上部を取付ける(図1)。
回転軸体4には、図示は省略するが、地盤改良装置や掘削装置等の装置5を駆動する回転軸(掘削軸)6の上部を取付ける。回転軸6には装置5の掘削ヘッドやスクリューオーガ等の機器7を取付ける(図1)。Kは装置5の機器7の外周を包囲するケーシングである。
【0009】
リーダー2の所定位置には、前記回転軸6が軸心方向に対して放射方向に振れるのを防止する芯振れ防止装置10を設ける。芯振れ防止装置10は、回転駆動部3より下方の回転軸6の外周面に当接して回転軸6と共回りさせることにより回転軸6を支持して、回転軸6が軸心方向に対して放射方向に振れる芯振れを防止する回転側筒部材11と、該回転側筒部材11を二重筒状態に回転のみ自在に嵌合させて支持する、前記リーダー2側に取付けた固定側筒部材12とにより構成する。
【0010】
回転側筒部材11は、回転軸6を挿通させる上下方向の挿通孔13を有し、挿通孔13内の内周面の一部または全部を回転軸6の外周に当接させる。回転側筒部材11は、終始同径の筒本体15の上部所定位置に、回転側筒部材11の軸心に対して放射方向に突出するフランジ部16を形成し、フランジ部16は筒本体15の上部の全周に形成する。回転側筒部材11の筒本体15の上下中間の所定位置の外周面には固定側筒部材12の外周に当接する当接部17を形成する(図5)。
【0011】
固定側筒部材12は、回転側筒部材11を嵌合させる嵌合孔20を有する筒本体21を終始略同径に形成する。筒本体21の上部所定位置には、固定側筒部材12の軸心に対して放射方向に突出するフランジ部22を形成する。フランジ部22より上方の固定側筒部材12の部位は、嵌合孔20に嵌合させた回転側筒部材11のフランジ部16を下方から当接支持する支持筒部23に形成する(図8)。
筒本体21の上下方向の所定位置には、任意形状の取付部25を設け、取付部25を介して固定側筒部材12をリーダー2に取付ける。
【0012】
したがって、芯振れ防止装置10の回転側筒部材11は、固定側筒部材12に対して、回転自在でかつ上下方向には固定されるように、少なくとも、回転側筒部材11に設けたフランジ部16が下方から支持され、回転側筒部材11の筒本体15の下部は固定側筒部材12により支持されていない片持ち上げ状態により支持する構成となる。
すなわち、回転側筒部材11は、回転側筒部材11の上下方向の両側のうち、上側部分にて固定側筒部材12により支持する構成としている。
【0013】
そのため、芯振れ防止装置10の構成を簡素にでき、芯振れ防止装置10の重量の軽量化が図れ、製造・組立コストを低くできる。
また、回転側筒部材11のフランジ部16の外周端30は側面視において、固定側筒部材12のフランジ部22の外周端31よりも間隔Tの分外側に位置させ、上方から落下する土砂等が固定側筒部材12の内周と回転側筒部材11の外周の間の隙間32に侵入するのを防止する(図8)。
【0014】
また、回転側筒部材11のフランジ部16の外周端30の下方には下方に突出する下向きフランジ部30Aを形成し、下向きフランジ部30Aの下端は固定側筒部材12の支持筒部23の上面よりも間隔tの分下方に位置させ(図8)、上方から落下する土砂等が固定側筒部材12の内周と回転側筒部材11の外周の間の隙間32に侵入するのを防止する。
【0015】
したがって、回転側筒部材11のフランジ部16は固定側筒部材12の上部に載って回転側筒部材11を支持する支持部材と固定側筒部材12の内周と回転側筒部材11の外周の間の隙間32への異物侵入を防止する閉塞部材を兼用する合理的構成となって、終始略同径の固定側筒部材12の嵌合孔20に回転側筒部材11を嵌合させる簡素な構成でありながら、固定側筒部材12の内周と回転側筒部材11の外周の間の隙間32に土砂等の異物が侵入するのを防止でき、回転側筒部材11を回転軸6と一体状に共回りさせて回転軸6の放射方向の芯振れを防止すると共に、回転側筒部材11の内周面が回転軸6の外周面との接触(摺接)摩擦による摩耗を抑制して耐久性を向上させられる。
【0016】
また、固定側筒部材12のフランジ部22には、上方に起立する鍵状の押さえ部材35を設け、押さえ部材35は固定側筒部材12に回転側筒部材11を嵌合させた後に、任意の手段(ボルト固定あるいは溶接等の手段)によりフランジ部22に固定し、押さえ部材35の押さえ部36が回転側筒部材11のフランジ部16の上面上方位置に位置させる(図8)。
すなわち、押さえ部材35は、下部に押さえ部36と平行な下側当接部35Aを形成し、下側当接部35Aの上面はフランジ部22の下面に当接させ、押さえ部36と下側当接部35Aとによりフランジ部16を上下両側から挟持する構成としている。
【0017】
そのため、固定側筒部材12の押さえ部36が回転側筒部材11のフランジ部16の上面上方位置に位置しているので、回転側筒部材11に下方から突き上げ荷重が掛かっても、回転側筒部材11が固定側筒部材12の上側に向けて移動して外れるのを防止し、回転側筒部材11により回転軸6の芯振れを確実に防止する。
また、回転側筒部材11の当接部17に対応する固定側筒部材12の筒本体21の部位には、グリースニップル40を設ける。
【0018】
そのため、固定側筒部材12に対して回転する回転側筒部材11の外周の摺接部分にグリースを供給でき、回転を円滑にさせられる。
同様に、回転側筒部材11のフランジ部16にもグリースニップル41を設け、固定側筒部材12の支持筒部23の上方の回転側筒部材11のフランジ部16にはグリースニップル41を設けている。
【0019】
(実施形態の作用)
本発明は上記構成であり、リーダー2の回転駆動部3の回転軸体4の下部に機器7を有する回転軸6の上部を取付け、装置5の装着が完了する。
次に、回転駆動部3により回転軸体4および回転軸6を回転させ、装置5の機器7を作動させて作業を行う。
リーダー2の所定位置には、回転軸6が軸心方向に対して放射方向に振れるのを防止する芯振れ防止装置10を設けているので、装置5の機器7を作動させて掘削孔を掘削する際に、装置5の機器7が回転軸6の軸心方向に対して放射方向に振れるのを防止でき、掘削孔の掘削精度を向上させられる。
【0020】
芯振れ防止装置10は、回転駆動部3より下方の回転軸6の外周面に当接して回転軸6と共回りさせることにより回転軸6を支持して、回転軸6が軸心方向に対して放射方向に振れる芯振れを防止する回転側筒部材11と、該回転側筒部材11を二重筒状態に回転のみ自在に嵌合さて支持する、前記リーダー2側に取付けた固定側筒部材12とにより構成しているので、芯振れ防止装置10の回転側筒部材11の内周面に機器7の外周面が当接して共回りすることにより支持しつつ、芯振れを防止ししつつ、回転側筒部材11を支持する固定側筒部材12が摩耗するのを防止して、芯振れ防止装置10の耐久性を向上させられる。
【0021】
すなわち、回転側筒部材11の内周面が回転軸6の外周面に当接して回転軸6と共回りすることにより、回転側筒部材11の回転方向の摩耗が減少して回転方向の耐摩耗性を向上させられ、この回転側筒部材11を二重筒状態に固定側筒部材12に嵌合させているので、回転側筒部材11の外周面および固定側筒部材12の内周面の回転方向の耐摩耗性も向上させられる。
【0022】
そして、装置5の回転軸6と、芯振れ防止装置10の回転側筒部材11と、固定側筒部材12とは、本来、回転軸6の昇降に伴う昇降摩耗よりも、摺接距離および時間の長い回転摩耗に対応でき、芯振れ防止装置10の耐久性を向上させられる。
この場合、回転側筒部材11の筒本体15の上下中間の所定位置の外周面には固定側筒部材12の内周に当接する当接部17を形成しているので、この点でも、固定側筒部材12が摩耗するのを抑制して、芯振れ防止装置10の耐久性を向上させられる。
【0023】
回転側筒部材11は、回転軸6を挿通させる挿通孔13を有し、挿通孔13内の内周面の一部または全部を機器7(回転軸6)の外周に当接させるので、回転側筒部材11は機器7を確実に支持する。
回転側筒部材11は、終始同径の筒本体15の上部所定位置に、回転側筒部材11の軸心に対して放射方向に突出するフランジ部16を形成し、固定側筒部材12は、回転側筒部材11を嵌合させる嵌合孔20を有し、終始略同径に形成した筒本体21の上部所定位置に固定側筒部材12の軸心に対して放射方向に突出するフランジ部22を形成し、フランジ部22より上方の固定側筒部材12の部位は上方に突出させた支持筒部23を設けているので、回転側筒部材11を固定側筒部材12の嵌合孔20を上方から嵌合させると、回転側筒部材11のフランジ部16は下方から固定側筒部材12の支持筒部23により支持される。
【0024】
固定側筒部材12のフランジ部22には、上方に起立し、かつ、上部に固定側筒部材12の軸心に向かって屈曲する押さえ部36を設けているので、固定側筒部材12に回転側筒部材11を嵌合させ、押さえ部材35の押さえ部36を回転側筒部材11のフランジ部16の上面上方位置に位置させた状態で、ボルト固定あるいは溶接等の任意の手段方法によりフランジ部22に押さえ部材35の基部を固定すると、掘削等の機器7による作業中に、回転側筒部材11に下方から突き上げ荷重が掛かっても、回転側筒部材11が固定側筒部材12の上側に向けて移動するのを防止し、回転側筒部材11により回転軸6の芯振れを確実に防止する。
【0025】
したがって、芯振れ防止装置10の回転側筒部材11は、リーダー2側に支持されている固定側筒部材12に対して、回転側筒部材11のフランジ部16のみが下方から支持され、回転側筒部材11の筒本体15の下部は固定側筒部材12により支持されていない片持ち上げ状態により支持する構成となるので、芯振れ防止装置10の構成を簡素にでき、芯振れ防止装置10の重量の軽量化が図れ、製作・組立コストを低くできる。
【0026】
また、回転側筒部材11のフランジ部16の外周端30は側面視において、固定側筒部材12のフランジ部22の外周端31よりも外側に位置させているので、上方から落下する土砂等が固定側筒部材12の内周と回転側筒部材11の外周の間の隙間32に侵入するのを防止する。
【0027】
したがって、回転側筒部材11のフランジ部16は固定側筒部材12の上部に載って回転側筒部材11を支持する支持部材と固定側筒部材12の内周と回転側筒部材11の外周の間の隙間32への異物侵入を防止する閉塞部材を兼用する合理的構成となって、終始略同径の固定側筒部材12の嵌合孔20に回転側筒部材11を嵌合させる簡素な構成でありながら、固定側筒部材12の内周と回転側筒部材11の外周の間の隙間32に土砂等の異物が侵入するのを防止でき、回転側筒部材11を回転軸6(機器7)と一体状に共回りさせて回転軸6(機器7)の放射方向の芯振れを防止すると共に、回転側筒部材11の内周面が回転軸6の外周面との接触(摺接)摩擦による摩耗を抑制して耐久性を向上させられる。
【0028】
また、回転側筒部材11の当接部17に対応する固定側筒部材12の筒本体21の部位には、グリースニップル40を設けているので、固定側筒部材12に対して回転する回転側筒部材11の外周の摺接部分にグリースを供給でき、回転側筒部材11の回転を円滑にさせられ、回転軸6(機器7)の放射方向の芯振れを防止する。
【0029】
同様に、回転側筒部材11のフランジ部16にもグリースニップル40を設け、固定側筒部材12の支持筒部23の上方の回転側筒部材11のフランジ部16にはグリースニップル40を設けているので、回転側筒部材11の回転を円滑にさせられ、回転軸6(機器7)の放射方向の芯振れを防止する。
【符号の説明】
【0030】
1…ベースマシン、2…リーダー、3…回転駆動部、4…回転軸体、5…装置、6…回転軸、7…機器、10…芯振れ防止装置、11…回転側筒部材、12…固定側筒部材、13…挿通孔、15…筒本体、16…フランジ部、17…当接部、20…嵌合孔、21…筒本体、22…フランジ部、23…支持筒部、25…取付部、30…外周端、31…外周端、32…隙間、35…押さえ部材、36…押さえ部、40…グリースニップル、41…グリースニップル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8