(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】内視鏡用波長変換部材、及びこれを用いた内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/07 20060101AFI20231102BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20231102BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20231102BHJP
G02B 1/11 20150101ALI20231102BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20231102BHJP
C09K 11/00 20060101ALI20231102BHJP
C09K 11/59 20060101ALI20231102BHJP
C09K 11/65 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A61B1/07 736
A61B1/07 734
A61B1/07 733
G02B23/26 B
G02B5/20
G02B1/11
G02B5/28
C09K11/00 D
C09K11/59
C09K11/65
(21)【出願番号】P 2020167008
(22)【出願日】2020-10-01
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2020116550
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591075467
【氏名又は名称】冨士色素株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】311007545
【氏名又は名称】GSアライアンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩林 弘久
(72)【発明者】
【氏名】森 良平
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-094496(JP,A)
【文献】特開2013-161862(JP,A)
【文献】特開2007-088299(JP,A)
【文献】特開2008-270229(JP,A)
【文献】特開2011-072424(JP,A)
【文献】特開2017-028251(JP,A)
【文献】特開2007-220326(JP,A)
【文献】特開2013-080638(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0036922(KR,A)
【文献】特開2006-149938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
G02B 23/24-23/26
C09K 11/00-11/89
H01L 33/50
F21K 9/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡システムの光源装置からの励起光を波長変換して変換光を含む照明光とするための内視鏡用波長変換部材であって、
シリカを主成分とする固体ガラスと、前記固体ガラス中に分散した量子ドッ
トとを含有し、長手方向の長さが3mm以上の棒状体を含み、
前記棒状体の長手方向に沿った外周面が前記励起光を前記棒状体まで導く光ファイバのコアの接触部と接触し、
前記光ファイバの先端面と前記接触部との成す角が鋭角であり、前記光ファイバの先端面に少なくとも前記励起光を反射する反射層が設けられている内視鏡用波長変換部材。
【請求項2】
前記棒状体の長手方向に沿った外周面には少なくとも変換光を反射する反射層が設けられている請求項1に記載の内視鏡用波長変換部材。
【請求項3】
前記棒状体の入射側の端面には、変換光反射膜が設けられ、その変換光反射膜の表面には励起光反射防止膜が設けられている請求項1又は2に記載の内視鏡用波長変換部材。
【請求項4】
前記棒状体の出射側の端面には、励起光反射膜及び/又は変換光反射防止膜が設けられている請求項1~3いずれか1項に記載の内視鏡用波長変換部材。
【請求項5】
前記棒状体の長手方向に沿った外周面の少なくとも一部と接触する接触部を有する導光体が設けられ、
前記導光体は、前記励起光が入射される入射面と、前記入射面以外の外面を覆い、少なくとも前記励起光を反射する反射層と、が設けられている請求項1に記載の内視鏡用波長変換部材。
【請求項6】
前記棒状体の出射側に位置する前記導光体の端面と前記接触部との成す角が鋭角である請求項5に記載の内視鏡用波長変換部材。
【請求項7】
前記棒状体の波長500nmにおける屈折率が1.45~1.80である請求項1~6いずれか1項に記載の内視鏡用波長変換部材。
【請求項8】
先端を体内へ挿入するための挿入部と、
前記先端で撮像又は像の取込みを行なって、前記挿入部の基端側に出力する撮像系と、
光源側からの光を前記挿入部の先端付近まで導く光ファイバを含む照明光学系と、を備える内視鏡であって、
前記照明光学系に、請求項1~7いずれか1項に記載の内視鏡用波長変換部材を設けてある内視鏡。
【請求項9】
前記波長変換部材が、前記光ファイバの先端側に設けられると共に、前記波長変換部材の出射側には、光学窓、又は発散レンズが設けられている請求項8に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記光源が前記光ファイバに励起光を直接出射するレーザダイオードである請求項8又は9に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記照明光学系が複数の光学系からなり、いずれかの光学系を構成する前記波長変換部材が炭素系量子ドット及び/又はシリコン量子ドットを含有し、他の光学系を構成する前記波長変換部材がシリコン量子ドット及び/又はペロブスカイト型量子ドットを含有する請求項8~10いずれか1項に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の照明光学系などに使用可能な内視鏡用波長変換部材、及びこれを用いた内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野などにおいて用いられる内視鏡の照明ユニットとして、光ファイバによって導光されたレーザ光を照明光として用いる照明ユニットが知られている。
【0003】
このような照明ユニットとしては、例えば特許文献1のように、光ファイバからなる導光部材と、前記導光部材の先端面に配置されて光の光学特性を変換することで生成される照明光を出射する光変換部材と、を具備するものが提案されている。また、光変換部材が、青色レーザ光によって黄色蛍光を励起する黄色蛍光体を有し、青色レーザ光を拡散して出射すると共に黄色蛍光を出射することにより、白色の照明光を出射可能となることが記載されている。この文献では、蛍光体粒子が母材中に分散した半球状又は偏平状の光変換部材が、導光部材の先端面に配置された構造のみが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、青色光と緑色光を含む光を発する固体光源と、光ファイバと、その光出射側等に配置され、Ceを発光中心として含む赤色蛍光体を含む波長変換素子と、を備えた照明ユニットが提案されている。この文献では、赤色蛍光体の粉末状結晶やその焼結体である層状蛍光体を用いて、波長変換素子を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6464251号公報
【文献】特許第6273637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、蛍光体粒子が母材中に分散したものでは、光の散乱が多くなり、波長変換された光が十分な光量で得られにくく、また、母材の種類によっては、レーザ光に対する耐光性や耐熱性が不十分となるという問題があった。
【0007】
また、特許文献2のように、蛍光体粉末を焼結した層状蛍光体では、蛍光体粉末による光の散乱が多いため励起光が内部まで届かない又はかつ発光が出てこられないため、励起光の変換効率が低下するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、光の取出効率が十分高く、しかも耐光性や耐熱性が良好な内視鏡用波長変換部材、及びこれを用いた内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究したところ、金属アルコキシドを含む溶液に量子ドットを分散させてゾル-ゲル反応で固化させることで、耐光性や耐熱性が良好な蛍光体を棒状に成形できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の内視鏡用波長変換部材は、内視鏡システムの光源装置からの励起光を波長変換して変換光を含む照明光とするための内視鏡用波長変換部材であって、シリカを主成分とする固体ガラスと、前記固体ガラス中に分散した量子ドットとを含有し、長手方向の長さが3mm以上の棒状体を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の内視鏡用波長変換部材によると、シリカを主成分とする固体ガラスと、前記固体ガラス中に分散した量子ドットとを含有するため、耐光性や耐熱性が良好でありかつ光の散乱が少ない波長変換部材となる。しかも任意の長さの棒状体に成形することができるため、小径化しつつ入射方向に沿って十分な長さを確保することができるので、光の取出効率を十分高くすることができ、内視鏡システムの光源装置からの励起光を効率良く波長変換して十分な変換光を含む照明光とすることができる。このように本発明では、光の取出効率が十分高く、しかも耐光性や耐熱性が良好な内視鏡用波長変換部材を提供することができる。
【0012】
上記において、前記棒状体の長手方向に沿った外周面には少なくとも変換光を反射する反射層が設けられていることが好ましい。外周面にこのような反射層が設けられることで、量子ドットから外周面側に発せられる変換光を、内部に反射させることができるため、より効率良く変換光を、棒状体の出射側に取り出すことができる。
【0013】
また、前記棒状体の入射側の端面には、変換光反射膜が設けられ、その変換光反射膜の表面には励起光反射防止膜が設けられていることが好ましい。棒状体の入射側の端面に変換光反射膜が設けられることで、入射側に発せられる変換光を、内部に反射させることができ、また、変換光反射膜の表面には励起光反射防止膜が設けられているため、効率良く励起光を棒状体に取り込むことができる。その結果、さらに効率良く変換光を、棒状体の出射側に取り出すことができる。
【0014】
更に、前記棒状体の出射側の端面には、励起光反射膜及び/又は変換光反射防止膜が設けられていることが好ましい。この構成により、さらに効率良く変換光を、棒状体の出射側に取り出すことができる。
【0015】
内視鏡用波長変換部材は、前記棒状体の長手方向に沿った外周面の少なくとも一部と接触する接触部を有する導光体が設けられ、前記導光体は、前記励起光が入射される入射面と、前記入射面以外の外面を覆い、少なくとも前記励起光を反射する反射層と、が設けられていることが好ましい。この構成により、励起光を棒状体の外周面から入射させることができる。これにより、励起光が棒状体の内部を通過する距離が増え、励起光が棒状体の量子ドットに当たる率が増加し、変換光の取出効率を高くすることができる。また、棒状体の入射側の端面から励起光を入射させた場合と比べ、棒状体の出射側の端面に近い位置で変換光を取り出すことができるので、変換光が棒状体の内部を通過することによる光の減衰を抑えることができる。
【0016】
また、前記棒状体の出射側に位置する前記導光体の端面と前記接触部との成す角が鋭角であることが好ましい。これにより、棒状体の長手方向と平行に進む励起光も棒状体の内部に反射させて入射させることができ、変換光の取出効率を高くすることができる。
【0017】
更に、前記棒状体の長手方向に沿った外周面が前記励起光を前記棒状体まで導く光ファイバのコアの接触部と接触し、前記光ファイバの先端と前記接触部との成す角が鋭角であり、前記光ファイバの先端に少なくとも前記励起光を反射する反射層が設けられていることが好ましい。これにより、光ファイバによって棒状体の外周面から棒状体の内部に励起光を直接入射させることができる。このため構造をより簡易化できると共に、省スペース化が可能となる。
【0018】
なお、本発明の内視鏡用波長変換部材は、例えば、前記棒状体の波長500nmにおける屈折率が1.45~1.80であるものを得ることができる。特に、棒状体の波長500nmにおける屈折率が小さいほど、従来の蛍光体と比較して、空気との界面での反射をより小さくできるため好ましい。
【0019】
一方、本発明の内視鏡は、先端を体内へ挿入するための挿入部と、前記先端で撮像又は像の取込みを行なって、前記挿入部の基端側に出力する撮像系と、光源側からの光を前記挿入部の先端付近まで導く光ファイバを含む照明光学系と、を備える内視鏡であって、前記照明光学系に、前記何れかの内視鏡用波長変換部材を設けてあることを特徴とする。
【0020】
本発明の内視鏡によると、シリカを主成分とする固体ガラスと、前記固体ガラス中に分散した量子ドットとを含有する波長変換部材を設けてあるため、これが耐光性や耐熱性が良好でありかつ光の散乱が少ないものとなる。しかも波長変換部材を任意の長さの棒状体に成形することができるため、小径化しつつ入射方向に沿って十分な長さを確保することができるので、光の取出効率を十分高くすることができ、内視鏡システムの光源装置からの励起光を効率良く波長変換して十分な変換光を含む照明光とすることができる。このように本発明では、波長変換部が、光の取出効率が十分高く、しかも耐光性や耐熱性が良好である、内視鏡を提供することができる。
【0021】
上記において、前記波長変換部材が、前記光ファイバの先端側に設けられると共に、前記波長変換部材の出射側には、光学窓、又は発散レンズが設けられていることが好ましい。内視鏡の挿入部は小径であることが望ましく、先端付近における照明光学系が占めるスペースも限られているため、本発明の如き光の取出効率が十分高い棒状の波長変換部材を用いることが、内視鏡の照明光学系として特に有効となる。
【0022】
また、前記光源が前記光ファイバに励起光を直接出射するレーザダイオードであることが好ましい。光ファイバに励起光を直接出射するレーザダイオードを光源とすることで、光源回りを複雑な光学系とする必要がなく、光源から直接導いたレーザ光を励起光として、より効率良く変換光を取り出すことができる。
【0023】
更に、前記照明光学系が複数の光学系からなり、いずれかの光学系を構成する前記波長変換部材が炭素系量子ドット及び/又はシリコン量子ドットを含有し、他の光学系を構成する前記波長変換部材がシリコン量子ドット及び/又はペロブスカイト型量子ドットを含有することが好ましい。いずれかの光学系を構成する前記波長変換部材が炭素系量子ドット及び/又はシリコン量子ドットを含有することで、青色光に対して緑色~黄色の変換光を得ることができ、一方、他の光学系を構成する前記波長変換部材がシリコン量子ドット及び/又はペロブスカイト型量子ドットを含有することで、青色光に対して赤色の変換光を得ることができるようになる。このため、光源を切り換えることで、両者の変換光を含む照明光を切り換えることができ、撮像系の目的に応じた照明光を照射することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の内視鏡の一例を有する内視鏡システムの概略斜視図である。
【
図2】
図1に示す内視鏡システムの構成の一例を示す概略構成図である。
【
図3】
図1に示す内視鏡システムにおける照明光学系の要部の一例を示す概略斜視図である。
【
図4】本発明の内視鏡用波長変換部材の一例を示す概略斜視図である。
【
図5】本発明の内視鏡用波長変換部材の一例を示す縦断面図である。
【
図6】グラフェン量子ドットを用いて得られた実施例1の蛍光体の蛍光スペクトルの結果を示すグラフである。
【
図7】シリコン量子ドットを用いて得られた実施例3の蛍光体の蛍光スペクトルの結果を示すグラフである。
【
図8】ペロブスカイト型量子ドットを用いて得られた実施例6の蛍光体の蛍光スペクトルの結果を示すグラフである。
【
図9】本発明の内視鏡用波長変換部材の他の実施例を示す縦断面図である。
【
図10】本発明の内視鏡用波長変換部材の更に他の実施例を示す縦断面図である。
【
図11】本発明の内視鏡用波長変換部材の更に他の実施例を示す縦断面図である。
【
図13】カルコパイライト型量子ドットを用いて得られた実施例7の蛍光体の蛍光スペクトルの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<本発明の内視鏡>
図1は、本発明の内視鏡10の一例を備える内視鏡システム5の概略斜視図であり、
図2は
図1に示す内視鏡システム5の構成の一例を示す概略構成図である。本発明の内視鏡5は、例えば
図1~
図2に示すように、先端を体内へ挿入するための挿入部20と、先端で撮像又は像の取込みを行なって、前記挿入部の基端側に出力する撮像系100と、光源側からの光を前記挿入部の先端付近まで導く光ファイバ51を含む照明光学系50と、を備えている。
【0026】
撮像系100は、先端で撮像を行ない挿入部20の基端側に信号を送る伝送方式、又は先端で画像を取込み、挿入部20の基端側に画像を送る光学方式の何れによっても構成することが可能である。本実施形態では、前者の例を示している。
【0027】
本発明の内視鏡は、
図2に示すように、照明光学系50に、シリカを主成分とする固体ガラスと、固体ガラス中に分散した量子ドットとを含有し、長手方向の長さが3mm以上の棒状体を含む波長変換部材71を設けてあることを特徴とする。本実施形態では、波長変換部材71が、光ファイバ51の先端側に設けられると共に、波長変換部材71の出射側には、発散レンズ72が設けられている例を示す。
【0028】
[内視鏡システム]
図1に示すように内視鏡システム5は、例えば、被観察部に照明光を照明し、被観察部を撮像する内視鏡10と、内視鏡10に着脱自在に接続される制御装置14とを有する。この被観察部とは、例えば体腔内における患部や病変部等である。
【0029】
図1に示すように内視鏡システム5は、制御装置14に接続され、内視鏡10によって撮像された被観察部を表示する例えばモニタである画像表示装置16と、内視鏡10に着脱自在に接続され、制御装置14に着脱自在に接続される光源装置18とをさらに有する。
【0030】
この内視鏡システム5は、例えば
図2に示すように、被観察部を撮像するための撮像系100を有する。撮像系100は、被観察部を撮像する撮像部101と、撮像部101によって撮像された画像を処理する画像処理部103とを有する。撮像部101によって撮像された画像は、撮像ケーブル105によって画像処理部103に伝送される。画像処理部103によって処理された画像は、画像表示装置16によって表示される。撮像部101は先端硬質部21に設けられ、画像処理部103は制御装置14に設けられ、撮像ケーブル105は内視鏡10に設けられる。
【0031】
[内視鏡]
図1に示すように内視鏡10は、例えば体腔に挿入される中空の細長い挿入部20と、挿入部20の基端部に連結され、操作者によって把持される把持部30とを有する。本発明は、
図2に示すように、光ファイバ51と波長変換部材71とは、内視鏡10の挿入部20に内蔵されている。
【0032】
図1に示すように挿入部20は、挿入部20の先端部側から挿入部20の基端部側に向かって、先端硬質部21と、湾曲部23と、可撓管部25とを有する。先端硬質部21の基端部は湾曲部23の先端部に連結され、湾曲部23の基端部は可撓管部25の先端部に連結されている。
【0033】
図2に示すように、撮像系100の先端部である撮像部101と照明光学系50の先端部である光ファイバ51の先端部及び波長変換部材71とは、先端硬質部21に設けられる。
【0034】
図1に示すように把持部30には、可撓管部25が延出されている。把持部30は、湾曲部23を湾曲操作する湾曲操作部37と、送気・送水と吸引と撮影とのためのスイッチ部39と、把持部30に接続されているユニバーサルコード41とを有する。
【0035】
なお、内視鏡10の挿入部20の先端部には、吸引・鉗子チャンネル、送気・送水ノズルを設けることができ、挿入部20と把持部30を介して、吸引操作、鉗子等による施術、送気、送水などを行なうことができる。
【0036】
[ユニバーサルコード]
図1に示すようにユニバーサルコード41は、把持部30の側面から延出されている。ユニバーサルコード41の端部は分岐しており、各端部に接続コネクタ41aが設けられている。接続コネクタ41aの一方は制御装置14に着脱可能となっており、接続コネクタ41aの他の一方は光源装置18に着脱可能となっている。
【0037】
[制御装置と画像表示装置と光源装置]
制御装置14は、内視鏡10と画像表示装置16と光源装置18とを制御する。
図2に示すように、光源装置18は、光源ユニット91と導光ユニット93とを有している。光源ユニット91と導光ユニット93としては、各種光源と、レンズやミラーなどの光学系とを組合せて構成することも可能であるが、光ファイバ51に励起光を直接出射するレーザダイオードを用いることで、簡易な装置構成(導光ユニット93の省略など)とすることができる。
【0038】
[照明光学系]
先端硬質部21は、例えば、照明光学系50の先端部を保持する筒状の保持部材と、その先端面をカバーするカバー部材とを有する(図示省略)。保持部材は、光ファイバ51の先端部が挿入される第1孔部を有する(図示省略)。
図2に示す例では、照明光学系50が1組だけ設けられているが、広範囲の照明を行なう上で、2組以上の照明光学系50を設けることが好ましい。その場合、挿入部20の先端部には、複数の光学窓、又は発散レンズが設けられるが、光源ユニット91については、光源ユニット91からの光を複数に分離することで、1組で構成することができる。
【0039】
図3に示す例では、照明光学系50が複数(3つ)の光学系からなり、光ファイバ51aの先端面は波長変換部材71aの入射側の端面に配置され、波長変換部材71aの出射側の端面が、発散レンズ72の入射側の端面に配置されている。光ファイバ51bの先端面は波長変換部材71bの入射側の端面に配置され、波長変換部材71bの出射側の端面が、発散レンズ72の入射側の端面に配置されている。光ファイバ51cの先端面は、波長変換部材71aを介在することなく、発散レンズ72の入射側の端面に配置されている。発散レンズ72は、図示してない、カバー部材の内側で保持部材により保持されている。
【0040】
この例では、1つ目の光学系を構成する波長変換部材71aが炭素系量子ドット及び/又はシリコン量子ドットを含有し、2つ目の光学系を構成する波長変換部材71bがシリコン量子ドット及び/又はペロブスカイト型量子ドットを含有している。
【0041】
いずれの光学系についても、光源91A、91B、91Cから青色光La、Lb、Lcが発せられる。光ファイバ51aから導かれた励起光は波長変換部材71aにより緑色~黄色に波長変換され、光ファイバ51bから導かれた励起光は波長変換部材71bにより赤色に波長変換され、光ファイバ51cから導かれた青色光は、そのまま出射され、発散レンズ72に入射する。発散レンズ72により、発散した照射光L3が出射される。このため、光源91A、91B、91Cを切り換えることで、各々の変換光を含む照射光L3を切り換えることができ、撮像系の目的に応じた照射光L3を照射することができるようになる。また、光源91A、91B、91Cを同時に使用することで、白色光を照射することができる。
【0042】
なお、保持部材は、撮像系100の先端部をさらに保持している。詳細には、保持部材は、照明光学系50の先端部と撮像系100の先端部とが互いに隣り合い、照明光学系50が前方に照明光を出射し、撮像系100が前方を撮像するように、照明光学系50の先端部と撮像系100の先端部とを保持する。このため保持部材110は、撮像系100の先端部が挿入される第2孔部をさらに有する。
【0043】
照明光学系50の先端部は第1孔部に図示しない接着剤によって接着され、撮像系100の先端部は第2孔部113に図示しない接着剤によって接着される。なお接着に限定される必要はなく、係合であってもよい。
【0044】
カバー部材は、照明光学系50の先端部及び撮像系100の先端部よりも前方に配置されている。カバー部材は、保持部材の先端面及び側面に密着する。照明光学系50から出射された光がカバー部材を透過し、撮像系100が撮像のために被観察部から反射された光がカバー部材を透過するように、カバー部材は透明である。
【0045】
<内視鏡の他の実施形態>
(1)先の実施形態では、
図3に示すように照明光学系50が複数(3つ)の光学系からなる例を示したが、光源91Cと光ファイバ51cを省略して2つの光学系とすることも可能である。その場合、波長変換部材71a、波長変換部材71bの長さを短くするなどして、各々の青色光の透過量を増加させることで、照射光L3を白色化することができる。
【0046】
(2)先の実施形態では、
図3に示すように照明光学系50が複数(3つ)の光学系からなる例を示したが、光源91B、光ファイバ51b、波長変換部材71bを省略して2つの光学系とすることも可能である。その場合、光源91Cと光ファイバ51cで青色光を照射すると共に、光源91A、光ファイバ51a、波長変換部材71aにより緑色~黄色を照射して、照射光L3を白色化することができる。
【0047】
(3)先の実施形態では、
図3に示すように照明光学系50が複数(3つ)の光学系からなる例を示したが、光源91A、光ファイバ51a、波長変換部材71aのみで1つの光学系とすることも可能である。その場合、波長変換部材71aを透過する青色光に加えて、光源91A、光ファイバ51aから導かれた励起光を波長変換部材71aにより緑色~黄色に変換して、照射光L3を白色化することができる。
【0048】
(4)先の実施形態では、光源91A、91B、91Cから同じ又は近い波長の青色光を発する例をしめしたが、光源91A、91B、91Cの一部又は全部の波長を変えることも可能である。その場合、波長変換部材の発光効率が高い励起光に相当する波長を選択することが有利である。また、波長変換部材を介さずにそのままの光を照射することも可能であり、その場合、照射する光の種類に応じて、光源の波長を選択することが可能である。
【0049】
[波長変換部材]
本発明の内視鏡用波長変換部材は、以上のような内視鏡システムの光源装置からの励起光を波長変換して変換光を含む照明光とするために設けられている。本発明の内視鏡用波長変換部材71は、
図4~
図5に示すように、長手方向の長さが3mm以上の棒状体73を含み、この棒状体73はシリカを主成分とする固体ガラスと、前記固体ガラス中に分散した量子ドットとを含有する。
【0050】
本発明において「棒状体」とは、1つの方向(長手方向)における長さが、その方向に垂直な任意の方向の長さよりも長い立体形状を指す。棒状体の形状としては、例えば、円柱、四角柱など長手方向に垂直な断面が一定形状であるものの他、円錐台、四角錐台など長手方向に垂直な断面が規則的に変化するもの、紡錘状、断面が円形から三日月形に変化する形状など長手方向に垂直な断面が不規則に変化するもの等いずれでもよい。また、管状、中空状であってもよい。棒状体の形状としては、円柱、四角柱、六角柱などが好ましい。
【0051】
棒状体73の長手方向の長さは、3mm以上であり、変換光の取り出し量を高める観点から、7mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましい。また、内視鏡の挿入部20に配置する観点から、20mm以下が好ましい15mm以下がより好ましい。また、棒状体73の長手方向に垂直な断面の長径又は最大幅は、波長変換部材を小径化する観点から、0.5~2mmが好ましく、1~1.5mmがより好ましい。棒状体73の長手方向に垂直な断面の短径又は最小幅は、長径又は最大幅の50~99%が好ましく、60~95%がより好ましい。
【0052】
棒状体73は、空気との界面での反射を従来の蛍光体より小さくする観点から、波長500nmにおける屈折率が1.45~1.80であることが好ましく、1.45~1.70であることがより好ましく、1.45~1.60であることが更に好ましい。
【0053】
内視鏡用波長変換部材71は、
図5に示すように、棒状体73の長手方向に沿った外周面S1には少なくとも変換光L2を反射する反射層74が設けられていることが好ましい。反射層74が設けられるのは外周面S1の一部又は全部であるが、反射層74が外周面S1の全部を覆うことが好ましい。反射層74として、アルミ、銀などの金属膜、誘電多層膜などが挙げられる。反射層74の厚みは、その材質にもよるが、150~1000nm程度である。
【0054】
反射層74は、蒸着、スパッタリング、CVD、メッキ、コーティングなどで、形成することができる。反射層74の形成に先立って、棒状体73の表面を研磨して平坦化することが好ましい。反射層74を形成する際には、棒状体73の入射側の端面S2と出射側の端面S3には、マスク材を設けておいたり、加工後に端面を研磨することが好ましい。以下の変換光反射膜75、励起光反射防止膜76などについても、反射層74と同様に形成することができる。
【0055】
棒状体73の入射側の端面S2には、変換光反射膜75が設けられていることが好ましい。変換光反射膜75としては、低屈折率側がSiO2、Al2O3などであり、高屈折率側がTiO2、Ta2O5、Nb2O5などである誘電体多層膜であって、低屈折率側にSiO2と高屈折率側にTiO2が用いられ、一般的に励起光L1を透過させつつ変換光L2を反射させるように各層の光学膜厚が設計されたものなどが好ましい。また、変換光反射膜75の表面には励起光反射防止膜76が設けられていることが好ましい。励起光反射防止膜76としては、変換光反射膜75の表面と空気と中間の屈折率を有するものが好ましい。変換光反射膜75と励起光反射防止膜76の厚みは、それぞれの光学特性に応じて適宜決定される。
【0056】
棒状体73の出射側の端面S3には、励起光反射膜77及び/又は変換光反射防止膜78が設けられていることが好ましい。励起光反射膜77としては、低屈折率側がSiO2、Al2O3などであり、高屈折率側がTiO2、Ta2O5、Nb2O5などである誘電体多層膜であって、低屈折率側にSiO2と高屈折率側にTiO2が用いられ、変換光L2を透過させつつ励起光L1を反射させるように各層の光学膜厚が設計されたものなどが好ましい。変換光反射防止膜78としては、これを単独で出射側の端面S3に設ける場合、棒状体73の表面と空気と中間の屈折率を有するものが好ましい。励起光反射膜77と変換光反射防止膜78の厚みは、それぞれの光学特性に応じて適宜決定される。
【0057】
<棒状体の材料>
棒状体は、シリカを主成分とする固体ガラスと、前記固体ガラス中に分散した量子ドットとを含有するものである。本発明において「シリカを主成分とする」とは、ガラスの金属成分中のSi元素の含有量が、60モル%以上である場合を指し、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90~100モル%である。
【0058】
(固体ガラス)
シリカを主成分とする固体ガラスとしては、シリカガラスであることが好ましい。シリカガラスには、他の金属成分として、Al、Ca、Cu、Fe、Na、K、Li、Mg、Mn、Tiを含有していてもよい。但し、これらの金属成分の含有量は、金属成分中に20モル%以下が好ましく、好ましくは10モル%以下であり、より好ましくは0~5モル%である。
【0059】
シリカガラスは、天然の石英粉を溶融した溶融石英ガラスと、液体原料から合成した合成シリカガラスに大別でき、いずれも使用可能であるが、合成シリカガラスであることが好ましい。合成シリカガラスはその製造方法により、気相合成法、液相合成法に分類できる。溶融石英ガラスは電気溶融石英ガラスと火炎溶融石英ガラスに分類される。前者は、OH含有量が少なく、後者はOH量が比較的多いのが特徴である。いずれも、耐熱性に優れ、比較的廉価である。
【0060】
気相合成法には、直接法、スート法、プラズマ法などがある。直接法は、四塩化ケイ素(SiCl4)を酸水素火炎中で加水分解し、直接堆積・ガラス化することによりシリカガラスを合成する方法である。このタイプのシリカガラスは、OH基を500~1500ppm程度含む。光学的に均質なものを比較的容易に合成することができ、紫外線耐性にも優れている。したがって、紫外線用光学材料として使用される。
【0061】
スート法では最初にシリカの微粒子を生成して多孔質体を形成する。次に適当な雰囲気中での熱処理により、OH量を制御する。最後に、高温で透明ガラス化する。この合成方法は、複数の工程からなっているため、性状を制御しやすい。プラズマ法は、スート法よりも古くから無水のシリカガラスの合成法として用いられてきた。
【0062】
液相中で合成する方法として、ゾル-ゲル法がある。これは、金属アルコキシドの重縮合により、シリカの多孔質体を合成したのち、乾燥、焼結ガラス化する方法である。また、低温でのシリカガラス薄膜の生成方法として、液相析出(LPD)法がある。
【0063】
本発明では、金属アルコキシドの加水分解と重縮合(ゾル-ゲル法)により得られるシリカガラスが好適に使用することができる。ゾル-ゲル法を行なう際に、多塩基酸を添加することが、クラックや欠けの防止の観点から好ましい。このため、本発明における固体ガラスには、多塩基酸及び/又はその残基成分を含有することが好ましい。
【0064】
(量子ドット)
量子ドットは、量子化学、量子力学に従う独特な光学特性を持つナノスケールの粒子のことを指し、粒子サイズによって光学特性を調節することが可能であるため、粒径に依存した特徴的な発光特性を持つ。本発明では、変換光の発光波長に応じて、炭素系量子ドット、シリコン量子ドット、ペロブスカイト型量子ドット、カルコパイライト型量子ドットなどを使用することができる。また、これらから選択した複数の量子ドットを用いて、各々の含有量を調整することで、所望の発光波長を得ることができる。
【0065】
(炭素系量子ドット)
炭素系量子ドットは、炭素原子間のπ結合に起因して、粒径に依存した発光特性を有するものである。炭素系量子ドットとしては、グラフェン構造を有するグラフェン量子ドット、グラフェン構造を有しないカーボン量子ドット、これらを化学修飾した量子ドット等が挙げられるが、量子収率の観点からグラフェン量子ドット又は化学修飾したグラフェン量子ドットが好ましい。
【0066】
これらの炭素系量子ドットは、シグマ-アルドリッチ社、冨士色素株式会社、GSアライアンス株式会社、フナコシ株式会社、キシダ化学株式会社などから、市販されており、これらを何れも使用することができる。
【0067】
炭素系量子ドットの含有量は、蛍光特性における適度な波長シフトを得ることと、適度な発光出力を得ることの観点から、蛍光体組成物中に0.0001~10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001~5質量%であり、更に好ましくは0.01~1質量%である。
【0068】
(グラフェン量子ドット)
グラフェン量子ドットとしては、非官能化グラフェン量子ドット、官能化グラフェン量子ドット、原初の(pristine)グラフェン量子ドット、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
官能化グラフェン量子ドットは1つ以上の官能基で官能化されていてもよい。官能基には、酸素基、カルボキシル基、カルボニル基、非晶質炭素、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基、エステル、アミン、アミド、ポリマー、ポリ(プロピレンオキシド)、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0070】
また、グラフェン量子ドットには、1つ以上のアルキル基で官能化されている官能化グラフェン量子ドットが含まれる。アルキル基には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、およびこれらの組み合わせが含まれる。幾つかの態様において、アルキル基にはオクチル基(例えば、オクチルアミン)が含まれる。
【0071】
また、グラフェン量子ドットは、1種以上のポリマー先駆物質で官能化することができる。例えば、グラフェン量子ドットは1種以上のモノマー(例えば、ビニルモノマー)で官能化することができる。
【0072】
グラフェン量子ドットは、重合するポリマー先駆物質で官能化することにより、ポリマー官能化グラフェン量子ドットを形成することができる。例えば、重合するビニルモノマーで端部を官能化することにより、端部官能化ポリビニルの付加物を形成することができる。
【0073】
グラフェン量子ドットは、1種以上の親水性官能基で官能化されている官能化グラフェン量子ドットを含む。親水性官能基には、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0074】
グラフェン量子ドットは、1種以上の疎水性官能基で官能化されている官能化グラフェン量子ドットを含む。疎水性官能基には、アルキル基、アリール基、およびこれらの組み合わせが含まれる。疎水性官能基には1種以上のアルキルアミドまたはアリールアミドが含まれる。
【0075】
グラフェン量子ドットは端部官能化グラフェン量子ドットを含む。端部官能化グラフェン量子ドットには、前述した1種以上の疎水性官能基が含まれる。端部官能化グラフェン量子ドットには、前述したような1種以上の疎水性官能基が含まれる。端部官能化グラフェン量子ドットには、やはり前述したような1種以上の親水性官能基が含まれる。端部官能化グラフェン量子ドットには、それらの端部上にある1種以上の酸素の付加物が含まれる。端部官能化グラフェン量子ドットには、それらの端部上にある1種以上の非晶質炭素の付加物が含まれる。
【0076】
グラフェン量子ドットは、アルキルアミドまたはアリールアミドなどの1種以上のアルキル基またはアリール基で端部が官能化されている。アルキル基またはアリール基を用いるグラフェン量子ドットの端部官能化は、グラフェン量子ドットの端部におけるアルキルアミドまたはアリールアミドのカルボン酸との反応によって行われる。
【0077】
グラフェン量子ドットには原初の(pristine)グラフェン量子ドットが含まれる。原初のグラフェン量子ドットは、合成後に未処理のままのグラフェン量子ドットを含む。原初のグラフェン量子ドットは、合成後にいかなる追加の表面変性も行われていないグラフェン量子ドットを含む。
【0078】
グラフェン量子ドットは様々な発生源から得ることができる。例えば、グラフェン量子ドットには、石炭由来のグラフェン量子ドット、コークス由来のグラフェン量子ドット、およびこれらの組み合わせが含まれる。グラフェン量子ドットにはコークス由来のグラフェン量子ドットが含まれる。グラフェン量子ドットには石炭由来のグラフェン量子ドットが含まれる。石炭には、(これらに限定はされないが)無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、変性瀝青炭、アスファルテン、アスファルト、泥炭、亜炭、ボイラー用炭、石化油(petrified oil)、カーボンブラック、活性炭、およびこれらの組み合わせが含まれる。炭素源は瀝青炭である。炭素には瀝青炭が含まれる。
【0079】
グラフェン量子ドットは様々な直径を有することができる。例えば、グラフェン量子ドットは約1nmから約100nmまでの範囲の直径を有することが好ましく、約1nmから約50nmまでの範囲の直径を有することがより好ましく、約1nmから約20nmまでの範囲の直径を有することが更に好ましい。
【0080】
グラフェン量子ドットはまた、様々な構造を有することもできる。例えば、グラフェン量子ドットは結晶質の構造を有していてもよく、例えば結晶質の六方晶構造を有する。グラフェン量子ドットは単層又は複層を有していてもよく、例えばグラフェン量子ドットはおよそ2つの層からおよそ4つの層までを有する。
【0081】
グラフェン量子ドットは、様々な量子収率を有することもできる。グラフェン量子ドットは約30~80%までの範囲の量子収率を有することが好ましい。また、グラフェン量子ドットの水分散体における蛍光特性は、励起光300nm~420nmの少なくとも何れかの波長に対して、発光波長が380nm~650nmであることが好ましい。
【0082】
グラフェン量子ドットは粉末の形態であってもよく、ペレットの形態であってもよい。グラフェン量子ドットは液体状態であってもよく、分散液、溶液、溶融した状態であってもよい。
【0083】
グラフェン量子ドットを形成するために、様々な方法を利用することができる。例えば、グラフェン量子ドットを形成する工程は、炭素源を酸化剤に曝し、その結果としてグラフェン量子ドットを形成することを含むことができる。炭素源には、石炭、コークス、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0084】
酸化剤には酸が含まれ、酸には、硫酸、硝酸、リン酸、次亜リン酸、発煙硫酸、塩化水素酸、オレウム、クロロスルホン酸、およびこれらの組み合わせが含まれる。また、酸化剤には、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、次亜リン酸、硝酸、硫酸、過酸化水素、およびこれらの組み合わせが含まれる。好ましい酸化剤は過マンガン酸カリウム、硫酸および次亜リン酸の混合物である。
【0085】
酸化剤の存在下で炭素源を音波処理することによって炭素源は酸化剤に曝される。酸化剤の存在下で炭素源を加熱することが含まれる。加熱は少なくとも約100℃の温度において行われる。
【0086】
グラフェン量子ドットを形成するさらなる方法の使用も想定することができる。例えば、グラフェン量子ドットを形成するさらなる方法は、国際特許出願であるPCT/US2014/036604号に開示されている。グラフェン量子ドットを製造するさらなる適当な方法は、次の参考文献にも開示されている:ACS Appl. Mater. Interfaces 2015, 7, 7041-7048;および、Nature Commun. 2013, 4:2943, 1-6。
【0087】
(カーボン量子ドット)
カーボン量子ドットは、グラフェンのような環状構造を持っていない量子ドットである。pH値によってグラフェン量子ドットより影響を受け易く、発光強度、ピーク位置が変化する性質を有する。
【0088】
カーボン量子ドットは様々な直径を有することができる。例えば、カーボン量子ドットは約1nmから約100nmまでの範囲の直径を有することが好ましく、約1nmから約50nmまでの範囲の直径を有することがより好ましく、約1nmから約30nmまでの範囲の直径を有することが更に好ましい。
【0089】
カーボン量子ドットはまた、様々な量子収率を有することもできる。カーボン量子ドットは約20~50%までの範囲の量子収率を有することが好ましい。また、カーボン量子ドットの水分散体における蛍光特性は、励起光300nm~420nmの少なくとも何れかの波長に対して、発光波長が380nm~600nmであることが好ましい。
【0090】
カーボン量子ドットの製造方法は、グラフェン量子ドットの製造方法と大差はなく、使用原料や製造条件がグラフェン構造を形成し易いか否かの違いのみである。
【0091】
従って、両者を含む炭素系量子ドットは、例えば、炭素ターゲットをレーザーアブレーション(laserablation)後、化学処理を実施して製造する手法(特表2012-501863号公報)や蝋燭の煤から製造する手法(H. Liu, et al., Angew. Chem.Int. Ed. 2007, 46, 6473-6475.)、グラファイト酸化物を化学処理して製造する手法(G. Eda, et al., Adv. Mater.2010, 22, 505-509.)、グラファイト酸化物を前駆体とする化学反応から製造する手法(特開2012-136566号公報)、フラーレンの転換反応から製造する手法(J. Lu, et al., Nature Nanotech.2011, 6, 247-252.)、更に、炭素繊維や活性炭など、より安価な炭素原料を化学処理して製造する手法(J. Peng, et al., Nano Lett. 2012, 12, 844-849.、Z.A. Qiao, ChemCommun. 2010, 46,8812-8814.、Y. Dong, et al., Chem. Mater.2010, 22, 5895-5899.)で製造することも可能である。
【0092】
なお、これらの手法は、大別してトップダウン(top-down)の手法であるが、有機前駆体分子のポリマー化から炭素量子ドットを製造するボトムアップ(bottom-up)の手法(G. A. Ozin, et al., J. Mater. Chem., 2012, 22, 1265-1269.)でも製造可能である。
【0093】
また、炭素材と過酸化水素とを混合し、過酸化水素により炭素を分解反応させ、炭素量子ドット生成液を調製する工程と、炭素量子ドット生成液中の炭素量子ドットと過酸化水素を分離して分解反応を停止させ、炭素量子ドットを取得する工程と、を含む炭素量子ドットの製造方法(特開2014-133685号公報)で製造することも可能である。
【0094】
(炭素系量子ドットの波長変換特性)
炭素系量子ドットを用い場合の波長変換特性(蛍光特性)としては、汎用性の高い蛍光材料とする観点から、励起光300nm~470nmの少なくとも何れかの波長に対して、発光波長(ピーク波長)が400nm~750nmであることが好ましく、発光波長が450nm~650nmであることがより好ましく、発光波長が500nm~600nmであることが更に好ましい。このような発光波長は、単結晶YAG・Ceとほぼ同じ領域の発光となる。
【0095】
また、発光ピーク波長を中心とした発光の半値幅が40nm~100nmであることが好ましく、発光波長が400nm~700nmであることがより好ましく、発光波長が420nm~750nmであることが更に好ましい。
【0096】
なお、このような蛍光特性を得る観点から、原料となる炭素系量子ドットの水分散体における蛍光特性としては、励起光300nm~420nmの少なくとも何れかの波長に対して、発光波長(ピーク波長)が380nm~600nmであることが好ましく、発光波長が400nm~550nmであることがより好ましく、発光波長が420nm~500nmであることが更に好ましい。
【0097】
また、蛍光体組成物の量子収率(発光効率)は、25%以上が好ましく、さらに50%以上がより好ましく、特に70~80%が好ましい。
【0098】
(シリコン量子ドット)
半導体はナノ粒子化すると,量子サイズ効果(閉じ込め効果)によりバンド構造が変化し,粒径に応じた色の蛍光を示す。シリコン量子ドットは,代表的なIV族半導体の量子ドットである。
【0099】
シリコン量子ドットの合成法の代表的なものとして,シリコンウェハーのエッチングが挙げられる。フッ化水素酸(HF)を用いた電解エッチングによりバルクのシリコンを微細化することで,ナノ粒子を得ることができる。このとき,得られる粒子の粒径は,エッチング時間などで制御することが可能である。比較的多い量の粒子を生成できるボトムアップ的な合成法としては,シラン(SiH4)の熱分解による粒子合成が知られている。シランの熱分解によってSi原子が生成され,これが過飽和となり,核発生・成長することで粒子が生成される。このとき生成される粒子はサイズが比較的大きいため,その後フッ化水素酸(HF)/硝酸(HNO3)の混合液によって粒子をエッチングすることで,量子サイズ効果が現れる領域まで粒径を小さくしている。
【0100】
エッチングの過程を経ずに一段階でシングルナノメートルの粒子を合成する方法として,プラズマCVD法を用いた合成方法も知られている。前駆体である四臭化ケイ素(SiBr4)をRFプラズマ場で分解してSi原子を生成し,これを反応器内で核発生・成長させることで,ナノ粒子を生成させることができる。
【0101】
シリコン量子ドットは、GSアライアンス株式会社、シグマ-アルドリッチ社などから市販されており、それらを使用することが可能である。市販されているシリコン量子ドットは、サイズが数Åから10nm以下の大きさであり、量子収率は約20~30%である。
【0102】
シリコン量子ドットは、粒子径に応じた発光波長とすることができ、本発明では、緑色~黄色を得るための波長変換部材、又は赤色を得るための波長変換部材の両者に使用することができる。
【0103】
シリコン量子ドットを固体ガラス中に分散させた棒状体では、青色レーザダイオードの励起光である400nm~470nmの波長に対して、赤色光を発光させる場合、発光波長(ピーク波長)が610nm~640nmであることが好ましく、発光波長が620nm~640nmであることがより好ましい。また、緑色~黄色の光を発光させる場合、発光波長(ピーク波長)が520nm~560nmであることが好ましく、発光波長が530nm~550nmであることがより好ましい。
【0104】
(ペロブスカイト型量子ドット)
ペロブスカイト型量子ドットは、ペロブスカイト結晶構造を有するものである。一般的にペロブスカイト結晶構造は、イオンA、イオンBおよびイオンXを用いたABX3の組成式で表され、8つの頂点にイオンAが、6つの面の中心にイオンXが、格子の中心部分にイオンBが存在し、イオンBがイオンAより比較的小さいため、イオンBが動きやすいことに起因して正負の電荷の重心が分かれた状態になることができる。ペロブスカイト型量子ドットにおいて、イオンXはハロゲン原子(好ましくは、F、Cl、Br、I)であることが好ましく、イオンAはCsであることが好ましく、イオンBはPbであることが好ましい。
【0105】
ペロブスカイト型量子ドットは、一般式(1):CsPbYaZb(上記一般式(1)中、YおよびZはそれぞれ独立して、F、Cl、BrまたはIを表し、aおよびbはそれぞれ独立して、0以上3以下の実数を表し、a+b=3である。)であることが好ましい。また、CH3NH3PbX3(X=Cl,Br,I)の組成であるものも使用できる。
【0106】
ペロブスカイト型量子ドットは、赤色光を発光するペロブスカイト型量子ドットから選択される少なくとも1種の量子ドットを含むことが好ましい。量子ドットなどの発光用ナノ結晶の発光色は、量子ドットの粒子径と発光用ナノ結晶が有するエネルギーギャップとに依存するため、使用するペロブスカイト型量子ドットの種類とその粒子径を調整することにより発光色を選択することができる。
【0107】
市販されているペロブスカイト型量子ドットは、ペロブスカイト型化合物をナノ結晶化したものであり、CH3NH3PbX3、CsPbX3(X=Cl,Br,I)が代表的な組成である。また、量子収率は約50~80%であり、半値幅は約18nm~39nmである。
【0108】
ペロブスカイト型量子ドットを固体ガラス中に分散させた棒状体では、青色レーザダイオードの励起光である400nm~470nmの波長に対して、赤色光を発光させる場合、発光波長(ピーク波長)が610nm~650nmであることが好ましく、発光波長が615nm~635nmであることがより好ましい。
【0109】
(カルコパイライト型量子ドット)
カルコパイライト型量子ドットは、カルコパイライト型半導体を含むナノ粒子からなる量子ドットであり、量子サイズ効果により、光吸収域や発光波長を変化させることが出来るという特徴を有する。
カルコパイライト型量子ドットとしては、CuInS2、CuAlS2、CuGaS2、CuAlSe2、CuGaSe2、AgInS2、AgAlS2、AgGaS2、AgAlSe2、AgGaSe2、AgInSe2、AgAlTe2、AgGaTe2、AgInTe2、Cu(In, Al)Se2、Cu(In, Ga)(S, Se)2、Ag(In,Ga)Se2、Ag(In, Ga)(S, Se)2等、又はこれらの化合物の構成元素比が化学量論と異なるものを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのなかでも、銅、インジウム、硫黄の三元素からなるカルコパイライト型量子ドットが、低い毒性と高い光吸収係数を有するため好ましい。このカルコパイライト型量子ドットのCu/Inのモル比は、0.5~3であればよく、S/Inのモル比は、0.5~3であればよいが、好ましくはCu/Inのモル比が1のCuInS2である。このようなカルコパイライト型量子ドットは、結晶構造に起因して、発光スペクトルの半値幅が比較的大きくなるため好ましく使用できる。
カルコパイライト型量子ドットは、単体として使用できるが、表面修飾により複合化した量子ドットとしても使用することができる。表面修飾には、硫化亜鉛などが使用できる。
カルコパイライト型量子ドット又は表面修飾したカルコパイライト型量子ドットは、GSアライアンス株式会社などから市販されており、本発明ではそれらを使用することができる。市販されているCuInS2/ZnSの量子収率は約10%~40%であり、半値幅は約60nm~130nmである。
他の量子ドットに比べ半値幅が広い理由として粒子径のバラツキに依存するところが大きく、遠心分離機による粒子径分別を行うことで半値幅を狭くし量子収率を高くすることが可能である。
【0110】
カルコパイライト型量子ドットを固体ガラス中に分散させた棒状体では、青色レーザダイオードの励起光である400nm~470nmの波長に対して、赤色光を発光させる場合、発光波長(ピーク波長)が560nm~660nmであることが好ましい。また、棒状体の特性として、発光スペクトルの半値幅が80nm~120nmであることがより好ましい。
(棒状体の製造方法)
棒状体は、固体ガラスの合成時に量子ドットを分散させる方法、又は合成等によって得られた固体ガラスを微粉砕した後に、粉砕物中に量子ドットを分散させ固化させる方法などにより得ることができる。
【0111】
後者の方法では、固体ガラスを平均粒径100nm~5000nmに微粉砕したものを使用することができ、量子ドットを分散させた混合物を、常法により適当な温度と圧力で固化することができる。
【0112】
本発明では、量子ドットの均一分散性、光学特性などの観点から、合成時に量子ドットを分散させる方法が好ましく、金属アルコキシドの加水分解と重縮合(ゾル-ゲル法)によりシリカガラスを合成する際に、量子ドットを分散させる製造方法を用いることがより好ましい。以下、この製造方法について詳述する。
【0113】
<ゾル-ゲル法による製造方法>
ゾル-ゲル法による製造方法は、シリカを主成分とする固体ガラスの前駆体と、その前駆体中に分散した量子ドットとを含有する分散液を得る分散工程と、前記前駆体をゾル-ゲル反応により固化させて、固体ガラスとその固体ガラス中に分散した量子ドットとを含有する蛍光体組成物を得る反応工程と、を含むものである。
【0114】
(分散工程)
分散工程は、シリカを主成分とする固体ガラスの前駆体と、その前駆体中に分散した量子ドットとを含有する分散液を得るものである。量子ドットの分散は、固体ガラスの前駆体の各成分とともに混合・撹拌すればよい。攪拌にはスターラー、攪拌羽根などを用いることができる。
【0115】
量子ドットは、前述したものを使用できるが、水分散体を使用することが好ましい。水分散体における量子ドットの濃度は、分散性、固形化時の粒子収率の観点より、質量基準で0.01ppm~10ppmであることが好ましく、0.5ppm~5ppmであることがより好ましい。
【0116】
量子ドットの含有量は、蛍光特性における適度な波長シフトを得ることと、適度な発光出力を得ることの観点から、蛍光体組成物中に0.0001~10質量%になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.001~5質量%であり、更に好ましくは0.01~1質量%である。
【0117】
固体ガラスの前駆体は、好ましくは、金属アルコキシド、アルコール、水、および酸触媒を含有する。金属アルコキシドとして、アルコキシシランのみを使用することも可能である。本発明では、得られる蛍光体のクラックや欠けの防止の観点から、分散工程で、多塩基酸を添加することが好ましい。
【0118】
金属アルコキシドとしては、テトラアルコキシシラン(Si(OR)4)が使用され、テトラアルコキシジルコニウム(Zr(OR)4)、テトラアルコキシチタン(Ti(OR)4)、トリアルコキシアルミニウム(Al(OR)3)等が任意の成分として例示される。
【0119】
上記のROはアルコキシ基であり、好ましくは、C1-4のアルコキシ基である。具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等が例示される。金属アルコキシドは、これらのうち、一種又は二種以上を用いることができる。金属アルコキシドとしてテトラアルコキシシランを用いるのが好ましく、テトラエトキシシランがより好ましい。二種以上を混合する場合は、テトラエトキシシランを主成分(例えば、80モル%以上)とするのが好ましい。
【0120】
なお、本発明においては、原料として金属アルコキシドを用いることが好ましいが、必要に応じて一般式:
Xm-Si(OR’)4-m
(式中、Xは、アミノアルキル基、メルカプトアルキル基等、R’はC1-3のアルキル基、m=1,2又は3を示す)
で表されるオルガノアルコキシシランを添加しても良い。オルガノアルコキシシランとしては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APS)、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)等が挙げられる。通常、金属アルコキシドとオルガノアルコキシシランのモル比は、100:0~90:10程度であればよい。
【0121】
用いるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のC1-4のアルコールが挙げられる。使用する金属アルコキシドのアルコキシドに対応するアルコールを用いることが好ましい。例えば、金属アルコキシドとしてテトラエトキシシランを用いる場合、アルコールとしてエタノールが用いられる。
【0122】
用いる酸触媒としては、塩酸、酢酸、硝酸等が挙げられる。酸の使用量は触媒量でよい。ゾル-ゲル法において酸を用いるのは、酸条件下では金属アルコキシドの加水分解は速いが続く脱水反応が遅いためである。なお、塩基を用いる場合には、金属アルコキシドの加水分解は遅いが続く脱水反応が速いため、ゲル化が急速に進行してしまう。
【0123】
金属アルコキシド(オルガノアルコキシシランを含む場合は、オルガノアルコキシシランと金属アルコキシドの合計)、アルコール、及び水の配合量は、1:0.1~2:0.5~8程度のモル比であればよく、1:0.3~1:1~4程度のモル比であることが好ましい。酸は上述したように触媒量でよい。
【0124】
多塩基酸としては、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、酒石酸、グルタミン酸、セバシン酸、ヘキサフルオロケイ酸などが挙げられる。これはの多塩基酸は、水和物として添加することも可能である。
【0125】
多塩基酸の添加量としては、得られる蛍光体組成物中(固形分中)に0.00001~0.1質量%となるように添加することが好ましく、0.0001~0.05質量%がより好ましく、0.001~0.01質量%が更に好ましい。
【0126】
多塩基酸の添加により、得られる蛍光体のクラックや欠けを抑制できる理由の詳細は不明であるが、-SiO結合に対するキレート効果や、OH基との反応による官能基の不活性化などによる、ゲル構造の変性などが考えられる。
【0127】
上記各成分を混合する順序としては、最初に金属アルコキシドとアルコールを混合して完全に混和した後、水と量子ドット、多塩基酸を添加して混合することが好ましい。その後に、酸触媒を添加して、ゾル-ゲル反応を開始させることが好ましい。
【0128】
各成分の混合は、通常、15~80℃程度で5分~1時間程度撹拌すればよい。混合時の温度は、金属アルコキシドの種類等に応じて適宜選択できる。なお、テトラアルコキシシランを主成分とする二種以上の金属アルコキシドを混合する場合は、テトラアルコキシシランにアルコール、水及び触媒量の酸を加えて得られる加水分解溶液に、他の金属アルコキシドのアルコール溶液を滴下すればよい。
【0129】
(反応工程)
反応工程は前駆体をゾル-ゲル反応により固化させて、固体ガラスとその固体ガラス中に分散した量子ドットとを含有する蛍光体組成物を得るものである。この反応は所望の内面形状を有する型内で行なうことも可能である。
【0130】
ゾル-ゲル反応は、常温で行なうことも可能であるが、反応を促進する上で、加熱条件下で行なうのが好ましい。加熱温度としては、25℃~60℃が好ましく30℃~50℃がより好ましい。また、加熱条件を2段階以上に変化させて、段階的に昇温させることも可能である。
【0131】
反応時間としては、常温の場合、3日~7日程度が好ましく、加熱条件下の場合、反応温度にもよるが、12時間~36時間程度が好ましい。より高温で、より長時間の反応を行なうことで、硬度及び比重がより大きい蛍光体を得ることができる。
【0132】
また、生成するアルコールや水分を除去しながら、ゾル-ゲル反応を行なってもよい。
【0133】
また、金属アルコキシドの加水分解溶液に対して、pHを5.5~8.5に調製する工程を有していてもよい。上記の加水分解溶液は、酸触媒により液性が酸性にあるため、アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)水溶液を用いてpHを5.5~8.5に調製すると、ゾル状の加水分解溶液の脱水縮合反応が促進されることになる。
【0134】
本発明における棒状体は、所望の内面形状を有する型内でゾル-ゲル反応を行なうことで、製造することができる。なお、棒状体は、型内で成形物を得た後、これを加工したものでもよい。また、インサート成形により、他の部材と一体的に形成したものでもよい。
【実施例】
【0135】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0136】
(1)蛍光スペクトルの測定
液体の試料については、測定用セルを使用し、棒状の蛍光体については、長手方向に沿った外周面にはアルミニウムからなる反射層を蒸着により設けた測定用試料を作成し、蛍光分光光度計(RF-5300PC、島津製作所製)を用いて蛍光スペクトルを測定した。このとき、各試料について、まず励起光による発光強度が最大になる励起光波長をスキャンして決定し、次いで決定した波長の励起光を用いて、試料の蛍光スペクトルを測定した。
【0137】
(2)密度の測定
実施例1等と同様に作製した円板状の蛍光体を用いて、その体積(3.1cm3)を水中投下して溢れた水の体積から求め、測定した蛍光体の質量(6g)を体積で除して求めた。
【0138】
(3)量子収率
実施例1と同様にして製造した、0.01重量%のグラフェン量子ドットを分散させた蛍光体生成物を短冊状に切断し試料ホルダーに並べ、浜松ホトニクス社製のQuantaurus-QY絶対PL量子収率測定装置C11347を用いて測定を行ったところ、励起波長445nmの時58%の量子収率を得た。
【0139】
<水分散体1>(グラフェン量子ドット)
グラフェン量子ドットの水分散体(GSアライアンス株式会社製、グラフェン量子ドット、量子収率70%)について、前述した方法により励起光波長370nmで蛍光スペクトルを測定した。その結果、この水分散体1の発光のピーク波長は445nmであり、半値幅は75nmであった。
【0140】
<メタノール分散体2>(シリコン量子ドット、赤色)
シリコン量子ドットのメタノール分散体(GSアライアンス株式会社製、シリコン量子ドット、量子収率40%))について、前述した方法により励起光波長420nmで蛍光スペクトルを測定した。その結果、このメタノール分散体2の発光のピーク波長は625nmであり、半値幅は60nmであった。
【0141】
<水分散体3>(ペロブスカイト型量子ドット)
ペロブスカイト型量子ドットの有機系分散体(GSアライアンス株式会社製、ペロブスカイト型量子ドット、組成式CsPbX3(X=Cl,Br,I)、量子収率60%))について、前述した方法により励起光波長460nmで蛍光スペクトルを測定した。その結果、この有機系分散体の発光のピーク波長は625nmであり、半値幅は40nmであった。この有機系分散体を用いて、シランカップリング剤と量子ドットとを反応させた後に溶剤を置換することで、原料として使用する水分散体3を得た。
<水分散体4>(カルコパイライト型量子ドット)
市販のカルコパイライト型量子ドット(GSアライアンス株式会社製、CuInS2/ZnS、有機系溶剤分散タイプ)を用いて、溶剤を水に置換することで水分散体4を得た。
【0142】
<実施例1>(グラフェン量子ドット2質量%)
Si(OC2H5)4(TEOS):エタノール(C2H5OH):水(H2O)のモル比が2:1:4の比率となるように、TEOSをポリプロピレンビーカーにテフロン(登録商標)製メスピペットを用いて秤量し、メスピペットを用いて秤量したエタノールを加え、室温(25℃)にてスターラーで撹拌し、完全に混和した後、グラフェン量子ドットの水分散体1を水のモル比が4になるよう(量子ドット濃度は蛍光体中2質量%)と水とを加え(合計の水の比率を4とした)、さらに室温(25℃)で撹拌した。このとき、TEOS1モル(208.37g)に対して0.8mgのクエン酸水和物(C6H8O7・H2O)を加えた。この溶液に酸触媒である1M硝酸水溶液(HNO2)を20ml添加し、ゲル化が開始するまで撹拌した。その後、底面が長方形(3mm×50mm)の容器に流し込み、室温(25℃)で60日間放置して、反応と乾燥を生じさせて、棒状(長さ10mm、断面1.5mm×1.5mmの四角柱)の蛍光体を製造した。その際、エタノールの除去を適宜行なった。この蛍光体は、グラフェン量子ドットが均一に分散したものであり、クラック、欠けなどは存在しないものであった。
【0143】
この蛍光体について、前述した方法により励起光波長460nmで蛍光スペクトルを測定した結果を
図6に示した。発光のピーク波長は540nmであり、半値幅は75nmであった。このように、使用したグラフェン量子ドットの水分散体の蛍光特性と比較して、100nm近い波長シフトが見られた。また、この蛍光体を200℃の大気炉中に24時間放置し、加熱前後の発光強度の比較を行ったところ、発光強度の変化がないことが確認できた。つまり、十分な耐熱性があることが確認できた。
【0144】
<実施例2>(グラフェン量子ドット0.1質量%)
実施例1において、グラフェン量子ドットの濃度を2質量%とする代わりに、蛍光体中に0.1質量%となるようにグラフェン量子ドットの水分散体を混合したこと以外は、実施例1と同じ条件で同じ形状の蛍光体を製造した。この蛍光体はグラフェン量子ドットが均一に分散したものであり、クラック、欠けなどは存在しないものであった。
【0145】
この蛍光体について、前述した方法により励起光波長445nmで蛍光スペクトルを測定した結果、発光のピーク波長は515nmであり、半値幅は80nmであった。このように、使用したグラフェン量子ドットの水分散体の蛍光特性と比較して、50nm以上の波長シフトが見られた。また、実施例1との対比より、グラフェン量子ドットの濃度変化により、波長シフト量が変化することが分かった。
【0146】
<実施例3>(シリコン量子ドット、赤色)
実施例1において、グラフェン量子ドットの水分散体1を用いる代わりに、シリコン量子ドットのメタノール分散体2をメタノールのモル比が2になるよう(量子ドット濃度は蛍光体中0.5質量%)用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で同じ形状の蛍光体を製造した。つまり、Si(OC2H5)4(TEOS):エタノール(C2H5OH):水(H2O):メタノールのモル比が2:1:4:2の比率となるように、原料を使用した。この蛍光体はシリコン量子ドットが均一に分散したものであり、クラック、欠けなどは存在しないものであった。
【0147】
この蛍光体について、前述した方法により励起光波長420nmで蛍光スペクトルを測定した結果を
図7に示した。発光のピーク波長は625nmであり、半値幅は60nmであった。
【0148】
<実施例4>(200℃加熱)
実施例1において、室温(25℃)で60日間放置する代わりに、加熱装置中で70℃14日加熱した後、200℃で20時間加熱したこと以外は、実施例1と同じ条件で同じ形状の蛍光体を製造した。この蛍光体はグラフェン量子ドットが均一に分散したものであり、クラック、欠けなどは存在しないものであった。
【0149】
この蛍光体について、前述した方法により励起光波長445nmで蛍光スペクトルを測定した結果、実施例1と同じ蛍光特性を示すことが分かった。また、実施例1の蛍光体が密度2.0g/cm3であるのに対して、得られた蛍光体の密度は1.8g/cm3であった。
【0150】
<実施例5>(クエン酸添加なし)
実施例1において、クエン酸水和物(C6H8O7・H2O)を加えないこと以外は、実施例1と同じ条件で蛍光体を製造した。このとき、実施例1と同じ形状にすると、クラックが生じ易くなるため、原料の混合後に少量の混合物を用いて(組成は同じ)、厚さ5mmの薄膜状の蛍光体を作成した。この蛍光体はグラフェン量子ドットが均一に分散したものであり、クラック、欠けなどは存在しないものであった。
【0151】
この蛍光体について、前述した方法により励起光波長445nmで蛍光スペクトルを測定した結果、実施例1と同じ蛍光特性を示すことが分かった。また、実施例1の蛍光体が密度2.0g/cm3であるのに対して、得られた蛍光体の密度は1.8g/cm3であった。
【0152】
<実施例6>(ペロブスカイト型量子ドット)
実施例1において、グラフェン量子ドットの水分散体1を用いる代わりに、ペロブスカイト型量子ドットの水分散体3を水のモル比が同じになるように用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で同じ形状の蛍光体を製造した。この蛍光体はペロブスカイト型量子ドットが均一に分散したものであり、クラック、欠けなどは存在しないものであった。
【0153】
この蛍光体について、前述した方法により励起光波長460nmで蛍光スペクトルを測定した結果を
図8に示した。発光のピーク波長は630nmであり、半値幅は30nmであった。
<実施例7>(カルコパイライト型量子ドット)
実施例1において、グラフェン量子ドットの水分散体1を用いる代わりに、カルコパイライト型量子ドットの水分散体4を水のモル比が同じになるように用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で同じ形状の蛍光体を製造した。この蛍光体はカルコパイライト型量子ドットが均一に分散したものであり、クラック、欠けなどは存在しないものであった。
【0154】
この蛍光体について、前述した方法により励起光波長420nmで蛍光スペクトルを測定した結果を
図13に示した。発光のピーク波長は620nmであり、半値幅は100nmであった。
【0155】
<波長変換部材の他の実施形態>
先の実施形態では、
図4及び
図5に示すように、励起光L1は、棒状体73の入射側の端面S2から入射される構成例を示したが、例えば、下記に示すように、波長変換部材71は、棒状体73の長手方向に沿った外周面S1の少なくとも一部と接触する接触部82を有する導光体81が設けられ、励起光L1は、導光体81を介して棒状体73の外周面S1から入射される、という構成であってもよい。
【0156】
(1)
図9に示すように、波長変換部材71は、棒状体73の外周面S1の全体と接触する導光体81が設けられている。そして、光ファイバ51は、導光体81の入射側の端面である入射面S4に接触又は固定(接着、溶着など)されている。なお、例えば、複数本の光ファイバ51が導光体81の入射面S4に接触又は固定されていてもよい。また、導光体81は、棒状体73の外周面S1の全長に渡って接触している必要はなく、棒状体73の入射側及び/又は出射側が、導光体81より突出した構造であってもよい。また、導光体81が棒状体73の全周を覆う必要はなく、例えば長手方向に垂直な断面が三日月形、三角形などの導光体81であってもよい。その場合、複数の導光体81を設けて、別々に光ファイバ51から励起光L1を入射してもよい。
【0157】
光ファイバ51は、マルチモード又はシングルモードの光ファイバである。マルチモード光ファイバは、コア径が50μm~100μmであることが好ましく、シングルモード光ファイバは、コア径が5μm~20μmであることが好ましい。
【0158】
導光体81は、入射側を下面とする中空の円錐台状又は角錐台状であり、中空内部の形状が棒状体73の外形と同じであることが好ましい。この構成により、棒状体73の出射側に位置する導光体81の端面S5と接触部82とが成す角Θ1を鋭角にするこができる。これにより、棒状体73の長手方向と平行に進む励起光L1も棒状体73の内部に反射させて入射させることができ、変換光L2の取出効率を高くすることができる。なお、導光体81の端面S5と接触部82とが成す角Θ1は、45°以下であることが好ましい。
【0159】
そして、導光体81は、二酸化ケイ素や樹脂(アクリル、ポリカーボネート)などで形成されていることが好ましい。なお、接触部82においては、導光体81と棒状体73とが固定(接着、溶着など)されていてもよい。接着剤を用いる場合、接触部82での励起光L1の反射を防止する観点から、導光体81と同じ又は近い屈折率の接着剤を用いることが好ましい。
【0160】
導光体81の入射面S4以外の外面及び棒状体73の入射側の端面S2には、励起光L1及び変換光L2を反射する反射層74が設けられていることが好ましい。そして、導光体81の入射面S4には、変換光反射膜75及び励起光反射防止膜76が設けられ、棒状体73の出射側の端面S3には、励起光反射膜77及び変換光反射防止膜78が設けられていることが好ましい。反射層74、変換光反射膜75、励起光反射防止膜76、励起光反射膜77及び変換光反射防止膜78の材質、形成方法などは先述のとおりである。
【0161】
この構成により、励起光L1を棒状体73の外周面X1から入射させることができる。これにより、励起光L1が棒状体73の内部を通過する距離が増え、励起光L1が棒状体73の量子ドットに当たる率が増加し、変換光L2の取出効率を高くすることができる。また、棒状体73の入射側の端面S2から励起光L1を入射させた場合と比べ、棒状体73の出射側の端面S3に近い位置で変換光L2を取り出すことができるので、変換光L2が棒状体73の内部を通過することによる光の減衰を抑えることができる。
【0162】
(2)(1)の波長変換部材71は、
図9に示すように導光体81の入射面S4以外の外面に反射層74が設けられている例を示したが、例えば、導光体81の入射面S4以外の外面に励起光反射膜77が設けられ、棒状体73の外周面S1に変換光反射膜75が設けられていてもよい。
【0163】
(3)(1)の導光体81は、
図9に示すように入射側を下面とする中空の円錐台状又は角錐台状であり、接触部82が棒状体73の外周面S1の全体と接触する、という構成例を示したが、例えば、導光体81は、
図10に示すように略円筒状又は略角筒状であり、接触部82が棒状体73の外周面S1の一部と接触する、という構成であってもよい。
【0164】
この構成においては、導光体81は、棒状体73の出射側に位置する導光体81の端面S5が傾斜している。これにより、導光体81の端面S5と接触部82とが成す角Θ1を鋭角とすることができる。また、接触部82と接触していない棒状体73の外周面S1には、反射層74が設けられている。これにより、棒状体73の外周面S1から励起光L1及び変換光L2が漏れることを防ぐことができる。
【0165】
なお、光ファイバ51がマルチモードの光ファイバである場合は、励起光L1が光ファイバ51内で反射を繰り返しながらジグザグに進み、光ファイバ51から励起光L1が直接、導光体81の端面S5に到達することは少ないので、導光体81の端面S5が傾斜していなくてもよい。
【0166】
(4)(1)の波長変換部材71は、
図9に示すように棒状体73の外周面S1の全体と接触する導光体81が設けられ、光ファイバ51が導光体81の入射面S4に接触又は固定されている、という構成例を示したが、例えば、波長変換部材71は、
図11及び
図12に示すように光ファイバ51のコア511が棒状体73の外周面S1に接触している、という構成であってもよい。
【0167】
この構成においては、光ファイバ51のクラッド512の一部が、光ファイバ51の先端から取り除かれている。そして、光ファイバ51のクラッド512が取り除かれ露出したコア511が棒状体73の外周面S1に接触している。これにより、光ファイバ51によって、棒状体73の外周面S1から棒状体73の内部に励起光L1を直接入射させることができる。
【0168】
なお、例えば、光ファイバ51のコア511及びクラッド512と棒状体73の外周面S1とを接着により固定してもよい。その場合、接着部での励起光L1の反射を防止する観点から、光ファイバ51のコア511と同じ又は近い屈折率の接着剤を用いることが好ましい。
【0169】
また、この構成においては、光ファイバ51のコア511から入射した励起光L1が漏れないように、光ファイバ51のコア511及びクラッド512の棒状体73との接触部513を除く棒状体73の外周面S1と光ファイバ51の先端面S6とに反射層74が設けられていることが好ましい。そして、光ファイバ51の先端面S6と接触部513との成す角Θ2が鋭角(好ましくは45°以下)であることが好ましい。
【0170】
なお、波長変換部材71及び内視鏡10は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、波長変換部材71及び内視鏡10は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、上記した実施形態の波長変換部材71は、プロジェクタ光源などにも使用可能である。
【符号の説明】
【0171】
10 内視鏡
20 挿入部
50 照明光学系
51 光ファイバ
71 波長変換部材
72 発散レンズ
73 棒状体
74 反射層
75 変換光反射膜
76 励起光反射防止膜
77 励起光反射膜
78 変換光反射防止膜
81 導光体
82 接触部
91 光源
100 撮像系
L1 励起光
L2 変換光
L3 照明光