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特許7377504加熱処理済み餅入り食品及びその製造方法、並びに餅加熱処理用の調味液及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】加熱処理済み餅入り食品及びその製造方法、並びに餅加熱処理用の調味液及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20231102BHJP
   A23L 3/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A23L7/10 102
A23L3/00 101C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023532346
(86)(22)【出願日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 JP2023006690
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2022035256
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506138568
【氏名又は名称】株式会社 信玄食品
(73)【特許権者】
【識別番号】522091601
【氏名又は名称】テーブルストック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】白澤 聡
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】特許第6973806(JP,B2)
【文献】特開2021-023253(JP,A)
【文献】特開2010-252661(JP,A)
【文献】特開2009-273477(JP,A)
【文献】特開平11-221032(JP,A)
【文献】特開平08-242784(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0014757(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調味液と、餅とを含む餅入り食品の加熱処理物であって、
前記調味液は、デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~52.5%である、加熱処理済み餅入り食品。
【請求項2】
前記加熱処理済み餅入り食品のBrix値が、36.5%~54.0%である、請求項1に記載の加熱処理済み餅入り食品。
【請求項3】
前記調味液が、前記餅100質量部に対して50質量部~300質量部の割合で含まれる、請求項1~2のいずれか1項に記載の加熱処理済み餅入り食品。
【請求項4】
レトルト容器詰めである、請求項1~のいずれか1項に記載の加熱処理済み餅入り食品。
【請求項5】
デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~52.5%である調味液中で、餅を加熱処理することにより、加熱処理済み餅入り食品を得る工程を含む、加熱処理済み餅入り食品の製造方法。
【請求項6】
前記加熱処理済み餅入り食品のBrix値が、36.5%~54.0%である、請求項5に記載の加熱処理済み餅入り食品の製造方法。
【請求項7】
前記調味液が、前記餅100質量部に対して50質量部~300質量部の割合で含まれる、請求項5~6のいずれか1項に記載の加熱処理済み餅入り食品の製造方法。
【請求項8】
前記加熱処理が、レトルト殺菌処理である、請求項5~のいずれか1項に記載の加熱処理済み餅入り食品の製造方法。
【請求項9】
デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~52.5%である、餅を加熱処理するための調味液。
【請求項10】
デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~52.5%である調味液中で、餅を加熱処理する工程を含む、餅の煮崩れ防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、餅の食感が維持された加熱処理済み餅入り食品及びその製造方法、並びに餅を加熱処理するための調味液及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
雑煮、汁粉、ぜんざいなどの餅を含む料理は、加熱調理後では時間の経過と共に餅が硬化(老化)する一方で、長時間の加熱調理では、餅の粘弾性が低下して煮崩れ(型崩れ)が生じることから、喫食の直前に加熱調理されることが一般的である。このように、餅を含む料理は、餅特有の食感を維持することが難しく、一般総菜分野、菓子分野において幅広い利用が制限されてきた。
【0003】
特に、長期間の保存を目的としたレトルト製品などにおいては、餅が高温で加熱殺菌処理されることにより、餅の粘弾性が低下して煮崩れ(型崩れ)が生じやすく、食感や外観が損なわれるという問題がある。
【0004】
近年、餅の食感や外観を維持する方法として、例えば、餅に、米に由来しない添加物を添加する方法が知られている。(例えば、特許文献1~6参照。)
また、特許文献7には、DE4~11のデキストリンを20~35重量%含む調味液中で餅を加熱殺菌することにより、食感が維持された餅入り食品を得る方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭60-241863号公報
【文献】特開平09-28299号公報
【文献】特開平09-238630号公報
【文献】特開平10-23869号公報
【文献】特開2009-124950号公報
【文献】特開2014-3972号公報
【文献】特許第6973806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1~6に記載の餅に添加物を添加する方法では、餅本来の味を損ねるという問題がある。
また、特許文献7に記載の方法によれば、食感が維持された餅入り食品を得ることができるものの、喫食時において餅の硬化(老化)を過度に促進させてしまう場合があるという問題を本発明者によって見出した。また、特許文献7に記載の方法によれば、デンプン特有の粘度やデキストリン特有の甘味が過度となる場合があり、例えば雑煮などの製品では風味や価値を損なうため、製品の種類に制限があるという問題も本発明者によって見出した。
【0007】
そこで、本発明は、餅本来の味を損ねることなく、餅の食感及び外観が維持された加熱処理済み餅入り食品及びその製造方法、並びに餅加熱処理用の調味液及びその使用を提供することを、発明が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために、餅本来の味を損ねないように、餅自体の物性を改良するのではなく、餅を調理する際に加える調味液の改良を前提に、餅の食感及び外観が維持できる調味液の鋭意研究を行った。そのうえで、本発明者は、特許文献7に記載の方法では、調味液中のデキストリンの含有量が他のBrix値の調整成分である可溶性固形成分の量より過度に多い場合に、加熱殺菌処理中においては餅の形状がある程度維持できるものの、喫食時において、餅の硬化(老化)が過度に促進される場合があることに気が付いた。本発明者は、このような現象が起こる原因として以下のように考えた。すなわち、調味液中のデキストリンの含有量が適量である場合においては、容器内で調味液と餅との水分移行が互いに行われ均等な水分値になり、加熱殺菌処理中においても餅の形状を維持できるものの、調味液中のデキストリンの含有量が可溶性固形成分の量より過度に多い場合においては、調味液の粘度が高くなり、デキストリンの分子(量)が大きいために餅の表面に膜ができてしまい、加熱殺菌処理中において、調味液と餅との水分移行が行われにくい状態となる。そして、加熱殺菌処理後、保存時において、餅の硬化(老化)が進むにつれて、餅自体の水分が老化によって吐き出され、その水分が調味液にのみに移行し餅全体の水分値が低くなるために、再び加熱して糊化(α化)する際に水分が不足し、糊化不十分の箇所が発生し、粘弾性が不十分となる。また、十分な糊化がされていない箇所は老化するスピードが促進され、喫食時において短時間で固く伸びない食感となると考えられる。
【0009】
そこで、本発明者は、喫食時において、餅の硬化(老化)を過度に促進させないように、調味液中のデキストリンの量を低減しながらも、餅の食感及び外観が維持できる調味液の試行錯誤を繰り返した。そして、遂に、調味液において、デキストリンの含有量と、Brix値とのバランスを調整することにより、餅本来の味を損ねることなく、餅の粘弾性低下や煮崩れを抑制し、餅の食感及び外観を維持することができることに成功した。また、驚くべきことに、上記調味液によれば、レトルト殺菌処理のような高温の加熱殺菌処理に供される場合であっても、餅本来の味を損ねることなく、餅の粘弾性低下や煮崩れを抑制し、餅の食感及び外観を維持することができ、その上、長期間保存しても、餅の食感及び外観を維持することができることがわかった。さらに、調味液中のデキストリンの含有量が過度に大きいものではないので、調味液の粘度や甘味が過度になることを回避することができ、製品全体の風味を所望のものとすることができた。本発明はこのような成功例や知見に基づいて完成するに至った発明である。
【0010】
したがって、本発明の一態様によれば、以下のものが提供される:
[1]調味液と、餅とを含む餅入り食品の加熱処理物であって、
前記調味液は、デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~52.5%である、加熱処理済み餅入り食品。
[2]前記加熱処理済み餅入り食品のBrix値が、36.5%~54.0%である、[1]に記載の加熱処理済み餅入り食品。
[3]前記調味液が、前記餅100質量部に対して50質量部~300質量部の割合で含まれる、[1]~[2]のいずれか1項に記載の加熱処理済み餅入り食品。
[4]レトルト容器詰めである、[1]~[3]のいずれか1項に記載の加熱処理済み餅入り食品。
[5]デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~52.5%である調味液中で、餅を加熱処理することにより、加熱処理済み餅入り食品を得る工程を含む、加熱処理済み餅入り食品の製造方法。
[6]前記加熱処理済み餅入り食品のBrix値が、36.5%~54.0%である、[5]に記載の加熱処理済み餅入り食品の製造方法。
[7]前記調味液が、前記餅100質量部に対して50質量部~300質量部の割合で含まれる、[5]~[6]のいずれか1項に記載の加熱処理済み餅入り食品の製造方法。
[8]前記加熱処理が、レトルト殺菌処理である、[5]~[7]のいずれか1項に記載の加熱処理済み餅入り食品の製造方法。
[9]デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~52.5%である、餅を加熱処理するための調味液。
[10]デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~52.5%である調味液中で、餅を加熱処理する工程を含む、餅の煮崩れ防止方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特定量のデキストリンを含み、かつ、特定範囲のBrix値である調味液を餅の加熱処理のために使用することにより、餅本来の味を損ねることなく、餅の粘弾性が低下することを抑制し、餅の食感及び外観が維持される。
また、本発明によれば、レトルト殺菌処理などの高温の加熱殺菌処理に供される場合であっても、餅の粘弾性の低下を抑制して煮崩れ(型崩れ)を防止し、その上、長期間保存しても、餅の食感及び外観が維持される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一態様である加熱処理済み餅入り食品及びその製造方法、並びに餅加熱処理用の調味液及びその使用について説明するが、本発明の技術的範囲は本項目の事項によってのみに限定されるものではなく、本発明はその目的を達成する限りにおいて種々の態様をとり得る。
【0013】
本明細書における各用語は、別段の定めがない限り、当業者により通常使用されている意味で使用され、不当に限定的な意味を有するものとして解釈されるべきではない。
【0014】
「含有量」との用語は、本明細書において、濃度と同義であり、全体量(例えば、体積)に対する成分の量(例えば、質量)の割合(例えば、質量%)を意味する。
「含む」は、含まれるものとして明示されている要素以外の要素を付加できることを意味する(「少なくとも含む」と同義である)が、「からなる」及び「から本質的になる」を包含する。すなわち、「含む」は、明示されている要素及び任意の1種若しくは2種以上の要素を含み、明示されている要素からなり、又は明示されている要素から本質的になることを意味し得る。要素としては、成分、工程、条件、パラメーターなどの制限事項などが挙げられる。
数値範囲の「~」は、その前後の数値を含む範囲であり、例えば、「0%~100%」は、0%以上であり、かつ、100%以下である範囲を意味する。「超過」及び「未満」は、その前の数値を含まずに、それぞれ下限及び上限を意味し、例えば、「1超過」は1より大きい数値であり、「100未満」は100より小さい数値を意味する。
整数値の桁数と有効数字の桁数とは一致する。例えば、1の有効数字は1桁であり、10の有効数字は2桁である。また、小数値は小数点以降の桁数と有効数字の桁数とは一致する。例えば、0.1の有効数字は1桁であり、0.10の有効数字は2桁である。
【0015】
〔加熱処理済み餅入り食品〕
本発明の一態様の加熱処理済み餅入り食品は、調味液と、餅とを含む餅入り食品の加熱処理物であって、調味液は、デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~52.5%である。
本発明の一態様の加熱処理済み餅入り食品は、調味液と、餅とを含む餅入り食品の加熱処理物であるが、調味液と、餅とを含む餅入り食品の加熱処理方法としては、特に限定されず、食品製造において通常使用される加熱処理方法を採用することができる。
【0016】
〔調味液〕
本発明の一態様の調味液は、デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、当該調味液のBrix値が26.0%~52.5%であり、餅を加熱処理するためのものである。このような調味液を餅の加熱処理のために使用することにより、餅本来の味を損ねることなく、餅の粘弾性低下や煮崩れを抑制し、餅の食感及び外観を維持することができ、喫食時においても過度に餅の硬化(老化)を促進することを抑制すると共に、レトルト殺菌処理などの高温の加熱殺菌処理に供される場合であっても、餅本来の味を損ねることなく、餅の粘弾性低下や煮崩れを抑制し、餅の食感及び外観を維持することができ、その上、長期間保存しても、餅の食感及び外観を維持することができる。
【0017】
〔デキストリン〕
本発明の一態様の調味液に含まれるデキストリンは、調味液に対して1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含まれ、好ましくは5.0質量%~15.0質量%の割合で含まれる。
本発明の一態様の調味液は、当該調味液中のデキストリンの含有量が20質量%未満と過度に大きいものではないため、調味液の粘度や甘味が過度になることを回避することができるので、製品全体の風味を所望のものとすることができる。
【0018】
デキストリンは、食品一般に使用することができるものであれば特に限定されず使用することができる。
デキストリンとしては、例えば、DE値4~10程度のデキストリン、DE値10~18程度のマルトデキストリンなどが挙げられる。また、デキストリンは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
なお、デキストリンは、100gの水に10gのデキストリンを溶かした場合に、Brix値が9.5%程度となる。
【0019】
〔可溶性固形成分〕
本発明の一態様の調味液においては、Brix値を26.0%~52.5%とするために、デキストリンの他に、Brix値調整成分である可溶性固形成分を含む。可溶性固形成分としては、食品一般に使用することができるものであれば、特に限定されず使用することができ、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
可溶性固形成分としては、具体的には、ブドウ糖、麦芽糖、ショ糖、水あめ、水素添加を施した糖アルコール類などの糖類;グルタミン酸、アスパラギン酸などのアミノ酸;食塩などの無機塩類;クエン酸、リンゴ酸などの有機酸;ペクチンなどの多糖類など、光の屈折作用を有する成分である。これらのなかでも、浸透性が高いショ糖(砂糖)、糖アルコール類、食塩が好ましい。
なお、例えばショ糖(砂糖)は、90gの水に10gのショ糖(砂糖)を溶かした場合のBrix値が10%程度であり、例えば食塩は、90gの水に10gの食塩を溶かした場合のBrix値が9.5%程度であり、また例えば糖アルコール類は、90gの水に10gの糖アルコール類を溶かした場合のBrix値が7.5%~10%程度である。
【0020】
可溶性固形成分の含有量は、調味液のBrix値が26.0%~52.5%となるように調整されれば、特に限定されないが、調味液に対して30.0質量%~45.0質量%であることが好ましく、より好ましくは30.0質量%~40.0質量%である。
【0021】
〔Brix値〕
本発明の一態様の調味液のBrix値は、26.0%~52.5%であり、好ましくは30.0%~40.0%である。
調味液のBrix値が過大である場合においては、調味液の粘度及び甘味が過度になると共に、喫食時において餅の硬化(老化)を促進するおそれがある。一方、調味液のBrix値が過小である場合においては、調味液中で餅が加熱処理に供されても餅の粘弾性の低下を抑制することができず、餅が調味液に溶け出すおそれがある。
【0022】
本発明において、Brix値とは、試料の温度20℃における糖用屈折計の示度をいう。
また、本発明において、調味液のBrix値は、後述する実施例の方法で測定された値とする。
Brix値の調整は、主に、調味液中のデキストリンの含有量及び/又は可溶性固形成分の種類又は含有量の調整などにより行うことができる。
【0023】
〔他の成分〕
本発明の一態様の調味液においては、デキストリン及び可溶性固形成分に加え、他の成分が含まれてもよい。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、水、調味料、酵母エキス、肉エキス(チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、魚肉エキスなど)、果汁(りんご果汁など)、野菜汁(トマトピューレなど)、香辛料(生姜、唐辛子、こしょう、バジル、オレガノなど)、着色料、アミノ酸系調味料、核酸系調味料、有機酸系調味料、旨味調味料、フレーバー、乳製品、増粘剤(澱粉、加工澱粉、キサンタンガムなどのガム類)などが挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
調味液の調製方法としては、特に限定されないが、例えば、デキストリン及び可溶性固形成分に加え、必要に応じて他の成分を計量し、混合及び攪拌し、必要に応じて加熱することにより調製することができる。
【0025】
〔餅〕
本発明の一態様の加熱処理済み餅入り食品において、餅としては、原材料として米(糯米、粳米、又はこれらの粉末(例えば、上新粉、白玉粉など))を使用して製造されたものであれば特に限定されず、使用することができる。具体的には、餅としては、米を原材料として、水と共に蒸気で加熱処理した後、成型したものを使用することができる。餅としては、例えば、搗き餅の他、練り餅(白玉、トックなどの団子)であってもよい。また、餅本来の味を損ねることがない範囲で原材料に添加物などが含まれて製造されたものであってもよい。
なお、本発明において、加熱処理前の餅入り食品においては、餅としては、いわゆるα化(アルファ化)していないもの、又は、α化度の低い状態ものであることが好ましい。
【0026】
〔具材〕
本発明の一態様の加熱処理済み餅入り食品においては、(加熱処理前の)餅入り食品において、調味液及び餅と共に、他の食材(具材)が含まれていてもよい。他の食材としては、特に限定されないが、例えば、肉、魚介類、野菜、果物、大豆製品などが挙げられる。これらの他の食材は、調味液と共に調理加工したものであってもよい。他の食材の含有量は、製品の種類などによって適宜設定され、特に限定されないが、例えば、調味液及び餅の合計量に対して5質量%~30質量%である。
【0027】
本発明の一態様の加熱処理済み餅入り食品においては、(加熱処理前の)餅入り食品において、調味液と餅との含有量比は、餅の種類や製品の種類などによって適宜設定することができるが、例えば、調味液が、餅100質量部に対して、50質量部~300質量部の割合で含まれることが好ましく、より好ましくは80質量部~250質量部の割合、さらに好ましくは100質量部~200質量部の割合である。
【0028】
本発明の一態様の加熱処理済み餅入り食品は、具体的には、一食(一人前)当たり、餅50g~100g程度であり、調味液30g~200g程度であり、具材15g~45g程度であり、総量としては、95g~345g程度である。
【0029】
本発明の一態様の加熱処理済み餅入り食品において、当該加熱処理済み餅入り食品のBrix値は、36.5%~54.0%であることが好ましく、より好ましくは40.0%~50.0%である。
本発明において、加熱処理済み餅入り食品のBrix値は、後述する実施例の方法で測定された値とする。
【0030】
本発明の一態様の加熱処理済み餅入り食品は、保存性を考慮すれば、加熱殺菌処理などの腐敗防止処理に供された容器詰め加熱処理済み餅入り食品とすることができる。加熱殺菌処理としては、例えば、レトルト殺菌処理や、pH調整済みの低温殺菌処理などが挙げられる。
本発明の一態様の加熱処理済み餅入り食品によれば、容器詰めとし加熱殺菌処理した場合においても、長期間にわたって餅の食感及び外観が維持される。
【0031】
容器詰めとして使用される容器は、加熱殺菌処理に耐えると共に密封できる素材及び形状のものであれば特に限定されないが、例えば、アルミなどの金属、PETやPTPなどのプラスチック、1層又は積層(ラミネート)のフィルム、ガラスなどを素材とするパウチ、小袋、ボトル、トレー、缶、瓶などの包装容器が挙げられる。特に、レトルト容器を使用する場合においては、具体的には、内側にポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂からなる熱溶着可能な樹脂層を設け、外側にポリエステル、ポリアミドなどのガスバリア性の高い樹脂及び/又はアルミ箔などからなる層を設けて、積層加工(ラミネート加工)したフィルムでできた容器などが挙げられる。また、電子レンジ加熱用のレトルト容器として、蒸気口を有する容器などが挙げられる。
【0032】
〔製造方法〕
本発明の一態様の加熱処理済み餅入り食品の製造方法は、デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~52.5%である調味液中で、餅を加熱処理することにより、加熱処理済み餅入り食品を得る工程を含む。
【0033】
本発明の一態様の加熱処理済み餅入り食品の製造方法において、調味液中で餅を加熱処理する方法としては、特に限定されず、食品製造において通常使用される加熱処理方法を採用することができ、例えば、鍋に調味液と餅を投入し加熱する方法、電子レンジ対応の容器に調味液と餅を投入し、電子レンジで加熱する方法などが挙げられ、加熱処理済み餅入り食品を容器詰めとする場合においては、レトルト殺菌処理などの加熱殺菌する方法が挙げられる。これらのなかでも、加熱処理方法としては、保存性を考慮すれば、レトルト殺菌処理などの加熱殺菌処理などの腐敗防止処理であることが好ましい。
【0034】
本発明の一態様の加熱処理済み餅入り食品の製造方法においては、例えば容器詰めとする場合においては、具体的には、デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~52.5%である調味液を調製し、当該調味液と餅とを、必要に応じてその他の食材と共に容器に充填し、容器の開口部を密封して加熱殺菌処理することにより、容器詰め加熱処理済み餅入り食品を得ることができる。
【0035】
加熱処理するための温度や時間は、製品の種類、配合量、充填量、容器の種類などに応じて適宜設定することができる。例えば、加熱処理がレトルト殺菌処理である場合においては、加圧下で、100℃~130℃、好ましくは約125℃で、6分間~15分間、好ましくは6分間~9分間で行い、殺菌強度の指標であるF値としては4以上、好ましくは5~10である。レトルト殺菌処理のための装置や方法は公知のものを使用できる。また例えば、缶詰めや瓶詰めなどに対する加熱殺菌処理である場合においては、121℃~135℃、5分間~30分間で行うことができる。さらに例えば、pH調整済みの低温殺菌処理である場合においては、調味液のpHを3.8~4.5に調整したうえで、70℃~100℃、10分間~60分間で行うことができる。なお、pHを調整する方法としては、例えば、酢酸、クエン酸、フィチン酸、グルコン酸などのpH調整剤を添加する方法などが挙げられる。
【0036】
以上のような加熱殺菌処理した容器詰め加熱処理済み餅入り加工食品であれば、常温(15℃~25℃)での長期間保存が可能となる。また、このような容器詰め加熱処理済み餅入り加工食品を喫食する際は、沸騰した水で例えば3分間~10分間湯煎する方法、電子レンジで加熱する方法などによって加熱することができる。このような容器詰め餅入り加工食品は、長期間保存した後であっても、餅の食感及び外観を維持することができる。
【0037】
〔餅の煮崩れ防止方法〕
本発明の一態様の餅の煮崩れ防止方法は、デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~52.5%である調味液中で、餅を加熱処理する工程を含む。
本発明の一態様の餅の煮崩れ防止方法において、調味液中で餅を加熱処理する方法としては、特に限定されず、食品製造において通常使用される加熱処理方法を採用することができる。
【0038】
以上のように、本発明によれば、特定量のデキストリンを含み、かつ、特定範囲のBrix値である調味液中で餅を加熱処理することにより、餅本来の味を損ねることなく、餅の粘弾性が低下することを抑制し、餅の食感及び外観を維持することができ、喫食時においても過度に餅の硬化(老化)を促進することを抑制する加熱処理済み餅入り食品が得られる。また、本発明によれば、レトルト殺菌処理などの高温の加熱殺菌処理に供する場合であっても、餅の粘弾性の低下を抑制して煮崩れ(型崩れ)を防止し、その上、長期間保存しても、餅の食感及び外観を維持することができる加熱処理済み餅入り食品が得られる。このような効果が得られる理由としては、必ずしも明確ではないが、以下の原理に基づくものと考えられる。なお、以下の原理は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。すなわち、調味液に含まれるデキストリンは、分子(量)が大きいものであることから、加熱処理中において餅にゆっくり浸透すると考えられる。一方、調味液に含まれるBrix値の調整成分である可溶性固形成分(例えば、砂糖や塩など)は、分子(量)が小さいものであることから、加熱処理中において餅に速く浸透すると考えられる。この餅へのデキストリンや可溶性固形成分の浸透速度の違いのバランスにより、餅中の水分を適度に保持し、その結果として、餅の粘弾性を維持することができると考えられる。また、喫食時においても、調味液のBrix値が適度な範囲内のものであることにより、調味液中の自由水についても大幅に減少することはなく、全体の水分移行も少なからず行われることなり、喫食時における餅の糊化(α化)の阻害を抑制することができると考えられる。
【0039】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【実施例
【0040】
〔1.調味液におけるデキストリンの含有量とBrix値との変動による評価試験〕
1-1.調味液の調製
10%砂糖水溶液、25%砂糖水溶液及び40%砂糖水溶液のそれぞれに対して、デキストリン(「パインデックス#1(DE値8)」、松谷化学工業社製)を1.0g、4.0g、9.0g、14.0g、19.0g及び29.0gのそれぞれを添加し、攪拌して調味液1-1~3-6(各100g)を調製した。下記表1~3に各成分の含有量及び調味液のBrix値を示す。
【0041】
1-2.加熱処理
調味液1-1~3-6のそれぞれ100gと、餅(「業務用ハーフカット餅」、アイリスフーズ社製)50gとをレトルト容器(「レトルト用無地袋」、秀英堂社製)に充填し、真空シール機を使用してレトルト容器の開口部を密封した。シャワー式レトルト殺菌装置を使用して、レトルト殺菌処理し、加熱処理済み餅入り食品1-1~3-6を製造した。レトルト殺菌処理条件は、125℃設定、最大圧力0.25MPa、装置内の温度が125℃に到達した後9分間加熱、F値7.7であった。
【0042】
1-3.Brix値の測定
調味液1-1~3-6のそれぞれについて、調味液の調製後(レトルト容器充填前)のBrix値を下記測定条件によって測定した。結果を表1~3に示す。
また、加熱処理済み餅入り食品1-1~3-6のそれぞれについて、Brix値を下記測定条件によって測定した。なお、測定は、加熱処理済み餅入り食品を常温(15℃~25℃)で14日間保存した後、沸騰した水に10分間投入し、レトルト容器を開封して、餅と調味液とを取り出し、フードプロセッサー(「DLC-NXJ2SS」、クイジナート社製)で2分間攪拌し、ペースト状の試料にした。その後、再度レトルト容器の開口部を密封してから、沸騰した水に15分間投入し、再度レトルト容器を開封して、試料の温度が20℃となるまで放置してから測定した。結果を表1~3に示す。
【0043】
〔測定条件〕
Brix計として、手持屈折計(「MASTER-AH50」、AS ONE社製)を使用して、試料の温度20℃におけるBrix値を測定した。測定は、10回行い、平均値を算出した。
【0044】
1-4.強度(弾性荷重)の測定
加熱処理済み餅入り食品1-1~3-6を、常温(15℃~25℃)で14日間保存した後、沸騰した水に10分間投入し、レトルト容器を開封した直後の餅の強度を下記測定条件によって測定した。結果を表1~3に示す。
なお、加熱処理済み餅入り食品1-1~3-6の製造で使用した餅と同様の餅50gを、沸騰した水100gの中に投入し、2分間ボイル加熱処理したもの(以下、「通常加熱餅A」ともいう。)の強度は、0.788Nであった。本発明においては、この通常加熱餅の強度±0.3N程度であれば、十分な強度を有する、すなわち餅の硬さ(食感)が維持されているということとする。
【0045】
〔測定条件〕
測定装置(「レオメータ CD-500X」、サン科学株式会社製(使用プランジャー;No.10剪断用(くさび型)))を使用して、8mm押し込んだ際の餅の破断強度(単位はN(ニュートン))を測定した。測定は、5回行い、平均値を算出した。
【0046】
1-5.官能評価
加熱処理済み餅入り食品1-1~3-6について、識別能力を有するパネル5名により、餅の外観(形状)及び食感について、下記評価基準に従って評価した。パネル5名の平均点を表1~3に示す。
【0047】
〔評価基準〕
・餅の外観
1:溶けている
2:やや溶けている
3:整っている
・餅の食感
1:柔らかい、又は、硬い
2:やや柔らかい、又は、やや硬い
3:程よい
なお、餅の外観及び餅の食感の評価については、平均点が2以上であれば合格とする。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
表1~3の結果より、調味液として、デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~49.0%である調味液を使用した加熱処理済み餅入り食品1-5,2-1,2-2,2-3,2-4,2-5,3-1,3-2,3-3,3-4及び3-5については、餅の強度が通常加熱餅Aの強度と同等であると共に、餅の食感及び外観のいずれにおいても高い評価が得られることが確認された。一方、デキストリンが1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含むものの、調味液のBrix値が26.0%~52.5%の範囲内にない調味液を使用した加熱処理済み餅入り食品1-1~1-4については、餅の強度が通常加熱餅Aの強度よりも低く、餅の食感及び外観のいずれにおいても良好な評価が得られないことが確認された。また、加熱処理済み餅入り食品1-6及び2-6については、調味液のBrix値が26.0%~52.5%の範囲内にあるものの、デキストリンが20.0質量%以上の割合で含むことにより、餅の強度は通常加熱餅Aの強度と同等であるが、調味液の粘度が高く、餅とのなじみがよくないことが確認された。さらに、デキストリンが20.0質量%以上の割合で含み、調味液のBrix値についても26.0%~52.5%の範囲内にない調味液を使用した加熱処理済み餅入り食品3-6については、餅の強度が通常加熱餅Aの強度より高く、調味液の粘度も高く、餅とのなじみがよくないことが確認された。
【0052】
〔2.加熱処理済み餅入り食品(汁粉)の評価試験〕
2-1.加熱処理済み餅入り食品(汁粉)の製造
デキストリン(「パインデックス#1(DE値8)」、松谷化学工業社製)7.0g、つぶあん40.0g、水53.0gを配合し、攪拌して調味液4を調製した。この調味液100gと、餅(「冷凍特選白玉」、株式会社タヌマ社製)35gとを、レトルト容器(「レトルト用無地袋」、秀英堂社製)に充填し、真空シール機を使用してレトルト容器の開口部を密封した。シャワー式レトルト殺菌装置を使用して、加熱殺菌処理し、餅入り食品4を製造した。加圧加熱殺菌処理条件は、125℃設定、最大圧力0.25MPa、装置内の温度が125℃に到達した後6分間加熱、F値6.9であった。
【0053】
2-2.Brix値の測定
加熱処理済み餅入り食品4について、上記1-3に記載の方法と同様の方法で調味液及び加熱処理済み餅入り食品のBrix値を測定した。結果を表4に示す。
【0054】
2-3.強度(弾性荷重)の測定
加熱処理済み餅入り食品4について、上記1-4に記載の方法と同様の方法で餅の破断強度を測定した。結果を表4に示す。
なお、加熱処理済み餅入り食品4の製造で使用した餅と同様の餅35gを、沸騰した水100gの中に投入し、1分間ボイル加熱処理したもの(以下、「通常加熱餅B」ともいう。)の強度は、0.506Nであった。
【0055】
2-4.官能評価
加熱処理済み餅入り食品4について、上記1-5に記載の方法と同様の方法で官能評価を行った。結果を表4に示す。
【0056】
【表4】
【0057】
表4の結果より、加熱処理済み餅入り食品4については、調味液として、デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~52.5%である調味液を使用すれば、調味液の種類や餅の種類にかかわらず、餅の強度が通常加熱餅Bと同等であると共に、餅の食感及び外観が維持された餅入り食品が得られることが確認された。
【0058】
〔3.加熱処理済み餅入り食品(トッポギ)の評価試験〕
3-1.加熱処理済み餅入り食品(トッポギ)の製造
デキストリン(「パインデックス#1(DE値8)」、松谷化学工業社製)7.0g、トッポギ用ソース(「トッポギの素」、CJ社製;コチュジャン、水あめ、砂糖など)39.0g、グルコン酸0.6g、水13.4gを配合し、攪拌して調味液5を調製した。この調味液60gと、餅(「トッポギ」、城北麺工社製)100gとを、レトルト容器(「レトルト用無地袋」、秀英堂社製)に充填し、真空シール機を使用してレトルト容器の開口部を密封した。シャワー式レトルト殺菌装置を使用して、加熱殺菌処理し、餅入り食品5を製造した。加圧加熱殺菌処理条件は、100℃設定、最大圧力0.25MPa、装置内の温度が100℃に到達した後20分間加熱した。
【0059】
3-2.pH値の測定
加熱処理済み餅入り食品5を、常温(15℃~25℃)で14日間保存した後、沸騰した水に10分間投入し、レトルト容器を開封した直後の調味液のpH値をpH計(「ラコムテスターpH計」、アズワン社製)によって測定した。結果を表5に示す。
【0060】
3-3.Brix値の測定
加熱処理済み餅入り食品5について、上記1-3に記載の方法と同様の方法で調味液及び加熱処理済み餅入り食品のBrix値を測定した。結果を表5に示す。
【0061】
3-4.強度(弾性荷重)の測定
加熱処理済み餅入り食品5について、上記1-4に記載の方法と同様の方法で餅の破断強度を測定した。結果を表5に示す。
なお、上記で製造した加熱処理済み餅入り食品5で使用した餅と同様の餅100gを、沸騰した水100gの中に投入し、2分間ボイル加熱処理したもの(以下、「通常加熱餅C」ともいう。)の強度は、1.260Nであった。
【0062】
3-5.官能評価
加熱処理済み餅入り食品5について、上記1-5に記載の方法と同様の方法で官能評価を行った。結果を表5に示す。
【0063】
【表5】
【0064】
表5の結果より、加熱処理済み餅入り食品5については、調味液として、デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~52.5%である調味液を使用すれば、調味液の種類や餅の種類、加熱処理方法にかかわらず、餅の強度が通常加熱餅Cと同等であると共に、餅の食感及び外観が維持された餅入り食品が得られることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の一態様の加熱処理済み餅入り食品によれば、餅本来の味を損ねることなく、餅の食感及び外観が維持されるため、新たな加工食品としての付加価値が付与される。
【要約】
本発明の目的は、餅本来の味を損ねることなく、餅の食感及び外観が維持された加熱処理済み餅入り食品及びその製造方法、並びに餅加熱処理用の調味液及びその使用を提供することにある。
上記目的は、調味液と、餅とを含む餅入り食品の加熱処理物であって、前記調味液は、デキストリンを1.0質量%以上20.0質量%未満の割合で含み、かつ、Brix値が26.0%~52.5%である、加熱処理済み餅入り食品によって解決される。