(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】紙幣回収金庫及び紙幣回収金庫を備えた紙幣搬送システム
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20231102BHJP
E05G 1/00 20060101ALI20231102BHJP
G07D 11/16 20190101ALI20231102BHJP
G07D 11/40 20190101ALI20231102BHJP
【FI】
A63F7/02 352F
E05G1/00 Z
G07D11/16
G07D11/40
(21)【出願番号】P 2019034620
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000128946
【氏名又は名称】マミヤ・オーピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】染野 一隆
(72)【発明者】
【氏名】栗原 優輝
【審査官】渡辺 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-334597(JP,A)
【文献】特開平09-091493(JP,A)
【文献】特許第7246074(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
E05G 1/00
G07D 11/16
G07D 11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に同一平面内に形成された開口部を有し、内部に紙幣回収ユニットと
遊技機、台間機、紙幣搬送装置、紙幣回収ユニット等の各機器の動作を制御するコントロールボックスが上下に備えられた箱体と、前記開口部を開閉する開閉扉とを具備した紙幣回収金庫であって、前記紙幣回収ユニットは、該紙幣回収ユニットの前方に紙幣収納部を有し、前記紙幣収納部が前記開口部から前方へ突出して前記箱体から露出するように設置され、前記開閉扉は、閉状態において開口部と正対する前記開閉扉の表面板に、前記開口部から突出した前記紙幣収納部を収容する収容凹部を備えて、前記開口部の下端側で前記箱体の幅方向と平行な軸を介して軸支されていることを特徴とする紙幣回収金庫。
【請求項2】
前記表面板を前方へ膨出させてなる膨出部を有し、前記収容凹部は、膨出によって形成される前記膨出部の裏面側に形成された凹部であることを特徴とする請求項1に記載の紙幣回収金庫。
【請求項3】
遊技場の島に配置される紙幣搬送システムであって、請求項1又は請求項2に記載の紙幣回収金庫及び台間機並びに紙幣搬送装置を少なくとも備えていることを特徴とする紙幣搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される紙幣を回収する紙幣回収金庫及びこの紙幣回収金庫を備えた紙幣搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送される紙幣を回収・収納する紙幣回収金庫は、上下方向の軸を中心として平面視左右方向に開閉する開閉扉を有する箱体に、搬送される紙幣を回収・収納する紙幣回収ユニットやコントロールボックス等が内蔵され、開閉扉を開くことで収納された紙幣の取り出し、紙幣回収ユニットのメンテナンス、コントロールボックスの各種操作等を行うことができる構造のものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図9に示すように、特許文献1に記載された構成のような従来の紙幣回収金庫100は、パチンコ、パチスロ(パチンコ型スロットマシン)等の遊技場Hにおいて、複数台の遊技機Pと台間機S1とで構成される島L1~L3の島端部L10、L20、L30に設置されている。
【0005】
紙幣回収金庫100は、島L1~L3の裏側で台間機S1が接続された紙幣搬送装置S2に接続されており、台間機S1に挿入されて紙幣搬送装置S2によって搬送される紙幣を回収・収納するようになっている。
【0006】
しかしながら、従来の紙幣回収金庫100は、島端部L10、L20、L30から通路H1側に張り出すように設置されるため、設置された島L1~L3の場所の周辺状況によっては、遊技場Hの壁面H2や通路H1の動線の関係で、開閉扉101の開閉方向を左開き又は右開きに変更する面倒な作業を要するという問題があった。
【0007】
また、開閉扉101を開いたときに壁面H2が邪魔になり、開閉扉101を完全に開くことができず、紙幣の取出しや内部の各種メンテナンスや各種操作等が行い難くなってしまうという問題もあった。
【0008】
前述のような問題から、設置された島の場所の周辺状況に係わらず、紙幣の取出しや内部の各種メンテナンス及び各種操作等を行えるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述のような課題を解決するために本発明が採用した手段は、前方に同一平面内に形成された開口部を有し、内部に紙幣回収ユニットと遊技機、台間機、紙幣搬送装置、紙幣回収ユニット等の各機器の動作を制御するコントロールボックスが上下に備えられた箱体と、前記開口部を開閉する開閉扉とを具備した紙幣回収金庫であって、前記紙幣回収ユニットは、該紙幣回収ユニットの前方に紙幣収納部を有し、前記紙幣収納部が前記開口部から前方へ突出して前記箱体から露出するように設置され、前記開閉扉は、閉状態において開口部と正対する前記開閉扉の表面板に、前記開口部から突出した前記紙幣収納部を収容する収容凹部を備えて、前記開口部の下端側で前記箱体の幅方向と平行な軸を介して軸支されていることを特徴とする紙幣回収金庫にしたことである。
【0010】
前記表面板を前方へ膨出させてなる膨出部を有し、前記収容凹部は、膨出によって形成される前記膨出部の裏側に形成された凹部であることが好ましい。
【0011】
遊技場の島に配置される紙幣搬送システムであって、前述の紙幣回収金庫及び台間機並びに紙幣搬送装置を少なくとも備えていることを特徴とする紙幣搬送システムにしたことである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る実施形態の紙幣回収金庫を実施した紙幣搬送システムの配置例を示す概略図である。
【
図2】本発明に係る実施形態の紙幣回収金庫の斜視図である。
【
図3】
図2において開閉扉の全開状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3において紙幣回収ユニットを引き出した状態を示す斜視図である。
【
図6】
図5において開閉扉の全開状態を示す断面図である。
【
図7】
図5において開閉扉の半開き状態での、紙幣回収ユニットの引き出し状態を示す断面図である。
【
図8】
図5において開閉扉の半開き状態での、紙幣回収ユニットの紙幣収納部の位置を示す断面図である。
【
図9】従来の紙幣回収金庫を実施した紙幣搬送システムの配置例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態の紙幣回収金庫Aを
図1~
図8に基づいて説明する。
【0014】
紙幣回収金庫Aは、
図1に示すように、パチンコ、パチスロ等の遊技場Hの島L1~L3の島端部L10~L30に夫々設置されるものであり、島L1~L3の夫々に配置された紙幣搬送システムSの一部を構成するものである。
【0015】
島L1~L3は、複数台の遊技機Pを一定間隔で配置すると共に、遊技機Pに台間機S1を並設して構成され、島L1~L3の裏側には、紙幣搬送装置S2が配置されている。
【0016】
島L1、L3は、遊技機P及び台間機S1が壁面H2に沿って配列され、島L2は、遊技機P及び台間機S1が背中合わせで2列として配列されている。
【0017】
紙幣搬送システムSは、紙幣回収金庫A及び台間機S1並びに紙幣搬送装置S2を備えており、台間機S1に挿入された紙幣bを紙幣搬送装置S2で搬送すると共に、搬送される紙幣bを紙幣回収金庫Aで回収・収納するものである。
【0018】
台間機S1は、紙幣bの挿入を受け入れると共に、挿入された紙幣bを紙幣搬送装置S2に移送する紙幣受入装置、遊技媒体を発行する遊技媒体貸機としての機能を有する。
【0019】
紙幣搬送装置S2は、台間機S1から移送された紙幣bを紙幣回収金庫Aに搬送する機能を有し、遊技機Pの配列方向に沿って配置され、島L1~L3の裏側で台間機S1が接続されていると共に、島端部L10~L30において紙幣回収金庫Aが接続されている。
【0020】
尚、本発明では、紙幣搬送システムSの台間機S1及び紙幣搬送装置S2の構成について限定するものではなく、台間機S1においては、紙幣bの挿入、受け入れ、遊技媒体貸機、遊戯媒体発行を行うことができ、紙幣搬送装置S2においては、台間機S1から移送される紙幣bを紙幣回収金庫Aに搬送できる構造のものであればよい。
【0021】
次に、紙幣回収金庫Aについて説明する。紙幣回収金庫Aは、
図2~
図8に示すように、紙幣搬送装置S2で搬送される紙幣bを回収・収納する紙幣回収ユニットB及びコントロールボックスCが内蔵された箱体1と、箱体1の開口部1aを開閉する開閉扉2とを有している。
【0022】
箱体1は、
図5及び
図6に示すように、後面に挿通口1bが設けられており、島端部L10~L30に対して、挿通口1bが島端部L10~L30に開口された連通口L11~L31と連通するように取り付けられている。
【0023】
挿通口1b及び連通口L11~L31は、紙幣搬送装置S2を紙幣回収ユニットBに対して接続するためのものであり、紙幣搬送装置S2が挿通できるように形成されている。
【0024】
箱体1の内部の前後奥行きは、紙幣回収ユニットBの前方に配置された紙幣収納部B1が開口部1aから前方へ突出して、開口部1aから露出する程度に設定されており、開閉扉2が開いた状態において、紙幣回収ユニットBを前方へ引き出さなくても、紙幣収納部B1に収納された紙幣bの取出しを容易に行えるようになっている。
【0025】
ここで、紙幣回収ユニットBは、紙幣搬送装置S2から移送される紙幣bを受け取り、受け取った紙幣bを紙幣収納部B1へ移送して紙幣収納部B1で収納する機能を有する。
【0026】
このような紙幣回収ユニットBは、
図4~
図6に示すように、箱体1の底部1cに対して、レールRを介して前後方向スライド自在に支持されており、メンテナンス等、必要に応じて箱体1の開口部1aから出し入れできるようになっている。
【0027】
コントロールボックスCは、遊技機P、台間機S1、紙幣搬送装置S2、紙幣回収ユニットB等の各機器の動作を制御する制御部(図示せず)が備えられており、この制御部により、各機器の動作設定、動作状態表示、動作警告等を行うようにされている。
【0028】
コントロールボックスCは、
図5及び
図6に示すように、箱体1に対して、紙幣回収ユニットBの上部、且つコントロールボックスCの前面C1が開口部1aよりもやや後側に位置するように固定されており、
図3及び
図4に示すように、前面C1に表示部C10や操作スイッチC11等が配置されている。
【0029】
開閉扉2は、開口部1aの前方に配置され、開口部1aの下端側で箱体1の幅(左右)方向と平行な軸20により軸支されていると共に、箱体1と開閉扉2とにわたるように軸支された開閉リンク部21によって支持されている。
【0030】
このような開閉扉2は、軸20を中心として回転して開閉動すると共に、開閉リンク部21によって、開閉扉2の開度が箱体1の上下方向に対して90度の位置(全開、
図6参照)で支持され、全開位置において紙幣収納部B1及び引き出された紙幣回収ユニットBの直下に位置する。
【0031】
開閉扉2は、
図3、
図4、
図6に示すように、基本的には、全閉(0度、
図5参照)状態と全開(90度、
図6参照)状態とにわたるように開閉動するようにした構成であるが、
図7に示すように、周辺状況によって全開状態にできない場合にも、半開き状態で紙幣回収ユニットBの引き出しや紙幣bの取出しが可能であり、
図8に示すように、防犯のために半開き状態で紙幣bの取出しが可能である。
【0032】
開閉扉2の開閉動については、全閉と全開との開閉途中での設定された位置、或いは任意の位置で、開閉扉2の半開き状態を保持できると共に、保持解除できるようにした構成(例えば、
図7や
図8に示す程度の半開き状態)としてもよい(図示せず)。
【0033】
開閉扉2の半開き状態を保持できる構成の場合、開閉扉2の半開き状態において、紙幣回収ユニットBをメンテナンスができる程度に引き出せる開度であることが好ましい(例えば、
図7に示す程度の開度)。
【0034】
また、半開きの状態において、少なくとも、紙幣収納部B1から紙幣bを取り出せることができる開度であることが好ましい(例えば、
図8に示す程度の開度)。
【0035】
尚、開閉扉2の半開き状態を保持及び保持解除する構造については、限定されるものではない。
【0036】
開閉扉2は、
図5に示すように、閉状態において開口部1aと対向する表面板2aの紙幣回収ユニットB側の半部に、開口部1aから望む紙幣回収ユニットBと正対すると共に、前方へ膨出するように形成された膨出部2bと、膨出部2bの上方であり、コントロールボックスC側の半部に、コントロールボックスCの前面C1と正対するように設けられた上面部2cと、上面部2cに表示部C10と正対するように配置された確認窓20cと、上面部2cに設けられた施錠部21cとを有している。
【0037】
膨出部2bは、膨出させたことによって表面板2aの裏側(開口部1a側)に形成される凹部が収容凹部20bとして確保されており、収容凹部20bの上下長及び左右幅が、紙幣回収ユニットBの上下長及び左右幅よりも大きく、且つ収容凹部20bの前後奥行きが、開口部1aから突出する紙幣収納部B1の突出長よりも大きく設定されている。
【0038】
すなわち、前述のように大きさにした収容凹部20bを有する膨出部2bは、
図5に示すように、収容凹部20bが開閉扉2の閉状態での開口部1aから突出した紙幣収納部B1を収容する空間として機能し、大きさの異なる紙幣回収ユニットBに対しても、開口部1aから突出した紙幣収納部B1を収容することができる。
【0039】
上面部2cは、膨出部2bの上方側に段差21bを介して、コントロールボックスCの前面C1と正対して近接するように設けられており、確認窓20cから表示部C10が視認できるようにされている。
【0040】
確認窓20cは、透明な板材によって塞がれており、開閉扉2の外側から表示部C10を視認できると共に、開閉扉2を開かない限り、外側から手が入らないようにされている。施錠部21cは、鍵(図示せず)によって、開閉扉2の施錠・開錠が行われる。
【0041】
このような紙幣回収金庫Aによると、開閉扉2に前述した構成とする膨出部2bが形成され、開閉扉2の開閉方向が左右の軸を中心とする上下方向の回転方向であるので、開閉扉2の開閉方向の変更作業をすることなく、しかも、開閉扉2が完全に開かれていない状態でも、紙幣bの取出しや紙幣回収ユニットBやコントロールボックスCの各種メンテナンスや各種操作等が行えるように設置できる。
【0042】
また、開状態での開閉扉2が、紙幣収納部B1の直下、且つ引き出された紙幣回収ユニットBの直下に位置しているため、紙幣回収ユニットBの左右側面が開放されるので、紙幣bの取出しや紙幣回収ユニットBのメンテナンスが行いやすく、しかも、紙幣bや部品を落としたりしても、開閉扉2で受け止めることができる。
【0043】
また、紙幣収納部B1が開口部1aから前方へ突出しているため、開閉扉2が半開き状態でも、紙幣収納部B1から紙幣bを取り出すことができるので、紙幣bの回収作業時の防犯及び作業効率向上が期待できる。
【0044】
また、確認窓20cが表示部C10に近接しているので、外部からの表示部C10に対する視認性向上が期待できる。
【0045】
そして、このようなを備えた紙幣搬送システムSによると、遊技場Hに設置された島L1~L3の場所の周辺状況に係わらず、紙幣の取出しや内部の各種メンテナンス及び各種操作等を行うことができるように設置でき、これによって、島L1~L3のレイアウト等に関する設計自由度を高めることができる。
【0046】
収容凹部20bは、少なくとも突出した開口部1aから突出した紙幣収納部B1を収容することができる大きさであればよい(図示せず)。
【0047】
また、収容凹部20bは、開閉扉2を裏側の奥行を紙幣収納部B1を収容可能な長さとした箱体状に形成することで、開閉扉2を裏側の全域を収容凹部20bとするようにしてもよく、これにより、開閉扉2に膨出部2bを設けずに収容凹部20b確保することができると共に、段差のない開閉扉2とすることができる(図示せず)。
【0048】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0049】
また、前述の各実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
A:紙幣回収金庫
B:紙幣回収ユニット
B1:紙幣収納部
1:箱体
1a:開口部
2:開閉扉
20:軸
20b:収容凹部
2a:表面板
2b:膨出部
H:遊技場
L1:島
L2:島
L3:島
S:紙幣搬送システム
S1:台間機
S2:紙幣搬送装置