(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】計測装置及びプローブユニット
(51)【国際特許分類】
G01K 1/14 20210101AFI20231102BHJP
G01K 7/02 20210101ALI20231102BHJP
G01H 1/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G01K1/14 Z
G01K7/02 Q
G01H1/00 G
(21)【出願番号】P 2021171648
(22)【出願日】2021-10-20
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2020177363
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-124628(JP,U)
【文献】特開2017-032378(JP,A)
【文献】実開平01-067536(JP,U)
【文献】特開平10-227700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
G01H 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測用プローブを備え、当該計測用プローブを計測対象物に押し当ててその状態を検出する計測装置であって、
前記計測用プローブは、前記計測対象物の振動の強度を検出するための振動プローブと、前記計測対象物の表面温度を検出するための温度プローブと、を備え、
前記振動プローブは、筒状の振動入力部を先端に備えた振動プローブ本体と、前記振動入力部に入力される振動の強度に応じた信号を出力する振動センサとを含み、
前記振動プローブ本体は、前記振動入力部と、その基端部に繋がる台座部とを含み、
前記振動センサは、前記台座部における反振動入力部側の位置に固定され、
前記温度プローブは、前記振動プローブ本体の前記振動入力部の内側
で前記台座部に支持されることにより、前記振動入力部に非接触の状態で当該振動入力部の内側に配置されている、ことを特徴とする計測装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の計測装置において、
前記振動入力部は、軸方向にらせん状に延在する第1ねじ部を備えた金属製のパイプからなり、
前記台座部は、第1ねじ部が螺合可能な第2ねじ部と、当該第2ねじ部が延在する方向と交差する面からなる当接面とを備え
前記第1ねじ部が前記第2ねじ部に螺合され、かつ前記振動入力部の末端が前記当接面に突き当てられた状態で、前記台座部に振動入力部が固定されている、ことを特徴とする計測装置。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の計測装置において、
前記温度プローブは熱電対を備える、ことを特徴とする計測装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の計測装置において、
前記温度プローブは、前記振動プローブの軸方向に延びる筒状のハウジングと、先端側に出没可能となるように前記ハウジング内に配置される金属製の接触板と、当該接触板を先端側に向かって弾性的に付勢する付勢部材と、をさらに含み、
前記熱電対は、前記ハウジング内に配置されて互いに異なる材質の金属線から形成された第1、第2の熱電対素線を含み、かつこれら第1、第2の熱電対素線の先端が共に前記接触板の同じ位置に接合されることにより当該接触板により測温接点が形成されている、ことを特徴とする計測装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の計測装置において、
前記振動プローブ本体の振動入力部の先端と、前記温度プローブのハウジングの先端とが面一に設けられている、ことを特徴とする計測装置。
【請求項6】
請求項1乃至
5に記載の計測装置において、
前記振動プローブにより検出される計測対象物の振動強度および前記温度プローブにより検出される計測対象物の表面温度を示す信号を無線又は有線で外部機器に送信可能な制御装置と、
前記制御装置が収容されるケーシングと、をさらに備え、
前記計測用プローブは、少なくとも前記振動入力部を前記ケーシングから突出させた状態で当該ケーシングに保持されている、ことを特徴とする計測装置。
【請求項7】
計測対象物の振動の強度を検出するための振動プローブと、前記計測対象物の表面温度を検出するための温度プローブと、を備え、
前記振動プローブは、筒状の振動入力部を先端に備えた振動プローブ本体と、前記振動入力部に入力される振動の強度に応じた信号を出力する振動センサとを含み、
前記振動プローブ本体は、前記振動入力部と、その基端部に繋がる台座部とを含み、
前記振動センサは、前記台座部における反振動入力部側の位置に固定され、
前記温度プローブは、前記振動プローブ本体の前記振動入力部の内側
で前記台座部に支持されることにより、前記振動入力部に非接触の状態で当該振動入力部の内側に配置されている、ことを特徴とするプローブユニット。
【請求項8】
請求項
7に記載のプローブユニットにおいて、
前記振動入力部は、軸方向にらせん状に延在する第1ねじ部を備えた金属製のパイプからなり、
前記台座部は、第1ねじ部が螺合可能な第2ねじ部と、当該第2ねじ部が延在する方向と交差する面からなる当接面とを備え
前記第1ねじ部が前記第2ねじ部に螺合され、かつ前記振動入力部の末端が前記当接面に突き当てられた状態で、前記台座部に振動入力部が固定されている、ことを特徴とするプローブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気や復水が流れるスチームトラップや配管等の計測対象物に計測用プローブを押し当てて計測対象物の振動の強度および表面温度を同時に検出する計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気が流通する配管設備から復水(ドレン)のみを排出する用途に用いられるスチームトラップが知られている。また、当該スチームトラップの振動の強度及び表面温度を計測し、それらの相互関係から蒸気漏れの有無を診断することが行われている。上記計測装置は、このような診断に際して、スチームトラップの振動の強度及び表面温度を計測する際に用いられる。
【0003】
上記計測装置の一例として、例えば特許文献1に開示されるような計測装置(接触型検査器)が公知である。この計測装置は、計測対象物の振動の強度を検出する振動検出針と、この振動検出針が挿通される円環状の熱電対とを備えている。計測時には、振動検出針の先端と熱電対の接触面(計測対象物側の平面)の双方を計測対象物に接触させる。これにより計測対象物の振動強度と表面温度とを同時に検出することができる。
【0004】
なお、特許文献1に明示的な記載は見られないが、前記熱電対は、具体的には、
図8に示すような構成を有すると推測される。すなわち、熱電対100は、互いに異なる材質の金属線からなる二本の熱電対素線112、113を有し、これら熱電対素線112、113の各々一端が、開口部110aを中心に備えた円環状の金属板110の両端(径方向の両端)に接続され、各熱電対素線112、113の各々他端が温度検出用の電気回路等に接続されていると推測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スチームトラップの蒸気漏れのように、その振動強度と表面温度との相互関係から蒸気漏れを診断するような場合には、振動検出針の軸心上で計測対象物の表面温度を計測するのが精度上、理想的と考えられる。しかし、上記の通り、従来の計測装置は、振動検出針120の周囲に熱電対100(金属板110)が配置される構成であり、振動検出針120の軸心上で表面温度を検出することは困難である。
【0007】
また、金属板110は、熱電対100を構成する閉回路中に介在する中間金属と言うことができる。この場合、金属板110における各熱電対素線112、113の接続位置P1、P2と前記接触面(計測対象物との接面)との間に温度差がなければ、熱電対の中間金属の法則により金属板110の存在は無視できる。しかし、各熱電対素線112、113の接続位置P1、P2と前記接触面との間には当然に温度差が生じるため、中間金属の法則は厳密には成立しないと考えられる。この場合、熱電対100を構成する閉回路に流れる電流値は、中間金属(金属板110)の影響を受けることとなるため、従来の計測装置では、計測対象物の温度を正確に検出することは難しいと考えられる。
【0008】
また、振動検出針120及び熱電対100、すなわち計測用プローブは、配管設備等における狭所での作業性を考慮するとコンパクト(細径)であるのが望ましい。しかし、振動検出針120の周囲に金属板110(熱電対100)が配置される上記従来の計測装置では、必要強度を確保すべく寸法設定された振動検出針120を設けた上で、さらにその周囲に金属板110を設ける必要があるため計測用プローブのコンパクト化(細径化)が難しい。
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、計測対象物の振動強度及び表面温度をより精度良く検出することを可能としながら、計測用プローブのコンパクト化に寄与し得る計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来の計測装置は、上記の通り、振動検出針を中心としてその周囲に熱電対が配置されている。これは、従来から、振動強度の正確な検出には中実の振動検出針を用いるのが設計上の常識とされてきたことによる。本願の出願人は、この点に着目して鋭意検討を重ねた結果、筒状の部分を有する振動検出針によっても中実の振動検出針と遜色なく振動強度の検出が可能で、さらに、材質に応じた適切な形状選定を行うことで、所望の共振周波数を達成しながら細径化が可能との知見を得た。そして、上記課題に鑑み、次のような計測装置を発明するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の一の局面に係る計測装置は、計測用プローブを備え、当該計測用プローブを計測対象物に押し当ててその状態を検出する計測装置であって、前記計測用プローブは、前記計測対象物の振動の強度を検出するための振動プローブと、前記計測対象物の表面温度を検出するための温度プローブと、を備え、前記振動プローブは、筒状の振動入力部を先端に備えた振動プローブ本体と、前記振動入力部に入力される振動の強度に応じた信号を出力する振動センサとを含み、前記振動プローブ本体は、前記振動入力部と、その基端部に繋がる台座部とを含み、前記振動センサは、前記台座部における反振動入力部側の位置に固定され、前記温度プローブは、前記振動プローブ本体の前記振動入力部の内側で前記台座部に支持されることにより、前記振動入力部に非接触の状態で当該振動入力部の内側に配置されているものである。
【0012】
この計測装置によれば、計測用プローブの先端を計測対象物の表面に押し付けることにより、当該計測対象物の振動の強度と表面温度とを同時に検出することが可能となる。しかも、上記計測装置によれば、振動プローブの振動入力部が筒状に形成され、この振動入力部の内側に温度プローブが配置されるため、振動プローブ(振動入力部)の軸心上で計測対象物の表面温度を検出することが可能となる。また、温度プローブが例えば熱電対を備える場合には、熱電対を構成する二本の熱電対素線の先端を振動入力部の内側の空間で直接接合して当該接合部分を測温接点とすることができる。そのため、上記計測装置によれば、従来のような金属板(「中間金属の法則」に則しない金属)を温度プローブに設ける必要がなく、これにより当該金属板による検出温度への影響を排除できる分、検出温度の信頼性が向上する。
【0013】
また、振動プローブの周囲に上記金属板を備える必要が無くなる分、計測用プローブの細径化に寄与するものとなる。従って、上記計測装置によれば、計測対象物の振動強度及び表面温度をより精度良く検出することを可能としながら、計測用プローブのコンパクト化に寄与し得る計測装置を提供できると言える。
【0015】
また、振動入力部に入力される振動を、温度プローブを経由することなく振動センサに伝達させることが可能となる。そのため、振動入力部の内側に温度プローブを配置しながらも、計測対象物の振動強度を、温度プローブの影響を殆ど受けることなく精度良く検出することが可能となる。
【0018】
この場合にはさらに、前記振動入力部は、軸方向にらせん状に延在する第1ねじ部を備えた金属製パイプからなり、前記台座部は、第1ねじ部が螺合可能な第2ねじ部と、当該第2ねじ部が延在する方向と交差する面からなる当接面とを備え、前記第1ねじ部が前記第2ねじ部に螺合され、かつ前記振動入力部の末端が前記当接面に突き当てられた状態で、前記台座部に振動入力部が固定されているのが好適である。
【0019】
この構成によれば、振動プローブ本体を振動入力部(金属製パイプ)と台座部とで構成しながらも、振動入力部の端面と台座部(当接面)とを難なく密接させた状態で組み立てることが可能となる。そのため、計測用プローブの組立性向上に寄与する。
【0020】
なお、上記の通り、温度プローブは熱電対を備えるものであってもよい。但し、温度プローブは、サーミスタ等の熱電対以外の温度検出用のデバイスを備えるものであってもよい。
【0021】
温度プローブが熱電対を備える場合、計測装置は、例えば次のような構成を有する。すなわち、前記温度プローブは、前記振動プローブの軸方向に延びる筒状のハウジングと、先端側に出没可能となるように前記ハウジング内に配置される金属製の接触板と、当該接触板を先端側に向かって弾性的に付勢する付勢部材と、をさらに含み、前記熱電対は、前記ハウジング内に配置されて互いに異なる材質の金属線から形成された第1、第2の熱電対素線を含み、かつこれら第1、第2の熱電対素線の先端が共に前記接触板の同じ位置に接合されることにより当該接触板により測温接点が形成されている。
【0022】
この構成では、温度プローブの接触板を計測対象物に押し当てることで、当該計測対象物の表面温度を検出することが可能となる。この場合、接触板は付勢部材により弾性的に付勢されているため、接触板を計測対象物に押し当てると当該接触板が押し戻されて、付勢部材の弾発力によって接触板が計測対象物に押し当てられる。そのため、上記計測装置によれば、計測対象物に対して接触板(温度プローブ)を安定的に押し当てた状態で、計測対象物の表面温度を検出することが可能となる。
【0023】
この場合、前記振動プローブ本体の振動入力部の先端と、前記温度プローブのハウジングの先端とが面一に設けられているのが好適である。
【0024】
つまり、接触板は、振動プローブの振動入力部から先端側に突出した位置に配置される。この構成によれば、振動プローブの先端(振動入力部の先端)を計測対象物に押し当てると、これに伴い温度プローブの接触板が、付勢部材の付勢力に抗して突出位置から没入位置に押し戻される。そのため、振動プローブの先端を計測対象物に押し当てることで、温度プローブを自ずと計測対象物に押し当てることが可能となる。
【0025】
なお、上記計測装置は、前記振動プローブにより検出される計測対象物の振動強度および前記温度プローブにより検出される計測対象物の表面温度を示す信号を無線又は有線で外部機器に送信可能な制御装置と、前記制御装置が収容されるケーシングと、をさらに備え、前記計測用プローブは、少なくとも前記振動入力部を前記ケーシングから突出させた状態で当該ケーシングに保持されているものであってもよい。
【0026】
このような構成によれば、計測装置を携帯して計測対象物の振動強度および表面温度を計測しながら、その結果を当該計測対象物から離れた診断装置等の外部機器へ送信することが可能となる。
【0027】
一方、本発明の一の局面に係るプローブユニットは、上記計測装置の計測用プローブとして用いられるプローブユニットである。このプローブユニットは、計測対象物の振動の強度を検出するための振動プローブと、前記計測対象物の表面温度を検出するための温度プローブと、を備え、前記振動プローブは、筒状の振動入力部を先端に備えた振動プローブ本体と、前記振動入力部に入力される振動の強度に応じた信号を出力する振動センサとを含み、前記振動プローブ本体は、前記振動入力部と、その基端部に繋がる台座部とを含み、前記振動センサは、前記台座部における反振動入力部側の位置に固定され、前記温度プローブは、前記振動プローブ本体の前記振動入力部の内側で前記台座部に支持されることにより、前記振動入力部に非接触の状態で当該振動入力部の内側に配置されている。
【0028】
このプローブユニットによれば、上記計測装置の生産性の向上に有用なものとなる。
【0031】
この場合にはさらに、前記振動入力部は、軸方向にらせん状に延在する第1ねじ部を備えた金属製のパイプからなり、前記台座部は、第1ねじ部が螺合可能な第2ねじ部と、当該第2ねじ部が延在する方向と交差する面からなる当接面とを備え、前記第1ねじ部が前記第2ねじ部に螺合され、かつ前記振動入力部の末端が前記当接面に突き当てられた状態で、前記台座部に振動入力部が固定されているのが好適である。
【0032】
この構成によれば、振動プローブ本体を振動入力部(金属製パイプ)と台座部とで構成しながらも、振動入力部の端面と台座部(当接面)とを難なく密接させた状態で組み立てることが可能となる。そのため、プローブユニットの組立性向上に寄与する。
【発明の効果】
【0033】
以上説明した、本発明によれば、計測対象物の振動強度及び表面温度をより精度良く検出することを可能としながら、計測用プローブのコンパクト化に寄与し得る計測装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明に係る計測装置の一例を示す正面図である。
【
図2】計測用プローブ(第1実施形態)の断面図(
図1のII-II線断面図)である。
【
図4】温度プローブの配線構造を示すプローブの要部断面図(
図2のIV-IV線断面図)である。
【
図5】計測時の状態を示す計測用プローブの断面図である。
【
図6】計測用プローブ(第2実施形態)の断面図(
図2に対応する断面図)である。
【
図8】従来の計測装置における熱電対の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0036】
[計測装置の全体構成]
図1は、本発明に係る計測装置の一例を示す正面図である。同図に示す計測装置は、蒸気や復水(ドレン)が流れるスチームトラップや配管等の計測対象物の状態を検出し、その結果を図外の診断装置(本発明の「外部機器」の一例)に無線送信するものである。当例では、計測装置は、計測対象物の振動の強度及び表面温度を計測する。
【0037】
なお、以下の計測装置1の説明で用いる方向や配置は、特に言及する場合を除き、
図1に示す計測装置1の状態(姿勢)を基準とする。
【0038】
図1に示すように、計測装置1は、上下方向に細長くかつ前後方向(紙面に直交する方向)に扁平な直方体状の本体部2と、本体部2の上端部から上向きに延びる棒状の計測用プローブ4とを備える。本体部2は、計測時に把持する部分であり、作業者は、本体部2を把持した状態で、計測用プローブ4の先端を計測対象物の表面に押し当てることで、計測対象物の振動の強度及び表面温度を計測することが可能となる。なお、本体部2は、以下に説明する通り、計測装置1における各種情報表示やコマンド入力等の操作を行う部分でもある。
【0039】
本体部2は、その外郭を形成する、耐熱性プラスチック等からなるケーシング10を有する。本体部2(すなわちケーシング10)の前面には、操作部11と表示部12とが設けられている。表示部12は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)で構成されており、計測結果(振動強度、表面温度)や、当該計測結果に基づく診断装置の診断結果などの各種情報が表示される。
【0040】
操作部11は、表示部12の下側に設けられている。操作部11には、各々メンブレンスイッチやメカニカルスイッチにより構成される、複数の操作スイッチが設けられている。例えば計測装置1の電源のオンオフを行うための電源スイッチ14a、データ表示の送り/戻しを行うためのスクロールスイッチ14b、及び各種コマンドを実行するための複
数のコマンドスイッチ14c等が設けられている。
【0041】
なお、本体部2の内部には、コントローラ16(本発明の「制御装置」に相当する)が備えられている。コントローラ16は、CPU、RAM、ROM等から構成されたマイクロプロセッサと、周辺回路とを備えて構成されている。コントローラ16は、計測結果を表示部12に表示させるとともに、当該計測結果を診断装置に無線送信する機能を有する。また、コントローラ16は、診断装置から送信される診断結果を受信するとともに、当該診断結果を表示部12に表示させる機能も有する。
【0042】
[計測用プローブ(第1実施形態)の構成]
図2は、計測用プローブ4の断面図(
図1のII-II線断面図)であり、
図3は、計測用プローブ4をその先端側から見た平面図であり、
図4は、計測用プローブ4の要部(基端部)の断面図(
図2のIV-IV線断面図)である。
図2、
図4は、便宜上、計測用プローブ4を横向きに図示しており、同図では、左側が
図1の上側(計測用プローブ4の先端側)である。後記
図5も同様である。
【0043】
計測用プローブ4は、計測対象物の振動の強度を計測するための振動プローブ5と、計測対象物の表面温度を計測するための温度プローブ6とを含む。振動プローブ5は、計測対象物からの振動が入力される振動プローブ本体20と、振動プローブ本体20に入力された振動の強度に応じた信号を出力する振動センサ26とを含む。
【0044】
振動プローブ本体20は、上下方向(
図2では左右方向)に延びる断面円環状の金属製パイプ、具体的にはステンレス製のパイプからなる振動入力部22と、この振動入力部22の下端部(基端部)に繋がる台座部24とを含む。
【0045】
台座部24は、複数の異径部分が軸方向に並んだ金属製の段付き円柱体である。具体的には、台座部24は、下側から順に大径部24a、中径部24b及び小径部24cの3つの異径部分を備える。台座部24は、振動入力部22と同じ金属材料(ステンレス)で構成されている。
【0046】
振動入力部22を構成する金属製パイプの内径は、台座部24の中径部24bの外径と同等、又はそれよりも若干大きく設定されている。当該パイプは、台座部24の中径部24bに外嵌され、大径部24aの上面に突き当てられた状態で、外側からボルトB2で台座部24に固定されている。詳しくは、パイプの壁部に、その厚み方向に貫通する貫通孔が形成されるとともに、台座部24の中径部24bに、その径方向に延びるねじ孔が形成されている。そして、貫通孔を通じてパイプの外側からボルトB2が中径部24bのねじ孔に螺合挿入されている。これにより、円筒状の振動入力部22を先端に備えた前記振動プローブ本体20が構成されている。
【0047】
振動センサ26は、圧電素子として圧電型セラミックが使用された圧電型加速度センサからなる。振動センサ26は、
図2に示すように、台座部24の下面、すなわち台座部24のうち反振動入力部22側の位置に配置されている。振動センサ26は、台座部24の下面中央部に、下側からボルトB1で固定されている。これにより、振動プローブ本体20が振動すると、その振動強度に対応した電気信号が図外の電線を通じて振動センサ26から上記コントローラ16に出力される。
【0048】
温度プローブ6は、
図2及び
図3に示すように、振動プローブ本体20における振動入力部22の内側に配置されている。詳しくは、温度プローブ6は、振動入力部22の中心部に、当該振動入力部22の内周面に対して非接触の状態で配置されている。
【0049】
温度プローブ6は、熱電対32を備えて構成されている。具体的には、温度プローブ6は、振動入力部22に沿ってその軸方向に延びる円筒状のハウジング30と、出没可能となるように当該ハウジング30の先端に配置される接触板34と、ハウジング30内に配置されて、接触板34を先端側に向かって弾性的に付勢するコイルスプリング等の図外の付勢部材と、ハウジング30の内側の空間に配置される前記熱電対32と、ハウジング30内で熱電対32を保持するための部材等とを含む。ハウジング30及び接触板34は、同一の又は互いに異なる金属材料で構成されている。
【0050】
ハウジング30の内径は、振動プローブ本体20における台座部24の小径部24cの外径と同等、又はそれよりも若干大きく設定されている。ハウジング30は、台座部24の小径部24cに外嵌され、中径部24bの上面に突き当てられた状態で、外側からボルトB3で台座部24に固定されている。詳しくは、ハウジング30の壁部に、その厚み方向に貫通する貫通孔が形成されるとともに、台座部24の小径部24cにその径方向に延びるねじ孔が形成されている。そして、貫通孔を通じてハウジング30の外側からボルトB3が小径部24cのねじ孔に螺合挿入されている。これにより、温度プローブ6は、振動入力部22の中心部に、当該振動入力部22の内周面との間に一定の隙間Sを隔てた状態(振動入力部22に対して非接触の状態)で、振動プローブ本体20に対して一体に組付けられている。
【0051】
図2に示すように、上下方向(
図2では左右方向)において、ハウジング30の先端は、振動入力部22の先端と面一に設けられている。従って、接触板34は、前記付勢部材の付勢力によって、その上端面(
図2では左端面)が振動入力部22及びハウジング30の端面から上方(
図2では左方)に飛び出した突出位置に配置されている。
【0052】
熱電対32は、互いに異なる材質の金属線で構成された二本の熱電対素線32a、32bを備えている。例えば、一方の熱電対素線32aはクロメル線で、他方の熱電対素線32bはアルメル線で構成されている。各熱電対素線32aは、ガラス繊維やフッ素樹脂等の被覆材によって被覆されている。
【0053】
各熱電対素線32a、32bの一端(先端)は、接触板34の下面(
図2では右面)の同じ位置に接合されている。具体的には、各熱電対素線32a、32bの一端は、共に接触板34の下面中心部に溶接されている(符号33は溶接部分を示す)。これにより、当該接触板34によって熱電対32の測温接点が構成されている。上記の通り、温度プローブ6は、振動入力部22の中心部に配置されており、従って、熱電対32の測温接点は、振動入力部22の中心部、すなわち振動プローブ5の軸心上に配置されていると言える。
【0054】
図2及び
図4に示すように、各熱電対素線32a、32bは、ハウジング30に沿って配索されている。各熱電対素線32a、32bの他端は、振動プローブ本体20の台座部24に形成されたスリット状の溝部25を通じて振動プローブ5の外側に導出され、前記コントローラ16の温度計測回路に接続されている。
【0055】
計測用プローブ4は、例えば、
図1及び
図2に示すように、その基端部、すなわち振動プローブ本体20の台座部24に対応する部分がケーシング10に形成された図外の保持部に保持され、当該台座部24よりも先端側の部分がケーシング10の上面から上向きに突出する状態で、当該ケーシング10に組み込まれている。
【0056】
なお、計測用プローブ4は、上述の通り、振動プローブ5と温度プローブ6とが一体に組付けられたユニット構造を有しており、計測装置1の製造時やメンテナンス時には、振動プローブ5及び温度プローブ6を含む計測用プローブ4の全体が一つのユニット(本発明の「プローブユニット」に相当する)として取り扱われる。
【0057】
[作用効果]
計測装置1を用いて計測対象物の振動強度および表面温度を計測するには、電源スイッチ14aをオンし、例えば、コマンドスイッチ14cを操作して計測開始コマンドを実行した状態で、
図5に示すように、計測対象物の表面Fに対してその垂直方向に沿って計測用プローブ4の先端を押し当てる。なお、
図5は、計測時の状態を示す計測用プローブ4の断面図である。
【0058】
これにより、振動プローブ5の先端、すなわち振動入力部22の先端を計測対象物の表面Fに押し当てるとともに、温度プローブ6の先端、すなわち、熱電対32の測温接点である接触板34を計測対象物の表面Fに押し立てる。この状態を規定時間(数秒)保つことにより、計測対象物の振動強度と表面温度とを同時に計測することができる。
【0059】
この場合、上記計測装置1では、振動プローブ5における振動入力部22の先端と、温度プローブ6のハウジング30の先端とが面一に設けられた上で、接触板34がハウジング30の先端に出没可能に設けられて付勢部材による弾発力により突出位置に付勢されている。そのため、振動プローブ5(振動入力部22)の先端を計測対象物の表面Fに押し立てると、
図5に示すように、温度プローブ6の接触板34が突出位置から没入位置(同図に示す位置)に押し戻され、付勢部材の弾発力によって接触板34が自ずと計測対象物の表面Fに押し付けられる。従って、計測用プローブ4を計測対象物に押し当てることで、振動プローブ5及び温度プローブ6の双方を確実に計測対象物の表面Fに押し当てることができる。
【0060】
なお、上記計測装置1では、振動プローブ5の先端に筒状の振動入力部22が設けられ、この振動入力部22の内側、具体的には、振動入力部22の中心部に温度プローブ6が配置されている。つまり、この構成によれば、振動プローブ5により計測対象物の振動強度を計測しながら、当該振動プローブ5の軸心上の位置で計測対象物の表面温度を計測することができる。そのため、スチームトラップの蒸気漏れ等の診断のように、計測対象物の振動強度と表面温度との相互関係に基づいて計測対象物を診断するような場合には、その診断結果の信頼性向上に寄与すると言える。
【0061】
また、上記計測装置1では、温度プローブ6の熱電対32を構成する二本の熱電対素線32a、32bの先端が共に接触板34の中心部に接合され、当該接触板34によって熱電対32の測温接点が構成されている。つまり、熱電対32には、従来の熱電対(
図8参照)のような、「中間金属の法則」に則しない金属部材は存在せず、当該金属部材によって計測結果が影響を受けることが無い。従って、上記計測装置1によれば、計測対象物の表面温度をより精度良く計測することが可能となる。
【0062】
また、上記計測装置1では、振動プローブ5の振動入力部22に対して温度プローブ6が非接触の状態で振動プローブ本体20に組付けられている。このような構成によると、計測対象物の振動は、
図5中に矢印で示すように、振動入力部22から台座部24を伝って振動センサ26に伝達されるため、振動入力部22に入力される振動が温度プローブ6を経由することが殆ど無い。従って、振動センサ26に入力される振動は、温度プローブ6の影響を殆ど受けることが無い。そのため、上記計測装置1によれば、振動プローブ5の軸心上に温度プローブ6を配置しながらも、当該温度プローブ6の影響を受けることなく、計測対象物の振動強度を精度良く計測することが可能となる。
【0063】
また、上記計測装置1では、振動プローブ5の振動入力部22が筒状であるが、上記の通り、当該振動入力部22はステンレス製のパイプで構成されるため、その径を比較的細くした場合でも計測時に必要な強度を十分に確保することが可能である。そして、上記計測装置1によれば、当該振動プローブ5の内側の空間に温度プローブ6が配置されるため、振動検出針の周囲に熱電対が配置される従来の計測装置と比較すると、計測用プローブ4全体を細径化することが可能となる。従って、この計測装置1によると、計測用プローブ4のコンパクト化(細径化)に寄与し得ると言える。
【0064】
[計測用プローブの第2実施形態]
次に、計測用プローブ4の第2実施形態について説明する。
図6は、計測用プローブ4(第2実施形態)の断面図であり、
図7は、計測用プローブ4の要部分解斜視図である。なお、
図6は、
図2に対応する断面を示しており、同図中の温度プローブ6については、ハウジング30及び接触板34のみを図示している。また、台座部24のうち振動センサ26が固定される部分(大径部24a)は、
図7に示すように矩形であるが、以下の説明では、便宜上、第1実施形態と同様に大径部24aと称する。
【0065】
第2実施形態に係る計測用プローブ4の基本的な構成は、第1実施形態の計測用プローブ4と共通するが、以下の点で第1実施形態の計測用プローブ4と相違する。
【0066】
第1実施形態では、
図2に示したように、振動入力部22を構成する金属製パイプ(以下、便宜上パイプ22と称する場合がある)は、台座部24の中径部24bに外嵌されてボルトB2で台座部24に固定されている。これに対して、第2実施形態では、
図6及び
図7に示すように、パイプ22は、それ自体が台座部24に対して螺合されている。詳しくは、台座部24における中径部24bにその軸方向にらせん状に延びる雄ねじ部241(本発明の「第2ねじ部」に相当する)が形成される一方、パイプ22の下端部分の内周面に雌ねじ部221(本発明の「第1ねじ部」に相当する)が形成されている。パイプ22は、その内側に温度プローブ6が挿入されかつパイプ端面(下端面)が大径部24aの上面(本発明の「当接面」に相当する)に突き当たるように、つまり隙間無く密接するように中径部24bに対して螺合されている。なお、大径部24aの上面は、台座部24の中心軸と直交する平坦面で形成されている。
【0067】
パイプ22のうち、台座部24の小径部24cに対向する領域には、径方向に向かい合わせに延びる一対のねじ孔22aが形成されており、各ねじ孔22aに、六角穴付き止めねじB4(いわゆるイモねじ/以下単に止めねじB4と称す)が螺合挿入されている。各ねじ孔22aは、パイプ22の壁部をその厚み方向に貫通しており、止めねじB4は、ねじ孔22aを通じて温度プローブ6のハウジング30外周面に押し当てられている。これにより、パイプ22がハウジング30を介して台座部24に対して回り止めされている。
【0068】
なお、温度プローブ6のハウジング30は、ねじ孔22aに螺合挿入された止めねじB4により外側から押圧されており、これによって台座部24(小径部24c)に対して実質的に締結されている。つまり、第2実施形態では、第1実施形態のようなハウジング30を固定するための専用のボルトB3は設けられておらず、ハウジング30は、パイプ22の回り止め用の止めねじB4を共用して台座部24に固定されている。
【0069】
以上のような第2実施形態の計測用プローブ4によれば、以下の点で、第1実施形態の計測用プローブ4に比して有利と言える。すなわち、計測用プローブ4においては、台座部24の大径部24aと振動入力部22とが密接していないと(隙間があると)、計測される振動強度に誤差が生じて計測精度が低下する。ここで、第1実施形態の計測用プローブ4では、パイプ22の壁部に形成された貫通孔を通じて、当該パイプの径方向外側から中径部24bのねじ孔にボルトB2が螺合挿入されることで、パイプ22が台座部24に固定されている。この構成の場合には、貫通孔の遊び(貫通孔の内径とボルト軸部の外径との差)の範囲内で、台座部24に対してパイプ22が変位し得るため、台座部24(大径部24a)とパイプ下端面との間に隙間が形成されないように注意を払って計測用プローブ4を組み立てることが求められる。
【0070】
これに対して、第2実施形態の計測用プローブ4では、パイプ22自体が中径部24bに対して螺合される構成であるため、パイプ22の端面が大径部24aに突き当たる位置まで、つまり、回転しなくなる位置までパイプ22を台座部24に対して螺合させ、その後、止めねじB4によってパイプ22の回り止めをすれば、難なくパイプ22の端面と大径部24aとを密接させた状態で計測用プローブ4を組み立てることができる。そのため、第2実施形態の計測用プローブ4は、第1実施形態の計測用プローブ4に比べて組立性が良いと言える。
【0071】
また、既述のように、温度プローブ6(ハウジング30)は、パイプ22の回り止め用の止めねじB4を共用して台座部24に固定されるため、温度プローブ6を台座部24に固定するための専用のボルトが不要である。よって、合理的な構成で組立性が向上するという利点がある。
【0072】
さらに、温度プローブ6が止めねじB4で台座部24に固定される構成によれば、ハウジング30とパイプ22との間に、ボルトB3の頭部(
図2参照)を介在させるためのスペースが不要となる。そのため、ハウジング30とパイプ22との前記隙間Sを縮小すること、ひいては、計測用プローブ4の細径化に寄与するという利点もある。
【0073】
[計測装置1(振動プローブ5)の具体的な構成]
蒸気および復水(ドレン)の何れか一方が流れるスチームトラップ等の計測対象物においてその振動を計測した場合、検査対象物内を流れる流体が蒸気であるか否かによって、特定の周波数成分の振動強度が大きく異なり、特に、10kHz付近の振動強度を調べることで、検査対象物内を流れる流体が蒸気であるか否かを比較的高い精度で判別できることが知られている(特開2016-11904号公報)。
【0074】
そのため、スチームトラップ等の蒸気漏れの診断を行う場合に使用する上記計測装置1の振動プローブ5については、10kHz付近の振動強度を精度良く計測できるように振動プローブ5を構成する必要がある。
【0075】
本願の発明者は、中空の振動入力部22を先端に備えた振動プローブ本体20の場合には、当該振動プローブ本体20の全長L1を50.0mm、同外径Dを13.0mm、振動入力部22の全長L2を40.0mm、同厚みtを2.5mmとすることで(
図2参照)、10kHz付近の振動強度を精度良く計測できることを確認した。つまり、この寸法設定により、共振周波数が10kHz付近となるような固有振動数を有する振動プローブ5を構成できることを確認した。
【0076】
なお、本願の発明者は、当該計測装置1の開発において、図振動プローブを中実棒材で構成した場合には、共振周波数fと、素材の振動加速度C[m/s2]と、全長L1[m]と、太さ(外径)D[m]との間に下記式が成り立つとの知見を得た。
【0077】
f=(C/L1)×D[式1]
そしてさらに、鋭意検討を重ねることにより、棒材が内径d[m]の中空部分(筒状部分)を有する場合には、形状係数β=0.5を用いて、上記式1を以下の通り変形できるとの知見を得た。なお、形状係数βは、棒材の全長L1に占める中空部分の全長L2の割合に応じて定められる値である。
【0078】
f=[C/L1]×(D-d)×β[式2]
上述した振動プローブ本体20の設定寸法(全長L1=50.0mm、外径D=13.0mm、全長L2=40.0mm、厚みt=2.5mm)は、これらの知見に基づくものである。つまり、振動入力部22をステンレス製のパイプで構成する場合、細径化と強度とのバランスを確保しつつ共振周波数fが10kHz付近となるように、上記式2に基づいて、振動プローブ本体20の全長L1及び外径D、振動入力部22の全長L2及び厚みt(内径d)を設定したものである。但し、上記設定寸法は、現時点での最適値であり、振動プローブ本体20の全長L1は48.0~52.0mmの範囲内、同外径Dは12.8~13.2mmの範囲内、振動入力部22の全長L2は38.0~42.0mmの範囲内、同厚みtは2.4~2.6mmの範囲内であれば、大凡遜色の無いレベルで実用可能であることを確認している。なお、振動プローブ本体20をステンレス以外の金属材料で構成する場合には、当該振動プローブ本体20の全長L1及び外径D、振動入力部22の全長L2及び厚みtが上記設定寸法とは異なる場合があることは言うまでもない。
【0079】
[変形例等]
以上説明した計測装置1は、本発明に係る計測装置の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0080】
例えば、上記計測装置1の温度プローブ6は、熱電対32を備えた構成であるが、これには限定されない。例えば、熱電対32に代えて、サーミスタ等その他の温度検出用のデバイスを備えた構成であってもよい。
【0081】
また、上記計測装置1において、振動プローブ本体20は、断面円環状の金属(ステンレス)製のパイプが複数の異径部分有する金属(ステンレス)製の段付き円柱体(台座部24)に固定されることにより構成されているが、当該構成には限定されない。例えば、振動プローブ本体20は、金属製の円柱体等から振動入力部22と台座部24とが一体的に削り出された構成であってもよい。また、振動入力部22は、所望の共振周波数を達成できれば、円筒状以外の筒状であってもい。例えば断面の輪郭が長円となるような筒状であってもよい。
【0082】
また、振動プローブ本体20を構成する金属材料はステンレスに限定されるものではなく、その他の金属材料を適用することも可能である。この場合も、上述した式2に基づくことで、所望の共振周波数を達成し得る振動プローブ5を構成することが可能となる。
【0083】
また、第2実施形態に係る計測用プローブ4では、台座部24(中径部24b)に雄ねじ部241が設けられ、振動入力部22(パイプ22)側に雌ねじ部221が設けられているが、逆の構成であってもよい。例えば、内周面に雌ねじ部(第2ねじ部)を備えたスリープ状円筒部が台座部24に設けられ、外周面に雄ねじ部(第1ねじ部)を備えたパイプ22(振動入力部22)が、前記スリープ状円筒部の内側に螺合挿入されてその奥端面(当接面)に突き当てられる構成であってもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、主にスチームトラップを計測対象物とする計測装置1について説明したが、上記計測装置1の基本構成は、スチームトラップ以外を計測対象物とする計測装置についても適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 計測装置
2 本体部
4 プローブ
5 振動プローブ
6 温度プローブ
20 振動プローブ本体
22 振動入力部
24 台座部
26 振動センサ
32 熱電対
32a、32b 熱電対素線
34 接触板