(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】外科用ガイドのために磁気マーカーを検出するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20231102BHJP
【FI】
A61B34/20
(21)【出願番号】P 2023513129
(86)(22)【出願日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 GB2021052290
(87)【国際公開番号】W WO2022049395
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-03-16
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517421390
【氏名又は名称】エンドマグネティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ハーマー,クェンティン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】アゴスティネリ,ティツィアーノ
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05793289(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0223975(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0029560(US,A1)
【文献】国際公開第2019/180580(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00-34/37
A61B 90/00-90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気マーカーを検出する方法であって、
2つ以上の連続する期間の周期的パターンを有する駆動磁場を生成する工程であって、前記駆動磁場は、前記連続する期間それぞれの間に、略一定のゼロでない振幅を有し、前記期間のうちの少なくとも1つの間の前記駆動磁場の前記振幅は、前記期間のうちの他の少なくとも1つの間の前記駆動磁場の前記振幅とは異なっている、工程;
応答磁場を検出する工程;
各サイクルの前記連続する期間それぞれの間に検出された前記応答磁場にそれぞれ対応する複数の感知信号から、少なくとも1つの信号を選択する工程;
選択された前記少なくとも1つの信号を用いて、前記磁気マーカーに対応する検出信号を決定する工程;及び
前記検出信号の強度に基づいて出力信号を生成する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記周期的パターンを形成する前記2つ以上の連続する期間が、互いに実質的に連続的であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記連続する期間のうちの少なくとも1つの間の前記駆動磁場の前記振幅が、前記連続する期間のうちの他の少なくとも1つの間の前記駆動磁場の前記振幅に比べて高いことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記連続する期間のうちの他の少なくとも1つの間の前記駆動磁場の前記振幅が、前記連続する期間のうちの少なくとも1つの間の前記駆動磁場の前記振幅に比べて相対的に低いことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記応答磁場が、前記連続する期間の前記
周期的パターンの略全体にわたって検出されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記各サイクル内の前記連続する期間の持続時間が、略同一であるかまたは互いに異なることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記駆動磁場が、全ての前記連続する期間の間、略一定の周波数を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記周期的パターンが、2つの連続する期間を含み、前記応答磁場が、第1の周波数の第1の応答成分と、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数の第2の応答成分とを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
磁気マーカーを検出する方法であって、
第1の周波数を有する駆動磁場を生成する工程であって、前記駆動磁場は、第1の期間にわたる第1の振幅と、第2の期間にわたる、前記第1の振幅より小さい第2の振幅とを有し、前記駆動磁場は、所定のデューティサイクルに従って前記第1の振幅と前記第2の振幅との間で交番する、工程;
前記第1の周波数の第1の応答成分と、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数の第2の応答成分とを含む、応答磁場を検出する工程;
前記応答磁場に基づいてプロセッサにより、前記第1の期間中に検出された前記応答磁場に対応する第1の感知信号、及び前記第2の期間中に検出された前記応答磁場に対応する第2の感知信号から、少なくとも1つの信号を選択する工程;
前記プロセッサにより、選択された前記少なくとも1つの信号を用いて、前記磁気マーカーに対応する検出信号を決定する工程;及び
出力のために前記プロセッサにより、前記検出信号の強度に基づいて出力信号を生成する工程
を含む、方法。
【請求項10】
前記2つの連続する期間の第1の期間及び第2の期間が、1秒間より短いことを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの信号を選択する工程が、2次磁気源の存在を特定する工程に基づくことを特徴とする、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記2次磁気源が液体磁性トレーサーであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記2次磁気源の存在を特定する工程が、前記第1の周波数の前記第1の応答成分と前記第2の周波数の前記第2の応答成分との間の高調波比を計算する工程を含むことを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記2次磁気源の存在を特定する工程が、前記第1の感知信号に基づく第1の高調波比を、前記第2の感知信号に基づく第2の高調波比と比較する工程を含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記2次磁気源の存在を特定する工程が、前記応答磁場のスペクトル分析を、単離された磁気マーカー及び単離された2次源からの、事前に記録された応答と比較する工程に基づくことを特徴とする、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの信号を選択する工程が、前記第1の感知信号及び/又は前記第2の感知信号の大きさの絶対値に基づくことを特徴とする、請求項
9及び11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの信号を選択する工程が、記第1の感知信号及び/又は前記第2の感知信号の大きさの絶対値が所定の閾値を超えるかどうかに基づくことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
外科医を外科手術中の関心領域へとガイドするために磁気マーカーを検出するための磁気検出システムであって、
2つ以上の連続する期間を含む周期的パターンを有する対応する駆動信号に基づいて駆動磁場を生成するよう構成された駆動ユニットであって、前記駆動信号は、前記連続する期間それぞれの間に、略一定のゼロでない振幅を有し、前記期間のうちの少なくとも1つの間の前記駆動信号の前記振幅は、前記期間のうちの他の少なくとも1つの間の前記駆動信号の前記振幅とは異なっている、駆動ユニット;
応答磁場を検出するよう構成された、磁場センサ;
各サイクルの前記連続する期間それぞれの間に検出された前記応答磁場にそれぞれ対応する複数の感知信号から、前記応答磁場に基づいて少なくとも1つの信号を選択し、選択された前記少なくとも1つの信号を用いて、前記磁気マーカーに対応する検出信号を決定し、前記検出信号の強度に基づいて出力信号を生成するよう構成された、プロセッサ
を備える、磁気検出システム。
【請求項19】
磁気マーカーを検出するための磁気検出システムであって、
第1の周波数を有する駆動磁場を生成するよう構成された、駆動ユニットであって、前記駆動磁場は、第1の期間にわたる第1の振幅と、第2の期間にわたる、前記第1の振幅より小さい第2の振幅とを有する、駆動ユニット;
前記第1の周波数の第1の応答成分と、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数の第2の応答成分とを含む、応答磁場を検出するよう構成された、磁場センサ;
プロセッサ
を備え、前記プロセッサは、
前記第1の期間中に検出された前記応答磁場に対応する第1の感知信号、及び前記第2の期間中に検出された前記応答磁場に対応する第2の感知信号から、前記応答磁場に基づいて少なくとも1つの信号を選択し;
選択された前記少なくとも1つの信号を用いて、前記磁気マーカーに対応する検出信号を決定し;かつ
前記検出信号の強度に基づいて出力信号を生成する
よう構成されることを特徴とする、磁気検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、外科用ガイドの分野に関し、より具体的には、体内の部位、例えば外科的切除のための病変の位置決定を支援するマーカー及びトレーサーを検出するための、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関心部位が物理的に視認又は触知できない外科手術中の関心領域、例えば切除が必要な小型の腫瘍へと、外科医をガイドするために、マーカーが使用される。上記マーカーは、体内の関心部位、例えば癌病変の生検又はその他の外科手術中に配置できる。理想的には、このようなマーカーは細いゲージの針を通して配備できるものである。上記マーカーは超音波又はX線/マンモグラフィー等の撮像によるガイドの下で配置される。その後の手術中、上記マーカーは、聴覚、視覚、又はその他のフィードバックを外科医に提供するハンドヘルドプローブを用いて、上記マーカーを検出及び位置決定することにより、手術をガイドする。典型的には、上記マーカーは周囲の組織と共に切除される。
【0003】
一連の術前補助療法の前にリンパ節をマーキングするために、マーカーを使用することもできる。これにより、術前補助療法による線維症がリンパ管に影響を及ぼし、従来のリンパ管トレーサーが流入領域リンパ節に流れ込むことができなくなった場合であっても、術前補助療法の後にリンパ節を切除のために容易に特定できる。
【0004】
このような腫瘍マーキングのアプローチの1つは、ハンドヘルドガンマ線検出プローブ、例えばガイガーカウンターを用いて検出できる、ヨウ素90等の放射性同位体を含有するマーカーを使用することである。しかしながら、放射性物質の使用は厳密に規制されているため、最大規模の大学病院センターを除いて、放射性種プログラムを構成することは困難である。
【0005】
異なるアプローチが特許文献1~3(その内容は参照により本出願に援用される)で議論されており、これは、磁場と、高い磁気感受性を有する磁気マーカーとを使用する。ハンドヘルドプローブは、磁気応答性マーカーを励起する交番磁場を生成し、応答磁場を検出する。
【0006】
液体又は液体媒介性のマーカーも、外科手術、例えば生検のためのセンチネルリンパ節の検出において使用できる。このようなマーカーは、「トレーサー(tracer)」と呼ばれる場合がある。センチネルリンパ節の生検は、一部の癌のステージ分類に使用される重要な技術であり、特定の種類の癌、特に乳癌の転移を評価することである。トレーサーは、癌腫瘍の近傍に注入できる。するとトレーサー粒子はリンパ系に取り込まれ、流入領域リンパ節に流れ込んでそこに蓄積される。次に、上記リンパ節を病理学的評価のために切除できるようにするために、上記リンパ節を、リンパ節の視覚的変色によって、又はハンドヘルドプローブを用いて位置決定できる。この方法で特定されたリンパ節は、癌がそこに転移する可能性があるため、「センチネル(sentinel)」リンパ節と呼ばれる。これらを特定して除去するための外科手術は、センチネルリンパ節生検手順として知られている。
【0007】
典型的には、上述の2つの手順、即ち腫瘍の切除及びリンパ節の切除は、同一の手術で行われる。よって、トレーサー及びマーカーの両方が乳房又は他の組織に同時に存在し得る。
【0008】
上述のように、1つのアプローチは、放射性同位体を含有する液体マーカー、例えばテクネチウム‐99m硫黄コロイドを使用することである。放射能で標識されたコロイド粒子は流入領域リンパ節に蓄積され、続いてハンドヘルドガンマ線プローブ(ガイガーカウンター)を用いて、上記流入領域リンパ節を切除のために特定できる。しかしながら、テクネチウム‐99mは半減期が6時間しかないため、手術の時点の付近に注入する必要があり、従ってスケジューリングが困難になる。また、サプライチェーンが複雑である場合もあり、孤立した病院では入手できない場合がある。また、同位体を製造する反応器が所与の時点において稼働していない場合には、供給が中断される場合もある。
【0009】
異なるアプローチは、超常磁性酸化鉄ナノ粒子の懸濁液を使用することである。これらの粒子には半減期がなく、これは上記粒子をいずれの病院でも利用でき、かつ手術の何日も前に注射できることを意味しており、スケジューリングがより便利になる。
【0010】
上記ナノ粒子は、例えば上述のハンドヘルドプローブ等の、磁気プローブによって検出できる。しかしながらこのようなプローブは、磁気マーカー及び酸化鉄ナノ粒子懸濁液の両方に応答する場合がある。特に、上記ナノ粒子懸濁液の一部分が、病変の近傍の注入部位の領域に留まる場合がある。病変の除去手順とセンチネルリンパ節生検とを単一の手術で実施することが望ましいが、病変マーカーを他の磁気応答性材料から区別できる検出システムの提供は困難であることが分かっている。これは添付の図面の
図1Aに示されている。
【0011】
他の磁気応答性材料には、金属製の手術器具が含まれる。金属製器具の存在下でも検出可能な磁気マーカー又はトレーサーの開発が望まれている。これは
図1Bに示されている。
【0012】
人体の組織の主成分である水が反磁性応答をもたらす可能性があるため、人体自体が、磁気マーカーの検出を妨害し得る磁気応答を有する。典型的には、位置決定手順中には、注入されたマーカーの周りに多量の人体組織が存在する。従って、人体由来のバックグラウンド信号に対して正確に位置決定できるマーカーが有利である。これは
図1Cに示されている。
【0013】
複数のマーカーが病変部位に存在する場合がある。例えば、マンモグラフィー又は超音波走査によって腫瘍塊の発達を経時的に監視するために、生検マーカーが以前に配置されている場合がある。手術中の病変の位置決定に適合したプローブは、この目的のために配置されたマーカーに対する感受性しか有しないことが望ましい。これは
図1Dに示されている。
【0014】
磁気マーカーを用いて特定のリンパ節にマーキングし、磁気トレーサーを用いて他のセンチネルリンパ節をマッピング及び特定する場合、磁気マーカー及び磁気トレーサーが存在するリンパ節が1つ以上存在し得る。どのリンパ節がマーキングされ、どのリンパ節がトレーサーのみを含有するのかを、位置決定及び特定できると有利となり得る。また、マーカーが存在していてもリンパ節中のトレーサーの量を定量化できると有利となり得る。従って、リンパ節中のマーカーとトレーサーとを区別する必要がある。これは
図1Eに示されている。
【0015】
上述の課題に対して提案されている1つの解決策は、励起磁場に対して非線形に応答するマーカーを使用することである。全高調波応答を分析することにより、マーカーを、トレーサー、金属製器具、身体、又は同一の磁場強度において典型的にはより線形である異なる応答を有する他のマーカーから、区別できる。
【0016】
磁化曲線に大きなバルクハウゼン不連続性を有する材料、即ち「ラージ・バルクハウゼン・ジャンプ(Large Barkhausen Jump:LBJ)」材料は、ワイヤの瞬間的な磁気分極に対向する磁場強度が所定の閾値を超える外部磁場(スイッチング磁場としても知られる)によって励起された場合に、磁気分極が迅速に反転する。従ってこのマーカーは双安定挙動を示し、2つの磁気分極状態間で反転する。磁化の反転のたびに、高調波成分を含む磁気パルスが生成される。高調波のプロファイル及び数を(数十個の高調波まで)測定することによって、マーカーを他の材料から識別できる。
【0017】
検出を目的として、磁気マーカーを誘導して特に上述の双安定挙動を発生させることができる高い外部磁場を、十分に長い範囲で使用することが望ましい。しかしながら、バックグラウンド磁気源であってよい2次磁気源もまた、高磁場において非線形性を示す場合がある。例えば、磁気トレーサーとして使用される酸化鉄ナノ粒子は一般に線形となり得るが、高磁場では多少の非線形性を示す可能性がある。これは、2次磁気源が大きな範囲に分布している場合に特に問題となり得る。2次磁気源の部品は、磁気マーカーに比べてはるかにプローブに近接している可能性があり、従ってこれに対応する高磁場にさらされる可能性があるため、問題となる高磁場での非線形性を示す可能性が特に高くなり得る。ユーザは2次磁気源の分布及び磁気特性を把握していないため、これらの2次信号を補償して所望のマーカーを特定することは困難である。
【0018】
一般に、既存の解決策は小さな駆動磁場の使用のみに焦点を当ててきた。マーカーが臨界長より短い、及び/又はスイッチング磁場未満で励起された場合であっても、一部のLBJ材料は強い非線形応答を示す場合があることが示されている(例えば特許文献4を参照)。このような材料から形成されたマーカーは、準双安定マーカーとして知られる。磁気応答においてこれより小さいレベルの又は異なるタイプの非線形性を有する他のマーカーも、線形性がより高い2次信号に対する区別のために考慮できる。例えば非線形性は、マーカーに非線形電子部品、例えばダイオードを含めた結果であり得る。
【0019】
理想的には、磁気プローブが生成する励起磁場(駆動磁場)は、基本周波数の1つの周波数成分のみを含むべきである。また、好適なものとなる程度に大きな検出距離を達成するためには、強い磁場が望ましい。しかしながら、プローブの周りに、高磁場強度と純粋な単一周波数の正弦波形との両方を備えた交番磁場を、所望の周波数で生成するのは、困難である。増幅器を、強い磁界を生成するために十分な電力で駆動すると、典型的には多少の歪み又は不純物が正弦波形に導入され、駆動周波数の高調波が付加される結果となる。
【0020】
低歪み演算増幅器は、約-120dBの高調波歪みを提供でき、ここで高調波歪みとは、関心対象の高調波(2次、3次等)のrms(root mean square:二乗平均平方根)値の、rms信号レベルに対する比率である。しかしながら、このような低い歪みは、数十分の1ミリアンペアの電流でしか達成できず、この電流は一般的にはあまりに低い。一般にこのような増幅器は抵抗負荷も使用するが、磁気プローブは典型的には誘導負荷を使用する。更に、演算増幅器の高調波歪みは典型的には、電流ではなく電圧を観察することによって測定される。しかしながら本明細書に記載されているタイプの磁気マーカーの検出の場合、関連する高調波歪みは、電圧ではなく電流から生成される励起磁場において発生する。従って、市販の電子部品を用いて高純度の駆動磁場を生成するのは容易ではない。
【0021】
特許文献1、2、又は3の磁気プローブのような磁気プローブにおける、駆動磁場に関する典型的な最適化された高調波歪みは、関心対象の周波数において-70dB~-100dBとなり得る。これは、高調波の成分が駆動信号よりも10,000~100,000倍小さいことを示しており、これは線形検出に依存するほとんどの用途で許容可能であり、更にはハイエンドオーディオシステムでさえ許容可能である。しかしながら、本明細書に記載されている種類の磁気マーカーの検出に関しては駆動信号のこのようなレベルの高調波歪みは、プローブの近傍の線形磁気材料によって反射された場合に容易に、プローブからある程度の距離にある非線形マーカーからの信号と同程度の大きさとなり得る。
【0022】
従って、外科用ガイドに使用するために、人体又は動物の身体内の磁気マーカー又はトレーサーを検出するためのシステムであって、駆動磁場が純粋でない場合であっても非線形マーカーを他の磁気応答性材料から区別できる、システムを提供する必要がある。本開示はこの必要に対処することを目的とする。
【0023】
特許文献5は、本開示とは異なる分野で使用される、即ち問い合わせ(interrogation)ゾーンでマーカーの存在を検出し、小売店からの商品の盗難を防止又は抑止するために使用される種類の、高調波万引き防止(electronic article surveillance:EAS)システムを開示している。磁気要素を含むマーカーは、問い合わせゾーン内で放射される交番問い合わせ信号の磁場の摂動の形態の、検出可能なマーカー信号を生成する。上記マーカー信号は、問い合わせ信号の動作周波数の高調波における高調波信号成分を含む。問い合わせ信号は個別のパルスの形態であり、これにより、問い合わせ信号の有効周波数を、平均放射出力の規制限界を超えることなく増大させることができる。検出回路構成は、上記個別のパルスに対応しない時点においてはマーカー信号を検出する動作を行わないように構成でき、これにより、インパルス性ノイズに応答する誤警報の可能性を低減する。パルスのタイミングは、これらのパルスが、周期的に繰り返されるノイズ信号と一致しないように調整できる。更に、問い合わせ信号のパルスの振幅は、マーカー信号と形状が類似しているものの所定の閾値レベルを超える振幅を有する信号が検出された場合に、減少させることができ、これにより、マーカーが生成する信号と、高レベルの問い合わせ信号に応答してマーカー信号を模倣した信号を生成する傾向を有する場合があるショッピングカート等のオブジェクトが生成する信号とを区別できる。
【0024】
しかしながら、例えば小売店内の比較的大きな問い合わせゾーン内でのマーカーの存在の検出に適合された、特許文献5のEASシステムは、外科用ガイドのための体内での磁気マーカー又はトレーサーの検出には適していない。個々のパルス間に振幅がほぼ存在しないパルス状の問い合わせ信号の生成は、信号生成器内で望ましくない熱の影響を引き起こし、これは不正確さにつながるが、体内でのマーカーの検出は、磁場のわずかな変化の正確な検出に依存している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【文献】国際公開第2011/067576号
【文献】国際公開第2014/013235号
【文献】国際公開第2014/140567号
【文献】カナダ国特許出願公開第3031282号明細書
【文献】米国特許第5793289号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0026】
本開示の一態様によると、外科医を外科手術中の関心領域へとガイドするために磁気マーカーを検出する方法が提供され、上記方法は:2つ以上の連続する期間の反復パターンを有する駆動磁場を生成するステップであって、上記駆動磁場は、上記連続する期間それぞれの間に、略一定のゼロでない振幅を有し、上記期間のうちの少なくとも1つの間の上記駆動磁場の上記振幅は、上記期間のうちの他の少なくとも1つの間の上記駆動磁場の上記振幅とは異なっている、ステップ;応答磁場を検出するステップ;各サイクルの上記連続する期間それぞれの間に検出された上記応答磁場にそれぞれ対応する複数の感知信号から、少なくとも1つの信号を選択するステップ;選択された上記少なくとも1つの信号を用いて、上記磁気マーカーに対応する検出信号を決定するステップ;及び上記検出信号の強度に基づいて出力信号を生成するステップを含む。
【0027】
別の態様では、本開示は、外科医を外科手術中の関心領域へとガイドするために磁気マーカーを検出するための磁気検出システムを含み、上記磁気検出システムは:2つ以上の連続する期間の反復パターンを有する駆動磁場を生成するよう構成された駆動ユニットであって、上記駆動磁場は、上記連続する期間それぞれの間に、略一定のゼロでない振幅を有し、上記期間のうちの少なくとも1つの間の上記駆動磁場の上記振幅は、上記期間のうちの他の少なくとも1つの間の上記駆動磁場の上記振幅とは異なっている、駆動ユニット;応答磁場を検出するよう構成された、磁場センサ;及び各サイクルの上記連続する期間それぞれの間に検出された上記応答磁場にそれぞれ対応する複数の感知信号から、上記応答磁場に基づいて少なくとも1つの信号を選択し、選択された上記少なくとも1つの信号を用いて、上記磁気マーカーに対応する検出信号を決定し、上記検出信号の強度に基づいて出力信号を生成するよう構成された、プロセッサを備える。
【0028】
いくつかの実施形態では、上記出力信号は、上記出力信号をユーザが知覚可能な形態で出力するための、例えば音声生成器(例えばスピーカー)、触覚デバイス、及び/又はディスプレイといったユーザインタフェースデバイスの動作を制御するために使用できる。従っていくつかの実施形態では、上記出力信号は、音声信号、触覚信号、及び/又はディスプレイ信号を含んでよい。いくつかの実施形態では、上記出力信号は、同時係属中の国際特許出願PCT/GB2021/051750号(その内容は参照により本出願に援用される)によって開示されているように、マーカー近接度値に基づくユーザフィードバック信号を含んでよい。従って上記マーカー近接度値は、上記検出信号に基づいて決定できる。この意味において、上記出力信号は、上記磁気マーカーの検出に関連する情報を伝達する、本発明の方法又はシステムの出力を表し、上記駆動ユニットが出力する上記駆動磁場を意味するものではないことが理解されるだろう。
【0029】
本明細書における、上記駆動磁場の略一定のゼロでない振幅、又は「異なる(different)」振幅に対する言及は、上記駆動磁場の源から略一定の距離にある上記駆動磁場の振幅に対する言及であることが理解されるだろう。同様に、略一定の振幅の駆動磁場は、本明細書で開示されている略一定の振幅の駆動信号を用いて生成された駆動磁場と考えることができる。
【0030】
典型的には、上記連続する期間のうちの少なくとも1つの間の上記駆動磁場の上記振幅は、上記連続する期間のうちの他の少なくとも1つの間の上記駆動磁場の上記振幅に比べて高く、上記磁気マーカーにおいて非線形応答を生じさせるように計算される。上記連続する期間のうちの他の少なくとも1つの間の上記駆動磁場の上記振幅は、上記連続する期間のうちの少なくとも1つの間の上記駆動磁場の上記振幅に比べて相対的に低くすることができ、上記マーカーの付近に存在し得る、非LBJ材料で形成されたトレーサー又は他のいずれの磁性材料において、略線形の応答を生じさせるように計算される。上記駆動ユニットは、上記駆動磁場の強度を、1つ以上の特定の磁気マーカー又はトレーサーと共に使用するために調整するように、構成できることが理解されるだろう。典型的な磁気マーカーは、約5mg未満のLBJ材料で構成されていてよい。従っていくつかの実施形態では、上記駆動ユニットはプローブを備えてよく、上記プローブは、上記連続する期間のうちの少なくとも1つにおいて、上記プローブの約5mm以内で約100μT~約2000μTの最大磁場強度を有する、駆動磁場を生成するよう構成される。
【0031】
上記連続する期間のうちの少なくとも1つにおける上記駆動磁場は、上記最大磁場強度より小さな振幅を有してよい。例えばいくつかの実施形態では、上記連続する期間のうちの少なくとも1つにおける上記駆動磁場は、上記駆動磁場の上記最大磁場強度に対応する最大振幅の約10~90%である振幅を有してよい。いくつかの実施形態では、上記連続する期間のうちの少なくとも1つにおける上記駆動磁場は、上記駆動磁場の上記最大振幅の約25~75%である振幅を有してよい。典型的には、上記駆動磁場は、上記連続する期間のうちの少なくとも1つにおいて、上記駆動磁場の上記最大振幅の約25~50%、例えば約33%である振幅を有してよい。上記駆動磁場の周期的パターンが、3つ以上の連続する期間を含む場合、上記駆動磁場は、2つ以上の期間において、上述の範囲内の上記最大磁場強度の一部である異なる磁場強度を有してよい。
【0032】
従って本開示の方法は、上記周期的パターンの上記連続する期間それぞれの間の上記応答磁場を検出することによって、上記連続する期間それぞれに対応する上記複数の感知信号を生成するステップを含む。上記感知信号のうちの少なくとも1つが、上記磁気マーカーに対応する上記検出信号に対して選択され、上記出力信号は上記検出信号の強度に基づく。従って本開示の方法は、本明細書で開示される上記周期的パターンの上記連続する期間からの上記複数の感知信号を分析して、好適な検出信号を決定するステップを伴ってよい。
【0033】
好ましくは、上記周期的パターンを形成する上記2つ以上の連続する期間は、連続的なものであってよく、即ち上記連続する期間は中断されておらず、上記駆動磁場の上記振幅は本開示の方法の実施中に決してゼロにならない。しかしながらいくつかの実施形態では、正の駆動磁場の連続する期間の間の、磁場がゼロ又は略ゼロである1つ以上の短いギャップが許容される場合がある。従っていくつかの実施形態では、上記周期的パターンを形成する上記連続する期間のうちの2つ以上は、非連続的なものであってよく、連続する期間の間に、上記駆動磁場の上記振幅がゼロ又は略ゼロである1つ以上の短い間隔が存在する。しかしながら、本明細書で議論される理由から、このような間隔は最小限に抑えられるべきであり、例えば累計で、上記周期的パターンの持続時間全体の約25%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、最も好ましくは約1%未満を構成するものであってよい。
【0034】
本開示の方法及びシステムによると、上記応答磁場は、連続する期間の上記反復パターンの略全体(その間、上記駆動磁場の上記振幅が上記パターンに従って期間毎に変化する)にわたって、連続して検出され、連続する期間はそれぞれ異なる感知信号を発生させ、上記感知信号は、該期間中の上記駆動磁場の上記振幅と、マーカー、トレーサー、及び/又はそれ以外の磁性材料の2次供給源の存在とに依存する。本開示の方法及びシステムは、上記感知信号のうちの1つ以上を選択し、選択された上記1つ以上の信号を用いて、上記マーカーに対応する検出信号を決定するステップを含む。従って上記出力信号は、上記検出信号の強度に基づいて生成される。
【0035】
各サイクル内の上記連続する期間の持続時間は、略同一であっても、互いに異なっていてもよい。上記駆動磁場は好都合にも、全ての上記連続する期間の間、略一定の周波数を有してよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、上記周期的パターンは、2つの連続する期間を含んでよい。上記連続する期間それぞれの間に検出される上記応答磁場は、第1の周波数の第1の応答成分と、上記第1の周波数とは異なる第2の周波数の第2の応答成分とを含んでよい。
【0037】
従って、本開示の別の態様によると、外科医を外科手術中の関心領域をガイドするために、磁気マーカーを検出する方法が提供され、上記方法は:第1の周波数を有する駆動磁場を生成するステップであって、上記駆動磁場は、第1の期間にわたる第1の振幅と、第2の期間にわたる、上記第1の振幅より小さい第2の振幅とを有する、ステップ;上記第1の周波数の第1の応答成分と、上記第1の周波数とは異なる第2の周波数の第2の応答成分とを含む、応答磁場を検出するステップ;上記第1の期間中に検出された上記応答磁場に対応する第1の感知信号、及び上記第2の期間中に検出された上記応答磁場に対応する第2の感知信号から、少なくとも1つの信号を選択するステップ;選択された上記少なくとも1つの信号を用いて、上記磁気マーカーに対応する検出信号を決定するステップ;並びに上記検出信号の強度に基づいて出力信号を生成するステップを含む。
【0038】
好適には、上記選択するステップ、上記決定するステップ、及び上記生成するステップは、プロセッサによって実施できる。
【0039】
本開示によると、上記第1及び第2の期間は、これらが同時ではないという意味において、互いに異なっていることが理解されるだろう。好適には、上記第1及び第2の期間は相互に連続しており、これらの間には中断が全く存在しないことが好ましい。これにより、上記駆動磁場の上記振幅は、上記方法の作業中に決してゼロにならない。上記第1及び第2の振幅は有利には共にゼロでなく、これは、本明細書に記載されるような、望ましくない熱の影響及び発生し得る不正確さを最小限に抑えるために役立つ。
【0040】
よって、上記駆動磁場を生成する上記ステップは、上記第1の振幅と上記第2の振幅との間を交互に入れ替えるステップを含んでよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、上記少なくとも1つの信号を選択する上記ステップは、例えば液体磁性トレーサーといった2次磁気源の存在を特定するステップに基づくものであってよい。
【0042】
上記2次磁気源の存在を特定する上記ステップは、上記第1の周波数の上記第1の応答成分と上記第2の周波数の上記第2の応答成分との間の高調波比を計算するステップを含んでよい。好適には、上記複数の感知信号のうちの1つ、例えば上記第1の感知信号に基づく、第1の高調波比を、上記感知信号のうちの別のもの、例えば上記第2の感知信号に基づく、第2の高調波比と、比較してよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、2次磁気源の存在を特定する上記ステップは、上記応答磁場のスペクトル分析を、単離された磁気マーカー及び単離された2次源からの、事前に記録された応答と比較するステップに基づくものであってよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、上記少なくとも1つの信号を選択する上記ステップは、上記複数の感知信号のうちの1つ、例えば上記第1の感知信号及び/又は上記第2の感知信号の、大きさの絶対値、例えば上記感知信号のうちの1つ以上の大きさの絶対値が所定の閾値を超えるかどうかに基づくものであってよい。
【0045】
更に別の態様では、本開示は、外科医を外科手術中の関心領域へとガイドするために磁気マーカーを検出するための磁気検出システムを含み、上記磁気検出システムは:第1の周波数を有する駆動磁場を生成するよう構成された、駆動ユニットであって、上記駆動磁場は、第1の期間にわたる第1の振幅と、第2の期間にわたる、上記第1の振幅より小さい第2の振幅とを有する、駆動ユニット;上記第1の周波数の第1の応答成分と、上記第1の周波数とは異なる第2の周波数の第2の応答成分とを含む、応答磁場を検出するよう構成された、磁場センサ;並びに上記第1の期間中に検出された上記応答磁場に対応する第1の感知信号、及び上記第2の期間中に検出された上記応答磁場に対応する第2の感知信号から、上記応答磁場に基づいて少なくとも1つの信号を選択し、選択された上記少なくとも1つの信号を用いて、上記磁気マーカーに対応する検出信号を決定し、上記検出信号の強度に基づいて出力信号を生成するよう構成された、プロセッサを備える。
【0046】
本開示の他の特徴は、これ以降に説明され、及び/又は特許請求の範囲に記載される。
【0047】
本開示をよりよく理解し、本開示がどのように実施され得るかをより明確に示すために、単なる例として、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図2】本開示のある実施形態による磁気検出システムの概略図
【
図3】本開示のある実施形態による磁気検出システムの概略図
【
図5A】例示的なマーカーの磁化曲線を示すチャート
【
図6A】例示的なトレーサーの磁化曲線を示すチャート
【
図7】ある実施形態による磁気検出システムの概略図
【発明を実施するための形態】
【0049】
本開示は、体内の標的部位をマーキングするために埋入できるマーカー、より詳細には磁気マーカーを特性決定するための検出システム及び方法、並びにハンドヘルドプローブを用いた、埋入されたマーカーの検出及び位置特定に関する。
【0050】
上記マーカーは、体内の、マーキングが必要な部位に埋入できる。これは例えば、腫瘍若しくは他の病変、又は軟組織中の関心部位であってよい。例としては、限定するものではないが、良性病変、癌性病変、及びリンパ節が挙げられる。上記マーカーは病変又はその近傍に配置でき、あるいは、手術部位の辺縁又は周囲、例えば腫瘍又は軟組織肉腫の辺縁をマーキングするために、複数のマーカーを配置できる。
【0051】
添付の図面の
図2は、本開示による検出システム及びマーカーの実施形態の概略図を示す。検出システム1は、ベースユニット4に接続されたプローブ10を備える。プローブ10は1つ以上の駆動コイルを有し、これらは磁気マーカー6を励起するための交番磁場を生成する。磁性トレーサー7が、マーカー6の付近又は近傍に存在する場合もある。
【0052】
マーカー6は少なくとも1片の磁気応答性材料で構成され、非線形の磁気感受性を有することができる。材料の磁化は、外部磁場に対して非線形の応答を示すことができる。上記材料は、その磁化曲線に大きなバルクハウゼン不連続性を有してよく、「ラージ・バルクハウゼン・ジャンプ材料」、「LBJ材料」、「双安定スイッチング材料(bistable switching material)」、又は「その磁化曲線に大きな不連続性を有する材料(material with large non‐linearities in its magnetisation curve)」として知られている場合もある。例えば、ある長さのLBJ材料が、上記長さの材料の瞬間的な磁気分極に対向する磁場強度が所定の閾値を超える外部磁場、即ちスイッチング磁場HSWに曝露されると、その磁気分極は迅速に反転する。この磁化の反転は強力な高調波成分を含む磁気パルスを生成する。
【0053】
トレーサー7は典型的には、複数の磁性ナノ粒子を含む液体で構成される。例えばトレーサー7は、複数の酸化鉄ナノ粒子を含んでよい。トレーサー7は、2次磁気源の一例である。場合によっては、トレーサー7はバックグラウンド磁気源とみなされる場合もある。ナノ粒子は、超常磁性微粒子と記述される場合もある。トレーサー7が外部磁場に曝露された場合、磁気応答は略線形となり得る。即ちトレーサー7の磁化は印加された磁場に正比例する。トレーサー7の磁気応答は、外部磁場の強度が特定の範囲内である場合に略線形となり得る。外部磁場の強度が特定の線形閾値より大きい場合、トレーサー7の磁化は飽和する場合があり、これは非線形の磁気応答につながる。
【0054】
上記検出システムのプローブ10は更に、マーカー6及び/又はトレーサー7の磁化の変化によって生じる磁場の変化を検出するために配設された、1つ以上の感知コイルを内包する。
【0055】
典型的な病変又は関心部位においてマーカー6を検出するために、プローブ10は理想的には、少なくとも30mm、好ましくは40mm超、更に好ましくは50mm超の検出深さを有する必要がある。理想的には、マーカー6は、マーカー6に接近する方向とは無関係に、同一の大きさの応答を提供する。即ちマーカー6の磁化の異方性は小さくなければならない。これは、外科医に対して、プローブ10に対するマーカー6の位置に関する一貫性のあるフィードバックを提供するためのものである。
【0056】
図3は、例示的なプローブ10を更に詳細に示す。検出プローブ10は、駆動磁場を生成するための駆動コイル102と、応答磁場を検出するための感知コイル104とを備える。
【0057】
駆動コイル102は、印加された電流を用いて、駆動信号を含む駆動磁場を生成するよう構成される。上記駆動磁場は、基本周波数成分f1で交番するように生成された交番磁場である。駆動コイル102は、1つ以上の異なる出力振幅で駆動磁場を生成するように、好適に構成できる。
【0058】
ベースユニット4及びプローブ10は更に、正弦波生成器及び増幅器100と、基本周波数f1で駆動信号を生成するよう構成された高調波フィルタ及び駆動回路101とを備えてよい。正弦波生成器及び増幅器100は、基本周波数f1で交番するよう構成された交流駆動信号を生成して増幅するよう構成される。増幅器100は、駆動信号を1つ以上の異なる振幅レベルへと増幅するよう構成される。増幅器100は、駆動信号を、所与の時点において少なくとも2つの別個の振幅レベルのうちの1つへと増幅するように構成されていてもよい。例えば、2つの別個の振幅レベルをALOW及びAHIGHと呼ぶことができ、ここでAHIGHはALOWより大きい。本明細書で説明されるように、有利には、駆動信号は中断されることなくALOWとAHIGHとの間で振動できる。従ってAHIGH及びALOWはいずれもゼロではないものとすることができる。AHIGHは好適には、略一定の振幅であってよい。ALOWは、略一定の振幅であってよい。いくつかの実施形態では、駆動信号は連続的な基本周波数f1を有してよい。
【0059】
例示として、中断されない好適な駆動信号の一例が
図4に示されている。
図4の駆動信号は、2つの連続する期間の周期的パターンからなり、各上記期間中、駆動信号はゼロでない略一定の振幅を有する。上記期間のうちの一方の間の駆動信号の振幅A
LOWは、上記期間のうちのもう一方の間の駆動信号の振幅A
HIGHとは異なる。しかしながら、本開示によると、駆動信号は3つ以上の連続する期間の周期的パターンからなってもよいことが理解されるだろう。この場合、各上記期間中、駆動信号はゼロでない略一定の振幅を有し、上記期間のうちの少なくとも1つの間の駆動信号の振幅は、上記期間のうちの他の少なくとも1つの間の駆動信号の振幅とは異なる。例えば駆動信号は、3つの連続する期間の周期的パターンを有してよい。上記3つの連続する期間それぞれの間、駆動信号はゼロでない略一定の振幅を有してよい。上記期間のうちの1つの間の駆動信号の振動は、上記期間のうちの他の2つの間の駆動信号の振幅とは異なっていてよく、又は駆動信号の振幅は3つの期間全てにおいて異なっていてよい。
【0060】
従って、得られる駆動磁場は、少なくとも2つの別個の磁場強度値H
LOW及びH
HIGHを有することができる。駆動磁場は、H
LOWとH
HIGHとの間で交番してよい。駆動磁場は、所定のデューティサイクルに従って交番してよい。駆動コイル102は、第1の期間T
HIGHにわたって、振幅H
HIGHで駆動磁場を出力してよい。駆動コイル102は、第2の期間T
LOWわたって、振幅H
LOWで駆動磁場を出力してよい。デューティサイクル比は50%であってよく、又はいくつかの実装形態では、デューティサイクル比は約25%~約75%であってよい。全デューティサイクル期間T
HIGH+T
LOWは、約10ms~約1000msであってよい。いくつかの実装形態では、T
HIGH+T
LOWは約100msであってよい。
図4の例示的な駆動信号では、T
HIGHの持続時間はT
LOWより短い。好適には、いくつかの実施形態では、駆動磁場は、プローブ10の約5mm以内において約100μT~約2000μTの最大磁場強度、例えばH
HIGHを有してよい。
【0061】
高調波フィルタ及び駆動回路101は、駆動信号をフィルタリングして、駆動信号を駆動コイル102に供給するよう構成される。高調波フィルタは、駆動信号中の1つ以上の追加の周波数成分fnを低減するように構成される。好適には、高調波フィルタは特定の高調波に対して同調されたノッチフィルタであってよい。フィルタリングされた駆動信号は駆動コイル102に供給され、これによって駆動磁場が生成される。
【0062】
ベースユニットは更に、1つ以上の処理ユニット、例えばマイクロコントローラ及び/又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)を備えてよい。ベースユニットは更に、メモリユニット、アナログ‐デジタルコンバータ(analogue to digital converter:ADC)、及びデジタル‐アナログコンバータ(digital to analogue converter:DAC)を備えてよい。メモリユニットは、例えばSDRAM、又はいずれの好適な揮発性若しくは不揮発性ストレージで形成されていてよい。マイクロコントローラは更に、コンピュータメモリを制御してこれと対話できる。マイクロコントローラは例えば、STM Electronics製STM32F769マイクロコントローラ、又は他のいずれの好適なマイクロコントローラであってよい。マイクロコントローラ及びFPGAは、正弦波駆動信号を生成でき、これはDACによってアナログ信号に変換された後、例えば演算増幅器を用いて増幅される。
【0063】
感知コイル104は、変動する外部磁場に応答して電気感知信号を生成するよう構成される。感知コイル104は、駆動磁場に応答して磁性材料が生成した応答磁場を検出するように配設される。例えば感知コイル104は、マーカー6及び/又はトレーサー7が生成した応答磁場を検出するように配設できる。
【0064】
検出プローブ10は更に、電子フィルタ106、例えばノッチフィルタと、高調波成分を検出して増幅する回路108とを備える。電子フィルタ106は好適には、感知信号の他の周波数成分fnの感知を改善するために、感知信号から基本周波数f1を低減又は除去するように構成できる。高調波成分を検出して増幅する回路108は、例えば基本周波数f1の1つ以上の高調波周波数に対応する、感知信号の周波数成分fnのうちの1つ以上を、更に増幅できる。この回路は、不要な周波数成分を抑制することもできる。感知信号を処理するための構成部品の動作については、以下で更に詳細に説明される。
【0065】
図5Aは、発生し得る磁気マーカー6の磁化曲線を示す。この曲線は、印加される外部磁場Hの強度に対する、マーカー6の磁化Bのレベルを示す。マーカー6は、少なくとも1片のラージ・バルクハウゼン・ジャンプ(LBJ)材料で構成されていてよい。上述のように、LBJ材料は非線形の磁化曲線を有することができる。上記磁化曲線によると、スイッチング磁場25より低い励起磁場Hは、点24から点25への変化によって表される大きさのわずかな変化を除いて、磁化Bに対して変化をほとんど又は全くもたらさない。特に、スイッチング磁場25より低い励起磁場Hは、マーカー6の磁化Bの極性に変化をもたらさない。上記磁化曲線は、25で示されているスイッチング磁場を超えると、磁化の反転を示す。上記曲線はヒステリシス効果も示しており、30で示されているスイッチング磁場を超えると磁化が更に反転する。このように、マーカー6の磁化の反転は、駆動周波数の期間の半分(周波数の2倍)に合わせて規則的に発生する。
【0066】
図5Bは、
図5Aの磁化曲線に対応する典型的な感知信号を示す。マーカー6が、十分に高い振幅、例えばA
HIGHを有する交番磁場によって励起されるとき、磁化の反転に対応するパルスは時間領域で視覚化される。感知コイルに結合されたスプリアスな駆動磁場がフィルタリングによって完全には除去されない場合、上記パルスは正弦波に重畳され得る。以下で更に詳細に説明されるように、線形の磁気応答を有する材料は、駆動磁場と同一の周波数において正弦波状の感知信号を生成する。対照的に、マーカー6の非線形の応答は、感知信号中に多数の高調波周波数成分を生成し、これらは重ね合わせによって組み合わされて、例えば
図5Bに示されている、結果として得られるパルス信号を生成する。
【0067】
図5Cは、
図5Aの磁化曲線に対応する感知信号を周波数領域で示す。略基本周波数(f
1)の駆動磁場、例えばH
HIGHに応答すると、感知信号は、より高い高調波周波数の少なくとも1つの追加の周波数成分を含む。図示されているように、感知信号は、基本周波数に対する少なくとも2次~10次高調波周波数(f
2~f
10)それぞれにおいて、大きな成分を含む可能性がある。更に高い周波数の成分が存在する場合もある。
【0068】
マーカー6は、特定の高調波周波数(fx)において大きな応答を提供するように構成されていてよい。このような高調波周波数fxを利用して、マーカー6が生成する感知信号の一部分と、1つ以上の他の2次磁気源が生成し得る感知信号の別の部分とを区別できる。例えば、高調波周波数fxを利用して、マーカー6とトレーサー7とを区別できる。いくつかの実装形態では、3次高調波周波数(f3)を利用して、マーカー6とトレーサー7とを区別できる。
【0069】
マーカー6が生成する応答磁場では、基本周波数応答と特定の高調波周波数fxとの間の比は、マーカー応答計数、又は1次応答計数と呼ばれる場合がある。マーカー応答計数は、およそ100となり得るか、又は100未満となり得る。いくつかの実装形態では、マーカー応答計数は50未満となり得、例えばマーカー応答計数は、何らかのフィルタが適用される前にはおよそ30であり得る。
【0070】
双安定モードで動作する代わりに、いくつかの実装形態では、非線形マーカーは準双安定モードで機能する場合がある。上述のように、一部のLBJ材料は、スイッチング磁場より小さい磁場では依然として非線形の応答(例えば3次高調波H3応答)を示し、これは非LBJ材料のものに比べて略2桁大きい。これにより、駆動磁場が小さく、例えばマーカーのスイッチング磁場未満である、プローブ10から遠く離れたマーカーの検出を可能にすることができる。しかしながら、プローブ10から比較的長距離において励起磁場を生成するためには、プローブ10近傍での磁場の振幅は極めて高くなる。
【0071】
図6Aは、磁気トレーサー7の典型的な磁化曲線を示す。この曲線は、印加される外部磁場Hの強度に対する、トレーサー7の磁化Mのレベルを示す。トレーサー7の磁気応答は、低い励起磁場では略線形である。より高い外部磁場においては、トレーサー7中の微粒子が外部磁場と完全に整列するため、トレーサー7の磁化は飽和する可能性がある。従って、トレーサー7の磁気応答は低い励起磁場において線形であり、より高い励起磁場に応答して非線形となる場合がある。この磁化曲線によると、特定の線形閾値より小さな振幅を有する正弦波状の励起磁場Hは、対応する正弦波状の磁化Mをもたらす。上記線形閾値より大きな振幅を有する励起磁場は、対応する磁化の歪み、即ち非線形性を生成する可能性がある。更に、磁化曲線の中央部分が線形(即ち勾配が一定)でない場合、対応する磁化の更なる非線形歪みが生成される可能性がある。
【0072】
図6Bは、
図6Aの磁化曲線に対応する典型的な感知信号を示す。トレーサー7が、前の段落で言及した特定の線形閾値より小さな振幅を有する交番磁場によって励起されるとき、感知信号は励起磁場に線形に対応する。従って、交番磁場が正弦波形状を有する場合、感知信号は対応する正弦波形状を有する。トレーサー7が、十分に高い振幅を有する交番磁場によって励起されるとき、トレーサー7の磁化の飽和に対応するパルスは時間領域で視覚化できる。この非線形応答は、感知信号中に多数の高調波周波数成分を生成し、これらは重ね合わせによって組み合わされて、結果として得られるパルス信号を生成する。
【0073】
図6Cは、
図6Aの磁化曲線に対応する感知信号を周波数領域で示す。図示されているように、略基本周波数(f
1)の低振幅駆動磁場に応答すると、感知信号は主に基本周波数(f
1)を含む。略基本周波数(f
1)の高振幅駆動磁場に応答すると、感知信号は、より高い高調波周波数の少なくとも1つの追加の周波数成分を含む。図示されているように、感知信号は、基本周波数に対する少なくとも2次~10次高調波周波数(f
2~f
10)のいずれにおいて、大きな成分を含む可能性がある。特に奇数次高調波周波数、特に3次高調波周波数において、大きな成分が存在する可能性がある。更に高い周波数の成分が存在する場合もある。
【0074】
トレーサー7が生成する感知信号中の高調波周波数成分は、マーカー6が生成する高調波周波数成分の検出に干渉でき、マーカー6の正確な検出を妨害する可能性がある。
【0075】
上述のように、マーカー6は、高調波周波数fxにおいて大きな応答を提供するように構成されていてよい。高調波周波数fxを利用して、マーカー6が生成する感知信号の部分と、1つ以上の他の2次磁気源が生成する部分とを区別できる。しかしながら、トレーサー7による高調波周波数fxの感知信号成分の生成は、マーカー6の正確な検出を阻害する可能性がある。トレーサー7に対して閾値未満の振幅を有する駆動磁場を生成することにより、トレーサー7による高調波周波数成分の生成を低減できる。特に、低振幅駆動磁場を用いることにより、トレーサー7による3次高調波周波数成分の生成を低減できる。しかしながら、低振幅駆動磁場の使用は、マーカー6を検出するための検出範囲を制限する可能性がある。
【0076】
トレーサー7が生成する応答磁場では、基本周波数応答と3次高調波周波数との間の比は、2次応答計数と呼ばれる場合がある。駆動コイル102は上述のように、期間TLOW及びTHIGHそれぞれの間に、低振幅駆動磁場HLOW及び高振幅駆動磁場HHIGHを交互に生成するよう構成できる。上記期間中に感知コイル104が感知した信号に基づき、TLOWからの応答をTHIGHからの応答と比較することによって、2次源が存在するかどうかを決定できる。例えば、トレーサー7がプローブ10の付近に存在するかどうかを確立できる。磁気検出システム1は、応答信号の比較に基づいて、マーカー6の位置特定のためにTLOWからの応答とTHIGHからの応答とのどちらを使用するのが適切かを決定するよう構成される。
【0077】
トレーサー7が存在すると決定された場合、TLOWからの応答信号の使用がより適切となり得る。というのは、駆動磁場HLOWに対するトレーサー7の応答は、線形性がより高くなり得、マーカー6の正確な検出を比較的阻害しないためである。これにより、2次磁気源の存在下における、より正確な検出を達成できる。トレーサー7が存在しないと決定された場合、THIGHからの応答信号の使用がより適切となり得る。というのは、これによってより離れた距離のマーカー6の検出を可能にすることができるためである。これにより、プローブ10から比較的離れたマーカー6の正確な検出を、2次源の不在下で達成できる。
【0078】
1つの応答信号が選択されると、選択された応答信号のみに由来する情報(例えば高調波成分間の比)を用いて、本開示に従ってマーカー6を検出できる。
【0079】
図7は、本開示のある実施形態による磁気検出システム1のブロック図を示す。磁気検出システム1は、周波数生成器110を備える。発振器又は波形生成器が、周波数生成器110の好適な例である。周波数生成器110は、動作時に交番信号を生成するよう構成される。上記信号は正弦波状であってよい。上記信号の周波数f
Dは、100Hz~100kHzであってよい。周波数生成器の好適な一例は、正弦波を出力するマイクロコントローラであり、上記正弦波は、デジタル‐アナログコンバータ(DAC)によってアナログ信号に変換されアナログ増幅器によって増幅され、信号を平滑化するためにローパスフィルタによってフィルタリングされる。あるいはいくつかの実装形態では、デジタル増幅器を使用してもよい。
【0080】
使用中、周波数生成器110は信号を1つ以上の所定の振幅レベルへと増幅する。ある実施形態によると、周波数生成器110は、信号を時系列で2つ以上の振幅レベルへと増幅してよい。例えば信号の振幅は、第1の振幅レベルAHIGHと第2の振幅レベルALOWとで交互になっていてよい。第1の振幅レベルAHIGHは、第2の振幅レベルALOWより大きくてよい。第2の振幅レベルALOWに対する第1の振幅レベルAHIGHの比は、1~10であってよい。例えば、これらの振幅レベルの間の比は2であってよい。本開示によると、AHIGH及びALOWは有利には、以下で説明されるようにゼロではない。
【0081】
周波数生成器110は、第1の期間THIGHにわたって第1の振幅レベルAHIGHで信号を出力し、第2の期間TLOWにわたって第2の振幅レベルALOWを出力できる。ある実装形態では、第1の期間THIGH及び第2の期間TLOWは、長さが略等しいものであってよい。あるいはいくつかの実装形態では、上記期間の長さは異なっていてよい。THIGHとTLOWとの比は、信号のデューティサイクルと呼ばれる場合がある。デューティサイクルは、サイクル全体に対する第1の期間THIGHのパーセンテージとして表すことができる。デューティサイクルは、例えば約25%、50%、若しくは75%であってよく、又は他のいずれの好適な値であってよい。全期間THIGH+TLOWは100ms以下とすることができ、これにより、ユーザへの信号の全体的なリフレッシュサイクル時間を、変化する磁気応答に対する出力信号の大幅な遅延なしに、少なくとも10Hzの周波数に維持できる。
【0082】
動作中、信号の振幅は、第1の振幅レベルAHIGHと第2の振幅レベルALOWとの間を、中断されることなく連続的に交互に入れ替わることができる。いくつかの実施形態では、信号は、本明細書に記載されているようにマーカー6とトレーサー7又は他のバックグラウンド磁気源との間の区別を可能にするために、互いに異なる3つ以上のゼロでない連続した振幅を循環していてよい。しかしながら、信号は有利には、システムの動作中に決して中断されないものとすることができる。これは、本開示のシステムが磁場の微妙な変化の検出使用されるものであるため、重要となり得る。間に信号のない期間を挟むことなく、プローブ10に電圧を繰り返し印加することにより、材料の大きな熱膨張及び収縮が繰り返されることによる熱ドリフトの結果として、マーカー6の検出が大幅に不正確になる場合がある。プローブ10の熱膨張/収縮によって引き起こされる変化がわずかであっても、検出の精度に劇的な影響を与える恐れがある。本開示に従って、中断なく続く2つの振幅を使用することにより、このような熱の影響を最小限に抑えることができる。
【0083】
生成された信号は、1つ以上の駆動コイル120を励起する。1つ以上の駆動コイルは、交番磁場を生成する。生成された磁場は、少なくとも1片のラージ・バルクハウゼン・ジャンプ(LBJ)材料で構成された磁気マーカー6を内包する組織中へと伸長する。本明細書に記載されているように、交番磁場は、駆動信号の各振幅レベルに対応する2つ以上の異なる振幅レベルで生成できる。例えば上記磁場は、振幅レベルAHIGH及びALOWにそれぞれ対応する第1の振幅レベルHHIGH及び第2の振幅レベルHLOWで生成できる。
【0084】
周波数生成器110が生成した駆動信号を電気的にフィルタリングすることによって、駆動信号のいずれの高調波部分を減衰させることができ、これにより、交番磁場が主に又は実質的に所望の励起又は駆動周波数のものとなる。駆動信号のフィルタリング及び処理により、いずれの高調波周波数成分を数桁、大幅に低減できる。これは、高調波応答として誤って解釈される可能性がある、比較的高い周波数でのスプリアスな応答の回避に役立つことができる。
【0085】
交番磁場はマーカー6を励起する。マーカー6の磁化は上述のように、応答磁場における高調波成分の生成につながる。マーカー6の構成に応じて、上記高調波は奇数次高調波(3次、5次、7次等)、又は偶数次高調波(2次、4次、6次等)、又は奇数次高調波と偶数次高調波との組み合わせであってよい。マーカー6は、感知信号内において、上記高調波周波数のうちの1つ以上の大きさを直接測定することによって、又は1つ以上の高調波の大きさの、他の1つ以上の高調波の大きさ、若しくは基本周波数の大きさに対する比を測定することによって、検出できる。
【0086】
交番磁場はトレーサー7も励起できる。トレーサーの空間的分布は通常不明である。交番磁場の振幅が、プローブ10を取り囲む体積中の全てのトレーサー7について、上述の線形閾値未満である場合、トレーサーの空間的分布にかかわらず、トレーサー7の磁気応答は線形である。トレーサーの磁化は、基本周波数での駆動磁場に応答して、大きな基本周波数成分を有する応答磁場の生成をもたらす。
【0087】
しかしながら、交番磁場の振幅が、プローブ10を取り囲む体積中の全てのトレーサー7について、上述の線形閾値を越えている場合、トレーサー7の磁気応答は非線形となり得る。トレーサー7の非線形の応答は、駆動磁場に応答して、1つ以上のより高い周波数の成分をもたらし得る。従って、トレーサー7が生成した応答磁場は、基本周波数の駆動磁場に応答して、1つ以上の高調波周波数成分を含む場合がある。
【0088】
マーカー6及びトレーサー7からの応答磁場を1つ以上の感知コイル130が検出することにより、感知電圧又は電流が生成される。例えば感知コイル130は上述のように、第1の期間THIGH中に第1の感知信号S1を、そして第2の期間TLOW中に第2の感知信号S2を検出できる。駆動信号が3つ以上の異なる振幅を有する場合、更なる期間中に更なる感知信号Snが検出され得る。感知コイル130は、例えばプローブ10のようなハンドヘルドプローブ又はロボット式プローブ内に配設できる。電子フィルタ140は、連続した感知信号の、少なくとも駆動周波数の成分を減衰させるよう構成されていてよく、これにより、結果として得られる信号は駆動周波数の成分を最小限しか有さず、信号のより高次の高調波成分、例えば2次、3次、4次、5次、又は7次高調波、あるいはこれらの順列又は組み合わせを含む。フィルタ140は、例えばコンデンサ、インダクタ、及び抵抗器の公知の構成を備えたパッシブLCR型フィルタ、又は公知の構成、例えば1つ以上のオペアンプをベースとした構成を備えたアクティブフィルタの形態を取ることができる。
【0089】
フィルタリングされた信号は、
図7に示されている高調波検出回路150に供給でき、これは、感知信号S
1、S
2、S
nの1つ以上の高調波成分の信号対ノイズ比を改善し、信号を、プローブ10からマーカー6までの距離の測定値に変換する。高調波検出回路150は、トレーサー7又は他のバックグラウンド磁性材料が生成するスプリアスな高調波応答をフィルタリングするように構成できる。高調波検出回路150は多数の動作ステップを実行できる。高調波検出回路150の機能は上述のように、マイクロコントローラ及びFPGAによって実施できる。
【0090】
高調波検出回路150は、ノイズ低減のための相互相関151を実行するように構成できる。高調波検出回路150は、相互相関151によって、連続する感知信号S1、S2、Snを複数の周波数成分に分離するように構成できる。例えば相互相関151は、各信号を、基本高調波信号152と、少なくとも1つのn次高調波信号153とに分離できる。
【0091】
高調波検出回路150は、期間の決定154を実行するように構成できる。期間の決定は、マーカー6の位置特定のために第1の期間THIGH又は第2の期間TLOWのいずれを使用するかを決定するステップを含む。例えば、2つの異なる振幅AHIGH、ALOWが使用される場合、期間の決定154は、第1の感知信号S1及び第2の感知信号S2のスペクトル分析に基づくものであってよい。分析されたスペクトルを、所定の値、例えば感知信号に対応する既知の値又は予測された値と比較できる。例えば第1の感知信号S1及び/又は第2の感知信号S2を、単離された磁気マーカー及び単離された2次源からの、事前に記録された応答と比較してよい。
【0092】
期間の決定154は、基本高調波信号152と、感知信号S1及びS2それぞれについて生成された少なくとも1つのn次高調波信号153とに基づくものであってよい。例えば、基本高調波信号152と少なくとも1つのn次高調波信号153との間の比を、感知信号S1及びS2それぞれについて計算できる。この比は、高調波比と呼ばれる場合もある。高調波検出回路150は、基本高調波信号152と、第1の感知信号S1中のn次高調波信号153とに基づいて、第1の高調波比R1を計算するよう構成できる。高調波検出回路150は、基本高調波信号152と、第2の感知信号S2中のn次高調波信号153とに基づいて、第2の高調波比R2を計算するよう構成できる。他の実施形態では、期間の決定154は、感知信号S1及びS2それぞれについて生成された、基本高調波信号以外の2つ以上の高調波信号に基づくものであってよい。例えば、n次高調波信号153と、更なる(n+x)次高調波信号(図示せず;ここでxは整数、例えば奇数又は偶数である)との間の比を、感知信号S1及びS2それぞれについて計算してよい。
【0093】
いくつかの例では、期間の決定154はR1とR2との比較に基づくものであってよい。第1の感知信号S1の応答の線形性が予測より高いことが決定される場合がある。例えば、R1がR2より大幅に高いことが決定される場合がある。これは、励起された磁性材料からの予測よりも多い部分が、n次高調波信号153を生成することなく基本高調波信号152を生成していること、即ち励起された磁性材料のうち予測よりも多い部分が、非LBJ材料で構成されできることを示す。これはプローブ10の付近に2次源が存在することの指標となり得、この場合、2次源の線形性はマーカー6よりも高い。例えばこれは、トレーサー7が存在することを示す場合がある。
【0094】
トレーサー7の存在が決定されたことに基づいて、期間の決定154により、マーカー6の近接度を検出するためには第2の期間TLOWがより適切であると決定できる。
【0095】
いくつかの例では、期間の決定154は、R1に関する閾値に基づくものであってよい。例えば閾値は、マーカー6の予測される応答に基づくものであってよい。マーカー6は典型的には、基本高調波信号152とn次高調波信号153との間の、設計された又は測定された応答の比を有してよい。例えば、ある特定のマーカー6は、例えば基本高調波信号152と例えば3次高調波信号との間の、100~5000の比、又は更に具体的には約400の比を有してよい。R1の閾値は、この比より高くなるように、例えば400を超えるように、設定できる。閾値より大きい感知信号のR1の値は、マーカー6のみについて予測されていたよりも多量の非LBJ材料が存在することを示す可能性があり、これはトレーサー7又は磁性材料の2次源の存在を示す可能性がある。
【0096】
場合によっては、本明細書に記載されているように、トレーサー7は第1の期間THIGHの間に非線形の応答を示すこともある。トレーサー7の非線形の応答は、マーカー6の応答よりも線形性が高いものであり得る。このような場合、第1の期間THIGHと第2の期間TLOWとの間の線形性の変化に基づいて、トレーサー7の存在の決定を可能にすることができる。
【0097】
いくつかの例では、期間の決定154は第2の感知信号S2に基づくものであってよい。比R2は、マーカー6のみについて予測されていたよりも高い線形性を有し得る。例えばR2は、マーカー6について予測された比よりも高い可能性がある。閾値をR2について設定できる。この閾値より高いR2の値は、トレーサー7の存在を示すことができる。
【0098】
いくつかの例では、最小閾値を感知信号S1及びS2のうちのいずれか又は両方のn次高調波信号153に適用してよい。これにより、誤ったスイッチングを回避できる。例えばマーカー6の不在によって、ゼロでない又はバックグラウンドノイズのレベルのn次高調波信号153がもたらされた場合、比R1又はR2は非現実的な高さとなり得る。
【0099】
2次源が存在する、例えばトレーサー7が存在すると決定された場合、第2の感知信号S2のみを用いてマーカー6の位置を特定できる。第1の期間THIGHの間、n次高調波信号153は、トレーサー7の非線形の応答に由来する成分を含み得る。第1の期間THIGHからの第1の感知信号S1を使用するのは適切でない場合がある。第2の期間TLOWにおけるトレーサー7の応答は、線形であると仮定できる。基本高調波信号152は無視でき、第2の感知信号S2に由来するn次高調波信号153を用いてマーカー6の位置を特定できる。
【0100】
2次源が存在しない、例えばトレーサー7が存在しないことが決定された場合、第1の感知信号S1及び/又は第2の感知信号S2を用いてマーカー6の位置を特定できる。期間の決定154は、第1の期間THIGHがより適切であると決定でき、これにより、比較的高い磁場強度HHIGHを用いたマーカー6の検出範囲を増大させることができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、この場合に第2の決定を実施する。第2の感知信号S2が特に高い場合、これは、マーカー6がプローブ10に極めて近接していることの指標である可能性がある。期間の決定154は、第2の期間TLOWがより適切であると決定できる。特に、マーカー6が第1の期間THIGH中に高い駆動磁場で異常な挙動を示す可能性があるため、第2の感知信号S2のみを使用してよい。いくつかの例では、期間の決定154は、第1の期間THIGH及び第2の期間TLOWの両方の仕様が適切であると決定する場合もある。
【0102】
同様の方法論を、トレーサー7以外の異なる複数の源に由来するスプリアスな信号を排除するために適用できる。例えば、手術中にプローブ10の近傍にある金属製の物体から、患者の身体から、外科医の手から、又は生検マーカーから、線形の信号が発生する可能性がある。高調波検出回路150は、感知回路の電子部品を飽和させない程度に十分に小さな、いずれのこのような信号を排除できる。
【0103】
高調波検出回路150は更に、n次高調波マーカー信号154に対して信号変換155を実行して出力信号を生成するように構成できる。出力信号は例えばマーカー近接度値を含んでよく、これはプローブ10からマーカー6までの距離の測定値を表す。マーカー近接度信号は、同時係属中の国際特許出願PCT/GB2021/051750号によって開示されているようなものであってよい。
【0104】
従って、上記出力信号は音声信号及び/又はディスプレイ信号を含んでよい。ユーザのディスプレイ及び音声生成器160は、例えばマーカー6の近接度又は磁気信号の大きさを示す視覚及び/又は音声出力をユーザに提供できる。システムは、マーカー6の近接度、サイズ、距離/方向、若しくは配向、又はこれらの組み合わせを示すことができる。いくつかの実施形態では、システムは更に、2次源が存在するかどうかを、高調波検出回路150の決定に基づいて示すことができる。いくつかの実施形態では、出力信号は触覚信号を含んでよい。比較的適切な又は最も適切な駆動信号の振幅を選択し、n次高調波周波数応答がマーカー6のみによって生成されることを保証することによって、本開示の磁気検出システム1は、マーカー6の近接度、サイズ等の、大幅に改善された表示を提供できる。いくつかの実施形態では、磁気検出システム1は、マーカー6とトレーサー7とを正確に区別でき、これにより、トレーサー7の存在下でのマーカー6の改善された位置特定を提供できる。いくつかの場合には、磁気検出システム1は、トレーサー7の不在下で、より広い範囲においてマーカー6をより正確に検出できる。本開示の磁気検出システム1は、マーカー6の位置特定の精度を改善でき、また対応する病変のより正確な除去を可能とすることができる。従って、本開示の磁気検出システム1は、外科医が病変の範囲をより正確に判断できるようにすることによって、過剰な組織除去の発生を低減でき、これにより、回復時間及び手術の転帰を改善できる。
【0105】
他の場合には、本開示の磁気検出システム1は、磁気マーカーのサイズ又は量のより正確な表示を提供でき、この場合、磁気マーカーは、非線形磁気応答を提供するいずれの材料のサンプルに対応するものであってよい。本開示の磁気検出システム1は、駆動信号が所望の基本周波数成分に加えてスプリアスな周波数成分を含む場合であっても、サイズ又は量の決定を改善できる。
【0106】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、第2の感知信号S2のみを用いることを決定することなく、2次源が存在するという表示を出力できる。例えば、2次信号が過度に高いために、上述の補正を実行できない場合がある。このような場合には、システムはユーザに、2次源が干渉を引き起こしている可能性があるという表示を提供できる。
【0107】
本明細書に記載されている、本開示の検出システムと共に使用されるマーカーは、それぞれ、その磁化曲線の大きなバルクハウゼン不連続性によって生成される交番磁場に対する高調波又は非線形応答を提供する、1つ以上の長さの材料(「磁気マーカー材料」)で構成されていてよい。このような材料の例としては:鉄、コバルト、及びニッケルが豊富な、ガラスコーティングされた非晶質マイクロワイヤ;鉄‐ケイ素‐ホウ素ベースの非晶質マイクロワイヤ;鉄‐コバルトベースの非晶質マイクロワイヤ;並びにバルク金属ガラスワイヤが挙げられる。
【0108】
いくつかの実施形態では、(その磁化曲線に大きなバルクハウゼン不連続性を有する材料から形成された)上記1つ以上の長さの磁気マーカー材料は:小さな針を介してマーカーを送達できるように、2mm未満の直径を有する、ある長さの中実ワイヤ(長さ10mm未満);例えば5~100マイクロメートルのコア直径、及び例えば0.5~40マイクロメートルのコーティング厚さを有する、ガラスコーティングされたマイクロワイヤ;2つ以上の長さの、中実ワイヤ若しくはガラスコーティングされたマイクロワイヤの束;又は中空チューブで構成されていてよい。
【0109】
いずれのマーカーは、2片以上の磁気マーカー材料と、磁気マーカー材料の片を接合又は包含してマーカーの最終的な外形を形成するための追加の材料とで構成されていてよい。マーカーは、マーカーの複数の長さの磁気材料を中に保持する、別の材料の1つのチューブ、複数のチューブ、又は全体若しくは部分シェルを含んでよい。マーカーは、電子部品、例えばコイル、ダイオード、及びトランジスタを含んでよく、例えばダイオードを伴うLC回路(コンデンサとインダクタとの組み合わせ)は、非線形の応答を生成できる。磁性材料は、生体適合性材料でコーティングされていてよく、又は生体適合性材料に内包されていてよい。例えば、磁気マーカー材料を内包するチューブ又はシェルは、316ステンレス鋼、チタン、ニチノール、チタン合金等といった、生体適合性の塑性変形可能な材料で構成されていてよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、プローブ10は1つ以上の駆動コイル120を備えてよい。あるいは交番磁場は、例えば回転する永久磁石によって生成できる。
【0111】
プローブ10は、1つ以上の感知コイル130、あるいはソリッドステート式磁力計を備えてよい。いくつかの実装形態では、プローブ10は、いずれの好適な磁気センサ、例えばホール効果センサ、MEMSセンサ、磁気トランジスタ/磁気ダイオード、SQUID磁力計、AMR(Anisotropic Magneto‐Resistive:異方性磁気抵抗性)センサ、又はGMR(Giant Magneto Resistance:巨大磁気抵抗)センサを備えてよい。
【0112】
駆動周波数は、100Hz~100kHzであってよい。感知信号を最大化するためには、100kHzに近い比較的高い周波数が有利となり得る。周波数が高いほど、検出中に平均される1秒あたりのサイクル数も多くすることができ、これにより、「リアルタイムの」出力をユーザに送達しながら、即ち出力信号を1秒あたり少なくとも10回更新しながら、ノイズの抑制を改善できる。従って、ノイズの抑制のためには、少なくとも1000Hz、好ましくは少なくとも10kHzの周波数が望ましい場合がある。例えば、見かけ上「リアルタイムの」応答をユーザに提供するには、少なくとも0.1秒ごとに出力を更新する必要があり得る。1kHzの周波数では、ユーザへの各更新の間に100サイクルを平均でき、10kHzでは、ユーザへの各更新の間に1000サイクルを平均できる。
【0113】
より低い駆動周波数から利点が得られる場合もあり、上記利点としては、(渦電流が発生しやすい場合;例えばマーカーの導電率が高い場合に)マーカーにおける、及び周囲の組織からの、渦電流損失の低減、並びにマーカーにおける比較的強力な磁気スイッチングが挙げられる。渦電流損失の低減のためには、50kHz未満、好ましくは30kHz未満の周波数が有利となり得る。手術室の環境では、電磁干渉信号は100kHzを超える周波数で比較的頻繁に発生し得るため、関心対象の高調波が100kHz未満となるように駆動周波数を選択すると有益となり得る。
【0114】
本開示の態様を、特定の実施形態を参照して説明したが、これらの実施形態は本開示の原理及び用途の単なる例示であることを理解されたい。従って、これらの例示的な実施形態に対して多数の修正を実施できること、及び添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲から逸脱することなく、他の構成を考案できることを理解されたい。
【0115】
以上の説明には様々な詳細が記載されているが、埋入された1つ以上のマーカーの識別、位置特定、追跡、及び検出に好適な診断及び/又は外科用ガイドシステムを操作するための技法の様々な態様は、これらの具体的詳細を用いずに実行される場合もあることが理解されるだろう。本明細書に記載の構成要素(例えば操作)、デバイス、オブジェクト、及びこれらに付随する説明が、概念を明確にするための例として使用されていること、並びに構成の様々な修正が企図されることは、当業者には認識されるだろう。従って本明細書中で使用される場合、上述の具体例及びそれに付随する説明は、これらの具体例のより一般的なクラスを代表することを意図したものである。一般に、いずれの具体的な典型の使用は、そのクラスを代表することを意図したものであり、具体的な構成要素(例えば操作)、デバイス、オブジェクトが含まれていないことを限定と解釈してはならない。
【0116】
さらに、いくつかの形態が図示および説明されているが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限または限定することは、出願人の意図ではない。それらの形態に対する多数の修正、変形、変更、置換、組合せ、および均等物が、実装されてもよく、本開示の範囲から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。さらに、記載された形態に関連する各要素の構造は、要素によって実行される機能を提供する手段として代替的に記載され得る。また、材料が特定の構成要素について開示されている場合、他の材料を使用してもよい。したがって、前述の説明および添付の特許請求の範囲は、開示された形態の範囲内に入るすべてのそのような変更、組合せ、および変形を包含することが意図されていることを理解されたい。添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような修正、変形、変更、置換、修正、および均等物を包含することが意図される。
【0117】
本開示を簡潔かつ明瞭にするために、前述の開示の選択された態様は、詳細にではなくブロック図形式で示されている。本明細書で提供される詳細な説明のいくつかの部分は、基地局の1つまたは複数のコンピュータメモリまたは1つまたは複数のデータ記憶装置、あるいはその中で動作する1つまたは複数のプロセッサまたはマイクロプロセッサ(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ、ならびに他の光学および磁気記憶装置および媒体)に記憶されたデータ上で動作する命令に関して提示され得る。そのような説明および表現は、当業者が自分の仕事の内容を説明し、他の当業者に伝えるために使用される。概して、アルゴリズムは、所望の結果をもたらす工程の自己矛盾のないシーケンスを指し、「工程」は、必ずしも必要ではないが、記憶、転送、結合、比較、および他の操作をされることが可能な電気または磁気信号の形態をとり得る、物理量および/または論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数などと呼ぶことが一般的である。これらおよび同様の用語は、適切な物理量に関連付けられてもよく、これらの量および/または状態に適用される便利なラベルにすぎない。本明細書で開示される様々な方法工程は、データチャネルからの入力に基づいて動作し、ユーザ動作データ、ユーザフィードバック信号、情報、および画像などの様々なタイプのデータを含む出力を生成することができるアルゴリズム、データ構造、および命令として実装またはプログラムすることができる。
【0118】
前述の開示から明らかであるように特に別段の記載がない限り、前述の開示を通して、「処理する」または「計算する」または「計算する」または「決定する」または「表示する」等の用語を使用する議論は、コンピュータシステム、プロセッサベースの基地局、または同様の電子計算装置の動作およびプロセスを指し、これらは、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリまたはレジスタまたは他のそのような情報記憶、伝送、または表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに変換することを理解されたい。
【0119】
一般的な意味で、当業者は、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せによって個別におよび/または集合的に実装され得る本明細書で説明される様々な態様が、様々なタイプの「電気回路」から構成されると見なされ得ることを認識するであろう。したがって、本明細書で使用される「電気回路」は、少なくとも1つの離散電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成される汎用コンピューティング装置を形成する電気回路(例えば、本明細書で説明されるプロセスおよび/または装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成される汎用コンピュータ、または本明細書で説明されるプロセスおよび/または装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されるマイクロプロセッサ)、記憶装置を形成する電気回路(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)、および/または通信装置を形成する電気回路(例えば、モデム、通信スイッチ、または光電気機器)を含むが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で説明される主題が、アナログまたはデジタル方式で、あるいはそれらの何らかの組合せで実装され得ることを認識するであろう。
【0120】
前述の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、および/または実施例の使用を介して、装置および/またはプロセスの様々な形態を説明してきた。そのようなブロック図、フローチャート、および/または実施例が1つまたは複数の機能および/または動作を含む限り、そのようなブロック図、フローチャート、および/または実施例内の各機能および/または動作は、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または事実上それらの任意の組合せによって、個別におよび/または集合的に実装され得ることが当業者には理解されよう。一形態では、本明細書で説明する主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、または他の統合フォーマットを介して実装され得る。しかしながら、当業者は、本明細書で開示される形態のいくつかの態様が、全体的または部分的に、集積回路において、1つまたは複数のコンピュータ上で実行される1つまたは複数のコンピュータプログラムとして(例えば、1つまたは複数のコンピュータシステム上で実行される1つまたは複数のプログラムとして)、1つまたは複数のプロセッサ上で実行される1つまたは複数のプログラムとして(例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサ上で動作する1つまたは複数のプログラムとして)、ファームウェアとして、または事実上それらの任意の組合せとして、同等に実装され得ること、および、回路の設計および/またはソフトウェアおよび/またはファームウェアのためのコードの書き込みは、本開示に照らして当業者の技能の範囲内であることを、認識するであろう。
【0121】
さらに、当業者は、本明細書で説明される主題の機構が、種々の形態で1つまたは複数のプログラム製品として配布可能であること、および本明細書で説明される主題の例示的形態が、実際に配布を行うために使用される特定の種類の信号伝達媒体にかかわらず適用されることを理解するであろう。信号伝達媒体の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリ等の記録可能な媒体;および、デジタルおよび/またはアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波路、有線通信リンク、無線通信リンク(例えば、送信機、受信機、送信論理、受信論理等)等)のような伝送型媒体。
【0122】
また、説明したように、いくつかの態様は、1つまたは複数の方法として実施され得る。方法の一部として実行される行為は、任意の適切な方法で順序付けることができる。したがって、例示的な実施形態では連続的な動作として示されているが、動作が説明されているのとは異なる順序で実行される実施形態が構築されてもよく、いくつかの動作を同時に実行することを含み得る。
【0123】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「および/または」という用語は、そのように結合された要素、すなわち、場合によっては連結的に存在し、他の場合では分離的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されるべきである。
【0124】
本明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用される場合、1つまたは複数の要素のリストに関して「少なくとも1つ」という用語は、要素のリスト中の要素のうちの任意の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも、要素のリスト内に具体的に列挙された各要素およびすべての要素のうちの少なくとも1つを含むとは限らず、要素のリスト内の要素の任意の組合せを除外するとは限らない。この定義はまた、「少なくとも1つ」という用語が指す要素のリスト内で具体的に識別される要素以外の要素が、具体的に識別される要素に関係するかまたは関係しないかにかかわらず、随意に存在し得ることを許容する。
【0125】
用語「およそ」および「約」は、いくつかの実施形態では目標値の±20%以内、いくつかの実施形態では目標値の±10%以内、いくつかの実施形態では目標値の±5%以内、さらにいくつかの実施形態では目標値の±2%以内を意味するために使用され得る。用語「およそ」および「約」は、目標値を含み得る。
【0126】
特許請求の範囲ならびに上記明細書において、「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「関与する」、「保持する」、「からなる」などのすべての移行句は、オープンエンドである、すなわち、含むが限定されないことを意味すると理解されるべきである。移行句「からなる」および「本質的にからなる」は、それぞれ、閉じたまたは半閉じた移行句であるものとする。
【0127】
値の範囲またはリストが提供される場合、その値の範囲またはリストの上限と下限との間の各介在値は、個々に企図され、各値が本明細書に具体的に列挙されているかのように本開示内に包含される。さらに、所与の範囲の上限と下限との間の、およびそれらを含むより小さい範囲が、本開示内に想定され、包含される。例示的な値または範囲の列挙は、所与の範囲の上限と下限との間およびそれらを含む他の値または範囲の放棄ではない。
【0128】
本出願における見出しおよびセクションの使用は、本開示を限定することを意味しない;各セクションは、本開示の任意の態様、実施形態、または特徴に適用することができる。用語「手段(means for)」を使用する請求項のみが、35 USC 112、第6段落の下で米国においてのみ解釈されることが意図される。請求項に「手段」の記載がない限り、そのような請求項は、35 USC 112の下で解釈されるべきではない。米国外では、用語「手段(means for)」は、それらの当然の手段を有することを意図する。本明細書からの限定は、そのような限定が特許請求の範囲に明示的に含まれない限り、いかなる特許請求の範囲にも読まれることを意図しない。
【0129】
本明細書で開示される実施形態は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化され得る。したがって、実施形態は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む。)、またはソフトウェアおよびハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態をとることができ、これらはすべて、本明細書では一般に「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ぶことができる。さらに、実施形態は、コンピュータ可読プログラムコードが具現化された1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。
【0130】
本明細書では、特定の実施形態を参照して本発明の態様を説明してきたが、これらの実施形態は、本発明の原理および適用の単なる例示であることを理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に多数の変更を加えることができ、他の構成を考案することができることを理解されたい。
他の実施形態
1. 外科医を外科手術中の関心領域へとガイドするために磁気マーカーを検出する方法であって、
2つ以上の連続する期間の周期的パターンを有する駆動磁場を生成する工程であって、前記駆動磁場は、前記連続する期間それぞれの間に、略一定のゼロでない振幅を有し、前記期間のうちの少なくとも1つの間の前記駆動磁場の前記振幅は、前記期間のうちの他の少なくとも1つの間の前記駆動磁場の前記振幅とは異なっている、工程;
応答磁場を検出する工程;
各サイクルの前記連続する期間それぞれの間に検出された前記応答磁場にそれぞれ対応する複数の感知信号から、少なくとも1つの信号を選択する工程;
選択された前記少なくとも1つの信号を用いて、前記磁気マーカーに対応する検出信号を決定する工程;及び
前記検出信号の強度に基づいて出力信号を生成する工程
を含む、方法。
2. 前記周期的パターンを形成する前記2つ以上の連続する期間が、互いに実質的に連続的であることを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
3. 前記連続する期間のうちの少なくとも1つの間の前記駆動磁場の前記振幅が、前記連続する期間のうちの他の少なくとも1つの間の前記駆動磁場の前記振幅に比べて高いことを特徴とする、実施形態1または2に記載の方法。
4. 前記連続する期間のうちの他の少なくとも1つの間の前記駆動磁場の前記振幅が、前記連続する期間のうちの少なくとも1つの間の前記駆動磁場の前記振幅に比べて相対的に低いことを特徴とする、実施形態1~3のいずれかに記載の方法。
5. 前記応答磁場が、前記連続する期間の前記反復パターンの略全体にわたって検出されることを特徴とする、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
6. 前記各サイクル内の前記連続する期間の持続時間が、略同一であるかまたは互いに異なることを特徴とする、実施形態1~5のいずれかに記載の方法。
7. 前記駆動磁場が、全ての前記連続する期間の間、略一定の周波数を有することを特徴とする、実施形態1~6のいずれかに記載の方法。
8. 前記周期的パターンが、2つの連続する期間を含み、前記応答磁場が、第1の周波数の第1の応答成分と、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数の第2の応答成分とを含むことを特徴とする、実施形態1~7のいずれかに記載の方法。
9. 磁気マーカーを検出する方法であって、
第1の周波数を有する駆動磁場を生成する工程であって、前記駆動磁場は、第1の期間にわたる第1の振幅と、第2の期間にわたる、前記第1の振幅より小さい第2の振幅とを有する、工程;
前記第1の周波数の第1の応答成分と、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数の第2の応答成分とを含む、応答磁場を検出する工程;
前記応答磁場に基づいてプロセッサにより、前記第1の期間中に検出された前記応答磁場に対応する第1の感知信号、及び前記第2の期間中に検出された前記応答磁場に対応する第2の感知信号から、少なくとも1つの信号を選択する工程;
前記プロセッサにより、選択された前記少なくとも1つの信号を用いて、前記磁気マーカーに対応する検出信号を決定する工程;及び
出力のために前記プロセッサにより、前記検出信号の強度に基づいて出力信号を生成する工程
を含む、方法。
10. 前記駆動磁場を生成する工程が、前記第1の振幅と前記第2の振幅との間を交互に入れ替える工程を含むことを特徴とする、実施形態8または9に記載の方法。
11. 前記第1の期間及び前記第2の期間が、1秒間より短いことを特徴とする、実施形態8~10のいずれかに記載の方法。
12. 前記少なくとも1つの信号を選択する工程が、2次磁気源の存在を特定する工程に基づくことを特徴とする、実施形態8~11のいずれかに記載の方法。
13. 前記2次磁気源が液体磁性トレーサーであることを特徴とする、実施形態12に記載の方法。
14. 前記2次磁気源の存在を特定する工程が、前記第1の周波数の前記第1の応答成分と前記第2の周波数の前記第2の応答成分との間の高調波比を計算する工程を含むことを特徴とする、実施形態12または13に記載の方法。
15. 前記2次磁気源の存在を特定する工程が、前記第1の感知信号に基づく第1の高調波比を、前記第2の感知信号に基づく第2の高調波比と比較する工程を含むことを特徴とする、実施形態14に記載の方法。
16. 前記2次磁気源の存在を特定する工程が、前記応答磁場のスペクトル分析を、単離された磁気マーカー及び単離された2次源からの、事前に記録された応答と比較する工程に基づくことを特徴とする、実施形態12~15のいずれかに記載の方法。
17. 前記少なくとも1つの信号を選択する工程が、前記第1の感知信号及び/又は前記第2の感知信号の大きさの絶対値に基づくことを特徴とする、実施形態8~16のいずれかに記載の方法。
18. 前記少なくとも1つの信号を選択する工程が、記第1の感知信号及び/又は前記第2の感知信号の大きさの絶対値が所定の閾値を超えるかどうかに基づくことを特徴とする、実施形態17に記載の方法。
19. 外科医を外科手術中の関心領域へとガイドするために磁気マーカーを検出するための磁気検出システムであって、
2つ以上の連続する期間を含む周期的パターンを有する対応する駆動信号に基づいて駆動磁場を生成するよう構成された駆動ユニットであって、前記駆動信号は、前記連続する期間それぞれの間に、略一定のゼロでない振幅を有し、前記期間のうちの少なくとも1つの間の前記駆動信号の前記振幅は、前記期間のうちの他の少なくとも1つの間の前記駆動信号の前記振幅とは異なっている、駆動ユニット;
応答磁場を検出するよう構成された、磁場センサ;
各サイクルの前記連続する期間それぞれの間に検出された前記応答磁場にそれぞれ対応する複数の感知信号から、前記応答磁場に基づいて少なくとも1つの信号を選択し、選択された前記少なくとも1つの信号を用いて、前記磁気マーカーに対応する検出信号を決定し、前記検出信号の強度に基づいて出力信号を生成するよう構成された、プロセッサ
を備える、磁気検出システム。
20. 前記駆動信号の前記周期的パターンを形成する前記2つ以上の連続する期間が、互いに実質的に連続的であることを特徴とする、実施形態19に記載の磁気検出システム。
21. 前記連続する期間のうちの少なくとも1つの間の前記駆動信号の前記振幅が、前記連続する期間のうちの他の少なくとも1つの間の前記駆動信号の前記振幅に比べて高いことを特徴とする、実施形態19または20に記載の磁気検出システム。
22. 前記連続する期間のうちの他の少なくとも1つの間の前記駆動信号の前記振幅が、前記連続する期間のうちの少なくとも1つの間の前記駆動信号の前記振幅に比べて相対的に低いことを特徴とする、実施形態19~21のいずれかに記載の磁気検出システム。
23. 前記応答磁場が、前記連続する期間の前記反復パターンの略全体にわたって検出されることを特徴とする、実施形態19~22のいずれかに記載の磁気検出システム。
24. 前記各サイクル内の前記連続する期間の持続時間が、略同一であるかまたは互いに異なることを特徴とする、実施形態19~23のいずれかに記載の磁気検出システム。
25. 前記駆動信号が、全ての前記連続する期間の間、略一定の周波数を有することを特徴とする、実施形態19~24のいずれかに記載の磁気検出システム。
26. 前記周期的パターンが、2つの連続する期間を含み、前記応答磁場が、第1の周波数の第1の応答成分と、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数の第2の応答成分とを含むことを特徴とする、実施形態19~25のいずれかに記載の磁気検出システム。
27. 磁気マーカーを検出するための磁気検出システムであって、
第1の周波数を有する駆動磁場を生成するよう構成された、駆動ユニットであって、前記駆動磁場は、第1の期間にわたる第1の振幅と、第2の期間にわたる、前記第1の振幅より小さい第2の振幅とを有する、駆動ユニット;
前記第1の周波数の第1の応答成分と、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数の第2の応答成分とを含む、応答磁場を検出するよう構成された、磁場センサ;
プロセッサ
を備え、前記プロセッサは、
前記第1の期間中に検出された前記応答磁場に対応する第1の感知信号、及び前記第2の期間中に検出された前記応答磁場に対応する第2の感知信号から、前記応答磁場に基づいて少なくとも1つの信号を選択し;
選択された前記少なくとも1つの信号を用いて、前記磁気マーカーに対応する検出信号を決定し;かつ
前記検出信号の強度に基づいて出力信号を生成する
よう構成されることを特徴とする、磁気検出システム。
28. 前記駆動ユニットが、前記第1の振幅と前記第2の振幅との間を交互に入れ替えることにより前記駆動磁場を生成するように構成されることを特徴とする、実施形態26または27に記載の磁気検出システム。
29. 前記第1の期間及び前記第2の期間が、1秒間より短いことを特徴とする、実施形態26~28のいずれかに記載の磁気検出システム。
30. 前記プロセッサが、2次磁気源の存在を特定することに基づいて前記少なくとも1つの信号を選択するように構成されることを特徴とする、実施形態26~29のいずれかに記載の磁気検出システム。
31. 前記2次磁気源が液体磁性トレーサーであることを特徴とする、実施形態30に記載の磁気検出システム。
32. 前記2次磁気源の存在を特定することが、前記第1の周波数の前記第1の応答成分と前記第2の周波数の前記第2の応答成分との間の高調波比を計算することを含むことを特徴とする、実施形態30または31に記載の磁気検出システム。
33. 前記2次磁気源の存在を特定することが、前記第1の感知信号に基づく第1の高調波比を、前記第2の感知信号に基づく第2の高調波比と比較することを含むことを特徴とする、実施形態32に記載の磁気検出システム。
34. 前記2次磁気源の存在を特定することが、前記応答磁場のスペクトル分析を、単離された磁気マーカー及び単離された2次源からの、事前に記録された応答と比較することに基づくことを特徴とする、実施形態30~33のいずれかに記載の磁気検出システム。
35. 前記プロセッサが、前記第1の感知信号及び/又は前記第2の感知信号の大きさの絶対値に基づいて前記少なくとも1つの信号を選択するように構成されることを特徴とする、実施形態26~34のいずれかに記載の磁気検出システム。
36. 前記プロセッサが、記第1の感知信号及び/又は前記第2の感知信号の大きさの絶対値が所定の閾値を超えるかどうかに基づいて前記少なくとも1つの信号を選択するように構成されることを特徴とする、実施形態35に記載の磁気検出システム。