(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】ヒドロキシプロピルチアゾリジンカルボキサミド誘導体のアルファ-アミノエステル及びその塩形態、結晶多形
(51)【国際特許分類】
A61K 31/426 20060101AFI20231102BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231102BHJP
A61P 15/08 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A61K31/426
A61P43/00 111
A61P15/08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022166814
(22)【出願日】2022-10-18
(62)【分割の表示】P 2018529284の分割
【原出願日】2017-01-04
【審査請求日】2022-10-18
(32)【優先日】2016-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516058551
【氏名又は名称】オブセヴァ エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナクソス ペイジ、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ジョラン-レブラン、キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】クアトロパーニ、アナ
(72)【発明者】
【氏名】ポメル、ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ロウマイェ、アーネスト
(72)【発明者】
【氏名】ポール、オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ゴットランド、ジャン-ピエール
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-531524(JP,A)
【文献】特表2005-537225(JP,A)
【文献】特表平09-504108(JP,A)
【文献】国際公開第2015/192878(WO,A1)
【文献】国際公開第03/082278(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0211626(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/426
A61K 45/00
A61P 15/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)によって表される化合物
【化1】
またはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物であって、前記薬学的組成物が追加の治療剤をさらに含む、薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロスタグランジンF2α(PGF2α)受容体に結合しその活性を阻害することのできる化合物、塩、及び結晶多形などの化学組成物、ならびに、処置を必要とする患者にこれらの組成物を投与することによって妊娠初期における早期分娩を防止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
早産は、先進国世界における周産期死亡率の一般的な原因であり、全ての出産のうちおよそ7%~10%で起こる(Berkowitz et al.Epidemiol.Rev.15:414-443(1993))。重度の病的状態、特に呼吸促迫症候群、脳室内出血、気管支肺異形成症、及び壊死性腸炎は、満期産児よりも早産児においてはるかに一般的である。脳性麻痺、視力障害、及び聴力損失などの長期機能障害も、早産児においてより一般的である。現在、早産は依然として米国における乳児の死亡及び病的状態の主因であり、米国では、産科医学の著しい改善にもかかわらず、多くの他の先進工業国よりも乳児死亡率が高く、低出生体重児の新生児集中治療のために1年に50億ドルを超えるコストがかかっている。この治療に関連する実際のコストは、呼吸促迫症候群、心臓の状態、脳性麻痺、癲癇、及び重度学習障害などの早期出生に関連した病気への医療提供を考慮に入れると、さらに高くなる。
【0003】
過去40年間の臨床調査の間、複数の治療剤の使用にもかかわらず、早産率は劇的に低下していない。早期分娩の防止は困難であり、子宮収縮抑制療法は依然として早期分娩の管理の基礎であるものの、この状態におけるその価値に関して普遍的な同意はなされていない。利用可能な子宮収縮抑制剤は、それ自体では48時間を超えて分娩を延長せず、これらの薬剤の大部分は子宮選択性が不十分であり、したがって、潜在的に深刻な副作用を母と胎児との両方にもたらし得る。
【0004】
基本的に、満期分娩及び早期分娩は、子宮収縮、頸部拡張、及び胎膜の活性化を特徴とする共通の生理学的エンドポイントを共有するという点で、同様のプロセスである。相違点は、これらのプロセスが起こる妊娠期間及びそれらが活性化される機序にある。満期分娩は最終経路の生理学的活性化から生じると考えられているが、早期分娩は、この経路の1つ以上の構成要素が異常に活性化される複数の病因を特徴とする病理学的状態である。
【0005】
子宮収縮は、子宮筋層細胞内の様々な受容体によって刺激または阻害される。子宮筋層の活性化は、アクチン、ミオシン、コネキシン-43を含む収縮関連タンパク質(CAP)、ならびにオキシトシン及びプロスタグランジンの受容体の協調発現から生じると仮定されている。一般に、細胞内ストアからのカルシウム流入またはカルシウム放出を引き起こす受容体は、収縮を刺激する。しかしながら、環状アデノシン一リン酸(cAMP)などの環状ヌクレオチドの産生に連関する受容体は、子宮を弛緩させる。例えば、オキシトシン及びプロスタグランジンF(FP)受容体は刺激性であり、一方で、cAMP形成に連関するβ2アドレナリン受容体及びプロスタグランジンE2受容体は阻害性である。
【0006】
子宮組織において、プロスタグランジンE2(PGE2)及びF2α(PGF2α)は、頸部の変化を誘導し、子宮収縮を誘発することが示されており、これらは、分娩及び出産の生理学における2つの主要な事象である。ヒトの子宮筋層におけるPGF2αによるFP受容体の活性化は、細胞内カルシウム濃度を上昇させ、これが次いで、子宮平滑筋細胞の収縮をもたらす(Abramovitz et al.J.Biol.Chem.269:2632-2636(1994)及びSenior et al.Br.J.Pharmacol.108:501-506(1993))。FP受容体は、満期に向けて子宮組織内で上方制御される(Al-Matubsi et al.Biol.Reprod.65:1029-1037(2001))。プロスタグランジン合成の阻害剤(例えばインドメタシン及びニメスリド)は、いくらかの子宮収縮抑制作用を示しているが、副作用が全くないわけではなく、臨床におけるそれらの無認可使用により、胎児の安全性に関する懸念が高まっている(Norton et al.New Engl.J.Med.329:1602-1067(1993)及びPeruzzi et al.New Engl.J.Med.354:1615(1999))。分娩につながる子宮収縮の持続的な阻害を可能にし、胎児の成熟の向上が生存の可能性を高める段階まで妊娠を延長する、子宮筋層選択性を有する治療薬の開発が、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、プロスタグランジンF2α(PGF2α)とプロスタグランジンF受容体との相互作用をアンタゴナイズすることのできる、ヒドロキシプロピルチアゾリジンカルボキサミド誘導体のアルファ-アミノエステル、ならびにその塩を包含する。これらの化合物は、早期分娩を処置または防止するために、妊娠中のヒト女性対象などの対象に投与され得る。本発明はさらに、これらの化合物を合成する方法、ならびにそれらの結晶形態を調製するための方法を提供する。
【0008】
第1の態様において、本発明は、式(I)によって表される化合物、
【化1】
(3S)-3-({[(2S)-3-(ビフェニル-4-イルスルホニル)-1,3-チアゾリジン-2-イル]カルボニル}-アミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロピルL-バリネート、またはその薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、本化合物は、式(III)によって表される、(3S)-3-({[(2S)-3-(ビフェニル-4-イルスルホニル)-1,3-チアゾリジン-2-イル]カルボニル}-アミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロピルL-バリネート塩酸塩である。
【化2】
【0009】
いくつかの実施形態において、本化合物は、約1nMの親和性でヒトプロスタグランジンF2α受容体に結合する。本発明の化合物は、他のプロスタグランジン受容体サブタイプと比べて、プロスタグランジンF2αなどのプロスタグランジンF受容体に選択的に結合する能力を示す。例えば、本発明の化合物は、プロスタグランジンE2受容体で観察されるものよりも約10倍高い、プロスタグランジンF2α受容体に対する親和性を呈する。さらに、本発明の化合物は、他のプロスタグランジン受容体サブタイプ、例えばプロスタグランジンE1、E3、E4、D1、D2、I1、及びI2受容体サブタイプに対するものよりも約100倍以上(例えば、約100倍~約1,000倍、例えば約100倍、110倍、120倍、130倍、140倍、150倍、160倍、170倍、180倍、190倍、200倍、210倍、220倍、230倍、240倍、250倍、260倍、270倍、280倍、290倍、300倍、310倍、320倍、330倍、340倍、350倍、360倍、370倍、380倍、390倍、400倍、410倍、420倍、430倍、440倍、450倍、460倍、470倍、480倍、490倍、500倍、510倍、520倍、530倍、540倍、550倍、560倍、570倍、580倍、590倍、600倍、610倍、620倍、630倍、640倍、650倍、660倍、670倍、680倍、690倍、700倍、710倍、720倍、730倍、740倍、750倍、760倍、770倍、780倍、790倍、800倍、810倍、820倍、830倍、840倍、850倍、860倍、870倍、880倍、890倍、900倍、910倍、920倍、930倍、940倍、950倍、960倍、970倍、980倍、990倍、1,000倍、またはそれ以上)高い、プロスタグランジンF2α受容体に対する親和性を呈する。いくつかの実施形態において、本化合物は、約300μg/mL~約500μg/mLの濃度で、例えば約380μg/mLの濃度で、水溶液中に可溶性である。
【0010】
いくつかの実施形態において、本化合物は、哺乳動物細胞などの細胞におけるイノシトール三リン酸の合成を阻害する。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞は、子宮筋層細胞などのヒト細胞である。いくつかの実施形態において、子宮筋層細胞は子宮筋細胞である。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象への本化合物の投与後、対象の子宮収縮の振幅の低減を誘導する。例えば、本化合物は、投与前に記録された対象の子宮収縮の振幅の測定値に対して約40%~約50%の低減を誘導し得る。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象への本化合物の投与後、対象において約1~約4時間の半減期を呈する。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象への本化合物の投与後、約0.25~約2時間以内に、対象における最大血漿濃度に達する。
【0011】
いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、哺乳動物はヒトである。いくつかの実施形態において、哺乳動物はイヌまたはラットなどの非ヒトである。いくつかの実施形態において、本化合物は対象に経口投与される。いくつかの実施形態において、本化合物は対象に静脈内投与される。
【0012】
別の態様では、本発明は、式(III)によって表される化合物であって、
【化3】
結晶状態である化合物を包含する。
【0013】
いくつかの実施形態では、本化合物は、約7.0°2θ、約8.1°2θ、約10.0°2θ、約20.1°2θ、約21.0°2θ、及び約23.5°2θにおける特徴的なX線粉末回折ピークを呈する。いくつかの実施形態において、本化合物は、約12.0°2θ、約13.1°2θ、約14.1°2θ、約16.4°2θ、約18.4°2θ、及び約29.5°2θにおけるX線粉末回折ピークをさらに呈する。いくつかの実施形態において、本化合物は、
図19、22、29、45~49、及び54のうちのいずれか1つに実質的に示されているようなX線粉末回折スペクトルを特徴とする。例えば、いくつかの実施形態において、本化合物は、
図49に実質的に示されているようなX線粉末回折スペクトルを特徴とする。
【0014】
いくつかの実施形態において、本化合物は、約1.1ppm、約3.3ppm、約4.9ppm、約5.4ppm、約7.1ppm、約7.7ppm、約7.9ppm、及び約8.0ppmを中心とする
1H核磁気共鳴(NMR)ピークを呈する。いくつかの実施形態において、本化合物は、
図21Aから
図21Dに実質的に示されているような
1H NMRスペクトルを特徴とする。
【0015】
いくつかの実施形態において、本化合物は、示差走査熱量測定によって測定した場合に約145℃~約147℃の吸熱を呈する。いくつかの実施形態において、本化合物は、示差走査熱量測定によって測定した場合に約214℃のさらなる吸熱を呈する。いくつかの実施形態において、本化合物は、
図20に実質的に示されているような示差走査熱量測定曲線を特徴とする。いくつかの実施形態において、本化合物は、示差走査熱量測定によって測定した場合に約228℃のさらなる吸熱を呈する。いくつかの実施形態において、本化合物は、
図23に実質的に示されているような示差走査熱量測定曲線を特徴とする。
【0016】
いくつかの実施形態において、本化合物は、25℃から100℃に加熱されたとき、熱重量分析によって測定した場合に約0.2%~約0.6%の重量損失を呈する。いくつかの実施形態において、本化合物は、100℃から160℃に加熱されたとき、熱重量分析によって測定した場合に約2.5%~約3.5%の重量損失を呈する。いくつかの実施形態において、本化合物は、
図24に実質的に示されているような熱重量分析曲線を呈する。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、上述の態様のうちのいずれかの化合物を含有する薬学的組成物を提供する。本薬学的組成物は、1つ以上の賦形剤を場合により含有してもよい。いくつかの実施形態において、本化合物は、例えば高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)またはNMR分光法によって確認した場合に、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%の純度を有する。いくつかの実施形態において、本化合物及び/または薬学的組成物は、対象への経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、錠剤、カプセル、ゲルキャップ、粉末、液体溶液、または液体懸濁液である。いくつかの実施形態において、本化合物及び/または薬学的組成物は、対象への静脈内投与のために製剤化される。
【0018】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、2つ以上の治療剤、例えば、本発明の化合物(例えば、式(I)によって表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、例えば式(III)によって表される化合物)と、追加の治療剤とを含有する。例えば、本薬学的組成物は、早期分娩の処置または防止などのために、患者への共投与のために互いと混和された2つ以上の治療剤を含有してもよい。本発明の薬学的組成物は、対象の分娩の開始を、例えば1日または1週間以上、例えば約1日~約16週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30日、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16週間)遅延させるために、対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、対象は、早期分娩を体験している。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、早期分娩の開始前に対象(例えばヒト対象)に投与される。本発明の薬学的組成物は、帝王切開前の分娩を防止するために対象(例えばヒト対象)に投与されてもよい。本発明の薬学的組成物は、月経困難症の処置または防止のために対象(例えばヒト対象)に投与されてもよい。本発明の薬学的組成物は、膣出血及び子宮膜の破裂など、分娩に関連する1つ以上の症状を軽減するために、妊娠中のヒト女性対象などの対象に投与されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、追加の治療剤は追加の子宮収縮抑制剤である。
【0020】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、追加の子宮収縮抑制剤とを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(III)によって表される化合物と、追加の子宮収縮抑制剤とを含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、及びノラシバン(nolasiban)などのオキシトシン受容体アンタゴニスト、またはそれらの1つ以上の変異体、製剤、結晶形態、もしくは誘導体である。
【0022】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、アトシバンとを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(III)によって表される化合物と、アトシバンとを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、アトシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,504,469号または同第4,402,942号に記載の変異体とを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(III)によって表される化合物と、アトシバンの変異体、例えば米国特許第4,504,469号または同第4,402,942号に記載の変異体とを含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、レトシバンとを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(III)によって表される化合物と、レトシバンとを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、レトシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,514,437号、同第8,367,673号、同第8,541,579号、同第8,071,594号、同第8,357,685号、同第8,937,179号、またはUS2016/0074413に記載の変異体とを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(III)によって表される化合物と、レトシバンの変異体、例えば米国特許第7,514,437号、同第8,367,673号、同第8,541,579号、同第8,071,594号、同第8,357,685号、同第8,937,179号、またはUS2016/0074413に記載の変異体とを含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、バルシバンとを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(III)によって表される化合物と、バルシバンとを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、バルシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,143,722号、同第7,091,314号、同第7,816,489号、またはUS2016/0175283に記載の変異体とを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(III)によって表される化合物と、バルシバンの変異体、例えば、米国特許第6,143,722号、同第7,091,314号、同第7,816,489号、またはUS2016/0175283に記載の変異体とを含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、エペルシバンとを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(III)によって表される化合物と、エペルシバンとを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、エペルシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,514,437号、同第8,367,673号、同第8,541,579号、同第7,550,462号、同第7,919,492号、同第8,202,864号、同第8,742,099号、同第9,408,851号、同第8,716,286号、または同第8,815,856号に記載の変異体とを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(III)によって表される化合物と、エペルシバンの変異体、例えば、米国特許第7,514,437号、同第8,367,673号、同第8,541,579号、同第7,550,462号、同第7,919,492号、同第8,202,864号、同第8,742,099号、同第9,408,851号、同第8,716,286号、または同第8,815,856号に記載の変異体とを含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、ノラシバンとを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(III)によって表される化合物と、ノラシバンとを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、ノラシバンの変異体、製剤、または結晶形態、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,115,754号または米国特許出願公開第2015/0073032号、同第2015/0164859号、もしくは同第2016/0002160号に記載の変異体、製剤、または結晶形態とを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(III)によって表される化合物と、ノラシバンの変異体、製剤、または結晶形態、例えば、米国特許第7,115,754号または米国特許出願公開第2015/0073032号、同第2015/0164859号、もしくは同第2016/0002160号に記載の変異体、製剤、または結晶形態とを含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、テルブタリン、リトドリン、ヘキソプレナリン、アルブテロール、フェノテロール、ニリドリン、またはオルシプレナリンなどのベータミメティックである。
【0028】
いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、ジヒドロピリジンなどのカルシウムチャネル阻害剤である。いくつかの実施形態において、カルシウムチャネル阻害剤はニフェジピンである。いくつかの実施形態において、カルシウムチャネル阻害剤はニカルジピンである。
【0029】
いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩である。
【0030】
いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、ニトログリセリンなどの一酸化窒素ドナーである。
【0031】
いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、ノラシバンなどのオキシトシン受容体アンタゴニスト、またはそれらの変異体、製剤、結晶形態、もしくは誘導体、例えば、本明細書に記載されるものである。
【0032】
いくつかの実施形態において、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、経口投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、静脈内投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、静脈内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、経口投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、静脈内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、静脈内投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、経口投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、筋肉内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、静脈内投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、筋肉内投与のために製剤化される。
【0033】
いくつかの実施形態において、式(III)によって表される化合物は、経口投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(III)によって表される化合物は、静脈内投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、静脈内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(III)によって表される化合物は、経口投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、静脈内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(III)によって表される化合物は、静脈内投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(III)によって表される化合物は、経口投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、筋肉内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(III)によって表される化合物は、静脈内投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、筋肉内投与のために製剤化される。
【0034】
いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、プロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートである。
【0035】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートとを含む。いくつかの実施形態において、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、経口投与のために製剤化され、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートは、膣内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、静脈内投与のために製剤化され、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートは、膣内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートとの両方が、経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、静脈内投与のために製剤化され、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートは、経口投与のために製剤化される。
【0036】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(III)によって表される化合物と、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートとを含む。いくつかの実施形態において、式(III)によって表される化合物は、経口投与のために製剤化され、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートは、膣内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(III)によって表される化合物は、静脈内投与のために製剤化され、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートは、膣内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(III)によって表される化合物と、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートとの両方が、経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(III)によって表される化合物は、静脈内投与のために製剤化され、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートは、経口投与のために製剤化される。
【0037】
いくつかの実施形態において、追加の治療剤はコルチコステロイドである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはベタメタゾンである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはデキサメタゾンである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはヒドロコルチゾンである。いくつかの実施形態において、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、経口投与のために製剤化され、コルチコステロイド(例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、またはヒドロコルチゾン)は、筋肉内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、静脈内投与のために製剤化され、コルチコステロイド(例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、またはヒドロコルチゾン)は、筋肉内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、経口投与のために製剤化され、コルチコステロイド(例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、またはヒドロコルチゾン)は、経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、静脈内投与のために製剤化され、コルチコステロイド(例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、またはヒドロコルチゾン)は、経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(III)によって表される化合物は、経口投与のために製剤化され、コルチコステロイド(例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、またはヒドロコルチゾン)は、筋肉内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(III)によって表される化合物は、静脈内投与のために製剤化され、コルチコステロイド(例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、またはヒドロコルチゾン)は、筋肉内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(III)によって表される化合物は、経口投与のために製剤化され、コルチコステロイド(例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、またはヒドロコルチゾン)は、経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(III)によって表される化合物は、静脈内投与のために製剤化され、コルチコステロイド(例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、またはヒドロコルチゾン)は、経口投与のために製剤化される。
【0038】
別の態様では、本発明は、式(I)によって表される化合物
【化4】
またはその薬学的に許容される塩を合成する方法であって、式(IV)によって表される前駆体
【化5】
を、式(V)によって表される前駆体
【化6】
(式中、Xは保護基である)と反応させて、アミノエステルを形成することによる、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、アミノエステルを脱保護することを含む。いくつかの実施形態において、本化合物は、式(III)によって表される。
【化7】
【0039】
いくつかの実施形態において、本方法は、アミノエステルを脱保護することのできる試薬とアミノエステルを反応させることを含む。いくつかの実施形態において、保護基は、tert-ブトキシカルボニル、トリチル、4-モノメトキシトリチル、4-メチルトリチル、3,5-ジメトキシフェニルイソプロポキシカルボニル、2-(4-ビフェニル)イソプロポキシカルボニル、2-ニトロフェニルスルフェニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、2-(4-ニトロホネイルスルホニル(nitrophoneylsulfonyl))エトキシカルボニル、(1,1-ジオキソベンゾ[b]チオフェン-2-イル)メトキシカルボニル、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル、2,7-ジ-tert-ブチル-9-フルオレニルメトキシカルボニル、2-フルオロ-9-フルオレニルメトキシカルボニル、2-モノイソオクチル-9-フルオレニルメトキシカルボニル、2,7-ジイソオクチル-9-フルオレニルメトキシカルボニル、テトラクロロフタロイル、2-[フェニル(メチル)スルホニオ]エチルオキシカルボニルテトラフルオロボレート、エタンスルホニルエトキシカルボニル、2-(4-スルホフェニルスルホニル)エトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、o-ニトロベンゼンスルホニル、2,4-ジニトロベンゼンスルホニル、ベンゾチアゾール-2-スルホニル、2,2,2-トリクロロエチルオキシカルボニル、ジチアスクシノイル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、α-アジド酸、プロパルギルオキシカルボニル、9-(4-ブロモフェニル)-9-フルオレニル、アジドメトキシカルボニル、ヘキサフルオロアセトン、2-クロロベンジルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、2-(メチルスルホニル)エトキシカルボニル、フェニルジスルファニルエチルオキシカルボニル、及び2-ピリジルジスルファニルエチルオキシカルボニルからなる群から選択される。
【0040】
いくつかの実施形態において、試薬は、メタンスルホン酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、モルホリン、ヘキサメチレンイミン、アンモニア、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(2-アミノエチル)アミン、ヒドラジン、1-メチルピロリジン、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、分子水素、臭化水素酸、三臭化ホウ素、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、チオフェノール、β-メルカプトエタノール、2-メルカプト酢酸、アルミニウムアマルガム、亜鉛、次亜リン酸、水素化ホウ素ナトリウム、N-メルカプトアセトアミド、塩化スズ(II)、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ベンジルトリエチルアンモニウムテトラチオモリブデート、酢酸パラジウム(II)、フッ化水素酸、トリメチルシリルクロリド、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、及びトリフルオロメタンスルホン酸からなる群から選択される。
【0041】
いくつかの実施形態において、保護基は、tert-ブトキシカルボニルであり、試薬は、メタンスルホン酸、塩酸、及びメタンスルホン酸などのトリフルオロ酢酸からなる群から選択される。
【0042】
いくつかの実施形態において、本方法は、アミノエステルを電磁放射線に曝露することを含む。いくつかの実施形態において、保護基は、o-ニトロベンジルオキシカルボニル、4-ニトロベラトリルオキシカルボニル、2-(2-ニトロフェニル)プロピルオキシカルボニル、及び2-(3,4-メチレンジオキシ-6-ニトロフェニル)プロピルオキシカルボニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、電磁放射線は、約300~約400nmの波長を特徴とする。
【0043】
いくつかの実施形態において、本方法は、式(IV)によって表される前駆体を、式(V)によって表される前駆体及びジイミドと反応させることを含む。いくつかの実施形態において、ジイミドは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、及びN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミドからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ジイミドは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。いくつかの実施形態において、本方法は、式(IV)によって表される前駆体を、式(V)によって表される前駆体及びベンゾトリアゾール誘導体、例えば、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、6-クロロ-1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、及び1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾールからなる群から選択されるベンゾトリアゾール誘導体と反応させることを含む。いくつかの実施形態において、ベンゾトリアゾール誘導体は、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールである。
【0044】
いくつかの実施形態において、本方法は、式(IV)によって表される前駆体を、式(V)によって表される前駆体及び塩基、例えばN,N-ジメチルアミノピリジンと反応させることを含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、本方法は、式(IV)によって表される前駆体を合成することであって、式(VI)によって表される前駆体
【化8】
を、(VII)によって表される前駆体
【化9】
と反応させることによって、合成することを含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、本方法は、式(VI)によって表される前駆体を、式(VII)によって表される前駆体及び1つ以上の塩基と反応させることを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の塩基は、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、及びN,N-ジメチルアミノピリジンからなる群から選択される。
【0047】
いくつかの実施形態において、本方法は、式(VI)によって表される前駆体を、式(VII)によって表される前駆体、ジイソプロピルエチルアミン、及びN,N-ジメチルアミノピリジンと反応させることを含む。
【0048】
さらなる態様において、本発明は、式(III)によって表される化合物を作製する方法を提供し、
【化10】
本方法は、式(I)によって表される化合物
【化11】
を、塩酸と混合することを含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、塩酸は、塩酸水溶液である。塩酸水溶液は、例えば、蒸留水または脱イオン水などの水に塩酸を希釈することによって調製され得る。いくつかの実施形態において、本方法は、式(III)によって表される化合物を結晶状態で作製することを含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、本方法は、式(I)によって表される化合物をエタノールに溶解させることを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、塩酸をエタノールと混合することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、塩酸を酢酸エチルと混合することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、式(I)によって表される化合物を約20~約30分間にわたって塩酸に添加して混合物を形成することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、添加中に混合物の温度を約15℃~約25℃に維持することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、添加後に混合物の温度を約5℃に低減させることを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、低減後に約0℃~約5℃で約50分~約70分にわたって混合物を撹拌することを含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、本方法は、式(I)によって表される化合物と塩酸とを等モル量で混合することを含む。
【0052】
別の態様では、本発明は、上述の方法のうちのいずれかによって生成された化合物を包含する。
【0053】
さらなる態様において、本発明は、上述の本発明の態様のいずれかの化合物または薬学的組成物を治療有効量で対象に投与することにより、対象の早期分娩を処置する方法を提供する。
【0054】
さらなる態様において、本発明は、上述の本発明の態様のいずれかの化合物または薬学的組成物を治療有効量で対象に投与することにより、対象の早期分娩を防止する方法を提供する。
【0055】
別の態様では、本発明は、上述の本発明の態様のいずれかの化合物または薬学的組成物を治療有効量で対象に投与することにより、対象の帝王切開前の分娩を防止する方法を提供する。
【0056】
別の態様では、本発明は、上述の本発明の態様のいずれかの化合物または薬学的組成物を治療有効量で対象に投与することにより、対象の月経困難症を処置または防止する方法を提供する。
【0057】
別の態様では、本発明は、上述の本発明の態様のいずれかの化合物または薬学的組成物を治療有効量で対象に投与することにより、対象の子宮内膜症を処置または防止する方法を提供する。
【0058】
いくつかの実施形態において、対象は、約24~約34週の妊娠期間を特徴とする。いくつかの実施形態において、対象は、投与後に、子宮収縮の振幅の低減、例えば、投与前に記録された対象の子宮収縮の振幅の測定値に対して約40%~約50%(例えば、約40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、または50%)の低減を呈する。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象において約1~約4時間(例えば、約1時間、1.1時間、1.2時間、1.3時間、1.4時間、1.5時間、1.6時間、1.7時間、1.8時間、1.9時間、2.0時間、2.1時間、2.2時間、2.3時間、2.4時間、2.5時間、2.6時間、2.7時間、2.8時間、2.9時間、3.0時間、3.1時間、3.2時間、3.3時間、3.4時間、3.5時間、3.6時間、3.7時間、3.8時間、3.9時間、または4.0時間)の半減期を呈する。いくつかの実施形態において、本化合物は、投与の約0.25~約2時間(例えば、約0.25時間、0.3時間、0.4時間、0.5時間、0.6時間、0.7時間、0.8時間、0.9時間、1.0時間、1.1時間、1.2時間、1.3時間、1.4時間、1.5時間、1.6時間、1.7時間、1.8時間、1.9時間、または2.0時間)以内に、対象における最大血漿濃度に達する。いくつかの実施形態において、対象はヒトなどの哺乳動物である。
【0059】
いくつかの実施形態において、本方法は、本化合物または薬学的組成物を対象に経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、本化合物または薬学的組成物を対象に静脈内投与することを含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、本化合物は、追加の治療剤と組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態において、本化合物は、追加の子宮収縮抑制剤と組み合わせて対象に投与される。
【0061】
いくつかの実施形態において、本化合物は、オキシトシン受容体アンタゴニストと組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態において、本方法は、オキシトシン受容体アンタゴニストを対象に経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、オキシトシン受容体アンタゴニストを対象に静脈内投与することを含む。本化合物は、オキシトシン受容体アンタゴニストの投与と同時に対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象へのオキシトシン受容体アンタゴニストの投与前に対象に投与される。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象へのオキシトシン受容体アンタゴニストの投与後に対象に投与される。いくつかの実施形態において、本化合物がオキシトシン受容体アンタゴニストと混和され、これらの薬剤が対象に同時に投与される。いくつかの実施形態において、オキシトシン受容体アンタゴニストは、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、もしくはノラシバン、またはそれらの変異体、製剤、結晶形態、もしくは誘導体である。
【0062】
いくつかの実施形態において、オキシトシン受容体アンタゴニストは、アトシバン、またはアトシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,504,469号または同第4,402,942号に記載の変異体である。
【0063】
いくつかの実施形態において、オキシトシン受容体アンタゴニストは、レトシバン、またはレトシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,514,437号、同第8,367,673号、同第8,541,579号、同第8,071,594号、同第8,357,685号、同第8,937,179号、またはUS2016/0074413に記載の変異体である。
【0064】
いくつかの実施形態において、オキシトシン受容体アンタゴニストは、バルシバン、またはバルシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,143,722号、同第7,091,314号、同第7,816,489号、またはUS2016/0175283に記載の変異体である。
【0065】
いくつかの実施形態において、オキシトシン受容体アンタゴニストは、エペルシバン、またはエペルシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,514,437号、同第8,367,673号、同第8,541,579号、同第7,550,462号、同第7,919,492号、同第8,202,864号、同第8,742,099号、同第9,408,851号、同第8,716,286号、または同第8,815,856号に記載の変異体である。
【0066】
いくつかの実施形態において、オキシトシン受容体アンタゴニストは、ノラシバン、またはノラシバンの変異体、製剤、もしくは結晶形態、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,115,754号または米国特許出願公開第2015/0073032号、同第2015/0164859号、もしくは同第2016/0002160に記載の変異体、製剤、または結晶形態である。
【0067】
いくつかの実施形態において、本化合物は、テルブタリン、リトドリン、ヘキソプレナリン、アルブテロール、フェノテロール、ニリドリン、またはオルシプレナリンなどのベータミメティックと組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態において、本方法は、ベータミメティックを対象に経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、ベータミメティックを対象に静脈内投与することを含む。本化合物は、ベータミメティックの投与と同時に対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象へのベータミメティックの投与前に対象に投与される。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象へのベータミメティックの投与後に対象に投与される。いくつかの実施形態において、本化合物がベータミメティックと混和され、これらの薬剤が対象に同時に投与される。
【0068】
いくつかの実施形態において、本化合物は、ジヒドロピリジンなどのカルシウムチャネル阻害剤と組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態において、カルシウムチャネル阻害剤はニフェジピンである。いくつかの実施形態において、カルシウムチャネル阻害剤はニカルジピンである。いくつかの実施形態において、本方法は、カルシウムチャネル阻害剤を対象に経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、カルシウムチャネル阻害剤を対象に静脈内投与することを含む。本化合物は、カルシウムチャネル阻害剤の投与と同時に対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象へのカルシウムチャネル阻害剤の投与前に対象に投与される。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象へのカルシウムチャネル阻害剤の投与後に対象に投与される。いくつかの実施形態において、本化合物がカルシウムチャネル阻害剤と混和され、これらの薬剤が対象に同時に投与される。
【0069】
いくつかの実施形態において、本化合物は、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩と組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態において、本方法は、マグネシウム塩を対象に静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、マグネシウム塩を対象に筋肉内投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、マグネシウム塩を対象に経口投与することを含む。本化合物は、マグネシウム塩の投与と同時に対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象へのマグネシウム塩の投与前に対象に投与される。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象へのマグネシウム塩の投与後に対象に投与される。いくつかの実施形態において、本化合物がマグネシウム塩と混和され、これらの薬剤が対象に同時に投与される。
【0070】
いくつかの実施形態において、本化合物は、ニトログリセリンなどの一酸化窒素ドナーと組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態において、本方法は、一酸化窒素ドナーを対象に経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、一酸化窒素ドナーを対象に静脈内投与することを含む。本化合物は、一酸化窒素ドナーの投与と同時に対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象への一酸化窒素ドナーの投与前に対象に投与される。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象への一酸化窒素ドナーの投与後に対象に投与される。いくつかの実施形態において、本化合物が一酸化窒素ドナーと混和され、これらの薬剤が対象に同時に投与される。
【0071】
いくつかの実施形態において、本化合物が、プロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートと組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態において、本方法は、プロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートを対象に経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、プロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートを対象に膣内投与することを含む。本化合物は、プロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートの投与と同時に対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象へのプロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートの投与前に対象に投与される。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象へのプロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートの投与後に対象に投与される。いくつかの実施形態において、本化合物が、プロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートと(例えば、とりわけ経口製剤において)混和され、これらの薬剤が対象に同時に投与される。
【0072】
いくつかの実施形態において、本化合物は、コルチコステロイドと組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはベタメタゾンである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはデキサメタゾンである。いくつかの実施形態において、本方法は、コルチコステロイドを対象に経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、コルチコステロイドを対象に筋肉内投与することを含む。本化合物は、コルチコステロイドの投与と同時に対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象へのコルチコステロイドの投与前に対象に投与される。いくつかの実施形態において、本化合物は、対象へのコルチコステロイドの投与後に対象に投与される。いくつかの実施形態において、本化合物がコルチコステロイドと(例えば、とりわけ経口製剤において)混和され、これらの薬剤が対象に同時に投与される。
【0073】
いくつかの実施形態において、本発明は、上述の本発明の態様のいずれかの化合物または薬学的組成物と、添付文書とを含む、キットを提供する。いくつかの実施形態において、添付文書は、本明細書に記載される早期分娩の1つ以上の症状を示している対象など、早期分娩を示しているか早期分娩を体験するリスクのある対象に本化合物または薬学的組成物を投与するよう、キットの使用者に指示する。いくつかの実施形態において、対象は、約24~約34週の妊娠期間を特徴とする。いくつかの実施形態において、添付文書は、本化合物または薬学的組成物を水溶液と混合するよう、キットの使用者に指示する。いくつかの実施形態において、添付文書は、本化合物を対象に経口投与するよう、キットの使用者に指示する。いくつかの実施形態において、添付文書は、本化合物を対象に静脈内投与するよう、キットの使用者に指示する。
【0074】
さらなる態様において、本発明は、式(II)によって表される化合物、
【化12】
3-([1,1'-ビフェニル]-4-イルスルホニル)-N-[1-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル]-1,3-チアゾリジン-2-カルボキサミドを含有する、薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(II)によって表される化合物と、追加の治療剤とを含有する。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(II)によって表される化合物と、追加の子宮収縮抑制剤とを含有する。本薬学的組成物は、1つ以上の賦形剤を場合により含有してもよい。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、例えば高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)またはNMR分光法によって確認した場合に、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%の純度を有する。いくつかの実施形態において、本化合物及び/または薬学的組成物は、対象への経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、本化合物及び/または薬学的組成物は、錠剤、カプセル、ゲルキャップ、粉末、液体溶液、または液体懸濁液である。いくつかの実施形態において、本化合物及び/または薬学的組成物は、対象への静脈内投与のために製剤化される。
【0075】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、2つ以上の治療剤、例えば、式(II)によって表される化合物と、追加の治療剤とを含有する。例えば、本薬学的組成物は、早期分娩の処置または防止などのために、患者への共投与のために互いと混和された2つ以上の治療剤を含有してもよい。本薬学的組成物は、対象の分娩の開始を、例えば1日または1週間以上、例えば約1日~約16週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30日、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16週間)遅延させるために、対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、対象は、早期分娩を体験している。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、早期分娩の開始前に対象(例えばヒト対象)に投与される。本薬学的組成物は、帝王切開前の分娩を防止するために対象(例えばヒト対象)に投与されてもよい。本薬学的組成物は、月経困難症の処置または防止のために対象(例えばヒト対象)に投与されてもよい。本薬学的組成物は、膣出血及び子宮膜の破裂など、分娩に関連する1つ以上の症状を軽減するために、妊娠中のヒト女性対象などの対象に投与されてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態において、追加の治療剤は追加の子宮収縮抑制剤である。
【0077】
いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、及びノラシバンなどのオキシトシン受容体アンタゴニスト、またはそれらの1つ以上の変異体、製剤、結晶形態、もしくは誘導体である。
【0078】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(II)によって表される化合物と、アトシバンとを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(II)によって表される化合物と、アトシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,504,469号または同第4,402,942号に記載の変異体とを含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(II)によって表される化合物と、レトシバンとを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(II)によって表される化合物と、レトシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,514,437号、同第8,367,673号、同第8,541,579号、同第8,071,594号、同第8,357,685号、同第8,937,179号、またはUS2016/0074413に記載の変異体とを含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(II)によって表される化合物と、バルシバンとを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(II)によって表される化合物と、バルシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,143,722号、同第7,091,314号、同第7,816,489号、またはUS2016/0175283に記載の変異体とを含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(II)によって表される化合物と、エペルシバンとを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(II)によって表される化合物と、エペルシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,514,437号、同第8,367,673号、同第8,541,579号、同第7,550,462号、同第7,919,492号、同第8,202,864号、同第8,742,099号、同第9,408,851号、同第8,716,286号、または同第8,815,856号に記載の変異体とを含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(II)によって表される化合物と、ノラシバンとを含む。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(II)によって表される化合物と、ノラシバンの変異体、製剤、または結晶形態、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,115,754号または米国特許出願公開第2015/0073032号、同第2015/0164859号、もしくは同第2016/0002160号に記載の変異体、製剤、または結晶形態とを含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、テルブタリン、リトドリン、ヘキソプレナリン、アルブテロール、フェノテロール、ニリドリン、またはオルシプレナリンなどのベータミメティックである。
【0084】
いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、ジヒドロピリジンなどのカルシウムチャネル阻害剤である。いくつかの実施形態において、カルシウムチャネル阻害剤はニフェジピンである。いくつかの実施形態において、カルシウムチャネル阻害剤はニカルジピンである。
【0085】
いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩である。
【0086】
いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、ニトログリセリンなどの一酸化窒素ドナーである。
【0087】
いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、ノラシバンなどのオキシトシン受容体アンタゴニスト、またはそれらの変異体、製剤、結晶形態、もしくは誘導体、例えば、本明細書に記載されるものである。
【0088】
いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、経口投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、静脈内投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、静脈内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、経口投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、静脈内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、静脈内投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、経口投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、筋肉内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、静脈内投与のために製剤化され、追加の子宮収縮抑制剤は、筋肉内投与のために製剤化される。
【0089】
いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、プロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートである。
【0090】
いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、式(II)によって表される化合物と、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートとを含む。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、経口投与のために製剤化され、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートは、膣内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、静脈内投与のために製剤化され、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートは、膣内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物と、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートとの両方が、経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、静脈内投与のために製剤化され、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートは、経口投与のために製剤化される。
【0091】
いくつかの実施形態において、追加の治療剤はコルチコステロイドである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはベタメタゾンである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはデキサメタゾンである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはヒドロコルチゾンである。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、経口投与のために製剤化され、コルチコステロイド(例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、またはヒドロコルチゾン)は、筋肉内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、静脈内投与のために製剤化され、コルチコステロイド(例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、またはヒドロコルチゾン)は、筋肉内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、経口投与のために製剤化され、コルチコステロイド(例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、またはヒドロコルチゾン)は、経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、静脈内投与のために製剤化され、コルチコステロイド(例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、またはヒドロコルチゾン)は、経口投与のために製剤化される。
【0092】
さらなる態様において、本発明は、上述の本発明の態様のいずれかによる、式(II)によって表される化合物、
【化13】
3-([1,1'-ビフェニル]-4-イルスルホニル)-N-[1-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル]-1,3-チアゾリジン-2-カルボキサミド、または式(II)によって表される化合物を含有する薬学的組成物を、治療有効量で対象に提供(例えば投与)することにより、対象の早期分娩を処置する方法を提供する。
【0093】
さらなる態様において、本発明は、上述の本発明の態様のいずれかによる、式(II)によって表される化合物、または式(II)によって表される化合物を含有する薬学的組成物を、治療有効量で対象に提供(例えば投与)することにより、対象の早期分娩を防止する方法を提供する。
【0094】
別の態様では、本発明は、上述の本発明の態様のいずれかによる、式(II)によって表される化合物、または式(II)によって表される化合物を含有する薬学的組成物を、治療有効量で対象に提供(例えば投与)することにより、対象の帝王切開前の分娩を防止する方法を提供する。
【0095】
別の態様では、本発明は、上述の本発明の態様のいずれかによる、式(II)によって表される化合物、または式(II)によって表される化合物を含有する薬学的組成物を、治療有効量で対象に提供(例えば投与)することにより、対象の月経困難症を処置または防止する方法を提供する。
【0096】
別の態様では、本発明は、上述の本発明の態様のいずれかによる、式(II)によって表される化合物、または式(II)によって表される化合物を含有する薬学的組成物を、治療有効量で対象に提供(例えば投与)することにより、対象の子宮内膜症を処置または防止する方法を提供する。
【0097】
いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、追加の治療剤と組み合わせて対象に提供される。いくつかの実施形態において、本化合物は、追加の子宮収縮抑制剤と組み合わせて対象に提供される。いくつかの実施形態において、本化合物は、本化合物を対象に投与することによって対象に提供される。いくつかの実施形態において、本化合物は、式(II)によって表される化合物を生成するためにインビボで代謝されるプロドラッグを対象に投与することによって、対象に提供される。
【0098】
いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、オキシトシン受容体アンタゴニストと組み合わせて対象に提供される。いくつかの実施形態において、本方法は、オキシトシン受容体アンタゴニストを対象に経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、オキシトシン受容体アンタゴニストを対象に静脈内投与することを含む。式(II)によって表される化合物は、オキシトシン受容体アンタゴニストの投与と同時に対象に提供されてもよい。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、対象へのオキシトシン受容体アンタゴニストの投与前に対象に提供される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、対象へのオキシトシン受容体アンタゴニストの投与後に対象に提供される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物またはそのプロドラッグがオキシトシン受容体アンタゴニストと混和され、これらの薬剤が対象に同時に投与される。いくつかの実施形態において、オキシトシン受容体アンタゴニストは、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、もしくはノラシバン、またはそれらの変異体、製剤、結晶形態、もしくは誘導体である。
【0099】
いくつかの実施形態において、オキシトシン受容体アンタゴニストは、アトシバン、またはアトシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,504,469号または同第4,402,942号に記載の変異体である。
【0100】
いくつかの実施形態において、オキシトシン受容体アンタゴニストは、レトシバン、またはレトシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,514,437号、同第8,367,673号、同第8,541,579号、同第8,071,594号、同第8,357,685号、同第8,937,179号、またはUS2016/0074413に記載の変異体である。
【0101】
いくつかの実施形態において、オキシトシン受容体アンタゴニストは、バルシバン、またはバルシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,143,722号、同第7,091,314号、同第7,816,489号、またはUS2016/0175283に記載の変異体である。
【0102】
いくつかの実施形態において、オキシトシン受容体アンタゴニストは、エペルシバン、またはエペルシバンの変異体、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,514,437号、同第8,367,673号、同第8,541,579号、同第7,550,462号、同第7,919,492号、同第8,202,864号、同第8,742,099号、同第9,408,851号、同第8,716,286号、または同第8,815,856号に記載の変異体である。
【0103】
いくつかの実施形態において、オキシトシン受容体アンタゴニストは、ノラシバン、またはノラシバンの変異体、製剤、もしくは結晶形態、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,115,754号または米国特許出願公開第2015/0073032号、同第2015/0164859号、もしくは同第2016/0002160に記載の変異体、製剤、または結晶形態である。
【0104】
いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、テルブタリン、リトドリン、ヘキソプレナリン、アルブテロール、フェノテロール、ニリドリン、またはオルシプレナリンなどのベータミメティックと組み合わせて対象に提供される。いくつかの実施形態において、本方法は、ベータミメティックを対象に経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、ベータミメティックを対象に静脈内投与することを含む。式(II)によって表される化合物は、ベータミメティックの投与と同時に対象に提供されてもよい。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、対象へのベータミメティックの投与前に対象に提供される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、対象へのベータミメティックの投与後に対象に提供される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物またはそのプロドラッグがベータミメティックと混和され、これらの薬剤が対象に同時に投与される。
【0105】
いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、ジヒドロピリジンなどのカルシウムチャネル阻害剤と組み合わせて対象に提供される。いくつかの実施形態において、カルシウムチャネル阻害剤はニフェジピンである。いくつかの実施形態において、カルシウムチャネル阻害剤はニカルジピンである。いくつかの実施形態において、本方法は、カルシウムチャネル阻害剤を対象に経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、カルシウムチャネル阻害剤を対象に静脈内投与することを含む。式(II)によって表される化合物は、カルシウムチャネル阻害剤の投与と同時に対象に提供されてもよい。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、対象へのカルシウムチャネル阻害剤の投与前に対象に提供される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、対象へのカルシウムチャネル阻害剤の投与後に対象に提供される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物またはそのプロドラッグがカルシウムチャネル阻害剤と混和され、これらの薬剤が対象に同時に投与される。
【0106】
いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩と組み合わせて対象に提供される。いくつかの実施形態において、本方法は、マグネシウム塩を対象に静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、マグネシウム塩を対象に筋肉内投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、マグネシウム塩を対象に経口投与することを含む。式(II)によって表される化合物は、マグネシウム塩の投与と同時に対象に提供されてもよい。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、対象へのマグネシウム塩の投与前に対象に提供される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、対象へのマグネシウム塩の投与後に対象に提供される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物またはそのプロドラッグがマグネシウム塩と混和され、これらの薬剤が対象に同時に投与される。
【0107】
いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、ニトログリセリンなどの一酸化窒素ドナーと組み合わせて対象に提供される。いくつかの実施形態において、本方法は、一酸化窒素ドナーを対象に経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、一酸化窒素ドナーを対象に静脈内投与することを含む。式(II)によって表される化合物は、一酸化窒素ドナーの投与と同時に対象に提供されてもよい。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、対象への一酸化窒素ドナーの投与前に対象に提供される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、対象への一酸化窒素ドナーの投与後に対象に提供される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物またはそのプロドラッグが一酸化窒素ドナーと混和され、これらの薬剤が対象に同時に投与される。
【0108】
いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、プロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートと組み合わせて対象に提供される。いくつかの実施形態において、本方法は、プロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートを対象に経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、プロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートを対象に膣内投与することを含む。式(II)によって表される化合物は、プロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートの投与と同時に対象に提供されてもよい。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、対象へのプロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートの投与前に対象に提供される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、対象へのプロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートの投与後に対象に提供される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物またはそのプロドラッグが、プロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートと(例えば、とりわけ経口製剤において)混和され、これらの薬剤が対象に同時に投与される。
【0109】
いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、コルチコステロイドと組み合わせて対象に提供される。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはベタメタゾンである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはデキサメタゾンである。いくつかの実施形態において、本方法は、コルチコステロイドを対象に経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、コルチコステロイドを対象に筋肉内投与することを含む。式(II)によって表される化合物は、コルチコステロイドの投与と同時に対象に提供されてもよい。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、対象へのコルチコステロイドの投与前に対象に提供される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物は、対象へのコルチコステロイドの投与後に対象に提供される。いくつかの実施形態において、式(II)によって表される化合物またはそのプロドラッグがコルチコステロイドと(例えば、とりわけ経口製剤において)混和され、これらの薬剤が対象に同時に投与される。
【0110】
いくつかの実施形態において、対象は、約24~約34週の妊娠期間を特徴とする。いくつかの実施形態において、対象は、投与後に、子宮収縮の振幅の低減、例えば、投与前に記録された対象の子宮収縮の振幅の測定値に対して約40%~約50%(例えば、約40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、または50%)の低減を呈する。いくつかの実施形態において、対象はヒトなどの哺乳動物である。
【0111】
いくつかの実施形態において、本方法は、本化合物または薬学的組成物を対象に経口投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、本化合物または薬学的組成物を対象に静脈内投与することを含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、本発明は、上述の本発明の態様のいずれかの化合物または薬学的組成物と、添付文書とを含む、キットを提供する。いくつかの実施形態において、添付文書は、本明細書に記載される早期分娩の1つ以上の症状を示している対象など、早期分娩を示しているか早期分娩を体験するリスクのある対象に本化合物または薬学的組成物を投与するよう、キットの使用者に指示する。いくつかの実施形態において、対象は、約24~約34週の妊娠期間を特徴とする。いくつかの実施形態において、添付文書は、本化合物または薬学的組成物を水溶液と混合するよう、キットの使用者に指示する。いくつかの実施形態において、添付文書は、本化合物を対象に経口投与するよう、キットの使用者に指示する。いくつかの実施形態において、添付文書は、本化合物を対象に静脈内投与するよう、キットの使用者に指示する。
【0113】
定義
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、記載されている値の上下10%以内である値を指す。
【0114】
本明細書で使用される場合、「親和性」という用語は、リガンド及び受容体などの2つの分子間の結合相互作用の強度を指す。「Ki」という用語は、本明細書で使用される場合、目的の特定の分子に関するアンタゴニストの阻害定数を指すよう意図され、モル濃度(M)として表される。アンタゴニスト-標的の相互作用に関するKi値は、例えば、当該技術分野で確立されている方法を使用して決定することができる。分子標的に関するアンタゴニストのKiを決定するために使用することのできる方法としては、例えばUS8,415,480に記載の競合放射性リガンド結合アッセイなどの競合結合実験が挙げられる。「Kd」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、2つの分子の解離速度定数(kd)の2つの分子の会合速度定数(ka)に対する比から得ることのできる解離定数を指すよう意図され、モル濃度(M)として表される。受容体-リガンドの相互作用に関するKd値は、例えば、当該技術分野で確立されている方法を使用して決定することができる。受容体-リガンド相互作用のKdを決定するために使用することのできる方法としては、例えば、BIACORE(登録商標)システムなどのバイオセンサシステムの使用による表面プラズモン共鳴が挙げられる。
【0115】
本明細書で使用される場合、「コルチコステロイド」という用語は、副腎皮質によって産生されるステロイドホルモンまたはそれらの合成的均等物のうちのいずれかを指す。例示的なコルチコステロイドとしては、とりわけベタメタゾン、デキサメタゾン、及びヒドロコルチゾン、ならびにそれらの変異体が挙げられる。本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用されるコルチコステロイドとしては、早産児における呼吸促迫症候群の発症を防止するために、例えば胎児の肺の成熟を誘導することのできるものが挙げられる。本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用される例示的なコルチコステロイドとしては、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Jobe et al.Am.J.Obstet.Gynecol.190:878-881(2004)及びMiracle et al.J.Perinat.Med.36:191-196(2008)に記載のものが挙げられる。
【0116】
本明細書で使用される場合、「結晶性」または「結晶形態」という用語は、原子、イオン、分子、または分子集合体の規則的な三次元配列である物理的状態を有することを意味する。結晶形態は、明確に定義された対称性に従って配置され、三次元で繰り返される単位格子をなす、非対称ユニットと呼ばれる構成要素の格子配列を有する。対照的に、「非晶質」または「非晶質形態」という用語は、系統立てられていない(秩序のない)構造を指す。治療化合物の物理的状態は、x線回折、偏光顕微鏡法、及び/または示差走査熱量測定などの例示的な技術によって決定され得る。
【0117】
本明細書で使用される場合、「内因性」という用語は、特定の生物(例えばヒト)または生物内の特定の位置(例えば、器官、組織、またはヒト細胞などの細胞)に自然に見出される分子(例えば、ポリペプチド、核酸、または補助因子)を説明するものである。
【0118】
本明細書で使用される場合、「外因性」という用語は、特定の生物(例えばヒト)または生物内の特定の位置(例えば、器官、組織、またはヒト細胞などの細胞)に自然に見出されない分子(例えば、ポリペプチド、核酸、または補助因子)を説明するものである。外因性物質には、外部源から生物または生物から抽出された培養物に提供されるものが含まれる。
【0119】
本明細書で使用される場合、「妊娠期間」という用語は、特定の妊娠がどれだけ進んでいるかを説明するものであり、妊娠中の女性対象の最後の月経周期の初日から現在日まで測定される。本明細書で使用される場合、「分娩」という用語(出生と呼ばれることもある)は、妊娠中の女性対象の子宮からの胎児及び胎盤の娩出に関する。正常な妊娠の場合、分娩は、約40週間の妊娠期間で起こり得る。本明細書で使用される「早期分娩」とは、通常は約40週である妊娠満期の3週間より前に分娩が始まる状況を指す。すなわち、早期分娩は、例えば、妊娠38週間より前のいずれかの段階で起こる。通常、早期分娩は、処置されなければ、妊娠中の女性対象における分娩の発生または分娩に関連する生理学的変化につながる。早期分娩は、膣出血または子宮膜の破裂に関連する場合もしない場合もある。早期分娩(Preterm labor)は、早産(premature labor)と呼ばれる場合もある。対象の早期分娩の回避は、妊娠期間を延長させ、したがって早産を回避し、ひいては新生児の死亡及び病的状態のリスクを低減させ得る。
【0120】
本明細書で使用される場合、「IC50」という用語は、参照アゴニストの有効性または生物学的標的の恒常的活性を、例えば競合リガンド結合アッセイで測定した場合に50%低減させる、物質(アンタゴニスト)の濃度を指す。例示的な競合リガンド結合アッセイとしては、当該技術分野で公知のものの中でも、競合放射性リガンド結合アッセイ、競合酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及び蛍光偏光測定ベースのアッセイが挙げられる。
【0121】
2つ以上の治療剤を対象に提供または投与することに関連して本明細書で使用される場合、「と組み合わせて」という表現は、例えば、同時または異なる時間のいずれかでの、対象(例えば、ヒト対象などの哺乳動物対象)に対する2つ以上の治療剤の送達を指す。例えば、単一の薬学的組成物またはいちどきに(例えば、異なる投与経路によって)対象に投与される別々の組成物などで両方の薬剤を対象に同時に投与することによって、1つの治療剤を別のものと組み合わせて対象に投与してもよい。別の例では、対象に1つの治療剤をまず投与し、その後、同じ投与経路または異なる投与経路のいずれかによって他方の治療剤を投与することにより、1つの治療剤を別のものと組み合わせて対象に投与してもよい。
【0122】
本明細書で使用される場合、「ノラシバン」という用語は、次の構造式によって表される(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2´-メチル-1,1´-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オンO-メチルオキシムを指す。
【化14】
ノラシバンの変異体、製剤、及び結晶形態は、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,115,754号ならびに米国特許出願公開第2015/0073032号、同第2015/0164859号、及び同第2016/0002160号に記載されている。
【0123】
本明細書で使用される場合、「経口バイオアベイラビリティ」という用語は、哺乳動物(例えばヒト)などの対象に投与された化合物のうち、対象の体循環に達するもので、非標的器官内に隔離されることも消化管に吸収されずに排泄されることもない割合を指す。この用語は、経時的に組み込まれる血漿濃度を指し、通常、経口投与された用量に対する百分率として表される。
【0124】
本明細書で使用される場合、「オキシトシン受容体アンタゴニスト」または「オキシトシンアンタゴニスト」という用語は、例えば、オキシトシンシグナル伝達カスケードにおける1つ以上の下流シグナル伝達分子の活性が阻害されるように、オキシトシンとオキシトシン受容体との相互作用を阻害することのできる化合物を指す。本明細書に記載の組成物及び方法と共に使用されるオキシトシンアンタゴニストとしては、とりわけ、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、及びノラシバン、ならびに本明細書に記載のものを含むそれらの変異体、製剤、結晶形態、及び誘導体といった、オキシトシン受容体に結合しそれを阻害する化合物が挙げられる。
【0125】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、合理的な利益/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、及び他の問題となる合併症を伴わずに哺乳動物(例えばヒト)などの対象の組織と接触させるのに好適な化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指す。
【0126】
本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」という用語は、哺乳動物、例えばヒトなどの対象に影響を及ぼしている特定の疾患または状態、例えば、とりわけ本明細書に記載の早期分娩または月経困難症などを防止、処置、または制御するために、この哺乳動物に投与される治療化合物を含有する混合物を意味する。
【0127】
本明細書で使用される場合、「保護基」という用語は、官能基に結合したとき、その官能基を1つ以上の化学反応に対して不活性にする化学部分を指す。そのような反応は、化合物の1つ以上の置換基を修飾することがあり、保護基の非存在下では、目的の部分(例えば、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシル、またはカルボキサミド部分)の望ましくない化学修飾(例えば、求電子付加、加溶媒分解、酸化、還元、または官能基相互変換)をもたらし得る。保護基は、適切なとき、元の官能性を再生するために化学反応させてもよい。保護基の同一性は、例えば、分子の他の合成ステップまたは修飾ステップの間に保護基が除去されないように、かつ、場合により、保護基の除去をもたらすために使用される反応条件が、その分子の他の置換基に位置する異なる保護基の除去をもたらさないように、分子の残部と適合性であるように選択され得る。例示的な保護基としては、例えば、α-アミノエステルのアミノ基などのアミノ置換基と共有結合することのできるものが挙げられる。その後の保護基の除去は、本明細書において化学部分の「脱保護」と呼ばれ、当該技術分野で公知の試薬及び条件を使用して達成することができる。保護基の例としては、限定されないが、とりわけベンジル、アセチル、オキシアセチル、カルボキシベンジル、9-フルオレニルオキシカルボニル、2-クロロ-1-インダニルメトキシ-カルボニル、ベンズ[f]インデン-3-メトキシカルボニル、2-(tert-ブチルスルホニル)-2-プロペニルオキシカルボニル、ベンゾチオフェンスルホン-2-メチルカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、tert-アミルオキシカルボニル、β-トリメチルシリルエチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、1-メチルシクロブチルオキシカルボニル、2-(p-ビフェニリル)プロピル-2-オキシカルボニル、2-(p-フェニルアゾフェニル)プロピル-2-オキシカルボニル、2-2-ジメチル-3,5-ジメチルオキシベンジルオキシカルボニル、2-フェニルプロピル-2-オキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-トルエンスルホニルアミノカルボニル、o-ニトロフェニルスルフェニル、ジチアスクシノイル、フタロイル、ピペリジノオキシカルボニル、ホルミル、トリフルオロアセチル、2,4,6-トリメトキシベンジル、2,3,6-トリメチル-4メトキシベンゼンスルホニル、tert-ブトキシメチル、ペンタメチルクロマンスルホニル、アダマントリ(adamantly)、β-トリメチルシリルエチル、β-トリメチリリルエチルオキシカルボニル(β-trimethylilylethyloxycarbonyl)、tert-ブチル、tert-ブチルベンジル、シクロペンチル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシカルボニル、ホルミル、及びトリフルオロアセチルが挙げられる。保護基は、特定の化学置換基に好適であり得る。例えば、ヒドロキシル保護基の例としては、限定されないが、ベンジル、p-メトキシベンジル、p-ニトロベンジル、アリル、トリチル、ジメチルシリルエーテルなどのジアルキルシリルエーテル、ならびにトリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、及びt-ブチルジメチルシリルエーテルなどのトリアルキルシリルエーテル;ベンゾイル、アセチル、フェニルアセチル、ホルミル、モノ、ジ、及びトリハロアセチル、例えばクロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチルなどのエステル;ならびにメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、アリル、ベンジル、及びp-ニトロフェニルなどのカーボネートが挙げられる。保護基のさらなる例は、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2d Ed.,1991,John Wiley & Sons、ならびにMcOmie,Protective Groups in Organic Chemistry,1975,Plenum Pressに見出すことができる。保護基の他の例は、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,835,175号、同第4,508,657号、同第3,839,396号、同第4,581,167号、同第4,460,501号、及び同第4,108,846号に記載されている。
【0128】
治療的処置に関連して本明細書で使用される場合、「提供する」及び「提供すること」という用語は、例えば早期分娩を経験しているまたは体験するリスクのある対象など、処置を必要とする対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物対象)に対する治療剤の送達を指す。治療剤は、それを必要とする対象に、例えば、対象への治療剤の直接投与によって提供されても、または対象にプロドラッグが投与されるとインビボで治療剤に変換されるプロドラッグの投与によって提供されてもよい。例示的なプロドラッグは、限定されないが、エステル、ホスフェート、及び対象に投与されると加水分解の影響を受けやすい他の化学的官能性を含む。プロドラッグとしては、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Vig et al.,Adv.Drug Deliv.Rev.65:1370-1385(2013)及びHuttunen et al.,Pharmacol.Rev.63:750-771(2011)に記載のものなど、当該技術分野で公知のものが挙げられる。
【0129】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、対象から単離された検体(例えば、血液、血液成分(例えば、血清または血漿)、尿、唾液、羊水、脳脊髄液、組織(例えば、胎盤組織または皮膚組織)、膵液、絨毛膜絨毛試料、及び細胞)を指す。
【0130】
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」及び「結合する」という表現は、例えば、特殊性のあるリガンドによって認識されるタンパク質及び他の生物学的分子の異種集団における特定のタンパク質の存在を決定する結合反応を指す。タンパク質に特異的に結合するリガンド(例えば、タンパク質、プロテオグリカン、またはグリコサミノグリカン)は、例えば、100nM未満のKDでそのタンパク質に結合する。例えば、タンパク質に特異的に結合するリガンドは、最大100nM(例えば、1pM~100nM)のKDでそのタンパク質に結合し得る。タンパク質またはそのドメインに対して特異的な結合を呈さないリガンドは、その特定のタンパク質またはそのドメインに対して100nM超(例えば、200nM、300nM、400nM、500nM、600nm、700nM、800nM、900nM、1μM、100μM、500μM、または1mM超)のKDを呈する。特定のタンパク質に対するリガンドの親和性を決定するためには、様々なアッセイ形式を使用することができる。例えば、固相ELISAアッセイは、標的タンパク質に特異的に結合するリガンドを特定するために日常的に使用されている。特定のタンパク質の結合を判定するために使用され得るアッセイ形式及び条件の説明に関しては、例えば、Harlow & Lane,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,New York(1988)及びHarlow & Lane,Using Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,New York(1999)を参照されたい。
【0131】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は互換的であり、本明細書に記載される特定の疾患もしくは状態(例えば早期分娩または月経困難症)の処置を受ける生物、または本明細書に記載される方法によって疾患もしくは状態を有すると診断される生物を指す。対象及び患者の例としては、疾患または状態、例えば、妊娠初期(例えば、24~34週)における早期分娩に関する処置を受けている、ヒトなどの哺乳動物が挙げられる。
【0132】
本明細書に記載される化合物、塩形態、結晶多形、治療剤、または他の組成物は、図に「実質的に示されているような」グラフデータを特徴とするものとして参照される場合がある。そのようなデータとしては、限定されないが、とりわけ粉末X線ディフラクトグラム、NMRスペクトル、示差走査熱量測定曲線、及び熱重量分析曲線を挙げることができる。当該技術分野では公知であるように、そのようなグラフデータは、化合物、塩形態、結晶多形、治療剤、または他の組成物をさらに定義するための追加の技術的情報を提供し得る。当業者には理解されているように、そのようなデータのグラフ表現は、機器の応答の変動ならびに試料濃度及び純度の変動などの要因のために、例えばピーク相対強度及びピーク位置のわずかな変動の影響を受ける場合がある。とはいえ、当業者であれば、本明細書の図面におけるグラフデータを、化合物、塩形態、結晶多形、治療剤、または他の組成物に関して生成されたグラフデータと比較し、2組のグラフデータが同じ物質を特徴付けているか2つの異なる物質を特徴付けているかを確認することは、容易に行えよう。したがって、例えば、本明細書において図に「実質的に示されているような」グラフデータを特徴とするものとして参照される(3S)-3-({[(2S)-3-(ビフェニル-4-イルスルホニル)-1,3-チアゾリジン-2-イル]カルボニル}-アミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロピルL-バリネート塩酸塩の結晶形態は、このグラフデータを特徴とし、わずかな変動のうちの1つ以上、例えば、上述または当業者に公知の1つ以上の変動を場合により有する、(3S)-3-({[(2S)-3-(ビフェニル-4-イルスルホニル)-1,3-チアゾリジン-2-イル]カルボニル}-アミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロピルL-バリネート塩酸塩のあらゆる結晶形態を含むものと理解される。
【0133】
本明細書で使用される場合、「処置する」または「処置」という用語は、望ましくない生理学的変化または障害、例えば、妊娠初期(例えば、24~34週)における早期分娩の進行を防止または減速(和らげる)ことを目的とする治療的処置を指す。有益または所望の臨床結果としては、膣出血または膜破裂などの症状の緩和、及び分娩の遅延または減速が挙げられるが、これらに限定されない。処置を必要とするものとしては、例えば、早期分娩を既に経験している妊娠中の女性対象、ならびにこの状態を発症しやすいものが挙げられる。
【0134】
本明細書で使用される場合、「子宮収縮抑制剤」という用語は、対象(例えば、ヒト対象などの哺乳動物対象)の分娩の開始を遅延させることのできる物質を指す。子宮収縮抑制剤は、例えば、細胞質cAMPレベルを上昇させ、細胞内Ca
2+の動員を阻害することにより、子宮収縮を抑制するように機能し得る。例示的な子宮収縮抑制剤は、例えば、Haas et al.Int.J.Womens Health.6:343-349(2014)に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用される子宮収縮抑制剤としては、限定されないが、以下の表1に列記される物質が挙げられる。
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0135】
【
図1】静脈内投与後の後期妊娠ラットにおける自発性子宮収縮に対する化合物II及び化合物IIIの効果を示すグラフである。
【
図2】後期妊娠ラットにおける自発性子宮収縮に対する化合物Iの用量依存性かつ可逆的な効果を示すグラフである。
【
図3】経口投与後の後期妊娠ラットにおける自発性子宮収縮に対する化合物II及び化合物IIIの効果を示すグラフである。
【
図4】化合物Iの遊離塩基を生成するために使用される様々な方法、ならびに各方法により生成された化合物Iの物理的特徴及びNMRスペクトルを要約する表である。
【
図5A】化合物Iの塩を生成するために使用される様々な方法、ならびに各方法により生成されたこれらの塩の物理的特徴及びNMRスペクトルに関する観察を要約する表である。
【
図5B】化合物Iの塩を生成するために使用される様々な方法、ならびに各方法により生成されたこれらの塩の物理的特徴及びNMRスペクトルに関する観察を要約する表である。
【
図5C】化合物Iの塩を生成するために使用される様々な方法、ならびに各方法により生成されたこれらの塩の物理的特徴及びNMRスペクトルに関する観察を要約する表である。
【
図6】化合物Iの様々な塩の物理的特徴ならびにX線粉末回折(XRPD)スペクトルを要約する表である。
【
図7A】様々な化合物Iの塩の結晶形態を生成するために使用される方法、ならびに各結晶形態の物理的特性及びXRPDスペクトルに関する観察を要約する表である。
【
図7B】様々な化合物Iの塩の結晶形態を生成するために使用される方法、ならびに各結晶形態の物理的特性及びXRPDスペクトルに関する観察を要約する表である。
【
図7C】様々な化合物Iの塩の結晶形態を生成するために使用される方法、ならびに各結晶形態の物理的特性及びXRPDスペクトルに関する観察を要約する表である。
【
図8】様々な化合物Iの塩の水溶液中の溶解度を要約する表である。
【
図9】示された相対湿度(RH)における様々な化合物Iの塩の結晶形態の安定性を要約する表である。
【
図10】X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量(TG)分析、水分吸着/脱着(MB)、及び
1H核磁気共鳴(NMR)によって決定した、化合物IIIの様々な特徴を要約する表である。
【
図11】X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量(TG)分析、及び
1H核磁気共鳴(NMR)によって決定した、化合物Iの硫酸水素塩の様々な特徴を要約する表である。
【
図12】化合物Iのメシル酸塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図13】化合物Iのメシル酸塩の
1H NMRスペクトルを示す。
【
図14】化合物Iの遊離塩基のXRPDスペクトルを示す。
【
図15】化合物Iの遊離塩基の
1H NMRスペクトルを示す。
【
図16】化合物Iの遊離塩基のラマン赤外スペクトルを示す。
【
図17】化合物Iのメシル酸塩の
1H NMRスペクトルを示す。このメシル酸塩は、化合物Iの遊離塩基のジエチルエーテル溶液にメタンスルホン酸を添加することによって調製した。
【
図18】等核デカップリング実験中に記録された化合物Iの遊離塩基の一連の
1H NMRスペクトルを示す。
【
図19】アセトンスラリーから生成されたもの(一番上)、塩化メチレン:エチルエーテル混合物の蒸発から生成されたもの(上から2番目)、及び1:1アセトン:トルエン混合物の低速蒸発から生成されたもの(下から2番目及び一番下)の、化合物Iの塩化物塩の一連のXRPDスペクトルを示す。
【
図20】アセトンスラリーから生成された化合物Iの塩化物塩に関して記録された、示差走査熱量測定曲線(約-0.5~約1.3W/gの範囲)及び熱重量分析曲線(約0重量%~約100重量%の範囲)のオーバーレイを示す。
【
図21A】1:1アセトン:トルエン混合物から生成された化合物Iの塩化物塩の
1H NMRスペクトルを示す。
【
図21B】1:1アセトン:トルエン混合物から生成された化合物Iの塩化物塩の
1H NMRスペクトルを示す。
【
図21C】1:1アセトン:トルエン混合物から生成された化合物Iの塩化物塩の
1H NMRスペクトルを示す。
【
図21D】1:1アセトン:トルエン混合物から生成された化合物Iの塩化物塩の
1H NMRスペクトルを示す。
【
図22】アセトンスラリーから生成されたもの(上)、及び約50℃で1日間真空乾燥した後のもの(下)の、化合物Iの塩化物塩の一連のXRPDスペクトルを示す。
【
図23】約50℃で1日間真空乾燥した後の化合物Iの塩化物塩に関して記録された、示差走査熱量測定曲線(約-1.0~約0.2W/gの範囲)及び熱重量分析曲線(約30重量%~約100重量%の範囲)のオーバーレイを示す。
【
図24】アセトンスラリーから生成されたもの(上)及び約50℃で1日間真空乾燥した後のもの(下)の、化合物Iの塩化物塩の熱重量分析曲線のオーバーレイを示す。
【
図25】アセトンスラリーから生成されたもの(上)及び約50℃で1日間真空乾燥した後のもの(下)の、化合物Iの塩化物塩に関して記録された示差走査熱量測定曲線のオーバーレイを示す。
【
図26】化合物Iの塩化物塩に関して記録された水分吸着/脱着曲線を示す。y軸の値は、塩化物塩の重量の変化率を、塩周囲の雰囲気中の相対湿度(RH)の関数として示す。
【
図27】化合物Iの塩化物塩を用いて行った水分吸着/脱着実験から得られたデータを報告する表である。
【
図28】化合物Iの塩化物塩に関して記録された水分吸着/脱着曲線を示す。y軸の値は、塩化物塩の重量の変化率を、塩周囲の雰囲気中の相対湿度が変化した時間の関数として示す。
【
図29】水分吸着/脱着実験を行った後(上)及び行う前(下)の化合物Iの塩化物塩のXRPDスペクトルのオーバーレイを示す。
【
図30】1:1メタノール:トルエン混合物の低速蒸発によって生成された化合物Iのフマル酸塩のXRPDスペクトル(上)及びフマル酸のXRPD(下)のオーバーレイを示す。
【
図31】化合物Iのリン酸二水素塩(dihydrophosphate salt)のXRPDスペクトル(上)及び化合物Iの硫酸水素塩のXRPD(下)のオーバーレイを示す。
【
図32】化合物Iの硫酸水素塩に関して記録された、示差走査熱量測定曲線(約-1.9~約0W/gの範囲)及び熱重量分析曲線(約25重量%~約95重量%の範囲)のオーバーレイを示す。
【
図33】化合物Iの硫酸水素塩の
1H NMRスペクトルを示す。
【
図34】化合物Iの硫酸塩の
1H NMRスペクトルを示す。
【
図35】化合物Iのメシル酸塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図36】化合物Iのクエン酸塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図37】化合物Iのエジシル酸塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図38】化合物Iの硫酸水素塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図39】1:2メタノール:トルエン混合物の低速蒸発によって生成された化合物Iのクエン酸塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図40】6:1酢酸エチル:ヘプタン混合物の低速蒸発によって生成された化合物Iの硫酸水素塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図41】酢酸エチル混合物の低速蒸発によって生成された化合物Iの硫酸水素塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図42】1:2メタノール:アセトニトリル混合物の低速蒸発によって生成された化合物Iのリン酸二水素塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図43】1:1メチルエチルケトン:n-ブチルアセテート混合物の低速蒸発によって生成された化合物Iのリン酸二水素塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図44】1:1メチルエチルケトン:n-ブチルアセテート混合物の低速蒸発によって生成された化合物Iのリン酸二水素塩の二連XRPD実験から記録されたXRPDスペクトルを示す。
【
図45】1:1アセトン:トルエン混合物の低速蒸発によって生成された化合物Iの塩化物塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図46】1:1アセトン:トルエン混合物の低速蒸発によって生成された化合物Iの塩化物塩の二連XRPD実験から記録されたXRPDスペクトルを示す。
【
図47】ジエチルエーテル:塩化メチレン混合物の低速蒸発によって生成された化合物Iの塩化物塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図48】アセトンスラリーから生成された化合物Iの塩化物塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図49】真空乾燥した後の化合物Iの塩化物塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図50】1:1メタノール:トルエン混合物の低速蒸発によって生成された化合物Iのフマル酸塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図51】1:1メタノール:酢酸エチル混合物の低速蒸発によって生成された化合物Iのフマル酸塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図52】1:1メタノール:トルエン混合物の真空乾燥によって生成された化合物Iのフマル酸塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図53】1:1:1メタノール:メチルエチルケトン:トルエン混合物の低速蒸発によって生成された化合物Iのエジシル酸塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図54】40℃及び75%の相対湿度で保管する前(下)及び後(上)の化合物Iの塩化物塩のXRPDスペクトルのオーバーレイを示す。
【
図55】Caco-2透過実験で使用した緩衝液:ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)緩衝液(DMSOの最終濃度2%)における化合物Iのメシル酸塩及び化合物IIの安定性を要約する表である。
【
図56A】Caco-2細胞単層でコーティングされたトランスウェルの頂端から側底区画へと通過する化合物Iのメシル酸塩の能力の分析から得られたデータを報告する表である。培養したCaco-2細胞を、トランスウェルの頂端区画内で、示された濃度の化合物Iのメシル酸塩と共にインキュベートし、化合物Iまたは化合物IIの存在を判定するために、示された試料採取時間において側底区画からアリコートを試料採取した。このデータは、側底区画内の化合物IIの濃度を、化合物Iのメシル酸塩の示された初期濃度に対する百分率として報告する。
【
図56B】Caco-2細胞単層でコーティングされたトランスウェルの側底から頂端区画へと通過する化合物Iのメシル酸塩の能力の分析から得られたデータを報告する表である。培養したCaco-2細胞を、トランスウェルの側底区画内で、示された濃度の化合物Iのメシル酸塩と共にインキュベートし、化合物Iまたは化合物IIの存在を判定するために、示された試料採取時間において頂端区画からアリコートを試料採取した。このデータは、側底区画内の化合物IIの濃度を、化合物Iのメシル酸塩の示された初期濃度に対する百分率として報告する。
【
図56C】側底区画内の化合物IIの相対濃度を、頂端区画内の化合物Iのメシル酸塩の初期濃度に対する百分率として示すグラフである。
【
図56D】頂端区画内の化合物IIの相対濃度を、側底区画内の化合物Iのメシル酸塩の初期濃度に対する百分率として示すグラフである。化合物Iは、頂端区画における60または120分間のインキュベーションの後に、側底区画内で検出されなかった。さらに、化合物Iは、側底区画における60または120分間のインキュベーションの後に、頂端区画内で検出されなかった。むしろ、各事例において化合物IIが検出された。
【
図56E】120分間のインキュベーション後の頂端区画における化合物Iの回収率を示す表である。初期化合物は、脱エステル化した変異体である化合物IIの形態で主に回収された。
【
図57A】Caco-2細胞単層でコーティングされたトランスウェルの頂端から側底区画へと通過する化合物IIの能力の分析から得られたデータを報告する表である。培養したCaco-2細胞を、トランスウェルの頂端区画内で、示された濃度の化合物IIと共にインキュベートし、化合物IIの存在を判定するために、示された試料採取時間において側底区画からアリコートを試料採取した。このデータは、側底区画内の化合物IIの濃度を、化合物IIの示された初期濃度に対する百分率として報告する。
【
図57B】Caco-2細胞単層でコーティングされたトランスウェルの側底から頂端区画へと通過する化合物IIの能力の分析から得られたデータを報告する表である。培養したCaco-2細胞を、トランスウェルの側底区画内で、示された濃度の化合物IIと共にインキュベートし、化合物IIの存在を判定するために、示された試料採取時間において頂端区画からアリコートを試料採取した。このデータは、側底区画内の化合物IIの濃度を、化合物IIの示された初期濃度に対する百分率として報告する。
【
図57C】側底区画における60及び120分間のインキュベーションの後の頂端区画における化合物IIの回収率、ならびにCaco-2細胞単層を通る化合物IIの透過率を示す表である。
【
図57D】側底区画内の化合物IIの相対濃度を、頂端区画内の化合物IIの初期濃度に対する百分率として示すグラフである。
【
図57E】頂端区画内の化合物IIの相対濃度を、側底区画内の化合物IIの初期濃度に対する百分率として示すグラフである。
【
図58A】Caco-2細胞単層でコーティングされたトランスウェルの頂端から側底区画へと通過する化合物Iのメシル酸塩の能力の分析から得られたデータを報告する表である。培養したCaco-2細胞を、トランスウェルの頂端区画内で、示された濃度の化合物Iのメシル酸塩と共にインキュベートし、化合物Iまたは化合物IIの存在を判定するために、示された試料採取時間において側底区画からアリコートを試料採取した。このデータは、側底区画内の化合物IIの濃度を、化合物Iのメシル酸塩の示された初期濃度に対する百分率として報告する。化合物Iは、頂端区画における60または120分間のインキュベーションの後に、側底区画内で検出されなかった。
【
図58B】側底区画内の化合物IIの相対濃度を、頂端区画内の化合物Iのメシル酸塩の初期濃度に対する百分率として示すグラフである。
【
図58C】120分間のインキュベーション後の頂端区画における化合物Iの回収率を示す表である。初期化合物は、脱エステル化した化合物の変異体である化合物IIの形態で主に回収された。
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図59】本明細書に記載のCaco-2細胞透過実験における化合物I及び化合物IIの濃度の分析のために使用されたクロマトグラフィ及び質量分析パラメータを要約する表である。
【
図60A】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486またはリポ多糖(LPS)で処置したCD-1マウスの子孫の生存率を例示するグラフである。これらの値は平均±平均値の標準誤差を表す。アステリスクはp<0.05のp値を表す。統計分析は、対応する群に対するマン・ホイットニー検定を使用して実施した。
【
図60B】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486またはLPSで処置したCD-1マウスの生存可能及び生存不能な子孫の数量を例示するグラフである。
【
図61A】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486またはLPSで処置したCD-1マウスにおける誘導から第1子の出産までの時間を例示するグラフである。これらの値は平均±平均値の標準誤差を表す。
【
図61B】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486またはLPSで処置したCD-1マウス間での誘導から出産完了までの時間を例示するグラフである。Y軸に沿った値は、分娩を完了したCD-1マウスの割合を表す。各図において、アステリスクはp<0.05のp値を表す。統計分析は、対応する群に対するマン・ホイットニー検定またはログランク検定を使用して実施した。
【
図61C】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486またはLPSで処置したCD-1マウス間での誘導から出産完了までの時間を例示するグラフである。Y軸に沿った値は、分娩を完了したCD-1マウスの割合を表す。各図において、アステリスクはp<0.05のp値を表す。統計分析は、対応する群に対するマン・ホイットニー検定またはログランク検定を使用して実施した。
【
図62A】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486またはリポ多糖(LPS)で処置したCD-1マウスの子孫の生存率に対する、アトシバン(300mg/kg、皮下投与)及びニフェジピン(5mg/kg、経口投与)の効果を示すグラフである。これらの値は平均±平均値の標準誤差を表す。アステリスクはp<0.05のp値を表し、「ns」はp>0.05のp値を表す。統計分析は、対応するビヒクル群に対するマン・ホイットニー検定または独立t検定を使用して実施した。
【
図62B】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486またはLPSで処置したCD-1マウスの生存可能及び生存不能な子孫の数量に対する、アトシバン(300mg/kg、皮下投与)及びニフェジピン(5mg/kg、経口投与)の効果を示すグラフである。
【
図63A】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486またはLPSで処置したCD-1マウスの子孫の生存率に対する、化合物III(10mg/kg、30mg/kg、及び100mg/kg、経口投与)の効果を示すグラフである。これらの値は平均±平均値の標準誤差を表す。「ns」はp>0.05のp値を表す。統計分析は、対応するビヒクル群に対するマン・ホイットニー検定を使用して実施した。
【
図63B】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486またはLPSで処置したCD-1マウスの生存可能及び生存不能な子孫の数量に対する、化合物III(10mg/kg、30mg/kg、及び100mg/kg、経口投与)の効果を示すグラフである。
【
図64A】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486で処置したCD-1マウスの子孫の生存率に対する、ニフェジピン(5mg/kg、経口投与)、化合物III(100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。これらの値は平均±平均値の標準誤差を表す。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表し、「NS」は対応するビヒクル群に対してp>0.05のp値を表す。統計分析は、対応する目的の群に対するマン・ホイットニー検定を使用して実施した。
【
図64B】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486で処置したCD-1マウスの生存可能及び生存不能な子孫の数量に対する、ニフェジピン(5mg/kg、経口投与)、化合物III(100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。
【
図65A】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486で処置したCD-1マウスにおける誘導から第1子の出産までの時間に対する、ニフェジピン(5mg/kg、経口投与)、化合物III(100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。これらの値は平均±平均値の標準誤差を表す。3つのアステリスクは対応する群に対してp<0.001のp値を表し、2つのアステリスクは対応する群に対してp<0.01のp値を表す。ニフェジピン、化合物III、及び併用アームは、ビヒクル単独で処置した群に対して、それぞれp=0.0576、p=0.0601、及びp<0.001(「$$$」の記号で示される)のp値を呈した。統計分析は、対応する目的の群に対するマン・ホイットニー検定または独立t検定を使用して実施した。
【
図65B】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486で処置したCD-1マウス間での誘導から出産完了までの時間に対する、ニフェジピン(5mg/kg、経口投与)、化合物III(100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。Y軸に沿った値は、分娩を完了したCD-1マウスの割合を表す。
【
図65C】
図65Bに示されるビヒクル及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。3つのアステリスクは対応する群に対してp<0.001のp値を表す。統計分析は、対応する目的の群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図65D】
図65Bに示される化合物III及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。3つのアステリスクは対応する群に対してp<0.001のp値を表す。統計分析は、対応する目的の群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図65E】
図65Bに示されるニフェジピン及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。2つのアステリスクは対応する群に対してp<0.01のp値を表す。統計分析は、対応する目的の群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図66A】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486で処置したCD-1マウスの子孫の生存率に対する、アトシバン(300mg/kg、皮下投与)、化合物III(100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。これらの値は平均±平均値の標準誤差を表す。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表し、「NS」は対応するビヒクル群に対してp>0.05のp値を表す。統計分析は、対応する目的の群に対するマン・ホイットニー検定を使用して実施した。
【
図66B】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてLPSで処置したCD-1マウスの生存可能及び生存不能な子孫の数量に対する、アトシバン(300mg/kg、皮下投与)、化合物III(100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。
【
図67A】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486で処置したCD-1マウスにおける誘導から第1子の出産までの時間に対する、アトシバン(300mg/kg、皮下投与)、化合物III(100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。これらの値は平均±平均値の標準誤差を表す。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表し、「NS」は対応するビヒクル群に対してp>0.05のp値を表す。アトシバン、化合物III、及び併用アームは、ビヒクル群に対して、それぞれp>0.05、p=0.0601、及びp>0.05のp値を呈した。統計分析は、対応する目的の群に対する独立t検定を使用して実施した。
【
図67B】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてRU486で処置したCD-1マウス間での誘導から出産完了までの時間に対する、アトシバン(300mg/kg、皮下投与)、化合物III(100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。Y軸に沿った値は、分娩を完了したCD-1マウスの割合を表す。
【
図67C】
図67Bに示されるビヒクル及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表す。統計分析は、対応する目的の群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図67D】
図67Bに示される化合物III及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。併用アームは、化合物IIIアームに対してp=0.0832のp値を呈した。統計分析は、対応する目的の群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図67E】
図67Bに示されるアトシバン及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表す。統計分析は、対応する目的の群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図68A】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてLPSで処置したCD-1マウスの子孫の生存率に対する、ニフェジピン(5mg/kg、経口投与)、化合物III(10mg/kg、30mg/kg、及び100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。これらの値は平均±平均値の標準誤差を表す。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表し、「NS」は対応するビヒクル群に対してp>0.05のp値を表す。ニフェジピンアームは、ビヒクル単独で処置した群に対してp=0.0859のp値を呈した。統計分析は、対応する目的の群に対するマン・ホイットニー検定または独立t検定を使用して実施した。
【
図68B】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてLPSで処置したCD-1マウスの生存可能及び生存不能な子孫の数量に対する、ニフェジピン(5mg/kg、経口投与)、化合物III(10mg/kg、30mg/kg、及び100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。
【
図69A】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてLPSで処置したCD-1マウスにおける誘導から第1子の出産までの時間に対する、ニフェジピン(5mg/kg、経口投与)、化合物III(10mg/kg、30mg/kg、及び100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。これらの値は平均±平均値の標準誤差を表す。2つのアステリスクは、対応する群に対するマン・ホイットニー検定によって評価した場合に、対応する群に対してp<0.01のp値を表し、「ns」は、対応する群に対するマン・ホイットニー検定によって評価した場合に、対応する群に対してp>0.05のp値を表し、「NS」は、対応する群に対する独立t検定によって評価した場合に、対応するビヒクル群に対してp>0.05のp値を表し、「検定せず」は、示される対に対して統計検定を実施しなかったことを表す。
【
図69B】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてLPSで処置したCD-1マウス間での誘導から出産完了までの時間に対する、ニフェジピン(5mg/kg、経口投与)、化合物III(10mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。
【
図69C】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてLPSで処置したCD-1マウス間での誘導から出産完了までの時間に対する、ニフェジピン(5mg/kg、経口投与)、化合物III(30mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。
【
図69D】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてLPSで処置したCD-1マウス間での誘導から出産完了までの時間に対する、ニフェジピン(5mg/kg、経口投与)、化合物III(100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。
【
図69E】
図69Bに示されるビヒクル及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表す。統計分析は、対応する群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図69F】
図69Bに示される化合物III及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。2つのアステリスクは対応する群に対してp<0.01のp値を表す。統計分析は、対応する目的の群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図69G】
図69Bに示されるニフェジピン及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表す。統計分析は、対応する群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図69H】
図69Cに示されるビヒクル及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表す。統計分析は、対応する群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図69I】
図69Cに示される化合物III及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表す。統計分析は、対応する群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図69J】
図69Cに示されるニフェジピン及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表す。統計分析は、対応する群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図69K】
図69Dに示されるビヒクル及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表す。統計分析は、対応する群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図69L】
図69Dに示される化合物III及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表す。統計分析は、対応する群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図69M】
図69Dに示されるニフェジピン及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表す。統計分析は、対応する群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図70A】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてLPSで処置したCD-1マウスの子孫の生存率に対する、アトシバン(300mg/kg、皮下投与)、化合物III(100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。これらの値は平均±平均値の標準誤差を表す。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表し、「NS」は対応するビヒクル群に対してp>0.05のp値を表す。統計分析は、対応する目的の群に対するマン・ホイットニー検定または独立t検定を使用して実施した。
【
図70B】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてLPSで処置したCD-1マウスの生存可能及び生存不能な子孫の数量に対する、アトシバン(300mg/kg、皮下投与)、化合物III(100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。
【
図71A】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてLPSで処置したCD-1マウスにおける誘導から第1子の出産までの時間に対する、アトシバン(300mg/kg、皮下投与)、化合物III(100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。これらの値は平均±平均値の標準誤差を表す。「ns」は対応する群に対してp>0.05のp値を表し、「NS」は対応するビヒクル群に対してp>0.05のp値を表し、「$」は対応するビヒクル群に対してp<0.05のp値を表す。併用アームは、アトシバン単独で処置したアームに対してp=0.0909のp値を呈した。統計分析は、対応する目的の群に対するマン・ホイットニー検定または独立t検定を使用して実施した。
【
図71B】出産を誘導するために17日の妊娠期間においてLPSで処置したCD-1マウス間での誘導から出産完了までの時間に対する、アトシバン(300mg/kg、皮下投与)、化合物III(100mg/kg、経口投与)、及びそれらの組み合わせの効果を示すグラフである。
【
図71C】
図71Bに示されるビヒクル及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。2つのアステリスクは対応する群に対してp<0.01のp値を表す。統計分析は、対応する目的の群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図71D】
図71Bに示される化合物III及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。併用アームは、化合物IIIアームに対してp=0.0964のp値を呈した。統計分析は、対応する目的の群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図71E】
図71Bに示されるアトシバン及び併用アームにおける誘導から子孫出産完了までの時間を示すグラフである。アステリスクは対応する群に対してp<0.05のp値を表す。統計分析は、対応する目的の群に対するログランク検定を使用して実施した。
【
図72A】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、PGF2α誘導性平滑筋収縮の頻度に対する、様々な濃度の化合物II(6nM、60nM、600nM、及び6000nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮頻度のベースライン測定値を記録した。自発性収縮頻度の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照または化合物IIを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮頻度に対する対照または化合物IIの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「化合物II」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のPGF2α(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、PGF2αの存在下で収縮頻度に対する化合物IIの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「PGF2α 1nM」、「PGF2α 10nM」、及び「PGF2α 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮頻度に対する百分率としての、収縮の頻度を表す。「#」の記号はDMSO対照に対してp<0.05のp値を表す。
【
図72B】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、PGF2α誘導性平滑筋収縮の収縮1回当たりになされた仕事量(曲線下面積、すなわち「AUC」)に対する、様々な濃度の化合物II(6nM、60nM、600nM、及び6000nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、収縮1回当たりになされた自発性仕事量のベースライン測定値を記録した。収縮1回当たりになされた自発性仕事量の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照または化合物IIを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮1回当たりになされた仕事量に対する対照または化合物IIの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「化合物II」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のPGF2α(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、PGF2αの存在下で収縮1回当たりになされた仕事量に対する化合物IIの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「PGF2α 1nM」、「PGF2α 10nM」、及び「PGF2α 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮で収縮1回当たりになされた仕事量に対する百分率としての、収縮1回当たりになされた仕事量を表す。「#」の記号はDMSO対照に対してp<0.05のp値を表す。
【
図72C】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、PGF2α誘導性平滑筋収縮のピーク振幅に対する、様々な濃度の化合物II(6nM、60nM、600nM、及び6000nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮ピーク振幅のベースライン測定値を記録した。自発性収縮ピーク振幅の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照または化合物IIを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮ピーク振幅に対する対照または化合物IIの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「化合物II」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のPGF2α(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、PGF2αの存在下で収縮ピーク振幅に対する化合物IIの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「PGF2α 1nM」、「PGF2α 10nM」、及び「PGF2α 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮のピーク振幅に対する百分率としての、収縮ピーク振幅を表す。「#」の記号はDMSO対照に対してp<0.05のp値を表す。
【
図72D】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、PGF2α誘導性平滑筋収縮の持続時間に対する、様々な濃度の化合物II(6nM、60nM、600nM、及び6000nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮持続時間のベースライン測定値を記録した。自発性収縮持続時間の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照または化合物IIを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮持続時間に対する対照または化合物IIの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「化合物II」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のPGF2α(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、PGF2αの存在下で収縮持続時間に対する化合物IIの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「PGF2α 1nM」、「PGF2α 10nM」、及び「PGF2α 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮の持続時間に対する百分率としての、収縮持続時間を表す。
【
図72E】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、PGF2α誘導性平滑筋収縮の全収縮によってなされた全仕事量(全収縮の曲線下面積の和)に対する、様々な濃度の化合物II(6nM、60nM、600nM、及び6000nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、全ての自発性収縮に対してなされた仕事量のベースライン測定値を記録した。全ての自発性収縮に対してなされた仕事量の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照または化合物IIを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、その後の全収縮に対してなされた全仕事量に対する対照または化合物IIの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「化合物II」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のPGF2α(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、PGF2αの存在下で収縮によってなされた全仕事量に対する化合物IIの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「PGF2α 1nM」、「PGF2α 10nM」、及び「PGF2α 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮によってなされた全仕事量に対する百分率としての、収縮によってなされた全仕事量を表す。「#」の記号はDMSO対照に対してp<0.05のp値を表す。
【
図73A】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、オキシトシン(OT)誘導性平滑筋収縮の頻度に対する、様々な濃度の化合物II(6nM、60nM、600nM、及び6000nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮頻度のベースライン測定値を記録した。自発性収縮頻度の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照または化合物IIを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮頻度に対する対照または化合物IIの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「化合物II」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮頻度に対する化合物IIの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮頻度に対する百分率としての、収縮の頻度を表す。アステリスクはDMSO対照に対してp<0.05のp値を表す。
【
図73B】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮の収縮1回当たりになされた仕事量(曲線下面積、すなわち「AUC」)に対する、様々な濃度の化合物II(6nM、60nM、600nM、及び6000nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、収縮1回当たりになされた自発性仕事量のベースライン測定値を記録した。収縮1回当たりになされた自発性仕事量の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照または化合物IIを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮1回当たりになされた仕事量に対する対照または化合物IIの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「化合物II」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮1回当たりになされた仕事量に対する化合物IIの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮で収縮1回当たりになされた仕事量に対する百分率としての、収縮1回当たりになされた仕事量を表す。
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図73C】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮のピーク振幅に対する、様々な濃度の化合物II(6nM、60nM、600nM、及び6000nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮ピーク振幅のベースライン測定値を記録した。自発性収縮ピーク振幅の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照または化合物IIを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮ピーク振幅に対する対照または化合物IIの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「化合物II」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮ピーク振幅に対する化合物IIの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮のピーク振幅に対する百分率としての、収縮ピーク振幅を表す。アステリスクはDMSO対照に対してp<0.05のp値を表す。
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図73D】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮の持続時間に対する、様々な濃度の化合物II(6nM、60nM、600nM、及び6000nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮持続時間のベースライン測定値を記録した。自発性収縮持続時間の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照または化合物IIを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮持続時間に対する対照または化合物IIの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「化合物II」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮持続時間に対する化合物IIの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮の持続時間に対する百分率としての、収縮持続時間を表す。
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図73E】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮の全収縮によってなされた全仕事量(全収縮の曲線下面積の和)に対する、様々な濃度の化合物II(6nM、60nM、600nM、及び6000nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、全ての自発性収縮に対してなされた仕事量のベースライン測定値を記録した。全ての自発性収縮に対してなされた仕事量の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照または化合物IIを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、その後の全収縮に対してなされた全仕事量に対する対照または化合物IIの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「化合物II」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮によってなされた全仕事量に対する化合物IIの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮によってなされた全仕事量に対する百分率としての、収縮によってなされた全仕事量を表す。アステリスクはDMSO対照に対してp<0.05のp値を表す。
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図74A】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、PGF2α誘導性平滑筋収縮の頻度に対する、様々な濃度のアトシバン(6nM、60nM、及び600nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮頻度のベースライン測定値を記録した。自発性収縮頻度の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照またはアトシバン(「Ato」)を示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮頻度に対する対照またはアトシバンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「Ato」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のPGF2α(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、PGF2αの存在下で収縮頻度に対するアトシバンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「PGF2α 1nM」、「PGF2α 10nM」、及び「PGF2α 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮頻度に対する百分率としての、収縮の頻度を表す。アステリスクはDMSO対照に対してp<0.05のp値を表す。
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図74B】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、PGF2α誘導性平滑筋収縮の収縮1回当たりになされた仕事量(曲線下面積、すなわち「AUC」)に対する、様々な濃度のアトシバン(6nM、60nM、及び600nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、収縮1回当たりになされた自発性仕事量のベースライン測定値を記録した。収縮1回当たりになされた自発性仕事量の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照またはアトシバンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮1回当たりになされた仕事量に対する対照またはアトシバンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「Ato」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のPGF2α(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、PGF2αの存在下で収縮1回当たりになされた仕事量に対するアトシバンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「PGF2α 1nM」、「PGF2α 10nM」、及び「PGF2α 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮で収縮1回当たりになされた仕事量に対する百分率としての、収縮1回当たりになされた仕事量を表す。
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図74C】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、PGF2α誘導性平滑筋収縮のピーク振幅に対する、様々な濃度のアトシバン(6nM、60nM、及び600nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮ピーク振幅のベースライン測定値を記録した。自発性収縮ピーク振幅の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照またはアトシバンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮ピーク振幅に対する対照またはアトシバンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「Ato」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のPGF2α(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、PGF2αの存在下で収縮ピーク振幅に対するアトシバンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「PGF2α 1nM」、「PGF2α 10nM」、及び「PGF2α 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮のピーク振幅に対する百分率としての、収縮ピーク振幅を表す。
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図74D】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、PGF2α誘導性平滑筋収縮の持続時間に対する、様々な濃度のアトシバン(6nM、60nM、及び600nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮持続時間のベースライン測定値を記録した。自発性収縮持続時間の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照またはアトシバンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮持続時間に対する対照またはアトシバンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「Ato」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のPGF2α(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、PGF2αの存在下で収縮持続時間に対するアトシバンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「PGF2α 1nM」、「PGF2α 10nM」、及び「PGF2α 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮の持続時間に対する百分率としての、収縮持続時間を表す。
【
図74E】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、PGF2α誘導性平滑筋収縮の全収縮によってなされた全仕事量(全収縮の曲線下面積の和)に対する、様々な濃度のアトシバン(6nM、60nM、及び600nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、全ての自発性収縮に対してなされた仕事量のベースライン測定値を記録した。全ての自発性収縮に対してなされた仕事量の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照またはアトシバンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、その後の全収縮に対してなされた全仕事量に対する対照またはアトシバンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「Ato」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のPGF2α(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、PGF2αの存在下で収縮によってなされた全仕事量に対するアトシバンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「PGF2α 1nM」、「PGF2α 10nM」、及び「PGF2α 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮によってなされた全仕事量に対する百分率としての、収縮によってなされた全仕事量を表す。アステリスクはDMSO対照に対してp<0.05のp値を表す。
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図75A】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、PGE2誘導性平滑筋収縮の頻度に対する、様々な濃度のアトシバン(6nM、60nM、及び600nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮頻度のベースライン測定値を記録した。自発性収縮頻度の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照またはアトシバン(「Ato」)を示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮頻度に対する対照またはアトシバンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「Ato」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のPGE2(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、PGE2の存在下で収縮頻度に対するアトシバンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「PGE2 1nM」、「PGE2 10nM」、及び「PGE2 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮頻度に対する百分率としての、収縮の頻度を表す。3つのアステリスクはDMSO対照に対してp<0.001のp値を表す。
【
図75B】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、PGE2誘導性平滑筋収縮の収縮1回当たりになされた仕事量(曲線下面積、すなわち「AUC」)に対する、様々な濃度のアトシバン(6nM、60nM、及び600nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、収縮1回当たりになされた自発性仕事量のベースライン測定値を記録した。収縮1回当たりになされた自発性仕事量の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照またはアトシバンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮1回当たりになされた仕事量に対する対照またはアトシバンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「Ato」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のPGE2(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、PGE2の存在下で収縮1回当たりになされた仕事量に対するアトシバンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「PGE2 1nM」、「PGE2 10nM」、及び「PGE2 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮で収縮1回当たりになされた仕事量に対する百分率としての、収縮1回当たりになされた仕事量を表す。
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図75C】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、PGE2誘導性平滑筋収縮のピーク振幅に対する、様々な濃度のアトシバン(6nM、60nM、及び600nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮ピーク振幅のベースライン測定値を記録した。自発性収縮ピーク振幅の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照またはアトシバンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮ピーク振幅に対する対照またはアトシバンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「Ato」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のPGE2(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、PGE2の存在下で収縮ピーク振幅に対するアトシバンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「PGE2 1nM」、「PGE2 10nM」、及び「PGE2 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮のピーク振幅に対する百分率としての、収縮ピーク振幅を表す。アステリスクはDMSO対照に対してp<0.05のp値を表す。
【
図75D】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、PGE2誘導性平滑筋収縮の持続時間に対する、様々な濃度のアトシバン(6nM、60nM、及び600nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮持続時間のベースライン測定値を記録した。自発性収縮持続時間の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照またはアトシバンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮持続時間に対する対照またはアトシバンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「Ato」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のPGE2(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、PGE2の存在下で収縮持続時間に対するアトシバンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「PGE2 1nM」、「PGE2 10nM」、及び「PGE2 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮の持続時間に対する百分率としての、収縮持続時間を表す。
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図75E】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、PGE2誘導性平滑筋収縮の全収縮によってなされた全仕事量(全収縮の曲線下面積の和)に対する、様々な濃度のアトシバン(6nM、60nM、及び600nM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、全ての自発性収縮に対してなされた仕事量のベースライン測定値を記録した。全ての自発性収縮に対してなされた仕事量の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照またはアトシバンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、その後の全収縮に対してなされた全仕事量に対する対照またはアトシバンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「Ato」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のPGE2(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、PGE2の存在下で収縮によってなされた全仕事量に対するアトシバンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「PGE2 1nM」、「PGE2 10nM」、及び「PGE2 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮によってなされた全仕事量に対する百分率としての、収縮によってなされた全仕事量を表す。アステリスクはDMSO対照に対してp<0.05のp値を表す。3つのアステリスクはDMSO対照に対してp<0.001のp値を表す。
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図76A】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=3の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮の頻度に対する、様々な濃度の化合物II(60nM及び600nM)、アトシバン(6nM)、及び化合物IIとアトシバンとの組み合わせの効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮頻度のベースライン測定値を記録した。自発性収縮頻度の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照、化合物II、及び/またはアトシバンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮頻度に対する対照、化合物II、及び/またはアトシバンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「ANT」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮頻度に対する化合物II及び/またはアトシバンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮頻度に対する百分率としての、収縮の頻度を表す。
【
図76B】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=3の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮の収縮1回当たりになされた仕事量(曲線下面積、すなわち「AUC」)に対する、様々な濃度の化合物II(60nM及び600nM)、アトシバン(6nM)、及び化合物IIとアトシバンとの組み合わせの効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、収縮1回当たりになされた自発性仕事量のベースライン測定値を記録した。収縮1回当たりになされた自発性仕事量の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照、化合物II、及び/またはアトシバンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮1回当たりになされた仕事量に対する対照、化合物II、及び/またはアトシバンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「ANT」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮1回当たりになされた仕事量に対する化合物II及び/またはアトシバンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮で収縮1回当たりになされた仕事量に対する百分率としての、収縮1回当たりになされた仕事量を表す。
【
図76C】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=3の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮のピーク振幅に対する、様々な濃度の化合物II(60nM及び600nM)、アトシバン(6nM)、及び化合物IIとアトシバンとの組み合わせの効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮ピーク振幅のベースライン測定値を記録した。自発性収縮ピーク振幅の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照、化合物II、及び/またはアトシバンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮ピーク振幅に対する対照、化合物II、及び/またはアトシバンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「ANT」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮ピーク振幅に対する化合物II及び/またはアトシバンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮のピーク振幅に対する百分率としての、収縮ピーク振幅を表す。
【
図76D】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=3の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮の持続時間に対する、様々な濃度の化合物II(60nM及び600nM)、アトシバン(6nM)、及び化合物IIとアトシバンとの組み合わせの効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮持続時間のベースライン測定値を記録した。自発性収縮持続時間の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照、化合物II、及び/またはアトシバンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮持続時間に対する対照、化合物II、及び/またはアトシバンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「ANT」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮持続時間に対する化合物II及び/またはアトシバンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮の持続時間に対する百分率としての、収縮持続時間を表す。
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図76E】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=3の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮の全収縮によってなされた全仕事量(全収縮の曲線下面積の和)に対する、様々な濃度の化合物II(60nM及び600nM)、アトシバン(6nM)、及び化合物IIとアトシバンとの組み合わせの効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、全ての自発性収縮に対してなされた仕事量のベースライン測定値を記録した。全ての自発性収縮に対してなされた仕事量の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照、化合物II、及び/またはアトシバンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、その後の全収縮に対してなされた全仕事量に対する対照、化合物II、及び/またはアトシバンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「ANT」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮によってなされた全仕事量に対する化合物II及び/またはアトシバンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮によってなされた全仕事量に対する百分率としての、収縮によってなされた全仕事量を表す。3つのアステリスクはDMSO対照に対してp<0.001のp値を表す。2つの「#」記号は、6nMの濃度のアトシバンを用いた処置に対してp<0.01のp値を表す。
【
図77A】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=2の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮の頻度に対する、様々な濃度のニフェジピン(1nM、6nM、60nM、600nM、及び10μM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮頻度のベースライン測定値を記録した。自発性収縮頻度の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照またはニフェジピンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮頻度に対する対照またはニフェジピンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「Nif」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮頻度に対するニフェジピンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮頻度に対する百分率としての、収縮の頻度を表す。
【
図77B】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=2の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮の収縮1回当たりになされた仕事量(曲線下面積、すなわち「AUC」)に対する、様々な濃度のニフェジピン(1nM、6nM、60nM、600nM、及び10μM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、収縮1回当たりになされた自発性仕事量のベースライン測定値を記録した。収縮1回当たりになされた自発性仕事量の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照またはニフェジピンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮1回当たりになされた仕事量に対する対照またはニフェジピンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「Nif」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮1回当たりになされた仕事量に対するニフェジピンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮で収縮1回当たりになされた仕事量に対する百分率としての、収縮1回当たりになされた仕事量を表す。
【
図77C】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=2の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮のピーク振幅に対する、様々な濃度のニフェジピン(1nM、6nM、60nM、600nM、及び10μM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮ピーク振幅のベースライン測定値を記録した。自発性収縮ピーク振幅の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照またはニフェジピンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮ピーク振幅に対する対照またはニフェジピンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「Nif」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮ピーク振幅に対するニフェジピンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮のピーク振幅に対する百分率としての、収縮ピーク振幅を表す。
【
図77D】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=2の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮の持続時間に対する、様々な濃度のニフェジピン(1nM、6nM、60nM、600nM、及び10μM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮持続時間のベースライン測定値を記録した。自発性収縮持続時間の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照またはニフェジピンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮持続時間に対する対照またはニフェジピンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「Nif」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮持続時間に対するニフェジピンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮の持続時間に対する百分率としての、収縮持続時間を表す。
【
図77E】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=2の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮の全収縮によってなされた全仕事量(全収縮の曲線下面積の和)に対する、様々な濃度のニフェジピン(1nM、6nM、60nM、600nM、及び10μM)の効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、全ての自発性収縮に対してなされた仕事量のベースライン測定値を記録した。全ての自発性収縮に対してなされた仕事量の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照またはニフェジピンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、その後の全収縮に対してなされた全仕事量に対する対照またはニフェジピンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「Nif」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮によってなされた全仕事量に対するニフェジピンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮によってなされた全仕事量に対する百分率としての、収縮によってなされた全仕事量を表す。
【
図78A】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=5の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮の頻度に対する、様々な濃度の化合物II(60nM及び600nM)、ニフェジピン(6nM)、及び化合物IIとニフェジピンとの組み合わせの効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮頻度のベースライン測定値を記録した。自発性収縮頻度の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照、化合物II、及び/またはニフェジピンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮頻度に対する対照、化合物II、及び/またはニフェジピンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「ANT」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮頻度に対する化合物II及び/またはニフェジピンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮頻度に対する百分率としての、収縮の頻度を表す。
【
図78B】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=5の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮の収縮1回当たりになされた仕事量(曲線下面積、すなわち「AUC」)に対する、様々な濃度の化合物II(60nM及び600nM)、ニフェジピン(6nM)、及び化合物IIとニフェジピンとの組み合わせの効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、収縮1回当たりになされた自発性仕事量のベースライン測定値を記録した。収縮1回当たりになされた自発性仕事量の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照、化合物II、及び/またはニフェジピンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮1回当たりになされた仕事量に対する対照、化合物II、及び/またはニフェジピンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「ANT」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮1回当たりになされた仕事量に対する化合物II及び/またはニフェジピンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮で収縮1回当たりになされた仕事量に対する百分率としての、収縮1回当たりになされた仕事量を表す。
【
図78C】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=5の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮のピーク振幅に対する、様々な濃度の化合物II(60nM及び600nM)、ニフェジピン(6nM)、及び化合物IIとニフェジピンとの組み合わせの効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮ピーク振幅のベースライン測定値を記録した。自発性収縮ピーク振幅の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照、化合物II、及び/またはニフェジピンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮ピーク振幅に対する対照、化合物II、及び/またはニフェジピンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「ANT」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮ピーク振幅に対する化合物II及び/またはニフェジピンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮のピーク振幅に対する百分率としての、収縮ピーク振幅を表す。
【
図78D】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=5の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮の持続時間に対する、化合物II(60nM及び600nM)、ニフェジピン(6nM)、及び化合物IIとニフェジピンとの組み合わせの効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、自発性収縮持続時間のベースライン測定値を記録した。自発性収縮持続時間の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照、化合物II、及び/またはニフェジピンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、収縮持続時間に対する対照、化合物II、及び/またはニフェジピンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「ANT」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮持続時間に対する化合物II及び/またはニフェジピンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮の持続時間に対する百分率としての、収縮持続時間を表す。
【
図78E】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=5の満期分娩前子宮筋層生検における、OT誘導性平滑筋収縮の全収縮によってなされた全仕事量(全収縮の曲線下面積の和)に対する、化合物II(60nM及び600nM)、ニフェジピン(6nM)、及び化合物IIとニフェジピンとの組み合わせの効果を示すグラフである。酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、ADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。規則的な収縮が少なくとも20分間にわたって確立されたら、全ての自発性収縮に対してなされた仕事量のベースライン測定値を記録した。全ての自発性収縮に対してなされた仕事量の測定値は、x軸上に「Spon」として表されている。次いで、DMSO対照、化合物II、及び/またはニフェジピンを示された濃度で各子宮筋層試料に添加し、その後の全収縮に対してなされた全仕事量に対する対照、化合物II、及び/またはニフェジピンの効果を、続く10分間にわたって測定した。この時点は、x軸上に「ANT」として表されている。その後、逐次的な10分間の間隔をおいて、漸増濃度のOT(1nM、10nM、及び100nM)で子宮筋層組織試料に負荷をかけることにより、OTの存在下で収縮によってなされた全仕事量に対する化合物II及び/またはニフェジピンの効果を測定した。これらの時点は、それぞれ「OT 1nM」、「OT 10nM」、及び「OT 100nM」としてx軸上に表されている。y軸に沿った値は、自発性ベースライン収縮によってなされた全仕事量に対する百分率としての、収縮によってなされた全仕事量を表す。アステリスクはDMSO対照に対してp<0.05のp値を表す。2つのアステリスクはDMSO対照に対してp<0.01のp値を表す。3つのアステリスクはDMSO対照に対してp<0.001のp値を表す。3つの「+」記号は、60nMの濃度の化合物IIを用いた処置に対してp<0.001のp値を表す。
【
図79A】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、リン酸化p65(p-p65)、リン酸化p38(p-p38)、及びリン酸化細胞外シグナル制御キナーゼ(p-ERK)の発現に対する、オキシトシン、ノラシバン、及びそれらの組み合わせの効果を示すウェスタンブロットである。試料は、示される期間にわたり、無刺激であったか(「NS」)、オキシトシンで刺激したか(「OT」)、1μMの濃度のノラシバンで処置したか、または1μMの濃度のオキシトシン及びノラシバンの両方で処置したかのいずれかであった。β-アクチンに対するブロットを対照として行った。
【
図79B】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、p-p65、p-p38、及びp-ERKの発現に対する、場合によりノラシバンと組み合わせたオキシトシン及び/または様々な濃度の化合物IIの効果を示すウェスタンブロットである。試料は、示される期間にわたり、1μMの濃度のノラシバンの存在下と非存在下との両方で、無刺激であったか(「NS」)、オキシトシンで刺激したか(「OT」)、3μMの濃度の化合物IIで処置したか、または化合物IIの濃度を変えながらオキシトシンと化合物IIとの両方で処置したかのいずれかであった。β-アクチンに対するブロットを対照として行った。
【
図79C】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、炎症促進性遺伝子シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)及びリン酸化カルシウム依存性ホスホリパーゼA2(p-cPLA2)の発現に対する、オキシトシン、ノラシバン、及びそれらの組み合わせの効果を示すウェスタンブロットである。試料は、示される期間にわたり、無刺激であったか(「NS」)、オキシトシンで刺激したか(「OT」)、1μMの濃度のノラシバンで処置したか、または1μMの濃度のオキシトシン及びノラシバンの両方で処置したかのいずれかであった。β-アクチンに対するブロットを対照として行った。
【
図79D】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=6の満期分娩前子宮筋層生検における、炎症促進性遺伝子COX-2及びp-cPLA2の発現に対する、場合によりノラシバンと組み合わせたオキシトシン及び/または様々な濃度の化合物IIの効果を示すウェスタンブロットである。試料は、示される期間にわたり、1μMの濃度のノラシバンの存在下と非存在下との両方で、無刺激であったか(「NS」)、オキシトシンで刺激したか(「OT」)、3μMの濃度の化合物IIで処置したか、または化合物IIの濃度を変えながらオキシトシンと化合物IIとの両方で処置したかのいずれかであった。β-アクチンに対するブロットを対照として行った。
【
図79E】
図79A及び79Bに示されるp-p65の発現を定量化したグラフである。
【
図79F】
図79A及び79Bに示されるp-p38の発現を定量化したグラフである。
【
図79G】
図79A及び79Bに示されるp-ERKの発現を定量化したグラフである。
【
図79H】
図79C及び79Dに示されるCOX-2の発現を定量化したグラフである。アステリスクは無刺激(「NS」)試料に対してp<0.05のp値を表す。2つのアステリスクは無刺激試料に対してp<0.01のp値を表す。3つのアステリスクは無刺激試料に対してp<0.001のp値を表す。3つの「#」記号はオキシトシン(OT)処置試料に対してp<0.001のp値を表す。
【
図79I】
図79C及び79Dに示されるp-cPLA2の発現を定量化したグラフである。アステリスクは無刺激(「NS」)試料に対してp<0.05のp値を表す。3つのアステリスクは無刺激試料に対してp<0.001のp値を表す。
【
図80A】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=3の満期分娩前羊膜生検における、p-p65、p-p38、及びp-ERKの発現に対する、オキシトシン、ノラシバン、及びそれらの組み合わせの効果を示すウェスタンブロットである。試料は、示される期間にわたり、無刺激であったか(「NS」)、オキシトシンで刺激したか(「OT」)、1μMの濃度のノラシバンで処置したか、または1μMの濃度のオキシトシン及びノラシバンの両方で処置したかのいずれかであった。β-アクチンに対するブロットを対照として行った。
【
図80B】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=3の満期分娩前羊膜生検における、p-p65、p-p38、及びp-ERKの発現に対する、場合によりノラシバンと組み合わせたオキシトシン及び/または様々な濃度の化合物IIの効果を示すウェスタンブロットである。試料は、示される期間にわたり、1μMの濃度のノラシバンの存在下と非存在下との両方で、無刺激であったか(「NS」)、オキシトシンで刺激したか(「OT」)、3μMの濃度の化合物IIで処置したか、または化合物IIの濃度を変えながらオキシトシンと化合物IIとの両方で処置したかのいずれかであった。β-アクチンに対するブロットを対照として行った。
【
図80C】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=3の満期分娩前羊膜生検における、炎症促進性遺伝子COX-2及びp-cPLA2の発現に対する、オキシトシン、ノラシバン、及びそれらの組み合わせの効果を示すウェスタンブロットである。試料は、示される期間にわたり、無刺激であったか(「NS」)、オキシトシンで刺激したか(「OT」)、1μMの濃度のノラシバンで処置したか、または1μMの濃度のオキシトシン及びノラシバンの両方で処置したかのいずれかであった。β-アクチンに対するブロットを対照として行った。
【
図80D】帝王切開による出産を体験しているヒト女性対象から収集された、N=3の満期分娩前羊膜生検における、炎症促進性遺伝子COX-2及びp-cPLA2の発現に対する、場合によりノラシバンと組み合わせたオキシトシン及び/または様々な濃度の化合物IIの効果を示すウェスタンブロットである。試料は、示される期間にわたり、1μMの濃度のノラシバンの存在下と非存在下との両方で、無刺激であったか(「NS」)、オキシトシンで刺激したか(「OT」)、3μMの濃度の化合物IIで処置したか、または化合物IIの濃度を変えながらオキシトシンと化合物IIとの両方で処置したかのいずれかであった。β-アクチンに対するブロットを対照として行った。
【発明を実施するための形態】
【0136】
本発明は、(3S)-3-({[(2S)-3-(ビフェニル-4-イルスルホニル)-1,3-チアゾリジン-2-イル]カルボニル}-アミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロピルL-バリネートなどのチアゾリジンカルボキサミドのα-アミノエステル、ならびにその塩形態及び結晶多形を提供する。これらの化合物は、プロスタグランジンF2α(PGF2α)受容体などのプロスタグランジンF受容体(FP-R)ファミリーのタンパク質の活性を阻害することができる。本明細書に記載される化合物、塩、及び結晶多形は、インビトロ及びインビボでのプロスタグランジンF受容体の活性を阻害するために使用することができ、早期分娩の処置のための効果的な治療組成物となる。本明細書に記載される化合物、塩、及び結晶多形は、妊娠初期、例えば、38週前(例えば、約20~約37週、例えば約20週、21週、22週、23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、または37週、好ましくは約24~約34週の妊娠期間、例えば約24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、または34週の妊娠期間)で分娩を体験しているまたは体験するリスクのある対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物対象)に投与され得る。本発明は、(3S)-3-({[(2S)-3-(ビフェニル-4-イルスルホニル)-1,3-チアゾリジン-2-イル]カルボニル}-アミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロピルL-バリネートを合成する方法、ならびにその塩形態及び結晶多形を調製するためのプロセスをさらに提供する。本発明は、早期分娩を経験している対象または早期分娩を体験するリスクのある対象など、処置を必要とする対象に、本発明のアルファ-アミノエステルを、本明細書に記載される1つ以上の追加の治療剤と場合により組み合わせて投与することによる、対象の早期分娩を処置する方法をさらに包含する。
【0137】
上記に加え、本発明は、3-([1,1'-ビフェニル]-4-イルスルホニル)-N-[1-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル]-1,3-チアゾリジン-2-カルボキサミドに関する組成物及び方法を包含する。本明細書に記載されるように、本化合物は、本明細書に記載される1つ以上の追加の治療剤と場合により組み合わせて、妊娠初期、例えば、38週前(例えば、約20~約37週、例えば約20週、21週、22週、23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、または37週、好ましくは約24~約34週の妊娠期間、例えば約24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、または34週の妊娠期間)で分娩を体験しているまたは体験するリスクのある対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物対象)に提供されてもよい。
【0138】
(3S)-3-({[(2S)-3-(ビフェニル-4-イルスルホニル)-1,3-チアゾリジン-2-イル]カルボニル}-アミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロピルL-バリネート(化合物I)
本発明は、化合物I(以下の式Iによって表される(3S)-3-({[(2S)-3-(ビフェニル-4-イルスルホニル)-1,3-チアゾリジン-2-イル]カルボニル}-アミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロピルL-バリネート)及びその塩が、3-([1,1'-ビフェニル]-4-イルスルホニル)-N-[1-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル]-1,3-チアゾリジン-2-カルボキサミド(以下の式IIによって表される)にインビボで変換されるという発見に基づく。これまでにUS8,415,480に記載されている化合物IIは、競合放射性リガンド結合アッセイによって決定した場合にヒトFP-Rに対して6nMの阻害定数(Ki)を呈することから、この化合物は、プロスタグランジンF受容体のアンタゴニストである(Ki値の決定に有用な競合放射性リガンド結合アッセイの実験詳細は、例えば、US8,415,480、実施例51に記載されている)。対象への投与後、化合物Iは、消化管内に存在するものなどの内因性エステラーゼの活性のために、インビボで脱エステル化して化合物IIを形成することが見出されている。
【化15】
【0139】
化合物Iは1nMのKiでヒトFP-Rを阻害することから、化合物IはプロスタグランジンF受容体の阻害剤であることが発見された。化合物Iは、化合物IIと比べて、水、ならびに給餌状態の小腸内容物を刺激する媒体(FeSSIF)及び絶食状態の小腸内容物を刺激する媒体(FaSSIF)における溶解度を含む、いくつかの物理化学的特徴の改善を呈する。これらのデータは、以下の表2に要約されている。
【表2】
【0140】
向上した水溶性を呈することに加えて、化合物I及びその塩は、驚異的かつ有益な吸収機序を特色とする。以下の実施例に記載されるように、化合物Iは、小腸内で周囲のエステラーゼによって脱エステル化され、その後、小腸上皮を受動的に透過する。驚くべきことに、化合物I及びその塩は、ペプチド性栄養素の吸収を媒介するタンパク質結合共輸送体であるPept1輸送体タンパク質の基質ではない。この発見は、予想外で薬理学的に有益な特性である。Pept1は、例えば、開示内容が参照により本明細書に組み込まれるVig et al.,Adv.Drug Deliv.Rev.65:1370-1385(2013)に記載されているように、様々なバリネートエステルの吸収を媒介することで知られている。Pept1は、このタンパク質により腸上皮を通して輸送される化合物の構造的多様性によって証明されるように、広い基質特異性を呈する。バリネートエステル官能基の存在にもかかわらず、化合物I及びその塩は、小腸上皮を通した吸収のためにこの輸送体に依存しない。したがって化合物I及びその塩(例えば、化合物III)は、このタンパク質への結合及びそれによる輸送のために、ペプチド性栄養素などのPept1の天然の基質と競合しないため、これは有利な特性である。むしろ、化合物I及びその塩は、エネルギー及び局所的プロトン勾配に依存する様式で容易に吸収される形態へとインビボで変換される。この予想外の特性は、化合物I及びその塩の高い水溶性と相まって、本発明の化合物が水性環境で容易に溶解し、次いで輸送体依存性の吸収が可能な形態へと変換される、有益な薬物動態プロファイルを集合的にもたらす。
【0141】
(3S)-3-({[(2S)-3-(ビフェニル-4-イルスルホニル)-1,3-チアゾリジン-2-イル]カルボニル}-アミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロピルL-バリネート塩酸塩(化合物III)
化合物Iの塩化物塩(以下に式IIIとして表記される(3S)-3-({[(2S)-3-(ビフェニル-4-イルスルホニル)-1,3-チアゾリジン-2-イル]カルボニル}-アミノ)-3-(4-フルオロフェニル)プロピルL-バリネート塩酸塩)は、以下の実施例に記載されるように、いくつかの明確に異なる実験手順を使用して容易に結晶化されることが発見された。化合物IIIは、異なる周囲条件下で様々な媒体から結晶化すると、単一の再現可能な結晶形態をとる。さらに、化合物IIIのこの結晶形態は、周囲条件下かつ上昇した相対湿度の存在下で長期の安定性を呈する。以下に提示される実施例にさらに詳細に記載されるように、化合物IIIは低い吸湿性を呈し、したがって、局所的雰囲気から水分を吸収する性質を示さない。したがって化合物IIIは、加水分解などの化学的変化に対する抵抗性、ならびに不純物の組み込みに対する抵抗性を呈する。例えば、結晶形態の化合物IIIには、大気水に関連する不純物が容易に組み込まれない。化合物IIIは、対象の分娩の開始を、例えば、1日または1週間以上、例えば約1日~約16週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30日、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16週間)遅延させるために、妊娠中の女性ヒト対象などの対象に投与されてもよい。化合物IIIはまた、膣出血及び子宮膜の破裂など、分娩に関連する1つ以上の症状を軽減するために、妊娠中の女性ヒト対象などの対象に投与される。
【化16】
【0142】
化合物I、またはその薬学的に許容される塩、例えば化合物IIIは、単独で投与されても、または追加の治療剤などの1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて投与されてもよい。例示的な追加の治療剤としては、例えば、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、及び(3Z、5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オンO-メチルオキシムであるノラシバン、またはそれらの変異体、製剤、結晶形態、もしくは誘導体を含む、本明細書に記載されるオキシトシン受容体アンタゴニストなどの追加の子宮収縮抑制剤が挙げられる。オキシトシンシグナル伝達を抑制することにより、オキシトシン受容体アンタゴニストは、本明細書に記載のプロスタグランジンF2α受容体アンタゴニストと協同して、例えば、早期分娩を体験しているまたは体験するリスクのある(例えば、早期分娩の1つ以上の症状を示している)患者の子宮収縮を減速または停止させ得る。例示的な追加の子宮収縮抑制剤としては、テルブタリン、リトドリン、ヘキソプレナリン、アルブテロール、フェノテロール、ニリドリン、及びオルシプレナリンなどのベータミメティックが挙げられ、これらは、cAMPの上方制御によってミオシン軽鎖キナーゼを不活性化し、かつ/または子宮筋層のCa2+貯蔵を枯渇させるように機能し、それによって子宮収縮を抑制し得る。さらにまたは代替的に、ジヒドロピリジン(例えば、ニフェジピン及びニカルジピン)などのカルシウムチャネル阻害剤が、例えば、子宮筋層の[Ca2+]を調節し、子宮筋層収縮につながるミオシンフィラメントのCa2+媒介性活性化を抑制するために、本発明の化合物と併せて投与されてもよい。さらにまたは代替的に、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩が、例えば、形質膜を過分極させ、かつ/またはミオシン軽鎖への結合のためにCa2+と競合するために、本発明の化合物と併せて投与されてもよい。さらにまたは代替的に、ニトログリセリンなどの一酸化窒素ドナーが、例えば、子宮筋層の環状グアノシン一リン酸レベルを増補し、それによってミオシン軽鎖フィラメントを不活性化させるために、本明細書に記載の化合物と併せて投与されてもよい。
【0143】
本発明の化合物、例えば化合物I、またはその薬学的に許容される塩、例えば化合物IIIは、さらにまたは代替的に、早期分娩を体験しているまたはそのリスクがある(例えば、早期分娩の1つ以上の症状を示している)対象の子宮収縮を抑制するために、プロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンと併せて投与されてもよい。
【0144】
さらにまたは代替的に、本発明の化合物は、例えば、胎児の肺の成熟を促進して、乳児性障害の中でもとりわけ呼吸促迫症候群の発生を防止するために、本明細書に記載のまたは当該技術分野で公知のコルチコステロイドと併せて投与されてもよい。
【0145】
さらに、化合物IIIは、以下に記載されるように製剤化された薬学的組成物などの薬学的組成物へと製剤化され得る。
【0146】
処置の方法
化合物Iならびにその塩は、プロスタグランジンF受容体の堅実な阻害剤であり、子宮収縮を弱化させるために、プロスタグランジンF2αなどのプロスタグランジンFファミリーメンバーと対応するプロスタグランジンF受容体との相互作用をインビボでアンタゴナイズするために使用され得る。化合物I及びその塩は、早期分娩を処置または防止するために、妊娠中のヒト女性対象などの対象に投与され得る。内因性プロスタグランジンF2αは、オキシトシンによって開始されるシグナル伝達カスケードに応答して、子宮上皮細胞で合成され、子宮上皮細胞によって放出される。子宮筋細胞の細胞外表面上のPGF2α-RにPGF2αが結合すると、ホスホリパーゼCが、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート(PIP2)を切断して、ジアシルグリセロール(DAG)及びイノシトール-1,4,5-トリスホスフェート(IP3)をもたらす。IP3は次いで、細胞内カルシウム(Ca2+)筋小胞体の放出を増強する。カルシウムストアの急な増加は、最終的に、子宮筋の収縮と、胎児の発達を支えるプロゲステロン分泌構造である黄体の内皮細胞の壊死とをもたらす。PGF2α分泌の調節不全により引き起こされる子宮収縮の異常開始及び黄体の分解は、早期分娩につながり得る。化合物I及びその塩、例えば化合物IIIは、PGF2αRとのPGF2αの会合を阻害することにより、ホスホリパーゼCにより媒介されるIP3の形成、及びその後の細胞内カルシウムストアの動員を弱化させ得る。したがって、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、対象の分娩の開始を、例えば、1日または1週間以上、例えば約1日~約16週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30日、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16週間)遅延させるために、妊娠中の女性ヒト対象などの対象に投与されてもよい。例えば、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、帝王切開前の分娩を防止するために対象に投与されてもよい。さらに、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、月経困難症の予防及び/または処置のために対象に投与されてもよい。化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIはまた、膣出血及び子宮膜の破裂など、分娩に関連する1つ以上の症状を軽減するために、妊娠中の女性ヒト対象などの対象に投与されてもよい。
【0147】
さらに、本発明の化合物は、患者(例えば、ヒト患者)の子宮内膜症を処置するために使用することができる。プロスタグランジンF2α受容体の過剰発現は、異常な子宮内膜の増殖と相関している。プロスタグランジンF2α受容体活性のアンタゴニストとして、本発明の化合物(例えば、化合物(I)またはその塩、例えば化合物(III))は、子宮内膜症を患う患者に、この適応症を処置するために投与され得る。本発明の化合物はまた、月経中及び/または月経とは無関係の、月経困難症、性交疼痛症、慢性骨盤痛、排尿障害、及び排便障害を含む疼痛症状といった、子宮内膜症の1つ以上の症状を軽減するために、患者に投与されてもよい。本発明の化合物を患者に投与することによる子宮内膜症の処置の成功は、例えば、子宮内膜組織増殖の低減ならびに/または月経中及び/もしくは月経とは無関係の疼痛症状の低減によって示され得る。
【0148】
上記に加え、本発明は、本明細書に記載される状態の処置を必要とする対象に化合物IIを提供することによる治療的処置の方法を提供する。例えば、化合物IIは、早期分娩を処置または防止するために、妊娠中のヒト女性対象などの対象に提供され得る。化合物IIはPGF2α受容体の有能なアンタゴニストであり、したがって、この受容体のPGF2αとの会合を阻害することができる。したがって、化合物IIは、対象の分娩の開始を、例えば、1日または1週間以上、例えば約1日~約16週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30日、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16週間)遅延させるために、妊娠中の女性ヒト対象などの対象に提供されてもよい。例えば、化合物IIは、帝王切開前の分娩を防止するために対象に提供されてもよい。さらに、化合物IIは、月経困難症の予防及び/または処置のために対象に提供されてもよい。化合物IIはまた、膣出血及び子宮膜の破裂など、分娩に関連する1つ以上の症状を軽減するために、妊娠中の女性ヒト対象などの対象に提供されてもよい。
【0149】
さらに、化合物IIは、患者(例えば、ヒト患者)の子宮内膜症を処置するために対象に提供されてもよい。PGF2α受容体アンタゴニストとして、化合物IIは、子宮内膜症を患う患者に、この適応症を処置するために提供され得る。化合物IIは、月経中及び/または月経とは無関係の、月経困難症、性交疼痛症、慢性骨盤痛、排尿障害、及び排便障害を含む疼痛症状といった、子宮内膜症の1つ以上の症状を軽減するために、患者に提供されてもよい。化合物IIを対象に提供することによる子宮内膜症の処置の成功は、例えば、子宮内膜組織増殖の低減ならびに/または月経中及び/もしくは月経とは無関係の疼痛症状の低減によって示され得る。
【0150】
併用療法
分娩の開始に関与するプロセスは未だ完全には定義されていないが、満期及び早期両方の出産における炎症の重要性を裏付ける証拠が増加している。分娩の開始中、プロスタグランジン、サイトカイン、及びマンガンスーパーオキシドジスムターゼを含むいくつかの炎症促進性因子が全身で増加する。加えて、炎症は、感染誘発性の早期分娩に強く関連付けられている。
【0151】
オキシトシンは、子宮の子宮筋層の収縮を直接誘導することと、収縮性プロスタグランジンの合成及び子宮の子宮内膜/脱落膜からのその放出を増進させることの、2つの明確に異なる作用を及ぼすことにより、分娩を開始させると考えられている。オキシトシンシグナル伝達を阻害することにより、子宮に対するオキシトシンの直接的(収縮性)作用及び間接的(プロスタグランジン合成向上)作用が達成され得る。さらに、ヒトの脱落膜をオキシトシンで処置すると、プロスタグランジンF2α産生が刺激される。これは、子宮組織内のオキシトシンシグナル伝達には、オキシトシンが子宮収縮の刺激において子宮筋層と直接的に相互作用するだけでなく、他の組織内のプロスタグランジンの形成を介して間接的に相互作用することもできるという、称賛的な役割が存在することを示唆している。
【0152】
収縮性プロスタグランジンF受容体の活性を分娩の開始及びその進行と相関させる、最新の証拠が存在する。また、最新の報告により、オキシトシンがシクロオキシゲナーゼ2(COX-2)の増強によってヒト子宮筋層細胞におけるプロスタグランジンの産生を誘導することが示されている。そのような機序は、分娩を促進する子宮組織におけるプロスタグランジンの持続放出を説明し得る。したがって、化合物Iまたはその塩(例えば、化合物III)などのプロスタグランジンF2α受容体アンタゴニストと、オキシトシン受容体アンタゴニストとを含む併用療法は、早期分娩の処置及び/または防止に有用であり得る。さらに、オキシトシン受容体アンタゴニストとプロスタグランジンF2α受容体アンタゴニストとの組み合わせは、早期分娩の処置において現在のレジメンよりも有効であり得る。患者に投与されるオキシトシン受容体アンタゴニストの用量(複数可)は、プロスタグランジンF受容体アンタゴニストと組み合わせて投与されるとき、オキシトシン受容体アンタゴニスト単独を受ける患者に投与され得る用量と比べて低くてよいため、早期分娩の根底にある収縮性及び炎症性両方のプロセスの防止において、相乗効果が観察され得、かつ本明細書に記載される。
【0153】
化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、子宮収縮の発生を低減させるため、また分娩の開始を遅延させるために、オキシトシン受容体アンタゴニストなどの1つ以上の追加の薬剤と共に投与されてもよい。例えば、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、オキシトシン受容体アンタゴニストと同時に投与されても、それと混和されても、またはそれとは別々に投与されてもよい。本発明の組成物及び方法と併せて使用される例示的なオキシトシン受容体アンタゴニストとしては、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、及びノラシバン、またはそれらの変異体、製剤、結晶形態、または誘導体が挙げられる。例えば、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、対象の分娩の開始を、例えば、1日または1週間以上、例えば約1日~約16週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30日、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16週間)遅延させるために、ノラシバン、またはその変異体、製剤、結晶形態、もしくは誘導体の前、後、またはそれと同時に投与されてもよい。
【0154】
さらにまたは代替的に、本発明の化合物(例えば、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩、例えば化合物III)は、早期分娩を体験しているまたはそのリスクがある(例えば、早期分娩の1つ以上の症状を示している)患者に、ベータミメティックと併せて投与されてもよい。テルブタリン、リトドリン、ヘキソプレナリン、アルブテロール、フェノテロール、ニリドリン、及びオルシプレナリンなどのベータミメティックは、β-2アドレナリン作動性受容体の増強により細胞内Ca2+レベル(例えば、細胞内子宮筋層Ca2+レベル)を枯渇させ、それによってcAMPを上方制御し、さもなければ子宮収縮を刺激するために利用可能である細胞内Ca2+貯蔵を消耗させるように機能し得る。本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用される例示的なベータミメティック、ならびに本明細書に記載の組成物及び方法と併せてベータミメティックを投与するための例示的な方法は、例えば、Gyetvai et al.Obstet.Gynecol.94:869-877(1999)に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0155】
さらにまたは代替的に、本発明の化合物(例えば、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩、例えば化合物III)は、早期分娩を体験しているまたはそのリスクがある(例えば、早期分娩の1つ以上の症状を示している)患者に、L型カルシウムチャネル阻害剤などのカルシウムチャネル阻害剤と併せて投与されてもよい。ニフェジピン及びニカルジピンなどのジヒドロピリジンを含むカルシウムチャネル阻害剤は、筋小胞体からのCa2+の放出を抑制することによって機能し、それにより、子宮筋の収縮を刺激するCa2+の動員を防止し得る。本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用される例示的なカルシウムチャネル阻害剤、ならびに本明細書に記載の組成物及び方法と併せてカルシウムチャネル阻害剤を投与するための例示的な方法は、例えば、Wojcieszek et al.Cochrane Database Syst.Rev.6:CD002255(2014)に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0156】
さらにまたは代替的に、本発明の化合物(例えば、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩、例えば化合物III)は、早期分娩を体験しているまたはそのリスクがある(例えば、早期分娩の1つ以上の症状を示している)患者に、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩と併せて投与されてもよい。硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩は、形質膜の過分極を誘導すること、及び/またはミオシン軽鎖への結合のためにCa2+と競合することなどの複数の機序によって子宮収縮を調節し、それにより、子宮筋細胞におけるミオシンフィラメントの収縮を抑制することができる。
【0157】
さらにまたは代替的に、本発明の化合物(例えば、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩、例えば化合物III)は、早期分娩を体験しているまたはそのリスクがある(例えば、早期分娩の1つ以上の症状を示している)患者に、一酸化窒素ドナーと併せて投与されてもよい。正常な平滑筋緊張の維持に必須の血管拡張剤である一酸化窒素は、様々な細胞で産生される。一酸化窒素は、L-アルギニンのL-シトルリンへの酸化中に合成される。この反応は、いくつかのアイソフォームで存在する一酸化窒素シンターゼによって触媒される。誘導型(2型)及び脳型(1型)両方の一酸化窒素シンターゼが子宮筋層細胞及び血管内皮細胞で発現するが、内皮型(3型)一酸化窒素シンターゼは血管内皮細胞のみで発現する。一酸化窒素と、近くのエフェクター細胞内に存在する可溶性グアニリルシクラーゼとの相互作用は、一酸化窒素形成の多様な細胞外刺激を標的細胞内での環状グアノシン一リン酸(cGMP)の合成に連関させる、広範なシグナル伝達機序である。子宮筋細胞などの平滑筋細胞におけるcGMP含有量の増加は、ミオシン軽鎖キナーゼを不活性化させ、平滑筋の弛緩をもたらす。ニトログリセリンなどの一酸化窒素ドナーの子宮収縮抑制作用は、例えば、Simhan et al.New Engl.J.Med.357:477-487(2007)に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0158】
さらにまたは代替的に、本発明の化合物(例えば、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩、例えば化合物III)は、早期分娩を体験しているまたはそのリスクがある(例えば、早期分娩の1つ以上の症状を示している)患者に、プロゲステロンまたはその変異体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートと併せて投与されてもよい。プロゲステロンは、妊娠約8週間後に黄体及び胎盤により分泌されるステロイドホルモンである。プロゲステロン及びその変異体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートは、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Muglia et al.New Engl.J.Med.362:529-535(2010)、Simhan et al.New Engl.J.Med.357:477-487(2007)、Smith et al.Eur.J.Obstet.Gynecol.Reprod.Biol.142:3-11(2009)、Bernal.Sem.Cell Dev.Biol.18:340-347(2007)、及びHubinont et al.J.Pregnancy.941057(2011)に記載されているように、子宮筋層の[Ca2+]及びプロスタグランジンの合成を直接調節することにより、子宮の静止状態を制御し得る。
【0159】
さらにまたは代替的に、本発明の化合物(例えば、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩、例えば化合物III)は、早期分娩を体験しているまたはそのリスクがある(例えば、早期分娩の1つ以上の症状を示している)患者に、コルチコステロイドと併せて投与されてもよい。ベタメタゾン、デキサメタゾン、及びヒドロコルチゾンなどの出生前コルチコステロイドは、胎児の肺の成熟を加速させるために、早期分娩中の妊娠中の女性対象などの対象、または早期分娩のリスクがある対象(例えば、膣出血及び子宮膜の破裂などの早期分娩の1つ以上の症状を呈する対象)に投与され得る、治療剤のクラスである。出生前コルチコステロイドでの処置は、生後48時間における新生児死亡、呼吸促迫症候群、脳室内出血、壊死性腸炎、呼吸補助、集中治療入院、及び全身感染の全体的な低減に関連している。さらに、出生前コルチコステロイド療法は、早期破水(PROM)及び妊娠関連高血圧症候群の女性において効果的である。とりわけ約26~約34週間などの広範囲の妊娠期間にわたる利益を示唆する証拠が存在する(Miracle et al.J.Perinat.Med.36:191-196(2008)、この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0160】
上記に加え、本明細書に記載の方法によると、化合物IIは、例えば、子宮収縮の発生を低減させるため、また分娩の開始を遅延させるために、処置を必要とする対象(例えば、早期分娩を体験しているもしくは体験するリスクのあるヒト対象、または月経困難症もしくは子宮内膜症を患うヒト対象)に、オキシトシン受容体アンタゴニストなどの1つ以上の追加の薬剤と共に(例えば、直接投与によって、またはそのプロドラッグの投与によって)提供され得る。例えば、化合物IIは、オキシトシン受容体アンタゴニストと同時に提供されても、それと混和されても、またはそれとは別々に提供されてもよい。本発明の組成物及び方法と併せて使用される例示的なオキシトシン受容体アンタゴニストとしては、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、及びノラシバン、またはそれらの変異体、製剤、結晶形態、または誘導体が挙げられる。例えば、化合物IIは、対象の分娩の開始を、例えば、1日または1週間以上、例えば約1日~約16週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30日、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16週間)遅延させるために、ノラシバン、またはそれらの変異体、製剤、結晶形態、もしくは誘導体の前、後、またはそれと同時に提供されてもよい。
【0161】
さらにまたは代替的に、化合物IIは、早期分娩を体験しているまたはそのリスクがある(例えば、早期分娩の1つ以上の症状を示している)患者に、ベータミメティックと併せて提供されてもよい。上述のように、テルブタリン、リトドリン、ヘキソプレナリン、アルブテロール、フェノテロール、ニリドリン、及びオルシプレナリンなどのベータミメティックは、β-2アドレナリン作動性受容体の増強により細胞内Ca2+レベル(例えば、細胞内子宮筋層Ca2+レベル)を枯渇させ、それによってcAMPを上方制御し、さもなければ子宮収縮を刺激するために利用可能である細胞内Ca2+貯蔵を消耗させるように機能し得る。本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用される例示的なベータミメティック、ならびに本明細書に記載の組成物及び方法と併せてベータミメティックを投与するための例示的な方法は、例えば、Gyetvai et al.Obstet.Gynecol.94:869-877(1999)に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0162】
さらにまたは代替的に、化合物IIは、早期分娩を体験しているまたはそのリスクがある(例えば、早期分娩の1つ以上の症状を示している)患者に、L型カルシウムチャネル阻害剤などのカルシウムチャネル阻害剤と併せて提供されてもよい。上述のように、ニフェジピン及びニカルジピンなどのジヒドロピリジンを含むカルシウムチャネル阻害剤は、筋小胞体からのCa2+の放出を抑制することによって機能し、それにより、子宮筋の収縮を刺激するCa2+の動員を防止し得る。本明細書に記載の組成物及び方法と併せて使用される例示的なカルシウムチャネル阻害剤、ならびに本明細書に記載の組成物及び方法と併せてカルシウムチャネル阻害剤を投与するための例示的な方法は、例えば、Wojcieszek et al.Cochrane Database Syst.Rev.6:CD002255(2014)に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0163】
さらにまたは代替的に、化合物IIは、早期分娩を体験しているまたはそのリスクがある(例えば、早期分娩の1つ以上の症状を示している)患者に、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩と併せて提供されてもよい。上述のように、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩は、形質膜の過分極を誘導すること、及び/またはミオシン軽鎖への結合のためにCa2+と競合することなどの複数の機序によって子宮収縮を調節し、それにより、子宮筋細胞におけるミオシンフィラメントの収縮を抑制することができる。
【0164】
さらにまたは代替的に、化合物IIは、早期分娩を体験しているまたはそのリスクがある(例えば、早期分娩の1つ以上の症状を示している)患者に、一酸化窒素ドナーと併せて提供されてもよい。上述のように、正常な平滑筋緊張の維持に必須の血管拡張剤である一酸化窒素は、様々な細胞で産生され、子宮筋細胞などの平滑筋細胞におけるcGMP含有量の一酸化窒素に誘導される増加は、平滑筋の弛緩をもたらす。ニトログリセリンなどの一酸化窒素ドナーの子宮収縮抑制作用は、例えば、Simhan et al.New Engl.J.Med.357:477-487(2007)に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0165】
さらにまたは代替的に、化合物IIは、早期分娩を体験しているまたはそのリスクがある(例えば、早期分娩の1つ以上の症状を示している)患者に、プロゲステロンまたはその変異体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートと併せて提供されてもよい。上述のように、プロゲステロン及びその変異体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートは、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Muglia et al.New Engl.J.Med.362:529-535(2010)、Simhan et al.New Engl.J.Med.357:477-487(2007)、Smith et al.Eur.J.Obstet.Gynecol.Reprod.Biol.142:3-11(2009)、Bernal.Sem.Cell Dev.Biol.18:340-347(2007)、及びHubinont et al.J.Pregnancy.941057(2011)に記載されているように、子宮筋層の[Ca2+]及びプロスタグランジンの合成を直接調節することにより、子宮の静止状態を制御し得る。
【0166】
さらにまたは代替的に、化合物IIは、早期分娩を体験しているまたはそのリスクがある(例えば、早期分娩の1つ以上の症状を示している)患者に、コルチコステロイドと併せて提供されてもよい。上述のように、ベタメタゾン、デキサメタゾン、及びヒドロコルチゾンなどの出生前コルチコステロイドは、胎児の肺の成熟を加速させるために、早期分娩中の妊娠中の女性対象などの対象、または早期分娩のリスクがある対象(例えば、膣出血及び子宮膜の破裂などの早期分娩の1つ以上の症状を呈する対象)に投与され得る、治療剤のクラスであり、出生前コルチコステロイドでの処置は、生後48時間における新生児死亡、呼吸促迫症候群、脳室内出血、壊死性腸炎、呼吸補助、集中治療入院、及び全身感染の全体的な低減に関連している。
【0167】
薬学的組成物
化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、インビボでの投与に好適な生体適合性形態で、妊娠中の女性ヒト対象などの対象に投与するための薬学的組成物へと製剤化され得る。したがって、一態様において、本発明は、好適な希釈剤、担体、または賦形剤と混和した、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIを含有する、薬学的組成物を提供する。化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、例えば、経口投与されても、または静脈内注入によって投与されてもよい。
【0168】
本発明は、化合物IIを含有する薬学的組成物をさらに提供する。そのような組成物は、好適な希釈剤、担体、または賦形剤と混和した化合物IIを含み得る。
【0169】
通常の保管及び使用条件下において、薬学的組成物は、例えば、微生物の増殖を防止するために、防腐剤を含有してもよい。好適な製剤の選択及び調製のための従来の手順及び成分は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(2012,22nd ed.)及びThe United States Pharmacopeia:The National Formulary(2015,USP 38 NF 33)に記載されている。
【0170】
薬学的組成物は、無菌の水溶液、分散液、または粉末、例えば、無菌溶液もしくは分散液の即時調製のためのものを含み得る。全事例において、その形態は、当該技術分野で公知の技術を使用して滅菌することができ、処置を必要とする対象に容易に投与され得る程度まで流動化することができる。
【0171】
本明細書に記載されるように、薬学的組成物は、対象、例えばヒト対象に、単独で投与されても、または薬学的に許容される担体と組み合わせて投与されてもよく、その割合は、化合物の溶解度及び/または化学的性質、選択された投与経路、ならびに標準的な薬学的行為によって決定することができる。
【0172】
併用療法のための組成物
化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、単独で使用されてもよいし、あるいは、本明細書に記載の治療剤(例えば、子宮収縮抑制剤)の中でもとりわけ、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、及びノラシバン、またはそれらの変異体、製剤、結晶形態、もしくは誘導体などの、子宮収縮及び/または黄体退縮の阻害に有用な1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて使用されてもよい。化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、本明細書に記載のオキシトシン受容体アンタゴニスト、ベータミメティック、カルシウムチャネル阻害剤、マグネシウム塩、一酸化窒素ドナー、プロゲステロンもしくはその変異体、またはコルチコステロイドなどの追加の活性薬剤と混和され、単一の組成物で患者に投与されてもよいし、あるいは、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、追加の活性薬剤とは別々に患者に投与されてもよい。例えば、化合物Iまたはその塩、例えば化合物III、及び追加の活性薬剤は、患者に逐次投与されてもよい。
【0173】
上記に加え、化合物IIは、単独で対象に提供されてもよいし、あるいは、本明細書に記載の治療剤(例えば、子宮収縮抑制剤)の中でもとりわけ、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、及びノラシバン、またはそれらの変異体、製剤、結晶形態、もしくは誘導体などの、子宮収縮及び/または黄体退縮の阻害に有用な1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて提供されてもよい。化合物IIは、本明細書に記載のオキシトシン受容体アンタゴニスト、ベータミメティック、カルシウムチャネル阻害剤、マグネシウム塩、一酸化窒素ドナー、プロゲステロンもしくはその変異体、またはコルチコステロイドなどの追加の活性薬剤と混和され、単一の組成物で患者に投与されてもよいし、あるいは、化合物IIは、追加の活性薬剤とは別々に患者に提供されてもよい。例えば、化合物II及び追加の活性薬剤は、例えば、化合物IIを患者に提供し、続いて追加の活性薬剤を患者に投与することにより、患者に逐次提供されてもよい。
【0174】
本明細書に記載の併用療法のための組成物、例えば本明細書に記載の薬学的組成物は、対象の分娩の開始を、例えば1日または1週間以上、例えば約1日~約16週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30日、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16週間)遅延させるために、対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、対象は、早期分娩を体験している。いくつかの実施形態において、本薬学的組成物は、早期分娩の開始前に対象(例えばヒト対象)に投与される。本発明の薬学的組成物は、帝王切開前の分娩を防止するために対象(例えばヒト対象)に投与されてもよい。本発明の薬学的組成物は、月経困難症の処置または防止のために対象(例えばヒト対象)に投与されてもよい。本発明の薬学的組成物は、膣出血及び子宮膜の破裂など、分娩に関連する1つ以上の症状を軽減するために、妊娠中のヒト女性対象などの対象に投与されてもよい。
【0175】
併用療法のための組成物中に存在する追加の治療剤は、例えば、別の子宮収縮抑制剤であり得る。追加の子宮収縮抑制剤は、例えば、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、及びノラシバンなどのオキシトシン受容体アンタゴニスト、ならびにそれらの1つ以上の変異体、製剤、結晶形態、もしくは誘導体であり得る。例えば、アトシバン及びその変異体は、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,504,469号及び同第4,402,942号に記載されている。レトシバン及びその変異体は、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,514,437号、同第8,367,673号、同第8,541,579号、同第8,071,594号、同第8,357,685号、同第8,937,179号、及びUS2016/0074413に記載されている。バルシバン及びその変異体は、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,143,722号、同第7,091,314号、同第7,816,489号、及びUS2016/0175283に記載されている。エペルシバン及びその変異体は、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,514,437号、同第8,367,673号、同第8,541,579号、同第7,550,462号、同第7,919,492号、同第8,202,864号、同第8,742,099号、同第9,408,851号、同第8,716,286号、及び同第8,815,856号に記載されている。ノラシバンならびにその変異体、製剤、及び結晶形態は、例えば、それぞれの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,115,754号ならびに米国特許出願公開第2015/0073032号、同第2015/0164859号、及び同第2016/0002160号に記載されている。
【0176】
いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、テルブタリン、リトドリン、ヘキソプレナリン、アルブテロール、フェノテロール、ニリドリン、またはオルシプレナリンなどのベータミメティックである。いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、ジヒドロピリジンなどのカルシウムチャネル阻害剤、例えばニフェジピン及びニカルジピンである。いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩である。いくつかの実施形態において、追加の子宮収縮抑制剤は、ニトログリセリンなどの一酸化窒素ドナーである。
【0177】
いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、プロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体、例えば17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートである。
【0178】
いくつかの実施形態において、追加の治療剤はコルチコステロイドである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはベタメタゾンである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはデキサメタゾンである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドはヒドロコルチゾンである。
【0179】
併用処置において、治療化合物のうちの1つ以上の投与量は、単独で投与される場合、標準的な投与量から低減してもよい。例えば、用量は、薬物の組み合わせ及び順列から経験的に決定されてもよいし、当業者の医師によって推定されてもよい。
【実施例】
【0180】
以下の実施例は、本明細書に記載の組成物及び方法がどのように使用、作製、及び評価され得るかの説明を当業者に提供するために記述され、純粋に本発明の例示であることを意図し、本発明者らが自身の発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではない。
【0181】
実施例1.化合物I及びIIIの調製
以下に示すスキーム1に従って、化合物I及びその塩化物塩(化合物III)を調製した。この実施例は、化合物Iを合成するために行った段階1~6と表記される段階のそれぞれを説明する。
スキーム1.化合物I及びその塩化物塩の調製
【化17】
【0182】
段階1:2-[1-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピルカルバモイル]チアゾリジン-3-カルボン酸tert-ブチルエステルの調製
【化18】
好適なサイズのフラスコ(容器A)に、3-(ブトキシカルボニル)-1,3-チアゾリジン-(2S)-カルボン酸(1重量)を加え、続いて、その後、テトラヒドロフラン及びフラスコ内容物を-35℃~約45℃に冷却した。次いで、温度を-30℃~-40℃に維持しながら、N-メチルモルホリン(1.18体積)をフラスコに加えた。次いで、温度を-30℃~-40℃に維持しながら、クロロギ酸イソブチル(0.58体積)をフラスコに加えた。
【0183】
別個の容器(容器B)に、(3S)-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパン-1-オール(0.76重量)及びTHFを加え、バルク固体が溶解するまで容器を十分に混合した。
【0184】
次いで、温度を-30℃~-40℃に維持しながら、容器Bの(3S)-アミノ-3-(4-フルオロフェニル)プロパン-1-オール溶液を反応容器Aに加えた。次いで、フラスコ内容物を1時間~24時間かけて15℃~25℃に温めた。反応の完了が観察されるまで、反応混合物を15℃~25℃で撹拌した。この反応混合物を濃縮乾固させ、その後この残渣に、酢酸エチル、続いて飽和塩化アンモニウム水溶液を添加した。有機相を分離し、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。次いで、有機相を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。次いで、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、酢酸エチル含有率が10重量%(w/w)以下になるまで35℃~40℃で濾液を濃縮して、2-[1-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピルカルバモイル]チアゾリジン-3-カルボン酸tert-ブチルエステルを得た。
【0185】
段階2:3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボン酸[1-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル]-アミドの調製
【化19】
好適なサイズのフラスコ(容器A)に、2-[1-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピルカルバモイル]チアゾリジン-3-カルボン酸tert-ブチルエステル(1重量)、続いてジクロロメタンを加えた。その後、フラスコ内容物を-15℃~-20℃に冷却した。次いで、反応の完了が観察されるまで、温度を-15℃~-20℃に維持しながら、塩酸(3.3体積)をフラスコに加えた。次いで、反応混合物を-35℃~-40℃に冷却し、温度を-30℃~-40℃に維持しながら、テトラヒドロフランを混合物に添加した。次いで、温度を-15℃~-45℃に維持しながら、この混合物(8.16体積)にN,N-ジイソプロピルエチルアミンを加えた。次いで、温度を-15℃~-45℃に維持しながら、4-ジメチルアミノピリジン(0.032重量)を容器に加えた。
【0186】
別個の容器(容器B)に、4-ビフェニルスルホニルクロリド(0.85重量)、続いてTHFを加えた。
【0187】
温度を-15℃~-45℃に維持しながら、容器Bの4-ビフェニルスルホニルクロリド溶液を反応容器Aに加えた。次いで、反応混合物の内容物を1時間~24時間かけて15℃~25℃に温めた。その後、酢酸エチル、続いて飽和塩化アンモニウム水溶液をフラスコに加えた。有機相を分離し、飽和塩化アンモニウム水溶液、続いて飽和炭酸水素水溶液で洗浄した。次いで、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。固体残渣が得られるまで、濾液を35℃~40℃で濃縮した。次いで、ジクロロメタンを残渣に添加し、30℃~35℃で混合した。蒸発後、次いでこの残渣に酢酸エチルを添加し、好適な容器にスラリーを移した。次いで撹拌したスラリーを加温還流し、次いで0℃~5℃に冷却した。沈殿した固体を濾過によって収集した。この濾過ケーキを、酢酸エチル、続いてtert-ブチルメチルエーテルで洗浄し、窒素下で1時間~24時間にわたって濾過ケーキを吸引乾燥(pulled dry)して、3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボン酸[1-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル]-アミドを得た。
【0188】
段階3A:2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル酪酸3-{[3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボニル]アミノ}-3-(4-フルオロフェニル)-3-プロピルエステルの調製
【化20】
好適なサイズのフラスコ(容器A)に、Boc-L-バリン(0.48重量)、ジクロロメタン、及びN,N-ジメチルホルムアミドを加え、その後、この混合物を、15℃~25℃において窒素下で撹拌した。次いで、温度を15℃~25℃に維持しながら、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、0.3重量)及び1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCl、0.42重量)を容器に加えた。その後、溶液Aを得るために、バルク固体が溶解するまで15℃~25℃で混合物を撹拌した。
【0189】
別個の容器(容器B)に、3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボン酸[1-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル]アミド(1.0重量)、ジクロロメタン、及びN,N-ジメチルホルムアミドを加え、その後、この混合物を、15℃~25℃において窒素下で撹拌した。次いで、温度を15℃~25℃に維持しながら、4-ジメチルアミノピリジン(0.27重量)を容器に加えた。バルク固体が溶解するまで(通常は5~15分間)この温度で混合物を撹拌して、溶液Bを得た。
【0190】
次いで、温度を15℃~30℃に維持しながら、溶液Aを溶液Bに添加した。反応の完了が観察されるまで、混合物をこの温度で撹拌した。この反応混合物を濃縮して揮発性溶媒を除去した。その後、酢酸エチル、続いて10%w/wのクエン酸水溶液をフラスコに加えた。水相を分離し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を10%w/wクエン酸水溶液の混合物で洗浄し、飽和塩化ナトリウム水溶液、続いて飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和塩化ナトリウム水溶液を添加した。次いで、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。固体残渣が得られるまで濾液を濃縮して、粗製の2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル酪酸3-{[3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボニル]アミノ}-3-(4-フルオロフェニル)-3-プロピルエステルを得た。
【0191】
段階3B:2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル酪酸3-{[3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボニル]アミノ}-3-(4-フルオロフェニル)-3-プロピルエステルの精製
【化21】
2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル酪酸3-{[3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボニル]アミノ}-3-(4-フルオロフェニル)-3-プロピルエステルを精製するため、バルク固体が溶解するまで、粗生成物(1重量)及びジクロロメタンを容器内で混合した。次いで、この溶液をシリカに担持させ、続いてジクロロメタンを添加した。生成物を酢酸エチル:ヘプタンで溶出した。生成物を含有する画分を合わせ、35℃~40℃の水浴温度において真空下で濃縮乾固させて、精製された2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル酪酸3-{[3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボニル]アミノ}-3-(4-フルオロフェニル)-3-プロピルエステルを得た。
【0192】
段階4:2-アミノ-3-メチル酪酸3-{[3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボニル]アミノ}-3-(4-フルオロフェニル)プロピルエステルメタンスルホネートの調製
【化22】
好適なサイズのフラスコに、2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル酪酸3-{[3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボニル]アミノ}-3-(4-フルオロフェニル)-3-プロピルエステル(1重量)、続いて1,4-ジオキサンを加え、この混合物を窒素下で撹拌した。その後、メタンスルホン酸(0.18重量)を加え、フラスコ内容物を68℃~73℃に加熱した。反応の完了が
1H NMR分析によって観察されるまで、反応物をこの温度で撹拌した。その後、反応混合物を35℃~40℃まで冷まし、この温度で濃縮乾固させた。次いで、残渣をTHFに溶解させ、35℃~40℃で濃縮乾固させた。1,4-ジオキサン含有率が1.0%w/w未満になるまでこの共沸乾燥(azeo-drying)サイクルを繰り返して、2-アミノ-3-メチル酪酸3-{[3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボニル]アミノ}-3-(4-フルオロフェニル)プロピルエステルメタンスルホネートを得た。
【0193】
段階5:2-アミノ-3-メチル酪酸3-{[3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボニル]アミノ}-3-(4-フルオロフェニル)プロピルエステル(化合物I)の調製
【化23】
好適なサイズのフラスコに、2-アミノ-3-メチル酪酸3-{[3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボニル]アミノ}-3-(4-フルオロフェニル)プロピルエステルメタンスルホネート(1重量)、続いてジクロロメタンを加えた。その後、フラスコ内容物を5℃~15℃に冷却した。温度を5℃~25℃に維持しながら、炭酸水素ナトリウム水溶液を混合物に添加した。その後、相を分離し、温度を5℃~25℃に維持しながら、有機相を容器に再び加え、続いて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。次いで水層及び有機層を分離し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濾過ケーキをジクロロメタンで洗浄した。次いで、合わせた有機層を、ジクロロメタン含有率が2%w/w以下になるまで40℃~45℃で濃縮して、2-アミノ-3-メチル酪酸3-{[3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボニル]アミノ}-3-(4-フルオロフェニル)プロピルエステル(化合物I)を得た。
【0194】
段階6:2-アミノ-3-メチル酪酸3-{[3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボニル]アミノ}-3-(4-フルオロフェニル)プロピルエステル塩酸塩(化合物III)の調製
【化24】
好適なサイズのフラスコに、水(1.66体積)、続いて塩酸(0.18体積)を加え、混合物の温度を15℃~25℃に調整した。次いでこの溶液を濾過し、好適なサイズのフラスコ(容器A)に、濾過した溶液、続いてエタノール及び酢酸エチルを加えた。得られた混合物を、15℃~25℃において窒素下で少なくとも5分間撹拌した。
【0195】
好適なサイズの容器(容器B)に、2-アミノ-3-メチル酪酸3-{[3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボニル]アミノ}-3-(4-フルオロフェニル)プロピルエステル(1重量)、続いてエタノールを加えた。その後、フラスコの内容物を混合して、バルク固体を溶解させ、溶液を清澄化した。
【0196】
次いで、温度を15℃~25℃に維持しながら、容器Bの溶液を容器Aに加えた。撹拌した混合物を0℃~5℃に冷却し、この温度で50~70分間撹拌した。固体を濾過によって収集し、濾過ケーキを窒素下で少なくとも12時間にわたり吸引乾燥して、粗製の2-アミノ-3-メチル酪酸3-{[3-(ビフェニル-4-スルホニル)チアゾリジン-2-カルボニル]アミノ}-3-(4-フルオロフェニル)プロピルエステル塩酸塩を得た。
【0197】
実施例2.化合物I及びその塩の薬理学的特性
非臨床薬理学
化合物I及びその塩は、消化管投与後、化合物IIに急速に変換される。化合物IIは、早期子宮収縮の阻害による早期分娩の管理のために開発中である、競合的かつ可逆的なプロスタグランジンF2α受容体アンタゴニスト(ヒトFP2α受容体Ki=6nM)である。有効性薬理学(子宮収縮抑制作用)は、後期妊娠ラットにおける自発性子宮活動のモデルにおいて実証されている。
【0198】
インビトロ薬理学
HEK293-EBNA細胞で発現した組換えFP受容体に対する化合物I及び化合物IIの親和性を分析することにより、プロスタグランジンF2α受容体に対するこれらの化合物の阻害効力を評価した。その結果は、ヒト受容体に対する化合物I及び化合物IIの高い結合親和性を示す(表2参照)。
【0199】
化合物IIの選択性を、8つのプロスタグランジン受容体サブタイプ全てに対して試験した。選択性は、プロスタグランジンE受容体2(EP2)に対しておよそ10倍であり、他の受容体に対しては100倍よりも高かった。50種の受容体、チャネル、及び酵素結合部位のパネルに対する1μMの化合物IIの効果の試験は、FPに対する高い選択性を示した。
【0200】
トランスフェクトHEK293-EBNA細胞において、ヒトFPに対する化合物IIの機能的特徴決定を行った。化合物IIは、IP3の合成を60nMのIC50値で用量依存的に阻害することができた。FP/HEK293-EBNA細胞に単独で添加した時、最大10μMで試験した化合物IIはIP3の合成を一切誘導せず、この化合物にアゴニスト活性が全くないことが示された。
【0201】
インビボ薬理学
後期(妊娠19~21日)の麻酔した妊娠ラットにおける自発性子宮活動のモデル(Kawarabayashi et al.Am.J.Obstet.Gynecol.175:1348-1355(1996)及びShinkai et al.J.Pharm.Pharmacol.52:1417-1423(2000))において、化合物I及び化合物IIの子宮収縮抑制作用を調査した。簡潔に述べると、後期妊娠中の雌ラットをウレタンで麻酔した。1つの妊娠子宮角を露出させ、生理食塩水で満たしたラテックスバルーンを先端に搭載したポリエチレンカテーテルを内腔に挿入した。カテーテルは、圧力トランスデューサーを介して増幅/記録システムに接続されていた。漸増用量の化合物I(メシル酸塩として)または化合物IIを、経口投与、または10分間の静脈内点滴により注入した。静脈内投与では、10分の注入期間中のAUCを計算することにより、子宮収縮活動を数量化した。
【0202】
各化合物投与後に観察された自発性子宮応答に対するAUC値の変動率を、第1用量投与の前に記録された値(基底値)と比較して計算した。処置前と処置後の子宮内腔圧値を比較することにより、化合物Iまたは化合物IIの効果を評価した。経口投与では、同じ計算手順を処置後の異なる時点で適用した。一元配置ANOVA、続いてTukey検定を使用することにより、各時点における処置群間の統計的差異を決定した。静脈内または経口で投与した両方の化合物が、自発性子宮収縮を約40~50%顕著に低減させることができた(最大効果は、静脈内経路では30mg/kgで、経口経路では60mg/kgで得られた)。静脈内活性は、欧州連合で認可されている子宮収縮抑制薬のアトシバンのものと匹敵したか、またはそれよりわずかに高かった。
【0203】
経口投与後の阻害効果は急速な開始(投与後5~15分)と共に現れ、3時間の観察期間終了時まで持続されたレベルに留まった。(
図3)
【0204】
単回の経口用量により、30mg/kgにおいて子宮収縮の著しい阻害が達成される。
【0205】
このように、インビトロ薬理学研究は、ヒトFP受容体に対する化合物I及び化合物IIの高い親和性を示した。静脈内または経口経路によって投与した場合、これらの化合物は、後期(妊娠19~21日)の麻酔した妊娠ラットにおける自発性子宮活動のモデルにおいて調査したときに自発性子宮収縮を約40~50%顕著に低減させることができた。
【0206】
実施例3.化合物Iの塩の結晶スクリーニング
この実施例は、化合物Iの結晶塩形態を生成し特徴決定するために実施した実験を説明する。
【0207】
概説
化合物Iのメシル酸塩は、XRPDによって非晶質であると決定された。この物質を結晶化させる試みは成功しなかった。メシル酸塩から遊離塩基を合成し、様々な塩の調製に使用した。この塩合成から結晶性硫酸水素塩を直接得た。異なる溶媒混合物及び結晶化技術を使用して、3つの塩:塩酸塩、フマル酸塩、及びリン酸二水素塩を結晶化した。塩酸塩は、高い相対湿度(RH)で低い吸湿性、拡大した安定性を呈するようであり、様々な明確に異なる実験条件から結晶化すると単結晶形態をとる。
【0208】
結晶性HCl塩は、2つの蒸発実験及び1つのスラリー実験において得た。各事例において同じXRPDパターンが観察された。熱的データに基づくと、この物質はいくらかの残留溶媒を有し、推定融点はおよそ146~147℃であった。部分的な分解がおそらく溶融中に起こった。塩酸塩は、水分平衡データに基づくと非吸湿性であった。
【0209】
結晶性硫酸水素塩は、おそらく、およそ100℃超で溶媒和し分解した。この物質は、最大およそ65%の相対湿度で安定であった。
【0210】
結晶性リン酸二水素塩及びフマル酸塩は、およそ65%RHで吸湿性であった。高い実験室の湿度のため、塩をスケールアップする試みは成功しなかった。したがって、これらの塩については部分的な特徴決定のみが利用可能であった。
【0211】
塩酸塩、硫酸水素塩、及びフマル酸塩は、匹敵する水溶性(1mg/mL未満、
図8参照)を示した。
【0212】
実験
本明細書に記載のX線粉末回折分析は、CuKα線を使用し、Shimadzu XRD-6000 X線粉末回折計で行った。この機器は、長高精度焦点(long fine focus)X線管を備えている。管電圧及びアンペア数は、それぞれ40kV及び40mAに設定した。発散スリット及び散乱スリットは1°に設定し、受光スリットは0.15mmに設定した。回折された放射をNaIシンチレーション検出器によって検出した。2.5~40°2θで3°/分(0.4秒/0.02°ステップ)においてθ-2θ連続走査を使用した。シリコン標準を毎日分析して機器のアライメントを点検した。シリコン試料ホルダを用いて試料を分析した。
【0213】
本明細書に記載のX線粉末回折分析は、120°の2θ範囲を有する湾曲型位置感応検出器を備えたInel XRG-3000回折計でも行った。0.03°2θの分解能でおよそ4°2θから始まるCuKα線を使用し、リアルタイムデータを収集した。管電圧及びアンペア数は、それぞれ40kV及び30mAに設定した。モノクロメータスリットは、5mm×160μmに設定した。パターンは、2.5~40°2θで表示される。薄壁ガラスキャピラリーに試料を充填することにより、分析のための試料を調製した。データ取得中のキャピラリーの回転を可能にするモーター駆動のゴニオメータヘッドに各キャピラリーを装着した。試料は5分間または10分間にわたって分析した。シリコン標準品を使用し、機器較正を毎日行った。
【0214】
本明細書に記載のDSC分析は、TA Instrumentsの示差走査熱量計2920で行った。この機器は、参照物質としてインジウムを使用して較正した。試料を標準的なアルミニウムDSCパンに入れ、パンを圧着し、重量を正確に記録した。試料を25℃で平衡化し、10℃/分の速度で最大350℃まで窒素パージ下で加熱した。インジウム金属を較正標準として使用した。
【0215】
本明細書に記載のTG分析は、TA Instruments 2950熱重量分析計で行った。較正標準はニッケル及びALUMEL(商標)であった。試料をアルミニウム試料パンに入れ、TGファーネスに挿入した。試料をまず25℃で平衡化し、次いで、10℃/分の加熱速度で最大350℃まで窒素流下で加熱した。
【0216】
399.8MHzの1Hラーマー周波数でVarian UNITYINOVA-400分光計を用い、本明細書に記載の溶液1H核磁気共鳴(NMR)スペクトルを周囲温度で取得した。試料は、メタノール-d4、塩化メチレン-d2、またはクロロホルム-d3に溶解させた。スペクトルは、1Hパルス幅7.8または8.6μs、取得時間2.50秒、走査間遅延5秒、データポイント20474または32000でスペクトル幅4095または6400Hz、及び同時走査(co-added scans)16または40回を用いて取得した。Varian VNMR 6.1Cソフトウェアを使用し、65536ポイント及び0.2Hzの指数関数的線幅拡大係数で自由誘導減衰(FID)を処理し、シグナル対ノイズ比を改善した。スペクトルは、0.0ppmまたは残留溶媒ピークにおける内部テトラメチルシラン(TMS)を基準とした。
【0217】
本明細書に記載のFT-ラマンスペクトルは、FT-Raman 960または860分光計(Thermo Nicolet)で取得した。この分光計は、1064nmの励起波長を使用する。およそ0.5~0.7WのNd:YVO4レーザー出力を使用し、試料に照射した。ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)検出器を用いてラマンスペクトルを測定した。ガラスキャピラリーに物質を入れ、次いで、付属の金でコーティングしたキャピラリーホルダに入れることにより、分析のための試料を調製した。Happ-Genzelアポディゼーションを使用し、4cm-1のスペクトル分解能で、3600から100cm-1まで、合計256回の試料走査を収集した。硫黄及びシクロヘキサンを使用して波長較正を行った。
【0218】
VTI SGA-100 Vapor Sorption Analyzerで水分吸着/脱着(MB)データを収集した。吸着及び脱着データは、窒素パージ下で相対湿度(RH)5%~95%の範囲にわたりRH10%間隔で収集した。試料は分析前に乾燥させなかった。分析のために使用した平衡基準は、5分間で0.0100%未満の重量変化であり、重量基準が満たされない場合、最大平衡時間は3時間とした。試料の初期含水量に対するデータの補正は行わなかった。NaCl及びPVPを較正標準として使用した。
【0219】
化合物Iの調製
メシル酸塩から化合物Iの遊離塩基を生成する複数の試みを行った。その結果は
図4に記載されている。はじめに、塩1当量当たり1当量の水酸化ナトリウムを使用した。プロトンNMRはメタンスルホン酸ピークの存在を示した。メシル酸塩の塩化メチレン溶液とNaOH水溶液とを1:2の塩:塩基比で混合したときに完全な反応が達成された。有機層を数回洗浄した後に分離し、蒸発させた。得られたペースト様または粘性の油状物質を真空中で乾燥させて、非晶質固体を得た。この遊離塩基を、
1H NMR及びラマン分光法によって分析した(それぞれ
図15及び
図16)。その後の塩スクリーニング研究は、この遊離塩基を出発材料として使用した(
図5A~7Cに要約されている)。
【0220】
化合物Iの塩スクリーニング
化合物Iの塩を12種調製した。遊離塩基のアセトン溶液におよそ25モル過剰量の硫酸を添加することにより、結晶性硫酸水素塩を沈殿させた。合成ステップの他の塩は、顕微鏡法により非複屈折、またはXRPDにより非晶質であるようであった(
図5A~7C)。プロトンNMRにより、ベンゼンスルホン酸塩、クエン酸塩、エタンスルホン酸塩、塩酸塩、硫酸水素塩、及び硫酸塩を分析した。
【0221】
化合物Iの結晶化実験は
図5A~7Cに要約されている。次の塩:塩酸塩、フマル酸塩、及びリン酸二水素塩を結晶化した。
【0222】
アセトン:トルエンの1:1混合物、塩化メチレン:エチルエーテルの混合物、及びアセトンスラリーから塩化物塩を結晶化した。全ての実験で同じXRPDパターンが観察され、これを形態Aと表記した(
図7Aから7C)。1:1のメタノール:トルエン溶液の低速蒸発から結晶性フマル酸塩を得た。このX線パターンはパターンBと表記した。硫酸水素塩及びリン酸二水素塩は、よく似たXRPDパターン(パターンXと表記)を呈した。HSO
4
-及びH
2PO
4
-の対イオンは同様のサイズであり、有機塩基分子と比較して小さく、したがって、硫酸水素塩とリン酸二水素塩とで結晶構造が同様である可能性が高い。メシル酸塩を結晶化する試みは、粘性またはガラス状の固体物質をもたらした。
【0223】
化合物Iの遊離塩基及びメシル酸塩の特徴決定
有機塩基のプロトンNMRスペクトルは、バリン断片のメチル基に対応するおよそ1ppmにおける2つの二重線を示した。メチル基はキラル炭素中心にあり、したがって、プロトンNMRにおいて当量ではない。メチル基の2つの二重線は、次の化合物Iの塩:ベシル酸塩、クエン酸塩、エシル酸塩、硫酸水素塩(より重なっていた)、及び硫酸塩(より重なっていた)で観察された。メシル酸塩及び塩化物塩の
1H NMRスペクトルにおいて、6つの水素原子に対応する約1ppmにおける二重線は、メチル基の2つの二重線の完全な重なりから生じた(
図13及び
図21A~21D)。
【0224】
遊離塩基に対する等核デカップリング
1H NMR実験は、およそ2ppmにおけるメチン(CH)水素多重線を確認した(
図18)。いずれのメチル基の前照射も行わずに記録された遊離塩基の
1H NMRスペクトルが
図18の下部に示されている。各メチル基の照射(上部、中央)は、同じ線数(5)で単純化されたメチン多重線をもたらした。2つの二重線が異なるジアステレオ異性体に対応した場合、元のものと単純化されたものとの2種類の多重線が観察される。
【0225】
化合物Iの塩化物塩(化合物III)の特徴決定
熱的技術、
1H NMR、及び自動化水分吸着/脱着分析によって、結晶性塩化物塩を分析した。DSCでおよそ147℃の吸熱は、溶融吸熱で通常観察されるものよりも広いようであった。およそ4%の重量損失が25~160℃(分析したアセトンスラリー試料、
図20)で観察された。塩化物塩の
1H NMRは構造と一致していた(
図21A~21D)。しかしながら、異なる試料が分析されたため(1:1アセトン:トルエン混合物の低速蒸発)、このデータは熱的分析における重量損失と相関し得ない。アセトンスラリーからの塩化物塩をおよそ50℃で1日間真空乾燥させた。得られた試料は、XRPDにより元の塩と同様であった(
図22)。熱的データは
図23に提示されている。熱的データの比較に基づくと、乾燥した物質は、25~100℃(元の塩化物塩の0.6%に対して0.2%)及び100~160℃(3.5%に対して2.5%)でより低い重量損失を有した(
図24)。これは、真空乾燥でいくらかの溶媒が除去されたことを示した。しかしながら、DSCでおよそ146~147℃の吸熱は依然として広かった(
図25)。部分的な分解がおそらく溶融中に起こった(分解ベースライン及び対応するTGの重量損失に留意されたい)。
【0226】
化合物Iの塩化物塩は、およそ95%RHで2日後に潮解しなかった。水分吸着/脱着データは
図27に要約され、
図26及び28に示されている。5%RHでの平衡において最小の重量損失が観察された。5~95%相対湿度での吸着においておよそ0.9%の重量増加が起こった。この試料は、脱着の際におよそ0.7%の重量増加を示した。MB後試料のXRPD分析は、出発材料のものと同様のX線パターンを呈した(
図29)。
【0227】
化合物Iの硫酸水素塩及び硫酸塩の特徴決定
化合物Iの硫酸水素塩と硫酸塩との両方を調製した。およそ25モル過剰量の硫酸を添加することにより、遊離塩基のアセトン溶液から硫酸水素塩を沈殿させた。この沈殿物は、XRPDによって結晶性であることが見出された(
図38)。硫酸水素塩の熱的データは
図32に示されている。およそ68℃における広い吸熱は、およそ1%の重量損失に対応し、おそらく脱溶媒和(脱水)に起因するものであった。分解はより高い温度で起こった。これは、およそ65%RHで3日後に潮解しなかった(
図32)。硫酸塩は、酸1当量当たり2当量の遊離塩基を使用して調製した。化合物Iの硫酸塩を結晶化する試みは成功しなかった(
図5A~7C)。プロトンNMRによって硫酸水素塩及び硫酸塩を分析した(
図33及び
図34)。NMRスペクトルに差異が認められた。例えば、バリン断片のメチル基は異なるカップリングを有するようであった。
【0228】
化合物Iのリン酸二水素塩の特徴決定
1:1メチルエチルケトン:n-ブチルアセテート混合物からリン酸二水素塩を結晶化した(
図5A~7C)。これは、硫酸水素塩のものと同様のX線パターンを呈した(
図43)。分析中の試料の損失のため、リン酸二水素塩の特徴決定はXRPDに限定された。さらなる分量の結晶塩を調製する試みは成功しなかった。第1の試みの間に低結晶性物質が生成された(
図5A~7C)。低結晶性塩の再結晶化は粘性の固体をもたらした。この物質は、真空中で乾燥した後に依然として粘性であった。実験室の湿度はスケールアップ結晶化中におよそ62%RHであり、この物質の吸湿性のため物質に影響を与えた可能性が高い。リン酸二水素塩を結晶化するさらなる試みは行わなかった。
【0229】
化合物Iのフマル酸塩の特徴決定
メタノール:トルエン1:1混合物から少量のフマル酸塩を結晶化した(
図5A~7C)。およそ62%RHの実験室湿度で結晶塩をスケールアップする試みを行ったが成功しなかった。顕微鏡法によるといくらかの結晶性固体が存在したが、主に油状の物質が生じた。この粘性固体を真空中で乾燥すると、主に非晶質の物質が得られた。元々調製された結晶塩を播種実験に使用した。しかしながら、結晶性物質は生成されなかった。フマル酸塩の吸湿性の性質を相対湿度研究において確認した。
【0230】
フマル酸塩は、水分感受性があるようであった。結晶塩はおよそ43及び53%の相対湿度で安定であり、およそ65%RHで第1日目以内に潮解し始めた。黄色の油状物が65%RHで3日後に生じた(およそ4%の水分増加)。
【0231】
結論
化合物Iのメシル酸塩は、XRPDによって非晶質であると見出された。この物質を結晶化させる試みは成功しなかった。
【0232】
メシル酸塩から化合物Iの遊離塩基を合成し、12種の塩の調製に使用した。この塩合成から結晶性硫酸水素塩を直接得た。異なる溶媒混合物及び結晶化技術を使用して、3つの塩:塩酸塩、フマル酸塩、及びリン酸二水素塩を結晶化した。塩化物塩がさらなる発展のための最良の候補であるようであった。結晶性硫酸水素塩は、おそらく、およそ100℃超で溶媒和し分解した。この物質は、最大およそ65%の相対湿度で安定であった。結晶性HCl塩は、2つの蒸発実験及び1つのスラリー実験において得た。同じXRPDパターンが観察された。熱的データに基づくと、この物質はいくらかの残留溶媒を有し、推定融点はおよそ146~147℃であった。部分的な分解がおそらく溶融中に起こった。塩化物塩は、水分平衡データに基づくと非吸湿性であった。結晶性リン酸二水素塩及びフマル酸塩は、およそ65%RHで吸湿性であった。高い実験室の湿度のため、塩をスケールアップする試みは成功しなかった。したがって、これらの塩については部分的な特徴決定のみが利用可能であった。
【0233】
実施例4.化合物Iのメシル酸塩のCaco-2細胞透過性の監視
経口投与される薬物のバイオアベイラビリティは、腸管バリアを横断して輸送される能力に大いに左右される。より高い腸細胞分化度を達成する能力のためにJ.Foghによって樹立されたヒト結腸腺癌に由来するCaco-2細胞は、腸上皮を通した薬物の輸送を調査するためのインビトロモデルとして使用することができる。これらの細胞は、コラーゲンでコーティングされたポリカーボネート膜で増殖すると極性化上皮細胞の単層を形成する。分化細胞の単層は、小腸上皮の適切なモデルとなる。細胞コンフルエンスから始まる分化のプロセスは、十分に発達した微絨毛との刷子縁の形成、密着した頂端結合(apical junctions)、ならびに酵素、受容体、輸送系、イオンチャネル、及び脂質分子を含む膜成分の極性分布をもたらす。
【0234】
この研究の目的は、第1のステップにおいてCaco-2細胞試験系(細胞不含)における化合物Iの非特異的結合を評価し、第2のステップにおいて、化合物Iから化合物IIへの変換を評価し、Caco-2細胞単層を横断する化合物Iの輸送がPepT1輸送体タンパク質によって媒介されるかどうかを判定することであった。
【0235】
材料
Caco-2細胞株(ヒト結腸腺癌細胞)を対照細胞バンク(Biosearch S.p.A,Gerenzano-Italy)から得た。ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、ウシ胎仔血清、非必須アミノ酸溶液、L-グルタミン200mM、ペニシリン/ストレプトマイシン溶液、カルシウム及びマグネシウムを含まないトリプシン-EDTA溶液は、Celbio(Milan,Italy)から購入した。HEPES、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリシン-サルコシン(Gly-Sar)は、Sigma(Milan,Italy)から購入した。
【0236】
実験
10%のウシ胎仔血清、2%のL-グルタミン200mM、及び1%の非必須アミノ酸溶液を補充したDMEMでCaco-2細胞を培養した。
【0237】
これらの細胞を、1mL容量の10%DMSO含有ウシ胎仔血清中の細胞懸濁液として、液体窒素下のクライオチューブ内で凍結保存した。実験に使用される細胞は、1か月間より長く培養下に保たれない。
【0238】
必要に応じて、Caco-2細胞の凍結したバイアルを、半ば完全な(semi-complete)解凍まで穏やかに回旋することにより、水浴において37℃で急速に解凍した。次いで、細胞懸濁液を10mLの培養培地に一滴ずつ添加した。次いで、細胞懸濁液を900~1000rpmで7分間遠心分離し、上清を除去し、細胞ペレットを培地中で再構成し、培地を含む75cm2のフラスコに分配した。フラスコを5%CO2雰囲気中で37℃にてインキュベートした。ほぼコンフルエントな単層が得られたとき、細胞を連続継代培養した。各フラスコの培地を除去し、単層を10~15mLのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した。
【0239】
トリプシン-EDTA溶液を細胞単層に添加し、37℃でインキュベートし、細胞を取り除くために間隔を置いて穏やかにタップした。顕微鏡検査によって、細胞単層の完全な解離及び脱凝集を確認した。次いで、これらの細胞を10mLの完全培地中に再懸濁させ、900~1000rpmで7分間遠心分離した。上清を廃棄し、細胞を培養培地に再懸濁させ、175cm2のフラスコ内に2.5×105細胞/mLで蒔いた。
【0240】
ほぼコンフルエントな培養物のフラスコの細胞を上述のトリプシン処置によって解離及び脱凝集させた。細胞を培地に再懸濁し、計数した。約1×106細胞/mLとなるように細胞懸濁液を培地で希釈し、300μLの細胞懸濁液を各トランスウェル(直径6.5mm、孔径0.4μm)の頂端区画上に置いた。600μLの培養培地を側底区画に入れた。プレートは、空気中で5%CO2の加湿雰囲気において37℃で、48~72時間毎に培地を変えながら、15~21日間インキュベートした。
【0241】
実験前とインベーション時間終了時との両方で、各Caco-2細胞単層の完全性を経上皮電気抵抗(TEER)によって評価した。Ω×cm2として表されるTEERは、Millicell-ERS(Millipore)を使用してトランスウェル内で測定した。単層は、TEER値が800Ω×cm2より高いときに高分化型とみなされる。
【0242】
各Caco-2細胞単層の完全性は、インキュベーション時間終了時にルシファーイエローによって評価した。実験後、トランスウェルを輸送緩衝液で2回洗浄した。HBSS中で100μMの濃度における200μLのルシファーイエローを頂端区画内に分配し、側底区画には400μLのHBSSを加えた。トランスウェルを37℃で1時間インキュベートした。側底区画内のルシファーイエローの量は、マイクロプレート分光蛍光光度計(EG & G WALLAC)を使用し、同じ生理食塩水溶液における標準ルシファーイエロー曲線に対して535nm波長で定量化した。1%未満のルシファーイエローが側底区画で検出された場合、単層は損傷していないとみなされる。
【0243】
無細胞トランスウェルに対する非特異的結合の評価
無細胞トランスウェルで非特異的結合及び回収を評価した。二連の無細胞トランスウェル内で1.5、3、及び6μMにおいて化合物Iを試験した。この試験は、頂端区画と側底区画との間のpH勾配において行った。頂端区画(ドナー)は6.5の緩衝液pHを有し、一方で側底区画(レシーバ)は7.4の緩衝液pHを有した。次の時間:側底区画(レシーバ)では60分及び120分、ならびに頂端区画(ドナー)では120分で試料採取を行った。得られた試料をLC-MSによって分析し、回収率を評価するために化合物Iと化合物IIとの両方を監視した。
【0244】
化合物I及び化合物IIの安定性の評価
化合物Iと化合物IIとの両方の安定性を試験中に評価した。これらの化合物を1.5、3、及び6μMの濃度でHBSS緩衝液(1%DMSOの最終濃度)に溶解させた。化合物の開始濃度を評価するため、各溶液のアリコートをゼロ時間(t=0)で試料採取した。溶液を輸送実験の期間中37℃でインキュベートした。化合物I及び化合物IIの最終濃度を評価するために、各溶液のアリコートを実験の終了時(t=120)に試料採取した。LC-MSによって試料を分析した。
【0245】
化合物Iの双方向透過性の評価
化合物Iを1.5、3、及び6μMの濃度でHBSS緩衝液(1%DMSOの最終濃度)に溶解させた。各濃度/試料採取時間を二連ウェルで用いた。この試験は勾配pHで行った:頂端区画(粘膜)はpH6.5であり、側底区画(漿膜)はpH7.4であった。
【0246】
頂端から側底(A→B、粘膜から漿膜)への輸送:200μLの各濃度の化合物Iを頂端区画に加え、400μLのHBSSを側底区画に加えた。プレートを37℃でインキュベートした。側底区画のアリコートは60及び120分後(t=60及びt=120)に試料採取した。頂端区画のアリコートは開始時間(t=0)及び120分後(t=120)に試料採取した。
【0247】
側底から頂端(B→Α、漿膜から粘膜)への輸送:400μLの各濃度の化合物Iを側底区画に加え、200μLのHBSSを頂端区画に加えた。プレートを37℃でインキュベートした。頂端区画のアリコートは60及び120分後(t=60及びt=120)に試料採取した。側底区画のアリコートは開始時間(t=0)及び120分後(t=120)に試料採取した。化合物I及び化合物IIの見た目の両方を監視しながら、LC/MSによって全試料を分析した。
【0248】
化合物IIの双方向透過性の評価
化合物IIを1.5、3、及び6μMの濃度でHBSS緩衝液(1%DMSOの最終濃度)に溶解させた。各濃度/試料採取時間を二連ウェルで用いた。この試験は勾配pHで行った:頂端区画(粘膜)はpH6.5であり、側底区画(漿膜)はpH7.4であった。
【0249】
頂端から側底(A→B、粘膜から漿膜)への輸送:200μLの各濃度の化合物IIを頂端区画に加え、400μLのHBSSを側底区画に加えた。プレートを37℃でインキュベートした。側底区画のアリコートは60及び120分後(t=60及びt=120)に試料採取した。頂端区画のアリコートは開始時間(t=0)及び120分後(t=120)に試料採取した。
【0250】
側底から頂端(B→Α、漿膜から粘膜)への輸送:400μLの各濃度の化合物IIを側底区画に加え、200μLのHBSSを頂端区画に加えた。プレートを37℃でインキュベートした。頂端区画のアリコートは60及び120分後(t=60及びt=120)に試料採取した。側底区画のアリコートは開始時間(t=0)及び120分後(t=120)に試料採取した。化合物IIを監視しながら、LC/MSによって全試料を分析した。
【0251】
粘膜から漿膜への化合物Iの輸送のPepT1基質(Gly-Sar)による阻害
活性輸送体PepT1を遮断するために、分化細胞を10mMのGly-Sarで30分間にわたって前処置した。
【0252】
化合物Iを1.5、3、及び6μMの濃度でHBSS緩衝液(1%DMSOの最終濃度)に溶解させた。各濃度/試料採取時間を二連ウェルで用いた。この試験は勾配pHで行った:頂端区画(粘膜)はpH6.5であり、側底区画(漿膜)はpH7.4であった。
【0253】
頂端から側底(A→B、粘膜から漿膜)への輸送:200μLの各濃度の化合物Iを頂端区画に加え、400μLのHBSSを側底区画に加えた。プレートを37℃でインキュベートした。側底区画のアリコートは60及び120分後(t=60及びt=120)に試料採取した。頂端区画のアリコートは開始時間(t=0)及び120分後(t=120)に試料採取した。化合物I及び化合物IIの見た目の両方を監視しながら、LC/MSによって全試料を分析した。
【0254】
分析的決定
インキュベーション後試料中の化合物II及び化合物Iの濃度を、さらなる希釈を一切行わずに、付録(第7.1節)に報告される高性能液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS)法によって決定した。
【0255】
結果
使用したCaco-2細胞単層の実験前TEER値は、850~1160Ω×cm
2の範囲であり、密着結合したコンフルエントな単層を示している。実験終了時のTEER値は、細胞単層の完全性の影響を伴わず、平均で170Ω×cm
2(680から990Ω×cm
2に)減少した。ルシファーイエロー試験は実験後の全ての単層の完全性を裏付け、実際に、実験後の側底区画内で検出されたルシファーイエローの量は全てのウェルで常に1%未満であった。
図55は、化合物Iに対する非特異的結合試験で得られたデータを報告する図である。この試験条件において、化合物Iは、試験した全ての用量において頂端区画内で回収されることが証明された。化合物Iは、試験したいずれの用量でも側底区画内で検出されなかった。化合物Iの非特異的結合は除外された。化合物IIは、いずれの区画でも検出されなかった。
図55は、化合物I及び化合物IIに対する安定性試験で得られたデータを報告する図である。両方の化合物が、37℃のHBSS緩衝液(2%DMSOの最終濃度)で60及び120分間の試験条件において安定であることが証明された。
図56A~56Eは、化合物Iに対する双方向透過性試験で得られたデータを報告する図である。この化合物は細胞単層を通過しなかった。頂端から側底への試験において、60分後と120分後とのいずれでも受容区画内で化合物Iは検出されなかったが、側底区画では実験終了時に漸増濃度の化合物IIが検出された。化合物IIの通過率は表に報告されている。頂端から側底への実験の終了時に、頂端区画では、低い回収率の化合物Iが観察され、一方で、漸増濃度の化合物IIが検出された(高い回収率)。頂端区画における120分後の化合物IIの増加した濃度は、化合物を脱エステル化することのできるCaco-2細胞内の細胞外及び細胞内エステラーゼの存在によって説明され得る(Kern et al.J.Agric.Food Chem.51:7884-7891(2003))。側底から頂端への試験において、受容区画内に化合物Iは検出されなかったが、低濃度の化合物IIは検出された。したがって、化合物Iは、化合物IIのようにCaco-2単層を通して移送及び輸送される可能性が高い。
図57A~57Eは、化合物IIに対する双方向透過性試験で得られたデータを報告する図である。この化合物は、頂端から側底への良好な通過率と、側底から頂端区画への低い透過率とを示した。ドナー区画内の濃度が既知であったため、Pappを計算した。化合物IIは、Caco-2単層を通る良好な受動的通過性を有する。排出は検出されなかった。
図58A~58Cは、Caco-2細胞単層を10mMのGly-Sarで(PepT1輸送体を飽和させるために)前処置した阻害試験で得られたデータを報告する図である。化合物Iは受容区画内で検出されなかったが、化合物IIの通過は観察された。通過率は、この試験において線形ではなかった。
【0256】
考察
この研究では、Caco-2細胞試験系(細胞不含)における化合物Iの非特異的結合を評価し、除外した。化合物Iはこの試験条件において安定であった。双方向透過性試験において、化合物Iから化合物IIへの変換を評価し確認した。化合物Iは、試験した条件下で細胞単層を通過しなかった。したがって、化合物Iは、脱エステル化した化合物IIのようにCaco-2細胞単層を通して移送及び輸送される可能性が高い。
【0257】
双方向透過性試験において、化合物IIは、Caco-2細胞単層を通る良好な受動的通過性を示した。化合物IIが排出輸送体のための基質であり得るという証拠は見出されなかった。
【0258】
Gly-Sar前処置を(PepT1輸送体を飽和させるために)用いた試験は、化合物Iの通過及び化合物IIの通過率を示さなかった。Caco-2細胞単層を横断する化合物Iの輸送は、PepT1によって媒介されない可能性が高い。
【0259】
これらの実験は、化合物I及びその塩の腸管吸収がPept1輸送体タンパク質によって媒介されないことを示す。むしろ、前述の結果は、化合物Iが小腸内で周囲のエステラーゼによって脱エステル化され、その後、小腸上皮を受動的に透過することを実証する。化合物I及びその塩がPept1の基質ではないということは、予想外で薬理学的に有益な特性である。Pept1は、例えば、開示内容が参照により本明細書に組み込まれるVig et al.,Adv.Drug Deliv.Rev.65:1370-1385(2013)に記載されているように、様々なバリネートエステルの吸収を媒介することで知られている、pH依存性共輸送体である。Pept1は、このタンパク質により腸上皮を通して輸送される化合物の構造的多様性によって証明されるように、広い基質特異性を呈する。予想外なことに、バリネートエステル官能基の存在にもかかわらず、化合物I及びその塩は、小腸上皮を通した吸収のためにこの輸送体に依存しない。したがって化合物I及びその塩は、このタンパク質への結合及びそれによる輸送のために、ペプチド性栄養素などのPept1の天然の基質と競合しないため、これは有利な特性である。むしろ、化合物I及びその塩は、エネルギー及び局所的プロトン勾配に依存する様式で容易に吸収される形態へとインビボで変換される。この予想外の特性は、化合物I及びその塩の高い水溶性と相まって、これらの治療薬が水性環境で容易に溶解し、次いで輸送体依存性の吸収が可能な形態へと変換される、有益な薬物動態プロファイルを集合的にもたらす。
【0260】
実施例5.追加の子宮収縮抑制剤を含む併用療法
化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、子宮収縮の発生を低減させるため、また分娩の開始を遅延させるために、ヒト対象などの対象に、例えば、オキシトシン受容体アンタゴニスト、ベータミメティック、カルシウムチャネル阻害剤、マグネシウム塩、または一酸化窒素ドナーなどの1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて投与されてもよい。
【0261】
当業者の医師は、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIを、オキシトシン受容体アンタゴニストと同時に、それとの混和物として、またはそれとは別々に投与してもよい。本発明の組成物及び方法と併せて使用される例示的なオキシトシン受容体アンタゴニストとしては、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、及びノラシバン、またはそれらの変異体、製剤、結晶形態、または誘導体が挙げられる。例えば、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、対象の分娩の開始を、例えば、1日または1週間以上、例えば約1日~約16週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30日、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16週間)遅延させるために、ノラシバン、またはその変異体、製剤、結晶形態、もしくは誘導体の前、後、またはそれと同時に投与されてもよい。
【0262】
さらにまたは代替的に、当業者の医師は、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIを、本明細書に記載のベータミメティックなどのベータミメティックと同時に、それとの混和物として、またはそれとは別々に投与してもよい。例えば、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、対象の分娩の開始を、例えば、1日または1週間以上、例えば約1日~約16週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30日、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16週間)遅延させるために、本明細書に記載のまたは当該技術分野で公知のベータミメティックの前、後、またはそれと同時に投与されてもよい。
【0263】
さらにまたは代替的に、当業者の医師は、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIを、本明細書に記載のカルシウムチャネル阻害剤などのカルシウムチャネル阻害剤と同時に、それとの混和物として、またはそれとは別々に投与してもよい。例えば、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、対象の分娩の開始を、例えば、1日または1週間以上、例えば約1日~約16週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30日、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16週間)遅延させるために、本明細書に記載のまたは当該技術分野で公知のカルシウムチャネル阻害剤の前、後、またはそれと同時に投与されてもよい。
【0264】
さらにまたは代替的に、当業者の医師は、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIを、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩と同時に、それとの混和物として、またはそれとは別々に投与してもよい。例えば、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、対象の分娩の開始を、例えば、1日または1週間以上、例えば約1日~約16週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30日、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16週間)遅延させるために、硫酸マグネシウムの前、後、またはそれと同時に投与されてもよい。
【0265】
さらにまたは代替的に、当業者の医師は、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIを、ニトログリセリンなどの一酸化窒素ドナーと同時に、それとの混和物として、またはそれとは別々に投与してもよい。例えば、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、対象の分娩の開始を、例えば、1日または1週間以上、例えば約1日~約16週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30日、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16週間)遅延させるために、ニトログリセリンの前、後、またはそれと同時に投与されてもよい。
【0266】
さらにまたは代替的に、当業者の医師は、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIを、プロゲステロンまたはその誘導体もしくは変異体、例えば本明細書に記載のまたは当該技術分野で公知の誘導体もしくは変異体と同時に、それとの混和物として、またはそれとは別々に投与してもよい。例えば、化合物Iまたはその塩、例えば化合物IIIは、対象の分娩の開始を、例えば、1日または1週間以上、例えば約1日~約16週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30日、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16週間)遅延させるために、本明細書に記載のまたは当該技術分野で公知のプロゲステロンまたはその変異体もしくは誘導体の前、後、またはそれと同時に投与されてもよい。
【0267】
実施例6.早期分娩のマウスモデルにおけるニフェジピン及びアトシバンと組み合わせた化合物I及びその薬学的に許容される塩の子宮収縮抑制作用
早期出産の動物モデルにおけるカルシムチャネル遮断薬またはオキシトシン受容体アンタゴニストと組み合わせた化合物Iの治療効果を調査するために、初回妊娠中のCD-1マウスを、17日の妊娠初期に分娩の確立された誘導因子で処置し、その後、様々な投与量の化合物Iの塩化物塩(化合物III;10mg/kg、30mg/kg、または100mg/kg、それぞれ経口投与)を単独で、またはニフェジピン(5mg/kg、経口投与)もしくはアトシバン(300mg/kg、皮下投与)と組み合わせて投与した。処置コホート及び対照コホートの各マウスにおける誘導から第1子の出産までの時間、各コホートの全マウス間での誘導から出産完了までの時間からの時間、及び各コホートのマウス間での子孫の生存率を測定することにより、子宮収縮抑制作用を評価した。この研究で使用した早期出産の誘導因子は、頸部拡張を促進し、子宮収縮及びプロスタグランジンへの感受性の増進を引き起こすステロイド性抗黄体ホルモンであるRU486(別称ミフェプリストン)、及び炎症の媒介物であるリポ多糖(LPS)であった。
【0268】
妊娠初期における分娩を誘導するため、単回用量のRU486を各マウスに2.5mg/kg(t=0)で皮下投与した。LPSで処置したマウスは、2mg/kg(t=0)におけるLPSの単回腹腔内注入を受けた。2つの明確に異なる部位における300mg/kgの皮下注入により、アトシバンをCD-1マウスに投与した。これらの注入は、5時間(t=5)及び29時間(t=29)において行い、続いて、誘導剤のRU486またはLPSでの処置を行った。ニフェジピンは、CD-1マウスに、5時間(t=5)、19時間(t=19)、29時間(t=29)、及び43時間(t=43)において5mg/kgで経口投与し、続いて、誘導剤のRU486またはLPSでの処置を行った。化合物IIIは、CD-1マウスに、5時間(t=5)、19時間(t=19)、29時間(t=29)、及び43時間(t=43)において、10mg/kg、30mg/kg、または100mg/kgのいずれかで経口投与し、続いて、誘導剤のRU486またはLPSでの処置を行った。RU486またはLPSで誘導し、その後アトシバン、ニフェジピン、及び/または化合物IIIを投与した後、マウスコホートを継続的な視覚的監視に供し、各マウスの誘導と第1子の出産との間で経過した時間、ならびに各コホートで出産を体験したマウスの時間の関数としての割合を評価した。各コホートで出産された子の生存率を、ガレヌス流体静力学新生児肺検査法(galenic hydrostatic pulmonary docimasy)によって評価した。
【0269】
17日の妊娠期間におけるRU486でのCD-1マウスの処置が、誘導後約21時間の平均出産時間(t=21;平均計算値=21±1.00時間)をもたらし、一方で、17日の妊娠期間においてLPSで処置されたCD-1マウスは、誘導後約26時間の平均出産時間(t=26;平均計算値=26±2.34時間)を呈したことから、早期出産を誘導するRU486及びLPSの能力が確認された。対照的に、CD-1マウスの満期出産は、妊娠第17日目を50時間超過ぎた約19日~約21日の妊娠期間で起こる。RU486処置マウスから出産された子のうち、96%が生きた状態で出産され、LPS処置マウスで出産された子の48%が生きた状態で出産された(
図60Aから61C)。RU486で処置したマウスの3%は、研究中の死亡または殺処分のためにこの調査から除外し、LPSで処置したマウスの34%は、研究中の死亡または殺処分のためにこの調査から除外した。
【0270】
調査中、ニフェジピン単独での処置は、RU486処置マウスにおけるビヒクルと比較して、出産までの平均時間の有意な増加を誘導したことが観察された(23.53±0.99時間対21.19±1.00時間;
図65Aから65E)。ニフェジピン単独での処置は、ビヒクルと比較して、出産までの時間の増加をさらに促進し、LPS処置マウスの子孫の生存率を有意に増加させた(90.39%±5.34%対48.20%±16.45%;
図68Aから69M)。アトシバンの投与は、LPS処置マウスの出産までの時間を同様に増加させた(
図70Aから70B)。
【0271】
化合物IIIは、RU486処置マウスにおけるビヒクルと比較して、出産までの時間の増加を促進することが見出された(
図65Aから65E、及び67Aから67E)。特に、30mg/kg及び100mg/kgで化合物IIIを経口投与したRU486処置マウスは、ビヒクルと比べて出産までの時間の増加を呈した(それぞれ、p=0.0871及びp=0.0601)。さらに、LPS処置マウスへの化合物IIIの投与は、子孫の生存率の用量依存的増加をもたらした(ビヒクルに応答して48.20%±16.45%の生存率が観察されたのに対して、100mg/kgの化合物IIIに応答して69.41%±15.76%の生存率が観察された;
図68Aから68B)。
【0272】
ニフェジピンと化合物IIIとの組み合わせは、特に顕著な子宮収縮抑制作用をもたらした(
図65Aから65E、及び69Aから69M)。RU486処置マウスへのニフェジピン(5mg/kg)及び化合物III(100mg/kg)の経口投与は、ビヒクルと比べて(27.91±0.35時間対21.19±1.00時間)、同じ投与量のニフェジピン単独と比べて(27.91±0.35時間対23.53±0.99時間)、また同じ投与量の化合物III単独と比べて(27.91±0.35時間対23.70±0.60時間)、出産までの時間の有意な増加を誘導したため、この組み合わせは、明らかな相乗効果をもたらした。さらに、LPS処置マウスへのニフェジピン(5mg/kg)及び化合物III(10mg/kg)の経口投与は、10mg/kgの化合物III単独で処置したコホートと比べて、出産までの時間を有意に増加させた(31.01±1.89時間対23.98±0.66時間)。10mg/kgの化合物IIIを5mg/kgのニフェジピンと組み合わせた経口投与も、同じ投与量の化合物III単独を投与したマウスと比べて(94.23%±3.68%対57.90%±14.89%)、またビヒクル単独を投与したマウスと比べて(94.23%±3.68%対48.20%±16.45%;
図68Aから68B)、LPS処置マウスにより出産された子の生存率の増加を促進した。
【0273】
アトシバンと化合物IIIとの組み合わせは、単独で使用した各化合物の子宮収縮抑制作用をさらに増強した。LPS処置マウスへのアトシバン(300mg/kg)の皮下投与及び化合物III(100mg/kg)の経口投与は、ビヒクル単独を投与したマウスと比べて(33.23±2.95時間対26.17±1.98時間)、また同じ投与量のアトシバン単独を投与したマウスと比べて(33.23±2.95時間対28.41±2.99時間;
図71Aから71E)、出産までの時間の有意な増加を誘導した。この組み合わせはまた、ビヒクル単独、同じ投与量のアトシバン単独、または同じ投与量の化合物III単独で処置したマウスと比較して、子孫の生存率を増加させる性質を呈した(
図70Aから70B)。
【0274】
この研究は、2つの明確に異なる早期出産の動物モデルにおけるFPアンタゴニスト化合物Iの塩の子宮収縮抑制作用をさらに例示し、根底にある生化学的病因にかかわらず、早期分娩を処置及び防止するための化合物I及びその塩の使用を支持する。この調査は、早産を防止するためにカルシウムチャネルアンタゴニスト及びオキシトシン受容体アンタゴニストのうちのそれぞれと組み合わせて化合物I及びその塩(例えば化合物III)などのFPアンタゴニストを使用することをさらに支持する。ニフェジピン及びアトシバンのうちのそれぞれと組み合わせた化合物IIIの使用は、個々の成分の治療効果を著しく超過し、化合物I及びその塩、例えば化合物IIIが、追加の子宮収縮抑制と相乗し得ることを実証する。
【0275】
実施例7.ヒト組織試料におけるニフェジピン、アトシバン、及びノラシバンと組み合わせた化合物IIの子宮収縮抑制作用
オキシトシン受容体アンタゴニスト及びカルシムチャネル遮断薬と組み合わせた、化合物I及びその塩(例えば化合物III)の活性代謝物である化合物IIの治療効果を調査するために、帝王切開による出産を体験している満期分娩前ヒト女性対象から子宮筋層生検を得た。この調査の目的の中には、子宮筋層収縮の頻度、ピーク振幅、及び持続時間、ならびに収縮1回当たりになされた仕事量、及び全収縮によりなされた全仕事量に対する、化合物II単独または追加の子宮収縮抑制との組み合わせの効果を特徴決定することがあった。この目標を達成するため、酸素添加クレブス液中でDMT Myograph 800 MS(ADINSTRUMENTS(商標))を使用し、並行した複数の筋肉標本の同時測定を容易にするADI Powerlabソフトウェアを用いた実験を行った。
【0276】
少なくとも20分間にわたって平滑筋収縮にベースラインを確立させることにより、子宮筋層生検の実験を開始した。この期間の後、自発性収縮頻度、ピーク振幅、持続時間、収縮1回当たりになされた仕事量、及び全収縮によりなされた全仕事量のベースライン測定値を記録した。その後、子宮筋層生検試料を、DMSO対照、化合物II、アトシバン、ニフェジピン、化合物IIとアトシバンとの組み合わせ、または化合物IIとニフェジピンとの組み合わせで処置した。その後、子宮筋層収縮の頻度、振幅、及び持続時間、ならびに子宮筋層収縮によってなされた仕事量に対するこれらの薬剤の効果を、続く10分間にわたって測定した。次に、逐次的な10分間の間隔の過程にわたり、漸増濃度の収縮刺激剤、例えばオキシトシン、PGF2α、またはPGE2を添加することによって子宮筋層試料に負荷をかけ、それに従い、収縮頻度、ピーク振幅、持続時間、収縮1回当たりになされた仕事量、及び全収縮によりなされた全仕事量を測定した。オキシトシン、PGF2α、及びPGEはそれぞれ、子宮収縮及び早期出産の明確に異なる調節因子である。オキシトシンは、子宮の子宮筋層の収縮を直接誘導し、収縮性プロスタグランジンの合成ならびに子宮の子宮内膜及び脱落膜からのその放出を増進させる。オキシトシンはまた、シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)の増強によるヒト子宮筋層細胞におけるプロスタグランジンの産生の促進に関連付けられている。プロスタグランジンPGF2α及びPGE2は、頸部の変化を誘導し、子宮収縮を誘発することが示されており、これらは、分娩及び出産の生理学における2つの主要な事象である。ヒトの子宮筋層におけるPGF2αによるFP受容体の活性化は、細胞内カルシウム濃度を上昇させ、これが次いで、子宮平滑筋細胞の収縮をもたらす。したがって、この調査の別の目的は、3つの明確に異なる生化学的様相によって誘導される子宮収縮活動を弱化させる化合物IIの能力を評価することであった。
【0277】
これらの実験の結果は、化合物II単独に、PGF2α誘導性及びOT誘導性両方の子宮筋層収縮を用量依存様式で抑制する能力があることを実証する(
図72Aから72E、及び73Aから73E)。さらに、化合物IIは、オキシトシン受容体アンタゴニストのアトシバン(
図76Aから76E)及びカルシムチャネル遮断薬のニフェジピン(
図78Aから78E)と組み合わせて使用された場合、子宮筋層収縮の低減に対する驚異的な相乗効果を呈することがこの度発見された。驚くべきことに、追加の子宮収縮抑制の非存在下で使用した場合に子宮筋層収縮の低減に対してより低い効力を呈した用量の化合物II(例えば60nM、
図72Aから72E及び73Aから732E)は、アトシバン(
図76Aから76E)及びニフェジピン(
図78Aから78E)と組み合わせると阻害活性の著しい増加を呈した。同様に、化合物IIの非存在下で使用した場合に子宮筋層収縮の低減に対して最適以下であると見出された用量のアトシバン(6nM、
図74Aから74E、及び75Aから75E)及びニフェジピン(6nM、
図77Aから77E)は、化合物IIと組み合わせると抗収縮効力の予想外の増加を呈した(
図76Aから76E及び78Aから78E)。これらのデータは、化合物IIには、追加の子宮収縮抑制、例えばオキシトシン受容体アンタゴニスト及びカルシムチャネル遮断薬と相乗して、早期出産をもたらし得る子宮収縮活動を抑制する能力があることを実証する。
【0278】
子宮筋層収縮を抑制することに加えて、化合物IIの子宮収縮抑制作用は、ヒトの子宮筋層及び羊膜の生検における下流炎症促進性遺伝子の発現を弱化させるこの薬剤の能力においても明らかである(
図79Aから79E及び80Aから80E)。化合物IIが、単独または追加の子宮収縮抑制との組み合わせで、帝王切開による出産を体験している満期分娩前ヒト女性対象から単離された子宮筋層試料及び羊膜試料において様々なタンパク質の発現を調節する能力を特徴決定するために、ウェスタンブロットを行った。これらの研究の結果は、化合物IIが、様々な炎症促進性タンパク質の発現を低減させることができ、ノラシバンと組み合わせて使用した場合にCOX-2発現の低減に対する驚異的な相乗作用を呈することを実証する。
【0279】
集合的に、これらの実験から生成されたデータは、化合物IIには、子宮収縮の明確に異なる調節因子によって誘導される早期出産をもたらし得る平滑筋活動を抑制する能力があることを実証する。さらに、化合物IIは、オキシトシン受容体アンタゴニスト及びカルシムチャネル遮断薬と組み合わせて使用すると、子宮収縮の弱化に対する予想外の相乗効果を呈する。この相乗作用は、平滑筋活動のレベルにおいても、子宮筋層及び羊膜の生検における炎症促進性遺伝子発現の低減においても明らかであり、処置を必要とする対象、例えば早期分娩を体験しているまたは体験するリスクのある対象に、化合物IIを1つ以上の追加の子宮収縮抑制と組み合わせて提供することの様々な利益を実証する。
【0280】
他の実施形態
本明細書において言及される全ての公開文献、特許、及び特許出願は、独立した公開文献または特許出願のそれぞれが参照により組み込まれるものと明確かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0281】
本発明をその特定の実施形態との関連で説明したが、さらなる修正が可能であること、また、本出願は、本発明の原理に概ね従い、かつ本発明が属する当該技術分野で公知または慣習的な行為の範囲内であり、上文に記述された本質的な特徴に適用され得る本発明からの発展形態を含め、本発明のあらゆる変化形態、使用、または適応形態を対象とするよう意図され、また特許請求の範囲に倣うことは理解されよう。
【0282】
他の実施形態が特許請求の範囲内である。
【0283】
以下に、実施形態の一例を項目として記す。
[項目1]
式(I)によって表される化合物
[化1]
またはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物であって、前記薬学的組成物が追加の治療剤をさらに含む、薬学的組成物。
[項目2]
前記化合物が式(III)によって表される、項目1に記載の薬学的組成物。
[化2]
[項目3]
前記追加の治療剤が追加の子宮収縮抑制剤である、項目1または2に記載の薬学的組成物。
[項目4]
前記薬学的組成物が1つ以上の賦形剤を含む、項目1~3のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目5]
前記化合物が少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%の純度を有する、項目1~4のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目6]
前記純度が高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)によって確認される、項目5に記載の薬学的組成物。
[項目7]
前記純度がNMR分光法によって確認される、項目5に記載の薬学的組成物。
[項目8]
前記化合物または薬学的組成物が、対象への経口投与のために製剤化される、項目1~7のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目9]
前記化合物または薬学的組成物が、錠剤、カプセル、ゲルキャップ、粉末、液体溶液、または液体懸濁液である、項目1~8のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目10]
前記化合物または薬学的組成物が、対象への静脈内投与のために製剤化される、項目1~7のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目11]
前記薬学的組成物がオキシトシン受容体アンタゴニストを含む、項目1~10のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目12]
前記オキシトシン受容体アンタゴニストが、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、及びノラシバン(nolasiban)からなる群から選択される、項目11に記載の薬学的組成物。
[項目13]
前記薬学的組成物がベータミメティックを含む、項目1~12のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目14]
前記ベータミメティックが、テルブタリン、リトドリン、ヘキソプレナリン、アルブテロール、フェノテロール、ニリドリン、及びオルシプレナリンからなる群から選択される、項目13に記載の薬学的組成物。
[項目15]
前記薬学的組成物がカルシウムチャネル阻害剤を含む、項目1~14のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目16]
前記カルシウムチャネル阻害剤がジヒドロピリジンである、項目15に記載の薬学的組成物。
[項目17]
前記ジヒドロピリジンが、ニフェジピン及びニカルジピンからなる群から選択される、項目16に記載の薬学的組成物。
[項目18]
前記薬学的組成物がマグネシウム塩を含む、項目1~17のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目19]
前記マグネシウム塩が硫酸マグネシウムである、項目18に記載の薬学的組成物。
[項目20]
前記薬学的組成物が一酸化窒素ドナーを含む、項目1~19のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目21]
前記一酸化窒素ドナーがニトログリセリンである、項目20に記載の薬学的組成物。
[項目22]
前記薬学的組成物がプロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートを含む、項目1~21のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目23]
前記薬学的組成物がコルチコステロイドを含む、項目1~22のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目24]
前記コルチコステロイドが、ベタメタゾン、デキサメタゾン、及びヒドロコルチゾンからなる群から選択される、項目23に記載の薬学的組成物。
[項目25]
前記薬学的組成物が、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、ニフェジピンとを含む、項目1~24のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目26]
前記化合物が式(III)によって表される、項目25に記載の薬学的組成物。
[項目27]
前記薬学的組成物が、式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、アトシバンとを含む、項目1~26のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目28]
前記化合物が式(III)によって表される、項目27に記載の薬学的組成物。
[項目29]
前記化合物が約1nMの親和性でヒトプロスタグランジンF2α受容体に結合する、項目1~28のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目30]
前記化合物が、約300μg/mL~約500μg/mLの濃度で水溶液中に可溶性である、項目1~29のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目31]
前記化合物が、約380μg/mLの濃度で水溶液中に可溶性である、項目30に記載の薬学的組成物。
[項目32]
前記化合物が、細胞におけるイノシトール三リン酸の合成を阻害する、項目1~31のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目33]
前記細胞が哺乳動物細胞である、項目32に記載の薬学的組成物。
[項目34]
前記哺乳動物細胞がヒト細胞である、項目33に記載の薬学的組成物。
[項目35]
前記ヒト細胞が子宮筋層細胞である、項目34に記載の薬学的組成物。
[項目36]
前記子宮筋層細胞が子宮筋細胞である、項目35に記載の薬学的組成物。
[項目37]
前記化合物が、対象への前記化合物の投与後、前記対象の子宮収縮の振幅の低減を誘導する、項目1~36のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目38]
前記低減が、前記投与前に記録された前記対象の子宮収縮の振幅の測定値に対して約40%~約50%である、項目37に記載の薬学的組成物。
[項目39]
前記化合物が、対象への前記化合物の投与後、前記対象において約1時間~約4時間の半減期を呈する、項目1~38のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目40]
前記化合物が、対象への前記化合物の投与後、約0.25時間~約2時間以内に、前記対象における最大血漿濃度に達する、項目1~39のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目41]
前記対象が哺乳動物である、項目37~40のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目42]
前記哺乳動物がヒトである、項目41に記載の薬学的組成物。
[項目43]
前記哺乳動物がイヌである、項目41に記載の薬学的組成物。
[項目44]
前記哺乳動物がラットである、項目41に記載の薬学的組成物。
[項目45]
前記投与が経口である、項目37~44のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目46]
前記投与が静脈内である、項目37~44のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目47]
前記化合物が式(III)によって表され、
[化3]
前記化合物が結晶状態である、項目1~46のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目48]
前記化合物が、約7.0°2θ、約8.1°2θ、約10.0°2θ、約20.1°2θ、約21.0°2θ、及び約23.5°2θにおける特徴的なX線粉末回折ピークを呈する、項目47に記載の薬学的組成物。
[項目49]
前記化合物が、約12.0°2θ、約13.1°2θ、約14.1°2θ、約16.4°2θ、約18.4°2θ、及び約29.5°2θにおけるX線粉末回折ピークをさらに呈する、項目48に記載の薬学的組成物。
[項目50]
前記化合物が、
図19、22、29、45~49、及び54のうちのいずれか1つに実質的に示されているようなX線粉末回折スペクトルを特徴とする、項目47~49のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目51]
前記化合物が、
図49に実質的に示されているようなX線粉末回折スペクトルを特徴とする、項目50に記載の薬学的組成物。
[項目52]
前記化合物が、約1.1ppm、約3.3ppm、約4.9ppm、約5.4ppm、約7.1ppm、約7.7ppm、約7.9ppm、及び約8.0ppmを中心とする
1H核磁気共鳴(NMR)ピークを呈する、項目47~51のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目53]
前記化合物が、
図21A~
図21Dに実質的に示されているような
1H NMRスペクトルを特徴とする、項目47~52のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目54]
前記化合物が、示差走査熱量測定によって測定した場合に約145℃~約147℃の吸熱を呈する、項目47~53のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目55]
前記化合物が、示差走査熱量測定によって測定した場合に約214℃のさらなる吸熱を呈する、項目54に記載の薬学的組成物。
[項目56]
前記化合物が、
図20に実質的に示されているような示差走査熱量測定曲線を特徴とする、項目55に記載の薬学的組成物。
[項目57]
前記化合物が、示差走査熱量測定によって測定した場合に約228℃のさらなる吸熱を呈する、項目54に記載の薬学的組成物。
[項目58]
前記化合物が、
図23に実質的に示されているような示差走査熱量測定曲線を特徴とする、項目57に記載の薬学的組成物。
[項目59]
前記化合物が、25℃から100℃に加熱されたとき、熱重量分析によって測定した場合に約0.2%~約0.6%の重量損失を呈する、項目47~58のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目60]
前記化合物が、100℃から160℃に加熱されたとき、熱重量分析によって測定した場合に約2.5%~約3.5%の重量損失を呈する、項目47~59のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目61]
前記化合物が、
図24に実質的に示されているような熱重量分析曲線を呈する、項目47~60のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目62]
対象の早期分娩を処置または防止する方法であって、前記方法が、治療有効量の式(I)によって表される化合物
[化4]
またはその薬学的に許容される塩と、追加の治療剤とを、前記対象に投与することを含む、方法。
[項目63]
対象の帝王切開前の分娩を防止する方法であって、前記方法が、治療有効量の式(I)によって表される化合物
[化5]
またはその薬学的に許容される塩と、追加の治療剤とを、前記対象に投与することを含む、方法。
[項目64]
対象の月経困難症を処置または防止する方法であって、前記方法が、治療有効量の式(I)によって表される化合物
[化6]
またはその薬学的に許容される塩と、追加の治療剤とを、前記対象に投与することを含む、方法。
[項目65]
前記化合物が式(III)によって表される、項目62~64のいずれかに記載の方法。
[化7]
[項目66]
前記追加の治療剤が追加の子宮収縮抑制剤である、項目62~65のいずれかに記載の方法。
[項目67]
対象の早期分娩を処置または防止する方法であって、前記方法が、治療有効量の項目1~61のいずれかに記載の薬学的組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
[項目68]
対象の帝王切開前の分娩を防止する方法であって、前記方法が、治療有効量の項目1~61のいずれかに記載の薬学的組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
[項目69]
対象の月経困難症を処置または防止する方法であって、前記方法が、治療有効量の項目1~61のいずれかに記載の薬学的組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
[項目70]
前記化合物が約1nMの親和性でヒトプロスタグランジンF2α受容体に結合する項目62~69のいずれかに記載の方法。
[項目71]
前記化合物が、約300μg/mL~約500μg/mLの濃度で水溶液中に可溶性である、項目62~70のいずれかに記載の方法。
[項目72]
前記化合物が、約380μg/mLの濃度で水溶液中に可溶性である、項目71に記載の方法。
[項目73]
前記化合物が、細胞におけるイノシトール三リン酸の合成を阻害する、項目62~72のいずれかに記載の方法。
[項目74]
前記細胞が哺乳動物細胞である、項目73に記載の方法。
[項目75]
前記哺乳動物細胞がヒト細胞である、項目74に記載の方法。
[項目76]
前記ヒト細胞が子宮筋層細胞である、項目75に記載の方法。
[項目77]
前記子宮筋層細胞が子宮筋細胞である、項目76に記載の方法。
[項目78]
前記化合物が式(III)によって表され、
[化8]
前記化合物が結晶状態である、項目62~77のいずれかに記載の方法。
[項目79]
前記化合物が、約7.0°2θ、約8.1°2θ、約10.0°2θ、約20.1°2θ、約21.0°2θ、及び約23.5°2θにおける特徴的なX線粉末回折ピークを呈する、項目78に記載の方法。
[項目80]
前記化合物が、約12.0°2θ、約13.1°2θ、約14.1°2θ、約16.4°2θ、約18.4°2θ、及び約29.5°2θにおけるX線粉末回折ピークをさらに呈する、項目79に記載の方法。
[項目81]
前記化合物が、
図19、22、29、45~49、及び54のうちのいずれか1つに実質的に示されているようなX線粉末回折スペクトルを特徴とする、項目78~80のいずれかに記載の方法。
[項目82]
前記化合物が、
図49に実質的に示されているようなX線粉末回折スペクトルを特徴とする、項目81に記載の方法。
[項目83]
前記化合物が、約1.1ppm、約3.3ppm、約4.9ppm、約5.4ppm、約7.1ppm、約7.7ppm、約7.9ppm、及び約8.0ppmを中心とする
1H核磁気共鳴(NMR)ピークを呈する、項目78~82のいずれかに記載の方法。
[項目84]
前記化合物が、
図21A~
図21Dに実質的に示されているような
1H NMRスペクトルを特徴とする、項目78~83のいずれかに記載の方法。
[項目85]
前記化合物が、示差走査熱量測定によって測定した場合に約145℃~約147℃の吸熱を呈する、項目78~84のいずれかに記載の方法。
[項目86]
前記化合物が、示差走査熱量測定によって測定した場合に約214℃のさらなる吸熱を呈する、項目85に記載の方法。
[項目87]
前記化合物が、
図20に実質的に示されているような示差走査熱量測定曲線を特徴とする、項目86に記載の方法。
[項目88]
前記化合物が、示差走査熱量測定によって測定した場合に約228℃のさらなる吸熱を呈する、項目85に記載の方法。
[項目89]
前記化合物が、
図23に実質的に示されているような示差走査熱量測定曲線を特徴とする、項目88に記載の方法。
[項目90]
前記化合物が、25℃から100℃に加熱されたとき、熱重量分析によって測定した場合に約0.2%~約0.6%の重量損失を呈する、項目78~89のいずれかに記載の方法。
[項目91]
前記化合物が、100℃から160℃に加熱されたとき、熱重量分析によって測定した場合に約2.5%~約3.5%の重量損失を呈する、項目78~90のいずれかに記載の方法。
[項目92]
前記化合物が、
図24に実質的に示されているような熱重量分析曲線を呈する、項目78~91のいずれかに記載の方法。
[項目93]
前記対象が、約24週~約34週の妊娠期間を特徴とする、項目62~92のいずれかに記載の方法。
[項目94]
前記対象が、前記投与後に子宮収縮の振幅の低減を呈する、項目62~93のいずれかに記載の方法。
[項目95]
前記低減が、前記投与前に記録された前記対象の子宮収縮の振幅の測定値に対して約40%~約50%である、項目94に記載の方法。
[項目96]
前記化合物が、前記対象において約1時間~約4時間の半減期を呈する、項目62~95のいずれかに記載の方法。
[項目97]
前記化合物が、前記投与の約0.25時間~約2時間以内に、前記対象における最大血漿濃度に達する、項目62~96のいずれかに記載の方法。
[項目98]
前記対象が哺乳動物である、項目62~97のいずれかに記載の方法。
[項目99]
前記哺乳動物がヒトである、項目98に記載の方法。
[項目100]
前記方法が、前記化合物または薬学的組成物を前記対象に経口投与することを含む項目62~99のいずれかに記載の方法。
[項目101]
前記方法が、前記化合物または薬学的組成物を前記対象に静脈内投与することを含む、項目62~99のいずれかに記載の方法。
[項目102]
前記方法が、前記対象にオキシトシン受容体アンタゴニストを投与することを含む、項目62~101のいずれかに記載の方法。
[項目103]
前記方法が、前記オキシトシン受容体アンタゴニストを前記対象に経口投与することを含む、項目102に記載の方法。
[項目104]
前記方法が、前記オキシトシン受容体アンタゴニストを前記対象に静脈内投与することを含む、項目102に記載の方法。
[項目105]
前記オキシトシン受容体アンタゴニストが、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、及びノラシバンからなる群から選択される、項目102~104のいずれかに記載の方法。
[項目106]
前記方法が、前記対象にベータミメティックを投与することを含む、項目62~105のいずれかに記載の方法。
[項目107]
前記方法が、前記ベータミメティックを前記対象に経口投与することを含む、項目106に記載の方法。
[項目108]
前記方法が、前記ベータミメティックを前記対象に静脈内投与することを含む、項目106に記載の方法。
[項目109]
前記ベータミメティックが、テルブタリン、リトドリン、ヘキソプレナリン、アルブテロール、フェノテロール、ニリドリン、及びオルシプレナリンからなる群から選択される、項目106~108のいずれかに記載の方法。
[項目110]
前記方法が、前記対象にカルシウムチャネル阻害剤を投与することを含む、項目62~109のいずれかに記載の方法。
[項目111]
前記方法が、前記カルシウムチャネル阻害剤を前記対象に経口投与することを含む、項目110に記載の方法。
[項目112]
前記方法が、前記カルシウムチャネル阻害剤を前記対象に静脈内投与することを含む、項目110に記載の方法。
[項目113]
前記カルシウムチャネル阻害剤がジヒドロピリジンである、項目110~112のいずれかに記載の方法。
[項目114]
前記ジヒドロピリジンが、ニフェジピン及びニカルジピンからなる群から選択される、項目113に記載の方法。
[項目115]
前記方法が、前記対象にマグネシウム塩を投与することを含む、項目62~114のいずれかに記載の方法。
[項目116]
前記方法が、前記マグネシウム塩を前記対象に経口投与することを含む、項目115に記載の方法。
[項目117]
前記方法が、前記マグネシウム塩を前記対象に静脈内投与することを含む、項目115に記載の方法。
[項目118]
前記方法が、前記マグネシウム塩を前記対象に筋肉内投与することを含む、項目115に記載の方法。
[項目119]
前記マグネシウム塩が硫酸マグネシウムである、項目115~118のいずれかに記載の方法。
[項目120]
前記方法が、前記対象に一酸化窒素ドナーを投与することを含む、項目62~119のいずれかに記載の方法。
[項目121]
前記方法が、前記一酸化窒素ドナーを前記対象に経口投与することを含む、項目120に記載の方法。
[項目122]
前記方法が、前記一酸化窒素ドナーを前記対象に静脈内投与することを含む、項目120に記載の方法。
[項目123]
前記一酸化窒素ドナーがニトログリセリンである、項目120~122のいずれかに記載の方法。
[項目124]
前記方法が、前記対象にプロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートを投与することを含む、項目62~123のいずれかに記載の方法。
[項目125]
前記方法が、前記プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートを前記対象に経口投与することを含む、項目124に記載の方法。
[項目126]
前記方法が、前記プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートを前記対象に膣内投与することを含む、項目124に記載の方法。
[項目127]
前記方法が、前記対象にコルチコステロイドを投与することを含む、項目62~126のいずれかに記載の方法。
[項目128]
前記方法が、前記コルチコステロイドを前記対象に経口投与することを含む、項目127に記載の方法。
[項目129]
前記方法が、前記コルチコステロイドを前記対象に筋肉内投与することを含む、項目127に記載の方法。
[項目130]
前記コルチコステロイドが、ベタメタゾン、デキサメタゾン、及びヒドロコルチゾンからなる群から選択される、項目127~129のいずれかに記載の方法。
[項目131]
前記方法が、治療有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、ニフェジピンとを、前記対象に投与することを含む、項目62~130のいずれかに記載の方法。
[項目132]
前記化合物が式(III)によって表される、項目131に記載の方法。
[項目133]
前記方法が、治療有効量の式(I)によって表される化合物またはその薬学的に許容される塩と、アトシバンとを、前記対象に投与することを含む、項目62~132のいずれかに記載の方法。
[項目134]
前記化合物が式(III)によって表される、項目133に記載の方法。
[項目135]
項目1~61のいずれかに記載の薬学的組成物と、添付文書とを含む、キット。
[項目136]
前記添付文書が、早期分娩を経験しているまたは体験するリスクのある対象に前記化合物または薬学的組成物を投与するよう、前記キットの使用者に指示する、項目135に記載のキット。
[項目137]
前記対象が、約24週~約34週の妊娠期間を特徴とする、項目136に記載のキット。
[項目138]
前記添付文書が、前記化合物または薬学的組成物を水溶液と混合するよう、前記キットの使用者に指示する、項目135~137のいずれかに記載のキット。
[項目139]
前記添付文書が、前記化合物または薬学的組成物を前記対象に経口投与するよう、前記キットの使用者に指示する、項目136~138のいずれかに記載のキット。
[項目140]
前記添付文書が、前記化合物または薬学的組成物を前記対象に静脈内投与するよう、前記キットの使用者に指示する、項目136~138のいずれかに記載のキット。
[項目141]
式(II)によって表される化合物を含む薬学的組成物であって、
[化9]
前記薬学的組成物が追加の治療剤をさらに含む、薬学的組成物。
[項目142]
前記追加の治療剤が追加の子宮収縮抑制剤である、項目141に記載の薬学的組成物。
[項目143]
前記薬学的組成物が1つ以上の賦形剤を含む、項目141または142に記載の薬学的組成物。
[項目144]
前記化合物が少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%の純度を有する、項目141~143のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目145]
前記純度が高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)によって確認される、項目144に記載の薬学的組成物。
[項目146]
前記純度がNMR分光法によって確認される、項目144に記載の薬学的組成物。
[項目147]
前記化合物または薬学的組成物が、対象への経口投与のために製剤化される、項目141~146のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目148]
前記化合物または薬学的組成物が、錠剤、カプセル、ゲルキャップ、粉末、液体溶液、または液体懸濁液である、項目141~147のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目149]
前記化合物または薬学的組成物が、対象への静脈内投与のために製剤化される、項目141~146のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目150]
前記薬学的組成物がオキシトシン受容体アンタゴニストを含む、項目141~149のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目151]
前記オキシトシン受容体アンタゴニストが、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、及びノラシバンからなる群から選択される、項目150に記載の薬学的組成物。
[項目152]
前記薬学的組成物がベータミメティックを含む、項目141~151のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目153]
前記ベータミメティックが、テルブタリン、リトドリン、ヘキソプレナリン、アルブテロール、フェノテロール、ニリドリン、及びオルシプレナリンからなる群から選択される、項目152に記載の薬学的組成物。
[項目154]
前記薬学的組成物がカルシウムチャネル阻害剤を含む、項目141~153のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目155]
前記カルシウムチャネル阻害剤がジヒドロピリジンである、項目154に記載の薬学的組成物。
[項目156]
前記ジヒドロピリジンが、ニフェジピン及びニカルジピンからなる群から選択される、項目155に記載の薬学的組成物。
[項目157]
前記薬学的組成物がマグネシウム塩を含む、項目141~156のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目158]
前記マグネシウム塩が硫酸マグネシウムである、項目157に記載の薬学的組成物。
[項目159]
前記薬学的組成物が一酸化窒素ドナーを含む、項目141~158のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目160]
前記一酸化窒素ドナーがニトログリセリンである、項目159に記載の薬学的組成物。
[項目161]
前記薬学的組成物がプロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートを含む、項目141~160のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目162]
前記薬学的組成物がコルチコステロイドを含む、項目141~161のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目163]
前記コルチコステロイドが、ベタメタゾン、デキサメタゾン、及びヒドロコルチゾンからなる群から選択される、項目162に記載の薬学的組成物。
[項目164]
前記薬学的組成物が、式(II)によって表される化合物と、ニフェジピンとを含む、項目141~163のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目165]
前記薬学的組成物が、式(II)によって表される化合物と、アトシバンとを含む、項目141~164のいずれかに記載の薬学的組成物。
[項目166]
対象の早期分娩を処置または防止する方法であって、前記方法が、治療有効量の式(II)によって表される化合物と、
[化10]
追加の治療剤とを、前記対象に提供することを含む、方法。
[項目167]
対象の帝王切開前の分娩を防止する方法であって、前記方法が、治療有効量の式(II)によって表される化合物と、
[化11]
追加の治療剤とを、前記対象に提供することを含む、方法。
[項目168]
対象の月経困難症を処置または防止する方法であって、前記方法が、治療有効量の式(II)によって表される化合物と、
[化12]
追加の治療剤とを、前記対象に提供することを含む、方法。
[項目169]
前記追加の治療剤が追加の子宮収縮抑制剤である、項目166~168のいずれかに記載の方法。
[項目170]
対象の早期分娩を処置または防止する方法であって、前記方法が、治療有効量の項目141~165のいずれかに記載の薬学的組成物を前記対象に提供することを含む、方法。
[項目171]
対象の帝王切開前の分娩を防止する方法であって、前記方法が、治療有効量の項目141~165のいずれかに記載の薬学的組成物を前記対象に提供することを含む、方法。
[項目172]
対象の月経困難症を処置または防止する方法であって、前記方法が、治療有効量の項目141~165のいずれかに記載の薬学的組成物を前記対象に提供することを含む、方法。
[項目173]
前記対象が、約24週~約34週の妊娠期間を特徴とする、項目166~172のいずれかに記載の方法。
[項目174]
前記対象が、前記提供後に子宮収縮の振幅の低減を呈する、項目166~173のいずれかに記載の方法。
[項目175]
前記低減が、前記提供前に記録された前記対象の子宮収縮の振幅の測定値に対して約40%~約50%である、項目174に記載の方法。
[項目176]
前記対象が哺乳動物である、項目166~175のいずれかに記載の方法。
[項目177]
前記哺乳動物がヒトである、項目176に記載の方法。
[項目178]
前記方法が、前記化合物または薬学的組成物を前記対象に経口投与することを含む、項目166~177のいずれかに記載の方法。
[項目179]
前記方法が、前記化合物または薬学的組成物を前記対象に静脈内投与することを含む、項目166~177のいずれかに記載の方法。
[項目180]
前記方法が、前記対象にオキシトシン受容体アンタゴニストを投与することを含む、項目166~179のいずれかに記載の方法。
[項目181]
前記方法が、前記オキシトシン受容体アンタゴニストを前記対象に経口投与することを含む、項目180に記載の方法。
[項目182]
前記方法が、前記オキシトシン受容体アンタゴニストを前記対象に静脈内投与することを含む、項目180に記載の方法。
[項目183]
前記オキシトシン受容体アンタゴニストが、アトシバン、レトシバン、バルシバン、エペルシバン、及びノラシバンからなる群から選択される、項目180~182のいずれかに記載の方法。
[項目184]
前記方法が、前記対象にベータミメティックを投与することを含む、項目166~183のいずれかに記載の方法。
[項目185]
前記方法が、前記ベータミメティックを前記対象に経口投与することを含む、項目184に記載の方法。
[項目186]
前記方法が、前記ベータミメティックを前記対象に静脈内投与することを含む、項目184に記載の方法。
[項目187]
前記ベータミメティックが、テルブタリン、リトドリン、ヘキソプレナリン、アルブテロール、フェノテロール、ニリドリン、及びオルシプレナリンからなる群から選択される、項目184~186のいずれかに記載の方法。
[項目188]
前記方法が、前記対象にカルシウムチャネル阻害剤を投与することを含む、項目166~187のいずれかに記載の方法。
[項目189]
前記方法が、前記カルシウムチャネル阻害剤を前記対象に経口投与することを含む、項目188に記載の方法。
[項目190]
前記方法が、前記カルシウムチャネル阻害剤を前記対象に静脈内投与することを含む、項目188に記載の方法。
[項目191]
前記カルシウムチャネル阻害剤がジヒドロピリジンである、項目188~190のいずれかに記載の方法。
[項目192]
前記ジヒドロピリジンが、ニフェジピン及びニカルジピンからなる群から選択される、項目191に記載の方法。
[項目193]
前記方法が、前記対象にマグネシウム塩を投与することを含む、項目166~192のいずれかに記載の方法。
[項目194]
前記方法が、前記マグネシウム塩を前記対象に経口投与することを含む、項目193に記載の方法。
[項目195]
前記方法が、前記マグネシウム塩を前記対象に静脈内投与することを含む、項目193に記載の方法。
[項目196]
前記方法が、前記マグネシウム塩を前記対象に筋肉内投与することを含む、項目193に記載の方法。
[項目197]
前記マグネシウム塩が硫酸マグネシウムである、項目193~196のいずれかに記載の方法。
[項目198]
前記方法が、前記対象に一酸化窒素ドナーを投与することを含む、項目166~197のいずれかに記載の方法。
[項目199]
前記方法が、前記一酸化窒素ドナーを前記対象に経口投与することを含む、項目198に記載の方法。
[項目200]
前記方法が、前記一酸化窒素ドナーを前記対象に静脈内投与することを含む、項目198に記載の方法。
[項目201]
前記一酸化窒素ドナーがニトログリセリンである、項目198~200のいずれかに記載の方法。
[項目202]
前記方法が、前記対象にプロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートを投与することを含む、項目166~201のいずれかに記載の方法。
[項目203]
前記方法が、前記プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートを前記対象に経口投与することを含む、項目202に記載の方法。
[項目204]
前記方法が、前記プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートを前記対象に膣内投与することを含む、項目202に記載の方法。
[項目205]
前記方法が、前記対象にコルチコステロイドを投与することを含む、項目166~204のいずれかに記載の方法。
[項目206]
前記方法が、前記コルチコステロイドを前記対象に経口投与することを含む、項目205に記載の方法。
[項目207]
前記方法が、前記コルチコステロイドを前記対象に筋肉内投与することを含む、項目205に記載の方法。
[項目208]
前記コルチコステロイドが、ベタメタゾン、デキサメタゾン、及びヒドロコルチゾンからなる群から選択される、項目205~207のいずれかに記載の方法。
[項目209]
前記方法が、治療有効量の式(II)によって表される化合物と、ニフェジピンとを、前記対象に提供することを含む、項目166~208のいずれかに記載の方法。
[項目210]
前記方法が、治療有効量の式(II)によって表される化合物と、アトシバンとを、前記対象に提供することを含む、項目166~208のいずれかに記載の方法。
[項目211]
項目141~165のいずれかに記載の薬学的組成物と、添付文書とを含む、キット。
[項目212]
前記添付文書が、早期分娩を経験しているまたは体験するリスクのある対象に前記化合物または薬学的組成物を投与するよう、前記キットの使用者に指示する、項目211に記載のキット。
[項目213]
前記対象が、約24週~約34週の妊娠期間を特徴とする、項目212に記載のキット。
[項目214]
前記添付文書が、前記化合物または薬学的組成物を水溶液と混合するよう、前記キットの使用者に指示する、項目211~213のいずれかに記載のキット。
[項目215]
前記添付文書が、前記化合物または薬学的組成物を前記対象に経口投与するよう、前記キットの使用者に指示する、項目212又は213に記載のキット。
[項目216]
前記添付文書が、前記化合物または薬学的組成物を前記対象に静脈内投与するよう、前記キットの使用者に指示する、項目212又は213に記載のキット。