IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カヤバ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-保護回路 図1
  • 特許-保護回路 図2
  • 特許-保護回路 図3
  • 特許-保護回路 図4
  • 特許-保護回路 図5
  • 特許-保護回路 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】保護回路
(51)【国際特許分類】
   H02H 9/04 20060101AFI20231102BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20231102BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20231102BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20231102BHJP
   H02H 7/20 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H02H9/04 A
H01L27/04 H
H01L27/06 311B
H01L27/06 311A
H01L27/06 311C
H02H7/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020042266
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021145453
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】河野 智行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢佑
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-057617(JP,A)
【文献】特開2012-209362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 9/04
H01L 21/822
H01L 27/04
H01L 27/06
H02H 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの正極に接続される第1電源端子から延設された第1電源配線と、
前記バッテリの負極に接続される第2電源端子から延設された第2電源配線と、
前記第1電源配線にアノード電極が接続された第1整流ダイオードと、
前記第1整流ダイオードのカソード電極が接続された第1配線と、
前記第2電源配線にカソード電極が接続された第2整流ダイオードと、
前記第2整流ダイオードのアノード電極が接続された第2配線と、
前記第1配線と前記第2配線との間に接続され、静電気を吸収する静電気保護回路と、
を備えている保護回路。
【請求項2】
入力信号が入力される入力端子と、
前記入力端子に第1信号配線を介して接続され、前記入力信号が入力される論理回路と、
前記論理回路に第2信号配線を介して接続され、前記論理回路からの出力信号が出力される出力端子と、
を更に備え、
前記第1信号配線にアノード電極が接続され、前記第1配線にカソード電極が接続された第1ダイオードと、
前記第1信号配線にカソード電極が接続され、前記第2配線にアノード電極が接続された第2ダイオードと、
前記第2信号配線にアノード電極が接続され、前記第1配線にカソード電極が接続された第3ダイオードと、
前記第2信号配線にカソード電極が接続され、前記第2配線にアノード電極が接続された第4ダイオードと、を含んで構成されている
請求項1に記載の保護回路。
【請求項3】
前記静電気保護回路は、
前記第1配線にカソード電極が接続され、前記第2配線にアノード電極が接続されたツェナーダイオードを含む第1静電気保護素子を備えている
請求項1又は請求項2に記載の保護回路。
【請求項4】
前記第1電源配線にカソード電極が接続され、前記第2配線にアノード電極が接続された第3整流ダイオードと、
前記第2電源配線にアノード電極が接続され、前記第1配線にカソード電極が接続された第4整流ダイオードと、を更に備えている
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の保護回路。
【請求項5】
前記正極と前記第1電源端子との間に第1主電極が接続され、出力端子に第2主電極が接続された第1トランジスタと、
前記第1電源配線に第3主電極が接続され、前記第1トランジスタの第1制御電極に第4主電極が接続され、前記第3主電極及び前記第2電源配線に第2制御電極が接続された第2トランジスタと、
前記第3主電極と前記第2制御電極との間に電気的に直列に接続された抵抗と、を更に備えている
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の保護回路。
【請求項6】
前記第4主電極にアノード電極が接続された第5整流ダイオードと、
前記第5整流ダイオードのカソード電極が接続された第3配線と、
前記第4主電極にカソード電極が接続され、前記第2配線にアノード電極が接続された第6整流ダイオードと、を備え、
前記静電気保護回路は、
前記第1配線と前記第3配線との間に接続され、静電気を吸収する第2ツェナーダイオードと、
前記第2配線と前記第3配線との間に接続され、静電気を吸収する第3ツェナーダイオードと、を更に備えている
請求項5に記載の保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車を含む車両では、バッテリから電子制御ユニット(ECU:Electrical Control Unit)へ電源が供給されている。電子制御ユニットには、例えば、下記特許文献1の図1に開示されている静電気保護回路が搭載されている。静電気保護回路では、静電気放電(ESD:Electro Static discharge)が行われ、予期せぬ静電気の発生に対して電子制御ユニットを保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-129230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載用バッテリは、一定の期間が経過したときに、又は電圧の低下により一定の電圧が得られないときに交換されている。交換の際には、車載用バッテリの正極と負極とが間違って逆に接続される「逆接(誤接)」を防止する必要がある。逆接されてしまうと、静電気保護回路の保護素子に電流が流れ、保護素子に損傷や破壊が生じる恐れがある。そこで、逆接に対して静電気保護回路を保護する逆接保護回路を、静電気保護回路に対して外付け素子を用いて組み付ける必要がある。
しかしながら、静電気保護回路に外付け素子を用いて逆接保護回路を組み付けた場合には、回路システムの全体のサイズが大きくなってしまうので、対策が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、静電気保護機能並びに逆接保護機能を有し、小型化を実現することができる保護回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1実施態様に係る保護回路は、バッテリの正極に接続される第1電源端子から延設された第1電源配線と、バッテリの負極に接続される第2電源端子から延設された第2電源配線と、第1電源配線にアノード電極が接続された第1整流ダイオードと、第1整流ダイオードのカソード電極が接続された第1配線と、第2電源配線にカソード電極が接続された第2整流ダイオードと、第2整流ダイオードのアノード電極が接続された第2配線と、第1配線と第2配線との間に接続され、静電気を吸収する静電気保護回路とを備えている。
【0007】
第1実施態様に係る保護回路は、第1電源配線と、第2電源配線と、第1配線と、第2配線と、第1整流ダイオードと、第2整流ダイオードと、静電気保護回路とを備える。第1電源配線は、バッテリの正極に接続される第1電源端子から延設される。第2電源配線は、バッテリの負極に接続される第2電源端子から延設される。第1整流ダイオードは、第1電源配線にアノード電極を接続し、第1配線にカソード電極を接続する。第2整流ダイオードは、第2電源配線にカソード電極を接続し、第2配線にアノード電極を接続する。
仮に、バッテリが逆接されたとき、第1電源端子を通して第1電源配線に負電圧が印加される。第1電源配線と第1配線との間において、第1整流ダイオードは順方向に接続されているので、電流の流れは第1整流ダイオードにより遮断される。また、第2電源配線には第2電源端子を通して正電圧が印加される。第2電源配線と第2配線との間において、第2整流ダイオードは順方向に接続されているので、電流の流れは第2整流ダイオードにより遮断される。つまり、第1整流ダイオード及び第2整流ダイオードは逆接保護回路を構築し、逆接保護回路はバッテリの逆接に対して静電気保護回路を保護する。
ここで、静電気保護回路は、第1配線と第2配線との間に接続され、静電気を吸収する。静電気保護回路は静電気に対して第1配線又は第2配線に接続される回路を保護する。
このように構成される保護回路では、第1電源配線に第1整流ダイオードを接続し、第2電源配線に第2整流ダイオードを接続して逆接保護回路が組み込まれる。そして、第1整流ダイオードに接続された第1配線と第2整流ダイオードに接続された第2配線との間に静電気保護回路が組み込まれる。従って、保護回路内に逆接保護回路を静電気保護回路と共に集積化することができるので、保護回路の小型化を実現することができる。
【0008】
本発明の第2実施態様に係る保護回路では、第1実施態様に係る保護回路において、入力信号が入力される入力端子と、入力端子に第1信号配線を介して接続され、入力信号が入力される論理回路と、論理回路に第2信号配線を介して接続され、論理回路からの出力信号が出力される出力端子と、を更に備え、静電気保護回路は、論理回路の入力側に配設され、第1信号配線にアノード電極が接続され、第1配線にカソード電極が接続された第1ダイオードと、入力側に配設され、第1信号配線にカソード電極が接続され、第2配線にアノード電極が接続された第2ダイオードと、論理回路の出力側に配設され、第2信号配線にアノード電極が接続され、第1配線にカソード電極が接続された第3ダイオードと、出力側に配設され、第2信号配線にカソード電極が接続され、第2配線にアノード電極が接続された第4ダイオードと、を含んで構成されている。
【0009】
第2実施態様に係る保護回路は、入力端子と、論理回路と、出力端子とを更に備える。入力端子には入力信号が入力される。論理回路は入力端子に第1信号配線を介して接続され、論理回路には入力信号が入力される。出力端子は論理回路に第2信号配線を介して接続され、出力端子には論理回路からの出力信号が出力される。
このように構成される保護回路では、静電気保護回路は第1ダイオード~第4ダイオードを含んで構成される。第1ダイオードは、第1信号配線にアノード電極を接続し、第1配線にカソード電極を接続する。第2ダイオードは、第1信号配線にカソード電極を接続し、第2配線にアノード電極を接続する。第3ダイオードは、第2信号配線にアノード電極を接続し、第1配線にカソード電極を接続する。そして、第4ダイオードは、第2信号配線にカソード電極を接続し、第2配線にアノード電極を接続する。
このため、仮に入力端子に静電気が印加されたとしても、この静電気は第1ダイオードを通して第1配線に吸収され、又は第2ダイオードを通して第2配線に吸収されるので、静電気に対して論理回路を保護することができる。一方、仮に出力端子に静電気が印加されたとしても、この静電気は第3ダイオードを通して第1配線に吸収され、又は第4ダイオードを通して第2配線に吸収されるので、静電気に対して論理回路を保護することができる。
【0010】
本発明の第3実施態様に係る保護回路では、第1実施態様又は第2実施態様に係る保護回路において、静電気保護回路は、第1配線にカソード電極が接続され、第2配線にアノード電極が接続されたツェナーダイオードを含む第1静電気保護素子を備えている。
【0011】
第3実施態様に係る保護回路によれば、静電気保護回路は第1静電気保護素子を備え、第1静電気保護素子はツェナーダイオードを含む。ツェナーダイオードは、第1配線にカソード電極を接続し、第2配線にアノード電極を接続する。
このため、仮に第1配線又は第2配線に静電気が印加されたとしても、第1静電気保護素子により第1配線と第2配線との間の電圧が一定の範囲内においてクランプされるので、第1ダイオード~第4ダイオードの素子耐圧を超えないようにすることができ、第1配線と第2配線との間に配設される回路を静電気に対して保護することができる。
【0012】
本発明の第4実施態様に係る保護回路は、第1実施態様~第3実施態様に係るいずれかの1つの保護回路において、第1電源配線にカソード電極が接続され、第2配線にアノード電極が接続された第3整流ダイオードと、第2電源配線にアノード電極が接続され、第1配線にカソード電極が接続された第4整流ダイオードと、を更に備えている。
【0013】
第4実施態様に係る保護回路は、第3整流ダイオードと、第4整流ダイオードとを更に備える。第3整流ダイオードは、第1電源配線にカソード電極を接続し、第2配線にアノード電極を接続する。第4整流ダイオードは、第2電源配線にアノード電極を接続し、第1配線にカソード電極を接続する。
仮に、第1電源配線に負のサージが印加されたとき、第2配線から第3整流ダイオードを通して第1電源配線へ電流が流れ、サージを吸収することができる。また、第2電源配線に負のサージが印加されたとき、第4整流ダイオードの降伏電圧を超えると、第1配線から第4整流ダイオードを通して第2電源配線へ電流が流れ、サージを吸収することができる。
ここで、第3整流ダイオード及び第4整流ダイオードはサージ保護回路を構築しているので、サージ保護回路によりサージに対して静電気保護回路を保護することができる。
加えて、第1電源配線と第2配線との間に第3整流ダイオードを接続し、第2電源配線と第1配線との間に第4整流ダイオードを接続しているので、保護回路内にサージ保護回路を集積化することができる。従って、保護回路の小型化を実現することができる。
【0014】
本発明の第5実施態様に係る保護回路は、第1実施態様~第4実施態様に係るいずれかの1つの保護回路において、正極と第1電源端子との間に第1主電極が接続され、出力端子に第2主電極が接続された第1トランジスタと、第1電源配線に第3主電極が接続され、第1トランジスタの第1制御電極に第4主電極が接続され、第3主電極及び第2電源配線に第2制御電極が接続された第2トランジスタと、第3主電極と第2制御電極との間に電気的に直列に接続された抵抗と、を更に備えている。
【0015】
第5実施態様に係る保護回路は、第1トランジスタと、第2トランジスタと、抵抗と、を更に備える。第1トランジスタは、正極と第1電源端子との間に第1主電極を接続し、出力端子に第2主電極を接続する。第2トランジスタは、第1電源配線に第3主電極を接続し、第1トランジスタの第1制御電極に第4主電極を接続し、第3主電極及び第2電源配線に第2制御電極を接続する。抵抗は第3主電極と第2制御電極との間に電気的に直列に接続される。
ここで、仮に、バッテリが逆接されたとき、第2電源配線を通して第2トランジスタの第2制御電極に正電圧が印加され、第1電源配線を通して第3主電極に負電圧が印加される。第2制御電極と第3主電極との間には抵抗が接続されているので、第2制御電極と第3主電極との間にはバイアスが発生する。このため、第2トランジスタがオン動作状態とされる。
一方、第1トランジスタの第1主電極には第1電源配線を通して負電圧が印加される。第2トランジスタがオン動作状態とされるので、第1制御電極には第1主電極と同様に負電圧が印加される。このため、第1制御電極と第1主電極との間にはバイアスが発生しないので、第1トランジスタがオフ状態とされる。
つまり、第1トランジスタ及び第2トランジスタは逆接保護回路を構築し、この逆接保護回路によりバッテリの負極と出力端子との間を遮断することができる。これにより、出力端子に接続される次段素子又は次段回路を逆接に対して保護することができる。
加えて、逆接保護回路では、第1電源端子から出力端子に至る経路に第1トランジスタが配設され、第1整流ダイオード及び第2整流ダイオードに対して独立に第1トランジスタ及び第2トランジスタを用いて逆接に対して保護がなされている。このため、逆接保護回路では、逆接に対する電流の経路を分散することができるので、第1整流ダイオード、第2整流ダイオードのそれぞれを集積化に適した小さいサイズにすることができる。従って、保護回路の小型化を実現することができる。
さらに、第2トランジスタは、第1電源配線に第3主電極を接続し、第3主電極及び第2電源配線に第2制御電極を接続する構成とされているので、保護回路内に組み込んで集積化することができる。従って、保護回路のより一層の小型化を実現することができる。
【0016】
本発明の第6実施態様に係る保護回路は、第5実施態様に係る保護回路において、第4主電極にアノード電極が接続された第5整流ダイオードと、第5整流ダイオードのカソード電極が接続された第3配線と、第4主電極にカソード電極が接続され、第2配線にアノード電極が接続された第6整流ダイオードと、第1配線と第3配線との間に接続され、静電気を吸収する第2ツェナーダイオードと、第2配線と第3配線との間に接続され、静電気を吸収する第3ツェナーダイオードと、を更に備えている。
【0017】
第6実施態様に係る保護回路は、第5整流ダイオードと、第3配線と、第6整流ダイオードとを更に備える。第5整流ダイオードは、第4主電極にアノード電極を接続し、第3配線にカソード電極を接続する。第6整流ダイオードは、第4主電極にカソード電極を接続し、第2配線にアノード電極を接続する。
仮に、バッテリが逆接されたとき、第4主電極に負電圧が印加されるが、第3配線から第4主電極への電流の流れは第5整流ダイオードを用いて遮断される。つまり、第5整流ダイオードは逆接保護回路を構築し、逆接保護回路はバッテリの逆接に対して静電気保護回路を保護する。
一方、仮に、第4主電極に負のサージが印加されたとき、第2配線から第6整流ダイオードを通して第4主電極へ電流が流れ、サージは吸収される。つまり、第6整流ダイオードはサージ保護回路を構築し、サージ保護回路はサージに対して静電気保護回路を保護する。
ここで、静電気保護回路は、更に第2ツェナーダイオードと、第3ツェナーダイオードとを備える。第2ツェナーダイオードは、第1配線と第3配線との間に接続され、静電気を吸収する。つまり、第2ツェナーダイオードは静電気に対して第1配線又は第3配線に接続される回路を保護する。一方、第3ツェナーダイオードは、第2配線と第3配線との間に接続され、静電気を吸収する。つまり、第3ツェナーダイオードは静電気に対して第2配線又は第3配線に接続される回路を保護する。
このように構成される保護回路では、第4主電極と第3配線との間に第5整流ダイオードを接続して逆接保護回路が組み込まれる。また、保護回路では、第4主電極と第2配線との間に第6整流ダイオードを接続してサージ保護回路が組み込まれる。そして、保護回路では、第1配線と第3配線との間に第2ツェナーダイオードを接続し、第2配線と第3配線との間に第3ツェナーダイオードを接続して、保護回路内に逆接保護回路並びにサージ保護回路を静電気保護回路と共に集積化することができる。従って、保護回路の小型化を実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態によれば、静電気保護機能並びに逆接保護機能を有し、小型化を実現することができる保護回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施の形態に係る保護回路の回路構成図である。
図2】本発明の第2実施の形態に係る保護回路及びこの保護回路が組み込まれた電子制御システムのブロック構成図である。
図3図2に示される電子制御システムの一部及び保護回路の回路構成図である。
図4】本発明の第3実施の形態に係る電子制御システムの一部及び保護回路の図3に対応する回路構成図である。
図5】本発明の第4実施の形態に係る電子制御システムの一部及び保護回路の図3に対応する回路構成図である。
図6】本発明の第5実施の形態に係る電子制御システムの一部及び保護回路の図3に対応する回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施の形態]
図1を用いて、本発明の第1実施の形態に係る保護回路1について説明する。ここで、保護回路1は、自動車、トラック、バス、二輪車、電車、船舶、航空機等の車両に搭載される電子制御ユニット(ECU)等の保護回路として構築され、車載用バッテリと電子制御ユニットとの間、又は電子制御ユニットに組み込まれている。
以下、詳細に説明する。
【0021】
(保護回路1の回路構成)
図1に示されるように、本実施の形態に係る保護回路1は半導体基板2をベースとして構成されている。回路が集積化される半導体基板2の主面に対して垂直方向から見た平面視において、半導体基板2は矩形状に形成されている。この半導体基板2には例えばシリコン単結晶基板が使用されている。半導体基板2の周辺領域であって、半導体基板2の主面上には、第1電源端子31、第2電源端子32、入力端子33、出力端子34のそれぞれが、外部端子(ボンディングパッド)として配設されている。
なお、半導体基板2としては、単結晶基板、化合物半導体基板、絶縁基板上に単結晶層を積層した複合基板、絶縁基板上に加工物半導体層を積層した複合基板等が使用されてもよい。
【0022】
第1電源端子31は車載用バッテリ(以下、単に「バッテリ」という。)10の正極に接続される構成とされている。この第1電源端子31にはバッテリ10から供給される電源電圧Vccが印加される。電源電圧Vccは例えば12[V]、24[V]又は48[V]である。
第2電源端子32はバッテリ10の負極に接続される構成とされている。この第2電源端子32にはバッテリ10から供給される電源電圧GNDが印加される。電源電圧GNDは、電源電圧Vccに対して低い電圧であって、回路の基準電圧となる、例えば0[V]である。
【0023】
入力端子33はスイッチSWの一端に接続されている。スイッチSWの他端にはバッテリ10の正極が接続される構成とされている。入力端子33には入力信号INが入力される。ここで、スイッチSWと入力端子33との間に一端が接続され、バッテリ10の負極と第2電源端子32との間に他端が接続された抵抗R1が設けられている。スイッチSW、抵抗R1は、いずれも保護回路1に対して外付け素子として組み付けられている。
出力端子34は、次段回路、ここでは図示省略の電子制御ユニット(ECU)の入力段回路に接続されている。出力端子34は次段回路へ出力信号OUTを出力する。
【0024】
そして、保護回路1は、論理回路4と、静電気保護回路6と、逆接保護回路7とを備えている。さらに、保護回路1は、サージ保護回路8と、クランプ素子9とを備えている。論理回路4等の回路及びクランプ素子9は、半導体基板2の主面の中央領域に配設され、集積回路として集積化されている。
【0025】
用途に応じて変更され、特に限定されるものではないが、ここでは、論理回路4として否定(NOT)回路が使用されている。論理回路4の入力は入力側の第1信号配線50Aを介して入力端子33に接続されている。論理回路4の出力は出力側の第2信号配線50Bを介して出力端子34に接続されている。
【0026】
ここで、半導体基板2の主面上には、第1電源配線51、第2電源配線52、第1配線53、第2配線54のそれぞれが配設されている。
第1電源配線51の一端は第1電源端子31に接続され、第1電源配線51の他端は半導体基板2の主面上に延設されている。表現を代えれば、第1電源配線51は第1電源端子31から半導体基板2の主面上に延設されている。
第2電源配線52の一端は第2電源端子32に接続され、第2電源配線52の他端は半導体基板2の主面上に延設されている。同様に表現を代えれば、第2電源配線52は第2電源端子32から半導体基板2の主面上に延設されている。
【0027】
第1配線53の一端は逆接保護回路7の一部に接続され、第1配線53の他端はサージ保護回路8の一部に接続されている。第1配線53には、第1電源配線51から供給される電源電圧Vccが逆接保護回路7によりシフトされた、電源電圧Vccに比し若干低い高電位が印加され、第1配線53は高電位ノード配線として使用される。
一方、第2配線54の一端は逆接保護回路7の他の一部に接続され、第2配線54の他端はサージ保護回路8の他の一部に接続されている。第2配線54には、第2電源配線52から供給される電源電圧GNDが逆接保護回路7によりシフトされた、電源電圧GNDに比し若干高い低電位が印加され、第2配線54は低電位ノード配線として使用されている。ここで、第2配線54に印加される低電位は、第1配線53に印加される高電位に比し低い設定とされている。
【0028】
論理回路4の説明に戻って、論理回路4では、第1配線53から高電位が供給されると共に、第2配線54から低電位が供給され、入力信号INに応じた出力信号OUTが出力される。
【0029】
(1)静電気保護回路6の構成
本実施の形態において、静電気保護回路6は、静電気保護素子601~静電気保護素子605を含んで構成されている。
静電気保護素子605は、入力端子33から延設され、論理回路4へ至る入力側の第1信号配線50Aに配設されている。静電気保護素子605は、一端を入力端子33に接続し、他端を論理回路4の入力に接続した抵抗(入力保護抵抗)を用いて構成されている。
【0030】
静電気保護素子601及び静電気保護素子602は論理回路4の入力側に配設されている。静電気保護素子601は、静電気保護素子605と論理回路4の入力との間の第1信号配線50Aにアノード電極が接続され、第1配線53にカソード電極が接続された第1整流ダイオードにより構成されている。静電気保護素子602は、静電気保護素子605と論理回路4の入力との間の第1信号配線50Aにカソード電極が接続され、第2配線54にアノード電極が接続された第2整流ダイオードにより構成されている。
静電気保護素子603及び静電気保護素子604は論理回路4の出力側に配設されている。静電気保護素子603は、論理回路4と出力端子34との間の第2信号配線50Bにアノード電極が接続され、第1配線53にカソード電極が接続された第3整流ダイオードにより構成されている。静電気保護素子604は、第2信号配線50Bにカソード電極が接続され、第2配線54にアノード電極が接続された第4整流ダイオードにより構成されている。
つまり、静電気保護素子601~静電気保護素子604は、いずれも、少なくともダイオードを含んで構成されている。
【0031】
(2)逆接保護回路7の構成
逆接保護回路7は、第1整流ダイオード701及び第2整流ダイオード702を含んで構成されている。
第1整流ダイオード701は、第1電源配線51の他端にアノード電極を接続し、第1配線53の一端にカソード電極を接続している。つまり、第1整流ダイオード701のアノード電極は第1電源配線51を通してダイレクトに第1電源端子31に接続されている。また、表現を代えれば、第1整流ダイオード701は、第1電源配線51と第1配線53との間に順方向に接続されている。
一方、第2整流ダイオード702は、第2電源配線52の他端にカソード電極を接続し、第2配線54の一端にアノード電極を接続している。つまり、第2整流ダイオード702のカソード電極は第2電源配線52を通してダイレクトに第2電源端子32に接続されている。同様に表現を代えれば、第2整流ダイオード702は、第2配線54と第2電源配線52との間に順方向に接続されている。
【0032】
(3)サージ保護回路8の構成
サージ保護回路8は、第3整流ダイオード801及び第4整流ダイオード802を含んで構成されている。
第3整流ダイオード801は、第2配線54の他端にアノード電極を接続し、第1電源配線51の他端にカソード電極を接続している。第3整流ダイオード801は、第1電源配線51と第2配線54との間に逆方向に接続され、逆接保護回路7の第2整流ダイオード702に対しても逆方向に接続されている。
一方、第4整流ダイオード802は、第1配線53の他端にカソード電極を接続し、第2電源配線52の他端にアノード電極を接続している。第4整流ダイオード802は、第1配線53と第2電源配線52との間に逆方向に接続されている。つまり、第4整流ダイオード802は、逆接保護回路7の第1整流ダイオード701に対しても逆方向に接続されている。
【0033】
(4)クランプ素子9の構成
クランプ素子9はツェナーダイオード(定電流ダイオード)901を含んで構成されている。ツェナーダイオード901は、第1配線53の一端にカソード電極を接続し、第2配線54の他端にアノード電極を接続している。つまり、ツェナーダイオード901は第1配線53と第2配線54との間に逆方向に接続されている。
【0034】
(保護回路1の保護動作)
(1)静電気保護動作
保護回路1の静電気保護回路6では、仮に、入力端子33に静電気が印加されると、静電気は第1信号配線50Aを通って静電気保護素子605に入力される。静電気保護素子605では静電気を鈍らせることができる。
この静電気は、論理回路4の入力側において、正の静電気であれば、静電気保護素子601を通って第1配線53に吸収される。また、負の静電気であれば、第2配線54から静電気保護素子602を通って第1信号配線50Aへ電流が流れ、静電気は吸収される。
【0035】
一方、仮に、出力端子34に静電気が印加されると、静電気は第2信号配線50Bを通って静電気保護回路6に入力される。正の静電気であれば、静電気は静電気保護素子603を通って第1配線53に吸収される。また、負の静電気であれば、第2配線54から静電気保護素子604を通って第2信号配線50Bへ電流が流れ、静電気は吸収される。
【0036】
(2)逆接保護動作
バッテリ10の交換の際に、誤って、第1電源端子31にバッテリ10の負極が接続され、第2電源端子32にバッテリ10の正極が接続されたとする。つまり、バッテリ10が保護回路1に逆接されたとする。
このとき、第1電源端子31から第1電源配線51へ負電圧が印加される。第1電源配線51には逆接保護回路7の第1整流ダイオード701が接続されているので、負電圧は第1整流ダイオード701により遮断されて第1配線53へ伝わらない。
同様に、第2電源端子32から第2電源配線52へ正電圧が印加される。第2電源配線52には逆接保護回路7の第2整流ダイオード702が接続されているので、正電圧は第2整流ダイオード702により遮断されて第2配線54へ伝わらない。
【0037】
(3)サージ保護動作
仮に、保護回路1の第1電源端子31にサージが印加されると、サージは第1電源端子31、第1電源配線51のそれぞれを通ってサージ保護回路8に入力される。正のサージであれば、サージは、第1整流ダイオード701を通って第1配線53に吸収される。負のサージであれば、第2配線54から第3整流ダイオード801を通って第1電源配線51へ電流が流れ、サージは吸収される。サージが吸収される過程を説明する。第1配線53と第2配線54との電位差が大きくなり、ツェナーダイオード901が降伏する。すると、第2配線54の電位が上がり、第2整流ダイオード702を介してバッテリ10にサージが戻り、サージは吸収される。
一方、仮に、第2電源端子32にサージが印加されると、サージは第2電源端子32、第2電源配線52のそれぞれを通ってサージ保護回路8に入力される。正のサージであれば、第2電源配線52から第4整流ダイオード802を通って第1配線53へ電流が流れ、サージは吸収される。負のサージであれば、第1配線53から第3整流ダイオード801を通って第2電源配線52へ電流が流れ、サージは吸収される。
【0038】
(4)クランプ素子9の動作
クランプ素子9のツェナーダイオード901では、第1配線53と第2配線54との電圧差が予め設定された設定値を超えると電圧がクランプされる。
【0039】
(作用効果)
本実施の形態に係る保護回路1は、図1に示されるように、第1電源配線51と、第2電源配線52と、第1配線53と、第2配線54と、第1整流ダイオード701と、第2整流ダイオード702と、静電気保護回路6とを備える。
第1電源配線51は、バッテリ10の正極に接続される第1電源端子31から延設される。第2電源配線52は、バッテリ10の負極に接続される第2電源端子32から延設される。
第1整流ダイオード701は、第1電源配線51にアノード電極を接続し、第1配線53にカソード電極を接続する。第2整流ダイオード702は、第2電源配線52にカソード電極を接続し、第2配線54にアノード電極を接続する。
【0040】
仮に、バッテリ10が逆接されたとき、第1電源端子31を通して第1電源配線51に負電圧が印加される。第1電源配線51と第1配線53との間において、第1整流ダイオード701は順方向に接続されているので、電流の流れは第1整流ダイオード701により遮断される。また、第2電源端子32を通して第2電源配線52には正電圧が印加される。第2電源配線52と第2配線54との間において、第2整流ダイオード702は順方向に接続されているので、電流の流れは第2整流ダイオード702により遮断される。つまり、第1整流ダイオード701及び第2整流ダイオード702は逆接保護回路7を構築し、逆接保護回路7はバッテリ10の逆接に対して静電気保護回路6を保護する。
【0041】
ここで、静電気保護回路6は、第1配線53と第2配線54との間に接続される。静電気保護回路6は、静電気保護素子601~静電気保護素子604を含んで構成される。静電気保護素子601及び静電気保護素子602は、入力端子33に印加された静電気を吸収する。静電気保護素子603及び静電気保護素子604は出力端子34に印加された静電気を吸収する。静電気保護回路6は静電気に対して第1配線53又は第2配線54に接続される回路、ここでは論理回路4を保護する。
【0042】
このように構成される保護回路1では、第1電源端子31に第1整流ダイオード701が接続され、第2電源端子32に第2整流ダイオード702が接続されて逆接保護回路7が組み込まれる。そして、第1整流ダイオード701に接続された第1配線53と第2整流ダイオード702に接続された第2配線54との間に静電気保護回路6が組み込まれる。従って、保護回路1内に逆接保護回路7を静電気保護回路6と共に集積化することができるので、保護回路1の小型化を実現することができる。
【0043】
加えて、保護回路1を小型化することができるので、保護回路1の軽量化を実現することができる。
また、逆接保護回路7を外付け素子としないので、回路素子の部品点数を削減することができる。部品点数が削減されると、保護回路1の軽量化を更に実現することができると共に、製作コストを下げることができる。
また、保護回路1が搭載される車両では、軽量化に伴い、燃費を向上させることができる。
【0044】
本実施の形態に係る保護回路1は、図1に示されるように、入力端子33と、論理回路4と、出力端子34とを更に備える。入力端子33には入力信号INが入力される。論理回路4は入力端子33に第1信号配線50Aを介して接続され、論理回路4には入力信号INが入力される。出力端子34は論理回路4に第2信号配線50Bを介して接続され、出力端子34には論理回路4からの出力信号OUTが出力される。
このように構成される保護回路1では、静電気保護回路6は静電気保護素子601~静電気保護素子604を含んで構成される。静電気保護素子601は第1整流ダイオードを用いて構成され、静電気保護素子602は第2整流ダイオードを用いて構成される。同様に、静電気保護素子603は第3整流ダイオードを用いて構成され、静電気保護素子604は第4整流ダイオードを用いて構成される。
静電気保護素子601は、論理回路4の入力側に配設され、第1信号配線50Aにアノード電極を接続し、第1配線53にカソード電極を接続する。静電気保護素子602は、入力側に配設され、第1信号配線50Aにカソード電極を接続し、第2配線54にアノード電極を接続する。静電気保護素子603は、論理回路4の出力側に配設され、第2信号配線50Bにアノード電極を接続し、第1配線53にカソード電極を接続する。そして、静電気保護素子604は、出力側に配設され、第2信号配線50Bにカソード電極を接続し、第2配線54にアノード電極を接続する。
【0045】
このため、仮に入力端子33に静電気が印加されたとしても、この静電気は静電気保護素子601を通して第1配線53に吸収され、又は静電気保護素子602を通して第2配線54に吸収されるので、静電気に対して論理回路4を保護することができる。一方、仮に出力端子34に静電気が印加されたとしても、この静電気は静電気保護素子603を通して第1配線53に吸収され、又は静電気保護素子604を通して第2配線54に吸収されるので、静電気に対して論理回路4を保護することができる。
【0046】
本実施の形態に係る保護回路1は、図1に示されるように、第3整流ダイオード801と、第4整流ダイオード802とを更に備える。第3整流ダイオード801は、第1電源配線51にカソード電極を接続し、第2配線54にアノード電極を接続する。第4整流ダイオード802は、第2電源配線52にアノード電極を接続し、第1配線53にカソード電極を接続する。
仮に、第1電源配線51に負のサージが印加されたとき、第2配線54から第3整流ダイオード801を通って第1電源配線51へ電流が流れ、サージを吸収することができる。また、第2電源配線52に負のサージが印加されたとき、第4整流ダイオード802の降伏電圧を超えると、第1配線53から第4整流ダイオード802を通して第2電源配線52へ電流が流れ、サージを吸収することができる。第3整流ダイオード801及び第4整流ダイオード802はサージ保護回路8を構築しているので、サージ保護回路8によりサージに対して静電気保護回路6を保護することができる。
【0047】
加えて、第1電源配線51と第2配線54との間に第3整流ダイオード801を接続し、第2電源配線52と第1配線53との間に第4整流ダイオード802を接続しているので、保護回路1内にサージ保護回路8を静電気保護回路6と共に集積化することができる。従って、保護回路1の更なる小型化を実現することができる。
【0048】
さらに、本実施の形態に係る保護回路1は、図1に示されるように、1つの半導体基板2に第1整流ダイオード701、第2整流ダイオード702、第3整流ダイオード801、第4整流ダイオード802、静電気保護回路6等が集積化される。つまり、これらの回路素子を個別にパッケージしてレイアウトする場合に比べて、保護回路1の小型化を実現することができる。
静電気保護素子601と同様の機能を持たせる方法として、第1信号配線50Aと第1配線53との間にダイオードを設ける方法があり、保護機能強化で、静電気保護素子601と共に使うことができる。また、静電気保護素子601の代わりに設けることが可能である。同様に、静電気保護素子602に対して、第1信号配線50Aと第2配線54との間にダイオードを設ける方法がある。
【0049】
[第2実施の形態]
図2を用いて、本発明の第2実施の形態に係る保護回路1について説明する。
なお、本実施の形態並びに後述する第3実施の形態~第5実施の形態において、第1実施の形態に係る保護回路1の構成要素と同一の構成要素又は実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0050】
(保護回路1及び電子制御システム100の全体構成)
図2に示されるように、本実施の形態に係る保護回路1は、1つの半導体基板2に集積化された逆電圧保護(Reverse Voltage Protection)回路として構成されている。そして、保護回路1は、幾つかの外付け素子を含んで電子制御システム100に組み込まれている。以下、詳細に説明する。
【0051】
(電子制御システム100の構成)
電子制御システム100は配線基板20をベースとして構成されている。配線基板20には、例えばプリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)を実用的に使用することができる。
配線基板20の周辺領域であって、配線基板20の実装面上には、第1電源端子21、第2電源端子22のそれぞれが配設されている。また、配線基板20の中央領域であって、配線基板20の実装面上には、出力端子24、イネーブル端子25、第2電源端子23のそれぞれが配設されている。
【0052】
第1電源端子21はバッテリ10の正極に接続される構成とされている。この第1電源端子21にはバッテリ10から供給される電源電圧VINが印加される。電源電圧VINは例えば2.5[V]~16[V]の範囲内の電圧である。
第2電源端子22はバッテリ10の負極に接続される構成とされている。この第2電源端子22にはバッテリ10から供給される電源電圧GNDが印加される。電源電圧GNDは例えば0[V]である。
【0053】
第1電源端子21は、この第1電源端子21から延設される第1電源配線201を通して出力端子24に接続されている。この出力端子24には第1電源配線203が接続されている。第2電源端子22は、この第2電源端子22から延設される第2電源配線202を通して第2電源端子23に接続されている。この第2電源端子23には第2電源配線204が接続されている。
出力端子24及び第2電源端子23の近傍において、第1電源配線201と第2電源配線202との間にはクランプ素子91が配設されている。クランプ素子91は、ここでは、第1電源配線201にカソード電極が接続され、第2電源配線202にアノード電極が接続された整流ダイオード911を用いて構成されている。クランプ素子91は、第1電源配線201と第2電源配線202との間に加わる一定以上の電圧をクランプする。
なお、第1電源配線201、第1電源配線203のそれぞれは出力端子24を介在させずに直接接続されてもよい。同様に、第2電源配線202、第2電源配線204のそれぞれは第2電源端子23を介在させずに直接接続されてもよい。
【0054】
第1電源配線201と第2電源配線202との間には、本実施の形態に係る保護回路1が組み込まれている。この保護回路1については、後に詳述する。また、第1電源配線203と第2電源配線204との間には、電圧監視回路12、電解コンデンサ13、電子制御ユニット(ECU)14のそれぞれが組み込まれている。
【0055】
電圧監視回路12の入力は第1電源配線203、第2電源配線204のそれぞれに接続され、電圧監視回路12の出力はイネーブル端子25に接続されている。電圧監視回路12では、第1電源配線203と第2電源配線204との間の電圧差が例えば20[V]を超えると、イネーブル端子25にディスエーブル信号が出力される。
電解コンデンサ13は、第1電源配線203に一方の電極を接続し、第2電源配線204に他方の電極を接続する、極性を有する平滑コンデンサとして構成されている。この電解コンデンサ13は、保護回路1、電子制御ユニット14のそれぞれに対して外付け素子として、配線基板20の実装面に実装されている。
電子制御ユニット14は、第1電源配線203、第2電源配線204のそれぞれに接続されている。この電子制御ユニット14は、車両として、例えば図示省略の自動車のパワーユニットの運転制御を電気的に補助する補助装置を総合的に制御するマイクロコントローラとして構築されている。
【0056】
(保護回路1の構成)
図2及び図3に示されるように、保護回路1は、第1実施の形態に係る保護回路1と同様に、1つの半導体基板2をベースとして構成されている。半導体基板2の周辺領域であって、半導体基板2の主面上には、第1電源端子31、第2電源端子32、出力端子35、イネーブル端子36のそれぞれが、外部端子として配設されている。
【0057】
第1電源端子31は配線基板20の実装面上に延設される第1電源配線201に接続され、第1電源端子31には電源電圧VINが印加される。第2電源端子32は配線基板20の実装面上に延設される第2電源配線202に接続され、第2電源端子32には電源電圧GNDが印加される。
出力端子35には保護回路1から出力される出力信号が印加される。この出力信号は、後述する第2逆接保護回路72の第1トランジスタ721を制御する制御信号である。イネーブル端子36は配線基板20上に配設されたイネーブル端子25に接続され、イネーブル端子36には電圧監視回路12からのイネーブル信号が入力される。
【0058】
そして、図3に示されるように、保護回路1は、第1静電気保護回路61と、第2静電気保護回路62と、第1逆接保護回路71と、第2逆接保護回路72と、第1サージ保護回路81とを備えている。さらに、保護回路1は、チャージポンプ41と、イネーブル回路42とを備えている。これらの第1静電気保護回路61等は1つの半導体基板2に集積化されている。
ここで、第2逆接保護回路72の一部の素子(第1トランジスタ721及びダイオード722)は、半導体基板2に対して外付け素子として構成されている。
また、図2に示されるように、保護回路1は第2サージ保護回路82を備えている。この第2サージ保護回路82は半導体基板2に対して外付け素子として構成されている。
【0059】
図3に戻って、第1実施の形態に係る保護回路1と同様に、本実施の形態に係る保護回路1では、半導体基板2の主面上に、第1電源配線51、第2電源配線52、第1配線53、第2配線54のそれぞれが配設されている。
第1電源配線51の一端は第1電源端子31に接続され、第1電源配線51の他端は第1電源端子31から半導体基板2の主面上に延設されている。第2電源配線52の一端は第2電源端子32に接続され、第2電源配線52の他端は第2電源端子32から半導体基板2上に延設されている。
【0060】
第1配線53の一端は第1逆接保護回路71の一部を介して第1電源配線51の他端に接続され、第1配線53の他端は第1サージ保護回路81の一部を介して第2電源配線52の他端に接続されている。第1配線53には第1電源配線51から供給される電源電圧VINが第1逆接保護回路71によりシフトされた、電源電圧VINに比し若干低い高電位が印加され、第1配線53は高電位ノード配線として使用される。
一方、第2配線54の一端は第1逆接保護回路71の他の一部を介して第2電源配線52の他端に接続され、第2配線54の他端は第1サージ保護回路81の他の一部を介して第1電源配線51の他端に接続されている。第2配線54には第2電源配線52から供給される電源電圧GNDが第1逆接保護回路71によりシフトされた、電源電圧GNDに比し若干高い低電位が印加され、第2配線54は低電位ノード配線として使用されている。
【0061】
加えて、半導体基板2の主面上には、更に第3配線55が延設されている。第3配線55の一端は、第1逆接保護回路71の更に他の一部及び第2逆接保護回路72の一部を介して、第1電源配線51の他端に接続されている。また、第3配線55の一端は、第1逆接保護回路71の更に他の一部を介して出力端子35に接続されている。第3配線55の他端は、第1静電気保護回路61を介して、第1配線53の他端、第2配線54の他端にそれぞれ接続されている。
第3配線55には中間電位が印加され、第3配線55は中間電位ノード配線として使用されている。中間電位は、第1電源配線51から供給される電源電圧VINが第1逆接保護回路71及び第2逆接保護回路72によりシフトされ、第1配線53若しくはチャージポンプの出力電位よりも若干低く、かつ、第2配線54に印加される電位よりも高い電位である。
【0062】
(1)第1静電気保護回路61の構成
図3に示される第1静電気保護回路(静電気保護回路)61は、静電気保護素子(第1静電気保護素子)611と、静電気保護素子(第2静電気保護素子)612と、静電気保護素子(第3静電気保護素子)613とを含んで構成されている。静電気保護素子611~静電気保護素子613は、ここではツェナーダイオードを用いて構成されている。
【0063】
静電気保護素子611は第1配線53と第2配線54との間に接続されている。詳しく説明すると、静電気保護素子611は、カソード電極を第1配線53に接続し、アノード電極を第2配線54に接続している。
静電気保護素子612は第1配線53と第3配線55との間に接続されている。静電気保護素子612は、アノード電極を第1配線53に接続し、カソード電極を第3配線55に接続している。
静電気保護素子613は第2配線54と第3配線55との間に接続されている。静電気保護素子613は、アノード電極を第2配線54に接続し、カソード電極を第3配線55に接続している。
【0064】
(2)第2静電気保護回路62の構成
第2静電気保護回路62はイネーブル端子36とイネーブル回路42とを接続する信号配線56に配設されている。第2静電気保護回路62は静電気保護素子621~静電気保護素子625を含んで構成されている。
【0065】
静電気保護素子621及び静電気保護素子622は、ここでは整流ダイオードを用いて構成されている。静電気保護素子621は、アノード電極を信号配線56に接続し、カソード電極を第1配線53に接続している。静電気保護素子622は、アノード電極を第2配線54に接続し、カソード電極を信号配線56に接続している。静電気保護素子621、静電気保護素子622はいずれも逆方向に接続されている。
【0066】
静電気保護素子623は抵抗を用いて構成されている。静電気保護素子623は、一端を静電気保護素子621のアノード電極及び静電気保護素子622のカソード電極に接続し、他端をイネーブル回路42に接続している。
静電気保護素子624はここではツェナーダイオードを用いて構成されている。静電気保護素子624は、カソード電極を静電気保護素子623の他端とイネーブル回路42とを結ぶ信号配線56に接続し、アノード電極を第2配線54に接続している。
静電気保護素子625はここでは抵抗を用いて構成されている。静電気保護素子625は、静電気保護素子624とイネーブル回路42との間において信号配線56に接続し、他端を第2配線54に接続している。
【0067】
(3)第1逆接保護回路71の構成
第1逆接保護回路71は、第1整流ダイオード711、第2整流ダイオード712及び第5整流ダイオード713を含んで構成されている。
第1整流ダイオード711は、第1電源配線51の他端にアノード電極を接続し、第1配線53の一端にカソード電極を接続している。第1整流ダイオード711のアノード電極は第1電源配線51を通してダイレクトに第1電源端子31に接続され、第1整流ダイオード711は第1電源配線51と第1配線53との間に順方向に接続されている。
第2整流ダイオード712は、第2電源配線52の他端にカソード電極を接続し、第2配線54の一端にアノード電極を接続している。第2整流ダイオード712のカソード電極は第2電源配線52を通してダイレクトに第2電源端子32に接続され、第2整流ダイオード712は第2配線54と第2電源配線52との間に順方向に接続されている。
第5整流ダイオード713は、後述する第2トランジスタ723の他方の主電極(第4主電極としてのドレイン電極)及び出力端子35にアノード電極を接続し、第3配線55にカソード電極を接続している。第5整流ダイオード713は順方向に接続されている。
【0068】
(4)第2逆接保護回路72の構成
第2逆接保護回路72は、第1トランジスタ721及び第2トランジスタ723を少なくとも含んで構成されている。
【0069】
第1トランジスタ721は、半導体基板2に対して外付け素子として、配線基板20の実装面上に実装されている。第1トランジスタ721は、具体的な断面構造の図示を省略するが、本実施の形態では縦型構造を有するパワートランジスタであってnチャネル導電型絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET:Insulated Gate Field Effect Transistor)を用いて構成されている。ここで、絶縁ゲート電界トランジスタとは、金属-酸化膜-半導体型電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor FET)、金属-絶縁体-半導体型電界効果トランジスタ(MISFET:Metal Insulator Semiconductor FET)の双方が少なくとも含まれる意味において使用されている。
第1トランジスタ721の一方の主電極(第1主電極)としてのソース電極は、第1電源配線201を通して第1電源端子21及び第1電源端子31に接続されている。第1トランジスタ721の他方の主電極(第2主電極)としてのドレイン電極は、第1電源配線201を通して出力端子24に接続されている。第1トランジスタ721の制御電極(第1制御電極)としてのゲート電極は出力端子35に接続されている。
【0070】
第1トランジスタ721の主電極間には電気的に並列にダイオード722が挿入されている。このダイオード722は、整流ダイオードであり、第1トランジスタ721の一方の主電極にアノード電極を接続し、他方の主電極にカソード電極を接続している。つまり、ダイオード722は第1電源配線201に順方向に接続されている。
【0071】
第2トランジスタ723は、第1静電気保護回路61、第2静電気保護回路62、第1逆接保護回路71と共に、半導体基板2の主面に集積化されている。第2トランジスタ723は、具体的な断面構造の図示を省略するが、横型構造を有するnチャネル導電型絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET)を用いて構成されている。
第2トランジスタ723の一方の主電極(第3主電極)としてのソース電極は、第1電源配線51を通して第1電源端子31に接続されている。第2トランジスタ723の他方の主電極(第4主電極)としてのドレイン電極は、出力端子35に接続され、この出力端子35を介在させて第1トランジスタ721のゲート電極に接続されている。第2トランジスタ723の制御電極(第2制御電極)としてのゲート電極は一方の主電極及び第2電源配線52に接続されている。
【0072】
第2トランジスタ723には保護素子724及び保護素子725が配設されている。保護素子724は、第2トランジスタ723の一方の主電極にアノード電極が接続され、他方の主電極にカソード電極が接続されたツェナーダイオードを用いて構成されている。保護素子725は、保護素子724のアノード電極に一端が接続され、保護素子724のカソード電極に他端が接続された抵抗を用いて構成されている。
これらの保護素子724及び保護素子725は、主に第2トランジスタ723のゲート破壊(ゲート絶縁膜の破壊)の防止を目的として組み込まれている。
【0073】
また、第2トランジスタ723において、ソース電極(第3主電極)とゲート電極(第2制御電極)との間には抵抗726が電気的に直列に接続されている。抵抗726は、バッテリ10が正常に接続されているときには、第2トランジスタ723をオフ動作状態に保持する。一方、抵抗726は、バッテリ10が逆接されたときには、ソース電極とゲート電極との間にバイアスを発生させ、第2トランジスタ723をオン動作状態に保持する。
そして、抵抗726の一端と他端との間にはクランプ回路727が挿入されている。クランプ回路727は、ここではアノード電極同士を接続した2個のツェナーダイオードを用いて構成されている。つまり、一方のツェナーダイオードは、カソード電極を第2トランジスタ723のソース電極及び抵抗726の一端に接続し、アノード電極を他のツェナーダイオードのアノード電極に接続している。他方のツェナーダイオードのカソード電極は、第2トランジスタ723のゲート電極及び抵抗726の他端に接続されている。
また、保護素子725の他端と出力端子35との間には抵抗728が挿入され、保護素子725の他端とチャージポンプ41との間にも抵抗729が挿入されている。
なお、クランプ回路727は、抵抗726の一端にカソード電極が接続され、抵抗726の他端にアノード電極が接続された1個のツェナーダイオード、カソード電極同士を接続した2個のツェナーダイオード等を用いて構成されてもよい。
【0074】
第2逆接保護回路72は、更にトランジスタ731を備えている。トランジスタ731は、第2トランジスタ723と共に、半導体基板2の主面に集積化されている。トランジスタ731は、第2トランジスタ723と同様に、横型構造を有するnチャネル導電型絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET)を用いて構成されている。
トランジスタ731の一方の主電極としてのソース電極は、抵抗732、抵抗733、抵抗726、第1電源配線51のそれぞれを介在させて第1電源端子31に接続されている。トランジスタ731の他方の主電極としてのドレイン電極は、抵抗734、第2電源配線52のそれぞれを介在させて第2電源端子32に接続されている。トランジスタ731の制御電極としてのゲート電極は、抵抗739を通してイネーブル回路42に接続されている。
トランジスタ731は、イネーブル回路42からの制御信号に基づいてオフ動作状態に制御されると、第1電源端子31から第2電源端子32へ流れる電流を遮断する。このトランジスタ731のオフ動作状態が保持されることにより、保護回路1の消費電力を減少させることができる。
ここで、一例として、抵抗732の抵抗値は1[MΩ]、抵抗733の抵抗値は0.1[MΩ]、抵抗726の抵抗値は10[MΩ]、抵抗734の抵抗値は400[Ω]のそれぞれに設定されている。
【0075】
また、トランジスタ731の主電極間には電気的に並列に整流ダイオード735が挿入されている。整流ダイオード735は、トランジスタ731の一方の主電極にカソード電極を接続し、トランジスタ731の他方の主電極にアノード電極を接続している。つまり、整流ダイオード735は、第1電源端子31と第2電源端子32との間に逆方向に接続されている。
また、比較的大きな抵抗値として設定されている抵抗732の一端と他端との間にも電気的に並列に整流ダイオード736が挿入されている。整流ダイオード736は、抵抗732の第1電源端子31側の一端にカソード電極を接続し、抵抗732の第2電源端子32側の他端並びに整流ダイオード735のカソード電極にアノード電極を接続している。つまり、整流ダイオード736は、第1電源端子31と第2電源端子32との間に逆方向に接続され、かつ、整流ダイオード735に電気的に直列に接続されている。
整流ダイオード735、整流ダイオード736のそれぞれは、仮にバッテリ10が逆接されたとき、第2電源端子32から第2トランジスタ723のゲート電極への充電速度を速めて、過渡応答性を向上させる機能を有する。すなわち、整流ダイオード735、整流ダイオード736を備えることにより、第2トランジスタ723の逆接のときのオン動作速度が速くなり、結果的に第1トランジスタ721のオフ動作速度の高速化を実現することができる。
【0076】
さらに、トランジスタ731には保護素子737及び保護素子738が配設されている。保護素子737は、トランジスタ731の他方の主電極にアノード電極が接続され、トランジスタ731のゲート電極にカソード電極が接続されたツェナーダイオードを用いて構成されている。保護素子738は、保護素子737のカソード電極、アノード電極のそれぞれに一端、他端のそれぞれが接続された抵抗を用いて構成されている。
保護素子737及び保護素子738はトランジスタ731のゲート破壊の防止を目的として組み込まれている。
【0077】
ここで、チャージポンプ41は、出力端子35を介して第1トランジスタ721のゲート電極に接続されている。チャージポンプ41はイネーブル回路42により制御される。チャージポンプ41では、第1トランジスタ721のゲート電極に供給される制御電圧を昇圧することができる。
チャージポンプ41、イネーブル回路42のそれぞれには、第1配線53から高電位が供給され、第2配線54から低電位が供給されている。
【0078】
(5)第1サージ保護回路81の構成
第1サージ保護回路81は、第3整流ダイオード811、第4整流ダイオード812及び第6整流ダイオード813を含んで構成されている。
【0079】
第3整流ダイオード811は、第2配線54の他端にアノード電極を接続し、第1電源配線51の他端にカソード電極を接続している。第3整流ダイオード811は、第1電源配線51と第2配線54との間に逆方向に接続され、第1逆接保護回路71の第2整流ダイオード712に対しても逆方向に接続されている。
一方、第4整流ダイオード812は、第1配線53の他端にカソード電極を接続し、第2電源配線52の他端にアノード電極を接続している。第4整流ダイオード812は、第1配線53と第2電源配線52との間に逆方向に接続されている。つまり、第4整流ダイオード812は、第1逆接保護回路71の第1整流ダイオード711に対して逆方向に接続されている。
第6整流ダイオード813は、第2トランジスタ723の他方の主電極及び出力端子35にカソード電極を接続し、第2配線54にアノード電極を接続している。第6整流ダイオード813は逆方向に接続されている。
【0080】
(6)第2サージ保護回路82の構成
図2に示されるように、第2サージ保護回路82は、外付け素子として、配線基板20の実装面上に実装されている。第2サージ保護回路82は、第1ツェナーダイオード821と、第2ツェナーダイオード822とを有するクランプ回路として構成されている。
【0081】
第1ツェナーダイオード821は、第1電源端子21の近傍であって第1電源端子21と第1電源端子31及び第1トランジスタ721との間の第1電源配線201にアノード電極を接続している。第1ツェナーダイオード821のカソード電極は第2ツェナーダイオード822のカソード電極に接続されている。第2ツェナーダイオード822は、第2電源端子22の近傍であって第2電源端子22と第2電源端子32及び第2電源端子23との間の第2電源配線202にアノード電極を接続している。表現を代えれば、第2サージ保護回路82は、カソード電極同士を接続した第1ツェナーダイオード821及び第2ツェナーダイオード822により構成されている。
第2サージ保護回路82では、バッテリ10から発生するサージに比し、例えば車両のモータ、発電機等から発生する過大なサージが、予め設定された一定の電圧値にクランプされる。
なお、図2に示される第2サージ保護回路82のツェナーダイオードはアノード電極同士を接続しているが、カソード電極同士を接続しても同様の機能を得ることができる。
【0082】
(保護回路1の保護動作)
(1)第1静電気保護回路61の静電気保護動作
図3に戻って、保護回路1では、仮に、第1電源端子31に正の静電気が印加されると、静電気は第1電源配線51、第1逆接保護回路71の第1整流ダイオード711、第1配線53のそれぞれを通って第1静電気保護回路61に入力される。第1静電気保護回路61では、静電気は、静電気保護素子612を通って第3配線55に吸収される。また、静電気は、静電気保護素子611の降伏電圧を超えるときには、静電気保護素子611を通って第2配線54に吸収される。また、静電気は、第2配線54が第2電源配線52よりも高電位になると、第2整流ダイオード712と第2電源配線52とを介してバッテリ10に戻る。
一方、仮に、第2電源端子32に負の静電気が印加されると、静電気は第2電源配線52、第1逆接保護回路71の第2整流ダイオード712、第2配線54のそれぞれを通って第1静電気保護回路61に入力される。第1静電気保護回路61では、静電気が静電気保護素子611の降伏電圧を超えるときには、第1配線53から静電気保護素子611を通って第2配線54へ電流が流れ、静電気は吸収される。また、静電気が静電気保護素子613の降伏電圧を超えるときには、第3配線55から静電気保護素子613を通って第2配線54へ電流が流れ、静電気は吸収される。
【0083】
仮に、出力端子35に正の静電気が印加されると、静電気は第1逆接保護回路71の第5整流ダイオード713、第3配線55のそれぞれを通って第1静電気保護回路61に入力される。第1静電気保護回路61では、静電気が静電気保護素子612の降伏電圧を超えるときには、第3配線55から静電気保護素子612を通って第1配線53へ電流が流れ、静電気は吸収される。また、静電気が静電気保護素子613の降伏電圧を超えるときには、第3配線55から静電気保護素子613を通って第2配線54へ電流が流れ、静電気は吸収される。
一方、出力端子35に負の静電気が印加されると、静電気は第1サージ保護回路81の第6整流ダイオード813、第2配線54のそれぞれを通って第1静電気保護回路61に入力される。第1静電気保護回路61では、静電気が静電気保護素子611の降伏電圧を超えるときには、第1配線53から静電気保護素子611を通って第2配線54へ電流が流れ、静電気は吸収される。また、静電気が静電気保護素子613の降伏電圧を超えるときには、第3配線55から静電気保護素子613を通って第2配線54に電流が流れ、静電気は吸収される。
【0084】
(2)第2静電気保護回路62の静電気保護動作
保護回路1では、仮に、イネーブル端子36に静電気が印加されると、静電気は信号配線56を通って第2静電気保護回路62に入力される。第2静電気保護回路62では、正の静電気であれば、静電気は信号配線56から静電気保護素子621を通って第1配線53に吸収される。また、静電気が静電気保護素子622の降伏電圧を超えるときには、信号配線56から静電気保護素子622を通って第2配線54へ電流が流れ、静電気は吸収される。
一方、負の静電気であれば、第2配線54から静電気保護素子622を通って信号配線56へ電流が流れ、静電気は吸収される。また、静電気が静電気保護素子621の降伏電圧を超えるときには、第1配線53から静電気保護素子621を通って信号配線56へ電流が流れ、静電気は吸収される。
さらに、第2静電気保護回路62では、静電気保護素子623及び静電気保護素子625によりイネーブル回路42に入力される静電気が抑制される。また、第2静電気保護回路62では、静電気保護素子624により信号配線56と第2配線54との間の電圧が予め設定された一定の電圧値にクランプされる。
【0085】
(3)第1逆接保護回路71の逆接保護動作
バッテリ10の交換の際に、誤って、図2に示される電子制御システム100の配線基板20の第1電源端子21にバッテリ10の負極が接続され、第2電源端子22にバッテリ10の正極が接続されたとする。つまり、バッテリ10が電子制御システム100に逆接されたとする。
このとき、電子制御システム100には図3に示される保護回路1が組み込まれているので、保護回路1の第1電源端子31には負極が接続され、第2電源端子32には正極が接続されたことになる。
保護回路1では、第1電源端子31から第1電源配線51に負電圧が印加されるが、第1電源配線51には第1逆接保護回路71の第1整流ダイオード711が接続されている。このため、負電圧は第1整流ダイオード711により遮断されて第1配線53へ伝わらない。
同様に、第2電源端子32から第2電源配線52に正電圧が印加されるが、第2電源配線52には第1逆接保護回路71の第2整流ダイオード712が接続されている。このため、正電圧は第2整流ダイオード712により遮断されて第2配線54へ伝わらない。
【0086】
(4)第2逆接保護回路72の逆接保護動作
図2に示される電子制御システム100に、誤って、バッテリ10が逆接されたとする。このとき、図3に示されるように、配線基板20の第1電源端子21から第1電源配線201を通して、第2逆接保護回路72の第1トランジスタ721の一方の主電極(ソース電極)に負電圧が印加される。
一方、配線基板20の第2電源端子22から第2電源配線202を通って保護回路1の第2電源端子32に正電圧が印加される。この正電圧は、第2電源配線52、第2逆接保護回路72の抵抗734、整流ダイオード735、整流ダイオード736、抵抗733のそれぞれを主に通って第2トランジスタ723のゲート電極に印加される。
これにより、第2トランジスタ723はオン動作状態となり、第1電源端子31に印加された負電圧は、第1電源配線51、第2トランジスタ723、出力端子35のそれぞれを通って、第1トランジスタ721のゲート電極にも印加される。つまり、第1トランジスタ721は、一方の主電極、ゲート電極のそれぞれが実質的に同一電位とされ、短絡状態とされているので、オフ動作状態とされる。このため、電子制御システム100において、第1電源端子21に印加される負電圧は第1トランジスタ721により遮断されて出力端子24に伝わらない。
【0087】
(5)第1サージ保護回路81のサージ保護動作
図3に示される保護回路1では、第1電源端子31にサージが印加されると、サージは第1電源配線51を通って第1サージ保護回路81に入力される。仮に、正のサージであれば、サージは、第1サージ保護回路81の第3整流ダイオード811の降伏電圧を超えるときには、第3整流ダイオード811を通って第2配線54に吸収される。仮に、負のサージであれば、第2配線54から第3整流ダイオード811を通って第1電源配線51へ電流が流れ、サージは吸収される。
一方、第2電源端子32にサージが印加されると、サージは第2電源配線52を通って第1サージ保護回路81に入力される。仮に、正のサージであれば、第2電源配線52から第4整流ダイオード812を通って第1配線53へ電流が流れ、サージは吸収される。仮に、負のサージであれば、第4整流ダイオード812の降伏電圧を超えるときには、第1配線53から第4整流ダイオード812を通って第2電源配線52へ電流が流れ、サージは吸収される。
また、第1サージ保護回路81では、出力端子35に印加されたサージも吸収することができる。仮に、正のサージであれば、第6整流ダイオード813の降伏電圧を超えるときには、出力端子35から第6整流ダイオード813を通って第2配線54へ電流が流れ、サージは吸収される。仮に、負のサージであれば、第2配線54から第6整流ダイオード813を通って出力端子35へ電流が流れ、サージは吸収される。
【0088】
(6)第2サージ保護回路82のサージ保護動作
図2に示される電子制御システム100において、配線基板20の第1電源端子21又は第2電源端子22に過大なサージが印加されたときには、第2サージ保護回路82により第1電源配線201と第2電源配線202との間が予め設定された一定の電圧値にクランプされる。ここでは、サージは、例えば40[V]の電圧を超えると、第2サージ保護回路82によりクランプされる。
【0089】
(7)クランプ素子91の動作
クランプ素子91の整流ダイオード911は、第1電源配線201と第2電源配線202の電圧差が予め設定された設定値を超えると電圧をクランプする。
【0090】
(作用効果)
本実施の形態に係る保護回路1は、図3に示されるように、第1電源配線51と、第2電源配線52と、第1配線53と、第2配線54と、第1整流ダイオード711と、第2整流ダイオード712と、第1静電気保護回路(静電気保護回路)61とを備える。
第1電源配線51は、バッテリ10の正極に接続される第1電源端子31から延設される。第2電源配線52は、バッテリ10の負極に接続される第2電源端子32から延設される。
第1整流ダイオード711は、第1電源配線51にアノード電極を接続し、第1配線53にカソード電極を接続する。第2整流ダイオード712は、第2電源配線52にカソード電極を接続し、第2配線54にアノード電極を接続する。
第1静電気保護回路61は、第1配線53と第2配線54との間に配設された静電気保護素子611(第1静電気保護素子)を含んで構成される。
【0091】
仮に、バッテリ10が逆接されたとき、第1電源端子31を通って第1電源配線51に負電圧が印加される。第1電源配線51と第1配線53との間において、第1整流ダイオード711は順方向に接続されているので、電流の流れは第1整流ダイオード711により遮断される。また、第2電源端子32を通って第2電源配線52には正電圧が印加される。第2電源配線52と第2配線54との間において、第2整流ダイオード712は順方向に接続されているので、電流の流れは第2整流ダイオード712により遮断される。つまり、第1整流ダイオード711及び第2整流ダイオード712は第1逆接保護回路71を構築し、第1逆接保護回路71はバッテリ10の逆接に対して第1静電気保護回路61の静電気保護素子611を保護する。
【0092】
ここで、静電気保護素子611は、第1配線53と第2配線54との間に接続され、静電気を吸収する。静電気保護素子611は静電気に対して第1配線53又は第2配線54に接続される回路、ここではチャージポンプ41、イネーブル回路42のそれぞれを保護する。
【0093】
このように構成される保護回路1では、第1電源配線51に第1整流ダイオード711を接続し、第2電源配線52に第2整流ダイオード712を接続して第1逆接保護回路71が組み込まれる。そして、第1整流ダイオード711に接続された第1配線53と第2整流ダイオード712に接続された第2配線54との間に静電気保護素子611が接続されて第1静電気保護回路61が組み込まれる。従って、保護回路1内に第1逆接保護回路71を第1静電気保護回路61と共に集積化することができるので、保護回路1の小型化を実現することができる。
なお、本実施の形態では、保護回路1は第2静電気保護回路62も集積化される。
【0094】
加えて、保護回路1を小型化することができるので、保護回路1の軽量化を実現することができる。また、第1逆接保護回路71を外付け素子としないので、回路素子の部品点数を削減することができる。部品点数が削減されると、保護回路1の軽量化をより一層実現することができると共に、製作コストを下げることができる。また、保護回路1が搭載される車両では、軽量化に伴い、燃費を向上させることができる。
【0095】
本実施の形態に係る保護回路1では、図3に示されるように、第1静電気保護回路61は静電気保護素子611(第1静電気保護素子)を備え、静電気保護素子611はツェナーダイオードを含む。このツェナーダイオードは、第1配線53にカソード電極を接続し、第2配線54にアノード電極を接続する。
このため、仮に第1配線53又は第2配線54に静電気が印加されたとしても、静電気保護素子611により第1配線53と第2配線54との間の電圧が一定の範囲内にクランプされる。従って、第1配線53と第2配線54との間に配設される回路、具体的にはチャージポンプ41、イネーブル回路42のそれぞれを静電気に対して保護することができる。
【0096】
本実施の形態に係る保護回路1は、図3に示されるように、第3整流ダイオード811と、第4整流ダイオード812とを更に備える。第3整流ダイオード811は、第1電源配線51にカソード電極を接続し、第2配線54にアノード電極を接続する。第4整流ダイオード812は、第2電源配線52にアノード電極を接続し、第1配線53にカソード電極を接続する。
【0097】
仮に、第1電源配線51に負のサージが印加されたとき、第2配線54から第3整流ダイオード811を通って第1電源配線51へ電流が流れ、サージを吸収することができる。また、第2電源配線52に負のサージが印加されたとき、第4整流ダイオード812の降伏電圧を超えると、第1配線53から第4整流ダイオード812を通って第2電源配線52へ電流が流れ、サージを吸収することができる。第3整流ダイオード811及び第4整流ダイオード812は第1サージ保護回路81を構築しているので、第1サージ保護回路81によりサージに対して静電気保護素子611を保護することができる。
加えて、第1電源配線51と第2配線54との間に第3整流ダイオード811を接続し、第2電源配線52と第1配線53との間に第4整流ダイオード812を接続しているので、保護回路1内に第1サージ保護回路81を集積化することができる。従って、保護回路1の更なる小型化を実現することができる。
【0098】
さらに、保護回路1は、図3に示されるように、第1トランジスタ721と、第2トランジスタ723と、抵抗726とを備える。
第1トランジスタ721は、バッテリ10の正極に接続される配線基板20の第1電源端子21と保護回路1の第1電源端子31との間に一方の主電極(第1主電極)を接続し、配線基板20の出力端子24に他方の主電極(第2主電極)を接続する。第2トランジスタ723は、第1電源配線51に一方の主電極(第3主電極)を接続し、第1トランジスタ721のゲート電極(第1制御電極)に他方の主電極(第4主電極)を接続し、一方の主電極及び第2電源配線52にゲート電極(第2制御電極)を接続する。抵抗726は、第2トランジスタ723において一方の主電極とゲート電極との間に電気的に直列に接続される。
【0099】
ここで、仮に、バッテリ10(図2参照)が逆接されたとき、第2電源配線52を通して第2トランジスタ723のゲート電極に正電圧が印加され、第2トランジスタ723の一方の電極に負電圧が印加される。一方の主電極とゲート電極との間には抵抗726が接続されているので、一方の主電極とゲート電極との間にはバイアスが発生する。このため、第2トランジスタ723がオン動作状態とされる。
一方、第1トランジスタ721の一方の主電極には第1電源配線201を通して負電圧が印加される。第2トランジスタ723がオン動作状態とされるので、第1トランジスタ721のゲート電極には一方の主電極と同様に負電圧が印加される。このため、第1トランジスタ721は、一方の主電極とゲート電極との間にバイアスが発生しないので、オフ動作状態とされる。
【0100】
つまり、第1トランジスタ721及び第2トランジスタ723は第2逆接保護回路72を構築し、この第2逆接保護回路72によりバッテリ10の負極と出力端子24との間を遮断することができる。
本実施の形態では、図2に示される電子制御システム100において、出力端子24から延設された第1電源配線203と、第2電源端子23から延設された第2電源配線204との間に極性を有する電解コンデンサ13が接続されている。電子制御システム100では、第2逆接保護回路72により、逆接に対して、電解コンデンサ13を保護することができる。
【0101】
加えて、図2及び図3に示されるように、第2逆接保護回路72では、第1電源端子21から出力端子24に至る経路(第1電源配線201)に第1トランジスタ721が配設される。つまり、第2逆接保護回路72は、第1逆接保護回路71に対して、独立に、第1トランジスタ721、第2トランジスタ723及び抵抗726を用いて構成され、第2逆接保護回路72では逆接に対して次段素子又は次段回路を保護することができる。このため、第1逆接保護回路71及び第2逆接保護回路72は逆接に対する電流の経路を分散しているので、第2逆接保護回路72に対して独立に、第1逆接保護回路71の第1整流ダイオード711及び第2整流ダイオード712のサイズを小さくすることができる。従って、第1逆接保護回路71は集積化に適した構成とすることができ、更に保護回路1のより一層の小型化を実現することができる。
【0102】
本実施の形態に係る保護回路1は、図3に示されるように、第5整流ダイオード713と、第3配線55と、第6整流ダイオード813とを更に備えている。第5整流ダイオード713は、第2トランジスタ723の他方の主電極(第4主電極)にアノード電極を接続し、第3配線55にカソード電極を接続する。第6整流ダイオード813は、第2トランジスタ723の他方の主電極にカソード電極を接続し、第2配線54にアノード電極を接続する。
【0103】
仮に、バッテリ10(図2参照)が逆接されたとき、第2トランジスタ723の他方の主電極に負電圧が印加される。この他方の主電極から第3配線55への電流の流れは逆方向となるので、第5整流ダイオード713を用いて電流の流れは遮断される。つまり、第5整流ダイオード713は第1逆接保護回路71を構築し、第1逆接保護回路71はバッテリ10の逆接に対して第1静電気保護回路61を保護する。
一方、第2トランジスタ723の他の主電極にサージが印加されたとき、サージは第6整流ダイオード813により吸収される。つまり、第6整流ダイオード813は第1サージ保護回路81を構築し、第1サージ保護回路81はサージに対して第1静電気保護回路61を保護する。
【0104】
ここで、第1静電気保護回路61は、静電気保護素子611(第1静電気保護素子)に加えて、静電気保護素子612(第2静電気保護素子)と、静電気保護素子613(第3静電気保護素子)とを更に備えている。静電気保護素子612は、第1配線53と第3配線55との間に接続され、静電気を吸収する。静電気保護素子612は静電気に対して第1配線53又は第3配線55に接続される回路を保護する。静電気保護素子613は、第2配線54と第3配線55との間に接続され、静電気を吸収する。静電気保護素子613は静電気に対して第2配線54又は第3配線55に接続される回路を保護する。
【0105】
このように構成される保護回路1では、第2トランジスタ723の他方の主電極に第5整流ダイオード713を接続して第1逆接保護回路71が組み込まれる。また、保護回路1では、第2トランジスタ723の他方の主電極に第6整流ダイオード813を接続して第1サージ保護回路81が組み込まれる。そして、保護回路1では、第1配線53と第3配線55との間に静電気保護素子612を接続し、第2配線54と第3配線55との間に静電気保護素子613を接続して第1静電気保護回路61が組み込まれる。
このため、第1逆接保護回路71、第1サージ保護回路81、第1静電気保護回路61のそれぞれを集積化することができ、保護回路1の小型化を実現することができる。加えて、電子制御システム100の小型化も実現することができる。
【0106】
特に、保護回路1では、第2逆接保護回路72は、第1トランジスタ721を外付け素子として構成し、第2トランジスタ723を半導体基板2に集積化する。このため、第1トランジスタ721では、第2トランジスタ723に対して独立して、耐性を向上させるデバイス構造を採用することができる。
一方、第2トランジスタ723では、第1静電気保護回路61、第1逆接保護回路71及び第1サージ保護回路81と共に半導体基板2の主面に集積化することができるので、第2逆接保護回路72の小型化を実現することができる。
【0107】
さらに、保護回路1では、図3に示されるように、1つの半導体基板2に、第1整流ダイオード711、第2整流ダイオード712、第3整流ダイオード811、第4整流ダイオード812、第5整流ダイオード713、第6整流ダイオード813、第1静電気保護回路61等が集積化される。このため、保護回路1のより一層の小型化を実現することができる。
【0108】
[第3実施の形態]
図4を用いて、本発明の第3実施の形態に係る保護回路1について説明する。本実施の形態に係る保護回路1は、前述の第2実施の形態に係る保護回路1において、更に過電圧に対する耐性を向上させた例を説明するものである。
【0109】
(保護回路1及び電子制御システム100の全体構成)
図4に示されるように、本実施の形態に係る保護回路1の構成は実質的に第2実施の形態に係る保護回路1の構成と同一である。この保護回路1が組み込まれた電子制御システム100では、更に第3トランジスタ751が配設されている。この第3トランジスタ751は第3逆接保護回路73を構築する。
第3トランジスタ751は、配線基板20のバッテリ10(図2参照)が接続される第1電源端子21に一方の主電極(第5主電極)を接続している。第3トランジスタ751の他方の主電極(第6主電極)は保護回路1の第1電源端子31及び第1トランジスタ721の一方の主電極(第1主電極)に接続されている。第3トランジスタ751の第3制御電極としてのゲート電極は第1トランジスタ721のゲート電極(第1制御電極)に接続されている。第3トランジスタ751はハイサイドスイッチとしての機能を有する。
第3トランジスタ751は、第1トランジスタ721と同様に、縦型構造を有するパワートランジスタであってnチャネル導電型電界効果トランジスタ(IGFET)を用いて構成されている。
【0110】
また、第3トランジスタ751の主電極間には電気的に並列にダイオード752が挿入されている。このダイオード752は、第3トランジスタ751の一方の主電極にカソード電極を接続し、他方の主電極にアノード電極を接続し、逆方向に接続されている。第3逆接保護回路73はこのダイオード752を含んで構築されている。ここで、ダイオード752は整流ダイオードである。
【0111】
(第3逆接保護回路73の逆接保護動作)
前述の図2示される電子制御システム100において、誤って、バッテリ10が逆接されたとする。このとき、図4に示される第2逆接保護回路72の第1トランジスタ721がオフ動作状態とされ、これに連動して第3逆接保護回路73の第3トランジスタ751はオフ動作状態とされる。つまり、配線基板20の第1電源端子21と出力端子24との間は第2逆接保護回路72及び第3逆接保護回路73により遮断される。
ここで、第3逆接保護回路73では、第3トランジスタ751の主電極間耐圧に相当する分、保護耐性が向上されている。また、第3トランジスタ751の主電極間にダイオード752が挿入されているので、ダイオード752の降伏耐圧に相当する分、保護耐性が向上されている。
【0112】
(作用効果)
このように構成される本実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100では、第2実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0113】
また、保護回路1は第3トランジスタ751を更に備える。第3トランジスタ751は第3逆接保護回路73を構築する。第3トランジスタ751は、バッテリ10(図2参照)の正極に一方の主電極(第5主電極)を接続し、第1電源端子31及び第1トランジスタ721の一方の主電極(第1主電極)に他方の主電極(第6主電極)を接続する。第3トランジスタ751のゲート電極(第3制御電極)は第1トランジスタ721のゲート電極(第1制御電極)に接続される。
このため、第3トランジスタ751の主電極間耐圧に相当する分、保護回路1の保護耐性を向上させることができる。
【0114】
[第4実施の形態]
図5を用いて、本発明の第4実施の形態に係る保護回路1について説明する。本実施の形態に係る保護回路1は、前述の第2実施の形態に係る保護回路1に内蔵されていたチャージポンプ41に代えて、外部から電源を供給する例を説明するものである。
【0115】
(保護回路1及び電子制御システム100の全体構成)
図5に示されるように、本実施の形態に係る保護回路1では、第2実施の形態に係る保護回路1のチャージポンプ41(図3参照)が配設されていない。保護回路1のチャージポンプ41以外の構成は、第2実施の形態に係る保護回路1の構成と同一である。
チャージポンプ41に代えて、電子制御システム100では、外部電源15が組み込まれている。外部電源15の正極は、抵抗16を介して、第2逆接保護回路72の第1トランジスタ721のゲート電極に接続されている。外部電源15の負極は第1トランジスタ721と出力端子24との間において第1電源配線201に接続されている。外部電源15は、ゲート電極を昇圧し、第1トランジスタ721のオン動作を制御する。
【0116】
(作用効果)
このように構成される本実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100では、第2実施の形態に係る保護回路1並びに電子制御システム100により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0117】
また、保護回路1では、電子制御システム100に外部電源15を備えてチャージポンプ41を外したので、チャージポンプ41に相当する分、小型化を実現することができる。
【0118】
[第5実施の形態]
図6を用いて、本発明の第5実施の形態に係る保護回路1について説明する。本実施の形態に係る保護回路1は、前述の第3実施の形態に係る保護回路1と第4実施の形態に係る保護回路1とを組み合わせた例を説明するものである。
【0119】
(保護回路1及び電子制御システム100の全体構成)
図6に示されるように、本実施の形態に係る保護回路1が組み込まれた電子制御システム100では、第3逆接保護回路73が配設され、更にチャージポンプ41(図3参照)に代えて外部電源15が配設されている。
第3逆接保護回路73は、前述の通り、第3トランジスタ751及びダイオード752を含んで構成されている。外部電源15の正極は、第2逆接保護回路72の第1トランジスタ721のゲート電極及び第3逆接保護回路73の第3トランジスタ751のゲート電極に接続されている。
【0120】
(作用効果)
本実施の形態に係る保護回路1では、第3実施の形態に係る保護回路1により得られる作用効果と第4実施の形態に係る保護回路1により得られる作用効果とを組み合わせた作用効果を得ることができる。
【0121】
[その他の実施の形態]
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において、種々変形可能である。
例えば、前述の図5に示される第4実施の形態に係る保護回路1、図6に示される第5実施の形態に係る保護回路1のそれぞれにおいて、イネーブル回路42及びそれに関係する構成を外してもよい。関係する構成とは、具体的には、イネーブル端子36、第2静電気保護回路62、トランジスタ731等である。このように構成される保護回路1では、より一層の小型化を実現することができる。
また、前述第1実施の形態に係る保護回路1の静電気保護回路6において、静電気保護素子601~604は整流ダイオードに限定されない。例えば、ツェナーダイオードに代えてもよい。さらに、第2実施の形態~第5実施の形態のいずれかの保護回路1において、第1静電気保護回路61はツェナーダイオードに限定されない。例えば整流ダイオードに代えてもよい。加えて、静電気保護素子は、整流ダイオード、ツェナーダイオードのそれぞれに限定されるものではなく、例えばトランジスタに代えてもよい。トランジスタとしては、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ、バイポーラトランジスタのそれぞれを実用的に使用することができる。さらに、静電気保護素子は、例えば整流ダイオード等の単独素子に限定されるものではなく、例えば整流ダイオードに抵抗及び容量の少なくともいずれか一方を組み合わせてもよい。
また、外付け素子としての第1トランジスタ721、第3トランジスタ751、ダイオード752、ダイオード722の使用電流が少ない場合(例えば10A程度)には、これらの外付け素子は保護回路1と同一の半導体基板2上に搭載可能である。
上記実施の形態では、電子制御システム100に電子制御ユニット14が実装されているが、本発明は、電子制御ユニット14に代えて、エンジン制御ユニット(ECU:Engine Control Unit)を電子制御システム100に実装してもよい。
【符号の説明】
【0122】
1…保護回路、4…論理回路、10…バッテリ、12…電圧監視回路、13…電解コンデンサ、14…電子制御ユニット、100…電子制御システム、2…半導体基板、20…配線基板、21、31…第1電源端子、22、23、32…第2電源端子、24、34、35…出力端子、25、36…イネーブル端子、41…チャージポンプ、42…イネーブル回路、50A…第1信号配線、50B…第2信号配線、56…信号配線、51、201、203…第1電源配線、52、202、204…第2電源配線、53…第1配線、54…第2配線、55…第3配線、6…静電気保護回路、61…第1静電気保護回路、62…第2静電気保護回路、601~604、611~613、621~625…静電気保護素子、7…逆接保護回路、71…第1逆接保護回路、72…第2逆接保護回路、73…第3逆接保護回路、701、711…第1整流ダイオード、702、712…第2整流ダイオード、713…第5整流ダイオード、721…第1トランジスタ、723…第2トランジスタ、8…サージ保護回路、81…第1サージ保護回路、82…第2サージ保護回路、801、811…第3整流ダイオード、802、812…第4整流ダイオード、813…第6整流ダイオード。
図1
図2
図3
図4
図5
図6