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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】車両用クラッチユニット
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/08 20060101AFI20231102BHJP
   F16D 41/066 20060101ALI20231102BHJP
   B60N 2/16 20060101ALN20231102BHJP
【FI】
F16D41/08 Z
F16D41/066
B60N2/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018104581
(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公開番号】P2019210949
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-03-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】アイシンシロキ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】三笠 訓寛
(72)【発明者】
【氏名】笹沼 恭兵
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】中屋 裕一郎
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-114472(JP,A)
【文献】特開2018-59596(JP,A)
【文献】特開2002-45254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D41/08
F16D41/066
B60N 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートに用いられるクラッチユニットであって、
回転軸線回りに回転可能であり、中立位置に復帰可能な操作レバーと、
前記回転軸線回りに回転可能であり、前記操作レバーに入力された操作力を車両用シートに出力する出力軸部材と、
前記回転軸線と同軸に設けられ前記出力軸部材が挿入された入力側内輪部材と入力側外輪部材と、前記入力側内輪部材の外周面と前記入力側外輪部材の内周面との間に配置された入力側伝達部材と、を有する入力側クラッチと、
前記回転軸線と同軸に設けられた出力側内輪部材と出力側外輪部材と、前記出力側内輪部材の外周面と前記出力側外輪部材の内周面との間に配置された出力側伝達部材と、を有する出力側クラッチと、を有し、
前記入力側クラッチは、
前記入力側内輪部材及び前記入力側外輪部材の一方の部材が前記操作レバーの回転に伴って回転し、前記入力側伝達部材を介して前記入力側内輪部材及び前記入力側外輪部材の他方の部材を回転させることにより、前記操作レバーの回転を出力側クラッチに伝達し、
前記操作レバーを前記中立位置から駆動する駆動動作時には、前記操作レバーの回転を前記出力側クラッチに入力し、かつ、
前記操作レバーを駆動した後に前記中立位置へ復帰する復帰動作時には、前記出力軸部材の回転位置を保持したまま前記操作レバーを前記中立位置に復帰させるように構成されており、
前記出力側クラッチは、
車両用シート側から前記出力軸部材に入力された力による前記出力軸部材の回転を規制しつつ、前記入力側クラッチの前記他方の部材により前記操作レバーの回転が伝達されると前記出力軸部材の回転を許容するように構成されており、
前記操作レバーの前記中立位置への復帰動作時の前記一方の部材による前記他方の部材の共回りを抑制するように、前記他方の部材を前記回転軸線の方向に付勢し前記共回りさせる力より大きい回転抵抗力を前記他方の部材へ付与する回転抑制部材が設けられ、
前記回転抑制部材が前記回転軸線の方向に付勢する力を前記出力側伝達部材に伝達する圧力伝達部が設けられている、車両用クラッチユニット。
【請求項2】
前記回転軸線の方向について、前記出力側伝達部材の前記押圧力伝達部と反対側に固定部材が設けられており、前記固定部材は、前記出力側伝達部材が回転軸線の方向に付勢されることにより、前記出力側伝達部材に押圧される、請求項1に記載の車両用クラッチユニット。
【請求項3】
回転軸線の方向について、前記他方の部材と前記出力側内輪部材の間には隙が設けられている、請求項1に記載の車両用クラッチユニット。
【請求項4】
前記押圧力伝達部の外径は、前記出力側内輪部材の外径より大きく、かつ、前記出力側外輪の内径より小さい、請求項1に記載の車両用クラッチユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用クラッチユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用クラッチユニットとしては、特許文献1に記載のものが知られている。
この車両用クラッチユニットにおいては、入力側外輪部材とハウジングとの間にウェーブワッシャが配置され、互いを出力軸方向において離間する方向に付勢することにより、操作レバーが中立位置に復帰する際の入力側内輪部材の回転に伴って入力側外輪部材が共回りするのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-114472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の車両用クラッチユニットには、出力側内輪部材と出力側外輪部材の間に出力側伝達部材が移動可能に設けられている。本発明者は、車両用クラッチユニットに振動が作用したときに、この出力側伝達部材が振動して異音が生じる可能性があることに気が付いた。
【0005】
そこで本発明は、出力側伝達部材の振動に起因する異音が生じにくい車両用クラッチユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる車両用クラッチユニットは、
車両用シートに用いられるクラッチユニットであって、
回転軸線回りに回転可能であり、中立位置に復帰可能な操作レバーと、
前記回転軸線回りに回転可能であり、前記操作レバーに入力された操作力を車両用シートに出力する出力軸部材と、
前記回転軸線と同軸に設けられ前記出力軸部材が挿入された入力側内輪部材と入力側外輪部材と、前記入力側内輪部材の外周面と前記入力側外輪部材の内周面との間に配置された入力側伝達部材と、を有する入力側クラッチと、
前記回転軸線と同軸に設けられた出力側内輪部材と出力側外輪部材と、前記出力側内輪部材の外周面と前記出力側外輪部材の内周面との間に配置された出力側伝達部材と、を有する出力側クラッチと、を有し、
前記入力側クラッチは、
前記入力側内輪部材及び前記入力側外輪部材の一方の部材が前記操作レバーの回転に伴って回転し、前記入力側伝達部材を介して前記入力側内輪部材及び前記入力側外輪部材の他方の部材を回転させることにより、前記操作レバーの回転を出力側クラッチに伝達し、
前記操作レバーを前記中立位置から駆動する駆動動作時には、前記操作レバーの回転を前記出力側クラッチに入力し、かつ、
前記操作レバーを駆動した後に前記中立位置へ復帰する復帰動作時には、前記出力軸部材の回転位置を保持したまま前記操作レバーを前記中立位置に復帰させるように構成されており、
前記出力側クラッチは、
車両用シート側から前記出力軸部材に入力された力による前記出力軸部材の回転を規制しつつ、前記入力側クラッチの前記他方の部材により前記操作レバーの回転が伝達されると前記出力軸部材の回転を許容するように構成されており、
前記操作レバーの前記中立位置への復帰動作時の前記一方の部材による前記他方の部材の共回りを抑制するように、前記他方の部材を前記回転軸線の方向に付勢し前記共回りさせる力より大きい回転抵抗力を前記他方の部材へ付与する回転抑制部材が設けられ、
前記回転抑制部材が前記回転軸線の方向に付勢する力を前記出力側伝達部材に伝達する押圧力伝達部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、出力側伝達部材の振動に起因する異音が生じにくい車両用クラッチユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る車両用クラッチユニットを車両用シートリフタに適用した状態を示す側面図である。
図2】車両用クラッチユニットの分解斜視図である。
図3】車両用クラッチユニットの軸方向に沿う断面図である。
図4】操作板の動きを説明する図であって、(a)及び(b)は、それぞれ図3におけるA矢視図である。
図5】車両用クラッチユニットの内部動作を説明する図であって、(a)は図3におけるB-B断面図、(b)は図3におけるC-C断面図である。
図6】車両用クラッチユニットの内部動作を説明する図であって、(a)は図3におけるB-B断面図、(b)は図3におけるC-C断面図である。
図7】車両用クラッチユニットの内部動作を説明する図であって、(a)は図3におけるB-B断面図、(b)は図3におけるC-C断面図である。
図8】車両用クラッチユニットの内部動作を説明する図であって、(a)は図3におけるB-B断面図、(b)は図3におけるC-C断面図である。
図9】車両用クラッチユニットの内部動作を説明する図であって、(a)は図3におけるB-B断面図、(b)は図3におけるC-C断面図である。
図10】参考例に係る車両用クラッチユニットの内部動作を説明する図であって、(a)は図3におけるB-B断面図、(b)は図3におけるC-C断面図である。
図11】参考例に係る車両用クラッチユニットの内部動作を説明する図であって、(a)は図3におけるB-B断面図、(b)は図3におけるC-C断面図である。
図12】本発明の変形例に係る車両用クラッチユニットの分解斜視図である。
図13】変形例に係る車両用クラッチユニットの軸方向に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る車両用クラッチユニットの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る車両用クラッチユニットを車両用シートリフタに適用した状態を示す側面図である。図1に示すように、本実施形態に係る車両用クラッチユニット100は、車両用シート40に用いられる。車両用シート40は、着座シート40aと、背もたれ40bと、シートフレーム40cと、を有している。車両用クラッチユニット100は、着座シート40aのシートフレーム40cに固定される。車両用シート40には、車両用シートリフタ41が搭載されている。車両用シートリフタ41は、車両用クラッチユニット100を備えている。
【0011】
車両用シートリフタ41は、セクターギヤ41fと、リンク機構と、を備えている。車両用クラッチユニット100は、正逆に回転操作される操作レバー21を備えている。この操作レバー21によって正逆に回転駆動される出力軸部材30と一体のピニオンギヤ31が、車両用シートリフタ41のセクターギヤ41fと噛み合っている。
【0012】
リンク機構は、略上下方向に延びる第一リンク部材41cと、略上下方向に延びる第二リンク部材41dと、略横方向に延びる第三リンク部材41eと、を備えている。
第一リンク部材41cの上部と第二リンク部材41dの上部は、それぞれシートフレーム40cにそれぞれ軸部材41c1,41d1で回転自在に連結されている。第一リンク部材41cの下部と第二リンク部材41dの下部は、それぞれシートスライドアジャスタ41bのスライド可動部材41b1にそれぞれ軸部材41c2,41d2で回転自在に連結されている。
第三リンク部材41eの一端は、軸部材41c1よりも上方で軸部材41e1により第一リンク部材41cに連結されている。第三リンク部材41eの他端は、セクターギヤ41fに軸部材41e2で回転自在に連結されている。
【0013】
図1において、操作レバー21を反時計方向(上側)に回転させると、その回転方向の入力トルク(回転力)がピニオンギヤ31に伝達され、ピニオンギヤ31が反時計方向に回転する。すると、ピニオンギヤ31と噛合するセクターギヤ41fが時計方向に回転して、第三リンク部材41eが第一リンク部材41cの上部を上方に引っ張る。その結果、第一リンク部材41cと第二リンク部材41dが共に起立して、着座シート40aの座面が高くなる。着座シート40aの高さHを調整した後、操作レバー21に入力していた力を開放すると、操作レバー21が時計方向に回転して元の位置(以降の説明において、中立位置または中立状態と呼ぶ)に戻る。
【0014】
また、操作レバー21を時計方向(下側)に回転させた場合は、上記とは逆の動作によって、着座シート40aの座面が低くなる。また、高さ調整後に操作レバー21を開放すると、操作レバー21が反時計方向に回転して元の位置(中立位置、中立状態)に戻る。
そして、操作レバー21を開放した状態では、車両用クラッチユニット100によって出力軸部材30(ピニオンギヤ31)の回転にブレーキが掛けられる。このため、着座シート40aに上下方向の力が加わっても着座シート40aの上下方向への移動が阻止される。
【0015】
<車両用クラッチユニット>
次に、本実施形態に係る車両用クラッチユニット100を説明する。以下に説明するクラッチユニット100の構成部品は、特に断らない限り基本的に金属製である。
【0016】
図2は、車両用クラッチユニット100の分解斜視図である。図3は、車両用クラッチユニット100の軸方向に沿う断面図である。
図2および図3に示すように、車両用クラッチユニット100は、操作レバー21と、出力軸部材30と、入力側クラッチ50と、出力側クラッチ60と、ハウジング11と、を備えている。
【0017】
入力側クラッチ50は、操作レバー21によって駆動(作動)して、操作レバー21の回転を出力軸部材30に伝達する。出力側クラッチ60は、着座シート40aに上下方向の力が加わっても出力軸部材30の回転を阻止する。入力側クラッチ50と出力側クラッチ60は、ハウジング11に収容されている。ハウジング11は、操作レバー21の動作時に回転しない部材である。
【0018】
出力軸部材30は、図3の左右方向に延びる軸部材である。以降の説明において、「軸方向」とは出力軸部材30の延びる方向を意味する。図3に示したように、出力軸部材30は、図3の左方から右方に向かって、出力側クラッチ60と入力側クラッチ50とをこの順に貫通している。以降の説明において、図3における左方を軸方向における出力側、図3における右方を軸方向における入力側と呼ぶことがある。
【0019】
出力軸部材30には、ピニオンギヤ31と、大径円柱部32と、スプライン部33と、小径円柱部34とが、軸方向における出力側から入力側に向かってこの順に設けられている。
【0020】
ピニオンギヤ31は、出力軸部材30の軸方向における出力側の端部に設けられている。大径円柱部32は、後述する出力側クラッチ60の出力側外輪部材62に固定されるメタルブッシュ13に回転可能に支持されている。小径円柱部34は、後述する入力側クラッチ50の入力側内輪部材51および入力側外輪部材52と、ハウジング11とに回転可能に支持されている。スプライン部33の外周面には複数の溝部が形成されている。スプライン部33は、後述する出力側クラッチ60の出力側内輪部材61にスプライン結合されている。
【0021】
出力軸部材30の小径円柱部34には、ストッパリング36が装着されている。ストッパリング36は、円筒状の嵌合部36aと、嵌合部36aよりも軸方向における出力側に位置する円板状のフランジ部36bとを有している。嵌合部36aに出力軸部材30の小径円柱部34が嵌め込まれる。フランジ部36bは、後述する第二付勢部材25に当接し、第二付勢部材25、後述する操作板22、ハウジング11、入力側クラッチ50、および出力側クラッチ60が出力軸部材30から抜け出ることを防止する。
【0022】
ハウジング11は、カップ状(有底円筒状)の部材であり、底面11aと筒状部11bとを有している。筒状部11bの底面11aよりも軸方向における出力側の端部に、径方向に突出する2個の固定フランジ11cが形成されている。固定フランジ11cには、固定ボルト挿通孔11dが設けられている。この固定ボルト挿通孔11dに挿し込んだボルト(図示略)をシートフレーム40cのネジ孔にねじ込むことで、ハウジング11がシートフレーム40cに固定される。なお、ハウジング11にかしめ部を設けて、該かしめ部をシートフレーム40cにかしめることで、ハウジング11をシートフレーム40cに固定してもよい。
一方の固定フランジ11cには、バネ係止片24aを有するバネ係止部24が固定されている。バネ係止片24aは、ハウジング11の筒状部11bに沿って軸方向における入力側へ延びている。
【0023】
底面11aの径方向における中心部には、バーリング加工によって、筒状の軸受11gが形成されている。軸受11gは、底面11aから軸方向の入力側に向かって延びている。また、底面11aには、円弧状の長孔からなる3つの窓部11hと、この窓部11hの縁部から軸方向の出力側に向かって延びる3つの突出片11iとが形成されている。
【0024】
操作レバー21は、例えば、合成樹脂から成形されたもので、後述する操作板22に固定されている。操作レバー21は、操作板22に固定される固定部21aと、固定部21aから径方向における外方へ延びる棒状の把持部21bと、を有している。
操作板22は、回転軸線の方向(軸方向)において、ハウジング11と操作レバー21の間に設けられている。操作板22は、操作者が操作レバー21の把持部21bを把持して操作レバー21を回転軸線の回りに正逆に回転操作すると、操作レバー21と一体に正逆に回転する。操作板22は、ハウジング11に回転可能に支持されている。
【0025】
操作板22は、径方向における中央に挿通孔22aを有している。この挿通孔22aには、出力軸部材30の小径円柱部34が挿通されている。また、操作板22は、挿通孔22aの周りに、矩形状の3つの係合孔22bと、円形の固定孔22cとを有している。固定孔22cに挿通させたネジ(図示略)を操作レバー21にねじ込むことで操作板22が操作レバー21に固定される。
【0026】
操作板22の外周縁には、操作片部22dと、一対の規制片部22eと、が設けられている。操作片部22dは、一対の規制片部22eの間に設けられている。操作片部22dと一対の規制片部22eとは、軸方向における出力側に向かって延びている。
【0027】
ハウジング11の外周には、戻しばね23が設けられている。戻しばね23は、操作レバー21に操作力が加わらないとき(操作力を開放したとき)、操作レバー21(および操作板22)を中立位置に復帰させるばねである。戻しばね23は、両自由端部23aを互いに接近させた円弧状をなす例えば板ばねである。戻しばね23の両自由端部23aの間には、ハウジング11に固定されたバネ係止部24のバネ係止片24aと、操作板22の操作片部22dとが配置されている。
【0028】
第二付勢部材25は、回転軸線の方向において、操作板22とストッパリング36との間に設けられている。第二付勢部材25は、操作板22よりもハウジング11の底面11aから遠い位置(軸方向における入力側)に設けられている。第二付勢部材25は、バネ鋼をリング状に形成したウェーブワッシャ等からなるもので、周方向に沿って複数の湾曲部分が交互に形成された波形形状とされている。第二付勢部材25は、操作板22に対して、ハウジング11の底面11aに向かって押圧する付勢力を作用させている。
【0029】
図4は、操作板22の動きを説明する図である。図4は、図3におけるA矢視図である。図4の(a)は中立状態、図4の(b)は駆動状態を示す。
図4の(a)に示すように、操作者が操作レバー21に操作力を加えない状態(中立状態)では、戻しばね23の一対の自由端部23aが共にバネ係止片24aおよび操作片部22dに当接しており、操作レバー21が中立位置に支持されている。
【0030】
図4の(b)に示すように、操作者が操作レバー21を回転軸線の回りにおける正逆のいずれかに回転操作して駆動状態とすると、操作レバー21と共に操作板22がハウジング11に対して回転する。すると、一対の自由端部23aのうちの一方の自由端部23aがハウジング11に固定されたバネ係止片24aとの係合状態を維持し、他方の自由端部23aが操作板22の操作片部22dに係合して一方の自由端部23aから離反する方向に移動する。したがって、戻しばね23が撓んで中立位置への復帰力が作用した状態となる。
【0031】
操作レバー21の回転量が所定量に達すると、操作板22の規制片部22eが、バネ係止片24aに当接している自由端部23aに当接し、操作レバー21のそれ以上の回転が規制される。
【0032】
<入力側クラッチ>
図2および図3に戻り、入力側クラッチ50は、入力側内輪部材51と、入力側外輪部材52と、回転抑制部材53と、操作ブラケット(操作部材の一例)54と、入力側クラッチコロ(入力側伝達部材の一例)55と、入力側コロ付勢バネ56と、を備えている。
【0033】
入力側内輪部材51は、軸方向に延びる円柱状の部材である。入力側内輪部材51は、中心に出力軸部材30の小径円柱部34が挿通される挿通孔51aを有している。入力側内輪部材51の軸方向における入力側の面には、3つの突起部51bが形成されている(図3参照)。入力側内輪部材51の外周縁には、外方へ膨出する3つの楔カム部51cが等間隔に設けられている。
【0034】
操作ブラケット54は、略円板状の部材である。操作ブラケット54は、径方向における中心に出力軸部材30の小径円柱部34が挿通される挿通孔54aを有している。また、操作ブラケット54は、入力側内輪部材51の突起部51bが嵌合される3つの嵌合孔54bを有している。これらの突起部51bと嵌合孔54bとの嵌合構造によって、それぞれ別体の入力側内輪部材51と操作ブラケット54とは、互いに一体的に回転するように、かつ、回転軸線の方向に相対移動可能に連結されている。
【0035】
操作ブラケット54の外周縁には、3つの爪部54cが設けられている。これらの爪部54cは、ハウジング11の底面11aに形成された窓部11hを貫通し、操作板22の係合孔22bに嵌合されている。これにより、操作ブラケット54は、操作板22と連結されて操作板22と一体的に回転するように構成されている。また、入力側内輪部材51は、操作ブラケット54を介して操作板22に固定されている。
【0036】
回転抑制部材53は、回転軸線の方向において、入力側外輪部材52と操作ブラケット54との間に設けられている。回転抑制部材53は、入力側外輪部材52の軸方向における入力側に設けられている。回転抑制部材53は、バネ鋼をリング状に形成したウェーブワッシャ等からなるもので、周方向に沿って複数の湾曲部分が交互に形成された波形形状とされてい
【0037】
回転抑制部材53の軸方向における出力側の面は、入力側外輪部材52に当接する。具体的には、回転抑制部材53の出力側の面は入力側外輪部材52の外周縁部に当接する。回転抑制部材53の入力側の面は、操作ブラケット54に当接する。具体的には、回転抑制部材53の入力側の面は、操作ブラケット54の外周縁部54eに当接する。
回転抑制部材53は、入力側外輪部材52と操作ブラケット54とを互いに離間させる方向へ付勢している。回転抑制部材53は、入力側外輪部材52を軸方向における出力側へ押圧し、操作ブラケット54を軸方向における入力側へ押圧している。
【0038】
入力側外輪部材52は、底部52bと、外輪部52cと、固定部52dと、を有している。底部52bは、円板状の部位である。底部52bの径方向における中心に出力軸部材30の小径円柱部34が挿通される挿通孔52aが設けられている。外輪部52cは、底部52bの外縁部から軸方向における入力側へ延びるように形成された円筒状の部位である。外輪部52cの軸方向における出力側の端部に底部52bが設けられている。固定部52dは、挿通孔52aの外縁から軸方向の出力側へ突出されている。固定部52dの外周面には、スプライン溝が形成されている。固定部52dは、後述する出力側クラッチ60の解除ブラケット64とスプライン結合する。
【0039】
転軸線の方向において、入力側外輪部材52と操作ブラケット54とが互いに対向している領域に回転抑制部材53の少なくとも一部が配置されている(図3参照)。
【0040】
図5は、図4の(a)に示した中立状態における車両用クラッチユニット100を示す図である。図5の(a)は、図3におけるB-B断面図であり、中立状態における出力側クラッチ60を示している。図5の(b)は、図3におけるC-C断面図であり、中立状態における入力側クラッチ50を示している。
【0041】
図5の(b)に示すように、入力側外輪部材52の内周面と入力側内輪部材51の外周面との間には、隙間が設けられている。入力側外輪部材52の内周面は円周面である一方で、入力側内輪部材51の外周面には外方へ膨出する3つの楔カム部51cが設けられている。このため、入力側外輪部材52の内周面と入力側内輪部材51の外周面との間の隙間には、径方向の両端が楔状に先細りになった部分が3つ形成されている。この隙間に、ハウジング11の3つの突出片11iが突出している。操作レバー21によって入力側内輪部材51が回転されると、突出片11iが入力側クラッチコロ55の動きを規制する。
【0042】
入力側クラッチ50は、6個の入力側クラッチコロ55と、3個の入力側コロ付勢バネ56と、を有している。入力側クラッチコロ55および入力側コロ付勢バネ56は、入力側内輪部材51の外周面と、入力側外輪部材52の外輪部52cの内周面との間に配置されている。
【0043】
入力側コロ付勢バネ56は、径方向について、入力側内輪部材51の楔カム部51c同士の間に配置されている。また、入力側クラッチコロ55は、入力側内輪部材51の楔カム部51cの両側に一対ずつ配置されている。これらの一対の入力側クラッチコロ55の間に、ハウジング11の突出片11iが配置されている。
【0044】
<出力側クラッチ>
図2および図3に戻り、出力側クラッチ60は、出力側内輪部材61と、出力側外輪部材62と、解除ブラケット(押圧力伝達部の一例)64と、出力側クラッチコロ(出力側伝達部材の一例)65と、出力側コロ付勢バネ66と、を備えている。
【0045】
出力側外輪部材62は、略円筒状の部材である。出力側外輪部材62は、出力軸部材30の回転軸線と同軸に設けられ、出力側内輪部材61に対して相対回転可能である。出力側外輪部材62は、出力側内輪部材61の外周側に配置されている。出力側外輪部材62の内側穴の内周面は、メタルブッシュ13の円筒部13bを介して出力軸部材30の大径円柱部32を回転可能に支持している。メタルブッシュ13のフランジ部13aは、出力側内輪部材61に摺接し、出力側内輪部材61が出力軸部材30から抜け出ることを防止している。メタルブッシュ13の円筒部13bは樹脂製である。メタルブッシュ13は、出力軸部材30に摩擦力を作用させて、車両用シート40を下降させる際の出力軸部材30の回転速度を抑制する。
【0046】
出力側外輪部材62は、円板状の底部62aと、底部62aから軸方向の入力側に延びる筒状の第一円筒部62bと、底部62aから軸方向の出力側に延びる第二円筒部62cと、を備えている。第二円筒部62cは、第一円筒部62bよりも小径である。
出力側外輪部材62の外周縁には、2か所にテーパ部62dが設けられている。ハウジング11に設けられたかしめ部11fを径方向内側に折り曲げてこの出力側外輪部材62の外周縁にかしめることにより、出力側外輪部材62はハウジング11に対して回転不能に固定されている。
【0047】
出力側内輪部材61は、略円筒状の部材である。出力側内輪部材61は、出力軸部材30の回転軸線と同軸に設けられ、出力軸部材30と一体に回転する。出力側内輪部材61は、出力側外輪部材62の第一円筒部62bよりも小径の部材である。出力側内輪部材61の内側穴の内周面には複数の溝部が設けられ、出力軸部材30のスプライン部33が結合されるスプライン部61aとされている。出力側内輪部材61の軸方向における入力側の面には、6つの突起部61bが形成されている(図3参照)。出力側内輪部材61の外周部には、外方へ膨出する6つの楔カム部61cが等間隔に形成されている。
【0048】
解除ブラケット64は、略円板状の部材であり、出力側内輪部材61の軸方向における入力側に配置されている。解除ブラケット64は、入力側外輪部材52に連結されており、入力側外輪部材52と共に回転する。解除ブラケット64の外径は、出力側内輪部材61の外径より大きく、かつ、出力側外輪部材62の第一円筒部62bの内径よりも小さく形成されている。解除ブラケット64は、出力側内輪部材61、出力側外輪部材62、入力側内輪部材51、および入力側外輪部材52とは別体の部材である。
【0049】
解除ブラケット64は、その外周縁部が出力側クラッチコロ65に当接するように設けられている。また、解除ブラケット64は、出力側クラッチコロ65を変位させて、出力側内輪部材61と出力側外輪部材62とが相対回転不能なロック状態と、出力側内輪部材61と出力側外輪部材62とが相対回転可能なロック解除状態と、を切り替え可能である。ロック状態とロック解除状態の詳細は後述する。
【0050】
解除ブラケット64の中央部には、内周面に複数の溝部を有する第一係合穴64aが形成されている。第一係合穴64aは、入力側外輪部材52の固定部52dとスプライン結合する。これにより、解除ブラケット64は、入力側外輪部材52と共に回転可能とされている。
【0051】
解除ブラケット64は、出力側内輪部材61の突起部61bが挿入される複数の第二係合孔64bを有している。これらの第二係合孔64bは、それぞれ周方向に延びる長孔である。この第二係合孔64b内で突起部61bが周方向へ僅かに変位可能とされている。つまり、解除ブラケット64と出力側内輪部材61とは、第二係合孔64b内で突起部61bが変位する範囲で相対的に回転可能とされている。解除ブラケット64の外周縁には、軸方向における出力側に向かって延びる6つの突出片64cが設けられている。
なお、この解除ブラケット64は、回転抑制部材53から入力側外輪部材52に出力軸方向における出力側に付勢される付勢力を出力側クラッチコロ65に伝達することができるように構成されている。
【0052】
図5の(a)に示すように、出力側外輪部材62の内周面と出力側内輪部材61の外周面との間には、隙間が設けられている。出力側外輪部材62の内周面は円周面である一方で、出力側内輪部材61の外周面には外方へ膨出する6つの楔カム部61cが設けられている。このため、出力側外輪部材62の内周面と出力側内輪部材61の外周面との間の隙間には、径方向の両端が楔状に先細りになった部分が6つ形成されている。これらの部分の隙間に、解除ブラケット64の6つの突出片64cが突出している。解除ブラケット64が回転されると、突出片64cが隙間の内部を移動する。
【0053】
出力側クラッチ60は、12個の出力側クラッチコロ65と、6個の出力側コロ付勢バネ66と、を有している。出力側クラッチコロ65および出力側コロ付勢バネ66は、出力側内輪部材61の外周面と、出力側外輪部材62の第一円筒部62bの内周面との間の隙間に配置されている。出力側クラッチコロ65は、出力側内輪部材61の外周面と出力側外輪部材62の内周面との間に配置されて、出力側内輪部材61と出力側外輪部材62との間で回転力を伝達可能な部材である。出力側クラッチコロ65は、軸方向における入力側の面が解除ブラケット64の外周縁部に当接するように設けられている。
【0054】
出力側コロ付勢バネ66は、径方向について、出力側内輪部材61の楔カム部61c同士の間に配置されている。また、出力側クラッチコロ65は、出力側内輪部材61の楔カム部61cの両側に一対ずつ配置されている。これらの一対の出力側クラッチコロ65の間に、解除ブラケット64の突出片64cが配置されている。これらの出力側クラッチコロ65は、出力側コロ付勢バネ66によって楔カム部61cの頂部へ向かって付勢されている。
【0055】
次に、上記構成の車両用クラッチユニット100の動作について説明する。なお、以降の説明では、操作レバー21を反時計回りに回転させる場合を説明する。操作レバー21を時計回りに回転させる場合は、以降の説明と回転方向が逆になるだけであるので、その説明を省略する。
【0056】
<操作レバーの回転操作>
図4の(a)に示すように、車両用クラッチユニット100は、中立状態において、戻しばね23の一対の自由端部23aがバネ係止片24aおよび操作片部22dに当接されている。
【0057】
図4の(b)に示すように、中立位置から、操作レバー21が反時計方向に回転角度αだけ回転されると、一対の自由端部23aのうちの一方の自由端部23aがバネ係止片24aとの係合状態を維持し、他方の自由端部23aが操作板22の操作片部22dに係合して一方の自由端部23aから離反する方向に移動する。
そして、操作板22の規制片部22eが、バネ係止片24aに当接している自由端部23aに当接すると、操作レバー21の回転が規制される。この操作レバー21の回転が規制された状態が操作レバー21の最大操作状態となる。つまり、操作レバー21は、中立状態から最大操作状態までの回転角度が最大操作角αmaxとなるまでの範囲で回転可能とされている。また、操作レバー21が回転されることで、戻しばね23が撓んで中立位置へ戻す方向へ復帰力が作用した状態となる。
【0058】
次に、中立状態から最大操作状態までの動作について説明する。
【0059】
<中立状態>
図5の(a)は、中立状態における出力側クラッチ60を示している。図5の(a)に示すように、中立状態において、出力側クラッチ60では、出力側クラッチコロ65が出力側コロ付勢バネ66によって楔カム部61cの頂部へ向かって付勢されている。これにより、出力側クラッチコロ65が、出力側内輪部材61における楔カム部61cと出力側外輪部材62における第一円筒部62bの内周面との間の楔状の隙間に食い込んでいる。
【0060】
より具体的には、第一出力側クラッチコロ65aが位置している隙間は、反時計方向に向かって先細りの楔形状である。第一出力側クラッチコロ65aは、出力側コロ付勢バネ66によって反時計方向に付勢されている。このため、第一出力側クラッチコロ65aは、反時計方向に出力側内輪部材61と出力側外輪部材62とに食い込んでいる。第二出力側クラッチコロ65bが位置している隙間は、時計方向に向かって先細りの楔形状である。第二出力側クラッチコロ65bは、出力側コロ付勢バネ66によって時計方向に付勢されている。このため、第二出力側クラッチコロ65bは、時計方向に出力側内輪部材61と出力側外輪部材62とに食い込んでいる。
【0061】
出力側外輪部材62は、ハウジング11に対して移動不可能である。また、第一出力側クラッチコロ65aおよび第二出力側クラッチコロ65bは、出力側内輪部材61と出力側外輪部材62の両者に反時計方向および時計方向に食い込んでいる。このため、出力側内輪部材61および出力側外輪部材62は回転できない。この結果、出力側内輪部材61にスプライン結合されている出力軸部材30も回転できない。
【0062】
このように、中立状態では、出力側内輪部材61と出力側外輪部材62とが、回転不能なロック状態とされているので、車両用シート40側から出力軸部材30に回転力が付与されても出力軸部材30は回転することがない。これにより、車両用シート40は、その高さが保持された状態で固定される。
【0063】
図5の(b)は、中立状態における入力側クラッチ50を示している。図5の(b)に示すように、中立状態において、入力側クラッチ50では、入力側クラッチコロ55が入力側コロ付勢バネ56に接触しており、入力側クラッチコロ55が入力側コロ付勢バネ56によって楔カム部51cの頂部へ向かって付勢されている。このため、中立状態において、入力側クラッチコロ55が入力側内輪部材51と入力側外輪部材52とに食い込んでいる。これにより、操作レバー21が回転されると、入力側外輪部材52は、入力側クラッチコロ55を介して入力側内輪部材51と共に回転することができる。
【0064】
<回転の初期段階>
図6は、操作レバー21を中立位置から微小角度α1だけ反時計方向に回転させた状態を示す図である。図6の(a)は出力側クラッチ60を示し、図6の(b)は入力側クラッチ50を示す。
図6の(b)に示すように、中立位置から操作レバー21が反時計方向に角度α1だけ回転されると、その回転が、操作板22および操作ブラケット54を介して入力側内輪部材51に伝達される。すると、この入力側内輪部材51が操作レバー21と共に角度α1だけ回転され、入力側クラッチコロ55を介して入力側外輪部材52が入力側内輪部材51と共に回転される。
【0065】
入力側クラッチ50の入力側外輪部材52は、解除ブラケット64とスプライン結合している。このため、入力側外輪部材52が回転されると、図6の(a)に示すように、解除ブラケット64も入力側外輪部材52と共に角度β1だけ回転する。
なお、図6の(a)に示した状態では、解除ブラケット64の第二係合孔64bの内周面が出力側内輪部材61の突起部61bに当接していない。このため、出力側内輪部材61や出力側外輪部材62には入力側外輪部材52からの回転が伝達されず、出力側内輪部材61や出力側外輪部材62は回転しない。
【0066】
<出力側ロック解除>
図7は、図6の状態からさらに反時計方向へ操作レバー21を回転させた状態を示す図である。図7の(a)は出力側クラッチ60を示し、図7の(b)は入力側クラッチ50を示す。
図7(b)に示すように、操作レバー21が反時計方向にさらに回転されると、入力側内輪部材51および入力側外輪部材52が回転されて入力側内輪部材51および入力側外輪部材52の回転角度がα2(α2>α1)になる。
【0067】
すると、図7(a)に示すように、入力側外輪部材52と共に回転する解除ブラケット64が角度β2まで回転される。解除ブラケット64の回転角度がβ2(出力側ロック解除角度)に達すると、解除ブラケット64の突出片64cが、突出片64cの反時計方向に隣接する出力側クラッチコロ65cに当接し、出力側クラッチコロ65cを反時計回転方向へ押圧する。すると、楔カム部61cと第一円筒部62bの内周面とへの、出力側クラッチコロ65cの食い込みが解除される。これにより、出力側外輪部材62と出力側内輪部材61とが反時計方向へ回転可能な状態となる。
【0068】
<回転力伝達状態>
図8は、図7の状態からさらに反時計方向へ操作レバー21を回転させた状態を示す図である。図8の(a)は出力側クラッチ60を示し、図8の(b)は入力側クラッチ50を示す。
図8の(b)に示すように、操作レバー21が反時計方向へさらに回転されると、入力側内輪部材51および入力側外輪部材52が回転されて入力側内輪部材51および入力側外輪部材52の回転角度がα3(α3>α2)となる。
【0069】
すると、図8の(a)に示すように、解除ブラケット64が反時計方向へ角度β3(β3>β2)まで回転される。そして、この解除ブラケット64の回転角度がβ3に達すると、解除ブラケット64の第二係合孔64bの内周面が、出力側内輪部材61の突起部61bに当接する。これにより、解除ブラケット64の回転が出力側内輪部材61に伝達可能な状態となる。また、図7で述べたように、出力側内輪部材61および出力側外輪部材62は、既に反時計方向へ回転可能となっている。このため、図8の状態からさらに操作レバー21を反時計方向へ回転させると、出力側内輪部材61および出力側外輪部材62が反時計方向へ回転し、出力側内輪部材61にスプライン結合した出力軸部材30が反時計方向へ回転する。これにより、車両用シート40の着座シート40aの高さが変位される。
【0070】
<最大回転状態>
図9は、最大操作角αmaxまで反時計方向へ操作レバー21を回転させた状態を示す図である。図9の(a)は出力側クラッチ60を示し、図9の(b)は入力側クラッチ50を示す。
操作レバー21が最大操作角αmaxに達するまで回転されると、車両用クラッチユニット100は、最大回転状態となる。この状態において、操作板22の規制片部22eが、バネ係止片24aに当接している自由端部23aに当接し、操作レバー21の回転が規制される(図4(b)参照)。
【0071】
この最大回転状態では、図9の(b)に示すように、入力側内輪部材51および入力側外輪部材52の反時計方向への回転角度αも最大回転角度αmaxとなる。また、図9(a)に示すように、解除ブラケット64の反時計方向の回転角度が最大回転角度βmaxとなる。そして、この解除ブラケット64と共に回転される出力側内輪部材61の反時計方向への回転角度γが最大回転角度γmaxとなる。
【0072】
<中立状態への復帰>
操作レバー21による一度の回転操作が終了し、操作者が操作レバー21に付与していた回転力を解除すると、撓んでいる戻しバネ23による復帰力で操作レバー21が初期の中立位置へ向かって時計回りに回転される。すると、入力側クラッチ50では、操作レバー21が時計回りに回転されることで、操作板22および操作ブラケット54を介して入力側内輪部材51が時計方向へ回転される。
【0073】
ところで、入力側内輪部材51の回転角度が、図6の(b)に示した回転角度α1より大きな回転角度(図7図9に示した状態)になると、ハウジング11の突出片11iが、ハウジング11の突出片11iに対して時計方向に隣接する入力側クラッチコロ55aに当接し、該入力側クラッチコロ55aを時計方向へ押圧する。これにより、楔カム部51cと外輪部52cとへの、該入力側クラッチコロ55aの食い込みが解除される。この状態から入力側内輪部材51が時計方向に回転しようとすると、該入力側クラッチコロ55aは、入力側内輪部材51の時計方向の回転を入力側外輪部材52に伝達することができない。
【0074】
このため、入力側内輪部材51の回転角度が、図6の(b)に示した回転角度α1より大きな回転角度になる状態(図7図9に示した状態)においては、入力側内輪部材51は、入力側外輪部材52に対して空転し、入力側内輪部材51のみが時計方向へ回転し、入力側外輪部材52は回転しない。これにより、操作レバー21が中立位置へ戻される際に、入力側内輪部材51だけが操作レバー21と共に中立位置(図5(b)参照)へ戻され、出力側クラッチ60では、解除ブラケット64が回転されることがなく、結果的に、出力軸部材30は回転位相が維持された状態となる(図9(a)参照)。
【0075】
このように、上記の車両用クラッチユニット100では、入力側クラッチ50は、操作レバー21が中立位置から駆動される操作時には、入力側内輪部材51が操作レバー21の回転に伴って回転し、入力側クラッチコロ55を介して入力側外輪部材52を回転させることにより、操作レバー21の回転を出力側クラッチ60に伝達する。そして、操作レバー21を操作した後に中立位置へ復帰する復帰動作時には、出力軸部材30の回転位置を保持したまま操作レバー21を中立位置に復帰させる。また、出力側クラッチ60は、車両用シート40側から出力軸部材30に入力された力による出力軸部材30の回転を規制する。
【0076】
<共回り>
ここで、図10および図11を用いて、入力側外輪部材52の共回りについて説明する。図10および図11は、上述したように動作し、かつ、回転抑制部材53を備えていない車両用クラッチユニットにおいて、中立位置へ戻る際の状態を示している。図10は最大回転状態(図9)からの戻り始めの状態を示し、図11は操作レバー21が中立状態へ復帰した状態を示している。
【0077】
操作レバー21による反時計方向の回転操作の終了後に操作レバー21が中立位置へ戻る際には、前述したように、入力側クラッチ50では、操作レバー21が時計方向に回転され、操作板22および操作ブラケット54を介して入力側内輪部材51が時計方向へ回転される。図10は、最大回転状態から操作レバー21を開放した直後の状態を示し、入力側内輪部材51が最大回転角度αmaxより僅かに小さいα4の状態を示している。
【0078】
このとき、図10の(b)に示すように、入力側クラッチ50では、ハウジング11の突出片11iよりも時計方向に位置する入力側クラッチコロ55aは、入力側内輪部材51と入力側外輪部材52との食い込みが解除されている。しかし、ハウジング11の突出片11iよりも反時計方向に位置する入力側クラッチコロ55bは、入力側コロ付勢バネ56に押圧されて、入力側内輪部材51と入力側外輪部材52とに食い込んだ状態のままである。
【0079】
このように、入力側クラッチコロ55bが入力側コロ付勢バネ56に押圧されている状態では、入力側クラッチコロ55bと入力側内輪部材51との間、および、入力側クラッチコロ55bと入力側外輪部材52との間、に摩擦力が作用している。この摩擦力は、入力側コロ付勢バネ56が自然長に戻り、入力側クラッチコロ55bが入力側コロ付勢バネ56に押圧されなくなるまで作用し続ける。その結果、本来は、操作レバー21の復帰動作時には入力側外輪部材52は回転させずに入力側内輪部材51のみを回転させたいところ、入力側内輪部材51の時計回りの回転が入力側クラッチコロ55bを介して入力側外輪部材52に伝達されてしまう。
【0080】
すると、この入力側外輪部材52の意図しない時計方向への回転(共回り)が、スプライン結合している解除ブラケット64に伝達されてしまう。これにより、図10の(a)に示すように、解除ブラケット64の反時計方向への回転角度が最大回転角度βmaxよりも僅かに小さい回転角度β4となる。この意図しない入力側外輪部材52の回転に伴い、解除ブラケット64の第二係合孔64bの内周面と出力側内輪部材61の突起部61bとが当接した状態から、第二係合孔64bの内周面と突起部61bとの間に微小な隙間Gが形成された状態となってしまう。
【0081】
その後、操作レバー21が中立位置へ戻され、図11(b)に示すように、入力側内輪部材51が中立位置へ戻されても、図11(a)に示すように、解除ブラケット64は、隙間Gの分だけ時計方向へ変位したままとなる。
【0082】
その結果、図11の状態から、出力軸部材30を再び反時計方向へ回転させるべく、再度操作レバー21を反時計方向に回転させる場合には、第二係合孔64bの内周面と突起部61bとの間に形成された隙間Gの分だけ、解除ブラケット64の回転が出力側内輪部材61に伝達されるタイミングが遅れ、応答性を損なうことになる。
【0083】
そこで、本実施形態に係る車両用クラッチユニット100では、図2および図3に示したように、入力側クラッチ50の入力側外輪部材52と操作ブラケット54との間に、回転抑制部材53が設けられている。この回転抑制部材53は、操作レバー21の中立位置への復帰動作時の入力側内輪部材51による入力側外輪部材52の共回りを抑制するように、入力側外輪部材52と操作レバー21の復帰動作時に回転しないハウジング11との間に入力側外輪部材52を共回りさせる力より大きい回転抵抗力を付与する。本実施形態において、回転抑制部材53は、回転軸線の方向において、入力側外輪部材52と操作ブラケット54とを互いに離間する方向へ付勢している。
【0084】
回転抑制部材53は、入力側外輪部材52を軸方向における出力側へ付勢している。一方、回転抑制部材53は、操作ブラケット54を軸方向における入力側へ付勢している。このため、入力側外輪部材52は操作ブラケット54から出力側への軸方向の力を受けにくい。つまり、回転抑制部材53によって、操作ブラケット54の回転運動と無関係に入力側外輪部材52をその姿勢のままに維持しやすくされている。
また、入力側外輪部材52は回転抑制部材53によって解除ブラケット64に押し付けられており、入力側外輪部材52と解除ブラケット64との間に互いの相対回転を阻止しようとする摩擦力が生じている。このため、入力側外輪部材52は入力側内輪部材51または操作ブラケット54の回転につられて回転しにくくされている。
このようにして、回転抑制部材53は入力側外輪部材と操作ブラケット54との間に共回りさせる力より大きい回転抵抗力を付与することができ、共回りを抑制できる。
【0085】
さらに、回転抑制部材53は操作ブラケット54をハウジング11の底面11aに押し付けているので、操作レバー21の回動時に操作ブラケット54がガタつきにくい。
【0086】
このように本実施形態に係る車両用クラッチユニット100によれば、部品点数を増加させることなく操作レバー21のガタつきを抑制し、かつ、入力側外輪部材52または入力側内輪部材51の共回りを抑制できる。
【0087】
また、本実施形態に係る車両用クラッチユニット100によれば、解除ブラケット64(押圧力伝達部)は、回転抑制部材53が回転軸線の方向に付勢する力を出力側クラッチコロ65に伝達する。解除ブラケット64が出力側クラッチコロ65を軸方向に押圧することにより、出力側クラッチコロ65の軸方向の振動を抑制することができる。このため、出力側クラッチコロ65の軸方向の振動に起因する異音の発生を抑制することができる。
【0088】
したがって、車両用クラッチユニット100によれば、操作レバー21が中立位置に復帰する際の入力側内輪部材51と入力側外輪部材52との共回りを抑制しつつ、部品点数を増加することなく、出力側クラッチコロ65の振動に起因する異音の発生を抑制することができる。よって、本実施形態の車両用クラッチユニット100によれば、操作レバー21のガタつきが抑制され、さらに出力側クラッチコロ65のガタつきも抑制される。
【0089】
また、解除ブラケット(押圧力伝達部)64の外径は、出力側内輪部材61の外径より大きく、かつ、出力側外輪部材62の内径よりも小さく形成されている。このため、出力側外輪部材62と解除ブラケット64が径方向において摺接しないので、車両用クラッチユニット100の操作を軽快にすることができる。
【0090】
また、操作ブラケット54をハウジング11の底面11aに向けて軸方向の入力側へ付勢する回転抑制部材53が設けられているとともに、操作ブラケット54が連結された操作板22をハウジング11の底面11aに向けて軸方向の出力側へ付勢する第二付勢部材25が設けられている。このため、回転抑制部材53によって押されてハウジング11の底面11aに押しつけられる操作ブラケット54に作用する力が、第二付勢部材25によって低減される。これにより、操作ブラケット54とハウジング11の底面11aとの間に生じる摩擦力を低減し、車両用クラッチユニット100の操作を軽快にすることができる。
【0091】
また、回転抑制部材53は、回転軸線の方向において、入力側外輪部材52と操作ブラケット54とが互いに対向する領域に配置されている。このため、入力側外輪部材52と操作ブラケット54との係り代を増やすことができ、回転抑制部材53による付勢力を効率よく入力側外輪部材52に対して入力することができる。また、回転抑制部材53が、入力側外輪部材52と操作ブラケット54との間に位置しているので、回転抑制部材53が入力側外輪部材52と操作ブラケット54を軸方向に離間する方向に押圧しやすい。
【0092】
なお、上述した実施形態では、回転抑制部材53としてウェーブワッシャを用いた例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、共回りを抑制させるとともに、操作レバー21のがたつきを抑制することが可能な圧縮バネを用いるようにしてもよい。
【0093】
また、上述の実施形態では、操作レバー21と共に入力側内輪部材51(一方の部材)が回転する構成を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、操作レバー21と共に入力側外輪部材が回転する構成を採用してもよい。この場合には、回転抑制部材53は、入力側外輪部材(一方の部材)による入力側内輪部材(他方の部材)の共回りを抑制するために、入力側内輪部材と操作ブラケット54との間に設けられる。
【0094】
<変形例>
図12は、本発明の変形例に係る車両用クラッチユニット200の分解斜視図である。図13は、本発明の変形例に係る車両用クラッチユニット200の軸方向に沿う断面図である。変形例に係る車両用クラッチユニット200の構成部材を示す符号を、上述した実施形態に係る車両用クラッチユニット100のそれぞれの構成部材を示す符号+100で示した。
【0095】
図12および図13に示すように、本変形例に係る車両用クラッチユニット200においても、回転軸線の方向において入力側外輪部材152と操作ブラケット154との間に回転抑制部材153が設けられており、この回転抑制部材153の付勢力によって、入力側外輪部材152と操作ブラケット154とが互いに離間される。
また、上述した実施形態と同様に、解除ブラケット164が回転抑制部材153の付勢力を出力側クラッチコロ165へ伝達する。これにより、出力側クラッチコロ165の軸方向の振動に起因する異音の発生が抑制されている。
【0096】
本変形例においては、バネ係止片124aがハウジング111の固定フランジ111cに設けられている。バネ係止片124aは、ハウジング111の筒状部111bに沿って軸方向における入力側へ延びている。バネ係止片124aは、戻しばね123の両自由端部123aの間に配置されている。
【0097】
また、本変形例においては、操作ブラケット154は、入力側内輪部材151に向かって突き出す3つの凸部154dを備えている。また、入力側内輪部材151は、操作ブラケット154の凸部154dが挿入される3つの凹部151dを備えている。そして、これらの凸部154dと凹部151dとの嵌合構造によって、操作ブラケット154と入力側内輪部材151とが互いに一体的に回転するように、かつ、回転軸線の方向に相対移動可能に連結されている。
【0098】
操作ブラケット154は、3つの拡径部154eを有している。この拡径部154eは、回転抑制部材153の外径よりも大きな外径を有している。回転抑制部材153はこの拡径部154eに当接して軸方向の力を作用させる。
【0099】
また、本変形例においては、入力側外輪部材152は、互いに等しい直径を有する複数の突起152aを備えている。解除ブラケット164は、複数の穴部164aを備えている。入力側外輪部材152と解除ブラケット164とは、突起152aと穴部164aとの係合構造によって係合されている。これにより、解除ブラケット164は、入力側外輪部材152と共に回転可能とされている。
【0100】
また、本変形例においては、回転軸線の方向において、出力側クラッチコロ165の解除ブラケット(押圧力伝達部)164と反対側に固定部材167が設けられている。固定部材167は、略板状の部材である。固定部材167は、出力軸部材130の回転軸線と同軸に設けられ、出力軸部材130に対して相対回転可能である。固定部材167の内側穴の内周面は、メタルブッシュ113の円筒部113bを介して出力軸部材130の大径円柱部132を回転可能に支持している。
【0101】
固定部材167は、中央部に軸方向の出力側に延びる円筒部167aが設けられ、外縁部に3つの固定ボルト挿通孔167bが設けられている。この固定ボルト挿通孔167bとハウジング111の固定ボルト挿通孔111dに挿し込んだボルト(図示略)をシートフレーム40cのネジ孔にねじ込むことで、固定部材167がハウジング111と共にシートフレーム40cに固定される。
【0102】
また、本変形例においては、出力側外輪部材162は、固定部材167がハウジング111と共にシートフレーム40cに固定されることにより、ハウジング111内に収納されるとともに、ハウジング111に固定される。
【0103】
また、本変形例によれば、固定部材167が、回転軸線の方向において、出力側クラッチコロ165の解除ブラケット(押圧力伝達部)164と反対側に設けられている。出力側クラッチコロ165が解除ブラケット164から回転軸線の方向に付勢されることにより、固定部材167が出力側クラッチコロ165に押圧される。このため、出力側クラッチコロ165が解除ブラケット164と固定部材167との間に挟まれて、回転抑制部材153による回転軸線の方向の力が出力側クラッチコロ165に作用する。したがって、車両用クラッチユニット200に振動が作用しても、出力側クラッチコロ165が振動しにくく異音が生じにくい。
【0104】
また、本変形例によれば、入力側外輪部材152と出力側内輪部材161との間に隙が設けられている。このため、出力側内輪部材161が解除ブラケット164から回転軸線の方向に付勢されない。したがって、出力側内輪部材161が固定部材167に押しつけられないため、車両用クラッチユニット100の操作を軽快にすることができる。
【0105】
なお、回転抑制部材153は、解除ブラケット164と入力側外輪部材152との間に設けられていてもよい。回転抑制部材153が解除ブラケット164を介して出力側クラッチコロ165を固定部材167に付勢することにより、出力側クラッチコロ165の回転軸線方向の振動を抑制することができる。
【0106】
また、解除ブラケット164と入力側外輪部材152は一体に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0107】
11:ハウジング、11a:底面、21:操作レバー、22:操作板、25:第二付勢部材、30:出力軸部材、50:入力側クラッチ、51:入力側内輪部材、52:入力側外輪部材、53:回転抑制部材、54:操作ブラケット(操作部材)、55:入力側クラッチコロ(入力側伝達部材)、56:入力側コロ付勢バネ、60:出力側クラッチ、61:出力側内輪部材、62:出力側外輪部材、64:解除ブラケット(押圧力伝達部)、65:出力側クラッチコロ(出力側伝達部材)、66:出力側コロ付勢バネ、100:車両用クラッチユニット、111:ハウジング、111a:底面、121:操作レバー、122:操作板、130:出力軸部材、150:入力側クラッチ、151:入力側内輪部材、152:入力側外輪部材、153:回転抑制部材、154:操作ブラケット(操作部材)、155:入力側クラッチコロ(入力側伝達部材)、156:入力側コロ付勢バネ、160:出力側クラッチ、161:出力側内輪部材、162:出力側外輪部材、164:解除ブラケット(押圧力伝達部)、165:出力側クラッチコロ(出力側伝達部材)、167:固定部材、200:車両用クラッチユニット
図1
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