(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】電解製錬炉
(51)【国際特許分類】
C21B 11/10 20060101AFI20231102BHJP
C22B 4/08 20060101ALI20231102BHJP
C22B 9/20 20060101ALI20231102BHJP
C25C 1/06 20060101ALI20231102BHJP
C25C 3/34 20060101ALI20231102BHJP
C25C 7/00 20060101ALI20231102BHJP
C25C 7/06 20060101ALI20231102BHJP
F27B 3/08 20060101ALI20231102BHJP
F27D 11/08 20060101ALI20231102BHJP
F27D 11/10 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
C21B11/10
C22B4/08
C22B9/20
C25C1/06
C25C3/34 Z
C25C7/00 302Z
C25C7/06 302
F27B3/08
F27D11/08 E
F27D11/10
(21)【出願番号】P 2019115566
(22)【出願日】2019-06-21
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】宇多 信喜
(72)【発明者】
【氏名】小城 育昌
(72)【発明者】
【氏名】野間 彰
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0043220(US,A1)
【文献】特表2001-508130(JP,A)
【文献】特開平02-037281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25C 7/00
F27B 3/08
F27D 11/10
C22B 9/20
F27D 11/08
C25C 1/06
C25C 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄鉱石が導入される炉本体と、
該炉本体内の炉底に設けられた炉底電極と、
該炉本体内の炉底電極の上方に設けられて、溶融鉄鉱石を電解製錬する電極本体を有する複数の上部電極と、
を備え、
前記上部電極のうちの少なくとも一つは、
前記電極本体の内部に前記鉄鉱石を加熱溶融して前記溶融鉄鉱石とする加熱部を有する溶融用電極とされ、
前記加熱部は、前記電極本体に形成された貫通孔の内周面に配置された筒状のトーチ本体と、該トーチ本体の内周側に挿通されているプラズマトーチ電極と、を有し、
前記鉄鉱石が溶融する前の状態で、前記トーチ本体と前記プラズマトーチ電極との間に通電することで形成されるプラズマジェットによって前記鉄鉱石を溶融させる状態と、
前記鉄鉱石が溶融し始めた状態で、前記プラズマトーチ電極と前記炉底電極との間に通電することで形成されるプラズマジェットによって前記溶融鉄鉱石を加熱する状態との間で切り替え可能に構成されている電解製錬炉。
【請求項2】
前記炉底電極、及び前記上部電極の間に電圧を印加する精錬用電源部と、
前記精錬用電源部と独立して設けられ、前記炉底電極、及び前記プラズマトーチ電極の間に電圧を印加するスタートアップ用電源部と、
をさらに備える請求項1に記載の電解製錬炉。
【請求項3】
前記上部電極のうちの少なくとも1つには、該上部電極を上下方向に貫通することで前記鉄鉱石を前記炉本体に導く投入孔部が形成されている請求項
1又は2に記載の電解製錬炉。
【請求項4】
前記炉本体は、
前記炉底からさらに下方に向かって凹む排出用凹部と、
前記排出用凹部と外部とを連通させる排出路と、
前記排出路を開閉する開閉部と、
をさらに備える請求項1から
3のいずれか一項に記載の電解製錬炉。
【請求項5】
前記排出路は、前記排出用凹部の底面よりも上方に設けられ、該排出用凹部における前記排出路よりも下方の部分には、該下方の部分を外側から覆う外周加熱装置が設けられている請求項
4に記載の電解製錬炉。
【請求項6】
前記排出路に設けられ、該排出路を流通する前記溶融鉄鉱石、又は導電性を有するとともに流路を形成する耐火材を加熱することで粘性を変化させる排出路加熱部をさらに備える請求項
4又は5に記載の電解製錬炉。
【請求項7】
前記炉本体の側壁を貫通するスラグ排出路と、
該スラグ排出路に設けられ、該スラグ排出路を流通するスラグ、又は導電性を有するとともに流路を形成する耐火材を加熱することで粘性を変化させるスラグ排出路加熱部をさらに備える請求項
4から6のいずれか一項に記載の電解製錬炉。
【請求項8】
前記炉本体は、外部から投入された前記鉄鉱石を該炉本体に導く投入部をさらに備え、
前記炉底は、水平方向に前記投入部から前記排出用凹部に向かうに従って下方に向かって高さ位置が変化している請求項
4から7のいずれか一項に記載の電解製錬炉。
【請求項9】
前記排出路は、前記排出用凹部の底面に設けられ、
前記炉本体は、前記底面から上方に向かって前記溶融鉄鉱石中にガスを供給する撹拌ガス供給部をさらに備える請求項
4に記載の電解製錬炉。
【請求項10】
該炉本体の上方、及び下方の少なくとも一方に設けられ、前記溶融鉄鉱石を保温する補助加熱部をさらに備える請求項1から
9のいずれか一項に記載の電解製錬炉。
【請求項11】
前記上部電極と前記溶融鉄鉱石の上面との間の離間距離を検出する離間距離検出部と、
前記離間距離が予め定められた一定値となるように前記上部電極を上下方向に移動させる電極移動部と、をさらに備える請求項1から
10のいずれか一項に記載の電解製錬炉。
【請求項12】
内部に空間が形成されているチャンバと、
前記空間を真空状態とする真空ポンプと、
をさらに備え、
前記上部電極には、該上部電極を上下方向に貫通するとともに前記空間に連通する貫通孔が形成されている請求項1から
11のいずれか一項に記載の電解製錬炉。
【請求項13】
前記上部電極同士の間に上方からガスを供給することで、該上部電極同士の間に浮遊する前記鉄鉱石を沈降させる沈降ガス供給部をさらに備える請求項1から
12のいずれか一項に記載の電解製錬炉。
【請求項14】
鉄鉱石が導入される炉本体と、
該炉本体内の炉底に設けられた炉底電極と、
該炉本体内の炉底電極の上方に設けられて、溶融鉄鉱石を電解製錬する電極本体を有する複数の上部電極と、
を備え、
前記上部電極のうちの少なくとも一つは、
前記電極本体の内部に前記鉄鉱石を加熱溶融して前記溶融鉄鉱石とする加熱部を有する溶融用電極とされ、
前記上部電極同士の間に上方からガスを供給することで、該上部電極同士の間に浮遊する前記鉄鉱石を沈降させる沈降ガス供給部をさらに備える電解製錬炉。
【請求項15】
前記上部電極同士の間に設けられ、前記炉本体内に向かって進退動することで、該上部電極同士の間に浮遊する前記鉄鉱石を沈降させる沈降機構部をさらに備える請求項1から
14のいずれか一項に記載の電解製錬炉。
【請求項16】
鉄鉱石が導入される炉本体と、
該炉本体内の炉底に設けられた炉底電極と、
該炉本体内の炉底電極の上方に設けられて、溶融鉄鉱石を電解製錬する電極本体を有する複数の上部電極と、
を備え、
前記上部電極のうちの少なくとも一つは、
前記電極本体の内部に前記鉄鉱石を加熱溶融して前記溶融鉄鉱石とする加熱部を有する溶融用電極とされ、
前記上部電極同士の間に設けられ、前記炉本体内に向かって進退動することで、該上部電極同士の間に浮遊する前記鉄鉱石を沈降させる沈降機構部をさらに備える電解製錬炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解製錬炉に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば鉄鉱石を精錬するための技術として、これまで高炉や転炉による熱処理が広く用いられている。この方法では、金属材料となる鉄鉱石と、還元材としてのコークスとを炉内で燃焼させる。炉内ではコークス中に含まれる炭素が鉄から酸素を奪って熱と一酸化炭素、二酸化炭素を生じる。この反応熱によって鉄鉱石が溶融し、銑鉄が生成される。その後、銑鉄から酸素及び不純物を除去することで純鉄が得られる。
【0003】
ここで、上記の方法は、コークスを含む大量の炭素を必要とすることから、一酸化炭素や二酸化炭素の発生量が大きくなる。近年の大気汚染対策の厳格化に伴って、これら炭素を含むガスの発生量が抑えられた精錬技術が求められている。このような技術の一例として、下記特許文献1に記載された電解製錬法が挙げられる。
【0004】
電解製錬法では、平面状の炉底を有する炉の内部で、炉底電極と上部電極との間に溶融した鉄鉱石を介在させた状態で電圧を印加する。これにより、上部電極側には、スラグ成分を含む溶融電解質が析出し、炉底電極側に溶融鉄(純鉄)が析出する。上部電極としては、一例として鉄やクロム、バナジウム、タンタルを含む金属材料が用いられる。
図21に示すように、上部電極Tは、それぞれ上下方向に延びる棒状をなすとともに、水平面内で間隔をあけて格子状に配列されることが従来一般的である。炉底電極としては、一例としてモリブデンで形成された金属材料が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の電解製錬法では、炉の壁面を通じた放熱量が大きくなる。また、溶融前の鉄鉱石は通電しないので、電解製錬の電極は使用できない。このため、精錬開始に当たって炉に投入された鉄鉱石を一様に溶融させることが難しい場合がある。これにより、電解製錬炉の円滑な運用開始が妨げられてしまう。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、円滑に運用開始することが可能な電解製錬炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る電解製錬炉は、鉄鉱石が導入される炉本体と、該炉本体内の炉底に設けられた炉底電極と、該炉本体内の炉底電極の上方に設けられて、溶融鉄鉱石を電解製錬する電極本体を有する複数の上部電極と、を備え、前記上部電極のうちの少なくとも一つは、前記電極本体の内部に前記鉄鉱石を加熱溶融して前記溶融鉄鉱石とする加熱部を有する溶融用電極とされ、前記加熱部は、前記電極本体に形成された貫通孔の内周面に配置された筒状のトーチ本体と、該トーチ本体の内周側に挿通されているプラズマトーチ電極と、を有し、前記鉄鉱石が溶融する前の状態で、前記トーチ本体と前記プラズマトーチ電極との間に通電することで形成されるプラズマジェットによって前記鉄鉱石を溶融させる状態と、前記鉄鉱石が溶融し始めた状態で、前記プラズマトーチ電極と前記炉底電極との間に通電することで形成されるプラズマジェットによって前記溶融鉄鉱石を加熱する状態との間で切り替え可能に構成されている。
【0009】
上記構成によれば、電解製錬に先立って、溶融用電極の加熱部によって鉄鉱石を加熱溶融させることができる。これにより、溶融鉄鉱石を容易に生成することができる。さらに、この加熱部が電解製練用電極の内部に設けられていることから、溶融用電極の寸法体格を小さく抑えることもできる。これにより、上部電極の配置の自由度をさらに高めることができる。
さらに、上記構成によれば、鉄鉱石が溶融する前の状態では、トーチ本体とプラズマトーチ電極との間に通電することでプラズマジェットが形成される。このプラズマジェットによって効率的に鉄鉱石を溶融させることができる。
加えて、上記構成によれば、鉄鉱石が溶融し始めた状態では、プラズマトーチ電極と炉底電極との間に通電することでプラズマジェットが形成される。このプラズマジェットによって、溶融し始めている鉄鉱石をさらに溶融させて、高温化、及び均質化を図ることができる。また、例えば作業の中断等によって、溶融鉄鉱石が凝固した場合であっても、加熱部によって再度これを溶融させることができる。これにより、直ちに電解製錬作業を再開することができる。
【0014】
上記電解製錬炉では、前記炉底電極、及び前記上部電極の間に電圧を印加する精錬用電源部と、前記精錬用電源部と独立して設けられ、前記炉底電極、及び前記プラズマトーチ電極の間に電圧を印加するスタートアップ用電源部と、をさらに備えてもよい。
【0015】
ここで、精錬時に比べて、運用開始時(つまり、鉄鉱石を溶融させる時)には、必要とされる電圧が大きい。上記構成によれば、精錬用電源部とスタートアップ用電源部とが独立して設けられている。したがって、例えば精錬用電源部とスタートアップ用電源部とが独立していない構成に比べて、各電源部が発生させる電圧の変動を抑えることができる。これにより、さらに安定的に電解製錬炉を運用することができる。
【0020】
上記電解製錬炉では、前記上部電極のうちの少なくとも1つには、該上部電極を上下方向に貫通することで前記鉄鉱石を前記炉本体に導く投入孔部が形成されていてもよい。
【0021】
上記構成によれば、投入孔部を通じて、炉本体内に鉄鉱石を円滑に投入することができる。また、上部電極の一部に投入孔部が形成されていることから、鉄鉱石を投入するための投入口を別途設けた場合に比べて、上部電極の個数や設置の密度を上げることができる。
【0022】
上記電解製錬炉では、前記炉本体は、前記炉底からさらに下方に向かって凹む排出用凹部と、前記排出用凹部と外部とを連通させる排出路と、前記排出路を開閉する開閉部と、をさらに備えてもよい。
【0023】
上記構成によれば、電解製錬によって生成された溶融鉄を、排出用凹部、及び排出路を通じて炉本体の外部に容易に取り出すことができる。特に、排出路には開閉部が設けられていることから、当該開閉部を開くことのみによってより容易に溶融鉄を取り出すことができる。
【0024】
上記電解製錬炉では、前記排出路は、前記排出用凹部の底面よりも上方に設けられ、該排出用凹部における前記排出路よりも下方の部分には、該下方の部分を外側から覆う外周加熱装置が設けられていてもよい。
【0025】
上記構成によれば、排出路が排出用凹部の底面よりも上方に設けられていることから、不純物を含む成分は底面側に沈殿させ、不純物を含まない成分のみを排出路によって外部に取り出すことができる。さらに、この排出路よりも下方の部分は、外周加熱装置によって外側から覆われている。したがって、例えば作業を中断した際に排出用凹部内で凝固した成分を、作業再開に当たって直ちに溶融させることができる。これにより、電解製錬炉をより円滑に運用することが可能となる。
【0026】
上記電解製錬炉では、前記排出路に設けられ、該排出路を流通する前記溶融鉄鉱石、又は導電性を有するとともに流路を形成する耐火材を加熱することで粘性を変化させる排出路加熱部をさらに備えてもよい。
【0027】
上記構成によれば、排出路加熱部が排出路を流通する溶融鉄鉱石、又は導電性を有するとともに流路を形成する耐火材を加熱することで、溶融鉄鉱石の粘性が変化する。これにより、溶融鉄鉱石の流動性が変化し、流量を所望の値に調節することができる。
【0028】
上記電解製錬炉では、前記炉本体の側壁を貫通するスラグ排出路と、該スラグ排出路に設けられ、該スラグ排出路を流通するスラグ、又は導電性を有するとともに流路を形成する耐火材を加熱することで粘性を変化させるスラグ排出路加熱部をさらに備えてもよい。
【0029】
上記構成によれば、スラグ排出路加熱部がスラグ排出路を流通するスラグ、又は導電性を有するとともに流路を形成する耐火材を加熱することで、スラグの粘性が変化する。これにより、スラグの流動性が変化し、流量を所望の値に調節することができる。
【0030】
上記電解製錬炉では、前記炉本体は、外部から投入された前記鉄鉱石を該炉本体に導く投入部をさらに備え、前記炉底は、水平方向に前記投入部から前記排出用凹部に向かうに従って下方に向かって高さ位置が変化していてもよい。
【0031】
上記構成によれば、炉底の高さ位置が、投入部から排出用凹部に向かうに従って下方に変化している。これにより、溶融鉄鉱石、及び還元された溶融鉄を排出用凹部に向かって自然に流動させることができる。その結果、溶融鉄をより容易に外部に取り出すことができる。
【0032】
上記電解製錬炉では、前記排出路は、前記排出用凹部の底面に設けられ、前記炉本体は、前記底面から上方に向かって前記溶融鉄鉱石中にガスを供給する撹拌ガス供給部をさらに備えてもよい。
【0033】
上記構成によれば、撹拌ガス供給部によって、排出用凹部内の溶融鉄鉱石、及び還元された溶融鉄を撹拌することができる。これにより、溶融鉄鉱石、及び溶融鉄をさらに均質化することができる。
【0034】
上記電解製錬炉では、該炉本体の上方、及び下方の少なくとも一方に設けられ、前記溶融鉄鉱石を保温する補助加熱部をさらに備えてもよい。
【0035】
上記構成によれば、補助加熱部が設けられていることによって、炉本体内の溶融鉄鉱石を凝固させることなく、溶融状態のまま維持することができる。
【0036】
上記電解製錬炉では、前記上部電極と前記溶融鉄鉱石の上面との間の離間距離を検出する離間距離検出部と、前記離間距離が予め定められた一定値となるように前記上部電極を上下方向に移動させる電極移動部と、をさらに備えてもよい。
【0037】
ここで、電解製錬を安定的に行うためには、上部電極と溶融鉄鉱石の上面との間に印加される電圧を可能な限り一定に保つ必要がある。一方で、電解製錬が進行するに従って、還元される溶融鉄が増加して、当該溶融鉄鉱石の上面は上方へ移動する。また、上部電極と溶融鉄鉱石の上面との間の電圧は、両者の離間距離に依存する。上記の構成によれば、上部電極と溶融鉄鉱石の上面との間の離間距離が一定値となるように、電極移動部によって上部電極を移動させることができる。これにより、上部電極と溶融鉄鉱石との間に印加される電圧を一定に保つことができる。その結果、より安定的に電解製錬を行うことができる。
【0038】
上記電解製錬炉は、内部に空間が形成されているチャンバと、前記空間を真空状態とする真空ポンプと、をさらに備え、前記上部電極には、該上部電極を上下方向に貫通するとともに前記空間に連通する貫通孔が形成されていてもよい。
【0039】
上記構成によれば、上部電極に形成された貫通孔を通じて、真空状態のチャンバ内にスラグを吸い上げることができる。これにより、スラグと溶融鉄とをより容易に分離することができる。
【0040】
上記電解製錬炉では、前記上部電極同士の間に上方からガスを供給することで、該上部電極同士の間に浮遊する前記鉄鉱石を沈降させる沈降ガス供給部をさらに備えてもよい。
本発明の一態様に係る電解製錬炉は、鉄鉱石が導入される炉本体と、該炉本体内の炉底に設けられた炉底電極と、該炉本体内の炉底電極の上方に設けられて、溶融鉄鉱石を電解製錬する電極本体を有する複数の上部電極と、を備え、前記上部電極のうちの少なくとも一つは、前記電極本体の内部に前記鉄鉱石を加熱溶融して前記溶融鉄鉱石とする加熱部を有する溶融用電極とされ、前記上部電極同士の間に上方からガスを供給することで、該上部電極同士の間に浮遊する前記鉄鉱石を沈降させる沈降ガス供給部をさらに備える。
【0041】
ここで、電解製錬を行う際には、鉄鉱石が溶融に伴って徐々に微細化して液面付近に浮遊することが知られている。上記構成によれば、沈降ガス供給部によって、上部電極同士の間に浮遊する鉄鉱石を沈降させることができる。これにより、溶融鉄鉱石をさらに均質化させることができる。
【0042】
上記電解製錬炉では、前記上部電極同士の間に設けられ、前記炉本体内に向かって進退動することで、該上部電極同士の間に浮遊する前記鉄鉱石を沈降させる沈降機構部をさらに備えてもよい。
本発明の一態様に係る電解製錬炉は、鉄鉱石が導入される炉本体と、該炉本体内の炉底に設けられた炉底電極と、該炉本体内の炉底電極の上方に設けられて、溶融鉄鉱石を電解製錬する電極本体を有する複数の上部電極と、を備え、前記上部電極のうちの少なくとも一つは、前記電極本体の内部に前記鉄鉱石を加熱溶融して前記溶融鉄鉱石とする加熱部を有する溶融用電極とされ、前記上部電極同士の間に設けられ、前記炉本体内に向かって進退動することで、該上部電極同士の間に浮遊する前記鉄鉱石を沈降させる沈降機構部をさらに備える。
【0043】
ここで、電解製錬を行う際には、鉄鉱石が溶融に伴って徐々に微細化して液面付近に浮遊することが知られている。上記構成によれば、沈降機構部によって、上部電極同士の間に浮遊する鉄鉱石を沈降させることができる。これにより、溶融鉄鉱石をさらに均質化させることができる。
【0044】
上記電解製錬炉では、前記溶融用電極のうちの少なくとも1つには、前記鉄鉱石を該炉本体内の周縁部に導く周縁投入部が形成され、前記炉底電極、及び前記上部電極とは別に設けられて、前記周縁投入部から導かれた前記鉄鉱石を加熱溶融させる周縁加熱部をさらに備えてもよい。
【0045】
ここで、炉本体内の周縁部では、炉本体の壁面を通じて外部に熱が放散するため、他の領域に比べて鉄鉱石の溶融が進みにくい場合がある。上記構成によれば、周縁投入部を通じて炉本体内の周縁部に鉄鉱石を供給することができる。さらに、周縁加熱部によってこの鉄鉱石を加熱溶融することができる。これにより、炉本体内における溶融鉄鉱石の均質化をさらに促すことができる。
【0046】
本発明の一態様に係る電解製錬炉は、鉄鉱石が導入される炉本体と、該炉本体内の炉底に設けられた炉底電極と、該炉本体内の炉底電極の上方に設けられた複数の上部電極と、を備え、前記炉本体は、前記炉底からさらに下方に向かって凹む排出用凹部と、前記排出用凹部と外部とを連通させる排出路と、前記排出路を開閉する開閉部と、を備える。
【0047】
上記構成によれば、電解製錬によって生成された溶融鉄を、排出用凹部、及び排出路を通じて炉本体の外部に容易に取り出すことができる。特に、排出路には開閉部が設けられていることから、当該開閉部を開くことのみによってより容易に溶融鉄を取り出すことができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、円滑に運用開始することが可能な電解製錬炉を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る電解製錬炉の構成を示す断面図である。
【
図2】本発明に第一実施形態に係る電解製錬炉の構成を示す平面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係るプラズマトーチの構成を示す断面図であって、鉄鉱石が溶融する前の状態を示している。
【
図4】本発明の第一実施形態に係るプラズマトーチの構成を示す断面図であって、鉄鉱石が溶融し始めた状態を示している。
【
図5】本発明の第二実施形態に係る溶融用電極の拡大断面図であって、鉄鉱石が溶融する前の状態を示している。
【
図6】本発明の第二実施形態に係る溶融用電極の拡大断面図であって、鉄鉱石が溶融し始めた状態を示している。
【
図7】本発明の第三実施形態に係る溶融用電極の拡大断面図である。
【
図8】本発明の第四実施形態に係る溶融用電極の拡大断面図である。
【
図9】本発明の第五実施形態に係る炉本体の構成を示す断面図である。
【
図10】本発明の第六実施形態に係る電解製錬炉の構成、及び電力系統を示す説明図である。
【
図11】本発明の第七実施形態に係る電解製錬炉の構成を示す断面図である。
【
図12】本発明の第七実施形態に係る電解製錬炉の変形例を示す断面図である。
【
図13】本発明の第八実施形態に係る電解製錬炉の構成を示す断面図である。
【
図14】本発明の第八実施形態に係る排出路加熱部、及びスラグ排出路加熱部の構成を示す断面図である。
【
図15】本発明の第九実施形態に係る電解製錬炉の構成を示す要部拡大断面図である。
【
図16】本発明の第十実施形態に係る溶融用電極の構成を示す要部拡大断面図である。
【
図17】本発明の第十実施形態に係る溶融用電極の変形例を示す要部拡大断面図である。
【
図18】本発明の第十一実施形態に係る電解製錬炉の構成を示す断面図である。
【
図19】本発明の第十二実施形態に係る電解製錬炉の構成、及び電力系統を示す説明図である。
【
図20】本発明の第十二実施形態に係る電解製錬炉の変形例を示す説明図である。
【
図21】従来の上部電極の配置の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について、
図1から
図4を参照して説明する。本実施形態に電解製錬炉100は、鉄鉱石を溶融し、溶融鉄鋼石を電解反応によって精錬するための装置である。なお、精錬の対象となる鉱石は鉄鉱石に限定されず、電解反応によって精錬することが可能なものであればいかなる鉱物資源に対しても電解製錬炉100を適用することが可能である。また、鉄鉱石に代えて、鉄スクラップを製錬の対象とすることも可能である。
【0051】
図1に示すように、電解製錬炉100は、炉本体10と、炉底電極11と、上部電極12と、コレクタ13と、ハウジング14と、を有している。
【0052】
炉本体10は、水平面内に広がる底部10Bを有する容器である。この炉本体10の内部には鉄鉱石が導入される。鉄鉱石は、炉本体10内で溶融加熱されて溶融鉱石Wmとなる。溶融鉱石Wmの温度は材料自体の融点に基づいて決定される。一例として溶融鉱石Wmの温度は1200~2000℃とされる。より望ましくはこの温度は、1400~1700℃とされる。最も望ましくは溶融鉱石Wmの温度は1500~1600℃とされる。
【0053】
炉本体10の底部10Bには、炉底電極11が設けられている。炉底電極11は、一例としてモリブデンを主成分とする金属材料で一体に形成された板状をなしている。
【0054】
炉本体10の内部であって、炉底電極11の上方には、複数の上部電極12が配置されている。
図2に示すように、複数の上部電極12は、水平方向に等間隔をあけて格子状に配列されている。上部電極12は、一例として鉄やクロム、バナジウム、タンタルを含む金属材料によって一体に形成された円柱状をなす電極本体として形成されている。
【0055】
全ての上部電極12は、炉底電極11との間で通電することにより、溶融鉄鋼石を電解製錬する。これら上部電極12のうち、少なくとも1つは、上部電極12の内部、即ち、電極本体の内部にプラズマトーチ20(加熱部)を内蔵し、鉄鉱石を溶融することが可能な溶融用電極12Aとされている。
図2の例では、上部電極12の中で、水平方向に互いに間隔をあけて複数の溶融用電極12Aが配置されている構成について示している。なお、上部電極12の配置はこれに限定されず、設計や仕様に応じて適宜変更することが可能である。
【0056】
再び
図1に示すように、炉本体10の底部10B内であって、炉底電極11の下方の部分には、コレクタ13が埋設されている。コレクタ13は、導電性の材料で形成され、その一端は炉底電極11に電気的に接続されている。なお、
図1の例では、二つのコレクタ13が設けられている例を示しているが、コレクタ13の数は2つに限定されない。
【0057】
これら炉本体10、炉底電極11、上部電極12、及びコレクタ13は、外側からハウジング14によって覆われている。
【0058】
次に、
図3と
図4を参照して、鉄鉱石を溶融するプラズマトーチ20を備えた溶融用電極12Aの構成について説明する。
図3に示すように、溶融用電極12Aは、上下方向に延びる円筒状をなしている。つまり、溶融用電極12Aの内部(内周側)には、上下方向に延びる貫通孔12Sが形成されている。この貫通孔12S内には、炉本体10内に導入された鉄鉱石を加熱溶融させるための加熱部としてのプラズマトーチ20が設けられている。プラズマトーチ20は、貫通孔12Sの内周面に配置された筒状のトーチ本体21と、当該トーチ本体21のさらに内周側に相通されているプラズマトーチ電極22と、を有している。
【0059】
トーチ本体21は、炉底電極11から離間する側(つまり、上側)に位置する大径部21Lと、大径部21Lと同軸上であって下方に位置する小径部21Sと、これら大径部21L及び小径部21Sを上下方向に接続する接続部21Cと、を有している。大径部21Lの内径寸法は、小径部21Sの内径寸法よりも大きい。また、接続部21Cの内径寸法は、上方から下方に向かうに従って次第に縮小している。
【0060】
大径部21Lの内周側には、プラズマトーチ電極22が配置されている。プラズマトーチ電極22は、大径部21Lの内径寸法よりも小さな外径寸法を有する棒状をなしている。したがって、プラズマトーチ電極22の外周面と大径部21Lの内周面との間には流路Fとしての隙間が形成されている。この流路Fには、外部から供給された作動ガスが上方から下方に向かって流通する。作動ガスはAr、N2等が一般的であるが、可燃性のガス(例えば水素)も好適に用いることができる。さらに、トーチ本体21とプラズマトーチ電極22との間には、電源によって電圧が印加される。このよう電圧に基づいて、トーチ本体21とプラズマトーチ電極22との間に通電させることで、作動ガスを電離させ、高温のプラズマジェットJ1が形成される。このプラズマジェットJ1は、プラズマトーチ20の下方から炉底電極11側に向かって噴出する。
【0061】
上記のように構成された電解製錬炉100では、炉本体10内にまず鉄鉱石Mが投入される。電解製錬に先立って、この鉄鉱石Mを溶融させる必要がある。そこで、本実施形態では、鉄鉱石Mが溶融する前の状態で、上記のトーチ本体21とプラズマトーチ電極22との間に通電することでプラズマジェットJ1を形成する。このプラズマジェットJ1の熱エネルギーによって、鉄鉱石Mが加熱溶融を始める。
【0062】
鉄鉱石Mが溶融し始めた状態では、上述のプラズマトーチ20の動作を変化させる。具体的には
図4に示すように、この状態では、プラズマトーチ電極22と炉底電極11との間に通電する。これにより、トーチ本体21と炉底電極11との間にプラズマジェットJ2が形成される。このプラズマジェットJ2の熱エネルギーによって、溶融し始めていた鉄鉱石Mが全体的に溶融し、溶融鉄鉱石Wmが形成される。
【0063】
溶融鉄鉱石Wmに対して、次に電解製錬を施す。具体的には、上部電極12がプラス側、コレクタ13がマイナス側となる直流電圧が印加される。この電圧によって電解反応(還元反応)が進行し、溶融鉱石Wmに含まれる三酸化二鉄(Fe2O3)が還元される。還元反応の進行に伴って、溶融鉄Wf(純鉄)が析出し、自重によって炉底電極11側にこの溶融鉄Wfが沈殿する。溶融鉄Wfの沈殿量が増えることで、炉底電極11に加えて溶融鉄Wf自体も陰極側端子として機能するようになる。
【0064】
一方で、上部電極12側には、酸素が発生する。
【0065】
以上、説明したように、上記構成によれば、電解製錬に先立って、溶融用電極12Aのプラズマトーチ20によって鉄鉱石Mを加熱溶融させることができる。これにより、溶融鉄鉱石Wmを容易に生成することができる。これにより、電解製錬炉100を円滑に運用開始することが可能となる。
【0066】
さらに、このプラズマトーチ20が溶融用電極12Aの内部に設けられていることから、溶融用電極12Aの寸法体格を小さく抑えることもできる。これにより、溶融用電極12Aを含む上部電極12の配置の自由度をさらに高めることができる。
【0067】
さらに、上記構成によれば、鉄鉱石Mが溶融する前の状態では、トーチ本体21とプラズマトーチ電極22との間に通電することでプラズマジェットJ1が形成される。このプラズマジェットJ1によって効率的に鉄鉱石Mを溶融させることができる。
【0068】
加えて、上記構成によれば、鉄鉱石Mが溶融し始めた状態では、プラズマトーチ電極22と炉底電極11との間に通電することで他のプラズマジェットJ2が形成される。このプラズマジェットJ2によって、溶融し始めている鉄鉱石Mをさらに効率的に溶融させるとともに、均質化を図ることができる。また、例えば作業の中断等によって、溶融鉄鉱石Wmが凝固した場合であっても、プラズマトーチ20によって再度これを溶融させることができる。これにより、直ちに電解製錬作業を再開することができる。
【0069】
以上、本発明の第一実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0070】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、
図5と
図6を参照して説明する。なお、上記第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態では、加熱部20´の構成が上記第一実施形態と異なっている。加熱部としてのバーナ20´は、上述の溶融用電極12Aに形成された貫通孔12Sを通じて炉本体10内にガス(混合ガスGh)を噴出する。混合ガスGhとして具体的には、水素と、不活性ガス(一例としてアルゴン)とを含むガスが用いられる。混合ガスGhは、炉本体10の外部に設けられた水素供給部23から上記の貫通孔12Sに供給される。さらに、本実施形態では、貫通孔12Sの内周面に、混合ガスに着火するための着火装置12Iが設けられている。なお、不活性ガスとしては、上記のアルゴン以外の希ガスを適宜選択して用いることが可能である。
【0071】
バーナ20´は、鉄鉱石Mが溶融する前の状態では、上記の混合ガスGhに着火することで、炉底電極11に向かって延びる(つまり、貫通孔12Sから下方に向かって延びる)火炎Fhを形成する。この火炎Fhによって鉄鉱石Mが溶融を始める。
【0072】
鉄鉱石Mが溶融し始めた状態で、上述のバーナ20´の動作を変化させる。具体的には
図6に示すように、この状態では、バーナ20´は、上記の火炎Fhを消炎させることで、混合ガスGhのみを溶融鉄鉱石Wmに向かって噴出する。これにより、溶融鉄鉱石Wmが撹拌される。なお、火炎Fhの消炎は、水素混合気条件の変更、Arガス等への変更によって行われる。また、バーナ20´が消炎している状態では、貫通孔12Sを通じて鉄鉱石を追加投入することも可能である。さらに、撹拌を行う際には、上部電極12が溶融鉄鉱石Wmの液面に接するか、又は液面の下に浸る状態とされる。
【0073】
上記構成によれば、水素を含む混合ガスGhの火炎Fhによって、鉄鉱石Mを容易かつ迅速に加熱溶融させることができる。
【0074】
さらに、上記構成によれば、鉄鉱石Mを溶融させるために用いられていた混合ガスGhを、消炎させた状態で溶融鉄鉱石Wmに供給することで、当該溶融鉄鉱石Wmを撹拌することができる。これにより、溶融鉄鉱石Wmを均質化することができる。また、撹拌のための専用の装置を設ける必要がないため、装置の構成を簡略化することもできる。これにより、製造コストや運用コストを削減することができる。
【0075】
以上、本発明の第二実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0076】
[第三実施形態]
続いて、本発明の第三実施形態について、
図7を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図7に示すように、本実施形態では、上述の第一実施形態で説明した構成において、炉底電極11、及び上部電極12の間に電圧を印加する電源部(精錬用電源部31)と、炉底電極11、及びプラズマトーチ電極22の間に電圧を印加する電源部(スタートアップ用電源部32)とが、電気的に互いに独立している。
【0077】
精錬用電源部31は、炉底電極11と溶融用電極12Aとを電気的に接続する精錬用電線31Lと、この精錬用電線31L上に設けられている直流電源P1、及びスイッチ31Sと、を有している。スイッチ31Sを開閉することによって直流電源P1から供給される電力の供給状態が切り替えられる。
【0078】
スタートアップ用電源部32は、炉底電極11とプラズマトーチ電極22とを電気的に接続するスタートアップ用電線32Lと、このスタートアップ用電線32L上に設けられている電源P2、及びスイッチ32Sと、を有している。スイッチ32Sを開閉することによって電源P2から供給される電力の供給状態が切り替えられる。
【0079】
ここで、精錬時に比べて、運用開始時(つまり、鉄鉱石を溶融させ始める時)には、必要とされる電圧が大きい。上記構成によれば、精錬用電源部31とスタートアップ用電源部32とが独立して設けられている。したがって、例えば精錬用電源部31とスタートアップ用電源部32とが互いに独立していない構成に比べて、各電源部が発生させる電圧の変動を抑えることができる。これにより、さらに安定的に電解製錬炉100を運用することができる。
【0080】
以上、本発明の第三実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0081】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について、
図8を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態では、上部電極12のうち、上述の溶融用電極12Aを除く投入用電極12´に、溶融前の鉄鉱石を投入するための投入孔部12Hが形成されている。投入孔部12Hは、投入用電極12´を上下方向に貫通している。投入孔部12Hの上方には、ホッパーやスクリューフィーダー等の装置(不図示)が設置される。これら装置を通じて外部から投入孔部12H内に溶融前の鉄鉱石が導かれ、炉本体10内に投入される。
【0082】
また、投入用電極12A´は、上述の各実施形態で説明した加熱部としてのプラズマトーチ20、及びバーナ20´のいずれか一方が設けられている。つまり、上記の投入孔部12Hは、これらプラズマトーチ20、又はバーナ20´に用いられるガスの流路も兼ねている。
【0083】
上記構成によれば、投入孔部12Hを通じて、炉本体10内に鉄鉱石を円滑に投入することができる。また、上部電極12の一部に投入孔部12Hが形成されていることから、鉄鉱石を投入するための投入口を別途設けた場合に比べて、上部電極12の数や密度を上げることができる。その結果、より安定的に精錬を行うことができる。
【0084】
以上、本発明の第四実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記第四実施形態では、溶融用電極12Aを除く上部電極12の全てが投入用電極12´とされている例について説明した。しかしながら、上部電極12のうち溶融用電極12Aを除く一部のみが投入用電極12´とされていてもよい。
【0085】
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について、
図9を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態に係る電解製錬炉200は、上述の第一実施形態で説明した各構成に加えて、補助加熱部としてのヒータHをさらに備えている。ヒータHは、炉本体10内に貯留されている溶融鉄鉱石Wmを保温して、溶融状態を保つために設けられている。ヒータHは、炉本体10の上方、及び、下方の少なくとも一方に設けられている。
図9の例では、上方に第一ヒータH1が設けられ、下方に第二ヒータH2が設けられている構成を示している。
【0086】
より具体的には、第一ヒータH1は、炉本体10の上方に間隔をあけて対向する板状をなしている。第一ヒータH1には、上述の上部電極12が挿通される複数の開口部hが形成されている。第二ヒータH2は、炉本体10における底部10B内におけるコレクタ13の下方に埋設されている。第二ヒータH2も第一ヒータH1と同様に板状をなしている。
【0087】
上記構成によれば、補助加熱部としてのヒータHが設けられていることによって、炉本体10内の溶融鉄鉱石を凝固させることなく、溶融状態のまま維持することができる。これにより、より安定的に電解製錬を行うことができる。
【0088】
以上、本発明の第五実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0089】
[第六実施形態]
続いて、本発明の第六実施形態について、
図10を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図10に示すように、本実施形態に係る電解製錬炉300は、上部電極12の底面(電極底面12B)と溶融鉄Wfの上面(溶融鉄液面Sw)との間の離間距離Lを検出する離間距離検出部41と、当該離間距離の値に基づいて上部電極12を上下方向に移動させる電極移動部42と、をさらに備えている。
【0090】
離間距離検出部41は、上部電極12と炉底電極11との間に流れる電流と電圧を計測するとともに、当該電流特性と電圧特性に基づいて離間距離Lを算出する。なお、離間距離Lは、上記のように、溶融鉄Wfの上面である。言い換えれば、離間距離Lは、溶融鉄Wfの上層に位置する溶融鉄鉱石Wmの厚さである。ここで、離間距離Lが増加すると、当該離間距離Lによる電気抵抗が増加する。したがって、離間距離Lが増加すると、上部電極12と炉底電極11との間を流れる電流量が減少する。即ち、ある電圧値における電流量を計測することで、離間距離Lの変化を検知することができる。
【0091】
離間距離検出部41によって離間距離Lの変化が検知された場合、電極移動部42は、上部電極12を上下方向に移動させて、離間距離Lが予め定められた一定値となるように調節する。なお、電極移動部42としては、各種のアクチュエータや電動機等が好適に用いられる。
【0092】
ここで、電解製錬を安定的に行うためには、上部電極12と溶融鉄液面Swとの間に印加される電圧を可能な限り一定に保つ必要がある。一方で、電解製錬が進行するに従って、還元される溶融鉄Wfが増加して、当該溶融鉄Wfの上面(溶融鉄液面Sw)は上方へ移動する。また、上部電極12と溶融鉄液面Swとの間の電圧は、両者の離間距離に依存する。上記の構成によれば、上部電極12と溶融鉄液面Swとの間の離間距離Lが一定値となるように、電極移動部42によって上部電極12を移動させることができる。これにより、上部電極12と溶融鉄Wfとの間に印加される電圧を一定に保つことができる。その結果、より安定的に電解製錬を行うことができる。
【0093】
以上、本発明の第六実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0094】
[第七実施形態]
次に、本発明の第七実施形態について、
図11を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図11に示すように、本実施形態に係る電解製錬炉400では、炉本体10´は、炉底(底部10B)からさらに下方に向かって凹む排出用凹部10Hと、排出用凹部10Hと外部とを連通させる排出路10Eと、排出路10Eを開閉することで連通状態を切り替える開閉部5と、排出用凹部10Hの内部を外側から覆う外周加熱装置6と、をさらに備えている。
【0095】
排出用凹部10Hは、底部10Bから下方に向かって凹む矩形の断面形状を有している。排出路10Eは、この排出用凹部10Hの底面(排出用凹部底面10S)よりも上方に設けられている。排出用凹部10Hにおける排出路10Eよりも下方の部分には、当該部分を加熱する外周加熱装置6が設けられている。外周加熱装置6として具体的には、IHヒータ等が好適に用いられる。
【0096】
上記構成によれば、電解製錬によって生成された溶融鉄Wfを、排出用凹部10H、及び排出路10Eを通じて炉本体10の外部に容易に取り出すことができる。特に、排出路10Eには開閉部5が接続されていることから、当該開閉部5を開くことのみによってより容易に溶融鉄Wfを取り出すことができる。
【0097】
さらに、上記構成によれば、排出路10Eが排出用凹部10Hの底面(排出用凹部底面10S)よりも上方に設けられている。この排出路10Eよりも下方の部分は、外周加熱装置6によって外側から覆われている。したがって、例えば作業を中断した際に排出用凹部10H内で凝固した成分を、作業再開に当たって直ちに溶融させることができる。これにより、電解製錬炉400をより円滑に運用することが可能となる。
【0098】
以上、本発明の第七実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記第七実施形態の構成に代えて、
図12に示すように、排出路10E´を排出用凹部底面10Sに形成することも可能である。また、同図の例では、排出用凹部底面10Sから排出用凹部10H内に向かって、溶融鉄Wfを撹拌するための水素、Arガス等を供給する撹拌ガス供給部7がさらに設けられている。
【0099】
上記構成によれば、排出路10E´を通じて、溶融鉄Wfを重力によって自然に外部に取り出すことができる。さらに、撹拌ガス供給部7によって、排出用凹部10H内の溶融鉄鉱石Wm、及び溶融鉄Wfを撹拌することができる。さらに、誘導加熱による電磁撹拌効果により、溶融鉄鋼石Wm、及び溶融鉄Wfを撹拌することができる。これにより、溶融鉄鉱石Wm、及び溶融鉄Wfをさらに均温化・均質化することができる。
【0100】
[第八実施形態]
続いて、本発明の第八実施形態について、
図13と
図14を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図13に示すように、本実施形態に係る電解製錬炉500は、上記第七実施形態で説明した形態に加えて、電解製錬の進行に伴って炉本体10内で生じるスラグWsを外部に取り出すためのスラグ排出路10Fと、スラグ排出路10Fを流通するスラグWsを加熱するスラグ排出路加熱部Hsと、排出路10Eを流通する溶融鉄鉱石Wmを加熱する排出路加熱部Hfと、をさらに備えている。
【0101】
スラグ排出路10Fは、炉本体10の側壁を貫通している。スラグ排出路10Fは、炉底電極11から上方に離間した位置に形成されている。スラグ排出路10Fには、当該スラグ排出路10Fの開閉状態を変化させる開閉部5´が設けられている。スラグ排出路加熱部Hsは、スラグ排出路10F内を流通するスラグWsを加熱することで粘性を変化させる(粘性を低下させる。)。これにより、スラグWsの排出流量を調整することができる。
【0102】
排出路10Eには、スラグ排出路加熱部Hsと同様に、排出路加熱部Hfが設けられている。排出路加熱部Hfは、排出路10E内を流通する溶融鉄鉱石Wm(溶融鉄Wf)を加熱することで粘性を変化させる(粘性を低下させる。)。これにより、溶融鉄鉱石Wm(溶融鉄Wf)の排出流量を調整することができる。
【0103】
これら排出路加熱部Hf、及びスラグ排出路加熱部Hsの具体例として、
図14に示す構成が好適に用いられる。同図に示すように、排出路加熱部Hf、及びスラグ排出路加熱部Hsとしての高周波コイル51が、排出路10E(又はスラグ排出路10F)の外周を覆うように配置されている。また、当該排出路10E(又はスラグ排出路10F)の内外を進退動するプラグ50が設けられていてもよい。プラグ50を進退動させることで、排出路10E(又はスラグ排出路10F)の開閉状態を変化させることができる。
【0104】
上記構成によれば、排出路加熱部Hfが排出路10Eを流通する溶融鉄鉱石Wmを加熱することで、当該溶融鉄鉱石Wmの粘性が変化する。これにより、溶融鉄鉱石Wmの流動性が変化し、流量を所望の値に調節することができる。
【0105】
さらに、上記構成によれば、スラグ排出路加熱部Hsがスラグ排出路10Fを流通するスラグWsを加熱することで、当該スラグWsの粘性が変化する。これにより、スラグWsの流動性が変化し、流量を所望の値に調節することができる。
【0106】
以上、本発明の第八実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0107】
[第九実施形態]
次に、本発明の第九実施形態について、
図15を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図15に示すように、本実施形態に係る電解製錬炉600は、上部電極12の貫通孔12Sに連通する空間Vが内部に形成されているチャンバ60と、チャンバ60内の空間Vから空気を吸引することで真空状態とする真空ポンプ61と、をさらに備えている。空間Vは、貫通孔12Sの上側の端部に連通している。空間Vが真空状態とされていることによって、貫通孔12Sを通じてスラグWsが当該空間Vに吸引される。
【0108】
上記構成によれば、上部電極12に形成された貫通孔12Sを通じて、真空状態のチャンバ60内(空間V)にスラグWsを吸い上げることができる。これにより、スラグWsと溶融鉄Wfとをより容易に分離することができる。
【0109】
以上、本発明の第九実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0110】
[第十実施形態]
続いて、本発明の第十実施形態について、
図16を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図16に示すように、本実施形態に係る電解製錬炉700は、沈降ガス供給部70をさらに備えている。沈降ガス供給部70は、上部電極12同士の間に上方からガスを供給することで、当該上部電極12同士の間に浮遊する鉄鉱石Mを沈降させる。また、沈降ガス供給部70は溶融鉄鉱石Wm内に挿入して、ガスを溶融鉄鉱石Wm内に供給してもよい。
【0111】
ここで、電解製錬を行う際には、鉄鉱石Mが溶融に伴って徐々に微細化して溶融鉄鉱石Wmの液面付近にこれら微細化した鉄鉱石Mが浮遊することが知られている。上記構成によれば、沈降ガス供給部70によって、上部電極12同士の間に浮遊する鉄鉱石Mを沈降させることができる。また、溶融鉄鋼石内にガスを供給することで、浮遊する鉄鉱石を溶融鉄鋼石内に巻き込むことができる。これにより、溶融鉄鉱石Wmをさらに均質化させることができる。
【0112】
以上、本発明の第十実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、
図17に示すように、上記の沈降ガス供給部70に代えて、沈降機構部70´を備える構成を採ることも可能である。沈降機構部70´は、上部電極12同士の間で、上下方向に進退動する。上述のように浮遊する鉄鉱石Mが生じた場合には、沈降機構部70´を下方に移動させることによって、当該鉄鉱石Mを溶融鉄鉱石Wm内に沈めることができる。これにより、溶融鉄鉱石をさらに均質化させることができる。
【0113】
[第十一実施形態]
次に、本発明の第十一実施形態について、
図18を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図18に示すように、本実施形態に係る電解製錬炉800では、炉本体10´の構成が上記の各実施形態と箱となっている。この炉本体10´の炉底Bは、水平方向に投入部80から排出用凹部10Hに向かうに従って下方に向かって高さ位置が段階的に変化するように構成されている。つまり、炉本体10´の中央部から周縁部に向かうに従って、炉底Bの高さ位置が段階的に低くなっている。中央部とは、
図18中に示すように、上下方向に延びる中心軸線Oが通る部分を含む領域である。
【0114】
より具体的には、炉底Bは、排出用凹部10Hから離間する側から排出用凹部10Hに向かって順に配列された第一炉底B1、第二炉底B2、及び第三炉底B3を有している。第二炉底B2は、第一炉底B1よりも下方に位置している。第三炉底B3は、第二炉底B2よりもさらに下方に位置している。なお、本実施形態では、説明を簡略化するため、炉底Bの高さが三段階にわたって変化している例について示しているが、炉底Bを4つ以上の高さに分けることも可能である。
【0115】
上記構成によれば、炉底Bの高さ位置が、投入部80から排出用凹部10Hに向かうに従って下方に変化している。これにより、溶融鉄鉱石Wm、及び還元された溶融鉄Wfを排出用凹部10Hに向かって自然に流動させることができる。その結果、溶融鉄Wfをより容易に外部に取り出すことができる。
【0116】
以上、本発明の第十一実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0117】
[第十二実施形態]
続いて、本発明の第十二実施形態について、
図19を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図19に示すように、本実施形態に係る電解製錬炉900では、溶融用電極12Aのうちの少なくとも1つであって、炉本体10の側壁に沿う部分に配置された溶融用電極12Aには、当該溶融用電極12Aを上下方向に貫通する周縁投入部80´が形成されている。加えて、電解製錬炉900は、周縁投入部80´から導かれた鉄鉱石Mを加熱溶融させる周縁加熱部90をさらに備えている。
【0118】
周縁加熱部90は、上述の炉底電極11、及び上部電極12とは別に設けられた一対の電極端子91,91を有している。電極端子91,91は、溶融鉄鉱石Wm(又は溶融鉄Wf)の内部に浸漬されている。電極端子91,91には、電源Pによって電圧が印加される。これにより、電極端子91,91の間ではジュール加熱部が形成される。その結果、溶融鉄鉱石Wm内に新たな鉄鉱石が投入された場合には、当該鉄鉱石は上述のジュール加熱部によって加熱されることで溶融する。なお、これら電極端子91,91の近傍に、撹拌ガス供給部70Bを設けることが望ましい。撹拌ガス供給部70Bは、上記の周縁加熱部90によって溶融させられた溶融鉄鉱石Wm中にガスを供給することでこれを撹拌する。
【0119】
ここで、炉本体10内の周縁部では、炉本体10の壁面を通じて外部に熱が放散するため、他の領域に比べて鉄鉱石の溶融が進みにくい場合がある。上記構成によれば、周縁投入部80´を通じて炉本体10内の周縁部に鉄鉱石を供給することができるとともに、周縁加熱部90によってこの鉄鉱石を加熱溶融することができる。これにより、炉本体10内における溶融鉄鉱石Wmの均温化、及び均質化をさらに促すことができる。
【0120】
以上、本発明の第十二実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、周縁加熱部90´として、
図20に示すように、上部電極12と、炉本体10の側壁に埋設された側部電極92とを設けることも可能である。上部電極12と側部電極92との間に上述のようなジュール加熱部が形成されることで、新たに投入された鉄鉱石Mを溶融させることができる。
【符号の説明】
【0121】
100,200,300,400,500,600,700,800,900 電解製錬炉
10,10´ 炉本体
10B 底部
10E 排出路
10F スラグ排出路
10H,10H´ 排出用凹部
10S 排出用凹部底面
11 炉底電極
12上部電極
12A 溶融用電極
12A´ 投入用電極
12B 電極底面
12S 貫通孔
12H 投入孔部
12I 着火装置
14 ハウジング
20 プラズマトーチ
20´ バーナ
21 トーチ本体
21L 大径部
21S 小径部
21C 接続部
22 プラズマトーチ電極
23 水素供給部
31 精錬用電源部
31L 精錬用電線
31S,32S スイッチ
32 スタートアップ用電源部
32L スタートアップ用電線
41 離間距離検出部
42 電極移動部
5,5´ 開閉部
50 プラグ
51 高周波コイル
6 外周加熱装置
60 チャンバ
61 真空ポンプ
7,70,70´,70B 撹拌ガス供給部
80 投入部
80´ 周縁投入部
90,90´ 周縁加熱部
91 電極端子
92 側部電極
B 炉底
B1 第一炉底
B2 第二炉底
B3 第三炉底
F 流路
Fh 火炎
Gh 混合ガス
h 開口部
H ヒータ
H1 第一ヒータ
H2 第二ヒータ
Hf 排出路加熱部
Hs スラグ排出路加熱部
J1,J2 プラズマジェット
M 鉄鉱石
P1 交流電源
P2 直流電源
Sw 溶融鉄液面
V 空間
Wm 溶融鉄鉱石
Wf 溶融鉄
Ws スラグ