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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/02 20060101AFI20231102BHJP
   B27D 1/00 20060101ALI20231102BHJP
   B27M 1/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B05C11/02
B27D1/00 M
B27M1/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019143717
(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公開番号】P2021024190
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】522158557
【氏名又は名称】MGCウッドケム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄原 隆章
(72)【発明者】
【氏名】山崎 民男
(72)【発明者】
【氏名】加茂 誠貫
(72)【発明者】
【氏名】関 祥太
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特許第2724804(JP,B2)
【文献】特開平04-219172(JP,A)
【文献】特開2009-046542(JP,A)
【文献】特開平06-071610(JP,A)
【文献】特開昭61-271055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00-21/00
B05D 1/00- 7/26
B27M 1/00- 3/38
B27D 1/00- 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的または間歇的に搬送される、表面に窪み状の欠陥部を有する板状被塗物の表面の全面または一部に、粘度が10乃至100Pa・s/23℃でありかつ固形分が75乃至90%である塗布液を塗布する塗布装置であって、
塗布液の塗布量を調整する塗布量調整部材と、
前記搬送方向における前記塗布量調整部材の上流側において、前記搬送方向と交差する方向に延在する本体部を有しかつ前記塗布量調整部材が圧接されている充填補助部材であって、前記板状被塗物の表面上に供給されて前記板状被塗物と共に前記搬送方向へ移動する塗布液の流れ方向を規制して塗布液流路を収斂させる空隙部分を有しかつ前記欠陥部への塗布液の充填を助ける充填補助部材とを備え、
前記空隙部分の搬送方向に関して最も上流側の部位における搬送方向に直交する断面Aの面積xと、最も下流側の部位における搬送方向に直交する断面Bの面積x’とはx’/x=0乃至0.10の関係にあり、
前記板状被塗物の表面に対向する前記充填補助部材の本体部底面と、前記断面Aのうち最も高い点Pと前記断面Bのうち最も高い点Qとを結ぶ線分Rとの成す角度をθとした場合、前記線分Rの長さyと前記断面Aと前記断面Bとの間隔zとはcosθ=z/y=0.643乃至0.952の関係にあることを特徴とする、塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置を用いて塗布液を塗布する工程を含む、塗布物の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は合板や単板などの被塗物の表面に塗布液を塗布するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
合板や単板などの被塗物の表面に接着剤又は塗料などの塗布液を塗布するために、ロールスプレッダー、カーテンコーター、エアスプレー及びナイフコーターなどの塗布部材を備えた塗布装置が用いられている。
【0003】
しかし、被塗物として、例えば、表面にワレ、虫クイ穴、節穴及び導管などの窪み状の欠陥部を有する木質板を用い、その表面に上記の塗布装置により塗布液を塗布する場合、該塗布装置は、一般に板状物の表面に塗布液を均一な厚さで塗布するものであるので、欠陥部の細部まで塗布液を充填することが難しく、その結果、該塗布装置で塗布した後さらに人手をかけて欠陥部に塗布液を充填する必要があった。
【0004】
一方、上記欠陥部へ塗布液を充填させる塗布装置として、塗布量制御部材と、塗布液の流れ方向を規制し、被塗物に塗布液を収斂させる規制面を有する加圧充填補助部材とを設けたことを特徴とする液体の塗布装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2724804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で提案された塗布装置は、上記の加圧充填補助部材を備えたことにより、被塗物表面の欠陥部へ塗布液を充填させるものである。
しかし、特許文献1で提案された塗布装置において、該加圧充填補助部材は上記の塗布量制御部材と離れて設けられており、上記の欠陥部が大きくなると、該塗布装置は該欠陥部へ塗布液を十分に充填させることができないことを確認している。また、特許文献1には、加圧充填補助部材における規制面(塗布液の流路)の最適な形状や塗布量制御部材に対する加圧充填補助部材の最適な配置位置については記載されていない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、被塗物の表面に塗布液を塗布するとともに、該被塗物の表面に存在する、窪み状の欠陥部が大きい場合であっても、該欠陥部の細部まで塗布液を充填させることができる塗布装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の性状を有する塗布液を用い、該塗布液の塗布量を調整する塗布量調整部材に対して、塗布液の充填を助ける充填補助部材を圧接し、かつ該充填補助部材として、特定の関係を満たす形状の空隙部分を有するものを用いることにより、被塗物の表面に塗布液を塗布するとともに、該被塗物の表面の欠陥部が大きい場合であっても、該欠陥部の細部まで塗布液を充填することができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、
連続的または間歇的に搬送される、表面に窪み状の欠陥部を有する板状被塗物の表面の全面または一部に、粘度が10乃至100Pa・s/23℃でありかつ固形分が75乃至
90%である塗布液を塗布する塗布装置であって、
塗布液の塗布量を調整する塗布量調整部材と、
前記搬送方向における前記塗布量調整部材の上流側において、前記搬送方向と交差する方向に延在する本体部を有しかつ前記塗布量調整部材が圧接されている充填補助部材であって、前記板状被塗物の表面上に供給されて前記板状被塗物と共に前記搬送方向へ移動する塗布液の流れ方向を規制して塗布液流路を収斂させる空隙部分を有しかつ前記欠陥部への塗布液の充填を助ける充填補助部材とを備え、
前記空隙部分の搬送方向に関して最も上流側の部位における搬送方向に直交する断面Aの面積xと、最も下流側の部位における搬送方向に直交する断面Bの面積x’とはx’/x=0乃至0.5の関係にあり、
前記板状被塗物の表面に対向する前記充填補助部材の本体部底面と、前記断面Aのうち最も高い点Pと前記断面Bのうち最も高い点Qとを結ぶ線分Rとの成す角度をθとした場合、前記線分Rの長さyと前記断面Aと前記断面Bとの間隔zとはcosθ=z/y=0.500乃至0.990の関係にあることを特徴とする、塗布装置である。
【0010】
また、本発明は、上記の塗布装置を用いて塗布液を塗布した塗布物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被塗物の表面に塗布液を塗布するとともに、被塗物の表面に存在する、窪み状の欠陥部の細部まで塗布液を充填することができる塗布装置を提供することができる。
【0012】
また、本発明によれば、被塗物の表面に存在する、窪み状の欠陥部の細部まで塗布液を充填した塗布物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明の塗布装置の一実施態様を示す模式側面図である。
図2図2は本発明の塗布装置の別の実施態様を示す模式側面図である。
図3図3は充填補助部材の例を示す図である[(a)該充填補助部材の斜視図、(b)該充填補助部材の平面図]。
図4図4は充填補助部材の例を示す図である[(a)該充填補助部材の斜視図、(b)該充填補助部材の平面図]。
図5図5は充填補助部材の例を示す図である[(a)該充填補助部材の斜視図、(b)該充填補助部材の側面図]。
図6図6は充填補助部材の例を示す図である[(a)該充填補助部材の斜視図、(b)該充填補助部材の側面図]。
図7図7は充填補助部材の例を示す図である[(a)該充填補助部材の斜視図、(b)該充填補助部材の平面図]。
図8図8は充填補助部材の例を示す図である[(a)該充填補助部材の斜視図、(b)該充填補助部材の平面図]。
図9図9は充填補助部材の例を示す図である[(a)該充填補助部材の斜視図、(b)該充填補助部材の平面図]。
図10図10は充填補助部材の例を示す図である[(a)該充填補助部材の斜視図、(b)該充填補助部材の平面図]。
図11図11は充填補助部材の例を示す図である[(a)該充填補助部材の斜視図、(b)該充填補助部材の平面図]。
図12図12は充填補助部材の例を示す図である[(a)該充填補助部材の斜視図、(b)該充填補助部材の平面図]。
図13図13は充填補助部材の例を示す図である[(a)該充填補助部材の斜視図、(b)該充填補助部材の平面図]。
図14図14は本発明の塗布装置の変形例の一実施態様を示す模式側面図である。
図15図15は本発明の塗布装置のさらに別の実施態様を示す模式側面図である。
図16図16は本発明の塗布装置のまたさらに別の実施態様を示す模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[塗布装置]
本発明の塗布装置は、粘度が10乃至100Pa・s/23℃でありかつ固形分が75乃至90%である塗布液を塗布する塗布装置であって、
塗布液の塗布量を調整する塗布量調整部材と、
板状被塗物の搬送方向における前記塗布量調整部材の上流側において、前記搬送方向と交差する方向に延在する本体部を有しかつ前記塗布量調整部材が圧接されている充填補助部材であって、前記板状被塗物の表面上に供給されて前記板状被塗物と共に前記搬送方向へ移動する塗布液の流れ方向を規制して塗布液流路を収斂させる空隙部分を有しかつ前記板状被塗物の表面の窪み状の欠陥部への塗布液の充填を助ける充填補助部材とを備え、
前記空隙部分の搬送方向に関して最も上流側の部位における搬送方向に直交する断面Aの面積xと、最も下流側の部位における搬送方向に直交する断面Bの面積x’とはx’/x=0乃至0.5の関係にあり、
前記板状被塗物の表面に対向する前記充填補助部材の本体部底面と、前記断面Aのうち最も高い点Pと前記断面Bのうち最も高い点Qとを結ぶ線分Rとの成す角度をθとした場合、前記線分Rの長さyと前記断面Aと前記断面Bとの間隔zとはcosθ=z/y=0.500乃至0.990の関係にあることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の塗布装置は、とりわけ塗布量調整部材に充填補助部材を圧接させていること、及び特定の関係[断面Aの面積xと断面Bの面積x’との関係(x’/x)、及び線分Rの長さyと断面Aと断面Bとの間隔zとの関係(cosθ=z/y)]を満たす形状の空隙部分を有する充填補助部材を用いていることを特徴とするものであり、例えば、図1に示したような実施態様を採用し得る。
なお、以降の説明において「搬送方向」とは、板状被塗物の搬送方向を意味する。また、以降、塗布装置において詳述する部材以外の部分は、「塗布装置本体」と称する。
【0016】
<塗布量調整部材>
本発明における塗布量調整部材は、塗布液の塗布量を調整するものであって、塗布液の塗布量を調整する機能を有するものであれば特に限定されず、通常、塗布装置に用いられている塗布液の塗布量(塗布膜の厚さ)を調整する塗布部材などが使用でき、例えば、ロール、スクイズロール及びナイフコーターなどが挙げられ、その中でも、好ましくはナイフコーターである。
本発明の塗布装置において、塗布量調整部材は後述の充填補助部材に圧接するように設けられており、また、塗布量調整部材は公知の支持部材を介して塗布装置本体に接続してもよい。
【0017】
塗布量調整部材は、その底面における搬送方向上流側の端辺を必ずしも搬送方向と垂直(90度)となるように配設させる必要はなく、塗布液の塗布及び充填に不良が生じない範囲内において傾けて配設することができる。例えば、搬送方向を時計の12時、時計回りを正方向とした場合において、塗布量調整部材は、その底面における搬送方向上流側の端辺が搬送方向に対して、垂直(90度)を除いて、85度以上95度以下となるように配設することが好ましく、87度以上93度以下となるように配設することがより好ましく、89度以上91度以下となるように配設することがさらに好ましい。
このように、塗布量調整部材を搬送方向に対してわずかに傾きをつけて配設することにより、塗布量調整部材の搬送方向下流側の端辺と、板状被塗物の搬送方向上流側の端辺とに傾きをつけることができる。これにより、塗布量調整部材の搬送方向下流側の端部から板状被塗物が弾き出されてしまうことを抑制することができる。その結果、弾き出された衝撃で塗布液が飛び散ることがなく、板状被塗物の塗布面以外に塗布液が付着することを防止することができる。
なお、塗布量調整部材は、上記角度範囲よりも大きく傾きをつけて配設すると、塗布液の流れに偏りが生じて均一に塗布することができない虞がある。
【0018】
<充填補助部材>
本発明における充填補助部材は、板状被塗物の搬送方向における上記の塗布量調整部材の上流側において、該板状被塗物の搬送方向と交差する方向に延在する本体部を有しかつ上記の塗布量調整部材が圧接されている。
本発明の塗布装置は、塗布量調整部材に充填補助部材を圧接させることにより、被塗物の表面に存在する、窪み状の欠陥部の細部まで塗布液を充填することができるという作用効果を奏する。
塗布量調整部材に充填補助部材を圧接させる圧力としては特に限定されず、例えば、0Paを超え、10MPa未満の範囲である。
【0019】
充填補助部材は、図2に示すように、公知の位置決め部材5を介して配設してもよい。なお、位置決め部材は、充填補助部材の配置位置を調整できるものを適宜選択して用いることができる。また、位置決め部材は、塗布量調整部材または塗布量調整部材の支持部材などに固定することが可能であり、充填補助部材を所定位置に配設可能な長さを有している。
【0020】
また、本発明における充填補助部材は、板状被塗物と共に搬送方向へ移動する塗布液の流れ方向を規制して塗布液流路を収斂させる空隙部分を有しており、これにより、板状被塗物の表面上の欠陥部に塗布液を充填するのを助けるものである。
【0021】
本発明において、上記の空隙部分は下記[1]及び[2]を満たす形状である。
[1]空隙部分の搬送方向に関して最も上流側の部位における搬送方向に直交する断面Aの面積xと、最も下流側の部位における搬送方向に直交する断面Bの面積x’とがx’/x=0乃至0.5の関係にあること。
[2]板状被塗物の表面に対向する充填補助部材の本体部底面と、断面Aのうち最も高い点Pと断面Bのうち最も高い点Qとを結ぶ線分Rとの成す角度をθとした場合、前記線分Rの長さyと断面Aと断面Bとの間隔zとがcosθ=z/y=0.500乃至0.990の関係にあること。
【0022】
上記[1]において、例えば、図3及び4に示すように、面積xは空隙部分31の搬送方向に関して最も上流側の部位における搬送方向に直交する断面Aの面積であり、また面積x’は空隙部分31の搬送方向に関して最も下流側の部位における搬送方向に直交する断面Bの面積である。
【0023】
また、上記[2]において、例えば、図5及び6に示すように、長さyは断面Aのうち最も高い点Pと断面Bのうち最も高い点Qとを結ぶ線分Rの長さであり、また間隔zは断面Aと断面Bとの間隔(断面Aと断面Bとの間の最短の長さ)である。
【0024】
本発明の塗布装置は、上記[1]及び[2]を満たす形状の空隙部分を有する充填補助部材を用いることにより、被塗物の表面に存在する、窪み状の欠陥部の細部まで塗布液を充填することができるという作用効果を奏する。
一方、上記x’/x及びcosθ=z/yのいずれか一方でも上記の数値範囲内にない場合、被塗物の表面の欠陥部の大きさによっては、該欠陥部の細部まで塗布液を十分に充填することができない可能性がある。
なお、本発明において、x、x’、z及びyの数値を求める方法としては特に限定されず、充填補助部材の実物を用いて求める方法や充填補助部材の設計図等を用いて求める方法などが挙げられる。
【0025】
特に本発明では、表面にワレ、虫クイ穴、節穴及び導管などの窪み状の欠陥部の細部まで塗布液を十分に塗布することができる観点から、上記x’/xは0乃至0.25であることが好ましく、0乃至0.10であることがさらに好ましく、0であることが最も好ましい。
なお、図6に示すように、断面Bの最も高い点Qが0のとき、x’/x=0になる。
一方、上記cosθ=z/yは0.643乃至0.952であることが好ましく、0.707乃至0.867であることがさらに好ましい。
【0026】
上記の空隙部分の形状としては、板状被塗物と共に搬送方向へ移動する塗布液の流れ方向を規制して塗布液流路を収斂させ、かつ上記の[1]及び[2]を満たす形状であれば特に限定されず、例えば、メガホン状、円錐台形状、円錐状または四角錐台状などの形のものを中心軸線に沿って2分割し、その分割面を板状被塗物の表面に向けて開き、大口径側を搬送方向の上流側に向けた半メガホン状、半円錐台形状、半円錐状または半四角錐台状などの形状などを挙げることができる。この他にも、三角錐状または四角錐状などを採用してもよく、加工容易性及び強度の観点から三角錐状が好ましい。
なお、空隙部分の形状としては上記で例示した形状以外にも、x、x’、z及びyの数値を求めることができ、そして上記の[1]及び[2]を満たす形状(四半球状などの形状)であれば、上記の空隙部分の形状に含まれ得る。
【0027】
また、空隙部分は、例えば、図3に示したように、充填補助部材の本体部内を貫通している形状(いわゆる開放された形状)、又は図4に示したように、充填補助部材の本体部内で閉塞している形状のいずれでも良いが、板状被塗物の表面上の欠陥部の細部まで塗布液を効果的に充填することができる観点から、空隙部分は充填補助部材の本体部内で閉塞している形状であることが好ましい。
【0028】
また、充填補助部材の本体部は、空隙部分の形状を損ねない範囲において、形状を変更することが可能である。例えば、図2及び図12に示すように、充填補助部材の本体部を側面視において三角柱状としてもよい。三角柱状を採用すると、本体部の搬送方向下流側の端部を塗布量調整部材の底面に当接させることができる。その結果、本体部の底面と塗布量調整部材の底面とによって連続した面を形成することができるので、充填補助部材において加えられた圧縮力が塗布量調整部材通過時にも失われることがなく、加圧と塗布量の調整を同時に行って、より大きな欠陥部に対しても細部まで塗布液を充填することを可能とする。
【0029】
また、充填補助部材の本体部は、上記の塗布量調整部材と同様に、その底面における搬送方向上流側の端辺を必ずしも搬送方向と垂直(90度)となるように配設させる必要はなく、塗布液の充填に不良が生じない範囲内において傾けて配設することができる。例えば、搬送方向を時計の12時、時計回りを正方向とした場合において、充填補助部材の本体部は、その底面における搬送方向上流側の端辺が搬送方向に対して、垂直(90度)を除いて、85度以上95度以下となるように配設することが好ましく、87度以上93度以下となるように配設することがより好ましく、89度以上91度以下となるように配設することがさらに好ましい。
また、充填補助部材には、空隙部分を板状被塗物の幅方向に2個以上設けても良い。
【0030】
本発明の塗布装置において、板状被塗物の表面上に供給された塗布液は、該板状被塗物の移動に従って充填補助部材へと移動し、該充填補助部材の空隙部分に流れ込む。このとき、流れ込んだ該塗布液は、空隙部分の形状が例えば半円錐状の形状である場合、大口径側より次第に狭くなる空隙部分内において収斂されて圧縮された状態となる。本発明の塗布装置は、該空隙部分において圧縮された塗布液がもとの体積に復元しようとする力を利用して、板状被塗物の表面上に存在する窪み状の欠陥部の細部まで塗布液を充填するものである。
一方、残りの塗布液は、通常、充填補助部材の搬送方向の下流側に設けた塗布量調整部材によって板状被塗物の表面上に均一に均される。
【0031】
さらに、本発明の塗布装置は、充填補助部材の搬送方向の上流側に塗布液溜りを形成するために塗布液保留部材を設けることができる。充填補助部材と塗布液保留部材との間に塗布液を供給することにより、板状被塗物の表面上に先に供給された塗布液から順に塗布される『先入れ先出し』が可能となり、硬化時間の短い、速硬化型の塗布液にも対応することができる。
塗布液保留部材としては、好ましくは塗布液の付着しにくい板体などが使用される。
【0032】
[塗布装置の変形例]
本発明の塗布装置の変形例の1つとして、さらに塗布量調整部材に対して、充填補助部材を特定の位置に配設したものが挙げられる。
具体的には、本発明の塗布装置の変形例として、
連続的または間歇的に搬送される、表面に窪み状の欠陥部を有する板状被塗物の表面の全面または一部に、粘度が10乃至100Pa・s/23℃でありかつ固形分が75乃至90%である塗布液を塗布する塗布装置であって、
塗布液の塗布量を調整する塗布量調整部材と、
前記搬送方向における前記塗布量調整部材の上流側において、前記搬送方向と交差する方向に延在する本体部を有しかつ前記塗布量調整部材が圧接されている充填補助部材であって、前記板状被塗物の表面上に供給されて前記板状被塗物と共に前記搬送方向へ移動する塗布液の流れ方向を規制して塗布液流路を収斂させる空隙部分を有しかつ前記欠陥部への塗布液の充填を助ける充填補助部材とを備え、
前記空隙部分の搬送方向に関して最も上流側の部位における搬送方向に直交する断面Aの面積xと、最も下流側の部位における搬送方向に直交する断面Bの面積x’とはx’/x=0乃至0.5の関係にあり、
前記板状被塗物の表面に対向する前記充填補助部材の本体部底面と、前記断面Aのうち最も高い点Pと前記断面Bのうち最も高い点Qとを結ぶ線分Rとの成す角度をθとした場合、前記線分Rの長さyと前記断面Aと前記断面Bとの間隔zとはcosθ=z/y=0.500乃至0.990の関係にあること、及び
前記充填補助部材が下記(1)乃至(3)の条件を満たすように配設されていることを特徴とする、塗布装置が挙げられる。
(1)前記板状被塗物表面に対向する前記充填補助部材の本体部底面の前記搬送方向上流側の端部と、前記板状被塗物表面との最短垂直距離H1が2mm以上10mm以下であること
(2)前記板状被塗物表面に対向する前記充填補助部材の本体部底面の前記搬送方向下流側の端部と、前記板状被塗物表面との最短垂直距離H2が2mm以上10mm以下であること
(3)前記(1)の最短垂直距離H1と前記(2)の最短垂直距離H2との差D(H1-H2)が-5mm以上8mm以下であること
【0033】
本発明の変形例の塗布装置は、本発明の塗布装置に、「充填補助部材が上記(1)乃至
(3)の条件を満たすように塗布量調整部材に配設されている」という構成を追加したものである。
つまり、本発明の変形例の塗布装置は、塗布量調整部材に充填補助部材を圧接させていること、及び特定の関係を満たす形状の空隙部分を有する充填補助部材を用いていることに加えて、充填補助部材が上記(1)乃至(3)の条件を満たすように塗布量調整部材に配設されていることを特徴とするものであり、例えば、図14に示したような実施態様を採用し得る。
【0034】
本発明の変形例の塗布装置における「塗布量調整部材」及び「充填補助部材」は本発明の塗布装置のものと同じであり、上記の<塗布量調整部材>及び<充填補助部材>で説明した通りである。
【0035】
一方、本発明の変形例の塗布装置特有の特徴である「充填補助部材が上記(1)乃至(3)の条件を満たすように塗布量調整部材に配設されている」という構成に関して、充填補助部材が上記(1)乃至(3)の条件を満たすように位置決めされることにより、本発明の変形例の塗布装置は被塗物表面の欠陥部が大きい場合であっても、該欠陥部の細部まで塗布液をより一層十分に充填することができる。
【0036】
特に本発明では、表面にワレ、虫クイ穴、節穴及び導管などの窪み状の欠陥部の細部まで塗布液をより一層充填することができる観点から、最短垂直距離H1が4mm以上7.5mm以下であることが好ましく、5mm以上7mm以下であることがより好ましく、最短垂直距離H2が4mm以上7mm以下であることが好ましく、5mm以上7mm以下であることがより好ましく、差Dが-0.5mm以上1.5mm以下であることが好ましく、-0.3mm以上0.3mm以下であることがより好ましい。
【0037】
[塗布液]
本発明に用いられる塗布液は粘度が10乃至100Pa・s/23℃でありかつ固形分が75乃至90%であるものであれば特に限定されず、粘度が10乃至100Pa・s/23℃でありかつ固形分が75乃至90%である塗布液であって、水性エマルジョン及び/又は水性ラテックス、並びに架橋剤などを含む塗布液が挙げられる。
【0038】
<水性エマルジョン及び/又は水性ラテックス>
水性エマルジョンとしては、アクリル樹脂、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリル-スチレン共重合樹脂、アクリル-エチレン-スチレン共重合樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、水性ウレタン樹脂及び酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。
水性ラテックスとしては、スチレンブタジエンラテックス及びカルボキシル化クロロプレンゴムラテックスなどが挙げられる。
これら水性エマルジョン及び水性ラテックスは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
<架橋剤>
架橋剤としては、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン及びN-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノアルキルシラン;γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン;ビニルトリクロロシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン及びγ-クロロプロピルメチルジクロロシラン等のクロロ系シラン;γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の有機シラン化合物;トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(C-MDI)、キシリレンジイ
ソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、水素化TDI、水素化MDI及びそれらの変性物又はそれらの混合物などを挙げることができる。
【0040】
これら架橋剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
架橋剤の含有量は水性エマルジョン及び/又は水性ラテックス100質量部に対して、通常、0.01~15質量部であり、好ましくは0.1~5質量部であり、より好ましくは0.5~3質量部である。
【0041】
なお、本発明に用いられる塗布液には、さらに、タルク、クレー等の充填剤;粘性付与剤;界面活性剤;希釈剤;消泡剤;分散剤;顔料など、塗布液に一般に用いられる添加剤を含ませることができる。
【0042】
次に本発明の塗布装置の各例を図面にしたがって説明する。
本発明の塗布装置は、例えば図2に示すように、連続的または間歇的に搬送される表面に窪み状の欠陥部を有する板状被塗物1の表面の全面または一部に塗布液7を塗布する装置である。
図2に示すように、本発明の塗布装置において、充填補助部材3は位置決め部材5を介して配設しても良い。
【0043】
本実施形態の位置決め部材5は、図2に示すように、側面視において略Z字状の形状を有する高剛性鋼板からなり、流量調整部材2を支持する支持部材4に取り付けられている。本実施形態の塗布装置においては、該支持部材4に対する位置決め部材5の取り付け位置を調整することによって、充填補助部材3の位置決めを可能としている。
なお、位置決め部材5の平面視における幅寸法および個数は、適宜選択可能であり、例えば、幅寸法の広いものを単独で用いたり、幅寸法の狭いものを複数個用いることができる。
【0044】
図7乃至13は、充填補助部材3の空隙部分31の各種形状を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図である。図7は空隙部分31が半メガホン状であり、図8は空隙部分31が半円錐状であり、図9は空隙部分31が三角錐状であり、図10は空隙部分31が四角錐台状であり、図11は空隙部分31が半円錐台形状であり、図12は空隙部分31が三角錐状であり、図13は空隙部分31が四半球状である充填補助部材を示す。
これら空隙部分31は図7乃至13に示すように空隙部分31の断面Aから断面Bに向かって次第に径が小さくなる形状となっている。また、これら空隙部分は図示するように、板状被塗物の幅方向に所定数設けられる。
【0045】
図15は、塗布液保留部材8を設けた本発明の塗布装置の別の実施態様を示す模式側面図である。図15に示すように、充填補助部材3の搬送方向の上流側に塗布液保留部材8を設け、充填補助部材3と塗布液保留部材8との間にノズル9より塗布液7が必要量供給される。塗布液保留部材8は、塗布液7の液溜りがいたずらに広がることを抑制することができる。その結果、充填補助部材3の断面A側に古い塗布液7が滞留することがなくなり、液溜りの液の粘度上昇を防止することができる。さらに、このような本発明の塗布装置によれば、液溜りの液の粘度と供給される液の粘度とに差が生じにくく、供給された液は順次塗布されるため、効果的に窪み状の欠陥部の細部まで該塗布液7を充填することができる。
【0046】
図16は、加圧シリンダ10に接続されたパイプ又はスクイズロール6を設けた本発明の塗布措置のさらに別の実施態様を示す模式側面図である。図16に示すように、ナイフコーターなどの塗布量調整部材2は、加圧シリンダ10に接続されたパイプ又はスクイズ
ロール6によって板状被塗物方向へ押圧され、搬送方向の下流側先端部が板状被塗物1の表面に圧接されている。このような本発明の塗布装置によれば、ナイフコーターなどの塗布量調整部材2を板状被塗物1の表面に圧接させて塗布する倣い加圧塗布法によって塗布することができる(特開平3-136806号公報)。
【0047】
なお、図7乃至13に示した3a乃至3gの充填補助部材は、必要に応じて板状被塗物1の幅方向に移動できるようにしてもよい。例えば、光電管等のセンサーで板状被塗物1の表面上の欠陥部を検知し、検知した欠陥部の位置に空隙部分の断面Aが正しく一致するように、検知結果に応じて板状被塗物1の幅方向に左右に移動させて位置決めすることができる。
【0048】
本発明の塗布装置を用いた塗布後は、通常、欠陥部において、圧縮された塗布液がもとの体積へ戻ることでわずかに膨らみが生じる。このため、サンダーなどの公知の表面研削機を用いて、板状被塗物の塗布面全体を研削し、さらなる平滑化を図ってもよい。
【実施例
【0049】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0050】
[調製例1:塗布液Aの調製]
固形分80%のアクリル樹脂エマルジョン混合物(株式会社J-ケミカル製 製品名:TP-37)100質量部およびジイソシアネート化合物(株式会社J-ケミカル製 製品名:TP-BPH)1.0質量部を混合し、塗布液Aを調製した。得られた塗布液Aの粘度は25Pa・s/23℃であり、固形分は80%であった。
【0051】
[調製例2:塗布液Bの調製]
固形分85%のアクリル樹脂エマルジョン混合物(株式会社J-ケミカル製 社内調製品)100質量部およびジイソシアネート化合物(株式会社J-ケミカル製 製品名:TP-BPH)1.0質量部を混合し、塗布液Bを調製した。得られた塗布液Bの粘度は60Pa・s/23℃であり、固形分は85%であった。
【0052】
[調製例3:塗布液Cの調製]
固形分45%のアクリル樹脂エマルジョン混合物(株式会社J-ケミカル製 社内調製品)100質量部およびジイソシアネート化合物(株式会社J-ケミカル製 製品名:TP-BPH)1.0質量部を混合し、塗布液Cを調製した。得られた塗布液Cの粘度は5Pa・s/23℃であり、固形分は45%であった。
【0053】
[調製例4:塗布液Dの調製]
固形分95%のアクリル樹脂エマルジョン混合物(株式会社J-ケミカル製 社内調製品)100質量部およびジイソシアネート化合物(株式会社J-ケミカル製 製品名:TP-BPH)1.0質量部を混合し、塗布液Dを調製した。得られた塗布液Dの粘度は110Pa・s/23℃であり、固形分は95%であった。
【0054】
[実施例1乃至6、及び比較例1乃至6:塗布液の塗布]
塗布量調整部材としてナイフコーターと、図12に示したような三角錐状の空隙部分を有する充填補助部材とを備えた図2に示した塗布装置を用いて、塗布液A、B、CおよびDを下記条件で台板合板に塗布し、乾燥機にて乾燥した。乾燥後の状態を確認後、台板合板の表面をサンダー処理した。
なお、充填補助部材は、最短垂直距離H1及び最短垂直距離H2がそれぞれ6mmでありかつ該最短垂直距離H1と該最短垂直距離H2との差Dが0mmとなるように塗布装置
に配設した。
合板:900mm×1800mm×12mm(表層厚みは1.80mm)
塗布量:10g/900cm
ラインスピード:20m/分
乾燥条件:エルフィン型熱風循環乾燥機(炉内温度60~85℃、乾燥温度70℃)
サンダー処理条件:粒度♯60→♯80→♯120の順にサンドペーパーを使用、ラインスピード30m/分
【0055】
サンダー処理後、欠陥部が完全に充填されて、台板合板の表面が平滑になっているかを下記の<評価指標>に基づいて評価した。評価は、最大開口幅10mm未満、10mm以上30mm未満、30mm以上40mm未満の欠陥部それぞれについて行った。ここで、最大開口幅とは、欠陥部の開口端において向かい合う開口端間の距離が最も長い部分の長さを示す。その結果を表1及び2に示す。
<評価指標>
5:乾燥後適度な膨らみがあり、サンダー処理後平滑性良好。
4:乾燥後僅かに膨らみがあり、サンダー処理後平滑性有り。
3:サンダー処理後僅かに目痩せがあるものの、製品として問題なし。
2:サンダー処理後大きく目痩せがあり、製品として不可。
1:頭欠けあり、サンダー処理後顕著な目痩せがあり、製品として不可。
なお、3以上で合格と判断した。
【0056】
【表1】
【0057】
表1に示した結果より、塗布量調整部材に充填補助部材を圧接させ、かつ該充填補助部材として、断面Bの面積(x’)/断面Aの面積(x)が0乃至0.5の関係にあり、また線分Rの長さ(y)と断面Aと断面Bとの間隔(z)とがcosθ(=z/y)=0.500乃至0.990の関係にある形状の空隙部分を有するものを備えた本発明の塗布装置は、台板合板の表面の欠陥部の大きさの程度に関らず、欠陥部を塗布液で充填し、台板合板の表面を平滑にすることができた(実施例1乃至6)。
特にx’/xが0乃至0.10の関係にあり、かつcosθ(=z/y)が0.643乃至0.952の関係にある形状の空隙部分を有する充填補助部材を備えた本発明の塗布装置は、欠陥部を塗布液で充填し、台板合板の表面を平滑化することに優れていた(実施例1乃至4及び6)。
【0058】
【表2】
【0059】
これに対し、表2に示した結果より、x’/x及びcosθ(=z/y)の数値がそれぞれ実施例1と同じであっても、塗布量調整部材に充填補助部材を圧接させていない塗布装置は、台板合板の表面の欠陥部を塗布液で充填し、台板合板の表面を平滑にすることができなかった(比較例1)。
また、塗布量調整部材に圧接させている充填補助部材を備えた塗布装置であっても、x’/xの数値、又はcosθ(=z/y)の数値の一方のみしか本発明における数値範囲を満たさない形状の空隙部分を有する充填補助部材を備えたものは、台板合板の表面の欠陥部の大きさの程度に関らず、欠陥部を塗布液で充填し、台板合板の表面を平滑にすることができなかった(比較例2乃至4)。
さらに、x’/x及びcosθ(=z/y)の数値がそれぞれ実施例1と同じであって、塗布量調整部材に圧接されている充填補助部材を備えた塗布装置であっても、塗布液の粘度及び固形分が本発明における数値範囲外である場合は、台板合板の表面の欠陥部の大きさの程度に関らず、欠陥部を塗布液で充填し、台板合板の表面を平滑にすることができなかった(比較例5及び6)。
【0060】
以上のことから、本発明の塗布装置は、塗布量調整部材に圧接されている充填補助部材を備え、該充填補助部材として、搬送方向に関して、最も下流側の部位における搬送方向に直交する断面Bの面積(x’)/最も上流側の部位における搬送方向に直交する断面Aの面積(x)が0乃至0.5の関係にあり、かつ前記断面Aのうち最も高い点Pと前記断面Bのうち最も高い点Qとを結ぶ線分Rの長さ(y)と前記断面Aと前記断面Bとの間隔(z)とがcosθ(=z/y)=0.500乃至0.990の関係にある形状の空隙部分を有するものを用いることにより、被塗物の表面に存在する窪み状の欠陥部の細部まで
塗布液を充填できることが明らかである。
また、本発明の塗布装置に用いる塗布液として、粘度が10乃至100Pa・s/23℃でありかつ固形分が75乃至90%である塗布液が適することが明らかである。
【符号の説明】
【0061】
1 板状被塗物
2 塗布量調整部材
3 充填補助部材
3B 充填補助部材の本体部
3D 充填補助部材の本体部底面
3L 充填補助部材の本体部底面の搬送方向上流側の端部
3M 充填補助部材の本体部底面の搬送方向下流側の端部
3a~3g 充填補助部材
31 空隙部分
4 支持部材
5 位置決め部材
6 スクイズロール
7 塗布液
8 塗布液保留部材
9 ノズル
10 加圧シリンダ
A 空隙部分の搬送方向の最も上流側の部位における搬送方向に直交する断面
B 空隙部分の搬送方向の最も下流側の部位における搬送方向に直交する断面
x 断面Aの面積
x’ 断面Bの面積
P 断面Aのうち最も高い点
Q 断面Bのうち最も高い点
R 点Pと点Qとを結ぶ線分
y 線分Rの長さ
z 断面Aと断面Bとの間隔
H1 最短垂直距離
H2 最短垂直距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16