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  • 特許-集合住宅インターホンシステム 図1
  • 特許-集合住宅インターホンシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】集合住宅インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20231102BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20231102BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H04M9/00 H
G08B25/04 F
G08B25/00 510M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019164743
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021044670
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 慎也
(72)【発明者】
【氏名】坂口 勝彦
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-240839(JP,A)
【文献】特開2014-013956(JP,A)
【文献】特開2017-098710(JP,A)
【文献】特開2013-207739(JP,A)
【文献】特開2008-079259(JP,A)
【文献】特開2005-129016(JP,A)
【文献】特開2006-104847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M9/00-9/10
E05B1/00-85/28
G07C1/00-15/00
G08B23/00-31/00
H04N7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅のメインエントランスに設置された第1集合玄関機と、個々の居室フロアのエントランスに設置された第2集合玄関機と、居室毎の玄関に設置された玄関子機と、各居室に設置された居室親機と、機器間の通信を制御する制御機とを備えた集合住宅インターホンシステムであって、
前記第1集合玄関機、前記第2集合玄関機、及び前記玄関子機は、何れも来訪者を撮像するためのカメラを具備する一方、
前記制御機は、居室番号と居室フロアとの関係を記憶する居室フロア情報記憶部、及び撮像画像から人物を同定する人物同定部と、同定するための来訪者情報を保存する来訪者情報登録部とを有し、
前記人物同定部は、前記第1集合玄関機が操作されて呼び出された居住者により、メインエントランスから居住エリアへ進むための第1オートドアが解錠されたら、前記第1集合玄関機のカメラが撮像した来訪者画像を呼出先の居室番号と紐付けして前記来訪者情報登録部に登録すると共に、
前記第2集合玄関機のカメラが撮像した人物と前記来訪者情報登録部に登録されている来訪者画像とを照合し、人物の同定が成され且つ当該第2集合玄関機のあるフロアが同定した登録画像に紐付けされている居室番号の居室があるフロアであったら、居室フロアへ進むための第2オートドアを解錠し
更に前記人物同定部は、呼出操作された前記玄関子機のカメラが撮像した人物と、前記来訪者情報登録部に登録されている来訪者画像とを照合し、登録されている来訪者画像の人物と同定しても、呼出操作された前記玄関子機の居室が紐付けされている居室番号でなれば呼出制御を禁止し、前記居室親機から呼出音が報音されないことを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
前記玄関子機或いは前記居室親機は、所定のメッセージを記憶するメッセージ記憶部を有し、
呼出制御が禁止された前記玄関子機は、記憶している前記メッセージを報音することを特徴とする請求項記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項3】
来訪者が訪問先居室に向かう際に使用するエレベータにはカメラが設置されており、
前記人物同定部は、前記エレベータのカメラが撮像した人物が、前記来訪者情報登録部に登録された人物であると同定したら、
登録画像に紐付けされている居室番号情報及び前記居室フロア情報記憶部の情報を基に停止するフロアを特定し、前記エレベータを前記特定したフロアで停止させることを特徴とする請求項1又は2記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項4】
前記人物同定部は、停止階を設定したにも関わらず、前記エレベータのカメラの撮像映像から、同定した人物が停止設定したフロアとは異なるフロアでエレベータから降りると認識したら警報動作を実施し、
エレベータ内で警報音が発報されることを特徴とする請求項記載の集合住宅インターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集合住宅インターホンシステムに関し、特にメインエントランスに加えて各居室フロアにもオートドアを備え、訪問者を二重にチェックする集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティを高めるために、メインエントランスのオートドアに加えて、居住エリアの各フロアにもオートドアを設けた集合住宅がある。このように二重にオートドアを設けた場合、オートドア毎に対に設置されている集合玄関機から居住者を呼び出して開けてもらう必要があったが、居住者の負担を軽減するために最初の集合玄関機でワンタイムパスワードを発行し、2つめのオートドアはこのパスワードを使用して来訪者による解錠を可能とした集合住宅インターホンシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-182019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のオートドアを通過するよう構成された集合住宅の場合、上記特許文献1に開示されているように、最初の呼び出しでワンタイムパスワードを発行することで、居住者を呼び出すのは1回のみとなるが、来訪者は引き続き集合玄関機をその都度操作しなければならなかった。
また、集合玄関機を二重に設置しても、一度入ってしまえば集合玄関機で呼び出した居室でなくても、他の居室の玄関子機を呼出操作できるため、任意の居室を訪問することができてしまい、セキュリティの面で十分ではなかった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、訪問先に辿り着くまでに複数のオートドアを通過する場合であっても、来訪者が操作する集合玄関機は1台で済み、加えて訪問者は集合玄関機から呼び出した訪問先以外の居室には容易に訪問することができない集合住宅インターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、集合住宅のメインエントランスに設置された第1集合玄関機と、個々の居室フロアのエントランスに設置された第2集合玄関機と、居室毎の玄関に設置された玄関子機と、各居室に設置された居室親機と、機器間の通信を制御する制御機とを備えた集合住宅インターホンシステムであって、第1集合玄関機、第2集合玄関機、及び玄関子機は、何れも来訪者を撮像するためのカメラを具備する一方、制御機は、居室番号と居室フロアとの関係を記憶する居室フロア情報記憶部、及び撮像画像から人物を同定する人物同定部と、同定するための来訪者情報を保存する来訪者情報登録部とを有し、人物同定部は、第1集合玄関機が操作されて呼び出された居住者により、メインエントランスから居住エリアへ進むための第1オートドアが解錠されたら、第1集合玄関機のカメラが撮像した来訪者画像を呼出先の居室番号と紐付けして来訪者情報登録部に登録すると共に、第2集合玄関機のカメラが撮像した人物と来訪者情報登録部に登録されている来訪者画像とを照合し、人物の同定が成され且つ当該第2集合玄関機のあるフロアが同定した登録画像に紐付けされている居室番号の居室があるフロアであったら、居室フロアへ進むための第2オートドアを解錠し、更に人物同定部は、呼出操作された玄関子機のカメラが撮像した人物と、来訪者情報登録部に登録されている来訪者画像とを照合し、登録されている来訪者画像の人物と同定しても、呼出操作された玄関子機の居室が紐付けされている居室番号でなれば呼出制御を禁止し、居室親機から呼出音が報音されないことを特徴とする。
この構成によれば、第1集合玄関機から居住者を呼び出して第1オートドアを解錠してもらえば、第2集合玄関機を操作すること無く居室フロアの第2オートドアが解錠され、訪問先の居室まで進むことができる。よって、訪問先の居室に辿り着くまでに、複数のオートドアを通過する必要のある集合住宅であっても、一度集合玄関機を操作するだけで目的の居室まで進むことができる。
加えて、来訪者が呼び出した居室のあるフロアではないフロアに行った場合は、第2オートドアを解錠しないよう制御できるため、集合住宅のセキュリティを向上できる。
【0007】
更に、第1集合玄関機で呼び出した居室とは異なる居室の玄関子機を画像登録された来訪者が呼出操作しても、居住者を呼び出しできない。よって、悪意のある訪問者に対処でき、セキュリティを向上できる。
【0008】
請求項の発明は、請求項に記載の構成において、玄関子機或いは居室親機は、所定のメッセージを記憶するメッセージ記憶部を有し、呼出制御が禁止された玄関子機は、記憶しているメッセージを報音することを特徴とする。
この構成によれば、呼出操作した来訪者は、訪問先ではない旨がメッセージで報音されることで、訪問先に設定されていない居室を呼出操作したことを認識できる。特に周囲にメッセージが聞こえることで不審者は居づらくなる。
【0009】
請求項の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、来訪者が訪問先居室に向かう際に使用するエレベータにはカメラが設置されており、人物同定部は、エレベータのカメラが撮像した人物が、来訪者情報登録部に登録された人物であると同定したら、登録画像に紐付けされている居室番号情報及び居室フロア情報記憶部の情報を基に停止するフロアを特定し、エレベータを特定したフロアで停止させることを特徴とする。
この構成によれば、来訪者がエレベータの停止階を設定しなくても、エレベータは第1集合玄関機で入力された番号の居室のあるフロアで自動停止するため、来訪者は降りる階を気にする必要がない。
【0010】
請求項の発明は、請求項に記載の構成において、人物同定部は、停止階を設定したにも関わらず、エレベータのカメラの撮像映像から、同定した人物が停止設定したフロアとは異なるフロアでエレベータから降りると認識したら警報動作を実施し、エレベータ内で警報音が発報されることを特徴とする。
この構成によれば、来訪者がエレベータから降りる階を間違えたら警報音の発報によりそれを認識でき、来訪者は安心できる。一方、警報を発することで来訪者の訪問先を制限でき、集合住宅のセキュリティを向上できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1集合玄関機から居住者を呼び出して第1オートドアが解錠されれば、その後はカメラの撮像画像から来訪者を同定することで、第2集合玄関機を操作すること無く居室フロアの第2オートドアが解錠されて訪問先の居室まで進むことができる。よって、訪問先の居室にたどり着くまでに、複数のオートドアを通過する必要のある集合住宅であっても、一度集合玄関機を操作するだけで目的の居室まで進むことができる。
加えて、来訪者が呼び出した居室のあるフロアではないフロアに行った場合は、第2オートドアを解錠しないよう制御できるため、集合住宅のセキュリティを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る集合住宅インターホンシステムの一例を示す構成図である。
図2】主要な機器を機能ブロックで示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る集合住宅インターホンシステムの一例を示す構成図である。集合住宅インターホンシステムは、集合住宅のメインエントランスに設置されて来訪者が居住者を呼び出すための第1集合玄関機1、居室フロア毎にそのエントランスに設置されて来訪者が居住者を呼び出すための第2集合玄関機2、居室毎に居室玄関に設置されて居住者を呼び出すための玄関子機3、居室毎に設置されて呼び出しに応答するための居室親機4、機器間の通信を制御するインターホン制御機5により主要部を構成している。
第1集合玄関機1、第2集合玄関機2はそれぞれ伝送線L1,L2を介してインターホン制御機5に接続されている。居室親機4は親機幹線L3を介してインターホン制御機5に接続されている。
【0014】
そして、この主要部にメインエントランスから居住エリアに進む際に通過する第1オートドア6a、居室フロアのエントランスに設置された第2オートドア6b、メインエントランスから複数階から成る居室フロアの任意の階に進むためのエレベータ7、このエレベータ7を制御するエレベータ制御機8、メインエントランスに設置された第1監視カメラ9a、エレベータ7内に設置された第2監視カメラ9bが接続されている。
このように、訪れた来訪者が訪問先の居室に辿り着くには、第1オートドア6aと第2オートドア6bの2つのオートドアを通過しなければならない構成となっている。
【0015】
第1オートドア6aは伝送線L4を介して第1集合玄関機1に接続され、第2オートドア6bは伝送線L5を介して第2集合玄関機2に接続されている。第1監視カメラ9a、第2監視カメラ9bはそれぞれ伝送線L7,L8を介してインターホン制御機5に接続され、エレベータ7は制御線L9によりエレベータ制御機8に接続され、エレベータ制御機8とインターホン制御機5とは伝送線L10を介して接続されている。
【0016】
図2は、主要な機器を機能ブロックで示した集合住宅インターホンシステムの構成図である。この図2に示すように、第1集合玄関機1は、来訪者を撮像するためのカメラ11、居住者と通話するためのマイク12及びスピーカ13、呼び出す居室番号(訪問先の居室番号)を入力する操作部14、操作内容を表示する表示部15、第1集合玄関機1を制御する第1集合玄関機制御部16、インターホン制御機5と通信する第1制御機通信IF17、第1オートドア6aの図示しない制御部と通信する第1ドア通信IF18等を備えている。
【0017】
第2集合玄関機2は、第1集合玄関機と同様の構成であり、カメラ21、マイク22及びスピーカ23、操作部24、表示部25、第2集合玄関機2を制御する第2集合玄関機制御部26、インターホン制御機5と通信する第2制御機通信IF27、第2オートドアの図示しない制御部と通信する第2ドア通信IF28等を備えている。
【0018】
玄関子機3は、来訪者を撮像するためのカメラ31、居住者を呼び出すための呼出ボタン32、通話するためのマイク33及びスピーカ34、玄関子機3を制御する子機制御部35、居室親機4と通信する子機通信IF36等を備えている。
【0019】
居室親機4は、呼び出しに応答する通話ボタン41、通話するためのマイク42及びスピーカ43、各種操作をする操作部44、第1集合玄関機1のカメラ11等の接続されている機器のカメラの撮像映像に加え各種情報を表示する表示部45、玄関子機3から報音するメッセージを記憶するメッセージ記憶部47、居室親機4を制御する親機制御部46、インターホン制御機5と通信する親機第1通信IF48、対を成して設置されている玄関子機3と通信する親機第2通信IF49等を備えている。
【0020】
インターホン制御機5は、撮像画像を居室番号と紐付けして保存する来訪者情報登録部52、居室番号と居室フロアの関係を記憶する居室フロア情報記憶部53、インターホン制御機5を制御する制御機制御部54、第1集合玄関機1、第2集合玄関機2、居室親機4、エレベータ制御機8、第1監視カメラ9a、及び第2監視カメラ9bと通信する制御機通信IF55等を備えている。
そして制御機制御部54は、第1集合玄関機1のカメラ11、第2集合玄関機2のカメラ21等の撮像画像を基に、撮像されている人物を同定する人物同定部54aを備えている。人物同定部54aは、第1集合玄関機1のカメラ11が撮像した来訪者と、他のカメラ21,31、更には第2監視カメラ9bで撮像された人物が同一人物であるかどうか判定する機能を有している。
【0021】
上記の如く構成された集合住宅インターホンシステムの動作は以下のようである。来訪者により第1集合玄関機1が操作され、訪問先の居室番号が入力されて呼出操作されると、インターホン制御機5の制御により呼出先居室の居室親機4に呼出信号が送信される。呼び出しを受けた居室親機4は、呼出音を鳴動して来訪者が現れたことを居住者に通知する。また呼出信号と共に、第1集合玄関機1のカメラ11の撮像映像がインターホン制御機5を経由して居室親機4に送信され、居室親機4の表示部45に表示される。
【0022】
呼出音により呼び出しを認識した居住者が応答操作すると、第1集合玄関機1と居室親機4との間で通話路が形成され、来訪者と居住者との間で通話が可能となる。この通話により来訪者であると認識した居住者により、操作部44が所定の解錠操作されると、解錠信号がインターホン制御機5、第1集合玄関機1を介して第1オートドア6aに送信され、第1オートドア6aが解錠される。
この結果、来訪者は、メインエントランスから解錠されて開いた第1オートドア6aを通って居住エリアに進むことができる。
【0023】
また居住者による第1オートドア6aの解錠操作を受けて、制御機制御部54の人物同定部54aが、第1集合玄関機1のカメラ11の撮像映像から来訪者を認証できる画像を抽出して、訪問先である入力した居室番号を紐付けして来訪者情報登録部52に保存する。
【0024】
以下、訪問先の居室が5階にある501号室であるとして説明する。制御機制御部54は、来訪者が呼び出した居室番号情報から来訪者の行き先が5階の居室フロアであることを居室フロア情報記憶部53から把握する。そして、来訪者が5階に進む際に利用するエレベータ7の第2監視カメラ9bの撮像映像の監視を開始する。
また、各居室フロアに設置されている第2集合玄関機2のうち、少なくとも来訪者の訪問先である5階に設置されている第2集合玄関機2のカメラ21を起動して、登録した来訪者が現れるのを待つ。
【0025】
尚、第1監視カメラ9a、及び第2監視カメラ9bは常時撮像を行っており、不審者の侵入等セキュリティ向上の目的で使用されている。そのため、第1集合玄関機1のカメラ11の撮像画像に代えて、第1監視カメラ9aを第1集合玄関機1のカメラとして使用しても良い。この場合、人物同定部54aが人物を同定するための登録画像は、第1監視カメラ9aの撮像画像が使用されることになる。
【0026】
第2監視カメラ9bの撮像映像を監視している制御機制御部54が、エレベータ7に人物が乗り込んできたことを撮像映像から認識したら、人物同定部54aにより登録されている来訪者であるか判定が行われる。判定の結果、501号室が紐付けされている登録画像の人物であると同定が成されたら、制御機制御部54からエレベータ制御機8に対してエレベータ7を5階で停止させる制御信号が送信される。
この制御信号を受けたエレベータ制御機8は、エレベータ7を5階で停止する制御を実施する。尚、この時エレベータ7では、図示しない報音部から例えば「お客様の訪問先は5階になります。5階で停止します」のアナウンスが報音される。
こうして、来訪者は停止階を設定することなく目的とするフロアに進むことができる。
【0027】
5階で停止したエレベータ7から降りた来訪者は、次に5階の居室フロアに進む際に通らなければならない第2オートドア6bを解錠してもらうために、5階のエントランスにある第2集合玄関機2に近づく。すると、既に撮像状態にある第2集合玄関機2のカメラ21の撮像映像に来訪者が映り込み、この映像(画像)がインターホン制御機5に送信される。
【0028】
人物が映り込んだ映像が送信された制御機制御部54は、人物同定部54aが撮像している人物の同定判断を行う。人物同定部54aは、5階の第2集合玄関機2から送信された画像の人物を、501号の居室番号が紐付けされている登録画像の人物と同定したら、登録されている居室のあるフロアであるため、インターホン制御機5から第2オートドア6bを解錠させる信号が第2集合玄関機2へ送信される。
この結果、第2オートドア6bが解錠され、第2集合玄関機2を操作すること無く、来訪者は開いた第2オートドア6bから501号室のある居室フロアに進むことができる。
【0029】
こうして、解錠された第2オートドア6bを通り、訪問先の501号室前まで来た来訪者は、玄関子機3の呼出ボタン32を押下するが、この呼出操作を受けてインターホン制御機5が以下のように制御する。従来は、呼出ボタン32の押下を受けて、居室親機4は呼出音を速やかに報音したが、ここでは呼出動作を一旦保留し、インターホン制御機5が以下のように制御する。
【0030】
呼出ボタン32が押下されるとカメラ31が撮像を開始し、その撮像映像に居室番号が添付されて居室親機4を介してインターホン制御機5に送信される。
インターホン制御機5では、撮像映像を受けて、まず添付されている居室番号から、同一の居室番号が紐付けされている登録画像が来訪者情報登録部52にあったら、その画像の人物と比較し、同定判定する。判定結果、同一人物と判断したら許可信号が居室親機4へ送信される。ここでは、501号室の居室親機4へ許可信号が送信される。
許可信号を受けた居室親機4は、呼出音を報音して通常の呼出動作を実施する。
【0031】
一方、撮像映像送信元の居室番号が紐付けされている登録画像がなければ、或いは登録画像があっても人物が異なり同定できなければ、許可信号では無く禁止信号が居室親機4に送信される。呼出動作を保留していた居室親機4は、この禁止信号を受けて呼出動作自体を実施せず、呼出音を報音しない。代わりに、禁止信号を受けた居室親機4は、親機制御部46の制御により、メッセージ記憶部47に記憶されているメッセージが玄関子機3のスピーカ34から報音される。例えば「こちらは、お客様の訪問先ではありません、訪問先を間違えていませんか」のメッセージが報音される。
【0032】
尚、最初から訪問先が複数ある場合は、第1集合玄関機1から全ての訪問先住戸を最初に呼び出して複数の居室番号を登録すれば良く、訪問先毎にメインエントランスに戻ることなく来訪者はスムーズに複数の居室を訪問できる。
【0033】
このように、第1集合玄関機1から居住者を呼び出して第1オートドア6aを解錠してもらうだけで、第2集合玄関機2を操作すること無く居室フロアの第2オートドア6bが解錠され、来訪者は訪問先の居室まで進むことができる。よって、訪問先の居室にたどり着くまでに、複数のオートドアを通過する必要のある集合住宅であっても、一度集合玄関機を操作するだけで目的の居室まで進むことができる。
そして、来訪者が呼び出した居室のあるフロアではないフロアに行った場合は、第2オートドア6bが解錠されないため、集合住宅のセキュリティを向上できる。
また、第1集合玄関機1で呼び出した居室とは異なる居室の玄関子機3を来訪者が呼出操作した場合は、居住者を呼び出しできないため、悪意のある訪問者に対処でき、セキュリティを向上できる。また、その際訪問先ではない旨がメッセージで報音されることで、訪問先ではない居室を呼出操作したことを認識できる。特に、周囲にメッセージが聞こえることで不審者は居づらくなる。
加えて、来訪者がエレベータ7の停止階を設定しなくても、エレベータ7は第1集合玄関機1で入力された番号の居室のあるフロアで自動停止するため、来訪者は降りる階を気にする必要がない。
【0034】
ここで、来訪者がエレベータ7から降りる階が自動設定された5階でない場合、例えば来訪者自身が何らかの理由で他の階を指定して降りた場合、また5階ではない途中のフロアでエレベータ7が開くことで、エレベータ7を間違って降りた場合を説明する。
第2監視カメラ9bの撮像映像(画像)から、人物同定部54aが登録されているフロア(登録画像に紐付けされてる居室番号の居室のあるフロア)とは異なるフロアでエレベータ7から降りて行くのを認識する。すると、注意を促すためにエレベータ7の報音部から警報音を発報させる。
【0035】
また、間違えたフロアで降りて更に住居フロアに入って行こうと、そのフロアの第2集合玄関機2に近づくと、人物同定部54aがカメラ21の撮像画像により登録されている来訪者であると同定するが、紐付けされている居室番号のフロアと異なるフロアであるため、第2オートドア6bの解錠は実施されない。
【0036】
こうして、来訪者がエレベータ7から降りる階を間違えたら警報音の発報によりそれを認識でき、来訪者は間違って降りたことを認識できる。一方、警報を発することで来訪者の訪問先を制限でき、悪意のある訪問者に対しては行動を躊躇させることができ、集合住宅のセキュリティを向上できる。
加えて、来訪者が登録された画像に紐付けされた居室のないフロアに行った場合、第2オートドア6bは解錠されないため、来訪者はフロアが異なることを認識できるし、集合住宅のセキュリティを向上できる。
【0037】
但し、来訪者がエレベータ7から降りたフロアが指定されていないフロアであっても、新たな訪問先が発生したことで降りた場合は、第2集合玄関機2から居住者を呼び出して第2オートドア6bを開けてもらうことで、先に進むことができる。
【0038】
尚、上記実施形態では、玄関子機3の呼出ボタン32の押下を受けて起動したカメラ31の撮像映像を基に判断しているが、第2オートドア6bを解錠した時点で、訪問先の居室である501号室の玄関子機3のカメラ31を起動させても良い。この場合、呼出ボタン32の押下を待たず、人物の同定を実施でき、登録されている来訪者による呼び出しであったら速やかに居室親機4から呼出音を報音させることができる。
【符号の説明】
【0039】
1・・第1集合玄関機、2・・第2集合玄関機、3・・玄関子機、4・・居室親機、5・・インターホン制御機(制御機)、6a・・第1オートドア、6b・・第2オートドア、7・・エレベータ、8・・エレベータ制御機、9a・・第1監視カメラ(カメラ)、9b・・第2監視カメラ(カメラ)、11,21,31・・カメラ、47・・メッセージ記憶部、52・・来訪者情報登録部、53・・居室フロア情報記憶部、54・・制御機制御部、54a・・人物同定部。
図1
図2