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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20231102BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231102BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 643A
H01L21/304 644C
H01L21/304 648A
B65G49/07 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019176995
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021057378
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】河原 啓之
(72)【発明者】
【氏名】菊本 憲幸
(72)【発明者】
【氏名】内田 雄三
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-7279(JP,A)
【文献】特開2018-26579(JP,A)
【文献】特開2013-38126(JP,A)
【文献】特開2013-191844(JP,A)
【文献】特開2019-61996(JP,A)
【文献】特開2014-3139(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0090135(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0016516(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/304
B65G 49/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を洗浄処理する基板処理装置において、
複数枚の基板を収容するキャリアが載置されるキャリア載置部を備え、前記キャリア載置部の前記キャリアとの間で基板を搬送する1つのインデクサロボットを備えたインデクサブロックと、
処理ユニットとして、基板の表面洗浄処理を行う表面洗浄ユニット及び基板の裏面洗浄処理を行う裏面洗浄ユニットを備え、上段と下段のそれぞれに前記処理ユニットを備えた処理ブロックと、
前記インデクサブロックと前記処理ブロックとの間に配置され、基板を載置する複数段の棚を備えているとともに、基板の表裏を反転させる反転機能を備えている反転パス部を垂直方向に複数個有する反転パスブロックと、
を備え、
前記処理ブロックは、前記各処理ユニットと前記反転パスブロックとの間で基板を搬送するセンターロボットを前記上段及び前記下段のそれぞれに備え、
前記反転パスブロックは、前記上段に対応する複数個の反転パス部を備えた上段反転パスユニットと、前記下段に対応する複数個の反転パス部を備えた下段反転パスユニットとを備え、
前記インデクサロボットは、前記上段反転パスユニットの複数個の反転パス部及び前記下段反転パスユニットの複数個の反転パス部のうち、前記上段及び前記下段の境界に垂直方向において近いものを優先して、前記反転パス部に基板を受け渡すことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記インデクサロボットは、前記反転パス部における回転軸を基準として、前記上段及び前記下段の境界に近い棚を優先して、前記反転パス部に基板を受け渡すことを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記センターロボットは、前記処理ブロックで処理を行った基板について、前記上段反転パスユニットの複数個の反転パス部及び前記下段反転パスユニットの複数個の反転パス部のうち、前記上段及び前記下段の境界に近いものを優先して、前記反転パス部に基板を受け渡すことを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記インデクサロボットは、水平方向の位置が固定されて立設されたガイドレールと、前記ガイドレールに沿って昇降移動する基台部と、前記基台部に配置された多関節アームと、前記多関節アームの先端部側のアームに基板を支持するハンドとを備え、
前記反転パスブロックへアクセスする前の待機状態では、前記ハンドが前記上段と前記下段の境界に位置することを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記反転パスブロックは、基板の表面洗浄処理を行うために前記表面洗浄ユニットだけを用いる場合には、基板を反転させず載置するだけであることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記反転パスブロックは、基板の表裏にわたる表裏洗浄処理を行うために前記表面洗浄ユニット及び前記裏面洗浄ユニットを用いる場合には、前記裏面洗浄ユニットへの搬入前及び前記表面洗浄ユニットへの搬入前であわせて基板を二回反転させることを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶表示器や有機EL(Electroluminescence)表示装置用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などの基板(以下、単に基板と称する)に対して、表面洗浄や裏面洗浄などの洗浄処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、インデクサブロックと、表面洗浄ユニットと裏面洗浄ユニットとを備えた処理ブロックと、インデクサブロックと処理ブロックとの間に取り付けられた反転パスブロックとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
インデクサブロックは、複数枚の基板を収容したキャリアが載置されるキャリア載置部と、キャリアと反転パスブロックとの間で基板を搬送する1台のインデクサロボットとを備えている。反転パスブロックは、基板が載置される複数段の棚を備え、処理ブロックとの間で基板を受け渡したり、基板の表裏を反転したりする反転パスユニットを備えている。処理ブロックは、インデクサブロックから見て左方に、下から4台の表面洗浄ユニットを備えた4層構造の第1処理部列と、インデクサブロックから見て右方に、下から4台の裏面洗浄ユニットを備えた4層構造の第2処理部列と、表面洗浄ユニット及び裏面洗浄ユニットと反転パスユニットとの間で基板を搬送する1台のメインロボットとを備えている。反転パスブロックは、上2層に対応する上段に上部反転パスユニットと、下2層に対応する下段に下部反転パスユニットとを上下方向に離間して備えている。インデクサロボットは、未処理の基板を処理ブロックに搬送する際には上部反転パスユニットだけを経由して搬送し、処理済みの基板を処理ブロックから受け取る際には下部反転パスユニットだけを経由して受け取る。
【0004】
この装置では、メインロボットが処理ブロックに1台であるが、最近は、スループットを向上させるために、処理ブロックのうちの上段の処理ユニットと下段の処理ユニットとに対応する2台のメインロボットを搭載しているものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-166369号公報(図1図2
【文献】特開2016-201526号公報(図10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、1台のインデクサロボットが、未処理の基板を搬送するには上部反転パスユニットにアクセスし、処理済みの基板を受け取るには下部反転パスユニットにアクセスする必要がある。したがって、基板を洗浄処理する際に、1台のインデクサロボットにおける上下方向への移動距離が長くなって、1台のインデクサロボットの動作状況に起因してスループットが低下することがあるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、1台のインデクサロボットからの反転パスユニットへの搬送を工夫することにより、1台のインデクサロボットの動作状況に起因するスループットの低下を抑制できる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板を洗浄処理する基板処理装置において、複数枚の基板を収容するキャリアが載置されるキャリア載置部を備え、前記キャリア載置部の前記キャリアとの間で基板を搬送する1つのインデクサロボットを備えたインデクサブロックと、処理ユニットとして、基板の表面洗浄処理を行う表面洗浄ユニット及び基板の裏面洗浄処理を行う裏面洗浄ユニットを備え、上段と下段のそれぞれに前記処理ユニットを備えた処理ブロックと、前記インデクサブロックと前記処理ブロックとの間に配置され、基板を載置する複数段の棚を備えているとともに、基板の表裏を反転させる反転機能を備えている反転パス部を垂直方向に複数個有する反転パスブロックと、を備え、前記処理ブロックは、前記各処理ユニットと前記反転パスブロックとの間で基板を搬送するセンターロボットを前記上段及び前記下段のそれぞれに備え、前記反転パスブロックは、前記上段に対応する複数個の反転パス部を備えた上段反転パスユニットと、前記下段に対応する複数個の反転パス部を備えた下段反転パスユニットとを備え、前記インデクサロボットは、前記上段反転パスユニットの複数個の反転パス部及び前記下段反転パスユニットの複数個の反転パス部のうち、前記上段及び前記下段の境界に垂直方向において近いものを優先して、前記反転パス部に基板を受け渡すことを特徴とするものである。
【0009】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、1つのインデクサロボットは、処理ブロックとの間で反転パスブロックを介して基板を搬送する際に、上段反転パスユニットの複数個の反転パス部及び下段反転パスユニットの複数個の反転パス部のうち、上段及び下段の境界に垂直方向において近いものを優先して、反転パス部に基板を受け渡す。このように、1台のインデクサロボットからの反転パスブロックへの搬送を工夫することにより、1台のインデクサロボットにおける上下方向への移動距離を短縮できるので、1台のインデクサロボットの動作状況に起因するスループットの低下を抑制できる。
【0010】
また、本発明において、前記インデクサロボットは、前記反転パス部における回転軸を基準として、前記上段及び前記下段の境界に近い棚を優先して、前記反転パス部に基板を受け渡すことが好ましい(請求項2)。
【0011】
反転パス部における回転軸を基準として、インデクサロボットが上段及び下段の境界に近い棚を優先して、反転パス部に基板を受け渡す。したがって、複数個の反転パス部のうち、境界に最も近いものが使えない状況であっても、上段及び下段の境界にできるだけ近い位置の棚を優先的に使うことになる。その結果、1台のインデクサロボットにおける上下方向への移動距離を確実に短縮できる。
【0012】
また、本発明において、前記センターロボットは、前記処理ブロックで処理を行った基板について、前記上段反転パスユニットの複数個の反転パス部及び前記下段反転パスユニットの複数個の反転パス部のうち、前記上段及び前記下段の境界に近いものを優先して、前記反転パス部に基板を受け渡すことが好ましい(請求項3)。
【0013】
センターロボットは、上段反転パスユニットの複数個の反転パス部及び下段反転パスユニットの複数個の反転パス部のうち、上段及び下段の境界に近いものを優先して、反転パス部に基板を受け渡す。これにより、インデクサロボットが反転パスブロックから基板を受け取る際における上下方向への移動距離を短縮できるので、処理を終えた基板を戻す際にもインデクサロボットの動作状況に起因するスループットの低下を抑制できる。
【0014】
また、本発明において、前記インデクサロボットは、水平方向の位置が固定されて立設されたガイドレールと、前記ガイドレールに沿って昇降移動する基台部と、前記基台部に配置された多関節アームと、前記多関節アームの先端部側のアームに基板を支持するハンドとを備え、前記反転パスブロックへのアクセスする前の待機状態では、前記ハンドが前記上段と前記下段の境界に位置することが好ましい(請求項4)。
【0015】
1台のインデクサロボットは、ガイドレールと、基台部と、多関節アームと、ハンドとを備え、ガイドレールに対して基台部を昇降させ、基台部に対して多関節アームを駆動してハンドを自在に移動させる。反転パスブロックへのアクセスする前の待機状態では、そのハンドが上段と下段の境界に位置する。したがって、上段反転パスユニットや下段反転パスユニットへのアクセスの際の移動距離を短縮できる。
【0016】
また、本発明において、前記反転パスブロックは、基板の表面洗浄処理を行うために前記表面洗浄ユニットだけを用いる場合には、基板を反転させず載置するだけであることが好ましい(請求項5)。
【0017】
反転パスブロックは、基板を反転させることなく載置して受け渡すことにより、表面洗浄ユニットを使って基板の表面洗浄処理だけを行わせることができる。
【0018】
また、本発明において、前記反転パスブロックは、基板の表裏にわたる表裏洗浄処理を行うために前記表面洗浄ユニット及び前記裏面洗浄ユニットを用いる場合には、前記裏面洗浄ユニットへの搬入前及び前記表面洗浄ユニットへの搬入前であわせて基板を二回反転させることが好ましい(請求項6)。
【0019】
反転パスブロックは、基板を二回反転させることにより、表面洗浄ユニットを使った表面洗浄処理と、裏面洗浄ユニットを使った裏面洗浄処理とを行わせることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る基板処理装置によれば、1つのインデクサロボットは、処理ブロックとの間で反転パスブロックを介して基板を搬送する際に、上段反転パスユニットの複数個の反転パス部及び下段反転パスユニットの複数個の反転パス部のうち、上段及び下段の境界に垂直方向において近いものを優先して、反転パス部に基板を受け渡す。このように、1台のインデクサロボットからの反転パスユニットへの搬送を工夫することにより、1台のインデクサロボットにおける上下方向への移動距離を短縮できるので、1台のインデクサロボットの動作状況に起因するスループットの低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す斜視図である。
図2】基板処理装置の平面図であり、処理ブロックの上段における上層を示す図である。
図3】基板処理装置の平面図であり、処理ブロックの上段における下層を示す図である。
図4】基板処理装置の側面図である。
図5】インデクサロボットの全体を示す斜視図である。
図6】インデクサロボットのハンドを示す斜視図であり、(a)は4枚のハンド本体を示し、(b)は2枚とされたハンド本体を示す。
図7】インデクサブロックを背面から見た状態における反転パスブロックの斜視図である。
図8】インデクサブロック及び反転パスブロックを左側面から見た状態を示す図である。
図9】反転パスユニットの要部を示す斜視図である。
図10】(a)~(d)は、反転パスユニットの動作説明図である。
図11】基板処理装置の運搬時における状態を示す分解斜視図である。
図12】搬送ブロックの要部を示す斜視図である。
図13】表裏面洗浄処理におけるインデクサロボットと処理ブロックとの間の搬送の一例について説明するための模式図である。
図14】表面洗浄処理におけるインデクサロボットと処理ブロックとの間の搬送の一例について説明するための模式図である。
図15】裏面洗浄処理におけるインデクサロボットと処理ブロックとの間の搬送の一例について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
【0023】
なお、図1は、実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す斜視図であり、図2は、基板処理装置の平面図であり、処理ブロックの上段における上層を示す図であり、図3は、基板処理装置の平面図であり、処理ブロックの上段における下層を示す図であり、図4は、基板処理装置の側面図である。
【0024】
本実施例に係る基板処理装置1は、基板Wの表面を洗浄する表面洗浄処理と、基板の裏面を洗浄する裏面洗浄処理とを実施することができる装置である。この基板処理装置1は、インデクサブロック3と、反転パスブロック5と、処理ブロック7と、搬送ブロック9と、ユーティリティブロック11とを備えている。
【0025】
インデクサブロック3は、処理対象である基板Wを反転パスブロック5との間で受け渡す。反転パスブロック5は、インデクサブロック3と処理ブロック7との間に配置されている。反転パスブロック5は、基板Wの表裏を反転させることなく、基板Wをそのままインデクサブロック3と搬送ブロック9との間で受け渡したり、基板Wの表裏を反転させて搬送ブロック9との間で基板Wを受け渡ししたりする。搬送ブロック9は、反転パスブロック5と処理ブロック7との間における基板Wの搬送を行う。処理ブロック7は、基板Wの表面を洗浄する表面洗浄ユニットSSと、基板Wの裏面を洗浄する裏面洗浄ユニットSSRとを備えている。ユーティリティブロック11は、処理ブロック7に薬液や純水などの処理液や、窒素ガスや空気などの気体を供給する構成などを備えている。
【0026】
基板処理装置1は、インデクサブロック3と、反転バスブロック5と、処理ブロック7及び搬送ブロック9と、ユーティリティブロック11とがこの順番で並ぶように配置されている。
【0027】
以下の説明においては、インデクサブロック3と、反転パスブロック5と、処理ブロック7及び搬送ブロック9と、ユーティリティブロック11とが並ぶ方向を「前後方向X」(水平方向)とする。特に、ユーティリティブロック11からインデクサブロック3へ向かう方向を「前方XF」とし、前方XF方向の反対方向を「後方XB」とする。前後方向Xと水平方向で直交する方向を「幅方向Y」とする。さらに、インデクサブロック3の正面から見た場合に、幅方向Yの一方向を適宜に「右方YR」とし、右方YRの反対の他方向を「左方YL」とする。また、垂直な方向を「上下方向Z」(高さ方向、垂直方向)とする。なお、単に「側方」や「横方向」などと記載するときは、前後方向X及び幅方向Yのいずれにも限定されない。
【0028】
インデクサブロック3は、キャリア載置部13と、搬送スペースAIDと、1台のインデクサロボットTIDとを備えている。本実施例における基板処理装置1は、例えば、4個のキャリア載置部13を備えている。具体的には、幅方向Yに4個のキャリア載置部13を備えている。各キャリア載置部13は、キャリアCが載置される。キャリアCは、複数枚(例えば、25枚)の基板Wを積層して収納するものであり、各キャリア載置部13は、例えば、図示しないOHT(Overhead Hoist Transport:天井走行無人搬送車とも呼ばれる)との間でキャリアCの受け渡しを行う。OHTは、クリーンルームの天井を利用してキャリアCを搬送する。キャリアCとしては、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)が挙げられる。
【0029】
搬送スペースAIDは、キャリア載置部13の後方XBに配置されている。搬送スペースAIDには、インデクサロボットTIDが配置されている。インデクサロボットTIDは、キャリアCとの間で基板Wを受け渡すとともに、反転ブロック5との間で基板Wを受け渡す。インデクサロボットTIDは、1台だけが搬送スペースAIDに配置されている。
【0030】
ここで図5を参照する。なお、図5は、インデクサロボットの全体を示す斜視図である。
【0031】
図5に示すように、1台のインデクサロボットTIDは、ガイドレール15と、基台部17と、多関節アーム19と、ハンド21とを備えている。ガイドレール15は、上下方向Zに長手方向を配置されており、図示しない駆動部による駆動に伴って基台部17が昇降するが、その際に基台部17を上下方向Zに案内する。ガイドレール15は、前後方向X及び幅方向Yにおける位置が固定されている。具体的には、ガイドレール15は、幅方向Yのうち、インデクサブロック3のキャリア載置部13側から見た場合に、反転パスブロック5における基板Wの載置位置と重ならない位置に配置されている。また、インデクサブロック3のうち、反転パスブロック5側の内壁側に配置されている。ここで、平面視において、幅方向Yにおけるインデクサブロック3の中央と、幅方向Yにおける反転パスブロック5の中央とを結ぶ仮想線VLを定義する(図2及び図3参照)。ガイドレール15及び基台部17は、この仮想線VLから側方、本実施例では右方YRにずれた位置に配置されている。基台部17は、平面視で、インデクサブロック3の背面からキャリア載置部13側へ空間SPを空けて配置されている。この空間SPは、反転パスブロック5の少なくとも一部の収容を許容する大きさを有する。
【0032】
基台部17は、ガイドレール15に移動可能に配置された基台部本体17aと、基台部本体17aから側方に延出された固定アーム17bとを備えている。固定アーム17bは、その先端側が、4個のキャリア載置部13の幅方向Yにおける中央、つまり、上記仮想線VLに位置するように基台部本体17aから前方XFに延出されて配置されている。多関節アーム19は、第1アーム19aと、第2アーム19bと、第3アーム19cとから構成され、ハンド21が配置された第3アーム19cを先端部側、第1アーム19aを基端部側とすると、基端部側である第1アーム19aの基端部が固定アーム17bの先端部側に取り付けられている。
【0033】
多関節アーム19は、第1アーム19aの基端部側の回転軸P1と、第2アーム19bの基端部側の回転軸P2と、第3アーム19cの基端部側の回転軸P3にて各第1~第3アーム19a、19b,19cが回転可能に構成されており、ハンド21が前後方向X及び幅方向Yに自在に移動可能に構成されている。ハンド21は、基台部17がガイドレール15に沿って昇降することにより、上下方向Zに移動可能に構成されている。また、多関節アーム19は、基端部側の第1アーム19aにおける回転軸P1が、キャリア載置部13側から見て、幅方向Yにおいて、ガイドレール15よりも反転パスブロック5側にずれて配置されている。つまり、回転軸P1は、上記仮想線VLに位置している。また、回転軸P1は、基台部17を基準とすると、左方YLに位置している。このように構成されたインデクサロボットTIDは、多関節アーム19によって、4個のキャリアCと、後述する反転パスブロック5に対してアクセス可能になっている。
【0034】
ここで、図6を参照する。なお、図6は、インデクサロボットのハンドを示す斜視図であり、(a)は4枚のハンド本体を示し、(b)は2枚とされたハンド本体を示す。
【0035】
上述したインデクサロボットTIDは、ハンド21を備えるが、ハンド21は、図6(a)に示すように、上から下に向かって順に、ハンド本体21aと、ハンド本体21bと、ハンド本体21cと、ハンド本体21dとを備えている。ハンド21における4本のハンド本体21a~21dは、第3アーム19cに取り付けられている。これらの4本のハンド本体21a~21dのうち、最上部のハンド本体21aと、最下部のハンド本体21dとは、図6(b)に示すように、上下方向Zに昇降可能に構成されている。インデクサロボットTIDは、キャリアCとの間で基板Wを搬送する際に、例えば、25枚の基板WがキャリアCに収納されている際には、4本のハンド本体21a~21dで基板Wを4枚ずつ順次に搬送し、残り1枚となった場合には、例えば、1枚の基板Wをハンド本体21aとハンド本体21bで一体化させたハンド本体21a、21bで搬送し、次のキャリアCの1枚の基板Wをハンド本体21cとハンド本体21dで一体化させたハンド本体21c、21dで搬送する。これにより、4本のハンド本体21a~21dを備えたインデクサロボットTIDによって、25枚の基板Wが収納されたキャリアCとの搬送を効率的に行うことができる。
【0036】
なお、上述した構成を備えた1つのインデクサロボットTIDは、反転パスブロック5へのアクセスする前の待機状態では、ハンド21が上下方向Zにおける上段UFと下段DFの境界に位置するように制御されるのが好ましい。
【0037】
ここで図7及び図8を参照する。なお、図7は、インデクサブロックを背面から見た状態における反転パスブロックの斜視図であり、図8は、インデクサブロック及び反転パスブロックを左側面から見た状態を示す図である。
【0038】
反転パスブロック5は、インデクサブロック3の処理ブロック7側でインデクサブロック3に対して一体的に取り付けられている。具体的には、インデクサブロック3は、その背面側(後方XB)に、インデクサブロック3から処理ブロック側7に延出された載置フレーム25と、載置懸架フレーム27と、懸架フレーム29とを備えている。反転パスブロック5は、反転パスユニット31を備えている。インデクサブロック3の背面側には、搬送スペースAIDに連通した上部アクセス口3a及び下部アクセス口3bが形成されている。反転パスユニット31は、上段反転パスユニット33と、下段反転パスユニット35とを備えている。上段反転パスユニット33は、上部アクセス口3aに対応する位置に配置され、下段反転パスユニット35は、下部アクセス口3bに対応する位置に配置されている。下段反転パスユニット35は、載置フレーム25に下部がねじ止め固定されるとともに、上部が固定具37によって載置懸架フレーム27に固定される。また、上段反転パスニット33は、載置懸架フレーム27に下部がねじ止め固定されるとともに、上部が固定具39によって懸架フレーム29に固定される。
【0039】
上段反転パスユニット31と下段反転パスユニット33とは、平面視において、前後方向X及び幅方向Yにずれることなく重なって配置されている。したがって、基板処理装置1のフットプリントを小さくできる。
【0040】
反転パスブロック5は、インデクサブロック3と一体的に構成されているが、反転パスブロック5は、基板処理装置1の運搬時には、少なくとも一部がインデクサブロック3の内部に収納可能に構成されている。
【0041】
具体的には、上段反転パスユニット33及び下段反転パスユニット35の下部を止めているねじを取り外すとともに、固定具37,39を取り外した後、上段反転パスユニット33を上部アクセス口3aからインデクサブロック3の内部にある空間SPに押し込み、下段反転パスユニット35を下部アクセス口3bからインデクサブロック3の内部にある空間SPに押し込む。これにより、反転パスブロック5の少なくとも一部がインデクサブロック3の内部に確実に収納可能に構成されている。
【0042】
上段反転パスユニット33は、反転パス筐体部33aと、筐体部仕切り33bとを備えている。筐体部仕切り33bで仕切られた上部には、上部反転パス部33Uが配置され、筐体部仕切り33bで仕切られた下部には、下部反転パス部33Dが配置されている。また、下段反転パスユニット35は、反転パス筐体部35aと、筐体部仕切り35bとを備えている。筐体部仕切り35bで仕切られた上部には、上部反転パス部35Uが配置され、筐体部仕切り33bで仕切られた下部には、下部反転パス部35Dが配置されている。
【0043】
ここで、図9及び図10を参照して、反転パスユニット31の詳細について説明する。なお、図9は、反転パスユニットの要部を示す斜視図であり、図10(a)~(d)は、反転パスユニットの動作説明図である。
【0044】
反転パスユニット31は、上段反転パスユニット33と下段反転パスユニット35を備え、上段反転パスユニット33と下段反転パスユニット35は、上部反転パス部33U、35Uと下部反転パス部33D、35Dを備えている。以下の説明においては、上部反転パス部33Uを例にとって説明するが、上部反転パス部35Uと、下部反転パス部33D、35Dでも同様の構成である。
【0045】
上部反転パス部33Uは、基板Wを載置するためのガイド部41と、ガイド部41に載置された基板Wの表裏を反転するように回転させるための回転保持部43とを備えている。なお、右方YR側にも同様のガイド部41と回転保持部43とが対向して配置されているが、図示の都合上省略してある。ガイド部41は、複数枚の基板Wを水平姿勢で積層して保持するための複数段(例えば、5段+5段の合計10段)の棚45を前後方向Xに離間して備えている。このガイド部41は、右方YRに突出した載置位置(不図示)と、図9に示す左方YLに退避した退避位置とにわたって駆動部(不図示)によって駆動される。退避位置は、基板Wの下面から左方YLに下がった斜め下方向である。これにより退避時に基板Wの下面にガイド部41による摺動を生じさせない。なお、不図示のガイド部41は、左方YLに突出した載置位置と、右方YRの斜め下方に退避した退避位置とにわたって駆動される。
【0046】
回転保持部43は、ガイド部41の間に配置されており、ガイド部41と同数の複数段(合計10段)の棚47を備えている。上下方向Zにおける棚47が配置されている高さ位置は、ガイド部41が載置位置に位置している場合におけるガイド部41の各棚45と同じである。各棚47は、基板Wの表裏面を弱く把持する把持部材(不図示)を備えており、基板Wを回転させた際に各棚47からの落下が防止される。回転保持部43は、回転部材49に取り付けられ、前後方向Xにおいて離間して各棚47が配置されている。本実施例では、回転部材49がアルファベットのH形状を呈し、I形状部分に各棚47が配置されている。回転部材49は、図示しない回転駆動部と進退駆動部とに連結されている。回転部材49は、幅方向Yに沿った回転軸P4回りに回転される。さらに、回転部材49は、図9に示す右方YRに突出した把持位置と、左方YLに退避した退避位置(不図示)とにわたって進退駆動される。これらの動作により、各棚47が回転されたり、進退されたりする。なお、不図示の回転部材49は、左方YLに突出した把持位置と、右方YRに退避した退避位置とにわたって進退駆動される。
【0047】
上述した上部反転パス部33Uは、図10(a)の状態のままとして、複数枚の基板Wを載置して表裏を反転させることなく、そのままの状態で受け渡しさせたり、図10(a)~(d)のように動作することにより、複数枚の基板Wの表裏を反転させて受け渡しさせたりする。
【0048】
基板Wの表裏を反転させる場合には、例えば、以下のようにガイド部41と回転保持部43が駆動される。
【0049】
初期状態では、ガイド部41同士が幅方向Yにおいて基板Wの直径程度に離間した載置位置に移動され、回転保持部43が退避位置に移動されているものとする(図10(a))。この状態で複数枚の基板Wがガイド部41に載置される。次に、回転保持部43が把持位置に位置され(図10(b))、続いてガイド部41が退避位置に移動される(図10(c))。さらに、回転保持部43が回転軸P4回りに半周だけ回転される(図10(d)).これらの一連の動作によって、複数枚の基板Wの表裏が同時に反転される。
【0050】
なお、上述した上部反転パス部33U及び下部反転パス部33Dと、上部反転パス部35U及び下部反転パス部35Dとが、それぞれ本発明における「複数個の反転パス部」に相当する。
【0051】
図2図4に戻る。また、さらに図11を参照する。なお、図11は、基板処理装置の運搬時における状態を示す分解斜視図である。
【0052】
反転パスブロック5の後方XBには、処理ブロック7と搬送ブロック9とが配置されている。処理ブロック7は、搬送ブロック9を挟んで左方YLと右方YRとに対向して配置されている。
【0053】
各処理ブロック7は、例えば、上段UFと下段DFとにそれぞれ二層の処理ユニットPUを備えている。また、各処理ブロック7は、前後方向Xに2個の処理ユニットPUを備えている。つまり、1つの処理ブロック7は、8台の処理ユニットPUを備え、2つの処理ブロック7の全体で16台の処理ユニットPUを備えている。なお、以下の説明においては、各処理ユニットPUを区別する必要がある場合には、図11に示すように、左方YLで前方XFの処理ユニットPUの上から下に向かって配置されている4台の処理ユニットPUをそれぞれ処理ユニットPU11~PU14とし、右方YRで前方XFの処理ユニットPUの上から下に向かって配置されている4台の処理ユニットPUをそれぞれ処理ユニットPU21~PU24とし、左方YLで後方XBの処理ユニットPUの上から下に向かって配置されている4台の処理ユニットPUをそれぞれ処理ユニットPU31~PU34とし、右方YRで後方XBの処理ユニットPUの上から下に向かって配置されている4台の処理ユニットPUをそれぞれ処理ユニットPU41~PU44とする。
【0054】
また、左方YLで前方XFの4台の処理ユニットPU11~PU14をタワーユニットTW1と称し、右方YRで前方XFの4台の処理ユニットPU21~PU24をタワーユニットTW2と称し、左方YLで後方XBの4台の処理ユニットPU31~PU34をタワーユニットTW3と称し、右方YRで後方XBの4台の処理ユニットPU41~PU44をタワーユニットTW4と称する。なお、2つの処理ユニット7は、4つのタワーユニットTW1~TW4で構成されているが、タワーユニットTW1~TW4ごとに制御や管理が行われ、電気的配線や流体の管路をタワーユニットTW1~TW4ごとに容易に分離・接続できる構成を採用している。
【0055】
処理ブロック7の上段UFの上層は、例えば、図2に示すように、表面洗浄ユニットSSが配置されている。表面洗浄ユニットSSは、基板Wの表面(一般的に電子回路パターンなどが形成されている面)を洗浄処理する。表面洗浄ユニットSSは、例えば、吸引チャック51と、ガード53と、処理ノズル55とを備えている。吸引チャック51は、基板Wの裏面の中心付近を真空吸引によって吸着する。吸引チャック51は、図示しない電動モータによって回転駆動され、これにより基板Wを水平面内で回転駆動する。ガード53は、吸引チャック51の周囲を囲うように配置されており、処理ノズル55から基板Wに供給された処理液が周囲に飛散するのを防止する。処理ノズル55は、例えば、ジェット噴流で処理液を基板Wの表面に供給することにより、基板Wの表面を洗浄する。
【0056】
処理ブロック7の上段UFの下層は、例えば、図3に示すように、裏面洗浄ユニットSSRが配置されている。裏面洗浄ユニットSSRは、基板Wの裏面(一般的に電子回路パターンなどが形成されていない面)を洗浄処理する。裏面洗浄ユニットSSRは、例えば、メカチャック57と、ガード59と、洗浄ブラシ61とを備えている。メカチャック57は、基板Wの周縁を当接支持して、基板Wの下面の大半に接触することなく基板Wを水平姿勢で支持する。メカチャック57は、図示しない電動モータによって回転駆動され、これにより基板Wを水平面内で回転駆動する。ガード59は、メカチャック57の周囲を囲うように配置されており、洗浄ブラシ61により処理液が周囲に飛散するのを防止する。洗浄ブラシ61は、例えば、縦軸回りに回転するブラシを備え、供給された処理液をブラシの回転力で基板Wの裏面に作用させて洗浄する。
【0057】
本実施例における処理ブロック7の下段DFは、例えば、上述した上段UFの上層及び下層と同様の構成となっている。つまり、処理ブロックの下段DFの上層は、表面洗浄ユニットSSを備え、処理ブロックの下段DFの下層は、裏面洗浄ユニットSSRを備えている。つまり、処理ブロック7の全16台の処理ユニットPUは、8台の表面洗浄ユニットSSを備え、8台の裏面洗浄ユニットSSRを備えている。
【0058】
ここで、図2図4に加えて図12を参照する。なお、図12は、搬送ブロックの要部を示す斜視図である。
【0059】
搬送ブロック9は、上段UFと下段DFに対応する位置にそれぞれセンターロボットCR1,CR2が配置されている。搬送ブロック9は、上段UFと下段DFとの境界位置に仕切り板などは配置されておらず、上段UFから下段DFへ装置内のダウンフローが流通可能である。センターロボットCR1は、反転パスブロック5における上段反転パスユニット33と、上段UFにおける各処理ユニットPUとの間において基板Wの搬送を行う。また、センターロボットCR2は、反転パスブロック5における下段反転パスユニット35と、下段DFにおける各処理ユニットPUとの間で基板Wの搬送を行う。このように、反転パスブロック5の上段反転パスユニット33と下段反転パスユニット35とを介して上段UFと下段DFの処理ブロック7に各センターロボットCR1,CR2により基板Wを振り分けることができるので、スループットを向上できる。
【0060】
センターロボットCR1とセンターロボットCR2とは同じ構成であるので、ここではセンターロボットCR1を例にとって説明する。
【0061】
センターロボットCR1は、固定枠63と、可動枠65と、基台部67と、旋回ベース69と、アーム71とを備えている。固定枠63は、上段UFにおける全処理ユニットPUに及ぶ開口を備えている。可動枠65は、固定枠63内に前後方向Xに移動可能に取り付けられている。基台部67は、可動枠65を構成する4枠のうちの下枠に取り付けられている。基台部67の上部には、旋回ベース69が搭載され、基台部67に対して旋回ベース69が水平面内で旋回可能に構成されている。旋回ベース69の上部には、アーム71が旋回ベース69に対して進退可能に搭載されている。アーム71は、アーム本体71aの上部にアーム本体71bが重ねて配置されている。アーム71は、旋回ベース69に重なった第1の位置と、旋回ベース69から突出した第2の位置とにわたって進退可能に構成されている。この構成により、センターロボットCR1は、例えば、処理ユニットPUに対するアクセスの際に、旋回ベース69を処理ユニットPUに向けた状態で、処理ユニットPUで処理済みの基板Wをアーム本体71aで受け取るとともに、アーム本体71bで支持した未処理の基板Wを処理ユニットPUに渡すことが可能となっている。
【0062】
搬送ブロック9は、上述したように構成されており、幅方向Yにて隣接する2つの処理ブロック7とは共通フレームが存在しない。したがって、搬送ブロック9は、隣接する処理ブロック7と分離可能である。また、上述した構成の基板処理装置1は、図11に示すように、運搬時には、反転パスブロック5が一体的に取り付けられたインデクサブロック3と、処理ブロック7と、搬送ブロック9と、ユーティリティブロック11とに分離できる。また、処理ブロック7は、さらに4個のタワーユニットTW1~TW4に分離できる。したがって、航空機による運搬時に生じる高さ、幅や奥行きの制限をクリアできる。さらに、インデクサブロック3に一体的に取り付けられている反転パスブロック5は、図8に示したように、その一部をインデクサブロック3の内部に収容できる。したがって、航空機による運搬時に生じる高さ、幅や奥行きの制限に加えて、容積の制限をクリアできる。
【0063】
ここで、図13図15を参照して、上述した基板処理装置1における基板Wの搬送例について説明する。
【0064】
上述したように、インデクサブロック3が備えている1つのインデクサロボットTIDは、一度に最大で4枚の基板Wを搬送することができる構成を備えている。但し、以下の搬送例の説明においては、発明の理解を容易にするため、一枚の基板Wを搬送する場合を例にとって説明する。また、分離パスブロック5と処理ブロック7との間における搬送だけに着目し、センターロボットCR1,CR2の動作については図示を省略する。各動作のステップは、図中においては、他符号と区別しやすくするために括弧付きの符号S(数字-数字)で示す。基板Wの姿勢は、表面を上に向けた状態を上に凸の三角形で表し、裏面を上に向けた状態を下に凸の三角形で表し、未洗浄を黒色で表し、洗浄後を白色で表す。また、三角形の左半分が表面の洗浄状態を表し、右半分が裏面の洗浄状態を表す。
【0065】
搬送例1:表裏洗浄処理
【0066】
図13を参照する。なお、図13は、表裏面洗浄処理におけるインデクサロボットと処理ブロックとの間の搬送の一例について説明するための模式図である
【0067】
基板Wの洗浄処理では、例えば、インデクサロボットTIDがキャリアCの上部から下部に向かって基板Wを順次搬送して処理を行う。これは、洗浄後の基板を同じキャリアCの同じ位置に戻すが、その際に上に洗浄前の基板Wがあると、その洗浄前の基板Wからパーティクルが落下する等して、洗浄後の基板Wが再度汚染されることを防止するためである。基板Wの表裏にわたる洗浄処理は、まず、基板Wの裏面洗浄処理を行い、次に基板Wの表面洗浄処理が行われる。なお、1つのインデクサロボットTIDは、反転パスブロック5へのアクセスする前の待機状態では、上下方向Zにおけるハンド21の高さ位置が、例えば、上段UFと下段DFの境界に位置するように制御されている。
【0068】
ここでは、基板Wが処理ブロック7のうちの下段DFで処理されるものとする。インデクサロボットTIDは、例えば、基板Wを反転パスブロック5の反転パスユニット31に搬送する。具体的には、インデクサロボットTIDは、反転パスユニット31のうち、上段UFと下段DFの境界に近い下段反転パスユニット35の上部反転パス部35Uに搬送する。より具体的には、上部反転パス部35Uにおける最上段の棚に基板Wを搬送する(ステップS1-1)。また、この棚は、上部反転パス部35Uの回転軸P4を基準にして、上段UFと下段DFの境界に近い位置にある。上に凸の黒色三角形は、表裏がともに未洗浄で、上に表面を向けた基板Wであることを表す。
【0069】
次に、上部反転パス部35Uが上下を入れ換えるように回転される。これにより、上部反転パス部35Uにおける最上段の棚に載置されていた基板Wが最下段の棚に移動するとともに、基板Wが裏面を上に向けた姿勢に反転される(ステップS1-2)。下に凸の黒三角形は、表裏がともに未洗浄で、上に裏面を向けた基板Wであることを表す。
【0070】
次に、センターロボットCR2が、例えば、基板Wを処理ユニットPU44の裏面洗浄ユニットSSRに搬送する(ステップS1-3)。裏面洗浄ユニットSSRは、上方に向けられた基板Wの裏面に対して洗浄ブラシ61により洗浄処理を行う。
【0071】
センターロボットCR2は、裏面が洗浄された基板Wを、例えば、下部反転パス部35Dの下から2番目の棚に搬送する(ステップS1-4)。下に凸の右半分が白色の三角形は、上に裏面を向けた姿勢の基板Wで、裏面だけが洗浄済であることを表す。
【0072】
下段反転パス部35Dは、上下を入れ換えるように回転される。これにより、下部反転パス部35Dにおける下から2番目の棚に載置されていた基板Wが上から2番目の棚に移動するとともに、基板Wが表面を上に向けた姿勢とされる(ステップS1-5)。上に凸の右半分が白色の三角形は、上に裏面を向けた姿勢の基板Wで、裏面だけが洗浄済であることを表す。
【0073】
次に、センターロボットCR2は、例えば、基板Wを処理ユニットPU13の表面洗浄ユニットSSに搬送する(ステップS1-6)。表面洗浄ユニットSSは、上方に向けられた基板Wの表面に対して処理ノズル55によって洗浄処理を行う。
【0074】
表面及び裏面がともに洗浄された基板Wは、センターロボットCR2によって、上部反転パス部35Uの下から4番目の棚に搬送される(ステップS1-7)。そして、インデクサロボットTIDは、上部反転パス部35Uの下から4番目の棚に載置されている基板Wを搬送して、基板Wが収納されていた元のキャリアCの元の位置に戻す(ステップS1-8)。なお、ステップS1-7のように、センターロボットCR2は、処理ブロック7で処理を行った基板Wについて、上段反転パスユニット33の上部反転パス部33U、下部反転パス部33D及び下段反転パスユニット35の上部反転パス部35U、下部反転パス部35Dのうち、上段UF及び下段DFの境界に近いものを優先して、上部反転パス部35Uに基板Wを受け渡すことが好ましい。これにより、インデクサロボットTIDが反転パスブロック5から処理済みの基板Wを受け取る際における上下方向への移動距離を短縮できるので、処理を終えた基板WをキャリアCへ戻す搬送の際にもインデクサロボットTIDの動作状況に起因するスループットの低下を抑制できる。
【0075】
上記の搬送例によると、基板処理装置1は、下段反転パスユニット35において基板Wを二回反転させて表裏にわたる洗浄処理を行う。
【0076】
搬送例2:表面洗浄処理
【0077】
図14を参照する。なお、図14は、表面洗浄処理におけるインデクサロボットと処理ブロックとの間の搬送の一例について説明するための模式図である。
【0078】
インデクサロボットTIDは、反転パスユニット31のうち、例えば、上段UFと下段DFの境界に近い下段反転パスユニット35の上部反転パス部35Uに搬送する。より具体的には、上部反転パス部35Uにおける下から4番目の棚に基板Wを搬送する(ステップS2-1)。上に凸の黒色の三角形は、上に表面を向けた基板Wで、表裏が未洗浄であることを表す。
【0079】
次に、センターロボットCR2が、例えば、基板Wを処理ユニットPU13の表面洗浄ユニットSSに搬送する(ステップS2-2)。表面洗浄ユニットSSは、上方に向けられた基板Wの表面に対して処理ノズル55により洗浄処理を行う。
【0080】
センターロボットCR2は、表面が洗浄された基板Wを、例えば、上部反転パス部35Uの下から4番目の棚に搬送する(ステップS2-3)。上に凸の左半分が白色の三角形は、上に表面を向けた姿勢の基板Wで、表面だけが洗浄済であることを表す。インデクサロボットTIDは、上部反転パス部35Uの下から4番目の棚に載置されている基板Wを搬送して、基板Wが収納されていた元のキャリアCの元の位置に戻す(ステップS2-4)。なお、ステップS2-3のように、センターロボットCR2は、処理ブロック7で処理を行った基板Wについて、上段UF及び下段DFの境界に近い上部反転パス部35Uを優先し、上部反転パス部35Uに対して基板Wを受け渡すことが好ましい。これにより、インデクサロボットTIDが反転パスブロック5から基板Wを受け取る際における上下方向への移動距離を短縮できるので、処理を終えた基板WをキャリアCへ戻す搬送の際にもインデクサロボットTIDの動作状況に起因するスループットの低下を抑制できる。
【0081】
上記の搬送例によると、基板処理装置1は、下段反転パスユニット35において基板Wを反転させることなく表面の洗浄処理を行う。
【0082】
搬送例3:裏面洗浄処理
【0083】
図15を参照する。なお、図15は、裏面洗浄処理におけるインデクサロボットと処理ブロックとの間の搬送の一例について説明するための模式図である。
【0084】
インデクサロボットTIDは、例えば、上段UFと下段DFの境界に近い下段反転パスユニット35の上部反転パス部35Uに搬送する。より具体的には、上部反転パス部35Uにおける最上段の棚に基板Wを搬送する(ステップS3-1)。また、この棚は、上部反転パス部35Uの回転軸P4を基準にして、上段UFと下段DFの境界に近い位置にある。上に凸の黒色三角形は、上に表面を向けた基板Wで、表裏がともに未洗浄であることを表す。
【0085】
次に、上部反転パス部35Uが上下を入れ換えるように回転される。これにより、上部反転パス部35Uにおける最上段の棚に載置されていた基板Wが最下段の棚に移動するとともに、基板Wが裏面を上に向けた姿勢に反転される(ステップS3-2)。下に凸の黒三角形は、上に裏面を向けた基板Wで、表裏が未洗浄であることを表す。
【0086】
次に、センターロボットCR2が、例えば、基板Wを処理ユニットPU24の裏面洗浄ユニットSSRに搬送する(ステップS3-3)。裏面洗浄ユニットSSRは、上方に向けられた基板Wの裏面に対して洗浄ブラシ61により洗浄処理を行う。
【0087】
センターロボットCR2は、裏面が洗浄された基板Wを、例えば、下部反転パス部35Dの最下段の棚に搬送する(ステップS3-4)。下に凸の右半分が白色の三角形は、上に裏面を向けた姿勢の基板Wで、裏面だけが洗浄済であることを表す。
【0088】
下段反転パス部35Dは、回転して基板Wの上下を入れ換える。これにより、下部反転パス部35Dにおける最下段の棚に載置されていた基板Wが最上段の棚に移動するとともに、基板Wが表面を上に向けた姿勢とされる(ステップS3-5)。上に凸の右半分が白色の三角形は、上に裏面を向けた姿勢の基板Wで、裏面だけが洗浄済であることを表す。
【0089】
上記の搬送例によると、基板処理装置1は、下段反転パスユニット35において基板Wを1回だけ反転させて裏面の洗浄処理を行う。
【0090】
なお、上述した搬送例1~3では、下段DFにおける搬送例、つまり、下段反転パスユニット35だけを使った搬送例について説明したが、上段UFにおいて上段反転パスユニット33だけを使った場合であっても、上段UFと下段DFの境界に近い棚を使うことで上述したように洗浄処理を行うことができる。
【0091】
上述したように、基板Wに対する洗浄処理を行う際には、1つのインデクサロボットTIDが処理ブロック7との間で反転パスブロック5を介して基板Wを搬送する。その際に、上段反転パスユニット33の上部反転パス部33U、下部反転パス部33D及び下段反転パスユニット35の上部反転パス部35U、下部反転パス部35Dのうち、上段UF及び下段DFの境界に近いものを優先して基板Wを受け渡す。このように、1台のインデクサロボットTIDからの反転パスブロック5への搬送を工夫することにより、1台のインデクサロボットTIDにおける上下方向Zへの移動距離を短縮できる。その結果、1台のインデクサロボットのハンド21の昇降に要する移動時間の短縮や、ハンド21と反転パスブロック5との基板Wの受け渡しの際の位置合わせ精度の向上も期待できる。したがって、1台のインデクサロボットTIDの動作状況に起因するスループットの低下を抑制できる。
【0092】
さらに、インデクサロボットTIDは、そのハンド21が、反転パスブロック5へのアクセスする前の待機状態では、上下方向Zにて上段UFと下段DFの境界に位置している。したがって、上段反転パスユニット33や下段反転パスユニットへのアクセスの際の上下方向Zにおける移動距離を短縮できる。
【0093】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0094】
(1)上述した実施例では、上段UF及び下段DFにそれぞれ2個の反転パス部(上部反転パス部33U、下部反転パス部33D、上部反転パス部35U、下部反転パス部35D)を備え、上段UF及び下段DFの境界に近い上段反転パス部35Uを優先的に使用している(第1の優先ルール)。しかしながら、例えば、上段UF及び下段DFの境界に近い下段反転パス部33Dを使用するようにしてもよい。
【0095】
(2)上述した実施例では、反転パスブロック5における上段反転パスユニット33が上部反転パス部33Uと下部反転パス部33Dを備え、下段反転パスユニット35が上部反転パス部35Uと下部反転パス部35Dを備えている。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。つまり、上段反転パスユニット33及び下段反転パスユニット35が3個以上の反転パス部を備えている構成であってもよい。反転パスユニット31が上段UFと下段DFにてそれぞれ3個の反転パス部で構成されている場合、つまり、上段UFが上部反転パス部と、中央反転パス部と、下部反転パス部とで構成され、下段DFが上部反転パス部、中央反転パス部と、下部反転パス部とで構成されている場合には、次のように優先的な使用を行えばよい(第2の優先ルール)。例えば、下段DFでは、上部反転パス部だけでなく、中央反転パス部も下部反転パス部よりは上段UFと下段DFの境界に近いので、中央反転パス部も優先的に使用すればよい。つまり、中央反転パス部も上部反転パス部の次に下部反転パス部よりは上段UFと下段DFの境界に近いので、近い順に使用していくようにする。
【0096】
さらに、中央反転パス部を優先的に使用する場合では、中央部反転パス部における回転軸P4を基準として、インデクサロボットTIDが上段UF及び下段DFの境界に近い棚を優先して基板Wを受け渡すようにする。したがって、上部反転パス部、中央反転パス部、下部反転パス部のうち、境界に最も近いものが使えない状況であっても、上段及び下段の境界にできるだけ近い位置の棚を優先的に使うことになる。その結果、1台のインデクサロボットにおける上下方向への移動距離を確実に短縮できる。
【0097】
(3)上述した実施例では、1つのインデクサロボットTIDのハンド21が待機状態では上段UFと下段DFの境界に位置するとしているが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、境界でなくても、上段UFの下段DFに近い位置や、下段DFの上段UFに近い位置にハンド21が待機するようにしてもよい。
【0098】
(4)上述した実施例では、センターロボットCR2が処理ブロック7で処理を行った基板Wについて、上段UF及び下段DFの境界に近い下部反転パス部35Uに優先的に基板Wを受け渡した。しかしながら、例えば、上段UF及び下段DFの境界に近い下段反転パス部33Dを使用するようにしてもよい。また、本発明は、この構成を必須とするものではなく、インデクサロボットTIDだけが上述したような反転パス部の優先的使用を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、本発明は、表面洗浄や裏面洗浄などの洗浄処理を行う基板処理装置に適している。
【符号の説明】
【0100】
1 … 基板処理装置
3 … インデクサブロック
5 … 反転パスブロック
7 … 処理ブロック
9 … 搬送ブロック
11 … ユーティリティブロック
W … 基板
SS … 表面洗浄ユニット
SSR … 裏面洗浄ユニット
13 … キャリア載置部
TID … インデクサロボット
C … キャリア
15 … ガイドレール
17 … 基台部
17a … 基台部本体
17b … 固定アーム
SP … 空間
19 … 多関節アーム
19a … 第1アーム
19b … 第2アーム
19c … 第3アーム
P1~P3 … 回転軸
21 … ハンド
21a~21d … ハンド本体
VL … 仮想線
25 … 載置フレーム
27 … 載置懸架フレーム
29 … 懸架フレーム
31 … 反転パスユニット
33 … 上段反転パスユニット
35 … 下段反転パスユニット
37,39 … 固定具
41 … ガイド部
43 … 回転保持部
45,47 … 棚
49 … 回転部材
P4 … 回転軸
UF … 上段
DF … 下段
PU … 処理ユニット
PU11~14,PU21~24,PU31~34,PU41~44 … 処理ユニット
TW1~TW4 … タワーユニット
CR1,CR2 … センターロボット
CTS … 搬送スペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15