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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】電源装置の制御方法及び電源装置
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/67 20060101AFI20231102BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G05F1/67 A
H02M3/00 U
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019237897
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021105927
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】図子 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】長井 純之
(72)【発明者】
【氏名】谷本 勉
(72)【発明者】
【氏名】冨田 要介
(72)【発明者】
【氏名】竹本 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】本部 惇史
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-067258(JP,A)
【文献】特開2019-144953(JP,A)
【文献】特開2013-198385(JP,A)
【文献】特開2010-177554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/67
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を出力する複数の電力源に対応して設けられ、対応する電力源の動作点をそれぞれ制御する複数の電力変換モジュールを有し、
前記複数の電力変換モジュールのそれぞれが電気的に接続されて統合された電力を出力する電源装置の制御方法において、
前記複数の電力変換モジュールを動作させる動作モードとして、
前記動作点を変化させて、前記対応する電力源の最大動作点を探索する通常モードと、
前記通常モードよりも大きな変化幅で前記動作点を変化させる非通常モードと、
を有し、
前記非通常モードでは、前記複数の電力変換モジュールのうち1つの電力変換モジュールだけが、前記通常モードよりも大きな変化幅で前記動作点を変化させる動作を行い、
前記非通常モードは、
前記通常モードよりも大きな変化幅で前記動作点を変化させることにより、前記対応する電力源の電力特性を取得するスキャンモードと、
前記対応する電力源から入力される入力電圧を一定に制御する電圧一定モードと、
を含み、
前記非通常モードでは、
前記1つの電力変換モジュールが前記スキャンモードで動作し、
前記1つの電力変換モジュールが前記スキャンモードで動作している間は、前記複数の電力変換モジュールのうちの残余の電力変換モジュールが前記電圧一定モードで動作し、
前記複数の電力変換モジュールのうちの前記残余の電力変換モジュールが、前記電圧一定モードで動作した後に前記通常モードへと遷移し、
前記残余の電力変換モジュールのうちのいずれか1つの電力変換モジュールが、前記通常モードで動作した後に前記スキャンモードへと遷移する
電源装置の制御方法。
【請求項2】
前記通常モードでは、前記複数の電力変換モジュールのそれぞれが、前記動作点を変化させて前記最大動作点を探索する動作を行う
請求項1記載の電源装置の制御方法。
【請求項3】
前記非通常モードを繰り返し行い、
前記非通常モードを行う度に、前記複数の電力変換モジュールの中で、前記スキャンモードで動作する前記1つの電力変換モジュールを入れ替える
請求項記載の電源装置の制御方法。
【請求項4】
前記スキャンモードは、
前記対応する電力源の動作範囲の全域にわたって前記動作点を変化させる第1動作と、
前記第1動作に基づいて、前記対応する電力源から入力される電力が最大となるときの入力電圧である最大入力電圧と、前記最大入力電圧に対応する前記電力変換モジュールの制御量とを記録する第2動作と、
を含む
請求項1から3いずれか一項記載の電源装置の制御方法。
【請求項5】
前記残余の電力変換モジュールのうちの前記いずれか1つの電力変換モジュールが、前記スキャンモードで動作した後に前記通常モードへと遷移し、前記通常モードで動作した後に前記電圧一定モードへと遷移し、
前記電圧一定モードで動作する場合には、
直前の前記通常モードにおいて検索された前記最大動作点に対応する入力電圧に基づいて、前記入力電圧を一定に制御する
請求項記載の電源装置の制御方法。
【請求項6】
前記複数の電力変換モジュールのうち、少なくとも2つの電力変換モジュールの出力側が直列接続されている
請求項1からのいずれか一項記載の電源装置の制御方法。
【請求項7】
前記複数の電力源のそれぞれは、光エネルギを電気エネルギに変換する複数の太陽電池セルで構成された太陽電池モジュールであり、
前記通常モードは、山登り法により前記動作点を微少変化させることにより、前記対応する電力源から入力される入力電力が最大となる動作点を、前記最大動作点として探索する
請求項1からのいずれか一項記載の電源装置の制御方法。
【請求項8】
前記複数の電力源のそれぞれは、光エネルギを電気エネルギに変換する複数の太陽電池セルで構成された太陽電池モジュールであり、
前記通常モードは、山登り法により前記動作点を微少変化させることにより、前記電力変換モジュールから出力される出力電力が最大となる動作点を、前記最大動作点として探索する
請求項1からのいずれか一項記載の電源装置の制御方法。
【請求項9】
電力を出力する複数の電力源に対応して設けられ、対応する電力源の動作点をそれぞれ制御する複数の電力変換モジュールを有し、
前記複数の電力変換モジュールのそれぞれが電気的に接続されて統合された電力を出力する電源装置において、
前記複数の電力変換モジュールを動作させる動作モードとして、
前記動作点を変化させて、前記対応する電力源の最大動作点を探索する通常モードと、
前記通常モードよりも大きな変化幅で前記動作点を変化させる非通常モードと、
を有し、
前記非通常モードでは、前記複数の電力変換モジュールのうち1つの電力変換モジュールだけが、前記通常モードよりも大きな変化幅で前記動作点を変化させる動作を行い、
前記非通常モードは、
前記通常モードよりも大きな変化幅で前記動作点を変化させることにより、前記対応する電力源の電力特性を取得するスキャンモードと、
前記対応する電力源から入力される入力電圧を一定に制御する電圧一定モードと、
を含み、
前記非通常モードでは、
前記1つの電力変換モジュールが前記スキャンモードで動作し、
前記1つの電力変換モジュールが前記スキャンモードで動作している間は、前記複数の電力変換モジュールのうちの残余の電力変換モジュールが前記電圧一定モードで動作し、
前記複数の電力変換モジュールのうちの前記残余の電力変換モジュールが、前記電圧一定モードで動作した後に前記通常モードへと遷移し、
前記残余の電力変換モジュールのうちのいずれか1つの電力変換モジュールが、前記通常モードで動作した後に前記スキャンモードへと遷移する
電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置の制御方法及び電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、バッテリなどの負荷に対して電力を供給する電源装置が知られている。電源装置は、電力源から入力される電力を変換して出力する電力変換モジュールを備えている。太陽電池のように出力電力が経時的に変化する電力源を用いる場合には、電力源から最大の電力が得られるように、電力変換モジュールによって電力源の動作点を制御する手法として、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、太陽電池パネルの電力特性に複数の極大値が発生した場合に対応し、最大の電力となる最大動作点をスキャンするスキャンモードを具備する太陽光発電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-110524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の電力源に対応して複数の電力変換モジュールを設け、複数の電力変換モジュールの出力を統合することで大電力化を図った電源装置にあっては、つぎに示すような問題がある。具体的には、複数の電力変換モジュール同士が、スキャンモードのように大きな変化幅で動作点を変化させる動作を同時に実行した場合には、複数の電力変換モジュール同士の動作が相互に影響し、装置全体の動作点が不安定となる。このため、個々の電力源を最大動作点で動作させることができなくなり、電力出力が低下してしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、出力電力の低下を抑制することができる電源装置の制御方法及び電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電源装置の制御方法は、複数の電力変換モジュールを動作させる動作モードとして、動作点を変化させて、対応する電力源の最大動作点を探索する通常モードと、通常モードよりも大きな変化幅で動作点を変化させる非通常モードと、を有している。非通常モードでは、複数の電力変換モジュールのうち1つの電力変換モジュールだけが、通常モードよりも大きな変化幅で前記動作点を変化させる動作を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、出力電力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る電源装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、コンバータモジュールの構成を示すブロック図である。
図3図3は、電源装置の動作を説明するフローチャートである。
図4図4は、電源装置の動作を説明するフローチャートである。
図5図5は、各コンバータモジュールの動作モードの推移を示す説明図である。
図6図6は、4つのコンバータモジュールの電力特性と出力電力の推移とを示す説明図である。
図7図7は、電源装置の出力電流及び出力電圧の推移を示す説明図である。
図8図8は、各コンバータモジュールの動作モードの推移を示す説明図である。
図9図9は、第1変形例に係る電源装置の構成を示すブロック図である。
図10図10は、第2変形例に係る電源装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0011】
図1及び図2を参照して、本実施形態に係る電源装置の構成を説明する。本実施形態に係る電源装置は、複数の電力源から入力される電力をそれぞれ変換し、変換した電力を統合して負荷に供給する装置である。本実施形態において、電源装置は、例えば電気自動車に搭載されている。電力源は、例えば太陽電池モジュール(PV)10であり、負荷は、例えば高電圧のバッテリ30。
【0012】
太陽電池モジュール10は、並列又は直列接続された複数の太陽電池セルから構成されている。個々の太陽電池セルは、光エネルギを電気エネルギに変換することで、発電を行う。太陽電池モジュール10は、太陽光の日射量に応じて、出力可能な電力が変動する。以下、必要に応じて、複数の太陽電池モジュール10を、n個の太陽電池モジュール10と表現する。ここで、nは、2以上の自然数である。
【0013】
電源装置は、複数のコンバータモジュール20を備えている。複数のコンバータモジュール20は、複数の太陽電池モジュール10に対応して設けられている。すなわち、電源装置は、n個のコンバータモジュール20を備えている。以下、n個のコンバータモジュール20のうち、特定のコンバータモジュール20を指す場合には、第1コンバータモジュール20(CM_1)、第2コンバータモジュール20(CM_2)・・・、又は第nコンバータモジュール20(CM_2)のように表現する。
【0014】
個々のコンバータモジュール20の入力端子には、対応する太陽電池モジュール10が接続されている。また、n個のコンバータモジュール20の出力端子は、互いに直列接続されている。個々のコンバータモジュール20から出力される電力は統合された上で、バッテリ30へと供給される。電源装置から出力される電圧は、n個のコンバータモジュール20の出力電圧の和となるので、高電圧のバッテリ30に対応する出力電圧を得ることができる。
【0015】
コンバータモジュール20は、主として、2つの機能を担っている。第1の機能は、昇圧機能である。バッテリ30に対して入力可能な電圧は、太陽電池モジュール10の出力電圧よりも高い。そこで、コンバータモジュール20は、入力端子に入力される電圧を昇圧して出力端子から出力する。また、第2の機能は、太陽電池モジュール10の動作点を制御する機能である。太陽電池モジュール10の出力可能な電力は経時的に変動する。そこで、コンバータモジュール20は、太陽電池モジュール10が最大動作点で動作するように、太陽電池モジュール10の動作点を制御する。
【0016】
コンバータモジュール20は、コンバータ回路21と、コントローラ25とを備えている。
【0017】
コンバータ回路21は、コンバータモジュール20に入力する入力電圧を昇圧又は降圧する機能を有する。コンバータ回路21としては、例えば昇圧チョッパ回路、降圧チョッパ回路、非反転型の昇降圧回路、SEPICコンバータなどを用いることができる。コンバータ回路21は、トランスを有する絶縁型のDCDCコンバータであってもよい。
【0018】
コントローラ25は、CPU、ROM、RAM、及びI/Oインターフェースを主体に構成されている。コントローラ25は、CPUがROMなどから処理内容に応じた各種プログラムを読み出し、RAMに展開し、展開した各種プログラムを実行することにより、コンバータモジュール20の動作を制御する。
【0019】
コントローラ25には、コンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、コントローラ25は、複数の情報処理回路として機能する。なお、本実施形態では、ソフトウェアによって情報出力装置が備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、もちろん、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0020】
コントローラ25は、複数の情報処理回路として、制御部26と、記憶部27とを備えている。
【0021】
制御部26には、図示しない信号線を介して、電圧センサ28及び電流センサ29からの検出信号が入力されている。電圧センサ28は、太陽電池モジュール10の出力電圧、すなわち、太陽電池モジュール10からコンバータモジュール20に入力する入力電圧(以下「コンバータ入力電圧」という)を検出する。電流センサ29は、太陽電池モジュール10の出力電流、すなわち、太陽電池モジュール10からコンバータモジュール20に入力する入力電流(以下「コンバータ入力電流」という)を検出する。コントローラ25は、コンバータ入力電圧と、コンバータ入力電流とに基づいて、太陽電池モジュール10の出力電力、すなわち、太陽電池モジュール10からコンバータモジュール20に入力する入力電力(以下「コンバータ入力電力」という)を演算することができる。
【0022】
制御部26は、コンバータ回路21の昇圧比(PWM制御の時比率)を制御する。制御部26は、コンバータ回路21の制御を通じて、太陽電池モジュール10の動作点を制御する。
【0023】
太陽電池モジュール10の動作点を制御する手法として、MPPT制御が知られている。コンバータ回路21の時比率を変化させることで、コンバータ入力電圧が変化する。コンバータ入力電圧を変化することで、コンバータ入力電力、すなわち、太陽電池モジュール10の動作点が変化する。MPPT制御は、コンバータ回路21の時比率を変化させることでコンバータ入力電力を変化させ、コンバータ入力電力が最大となる動作点を太陽電池モジュール10の最大動作点として探索する。このMPPT制御を用いて太陽電池モジュール10の動作点が変化させることで、太陽電池モジュール10の動作点を最大動作点と対応させることができる。
【0024】
また、制御部26は、動作モードに従ってコンバータ回路21を制御する。動作モードには、通常モードと、非通常モードとが含まれる。
【0025】
通常モードにおいて、制御部26は、MPPT制御の1つの形態である山登り法に従ってコンバータ回路21を制御する。山登り法では、コンバータ入力電圧を微少変化幅で変化させ、その変化前後の入力電力を比較して太陽電池モジュール10の最大動作点を探索する。制御部26は、最大動作点の探索を行うことで、太陽電池モジュール10の動作点を最大動作点に対して追従させることができる。
【0026】
一方、非通常モードでは、制御部26は、スキャンモード、又は電圧一定モードに従ってコンバータ回路21を制御する。
【0027】
スキャンモードにおいて、制御部26は、MPPT制御の1つの形態であるスキャン法に従ってコンバータ回路21を制御する。スキャン法では、コンバータ入力電圧を所定の変化幅で変化させながら、コンバータ入力電流及びコンバータ入力電圧を計測する。これにより、入力電圧を変化させた範囲の中で、コンバータ入力電圧とコンバータ入力電力との関係を示す電力特性を取得することができる。制御部26は、この電力特性に基づいて、太陽電池モジュール10の最大動作点を特定することができる。
【0028】
ここで、スキャン法におけるコンバータ入力電圧の変化幅は、通常モード(山登り法)によるコンバータ入力電圧の変化幅より大きい。より具体的には、スキャン法における変化幅は、太陽電池モジュール10の動作範囲の全域、すなわち、開放電圧から短絡電流で動作する電圧までの範囲の全域となる。
【0029】
一方、電圧一定モードにおいて、制御部26は、コンバータ入力電圧が一定となるように、コンバータ回路21を制御する。例えば、制御部26は、電圧センサ28によって検出されるコンバータ入力電圧を参照し、PI制御などのフィードバック制御により、コンバータ回路21を制御する。
【0030】
制御部26は、他のコンバータモジュール20に搭載された制御部26と相互に通信することができる。また、制御部26は、マスターコントローラ40と相互に通信することができる。
【0031】
記憶部27には、コンバータ回路21の制御に必要な情報が記録される。記憶部27に記録されている情報は、制御部26によって読み出される。また、制御部26は、必要な情報を記憶部27に記録することができる。
【0032】
マスターコントローラ40は、CPU、ROM、RAM、及びI/Oインターフェースを主体に構成されている。マスターコントローラ40は、CPUがROMなどから処理内容に応じた各種プログラムを読み出し、RAMに展開し、展開した各種プログラムを実行することにより、所定の動作を実行する。
【0033】
マスターコントローラ40は、n個のコンバータモジュール20の各コントローラ25の上位装置にあたるコントローラである。マスターコントローラ40は、例えば、コンバータモジュール20のコントローラ25がコンバータ回路21の時比率を変化させるタイミングを同期させたりする役割を担っている。
【0034】
このような構成の電源装置において、n個のコンバータモジュール20は、他のコンバータモジュール20と通信することにより、或いは、マスターコントローラ40を介して通信することにより、互いに連携して動作することができる。
【0035】
n個のコンバータモジュール20は、互いに共通する動作モードで動作する。具体的には、通常モードで動作する場合には、n個のコンバータモジュール20の全てが通常モードで動作するし、非通常モードで動作する場合には、n個のコンバータモジュール20の全てが非通常モードで動作する。また、通常モードから非通常モードへの切り替え、又は、非通常モードから通常モードへの切り替えは、n個のコンバータモジュール20において同期して行われる。
【0036】
一方で、n個のコンバータモジュール20が非通常モードで動作する場合、n個のコンバータモジュール20のうち1つのコンバータモジュールだけがスキャンモードで動作する。具体的には、1つのコンバータモジュール20がスキャンモードで動作し、n個のコンバータモジュール20のうちの残余のコンバータモジュール20は電圧一定モードで動作する。
【0037】
以下、図3から図5を参照し、本実施形態における電源装置の動作を説明する。なお、図3から図4には、第1のコンバータモジュール20(CM_1)、第2のコンバータモジュール20(CM_2)、及び第3のコンバータモジュール20(CM_3)を中心に動作の流れを示している。しかしながら、残余のコンバータモジュール20(第4のコンバータモジュール20(CM_4)から第nのコンバータモジュール(CM_n))の動作の流れも同様である。
【0038】
まず、各コンバータモジュール20の制御部26は、コンバータモジュール20を通常モードで動作させる。すなわち、各制御部26は、山登り法(山登りMPPT)に従ってコンバータ回路21を制御する(S100、S200、S300)。各制御部26は、コンバータ入力電圧を所定変化量だけ変化させることにより太陽電池モジュール10の最大動作点を検索し、この検索動作を通じて太陽電池モジュール10の動作点を最大動作点に追従させる。
【0039】
各制御部26は、コンバータモジュール20を通常モードで動作させている間、コンバータ入力電力を監視して、スキャンモードの実行の要否を判断する。コンバータ入力電力が他のコンバータモジュール20のコンバータ入力電力よりも低い状態が一定時間継続したり、コンバータ入力電力が安定しなかったりした場合に、制御部26は、スキャンモードの実行を判断する。この判断は、各制御部26によってそれぞれ行われる。
【0040】
以下の説明では、第1のコンバータモジュール20(CM_1)から第nのコンバータモジュール20(CM_n)までの全ての制御部26において、スキャンモードの実行が必要と判断されたとする。各コンバータモジュール20がスキャンモードを実行する順番は、制御部26の中で、一定の規則に従って順位を決定してもよいし、コンバータモジュール20の並び順に従って順位を決定してもよい。本実施形態では、第1のコンバータモジュール20(CM_1)から第nのコンバータモジュール20(CM_n)にかけてスキャンモードを順番に実行するものとする。
【0041】
スキャンモードの実行が判断されると、最初にスキャンモードを実行する第1のコンバータモジュール20(CM_1)を除く、残余のコンバータモジュール20(すなわち、第2のコンバータモジュール20(CM_2)から第nのコンバータモジュール20(CM_n))の各制御部26は、記録動作を行う。具体的には、各制御部26は、対応する太陽電池モジュール10の最大動作点に対応するコンバータ入力電圧を特定する。各制御部26は、特定したコンバータ入力電圧を最大入力電圧Vmppとして記憶部27に記録する(S201、S301)。
【0042】
最大入力電圧Vmppの記録が終了すると、各制御部26は、通常モードを終了する(1回目の通常モードの期間P1の終了)。そして、各制御部26は、非通常モードを開始する(1回目の非通常モードの期間P2の開始)。
【0043】
非通常モードでは、第1のコンバータモジュール20(CM_1)の制御部26は、第1のコンバータモジュール20(CM_1)をスキャンモードで動作させる。一方、残余のコンバータモジュール20の各制御部26は、コンバータモジュール20を電圧一定モードで動作させる。
【0044】
以下、スキャンモードの動作を説明する。第1のコンバータモジュール20(CM_1)の制御部26は、コンバータ回路21の時比率をゼロにし、電力出力を停止する(S101)。太陽電池モジュール10は開放電圧Vocで動作するので、制御部26は、このときのコンバータ入力電圧を開放電圧Vocとして検出する(S102)。制御部26は、この開放電圧Vocを電圧の掃引開始時の値とする。
【0045】
制御部26は、コンバータ回路21の時比率をゼロから1(100パーセント)まで増加させ、太陽電池モジュール10が短絡電流で動作するまで、コンバータ入力電圧を変化させる(S103)。これにより、太陽電池モジュール10の動作点が、太陽電池モジュール10の開放電圧Vocから、太陽電池モジュール10が短絡電流で動作する電圧まで変化する。制御部26は、動作点を変化させている過程で、コンバータ入力電圧及びコンバータ入力電流を記憶部27に記録する。そして、制御部26は、動作点を変化させた範囲の中で、コンバータ入力電力が最大となる最大動作点に対応するコンバータ入力電圧を、最大入力電圧Vmppとして特定する。そして、制御部26は、最大入力電圧Vmppを記憶部27に記録する(S104)。また、制御部26は、最大入力電圧Vmppに対応する制御量(時比率)を記憶部27に記録する(S105)。
【0046】
つぎに、電圧一定モードの動作を説明する。第2のコンバータモジュール20(CM_2)から第nのコンバータモジュール20(CM_n)までの各制御部26は、従前の通常モードで記録された最大入力電圧Vmppに基づいて、コンバータ入力電圧をフィードバック制御する(S202、S302)。フィードバック制御の方法は、例えばPI制御である。これにより、各制御部26は、コンバータ入力電圧が最大入力電圧Vmppを維持するように制御を行う。
【0047】
第1のコンバータモジュール20(CM_1)において最大入力電圧Vmpp及び制御量の記録が終了すると、n個のコンバータモジュール20の各制御部26は、非通常モードを終了する(1回目の非通常モードの期間P2の終了)。そして、各制御部26は、通常モードを開始する(2回目の通常モードの期間P3の開始)。
【0048】
各コンバータモジュール20の制御部26は、コンバータモジュール20を通常モードで動作させる。すなわち、各制御部26は、山登り法(山登りMPPT)に従ってコンバータ回路21を制御する(S106、S203、S303)。各制御部26は、コンバータ入力電圧を所定変化量だけ変化させることにより太陽電池モジュール10の最大動作点を検索し、この検索動作を通じて太陽電池モジュール10の動作点を最大動作点に追従させる。
【0049】
この場合、通常モードで動作するコンバータモジュールのうち第1のコンバータモジュール20(CM_1)は、直前に実行されたスキャンモード(非通常モード)で記録した最大入力電圧Vmppで動作を開始する。すなわち、第1のコンバータモジュール20(CM_1)の制御部26は、最大入力電圧Vmppに対応する制御量(時比率)でコンバータ回路21の制御を開始する。
【0050】
そして、2番目にスキャンモードを実行する第2のコンバータモジュール20(CM_2)を除く、残余のコンバータモジュール20(すなわち、第1のコンバータモジュール20(CM_1)、及び第3のコンバータモジュール20(CM_3)から第nのコンバータモジュール20(CM_n))の各制御部26は、記録動作を行う。各制御部26は、対応する太陽電池モジュール10の最大動作点に対応するコンバータ入力電圧を特定する。各制御部26は、特定したコンバータ入力電圧を最大入力電圧Vmppとして記憶部27に記録する(S107、S304)。なお、記録動作は、山登りMPPTを開始してから一定時間が経過し、山登りMPPTが安定して行われるようになってから行われる。
【0051】
最大入力電圧Vmppの記録が終了すると、各制御部26は、通常モードを終了する(2回目の通常モードの期間P3の終了)。そして、各制御部26は、非通常モードを開始する(2回目の非通常モードの期間P4の開始)。
【0052】
非通常モードでは、第2のコンバータモジュール20(CM_1)の制御部26は、第2のコンバータモジュール20(CM_1)をスキャンモードで動作させる。一方、残余のコンバータモジュール20の各制御部26は、それぞれのコンバータモジュール20を電圧一定モードで動作させる。
【0053】
第2のコンバータモジュール20(CM_2)によるスキャンモードの動作は、第1のコンバータモジュール20(CM_1)によるスキャンモードの動作と同様である。すなわち、第2のコンバータモジュール20(CM_2)の制御部26は、電力出力を停止し(S205)、開放電圧Vocを検出する(S206)。そして、制御部26は、コンバータ入力電圧を、太陽電池モジュール10の開放電圧Vocから、太陽電池モジュール10が短絡電流で動作する電圧まで変化させる(S207)。制御部26は、動作点を変化させている過程で、コンバータ入力電圧及びコンバータ入力電流を記憶部27に記録する。そして、制御部26は、最大入力電圧Vmpp、及び最大入力電圧Vmppに対応する制御量(時比率)を記憶部27に記録する(S208、S209)。
【0054】
また、電圧一定モードでは、第1のコンバータモジュール20(CM_1)、及び第3のコンバータモジュール20(CM_3)から第nのコンバータモジュール20(CM_n)までの各制御部26は、従前の通常モードで記録された最大入力電圧Vmppに基づいて、コンバータ入力電圧をフィードバック制御する(S108、S305)。
【0055】
第2のコンバータモジュール20(CM_2)において最大入力電圧及び制御量の記録が終了すると、n個のコンバータモジュール20の各制御部26は、非通常モードを終了する(2回目の非通常モードの期間P4の終了)。そして、各制御部26は、通常モードを開始する(3回目の通常モードの期間P5の開始)。
【0056】
このように、n個のコンバータモジュール20は、通常モードと非通常モードとを交互に切り替えながら動作する。そして、非通常モードを行う度に、第1のコンバータモジュール20(CM_1)から第nのコンバータモジュール20(CM_n)までが、順番にスキャンモードで動作する。これにより、n個のコンバータモジュール20の中で、スキャンモードで動作する1つのコンバータモジュール20が入れ替えられる。全てのコンバータモジュール20に対してスキャンモードが実施されると、n個のコンバータモジュール20は、通常モードに復帰する。そして、n個のコンバータモジュール20は、コンバータ入力電力を監視して、スキャンモードの実行の要否を判断する。
【0057】
上述した説明では、n個のコンバータモジュール20の全てがスキャンモードを実施する形態を説明した。しかしながら、n個のコンバータモジュール20のうち、2つ以上のコンバータモジュール20においてスキャンモードの実行が必要な場合に、上述した動作を適用することができる。
【0058】
図6及び図7を参照し、非通常モードで動作するコンバータモジュール20の動作を説明する。この説明では、4個のコンバータモジュール20、すなわち、第1のコンバータモジュール20(CM_1)、第2のコンバータモジュール20(CM_2)、第3のコンバータモジュール20(CM_3)、及び第4のコンバータモジュール20(CM_4)で電源装置が構成されているものとする。ここで、図6は、第1のコンバータモジュール20(CM_1)に関する電力特性、すなわち、コンバータ入力電圧とコンバータ入力電力との関係を示す(左図)。また、図6は、第1のコンバータモジュール20(CM_1)に関するコンバータ入力電力の推移を示す(右図)。第2のコンバータモジュール20(CM_2)、第3のコンバータモジュール20(CM_3)及び第4のコンバータモジュール20(CM_4)についても同様である。図7は、4個のコンバータモジュール20から統合して出力される電圧及び電流の推移を示す。
【0059】
非通常モードでは、第1のコンバータモジュール20(CM_1)がスキャンモードで動作し、残余のコンバータモジュール20、すなわち、第2のコンバータモジュール20(CM_2)から第4のコンバータモジュール20(CM_4)が電圧一定モードで動作する。この場合、電源装置の出力側に接続されるバッテリ30が定電圧源のように振る舞うため、4個のコンバータモジュール20の出力電圧Vout1~Vout4の和は一定である。また、直列接続されているため、各コンバータモジュール20の出力電流Ioutは同じである。その結果、コンバータモジュール20の伝送電力が出力電圧割合として現れる。
【0060】
第1のコンバータモジュール20(CM_1)がスキャンモードを実行すると、第1のコンバータモジュール20(CM_1)のコンバータ入力電圧が高電圧側から低電圧側へと大きな変化幅で変化する。これに対応して、第1のコンバータモジュール20(CM_1)の出力電圧も高電圧側から低電圧側へと変化する。ところで、4個のコンバータモジュール20の出力電圧Vout1~Vout4の和は一定である。そのため、第1のコンバータモジュール20(CM_1)の出力電圧が低下すると、低下分の出力電圧を第2のコンバータモジュール20(CM_2)から第4のコンバータモジュール20(CM_4)の電圧で受け持つ必要が生じる。このように、第1のコンバータモジュール20(CM_1)の出力電圧の割合が変化すると、これが第2のコンバータモジュール20(CM_2)から第4のコンバータモジュール20(CM_4))にとっては外乱となる。
【0061】
したがって、スキャンモードを実行するコンバータモジュール20が複数存在する場合には、コンバータモジュール20同士の動作が相互に影響し、電源装置全体の動作点が不安定となる。また、スキャンモードを実行しているコンバータモジュール20同士では、それぞれのコンバータモジュール20の動作が他のコンバータモジュール20にとって外乱となる。そのため、電力特性に正確にスキャンすることができない可能性がある。
【0062】
この点、本実施形態に示す手法では、スキャンモードを実行するコンバータモジュール20は1つだけであり、残余のコンバータモジュール20は、電圧一定モードで動作している。スキャンモード以外のコンバータモジュール20は、電圧フィードバック制御を行っているので、コンバータ入力電圧の変動分を最小限に抑制することができる。これにより、電源装置全体の動作点が不安定となることを抑制することができる。また、電圧一定モードで動作する場合には、直前の通常モードで記録された最大入力電圧に基づいて、フィードバック制御が行われる。このため、スキャンモード以外のコンバータモジュール20であっても、最大動作点付近での動作を維持することができる。
【0063】
このように本実施形態に係る電源装置の制御方法は、複数のコンバータモジュール20を動作させる動作モードとして、最大動作点を探索するように動作点を変化させる通常モードと、この通常モードよりも大きな変化幅で動作点を変化させる非通常モードとを有している。この非通常モードでは、複数のコンバータモジュール20のうち1つのコンバータモジュール20だけが、通常モードよりも大きな変化幅で動作点を変化させる動作を行っている。
【0064】
この方法によれば、非通常モードにおいて、複数のコンバータモジュール20が同時に動作点を変化させることがないので、装置全体の動作点を安定させることができる。これにより、電力出力の低下を抑制することができる。
【0065】
本実施形態に係る電源装置の制御方法において、通常モードでは、複数のコンバータモジュール20のそれぞれが、動作点を変化させて最大動作点を探索する動作を行っている。
【0066】
通常モードでは、動作点の変化幅が非通常モードと比べて小さい。そのため、複数のコンバータモジュール20が同時に動作点を変化させたとしても、互いの影響分が次第に収束していくので、装置全体の動作点が不安定になり難い傾向にある。これにより、個々の太陽電池モジュール10を最適な動作点で動作させることができるので、電力出力を増加させることができる。
【0067】
本実施形態に係る電源装置の制御方法において、非通常モードは、通常モードよりも大きな変化幅で動作点を変化させることにより、対応する太陽電池モジュール10の電力特性を取得するスキャンモードと、対応する太陽電池モジュール10から入力される入力電圧を一定に制御する電圧一定モードとを含んでいる。この場合、非通常モードでは、1つのコンバータモジュール20がスキャンモードで動作し、この1つのコンバータモジュール20がスキャンモードで動作している間は、複数のコンバータモジュール20のうちの残余のコンバータモジュール20が電圧一定モードで動作する。
【0068】
コンバータモジュール20が非通常モードで動作すると、残余のコンバータモジュール20は、非通常モードのコンバータモジュール20の干渉を受ける。具体的には、コンバータモジュール20が非通常モードで動作すると、動作点を大きく変化させることにより、このコンバータモジュール20の入出力電圧比が変化する。この入出力電圧比の変化により、残余のコンバータモジュールの入出力電圧比も変化する。残余のコンバータモジュールが通常モードで動作している場合には、入出力電圧比の変化にともない、最大動作点から動作点がずれてしまい、動作点の制御が不安定になる。
【0069】
この点、本実施形態の方法によれば、残余のコンバータモジュール20が電圧一定モードで動作することによって、非通常モードのコンバータモジュール20の干渉による動作点変動を抑制することができる。これにより、残余のコンバータモジュール20が最適な動作点で動作し続けることができるので、出力電力の低下を抑制することができる。
【0070】
さらに、残余のコンバータモジュール20が電圧一定モードで動作する場合には、これらが通常モードで動作する場合に比べて、短時間のうち目標電圧へと収束する。これにより、非通常モードの動作が干渉することによる動作点変動を効果的に抑制することができる。
【0071】
なお、上述した実施形態では、非通常モードでは、スキャンモードで動作する1つのコンバータモジュール20を除き、残余のコンバータモジュール20の全てが電圧一定モードで動作している。しかしながら、多数のコンバータモジュール20から構成される電源装置にあっては、装置全体のバランスを考慮し、残余のコンバータモジュール20のうち、一部のコンバータモジュール20が山登り法により動作を行っていてもよい。図8に示す例には、第nのコンバータモジュール20(CM_n)が、電圧一定モードでなく、山登り法により動作する様子が示されている。
【0072】
また、本実施形態に係る電源装置の制御方法は、非通常モードを繰り返し行い、非通常モードを行う度に、複数のコンバータモジュール20の中で、スキャンモードで動作する1つのコンバータモジュール20を入れ替えることとしている。
【0073】
この方法によれば、複数のコンバータモジュール20が同時にスキャンモードで動作することがないので、装置全体の動作点を安定させることができる。これにより、出力電力の低下を抑制することができる。
【0074】
本実施形態に係る電源装置の制御方法において、スキャンモードは、対応する太陽電池モジュール10の動作範囲の全域にわたって動作点を変化させる第1動作と、第1動作に基づいて、対応する太陽電池モジュール10から入力される電力が最大となるときの入力電圧である最大入力電圧と、最大入力電圧に対応するコンバータモジュール20の制御量とを記録する第2動作と、を含んでいる。
【0075】
この方法によれば、スキャンモードを行うことで、対応する太陽電池モジュール10の電力特性を、その動作範囲の全域にわたって得ることができる。これにより、太陽電池モジュール10の電力特性が複数の極大点を持つような場合でも、真の最大動作点の適切に得ることができる。その結果、出力電力の低下を抑制することができる。
【0076】
本実施形態に係る電源装置の制御方法では、複数のコンバータモジュール20のうちの残余のコンバータモジュール20が、電圧一定モードで動作した後に通常モードへと遷移し、残余のコンバータモジュール20のうちのいずれか1つのコンバータモジュール20が、通常モードで動作した後にスキャンモードへと遷移する。
【0077】
この場合、残余のコンバータモジュール20のうちのいずれか1つのコンバータモジュール20が、スキャンモードで動作した後に通常モードへと遷移し、通常モードで動作した後に電圧一定モードへと遷移する。電圧一定モードで動作する場合には、直前の通常モードにおいて特定された最大動作点に基づいて、入力電圧を一定に制御する。
【0078】
この方法によれば、電圧一定モードの後に、通常モードで最大動作点を探索することで電力出力が増加する。その後、非通常モードに遷移することで機会損失が少ないため、出力エネルギ量を増加させることができる。
【0079】
また、電圧一定モードで動作する際にも最大動作点からの乖離が少ないので、電力出力を増加させることができる。
【0080】
本実施形態に係る電源装置の制御方法において、複数のコンバータモジュール20の出力側は、それぞれ直列接続されている。
【0081】
コンバータモジュール20の出力側を直列接続にすることにより、装置全体から出力可能な電圧を増加させることができる。
【0082】
なお、本実施形態では、複数のコンバータモジュール20が互いに直列接続されているが、少なくとも2つのコンバータモジュール20の出力側が直列接続されていればよい。これにより、装置全体から出力可能な電圧を増加させることができる。また、例えば図9に示すように、電源装置は、複数のコンバータモジュール20が直列接続された直列回路1を、複数並列に接続する構成であってよい。
【0083】
さらに、例えば図10に示すように、電源装置は、複数のコンバータモジュール20が並列接続された並列回路から構成されてもよい。この場合、電源装置は、バッテリ30の電圧に対応して、複数のコンバータモジュール20の並列回路からの出力を昇圧するDCDCコンバータ50を備えてもよい。
【0084】
本実施形態に係る電源装置の制御方法において、通常モードは、山登り法により動作点を微少変化させることにより、対応する太陽電池モジュール10から入力される入力電力が最大となる動作点を、太陽電池モジュール10の最大動作点として探索する。
【0085】
この方法によれば、太陽電池モジュール10の最大動作点を、コンバータモジュール20に入力する入力電力から特定している。これにより、コンバータモジュール20に対する入力エネルギを増加させることができる。
【0086】
なお、通常モードは、山登り法により動作点を微少変化させることにより、コンバータモジュール20から出力される出力電力が最大となる動作点を、太陽電池モジュール10の最大動作点として探索してもよい。
【0087】
この方法によれば、太陽電池モジュール10の最大動作点を、コンバータモジュール20から出力される出力電力から特定している。そのため、コンバータモジュール20の変換効率を考慮した上で、太陽電池モジュール10の動作点を決定することができる。これにより、出力エネルギを増加させることができる。
【0088】
また、本実施形態に係る電源装置は、複数のコンバータモジュール20を動作させる動作モードとして、動作点を変化させて、電力が最大となる最大動作点を探索する通常モードと、通常モードよりも大きな変化幅で動作点を変化させる非通常モードと、を有している。そして、非通常モードでは、複数のコンバータモジュール20のうち1つのコンバータモジュール20だけが、通常モードよりも大きな変化幅で動作点を変化させる動作を行う。
【0089】
この構成によれば、非通常モードでは、複数のコンバータモジュール20が同時に動作点を変化させることがないので、装置全体の動作点を安定させることができる。これにより、電力出力の低下を抑制することができる。
【0090】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0091】
例えば本実施形態では、電力源として太陽電池モジュールを例示した。しかしながら、電力源は、太陽電池モジュール以外にも、出力電力が経時的に変化する電力源を用いることができる。
【符号の説明】
【0092】
10 太陽電池モジュール
20 コンバータモジュール(電力変換モジュール)
21 コンバータ回路
25 コントローラ
26 制御部
27 記憶部
28 電圧センサ
29 電流センサ
30 バッテリ
40 マスターコントローラ
50 DCDCコンバータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10