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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】コンパクト型負荷試験システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/34 20200101AFI20231102BHJP
   G01R 1/04 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G01R31/34 E
G01R1/04 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019523241
(86)(22)【出願日】2017-06-06
(86)【国際出願番号】 JP2017020975
(87)【国際公開番号】W WO2018225152
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2020-06-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】391028328
【氏名又は名称】株式会社辰巳菱機
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】近藤 豊嗣
【合議体】
【審判長】中塚 直樹
【審判官】田邉 英治
【審判官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-25752(JP,A)
【文献】特開2016-133329(JP,A)
【文献】特開2014-183061(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125181(WO,A1)
【文献】特開2017-49015(JP,A)
【文献】特開2009-266051(JP,A)
【文献】特開2012-255721(JP,A)
【文献】登録実用新案第3109571(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/34
G01R 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車に搭載して運搬、移動し、所定の設置場所に設置して発電機の負荷試験を行えるコンパクト型負荷試験システムであり、
四側面の側面横長さのうち、側面横長さが短かい側面の間隔を厚みとし、側面横長さが長い側面の間隔を横幅とした縦長直方体の形状をなし、前記厚みや横幅より高さを高くして構成され、底面及び四側面、上面が壁材で覆われた抵抗器ユニットケースと、
前記抵抗器ユニットケースの前記厚み方向一方向側に寄せて収納、設置される、複数台積み重ねられ、各々の形状が直方体をなす抵抗器ユニットと、
前記複数台積み重ねられた抵抗器ユニットに隣接して設けられた冷却ファン及びフードと、を備え、
前記冷却ファン及びフードが、前記抵抗器ユニットケースの厚み方向を示す側面の上枠及び下枠の長さ方向略中間位置に垂直に立てられて取り付けられた取り付け壁を介して保持され、前記取り付け壁には、抵抗器ユニットの外形状を構成する抵抗器ユニット枠短手方向端面に対向する箇所に開口が設けられ、該開口を利用して取り付け壁の両側に冷却ファンとフードが取り付けられるよう構成されたコンパクト型負荷試験装置を有し、
前記コンパクト型負荷試験装置は、前記抵抗器ユニット内に取り付けられた複数本の棒状をなす抵抗体に前記発電機で発電された電力を送出して発電機の負荷試験を行う様構成され、
前記取り付け壁に取り付けられた冷却ファンは、前記積み重ねられた各抵抗器ユニットの、四側面のうちの側面横長さが長い側面に対向し、前記側面の長手方向である横に向かって一対並べて前記抵抗器ユニットケースの厚みを薄くすべく配置され、
前記取り付け壁に取り付けられたフードは、該フードと対向する抵抗器ユニット枠の開口内に、前記フードと抵抗器ユニット枠とが接触しないよう設置され、
前記積み重ねられた複数台の抵抗器ユニットは、前記抵抗器ユニットケースの上面と底面と前記積み重ねられた複数台の抵抗器ユニットの上面と下面との間に設けられた複数台の抵抗器ユニットの支持部材ともなる碍子を介して抵抗器ユニットケースに支持されてなり、
前記抵抗器ユニットケースの厚み方向前側側面を覆う壁材には前記冷却ファンの給気口となる開閉可能な給気部が設けられると共に、前記抵抗器ユニットケースの厚み方向前側側面に対向する厚み方向後側側面の壁材には排気口となる開閉可能な排気部が設けられ、
前記給気部と排気部は、負荷試験時に開き、負荷試験終了時には閉まるよう制御回路により制御され、
前記冷却ファン、給気部、排気部及び制御回路の動作電力は負荷試験装置が試験すべき発電機が発電した電力を使用する、
ことを特徴とするコンパクト型負荷試験システム。
【請求項2】
前記給気部は、給気ガラリで構成され、前記排気部は排気ガラリで構成された、
ことを特徴とする請求項1記載のコンパクト型負荷試験システム。
【請求項3】
前記給気ガラリと排気ガラリは、負荷試験装置の負荷試験時に開扉し、負荷試験終了時には閉扉するよう制御回路により制御されてなり、
給気ガラリ及び排気ガラリ、制御回路の動作電力は負荷試験装置が試験すべき発電機が発電した電力を使用する、
ことを特徴とする請求項2記載のコンパクト型負荷試験システム。
【請求項4】
前記発電機から前記負荷試験装置への発電電力送出中、負荷試験装置に接続された電力貯蔵装置が前記発電電力を蓄電出来る構成とされ、負荷試験装置に対して発電機が発電した電力の供給が停止されたとき、前記冷却ファン、給気ガラリ及び排気ガラリ、制御回路の動作電力は前記電力貯蔵装置の電力が使用される、
ことを特徴とする請求項3記載のコンパクト型負荷試験システム。
【請求項5】
前記制御回路は、負荷試験装置の起動を検知したとき前記給気ガラリと排気ガラリの開扉制御を行い、負荷試験装置の作動停止を検知したとき前記給気ガラリと排気ガラリの閉扉制御を行う、
ことを特徴とする請求項3記載のコンパクト型負荷試験システム。
【請求項6】
前記給気ガラリは、開扉した状態で隣り合うガラリの端面が重なり合って、内部が可視不可であり、前記排気ガラリは、開扉した状態で隣り合うガラリの端面が重なり合って、内部が可視不可である、
ことを特徴とする請求項3記載のコンパクト型負荷試験システム。
【請求項7】
前記冷却ファンの作動停止は制御回路により制御され、前記負荷試験装置の作動停止が確認されたときから1分乃至6分経過後に、冷却ファンの作動停止が行われる、
ことを特徴とする請求項3記載のコンパクト型負荷試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非常用発電機などの負荷試験用の負荷試験装置を有する負荷試験システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来負荷試験装置には、複数の負荷抵抗の直列接続や並列接続の接続条件を選択的に切り替えることで、発電機などの電源の出力に応じた負荷試験を行うようにした、いわゆる乾式負荷試験装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-25752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の負荷試験装置は、最下部に送風方向を上側に向けた冷却ファンが設置され、その上側に複数段の負荷抵抗器が設置され、負荷試験時には、下側の冷却ファンが上方に向かって送風し、その上に設置された負荷抵抗器の放熱を図るよう構成されていた。
【0005】
よって、下から上方垂直方向に送風した風は、上方に排気しなければならず、特に負荷試験の行われている間は負荷試験装置の上方箇所は排気口として開口しておかなければならなかった。
【0006】
しかしながら、外部と連通する開口を、特に上面に設けることは、外部からの湿気や塵、ゴミが試験装置の内部に容易に入り込みやすく、負荷試験に支障をきたすことがあった。さらに雨天時には負荷試験が行えないとの課題があった。
【0007】
かくして、本発明は、上記従来の課題に対処すべく創案されたものであって、外部からの湿気や塵、ゴミが試験装置の内部に容易に入り込めない構成としてあり、もって負荷試験に支障をきたすことがなく、さらに雨天時においても室外で負荷試験が行える負荷試験システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の負荷試験システムは、
車に搭載して運搬、移動し、所定の設置場所に設置して発電機の負荷試験を行えるコンパクト型負荷試験システムであり、
四側面の側面横長さのうち、側面横長さが短かい側面の間隔を厚みとし、側面横長さが長い側面の間隔を横幅とした縦長直方体の形状をなし、前記厚みや横幅より高さを高くして構成され、底面及び四側面、上面が壁材で覆われた抵抗器ユニットケースと、
前記抵抗器ユニットケースの前記厚み方向一方向側に寄せて収納、設置される、複数台積み重ねられ、各々の形状が直方体をなす抵抗器ユニットと、
前記複数台積み重ねられた抵抗器ユニットに隣接して設けられた冷却ファン及びフードと、を備え、
前記冷却ファン及びフードが、前記抵抗器ユニットケースの厚み方向を示す側面の上枠及び下枠の長さ方向略中間位置に垂直に立てられて取り付けられた取り付け壁を介して保持され、前記取り付け壁には、抵抗器ユニットの外形状を構成する抵抗器ユニット枠短手方向端面に対向する箇所に開口が設けられ、該開口を利用して取り付け壁の両側に冷却ファンとフードが取り付けられるよう構成されたコンパクト型負荷試験装置を有し、
前記コンパクト型負荷試験装置は、前記抵抗器ユニット内に取り付けられた複数本の棒状をなす抵抗体に前記発電機で発電された電力を送出して発電機の負荷試験を行う様構成され、
前記取り付け壁に取り付けられた冷却ファンは、前記積み重ねられた各抵抗器ユニットの、四側面のうちの側面横長さが長い側面に対向し、前記側面の長手方向である横に向かって一対並べて前記抵抗器ユニットケースの厚みを薄くすべく配置され、
前記取り付け壁に取り付けられたフードは、該フードと対向する抵抗器ユニット枠の開口内に、前記フードと抵抗器ユニット枠とが接触しないよう設置され、
前記積み重ねられた複数台の抵抗器ユニットは、前記抵抗器ユニットケースの上面と底面と前記積み重ねられた複数台の抵抗器ユニットの上面と下面との間に設けられた複数台の抵抗器ユニットの支持部材ともなる碍子を介して抵抗器ユニットケースに支持されてなり、
前記抵抗器ユニットケースの厚み方向前側側面を覆う壁材には前記冷却ファンの給気口となる開閉可能な給気部が設けられると共に、前記抵抗器ユニットケースの厚み方向前側側面に対向する厚み方向後側側面の壁材には排気口となる開閉可能な排気部が設けられ、
前記給気部と排気部は、負荷試験時に開き、負荷試験終了時には閉まるよう制御回路により制御され、
前記冷却ファン、給気部、排気部及び制御回路の動作電力は負荷試験装置が試験すべき発電機が発電した電力を使用する、
ことを特徴とし、
または、
前記給気部は、給気ガラリで構成され、前記排気部は排気ガラリで構成された、
ことを特徴とし、
または、
前記給気ガラリと排気ガラリは、負荷試験装置の負荷試験時に開扉し、負荷試験終了時には閉扉するよう制御回路により制御されてなり、
給気ガラリ及び排気ガラリ、制御回路の動作電力は負荷試験装置が試験すべき発電機が発電した電力を使用する、
ことを特徴とし、
または、
前記発電機から前記負荷試験装置への発電電力送出中、負荷試験装置に接続された電力貯蔵装置が前記発電電力を蓄電出来る構成とされ、負荷試験装置に対して発電機が発電した電力の供給が停止されたとき、前記冷却ファン、給気ガラリ及び排気ガラリ、制御回路の動作電力は前記電力貯蔵装置の電力が使用される、
ことを特徴とし、
または、
前記制御回路は、負荷試験装置の起動を検知したとき前記給気ガラリと排気ガラリの開扉制御を行い、負荷試験装置の作動停止を検知したとき前記給気ガラリと排気ガラリの閉扉制御を行う、
ことを特徴とし、
または、
前記給気ガラリは、開扉した状態で隣り合うガラリの端面が重なり合って、内部が可視不可であり、前記排気ガラリは、開扉した状態で隣り合うガラリの端面が重なり合って、内部が可視不可である、
ことを特徴とし、
または、
前記冷却ファンの作動停止は制御回路により制御され、前記負荷試験装置の作動停止が確認されたときから1分乃至6分経過後に、冷却ファンの作動停止が行われる、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外部からの湿気や塵、ゴミが試験装置の内部に容易に入り込めない構成としてあり、もって負荷試験に支障をきたすことがなく、さらに雨天時においても室外で負荷試験が行える負荷試験システムを提供できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による負荷試験システムの構成説明図(1)である。
図2】本発明による負荷試験システムの構成説明図(2)である。
図3】本発明による負荷試験システムの構成説明図(3)である。
図4】本発明による負荷試験システムの構成説明図(4)である。
図5】本発明による負荷試験システムの構成説明図(5)である。
図6】本発明による負荷試験システムの構成説明図(6)である。
図7】本発明による負荷試験システムの動作を説明するフロー(1)である。
図8】本発明による負荷試験システムの動作を説明するフロー(2)である。
図9】本発明による負荷試験システムの動作を説明するフロー(3)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
図1図2などに第1実施例の構成を示す。
【0012】
符号1は抵抗器ユニットケースを示す。該抵抗器ユニットケース1は、縦長の直方体に構成されている。すなわち、厚みや横幅より高さを高くして縦長直方体の形状として構成してある。たとえば、高さを2010mmに、厚みは1000mmに、横幅は1400mmに構成するがごときである。また、抵抗器ユニットケース1は、図に示すようにいわゆるボックス型として形成してあり、底面及び四側面、さらには上面が壁材15などで覆ってあり、外部から塵、ゴミ、雨水、湿気、塩害などを遮蔽出来るよう形成してある。
【0013】
尚、壁材15の材質については何ら限定されない。塵やゴミ、雨水、湿気や塩害などを被らないよう抵抗器ユニット2の内部を外部から確実に遮蔽でき、密閉できる壁材15であることが好ましい。高圧電力を操作する負荷試験において塵やゴミ、湿気の侵入及び塩害は大敵だからである。
【0014】
次に、抵抗器ユニット2は、前記した抵抗器ユニットケース1内に複数段積み重ねられる形状にして構成される。図1では3段に重ねた例を示したが、3段に限定されない。
【0015】
従って、抵抗器ユニット2の外形状を構成する抵抗器ユニット枠3は、横長の直方体に形成される。そして、その中に、複数本の棒状をなす抵抗体4の一端が縦長長方形状の支持板5に取り付けられ、複数の抵抗体4を取り付けた支持板5を縦方向に取り付け、横長直方体の幅方向に向かって前記複数枚の支持板5を並べて組み込んで抵抗器ユニット2が構成される。
【0016】
図1及び図2から理解される様に、複数本の棒状をなす抵抗体4の一端は前記抵抗器ユニット枠3の長手方向の一方側端面に組み込まれる支持板5を用いて取り付けられる。すなわち、支持板5は前記のように縦長長方形の形状となっており、抵抗器ユニット枠3の長手方向一方側端面内において、縦方向に立てて設置され、かつその複数枚が横方向に並べられて取り付けられる。
【0017】
そして、前記抵抗体4はこの支持板5の長手方向(上下方向)に間隔を置いて複数個取り付けられるものとなる。
【0018】
なお、この支持板5は図1に示す実施例では、抵抗器ユニット枠3の長手方向一方側端面内に横に向かって5枚並べて組み込まれている。
しかし、この組み込まれる支持板5の枚数には限定はないし、支持板5に取り付けられる抵抗体4についてもその取り付け個数に限定はない。
【0019】
また、図1に示す実施例では、1枚の支持板5において、その長手方向(上下方向)に所定の間隔をおいて、6本の抵抗体4が取り付けられているのが理解できる。
そして、他の4枚の支持板5についても6本の抵抗体4が取り付けられているから、合計30本の抵抗体4が一つの抵抗器ユニット枠3内に取り付けられ、抵抗器ユニット2が構成されているのがわかる。
【0020】
さらに、この支持板5は、絶縁部材で構成されており、本発明による抵抗器ユニット2の絶縁性が企図されている。
尚、抵抗器ユニット枠3の長手方向他方側端面についての抵抗体4の取り付けであるが、前記一方側端面と同じように、複数枚の支持板5で抵抗体4の他端部側を支持してもかまわないし、他方側端面の全面を覆う大きさの支持板部材(図示していない)で、抵抗体4の他端部側を支持してもかまわない。ただ、他方側端面に取り付けられる縦長長方形状の支持板5あるいは全面を覆う支持板部材は、前記長手方向一方側端面の支持板5と同様に絶縁部材で構成されるものとなる。
【0021】
ところで、前記抵抗器ユニット枠3の一方側端面では、一方側端面の全面を覆う様な一枚物の支持板部材は使用しない。前述のように、縦長長方形状をなす複数枚の支持板5を使用して抵抗体4を支持するものとなる。なぜなら、抵抗器ユニット枠3内に複数個の抵抗体4を取り付けるに際し、まず、複数個の抵抗体4の他端部を抵抗器ユニット枠3の長手方向他方側端面に固着した、たとえば一枚物で形成された支持板部材の取り付け穴に差し込み、ついで抵抗体4の一端部を1枚の縦長長方形状の支持板5の取り付け穴に差し込み、この支持板5を抵抗器ユニット枠3の一方向端面縦方向に立てた状態にして取り付けていかなければならない。
【0022】
さらに、順次、前述の支持板5につき同じ作業をして複数枚の支持板5を並べるように隣接して取り付け、複数個の抵抗体4を取り付けていく。そして、最終的には、抵抗器ユニット枠3の一方側端面が全て複数枚の支持板5でふさがれる様にすべく取り付けるのである。
【0023】
しかしながら、抵抗器ユニット枠3の一方側端面全面を覆う支持板部材を使用してでは、複数個の抵抗体4の取り付け作業が行えないのである。
すなわち、支持板部材の全面にわたって抵抗体4を取り付け、それを抵抗器ユニット枠3一方側端面に一気に取り付けることは出来ないのである。よって、長手方向一方側端面側については、縦長長方形状の支持板5に複数個の抵抗体4を縦方向に取り付けていき、その支持板5を一枚ずつ一方側端面に縦方向に立てて取り付けていくのである。
そして、その支持板5の横にさらに、抵抗体4を取り付けた支持板5を並べて取り付ける方法としたのである。
【0024】
尚、この抵抗器ユニット枠3の幅方向両端面、すなわち抵抗器ユニット枠3の短手方向両端面には、何らのカバーもしていない。なぜなら、短手方向両端面は、後述する冷却ファン8から送風される空気の給気口となり、排気口となるからである。
また、上面及び下面についてはカバー部材により覆われることが好ましい。
【0025】
なお、図1から理解されるように、冷却ファン8の給気口から排気口までの距離はきわめて短い。これも本発明の大きな特徴であり、支持板5の幅をできるだけ短くし、かつ横に並べる数もなるべく少なくしてあるため、前記距離の短縮が図れているのである。よって、この距離の短さと上面及び下面についてカバー部材で覆われていることが相まって冷却ファン8での熱を持った抵抗体4の放熱効率がきわめて高いものとなっている。
【0026】
さらに、図1から理解されるように支持板5に取り付けられる複数個の抵抗体4は隣に取り付けられる支持板5の複数個の抵抗体4とは、水平方向から見て互いに重なる位置にはならずに、互い違いの位置になるように配置形成してある。このような配置にすれば、後述する冷却ファン8からの送風を直接各複数個の抵抗体4が受けられ、きわめて放熱効率が高いものとなる。
【0027】
次に、図1などから理解されるように、1段目の抵抗器ユニット2の下面部などには絶縁用の碍子7が取り付けられており、グラウンド面及び抵抗器ユニットケース1との絶縁が図られている。さらに、1段目の抵抗器ユニット2の上には2段目の抵抗器ユニット2がやはり絶縁用の碍子7を介して積み重ねられている。そして、この2段目の抵抗器ユニット2の構成は1段目の抵抗器ユニット2の構成と変わりがなく、1枚の支持板5に6本の抵抗体4が組み込まれ、この組み込まれた支持板4が5枚組み込まれて構成されているものである。
【0028】
さらに、2段目の抵抗器ユニット2の上にも絶縁用の碍子7を介して3段目の抵抗器ユニット2が積み重ねられている。この3段面の抵抗器ユニット2の構成も1段目や2段目の抵抗器ユニット2の構成と変わるものではない。
【0029】
よって、この3台の抵抗器ユニット2では合計30本の抵抗体4を直列につないで負荷試験を行ったり、30本の抵抗器2を並列につないだり、オン、オフスイッチを切り替えたりして、各種、各容量の発電機について負荷試験が行えるようになっている。
【0030】
なお、3段目の抵抗器ユニット2の上面例えば四隅にも碍子7を設置し、抵抗器ユニットケース1の上面との間を接続しておくものとする。
これにより絶縁性が大幅に向上できると共に、3台の抵抗器ユニット2を確実に抵抗器ユニットケース1内に支持出来るものとなる。よって、前記碍子7は絶縁性を確保すると共に、3台の抵抗器ユニット2の支持部材の機能をも果たしていると言える。
【0031】
図1はコンパクト負荷試験システムの構成を側面から表しており、各々の構成部材、例えば抵抗器ユニット2あるいは冷却装置9あるいはフード14などの取り付け構造が示されている。3段に積み重ねられた抵抗器ユニット2は、抵抗器ユニットケース1内に収納される前に、3段に積み重ねられてあらかじめ組み立てられる。
そして、この組み立てられた3段の抵抗器ユニット2は抵抗器ユニットケース1の前面側から抵抗器ユニットケース1内に収納されて設置される。
【0032】
符号8は冷却ファンであり、一対の冷却ファン8が横方向に並べて配置され冷却装置9として構成されている(図2参照)。この冷却装置9については、本発明の抵抗器ユニット2の構成にあわせて発明されたものであって、該冷却装置9は、横長の抵抗器ユニット枠3に取り付けられた複数本の抵抗体4に直接冷却用の風が当たるように設計されたものである。そして、単体の冷却ファンであると、大型化してしまい、また装置自体も大きくなってしまう。そこで、この装置の厚みを薄くするため、冷却ファン8を複数にして冷却装置9を形成したのである。
【0033】
しかして、この冷却装置9は、横方向に並べた一対の冷却ファン8と、前記横方向に並べた一対の冷却ファン8を抵抗器ユニットケース1の取り付け壁10に接して固着する固着片11とを有して構成されている。よって、図1に示すように、抵抗器ユニットケース1における上枠12及び下枠13の長さ方向(幅方向)略中間位置には取り付け壁10が垂直に立てられて設けられている。
【0034】
該取り付け壁10には、3段に重ねられた抵抗器ユニット2の短手方向開口、すなわち抵抗器ユニット枠3の短手方向両端面に対向する箇所に同様な開口が設けられており、この開口を利用して冷却ファン8やフード14が取り付けられるように構成されている。
【0035】
まず、上枠12側の取り付け壁10と3段目の抵抗器ユニット2に対応する冷却装置9の固着片11とを接続する。ついで、前記冷却装置9の下側の固着片11と中間の取り付け壁10とを接続する。
【0036】
さらに、2段目の抵抗器ユニット2に対応する冷却装置9の上側の固着片11と取り付け壁10とを接続する。ついで、この2段目の抵抗器ユニット2に対応する冷却装置9の下側の固着片11と取り付け壁10とを接続する。
【0037】
最後に、1段目の抵抗器ユニット2に対応する冷却装置9の上側の固着片11と取り付け壁10とを接続し、ついで、この1段目の抵抗器ユニット2に対応する冷却装置9の下側の固着片11と取り付け壁10とを接続して冷却装置9の取り付けは終了する。尚、1段目から順に2段目、3段目と取り付けても構わない。いずれにせよ、3段の抵抗器ユニット2の短手方向開口と取り付け壁10の開口とを対応させておくことが重要である。
【0038】
次に、符号14はフードであり、冷却装置9からの風が抵抗器ユニット枠3内に配置された複数本の抵抗体4に効率よく、もれなく当たり、電気抵抗による発生した抵抗熱が抵抗器ユニット2内に滞留して温度上昇しないようにフード設計されたものである。
【0039】
図1に示すように、フード14の縦幅は、冷却装置9を構成する冷却ファン8の上側固着片11の外側面から下側固着片11の外側面までの幅とされ、フード14の横幅長さは図2に示すように、一対の冷却ファン8のおのおの外側に位置する固着片11外側面までの横幅長さとされている。
【0040】
しかして、前記フード14は3段の抵抗器ユニット2に対応する3台の冷却装置9から各々対向する抵抗器ユニット2の短手方向端面開口の間におのおの取り付けられており、冷却装置9からの送風を確実に抵抗器ユニット2内に送り、抵抗熱により熱くなった抵抗体4を効率よく冷却できるよう構成されている。
【0041】
ここで、このフード14は、前記抵抗器ユニット枠3とは接触しないよう、すなわち抵抗器ユニット2には接触しないよう設置するのが好ましいものである。接触させてフード14を取り付けるとその接触部分にゴミや塵が付着し、絶縁機能に好ましくない影響を与えるからである。
【0042】
次に、図3に示すように抵抗器ユニットケース1において、内部に取り付けられた冷却装置9に対向する側面には、冷却ファン8の給気作業を妨げないように、換言すれば冷却装置9の給気作業をスムーズに行えるよう開閉自在に構成された給気ガラリ16が設けられている。図3に示すように、該給気ガラリ16は、開閉自在に構成されており、後述する制御回路24により、自動的に開閉動作が出来るよう構成されている。
【0043】
また、図3に示すように、給気ガラリ16の給気口は下側に向いて構成される。すなわち、なるべく温度の低い下側の空気を取り込むためであるが、しかし下側に向けて給気口を形成することには限定されない。
【0044】
また、給気ガラリ16が開かれたときにおいて、前述したように、複数の給気口は下側を向いて開かれるが、正面の水平方向から見たとき、複数のガラリ同士が若干重なって内部が見えない構成とすることが好ましい。安全のためであり、塵やゴミ、湿気の侵入を防ぎ、塩害を防ぐためであり、風が冷却ファン8の作動に逆らって逆流するのを防止するためである。
【0045】
次に、冷却ファン8の排気側には上斜め方向に排気する様構成されたガラリが複数設けられた排気ガラリ17が設けられており、冷却ファン8の起動時に前記給気ガラリ16と排気ガラリ17とを開扉することにより、スムーズな放熱処理が行えるように構成されている。
【0046】
この排気ガラリ17の構成は給気ガラリ16の構成とほぼ同様であり、異なるところは排気口が上を向いていることである。上に向けることにより熱せられた空気をスムーズに外部に放出できるからである。また、この排気ガラリ17を正面水平方向から見たとき、やはり複数のガラリ同士がほぼ重なって内部が見えない構成としてある。これも安全のためであり、塵やゴミ、湿気の侵入を防ぎ、塩害を防ぐためであり、外部から風が内部に逆流するのを防止するためである。
【0047】
そして、負荷試験を行わないときは、給気ガラリ16も排気ガラリ17も制御回路24によって自動的に閉扉するよう構成されており、もって抵抗器ユニットケース1内に、また抵抗器ユニット2内部に塵やゴミ、あるいは雨水などが全く侵入せず、きわめて良好な設置環境及び作業環境、保存環境を作り出せるようになっている。
【0048】
次に、図4を参照して第2実施例につき説明する。
本実施例での抵抗器ユニットケース1も、縦長の直方体に構成されている。すなわち、厚みや横幅より高さを高くして縦長直方体の形状として構成してある。たとえば、高さを2010mmに、厚みは1360mmに、横幅は1300mmに構成するがごときである。また、本実施例の抵抗器ユニットケース1も、いわゆるボックス型として形成してあり、底面及び四側面、さらには上面が壁材15などで覆って形成してある。尚、壁材15の材質については何ら限定されず、塵やゴミ、湿気が抵抗器ユニット2の内部に侵入しない様遮断、密閉できる壁材15であることが好ましい。
【0049】
次に、抵抗器ユニット2についても、第1実施例と同様に、抵抗器ユニットケース1内に複数段、積み重ねられる形状にして構成されている。
従って、抵抗器ユニット2の外形状を構成する抵抗器ユニット枠3は、横長の直方体に形成される。そして、その中に、複数本の抵抗体4が縦長長方形状の支持板5に取り付けられ、複数の抵抗体4を取り付けた支持板5を縦方向に取り付け、横長直方体の幅方向に向かって複数枚の支持板5を並べて組み込んで抵抗器ユニット2が構成される。
【0050】
図4から理解される様に、複数本の抵抗体4は前記抵抗器ユニット枠3の長手方向の一方側端面に組み込まれる支持板5を用いて取り付けられる。すなわち、支持板5は縦長長方形の形状となっており、抵抗器ユニット枠3の長手方向一方側端面内において、縦方向に立てて設置され、かつその複数枚が横方向に並べられて取り付けられる。
【0051】
そして、前記抵抗体4はこの支持板5の長手方向(上下方向)に間隔を置いて複数個取り付けられるものとなる。
なお、この支持板5は図4に示す実施例では、抵抗器ユニット枠3の長手方向一方側端面内に横に向かって12枚並べて組み込まれている。
【0052】
また、図4に示す実施例では、1枚の支持板5において、その長手方向(上下方向)に所定の間隔をおいて、6本の抵抗体4が取り付けられているのが理解できる。
そして、他の11枚の支持板5についても6本の抵抗体4が取り付けられているから、合計72本の抵抗体4が一つの抵抗器ユニット枠3内に取り付けられ、抵抗器ユニット2が構成されているのがわかる。
さらに、この支持板5は、絶縁部材で構成されており、本発明による抵抗器ユニット2の絶縁性が企図されている。
【0053】
尚、抵抗器ユニット枠3の長手方向他方側端面であるが、前述した第1実施例と同じ説明が出来る。すなわち、前記一方側端面と同じように、複数枚の支持板5で抵抗体4を支持してもかまわないし、他方側端面の全面を覆う大きさの支持板部材(図示していない)で支持してもかまわない。ただ、他方側端面に取り付けられる縦長長方形状の支持板5あるいは全面を覆う支持板部材は、前記長手方向一方側端面の支持板5と同様に絶縁部材で構成されるものとなる。
【0054】
ところで、前記抵抗器ユニット枠3の一方側端面では、一方側端面の全面を覆う様な一枚物の支持板部材は使用しないことも第1実施例と同様である。
【0055】
尚、この抵抗器ユニット枠3の幅方向両端面、すなわち抵抗器ユニット枠3の短手方向両端面には、何らのカバーもしていない。なぜなら、短手方向両端面は、後述する冷却ファン8から送風される空気の給気口となり、排気口となるからである。
また、上面及び下面についてはカバー部材により覆われることが好ましい。
【0056】
なお、図4から理解されるように、冷却ファン8の給気口から排気口までの距離は、第1実施例に比較すれば長いが、それでも短く構成される。これも本発明の大きな特徴であり、支持板5の幅をできるだけ短くし、かつ横に並べる数もなるべく少なくしてあるため、前記距離の短縮が図れているのである。よって、この距離の短さと上面及び下面についてカバー部材で覆われていることとが相まって冷却ファン8での放熱効率がきわめて高いものとなっている。
【0057】
次に、図4などから理解されるように、第2実施例においても、1段目の抵抗器ユニット2の下面部などには絶縁用の碍子7が取り付けられており、グラウンド面及び抵抗器ユニットケース1との絶縁が図られている。さらに、1段目の抵抗器ユニット2の上には2段目の抵抗器ユニット2がやはり絶縁用の碍子7を介して積み重ねられている。そして、この2段目の抵抗器ユニット2の構成は1段目の抵抗器ユニット2の構成と変わりがなく、1枚の支持板5に6本の抵抗体4が組み込まれ、この組み込まれた支持板4が12枚組み込まれて構成されているものである。
【0058】
さらに、2段目の抵抗器ユニット2の上にも絶縁用の碍子7を介して3段目の抵抗器ユニット2が積み重ねられている。この3段面の抵抗器ユニット2の構成も1段目や2段目の抵抗器ユニット2の構成と変わるものではない。よって、この3台の抵抗器ユニット2では合計72本の抵抗体4を直列につないで負荷試験を行ったり、72本の抵抗器2を並列につないだり、オン、オフスイッチを切り替えたりして、各種、各容量の発電機について負荷試験が行えるようになっている。
【0059】
なお、3段目の抵抗器ユニット2の上面例えば四隅にも碍子7を設置し、抵抗器ユニットケース1の上面との間を接続しておくものとする。
【0060】
これにより絶縁性が大幅に向上できると共に、3台の抵抗器ユニット2を確実に抵抗器ユニットケース1内に支持出来るものとなる。よって、前記碍子7は絶縁性を確保すると共に、3台の抵抗器ユニット2の支持部材の機能をも果たしている。
【0061】
図4は第2実施例におけるコンパクト負荷試験システムの構成を断面で表しており、各々の構成部材の取り付け構造が示されている。3段に積み重ねられた抵抗器ユニット2は、抵抗器ユニットケース1内に収納される前に、3段に積み重ねられてあらかじめ組み立てられる。
【0062】
そして、この組み立てられた3段の抵抗器ユニット2は抵抗器ユニットケース1の前面側から抵抗器ユニットケース1内に収納されて設置される。
【0063】
一対の冷却ファン8は横方向に並べられ配置されて冷却装置9として構成されている。この冷却装置9については、本発明の抵抗器ユニット2の構成にあわせて発明されたものであって、該冷却装置9は、横長の抵抗器ユニット枠3に取り付けられた複数本の抵抗体4に直接冷却用の風が当たるように設計されたものである。
【0064】
しかして、この冷却装置9は、横方向に並べた一対の冷却ファン8と、前記横方向に並べた一対の冷却ファン8を抵抗器ユニットケース1の取り付け壁10に接して固着する固着片11とを有して構成されている。よって、図4に示すように、抵抗器ユニットケース1における上枠12及び下枠13の長さ(幅)方向略中間位置には取り付け壁10が設けられており、まず、上枠12側の取り付け壁10と3段目の抵抗器ユニット2に対応する冷却装置9の固着片11とを接続する。ついで、前記冷却装置9の下側の固着片11と中間の取り付け壁10とを接続する。
【0065】
さらに、2段目の抵抗器ユニット2に対応する冷却装置9の上側の固着片11と取り付け壁10とを接続する。ついで、この2段目の抵抗器ユニット2に対応する冷却装置9の下側の固着片11と取り付け壁10とを接続する。
【0066】
最後に、1段目の抵抗器ユニット2に対応する冷却装置9の上側の固着片11と取り付け壁10とを接続し、ついで、この1段目の抵抗器ユニット2に対応する冷却装置9の下側の固着片11と取り付け壁10とを接続して冷却装置9の取り付けは終了する。
尚、冷却装置9の取り付けについては、1段目の冷却装置9から取り付けても構わない。
【0067】
次に、符号14はフードであり、冷却装置9からの風が抵抗器ユニット枠3内に配置された複数本の抵抗体4に効率よく当たり、電気抵抗による熱が滞留して温度上昇しないように設計されたものである。図4に示すように、フード14の縦幅長さは、冷却装置9を構成する冷却ファン8の上側固着片11の略外側面から下側固着片11の略外側面までの長さとされ、フード14の横幅長さは図4に示すように、一対の冷却ファン8のおのおの外側に位置する固着片11の略外側面までの横幅長さとされている。
【0068】
しかして、前記フード14は3段の抵抗器ユニット2と、それに対応する3台の冷却装置9との間におのおの取り付けられており、冷却装置9からの送風を確実に抵抗熱により熱くなった抵抗体4を効率よく冷却できるように構成されている。
【0069】
そして、このフード14は、前記抵抗器ユニット枠3とは接触しないよう、少しの間隔をあけて設置するのが好ましい。前記抵抗器ユニット枠3、すなわち抵抗器ユニット2と接触させてフード14を取り付けるとその部分にゴミや塵が付着し、絶縁機能に好ましくない影響があるからである。
【0070】
次に、第2実施例においても、図3に示すように抵抗器ユニットケース1において、内部に取り付けられた冷却装置9の給気口に対向する側面には、冷却ファン8の給気作業を妨げないように、すなわち冷却ファン8につき給気作業がスムーズに行えるように開閉自在に構成された給気ガラリ16が設けられている。そして、該給気ガラリ16は、開閉自在に構成されており、後述する制御回路24により、自動的に開閉動作が出来るよう構成されている。
【0071】
また、給気ガラリ16の給気口は下側に向いて構成される。すなわち、なるべく温度の低い下側の空気を取り込むためであるが、しかし下側に向けて給気口を形成することには限定されない。
【0072】
また、給気ガラリ16が開かれたときにおいて、前述したように、複数の給気口は下側を向いて開かれるが、正面の水平方向から見たとき、複数のガラリ同士が重なって内部が見えない構成とすることが好ましい。安全のためであり、塵やゴミ、湿気などの侵入を防ぐためであり、外部から内部へ風が逆流しない様にするためである。
【0073】
次に、冷却ファン8の排気側には上斜め方向に排気する様構成されたガラリが複数設けられた排気ガラリ17が設けられており、冷却ファン8の起動時に前記給気ガラリ16と排気ガラリ17とを開扉することにより、スムーズな放熱処理が行えるように構成されている。
【0074】
この排気ガラリ17の構成は給気ガラリ16の構成とほぼ同様であり、異なるところは排気口が上を向いていることである。上に向けることにより熱せられた空気をスムーズに外部に放出できるからである。また、この排気ガラリ17を正面水平方向から見たとき、やはり複数のガラリ同士がほぼ重なって内部が見えない構成としてある。これも安全のためであり、塵やゴミの侵入を防ぐためであり、さらに言えば内部に風が逆流して試験に悪影響を及ぼさないようにするためである。
【0075】
そして、負荷試験を行わないときは、給気ガラリ16も排気ガラリ17も制御回路24によって自動的に閉扉するよう構成されており、もって抵抗器ユニットケース1や抵抗ユニット2の内部に塵やゴミ、あるいは雨水など、湿気あるいは塩害などの影響を全く受けず、きわめて良好な設置環境及び作業環境を作り出せるようになっているのである。
【0076】
次に、本発明による負荷試験システムの動作につき、図5及び図6の動作説明図さらには図7乃至図9のフローチャートを参照して説明する。
【0077】
まず、本発明による負荷試験システムを所定の負荷試験を行う場所に設置する。この負荷試験システムは非常にコンパクトな構成にしてあり、簡単に車などに搭載して運搬、移動して設置することができる。所定の設置場所に設置したら、負荷試験を行うべき発電機、たとえば高圧の3相交流発電機などと接続する。
【0078】
高圧発電機の電源が投入されると、例えば6600Vの高圧電力が送出され、該電力はまずトランス18により低圧とされて、略110Vの電力がマルチ計器20側に操作電源として送出、供給される。マルチ計器20では負荷試験システムにおける電圧、電流、容量、Hzなどが計測される。
【0079】
さらに、電力遮断装置19、例えばVCBなどを起動させた後、トランス18により略200Vの低圧にされた電力が補機電源21に送出される。さらに、該電力は電力貯蔵装置22、例えばUPSなどに送出されて蓄電される。電力貯蔵装置22での所定時間の蓄電が終了すると、その終了信号を検出器23が検知し、該検知した信号を制御回路24に送出する。制御回路24では、前記の信号を受けて各冷却装置9の冷却ファン8を作動させる。ここで、各冷却ファン8の所定時間作動後、制御回路24では、抵抗器ユニット2に電力を送出する各投入スイッチ25をONにし、抵抗体4で構成されている各高圧抵抗負荷26に高圧電力を送出し、負荷試験がスタートする。この高圧抵抗負荷26は抵抗器ユニット2の抵抗体4で構成されており、1枚の支持板5に取り付けられた6個の抵抗体4がそれに該当する。尚、前記投入スイッチ25は図5図6に示すように高圧抵抗負荷26の後端側に設けられている。本発明ではこのように高圧抵抗負荷26の先端側に投入スイッチ25を設けるのではなく、後端側に設けたのが特徴である。高圧の電力が高圧抵抗負荷26を通過した後の投入スイッチ25のON、0FFであるから、該投入スイッチ25は破損せずに耐久性が向上するものとなった。
【0080】
さらに、図7のフローチャートに基づいて動作を説明すると、まず、高圧発電機を起動させる(ステップ100)。すると、制御回路24が起動し、給気ガラリ16及び排気ガラリ17を作動させ、各ガラリを開扉させる(ステップ102)。前記各ガラリの開扉が確認されると、制御回路24は各冷却装置9の冷却ファン8を順次作動させる(ステップ104)。そして電力遮断装置19が起動後(ステップ106)、負荷装置に異常がないか否かが検知され(ステップ108)、異常が検知されたとき、例えば過電流、地絡、冷却ファン異常、排気温度異常などの場合の異常が検知されたときには(ステップ108でYES)、電力遮断装置19によって電力送出が遮断される。負荷装置に異常がないときには(ステップ108でNO)、負荷試験が開始される(ステップ110)。
【0081】
そして、負荷試験が終了したときには、電力送出を停止する(ステップ112)。その後、各冷却装置9の冷却ファン8が停止し(ステップ114)、給気ガラリ16及び排気ガラリ17が閉扉される(ステップ116)。
【0082】
尚、前記したように電力遮断装置19によって高圧発電機からの電力送出が遮断されるが、その後においても、負荷試験における抵抗熱により熱せられた抵抗体4の熱を放熱するため各冷却装置9の冷却ファン8を作動させなければならないし、給気ガラリ16及び排気ガラリ17を閉扉しなければならない。したがって、このような場合に対処すべく、制御回路24によって自動的に電力貯蔵装置22からの電力送出に切り替えられる。このように、本発明においては、負荷試験を行う発電機からの発電電力をまず、はじめに電力貯蔵装置22に蓄電できる装置として開発したものである。従来は、必ず商用電源がとれる場所を探し、その近くで負荷試験を行わざるを得なかった。また、商用電源が近くにない場合は、別途補機電源を持参しなければならなかったのである。
【0083】
次に、負荷試験の運転フローにつき、図8を参照して説明する。電力遮断装置19が投入されると(ステップ200)、電力貯蔵装置22の充電が開始される(ステップ202)。その後、給気ガラリ16及び排気ガラリ17が開扉され(ステップ204)、開扉が確認されると、送風機、すなわち各冷却装置9の冷却ファン8が運転される(ステップ206)。そして、各冷却装置9の冷却ファン8の作動温度及び過電流の異常なしか否かが確認される(ステップ208)。
【0084】
上記異常なしが確認されると、さらに各冷却装置9の冷却ファン8の送風圧の正常か否かが確認され(ステップ210)、正常であることが確認されると、負荷試験操作モードとなり、高圧発電機が正常運転できるか否かの試験、すなわち負荷試験が行われる。
【0085】
次に、装置の故障などが招来し、緊急に停止せざるを得なくなったとき、すなわち緊急停止時の運転フローにつき図9を参照して説明する。
【0086】
緊急停止信号が制御回路24に送出されると、電力遮断装置19が高圧発電機などからの送出電力を遮断する(ステップ300)。ここで、予備電源モードとなり、電力貯蔵装置22の充電量が確認されて、電力貯蔵装置22からの送出電力により各機器が作動される(ステップ302)。制御回路24によって各冷却装置9における冷却ファン8の作動温度や過電流などの異常がないか否かが確認され(ステップ304)、異常がないときには各冷却装置9の冷却ファン8が前記電力貯蔵装置22の電力によって運転される(ステップ306)。
【0087】
その後、所定時間の各冷却ファン8の運転後、給気ガラリ16及び排気ガラリ17が閉扉され(ステップ308)、負荷試験が終了する。
【0088】
従来においては、負荷試験が終了すると、高圧発電機からの送電がないため、前述したように、商用電力などの外部商用電力から電力を供給してもらい、冷却装置9の冷却ファン8を作動していた。しかしながら、発電機に対する負荷試験は、前記発電機の設置場所周辺に商用電源が設置されていない場所も多くあり、もって商用電源などの外部電力が利用できないことが多々ある。
【0089】
よって、従来は負荷試験終了後の冷却装置9における冷却ファン8の作動電力の確保が特に難しかったのである。本発明ではこのような事態を一気に解決することができた。
【0090】
ここで、従来の負荷試験システムと本発明の負荷試験システムとを比較してみると、従来の負荷試験システムは、負荷試験装置を構成する抵抗器ユニット2の設置状態が異なっていた。
【0091】
従来は、下側に冷却ファン8を配置し、その上に抵抗器ユニット2を複数段重ねて搭載していた。すなわち複数の抵抗体4につき、間隔をあけて水平方向に設置していたのである。そして、その抵抗体4群を上側に積み重ねて構成していたのである。
従って、下側からの冷却ファン8の風は、上側に向かって送風されていた。よって、少なくとも負荷試験中にあっては、負荷試験システムの上方部分は開放しておかなくてはならなかった。送風の排気口となるからである。しかしながら、上方を開口しておくことは、塵やゴミ、湿気、特に雨天時には雨が試験装置内に容易に侵入することとなり、負荷試験の安全上好ましくなかったのである。
【0092】
これに対し、本発明の負荷試験システムでは、上記の課題が一気に解決されたのである。各図に示すように、本発明の負荷試験システムでは、上方部分に開口はない。抵抗器ユニットケース1の上面をふさぎ、他の面も塞いで密閉し、外部と遮断して試験が行えるようにしたのである。
【符号の説明】
【0093】
1 抵抗器ユニットケース
2 抵抗器ユニット
3 抵抗器ユニット枠
4 抵抗体
5 支持板
7 碍子
8 冷却ファン
9 冷却装置
10 取り付け壁
11 固着片
12 上枠
13 下枠
14 フード
15 壁材
16 給気ガラリ
17 排気ガラリ
18 トランス
19 電力遮断装置
20 マルチ計器
21 補機電源
22 電力貯蔵装置
23 検出器
24 制御回路
25 投入スイッチ
26 高圧抵抗負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9