IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーシーエス株式会社の特許一覧

特許7377719光射出装置、及び、光射出装置の製造方法
<>
  • 特許-光射出装置、及び、光射出装置の製造方法 図1
  • 特許-光射出装置、及び、光射出装置の製造方法 図2
  • 特許-光射出装置、及び、光射出装置の製造方法 図3
  • 特許-光射出装置、及び、光射出装置の製造方法 図4
  • 特許-光射出装置、及び、光射出装置の製造方法 図5
  • 特許-光射出装置、及び、光射出装置の製造方法 図6
  • 特許-光射出装置、及び、光射出装置の製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】光射出装置、及び、光射出装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231102BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20231102BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231102BHJP
【FI】
F21S2/00 312
F21S2/00 233
H05K1/02 B
H05K1/02 J
F21Y115:10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019562184
(86)(22)【出願日】2018-12-27
(86)【国際出願番号】 JP2018048260
(87)【国際公開番号】W WO2019131916
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-06-29
(31)【優先権主張番号】P 2017254357
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】香山 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】大澤 隆士
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-135309(JP,A)
【文献】特開2004-071342(JP,A)
【文献】特開2014-067678(JP,A)
【文献】特開2010-287353(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0200706(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0268780(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
H05K 1/02
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定形状に湾曲した可撓性を有する配線基板と、
湾曲した前記配線基板において少なくとも一部が湾曲している方向である周方向に沿って列をなすように並べて設けられた複数組のパッドと、
前記複数組のパッドに対してそれぞれ固定された複数個の表面実装型LEDと、を備え、
前記複数組のパッドは、それぞれ前記表面実装型LEDの裏面に位置してはんだ付けにより該表面実装型LEDに固定されており、
湾曲した前記配線基板において前記複数組のパッドが列をなしている部分の周長さをL、周長さLの中で前記複数組のパッドの周方向長さの総和sが占める割合をy=s/L、湾曲した前記配線基板において前記複数組のパッドが列をなしている部分の曲率をxとした場合に、
0.35≦y≦-1.04x+0.80を満たすように構成されていることを特徴とする光射出装置。
【請求項2】
前記所定形状が、切頭円錐形状、部分切頭円錐形状、円筒形状、部分円筒形状、又は、かまぼこ形状である請求項1記載の光射出装置。
【請求項3】
y≦-24.8x+1.63を満たすように構成されている請求項1記載の光射出装置。
【請求項4】
y≦0.745を満たすように構成されている請求項1記載の光射出装置。
【請求項5】
y≦0.72を満たすように構成されている請求項4記載の光射出装置。
【請求項6】
前記複数組のパッドが、丸められた前記配線基板の周方向に複数列で設けられるとともに、当該各パッドに対応して前記表面実装型LEDが設けられており、
各列において0.35≦y≦-1.04x+0.80を満たすように構成されている請求項1記載の光射出装置。
【請求項7】
所定形状に湾曲した可撓性を有する配線基板と、湾曲した前記配線基板において少なくとも一部が湾曲している方向である周方向に沿って列をなすように並べて設けられた複数組のパッドと、前記複数組のパッドに対してそれぞれ固定された複数個の表面実装型LEDと、を備え、
前記複数組のパッドは、それぞれ前記表面実装型LEDの裏面に位置してはんだ付けにより該表面実装型LEDに固定されている光射出装置の製造方法であって、
湾曲した前記配線基板において前記複数組のパッドが列をなしている部分の周長さをL、周長さLの中で前記複数組のパッドの周方向長さの総和sが占める割合をy=s/L、湾曲した前記配線基板において前記複数組のパッドが列をなしている部分の曲率をxとした場合に、
0.35≦y≦-1.04x+0.80を満たすように構成することを特徴とする光射出装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定形状に湾曲した配線基板に表面実装型LEDが固定された光射出装置、及び、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の光射出装置は、本出願人が最初に開発したものであり(特許文献1参照)、従来は、例えば部分円環形をなす帯状のフレキシブル配線基板に設けたスルーホールに、砲弾型LEDのリード端子を差し込んではんだ付けした後、配線基板を端辺同士が突き合うように丸めて切頭円錐形状に湾曲させていた。
【0003】
ところで、近年では、砲弾型LEDよりもハイパワーな表面実装型LEDを光射出装置に適用し、さらに高輝度な光を照射する事が試みられている。
【0004】
ところが、砲弾型LEDと同程度の実装密度で表面実装型LEDを配線基板にはんだ付けすると様々な問題が生じる。例えば、平板状態の配線基板に複数の表面実装型LEDをはんだ付けした後、配線基板を丸めて切頭円錐形状又は円筒形状にすると、配線基板の曲げによってはんだ部分にクラックが生じることがある。また、配線基板において表面実装型LEDがはんだにより固定されている部分は曲げの許容量が小さくなるので、配線基板を大きく曲げると配線基板自体に割れが発生することもある。
【0005】
これらのような問題は、表面実装型LEDが砲弾型LEDに比べてはんだにより配線基板に固定される面積が大きいことや表面実装型LED自体の剛性によって配線基板の曲げ難い面積が大きいことに起因する。
【0006】
あるいは、配線基板を丸めて切頭円錐形状又は円筒形状にした後に表面実装型LEDをはんだ付けするとしても、配線基板の曲げ具合に対して表面実装型LEDの実装密度が高すぎると、表面実装型LEDが配線基板に対して十分な面積ではんだ付けされず、剥落しやすくなってしまうことがある。
【0007】
したがって、上述したような不良が発生して信頼性の低い光射出装置になるのを防止するには、砲弾型LEDに比べて実装密度を大幅に低下させざるを得ない。
【0008】
そして、実装密度を低くすれば、配線基板において表面実装型LEDが実装されていない部分が大きくなり、配線基板を曲げた際もその部分によって曲げが吸収されるので上述したような問題が発生しない。しかしながら、安全をみて実装密度を低くしすぎると、高輝度な光を照射することが難しくなる。
【0009】
また、配線基板に対する表面実装型LEDの実装密度が小さい場合でも配線基板の曲げを大きくし過ぎると、今度は配線基板自体の許容限界を超え、割れや配線の断線が生じて不良が生じることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許第2975893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述したような問題に鑑みてなされたものであり、所定形状に湾曲される配線基板に対する表面実装型LEDの実装密度を高めて高輝度を実現しつつ、曲げた状態でも不良が発生しない信頼性の高い光射出装置を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明に係る光射出装置は、所定形状に湾曲した可撓性を有する配線基板と、湾曲した前記配線基板において湾曲している方向である周方向に沿って列をなすように並べて設けられた複数組のパッドと、前記複数組のパッドに対してそれぞれ固定された複数個の表面実装型LEDと、を備え、湾曲した前記配線基板において前記複数組のパッドが列をなしている部分の周長さをL、周長さLの中で前記複数組のパッドの周方向長さの総和sが占める割合をy=s/L、湾曲した前記配線基板において前記複数組のパッドが列をなしている部分の曲率をxとした場合に、y≦-1.04x+0.80を満たすように構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る光射出装置の製造方法は、所定形状に湾曲した可撓性を有する配線基板と、湾曲した前記配線基板において湾曲している方向である周方向に沿って列をなすように並べて設けられた複数組のパッドと、前記複数組のパッドに対してそれぞれ固定された複数個の表面実装型LEDと、を備えた光射出装置の製造方法であって、湾曲した前記配線基板において前記複数組のパッドが列をなしている部分の周長さをL、周長さLの中で前記複数組のパッドの周方向長さの総和sが占める割合をy=s/L、丸められた前記配線基板において前記複数組のパッドが列をなしている部分の曲率をxとした場合に、y≦-1.04x+0.80を満たすように構成したことを特徴とする。
【0014】
なお、本発明に係る光射出装置及びその製造方法は、本願発明者らが鋭意検討を重ねた結果、丸められた配線基板において表面実装型LEDが実装されている部分の曲率と、丸めた配線基板に不良が生じない実装密度の上限との間の関係を見出したことにより初めてなされたものである。
【0015】
そして、上述した式を満たすように表面実装型LEDの実装密度を設定すれば、例えば配線基板に対して表面実装型LEDを実装した後に配線基板を湾曲させて例えば切頭円錐形状又は円筒形状の曲面を形成したリング型の光射出装置について、可能な限り実装密度を高めながら、湾曲させた配線基板にはんだクラックが生じたり、配線基板が割れたりするといった不良が生じるのを防止できる。また、配線基板を湾曲させて例えば切頭円錐形状又は円筒形状にした後に表面実装型LEDを固定するような場合でも、実装密度を高めつつ、完成後に表面実装型LEDが剥落したり、配線基板が割れたり、配線が断線するといった事態を防ぐことができる。
【0016】
したがって、表面実装型LEDを用いることにより、従来の砲弾型LEDを実装している場合よりも高輝度を実現しつつ、信頼性の高い光射出装置にすることができる。
【0017】
本発明によって表面実装の信頼性を向上させることができる光射出装置の具体的な形状例としては、前記所定形状が、切頭円錐形状、部分切頭円錐形状、円筒形状、部分円筒形状、又は、かまぼこ形状であるものが挙げられる。
【0018】
曲率xの値によらず、信頼性の高い光射出装置を実現できる実装密度の上限を満たすようにするには、y≦0.745を満たすように構成されていればよい。なお、さらに衝撃等が加えられても前記表面実装型LEDが脱落しないようにして信頼性をさらに高めるには、y≦-24.8x+1.63、又は、y≦0.72を満たすように構成されていればよい。
【0019】
リング型の光射出装置として従来品以上の輝度を実現するために実装密度の下限を満たすには、0.35≦yを満たすように構成されていればよい。
【0020】
前記複数組のパッドが、丸められた前記配線基板の周方向に複数列で設けられるとともに、当該各組のパッドに対応して前記表面実装型LEDが設けられ、各列においてy≦-1.04x+0.80を満たすように構成されていれば、各列で最適な実装密度を実現して高輝度を実現し、不良を発生させないようにできる。
【発明の効果】
【0021】
このように本発明に係る光射出装置によれば、y≦-1.04x+0.80を満たすように構成されているので、表面実装型LEDの実装密度を限界近くまで高めて高輝度を実現しつつ、不良の生じ難い高い信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る光射出装置の模式的縦断面図。
図2】同実施形態の光射出装置の模式的分解斜視図。
図3】同実施形態の配線基板を平板状態にした場合を示す模式図。
図4】同実施形態の配線基板に表面実装型LEDが実装された状態で切頭円錐形状に丸めた状態を示す模式的斜視図。
図5】同実施形態における切頭円錐状に丸められた配線基板の各寸法の関係を示す模式図。
図6】同実施形態において配線基板の曲率と実装密度との関係を示すグラフ。
図7】本発明の別の実施形態における配線基板の曲率と実装密度との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0023】
100・・・光射出装置
1 ・・・配線基板
2 ・・・パッド
21 ・・・電極パッド
22 ・・・放熱パッド
3 ・・・表面実装型LED
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態に係る光射出装置100について各図を参照しながら説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態のリング型の光射出装置100は、多数の表面実装型(SMD)LED3が切頭円錐形状に丸められた可撓性を有する配線基板1の内側面に実装されたものである。この切頭円錐形状に丸められた配線基板1は、概略トーラス状をしたケース4の内部に収容される。
【0025】
ケース4は、中央部に貫通孔Hを有し、切頭円錐形状に丸められた配線基板1の外側面が載置されるベース部材41と、そのベース部材41に対して配線基板1を挟み込んで取り付けられる概略薄肉円筒状のカバー部材42と、を備えている。なお、貫通孔Hは例えばこの光射出装置100が検査用途で用いられた場合に検査対象を目視又は撮像するために用いられる。
【0026】
配線基板1は、図3(a)に示すように丸められる前の平板状態では部分円環形の帯状をなすものであり、丸められて切頭円錐形状に湾曲した状態において内側面となる表面に多数の表面実装型LED3がはんだ付けにより固定される。本実施形態では平板状態の配線基板1において半径の異なる内周側と外周側にそれぞれ表面実装型LED3が配列され、表面実装型LED3の列が2つ並行に形成される。このため、平板状態の配線基板1には、中心点から半径r=r、r(r≦r)の部分に周方向に沿って複数組のパッド2が並べて設けられている。
【0027】
各組のパッド2は図3(b)の部分拡大図に示すように、平板状態の配線基板1において半径方向に延びる3つの矩形帯状の銅箔から構成される。ここで、1組のパッド2について注目すると、外側にある2本の細幅の銅箔帯は表面実装型LED3の電極部分が載置される電極パッド21であり、中央にある太幅の銅箔帯は放熱パッド22である。本実施形態では、1組のパッド2に対して外側にある2本の電極パッド21、及び、放熱パッド22に例えばクリームはんだが塗布される。クリームはんだが塗布されたパッド2上に表面実装型LED3が載置されてリフローにより固定される。
【0028】
次にこのような光射出装置100を実現可能とする配線基板1上における表面実装型LED3の周方向に対する実装密度の範囲について説明する。ここで、周方向とは湾曲した配線基板1において湾曲あるいは丸められている方向を言う。本実施形態では切頭円錐形状に丸められた配線基板1において表面実装型LED3が周方向に並んでいる部分の弧の長さLに対してパッド2の長さの総和sが占める割合であるy=s/Lと、表面実装型LED3が設けられている部分の周方向の曲率xとを変数として光射出装置100として実現可能な範囲を規定している。
【0029】
なお、以下の説明では図3に示すように、平板状態の配線基板1において、中心点CPから配線基板1上に設けられたパッド2の半径方向の中心までの距離を半径rと定義する。さらに、曲率xの逆数である曲率半径1/xは、丸められた状態の配線基板1の曲面に対する法線によって規定される(図5参照)。
【0030】
幾何学的な関係から図3(a)に示す平板状態の配線基板1における中心点CPは、図5に示す切頭円錐形状に丸められた状態の配線基板1において、頂点側が存在した場合の仮想頂点Aに相当し、半径rは仮想頂点Aから点Bまでの母線の長さとなる。点Bから中心軸CAに対して垂線を下ろした交点をCとした場合、線分BCの長さは平板状態の配線基板1における中心点CPから半径rの部分における円弧の弧の長さLと同じ円周Lを持つ円の半径となる。すなわち、弧の長さLは、平板状態にした部分円環状の配線基板1の中心角をθ(rad)とした場合に、L=rθで算出される。したがって、線分BCの長さはL/2π=rθ/2πで表される。
【0031】
図5に示すように曲率半径1/xは、点Bから配線基板1の面に対して垂直な線が中心軸CAと交わる点をDとした場合にBDの長さと等しくなる。このBDの長さは例えば三角形ABCと三角形ADBが相似形であることから求められる。すなわち、平板状態の配線基板1のパラメータである半径rと中心角θを用いて曲率半径1/x=rθ/√(4π-θ)と表せる。この式に基づいて、切頭円錐形状に丸められた配線基板1においてパッド2又は表面実装型LED3の列が形成されている部分の曲率xを得ることができる。
【0032】
また、sについては図3の二点鎖線で示される円弧に沿った方向のパッド2の幅の総和で算出される。例えば電極パッド21の周方向の幅をs、放熱パッド22の周方向の幅をs、パッド2の組数をnとした場合、s=n(2s+s)で表される。パッド2の組数と同じ個数の表面実装型LED3が実装されることからy=s/Lが大きくなると表面実装型LED3の周方向の離間距離が小さくなり、周方向の実装密度が高くなることを示す。
【0033】
図6のグラフに示すように横軸を前述した曲率x(1/mm)、縦軸を実装密度であるy=s/L(%)とした場合に本実施形態では、斜線で示されている領域内となるように表面実装型LED3の周方向の実装密度を設定している。また、平板状態の配線基板1における内側の半径r=rと外側の半径r=rに対応するパッド2の各列についてもそれぞれが斜線の領域内に含まれるように設定されている。
【0034】
具体的には斜線の領域は、y≦-24.8x+1.63、0.35≦y≦0.72、0.005≦xを同時に満たす領域である。この領域は、実際に曲率xと弧の長さLに対してパッド2の周方向の幅の総和sが占める割合yの組み合わせを変えて実際に製作し、配線基板1を曲げて丸めても不良が生じなかった結果に基づいて設定している。実際に不良を発生させずに製作できた点については三角形の凡例で示される。
【0035】
このような斜線で示される領域に含まれるように配線基板1上に周方向に沿って表面実装型LED3を並べて設ける際の実装密度を調整することによって、切頭円錐形状に丸めて曲げた配線基板1にはんだにクラックが生じたり、当該配線基板1が割れたりすることがない。
【0036】
また、この領域内であれば砲弾型LEDを用いたリング型の光射出装置100と比較して同等以上の輝度を実現する事が可能となる。
【0037】
なお、図6に示した斜線の範囲内であれば、表面実装型LED3を配線基板1に実装した後に配線基板1を丸める、あるいは、配線基板1を丸めた後に表面実装型LED3を実装するといった様々な製造方法において表面実装型LED3の実装密度を高めつつ、不良の発生を抑えるという効果を享受できる。
【0038】
その他の実施形態について説明する。
【0039】
前記実施形態では、配線基板は切頭円錐状に丸められていたが、本発明は直線形の帯状をなす可撓性を有する配線基板を端辺同士が付き合うように丸めることで円筒状に丸められるものであっても適用可能である。なお、配線基板が円筒状に丸められる場合には、パッド及び表面実装型LEDが並べられている周方向の曲率半径1/xと配線基板により形成される円筒の半径とが一致する。したがって、光射出装置として構成可能な実装密度を曲率xごとに設定することが可能となる。また、配線基板を湾曲させて例えば前記実施形態における切頭円錐形状の1/4周分又は1/2周分をなす部分切頭円錐形状にしてもよい。例えば1/2周分の部分切頭円錐形状に丸められた配線基板を2つ用いて1つの切頭円錐形状をなすようにしても良い。また、同様に配線基板は部分円筒形状に丸められてもよいし、かまぼこ型に丸められても良い。
【0040】
弧の長さLに対してパッドの周方向の長さの総和sが占める割合については、表面実装型LEDの裏面側が全てはんだ付けされる場合には、その部分全体をパッドとしてカウントすればよい。また、放熱パッドについては、はんだづけではなく、伝熱性の接着剤で固定されるものであっても構わない。本発明では丸められた配線基板においてパッド又は表面実装型LEDが周方向に列をなすように並べている部分の弧の長さLに対してパッドの総和sが占める割合yで表面実装型LEDの実装密度が評価されている。したがって、パッドの種類や固定されている方法によらず、配線基板と表面実装型LEDが固定されている範囲を評価して、実装可能な範囲を定義できる(例えば、表面実装LEDが放熱パッドに放熱グリスを介して接触し、はんだ付けのように固定されていない場合には、前記総和sに含めない)。なお、配線基板に対する表面実装型LEDの固定方法ははんだに限られるものではなく、例えば導電性の接着剤で固定されるものであっても構わない。
【0041】
前記実施形態で示した光射出装置は一例であり、表面実装型LEDの並んでいる列数は1列のみにしてもよいし、3列以上の複数にしてもよく、複数列の場合は、少なくとも1列において図6で示した関係や後述する図7で示す関係が満たされていれば構わない。配線基板の形状は前記実施形態に示した部分円環形に限られるものではなく、中心角が鈍角、鋭角、180度等様々なものであっても構わない。また、本発明において周方向に並んだ表面実装型LEDは1周分に全てに実装されている必要はなく、少なくとも一部に実装されていてもよい。
【0042】
配線基板に対するパッドの延伸方向については前記実施形態に示したものに限られず、例えば部分円環形をなす配線基板において周方向にパッドが延びるものであっても構わない。
【0043】
本発明に係る光照射装置は、前記実施形態に示した実装密度で表面実装型LEDを実装するものに限られない。具体的には横軸を曲率x(1/mm)、縦軸を実装密度であるy=s/L(%)とした場合に図7のグラフにおいて斜線で示す領域内の曲率x及び実装密度yの関係を満たす範囲内であってもよい。具体的には、y≦-1.04x+0.80、0.35≦y≦0.745、0.005≦x≦0.109で示される領域内で曲面に対して表面実装型LEDを行えば、所定の信頼性を実現する実装が可能であることを本願発明者らは鋭意検討の結果初めて見出した。すなわち、湾曲された配線基板において湾曲部分を含むように切断した平面に配置されている少なくとも一部の表面実装型LEDが図6図7で示す関係の表面実装密度が満たす場合には本発明としての効果を享受し得る。
【0044】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の組み合わせや変形を行っても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、表面実装型LEDの実装密度を限界近くまで高めて高輝度を実現しつつ、不良の生じ難い光射出装置を提供できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7