(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】風呂システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/45 20220101AFI20231102BHJP
F24H 15/196 20220101ALI20231102BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
F24H15/45 101
F24H15/196 301L
F24H15/196 301D
F24H15/196 301W
A47K3/00 Q
A47K3/00 N
A47K3/00 P
(21)【出願番号】P 2020007935
(22)【出願日】2020-01-21
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】小川 純一
(72)【発明者】
【氏名】可児 佳幹
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-054843(JP,A)
【文献】特開2017-141995(JP,A)
【文献】特開2007-298250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/00 - 15/493
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に所定量の湯を供給する湯はり運転を実行する給湯器と、給湯器に対して湯はり運転の実行の指示を行うリモコンと、浴槽に洗浄水を噴射して浴槽を洗浄する浴槽洗浄運転を実行する浴槽洗浄装置とを備える風呂システムにおいて、
前記リモコンと前記浴槽洗浄装置とは、HA端子を有し、湯はり運転の動作指示情報となる制御信号及び湯はり運転の実行情報となるモニタ信号を前記HA端子を介して通信可能に接続される構成を有
し、
前記浴槽の排水栓を自動で開閉する自動排水栓を備え、
前記浴槽洗浄装置は、浴槽洗浄運転後に給湯器による湯はり運転を実行する洗浄湯はり運転が指示された場合、前記自動排水栓を開栓状態とするとともに浴槽洗浄運転を実行し、浴槽洗浄運転の完了後に、自動排水栓を閉栓状態とするとともに前記HA端子を介して前記リモコンに対して前記湯はり運転の動作指示情報が湯はり開始指示情報となる制御信号を送信する構成を有し、
前記リモコンは、前記HA端子を介して前記浴槽洗浄装置から前記湯はり開始指示情報となる制御信号を受信すると、給湯器に対して湯はり運転の実行を指示する構成を有する風呂システム。
【請求項2】
浴槽に所定量の湯を供給する湯はり運転を実行する給湯器と、給湯器に対して湯はり運転の実行の指示を行うリモコンと、浴槽に洗浄水を噴射して浴槽を洗浄する浴槽洗浄運転を実行する浴槽洗浄装置とを備える風呂システムにおいて、
前記リモコンと前記浴槽洗浄装置とは、HA端子を有し、湯はり運転の動作指示情報となる制御信号及び湯はり運転の実行情報となるモニタ信号を前記HA端子を介して通信可能に接続される構成を有し、
前記浴槽洗浄装置は、浴槽洗浄運転実行中に前記HA端子を介して前記リモコンから給湯器が湯はり運転実行中である旨を示す
前記湯はり運転
の実行情報となるモニタ信号を受信した場合、前記HA端子を介して前記リモコンに対して
前記湯はり運転の動作指示情報が湯はり停止指示情報となる制御信号を送信する構成を有し、
前記リモコンは、
前記HA端子を介して前記浴槽洗浄装置から
前記湯はり停止指示情報
となる制御信号を受信すると、給湯器に対して湯はり運転の実行停止を指示する構成を有する風呂システム。
【請求項3】
浴槽に所定量の湯を供給する湯はり運転を実行する給湯器と、給湯器に対して湯はり運転の実行の指示を行うリモコンと、浴槽に洗浄水を噴射して浴槽を洗浄する浴槽洗浄運転を実行する浴槽洗浄装置とを備える風呂システムにおいて、
前記リモコンと前記浴槽洗浄装置とは、HA端子を有し、湯はり運転の動作指示情報となる制御信号及び湯はり運転の実行情報となるモニタ信号を前記HA端子を介して通信可能に接続される構成を有し、
前記浴槽洗浄装置は、前記HA端子を介して前記リモコンから給湯器が湯はり運転実行中である旨を示す
前記湯はり運転
の実行情報となるモニタ信号の受信中に、浴槽洗浄運転実行の指示がなされた場合、当該浴槽洗浄運転実行の指示を無効とする構成を有する風呂システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽洗浄装置と給湯器との連動した動作が可能な風呂システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽洗浄装置と給湯器とを互いに通信可能とし、例えば、浴槽洗浄装置による浴槽洗浄運転の完了に引き続き、給湯器による湯はり運転を実行させるといった浴槽洗浄装置と給湯器との連動した動作を可能とする風呂システムが知られている(例えば、特許文献1、2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-267401号公報
【文献】特開2007-155251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の風呂システムでは、一般的には浴槽洗浄装置や給湯器などの各機器にて使用する通信規格は、メーカ独自の通信規格が使用されている。そのため、浴槽洗浄装置と給湯器とを異なるメーカ品とした場合には、各機器の通信規格が異なり各機器間で相互通信ができないため、浴槽洗浄装置と給湯器とを連動させる動作を行うことができず、個別に運転指示する必要があり、利便性に劣るものとなっていた。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、浴槽洗浄装置と給湯器とで使用する通信規格が異なる場合であっても、浴槽洗浄装置と給湯器との連動した動作を実現可能とする風呂システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る風呂システムは、
浴槽に所定量の湯を供給する湯はり運転を実行する給湯器と、給湯器に対して湯はり運転の実行の指示を行うリモコンと、浴槽に洗浄水を噴射して浴槽を洗浄する浴槽洗浄運転を実行する浴槽洗浄装置とを備える風呂システムにおいて、
前記リモコンと前記浴槽洗浄装置とは、HA端子を有し、湯はり運転の動作指示情報となる制御信号及び湯はり運転の実行情報となるモニタ信号を前記HA端子を介して通信可能に接続される構成を有するものである。
【0007】
前記HA(ホームオートメーション)端子とは、日本電機工業会が定めるJEM-A1427規格の端子であり、機器のON/OFF制御を行う制御信号と、その機器の動作状態を示すモニタ信号とを通信可能とする。前記規格は、機器のメーカを問わない共通の通信規格であり、本来は、機器に搭載するHA端子をIFU(インターフェイスユニット)に接続することで、例えば、外出先からスマートフォン等の通信端末によって家庭内の機器をON/OFF制御し、その機器の動作状態を通信端末側でモニタすることを可能とするものである。
【0008】
本発明によれば、前記リモコンに搭載されているHA端子と浴槽洗浄装置とを接続させることで、浴槽洗浄装置と給湯器とが通信規格が合わない異なるメーカ品であっても相互に通信を行うことが可能となる。これにより、浴槽洗浄装置と給湯器とがHA端子を介して湯はり運転の動作指示情報及び湯はり運転の実行情報を通信することで連動した動作を行うことが可能となる。従って、浴槽洗浄装置と給湯器とを個別に操作する必要がなく、使用者の利便性が向上する。
【0009】
前記本発明の第1態様では、
前記浴槽の排水栓を自動で開閉する自動排水栓を備え、
前記浴槽洗浄装置は、浴槽洗浄運転後に給湯器による湯はり運転を実行する洗浄湯はり運転が指示された場合、前記自動排水栓を開栓状態とするとともに浴槽洗浄運転を実行し、浴槽洗浄運転の完了後に、自動排水栓を閉栓状態とするとともに前記HA端子を介して前記リモコンに対して前記湯はり運転の動作指示情報が湯はり開始指示情報となる制御信号を送信する構成を有し、
前記リモコンは、前記HA端子を介して前記浴槽洗浄装置から前記湯はり開始指示情報となる制御信号を受信すると、給湯器に対して湯はり運転の実行を指示する構成を有する。
【0010】
この構成によれば、浴槽洗浄装置と給湯器とが通信規格が合わない異なるメーカ品であっても、浴槽洗浄運転後に湯はり運転を実行する洗浄湯はり運転を実行することができ、使用者の利便性が向上する。
【0011】
前記本発明の第2態様では、
前記浴槽洗浄装置は、浴槽洗浄運転実行中に前記HA端子を介して前記リモコンから給湯器が湯はり運転実行中である旨を示す前記湯はり運転の実行情報となるモニタ信号を受信した場合、前記HA端子を介して前記リモコンに対して前記湯はり運転の動作指示情報が湯はり停止指示情報となる制御信号を送信する構成を有し、
前記リモコンは、前記HA端子を介して前記浴槽洗浄装置から前記湯はり停止指示情報となる制御信号を受信すると、給湯器に対して湯はり運転の実行停止を指示する構成とする。
【0012】
この構成によれば、浴槽洗浄装置と給湯器とが通信規格が合わない異なるメーカ品であっても、浴槽洗浄運転中に湯はり運転が行われてしまうことを回避することができ、使用者の利便性が向上する。
【0013】
前記本発明の第3態様では、
前記浴槽洗浄装置は、前記HA端子を介して前記リモコンから給湯器が湯はり運転実行中である旨を示す前記湯はり運転の実行情報となるモニタ信号の受信中に、浴槽洗浄運転実行の指示がなされた場合、当該浴槽洗浄運転実行の指示を無効とする構成とする。
【0014】
この構成によれば、浴槽洗浄装置と給湯器とが通信規格が合わない異なるメーカ品であっても、湯はり運転中に浴槽洗浄運転が行われてしまうことを回避することができ、使用者の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態による風呂システムの全体構成を示す模式図である。
【
図2】浴槽洗浄運転の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図3】HA端子における制御信号、モニタ信号のピンを示す模式図である。
【
図4】湯はり運転動作、制御信号、モニタ信号の状態を示すタイミングチャートである。
【
図5】洗浄湯はり運転の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図6】浴槽洗浄装置の運転待機時の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】給湯器の湯はり運転の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、実施形態の風呂システム1は、給湯器2と、給湯器2を遠隔操作するための台所リモコン3と、浴槽4と、浴槽洗浄装置5とを主な構成として備え、台所リモコン3と浴槽洗浄装置5の制御ユニット52とがHA端子71,72を介して相互に通信可能に接続した構成とされている。
【0017】
給湯器2は、缶体内部に、バーナ及び熱交換器等(図示せず)を備えている。給湯器2は、ガス供給管21から供給される燃料ガスをバーナで燃焼させて熱交換器で給水管22に供給される水を加熱して出湯管23から出湯する給湯運転、浴槽4の循環アダプタ41に接続する風呂往き管24及び風呂戻り管25を介して熱交換器で加熱した湯を浴槽4に所定量供給する湯はり運転、また、浴槽4の湯を風呂往き管24及び風呂戻り管25を介して循環させながら熱交換器で加熱する追焚き運転等を実行する。
【0018】
また、給湯器2は、給湯器2の動作を制御するための制御部(図示せず)を備えている。この制御部により、給湯運転、湯はり運転、追焚き運転等の動作を制御する。制御部には、給湯器2を遠隔操作するための台所リモコン3及び浴室リモコン27が通信線により接続されている。台所リモコン3には、給湯運転を可能とする運転スイッチ31、湯はり運転の実行を指示する自動スイッチ32等が設けられている。浴室リモコン27には、運転スイッチ271、自動スイッチ272、さらには追焚き運転の実行を指示する追焚きスイッチ273等が設けられている。
【0019】
浴槽4には、その側壁の所定位置に循環アダプタ41が設置され、底壁に自動開閉駆動制御式の自動排水栓6及び洗浄ノズル42が設置されている。浴槽4の上面側のフランジ壁には、自動排水栓6の開閉駆動機構61と洗剤タンク53とが設置されている。
【0020】
浴槽洗浄装置5は、洗浄ユニット51を備えており、洗浄ユニット51を動作させて洗浄ノズル42から浴槽4内に湯水や洗浄水を噴射させることにより浴槽4を自動洗浄する浴槽洗浄運転を実行する。洗浄ユニット51には、弁機構を配設する配管(図示せず)が設置されており、この配管には、給湯器2の出湯管23から引き出されて湯水を洗浄管55内に導入する接続管26、洗浄ノズル42に接続されて洗浄ノズル42に湯水や洗浄水を供給する洗浄管55、洗剤タンク53の下部から引き出されて洗剤タンク53内の洗剤原液を洗浄管55内に混入させる洗剤供給管54が接続されている。
【0021】
また、浴槽洗浄装置5は、浴槽洗浄装置5に電力を供給するとともに浴槽洗浄装置5の動作を制御するための制御ユニット52を備えている。この制御ユニット52は、洗浄ユニット51と自動排水栓6の開閉駆動機構61とに電気的に接続され、浴槽洗浄運転、洗浄湯はり運転等の動作を制御する。制御ユニット52には、浴槽洗浄装置5を遠隔操作するための洗浄リモコン56が通信線により接続されている。洗浄リモコン56には、浴槽洗浄運転の実行を指示する洗浄スイッチ58、浴槽洗浄後に湯はりを行う洗浄湯はり運転の実行を指示する洗浄・湯はりスイッチ57等が設けられている。なお、洗浄リモコン56は、洗浄・湯はりスイッチ57を設けず、洗浄スイッチ58を特殊操作(例えば、長押し)することで洗浄湯はり運転の実行を指示する構成であってもよい。
【0022】
以下に、浴槽洗浄装置5による浴槽洗浄運転を説明する。
図2に示すように、浴槽洗浄運転は、以下の工程が順に行われる。
洗浄リモコン56のスイッチ操作を受けて制御ユニット52が浴槽洗浄運転の実行を指示すると、まず、浴槽4の自動排水栓6を開栓状態(ステップS1)にし、所定の排水待機時間の経過を待って(ステップS2)浴槽4内の浴槽水を排水する排水工程を行う。次いで、洗浄ユニット51内の配管の開閉弁を開弁(ステップS3)して給湯器2からの湯水を洗浄管55を通して洗浄ノズル42から浴槽4内壁に噴射する予備洗浄工程を行う。この洗浄ノズル42からの湯水の噴射を所定の予備洗浄時間行った後(ステップS4)、前記開閉弁を閉弁(ステップS5)して湯水の噴射を停止し、所定の予備洗浄待機時間の経過を待って(ステップS6)予備洗浄工程を終了する。
【0023】
予備洗浄工程を終了すると、洗浄ユニット51内の配管の開閉弁と洗剤供給管54の洗剤弁とを開弁(ステップS7、S8)して配管内の湯水に洗剤タンク53内の洗剤原液を混入させた洗浄水を洗浄管55を通して洗浄ノズル42から浴槽4内壁に噴射する洗浄工程を行う。この洗浄ノズル42からの洗浄水の噴射を所定の洗浄時間行った後(ステップS9)、洗剤弁及び開閉弁を閉弁(ステップS10、S11)して洗浄水の噴射を停止し、所定の洗浄待機時間が経過(ステップS12)するのを待つ洗浄動作を複数回行って(ステップS13、S14)洗浄工程を終了する。
【0024】
洗浄工程を終了すると、洗浄ユニット51内の配管の開閉弁を開弁(ステップS15)して給湯器2からの湯水を洗浄管55を通して洗浄ノズル42から浴槽4内壁に噴射するすすぎ工程を行う。この洗浄ノズル42からの湯水の噴射を所定のすすぎ時間行った後(ステップS16)、開閉弁を閉弁(ステップS17)して湯水の噴射を停止し、すすぎ工程を終了する。このすすぎ工程の終了をもって浴槽洗浄運転の完了となる。
【0025】
ところで、前記の浴槽洗浄運転の完了後に引き続き、給湯器2による湯はり運転を実行させるには、浴槽洗浄装置5と給湯器2とを通信可能に接続して連動させる必要があり、従来は、浴槽洗浄装置5と給湯器2とが通信規格が合わない異なるメーカ品である場合は機器間で相互通信することができず、浴槽洗浄装置5と給湯器2との連動した運転ができなかったため、個別に独立して動作させるしかなかった。
【0026】
本発明は、本来はスマートフォン等の通信端末で公衆通信回線を介して外出先から家庭内の機器のON/OFF制御を可能とするホームオートメーション(HA)用のHA端子(日本電機工業会が定めるJEM-A1427規格)の新規な利用方法として、このHA端子を利用して浴槽洗浄装置5と給湯器2とが通信規格が合わない異なるメーカ品であっても相互に通信可能にして連動させる風呂システム1の新規な構成を実現するものである。
【0027】
すなわち、実施形態の風呂システム1では、台所リモコン3と浴槽洗浄装置5の制御ユニット52とは、HA端子71,72を備え、各々のHA端子71,72に通信ケーブル73を接続することによって相互に通信可能に接続する。これにより、浴槽洗浄装置5と給湯器2との連動した動作を可能とする。
【0028】
HA(ホームオートメーション)端子は、日本電機工業会が定めるJEM-A1427規格による端子であり、前記規格は機器のメーカを問わない通信の共通規格である。
図3に示すように、HA端子71,72は、制御信号用のピンC1,C2と、モニタ信号用のピンM1,M2とを有し、コントローラとなる側にフォトカプラを配設し、HA端子71,72を介して制御信号による機器のON/OFF制御とモニタ信号による機器の動作状態の確認を行うことができる。本実施形態では、台所リモコン3のHA端子72と浴槽洗浄装置5の制御ユニット52のHA端子71とは、通信ケーブル73によって各々の制御信号用ピンC1,C2同士が接続されるとともに各々のモニタ信号用ピンM1,M2同士が接続される。
【0029】
制御ユニット52は、前記コントローラ側となり、HA端子71,72を介して台所リモコン3に制御信号を送信して制御対象である給湯器2による湯はり運転の開始又は停止を指令し、また、HA端子71,72を介して台所リモコン3からのモニタ信号を受信して給湯器2における湯はり運転の動作状態(湯はり運転実行中又は湯はり運転停止中)をモニタするように構成されている。なお、湯はり運転において所定量のお湯の供給完了後に引き続いて浴槽4内のお湯の温度を一定温度に保つ保温運転を所定の保温時間行う場合は、この保温運転中も台所リモコン3からモニタ信号が送信される構成とする。
【0030】
次に、HA端子71,72を介した制御方法を説明する。
図4に示すように、台所リモコン3又は浴室リモコン27で湯はり運転を開始させる自動スイッチ32又は272をON操作すると、給湯器2は湯はり運転を実行し、台所リモコン3は、湯はり運転実行中のときはモニタ信号を出力(モニタ信号ONを送信)する(
図4の(A))。給湯器2での湯はり運転が完了すると、台所リモコン3は、湯はり運転停止によりモニタ信号を出力停止(モニタ信号OFFを送信)する(
図4の(B))。すなわち、前記モニタ信号は、給湯器2による湯はり運転の実行/停止の実行情報となる。
【0031】
給湯器2が湯はり運転停止中のときに、台所リモコン3がHA端子71,72を介して制御ユニット52からの制御信号を受信(制御信号ON)すると、このときの制御信号は、給湯器2の湯はり運転開始を指示する湯はり開始指示情報となり、給湯器2に対して湯はり運転開始の指示を行う(
図4の(C))。これにより、給湯器2は、湯はり運転を実行する。そして、給湯器2が湯はり運転実行中のときに、台所リモコン3がHA端子71,72を介して制御ユニット52からの制御信号を受信(制御信号ON)すると、このときの制御信号は、給湯器2の湯はり運転停止を指示する湯はり停止指示情報となり、給湯器2に対して湯はり運転停止の指示を行う(
図4の(D))。これにより、給湯器2は、湯はり運転の実行を停止する。すなわち、前記制御信号は、給湯器2に対する湯はり運転の実行/停止の動作指示情報となる。
【0032】
そして、給湯器2が湯はり運転実行中のときは、台所リモコン3がモニタ信号を出力(モニタ信号ONを送信)することにより、制御ユニット52は、HA端子71,72を介してモニタ信号を受信する。これにより、制御ユニット52、すなわち浴槽洗浄装置5側では、モニタ信号の受信により給湯器2が湯はり運転実行中であると認識することができる。給湯器2が湯はり運転を完了すると、台所リモコン3はモニタ信号を出力停止(モニタ信号OFFを送信)することにより、制御ユニット52は、HA端子71,72を介したモニタ信号の受信が停止する。これにより、制御ユニット52、すなわち浴槽洗浄装置5側では、モニタ信号を受信していないことから給湯器2が湯はり運転停止中であると認識することができる。このように、制御ユニット52は、HA端子71,72を介した台所リモコン3からのモニタ信号の受信の有無によって、給湯器2が湯はり運転実行中の状態(モニタ信号ON)にあるか、湯はり運転停止中の状態(モニタ信号OFF)にあるかを認識することができる。
【0033】
次に、HA端子71,72を介した洗浄湯はり運転の連動した動作について説明する。
図5に示すように、洗浄リモコン56の洗浄・湯はりスイッチ57をON操作して、洗浄湯はり運転を行うと、制御ユニット52は、自動排水栓6を開栓状態に制御(ステップS21)するとともに、洗浄ユニット51に対して浴槽洗浄運転を開始(ステップS22)するように制御する。これにより、自動排水栓6が開栓した状態で、浴槽洗浄運転が実行される。
【0034】
浴槽洗浄運転実行中(ステップS23で「NO」)は、制御ユニット52は、HA端子71,72によって台所リモコン3からのモニタ信号の受信の有無を監視(ステップS24)する。制御ユニット52において、前記モニタ信号の受信情報は給湯器2が湯はり運転実行中であることを示す湯はり運転実行情報であると認識される。
【0035】
制御ユニット52は、浴槽洗浄運転実行中にHA端子71,72を介して台所リモコン3からモニタ信号を受信(ステップS24で「YES」)すると、台所リモコン3に対して、HA端子71,72を介して制御信号を送信(ステップS25)する。この場合、台所リモコン3は、給湯器2が湯はり運転動作中であることから、前記制御信号が湯はり停止指示情報であると認識される。従って、台所リモコン3は、HA端子71,72を介して前記湯はり停止指示情報となる制御信号の受信により、給湯器2に対して、湯はり運転の実行を停止する指示を行う。これにより、給湯器2は、湯はり運転の実行を停止させ、浴槽洗浄運転中に湯はり運転が行われてしまうことを回避することができる。このように、浴槽洗浄装置5と給湯器2とをHA端子71,72を介して通信接続することにより、浴槽洗浄運転中に、台所リモコン3又は浴室リモコン27で誤って湯はり運転スイッチ31又は271がON操作されても、給湯器2で湯はり運転が実行されるという事態を防止することができるから、使用者の利便性が向上する。
【0036】
浴槽洗浄運転が完了(ステップS23で「YES」)すると、制御ユニット52は、自動排水栓6を閉栓状態に制御(ステップS26)するとともに、台所リモコン3に対して、HA端子71,72を介して制御信号を送信(ステップS27)する。この場合、台所リモコン3は、給湯器2が湯はり運転停止中であることから、前記制御信号は湯はり開始指示情報であると認識される。従って、台所リモコン3は、HA端子71,72で前記湯はり開始指示情報となる制御信号を受信すると、給湯器2に対して湯はり運転の開始を指示する。これにより、給湯器2は、浴槽洗浄運転が完了した状態で、湯はり運転を開始することができる。従って、浴槽洗浄装置5による浴槽洗浄運転の完了に引き続いて、給湯器2による湯はり運転を実行させるという浴槽洗浄装置5と給湯器2との連動した動作が可能となる。このように、浴槽洗浄装置5と給湯器2とが通信規格が合わない異なるメーカ品であってもHA端子71,72を介して相互に通信を行うことができ、浴槽洗浄装置5と給湯器2とが連動した動作を行うことが可能となるため、使用者の利便性が向上する。
【0037】
以上は、洗浄湯はり運転を選択した場合(洗浄リモコン56の洗浄・湯はりスイッチ57をON操作)の動作であるが、洗浄リモコン56で浴槽洗浄運転のみを選択した場合(洗浄スイッチ58をON操作)は、前記のステップS26、ステップS27の各ステップを有しない以外、
図5に示すフローチャートに沿った動作が行われる。
【0038】
次に、浴槽洗浄装置5の運転待機時におけるHA端子71,72を介した動作について説明する。
図6に示すように、浴槽洗浄運転の待機中は、浴槽洗浄装置5の制御ユニット52は、HA端子71,72で台所リモコン3からのモニタ信号の受信の有無を監視(ステップS31)する。制御ユニット52において、前記モニタ信号の受信情報は給湯器2が湯はり運転実行中であることを示す湯はり運転実行情報であると認識される。従って、制御ユニット52では、湯はり運転実行情報となるモニタ信号を受信している場合(ステップS31で「YES」)は浴槽洗浄装置5による浴槽洗浄運転が禁止(ステップS32)され、前記モニタ信号を受信していない場合(ステップS31で「NO」)に限り浴槽洗浄装置5による浴槽洗浄運転が許可(ステップS35)された状態となる。すなわち、浴槽洗浄装置5は、運転待機時に、給湯器2が湯はり運転を実行している間は、浴槽洗浄運転の実行が禁止され、給湯器2が湯はり運転実行中でない場合に浴槽洗浄運転の実行が許可される。
【0039】
浴槽洗浄運転が禁止状態(湯はり運転実行中)の場合(ステップS32)に、洗浄リモコン56の洗浄スイッチ58又は洗浄・湯はりスイッチ57をON操作(ステップS33で「YES」)しても、制御ユニット52は、浴槽洗浄運転実行の指示を無効(ステップS34)にする。これにより、湯はり運転実行中は、洗浄リモコン56で誤って洗浄スイッチ58又は洗浄・湯はりスイッチ57をON操作しても、浴槽洗浄運転実行の指示が無効となるから、湯はり運転実行中に浴槽洗浄運転が実行されるという事態を防止することができ、使用者の利便性が向上する。
【0040】
浴槽洗浄運転が許可状態(湯はり運転実行中でない)の場合(ステップS35)は、洗浄リモコン56の洗浄スイッチ58又は洗浄・湯はりスイッチ57をON操作すると、制御ユニット52は、洗浄ユニット51に対して浴槽洗浄運転の実行を指示し、洗浄ユニット51により浴槽洗浄運転を開始(ステップS37)する。これにより、給湯器2で湯はり運転が実行されていない状態で、浴槽洗浄運転を実行することができる。
【0041】
次に、HA端子71,72を介した給湯器2の湯はり運転開始動作について説明する。
図7に示すように、台所リモコン3又は浴室リモコン27の自動スイッチ32又は272をON操作(ステップS41)することにより、給湯器2に対して湯はり運転の開始が指示され、これにより、給湯器2は、湯はり運転を開始(ステップS43)する。また、浴槽洗浄装置5により洗浄湯はり運転を行っていた場合は、浴槽洗浄運転の完了により、台所リモコン3が、HA端子71,72を介して浴槽洗浄装置5の制御ユニット52からの湯はり開始指示情報(制御信号)を受信(ステップS42)することにより、台所リモコン3から給湯器2に対して湯はり運転の開始が指示され、これによっても、給湯器2は、湯はり運転を開始(ステップS43)する。
【0042】
湯はり運転が開始されると、台所リモコン3は、HA端子71,72を介して、浴槽洗浄装置5の制御ユニット52に対して、湯はり運転実行中である旨を示す湯はり運転実行情報となるモニタ信号を送信(ステップS44)する。これにより、制御ユニット52は、給湯器2が湯はり運転実行中であることを認識する。このとき、湯はり運転が洗浄湯はり運転の連動した運転の場合ではなく単独で行われた場合において、浴槽洗浄装置5が浴槽洗浄運転実行中であるときには、制御ユニット52は、HA端子71,72を介して、台所リモコン3に対して、湯はり停止指示情報となる制御信号を送信する。なお、洗浄湯はり運転により浴槽洗浄運転の完了に引き続き、湯はり運転を実行している場合は、湯はり運転と浴槽洗浄運転とが競合することはないから、制御ユニット52から前記湯はり停止指示情報となる制御信号が送信されることはない。
【0043】
給湯器2が湯はり運転の実行を開始して間もないとき(ステップS45で「NO」)、台所リモコン3がHA端子71,72を介して制御ユニット52からの制御信号として湯はり停止指示情報を受信(ステップS48で「YES」)すると、給湯器2に対して、湯はり運転の実行を停止(ステップS49)する指示を行う。これにより、給湯器2は、湯はり運転を停止させる。従って、浴槽洗浄運転中に湯はり運転が行われてしまうことが回避され、使用者の利便性が向上する。
【0044】
一方、給湯器2が湯はり運転を開始したとき浴槽洗浄装置5で浴槽洗浄が行われていない場合、浴槽洗浄装置5の制御ユニット52は、台所リモコン3からの湯はり運転実行情報(ステップS44)となるモニタ信号を受信すると、自動排水栓6を閉栓状態とするように制御する。これにより、自動排水栓6が閉栓した状態で、湯はり運転が実行される。
【0045】
そして、浴槽4への所定量のお湯の供給が完了(ステップS45で「YES」)し、引き続いて湯温を一定に保つ保温運転を行う場合(ステップS46で「YES」)は所定の保温時間の経過(ステップS47で「YES」)により湯はり運転動作を停止(ステップS50)し、また、保温運転を行わない場合(ステップS46で「NO」)は浴槽4への所定量のお湯の供給完了をもって湯はり運転動作を停止(ステップS50)する。給湯器2の湯はり運転動作が停止すると、台所リモコン3は、HA端子71,72を介して、浴槽洗浄装置5の制御ユニット52に対して、湯はり運転が停止している旨を示す湯はり停止指示情報となるモニタ信号を送信(ステップS51)する。これにより、制御ユニット52では、モニタ信号の出力停止により、給湯器2による湯はり運転が実行されていないことを認識することができる。以上で給湯器2での湯はり運転の全動作が終了する。よって、洗浄湯はり運転を行う場合は、HA端子71,72を介して台所リモコン3と浴槽洗浄装置5の制御ユニット52とが相互に通信を行うことにより、浴槽洗浄装置5と給湯器2とが連動した動作を行うことが可能となる。
【0046】
なお、本発明は、以上の実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々な変更を施すことが可能である。例えば、浴室リモコン27にHA端子を有する場合は、この浴室リモコン27と浴槽洗浄装置5の制御ユニット52のHA端子とを通信接続する構成とすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 風呂システム
2 給湯器
3 台所リモコン
4 浴槽
5 浴槽洗浄装置
6 自動排水栓
21 ガス供給管
22 給水管
23 出湯管
24 風呂往き管
25 風呂戻り管
26 接続管
27 浴室リモコン
31 台所リモコンの運転スイッチ
32 台所リモコンの自動スイッチ
41 循環アダプタ
42 洗浄ノズル
51 洗浄ユニット
52 制御ユニット
53 洗剤タンク
54 洗剤供給管
55 洗浄管
56 洗浄リモコン
57 洗浄・湯はりスイッチ
58 洗浄スイッチ
61 開閉駆動機構
71 洗浄ユニットのHA端子
72 台所リモコンのHA端子
73 通信ケーブル
271 浴室リモコンの運転スイッチ
272 浴室リモコンの自動スイッチ
273 浴室リモコンの追焚きスイッチ