(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置及びカメラモジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20231102BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20231102BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20231102BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20231102BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20231102BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20231102BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20231102BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/02 E
G02B7/08
G03B5/00 L
G03B30/00
H04N23/55
H04N23/57
(21)【出願番号】P 2020012823
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大友 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】瓦井 究
(72)【発明者】
【氏名】中川 正義
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-045211(JP,A)
【文献】特開2015-040917(JP,A)
【文献】中国実用新案第204595300(CN,U)
【文献】台湾特許公告第001664485(TW,B)
【文献】特開2019-164174(JP,A)
【文献】特開2018-054812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
G02B 7/02
G02B 7/08
G03B 5/00
G03B 30/00
H04N 23/55
H04N 23/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、
レンズ体を保持可能なレンズ保持部材と、
前記支持部材と前記レンズ保持部材とを繋ぐように設けられた上側板ばね及び下側板ばねと、
前記支持部材に対して前記レンズ保持部材を光軸方向へ移動させる駆動機構と、
前記支持部材に対して前記レンズ保持部材が上方へ移動した際に
前記支持部材又は前記レンズ保持部材と接触して前記レンズ保持部材と他の部材との衝突による衝撃を緩和する第1衝撃緩和部と、
前記支持部材に対して前記レンズ保持部材が下方へ移動した際に
前記支持部材又は前記レンズ保持部材と接触して前記レンズ保持部材と他の部材との衝突による衝撃を緩和する第2衝撃緩和部と、
を有するレンズ駆動装置において、
前記第1衝撃緩和部及び前記第2衝撃緩和部
の双方は、前記上側板ば
ねによって構成され
、或いは、前記第1衝撃緩和部及び前記第2衝撃緩和部の双方は、前記下側板ばねによって構成されていることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記第1衝撃緩和部は、第1弾性部を有し、
前記第2衝撃緩和部は、第2弾性部を有する、
請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記第1弾性部及び前記第2弾性部の少なくとも一方には、貫通孔が形成されている、
請求項2に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記
第1衝撃緩和部及び前記第2衝撃緩和部を構成している板ばねは、前記支持部材に固定される第1部分と、前記レンズ保持部材に固定される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に位置する弾性腕部と有し、
前記第1衝撃緩和部及び前記第2衝撃緩和部の一方は、前記第1部分に繋がっており、前記第1衝撃緩和部及び前記第2衝撃緩和部の他方は、前記第2部分に繋がっている、
請求項1乃至3の何れかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記
第1衝撃緩和部及び前記第2衝撃緩和部を構成している板ばねは、前記支持部材に固定される第1部分と、前記レンズ保持部材に固定される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に位置する弾性腕部と有し、
前記第1衝撃緩和部及び前記第2衝撃緩和部の少なくとも一方は、前記弾性腕部に繋がっている、
請求項1乃至3の何れかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
前記第1衝撃緩和部及び前記第2衝撃緩和部を有する衝撃緩和部は、前記
上側板ばね
又は前記下側板ばねに形成されており、
前記支持部材は、前記衝撃緩和部の上面と対向する第1当接部と、前記衝撃緩和部の下面と対向する第2当接部とを有
し、
前記第1当接部は、前記レンズ保持部材が所定の距離だけ上方に移動したときに前記衝撃緩和部の上面と当接し、
前記第2当接部は、前記レンズ保持部材が所定の距離だけ下方に移動したときに前記衝撃緩和部の下面と当接する、
請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項7】
前記衝撃緩和部は、両持ち梁状に形成されている、
請求項6に記載のレンズ駆動装置。
【請求項8】
前記支持部材は、一対のスペーサ部材を有し、
前記
第1衝撃緩和部及び前記第2衝撃緩和部を構成している板ばねは、前記一対のスペーサ部材によって挟持されている、
請求項6又は7に記載のレンズ駆動装置。
【請求項9】
前記第1衝撃緩和部は、光軸の周りで周方向に間隔を空けて3つ以上配置されており、
前記第2衝撃緩和部は、光軸の周りで周方向に間隔を空けて3つ以上配置されている、
請求項1乃至8の何れかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項10】
前記レンズ保持部材
は、上方へ第1距離だけ移動した際に前記
支持部材によって移動が制限され、且つ、下方へ第2距離だけ移動した際に前記
支持部材によって移動が制限されるように構成されており、
前記第1衝撃緩和部は、前記第1距離より小さい距離だけ前記レンズ保持部材が上方へ移動した際に機能し、
前記第2衝撃緩和部は、前記第2距離より小さい距離だけ前記レンズ保持部材が下方へ移動した際に機能する、
請求項1乃至9の何れかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載のレンズ駆動装置と、
前記レンズ体と、
前記レンズ体に対向する撮像素子と、を有する、
カメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラ付き携帯機器等に搭載されるレンズ駆動装置、及び、レンズ駆動装置を含むカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上側板ばね及び下側板ばねによって、レンズホルダ(レンズ保持部材)を、レンズの光軸に平行な方向(以下、「光軸方向」とする。)に移動できるように支持するレンズ駆動装置が知られている(特許文献1参照。)。このレンズ駆動装置は、レンズホルダが上方(前方)に移動したときの衝撃を緩和する前方移動規制部材と、レンズホルダが下方(後方)に移動したときの衝撃を緩和する後方移動規制部材と、を有するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の構成では、設計者は、上側板ばねと前方移動規制部材との干渉、及び、下側板ばねと後方移動規制部材との干渉を考慮しながら、上側板ばね、下側板ばね、前方移動規制部材、及び後方移動規制部材を設計する必要がある。そのため、上述の構成は、レンズ駆動装置の設計自由度を制限してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、レンズ保持部材が光軸方向に移動したときの衝撃を緩和する構造を有するレンズ駆動装置の設計自由度を高めることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置は、支持部材と、レンズ体を保持可能なレンズ保持部材と、前記支持部材と前記レンズ保持部材とを繋ぐように設けられた上側板ばね及び下側板ばねと、前記支持部材に対して前記レンズ保持部材を光軸方向へ移動させる駆動機構と、前記支持部材に対して前記レンズ保持部材が上方へ移動した際に前記支持部材又は前記レンズ保持部材と接触して前記レンズ保持部材と他の部材との衝突による衝撃を緩和する第1衝撃緩和部と、前記支持部材に対して前記レンズ保持部材が下方へ移動した際に前記支持部材又は前記レンズ保持部材と接触して前記レンズ保持部材と他の部材との衝突による衝撃を緩和する第2衝撃緩和部と、を有するレンズ駆動装置において、前記第1衝撃緩和部及び前記第2衝撃緩和部の双方は、前記上側板ばねによって構成され、或いは、前記第1衝撃緩和部及び前記第2衝撃緩和部の双方は、前記下側板ばねによって構成されている。
【発明の効果】
【0007】
上述の構成は、レンズ保持部材が光軸方向に移動したときの衝撃を緩和する構造を有するレンズ駆動装置の設計自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】可動コイル、上側板ばね、コイル基板、及びベース部材の斜視図である。
【
図14】レンズ駆動装置の別の構成例の斜視図である。
【
図17】スペーサ部材に取り付けられた上側板ばねの図である。
【
図18】上側板ばねが取り付けられるレンズ保持部材の斜視図である。
【
図19】上側板ばねが取り付けられるレンズ保持部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101について図面を参照して説明する。
図1は、レンズ駆動装置101の斜視図である。
図2は、レンズ駆動装置101の分解斜視図であり、ケース4が下側部材LBから分離された状態を示す。
図3は、下側部材LBの分解斜視図であり、可動側部材MBが固定側部材RGから分離された状態を示す。
図4は、可動側部材MBの分解斜視図である。
図5は、固定側部材RGの分解斜視図である。
図6は、可動コイル3、上側板ばね16、コイル基板17、及びベース部材18の斜視図であり、それらの電気的接続関係を示している。
【0010】
レンズ駆動装置101は、
図1及び
図2に示すように、固定側部材RGの一部であるケース4及び下側部材LBを含む。
【0011】
ケース4は、下側部材LBを覆うカバー部材である。本実施形態では、ケース4は、オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性金属で形成された板材に抜き加工及び絞り加工等を施して作製されている。非磁性金属で形成されているため、ケース4は、電磁力を利用する駆動機構に磁気的な悪影響を及ぼすことはない。
【0012】
ケース4は、
図2に示すように、収納部4sを定める箱状の外形を有する。そして、ケース4は、矩形筒状の外壁部4Aと、外壁部4Aの上端(Z1側の端)と連続するように設けられた矩形環状且つ平板状の上面部4Bと、を有する。上面部4Bの中央には、開口が形成されている。外壁部4Aは、第1側板部4A1~第4側板部4A4を含む。第1側板部4A1と第3側板部4A3とは互いに対向し、第2側板部4A2と第4側板部4A4とは互いに対向している。また、第2側板部4A2及び第4側板部4A4は、第1側板部4A1及び第3側板部4A3に対して垂直に延びる。すなわち、第1側板部4A1及び第3側板部4A3は、第2側板部4A2及び第4側板部4A4に対して垂直に延びる。また、ケース4は、
図1に示すように、接着剤によってベース部材18に接合されてベース部材18と共に筐体を構成する。
【0013】
下側部材LBは、
図3に示すように、可動側部材MBと、固定側部材RGの一部であるワイヤ8、コイル基板17、及びベース部材18と、を含む。
【0014】
可動側部材MBは、
図4に示すように、レンズ体(図示せず。)を保持可能なレンズ保持部材2と、レンズ体に関する光軸JDに沿ってレンズ保持部材2を移動させる第1駆動機構としての軸方向駆動機構MKと、レンズ保持部材2を光軸JDに沿って移動可能に支持する板ばね6と、レンズ保持部材2を支持する板ばね6が固定される支持部材としての磁石保持部材MHと、スペーサ部材SPと、を含む。レンズ体は、例えば、少なくとも1枚のレンズを備えた筒状のレンズバレルであり、その中心軸線が光軸JDに沿うように構成されている。
【0015】
軸方向駆動機構MKは、
図4に示すように、レンズ保持部材2に取り付けられる可動コイル3と、可動コイル3と対向するように離間して配置される磁石5と、を含む。軸方向駆動機構MKは、可動コイル3に流れる電流と磁石5が発生する磁界とで駆動力(推力)を発生させ、レンズ保持部材2を光軸JDに沿って上下に移動させることができる。本実施形態では、可動コイル3は、巻線タイプのコイルであり、レンズ保持部材2の周囲に環状に巻かれて形成されるコイル本体部としての巻回部13を含む。
図4は、明瞭化のため、巻回部13に関しては、絶縁材料で表面を被覆された導電性の線材の詳細な巻回状態の図示を省略している。巻回部13を図示する他の図においても同様である。
【0016】
磁石5は、第1磁石5A~第4磁石5Dを含む。本実施形態では、第1磁石5A~第4磁石5Dのそれぞれは、2極に着磁された直方体形状の永久磁石であり、内側(光軸JDに対向する側)がS極に着磁され、外側がN極に着磁されている。
図4は、N極に着磁された部分を斜線パターンで示している。第1磁石5A~第4磁石5Dのそれぞれは、可動コイル3と対向するように可動コイル3から離間して配置されている。第1磁石5A~第4磁石5Dのそれぞれは、内側(光軸JDに対向する側)がN極に着磁され、外側がS極に着磁されていてもよい。
【0017】
磁石保持部材MHは、磁石5を保持できるように構成されている。本実施形態では、磁石保持部材MHは、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を射出成形することで形成されている。
図4に示すように、磁石保持部材MHは、上面視で矩形環状の枠体であり、枠体を構成する4辺のそれぞれの内側に第1磁石5A~第4磁石5Dが配置されている。具体的には、第1磁石5A~第4磁石5Dは何れも、磁石保持部材MHに接着剤で固定されている。
【0018】
板ばね6は、磁石保持部材MHに対してレンズ保持部材2を光軸JDに平行な方向に移動可能に支持するように構成されている。本実施形態では、板ばね6は、例えば、銅合金、チタン銅系合金(チタン銅)、又は銅ニッケル合金(ニッケルすず銅)等を主な材料とした金属板から作製されている。板ばね6の板厚は、例えば、20~70μmである。そして、板ばね6は、磁石保持部材MHのZ1側の端面に配置される上側板ばね16と、磁石保持部材MHのZ2側の端面に配置される下側板ばね26とを含む。上側板ばね16は、互いに分離された第1上側板ばね16Aと第2上側板ばね16Bとを含む。
【0019】
上側板ばね16は、
図4に示すように、レンズ保持部材2に固定される第1固定部としての内側部分16iと、磁石保持部材MHに固定される第2固定部としての外側部分16eと、内側部分16iと外側部分16eとの間に位置する第1弾性腕部16gと、を含む。
図4は、第1上側板ばね16Aにおける内側部分16iA、外側部分16eA、及び2つの第1弾性腕部16gAと、第2上側板ばね16Bにおける内側部分16iB、外側部分16eB、及び2つの第1弾性腕部16gBと、を示している。
【0020】
また、上側板ばね16は、ワイヤ8と磁石保持部材MHとを繋ぐように設けられている。そのため、外側部分16eは、磁石保持部材MHのZ1側の端面に配置されている。本実施形態では、上側板ばね16は、
図6に示すように、ワイヤ8に固定されるワイヤ固定部分16cと、外側部分16eとワイヤ固定部分16cとの間に位置する第2弾性腕部16fと、を更に含む。具体的には、第1上側板ばね16Aは、
図6に示すように、1つの内側部分16iAと、1つの外側部分16eAと、2つの第1弾性腕部16gAと、4つの第2弾性腕部16fAと、2つのワイヤ固定部分16cAと、を含む。同様に、第2上側板ばね16Bは、1つの内側部分16iBと、1つの外側部分16eBと、2つの第1弾性腕部16gBと、4つの第2弾性腕部16fBと、2つのワイヤ固定部分16cBと、を含む。
【0021】
ワイヤ固定部分16cには、
図6に示すように、ワイヤ8の上端部が挿通され且つ固定される貫通孔16xが形成されている。具体的には、第1上側板ばね16Aにおける2つのワイヤ固定部分16cAのうちの一方には、第1ワイヤ8Aの上端部が挿通され且つ固定される貫通孔16xA1が形成され、2つのワイヤ固定部分16cAのうちの他方には、第2ワイヤ8Bの上端部が挿通され且つ固定される貫通孔16xA2が形成されている。同様に、第2上側板ばね16Bにおける2つのワイヤ固定部分16cBのうちの一方には、第3ワイヤ8Cの上端部が挿通され且つ固定される貫通孔16xB1が形成され、2つのワイヤ固定部分16cBのうちの他方には、第4ワイヤ8Dの上端部が挿通され且つ固定される貫通孔16xB2が形成されている。本実施形態では、ワイヤ8の上端部と上側板ばね16のワイヤ固定部分16cとは半田で接合されている。
【0022】
上側板ばね16がレンズ駆動装置101に組み込まれた際には、内側部分16iは、レンズ保持部材2の上側台座部12d(
図4参照。)に取り付けられる。そして、内側部分16iは、レンズ保持部材2の上面(Z1側の面)に固定される。内側部分16iの固定は、上側台座部12dにおける被写体側(Z1側)の端面から上方(Z1方向)に突出した丸形凸状の4つの突起部12tに熱かしめ又は冷間かしめを施すことによって実現される。外側部分16eは、磁石保持部材MHの上面(Z1側の面)に固定される。外側部分16eの固定は、磁石保持部材MHに塗布された接着剤によって実現される。
【0023】
図4に示すように、第1上側板ばね16A及び第2上側板ばね16Bは、同じ形状を有し、且つ、光軸JDに関して2回回転対称となるように配置されている。そのため、この構成は、レンズ駆動装置101の部品点数を減らすことができる。また、上側板ばね16は、レンズ保持部材2をバランス良く空中で支持できる。また、上側板ばね16は、4本のワイヤ8(第1ワイヤ8A~第4ワイヤ8D)によって支持される可動側部材MBの重量バランスに悪影響を及ぼすことはない。
【0024】
スペーサ部材SPは、
図3に示すように、上側板ばね16の上側(Z1側)に配置されるように構成されている。すなわち、上側板ばね16は、スペーサ部材SPと磁石保持部材MHとで挟持されるように構成されている。レンズ保持部材2の上端とケース4の上面部4Bの裏面(Z2側の面)とが互いに離間して配置されるようにするためである。すなわち、所望の距離だけ、レンズ保持部材2がZ1方向に移動できるようにするためである。
【0025】
下側板ばね26は、
図4に示すように、内側形状が略円形状となるように構成されている。そして、下側板ばね26は、レンズ保持部材2に接着剤で固定される第1固定部としての1つの内側部分26iと、磁石保持部材MHに固定される第2固定部としての4つの外側部分26eと、内側部分26iと外側部分26eとの間に位置する4つの弾性腕部26gとを含む。内側部分26iの固定は、レンズ保持部材2の下側(Z2側)の端面に塗布された接着剤によって実現される。外側部分26eの固定は、磁石保持部材MHの下側(Z2側)の端面に設けられた4つの突起部MHt(
図4では4つの突起部MHtのうちの1つが見えている。)に熱かしめ又は冷間かしめを施すことによって実現される。
【0026】
ワイヤ8は、固定側部材RGに対して、光軸JDに非平行な方向に、可動側部材MBを移動可能に支持するように構成されている。本実施形態では、ワイヤ8は、例えば銅合金等の導電性を有し且つ弾性に優れた金属材料で形成されたサスペンションワイヤであり、第1ワイヤ8A~第4ワイヤ8Dを含む。ワイヤ8は、固定側部材RGとしてのベース部材18に対して、光軸JDに垂直な方向に磁石保持部材MHを移動可能に支持する。第1ワイヤ8A~第4ワイヤ8Dのそれぞれは、
図3に示すように、下端部(Z2側の端部)が半田又は導電性接着剤等でベース部材18に固定され、且つ、上端部(Z1側の端部)が半田又は導電性接着剤等で上側板ばね16のワイヤ固定部分16cに固定される。
【0027】
導電性接着剤は、例えば、合成樹脂中に銀粒子等の導電性フィラーが分散された接着剤である。導電性接着剤は、熱硬化型であってもよく、紫外線硬化型であってもよく、湿気硬化型であってもよい。
【0028】
この構成により、可動側部材MBは、第1ワイヤ8A~第4ワイヤ8Dによって、光軸JDに垂直な方向であるX軸方向とY軸方向のそれぞれに移動可能に支持されている。
【0029】
コイル基板17は、多層基板であり、第2駆動機構としての径方向駆動機構RKを構成する固定コイル9を含む。本実施形態では、固定コイル9は、フィルムタイプのコイルであり、
図3に示すように、第1固定コイル9A~第4固定コイル9Dを含む。固定コイル9は、巻線タイプであってもよく、積層タイプであってもよい。
【0030】
径方向駆動機構RKは、光軸JDに垂直なX軸方向に沿って磁石保持部材MHを移動させる第1径方向駆動機構、及び、光軸JD及びX軸のそれぞれに垂直なY軸方向に沿って磁石保持部材MHを移動させる第2径方向駆動機構を含む。
【0031】
第1径方向駆動機構は、コイル基板17に設けられた第1固定コイル9A及び第3固定コイル9Cと、Z軸方向において第1固定コイル9Aと対向するように離間して配置される第1磁石5Aと、Z軸方向において第3固定コイル9Cと対向するように離間して配置される第3磁石5Cと、を含む。
【0032】
第2径方向駆動機構は、コイル基板17に設けられた第2固定コイル9B及び第4固定コイル9Dと、Z軸方向において第2固定コイル9Bと対向するように離間して配置される第2磁石5Bと、Z軸方向において第4固定コイル9Dと対向するように離間して配置される第4磁石5Dと、を含む。
【0033】
略直方体形状を有するレンズ駆動装置101は、例えば、撮像素子(図示せず。)を実装したメイン基板(図示せず。)の上に取り付けられる。カメラモジュールは、例えば、メイン基板と、レンズ駆動装置101と、レンズ保持部材2に装着されたレンズ体と、レンズ体に対向するようにメイン基板に実装された撮像素子とで構成される。可動コイル3は、
図6に示すように、上側板ばね16、ワイヤ8、ベース部材18、及びメイン基板を介して不図示の電流供給源としての制御装置(制御回路)に接続される。固定コイル9は、コイル基板17、ベース部材18、及びメイン基板を介して電流供給源としての制御装置に接続される。そのため、上側板ばね16及びワイヤ8は、導電性材料で形成されている。可動コイル3に電流が流れると、軸方向駆動機構MKは、光軸JDに平行な方向に沿った電磁力を発生させる。同様に、固定コイル9に電流が流れると、径方向駆動機構RKは、光軸JDに垂直な方向に沿った電磁力を発生させる。
【0034】
レンズ駆動装置101は、軸方向駆動機構MKによる光軸JDに平行な方向に沿った電磁力を利用し、撮像素子のZ1側(被写体側)において、光軸JDに平行な方向に沿ってレンズ保持部材2を移動させることでレンズ調整機能の1つである自動焦点調整機能を実現する。具体的には、レンズ駆動装置101は、撮像素子から離れる方向にレンズ保持部材2を移動させてマクロ撮影を可能にし、撮像素子に近づく方向にレンズ保持部材2を移動させて無限遠撮影を可能にしている。
【0035】
レンズ駆動装置101は、径方向駆動機構RKによる光軸JDに垂直な方向に沿った電磁力を利用し、撮像素子のZ1側(被写体側)において、光軸JDに垂直な方向に沿ってレンズ保持部材2を移動させることでレンズ調整機能の別の1つであるシフト機能(手振れ補正機能)を実現する。
【0036】
次に、レンズ保持部材2の詳細について説明する。レンズ保持部材2は、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を射出成形することで形成されている。具体的には、レンズ保持部材2は、
図4に示すように、光軸JDに沿って延びるように形成された筒状部12と、筒状部12の外周面から径方向外側に突出するフランジ部(鍔状部)52とを含む。本実施形態では、筒状部12の内周面には接着剤でレンズ体が固定される。そのため、筒状部12の内周面には、ねじ溝が形成されていない。但し、筒状部12の内周面には、レンズ体が螺着されるように、ねじ溝が設けられていてもよい。また、筒状部12には、被写体側の端面に上側台座部12dが設けられ、且つ、撮像素子側の端面に下側台座部12b(
図11(B)参照。)が設けられている。上側台座部12dには、上側板ばね16の内側部分16iが取り付けられる。具体的には、上側台座部12dのX1側の部分及びY2側の部分には第1上側板ばね16Aの内側部分16iAが載置され且つ固定され、上側台座部12dのX2側の部分及びY1側の部分には第2上側板ばね16Bの内側部分16iBが載置され且つ固定される。下側台座部12bには、下側板ばね26の内側部分26iが取り付けられる。本実施形態では、下側板ばね26の内側部分26iは、接着剤で下側台座部12bに固定される。また、筒状部12の外周面には可動コイル3を支持するコイル支持部12jが設けられている。
【0037】
レンズ保持部材2は、
図4に示すように、被写体側(Z1側)の端面から上方(Z1方向)に突出した角形凸状の突出部72を更に含む。突出部72は、第1突出部72A及び第2突出部72Bを含む。
【0038】
突出部72は、可動コイル3を構成する線材33の両端が巻き付けられて保持されるように構成されている。本実施形態では、第1突出部72Aには、線材33の巻き始め側の端部33Aが巻き付けられ、第2突出部72Bには、線材33の巻き終わり側の端部33Bが巻き付けられる。
【0039】
第1突出部72Aに巻き付けられた巻き始め側の端部33Aは、
図6に示すように、半田又は導電性接着剤等によって、第2上側板ばね16Bの内側部分16iBに形成された接続板部16hBに通電可能に接続される。また、第2突出部72Bに巻き付けられた巻き終わり側の端部33Bは、
図6に示すように、半田又は導電性接着剤等によって、第1上側板ばね16Aの内側部分16iAに形成された接続板部16hAに通電可能に接続される。
【0040】
図3に示すように、レンズ保持部材2と磁石保持部材MHとが板ばね6で接続された状態では、板ばね6は、磁石保持部材MHに対してレンズ保持部材2が光軸JDに沿って移動可能となるように、レンズ保持部材2を支持している。
【0041】
上側板ばね16は、可動コイル3に電流を供給できるようにするための給電部材としても機能する。具体的には、
図6に示すように、第1上側板ばね16Aの内側部分16iAにおける接続板部16hAは、半田を介して線材33の巻き終わり側の端部33Bに通電可能に接続されている。また、第1上側板ばね16Aのワイヤ固定部分16cAは、半田を介して、第1ワイヤ8A及び第2ワイヤ8Bに通電可能に接続されている。そして、第1ワイヤ8A及び第2ワイヤ8Bは、ベース部材18を介して電流供給源に通電可能に接続されている。同様に、第2上側板ばね16Bの内側部分16iBにおける接続板部16hBは、半田を介して線材33の巻き始め側の端部33Aに通電可能に接続されている。また、第2上側板ばね16Bのワイヤ固定部分16cBは、半田を介して、第3ワイヤ8C及び第4ワイヤ8Dに通電可能に接続されている。そして、第3ワイヤ8C及び第4ワイヤ8Dは、ベース部材18を介して電流供給源に通電可能に接続されている。なお、下側板ばね26は、電流が流れないため、非導電性材料で形成されていてもよい。また、線材33と接続板部16hとは導電性接着剤で接合されてもよい。
【0042】
ベース部材18は、液晶ポリマー等の合成樹脂を用いた射出成形によって形成される。本実施形態では、ベース部材18は、
図5に示すように、上面視で矩形状の輪郭を有し、中央に開口18kを有する。ベース部材18の被写体側の面(Z1側の面)である上面には、接着剤によりコイル基板17が固定される。本実施形態では、ベース部材18の上面には、センサ10を収容する凹部19が形成されている。センサ10は、第1センサ10A及び第2センサ10Bを含み、凹部19は、第1凹部19A及び第2凹部19Bを含む。センサ10は、コイル基板17の下側(Z2側)に取り付けられた状態で凹部19内に収容される。具体的には、第1センサ10Aは第1凹部19A内に収容され、第2センサ10Bは第2凹部19B内に収容される。
【0043】
センサ10は、可動側部材MBの位置を検出するように構成されている。本実施形態では、センサ10は、巨大磁気抵抗効果(Giant Magneto Resistive effect: GMR)素子で構成され、センサ10が受ける磁石5からの磁界の大きさの変化に応じて変化する抵抗値を測定し、磁石5を含む可動側部材MBの位置を検出するように構成されている。但し、センサ10は、半導体磁気抵抗(Semiconductor Magneto Resistive: SMR)素子、異方性磁気抵抗(Anisotropic Magneto Resistive: AMR)素子、又はトンネル磁気抵抗(Tunnel Magneto Resistive: TMR)素子等の他の磁気抵抗素子を利用して可動側部材MBの位置を検出するように構成されていてもよく、ホール素子を利用して可動側部材MBの位置を検出するように構成されていてもよい。
【0044】
コイル基板17は、
図5に示すように、ベース部材18に取り付けられる多層基板であり、固定コイル9及びセンサ10のそれぞれと外部との通電を可能にしている。具体的には、コイル基板17には、固定コイル9以外にも、センサ10を実装するための半田ランド及び配線パターン等(以下、「配線パターン等」とする。)の不図示の構成が含まれている。
【0045】
ベース部材18には、
図7に示すような、銅、鉄、又はそれらを主成分とする合金等の材料を含む金属板から形成された端子部材7がインサート成形によって埋め込まれている。
図7(A)は、ベース部材18に埋め込まれている端子部材7の斜視図であり、
図7(B)は、端子部材7の上面図である。本実施形態では、端子部材7は、ベース部材18の側面(Y1側又はY2側の面)に露出する第1端子T1~第15端子T15と、ベース部材18の上面(Z1側の面)に露出する第1導電部P1~第16導電部P16と、ベース部材18の側面(Y1側の面)に露出する第17導電部P17と、を提供するように構成されている。
【0046】
第1端子T1は、第1導電部P1に接続されている。第1導電部P1は、導電部P1A及び導電部P1Bを含む。導電部P1Aには、第1ワイヤ8Aの下端部が半田によって固定され、導電部P1Bには、第2ワイヤ8Bの下端部が半田によって固定される。
【0047】
第2端子T2は、第2導電部P2に接続されている。第2導電部P2は、配線パターン等を介して第1固定コイル9Aの一端に接続されている。
【0048】
第3端子T3は、第3導電部P3に接続されている。第3導電部P3は、配線パターン等を介して第2固定コイル9Bの一端に接続されている。
【0049】
第4端子T4は、第4導電部P4に接続されている。第4導電部P4は、配線パターン等を介して第2センサ10Bにおける4つの端子のうちの第1端子に接続されている。
【0050】
第5端子T5は、第5導電部P5に接続されている。第5導電部P5は、配線パターン等を介して第2センサ10Bにおける4つの端子のうちの第2端子に接続されている。
【0051】
第6端子T6は、第6導電部P6に接続されている。第6導電部P6は、配線パターン等を介して第2センサ10Bにおける4つの端子のうちの第3端子に接続されている。
【0052】
第7端子T7は、第7導電部P7に接続されている。第7導電部P7は、配線パターン等を介して第2センサ10Bにおける4つの端子のうちの第4端子に接続されている。
【0053】
第8端子T8は、第8導電部P8に接続されている。第8導電部P8は、導電部P8C及び導電部P8Dを含む。導電部P8Cには、第3ワイヤ8Cの下端部が半田によって固定され、導電部P8Dには、第4ワイヤ8Dの下端部が半田によって固定される。
【0054】
第9端子T9は、第9導電部P9に接続されている。第9導電部P9は、配線パターン等を介して第1センサ10Aにおける4つの端子のうちの第1端子に接続されている。
【0055】
第10端子T10は、第10導電部P10に接続されている。第10導電部P10は、配線パターン等を介して第1センサ10Aにおける4つの端子のうちの第2端子に接続されている。
【0056】
第11端子T11は、第11導電部P11に接続されている。第11導電部P11は、配線パターン等を介して第1センサ10Aにおける4つの端子のうちの第3端子に接続されている。
【0057】
第12端子T12は、第12導電部P12に接続されている。第12導電部P12は、配線パターン等を介して第1センサ10Aにおける4つの端子のうちの第4端子に接続されている。
【0058】
第13端子T13は、第13導電部P13に接続されている。第13導電部P13は、配線パターン等を介して第4固定コイル9Dの一端に接続されている。
【0059】
第14端子T14は、第14導電部P14に接続されている。第14導電部P14は、配線パターン等を介して第3固定コイル9Cの一端に接続されている。
【0060】
第15導電部P15は、第1固定コイル9Aと第3固定コイル9Cとを直列接続するための導電部であり、導電部P15A及び導電部P15Cを含む。導電部P15Aには、配線パターン等を介して第1固定コイル9Aの他端が接続され、導電部P15Cには、配線パターン等を介して第3固定コイル9Cの他端が接続される。
【0061】
第16導電部P16は、第2固定コイル9Bと第4固定コイル9Dとを直列接続するための導電部であり、導電部P16B及び導電部P16Dを含む。導電部P16Bには、配線パターン等を介して第2固定コイル9Bの他端が接続され、導電部P16Dには、配線パターン等を介して第4固定コイル9Dの他端が接続される。
【0062】
第15端子T15は、第17導電部P17に接続されている。第17導電部P17は、ケース4を接地させるための導電部であり、導電性接着剤によって、ケース4の外壁部4Aのうちの第4側板部4A4に接続される。
【0063】
上述の構成により、軸方向駆動機構MKに関する電流は、例えば、
図6及び
図7に示すように、端子部材7の第1端子T1から、第1ワイヤ8A(第2ワイヤ8B)、第1上側板ばね16Aのワイヤ固定部分16cA、第2弾性腕部16fA、外側部分16eA、第1弾性腕部16gA、内側部分16iA、接続板部16hA、可動コイル3の巻き終わり側の端部33B、巻回部13、巻き始め側の端部33A、第2上側板ばね16Bの接続板部16hB、内側部分16iB、第1弾性腕部16gB、外側部分16eB、第2弾性腕部16fB、ワイヤ固定部分16cB、及び、第3ワイヤ8C(第4ワイヤ8D)を経て、端子部材7の第8端子T8に流れ、或いはその逆方向に流れる。
【0064】
第1径方向駆動機構に関する電流は、例えば、端子部材7の第2端子T2から、第2導電部P2、第1固定コイル9A、第15導電部P15(導電部P15A及び導電部P15C)、第3固定コイル9C、及び第14導電部P14を経て、第14端子T14に流れ、或いはその逆方向に流れる。また、第2径方向駆動機構に関する電流は、例えば、端子部材7の第3端子T3から、第3導電部P3、第2固定コイル9B、第16導電部P16(導電部P16B及び導電部P16D)、第4固定コイル9D、及び第13導電部P13を経て、第13端子T13に流れ、或いはその逆方向に流れる。なお、導電部と固定コイルとの間は、コイル基板17に形成されている不図示の半田ランド及び配線パターン等によって接続される。
【0065】
次に、
図8~
図10を参照し、上側板ばね16によるレンズ保持部材2と磁石保持部材MHとの接続について説明する。
図8は、可動側部材MBの構成要素であるスペーサ部材SP、上側板ばね16、レンズ保持部材2、及び磁石保持部材MHの斜視図である。
図9は、可動側部材MBの構成要素の上面図である。
図10は、可動側部材MBの構成要素の断面図である。具体的には、
図10(A)は、
図9(E)に示す一点鎖線L1を含むXY平面に垂直な仮想平面における断面を示し、
図10(B)は、
図9(E)に示す一点鎖線L2を含むXY平面に垂直な仮想平面における断面を示している。
【0066】
レンズ保持部材2は、
図9(A)及び
図9(B)に示すように、可動コイル3が取り付けられた状態で、磁石保持部材MHの内側に、磁石保持部材MHと接触可能なように配置される。
図9(B)は、明瞭化のためにドットパターンが付された状態で、レンズ保持部材2を示している。
【0067】
具体的には、磁石保持部材MHは、上面視で矩形環状の枠体における4つの隅部のそれぞれにおいて、内方及び上方に開く凹部23dを有する。レンズ保持部材2は、上面視で矩形環状の筒状部12における4つの角部のそれぞれから外方に突出する4つの突出部2pを有する。磁石保持部材MHにおける4つの凹部23dは、板ばね6によってレンズ保持部材2が支持された状態では、レンズ保持部材2における4つの突出部2pと非接触で対向するように構成されている。
【0068】
上側板ばね16は、
図9(C)に示すように、レンズ保持部材2及び磁石保持部材MHのそれぞれの上面に配置される。
図9(C)は、明瞭化のためにドットパターンが付された状態で、上側板ばね16を示している。具体的には、
図9(B)及び
図9(C)に示すように、上側板ばね16の内側部分16iは、レンズ保持部材2の上側台座部12dに載置され、上側板ばね16の外側部分16eは、磁石保持部材MHの端面ES1に載置される。
【0069】
上側台座部12dから上方に突出する4つの突起部12tは、
図9(C)に示すように、内側部分16iに形成された貫通孔H1(
図8参照。)に挿通され、且つ、かしめられる。その結果、上側板ばね16の内側部分16iは、レンズ保持部材2に固定される。そして、上側板ばね16の接続板部16hと突出部72に巻き付けられた線材33とは、
図9(D)に示すように、半田SDによって接合される。
図9(D)は、明瞭化のためにドットパターンが付された状態で、半田SDを示している。
【0070】
端面ES1から上方に突出する8つの突起部25tは、
図9(C)に示すように、外側部分16eに形成された8つの貫通孔H2(
図8参照。)に挿通される。
【0071】
スペーサ部材SPは、
図9(D)に示すように、スペーサ部材SPと磁石保持部材MHとの間に上側板ばね16の外側部分16eを挟んだ状態で、磁石保持部材MHの上面に配置される。
図9(D)は、明瞭化のためにドットパターンが付された状態で、スペーサ部材SPを示している。
【0072】
端面ES1から上方に突出する8つの突起部25tは、
図9(D)に示すように、スペーサ部材SPに形成された8つの貫通孔H3(
図8参照。)に挿通される。上側板ばね16及びスペーサ部材SPは、上面視で、貫通孔H2と貫通孔H3とが重なるように配置される。そして、貫通孔H3に挿通された突起部25tの先端には、
図9(E)に示すように、接着剤GL1が塗布される。
図9(E)は、明瞭化のためにドットパターンが付された状態で、接着剤GL1を示している。その結果、上側板ばね16の外側部分16eとスペーサ部材SPとは、一体的に磁石保持部材MHに固定される。
【0073】
このようにして、上側板ばね16は、レンズ保持部材2及び磁石保持部材MHのそれぞれに固定される。
【0074】
レンズ保持部材2の突出部2pと磁石保持部材MHの凹部23dとは、光軸方向におけるレンズ保持部材2の過度の移動を制限するように構成されている。すなわち、レンズ保持部材2の突出部2pと磁石保持部材MHの凹部23dとは、光軸方向におけるレンズ保持部材2の過度の移動を制限する第1メカニカルストッパとして機能するように構成されている。
【0075】
具体的には、レンズ保持部材2における突出部2pは、
図10(A)及び
図10(B)に示すように、上方に突出する当接部2cを有する。そして、当接部2cは、レンズ保持部材2が所定の第1上昇距離だけ上方に移動したときに、上側板ばね16の外側部分16eの下面USFに接触するように構成されている。
図8は、外側部分16eの下面USFにおける、当接部2cが接触する部分CTをドットパターンで示している。
【0076】
また、磁石保持部材MHの凹部23dは、
図10(A)及び
図10(B)に示すように、上方に突出する当接部24cを有する。そして、当接部24cは、レンズ保持部材2が所定の第1下降距離だけ下方に移動したときに、突出部2pの下面BSFに接触するように構成されている。
【0077】
また、レンズ保持部材2の突出部2pと磁石保持部材MHの凹部23dとは、光軸方向に垂直な方向におけるレンズ保持部材2の過度の移動を制限するように構成されている。すなわち、レンズ保持部材2の突出部2pと磁石保持部材MHの凹部23dとは、光軸方向に垂直な方向におけるレンズ保持部材2の過度の移動を制限する第2メカニカルストッパとしても機能するように構成されている。
【0078】
具体的には、レンズ保持部材2における突出部2pは、
図10(A)に示すように、レンズ保持部材2が所定距離だけ外方に移動したときに、磁石保持部材MHの凹部23dの遠位面DSFに接触するように構成されている。
【0079】
更に、レンズ保持部材2の突出部2pと磁石保持部材MHの凹部23dとは、光軸JD回りのレンズ保持部材2の過度の回転を制限するように構成されている。すなわち、レンズ保持部材2の突出部2pと磁石保持部材MHの凹部23dとは、光軸JD回りのレンズ保持部材2の過度の回転を制限する第3メカニカルストッパとしても機能するように構成されている。
【0080】
具体的には、レンズ保持部材2における突出部2pは、
図10(B)に示すように、レンズ保持部材2が光軸JD回りに所定角度だけ右方に回転したときに、磁石保持部材MHの凹部23dの右面RSFに接触するように構成されている。同様に、レンズ保持部材2における突出部2pは、
図10(B)に示すように、レンズ保持部材2が光軸JD回りに所定角度だけ左方に回転したときに、磁石保持部材MHの凹部23dの左面LSFに接触するように構成されている。
【0081】
次に、
図11及び
図12を参照し、下側板ばね26によるレンズ保持部材2と磁石保持部材MHとの接続について説明する。
図11は、可動側部材MBの構成要素である磁石保持部材MH、レンズ保持部材2、下側板ばね26、及び磁石5の底面図である。
図12は、下側板ばね26の底面図である。具体的には、
図12(A)は、単体としての下側板ばね26の底面図である。
図12(B)は、レンズ保持部材2及び磁石保持部材MHのそれぞれに接続された状態にある下側板ばね26の底面図であり、
図11(C)における破線で囲まれた部分R1に対応している。
【0082】
レンズ保持部材2は、
図11(A)及び
図11(B)に示すように、可動コイル3が取り付けられた状態で、磁石保持部材MHの内側に、磁石保持部材MHと接触可能なように配置される。
図11(B)は、明瞭化のためにドットパターンが付された状態で、レンズ保持部材2を示している。
【0083】
下側板ばね26は、
図11(C)に示すように、レンズ保持部材2及び磁石保持部材MHのそれぞれの下面に配置される。
図11(C)は、明瞭化のためにドットパターンが付された状態で、下側板ばね26を示している。
【0084】
下側板ばね26は、
図12(A)に示すように、レンズ保持部材2に固定される第1固定部としての内側部分26iと、磁石保持部材MHに固定される第2固定部としての4つの外側部分26eと、内側部分26iと外側部分26eとの間に位置する4つの弾性腕部26gと、を含む。具体的には、内側部分26iは、4つの接続部分26cを含む。隣接する2つの接続部分26cは、連結部26pによって互いに連結されている。また、接続部分26cは、対応する弾性腕部26gによって外側部分26eに連結されている。4つの外側部分26eのそれぞれには、貫通孔H4が形成され、且つ、貫通孔H4から離れる方向に延びる片持ち梁部TG1が形成されている。4つの接続部分26cのそれぞれには、貫通孔H5が形成され、且つ、貫通孔H5から離れる方向に延びる片持ち梁部TG2が形成されている。
【0085】
具体的には、
図11(B)及び
図11(C)に示すように、下側板ばね26の内側部分26iは、レンズ保持部材2の下側台座部12bに載置され、下側板ばね26の外側部分26eは、磁石保持部材MHの端面ES2に載置される。
【0086】
端面ES2から下方に突出する4つの突起部MHtは、
図11(C)に示すように、外側部分26eに形成された4つの貫通孔H4(
図12(A)参照。)に挿通され、且つ、かしめられる。その結果、下側板ばね26の外側部分26eは、磁石保持部材MHに固定される。
【0087】
下側板ばね26の内側部分26iは、
図11(C)に示すように、接続部分26cに形成された貫通孔H5(
図12(A)参照。)と、下側台座部12bに形成されている凹部RS1(
図11(B)参照。)と、が光軸方向において重なるように配置される。
【0088】
本実施形態では、4つの貫通孔H5のそれぞれは、
図12(A)に示すように、5つの貫通孔の組み合わせで構成されている。具体的には、各貫通孔H5は、中央に配置された円形の中央貫通孔と、その中央貫通孔の外側で、1つの同心円の円周方向に沿って配置された4つの部分円環状の貫通孔との組み合わせで構成されている。
【0089】
そして、下側板ばね26の接続部分26cの下面(Z2側の面)における、貫通孔H5が形成されている部分には、
図11(D)に示すように、接着剤GL2が塗布される。
図11(D)は、明瞭化のためにドットパターンが付された状態で、接着剤GL2を示している。その結果、下側板ばね26の内側部分26iは、レンズ保持部材2に固定される。
【0090】
このようにして、下側板ばね26は、レンズ保持部材2及び磁石保持部材MHのそれぞれに固定される。
【0091】
磁石5は、
図11(E)に示すように、接着剤(図示せず。)によって磁石保持部材MHに取り付けられる。
図11(E)は、明瞭化のためにドットパターンが付された状態で、磁石5を示している。
【0092】
下側板ばね26の外側部分26eから延びる片持ち梁部TG1は、レンズ保持部材2が撮像素子側である下方(Z2方向)へ移動した際に機能する衝撃緩和部の一例であり、
図12(B)に示すように、接触部CP1及び弾性部EP1を有する。
【0093】
接触部CP1は、下側板ばね26がレンズ保持部材2及び磁石保持部材MHのそれぞれに固定された状態において、レンズ保持部材2のZ2側の端面ES3から下方に突出した当接部12c(
図11(B)参照。)と光軸方向において重なるように配置されている。本実施形態では、端面ES3は、下側台座部12b(
図11(B)参照。)の端面よりも上側に位置する。この配置により、レンズ保持部材2がZ2側に所定の第2下降距離だけ移動すると、接触部CP1は、当接部12cと接触し、弾性部EP1は、弾性変形することで復元力を発生させ、レンズ保持部材2のZ2側への更なる移動を抑制する。
【0094】
本実施形態では、第2下降距離は、磁石保持部材MHの当接部24cがレンズ保持部材2の突出部2pの下面BSFに接触するときのレンズ保持部材2の下降距離である第1下降距離よりも小さい距離として設定されている。第1メカニカルストッパが機能する前に片持ち梁部TG1を衝撃緩和部として機能させるためである。
【0095】
下側板ばね26の接続部分26cから延びる片持ち梁部TG2は、レンズ保持部材2が被写体側である上方(Z1方向)へ移動した際に機能する衝撃緩和部の一例であり、
図12(B)に示すように、接触部CP2及び弾性部EP2を有する。
【0096】
接触部CP2は、下側板ばね26がレンズ保持部材2及び磁石保持部材MHのそれぞれに固定された状態において、磁石保持部材MHのZ2側の端面ES4から下方に突出した当接部MHc(
図11(A)参照。)と光軸方向において重なるように配置されている。本実施形態では、端面ES4は、端面ES2(
図11(B)参照。)よりも上側に位置する。この配置により、レンズ保持部材2がZ1側に所定の第2上昇距離だけ移動すると、接触部CP2は、当接部MHcと接触し、弾性部EP2は、弾性変形することで復元力を発生させ、レンズ保持部材2のZ1側への更なる移動を抑制する。
【0097】
本実施形態では、第2上昇距離は、レンズ保持部材2の突出部2pに形成された当接部2cが上側板ばね16の外側部分16eの下面USFに接触するときのレンズ保持部材2の上昇距離である第1上昇距離よりも小さい距離として設定されている。第1メカニカルストッパが機能する前に片持ち梁部TG2を衝撃緩和部として機能させるためである。
【0098】
図12に示す例では、当接部12c及び当接部MHcのそれぞれの突出量は、第2下降距離と第2上昇距離とが同じになるように設定されている。しかしながら、当接部12c及び当接部MHcのそれぞれの突出量は、第2下降距離と第2上昇距離とが異なるように設定されていてもよい。
【0099】
次に、
図13を参照し、下側板ばね26の別の構成例である下側板ばね26Xによるレンズ保持部材2と磁石保持部材MHとの接続について説明する。
図13は、下側板ばね26Xの底面図であり、
図12に対応している。具体的には、
図13(A)は、単体としての下側板ばね26Xの底面図であり、
図12(A)に対応している。
図13(B)は、レンズ保持部材2及び磁石保持部材MHのそれぞれに接続された状態にある下側板ばね26Xの底面図であり、
図12(B)に対応している。
【0100】
下側板ばね26Xは、
図13(A)に示すように、レンズ保持部材2に固定される第1固定部としての内側部分26iと、磁石保持部材MHに固定される第2固定部としての4つの外側部分26eと、内側部分26iと外側部分26eとの間に位置する4つの弾性腕部26gと、を含む。具体的には、内側部分26iは、4つの接続部分26cを含む。隣接する2つの接続部分26cは、連結部26pによって互いに連結されている。また、接続部分26cは、対応する弾性腕部26gによって外側部分26eに連結されている。4つの外側部分26eのそれぞれには、貫通孔H4が形成されている。4つの弾性腕部26gのそれぞれには、内側部分26iに向かう方向に延びる片持ち梁部TG3が形成されている。4つの接続部分26cのそれぞれには、貫通孔H5が形成され、且つ、貫通孔H5から離れる方向に延びる片持ち梁部TG4が形成されている。
【0101】
下側板ばね26Xは、主に、弾性腕部26gから延びる片持ち梁部TG3を有する点で、外側部分26eから延びる片持ち梁部TG1を有する下側板ばね26と異なるが、他の点においては、下側板ばね26と同様の構成を有する。
【0102】
具体的には、下側板ばね26Xの内側部分26iは、レンズ保持部材2の下側台座部12bに載置され、下側板ばね26Xの外側部分26eは、磁石保持部材MHの端面ES2に載置される。
【0103】
下側板ばね26Xの弾性腕部26gから延びる片持ち梁部TG3は、レンズ保持部材2が下方(Z2方向)へ移動した際に機能する衝撃緩和部の一例であり、
図13(B)に示すように、接触部CP3及び弾性部EP3を有する。
【0104】
接触部CP3は、下側板ばね26Xがレンズ保持部材2及び磁石保持部材MHのそれぞれに固定された状態において、レンズ保持部材2のZ2側の端面ES5から下方に突出した当接部12cと光軸方向において重なるように配置されている。本実施形態では、端面ES5は、下側台座部12b(
図11(B)参照。)の端面よりも上側に位置する。この配置により、レンズ保持部材2がZ2側に所定の第3下降距離だけ移動すると、接触部CP3は、当接部12cと接触し、弾性部EP3は、弾性変形することで復元力を発生させ、レンズ保持部材2のZ2側への更なる移動を抑制する。
【0105】
本実施形態では、第3下降距離は、磁石保持部材MHの凹部23dに形成された当接部24cがレンズ保持部材2の突出部2pの下面BSFに接触するときのレンズ保持部材2の下降距離である第1下降距離よりも小さい距離として設定されている。第1メカニカルストッパが機能する前に片持ち梁部TG3を衝撃緩和部として機能させるためである。
【0106】
下側板ばね26Xの接続部分26cから延びる片持ち梁部TG4は、レンズ保持部材2が上方(Z1方向)へ移動した際に機能する衝撃緩和部の一例であり、
図13(B)に示すように、接触部CP4及び弾性部EP4を有する。
【0107】
接触部CP4は、下側板ばね26がレンズ保持部材2及び磁石保持部材MHのそれぞれに固定された状態において、磁石保持部材MHのZ2側の端面ES4から下方に突出した当接部MHcと光軸方向において重なるように配置されている。本実施形態では、端面ES4は、端面ES2(
図11(B)参照。)よりも上側に位置する。この配置により、レンズ保持部材2がZ1側に所定の第3上昇距離だけ移動すると、接触部CP4は、当接部MHcと接触し、弾性部EP4は、弾性変形することで復元力を発生させ、レンズ保持部材2のZ1側への更なる移動を抑制する。
【0108】
本実施形態では、第3上昇距離は、レンズ保持部材2の突出部2pに形成された当接部2cが上側板ばね16の外側部分16eの下面USFに接触するときのレンズ保持部材2の上昇距離である第1上昇距離よりも小さい距離として設定されている。第1メカニカルストッパが機能する前に片持ち梁部TG4を衝撃緩和部として機能させるためである。
【0109】
図13に示す例では、当接部12c及び当接部MHcのそれぞれの突出量は、第3下降距離と第3上昇距離とが同じになるように設定されている。しかしながら、当接部12c及び当接部MHcのそれぞれの突出量は、第3下降距離と第3上昇距離とが異なるように設定されていてもよい。
【0110】
また、本実施形態では、弾性部EP4には、貫通孔H6が形成されている。貫通孔H6は、弾性部EP4のばね定数を小さくするためのものである。貫通孔H6は、スリット状であってもよい。貫通孔H6を形成することにより、設計者は、弾性部EP4の設計長さを大きくできない場合であっても、所望のばね定数を実現できる。
【0111】
次に、
図14及び
図15を参照し、レンズ駆動装置101の別の構成例であるレンズ駆動装置101Aについて説明する。
図14は、レンズ駆動装置101Aの分解斜視図及び完成斜視図を含む。
図14に示すレンズ駆動装置101Aの分解斜視図は、ケース4が下側部材LBから分離された状態を示す。
図15は、下側部材LBの分解斜視図である。レンズ駆動装置101Aの下側部材LBは、スペーサ部材SP、上側板ばね16、レンズ保持部材2、可動コイル3、磁石5、下側板ばね26、端子部材7X、及びベース部材18を含む。
【0112】
レンズ駆動装置101Aは、主に、軸方向駆動機構MKを備えているが径方向駆動機構を備えていないレンズ駆動装置である点で、軸方向駆動機構MK及び径方向駆動機構RKを備えているレンズ駆動装置101と異なる。
【0113】
レンズ駆動装置101Aにおける可動コイル3は、レンズ駆動装置101における可動コイル3と同様の構成を有する。ケース4及び磁石5についても同様である。
【0114】
上側板ばね16は、
図15に示すように、レンズ保持部材2に固定される第1固定部としての内側部分16iと、支持部材としてのスペーサ部材SPに固定される第2固定部としての外側部分16eと、内側部分16iと外側部分16eとの間に位置する第1弾性腕部16gと、を含む。レンズ駆動装置101Aでは、上側板ばね16は、給電部材として機能する必要がないため、2つに分離されない単一の部材として構成されている。なお、上側板ばね16は、電流が流れないため、非導電性材料で形成されていてもよい。
【0115】
スペーサ部材SPは、光軸方向に沿って上側板ばね16が上下に弾性変形する際に必要な空間を上側板ばね16の上下に確保できるように上側板ばね16を保持するように構成されている。
図15に示す例では、スペーサ部材SPは、上側板ばね16の上に配置される上側スペーサ部材USPと、上側板ばね16の下に配置される下側スペーサ部材LSPと、を含む。すなわち、上側板ばね16は、上側スペーサ部材USPと下側スペーサ部材LSPとで外側部分16eが挟持されるように構成されている。
【0116】
下側板ばね26は、
図15に示すように、レンズ保持部材2に固定される第1固定部としての内側部分26iと、支持部材としてのベース部材18に固定される第2固定部としての外側部分26eと、内側部分26iと外側部分26eとの間に位置する弾性腕部26gと、を含む。レンズ駆動装置101Aでは、下側板ばね26は、可動コイル3に電流を供給できるようにするための給電部材として機能するように構成されている。そのため、下側板ばね26は、互いに分離された第1下側板ばね26Aと第2下側板ばね26Bとを含む。
図15は、第1下側板ばね26Aにおける内側部分26iA、外側部分26eA、及び2つの弾性腕部26gAと、第2下側板ばね26Bにおける内側部分26iB、外側部分26eB、及び2つの弾性腕部26gBと、を示している。
【0117】
レンズ保持部材2は、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を射出成形することで形成されている。具体的には、レンズ保持部材2は、
図15に示すように、光軸JDに沿って延びるように形成された筒状部12と、筒状部12の外周面から径方向外側に突出するフランジ部(鍔状部)52とを含む。
図15に示す例では、筒状部12の内周面には、レンズ体が螺着されるように、ねじ溝が設けられている。
【0118】
また、筒状部12には、被写体側の端面に上側台座部12dが設けられ、且つ、撮像素子側の端面に下側台座部12b(
図15では不可視)が設けられている。上側台座部12dには、上側板ばね16の内側部分16iが取り付けられる。下側台座部12bには、下側板ばね26の内側部分26iが取り付けられる。
図15に示す例では、下側板ばね26の内側部分26iは、後述するように、かしめによって下側台座部12bに固定される。筒状部12の外周面には可動コイル3を支持するコイル支持部12jが設けられている。
【0119】
レンズ保持部材2は、
図15に示すように、撮像素子側(Z2側)の端面から下方(Z2方向)に突出した角形凸状の突出部72を更に含む。突出部72は、第1突出部72A及び第2突出部72B(
図15では不可視)を含む。
【0120】
突出部72は、可動コイル3を構成する線材33の両端が巻き付けられて保持されるように構成されている。
図15に示す例では、第1突出部72Aには、線材33の巻き始め側の端部33Aが巻き付けられ、第2突出部72Bには、線材33の巻き終わり側の端部33Bが巻き付けられる。
【0121】
第1突出部72Aに巻き付けられる巻き始め側の端部33Aは、
図15の破線で示すように、半田又は導電性接着剤等によって、第1下側板ばね26Aの内側部分26iAに形成された接続板部26hAに通電可能に接続される。また、第2突出部72Bに巻き付けられる巻き終わり側の端部33Bは、
図15の破線で示すように、半田又は導電性接着剤等によって、第2下側板ばね26Bの内側部分26iBに形成された接続板部26hBに通電可能に接続される。
【0122】
レンズ保持部材2は、被写体側(Z1側)の端面から上方(Z1方向)に突出した4つの突出部2qを更に含む。突出部2qは、レンズ保持部材2が所定の第4上昇距離だけ上方に移動したときに、ケース4の上面部4Bの裏面(Z2側の面)に接触するように構成されている。すなわち、レンズ保持部材2の突出部2qとケース4の上面部4Bとは、光軸方向における上方へのレンズ保持部材2の過度の移動を制限するメカニカルストッパとして機能するように構成されている。
【0123】
ベース部材18は、液晶ポリマー等の合成樹脂を用いた射出成形によって形成される。
図15に示す例では、ベース部材18は、上面視で矩形状の輪郭を有し、中央に開口18kを有する。そして、ベース部材18には、銅、鉄、又はそれらを主成分とする合金等の材料を含む金属板から形成された端子部材7Xがインサート成形によって埋め込まれている。
図15は、明瞭化のため、実際にはベース部材18に埋め込まれている端子部材7Xを、ベース部材18から分離した状態で示している。
【0124】
端子部材7Xは、第1端子部材7A、第2端子部材7B、及び第3端子部材7Cを含む。第1端子部材7Aは、ベース部材18の下面から下方に突出する端子部7ATと、ベース部材18の上面に露出する導体部7APと、を含む。同様に、第2端子部材7Bは、ベース部材18の下面から下方に突出する端子部7BTと、ベース部材18の上面に露出する導体部7BPと、を含む。第3端子部材7Cは、接地用端子として機能する部材であり、ケース4を構成する外壁部4Aの下端部と接触するように構成されている。
【0125】
第1端子部材7Aの導体部7APは、
図15の破線で示すように、溶接又は導電性接着剤等によって、第1下側板ばね26Aの外側部分26eAに通電可能に接続される。また、第2端子部材7Bの導体部7BPは、
図15の破線で示すように、溶接又は導電性接着剤等によって、第2下側板ばね26Bの外側部分26eBに通電可能に接続される。
【0126】
ベース部材18は、被写体側(Z1側)の端面から上方(Z1方向)に突出した4つの突出部18qを更に含む。突出部18qは、レンズ保持部材2が所定の第4下降距離だけ下方に移動したときに、レンズ保持部材2の撮像素子側(Z2側)の端面に接触するように構成されている。すなわち、ベース部材18の突出部18qとレンズ保持部材2の撮像素子側(Z2側)の端面とは、光軸方向における下方へのレンズ保持部材2の過度の移動を制限するメカニカルストッパとして機能するように構成されている。
【0127】
下側板ばね26がレンズ駆動装置101Aに組み込まれた際には、外側部分26eは、ベース部材18に固定される。外側部分26eの固定は、
図15に示すように、ベース部材18における被写体側(Z1側)の端面から上方(Z1方向)に突出した丸形凸状の6つの突起部18tに熱かしめ又は冷間かしめを施すことによって実現される。具体的には、突起部18tは、外側部分26eに形成された貫通孔H7に挿通され、且つ、かしめられる。内側部分26iは、レンズ保持部材2に固定される。内側部分26iの固定は、レンズ保持部材2における撮像素子側(Z2側)の端面(下側台座部12b)から下方(Z2方向)に突出した丸形凸状の6つの突起部2t(
図15では不可視)に熱かしめ又は冷間かしめを施すことによって実現される。具体的には、突起部2tは、内側部分26iに形成された貫通孔H8に挿通され、且つ、かしめられる。
【0128】
図15に示す例では、下側板ばね26は、可動コイル3に電流を供給できるようにするための給電部材として機能するように構成されている。具体的には、
図15の破線で示すように、第1下側板ばね26Aの内側部分26iAにおける接続板部26hAは、半田を介して線材33の巻き始め側の端部33Aに通電可能に接続されている。また、第1下側板ばね26Aの外側部分26eAは、レーザ溶接部を介して、第1端子部材7Aの導体部7APに通電可能に接続されている。そして、導体部7APは、端子部7ATを介して電流供給源に通電可能に接続されている。同様に、第2下側板ばね26Bの内側部分26iBにおける接続板部26hBは、半田を介して線材33の巻き終わり側の端部33Bに通電可能に接続されている。また、第2下側板ばね26Bの外側部分26eBは、レーザ溶接部を介して、第2端子部材7Bの導体部7BPに通電可能に接続されている。そして、導体部7BPは、端子部7BTを介して電流供給源に通電可能に接続されている。
【0129】
次に、
図16及び
図17を参照し、レンズ駆動装置101Aにおける上側板ばね16と他の構成要素との接続について説明する。
図16(A)は、レンズ保持部材2に取り付けられた上側板ばね16の斜視図である。
図16(A)では、レンズ保持部材2には可動コイル3が取り付けられている。
図16(B)は、上側スペーサ部材USPと下側スペーサ部材LSPとで挟持された上側板ばね16の斜視図である。
図17(A)は、上側スペーサ部材USPと下側スペーサ部材LSPとで挟持された上側板ばね16の側面図である。
図17(B)は、上側板ばね16の下側に配置される下側スペーサ部材LSPの上面図である。
図17(C)は、上側板ばね16の上側に配置される上側スペーサ部材USPの底面図である。
図17(B)及び
図17(C)は、上側板ばね16の輪郭を破線で示している。
【0130】
上側板ばね16の内側部分16iは、
図16(A)に示すように、レンズ保持部材2の上側台座部12d(
図15参照。)に取り付けられる。そして、内側部分16iは、レンズ保持部材2の上面(Z1側の面)に固定される。具体的には、上側板ばね16は、内側部分16iに形成された4つの切り欠き部CT1(
図15参照。)のそれぞれに塗布された接着剤GL3によってレンズ保持部材2に接着固定される。このとき、上側板ばね16は、内側部分16iに形成された4つの切り欠き部CT1の位置が、レンズ保持部材2の上側台座部12dにおける被写体側(Z1側)の端面に形成された4つの凹部RS2(
図15参照。)の位置と対応するように配置されている。
【0131】
上側板ばね16の外側部分16eは、
図16(B)に示すように、上側スペーサ部材USPと下側スペーサ部材LSPとで挟持されている。具体的には、下側スペーサ部材LSPは、
図17(B)に示すように、Z1側の端面から上方に隆起する8つの隆起部LPTを有する。上側スペーサ部材USPは、
図17(C)に示すように、Z2側の端面から下方に隆起する8つの隆起部UPTを有する。そして、上側板ばね16の外側部分16eは、
図17(A)に示すように、上側スペーサ部材USPにおける8つの隆起部UPTと、下側スペーサ部材LSPにおける8つの隆起部LPTとで挟持されている。
【0132】
上側板ばね16は、内側部分26iから外方に延びる両持ち梁部TG5を更に含む。両持ち梁部TG5は、レンズ保持部材2が光軸方向へ移動した際に機能する衝撃緩和部の一例であり、
図16(A)に示すように、接触部CP5及び弾性部EP5を有する。
【0133】
接触部CP5は、
図17(B)に示すように、上側板ばね16がレンズ保持部材2及びスペーサ部材SPのそれぞれに固定された状態において、下側スペーサ部材LSPのZ1側の端面ES6から上方に突出した当接部50と光軸方向において重なるように配置されている。本実施形態では、端面ES6は、隆起部LPTの端面よりも下側に位置する。この配置により、レンズ保持部材2がZ2側に所定の第5下降距離だけ移動すると、接触部CP5の下面は、当接部50と接触し、弾性部EP5は、弾性変形することで復元力を発生させ、レンズ保持部材2のZ2側への更なる移動を抑制する。
【0134】
本実施形態では、第5下降距離は、レンズ保持部材2のZ2側の端面がベース部材18の突出部18qに接触するときのレンズ保持部材2の下降距離である第4下降距離よりも小さい距離として設定されている。メカニカルストッパが機能する前に両持ち梁部TG5を衝撃緩和部として機能させるためである。
【0135】
同様に、接触部CP5は、
図17(C)に示すように、上側板ばね16がレンズ保持部材2及びスペーサ部材SPのそれぞれに固定された状態において、上側スペーサ部材USPのZ2側の端面ES7から下方に突出した当接部51と光軸方向において重なるように配置されている。本実施形態では、端面ES7は、隆起部UPTの端面よりも上側に位置する。この配置により、レンズ保持部材2がZ1側に所定の第5上昇距離だけ移動すると、接触部CP5の上面は、当接部51と接触し、弾性部EP5は、弾性変形することで復元力を発生させ、レンズ保持部材2のZ1側への更なる移動を抑制する。
【0136】
本実施形態では、第5上昇距離は、ケース4の上面部4Bの裏面(Z2側の面)がレンズ保持部材2の突出部2qに接触するときのレンズ保持部材2の上昇距離である第4上昇距離よりも小さい距離として設定される。メカニカルストッパが機能する前に両持ち梁部TG5を衝撃緩和部として機能させるためである。
【0137】
図17に示す例では、下側スペーサ部材LSPの端面ES6に形成された4つの当接部50は、光軸方向において、両持ち梁部TG5の接触部CP5を挟んで、上側スペーサ部材USPの端面ES7に形成された4つの当接部51と対向するように配置されている。しかしながら、当接部50は、当接部51と対向しないように配置されていてもよい。すなわち、当接部50は、光軸方向において、当接部51と重ならないように配置されていてもよい。また、1つの両持ち梁部TG5と接触する当接部50の個数は、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。1つの両持ち梁部TG5と接触する当接部51の個数についても同様である。また、当接部50の個数は、当接部51の個数と異なっていてもよい。また、
図17に示す例では、当接部50及び当接部51のそれぞれの突出量は、第5下降距離と第5上昇距離とが同じになるように設定されている。しかしながら、当接部50及び当接部51のそれぞれの突出量は、第5下降距離と第5上昇距離とが異なるように設定されていてもよい。
【0138】
また、衝撃緩和部としての両持ち梁部TG5は、片持ち梁部で置き換えられてもよい。具体的には、1つの両持ち梁部TG5は、1つの片持ち梁部で置き換えられてもよく、一対の片持ち梁部(2つの片持ち梁部)で置き換えられてもよく、3つ以上の片持ち梁部で置き換えられてもよい。なお、両持ち梁部TG5のばね定数は、同様の大きさ及び形状を有する片持ち梁部のばね定数より大きい。また、両持ち梁部TG5のばね定数は、典型的には、弾性部EP5の根元から当接部50が接触する部分までの両持ち梁部TG5に沿った長さが小さいほど大きい。設計者は、これらの事実に基づき、衝撃緩和部の構成を決定できる。
【0139】
次に、
図18及び
図19を参照し、上側板ばね16の別の構成例である上側板ばね16Xに含まれる衝撃緩和部としての両持ち梁部TG6について説明する。
図18は、上側板ばね16Xが取り付けられるレンズ保持部材2の斜視図であり、
図16(A)に対応している。
図18では、レンズ保持部材2には、可動コイル3が巻き付けられている。
図19は、上側板ばね16Xが取り付けられるレンズ保持部材2の斜視図であり、
図18における破線で囲まれた部分R2に対応している。具体的には、
図19(A)は、上側板ばね16Xが取り付けられる前のレンズ保持部材2を示し、
図19(B)は、上側板ばね16Xが取り付けられた後のレンズ保持部材2を示し、
図19(C)は、上側板ばね16Xが取り付けられ、接着剤GL3が塗布され、且つ、ダンパ材GEが取り付けられた後のレンズ保持部材2を示している。
【0140】
上側板ばね16Xは、ダンパ材GEが取り付けられるように構成されている点で、
図16(A)に示す上側板ばね16と異なるが、その他の点では上側板ばね16と同様の構成を有する。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0141】
上側板ばね16Xは、
図18に示すように、内側部分16iから外方に延びる両持ち梁部TG6を含む。両持ち梁部TG6は、レンズ保持部材2が光軸方向へ移動した際に機能する衝撃緩和部の一例であり、
図18に示すように、凸部PR、接触部CP6、及び弾性部EP6を有する。接触部CP6は、
図16(A)に示す接触部CP5と同じ構成を有し、且つ、接触部CP5と同じように機能する。同様に、弾性部EP6は、
図16(A)に示す弾性部EP5と同じ構成を有し、且つ、弾性部EP5と同じように機能する。
【0142】
凸部PRは、接触部CP6から内側部分16iに向かって突出する部分である。
図18に示す例では、凸部PRは、ダンパ材GEを介して内側部分16iに連結され、且つ、ダンパ材GEを介してレンズ保持部材2に連結される。
【0143】
ダンパ材GEは、衝撃緩和部としての両持ち梁部TG6によって引き起こされるレンズ保持部材2の振動の減衰を早めるための部材である。
図18に示す例では、ダンパ材GEは、ゲル化した接着剤であり、レンズ保持部材2と両持ち梁部TG6とを繋ぐように配置されている。
【0144】
具体的には、両持ち梁部TG6は、弾性体としての上側板ばね16Xの一部であるため、落下衝撃の際に、接触部CP6が当接部50又は当接部51と接触した後で跳ね返り、レンズ保持部材2を上下に振動させてしまう。ダンパ材GEは、このレンズ保持部材2の振動の減衰を早めることができる。
【0145】
上側板ばね16Xの内側部分16iは、
図19(A)及び
図19(B)に示すように、レンズ保持部材2の上側台座部12dに取り付けられる。そして、内側部分16iは、レンズ保持部材2の上面(Z1側の面)に固定される。具体的には、上側板ばね16Xは、内側部分16iに形成された切り欠き部CT1のそれぞれに塗布された接着剤GL3によってレンズ保持部材2に接着固定される。
【0146】
上側板ばね16Xの両持ち梁部TG6は、
図19(B)に示すように、レンズ保持部材2の上側台座部12dから外側に張り出すように配置される。また、両持ち梁部TG6の凸部PRは、内側部分16iに形成された切り欠き部CT2のそれぞれに向かって突出するように配置される。このとき、上側板ばね16Xは、内側部分16iに形成された切り欠き部CT2の位置が、レンズ保持部材2の被写体側(Z1側)の端面に形成された凹部RS3の位置と対応するように配置される。
【0147】
ダンパ材GEは、
図19(C)に示すように、凸部PRと内側部分16iとレンズ保持部材2とを繋ぐように配置される。
【0148】
この構成により、ダンパ材GEは、衝撃緩和部としての両持ち梁部TG6によって引き起こされるレンズ保持部材2の振動の減衰を早めることができる。
【0149】
上述のように、レンズ駆動装置101は、例えば
図12に示すように、支持部材としての磁石保持部材MHと、レンズ体を保持可能なレンズ保持部材2と、磁石保持部材MHとレンズ保持部材2とを繋ぐように設けられた上側板ばね16及び下側板ばね26と、磁石保持部材MHに対してレンズ保持部材2を光軸方向へ移動させる駆動機構である軸方向駆動機構MKと、レンズ保持部材2が上方へ移動した際に機能する第1衝撃緩和部としての片持ち梁部TG2と、レンズ保持部材2が下方へ移動した際に機能する第2衝撃緩和部としての片持ち梁部TG1と、を有する。そして、片持ち梁部TG1及び片持ち梁部TG2は、上側板ばね16及び下側板ばね26の何れか一方の板ばねである下側板ばね26によって構成されている。すなわち、片持ち梁部TG1及び片持ち梁部TG2は、下側板ばね26の一部として一体化されている。
【0150】
或いは、レンズ駆動装置101Aは、例えば
図15に示すように、支持部材としてのスペーサ部材SP及びベース部材18と、レンズ体を保持可能なレンズ保持部材2と、スペーサ部材SPとレンズ保持部材2とを繋ぐように設けられた上側板ばね16、及び、ベース部材18とレンズ保持部材2とを繋ぐように設けられた下側板ばね26と、スペーサ部材SP及びベース部材18に対してレンズ保持部材2を光軸方向へ移動させる駆動機構である軸方向駆動機構MKと、レンズ保持部材2が上方へ移動した際に機能する第1衝撃緩和部としての、且つ、レンズ保持部材2が下方へ移動した際に機能する第2衝撃緩和部としての両持ち梁部TG5と、を有する。そして、両持ち梁部TG5は、上側板ばね16及び下側板ばね26の何れか一方の板ばねである上側板ばね16によって構成されている。すなわち、両持ち梁部TG5は、上側板ばね16の一部として一体化されている。
【0151】
上側板ばね16及び下側板ばね26のうちの一方の板ばねで衝撃緩和部が実現されるようにする上述の構成は、レンズ保持部材2が光軸方向に移動したときの衝撃を緩和する構造を有するレンズ駆動装置101及び101Aのそれぞれの設計自由度を高めることができる。例えば、上述の構成は、上側板ばね16及び下側板ばね26のうちの他方の板ばねに関する高い設計自由度を確保することができる。他方の板ばねには衝撃緩和部を設ける必要がないためである。また、上述の構成は、上側板ばね16及び下側板ばね26のうちの一方の板ばねで衝撃緩和部が実現されるようにするため、部品点数を削減することができる。一方の板ばねの一部として衝撃緩和部が形成されるため、すなわち、衝撃緩和部が単体の部品として形成される必要がないためである。また、上述の構成は、上側板ばね16及び下側板ばね26のうちの一方の板ばねで衝撃緩和部が実現されるようにするため、第1衝撃緩和部と第2衝撃緩和部との干渉を防止できる。
【0152】
レンズ駆動装置101及び101Aは、望ましくは、第1衝撃緩和部が第1弾性部を有し、且つ、第2衝撃緩和部が第2弾性部を有するように構成される。例えば
図12に示すように、レンズ駆動装置101は、第1衝撃緩和部としての片持ち梁部TG2が第1弾性部としての弾性部EP2を有し、且つ、第2衝撃緩和部としての片持ち梁部TG1が第2弾性部としての弾性部EP1を有するように構成されている。或いは、
図16に示すように、レンズ駆動装置101Aは、第1衝撃緩和部及び第2衝撃緩和部の双方として機能する両持ち梁部TG5が第1弾性部及び第2弾性部としての弾性部EP5を有するように構成されている。
【0153】
この構成により、レンズ駆動装置101及び101Aは、光軸方向に移動するレンズ保持部材2の運動エネルギを衝撃緩和部によって弾性的に吸収できるため、光軸方向におけるレンズ保持部材2の過度に速い移動を抑制できる。
【0154】
第1弾性部及び第2弾性部の少なくとも一方には、貫通孔が形成されていてもよい。例えば
図13に示すように、レンズ保持部材2が上方へ移動した際に機能する第1衝撃緩和部の第1弾性部である片持ち梁部TG4の弾性部EP4には、貫通孔H6が形成されている。
【0155】
この構成は、例えば、何らかの要因によって弾性部EP4の設計長さが制限される場合であっても、所望のばね定数が実現されるようにする。設計者は、貫通孔H6の形状及び大きさ等を変更することで、片持ち梁部TG4のばね定数を調整できるためである。
【0156】
上側板ばね16及び下側板ばね26のうちの一方の板ばね、すなわち、第1衝撃緩和部及び第2衝撃緩和部を含む板ばねは、望ましくは、支持部材に固定される第1部分と、レンズ保持部材2に固定される第2部分と、第1部分と第2部分との間に位置する弾性腕部と有する。この場合、第1衝撃緩和部及び第2衝撃緩和部の一方は、第1部分に繋がっており、第1衝撃緩和部及び第2衝撃緩和部の他方は、第2部分に繋がっている。例えば
図12に示すレンズ駆動装置101では、下側板ばね26は、支持部材としての磁石保持部材MHに固定される第1部分としての外側部分26eと、レンズ保持部材2に固定される第2部分としての内側部分26iと、外側部分26eと内側部分26iとの間に位置する弾性腕部26gと有する。この場合、第1衝撃緩和部としての片持ち梁部TG2は、第2部分としての内側部分26iに繋がっており、第2衝撃緩和部としての片持ち梁部TG1は、第1部分としての外側部分26eに繋がっている。或いは、第1衝撃緩和部及び第2衝撃緩和部が上側板ばね16によって構成されている場合には、上側板ばね16は、支持部材としての磁石保持部材MHに固定される第1部分としての外側部分16eと、レンズ保持部材2に固定される第2部分としての内側部分16iと、外側部分16eと内側部分16iとの間に位置する第1弾性腕部16gと有する。この場合、第1衝撃緩和部としての片持ち梁部は、第1部分としての外側部分16eに繋がっており、第2衝撃緩和部としての片持ち梁部は、第2部分としての内側部分16iに繋がっている。
【0157】
この構成では、1枚の板ばねの一部として第1衝撃緩和部及び第2衝撃緩和部が形成されるため、レンズ駆動装置101の初期状態での光軸方向における第1衝撃緩和部及び第2衝撃緩和部のそれぞれの位置(高さ)のバラツキが抑制される。レンズ駆動装置101の初期状態は、例えば、光軸方向が鉛直方向となるようにレンズ駆動装置101が配置され、且つ、駆動機構に電流が供給されていないときの状態を意味する。したがって、この構成は、初期状態での第1衝撃緩和部の光軸方向における位置(高さ)の精度を高めることができるため、第1衝撃緩和部が機能するときのレンズ保持部材2の上昇距離のバラツキを抑えることができる。また、この構成は、初期状態での第2衝撃緩和部の光軸方向における位置(高さ)の精度を高めることができるため、第2衝撃緩和部が機能するときのレンズ保持部材2の下降距離のバラツキを抑えることができる。そのため、この構成は、レンズ保持部材2が光軸方向に移動したときの衝撃をより確実に緩和できる。
【0158】
第1衝撃緩和部及び第2衝撃緩和部の少なくとも一方は、弾性腕部に繋がっていてもよい。例えば
図13に示すレンズ駆動装置101では、第2衝撃緩和部としての片持ち梁部TG3は、下側板ばね26の弾性腕部26gに繋がっている。すなわち、この構成では、弾性腕部26gの一部が衝撃緩和部として利用される。そのため、この構成は、例えば、衝撃緩和部の配置に関する制限を緩和でき、レンズ駆動装置101の筐体内の空間のスペース効率を高めることができる。この構成では、第2衝撃緩和部は、必ずしも下側板ばね26の外側部分26eから延びている必要はないためである。
【0159】
支持部材は、望ましくは、衝撃緩和部の上面と対向する第1当接部と、衝撃緩和部の下面と対向する第2当接部とを有する。例えば
図15に示すレンズ駆動装置101Aでは、第1衝撃緩和部及び第2衝撃緩和部を有する衝撃緩和部としての両持ち梁部TG5は、上側板ばね16に形成されている。そして、支持部材としての上側スペーサ部材USPは、両持ち梁部TG5の上面と対向する第1当接部としての当接部51を有し、支持部材としての下側スペーサ部材LSPは、両持ち梁部TG5の下面と対向する第2当接部としての当接部50を有する。
【0160】
この構成では、両持ち梁部TG5が第1衝撃緩和部としても第2衝撃緩和部としても機能するため、第1衝撃緩和部と第2衝撃緩和部とが別々の位置に配置される必要がない。そのため、この構成は、衝撃緩和部が配置される位置に関する設計自由度を高めることができる。
【0161】
衝撃緩和部は、両持ち梁状に形成されていてもよい。例えば
図15に示すように、衝撃緩和部は、上側板ばね16の一部である両持ち梁部TG5で構成されていてもよい。この場合、上側板ばね16は、ケース4を構成する外壁部4Aの第1側板部4A1に沿って延びるように配置された(光軸JDから見てX1側に配置された)両持ち梁部TG5と、第3側板部4A3に沿って延びるように配置された(光軸JDから見てX2側に配置された)両持ち梁部TG5とを有する。
【0162】
この構成では、両持ち梁部TG5が利用されるため、同様の大きさ及び形状を有する片持ち梁部が利用される場合に比べ、ばね定数が大きい。そのため、この構成は、片持ち梁部が利用される場合にはばね定数が小さくなり過ぎて所望のばね定数を実現できないといった状況にも対応できる。
【0163】
支持部材は、一対のスペーサ部材SPを有していてもよい。この場合、衝撃緩和部を含む、上側板ばね16及び下側板ばね26の何れか一方の板ばねは、一対のスペーサ部材SPによって挟持される。例えば
図15に示すレンズ駆動装置101Aでは、支持部材は、上側スペーサ部材USPと下側スペーサ部材LSPとの組み合わせを含む。そして、衝撃緩和部としての両持ち梁部TG5を含む上側板ばね16は、上側スペーサ部材USPと下側スペーサ部材LSPとによってその外側部分16eが挟持されている。
【0164】
この構成では、光軸方向におけるレンズ保持部材2の最大移動量は、スペーサ部材SPの厚みを変更することによって調整され得る。具体的には、光軸方向におけるレンズ保持部材2の上方への最大移動量は、上側スペーサ部材USPの厚みを変更することによって調整され、光軸方向におけるレンズ保持部材2の下方への最大移動量は、下側スペーサ部材LSPの厚みを変更することによって調整され得る。
【0165】
第1衝撃緩和部は、望ましくは、光軸JDの周りで周方向に間隔を空けて3つ以上配置されている。同様に、第2衝撃緩和部は、望ましくは、光軸の周りで周方向に間隔を空けて3つ以上配置されている。例えば、第1衝撃緩和部としての片持ち梁部TG2は、
図12(A)に示すように、光軸JDの周りで周方向に約90度間隔で4つ配置されている。同様に、第2衝撃緩和部としての片持ち梁部TG1は、
図12(A)に示すように、光軸JDの周りで周方向に約90度間隔で4つ配置されている。
【0166】
この構成により、レンズ駆動装置101は、例えば、レンズ保持部材2が上方に移動し、片持ち梁部TG2が磁石保持部材MHと接触したときに、レンズ体の中心軸線が光軸JDに対して傾いてしまうのを防止できる。レンズ駆動装置101は、4つの片持ち梁部TG1を同時に磁石保持部材MHに接触させることができるためである。なお、第1衝撃緩和部は、例えば、光軸JDの周りで周方向に約120度間隔で3つ配置されていてもよく、光軸JDの周りで周方向に約60度間隔で6つ配置されていてもよい。第2衝撃緩和部についても同様である。
【0167】
レンズ駆動装置101は、望ましくは、レンズ保持部材2が上方へ第1距離だけ移動した際にレンズ保持部材2と当接する第1ストッパ部と、レンズ保持部材2が下方へ第2距離だけ移動した際にレンズ保持部材2と当接する第2ストッパ部と、を有する。この場合、第1衝撃緩和部は、第1距離より小さい距離だけレンズ保持部材2が上方へ移動した際に機能し、第2衝撃緩和部は、第2距離より小さい距離だけレンズ保持部材2が下方へ移動した際に機能するように構成されている。例えば
図10に示すレンズ駆動装置101は、レンズ保持部材2が上方へ第1上昇距離だけ移動した際にレンズ保持部材2と当接する第1ストッパ部としての、上側板ばね16の外側部分16eの下面USFと、レンズ保持部材2が下方へ第1下降距離だけ移動した際にレンズ保持部材2と当接する第2ストッパ部としての当接部24cと、を有する。この場合、第1衝撃緩和部としての片持ち梁部TG2は、第1上昇距離より小さい第2上昇距離だけレンズ保持部材2が上方へ移動した際に磁石保持部材MHに接触し、第2衝撃緩和部としての片持ち梁部TG1は、第1下降距離より小さい第2下降距離だけレンズ保持部材2が下方へ移動した際にレンズ保持部材2に接触するように構成されている。
【0168】
この構成では、光軸方向におけるレンズ保持部材2の移動は、メカニカルストッパによって制限される前に、衝撃緩和部によって制限される。そのため、この構成は、レンズ保持部材2とメカニカルストッパを構成する部材(上側板ばね16又は磁石保持部材MH)との間の衝突力が過度に大きくなってしまうのを防止できる。また、この構成は、レンズ保持部材2とメカニカルストッパを構成する部材とが接触するまでの区間におけるレンズ保持部材2の急激な移動を抑制できるため、上側板ばね16及び下側板ばね26の塑性変形をより確実に防止できる。
【0169】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形及び置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0170】
例えば、上述のレンズ駆動装置101では、ワイヤ8の下端部は、ベース部材18に埋設された端子部材7に固定されている。しかしながら、ワイヤ8の下端部は、合成樹脂で形成されたベース部材18に固定され、ベース部材18に形成された導電パターンに通電可能に接続されていてもよい。或いは、ワイヤ8の下端部は、ベース部材18に積層されたフレキシブルプリント基板又はコイル基板等の固定側部材に固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0171】
2・・・レンズ保持部材 2c・・・当接部 2p、2q・・・突出部 3・・・可動コイル 4・・・ケース 4A・・・外壁部 4A1・・・第1側板部 4A2・・・第2側板部 4A3・・・第3側板部 4A4・・・第4側板部 4B・・・上面部 4s・・・収納部 5・・・磁石 5A・・・第1磁石 5B・・・第2磁石 5C・・・第3磁石 5D・・・第4磁石 6・・・板ばね 7、7X・・・端子部材 8・・・ワイヤ 8A・・・第1ワイヤ 8B・・・第2ワイヤ 8C・・・第3ワイヤ 8D・・・第4ワイヤ 9・・・固定コイル 9A・・・第1固定コイル 9B・・・第2固定コイル 9C・・・第3固定コイル 9D・・・第4固定コイル 10・・・センサ 10A・・・第1センサ 10B・・・第2センサ 12・・・筒状部 12b・・・下側台座部 12c・・・当接部 12d・・・上側台座部 12j・・・コイル支持部 12t・・・突起部 13・・・巻回部 16、16X・・上側板ばね 16c・・・ワイヤ固定部分 16e・・・外側部分 16f・・・第2弾性腕部 16g・・・第1弾性腕部 16h・・・接続板部 16i・・・内側部分 16x・・・貫通孔 17・・・コイル基板 18・・・ベース部材 18k・・・開口 18q・・・突出部 18t・・・突起部 19・・・凹部 23d・・・凹部 24c・・・当接部 25t・・・突起部 26、26X・・・下側板ばね 26c・・・接続部分 26e・・・外側部分 26g・・・弾性腕部 26i・・・内側部分 26p・・・連結部 33・・・線材 33A・・・巻き始め側の端部 33B・・・巻き終わり側の端部 50、51・・・当接部 52・・・フランジ部 72・・・突出部 101、101A・・・レンズ駆動装置 CP1~CP6・・・接触部 CT1、CT2・・・切り欠き部 EP1~EP6・・・弾性部 ES1~ES7・・・端面 GE・・・ダンパ材 GL1~GL3・・・接着剤 H1~H8・・・貫通孔 JD・・・光軸 LB・・・下側部材 LPT・・・隆起部 LSP・・・下側スペーサ部材 MB・・・可動側部材 MH・・・磁石保持部材 MHc・・・当接部 MHt・・・突起部 MK・・・軸方向駆動機構 PR・・・凸部 RG・・・固定側部材 RK・・・径方向駆動機構 RS1~RS3・・・凹部 SD・・・半田 SP・・・スペーサ部材 TG1~TG4・・・片持ち梁部 TG5、TG6・・・両持ち梁部 UPT・・・隆起部 USP・・・上側スペーサ部材