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  • 特許-無線機器収納用箱体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】無線機器収納用箱体
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20231102BHJP
   H01Q 1/42 20060101ALI20231102BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20231102BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
H01Q1/42
H05K5/03 B
H05K5/02 L
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020030733
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021136546
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 晴彦
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】実公昭46-29625(JP,Y1)
【文献】実開平6-5232(JP,U)
【文献】特開2003-258966(JP,A)
【文献】特開2002-57471(JP,A)
【文献】特開平11-261322(JP,A)
【文献】特開2000-4113(JP,A)
【文献】米国特許第10276939(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/22
H01Q 1/42
H05K 5/03
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面を除く少なくとも一面が開口する箱本体と、前記開口を開閉する扉体とを備えた無線機器収納用箱体であって、
前記底面に水抜きのための孔が穿設され、当該孔に水抜き構造を有するキャップが取り付けられているとともに、
前記キャップに、前記孔から前記箱本体の外側へ膨出しているとともに、前記箱本体の内側から膨出部分にアンテナを収納可能とされたアンテナ保持部が設けられていることを特徴とする無線機器収納用箱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば外部の通信機との間で通信する無線機器を収納するためのキャビネット等といった無線機器収納用箱体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の無線機器収納用箱体において、収納している無線機器と外部の通信機との間で通信するためのアンテナは、箱本体の外部に露出する格好で設けられていた(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平6-5232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、箱本体の外部にアンテナが露出していると、外観が損なわれてしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、箱本体の外部にアンテナが露出しておらず、外観の優れた無線機器収納用箱体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、底面を除く少なくとも一面が開口する箱本体と、前記開口を開閉する扉体とを備えた無線機器収納用箱体であって、前記底面に水抜きのための孔が穿設され、当該孔に水抜き構造を有するキャップが取り付けられているとともに、前記キャップに、前記孔から前記箱本体の外側へ膨出しているとともに、前記箱本体の内側から膨出部分にアンテナを収納可能とされたアンテナ保持部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、箱本体の底面に水抜きのための孔を穿設し、当該孔に水抜き構造を有するキャップを取り付けるとともに、キャップに、孔から箱本体の外側へ膨出しているとともに、箱本体の内側から膨出部分にアンテナを収納可能とされたアンテナ保持部を設けている。したがって、アンテナは、箱本体の外側においてアンテナ保持部に覆われるため、アンテナによって外観が損なわれることのない無線機器収納用箱体とすることができる。また、水抜き構造を有するキャップに、アンテナ保持部としての機能をももたせているため、構成の合理化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】扉体が開かれた状態にある無線機器収納用箱体を示した斜視説明図である。
図2図1と同状態にある無線機器収納用箱体を異なる方向から示した斜視説明図である。
図3】アンテナ基板を示した斜視説明図である。
図4】水抜きキャップを示した斜視説明図である。
図5】(a)は、水抜きキャップを上方から示した説明図であり、(b)は、(a)中のA-A線断面を示した説明図である。
図6】水抜きキャップが取り外された状態にある無線機器収納用箱体の底面を拡大して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる無線機器収納用箱体(以下、単に箱体と称す)について、図面にもとづき詳細に説明する。
図1は、扉体2が開かれた状態にある箱体1を示した斜視説明図である。図2は、図1と同状態にある箱体1を異なる方向から示した斜視説明図である。図3は、アンテナ基板20を示した斜視説明図である。図4は、水抜きキャップ10を示した斜視説明図である。図5(a)は、水抜きキャップ10を上方から示した説明図であり、図5(b)は、図5(a)中のA-A線断面を示した説明図である。図6は、水抜きキャップ10が取り外された状態にある箱体1の底面4を拡大して示した説明図である。
【0010】
箱体1は、左右一対の側面3、3、底面4、天面5、及び背面6を有して前面に開口する箱本体と、箱本体の前面開口を開閉する扉体2とを備えてなり、箱本体の内部には、外部に設置される通信機(図示せず)との間で無線通信可能な各種無線機器(図示せず)が収納可能となっている。また、箱本体の底面4には、水抜きのための丸孔7、7が開設されており、各丸孔7には、水抜きキャップ10が取り付けられている。そして、水抜きキャップ10に、無線機器が通信機との間で無線通信するためのアンテナ21を有するアンテナ基板20が保持される。なお、箱体1は、壁面等を設置面として背面6を固定する格好で設置される。
【0011】
ここで、本発明の要部となる水抜きキャップ10について説明する。
水抜きキャップ10は、上下方向に長い円柱状のアンテナ保持部11と、アンテナ保持部11の外周上端から径方向外側へ突設された鍔部12と、アンテナ保持部11の上端面から更に上方へ突設された装着部13とを一体的に備えた合成樹脂製の部材である。
【0012】
アンテナ保持部11は、アンテナ基板20よりも上下長さが長く形成されてなり、該アンテナ保持部11には、上端面に開口する保持溝14、14が設けられている。各保持溝14において、上面視での長さは、後述する基板22の左右長さ(基板22における短手方向での長さ)と略同じとされ、上面視での幅は、基板22の厚みと略同じとされ、上下方向での深さは、基板22の上下長さ(基板22における長手方向での長さ)と略同じとされている。また、各保持溝14における上面視での長さ方向両端には、後述する接続部24を収容可能な収容部15が夫々設けられている。そして、そのような2つの保持溝14、14は、上面視で中央部分が直交するような状態で設けられている。
【0013】
装着部13は、丸孔7の径と略同じ径とされた円筒状に成形されており、アンテナ保持部11の上端面では、装着部13内に保持溝14、14が位置している。また、装着部13には、後述の如くして箱本体に取り付ける際、丸孔7の開口縁(箱本体の底面4)に係止する係止爪18、18が設けられている。さらに、装着部13には、先端から基端にかけて(上下方向で全体にわたって)切り欠かれた切り欠き19、19が設けられており、該切り欠き19、19によって、装着部13内へ入り込んだ水を、丸孔7を介して箱本体外へ排出可能としている。
【0014】
また、アンテナ保持部11の上端面であって、装着部13の基端外周に沿っては、切り欠き19、19から排出される水を受けるための案内溝16が刻設されている。さらに、鍔部12は、丸孔7よりも大径とされており、該鍔部12の上面には、案内溝16から径方向外側へ延びる排水溝17、17が凹設されている。なお、各排水溝17は、径方向外側へ向かって徐々に下降傾斜する傾斜状に設けられている。
【0015】
なお、アンテナ基板20は、矩形の基板22の表面にアンテナ(本実施形態ではループアンテナ)21が設けられてなるもので、アンテナ21には、無線機器から延びるケーブル23が接続されている。24は、アンテナ21とケーブル23との接続部である。
【0016】
上記水抜きキャップ10を箱本体に取り付けるにあたっては、箱本体の外側から丸孔7を介して装着部13を箱本体の内側へ差し込み、箱本体の内側において係止爪18、18を丸孔7の開口縁に係止させればよい。すると、箱本体の底面4が係止爪18、18と鍔部12とにより上下から挟み込まれ、水抜きキャップ10は、丸孔7から箱本体の外側へ膨出する格好でアンテナ保持部11が箱本体の外側に位置し、且つ、保持溝14、14が箱本体の内側に開口した状態で、箱本体に取り付けられることになる。そして、該取付状態にあっては、箱本体の外側ではアンテナ保持部11及び鍔部12が丸孔7を覆っており、丸孔7を介して水が箱体1内へ浸入する事態を防止している。一方、箱体1の内側において装着部13内へ入り込んだ水については、切り欠き19、19から丸孔7を介して箱体1外側へ排出し、更に案内溝16から排水溝17、17を通って排水する。
【0017】
また、無線機器から延びるケーブル23に接続されたアンテナ基板20に関しては、箱本体に取り付けられている水抜きキャップ10の保持溝14へ基板22を差し込んで保持させればよい。すると、アンテナ保持部11に覆われてはいるものの、アンテナ21部分は箱本体の外側へ突出することになり、たとえ箱体1が金属製であったとしても通信機と無線機器との間で良好に無線通信させることができる。
【0018】
以上のような構成を有する箱体1によれば、水抜き構造を有する水抜きキャップ10に、箱本体への取付状態において丸孔7から箱本体の外側へ膨出しているとともに、箱本体の内側から膨出部分にアンテナ21が搭載された基板22を差し込み可能なアンテナ保持部11を設けている。したがって、アンテナ21は、箱本体の外側に位置しているものの、アンテナ保持部11に覆われることになるため、アンテナ21によって箱体1の外観が損なわれることがない。
また、水抜きキャップ10にアンテナを保持するための機能をもたせているため、構成の合理化を図ることができる。
【0019】
なお、本発明に係る無線機器収納用箱体は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、箱本体の全体的な構成は勿論、キャップの構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0020】
たとえば、上記実施形態では、アンテナ保持部に保持溝を設けるとしているが、アンテナの形状等によっては、保持溝の代わりに、アンテナを係止可能な係止部を有する収納空間を設ける等してアンテナ保持部を構成してもよい。
また、箱本体の外側へ膨出する部分に関しても、上記実施形態では円柱状としているが、アンテナを収納可能でさえあれば平たいカバー状に形成してもよく、どのような形状とするかは適宜設計変更可能である。
【0021】
さらに、上記実施形態では、水抜き構造として、案内溝や排水溝、切り欠きをキャップに設けているが、具体的にどのような水抜き構造を設けるかについても適宜設計変更可能である。
さらにまた、上記実施形態では、水抜きキャップを箱本体の外側から取り付けるとしているが、箱本体の内側から水抜きキャップを取り付けるとしても何ら問題はない。
加えて、箱本体に対しキャップを取り付ける構造についても、上記実施形態の係止爪や鍔部に何ら限定されることはない。
【符号の説明】
【0022】
1・・無線機器収納用箱体、4・・底面、7・・丸孔(孔)、10・・水抜きキャップ(キャップ)、11・・アンテナ保持部、12・・鍔部、13・・装着部、14・・保持溝、16・・案内溝(水抜き構造)、17・・排水溝(水抜き構造)、18・・係止爪、19・・切り欠き、20・・アンテナ基板、21・・アンテナ、22・・基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6