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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/00 20060101AFI20231102BHJP
   F24C 15/10 20060101ALI20231102BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
F24C15/00 M
F24C15/10 B
F24C3/12 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020071860
(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公開番号】P2021167707
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安井 俊文
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特許第2851628(JP,B2)
【文献】特開2003-092178(JP,A)
【文献】特開2007-010252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/00
F24C 15/10
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を加熱する加熱部と、
前記被調理物の温度を検出する温度検出部と、
ユーザによって前記加熱部の火力条件及び前記被調理物の温度制御情報が入力される入力部と、
前記加熱部を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、記憶モードと、再現モードを実行可能であって、
前記制御装置は、前記記憶モードにおいて、前記入力部で入力された前記火力条件に従って前記加熱部を制御し、前記被調理物の温度が前記入力部で入力された前記温度制御情報に基づく温度条件を満たすと、前記加熱部の前記火力条件を切り替えるとともに、前記温度条件と、前記被調理物の温度が前記温度条件を満たす前に前記入力部で入力された前記火力条件と、前記被調理物の温度が前記温度条件を満たした後に前記入力部で入力された前記火力条件と、を関連付けた調理プログラムを記憶し、
前記制御装置は、前記再現モードにおいて、前記被調理物の温度が前記調理プログラムに基づく前記温度条件を満たすまで、前記調理プログラムに基づく前記被調理物の温度が前記温度条件を満たす前に入力された前記火力条件に従って前記加熱部を制御し、前記被調理物の温度が前記調理プログラムに基づく前記温度条件を満たすと、前記調理プログラムに基づく前記被調理物の温度が前記温度条件を満たした後に入力された前記火力条件に従って前記加熱部を制御する、加熱調理器。
【請求項2】
前記記憶モードにおいて、前記被調理物の温度が前記温度条件を満たす前に入力された前記火力条件は、
第1所定時間の間、前記ユーザによって前記火力条件が変更されない場合と、
前記ユーザが点火操作を実行してから第2所定時間が経過した場合と、のいずれかの場合に、前記温度条件と関連付けて前記調理プログラムとして記憶され、
前記記憶モードにおいて、前記被調理物の温度が前記温度条件を満たした後に入力された前記火力条件は、第3所定時間の間、前記ユーザによって前記火力条件が変更されない場合に、前記温度条件と関連付けて前記調理プログラムとして記憶される、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記加熱部による加熱の継続時間を計時可能な計時部をさらに備え、
前記制御装置は、前記記憶モードにおいて、前記被調理物の温度が前記温度制御情報に基づく前記温度条件を満たした後の、前記加熱部による加熱の前記継続時間も関連付けて、前記調理プログラムを記憶し、
前記制御装置は、前記再現モードにおいて、前記被調理物の温度が前記調理プログラムに基づく前記温度条件を満たした後、前記調理プログラムに基づく前記継続時間が経過するまで、前記調理プログラムに基づく前記被調理物の温度が前記温度条件を満たした後に入力された前記火力条件に従って前記加熱部を制御する、請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記温度制御情報は、前記被調理物の沸騰に関する制御情報である、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記制御装置は、外部端末と通信可能であって、
前記外部端末は、前記記憶モードで前記制御装置に記憶された調理プログラムを記憶可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
外部端末のためのコンピュータプログラムであって、
前記外部端末に搭載されるコンピュータを、以下の各部、即ち、
請求項1から4に記載の加熱調理器が記憶モードで記憶した調理プログラムを受信する受信部と、
前記加熱調理器が再現モードで作動するときに、前記調理プログラムを前記加熱調理器に送信する送信部と、
して機能させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、加熱調理器が開示されている。この加熱調理器は、被調理物を加熱する加熱部と、被調理物の温度を検出する温度検出部と、ユーザによって加熱部の火力条件及び被調理物の温度制御情報が入力される入力部と、加熱部を制御する制御部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-139303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した加熱調理器は、被調理物の温度が温度制御情報に基づく温度条件(例えば沸騰の検知条件)を満たした後は、ユーザによって事前に設定された火力条件に基づいて加熱部を制御している。さらに、加熱調理器にはユーザが事前に設定した火力条件が記憶可能であるため、ユーザは、記憶されている火力条件を用いて繰り返し調理を行うことが可能である。しかしながら、加熱を開始してから被調理物の温度が温度条件を満たすまでの火力条件は、ユーザが調理の度に入力する必要があることから、ユーザの操作が煩雑になるおそれがある。本明細書では、このような問題を解決又は少なくとも軽減し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する加熱調理器は、被調理物を加熱する加熱部と、被調理物の温度を検出する温度検出部と、ユーザによって加熱部の火力条件及び被調理物の温度制御情報が入力される入力部と、加熱部を制御する制御部と、を備え、制御部は、記憶モードと、再現モードを実行可能である。制御部は、記憶モードにおいて、入力部において入力された火力条件に従って加熱部を制御し、被調理物の温度が入力部で入力された温度制御情報に基づく温度条件を満たすと、加熱部の火力条件を切り替えるとともに、温度条件と、被調理物の温度が温度条件を満たした後に入力部で入力された火力条件と、を関連付けた調理プログラムを記憶する。さらに、制御部は、再現モードにおいて、被調理物の温度が調理プログラムに基づく温度条件を満たすまで、調理プログラムに基づく被調理物の温度が温度条件を満たす前に入力された火力条件に従って加熱部を制御し、被調理物の温度が調理プログラムに基づく温度条件を満たすと、調理プログラムに基づく被調理物の温度が温度条件を満たした後に入力された火力条件に従って加熱部を制御する。
【0006】
上記した加熱調理器は、記憶モードにおいて、被調理物の温度が入力部で入力された温度制御情報に基づく温度条件を満たす前にユーザが入力した火力条件と、調理物の温度が温度条件を満たした後に入力部で入力された火力条件と、を記憶しておいて、その後に再現モードにおいて、同様の火力条件で繰り返し調理を行うこと(即ち再現調理)ができる。このような構成によると、ユーザは、被調理物の温度が温度条件を満たす前及び後の火力条件を、調理の度に入力する必要がない。従って、ユーザの操作を簡素化することができる。さらには、上記の構成によれば、被調理物の温度が温度条件を満たす前及び後の火力条件は、実際に調理を行いながら記憶されるため、再現調理における火力の過不足が抑制される。
【0007】
上記の加熱調理器の記憶モードにおいて、被調理物の温度が温度条件を満たす前に入力された火力条件は、第1所定時間の間、ユーザによって火力条件が変更されない場合と、ユーザが点火操作を実行してから第2所定時間が経過した場合と、のいずれかの場合に、温度条件と関連付けて調理プログラムとして記憶されてもよい。さらには、記憶モードにおいて、被調理物の温度が温度条件を満たした後に入力された火力条件は、第3所定時間の間、ユーザによって火力条件が変更されない場合に、温度条件と関連付けて調理プログラムとして記憶されてよい。
【0008】
このような構成によると、被調理物の温度が温度条件を満たす前に入力された火力条件が、第1所定時間の間、ユーザによって火力条件が変更されない場合と、ユーザが点火操作を実行してから第2所定時間が経過した場合と、のいずれかの場合に、ユーザによる火力の調整が完了したと判断することができる。また、被調理物の温度が温度条件を満たした後に入力された火力条件が、第3所定時間の間、ユーザによって火力条件が変更されない場合に、ユーザによる火力の調整が完了したと判断することができる。
【0009】
上記の加熱調理器は、加熱部による加熱の継続時間を計時可能な計時部をさらに備えてもよい。さらには、制御部は、記憶モードにおいて、被調理物の温度が温度制御情報に基づく温度条件を満たした後の、加熱部による加熱の継続時間も関連付けて、調理プログラムを記憶してもよい。この場合、制御部は、再現モードにおいて、被調理物の温度が調理プログラムに基づく温度条件を満たした後、調理プログラムに基づく継続時間が経過するまで、調理プログラムに基づく前記被調理物の温度が前記温度条件を満たした後に入力された火力条件に従って加熱部を制御するように構成されていてもよい。
【0010】
このような構成によると、被調理物の温度が温度制御情報に基づく温度条件を満たした後の加熱の継続時間についても、記憶モードで記憶しておいて、再現モードで同様の継続時間を再現することができる。
【0011】
上記の加熱調理器において、温度制御情報は、被調理物の沸騰に関する制御情報であってもよい。
【0012】
このような構成によると、被調理物の温度に基づいて、被調理物の沸騰が検知される。上記の構成によれば、被調理物の沸騰が検知される前にユーザが入力した火力条件について、記憶モードで記憶しておいて、再現モードで同様の火力条件を再現することができる。
【0013】
上記の加熱調理器において、加熱調理器は、外部端末と通信可能であってもよい。外部端末は、記憶モードで制御部に記憶された調理プログラムを記憶可能であってもよい。
【0014】
このような構成によると、記憶モードで制御部に記憶された調理プログラムを、加熱調理器から外部端末に送信して、外部端末に記憶することができる。従って、加熱調理器の記憶容量を比較的に小さくすることができる。
【0015】
本明細書が開示する外部端末のためのコンピュータプログラムは、外部端末に搭載されるコンピュータを、加熱調理器が記憶モードで記憶した調理プログラムを受信する受信部と、加熱調理器が再現モードで作動するときに、調理プログラムを加熱調理器に送信する送信部と、して機能させてもよい。
【0016】
このような構成によると、外部端末は、加熱調理器に記憶された調理プログラムを、加熱調理器から受信する。このため、外部端末は、加熱調理器に代わって調理プログラムを記憶することができる。従って、加熱調理器の記憶容量を比較的に小さくすることができる。外部端末はさらに、加熱調理器が再現モードで作動するときに、調理プログラムを加熱調理器へ送信する。このため、ユーザは、外部端末に記憶された所望の調理プログラムを、加熱調理器へ送信することができ、再現モードによって当該調理プログラムに基づいて再現調理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例の加熱調理器2を手前側からみた斜視図を示す。
図2】実施例の加熱調理器2の構成を模式的に示す。
図3】記憶モードと再現モードに係る処理のタイムチャートを示す。
図4】記憶モードに係る処理のフローチャートを示す。
図5】再現モードに係る処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例)
図1図2を参照して、実施例に係る加熱調理器2について説明する。加熱調理器2は、システムキッチンに組み込んで使用されるガス燃焼式のビルトインコンロである。加熱調理器2は、前面4aがシステムキッチンの手前側に露出する本体4と、本体4の上部に配置されており、システムキッチンのカウンタトップに露出する天板6と、を備えている。
【0019】
天板6には、被調理物である鍋やフライパン等の調理容器を支持する複数の五徳8と、それぞれの五徳8に対応して設けられた複数のコンロバーナ10と、それぞれのコンロバーナ10に対応して設けられている複数の温度センサ12と、が設けられている。
【0020】
複数のコンロバーナ10は、被調理物を加熱する加熱部の一例である。複数のコンロバーナ10には、ガス供給路(図示せず)が接続されている。ガス供給路には、コンロバーナ10へのガスの供給量を調整するための流量調整弁(図示せず)が設けられている。コンロバーナ10は、コンロバーナ10にガスが供給されている状態でイグナイタ(図示せず)を動作させることで、点火する。コンロバーナ10の火力(即ち、加熱量)は、ガスの供給量を変更することによって、調整することができる。そして、コンロバーナ10へのガスの供給が停止されることで、コンロバーナ10は消火される。複数の温度センサ12の各々は、対応する五徳8に支持される被調理物の温度をそれぞれ検出する、温度検出部の一例である。温度検出部は、例えば鍋底の温度を測定するセンサであってよい。
【0021】
本体4は、本体4の内部に設けられて食材を収容するグリル庫20と、本体4の前面4aに配置されてグリル庫20を開閉するグリル扉22と、本体4の前面4aにおいてグリル扉22の右側に設けられたコンロ操作部24と、本体4の前面4aにおいてグリル扉22の左側に設けられたグリル操作部26と、を備えている。なお、グリル庫20の内部には、グリル庫20内に収容した食材を加熱するグリルバーナ20a(図2参照)と、グリル庫20内の温度を検出する温度センサ(図示せず)が設けられている。グリルバーナ20aは、グリル庫20内の被調理物を加熱する加熱部の一例である。
【0022】
コンロ操作部24は、加熱調理器2の電源スイッチ40と、複数の火力操作部42と、パネル操作部44とを備える。
【0023】
複数の火力操作部42は、それぞれ、複数のコンロバーナ10の各々に対応する。火力操作部42は、ユーザによって加熱部の火力条件が入力される入力部の一例である。火力操作部42は、コンロバーナ10の点火及び消火を行うとともに、コンロバーナ10の火力の調整を行うための操作部である。火力操作部42は、オルタネイト型のスイッチである。ユーザによって火力操作部42を消火位置から点火位置に移動させるための操作(以下、点火操作と称する)が実行されると、コンロバーナ10が点火され、ユーザによって火力操作部42を消火位置から点火位置に移動させるための操作(以下、消火操作と称する)が実行されると、コンロバーナ10が消火される。点火位置とは、火力操作部42の前面が本体4の前面4aよりも前方に突出している位置であり、消火位置とは、火力操作部42が本体4内に収容されている位置である。また、ユーザは、火力操作部42が点火位置に位置している状態において、火力操作部42を時計方向又は反時計方向に操作することで、対応するコンロバーナ10の火力条件を調整することができる。ここでいう火力条件とは、例えば10段階の火力条件を有しており、火力1、火力2、火力3と段階が上がる毎に火力が強くなる。なお、火力は火力ゼロ(即ち、消火状態)であってもよい。火力条件が火力ゼロの場合、特に限定されないが、加熱調理器2は余熱調理を実行することができる。
【0024】
パネル操作部44は、表示部46と、加熱温度操作部48と、調理モード操作部50と、を備える。表示部46には、複数のコンロバーナ10の各々の火力条件といった、動作状態が表示される。加熱温度操作部48は、コンロバーナ10によって加熱される被調理物の温度を設定するための操作部である。調理モード操作部50は、コンロバーナ10を利用した調理モードによる調理を設定するための操作部である。即ち、加熱温度操作部48と、調理モード操作部50とは、ユーザによって被調理物の温度制御情報が入力される入力部の一例である。加熱調理器2は、被調理物の温度が、ユーザによって入力された温度制御情報に基づく温度条件を満たすか否かを監視する。
【0025】
グリル操作部26は、火力操作部61と、パネル操作部63と、を備える。ユーザは、火力操作部61を操作することによって、グリルバーナ20aの点火及び消火を行うとともに、グリルバーナ20aの火力の調整を行うことができる。火力操作部61の構造は、コンロ操作部24の火力操作部42と同様である。
【0026】
パネル操作部63は、表示部64と、調理モード操作部66と、加熱温度操作部68とを備える。表示部64には、グリルバーナ20aの動作状態などが表示される。調理モード操作部66の機能はグリルバーナ20aに対応する操作部である点を除いて、調理モード操作部50と同様の機能を有する。加熱温度操作部68の機能は、グリルバーナ20aに対応する操作部である点を除いて、加熱温度操作部48と同様の機能を有する。即ち、加熱温度操作部68と、調理モード操作部66とは、グリルバーナ20aを用いた被調理物の温度制御情報が入力される入力部の一例である。
【0027】
加熱調理器2はさらに、コンロバーナ10やグリルバーナ20aを制御する制御装置52と、コンロバーナ10による加熱の継続時間を計時可能な計時部60と、通信実行部70を備える。制御装置52は、記憶モードと再現モードを実行可能である。記憶モードは、火力操作部42によって入力された火力条件と、調理モード操作部50によって入力された温度制御条件と、計時部60によって計時された計時時間を関連付けた調理プログラムを記憶可能な制御モードである。なお、記憶モードにおいて、計時部60によって計時された計時時間は調理プログラムに関連付けられていなくてもよい。再現モードは、調理プログラムに基づいてコンロバーナ10を制御することによって、再現調理が可能な制御モードである。
【0028】
計時部60は、コンロバーナ10の火力条件に係わらず、加熱の継続時間を計時可能である。即ち、火力条件が火力ゼロの場合であっても、その火力条件の継続時間を計時することができる。計時部60が計時した計時時間は、火力条件と共に調理プログラムに記憶される。計時時間の記憶方法は特に限定されない。例えば、火力5を3分間、火力3を2分間、火力7を2分間、とするように、火力条件毎にその火力条件の継続時間を記憶することができる。その他の例として、火力5で調理を開始し、3分経過時に火力3に火力変更、5分経過時に火力7に変更、とするように、調理開始から調理終了までの間における火力変更のタイミングを火力条件と共に記憶することもできる。
【0029】
通信実行部70は、外部端末62と無線通信を実行するためのインターフェースである。加熱調理器2は、通信実行部70を介して、外部端末62と無線通信を実行することができる。無線通信としては、例えば、Bluetooth(登録商標)による通信を用いることができる。外部端末62は、特に限定されないが、例えば、スマートフォンやタブレットといった端末装置であってよい。外部端末62は、制御部71を備える。制御部71は、外部端末62の動作を制御する。また、制御部71は、メモリ72を備える。メモリ72には、調理器アプリ74が格納されている。調理器アプリ74は、例えば、インターネット上のサーバから外部端末62にインストールされる。制御部71は、調理器アプリ74に従って、外部端末62の動作を制御することができる。
【0030】
以下、図3図4を参照して、加熱調理器2の動作、特に、制御装置52の記憶モード時の制御動作について一例を説明する。ここで、図3中のグラフA1は、記憶モードにおけるコンロバーナ10の火力の経時変化を示す。グラフA2は、記憶モードにおける計時部60の計時時間(即ち、後述する計時時間T1)を示す。グラフA3は、再現モードにおけるコンロバーナ10の火力の経時変化を示す。
【0031】
図4の処理は、ユーザが加熱調理器2や外部端末62によって、所定の操作を行い、記憶モードが設定されることによって開始される。先ず、ステップS10では、ユーザが調理モード操作部50を操作することによって、温度制御条件が入力される。本実施例においては、沸騰モードが入力されたとする。このとき、入力される温度制御情報は、例えば揚げ物モード等の、他の調理モードであってもよい。或いは、ユーザが、調理モード操作部50に代わって加熱温度操作部48を操作することによって、温度制御情報として所定の加熱温度が入力されてもよい。
【0032】
ステップS12の処理に進むと、ユーザによって点火操作が実行されることによって、コンロバーナ10は所定の火力で点火する(図3の時刻t1)。
【0033】
次いで、ステップS14の処理に進むと、制御装置52は調理プログラムの記憶を開始するとともに、先ず、ユーザによってステップS10で入力された温度制御情報(即ち、沸騰モード)を調理プログラムに関連付けて記憶する。次いで、ステップS16の処理では、計時部60はカウントアップを開始し、コンロバーナ10の加熱の継続時間を計時する。ここで、計時部60によって計時された時間を計時時間T1とする。次いで、ステップS18の処理に進む。
【0034】
ステップS18では、制御装置52は、コンロバーナ10の火力が変更されたか否かを判定する。時刻t1以降において、コンロバーナ10の火力は、ユーザによる火力操作部42への操作に応じて変化する。即ち、制御装置52は、ユーザによる火力操作部42への操作に従って、コンロバーナ10の火力を制御する。コンロバーナ10の火力が変更されている場合(ステップS18でYES)、制御装置52は、ステップS20の処理に進む。その一方で、火力が変更されていない場合には(ステップS18でNO)、ステップS60の処理に進む。ステップS60の処理については、後段にて説明する。
【0035】
ステップS20の処理に進むと、計時部60はカウントをリセットした後、再びカウントアップを開始する。即ち、計時部60は、コンロバーナ10の、変更後の火力の継続時間を計時する。その後、制御装置52は、再びコンロバーナ10の火力の変更が実施されたか否かを判定する(ステップS22)。火力が変更されていない場合(ステップS22でYES)、ステップS23の処理に進む。その一方で、火力が変更されている場合(ステップS22でNO)、ステップS20の処理へ戻る。即ち、ステップS20では、制御装置52が認識したコンロバーナ10の新たな火力条件の、継続時間の計時が実行される。
【0036】
ステップS23の処理に進むと、制御装置52は、計時時間T1と第1所定時間Tth1を比較する。このときの第1所定時間Tth1は、ユーザによる火力の調整が完了したことを認識するために予め定められた閾値である。即ち、計時時間T1が第1所定時間Tth1に達していれば、制御装置52は、ユーザによる火力の変更が第1所定時間Tth1の間実施されていないと判断でき、ユーザによる火力の調整が完了したと判断できる。第1所定時間Tth1は、例えば10秒であってよい。
【0037】
制御装置52は、計時時間T1が第1所定時間Tth1以上であると判断した場合(ステップS23でYES)、ステップS24の処理に進む。その一方で、計時時間T1が第1所定時間Tth1未満であると判断した場合には(ステップS23でNO)、ステップS22の処理に戻る。
【0038】
ステップS24の処理に進むと、制御装置52は、その時点におけるコンロバーナ10の火力条件を、第1火力a1として調理プログラムに記憶する(図3の時刻t2参照)。このとき、制御装置52は、ユーザに対して報知処理を実行してもよい。この報知処理は、制御装置52がコンロバーナ10の火力条件を記憶したことをユーザに報知するものである。報知処理の具体的な態様は特に限定されないが、例えば、ユーザの聴覚や視覚を通じて知覚されるものであってよい。例えば、表示部46に所定のランプを点灯することや、メッセージを表示することや、所定の報知音を出力することが挙げられる。
【0039】
これまでの説明から理解されるように、図3に示す記憶モードでは、制御装置52は、ユーザによる火力条件の変更の有無と計時時間T1とを継続的に監視し、必要に応じて計時部60のカウントのリセット及びリスタートを行う。そのため、少なくとも第1所定時間Tth1の間、ユーザによるコンロバーナ10の火力条件の変更が実行されていない場合に、制御装置52は、第1火力a1を調理プログラムに記憶する。従って、加熱調理器2は、被調理物の温度が温度条件を満たす前にユーザによって入力された火力条件と、当該温度条件とを関連付けた調理プログラムを、制御装置52に記憶させることができる。
【0040】
なお、第1火力a1の記憶については、上記の態様に限られず、例えばステップS60に示すように、ユーザが点火操作を実行してから第2所定時間Tth2が経過するまでの間、ユーザによる火力操作部42の操作が一度も実行されなかった時点における火力を、第1火力a1として記憶してもよい。第2所定時間Tth2は、例えば20秒であってよい。その他の一例として、ユーザが点火操作を実行してから、第3所定時間Tth3が経過した時点でのコンロバーナ10の火力を、第1火力a1として記憶してもよい。この場合、点火操作後のユーザによる火力変更の有無に係わらず、第1火力a1を記憶することができる点で、ステップS60の処理とは異なる。第3所定時間Tth3は、例えば30秒であってよい。
【0041】
なお、ユーザによる点火操作が実行されてから、ステップS24において制御装置52が第1火力a1を記憶するまでの間(即ち、時刻t1から時刻t2までの間)、コンロバーナ10の火力条件は、ユーザによる火力操作部42への操作に応じて変化する。しかしながら、ステップS24において制御装置52が第1火力a1を記憶した後(即ち、時刻t2以降)においては、コンロバーナ10の火力は、火力操作部42への操作による火力条件の変更の有無に係わらず、調理プログラムに記憶した第1火力a1に制御されている。従って、第1火力a1が記憶された後において、火力操作部42の操作よるコンロバーナ10の火力条件の変更があった場合、その変更は制御装置52に記憶されなくてもよい。或いは、第1火力a1が記憶された後においては、ユーザによる火力条件の変更を禁止してもよい。
【0042】
ステップS26の処理に進むと、制御装置52は、被調理物の温度がユーザによって入力された温度制御情報に基づく温度条件を満たすか否かを判断する。即ち、本実施例においては、被調理物の温度が、沸騰モードに基づく温度条件を満たしたか否かが判断される。沸騰モードに基づく温度条件とは、例えば、所定時間に対する被調理物の温度の勾配が、予め定められた所定値以下の時とすることができる。温度制御情報として、沸騰モードに代わって所定の加熱温度が入力されている場合には、被調理物の温度が所定の加熱温度以上となることを温度制御情報に基づく温度条件とすることができる。
【0043】
温度センサ12が検出する被調理物の温度が、沸騰モードに基づく温度条件を満たす(ステップS26でYES)ことによって、制御装置52は沸騰を検知する。このとき、制御装置52は、ユーザに対して報知処理を行ってもよい。この報知処理は、沸騰を検知したことを報知するものである。報知処理の具体的な態様は特に限定されないが、例えば、ユーザの聴覚や視覚を通じて知覚されるものであってよい。例えば、表示部46に所定のランプを点灯することや、メッセージを表示することや、所定の報知音を出力することが挙げられる。
【0044】
次いで、制御装置52は、ステップS28の処理に進む。ステップS28では、制御装置52は、コンロバーナ10の火力を所定の火力へ切り替える(図3の時刻t3参照)。このときの所定の火力は、予め制御装置52に記憶されていてよく、例えば比較的に弱い火力であってよい。次いで、ステップS30の処理に進むと、計時部60はカウントをリセットした後、再びカウントアップを開始する。次いで、ステップS32の処理に進む。
【0045】
ステップS32では、制御装置52は、ユーザによってコンロバーナ10の火力条件の変更が実施されたか否かを判定する。火力が変更されている場合(ステップS32でYES)、制御装置52は、ステップS34の処理に進む。その一方で、火力が変更されていない場合(ステップS32でNO)、ステップS62の処理に進む。ステップS62の処理については、後段にて説明する。
【0046】
ステップS34の処理に進むと、計時部60は、カウントをリセットした後、再びカウントアップを開始する。即ち、ステップS32の処理において認識した、コンロバーナ10の新たな火力条件の継続時間を計時する。その後、制御装置52は、再び火力の変更が実施されたか否かを判定する(ステップS36)。火力が変更されていない場合(ステップS36でYES)、ステップS37の処理に進む。その一方で、火力が変更されている場合(ステップS36でNO)、ステップS34の処理へ戻る。即ち、ステップS34では、制御装置52が認識したコンロバーナ10の新たな火力条件の、継続時間の計時が実行される。
【0047】
ステップS37の処理に進むと、制御装置52は、計時時間T1と第4所定時間Tth4とを比較する。このときの第4所定時間Tth4は、ユーザによる火力の調整が完了したことを認識するために予め定められた閾値である。即ち、計時時間T1が第4所定時間Tth4に達していれば、制御装置52は、ユーザによる火力の変更が第4所定時間Tth4の間実施されていないと判断でき、即ち、ユーザによる火力の調整が完了したと判断できる。なお、第4所定時間Tth4の値は、第1所定時間Tth1と同じであってもよく、異なっていてもよい。第4所定時間Tth4は、例えば10秒であってよい。
【0048】
制御装置52は、計時時間T1が第4所定時間Tth4以上であると判断した場合(ステップS37でYES)、ステップS38の処理に進む。その一方で、計時時間T1が第4所定時間Tth4未満であると判断した場合には(ステップS37でNO)、ステップS36の処理に戻る。
【0049】
ステップS38の処理に進むと、制御装置52は、その時点におけるコンロバーナ10の火力条件を、第2火力a2として調理プログラムに記憶する(図3の時刻t4参照)。従って、制御装置52は、被調理物の温度が温度条件を満たした後にユーザによって入力された火力条件を、調理プログラムに関連付けて記憶する。
【0050】
このとき、制御装置52は、ユーザに対して報知処理を実行してもよい。この報知処理は、前述したステップS24の処理の際に行ったものと同様に、制御装置52がコンロバーナ10の火力条件を記憶したことを、ユーザに報知するものである。報知処理の具体的な態様は特に限定されない。
【0051】
なお、第2火力a2の記憶については、上記の態様に限られず、例えばステップS62に示すように、制御装置52が沸騰を検知してから(時刻t3参照)、第5所定時間Tth5が経過するまでの間、ユーザによる火力操作部42の操作が一度も実行されなかった時点における火力を、第2火力a2として記憶してもよい。第5所定時間Tth5の値は、第2所定時間Tth2の値と同じであってもよく、異なっていてもよい。第5所定時間Tth5は、例えば20秒であってよい。
【0052】
次いで、ステップS40に進むと、制御装置52は、ユーザによって消火操作が実行されたか否かを判定する。ユーザによって消火操作が実行されると(ステップS40でYES)、制御装置52は、ステップS42の処理に進む。その一方で、ユーザによる消火操作が実行されない場合(ステップS40でNO)、ステップS64の処理に進む。ステップS64では、制御装置52は、ユーザの火力操作部42の操作による、火力条件の変更の有無を判定する。火力条件が変更されていない場合(ステップS64でNO)、再びステップS40の処理へ戻る。その一方で、火力条件が変更されている場合(ステップS64でYES)には、そのときの計時時間T1を、第1継続時間Tc1として記憶する(ステップS66)。従って、制御装置52は、被調理物の温度が温度条件を満たした後にユーザによって入力された新たな火力条件の継続時間を調理プログラムに関連付けて記憶することができる。
【0053】
次いで、制御装置52は、ステップS34の処理へ戻る。即ち、第2火力a2が制御装置52に記憶された後に、再びユーザによって新たな火力条件が入力された場合(ステップS64でYES)には、その新たな火力条件の継続時間を記憶した後に(ステップS66)、ステップS34の処理に戻り、新たな火力条件の継続時間の計時が開始される。
【0054】
その後、前述したステップS36及びステップS37の処理を経由して、制御装置52は、再びステップS38の処理に進む。このとき、制御装置52には、既に、第1火力a1と第2火力a2とが記憶されている。さらに制御装置52に新たな火力の記憶を実行する場合には、その火力を第3火力a3として記憶する。第3火力a3の継続時間は、仮に消火操作が実施されず、再度火力の変更が実施された場合には(ステップS40でNO、ステップS64でYES)、ステップS66の処理において、第2継続時間Tc2として記憶される。従って、制御装置52は、新たな火力条件と共に、その火力条件の継続時間とを関連付けた調理プログラムを記憶することができる。本実施例において、被調理物の温度が温度条件を満たした後の火力条件は、ユーザによって何度変更されてもよく、変更の度にステップS34以降の処理において、制御装置52は各々の火力条件とその継続時間とを共に調理プログラムに関連付けて記憶することができる。
【0055】
ユーザが火力操作部42を用いて、消火操作を実施すると(ステップS40でYES)、制御装置52は、ステップS42の処理に進む。ステップS42では、制御装置52は、その時の計時時間T1を第y継続時間Tcyとして記憶する。このときのyは、正の整数であり、被調理物の温度が温度条件を満たした後に制御装置52に記憶された火力条件の個数に対応する。ステップS44の処理に進むと、制御装置52は、コンロバーナ10を消火する。次いで、ステップS46では、通信実行部70を介して、外部端末62に調理プログラムを送信する。
【0056】
外部端末62の制御部71は、調理器アプリ74に従って、調理プログラムを受信することが可能であるとともに、その調理プログラムをメモリ72に保存することが可能である。従って、加熱調理器2に記憶された調理プログラムは、加熱調理器2に代わって外部端末62に蓄積して保存されることができる。即ち、加熱調理器2の記憶容量を比較的に小さくすることができる。さらに、外部端末62は、調理プログラムを編集することができる。従って、ユーザは、外部端末62を用いることによって、完成した調理物の出来栄えに応じて、調理プログラムの火力条件やその継続時間等を編集することができる。
【0057】
以下、図3及び図5を参照して、加熱調理器2の動作、特に、制御装置52の再現モード時の制御動作について一例を説明する。
【0058】
図5の処理は、ユーザが加熱調理器2や外部端末62によって、所定の操作を行い、再現モードが設定されることによって開始される。先ず、ステップS80では、外部端末62の制御部71は、調理器アプリ74に従って、メモリ72に格納されている調理プログラムを送信する。加熱調理器2は、通信実行部70を介して、外部端末62から調理プログラムを受信する。なお、本実施例において、再現する調理プログラムは、沸騰モードの調理プログラムと仮定する。
【0059】
次いで、ステップS82では、ユーザによって点火操作が実行されることによって、コンロバーナ10は所定の火力で点火する(グラフA3のt1参照)。次いで、ステップS84の処理に進む。
【0060】
なお、温度センサ12による被調理物の温度の検出は、被調理物を加熱調理器2(特に、五徳8)上に載置した状態で再現モードが設定された時から開始されてもよく、或いは、コンロバーナ10の点火操作が実行されてから開始されてもよい。
【0061】
ステップS84に進むと、制御装置52は、コンロバーナ10の火力を、調理プログラムに基づいて、第1火力a1に制御する(グラフA3のt5参照)。従って、ユーザは、再現調理の際に火力条件を入力する必要がなく、操作が比較的に簡素化する。さらには、沸騰前の火力(即ち、第1火力a1)は、記憶モードにおいて、実際に調理をしながら決定されているため、火力の過不足を抑制することができる。次いで、ステップS86の処理に進む。
【0062】
ステップS86では、制御装置52は、被調理物の温度が、調理プログラムに基づく温度条件を満たすか否かを判断する。即ち、本実施例においては、沸騰モードに基づく温度条件を満たしたか否かが判断される。被調理物の温度が調理プログラムに基づく温度条件を満たすことによって(ステップS86でYES)、制御装置52が沸騰を検知すると、制御装置52は、ステップS88の処理に進む。なお、沸騰は、記憶モードのときと同様に、温度センサ12の検知温度の温度勾配に基づいて検出されてよい。従って、記憶モード時と再現モード時で被調理物の初期の状態が異なっている場合であっても、記憶モードの際と同様に沸騰を検知することができる。
【0063】
ステップS88の処理に進むと、制御装置52は、被調理物が沸騰したことを外部端末62へ通知する。このとき、制御装置52はさらに、ユーザに対して報知処理を実行してもよい。この報知処理は、前述した、記憶モードにおいて沸騰を検知したことを報知したものと同様に、再現モードにおいて沸騰を検知したことを報知するものである。報知処理の具体的な態様は特に限定されない。なお、ステップS88の処理において、制御装置52は、被調理物が沸騰したことを外部端末62へ通知せずに、ユーザに対する報知処理のみを実行してもよい。
【0064】
次いで、ステップS90の処理に進むと、制御装置52は、コンロバーナ10の火力を、調理プログラムに基づいて第2火力a2に変更する(グラフA3の時刻t3参照)。従って、制御装置52は、被調理物の温度が調理プログラムに基づく温度条件を満たした後も、調理プログラムに従って新たな火力で加熱部を制御することができる。
【0065】
その後、ステップS91では、計時部60は、第2火力a2の継続時間の計時を開始する。次いで、ステップS92の処理に進むと、制御装置52は、計時時間T1と調理プログラムに基づく第1継続時間Tc1(即ち、第2火力a2の継続時間)とを比較する。計時時間T1が第1継続時間Tc1以上である場合(ステップS92でYES)、制御装置52はステップS93の処理に進む。一方で、計時時間T1が第1継続時間Tc1を下回る場合(ステップS92でNO)、ステップS92の処理へ戻る。従って、制御装置52は、被調理物の温度が調理プログラムに基づく温度条件を満たした後も、調理プログラムに基づく継続時間が継続するまで調理プログラムに基づく火力条件に従って加熱部を制御することができる。
【0066】
ステップS93の処理に進むと、制御装置52は、調理プログラムに継続して実行する新たな火力条件が含まれるか否かを判断する。継続して実行する火力条件が含まれる場合(ステップS93でYES)、制御装置52はステップS94の処理に進む。ステップS94では、制御装置52は、コンロバーナ10の火力を、調理プログラムに基づいて新たな火力条件に変更する。次いで、ステップS96では、制御装置52は、計時時間T1と、調理プログラムに基づく第x継続時間Tcxとを比較する。計時時間T1が、第x継続時間Tcxを上回る場合に(ステップS96でYES)、制御装置52はステップS93の処理に戻る。従って、調理プログラムに新たな火力条件が含まれる場合には、全ての火力条件の実行が終了するまで、ステップS93からステップS96の処理が繰り返し実行される。
【0067】
その一方で、調理プログラムに継続して実行する新たな火力が含まれていない場合(ステップS93でNO)、制御装置52は、ステップS98の処理に進む。ステップS98では、制御装置52は、再現調理が終了したと判断することができる。
【0068】
次いで、ステップS100では、制御装置52はコンロバーナ10を消火する。その後、ステップS102で、加熱調理器2は、通信実行部70を介して外部端末62へ再現モードが終了したことを通知する。このとき、制御装置52は、ユーザに対して報知処理を行ってもよい。この報知処理は、再現モードでの調理が終了したことを報知するものである。報知処理の具体的な態様は特に限定されない。なお、ステップS102の処理において、制御装置52は、再現モードが終了したことを外部端末62へ通知せずに、ユーザに対する報知処理のみを実行してもよい。
【0069】
(変形例)
本技術の一実施形態において、制御装置52が、加熱調理器2のグリル庫20のグリルバーナ20aについて、記憶モードと再現モードを実行可能としてもよい。この場合、グリルバーナ20aが、加熱部に対応する。このような構成によると、グリル庫20を用いた調理における調理プログラムの記憶、及び調理プログラムに基づく再現調理が可能である。
【0070】
本技術の一実施形態において、加熱部は誘電加熱コイルであってもよい。
【0071】
制御装置52は、記憶モードにおいて被調理物の温度が温度条件を満たした後に、コンロバーナ10の火力を自動的に所定の火力へ切り替えなくてもよい。この場合、温度条件を満たした後に、ユーザが火力操作部42を操作することによって新たな火力条件が入力されるまでの間、温度条件を満たした時点での火力を維持すればよい。
【0072】
本技術の一実施形態において、制御装置52は、記憶モードにおいて、被調理物の温度が温度条件を満たす前に、ユーザが入力した火力条件と、その火力条件による加熱の継続時間も関連付けて、調理プログラムに記憶してもよい。さらに、制御装置52は、再現モードにおいて、被調理物の温度が温度条件を満たす前においても、調理プログラムに従って加熱部を制御するように構成される。
【0073】
このような構成によると、被調理物の温度が温度制御情報に基づく温度条件を満たす前の火力条件及びその継続時間についても記憶モードで記憶しておいて、再現モードで同様の火力条件及び継続時間を再現することができる。このとき、調理プログラムに記憶される火力条件及びその継続時間は、一つ又は複数であってよい。なお、制御装置52は、再現モードで被調理物の温度条件が満たされる前の段階であり、記憶した調理プログラムの全てを実行し終えていない段階で、被調理物の温度条件が満たされたと判断した場合には、直ちに被調理物の温度が温度条件を満たした後の温度条件に切り替えてよい。
【0074】
以上、いくつかの具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは組み合わせによって技術的有用性を発揮するものである。
【符号の説明】
【0075】
2:加熱調理器
4:本体
4a:前面
6:天板
8:五徳
10:コンロバーナ
12:温度センサ
24:コンロ操作部
40:電源スイッチ
42:火力操作部
44:パネル操作部
46:表示部
48:加熱温度操作部
50:調理モード操作部
52:制御装置
60:計時部
62:外部端末
71:制御部
72:メモリ
74:調理器アプリ
T1:計時時間
図1
図2
図3
図4
図5