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特許7377767積層造形3D物体を仕上げるためのパターン化された事前停止部
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】積層造形3D物体を仕上げるためのパターン化された事前停止部
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/165 20170101AFI20231102BHJP
   B29C 64/147 20170101ALI20231102BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20231102BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20231102BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20231102BHJP
   B29C 64/205 20170101ALI20231102BHJP
【FI】
B29C64/165
B29C64/147
B29C64/245
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/205
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020091877
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021000821
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】16/445,703
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィッド・エイ・マンテル
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ジェイ・ニストロム
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ディー・ダニエルズ
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0169957(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0264725(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0370155(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0239893(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0175451(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0183796(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0082657(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形複合構造体を製作するための印刷システムであって、
ポリマー画像と、前記ポリマー画像を取り囲み、非印刷間隙によって前記ポリマー画像から空間的に分離された疑似画像とを有する基材材料を含む、3D物体のスライスと、
前記印刷システムを通して前記基材材料をプロセス方向に送り出すように構成された移送サブシステムと、
前記基材材料に隣接する積層造形デバイスと、
前記積層造形デバイスと通信する制御装置であって、前記制御装置は、前記基材材料の撮像領域上に前記ポリマー画像を所望のパターンで堆積させ、結果として前記基材材料上に前記ポリマー画像を生成するように前記積層造形デバイスを制御するよう構成されるとともに、前記ポリマー画像を取り囲む前記基材材料上に、前記ポリマー画像と前記疑似画像との間に前記基材材料の前記非印刷間隙を伴って前記ポリマー画像から分離して前記疑似画像を所定のパターンで堆積させるように前記積層造形デバイスを制御するようさらに構成されており、前記基材材料には、前記3D物体の前記スライスとして前記ポリマー画像及び前記疑似画像が印刷され、前記3D物体は、前記疑似画像がない複数の前記スライスの積層体を含む、制御装置と、を備え、
前記ポリマー画像は、外部角部と、前記外部角部に隣接する外部非鋭利領域とを含み、前記疑似画像は、前記外部角部に近接して前記外部角部の外側にある角境界部と、前記外部非鋭利領域に近接して前記外部非鋭利領域の外側にある非角境界部とを含み、前記角境界部は、前記疑似画像の前記非角境界部よりも高いポリマー密度を有する、印刷システム。
【請求項2】
前記積層造形デバイスが、
前記基材材料の前記撮像領域上に接着剤を前記所望のパターン及び前記所定のパターンの両方で選択的に堆積させるように構成された画像形成デバイスと、
前記撮像領域及び前記接着剤上にポリマー粉末を塗布するように構成された粉末アプリケータであって、前記ポリマー粉末は、前記接着剤との相互作用を介して前記基材材料に付着して、前記基材材料上に前記ポリマー画像及び前記疑似画像の両方を形成する、粉末アプリケータと、を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記積層造形デバイスが、第1の積層造形デバイスセクションと、前記プロセス方向において前記第1の積層造形デバイスセクションの下流にある第2の積層造形デバイスセクションと、を含み、
前記第1の積層造形デバイスセクションは、前記基材材料の前記撮像領域上に第1の接着剤を前記所望のパターンで選択的に堆積させるように構成された第1の画像形成デバイスと、前記撮像領域及び前記第1の接着剤上にポリマー粉末を塗布するように構成された第1の粉末アプリケータであって、前記ポリマー粉末は、前記第1の接着剤との相互作用を介して前記基材材料に付着して、前記撮像領域に前記ポリマー画像を形成する、第1の粉末アプリケータと、前記基材材料に付着しない、前記塗布されたポリマー粉末の全てを除去し、結果として前記基材材料上に前記ポリマー画像を生成するように構成された第1の粉末除去装置と、を含み、
前記第2の積層造形デバイスセクションは、前記ポリマー画像を取り囲む前記基材材料の前記撮像領域上に、第2の接着剤を前記所定のパターンで選択的に堆積させるための第2の画像形成デバイスと、前記ポリマー画像を取り囲む前記所定のパターン上に第2の粉末を塗布して、前記基材材料上に前記疑似画像を形成するように構成された第2の粉末アプリケータと、前記基材材料に付着しない、前記塗布された第2の粉末の全てを除去し、結果として前記基材材料上に前記ポリマー画像を取り囲む前記疑似画像を生成するように構成された第2の粉末除去装置と、を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記疑似画像が、前記ポリマー画像よりもサンドブラストに対する耐性が低い、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記疑似画像が、前記ポリマー画像とは異なる色である、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記所定のパターンが、前記ポリマー画像の前記所望のパターンとは異なる反復パターンを含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記疑似画像が、前記ポリマー画像よりも低いポリマー密度を有する、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記所定のパターンがハーフトーンパターンを含む、請求項7に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記基材材料上にポリマー画像を有しない前記基材材料及び前記疑似画像を前記スライスの積層体から洗浄するように構成された3D物体仕上機と、前記3D物体仕上機によって洗浄する対象として前記疑似画像を認識するように構成されたセンサとを更に含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項10】
前記制御装置が、前記外部角部に近接して前記外部角部から外向きに延びる前記角境界部を堆積させる際、及び前記外部非鋭利領域に近接して前記外部非鋭利領域の外側にある前記疑似画像の前記非角境界部を、前記ポリマー画像からの距離が前記角境界部に対応するように堆積させる際に、前記積層造形デバイスを制御するように更に構成されている、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項11】
請求項1に記載の印刷システムを用いて積層造形複合構造体を製作するための方法であって、
a)印刷システムの前記移送サブシステムを用いて前記基材材料をプロセス方向に送り出すことであって、前記基材材料は撮像領域を有する、ことと、
b)前記基材材料に隣接する前記印刷システムの前記積層造形デバイスを用いて、前記基材材料の前記撮像領域上に前記ポリマー画像を前記所望のパターンで選択的に堆積させ、結果として前記基材材料上に前記ポリマー画像を生成することと、
c)前記制御装置による制御を介して前記積層造形デバイスを用いて、前記ポリマー画像を取り囲んで前記ポリマー画像から空間的に分離された前記疑似画像を前記基材材料上に前記所定のパターンで選択的に堆積させることであって、前記疑似画像を選択的に堆積させることが、前記ポリマー画像と前記疑似画像との間に前記基材材料の前記非印刷間隙を残す、ことと、を含み、
前記基材材料には、前記ポリマー画像及び前記疑似画像が3D物体の前記スライスとして印刷され、前記3D物体は、前記疑似画像がない前記複数の前記スライスの前記積層体を含み、前記ポリマー画像は、外部角部と、前記外部角部に隣接する外部非鋭利領域とを含み、前記疑似画像は、前記外部角部に近接して前記外部角部の外側にある角境界部と、前記外部非鋭利領域に近接して前記外部非鋭利領域の外側にある非角境界部とを含み、前記角境界部は、前記疑似画像の前記非角境界部よりも高いポリマー密度を有する、方法。
【請求項12】
前記工程b)が、画像形成デバイスを用いて、前記基材材料の前記撮像領域上に接着剤を前記所望のパターンで選択的に堆積させることと、粉末アプリケータを介してポリマー粉末を前記撮像領域上に塗布して、前記接着剤との相互作用を介して前記ポリマー粉末を前記基材材料に付着させることと、を更に含み、前記積層造形デバイスは、前記画像形成デバイス及び前記粉末アプリケータを含み、前記工程c)が、前記画像形成デバイスを用いて、前記基材材料上に前記接着剤を前記所定のパターンで選択的に堆積させることと、前記粉末アプリケータを介して前記所定のパターン上に前記ポリマーを塗布して、前記接着剤との相互作用を介して前記ポリマー粉末を前記基材に付着させることと、を更に含み、かつ、粉末除去装置を用いて、前記基材材料に付着しない、前記塗布されたポリマー粉末の全てを除去し、結果として前記基材材料上に前記ポリマー画像及び前記疑似画像を生成する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
3D物体仕上機を用いて、前記スライスの前記積層体から前記疑似画像と、前記基材材料上にポリマー画像を有しない前記基材材料と、を除去し、結果として前記3D物体を生成することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
スキャナを用いて、前記ポリマー画像を取り囲む前記疑似画像を自動的に検出することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマー画像を取り囲む前記疑似画像を検出することと、前記疑似画像の検出時に前記除去する工程を修正することであって、前記修正することは、前記ポリマー画像に隣接する前記疑似画像と、前記基材材料上にポリマー画像を有しない前記基材材料と、を前記除去することの速度を遅くすることを含む、ことと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
積層造形複合構造体を製作するための積層造形システムであって、
ポリマー画像と、前記ポリマー画像を取り囲み、非印刷間隙によって前記ポリマー画像から空間的に分離された疑似画像とを有する基材材料を含む、3D物体のスライスと、
前記基材材料をプロセス方向に送り出すように構成された移送サブシステムと、
前記基材材料に隣接する積層造形デバイスと、
前記積層造形デバイスと通信する制御装置であって、前記制御装置は、前記基材材料の撮像領域上に前記ポリマー画像を所望のパターンで堆積させ、結果として前記基材材料上に前記ポリマー画像を生成するように前記積層造形デバイスを制御するよう構成されるとともに、前記ポリマー画像を取り囲む前記基材材料上に、前記ポリマー画像と前記疑似画像との間に前記基材材料の前記非印刷間隙を伴って前記ポリマー画像から分離して前記疑似画像を所定のパターンで堆積させるように前記積層造形デバイスを制御するようさらに構成されており、前記積層造形デバイスが、前記基材材料の前記撮像領域上に接着剤を前記所望のパターン及び前記所定のパターンの両方で選択的に堆積させるように構成された画像形成デバイスと、前記撮像領域及び前記接着剤上にポリマー粉末を塗布するように構成された粉末アプリケータであって、前記ポリマー粉末は、前記接着剤との相互作用を介して前記基材材料に付着して、前記基材材料上に前記ポリマー画像及び前記疑似画像の両方を形成し、結果として前記3D物体の前記スライスを生成する、粉末アプリケータと、を含む、制御装置と、
を備え、
前記疑似画像は、前記ポリマー画像よりも低いポリマー密度を有し、前記疑似画像は、前記ポリマー画像よりもサンドブラストに対する耐性が低く、前記所定のパターンは、前記ポリマー画像の前記所望のパターンとは異なるそれぞれのパターンであり、前記ポリマー画像は、外部角部と、前記外部角部に隣接する外部非鋭利領域とを含み、前記疑似画像は、前記外部角部に近接して前記外部角部の外側にある角境界部と、前記外部非鋭利領域に近接して前記外部非鋭利領域の外側にある非角境界部とを含み、前記角境界部は、前記疑似画像の前記非角境界部よりも高いポリマー密度を有し、前記積層造形システムは、
前記基材材料上にポリマー画像を有しない前記基材材料及び前記疑似画像を前記スライスの積層体から洗浄するように構成された3D物体仕上機と、前記3D物体仕上機によって洗浄する対象として前記疑似画像を認識するように構成されたセンサであって、前記3D物体は、前記疑似画像がない複数の前記スライスの積層体を含む、センサと、をさらに備える、積層造形システム。
【請求項17】
前記制御装置が、前記外部角部に近接して前記外部角部から外向きに延びる前記角境界部を堆積させる際、及び前記外部非鋭利領域に近接して前記外部非鋭利領域の外側にある前記疑似画像の前記非角境界部を、前記ポリマー画像からの距離が前記角境界部に対応するように堆積させる際に、前記積層造形デバイスを制御するように更に構成されている、請求項16に記載の積層造形システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、複合体系積層造形のためのシステム及び方法に関し、より具体的には、三次元物体、部品、及び構成要素(3D物体)を形成及び/又は製造するように構成された、印刷された基材シート層を構築するプロセスにおいて、ウェブ供給基材材料を剪断して積層された個々の基材シートに切断するための比較的高速なプロセスを実施することに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、出力製品の成形又は機械加工の様々な形態を含む、従来の物体、部品、及び構成要素の製造プロセスは、「積層造形」又はAM(additive manufacturing)技術と国際的に称される新しい種類の技術の商業的実装例を含むように発展している。これらのAM技術は、一般に、未完成の状態で時には毒性そうでなければ危険である付加材料の層が、特定の材料堆積及び硬化スキームに従って、プロセス中の3D物体上に順次堆積する、「固体自由造形(Solid Freeform Fabrication、SFF)」又は「3D印刷」と代替的に称されるプロセスを伴う。3D物体形成プロセスにおいて各層が付加されると、新たな材料層が付加され、1層以上の既に存在する層に付着する。次いで、各AM層は、少なくとも部分的に、3D物体構築プロセスにおける任意の次のAM層の堆積の前に、個々に硬化し得る。3D作業空間全体にわたって、この連続層材料の付加/接合は、様々なレベルの精巧さの自動制御下で実行される。
【0003】
AM製造技術としては、3D印刷物体を生成するために使用可能な「3D印刷」技術と広く称されるようになったこれらの技術が挙げられるが、これらに限定されない。3D印刷技術は、受像媒体基材上に二次元(two-dimensional、2D)印刷画像を形成するための周知のプロセスに適合する、及び周知のプロセスにいくつかの点で類似していると思われる1つ以上のプロセスを用いる。3D印刷技術によって生成される出力構造の有意な差は、一般的に、(1)3Dプリンタからの出力3D印刷物体を形成するために使用される堆積した材料の組成物、及び/又は(2)比較的多数の連続する(及び非常に薄い)堆積材料の層を堆積させて、層を出力3D印刷物体の形態に積み重ねる、「印刷」ヘッドによって行われる多数のパスに基づく。
【0004】
多数の粉末系AM技術が商業化されてきた。これらとしては、選択的レーザ焼結(selective laser sintering、SLS)、並びに3D印刷のためのトナー系2D印刷技術の特定の適合が挙げられる。当業者は、これらの実装例のうちの特定のものでは、特定の複雑な形状の作成を支持するための、別個の支持構造が通常必要とされないことを認識している。これらのプロセスのうちの特定のものでは、粉末材料は、過剰な粉末が手動で除去される3D物体に選択的に圧密化される。SLSプロセスでは、例えば、粉末の薄層が作業空間容器内に堆積し、次いで、粉末は、所望の断面の形状を追跡するレーザビームを使用して粉末を一緒に溶かす。本プロセスは、粉末層を堆積させることによって繰り返され、このようにこの様式で1層ずつ3D物体を構築する。典型的なトナー系3D印刷プロセスでは、バインダ材料は、粉末の各層上の3D物体の断面の形状で、一般的に結合剤を印刷するために使用される印刷技術で、層内に堆積した粉末を選択的に結合する。
【0005】
そこで、利用可能であるAM又は3D印刷プロセス及び技術の数が増加している。多数のこれらAM又は3D印刷プロセスの間の主な際立った特性は、層が、出力3D物体を作成するように堆積される様式、及び出力3D物体を形成するために使用される材料にある。
【0006】
(この用語が、3D印刷を含む様々な3D物体層化及び構築技術を参照するために本開示の残りの部分全体にわたって使用されるため)、AM技術の特定のものは、材料を溶融又は軟化して、例えば、適用された熱を通して入力材料の選択的レーザ溶融又は焼結などの技術を使用して、構築層を生成する。AM製造技術の他のものは、噴射(インク)材料「印刷」技術などのそれらの液体材料の堆積技術を使用して、液体材料を堆積及び硬化させる。
【0007】
いくつかの3Dプリンタは、部分断面の画像内で、プラスチックを、炭素繊維など、基材ウェブの繊維性シート上に印刷し、その後、積層体が加熱されて、プラスチック及び圧縮された積層体を溶融又は硬化させた後に、多くのシートを積層して、3D物体になる積層体を形成するプロセスを使用する。プロセスの次の工程は、プラスチックが含浸していない繊維性基材シート材料を除去/洗浄する工程を含む。これは、基材材料が、印刷されたプラスチックを有する基板よりも容易に除去されるため、典型的にはサンドブラスト処理により行われる。3D物体を過度に除去又は損傷することなく、どのようにサンドブラスト処理を行うかが懸念される。
【発明の概要】
【0008】
以下に、本教示の1つ以上の実施形態又は実施例のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化した概要を提示する。この概要は、広範な概略ではなく、本教示の主要な又は重要な要素を識別することも、本開示の範囲を明示することも意図していない。むしろ、その主要な目的は、単に、後に提示される詳細な説明の序文として、簡略化された形態で1つ以上の概念を提示するだけである。追加の目標及び利点は、図面の説明、本開示の詳細な説明、及び特許請求の範囲においてより明らかになるであろう。
【0009】
本開示で具体化される前述並びに/又は他の態様及び有用性は、複合体系積層造形の仕上げプロセスを改善するためのシステム及び方法を提供することによって達成され得る。印刷された部分を取り囲む追加の印刷パターンとしての疑似画像は、複合基材の望ましくない領域を所望の印刷及び融合部分から除去するサンドブラスト処理/除去工程を補助する。疑似画像パターンは、鋭角などの繊細な部分特徴部のための更なる保護を提供する。疑似画像パターンはまた、サンドブラスト処理プロセスがほぼ完了したときを知るために、操作者又は自動視覚システムに視覚的補助を提供し得る。パターンは、サンドブラスト角度又は基礎をなす部分形状に対して最適化され得る。利益としては、より一貫した仕上げによる3D物体部分の品質の改善、及び自動視覚システムを仕上げプロセスに追加することが可能になることが挙げられる。システム及び方法はまた、仕上げで損傷する部品の数を低減することによって、部品歩留まりを改善し得る。
【0010】
本明細書に記載される態様によれば、印刷システムを通して基材材料をプロセス方向に送り出すように構成された移送サブシステムと、基材材料に隣接する積層造形デバイスと、を含む、積層造形複合構造体を製作するための印刷システムである。積層造形デバイスは、基材材料の撮像領域上に所望のパターンでポリマー画像を堆積させ、結果として基材材料上にポリマー画像を生成するように構成される。積層造形デバイスは、疑似画像を、ポリマー画像を取り囲む基材材料上に所定のパターンで堆積させるように更に構成され、基材材料には、ポリマー画像及び疑似画像が3D物体のスライスとして印刷され、3D物体は疑似画像がない複数のスライスの積層体を含む。
【0011】
本明細書に示される態様によれば、積層造形複合構造体を製作する方法は、印刷システムの移送サブシステムを用いて、基材材料をプロセス方向に送り出すことと、基材材料に隣接する印刷システムの積層造形デバイスを用いて、基材材料の撮像領域上に所望のパターンでポリマー画像を選択的に堆積させ、結果として基材材料上にポリマー画像を生成することと、積層造形デバイスを用いて、ポリマー画像を取り囲む基材材料上に所定のパターンで疑似画像を選択的に堆積させることと、を含む。基材材料には、ポリマー画像及び疑似画像が3D物体のスライスとして印刷され、最終的な3D物体は、疑似画像がない複数のスライスの積層体を含む。
【0012】
本明細書に記載される態様によれば、積層造形複合構造体を製作するための積層造形システムは、基材材料をプロセス方向に送り出すように構成された移送サブシステムと、基材材料に隣接する積層造形デバイスと、を含む。積層造形デバイスは、基材材料の撮像領域上に所望のパターンでポリマー画像を堆積させ、結果として基材材料上にポリマー画像を生成するように構成される。積層造形デバイスは、ポリマー画像を取り囲む基材材料上に所定のパターンで疑似画像を堆積させるように更に構成される。積層造形デバイスは、基材材料の撮像領域上に、所望のパターン及び所定のパターンの両方で接着剤を選択的に堆積させるように構成された画像形成デバイスと、ポリマー粉末を撮像領域及び接着剤上に塗布するように構成された粉末アプリケータと、を含み、ポリマー粉末は、接着剤との相互作用を介して基材材料に付着して、基材材料上にポリマー画像及び疑似画像の両方を形成する。疑似画像は、ポリマー画像よりも低いポリマー密度を有してもよく、ポリマー画像よりもサンドブラスト処理に対する耐性が低くてもよい。所定のパターンは、ポリマー画像の所望のパターンとは異なる反復パターンであってもよい。したがって、基材材料には、ポリマー画像及び疑似画像が3D物体のスライスとして印刷されてもよく、3D物体は、仕上がりの際に、疑似画像がない複数のスライスの積層体を含む。
【0013】
積層造形システム及び印刷システムはまた、その上にポリマー画像を有しない基材材料及び疑似画像をスライスの積層体から洗浄するように構成された3D物体仕上機と、3D物体仕上機による洗浄の対象として疑似画像を認識するように構成されたスキャナと、を含んでもよい。
【0014】
本明細書には、例示的な実施形態を記載する。しかしながら、本明細書に記載する装置及びシステムの特徴を組み込むいずれのシステムも、例示的な実施形態の範囲及び趣旨に包含されることが想定される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
開示される装置、機構、及び方法の様々な例示的な実施形態は、以下の図面を参照して詳細に説明され、同様の参照番号は類似又は同一の要素を示す。
【0016】
図1】実施形態の実施例による、3D物体を印刷するための積層造形(AM)システムの側面図である。
図2】AMシステムの印刷操作後の例示的な切断され印刷された基材シートを示す。
図3】AMシステムの印刷操作後の例示的な所定の疑似画像パターンを示す。
図4】AMシステムの印刷操作後の別の例示的な切断され印刷された基材シートを示す。
図5】実施形態の実施例による、3D物体を印刷するための別のAMシステムの側面図である。
図6】複合体系積層造形縫製スキームを実施するための例示的な制御システムのブロック図を示す。
図7】印刷されたシートを縫製して、印刷されたシートの積層体を結合するための例示的な方法の操作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に開示されるデバイス、システム、及び方法の例示的な例が、以下に提供される。デバイス、システム、及び方法の一実施形態は、以下に記載される実施例のうちの任意の1つ以上、及び任意の組み合わせを含み得る。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、以下に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ完全になるように提供され、本発明の範囲を当業者に完全に伝える。したがって、例示的な実施形態は、本明細書に記載される装置、機構、及び方法の趣旨及び範囲内に含まれ得る全ての代替物、修正物、及び等価物を包含することが意図される。
【0018】
我々は、本開示の詳細を不必要に不明瞭にしないように、周知の出発材料、処理技術、構成要素、機器、及び他の周知の詳細の説明を単に要約するか、又は省略してもよいことを予め指摘する。したがって、詳細が他の方法で周知である場合、本開示の出願に任せて、それらの詳細に関する選択肢を提案又は指示する。図面は、基材ウェブ上に印刷するための例示的な方法、装置、及びシステムの実施形態に関連する様々な実施例を示し、AM製造のためのウェブの個々のシートを自動的に積層することを示す。
【0019】
本明細書における値の任意の数値範囲を指す場合、そのような範囲は、記載された範囲の最小値と最大値との間のそれぞれ及び全ての数及び/又は端数を含むと理解される。例えば、0.5~6%の範囲は、端点0.5%及び6%に加えて、0.6%、0.7%、及び0.9%の全ての中間値、5.95%、5.97%、及び5.99%などまでの全てを明示的に含む。文脈上明確に別段の指示がない限り、本明細書に記載される互いの数値特性及び/又は要素範囲にも当てはまる。
【0020】
量に関連して使用される修飾語「約」は、記述された値を含み、文脈によって規定される意味を有する(例えば、それは、少なくとも特定の量の測定に関連する誤差の程度を含む)。特定の値で使用される場合、その値を開示していると考慮される必要がある。例えば、「約2」という用語はまた、値「2」も開示し、範囲「約2~約4」はまた、範囲「2~4」も開示する。
【0021】
「媒体」、「ウェブ」、「ウェブ基材」、「印刷基材」、及び「基材シート」という用語は、一般に、予備切断又はウェブ供給にかかわらず、通常は、紙、ポリマー、マイラー材料、プラスチック、又は他の好適な物理的印刷媒体基材、シート、ウェブなどの、画像用の可撓性物理的シートを指す。「媒体」、「印刷媒体」、「印刷基材」、及び「印刷シート」という列挙された用語はまた、当業者に容易に理解されるように、織布、不織布、金属フィルム、炭素繊維強化材料、及び箔も含み得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「マーキング材料」という用語は、画像形成デバイスによってウェブ基材上に堆積して、基材上に画像を形成する印刷物質を指し得る。「マーキング材料」という列挙された用語としては、インク、トナー、金属粒子、プラスチック、顔料、粉末、溶融材料、ポリアミド、ナイロン、ガラス充填ポリアミド、エポキシ樹脂、バイオ系樹脂、ワックス、グラファイト、グラフェン、炭素繊維、フォトポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)、ABSフィラメント、高密度ポリエチレン(high-density polyethylene、HDPE)、高衝撃ポリスチレン(high impact polystyrene、HIPS)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PETT)、セラミック、導電性フィラメント、及び他のインクジェット材料を挙げることができる。
【0023】
本明細書で使用される場合、「画像形成デバイス」、「印刷デバイス」、又は「プリンタ」という用語は、デジタル複写機、スキャナ、画像印刷機、ゼログラフィックデバイス、デジタルプロダクションプレス、文書処理システム、画像再生機、製本機、ファクシミリ機、多機能機などの、任意の目的のための印刷出力機能を実行する任意の装置を包含し、いくつかのマーキングエンジン、供給機構、走査アセンブリ、並びに紙フィーダー、仕上機などの他の印刷媒体処理ユニットを含み得る。画像形成デバイスは、シート、ウェブ、マーキング材料などを取り扱うことができる。画像形成デバイスは、任意の表面上などにマークを置くことができ、入力シート上のマークを読み取る任意の機械、又はそのような機械の任意の組み合わせである。3Dプリンタは、3D物体などを作製し得る。図に示される構造体は、簡略化のために示されていない追加の機能を含み得るが、示された構造は、除去又は修正されてもよいことが理解されるであろう。
【0024】
「制御装置」という用語は、本明細書では、一般に、プロセス又は機械を指示又は調節する1つ以上のデバイスの操作に関する様々な装置を説明するために使用される。制御装置は、本明細書で論じられる様々な機能を実行するために、多数の方法(例えば、専用ハードウェアなど)で実施され得る。「プロセッサ」は、本明細書で論じる様々な機能を実行するために、ソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用して、プログラムされ得る1つ以上のマイクロプロセッサを用いる制御装置の一例である。制御装置は、プロセッサを用いて又は用いずに実施されてもよく、また、いくつかの機能を実行する専用ハードウェアと、他の機能を実行するプロセッサ(例えば、1つ以上のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連回路)との組み合わせとして実施されてもよい。本開示の様々な実施形態で用いられ得る制御装置構成要素の例としては、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
実施例は、本明細書に開示されるような方法を実施又は実行するための、コンピュータデバイス上で実行される場合、複数の命令を含む、少なくとも1つの機械可読媒体を更に含む。このようなコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。例として、限定するものではないが、このようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、若しくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、若しくは他の磁気記憶装置、又はコンピュータ実行可能命令又はデータ構造の形態の所望のプログラムコード手段を保持若しくは記憶するために使用され得る任意の他の媒体を含み得る。情報が、ネットワーク又は別の通信接続(有線、無線、又はこれらの組み合わせのいずれか)を介して、コンピュータに転送又は提供される場合、コンピュータは、コンピュータ可読媒体としての接続を適切に検査する。したがって、任意のこのような接続は、適切にコンピュータ可読媒体と呼ばれる。上記の組み合わせはまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0026】
コンピュータ実行可能命令としては、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は特定の機能又は機能群を実行する専用処理デバイスを起動する命令及びデータが挙げられる。コンピュータ実行可能命令としてまた、スタンドアロン環境又はネットワーク環境でコンピュータによって実行されるプログラムモジュールも挙げられる。一般に、プログラムモジュールとしては、特定のタスクを実行するか、又は特定の抽象データ型を実施するルーチン、プログラム、物体、構成要素、及びデータ構造などが挙げられる。コンピュータ実行可能命令、関連するデータ構造、及びプログラムモジュールは、本明細書に開示される方法の工程を実行するためのプログラムコード手段の例を表す。このような実行可能命令又は関連するデータ構造の特定のシーケンスは、その中に記載される機能を実施するための対応する行為の例を表す。
【0027】
本明細書で使用される場合、特に指定しない限り、「物体」という用語はまた、部品、要素、部分、又は構成要素も意味し得る。本明細書で使用される場合、物体は、3D印刷システム(プリンタ)によって個別に構築される、又は実際に構築される3D物体を指す。本明細書で言及されるような物体は、不可欠な部分を形成するために、層を連続的に付加することによって構築される。いくつかのプリンタは、同じ印刷ジョブの一部として、複数の独立した3D物体を含む3Dモデルからの複数の独立した部分を構築することができる。物体は、物体本体内に埋め込まれた空隙を含み得る。
【0028】
本発明の実施形態はこの点に関して限定されるものではないが、例えば、「処理する」、「コンピューティング」、「計算する」、「決定する」、「使用する」、「確立する」、「分析する」、「チェックする」などの用語を利用する考察は、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理的(例えば、電子的)量として表されるデータを、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理量として同様に表される他のデータ、又は操作及び/若しくはプロセスを実行する命令を記憶し得る他の情報記憶媒体に操作及び/又は変換するコンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、又は他の電子コンピューティングデバイスの操作(複数可)及び/又はプロセス(複数可)を指し得る。
【0029】
図1は、3D物体を印刷するための例示的なAMシステム100のブロック図である。AMシステム100は、材料フィーダー102、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、定着装置108、センサ110、カッター112、移送サブシステム114、積層装置サブシステム116、並びに様々な構成要素を接続及び制御する他の機能などの構成要素を含み得る。例示的な構成要素が図1に示されているが、様々な代替及び任意の構成要素もまた、システム100と共に使用するのに好適である。
【0030】
例示的な実装例では、三次元(3D)物体は、コンピュータ支援設計(computer-aided design、CAD)プログラムによって作成される物体のコンピュータ3Dモデルに従って印刷される。例えば、CADプログラムは、自由形式の不均一な有利基準的スプライン(non-uniform rational basis spline、NURBS)プログラムであってもよく、又はCADプログラムは、Solid Works(登録商標)であってもよい。AMシステム100では、マーキング材料(例えば、粉末)は、粉末サブシステム106によって、画像形成デバイス104によって画定されるような3D物体の薄いスライス又は層の「ポジ画像」に対応する基材材料118(又はその基材シート)上に、物理的パターンで選択的に堆積される。3D物体の各スライスについて、3D物体が存在するスライスの位置に対応するパターンで粉末が付着し、3D物体が存在しないスライス内の位置において、粉末は基材に付着しない。3D CADモデルの薄いスライスは、例えば、STLファイル形式の3Dモデルから開始し、Netfabb(登録商標)StudioソフトウェアのSlice Commander機能(Netfabb GmbH,Parsberg,Germanyから入手可能)を使用して、薄いスライスを作製することによって作製され得る。指定された3D部品又は物体を作製するために必要な多くの付加された基材シートのために繰り返される、基材シートを選択的にパターニングするこのサイクルは、通常各シートで、3D部品又は物体の層を表す。
【0031】
材料フィーダー102は、基材材料118(例えば、炭素繊維、紙)をロール又はシート形態(ここでは、例えばロール形態で示す)に保持し、画像形成デバイス104に移送するために、基材材料を適切な位置に置く。基材材料118は、移送サブシステム114を介して、画像形成デバイス104に移送されてもよく、移送サブシステム114は、AMシステム100を通って供給される基材材料の長さによって画定されるウェブを保持及び前進させるために使用される供給ローラー122と共に、張力付与機構120を含んでもよい。張力付与機構120は、AMシステムの構成要素に供給されるように教示される、基材材料118を保持するために位置する1つ以上のローラー124を含み得る。基材材料118のウェブは、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、定着装置108、センサ110を含むAMシステムの全ての構成要素を貫通することができ、次いで、以下により詳細に論じされるように、積層前にカッター112によって単一のシートに切断され得る。
【0032】
次いで、画像形成デバイス104は、基材材料118上の正確な位置で、画像状様式で接着剤(例えば、流体126)のパターンを堆積させ得る。流体126は、材料の一部が、3D物体のスライスのポジ画像として液体で被覆され、材料の一部が被覆されないように、基材材料118上に選択的に堆積する。流体126のパターンは、様々な手法を介して堆積し得る。例えば、画像形成デバイス104は、流体を分注するためのサーマルインクジェットヘッド又は圧電インクジェットヘッドを含み得る。例では、画像形成デバイス104は、流体126を分注するために空気圧をかけることができる。画像形成デバイス104はまた、空気圧が、空気の放出又は流体の分注を制御するために使用される場合、ソレノイド弁を含み得る。
【0033】
場合によっては、選択的に堆積する流体は、水、又は水の蒸発を遅らせる材料を含む水溶液であり得る。例えば、水溶液は、2-ピロリジノンを含み得る。他の場合では、アルコールなどの異なる流体が、選択的に堆積し得る。例えば、基材材料118が、感水性(例えば、ポリビニルアルコール(PVOH))である場合、次いで、水は、基材材料を歪ませるか又は溶解し得る。この場合、選択的に堆積する流体としてアルコールが使用され得る。場合によっては、展延から選択的に堆積するか、又は過剰に基材に吸収される液体流体を防止するために、液体流体を選択的に堆積させる前に、表面エネルギー調整剤又は撥水剤を基材に塗布することが有用である。
【0034】
次いで、材料フィーダー102は、基材材料118を、別個の構成要素として提供され得るか、又は単一の構成要素に一体化され得る、粉末アプリケータ128及び粉末除去装置130を含む、粉末サブシステム106に移送する。いずれの配置においても、粉末アプリケータ128は、3D物体粉末(例えば、熱可塑性粉末)を、基材材料上に堆積させるように構成されている。粉末は、画像形成デバイス104、すなわち層画像によって湿潤された基材の領域に付着するように構成されている。換言すれば、粉末アプリケータ128は、パターン化された層形状がちょうど印刷された基材材料118の表面上に、限定されないが熱可塑性粉末などの粉末を堆積させる。粉末は、基材材料又はそのシート上の印刷された(湿潤)領域に粘着するが、流体で覆われていない基材の部分には付着しない。
【0035】
典型的な用途では、粉末アプリケータ128は、粉末を収容するトラフを含み得る。トラフは、その下面にスロット付き開口部を有してもよく、粉末サブシステムの電気機械的振動装置に接続されている。振動装置は、作動時に、粉末を、基材がトラフの下で移動する間に、スロット付き開口部を通して下方に、トラフから基材上に流動させる。振動装置は、下の基板上のパターン化された流体の存在を感知するセンサ回路を含み得る制御装置150によって作動する。パターン化された流体が完全に通過すると、振動装置は停止して、トラフからの粉末流動を停止し得る。
【0036】
粉末は、他の手法によって選択的に堆積し得る。例えば、粉末は、基材の層の片側を粉末で満たし、次いで、基材の反対側をサーマル印刷ヘッドなどの適切なデバイスで選択的に加熱することによって、選択的に堆積し得る。この手法では、サーマル印刷ヘッドは、選択的にオン又はオフにすることができる、加熱素子の高解像度配列を含む。加熱される領域では、粉末は溶融し、基材に付着する。付着していない過剰な粉末は、例えば、粉末除去装置130により、過剰な粉末を真空にすることによって、又は過剰な粉末が重力を介して基材から落ちるように基材を裏返すことによって除去される。
【0037】
あるいは、粉末は、ゼログラフィック印刷で用いられるものと同様の選択的堆積技術を使用して堆積し得る。この手法では、電荷が粉末粒子に付与され、この粉末粒子は、基材118に向けられ、次いで基材の一部に選択的に付着するが、静電気引力又は斥力に起因する他のものではない。粉末粒子は、反対の電荷を有する基材の一部、又はこのような電荷を有する基材表面に隣接する基材の一部に付着し、同じ電荷を有する基材の一部から、又はこのような電荷を有する基材表面に隣接する基材の一部から反発される。
【0038】
あるいは、粉末は、磁気グラフィック印刷で用いられるものと同様の選択的堆積技術を使用して堆積し得る。この手法では、粉末は、基材層の一部に選択的に付着するが、粉末と、基材表面又は基材表面に隣接する基材層との間の磁力相互作用に起因する他のものではない。例えば、粉末は、単一の構成要素の磁性トナー、コロイド懸濁液(例えば、強磁性流体)、又は2成分トナーであり得る。磁鉄鉱又は酸化第二鉄(FeO)などの様々な磁気顔料が、この手法でトナー粉末に使用され得る。
【0039】
上記の実施例の全てでは、粉末を選択的に堆積させる工程は、固体粉末を非選択的様式で基材118に向けるサブ工程を含み得る。例えば、このサブ工程は、基材の表面全体を粉末で満たすことを含み得る。又は例えば、ゼログラフィック若しくは磁気グラフィックの例では、このサブ工程は、基材層全体に向けて帯電又は磁化された粉末を送ることを含み得る。
【0040】
更に図1を参照すると、粉末除去装置130は、次いで、基材に付着していない全ての粉末を除去する。粉末は、例えば、粉末除去装置に隣接して移動する際に、過剰な粉末を真空にすることによって、基材から除去され得る。典型的な用途では、粉末除去装置130は、(後述される)サイクロンに連結される真空モータを有する真空を含み得る。操作中、真空は、基材に付着していない粉末を引き、一方で、印刷領域に塗布された粉末は残る。サイクロンは、当業者によく理解されるように、再使用のために、真空処理された粉末を粉末アプリケータ128に再循環させ得る。特定の状況では、いくつかの望ましくない粉末が依然として基材材料上に存在し得るため、真空からの粉末除去量は不十分であり得る。このため、粉末除去装置130は、基材から任意の残りの過剰な粉末を除去するために、真空後のエアナイフを含み得る。除去された過剰な粉末はまた、再使用のためにサイクロンによって粉末アプリケータに再循環され得る。
【0041】
粉末システム106は、基材材料118が、画像形成デバイス104を通過すると、基材が、粉末システム106を自動的に移動するように、連続的に稼働するように設定され得る。あるいは、移送サブシステム114、画像形成デバイス、及び粉末システム106と通信する制御装置150は、粉末アプリケータ128、及び粉末除去装置130、又はそのサブシステムに、適切な時間でオン及びオフにするように指示し得る。
【0042】
基材118に粉末が塗布され、過剰な粉末が除去された後、残りの粉末は、基材上で溶融してもよく、その結果、粉末は、基材の印刷領域により永久的に付着し、したがって、後続の処理工程中の変位、破壊、又は脱落から保護される。この目的のために、任意の定着装置108は、粉末システム106の後に配置され得る。定着装置108は、粉末除去装置130から出る基材の上方に、下方に、又は隣接して配置され得る。定着装置108は、溶融させるのに十分であって、それによってパターン化された粉末を基材に固定する、例えば、これらに限定されないが、放射、IR、又は他の加熱手法であり得る。基材118が、粉末システム106から出て移動すると、定着装置108からの熱が、基材表面上の粉末を溶融させて、粉末を基材に固定させる。
【0043】
AMシステム100は、任意に、システムが故障していないこと、適切な量の粉末が堆積すること、基材材料が必要に応じて移動していること、個々の基材シートが必要に応じて移動していること、を確実にするためにセンサ110(例えば、カメラなどの撮像デバイス)、及びプロセスの他の品質保証態様を有し得る。センサは、例えば、制御装置150からの入力に基づいて、又は印刷された材料又は基材シートの端部の検出に基づいて自動的に作動し得る。
【0044】
上記のように、例示的なAMシステム100では、基材材料118は、画像形成デバイス104の前に取り付けられ、位置する。特定の理論に限定されないが、基材材料118のウェブは、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、定着装置108、センサ110を含むAMシステムの全ての構成要素を貫通することができ、次いで、積層前にカッター112によって単一のシート132に切断することができ、シートは、3D物体の層に対応する。この切断は、基材材料118のウェブから単一のシート132を分離し、印刷された単一シートに分離されていないウェブの切断されていない部分は、基材材料廃棄物152のウェブとして連続して巻き取られてもよい。基材材料廃棄物152のウェブは、積層装置サブシステム116で積層された、分離されたシート132を取り囲むウェブの切断されていない部分を含んでもよい。
【0045】
例では、基材材料118のウェブは、カッター112によって、プロセスの任意の前の時点で単一のシート132に切断され得る。例えば、ウェブは、得られた基材シートを画像形成デバイス104まで前進させる前に、単一のシートに変換され得る。同様に、単一のシートは、画像形成デバイス104の後及び粉末サブシステム106の前、又は粉末サブシステムの後及び定着装置108の前、又は定着装置の後及びセンサ110の前に、基材材料118のウェブから切断され得る。例では、ウェブは、個々のシートに予備切断されてもよく、シートは、AMシステムによる個々の処理のために材料フィーダーによって保持されたシートの積層体として配置される。カッター112は、当業者によく理解されるように、機械的器具(例えば、ブレード、パンチ)、又は他の手法(例えば、レーザ)でシートを切断し得る。
【0046】
例では、AMシステム100はまた、所望の位置に、基材材料118又はその基材シート132内に見当開口部を置くためのパンチデバイス134も含み得る。見当開口部は、シート上に印刷されたパターン化されたマーキング材料画像の正確な位置合わせのために、基材シートの位置に対して正確に予め画定された位置に配置される。これは、例えば、画像形成デバイス104及び粉末サブシステム106が置かれる同じフレーム上に、又は当該技術分野において周知の他の位置合わせ機構を使用して、移送サブシステム114によって移動する基材材料118に近接して、パンチデバイス134を取り付けることによって達成され得る。パンチデバイス134は、基材材料から見当開口部を突き出す硬質器具、又は基材材料から見当開口部を切断するレーザカッターを含み得る。
【0047】
3D物体を形成するAMプロセスを完了するために、粉末印刷された基材シート132は、基材シートをそれらの見当開口部を介して位置合わせし、互いに融合して、積層された基材シートを組み合わされた物体に取り付けることによって積層され得る。次いで、コーティングされていない基材材料は、例えば、研磨剤ブラスト、化学的除去、又は溶解によって、組み合わされた物体から廃棄物として除去され得る。積層装置サブシステム116は、上記の見当開口部に基づいて、切断され印刷された基材シート132を見当合わせして積層するように構成されている。図1に見られるように、積層装置サブシステム116は、印刷された基材シート132を受容し、見当開口部が、積層装置サブアセンブリの見当ピン136の周りに位置合わせされて、印刷されたシートの積層体138を形成する。
【0048】
印刷されたシートを積層した後、シート上のパターン化された粉末は、組み合わせて、3D物体に硬化し得る。図1は、たとえ圧縮しても、基材シート132上の圧力を維持するために、1つ以上の弾性構成要素(例えば、ばね142)を含む圧縮デバイス140を含む、積層装置サブシステム116を示す。多数の基材シート(層)が、ベッドプレート144上に重ねられて、積層装置サブシステム116内に置かれた後、挿入された基材シートは、ばね142と共に圧縮されて、上部プレート146上で、底部ベッドプレートに向かって圧力をかけ得る。
【0049】
圧縮された積層体138は、例えば、オーブン154内で加熱され得る。オーブン154からの熱は、熱可塑性粉末を溶融させる。溶融した材料は、基材層をコーティングする。次いで、その中に基板積層体138を有する圧縮デバイス140は、オーブンから取り出され、基材層は冷却される。冷却は、加熱された積層体138から、積層体を取り囲む流体の流動によって熱が伝達される対流冷却によって促進され得る。流体は、ファン156を介した空気又は別の好適な液体であり得る。溶融ポリマー材料は、冷却するにつれて凝固する。これによって、基材シート132を一緒に結合(融合)する。次いで、余剰シート基材(所望の凝固した材料で被覆されていない)は、例えば、エッチング、研磨ブラスト(例えば、3D物体仕上機160からのサンド158ブラスト、ビーズブラスト)、化学除去又は溶解によって、上記のように廃棄物として除去されて、結果として洗浄された3D印刷物体172が生成される。
【0050】
AMシステム100によって実行されるプロセスは、1つ以上の制御装置150を使用して、順序配列及び監視され得る。制御装置150は、印刷される物体の3Dモデルに基づいて、機外のコンピュータ(図示せず)によって生成される構築命令を読み取り、実行し得る。例えば、材料フィーダー102、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、定着装置108、センサ110、カッター112、移送サブシステム114、パンチデバイス134、積層装置サブシステム116、圧縮デバイス140、オーブン154、ファン156、及び3D物体仕上機160は、制御装置からの入力に基づいて、本明細書で論じられるように作動し得る。したがって、画像形成デバイス104と通信する制御装置150が示されているが、制御装置は、AMシステム100、200(図5)の任意の構成要素と通信し得ることが理解される。
【0051】
実施例は、エッチングプロセスとも呼ばれる、余剰基材廃棄物除去/洗浄プロセスの確実性を改善するシステム及び方法を用いた、AMシステム100、200(図5)に対する改善を含む。特定の理論に限定されるものではないが、論じられる余剰基板廃棄物除去/洗浄プロセスは、例示的な使用可能エッチングプロセスのうちの1つとしてサンドブラストに焦点を合わせる。この手法は、3D物体の固体層スライスよりも少ないポリマー(例えば、熱可塑性)材料を用いて、所望の3D物体スライスの周囲のシェル層として疑似画像を印刷することを含む。これにより、この疑似画像に到達したときのエッチングプロセスが遅くなる。
【0052】
本明細書で使用するとき、用語「疑似画像」は、完成した3D物体の一部を形成する3D物体ポリマー画像とは異なる印刷パターンを指す。疑似画像は、余剰基材廃棄物除去/洗浄プロセス中に、所望のポリマー画像が近くにあり、任意の所望のポリマー画像の除去を回避するために十分に注意しなければならないことを知らせるシェル又は境界として、印刷された基材シート132上の3D物体ポリマー画像を取り囲むように印刷され得る。換言すれば、疑似画像は、廃棄物除去/洗浄中に除去されてもよく、仕上がった3D物体の一部でなくてもよい。疑似画像は、3D物体ポリマー画像よりも低い充填速度又はポリマー密度を有してもよく、そのため、廃棄物除去/洗浄プロセス中に効率的に除去され得る。加えて、疑似画像は、サンドブラストを行う人によって認識され得る、又は自動3D物体仕上機によって自動的に認識され得る3Dパターン化表面を有し得る。3D物体仕上機160は、疑似画像の3Dパターン化表面を認識するように構成されたスキャナ162(例えば、カメラ、ビデオレコーダ)を含んでもよい。人間の目又はスキャナ162による疑似画像の検出により、部品の仕上げプロセスは、3D物体をより精密に洗浄するように修正され得る。このような修正には、3D物体形状を変更することなく、パターン化された疑似画像と、疑似画像とその部分の表面との間の熱可塑性を含まない任意の少量の領域と、を除去するため、必要に応じて除去された材料の仕上げプロセス(例えば、除去、洗浄、エッチング、サンドブラストなど)速度を遅くすることを含んでもよい。別の修正は、疑似画像の検出時に自動から手動の仕上げに切り替えることを含んでもよい。このアプローチは、ポリマー(例えば、熱可塑性)と一緒に保持された丈夫な繊維補強部分を作製する。ポリマーは、補強のために更に丈夫になっているUltem又はPEEKなどの丈夫な材料であってもよい。
【0053】
改善の一例として、AMシステム100は、上述の画像形成デバイス104及び粉末サブシステム106を有する基材材料118に隣接する積層造形デバイス164を含む。画像形成デバイス104は、上述したように、基材材料118の部分(例えば、撮像領域)上に接着剤流体126を所望のパターンで選択的に堆積させ得る。粉末サブシステム106は、接着剤との相互作用を介してポリマー粉末が基材材料に付着するように、基材材料118と、接着剤126の所望のパターンの流体とにポリマー粉末を塗布し、結果として基材材料上にポリマー画像166(図2)を生成する、粉末アプリケータ128を含む。更に、上述のように、粉末サブシステム106はまた、基材材料118に付着しない、塗布されたポリマー粉末の全てを除去する粉末除去装置130も含む。同じく上述のように、付着しないポリマー粉末の除去により、基材材料上にポリマー画像166が残される。
【0054】
更に図1を参照すると、画像形成デバイス104はまた、ポリマー画像166を取り囲む基材材料118上に、接着剤流体126を所定のパターン168(図2図4)で選択的に堆積させてもよい。次いで、粉末サブシステム106は、接着剤との相互作用を介してポリマー粉末が基材材料に付着するように、粉末アプリケータ128から基材材料118と、接着剤126の所定のパターン168の流体と、にポリマー粉末を塗布し、結果として基材材料上に疑似画像170(図2)を生成し得る。粉末除去装置130は、基材材料118に付着しない、塗布されたポリマー粉末の全てを除去し、それによって、基材材料上にポリマー画像166を取り囲む疑似画像170を残し得る。ポリマー画像166は3D物体172の一部になるが、疑似画像170は、最終的には、エッチング、サンドブラスト、又は3D物体仕上機160による別の廃棄物除去プロセスによって除去されて、結果として疑似画像のない洗浄された3D物体が生成される。
【0055】
実施例では、積層造形デバイス164はまた、粉末除去装置130の下流に定着装置108を含んでもよい。定着装置108は、基材材料上の画像を安定化させるのに十分に、ポリマー画像166及び疑似画像170を少なくとも部分的に硬化させるように構成されており、そのため、画像は、定着装置と、3D物体から疑似画像を洗浄する廃棄物除去/洗浄プロセスとの間の更なる処理によって妨害されない。
【0056】
図2は、上述のAMシステム100の印刷操作後の例示的な切断され印刷された基材シート132を示す。例示的なポリマー画像166は、完全に含浸された矩形として示され、例示的な疑似画像170は、所定のパターン168で部分的に含浸された状態で示されている。疑似画像の所定のパターン168を部分的に含浸させるために、印刷範囲(例えば、小さな正方形174)は、粉末が付着する印刷範囲よりもはるかに小さい限られた微細スポットが存在するように、領域の一部(例えば、ハーフトーン、より小さい接着剤液滴)のみを印刷することにより、接着剤液をあまり用いずにプリントヘッドによって印刷され得る。ポリマー粉末の完全に充填された領域ではなく、これらの所定のパターン化された印刷範囲では、平方面積当たりの材料(例えば、充填率)が少なく、結果として印刷範囲に密度の低い疑似画像が生成され得る。その後の加熱/押圧工程では、例えば上述のように、これらの印刷範囲は、ポリマーで完全に充填されていなくてよい又はポリマーが完全に含浸していなくてもよい。これにより、小さい正方形174として示される印刷範囲の疑似画像170は、完全に充填された範囲176(図4)よりもサンドブラスト、エッチング、ないしは別の方法で除去ことが容易になるが、印刷された基材シート132の充填されていない範囲178よりもエッチングは遅くなる。この部分に投影される疑似画像170が等深さであることは必要ではないが、有利である。上の図では、所定のパターン168は、疑似画像層全体をサンドブラストするためにほぼ等しい時間を取るように千鳥状に配置されている。所望に応じて、画像を空間的に分離したままにするための小さいバッファとして、薄い間隙180がポリマー画像166と疑似画像170との間に位置してもよい。これは、廃棄物除去/洗浄プロセス中に、欠陥のないポリマー画像表面が疑似画像の任意の部分に付着することを防止しながら、疑似画像全体を除去することを確実にするのに役立ち得る。
【0057】
図3は、AMシステムの印刷操作後の例示的な所定の疑似画像パターン168を示す。特定の理論に限定されないが、基材材料の撮像領域は、図3に示されるものを含む任意の数の所定の2Dパターンで印刷されて、疑似画像170を形成し得る。所定のパターン168は反復パターンであってもよく、これは、人間の目はそのようなパターンのピックアップに非常に優れているために有用であり得る。更に、自動処理を伴うカメラシステム(例えば、図1のスキャナ162)もまた、確率的レイアウトよりも高い感度で特定のパターンをピックアップするように、プログラムされるか又は制御装置150と通信し得る。例えば、制御装置150は、サンドブラスト又は他のエッチングなどの、廃棄物除去/洗浄中のパターンの出現及び消失を検出する分析を用いて、実時間ビデオ検出によって自動化され得るパターン検出システムを含むか又はそれと通信して、最適な材料除去を確実にするためのエッチング時間制限及び設定の誘導を提供する。所定のパターン168は、異なるパターンの組み合わせであってもよく、3D部分の異なる範囲を区別するのに役立ち得る。
【0058】
所定のパターン168は、例えば、少なくとも1mmの反復を有する、ユーザー又はスキャナ162から十分見やすい大きさであってもよい。パターンはまた、AMプロセスの加熱及び/又は加圧段階中に印刷されたポリマー材料の固有の流動よりも大きくなるように十分に大きくてもよく、これにより、有意なパターンのぼやけを回避することができる。例示的なパターンは、図3に示されるパターンに限定されず、所定のパターン168は、より丸みを帯びていてもよく、それにより、ポリマー材料の流動によってぼやけにくくなり得る。
【0059】
上述したように、所定のパターン168の印刷範囲は、粉末が付着する印刷範囲よりもはるかに小さい、限られた微細スポットが存在するように、領域(例えば、ハーフトーンなど)の一部のみを印刷することによって、接着剤液をあまり用いずに印刷され得る。特定の理論に限定されるものではないが、所定のパターン168の範囲を粉末で部分的に充填するのに必要な限られたインクは、ハーフトーンに類似するパターンの印刷液滴を含み得る。液滴は、それらがドット成長ハーフトーン内にあるようにグループ化されてもよく、又は確率的ハーフトーンパターン内にあるような液滴として分散されてもよい。ドット成長ハーフトーンのような範囲内の接着剤液滴の組み合わせは、接着剤液を繊維基材材料118に引き込み得るため、確率的組み合わせよりも好ましい場合がある。このように、少なくとも200ドット/インチ(DPI)、又は少なくとも300DPI、又は少なくとも300~600DPIのハーフトーン様ドットパターンなど、所定のパターン印刷範囲内での多くの液滴のグループ化が使用可能であり得、それにより、ポリマー材料に、液体ドットを均一に、ポリマー画像166よりも低い密度で付着させることができる。確率的組み合わせ又はハーフトーンは、一貫したDPIを有しなくてもよいが、所定のパターン168の領域にわたって少なくとも200DPIを平均化し得ることが理解される。したがって、疑似画像170の全体的なポリマー密度は、所定のパターン168及び/又は所定のパターンの印刷範囲の充填率によって、ポリマー画像166よりも低くてもよい。
【0060】
本明細書で使用するとき、用語「ハーフトーン」は、ドットの使用によって連続階調画像をシミュレートする技術に限定されず、サイズ又は間隔のいずれかで変化する。本明細書で使用するとき、ハーフトーンはまた、ハーフトーンに類似するパターンを指す場合がある。ハーフトーンに類似する技術としては、AMシステム及び方法は、画素位置に対する入力レベルのハーフトーンマッピングに認識され得るように、利用可能な全ての画素位置を充填しなくてもよいというオプションが挙げられる。実施例は、他の方法では認識されたハーフトーンの一部として考慮され得ない、規則的又は半規則的なパターンを使用してもよい。好ましいドットの規則が存在しない場合もあり、これは、液滴の局所的配列及びこれらの液滴の全体的な被覆に依存し得る。可視範囲にわたる構造の態様の最適化は、印刷からの意図しない構造が現像及びエッチングにどのように影響を及ぼし得るかということ以外は、おそらく重要ではない。
【0061】
図4は、AMシステムの印刷操作後の別の例示的な切断され印刷された基材シート132を示す。疑似画像170は、小さい正方形174、又はポリマー画像166の印刷密度よりも低い密度を有する他の小さい印刷範囲を含んでもよい。印刷範囲のうちのいくつかは、図2に示される小さい正方形のより低い印刷密度及びポリマー画像166のより高い、より完全に充填された印刷密度よりも高い印刷密度を有する、より完全に充填された印刷範囲176であってもよい。より完全に充填された印刷範囲176を、例えば、ポリマー画像166の角部又は他の鋭利な特徴部の周囲に配置することにより、鋭利な特徴部のより大きい保護をもたらし得る。ポリマー画像166の鋭利な特徴部(例えば、角部182)の周囲にサンドブラスト停止部を配置することと、場合によっては、そのような範囲についてのポリマーの被覆率を高めることにより、通常のサンドブラスト中に鋭利な特徴部が保護され得、洗浄プロセスの最後の余分な露出によってのみ露出され得る。これは、例えば、2方向以上からのサンドブラスト処理による鋭利な特徴部の余分な露出の可能性を軽減するのに役立ち得る。
【0062】
特定の理論に限定されるものではないが、物体スライスポリマー画像166の角部182は、不均一なサンドブラスト処理から角部を保護するために、(ポリマー画像よりもエッチングが容易であるが)サンドブラスト処理しにくい印刷範囲176に囲まれている。角部182を、異なる角方向からのエッチング又はサンドブラスト処理時に発生し得る不均一なサンドブラスト処理から保護するための他の選択肢は、より完全に充填された印刷範囲176をより厚くしてエッチング時間を増加させることを含む。印刷範囲176におけるポリマー充填のパターン及びレベルは、廃棄物除去/洗浄プロセスの様々な態様のために修正され得ることが理解される。例えば、パターン/充填率は、一方向からのみ到達され得る更に内部の範囲など、部品の他の部分によって制限され得るような、部分(例えば、ポリマー画像形状)自体に基づいて、異なる角度のサンドブラスト処理を考慮するように修正されてもよい。別の例として、パターン/充填率は、内部がサンドブラスト処理されている間にいっそうの保護を必要とし得る内部周りの範囲を考慮するように修正されてもよい。
【0063】
図1を参照して論じられるように、積層造形デバイス164は、画像形成デバイス104及び粉末サブシステム106を含み、粉末サブシステム106は、粉末アプリケータ128及び粉末除去装置130を含む。更に、積層造形デバイス164は、粉末除去装置130の下流に、定着装置108を含んでもよい。積層造形デバイス164の要素のそれぞれは、単数ユニットとして論じられ得るが、要素はそのように限定されず、対応のユニットのうちの2つ以上を含んでもよい。一例として、図5は、複数のユニットを有する積層造形デバイス164の構成要素を有するAMシステム100に似た、AMシステム200を示す。
【0064】
具体的には、積層造形デバイス164は、第1のAMデバイスセクション202と、第1のAMデバイスセクションのプロセス方向において下流にある第2のAMデバイスセクション204と、を含んでもよい。特定の理論に限定されるものではないが、プロセス方向は、材料フィーダー102から積層装置サブシステム116への基材材料118の構築プロセス方向であってもよい。プロセス方向はまた、実施例によって本明細書に記載されるように、概して加熱、加圧、冷却、及び除去/洗浄を含む、印刷されたシートの積層体138に更なる構築処理工程を含んでもよい。この構築プロセス方向は、プロセス又はクロスプロセス方向において前後に往復するヘッドの移動方向など、AMシステム100、200内の構成要素のプロセス方向とは異なり得る。
【0065】
第1のAMデバイスセクション202は、第1の画像形成デバイスユニット206と、第1の粉末アプリケータユニット208と、第1の粉末除去装置ユニット210と、を含んでもよい。第1の画像形成デバイスユニット206は、画像形成デバイス104の一部であり、基材材料118の撮像領域上に所望のパターンで第1の接着剤を選択的に堆積させるように構成されている。第1の粉末アプリケータユニット208は、粉末アプリケータ128の一部であり、ポリマー粉末を撮像領域及び第1の接着剤に塗布するように構成されている。ポリマー粉末は、第1の接着剤との相互作用を介して基材材料118に付着して、撮像領域内にポリマー画像166を形成し得る。第1の粉末除去装置ユニット210は、粉末除去装置130の一部であり、基材材料118に付着しない、塗布されたポリマー粉末の全てを除去して、結果として基材材料上にポリマー画像166を生成するように構成されている。第1のAMデバイスセクション202はまた、定着装置108の一部である第1の定着装置ユニット212を含んでもよい。第1の定着装置ユニット212 は、基材材料上の画像を安定化させるのに十分に、ポリマー画像166を少なくとも部分的に硬化させるように構成されており、そのため、画像は、定着装置ユニットと、3D物体から疑似画像を洗浄する廃棄物除去/洗浄プロセスとの間の更なる処理によって妨害されない。
【0066】
第2のAMデバイスセクション204は、第2の画像形成デバイスユニット214と、第2の粉末アプリケータユニット216と、第2の粉末除去装置ユニット218と、を含んでもよい。第2の画像形成デバイスユニット214は、画像形成デバイス104の別の部分であり、ポリマー画像166を取り囲む基材材料118の撮像領域上に所定のパターン168で第2の接着剤を選択的に堆積させるように構成されている。第2の粉末アプリケータユニット216は、粉末アプリケータ128の別の部分であり、ポリマー画像166を取り囲む所定のパターン168上に第2の粉末を塗布して、基材材料118上に疑似画像170を形成するように構成されている。第2の粉末除去装置ユニット218は、粉末除去装置130の別の部分であり、基材材料118に付着しない、塗布された第2の粉末の全てを除去し、結果として基材材料上にポリマー画像を取り囲む疑似画像170を生成するように構成されている。第2のAMデバイスセクション204はまた、定着装置108の一部である第2の定着装置ユニット220を含んでもよい。第2の定着装置ユニット220は、基材材料上の画像を安定化させるのに十分に、ポリマー画像166及び疑似画像170を少なくとも部分的に硬化させるように構成されており、そのため、画像は、定着装置ユニットと、3D物体から疑似画像を洗浄する廃棄物除去/洗浄プロセスとの間の更なる処理によって妨害されない。
【0067】
第2の接着剤又は第2の粉末は、何らかの様式でポリマー画像とは異なる疑似画像170を製造するため、それぞれ第1の接着剤又は第1の粉末と異なってもよい。例えば、第2の接着剤及び/又は第2の粉末は、液体と粉末との組み合わせによって疑似画像170がポリマー画像とは異なる色になるような特性を有してもよい。第2の粉末は、明るい色又は蛍光色(例えば、黄色、オレンジ色、緑色、赤色、ピンク色)などの異なる色であってもよい。これは、任意のポリマー画像の不要な除去を回避しながら、疑似画像と、その上にポリマー画像を有しない基材材料との最適な廃棄物除去の対象として疑似画像170を認識するユーザー又はスキャナ162にとって有益であり得る。印刷されたポリマーインクの色機能を有するAMシステム200の場合、パターンのコントラストは、疑似画像170の外側及び内側印刷範囲(例えば、正方形)に対して追加のコントラストを作り出すことによって、色で強調され得る。
【0068】
図6は、AMシステム100及び200内の例示的なデバイスを自動的に制御する命令を実行するための制御装置150のブロック図を示す。例示的な制御装置150は、図1及び図5に示され、以下の図7でより詳細に説明されるようなシステム内でAM 3D物体形成プロセスを実行するための制御装置への入力を提供し得るか、又はその構成要素であり得る。
【0069】
例示的な制御システム150は、使用者が例示的な制御システム150と通信し得る操作インターフェース310を含み得る。操作インターフェース310は、AM 3D物体形成システム100、200に関連付けられるローカルアクセス可能なユーザーインターフェースであり得る。操作インターフェース310は、使用者が例示的な制御システム150に情報を入力することを可能にし得る制御デバイス及び/又はコンピューティングデバイスに共通する1つ以上の従来の機構として構成され得る。操作インターフェース310は、例えば、従来のキーボード、「ソフト」ボタン又は互換性のあるスタイラスで使用するための様々な構成要素を有するタッチスクリーン、使用者が例示的な制御システム150に、音声認識プログラムによって「変換される」口頭命令を提供し得るマイクロフォン、又は使用者が特定の操作命令を例示的な制御システム150に通信し得る他の同様のデバイスを挙げることができる。操作インターフェース310は、例示的な制御システム150が関連付けられたAMシステム100、200に搭載された、一体化された、又は関連付けられたグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の一部又は機能であり得る。
【0070】
例示的な制御システム150は、複合体系層形成スキーム、及び例示的制御システム150が関連付けられ得るAMシステム100、200を用いた廃棄物除去/洗浄スキームを実施することを含む、例示的な制御システム150を個別に操作するため、並びにAM 3D物体形成の制御及び操作機能を発揮するための1つ以上のローカルプロセッサ320を含んでもよい。プロセッサ(複数可)320は、例示的な制御システム150の特定の機能と、例示的制御システム150を用いたAM 3D物体形成プロセス及び/又は廃棄物除去/洗浄の制御を指示する命令を解釈し、実行する、少なくとも1つの従来のプロセッサ又はマイクロプロセッサを含んでもよい。
【0071】
例示的な制御システム150は、1つ以上のデータ記憶デバイス330を含み得る。このようなデータ記憶装置(複数可)330は、例示的な制御システム150、具体的にはプロセッサ(複数可)320によって使用されるデータ又は操作プログラムを記憶するために使用され得る。データ記憶デバイス(複数可)330は、例えば、例示的な制御システム150が関連付けられている、AMシステム内で3D物体を生成するための1つ以上の3D物体モデルに関する情報を記憶するために使用され得る。記憶された3D物体のモデル情報は、2Dスライスの一連の層を印刷するためのデータ、及び本明細書の実施例によって一般的に記載される様式で3D物体を形成するためのウェブシート処理のためのデータへと継承されてもよい。
【0072】
データ記憶装置(複数可)330としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又は更新可能なデータベース情報を記憶し得る、例えば、プロセッサ(複数可)320によって、AMシステム操作の実行のための命令を別個に記憶し得る別のタイプのダイナミック記憶デバイスを挙げることができる。データ記憶デバイス(複数可)330はまた、従来のROMデバイス、又はプロセッサ(複数可)320のための静的情報及び命令を記憶する別のタイプの静的記憶デバイスを含み得る、読み出し専用メモリ(ROM)を挙げることができる。更に、データ記憶デバイス(複数可)330は、例示的な制御システム150と統合されていてもよく、又はクラウド系データ記憶構成要素を含む例示的な制御システム150の外部で、及び制御システム150と有線若しくは無線通信で提供され得る。
【0073】
例示的な制御システム150としては、例示的な制御システム150が関連付けられ得るAMシステム100、200のGUI上の表示スクリーンが含まれるが、これらに限定されない、ユーザーに情報を出力する1つ以上の従来の機構として構成され得る、少なくとも1つのデータ出力/表示デバイス340を挙げることができる。データ出力/表示デバイス340は、システム内の複数の別個の処理ステーション又はサブシステムのうちの1つ以上での1つ以上の個別に制御された構成要素の操作を含む、例示的な制御システム150が関連付けられ得るAMシステムによってもたらされる3D物体形成操作の状態をユーザーに示すために使用され得る。例えば、10mm未満、5mm未満、又は更には1mm未満の反復を含む、より小さい反復を有する所定のパターン168は、スキャナ162によって依然として検出されてもよく、操作者が3D物体172を仕上げるために使用する表示デバイス340上により明確にパターンを表示するため、制御システム150を介して視覚的に強調されてもよい。
【0074】
例示的な制御システム150は、例示的な制御システム150が、3D物体仕上機160などの、例示的な制御システムの外部にあってもよい構成要素と通信し得る、1つ以上の別個の外部通信インターフェース350を含んでもよい。外部通信インターフェース350のうちの少なくとも1つは、3D物体形成操作における制御機能の実行のためのモデリング情報を記憶する外部CAD/CAMデバイスを接続することを支援する入力ポートとして構成され得る。例示的な制御システム150と、外部及び/又は関連付けられた構成要素との間で、有線又は無線通信を提供する任意の好適なデータ接続は、示された外部通信インターフェース350によって包含されることが企図される。
【0075】
例示的な制御システム150としては、継承された3D物体のモデル情報に従った工程内の3D物体のための、一連の2Dスライス(例えば、その上にポリマー画像166及び疑似画像170を有する印刷された基材シート132)を製造する、基材材料118上の画像形成プロセス(例えば、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、定着装置108、積層造形デバイス164、第1のAMデバイスセクション202、第2のAMデバイスセクション204)を制御するために使用され得る画像形成制御デバイス360を挙げることができる。基材材料118は、画像形成制御デバイス360の制御下でその上にマーキング材料画像を形成させるため、積層造形デバイス164並びに/又は画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、及び定着装置108を通って供給され得る。基材材料は、印刷された基材ウェブとして粉末サブシステム106又は積層造形デバイス164を出て、印刷されたシートの積層体138を構築するために切断及び自動的に積層されてもよい。画像形成制御デバイス360は、データ記憶デバイス330のうちの1つ以上に連結されるプロセッサ320の一部若しくは機能として作動し得るか、又は例示的な制御システム150内の別個のスタンドアロン構成要素モジュール若しくは回路として作動し得る。プロセッサ320又は画像形成制御デバイス360のいずれかは、入力3D物体モデル情報を解析して、AMシステム100、200内の基材材料118上の疑似画像印刷スキームを含む層毎の2Dスライス材料層印刷スキームを決定し、実行し得る。
【0076】
例示的な制御システム150は、データ記憶デバイス330のうちの1つ以上に連結される、又は例示的な制御システム150内の別個のスタンドアロン構成要素モジュール若しくはステーションとしての、ウェブシート処理制御デバイス370を含んでもよい。印刷された基材材料ウェブがウェブシートの切断、送達、及び積層に使用される事例は、同じ例示的な制御システム150が、カッター112及び積層装置サブシステム116を通して、ウェブシートの切断及び積層プロセスを制御するのに使用可能であり得る。そのような事例では、カッター112は、印刷された基材シート132を、カッターを通過して供給されるときに基材ウェブと分離するため、積層装置サブシステム116にわたって印刷された層シートを送達する(例えば、移動させる、送り出す)ため、及び印刷された層シートを後で使用するために積層体138として正確な配置で積層するために、移送サブシステム114と共に使用可能であり得る。ウェブシート処理制御デバイス370は、印刷された基材シート132を切断するために、基材ウェブがカッター112に供給される速度を制御し得る。その後、積層体138の加熱、加圧、及び更なる処理が、画像形成プロセス及びウェブシート処理を減速させないために、必要に応じてオフラインで提供されてもよい。
【0077】
例示的な制御システム150は、疑似画像170及びポリマー画像を有しない材料基材を含む、層になった支持構成要素構造体を除去し、3D物体を表面仕上げし得る減法機械加工プロセスで、切断された印刷済みシートの処理された積層体での最終3D物体成形スキームを実行するための、3D物体仕上機制御デバイス380を含んでもよい。上に列挙された他の別個の制御デバイスと同様に、3D物体仕上機制御デバイス380は、仕上げのデバイス操作を実行するための1つ以上のデータ記憶デバイス330に連結されるプロセッサ320の一部若しくは機能として動作してもよく、又は例示的な制御システム150内の別個のスタンドアロン構成要素モジュール若しくは回路として動作してもよい。
【0078】
図6に示されるように、例示的な制御システム150の様々な構成要素の全ては、1つ以上のデータ/制御バス390によって、内部に、並びに1つ以上のAM物体形成デバイス及び/又はその構成要素に接続されてもよい。これらのデータ/制御バス390は、例示的な制御システム150の様々な構成要素の全てが、一体的に収容されているか、そうでなければ外部であり、例示的な制御システム150が関連付けられ得るAMシステム100、200に接続されているかどうかにかかわらず、それらの構成要素間に有線又は無線通信を提供し得る。
【0079】
図6に一体型ユニットとして示されているが、例示的な制御システム150の様々な開示された要素は、例示的な制御システムの単一ユニットと一体である、又は外部であり、その単一ユニットと有線若しくは無線通信する、個々の構成要素又は構成要素の組み合わせとして、サブシステムの任意の組み合わせで配置されてもよいことが理解されるべきである。換言すれば、一体型ユニットとして、又は支持ユニットとしての特定の構成は、図6の描写によって暗示されない。更に、例示的な制御システム150に関する本開示で提供される詳細を理解しやすくするために個々のユニットとして示されているが、個々に示された構成要素のうちのいずれかの記載された機能、具体的には、示された制御デバイスのそれぞれは、例えば、1つ以上のデータ記憶デバイス(複数可)330に接続され、それと通信する1つ以上のプロセッサ320によって実行され得る。
【0080】
開示される実施形態は、AMシステム100、200を有する積層造形複合構造体を製作するための例示的な方法を含み得る。図7は、複合体系積層造形中に、そのような例示的なAM処理方法のフローチャートを示し、それは、工程S400で開始し、工程S410に進行する。
【0081】
工程S410では、移送サブシステム114は、撮像領域を有する基材材料を、材料フィーダー102から積層造形システム100、200を通してプロセス方向に送り出す。本方法の操作は、工程S420に進行し、基材材料に隣接するAMシステムの積層造形デバイスが、基材材料の撮像領域上にポリマー画像を所望のパターンで選択的に堆積させて、結果として基材材料上にポリマー画像を生成する。工程S420は、画像形成デバイスを用いて、基材材料の撮像領域上に接着剤を所望のパターンで選択的に堆積させることと、粉末アプリケータを介してポリマー粉末を撮像領域上に塗布して、接着剤との相互作用を介してポリマー粉末を基材材料に付着させることと、を含んでもよい。本方法の操作は、工程S430に進行する。
【0082】
工程S430では、積層造形デバイスは、ポリマー画像を取り囲む基材材料上に疑似画像を所定のパターンで選択的に堆積させる。基材材料には、ポリマー画像及び疑似画像が3D物体の印刷されたスライスとして印刷される。工程S430は、画像形成デバイスを用いて基材材料上に接着剤を所定のパターンで選択的に堆積させることと、粉末アプリケータを介して所定のパターン上にポリマー粉末を塗布して、接着剤との相互作用を介してポリマー粉末を基材に付着させることと、を含んでもよい。工程S420におけるポリマー画像の堆積と、工程S430における疑似画像の堆積とは、同一の印刷操作又は異なる印刷操作において、同時に、ほぼ同時に、又は任意の処理順序で行われてもよいことが理解される。
【0083】
図7に示す方法の操作は、工程S440に進行し、そこで、積層装置サブシステムは、印刷されたスライスを他の印刷されたスライスに積層して、スライスの積層体を形成する。操作は、積層体が完成するまで、追加の印刷された層スライスで積層体を増大させるよう、工程S410に戻ってもよい。次いで、積層体は、加熱、圧縮、及び洗浄などの後続処理に進むことができる。洗浄のために、本方法の操作は工程S450に進行し、そこで、3D物体仕上機は、スライスの積層体から疑似画像及びポリマー画像を有しない基材材料を除去し、結果として3D物体を生成する。工程S450の後の3D物体は、疑似画像がないスライスの積層体を含む洗浄済みの3D物体である。
【0084】
実行可能な方法工程の例示的に示されたシーケンスは、工程に記載される機能を実施するための、対応する動作シーケンスの一例を表す。例示的に示された工程は、開示された実施形態の目的を達成するために、任意の合理的な順序で実行され得る。本方法の開示された工程の特定の順序は、任意の特定の方法工程が任意の他の方法工程の実行に必要な前提条件であると合理的に見なされる場合を除き、必ずしも図7及び付随する説明によって暗示されない。個々の方法工程は、順番に、又は同時若しくはほぼ同時のタイミングで並行して実行され得る。加えて、示され、記載された方法工程の全てが、本開示による任意の特定のスキームに含まれる必要はない。
【0085】
当業者であれば、開示される主題の他の実施形態は、多くの異なる構成において、3Dインキングシステムに共通する多くの種類の画像形成要素を用いて実施され得ることを理解するであろう。例えば、単一パスマーキング材料の堆積が、論じられた実施形態に示されているが、実施例は、3D物体形成システム及び方法を含む、マルチパスシステム及び方法に適用される場合がある。また、論じられた実施形態では、片面印刷が示されているが、実施例は、多面印刷に適用される場合がある。これらは、開示されるスキームに従って実行され得る変形の非限定的な例であることを理解されたい。換言すれば、特定の限定的な構成は、上記の説明及び添付の図面から暗示されるべきではない。
【0086】
様々な上記で開示された及び他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることが理解されるであろう。また、現在予想又は予測されてないそこでの様々な代替物、修正物、変形物、又は改善物は、その後に当業者によって行われてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7