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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
E02F9/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020115558
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013175
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 大介
(72)【発明者】
【氏名】中谷 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 浩司
(72)【発明者】
【氏名】椿本 彰史
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-12255(JP,A)
【文献】特開2008-8009(JP,A)
【文献】特開2006-233642(JP,A)
【文献】特開2019-163647(JP,A)
【文献】特開2018-145597(JP,A)
【文献】特開2001-115487(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1176259(EP,A1)
【文献】実開昭62-35063(JP,U)
【文献】特開平8-218417(JP,A)
【文献】特開平9-42213(JP,A)
【文献】実開昭53-10501(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、
前記下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、
前記上部旋回体の旋回中心に配置され、前記下部走行体と前記上部旋回体との間で圧油を流通させるセンタジョイントと、
前記上部旋回体の旋回中心に配置され、前記下部走行体と前記上部旋回体との間で通電状態を保持するスリップリングと、
基端側が前記下部走行体に取付けられ、左右方向で対面する一対のアームを含んで構成される昇降アームと、
前記昇降アームの先端側に取付けられたブレードと、
前記昇降アームと前記ブレードとの間に設けられ、前記昇降アームに対して前記ブレードを変位させる油圧機器と、
前記上部旋回体の内部に設けられた油圧源と前記油圧機器とを前記センタジョイントを介して接続する油圧ホースと、
前記ブレードの変位を検出するために前記ブレードに設けられたブレード変位検出装置と、
前記上部旋回体に設けられ、前記ブレード変位検出装置からの検出信号に基づいて前記油圧機器の動作を制御するコントローラと、
前記コントローラと前記ブレード変位検出装置とを前記スリップリングを介して接続するハーネスと、を備えてなる建設機械において、
前記油圧ホースは、前記上部旋回体の内部と前記下部走行体の内部に配置された内部ホースと、前記内部ホースに接続され、前記下部走行体から外部へ露出して前記油圧機器に接続された外部ホースとにより構成されており、
前記ハーネスは、前記上部旋回体の内部に配置され、前記コントローラと前記スリップリングとに接続された内部ハーネスと、前記下部走行体から外部へ露出して、前記スリップリングと前記ブレード変位検出装置とに接続された外部ハーネスとにより構成されており、
前記外部ホースは、前記下部走行体から前記一対のアームのうち左右方向の一側のアームに沿って前記ブレード側に延びて、前記油圧機器に接続されており、
前記外部ハーネスは、前記下部走行体から前記一対のアームのうち左右方向の他側のアームに沿って前記ブレード側に延びて、前記ブレード変位検出装置に接続されていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記油圧機器は、前記昇降アームと前記ブレードとの取付部を中心として前記ブレードの両端を前後方向で互いに逆向きに変位させるアングルシリンダと、
前記昇降アームと前記ブレードとの取付部を中心として前記ブレードの両端を上下方向で互いに逆向きに変位させるチルトシリンダとを含んで構成され、
前記外部ホースは、左右方向において前記アングルシリンダが設けられたと同じ側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記下部走行体は、内部に前記センタジョイントおよび前記スリップリングを収容する収容空間が形成されたトラックフレームを有し、
前記トラックフレームには、前記収容空間に開口するホース挿通孔とハーネス挿通孔とが左右方向に離間して設けられ、
前記油圧ホースは前記ホース挿通孔を通じて前記センタジョイントへと延び、前記ハーネスは前記ハーネス挿通孔を通じて前記スリップリングへと延びることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項4】
前記上部旋回体には、運転席と、前記運転席に乗降するために前記上部旋回体の左右方向の一側に配置された乗降口とが設けられ、
前記外部ホースは、前記乗降口が配置されたと同じ左右方向の一側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば油圧ショベル等の建設機械に関し、特に、整地作業に用いられるブレードを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例である油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、下部走行体上に旋回装置を介して旋回可能に搭載された上部旋回体と、上部旋回体の前側に設けられた作業装置とを備えて構成されている。下部走行体を構成するトラックフレームの前側には、左右方向に延びるブレード(排土板)を有する排土装置が設けられ、この排土装置を用いて土砂等の排土作業、造成地や道路等の整地作業が行われる。
【0003】
ここで、油圧ショベルに搭載された排土装置を用いて整地作業を行う場合に、施工すべき地面の3次元データに従って排土装置(ブレード)の動作を制御する整地作業システムが知られている。この整地作業システムは、ブレードの変位を検出するブレード変位検出装置と、上部旋回体に搭載されたコントローラとを備えている。そして、ブレード変位検出装置により連続的にブレードの変位を検出し、この検出結果(ブレードの位置情報)をコントローラに送信する。これにより、コントローラは、ブレードの位置情報と施工すべき地面の3次元データとに基づいて排土装置の動作を制御し、施工すべき地面に適合した整地作業を行うことができる。
【0004】
下部走行体側の排土装置(ブレード)に取付けられたブレード変位検出装置と、上部旋回体に搭載されたコントローラとの間はハーネスを介して接続される。このため、ハーネスによって上部旋回体の旋回動作が制限されるのを防止するため、下部走行体と上部旋回体との間に、スリップリングを設けることが考えられる。このようなスリップリングを備えた建設機械として、上部旋回体に設けられた電動モータを外部電源からの給電によって駆動する電動式建設機械が知られている。この電動式建設機械は、外部電源を接続するコネクタが下部走行体に設けられ、このコネクタと電動モータとの間がスリップリングを介して電気的に接続されることにより、上部旋回体の全旋回が可能となり、上部旋回体の旋回動作が制限されるのを防止することができる。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-8009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1の電動式建設機械は、下部走行体に設けられたコネクタとスリップリングとの間を接続するハーネスが、下部走行体のトラックフレーム内に収容されており、このハーネスが土砂の衝突の外的要因によって破損することがない。
【0007】
これに対し、ブレード変位検出装置は、トラックフレームの外部に配置されたブレードに取付けられ、トラックフレームに対して変位可能となっている。従って、ブレード変位検出装置とスリップリングとの間を接続するハーネスは、外部に露出した状態で排土装置と下部走行体との間に配置されている。この場合、排土装置と下部走行体との間には、排土装置に設けられた油圧シリンダとセンタジョイントとの間を接続する複数の油圧ホースが配置され、これら複数の油圧ホースの外周側は、通常、コイル状のプロテクタによって覆われている。このように、下部走行体と排土装置との間には、プロテクタによって覆われた複数の油圧ホースと、排土装置のブレード変位検出装置に接続されたハーネスとが混在している。ブレード変位検出装置に接続されたハーネスを、センタジョイントに付設されたスリップリングまで配策する場合には、油圧シリンダからセンタジョイントへと延びる油圧ホースに沿わせることにより、配策作業を容易に行うことができる。
【0008】
しかし、プロテクタによって覆われた油圧ホースに沿わせてハーネスを配策した場合には、油圧ショベルの稼働時に油圧ホースとハーネスとが繰り返し接触することにより、ハーネスが損傷してしまうという問題がある。また、下部走行体と排土装置との間に油圧ホースとハーネスとがまとめて配策されていると、排土装置を用いた整地作業時にオペレータがブレードの両端を後面側から目視するときの視界が、これら複数の油圧ホースとハーネスとによって遮られるという問題がある。
【0009】
本発明の一実施形態の目的は、ブレード変位検出装置に接続されたハーネスの損傷を防止することができるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、自走可能な下部走行体と、前記下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体の旋回中心に配置され、前記下部走行体と前記上部旋回体との間で圧油を流通させるセンタジョイントと、前記上部旋回体の旋回中心に配置され、前記下部走行体と前記上部旋回体との間で通電状態を保持するスリップリングと、基端側が前記下部走行体に取付けられ、左右方向で対面する一対のアームを含んで構成される昇降アームと、前記昇降アームの先端側に取付けられたブレードと、前記昇降アームと前記ブレードとの間に設けられ、前記昇降アームに対して前記ブレードを変位させる油圧機器と、前記上部旋回体の内部に設けられた油圧源と前記油圧機器とを前記センタジョイントを介して接続する油圧ホースと、前記ブレードの変位を検出するために前記ブレードに設けられたブレード変位検出装置と、前記上部旋回体に設けられ、前記ブレード変位検出装置からの検出信号に基づいて前記油圧機器の動作を制御するコントローラと、前記コントローラと前記ブレード変位検出装置とを前記スリップリングを介して接続するハーネスと、を備えてなる建設機械において、前記油圧ホースは、前記上部旋回体の内部と前記下部走行体の内部に配置された内部ホースと、前記内部ホースに接続され、前記下部走行体から外部へ露出して前記油圧機器に接続された外部ホースとにより構成されており、前記ハーネスは、前記上部旋回体の内部に配置され、前記コントローラと前記スリップリングとに接続された内部ハーネスと、前記下部走行体から外部へ露出して、前記スリップリングと前記ブレード変位検出装置とに接続された外部ハーネスとにより構成されており、前記外部ホースは、前記下部走行体から前記一対のアームのうち左右方向の一側のアームに沿って前記ブレード側に延びて、前記油圧機器に接続されており、前記外部ハーネスは、前記下部走行体から前記一対のアームのうち左右方向の他側のアームに沿って前記ブレード側に延びて、前記ブレード変位検出装置に接続されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、ハーネスと油圧ホースとの接触を抑え、ハーネスの損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態による油圧ショベルを示す斜視図である。
図2】作業装置を取外した油圧ショベルの平面図である。
図3】旋回装置およびセンタジョイントの周辺部を拡大して示す断面図である。
図4】油圧ショベルの前部左側を示す斜視図である。
図5図4中のホース挿通孔の周辺を示す要部拡大図である。
図6】油圧ショベルの前部右側を示す斜視図である。
図7図6中のハーネス挿通孔の周辺を示す要部拡大図である。
図8】ホース挿通孔とハーネス挿通孔とを示す斜視図である。
図9】作業装置を取外した油圧ショベルが右旋回した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る建設機械の実施形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図9を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図において、建設機械の代表例である油圧ショベル1は、前,後方向に自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4とを備えている。上部旋回体4の前側には、土砂の掘削作業等を行うスイング式の作業装置5が設けられている。
【0015】
下部走行体2は、トラックフレーム6を備えている。トラックフレーム6は、センタフレーム7と、センタフレーム7の左右両側に配置され前後方向に延びた一対のサイドフレーム8とを含んで構成されている。センタフレーム7には、後述の排土装置18が設けられている。
【0016】
図3に示すように、センタフレーム7は、上下方向で間隔をもって対面する上面板7Aおよび下面板7Bと、上面板7Aと下面板7Bとの間に設けられた収容空間7Cと、収容空間7Cを取囲んで上面板7Aと下面板7Bとの間に設けられた周壁板7Dとを含んで構成されている。上面板7Aには円筒状の丸胴7Eが上向きに突設され、丸胴7Eによって旋回装置3の旋回輪3Aが支持されている。上面板7Aと下面板7Bには、上部旋回体4の旋回中心に対応する位置に収容空間7Cに連通する開口部が設けられ、収容空間7C内には、旋回中心上に位置して後述するセンタジョイント16が収容されている。
【0017】
周壁板7Dのうち排土装置18側となる前面部には、シリンダブラケット7Fが突設されている(図4参照)。シリンダブラケット7Fには、後述する昇降シリンダ21がピン結合されている。また、周壁板7Dには、シリンダブラケット7Fを挟んで左右方向に離間したホース挿通孔7Gとハーネス挿通孔7Hとが設けられている。ホース挿通孔7Gは、シリンダブラケット7Fの左側に配置され、センタフレーム7の収容空間7Cに開口している。ホース挿通孔7Gには、後述の各油圧ホース25,26,28,29等が挿通されている。ハーネス挿通孔7Hは、シリンダブラケット7Fの右側に配置され、センタフレーム7の収容空間7Cに開口している。ハーネス挿通孔7Hには、後述の各ハーネス31,33等が挿通されている。センタフレーム7の下面板7Bには、センタジョイント16を下側から覆うメンテナンスカバー7Jが着脱可能に設けられている。
【0018】
走行装置9は、サイドフレーム8の一方の端部に設けられた遊動輪(図示せず)と、サイドフレーム8の他方の端部に設けられた駆動輪9Aと、遊動輪と駆動輪9Aとに亘って巻回された履帯9Bとにより構成されている。これにより、油圧ショベル1は、整地されていない作業現場を走行装置9によって自走可能となっている。
【0019】
旋回装置3は、旋回輪3Aと旋回モータ3Bとにより構成されている。旋回輪3Aは、トラックフレーム6を構成するセンタフレーム7の丸胴7E上に取付られた内輪3A1と、内輪3A1の外周側に複数個の転動体(図示せず)を介して回転可能に設けられた外輪3A2とを有している。旋回輪3Aの中心は、上部旋回体4の旋回中心に配置され、外輪3A2は、後述する旋回フレーム10の底板10Aに取付けられている。内輪3A1の内側は内歯車3A3となり、この内歯車3A3には、旋回モータ3Bのピニオン3B1が噛合している。
【0020】
図1に示すように、上部旋回体4は、旋回フレーム10と、運転席台座11と、外装カバー12と、運転席13と、作業用の操作レバー装置14Aと、走行レバー・ペダル装置14Bとを含んで構成されている。
【0021】
旋回フレーム10は、上部旋回体4のベースをなし、旋回装置3を介してトラックフレーム6上に取付けられている。旋回フレーム10は、前後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板10Aと、底板10A上に立設され、左右方向で対面しつつ前後方向に延びた左縦板10B、右縦板10Cとを備えている。左縦板10Bと右縦板10Cの前側は、互いに接近して前方に突出し、作業装置5を支持する支持ブラケット10Dとなっている。
【0022】
運転席台座11は、旋回フレーム10の後側に搭載された原動機、油圧ポンプ等の搭載機器(図示せず)を覆うように旋回フレーム10上に設けられている。運転席台座11の右側には、作動油タンク等(図示せず)を覆う外装カバー12が設けられている。運転席13は、運転席台座11上に設けられている。運転席13の左右両側には、作業用の操作レバー装置14Aが設けられ、運転席13の前側には、走行レバー・ペダル装置14Bが設けられている。
【0023】
上部旋回体4の前側には、左右方向の一側(左側)に位置して乗降口15が設けられている。乗降口15は、運転席13に乗降するための通路の一部を形成している。オペレータが運転席13に座った状態では、運転席13の左前側には乗降口15が配置されている。このため、排土装置18を用いて整地作業を行う場合には、図9に示すように、例えば上部旋回体4を角度θだけ右旋回させることにより、乗降口15を通じて油圧ショベル1の前方視界が大きく確保される。
【0024】
センタジョイント16は、上部旋回体4の旋回中心に配置され、トラックフレーム6のセンタフレーム7を形成する下面板7Bに設けられている。センタジョイント16は、上部旋回体4の旋回動作の有無に関わらず、下部走行体2と上部旋回体4との間で作動油を流通させる。センタジョイント16は、トラックフレーム6に取付けられた筒形ボディ16Aと、筒形ボディ16A内に回転可能に設けられ、旋回フレーム10と一緒に回転するスピンドル16Bとを有している。筒形ボディ16Aには、後述する各油圧ホース22,23,25,26,28,29等が接続され、スピンドル16Bには、上部旋回体4側の油圧管路(図示せず)が接続されている。
【0025】
スリップリング17は、センタジョイント16を構成するスピンドル16Bの上部に設けられている。スリップリング17は、上部旋回体4の旋回中心に配置され、スピンドル16Bと共に、センタジョイント16の筒形ボディ16Aに対して相対回転が可能となっている。スリップリング17は、後述するハーネス31のセンサ側ハーネス31Aとコントローラ側ハーネス31Bとの間を電気的に接続すると共に、後述するハーネス33のプリズム側ハーネス33Aとコントローラ側ハーネス33Bとの間を電気的に接続している。これにより、スリップリング17は、上部旋回体4の旋回動作の有無に関わらず、下部走行体2側に配置された後述の姿勢検出センサ30およびプリズム32と、上部旋回体4側に配置された後述のコントローラ35との間の電気的な接続状態を維持している。
【0026】
次に、下部走行体2に設けられた排土装置18について説明する。
【0027】
排土装置18は、下部走行体2を構成するトラックフレーム6のセンタフレーム7に設けられている。排土装置18は、基端側がセンタフレーム7に取付けられた昇降アーム19と、昇降アーム19の先端に取付けられ左右方向に延びるブレード20と、昇降シリンダ21、アングルシリンダ24、チルトシリンダ27とを含んで構成されている。
【0028】
昇降アーム19は、左右方向で対面する一対のアーム、即ち、左アーム19Aと右アーム19Bとを有するV字状に形成され、センタフレーム7から前方に突出している。ブレード20は、左右方向に延びる長方形の板状体として形成され、センタフレーム7側となるブレード20の後面20Aのうち長さ方向(左右方向)の中央部は、昇降アーム19の先端に取付部20Bを介して取付けられている。ブレード20の長さ方向の両端は、取付部20Bを中心として前後方向および上下方向に回動可能となっている。
【0029】
ブレード20には、昇降アーム19との取付部20Bよりも左側に位置してセンサ取付台20Cが設けられている。センサ取付台20Cには、姿勢検出センサ30が取付けられている。また、ブレード20の左右方向の両端部には、それぞれプリズム取付台20Dが設けられている。これら左右のプリズム取付台20Dのうちいずれか一方には、プリズム32が作業現場に応じて選択的に取付けられる。
【0030】
昇降シリンダ21は、センタフレーム7のシリンダブラケット7Fと昇降アーム19との間に設けられ、トラックフレーム6に対して昇降アーム19を上下方向に回動させる。昇降シリンダ21には、2本の油圧ホース22,23の一端22A,23Aが接続されている。油圧ホース22の他端側は、センタフレーム7のホース挿通孔7Gを通じて収容空間7C内に挿入され、油圧ホース23の他端側は、センタフレーム7のハーネス挿通孔7Hを通じて収容空間7C内に挿入されている。各油圧ホース22,23の中間部は、収容空間7C内でセンタジョイント16の筒形ボディ16Aに接続され、各油圧ホース22,23の他端は、上部旋回体4の内部に設けられた油圧源(図示せず)に接続されている。即ち、油圧ホース22,23は、センタジョイント16を介して昇降シリンダ21と油圧源との間を接続し、油圧ホース22,23の一端22A,23A側は、下部走行体2から外部に露出して昇降シリンダ21に接続された外部ホースとなり、油圧ホース22,23の他端側は、上部旋回体4および下部走行体2の内部に配置された内部ホースとなっている。昇降シリンダ21は、油圧ホース22,23を通じて圧油が給排されることにより伸縮し、昇降アーム19の先端およびブレード20を下部走行体2に対して上下方向に回動(昇降)させる。従って、油圧ショベル1の走行時に昇降シリンダ21によってブレード20を下降させることにより、土砂を走行方向に押出して地面を整地することができる。
【0031】
アングルシリンダ24は、昇降アーム19の左アーム19Aとブレード20との間に設けられ、昇降アーム19に対してブレード20を変位させる油圧機器を構成している。アングルシリンダ24と油圧源との間は、2本の油圧ホース25,26を介して接続されている。即ち、油圧ホース25,26は、一端25A,26Aがアングルシリンダ24に接続されると共に、他端が油圧源に接続され、油圧ホース25,26の中間部25B,26Bは、収容空間7C内でセンタジョイント16の筒形ボディ16Aに接続されている(図3参照)。これにより、油圧ホース25,26は、センタジョイント16を介してアングルシリンダ24と油圧源との間を接続し、油圧ホース25,26の一端25A,26A側は、下部走行体2から外部に露出してアングルシリンダ24に接続された外部ホースとなり、油圧ホース25,26の他端側は、上部旋回体4および下部走行体2の内部に配置された内部ホースとなっている。アングルシリンダ24は、油圧ホース25,26を通じて圧油が給排されることにより伸縮し、昇降アーム19とブレード20との取付部20Bを中心として、ブレード20の長さ方向の両端を前後方向で互いに逆向きに変位(回動)させる。これにより、油圧ショベル1の走行方向に対するブレード20の角度が変化し、ブレード20によって押出される土砂を、下部走行体2の左側方または右側方にまとめて排出することができる。
【0032】
チルトシリンダ27は、昇降アーム19とブレード20との取付部20Bとブレード20との間に設けられ、昇降アーム19に対してブレード20を変位させる油圧機器を構成している。チルトシリンダ27と油圧源との間は、2本の油圧ホース28,29を介して接続されている。即ち、油圧ホース28,29は、一端28A,29Aがチルトシリンダ27に接続されると共に、他端が油圧源に接続され、油圧ホース28,29の中間部28B,29Bは、収容空間7C内でセンタジョイント16の筒形ボディ16Aに接続されている(図3参照)。これにより、油圧ホース28,29は、センタジョイント16を介してチルトシリンダ27と油圧源との間を接続し、油圧ホース28,29の一端28A,29A側は、下部走行体2から外部に露出してチルトシリンダ27に接続された外部ホースとなり、油圧ホース28,29の他端側は、上部旋回体4および下部走行体2の内部に配置された内部ホースとなっている。チルトシリンダ27は、油圧ホース28,29を通じて圧油が給排されることにより伸縮し、昇降アーム19とブレード20との取付部20Bを中心として、ブレード20の長さ方向の両端を上下方向で互いに逆向きに変位(揺動)させる。これにより、ブレード20のチルト角度が変化し、ブレード20によって整地される地面に勾配を形成することができる。
【0033】
ここで、図2および図4に示すように、アングルシリンダ24に接続された油圧ホース25,26の一端25A,26A側となる外部ホースは、それぞれ昇降アーム19を基準として排土装置18の左右方向の一側(左側)に配置されている。具体的には、油圧ホース25,26の一端25A,26A側は、それぞれ昇降アーム19の左アーム19Aに沿って配置され、ブレード20側から下部走行体2側に向けて延びている。そして、油圧ホース25,26は、センタフレーム7のホース挿通孔7Gを通じて収容空間7C内に挿入され、油圧ホース25,26の中間部25B,26Bは、収容空間7C内でセンタジョイント16の筒形ボディ16Aに接続されている。
【0034】
同様に、チルトシリンダ27に接続された油圧ホース28,29の一端28A,29A側となる外部ホースも、それぞれ昇降アーム19を基準として排土装置18の左右方向の一側(左側)に配置されている。具体的には、油圧ホース28,29の一端28A,29A側は、それぞれ昇降アーム19の左アーム19Aに沿って配置され、ブレード20側から下部走行体2側に向けて延びている。そして、油圧ホース28,29は、センタフレーム7のホース挿通孔7Gを通じて収容空間7C内に挿入され、油圧ホース28,29の中間部28B,29Bは、収容空間7C内でセンタジョイント16の筒形ボディ16Aに接続されている。
【0035】
このように、アングルシリンダ24に接続された油圧ホース25,26の一端25A,26A側となる外部ホース、およびチルトシリンダ27に接続された油圧ホース28,29の一端28A,29A側となる外部ホースは、それぞれ上部旋回体4の乗降口15が配置されたと同じ左右方向の一側(左側)に配置されている。そして、各油圧ホース25,26,28,29の外部ホースは、それぞれ昇降アーム19の左アーム19Aに沿って、ブレード20側から下部走行体2側に向けて延びている。
【0036】
ここで、油圧ホース25,26のうちアングルシリンダ24とホース挿通孔7Gとの間の部位、および油圧ホース28,29のうちチルトシリンダ27とホース挿通孔7Gとの間の部位は、それぞれ外部ホースとなってセンタフレーム7の外部に配置されている。このため、これら油圧ホース25,26,28,29のうちセンタフレーム7の外部に配置された部位は、コイル状のプロテクタ(図示せず)によって覆われている。これにより、油圧ホース25,26,28,29が、油圧ショベル1の稼働時に周囲の障害物に接触するのを防止し、これらを保護することができる構成となっている。
【0037】
ブレード変位検出装置としての姿勢検出センサ30は、排土装置18のブレード20に設けられたセンサ取付台20C上に取付けられている。姿勢検出センサ30は、ブレード20の姿勢を検出し、その姿勢に応じた信号をコントローラ35に出力する。ここで、ブレード20の姿勢とは、排土装置18を用いた整地作業時におけるブレード20のチルト角度、即ち、昇降アーム19とブレード20との取付部20Bを中心としたブレード20の両端の上下方向の傾き角度である。姿勢検出センサ30とコントローラ35との間は、ハーネス31およびスリップリング17を介して電気的に接続されている。
【0038】
ハーネス31は、スリップリング17を介して姿勢検出センサ30とコントローラ35との間を電気的に接続している。即ち、ハーネス31は、姿勢検出センサ30とスリップリング17との間を接続する外部ハーネスとしてのセンサ側ハーネス31Aと、スリップリング17とコントローラ35との間を接続する内部ハーネスとしてのコントローラ側ハーネス31Bとにより構成されている。センサ側ハーネス31Aは、一端31Cが姿勢検出センサ30に接続されると共に、他端31Dがセンタフレーム7のハーネス挿通孔7Hを通じて収容空間7C内に挿入され、スリップリング17に接続されている。これにより、ハーネス31は、スリップリング17を介して姿勢検出センサ30とコントローラ35との間を電気的に接続している。
【0039】
プリズム32は、排土装置18のブレード20に設けられた左右のプリズム取付台20Dのうち一方、例えば左側のプリズム取付台20D上に取付けられている。プリズム32は、排土装置18を用いた整地作業時に自動追尾式のトータルステーション(図示せず)によって追尾される対象物(ターゲット)である。これにより、プリズム32は、姿勢検出センサ30と共にブレード変位検出装置を構成している。トータルステーションは、プリズム32を追尾することによりブレード20の位置と高さとを連続的に計測し、この計測結果をブレード20の位置情報として、無線によりコントローラ35に出力する。
【0040】
ここで、自動追尾式のトータルステーションを用いた整地作業を行う場合、油圧ショベル1に対して特定のトータルステーションがセット(一組)となって稼働する。このため、油圧ショベル1のコントローラ35が、特定のトータルステーションからの位置情報のみを確実に受信できるように、プリズム32とコントローラ35との間で認証用の信号を送受信する必要がある。従って、プリズム32とコントローラ35との間は、ハーネス33およびスリップリング17を介して電気的に接続されている。
【0041】
ハーネス33は、スリップリング17を介してプリズム32とコントローラ35との間を電気的に接続している。即ち、ハーネス33は、プリズム32とスリップリング17との間を接続する外部ハーネスとしてのプリズム側ハーネス33Aと、スリップリング17とコントローラ35との間を接続する内部ハーネスとしてのコントローラ側ハーネス33Bとにより構成されている。プリズム側ハーネス33Aは、一端33Cがプリズム32に接続されると共に、他端33Dがセンタフレーム7のハーネス挿通孔7Hを通じて収容空間7C内に挿入され、スリップリング17に接続されている。
【0042】
ここで、図2および図6に示すように、姿勢検出センサ30に接続されたセンサ側ハーネス31Aは、昇降アーム19を基準として排土装置18の左右方向の他側(右側)に配置されている。具体的には、センサ側ハーネス31Aは、係止具34等を用いて昇降アーム19の右アーム19Bに沿って配置され、ブレード20側から下部走行体2側に向けて延びている。そして、センサ側ハーネス31Aの他端31Dは、センタフレーム7のハーネス挿通孔7Hを通じて収容空間7C内に挿入され、収容空間7C内でスリップリング17に接続されている。
【0043】
同様に、プリズム32に接続されたプリズム側ハーネス33Aも、昇降アーム19を基準として排土装置18の左右方向の他側(右側)に配置されている。具体的には、プリズム側ハーネス33Aは、係止具34等を用いて昇降アーム19の右アーム19Bに沿って配置され、ブレード20側から下部走行体2側に向けて延びている。そして、プリズム側ハーネス33Aの他端33Dは、センタフレーム7のハーネス挿通孔7Hを通じて収容空間7C内に挿入され、収容空間7C内でスリップリング17に接続されている。
【0044】
このように、姿勢検出センサ30に接続されたセンサ側ハーネス31Aと、プリズム32に接続されたプリズム側ハーネス33Aとは、アングルシリンダ24およびチルトシリンダ27の油圧ホース25,26,28,29の外部ホースとは、左右方向の反対側に配置されている。即ち、ブレード20と下部走行体2との間において、複数の油圧ホース25,26,28,29の外部ホースの配策ルートと、センサ側ハーネス31Aおよびプリズム側ハーネス33Aの配策ルートとが、左右方向の反対側に分かれて確保されている。
【0045】
整地作業用のコントローラ35は、例えば、上部旋回体4を構成する外装カバー12の上側に設けられている。コントローラ35は、姿勢検出センサ30およびトータルステーションにより検出されたブレード20の位置情報に基づいてブレード20用のコントロールバルブ(図示せず)を制御し、排土装置18を構成する各シリンダ21,27の動作を制御する。このように、コントローラ35は、排土装置18を用いた整地作業時に、施工すべき地面の3次元データとブレード20の位置情報とを対比しながら、ブレード20の姿勢制御を行う。
【0046】
本実施形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、以下、排土装置18を用いて整地作業を行う場合の動作について説明する。
【0047】
オペレータは、上部旋回体4の運転席13に座り、排土装置18用の操作レバー(図示せず)を操作し、ブレード20の下端を地面に接触させる。この状態で、走行レバー・ペダル装置14Bによって油圧ショベル1を走行させることにより、地面の整地作業を行うことができる。このときに、トータルステーション(図示せず)は、ブレード20に取付けられたプリズム32を追尾することにより、ブレード20の位置と高さとを連続的に計測し、この計測結果をブレード20の位置情報としてコントローラ35に出力する。一方、姿勢検出センサ30は、ブレード20のチルト角度を検出し、このチルト角度に応じた信号をコントローラ35に出力する。
【0048】
コントローラ35は、トータルステーションおよび姿勢検出センサ30からの出力に基づいて、ブレード20用のコントロールバルブ(図示せず)を制御する。これにより、昇降シリンダ21、チルトシリンダ27が、コントローラ35によって整地計画に基づく地面の3次元データに沿うように制御される。この結果、整地計画の地面の3次元データに従ってブレード20の姿勢(高さ位置、チルト角度等)を変化させて、整地計画(設計データ)に適合するように地面を整地することができる。
【0049】
排土装置18を用いた整地作業時には、アングルシリンダ24に接続された油圧ホース25,26、およびチルトシリンダ27に接続された油圧ホース28,29が、ブレード20と下部走行体2との間で油圧ショベル1の動作に応じて揺れ動く。しかし、これら油圧ホース25,26,28,29の一端25A,26A,28A,29A側となる外部ホースは、昇降アーム19の左アーム19Aに沿って排土装置18の左右方向の一側(左側)に配置されている。一方、姿勢検出センサ30に接続されたセンサ側ハーネス31A(外部ハーネス)、およびプリズム32に接続されたプリズム側ハーネス33A(外部ハーネス)は、昇降アーム19の右アーム19Bに沿って排土装置18の左右方向の他側(右側)に配置されている。
【0050】
このため、油圧ホース25,26,28,29(外部ホース)が、ブレード20と下部走行体2との間で揺れ動いた場合でも、これら油圧ホース25,26,28,29が、センサ側ハーネス31Aおよびプリズム側ハーネス33Aに接触するのを抑えることができる。従って、油圧ホース25,26,28,29の外周側にコイル状のプロテクタ(図示せず)が設けられている場合でも、センサ側ハーネス31Aおよびプリズム側ハーネス33Aが、プロテクタに接触して損傷するのを抑えることができる。
【0051】
一方、各油圧ホース25,26,28,29と、センサ側ハーネス31Aおよびプリズム側ハーネス33Aとが、左右方向の一方に纏めて配置される場合に比較して、排土装置18を用いた整地作業時に、運転席13からブレード20の左右方向の両端を、後面20A側から均等に目視することができる。この結果、オペレータは、地面の整地状況を的確に把握することができ、排土装置18を用いた整地作業の作業性を高めることができる。
【0052】
ここで、上部旋回体4の左前側には、運転席13に乗降するときにオペレータが通る通路の一部を形成する乗降口15が設けられている。このため、図9に示すように、例えば角度θだけ上部旋回体4を右旋回させることにより、運転席13の左前側、即ち、油圧ショベル1の前方に乗降口15によって大きな視界を確保することができる。従って、運転席13に座ったオペレータは、ブレード20の左右方向の両端を後面20A側から確実に目視することができ、整地作業の作業性を一層高めることができる。
【0053】
この場合、各油圧ホース25,26,28,29の一端25A,26A,28A,29A側は、それぞれ上部旋回体4の乗降口15が配置されたと同じ左右方向の一側(左側)に配置されている。従って、角度θだけ上部旋回体4を右旋回させた状態では、運転席13に座ったオペレータは、乗降口15を通じて油圧ホース25,26,28,29を確実に目視することができる。この結果、例えば油圧ホース25,26,28,29の外周側にコイル状のプロテクタが取付けられた場合に、このプロテクタに対する土砂等の付着を的確に判断し、付着した土砂を迅速に除去することができる。
【0054】
かくして、実施形態では、自走可能な下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の旋回中心に配置され、下部走行体2と上部旋回体4との間で圧油を流通させるセンタジョイント16と、上部旋回体4の旋回中心に配置され、下部走行体2と上部旋回体4との間で通電状態を保持するスリップリング17と、基端側が下部走行体2に取付けられ、左右方向で対面する左アーム19Aおよび右アーム19Bを含んで構成される昇降アーム19と、昇降アーム19の先端側に取付けられたブレード20と、昇降アーム19とブレード20との間に設けられ、昇降アーム19に対してブレード20を変位させる油圧機器(アングルシリンダ24およびチルトシリンダ27)と、上部旋回体4の内部に設けられた油圧源と前記油圧機器とをセンタジョイント16を介して接続する油圧ホース25,26,28,29と、ブレード20の変位を検出するためにブレード20に設けられたブレード変位検出装置(姿勢検出センサ30およびプリズム32)と、上部旋回体4に設けられ、前記ブレード変位検出装置からの検出信号に基づいて前記油圧機器の動作を制御するコントローラ35と、コントローラ35と前記ブレード変位検出装置とをスリップリング17を介して接続するハーネス31,33と、を備えてなる建設機械において、各油圧ホース25,26,28,29は、上部旋回体4の内部と下部走行体2の内部に配置された内部ホースと、前記内部ホースに接続され、下部走行体2から外部へ露出して前記油圧機器に接続された外部ホースとにより構成されており、ハーネス31,33は、上部旋回体4の内部に配置され、コントローラ35とスリップリング17とに接続されたコントローラ側ハーネス31B,33Bと、下部走行体2から外部へ露出して、スリップリング17と前記ブレード変位検出装置とに接続されたセンサ側ハーネス31Aおよびプリズム側ハーネス33Aとにより構成されており、前記外部ホースは、下部走行体2から左アーム19Aおよび右アーム19Bのうち一側のアームに沿ってブレード20側に延びて、前記油圧機器に接続されており、センサ側ハーネス31Aおよびプリズム側ハーネス33Aは、下部走行体2から左アーム19Aおよび右アーム19Bのうち他側のアームに沿ってブレード20側に延びて、前記ブレード変位検出装置に接続されている。
【0055】
この構成によれば、油圧ショベル1の稼働時に油圧ホース25,26,28,29の一端25A,26A,28A,29A側となる外部ホースが、外部ハーネスとなるセンサ側ハーネス31Aおよびプリズム側ハーネス33Aに接触するのを抑えることができ、センサ側ハーネス31Aおよびプリズム側ハーネス33Aを保護することができる。また、排土装置18を用いた整地作業時に、運転席13からブレード20の左右方向の両端を後面20A側から目視するときの視界を大きく確保することができ、整地作業の作業性を高めることができる。
【0056】
実施形態では、前記油圧機器は、昇降アーム19とブレード20との取付部20Bを中心としてブレード20の両端を前後方向で互いに逆向きに変位させるアングルシリンダ24と、昇降アーム19とブレード20との取付部20Bを中心としてブレード20の両端を上下方向で互いに逆向きに変位させるチルトシリンダ27とを含んで構成され、アングルシリンダ24に接続された油圧ホース25,26、およびチルトシリンダ27に接続された油圧ホース28,29の一端25A,26A,28A,29A側となる外部ホースは、左右方向においてアングルシリンダ24が設けられたと同じ側に配置されている。この構成によれば、油圧ホース25,26,28,29の長さを可及的に短くすることができる。
【0057】
実施形態では、下部走行体2は、内部にセンタジョイント16およびスリップリング17を収容する収容空間7Cが形成されたトラックフレーム6を有し、トラックフレーム6には、収容空間7Cに開口するホース挿通孔7Gとハーネス挿通孔7Hとが左右方向に離間して設けられ、各油圧ホース25,26,28,29は、ホース挿通孔7Gを通じてセンタジョイント16へと延び、各ハーネス31,33は、ハーネス挿通孔7Hを通じてスリップリング17へと延びている。この構成によれば、ホース挿通孔7Gに挿通される油圧ホース25,26,28,29の配策ルートと、ハーネス挿通孔7Hに挿通されるハーネス31,33の配策ルートとを、左右に確実に分けることができる。
【0058】
実施形態では、上部旋回体4には、運転席13と、運転席13に乗降するために上部旋回体4の左右方向の一側に配置された乗降口15とが設けられ、各油圧ホース25,26,28,29の一端25A,26A,28A,29A側は、乗降口15が配置されたと同じ左右方向の一側に配置されている。この構成によれば、上部旋回体4を旋回させることにより、乗降口15を通じて油圧ショベル1の前方視界を大きく確保することができる。また、各油圧ホース25,26,28,29の一端25A,26A,28A,29A側は、それぞれ乗降口15が配置されたと同じ側に配置されるので、オペレータは、乗降口15を通じて油圧ホース25,26,28,29を確実に目視することができる。この結果、例えば油圧ホース25,26,28,29に付着した土砂を迅速に除去することができる。
【0059】
なお、実施形態では、各油圧ホース25,26,28,29の一端25A,26A,28A,29A側を昇降アーム19の左アーム19Aに沿って配置し、センサ側ハーネス31Aおよびプリズム側ハーネス33Aを昇降アーム19の右アーム19Bに沿って配置した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば各油圧ホース25,26,28,29の一端25A,26A,28A,29A側を右アーム19Bに沿って配置し、センサ側ハーネス31Aおよびプリズム側ハーネス33Aを左アーム19Aに沿って配置してもよい。
【0060】
また、実施形態では、昇降アーム19に対してブレード20を変位させる油圧機器として、アングルシリンダ24とチルトシリンダ27とを備えた油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばアングルシリンダ24とチルトシリンダ27のうちいずれか一方を備えた油圧ショベルにも適用することができる。さらに、油圧機器として、油圧シリンダ以外のアクチュエータ、例えば油圧モータ等を用いる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
4 上部旋回体
6 トラックフレーム
7 センタフレーム
7C 収容空間
7G ホース挿通孔
7H ハーネス挿通孔
13 運転席
15 乗降口
16 センタジョイント
17 スリップリング
18 排土装置
19 昇降アーム
19A 左アーム
19B 右アーム
20 ブレード
20B 取付部
24 アングルシリンダ(油圧機器)
27 チルトシリンダ(油圧機器)
25,26,28,29 油圧ホース
30 姿勢検出センサ(ブレード変位検出装置)
31,33 ハーネス
31A センサ側ハーネス(外部ハーネス)
33A プリズム側ハーネス(外部ハーネス)
31B,33B コントローラ側ハーネス(内部ハーネス)
32 プリズム(ブレード変位検出装置)
35 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9