(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】連結構造
(51)【国際特許分類】
F16C 1/14 20060101AFI20231102BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
F16C1/14 B
F16C11/04 H
(21)【出願番号】P 2020176699
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今川 拓磨
【審査官】角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-192017(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0285111(US,A1)
【文献】米国特許第05937705(US,A)
【文献】実開昭58-119616(JP,U)
【文献】実開昭57-021821(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-0857216(KR,B1)
【文献】特表平10-512358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 1/00- 1/28
F16C 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルが接続される端末部材と、
前記端末部材に、前記ケーブルの軸方向に対して略垂直な回転軸を中心に回転可能に連結される軸部材と
を備えた連結構造であって、
前記端末部材が、前記軸部材が回転可能に嵌合される嵌合孔を有し、
前記嵌合孔の周壁には、前記周壁の表面から前記嵌合孔の内部に向かって突出する弾性部材が設けられ
、
前記弾性部材は、前記ケーブルの軸方向の延長線を含み、かつ、前記回転軸に対して略垂直な平面において、前記周壁の一部の表面から突出し、
前記軸部材は、前記嵌合孔に嵌合されたときに、前記弾性部材と常に接触するとともに、前記平面において、前記軸部材が常に接触している前記弾性部材の部分とは前記嵌合孔を挟んで反対側の前記周壁の部分と接触するように配置される、
連結構造。
【請求項2】
前記弾性部材が、前記ケーブルの軸方向の延長線上において、前記周壁の表面から突出している、
請求項1に記載の連結構造。
【請求項3】
ケーブルが接続される端末部材と、
前記端末部材に、前記ケーブルの軸方向に対して略垂直な回転軸を中心に回転可能に連結される軸部材と
を備えた連結構造であって、
前記端末部材が、前記軸部材が回転可能に嵌合される嵌合孔を有し、
前記嵌合孔の周壁には、前記周壁の表面から前記嵌合孔の内部に向かって突出する弾性部材が設けられ、
前記弾性部材は、前記ケーブルの軸方向の延長線上にある前記周壁の部分のうち、前記ケーブルが接続された側の前記周壁の部分の表面からは突出せず、前記ケーブルが接続された側とは反対側の前記周壁の部分の表面から突出している、
連結構造。
【請求項4】
前記弾性部材が、前記周壁の径方向の内側に向かって凸状に湾曲して突出している、
請求項1
~3のいずれか1項に記載の連結構造。
【請求項5】
前記弾性部材が、リング状に形成され、前記弾性部材の中心軸が前記周壁の中心軸からずれるように、前記周壁の周方向に沿って設けられている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シフトレバーなどの操作部により操作されるケーブルをトランスミッションなどの被操作部に接続するために、特許文献1に開示された連結構造が用いられている。この連結構造は、操作部により操作されるケーブルが接続される外側部材と、被操作部に設けられる内側部材とを備えている。外側部材には、内側部材を回転可能に挿通可能な挿通孔が設けられており、外側部材および内側部材は、内側部材が挿通孔に挿通されることで、互いに相対回転可能に連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の連結構造では、外側部材と内側部材との間の相対回転動作をスムーズに行うために、外側部材の挿通孔の周壁と内側部材の外壁との間にクリアランスが設けられている。ところが、このクリアランスを大きくすると、外側部材と内側部材とが相対回転する際に、互いの軸がずれてしまって、ガタツキが生じてしまう。一方で、クリアランスを小さくすると、外側部材と内側部材との間の相対回転の回転抵抗が増大し、互いに対する相対回転動作がスムーズに行われなくなる。
【0005】
本発明は、ガタツキの発生と回転抵抗の増大が抑制された連結構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の連結構造は、ケーブルが接続される端末部材と、前記端末部材に、前記ケーブルの軸方向に対して略垂直な回転軸を中心に回転可能に連結される軸部材とを備えた連結構造であって、前記端末部材が、前記軸部材が回転可能に嵌合される嵌合孔を有し、前記嵌合孔の周壁には、前記周壁の表面から前記嵌合孔の内部に向かって突出する弾性部材が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の連結構造によれば、ガタツキの発生と回転抵抗の増大が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の連結構造の連結前の状態を示す概略側面図である。
【
図2】
図1の連結構造の連結後の状態を示す側面図である。
【
図3】
図1の連結構造の連結後の状態を示す平面図である。
【
図4】
図3の連結構造のIV-IV線部分断面図から軸部材および係合部材を取り除いた図である。
【
図5】
図3の連結構造の軸部材および係合部材を取り除いた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の連結構造を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明の連結構造は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
本実施形態の連結構造1は、
図1に示されるように、ケーブルCが接続される端末部材2と、端末部材2に回転可能に連結される軸部材3とを備えている。連結構造1は、たとえば、シフトレバーなどの操作部P1と、操作部P1によって操作されるケーブルCと、トランスミッションなどの被操作部P2とを備えた操作力伝達機構Mにおいて、ケーブルCと被操作部P2との間の接続箇所に設けることができる。ただし、連結構造は、ケーブルが接続される端末部材と軸部材とを互いに相対回転可能に連結する用途であれば、車両以外の用途に適用されてもよい。
【0011】
連結構造1を含む操作力伝達機構Mは、
図1に示されるように、操作部P1と、操作部P1に接続されたケーブルCと、ケーブルCが接続された端末部材2と、端末部材2に回転可能に連結された軸部材3と、軸部材3に接続された被操作部P2とを有している。操作部P1は、シフトレバー等、ケーブルCに操作力を加える部位である。ケーブルCの一端側は、操作部P1に接続され、ケーブルCの他端側は、端末部材2に接続されている。ケーブルCは、公知のコントロールケーブルのインナーケーブルとすることができる。ケーブルCは、操作部P1と端末部材2との間に所定の配索経路で配索される。なお、ケーブルCは配索経路の少なくとも一部において、図示しないアウターケーシングに挿通されていてもよい。被操作部P2は、トランスミッション等、端末部材2および軸部材3を介してケーブルCにより操作される部位である。本実施形態では、軸部材3は、被操作部P2に揺動可能に設けられたレバーLに設けられている。
【0012】
操作力伝達機構Mでは、操作部P1が操作されるとケーブルCが操作され、ケーブルCの操作によって、ケーブルCの他端が接続された端末部材2が操作される。端末部材2が操作されると、端末部材2に回転可能に連結された軸部材3に端末部材2から力が加わる。これにより、軸部材3に接続されたレバーLが回転軸X周りに回転してトランスミッションである被操作部P2に操作部P1の操作力が伝達される。
【0013】
端末部材2は、
図1および
図2に示されるように、ケーブルCが接続され、軸部材3が回転軸Xを中心に回転可能に連結される部材である。端末部材2は、本実施形態では、ケーブルCの操作力を受けて操作されて、ケーブルCの操作力を軸部材3に伝達する。ただし、端末部材は、軸部材の操作力を受けて操作されて、軸部材の操作力をケーブルに伝達するように構成されてもよい。端末部材2は、ケーブルCとの間で操作力を伝達できるようにケーブルCに接続されていれば、ケーブルCとの接続方法は特に限定されない。本実施形態では、端末部材2は、ケーブルCの端部に固定されたロッドRを介してケーブルCに接続される。
【0014】
端末部材2は、
図1および
図2に示されるように、軸部材3が回転可能に嵌合される嵌合孔21を有している。端末部材2は、軸部材3が嵌合孔21に回転可能に嵌合されることで、軸部材3と回転可能に連結される。端末部材2は、軸部材3が回転軸Xを中心に回転可能に嵌合される嵌合孔21を有し、嵌合孔21を介して軸部材3が回転軸Xを中心に回転できるように連結されればよく、端末部材2の構造は特に限定されない。本実施形態では、端末部材2は、板状の本体部2aと、本体部2aの一面から突出する筒状部2bとを備えている。嵌合孔21は、本体部2aおよび筒状部2bの両方を貫通するように設けられている。しかし、嵌合孔は、軸部材3が回転可能に嵌合することができればよく、本体部2aおよび筒状部2bの両方を貫通していなくてもよい。嵌合孔21の詳細については、後に詳しく述べる。
【0015】
端末部材2は、
図1~
図3に示されるように、係合部材4を介して、回転軸Xの延びる方向(以下では、回転軸X方向という)での軸部材3に対する相対移動が抑制されるように、軸部材3と連結されてもよい。その目的のために、端末部材2は、軸部材3の後述する軸部材側係合部32と端末部材2の外部とを連通する開口部22a、22bを備えている。開口部22a、22bは、回転軸Xに対して略垂直方向で回転軸Xを挟んで対向するように筒状部2bの二か所に設けられている。開口部22a、22bは、係合部材4の後述する挟持部41が軸部材3の軸部材側係合部32に係合するために通過できるような大きさおよび形状で開口している。開口部22a、22bの回転軸X方向の両側には、回転軸X方向で係合部材4と係合可能な端末部材側係合部23a、23bが設けられている。端末部材2は、端末部材側係合部23a、23bが回転軸X方向で係合部材4と係合することで、係合部材4と係合する軸部材3に対して回転軸X方向に相対移動することが抑制される。ただし、端末部材は、軸部材が回転可能に連結されていればよく、軸部材に対して回転軸X方向に相対移動可能であってもよい。
【0016】
軸部材3は、端末部材2に、ケーブルCの軸CX方向(軸CXの延びる方向)に対して略垂直な回転軸Xを中心に回転可能に連結される部材である。ケーブルCの軸CX方向とは、端末部材2近傍におけるケーブルCの軸CX方向(ロッドRの延びる方向)である。本実施形態では、軸部材3は、
図1に示されるように、端末部材2に回転可能に連結されるとともに、被操作部P2に揺動可能に設けられたレバーLに接続される。軸部材3は、端末部材2からケーブルCの操作力が伝達されて操作され、端末部材2から伝達された操作力を被操作部P2に伝達する。ただし、軸部材は、軸部材に伝達された操作力を端末部材に伝達するように構成されていてもよい。
【0017】
軸部材3は、端末部材2の嵌合孔21に回転可能に嵌合するように構成されていればよく、その構造は特に限定されない。本実施形態では、軸部材3は、
図1~
図3に示されるように、端末部材2の嵌合孔21と回転可能に嵌合する嵌合部31を備えている。嵌合部31は、嵌合孔21に嵌め込まれる軸状の部位であり、嵌合孔21に挿入されて嵌合孔21に嵌合する。嵌合部31は、略円柱状に形成され、端末部材2と軸部材3とが連結された状態において、端末部材2に対して回転軸X周りに相対回転可能に構成されている。
【0018】
軸部材3は、上述したように係合部材4を介して端末部材2との回転軸X方向での相対移動が抑制されるように端末部材2に連結される場合には、係合部材4と係合可能な軸部材側係合部32(
図1参照)を備えていてもよい。軸部材側係合部32は、
図1~
図3に示されるように、端末部材2の開口部22a、22bに挿入された係合部材4の挟持部41と係合する(
図3参照)。軸部材側係合部32は、係合部材4に対して回転軸X方向の両側で係合するように構成されている。具体的には、軸部材3は、嵌合部31の外周に、回転軸X周りに延びる溝33が形成されており、軸部材側係合部32は、この溝33の回転軸X方向の両側に設けられている。軸部材3は、軸部材側係合部32が係合部材4に対して回転軸X方向の両側で係合することで、係合部材4に対して回転軸X方向の両側で係合する端末部材2に対して回転軸X方向に相対移動するのが抑制される。ただし、軸部材は、端末部材に回転可能に連結されていればよく、端末部材に対して回転軸X方向に相対移動可能であってもよい。
【0019】
係合部材4は、端末部材2および軸部材3の両方と係合することで、端末部材2および軸部材3の回転軸X方向の互いに対する相対移動を抑制する部材である。係合部材4は、端末部材2の端末部材側係合部23a、23bおよび軸部材3の軸部材側係合部32と係合する際に弾性変形可能なように、金属製の線材など、可撓性(バネ弾性)を有する材料により形成されている。係合部材4は、たとえば、
図3に示されるように、回転軸Xに対して垂直な平面内で、1本の線材を折り曲げて形成することができる。係合部材4は、回転軸Xに対して略垂直方向で回転軸Xを挟んで対向する位置に設けられた第1挟持要素41aおよび第2挟持要素41bを有する挟持部41を備えている。第1挟持要素41aおよび第2挟持要素41bは、端末部材2の両側の開口部22a、22bにそれぞれ挿入され、回転軸Xに対して略垂直方向で軸部材3を挟み込むようにして、端末部材側係合部23a、23bおよび軸部材側係合部32と係合可能なように構成されている。
【0020】
つぎに、
図1~
図3に加えて
図4および
図5を参照しながら、端末部材2の嵌合孔21の詳細を説明する。なお、
図1~
図3では、
図4および
図5に示された弾性部材5の図示を省略している。嵌合孔21は、
図1~
図3に示されるように、軸部材3の嵌合部31が回転可能に嵌合可能な形状および大きさに形成されている。
図4および
図5に示されるように、嵌合孔21の回転軸X周りには、嵌合孔21を回転軸X周りで少なくとも部分的に囲繞して、回転軸X周りの周方向CDに沿って延びる周壁21aが設けられている。本実施形態では、嵌合孔21は、
図1および
図2に示されるように、軸部材3の嵌合部31の形状および大きさに対応して、回転軸X方向に延びる略円柱状に形成され、嵌合部31の直径と同じか、または嵌合部31の直径よりもわずかに大きな直径を有するような大きさにされている。それに伴って、周壁21aは、嵌合孔21の回転軸X周りを、回転軸X方向に延びるように形成されている。ただし、嵌合孔21は、軸部材3が回転可能に嵌合することができるように形成されていれば、略円柱状に限定されることはなく、たとえば略球状や略楕円柱状など、他の形状であっても構わない。周壁21aもまた、少なくとも回転軸X周りで嵌合孔21を少なくとも部分的に囲繞して、回転軸X周りの周方向CDに沿って延びるように形成されていれば、特に限定されることはなく、嵌合孔の形状に対応して形成される。
【0021】
嵌合孔21の周壁21aには、
図4および
図5に示されるように、周壁21aの表面から嵌合孔21の内部に向かって突出する弾性部材5が設けられている。ここで、弾性部材5は、少なくとも、軸部材3が端末部材2に対してスムーズに相対回転するように、または軸部材3の端末部材2に対する相対回転が阻害されない程度に、嵌合孔21の周壁21aの表面から嵌合孔21の内部に向かって突出していればよい。その目的のために、たとえば、弾性部材5は、嵌合孔21に嵌合される軸部材3(嵌合部31)の外面が全体ではなく部分的に弾性部材5に接触するように、嵌合孔21の周壁21aの表面から嵌合孔21の内部に向かって突出していてもよい。
【0022】
弾性部材5が嵌合孔21の周壁21aの表面から嵌合孔21の内部に向かって突出することにより、端末部材2に連結された軸部材3が端末部材2に対して相対回転するときに、嵌合孔21の周壁21aから突出した弾性部材5に軸部材3が当接することで、軸部材3の軸ズレが抑制されて、軸部材3のガタツキが抑制される。また、軸部材3の弾性部材5への当接の際に、弾性部材5が当接の衝撃を吸収することで、当接音の発生も抑制される。弾性部材5が嵌合孔21の周壁21aの表面から突出するように設けられていることで、弾性部材5を設けずに周壁21aの表面と軸部材3(嵌合部31)の外面との間のクリアランスを単に小さくする場合と比べて、軸部材3の周壁21aに対する接触面積を小さくすることができるので、軸部材3の回転抵抗の増大を抑制することができる。
【0023】
弾性部材5は、嵌合孔21の周壁21aから嵌合孔21の内部に向かって突出していればよく、周壁21a内の設けられる位置や、弾性部材5の突出部分の形状は特に限定されない。本実施形態では、弾性部材5は、
図4および
図5に示されるように、周壁21aの周方向CDの一部の表面から嵌合孔21の内部に向かって突出している。つまり、弾性部材5は、周壁21aの周方向CDの一部のみの表面から突出し、周壁21aの周方向CDの他の部分の表面から突出していない。このように弾性部材5が周壁21aの周方向CDの一部から突出することで、周壁21aの周方向CDの全部から突出する場合と比べて、軸部材3の弾性部材5との接触面積を小さくすることができるので、軸部材3の回転抵抗の増大をより抑制することができる。本実施形態では、弾性部材5は、
図5に示されるように、周壁21aの周方向CDの全周の半分以上の表面から、より具体的には全周の約3/4の表面から突出している。弾性部材5が突出する周壁21aの周方向CDの長さは、特に限定されることはないが、軸部材3と弾性部材5との接触面積を小さくするという観点から、周壁21aの周方向CDの全周の約3/4以下が好ましく、約1/2以下がさらに好ましく、約1/4以下がよりさらに好ましい。
【0024】
弾性部材5の突出部分は、本実施形態では、
図5に示されるように、周壁21aの周方向CDにおける一方側の端部5bから他方側の端部5cまで延びている。弾性部材5の、周壁21aからの突出幅Wは、周壁21aの周方向CDに沿って、最大突出部分5a(周方向CDで突出幅Wが最も大きい部分)から端部5b、5cに向かって徐々に小さくなっている。より具体的には、弾性部材5の突出幅Wは、最大突出部分5aから周方向CDで所定距離だけ離れた端部5b、5cにおいてゼロになるように、最大突出部分5aから端部5b、5cに向かって連続的に小さくなっている。弾性部材5の突出幅Wが周方向CDに沿って端部5b、5cに向かって徐々に小さくなるように弾性部材5が周壁21aの表面から突出することで、軸部材3が端末部材2に対して相対回転する際に、軸部材3(嵌合部31)が弾性部材5の周方向CDの端部5b、5cで引っ掛かることが抑制されるので、軸部材3の端末部材2に対する相対回転がスムーズに行われる。なお、弾性部材5の突出部分の突出幅Wは、軸部材3の端末部材2に対する相対回転が阻害されない範囲で適宜設定することができる。たとえば、突出幅Wは、嵌合孔21の外径から最大の突出幅Wを差し引いた外径が軸部材3の嵌合部31の外径とほぼ同じか、軸部材3の嵌合部31の外径よりもわずかに大きくなるように設定することができる。
【0025】
弾性部材5は、本実施形態では、
図4および
図5に示されるように、ケーブルCの軸CX方向の延長線上において、周壁21aの表面から突出している。ケーブルCの押し引き操作荷重が端末部材2に加えられると、ケーブルCの軸CX方向(押し引き操作荷重が加えられる方向)に沿って、端末部材2が移動して、端末部材2の周壁21aが軸部材3に当接する。そのときに、ケーブルCの軸CX方向(押し引き操作荷重が加えられる方向)の延長線上に弾性部材5があることで、弾性部材5が軸部材3に当接して、軸部材3の軸ズレが抑制され、軸部材3のガタツキの発生が抑制される。さらにその当接の際に、弾性部材5が当接の衝撃を吸収することで、当接音の発生が抑制される。本実施形態では、弾性部材5は、弾性部材5の最大突出部分5aがケーブルCの軸CX方向の延長線上に位置するように、周壁21aの表面から突出している。弾性部材5の最大突出部分5aがケーブルCの軸CX方向の延長線上に位置することで、上記効果をより高めることができる。また、本実施形態では、弾性部材5は、ケーブルCの軸CX方向の延長線上にある周壁21aの部分のうち、ケーブルC(ロッドR)が接続された側とは反対側の部分において、周壁21aの表面から突出している。これにより、特にケーブルCの引き操作荷重(
図5中、右側に向かう荷重)が端末部材2に加えられた際に、弾性部材5が軸部材3に当接することで、軸部材3のガタツキと、端末部材2と軸部材3との間の当接音とが抑制される。ただし、弾性部材は、ケーブルCの軸CX方向の延長線上にある周壁21aの部分のうち、ケーブルCが接続された側の周壁21aの部分の表面から突出していてもよいし、ケーブルCの軸CX方向の延長線上の両側の周壁21aの部分の表面から突出していてもよい。
【0026】
弾性部材5は、本実施形態では、
図4に示されるように、周壁21aの回転軸X方向の一部の表面から嵌合孔21の内部に向かって突出している。つまり、弾性部材5は、周壁21aの回転軸X方向の一部のみの表面から突出し、周壁21aの回転軸X方向の他の部分の表面から突出していない。このように弾性部材5が周壁21aの回転軸X方向の一部から突出することで、周壁21aの回転軸X方向の全部から突出する場合と比べて、軸部材3の弾性部材5との接触面積を小さくすることができるので、軸部材3の回転抵抗の増大をより抑制することができる。
【0027】
弾性部材5は、本実施形態では、
図4に示されるように、周壁21aの径方向の内側に向かって凸状に湾曲して突出している。弾性部材5が凸状に湾曲して突出することで、軸部材3の弾性部材5への接触が面接触ではなく点接触(または周方向CDに沿った線接触)に近くなって接触面積が減少するので、軸部材3の回転抵抗の増大をさらに抑制することができる。本実施形態では、弾性部材5の突出部分は、回転軸X方向および周壁21aの径方向に平行な面で切断したときの断面視で(
図4に示される断面)、回転軸X方向の略中心部分で最も突出幅Wが大きく、回転軸X方向の両端に近づくに従って突出幅Wが小さくなるような形状を有している。より具体的には、弾性部材5の突出部分は、断面視で、円(または楕円)が部分的に切り取られた形状を有している。
【0028】
弾性部材5は、嵌合孔21の周壁21aから嵌合孔21の内部に向かって突出していればよく、弾性部材5自体の形状や大きさは特に限定されない。弾性部材5は、本実施形態では、
図5に示されるように、周壁21aの周方向CDに沿って延びるリング状に形成され、弾性部材5の中心軸5Xが周壁21aの中心軸(回転軸X)からずれるように、周壁21aの周方向CDに沿って設けられている。弾性部材5をリング状に形成することで、弾性部材5自体の強度を高くすることができるとともに、周壁21aに対する設置面積を大きくすることができ、周壁21aに弾性部材5をより強固に取り付けることができる。弾性部材5は、本実施形態では、周壁21aの周方向CDにおける一部から弾性部材5の周方向の一部だけが突出するように、弾性部材5の中心軸5Xと周壁21aの中心軸(回転軸X)とが回転軸Xに対して垂直方向に(図示された例では、ケーブルCの軸CX方向に、特には、ケーブルCが接続された側に)ずらされて、周壁21aに埋設されている。
【0029】
弾性部材5は、本実施形態では、
図4および
図5に示されるように、周方向に垂直な断面が略円形で、周方向に略円形に延びるリング状に形成されている。しかし、弾性部材の断面は、略楕円形や略多角形など他の形状であってもよい。また、弾性部材は、略楕円形や略多角形などの他の形状のリング状に形成されていてもよい。本実施形態では、リング状の弾性部材5は、弾性部材5の内周が周壁21aとほぼ同じ直径を有するように形成されている。しかし、弾性部材は、弾性部材の内周が周壁とは異なる直径を有するように形成されていてもよい。本実施形態では、弾性部材5は、弾性部材5の中心軸5Xが周壁21aの中心軸(回転軸X)と略平行となるように、周壁21aに埋設されている。しかし、弾性部材は、弾性部材の中心軸が周壁の中心軸と交差するように、周壁に埋設されていてもよい。
【0030】
弾性部材5は、軸部材3が当接した際の衝撃を吸収することができる弾性を有していればよく、その構成材料は特に限定されない。弾性部材5は、本実施形態では、ゴム材料により形成される。ゴム材料としては、公知の天然ゴムや合成ゴムを用いることができ、特に限定されることはなく、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、HNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)などが例示される。
【符号の説明】
【0031】
1 連結構造
2 端末部材
2a 本体部
2b 筒状部
21 嵌合孔
21a 周壁
22a、22b 開口部
23a、23b 端末部材側係合部
3 軸部材
31 嵌合部
32 軸部材側係合部
33 溝
4 係合部材
41 挟持部
41a 第1挟持要素
41b 第2挟持要素
5 弾性部材
5a 弾性部材の最大突出部分
5b 弾性部材の一方側の端部
5c 弾性部材の他方側の端部
5X 弾性部材の中心軸
C ケーブル
CD 周方向
CX ケーブルの軸
L レバー
M 操作力伝達機構
P1 操作部
P2 被操作部
R ロッド
W 突出幅
X 回転軸