(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】センシングシステムおよび検知方法
(51)【国際特許分類】
G08C 15/06 20060101AFI20231102BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20231102BHJP
G08C 25/00 20060101ALI20231102BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G08C15/06 F
G08C15/00 E
G08C25/00 H
H04Q9/00 311J
(21)【出願番号】P 2020202577
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】江口 正祐
(72)【発明者】
【氏名】大隈 啓二
(72)【発明者】
【氏名】菊池 信彦
(72)【発明者】
【氏名】伊東 是則
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隆史
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-320748(JP,A)
【文献】特開2005-294991(JP,A)
【文献】特開2000-276687(JP,A)
【文献】特開2018-206018(JP,A)
【文献】特開2002-213991(JP,A)
【文献】特開平06-201413(JP,A)
【文献】中国実用新案第204270059(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00-25/04
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象を監視するためのセンシングシステムにおいて、
前記監視対象の状況に関する検知データを検知する複数のセンサと、
前記検知データを、通信路を介して送信する
複数の子局装置と、
前記複数の子局装置と接続する親局装置と、
前記複数の
センサおよび前記
複数の子局装置と接続する
複数のセンサIF装置と、
前記通信路を介して送信される検知データを受信し、受信した検知データを用いて、前記監視対象の監視データを出力するアプリケーションサーバを有し、
前記
複数のセンサIF装置は、前記複数のセンサのうち接続された前記センサおよび前記子局装置との間の接続を共通化し、接続された前記センサごとの特性情報を記憶
し、
前記親局装置は、前記子局装置ごとに、前記検知データの読出し要求を送信し、
前記複数の子局装置のそれぞれは、前記読出し要求に応じて、前記複数のセンサIF装置それぞれにおける検知データおよび特性情報を前記複数のセンサIF装置から取得し、取得された前記複数のセンサIF装置それぞれの検知データおよび特性情報をまとめた子局データを前記親局装置に送信するセンシングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のセンシングシステムにおいて、
前記
複数のセンサIF装置は、前記特性情報として、接続された前記センサの種別を示すセンサ種別および、検知された前記検知データを当該センサ種別に応じた補正を行うための補正値を記憶するセンシングシステム。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載のセンシングシステムにおいて、
前記センシングシステムは、
前記親局装置に接続されたセンシングGWを有し、
前記
複数のセンサIF装置、前記
複数の子局装置、前記親局装置および前記センシングGWのいずれかにおいて、前記検知データを物理量変換するセンシングシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のセンシングシステムにおいて、
前記
複数のセンサIF装置
のそれぞれは、当該センサIF装置に接続された前記
複数のセンサ
のいずれかと、一体で構成されるセンシングシステム。
【請求項5】
監視対象を監視するためのセンシングシステムを用いた検知方法において、
前記センシングシステムの複数のセンサにより、前記監視対象の状況に関する検知データを検知し、
前記センシングシステムの子局装置
であって、前記センシングシステムの親局装置と接続される複数の子局装置により、前記検知データを、通信路を介して送信し、
前記センシングシステムの
複数のセンサIF装置により、前記複数の
センサおよび前記
複数の子局装置と接続し、
前記センシングシステムのアプリケーションサーバにより、前記通信路を介して送信される検知データを受信し、受信した検知データを用いて、前記監視対象の監視データを出力し、
前記
複数のセンサIF装置により、前記複数のセンサのうち接続された前記センサおよび前記子局装置との間の接続を共通化し、接続された前記センサごとの特性情報を記憶
し、
前記親局装置により、前記子局装置ごとに、前記検知データの読出し要求を送信し、
前記複数の子局装置により、それぞれ前記読出し要求に応じて、前記複数のセンサIF装置それぞれにおける検知データおよび特性情報を前記複数のセンサIF装置から取得し、取得された前記複数のセンサIF装置それぞれの検知データおよび特性情報をまとめた子局データを前記親局装置に送信するセンシングシステムを用いた検知方法。
【請求項6】
請求項5に記載のセンシングシステムを用いた検知方法において、
前記
複数のセンサIF装置により、前記特性情報として、接続された前記センサの種別を示すセンサ種別および、検知された前記検知データを当該センサ種別に応じた補正を行うための補正値を記憶するセンシングシステムを用いた検知方法。
【請求項7】
請求項5または6のいずれかに記載のセンシングシステムを用いた検知方法において、
前記センシングシステムは、
前記親局装置および当該親局装置に接続されたセンシングGWを有し、
前記
複数のセンサIF装置、前記
複数の子局装置、前記親局装置および前記センシングGWのいずれかにおいて、前記検知データを物理量変換するセンシングシステムを用いた検知方法。
【請求項8】
請求項5に記載のセンシングシステムを用いた検知方法において、
前記
複数のセンサIF装置
のそれぞれは、当該センサIF装置に接続された前記
複数のセンサ
のいずれかと、一体で構成するセンシングシステムを用いた検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサを用いて、監視対象のデータを検知するための技術に関する。この中でも特に、光ファイバケーブルのような通信路を介して、検知データを収集するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、センシングシステムを利用して、上下水道、ガス配管、共同溝などのインフラ設備や大気、河川、海岸などの自然状況の監視対象について、監視が行われている。この際、センサでの検知データに基づいて、インフラ設備等の状況を監視し、日々の運用や異常、災害(津波、台風、地下陥没)への対策や設備自体の管理が行われている。
【0003】
このために、センサでは、インフラ設備等におけるその状況に関する各種データを検知する。各種データには、設備自体の劣化状況や水質や水位等の物理量が検知されている。そして、インフラ設備の管理者等が、センシングシステムを利用して、センサで検知された様々な検知データを収集し、これを用いてインフラ設備等の状況を監視している。
【0004】
このような、監視に用いられるセンサには、劣化、故障などの不具合が発生することがある。不具合が発生した場合には、センサの交換、修理などの対応が必要になる。また、センサはアナログ回路で構成されることもあり、センサ毎に検知データの個体バラツキが発生する。この個体バラツキへの対応として、調整、つまり、検知データの補正が必要になる。
【0005】
ここで、インフラ設備等の状況の監視においては、設備状況や各種物理量といった様々な検知データを収集、把握する必要がある。また、インフラ設備等では、監視が必要な箇所が多い。このため、センシングシステムでは、複数の種類そして多数のセンサが必要となる。このことにより、センサでの検知データの処理や、センサの交換、修理、補正の設定などセンサの管理に、手間が掛かってしまう。
【0006】
そこで、多種多量のセンサに対応するために、各センサを識別し、それぞれに応じて、上位装置である子局装置と接続することが求められる。
【0007】
このような多数のセンサを扱う先行技術として、特許文献1が提案されている。特許文献1には、センサが、自身を識別するセンサIDを保持しておき、アダプタ部がセンサ機器の起動時にセンサIDを読み取る。そして、アダプタ部は、センサ計測されたアナログ物理量に対し、予め定めた処理を施し、デジタルデータに変換し、このデジタルデータとセンサIDを出力している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
センシングシステムにおいては、センサはセンサインタフェース装置(以下、センサIF回路)を介して、子局装置などと呼ばれる接続装置と接続されている。この子局装置には複数種のセンサが接続されることになる。これは、各検知箇所において、上述したような複数種類の検知データを扱うことになるためである。通常、検知データの種類ごとに、子局装置のインタフェースを用意することが必要となる。このため、上述したセンサの管理においては、このインタフェースを汎用化や共通化(以下、単に共通化)することが重要である。
【0010】
ここで、特許文献1では、アダプタ部120にセンサID読み取り部121を設け、センサ交換の際にセンサを識別している。但し、子局装置との通信における共通化については、考慮されていなかった。そこで、本発明では、この共通化を可能とすることで、各センサの管理を簡便化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するために、本発明では、子局装置およびセンサを中継するセンサIF装置であって、子局装置とセンサとのインタフェースを共通化し、少なくとも対応するセンサの特性情報を記憶したセンサIF装置を含むセンシングシステムを提案する。ここで、センサの特性情報には、少なくともセンサ種別を含む。
【0012】
より詳細な本発明の一態様は、監視対象を監視するためのセンシングシステムにおいて、前記監視対象の状況に関する検知データを検知する複数のセンサと、前記検知データを、通信路を介して送信する複数の子局装置と、前記複数の子局装置と接続する親局装置と、前記複数のセンサおよび前記複数の子局装置と接続する複数のセンサIF装置と、前記通信路を介して送信される検知データを受信し、受信した検知データを用いて、前記監視対象の監視データを出力するアプリケーションサーバとを有し、前記複数のセンサIF装置は、前記複数のセンサのうち接続された前記センサおよび前記子局装置との間の接続を共通化し、接続された前記センサごとの特性情報を記憶し、前記親局装置は、前記子局装置ごとに、前記検知データの読出し要求を送信し、前記複数の子局装置のそれぞれは、前記読出し要求に応じて、前記複数のセンサIF装置それぞれにおける検知データおよび特性情報を前記複数のセンサIF装置から取得し、取得された前記複数のセンサIF装置それぞれの検知データおよび特性情報をまとめた子局データを前記親局装置に送信するセンシングシステムである。
【0013】
なお、本発明には、センシングシステムを用いた検知方法やセンシングシステムを構成する各装置(特に、センサIF装置)も含まれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、センシングシステムにおける各センサの管理をより簡便に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一本実施例において監視対象とする下水道施設の一種である下水管渠に、センシングシステムを適用した場合の概要図である。
【
図2】本発明の一本実施例におけるセンシングノードの入出力に関するハードウェア構成を示す図。
【
図3】本発明の一本実施例における子局装置のハードウェア構成を示す図。
【
図4A】本発明の一本実施例におけるセンサIF装置に関する第一のモデルのハードウェア構成を示すブロック図。
【
図4B】本発明の一本実施例におけるセンサIF装置に関する第二のモデルのハードウェア構成を示すブロック図。
【
図5】本発明の一実施例におけるセンサとセンサIF装置を接続した場合の外観図。
【
図6】本発明の一実施例におけるセンシングノードの外観図。
【
図7】本発明の一実施例におけるセンシングシステム処理シーケンスを示す図。
【
図8】本発明の一実施例で用いられる各種情報、データを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施例において監視対象とする下水道施設の一種である下水管渠1に、センシングシステム10を適用した場合の概要図である。現在、下水管渠については、下水道施設の水位測定の制度化、雨天の際の放流、越流の水質の把握、管渠の劣化予測やその保守の効率化などが求められている。これらに対応するために、各種検知データを検知し、利用することが必要である。本実施例では、これら前提に立ち、
図1に示すセンシングシステム10は、後述する各処理を実行する。
【0017】
図1において、下水管渠1が、本実施例の監視対象である。そして、下水管渠1の各拠点(場所)で、各種検知データを検知できるように、センシングシステム10を設けた。この拠点には、下水管渠1の分岐箇所、マンホール設置個所などあるが、適宜設定できる。
【0018】
なお、
図1の符号に付与した「-」は同じものが複数存在する場合に、これらを区別するための枝番である。このため、以下の説明では、特に断らない場合、「-」を記載しないで説明した場合、各構成要素で同様の処理を実行する。
【0019】
以下、センシングシステム10を構成する各構成要素の接続関係を説明し、次に、各構成要素の概要について説明する。センシングシステム10は、各拠点に設置された各センサ101が、センサIF装置102を介して子局装置103と接続されている。そして、子局装置103が、各センサ101への光ファイバ給電や各センサ101からの通信光(検知データ等)を通信するための光ファイバケーブル110を介して、親局装置104と接続される。また、光ファイバケーブル110には、光ファイバ給電、通信光(検知データ等)を、子局装置103ごとに、分岐する光分岐111が子局装置103ごとに設けられる。な、子局装置103とは、接続装置などその呼称は問わない。
【0020】
なお、
図1において、親局装置104-1から光ファイバケーブル110を経由して、各子局装置103へ向かう矢印は、光ファイバ給電および通信光(制御コマンド)を示す。逆に、各子局装置103から光ファイバケーブル110を経由して、親局装置104へ向かう矢印は、検知データ等の通信光の通信方向を示す。
【0021】
また、親局装置104は、センシングゲートウェイ(以下、センシングGW105)と接続され、通信光の受信に応じて、検知データ等を送信する。さらに、センシングGW105は、下水管渠1を監視のための施設である管理棟のネットワーク109と接続される。また、センシングGW105は、下水管渠1の保守員等の作業員が用いる作業員端末107と接続される。なお、センシングGW105は、ネットワーク109を介して、作業員端末107と接続されてもよい。センシングGW105は、光ファイバケーブル110とネットワーク109を接続するためのネットワークノードである。そのハードウェア構成は、一般的な光通信が可能なゲートウエイで実現できる。このため、後述するセンシングGW105の各処理は、自身が記憶媒体に記憶するソフトウェア(プログラム)に従って実行してもよいし、専用回路であるハードウェアで実行してもよい。
【0022】
次に、センシングシステム10の各構成要素の機能について説明する。センサ101-1~101-4は、監視すべき拠点ごとに設置され、各センサ101-1~101-4は検知すべき検知データごとのセンサであある。つまり、センサ101-1が下水管渠1の下水の水質を検知する水質センサであり、センサ101-2が下水の越流を検知する水位センサである。また、センサ101-3は下水の越流を検知する液面センサであり、センサ101-4は下水管渠1で発生するガスを検知するガスセンサである。ここで、センサ101-1は、電気伝導度により、下水の水質を検知する。このため、センサ101-1は、電気伝導度センサと称することも可能である。また、センサ101-2(水位センサ)とセンサ101-3(液面センサ)はそれぞれ下水の越流を検知するが、それぞれ以下のとおり検知するための原理が異なる。
【0023】
センサ101-2(水位センサ)は、下水の水圧によりその水位や越流を検知する。また、センサ101-3(液面センサ)は、光反射による下水管渠1におけるフロート位置を特定することで、その水位や越流を検知する。なお、本実施例のセンサ101のセンサ種別(種類)はあくまでも一例であり、これらに限定されない。特に、センサ101-2とセンサ101-3は、いずれか一方を設ける構成でもよい。
【0024】
次に、センサIF装置102-1~102-4は、センサ101-1~101-4のそれぞれごとに設けられ、これらセンサ101-1~101-4での検知データを受信し、記録する。また、センサIF装置102-1~102-4は、センサ101-1~101-4と子局装置103-1を接続している。センサIF装置102-1~102-4は、この接続に関し、各センサ101-1~101-4と各子局装置103-1の間の接続ないし通信を共通化している。これは、センサIF装置102により、各センサ101と各子局装置103の通信手段ないし通信規格におけるインタフェースが共通化されていることを意味する。なお、センサIF装置102-1~102-4のそれぞれは、センサ101-1~101-4のそれぞれと一体として構成してもよい。ここで、子局装置103-1と各センサIF装置102-1~102-4は、それぞれセンサIF中継ケーブル112-1~112-4を介して接続される。センサIF中継ケーブル112-1~112-4としては、例えば、19芯メタルケーブルを利用できる。
【0025】
また、各センサIF装置102-1~102-4は、接続されたセンサごとの特性情報として、それぞれ以下の情報を記憶する。センサIF装置102-1は、接続されたセンサ101-1のセンサ種別を示す「水質センサ」、検知データを補正するための「補正値A」を記憶する。センサIF装置102-2は、接続されたセンサ101-2のセンサ種別「水位センサ」、検知データを補正するための「補正値B」を記憶する。センサIF装置102-3は、接続されたセンサ101-3のセンサ種別を示す「液面センサ」、検知データを補正するための「補正値C」を記憶する。センサIF装置102-4は、接続されたセンサ101-4のセンサ種別を示す「ガスセンサ」、検知データを補正するための「補正値D」を記憶する。これらの情報については、後述する。このように、各センサIF装置102-1~102-4は、特性情報として、センサ種別と補正値を記憶している。なお、センサIF装置102-1~102-4の構造については、追って説明する。なお、特性情報には、センサ種別が少なくとも含まれる構成としてもよい。
【0026】
次に、子局装置103-1~103-4のそれぞれは、拠点ごとに設置される。そして、子局装置103-1は、センサIF装置102-1~102-4に記録された検知データを読み出す。そして、子局装置103-1は、この検知データを、光ファイバケーブル110を介して、親局装置104-1に送信する。この子局装置103-1の構造についても追って説明する。なお、センサ101-1~101-4、センサIF装置102-1~102-4および子局装置103-1については、拠点ごとに、センシングノード11として、1つの筐体に収めて構成してもよい。
【0027】
次に、光ファイバケーブル110は、光伝送路であり、光により各種情報の通信光での通信や給電を可能とする。なお、光ファイバケーブル110は、他の伝送手段に置き換えることが可能である。光分岐111は、子局装置103ごとに設けられ、通信内容や給電エネルギーを分岐する機能を有する。つまり、複数の子局装置103ないしセンシングノード11を収容することになり、光ファイバケーブル110を節約できる。なお、本実施例では、光ファイバケーブル110を用いたが、他の通信媒体に置き換え可能である。
【0028】
次に、親局装置104は、光ファイバケーブル110とセンシングGW105の間に設置される。そして、親局装置104は、光ファイバケーブル110を介して、子局装置103-1~103-nやその先の各構成要素へ向けて給電する給電用LD1041を有する。さらに、親局装置104は、自身に予め設定されたセンシング間隔に基づき、センシングコマンドを発行し、各子局装置103へセンシング指示を送信する。このことで、各子局装置103は、光ファイバ給電により動作する。また、各子局装置103は、センサ101を制御することができる。したがって、各子局装置103は、親局装置104からのコマンドを受け、各センサ101で検知データの検知を行い、これを親局装置104へ送信することになる。
【0029】
そして、親局装置104は、各子局装置103からの収集データが来るたびにアプリケーションサーバへデータを送信する。さらに、親局装置104は、子局装置103から送信される検知データ等を通信光として受信する光検出器(PD1042)を有する。また、親局装置104は、センシングGW105に、通信光に含まれる検知データ等を送信する。なお、各親局装置104は、下水道の各ポンプ場など、管理単位ごとに設けることが望ましい。
【0030】
そして、センシングGW105は、受信した検知データ等を、各装置に振り分ける。例えば、センシングGW105は、作業員端末107やネットワーク109を介して、アプリケーションサーバ106に検知データ等を送信する。
【0031】
ここで、作業員端末107は、下水管渠1を保守する作業員により利用されるコンピュータ、より具体的にはモバイル端末(タブレット、ノートPCで実現される。作業員端末107は、センシングGW105から検知データを受信し、これを作業員が確認できる。このために、作業員端末107は、作業員の操作により、センシングGW105や親局装置104に対し、自身の構成定義情報を設定する。
【0032】
アプリケーションサーバ106は、ネットワーク109を介して収集される各設備の検知データを、受信する。そして、この検知データや検知データに基づき作成される保守データなどの監視データ202を出力する。この出力先としては、管理者端末108や作業員端末107が例示される。ここで、アプリケーションサーバ106は、いわゆるコンピュータで実現される。このため、アプリケーションサーバ106は、CPUのような処理部、メモリやHDD、SSDのような記憶部を有する。そして、記憶部に記憶されたコンピュータプログラムに従って、各種演算を実行する。なお、アプリケーションサーバ106をいわゆるクラウドコンピューティングで実現してもよい。
【0033】
また、管理者端末108もコンピュータで実現可能である。ここで、管理者端末108は、下水施設に関する管理者が用いるための入力部や表示部を有する。さらに、管理者端末108やアプリケーションサーバ106は、それぞれ複数台用意してもよい。なお、アプリケーションサーバ106自身が表示部を有してもよい。
【0034】
次に、センシングシステム10を構成する代表的な構成要素について、説明する。まず、
図2に、センシングノード11の入出力機能に関するハードウェア構成を示す。センシングノード11には、センサ101が含まれる。そして、このセンサ101の一例として、センサ101はコンデンサ1011とL端子1012を有する
また、センシングノード11は、光分岐111を介して入力される給電を受け付けるフォトダイオード11Aを有する。そして、フォトダイオード11Aへの給電がコンデンサ1011に蓄電される。また、給電はL端子1012に供給される。
【0035】
さらに、センシングノード11は、ダイオードで実現される光送信器11Bを有する。光送信器11Bは、センサ101での検知データを、上り通信光として光分岐111へ送信する。
【0036】
次に、
図3に、子局装置103のハードウェア構成を示す。子局装置103は、光検出器1031A、1031B(PD)、バッテリー1032(Batt)、CPU1033、復調器1034、変調器1035、レーザー光源1036(LD)を有する。子局装置103において、光検出器1031Aが光分岐111を経由された給電を受電する。そして、光検出器1031Aで受電された電力を、バッテリー1032に蓄電する。このバッテリー1032に蓄電された電力を用いて、子局装置103、特に、CPU1033が動作する。
【0037】
CPU1033は、子局装置103の各構成要素の動作を制御するものである。CPU1033は、光分岐111から光検出器1031Bを経由して入力された下り通信光を、復調器1034で復調する。そして、CPU1033が復調された内容に従って、センサIF装置102に対し、読出し動作を行う。この結果、CPU1033は、センサIF装置102を経由して収集するセンサ101での検知データを、変調器1035が通信光に変調する。そして、CPU1033は、レーザー光源1036を用いて、検知データを上り通信光として、光分岐111に対して出力する。なお、通信光に含まれる情報の内容は、追って説明する。
【0038】
次に、
図4Aおよび
図4Bを用いて、センサIF装置102の構成を説明する。センサIF装置102は、大きく水質センサ、水位センサ、ガスセンサ用(第一のモデル)と、液面センサ用(第二のモデル)に分類することができる。このため、これらのモデルごとにその構成を説明する。なお、本実施例では、モデルを2種類として、センサIF装置102の構成を説明したが、実装内容はセンサ101の種別ごとに異なる構成であってよい。また、いずれのモデルであっても、センサIF装置102は、以下の3つの機能を有する。(1)センサ101の特性情報である補正値とセンサ種別をEEPROM1023(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)に記憶している。(2)子局装置103からの検知要求をセンサ101に中継し、センサでの検知を可能とする。(3)センサ101からの検知データを子局装置103へ中継する。つまり、センサIF装置102は、センサ101と子局装置103を中継する機能を有する。この中継する機能として、センサIF装置102は、通信規格ないし通信手段が物理的に共通化されたインタフェースを有する。
【0039】
また、この中継する機能は、アプリケーションサーバ106のソフトウェアで発行し、センシングGW105、親局装置104を経由し子局装置103で受け付けたコマンドにより実行されることが望ましい。さらに、この機能を実現するために、ハードウェア構成としてのIF回路を用いてもよい。この内容を、
図4Aおよび
図4Bを用いて、以下説明する。
【0040】
まず、
図4Aは、本実施例におけるセンサIF装置102に関する第一のモデルのハードウェア構成を示すブロック図である。第一のモデルは、水質センサ、水位センサ、ガスセンサ、言い換えると、センサ101-1、101-2、101-4用のセンサIF装置である。つまり、
図4Aは、センサIF装置102-1、102-2、102-4(センサIF装置102)のハードウェア構成を示す。
図4Aにおいて、センサIF装置102は、コネクタ1021A、1021B、AD変換器1022およびEEPROM1023を有する。そして、これらは互いにバスを介して接続されている。このバスの一例として、SPI(Serial Peripheral Interface)が挙げられる。
【0041】
そして、コネクタ1021A、1021Bは、他の装置と接続する。コネクタ1021Aは、センサ101と接続し、センサ101に対して、子局装置103からコネクタ1021Bを介して送信される検知要求を接続されたセンサ101に送信(中継)する。また、この検知要求に従って検知された各種検知データを受け付ける。検知データは、センサ101のセンサ種別によって異なるが、1つのセンサ101から複数の検知データを受け付けることも可能である。例えば、センサ101-1(水質センサ)の場合、コネクタ1021Aは水質や温度を受け付けることがある。なお、第一のモデルにおいて、センサ101とコネクタ1021A間は、電気信号で各種データと送受信する。
【0042】
また、コネクタ1021Bは、子局装置103と接続される。そして、コネクタ1021Bから子局装置103に対し、受け付けられた検知データを出力する。この子局装置103との接続は、上述のSPIやI2C(Inter-Integrated Circuit)などのバスインタフェースであることが望ましい。ここで、コネクタ1021Aはセンサごとにユニークなコネクタとし、コネクタ1021Bは複数のセンサIF装置102で共通のコネクタであることが望ましい。
【0043】
次に、EEPROM1023は、接続されるセンサ101の特性を示す特性情報を記憶する。EEPROM1023は、情報を記憶できればよいので、他のメモリ、記憶装置であってもよい。但し、いわゆる不揮発性メモリであることが望ましい。
【0044】
ここで、EEPROM1023に記憶する特性情報は、検知データを補正する補正値や接続されるセンサ101の種別を示すセンサ種別などが含まれる。特に、補正値は、センサ101に固有の検知の個体差、ばらつき(誤差)の補正を行うための値である。この補正値での補正には、センサ101のセンサ種別ごとに必要な調整を行うことも含まれる。例えば、センサ101-1(水質センサ)の気圧補正、センサ101-2(水位センサ)の取り付け高さ補正などが含まれる。さらに、補正値には、センサ101のオフセット、設置における傾きの補正を行うものものもの含まれる。このように、補正値は、検知データの校正(較正、キャリブレーションとも表現可能)を行うためのデータを含んでもよい。なお、本実施例では、後述のように、センシングGW105で、補正値を用いた補正を行うが、このセンサIF装置102で補正を行ってもよい。
【0045】
次に、AD変換器1022は、コネクタ1021Aを介して受け付けられたアナログデータである検知データを、デジタル変換する。そして、センサIF装置102は、変換された検知データおよびEEPROM1023に記憶された補正値を、コネクタ1021Bを介して、子局装置103へ送信する。
【0046】
次に、
図4Bは、本実施例におけるセンサIF装置102に関する第二のモデルのハードウェア構成を示すブロック図である。なお、第二のモデルは、センサIF装置102として、センサ101-3(液面センサ)と接続するセンサIF装置102-3を用いる。センサIF装置102-3は、第一のモデルと同様に、コネクタ1021A、1021BおよびEEPROM1023を有する。
【0047】
また、分岐光カプラ1024は、受け付けたコマンドに応じてレーザー光源1026(LD)からの基準反射光をコネクタ1021Aに出力する。そして、コネクタ1021Aは、上述の子局装置103で受け付けたコマンドに応じて、光パワーをセンサ101-3に出力し、これに応じてセンサ101-3で検知された反射光であるセンサ反射光を検知データとして受け付ける。このように、第二のモデルにおいては、センサ101-3とコネクタ1021A間は、光を媒体として送受信する。
【0048】
次に、分岐光カプラ1024は、コネクタ1021Aを介して受け付けたセンサ反射光を、光検出器1025B(PD)に出力する。また、分岐光カプラ1024は、基準反射光を光検出器1025A(PD)に出力する。そして、比較回路1027で、光検出器1025A(PD)と光検出器1025B(PD)の出力を比較し、この結果を検知データとして、コネクタ1021Bから子局装置103に対して出力する。なお、コネクタ1021Bからは、EEPROM1023に記憶されたセンサ101-3の特性情報も出力される。特性情報については、
図4Aで説明した内容と同様である。また、コネクタ1021BとEEPROM1023は、
図4Aと同様に、SPIで接続されるが、これに限定されない。
【0049】
また、本実施例では、分岐光カプラ1024が、レーザー光源1026からの基準反射光をコネクタ1021A向けと光検出器1025B向けに50%ずつに分けて出力することが望ましい。この場合、分岐光カプラ1024は、コネクタ1021Aを介して受け付けるセンサ反射光も50%に減衰して、比較回路1027で基準反射光と比較することが望ましい。なお、本実施例では、基準反射光との比較した結果を検知データとして出力したが、これを用いなくともよい。この場合、センサIF装置102-3は、センサ反射光自体検知データとして出力してもよい。
【0050】
次に、本実施例の外観を、
図5および
図6を用いて説明する。
図5に、センサ101とセンサIF装置102を接続した場合の外観図を示す。本図では、センサ101とセンサIF装置102に加え、子局装置103と接続するセンサIF中継ケーブル112およびそのコネクタ1021Cが設けられている様子を示している。図中の上部に子局装置103が設置されることになる。なお、
図5では、センサ101とセンサIF装置102間およびセンサIF102-コネクタ1021C(センサIF中継ケーブル112)間それぞれに接続部1001A、1001Bを設け、各構成を分離できるようにしている。但し、
図5に示したセンサ101とセンサIF装置102もしくはこれに加えコネクタ1021Cは、一体で構成してもよい。
【0051】
また、
図6は、本実施例におけるセンシングノード11、つまり、センサ101-1~101-4、センサIF装置102-1~102-4および子局装置103の外観図である。本図において、子局装置103が下水管渠1の壁面に固定されている。そして、子局装置103とセンサIF装置102-1~102-4のそれぞれがセンサIF中継ケーブル112-1~112-4を介して接続されている。そして、センサIF装置102-1~102-4は、センサIF固定版1003を介して、子局装置103と同様に壁面へ固定されている。
【0052】
さらに、センサ101-1~101-4がそれぞれ、各センサIF装置102-1~102-4に接続されている。ここで、センサ101-4は、上述のようにガスセンサであるため、水位センサなどの他のセンサ101-1~101-3とは異なる高さに設置される。また、図中、子局装置103の上部へ光ファイバケーブル110が延びている。
【0053】
以上で、本実施例の構成や構造の説明を終わり、次に、
図7を用いて本実施例におけるセンシングシステム10の処理シーケンス、つまり、本実施例での検知方法を説明する。
【0054】
まず、前提として、ステップS1021において、各センサIF装置102は、特性情報として、補正値および自身に接続しているセンサ101のセンサ種別を記憶している。上述したように、各センサIF装置102は、EEPROM1023にこの特性情報を記憶している。
【0055】
そして、ステップS1011において、各センサ101は検知データを検知し、これを接続されたセンサIF装置102に送信する。つまり、各センサ101はいわゆる生値である検知データをセンサIF装置102に送信する。この送信のために、上述したように、各センサIF装置102が、接続先であるセンサ101に対して検知要求を送信する。なお、この検知要求は、上述のように子局装置103からの受信したものを、各センサIF装置102が中継してもよいし、各センサIF装置102が自律的に送信してもよい。これらの場合、一定周期などで行うことが望ましい。
【0056】
次に、ステップS1022において、各センサIF装置102は、受信した検知データを、EEPROM1023に記憶する。但し、各センサIF装置102は、検知データの記憶を省略して、各センサ101からの検知データを中継して子局装置103してもよい。この場合、各センサIF装置102は、検知データを中継する際に、該当する特性情報も送信するか、特性情報を後述するステップS1032で送信する。
【0057】
また、S1041において、各親局装置104は、光ファイバケーブル110を介して自身に接続される各子局装置103-1~103-nに対し、検知データの読出し要求を出力する。各親局装置104は、所定周期で、子局装置103-1~103-nごとに、この読出し要求を出力することが望ましい。このことで、光ファイバケーブル110や光分岐111-1~111-nでの通信トラフィックを抑止でき、より効率的な通信が可能となる。ここで、親局装置104は、
図1に示す給電用LD1041から当該読出し要求と給電を送信することになる。また、所定周期としては、1回/5秒といった期間を一例として想定できる。
【0058】
次に、ステップS1031において、各子局装置103-1~103-nは、読出し要求に応じて、各センサIF装置102から検知データを読出す。そして、ステップS1032において、各子局装置103-1~103-nは、この検知データを取得する。これらステップS1031およびS1032での検知データの読出し、取得は、以下の手法が想定できる。
(1)Pull型
(1)-1:親局装置104からの検知データ要求に応じて、各子局装置103-1~103-nが、各センサIF装置102に記憶された検知データおよび、補正値とセンサ種別からなる特性情報を読み出す(本実施例での手法)。なお、各子局装置103-1~103-nは、検知データおよび特性情報を別タイミングで読み出してもよいし、同じタイミングで読み出してもよい。
(1)-2:各子局装置103-1~103-nが、上述の所定周期となったことを判断し、所定周期で各センサIF装置102から各センサIF装置102に記憶された検知データおよび特性情報を読み出す。この読出しは、(1)-1と同様に別タイミングでも同じタイミングでも構わない。
(2)Push型
(2)-1:各センサIF装置102が、各センサ101での検知データを、子局装置103に中継する。そして、子局装置103では、この検知データを自身の記憶部に記憶しておく。また、各センサIF装置102は、検知データと別タイミングで、特性情報を送信してもよいし、同じタイミングで送信してもよい。
(2)-2:各センサIF装置102が、検知データを各センサ101から受信すると、これを子局装置103に中継する。また、各センサIF装置102は、検知データと別タイミングで、特性情報を送信してもよいし、同じタイミングで送信してもよい。
【0059】
なお、いずれの手法であっても、ステップS1011~S1022におけるデータ検知および検知データの送信は、親局装置104、子局装置103、センサIF装置102での検知データ要求ないし検知要求に応じて実行する。もしくは、ステップS1011において、センサ101が能動的に検知を行い、この結果をセンサIF装置102がこの結果を中継ないし記憶する。
【0060】
また、ステップS1032において、各子局装置103-1~103-nは、検知データに対して、デジタル変換を行ってもよい。このデジタル変換については、上述の第一のモデルについては、センサIF装置102-1、102-2および102-4で行いここでは省略してもよい。そして、デジタル変換を、第二のモデル、つまり、センサ101-3(液面センサ)での検知データについて実行してもよい。
【0061】
次に、ステップS1033において、各子局装置103-1~103-nは、ステップS1041に対する親局装置104へのレスポンスを行う。つまり、各子局装置103-1~103-nは、光ファイバケーブル110を介して親局装置104へ、子局データ201を送信する。この子局データ201の内容を、
図8(a)に示す。なお、
図8(a)に示す子局データ201は、複数のセンサIF装置102のデータをまとめたものである。このため、
図8(a)の各レコードが各センサIF装置102ないし各センサ101における子局201データに該当する。また、環境データは、特性情報として扱ってもよい。この場合、環境データとして、各センサ101で検知したデータを用いることが望ましい。
【0062】
ここで、子局データ201には、図示するように、受信した検知データ、特性情報および子局装置103自身を識別する子局IDが含まれる。さらに、本実施例の子局データ201には、環境データが含まれる。この環境データは、下水管渠1の環境を示すデータであり、検知データに影響を与えると推測されるデータである。本実施例では、子局装置103に設置された温度計での気温や湿度計での湿度を例示する。これらについては、後述する親局装置104等他の装置を利用して計測してもよいし、外部の気象データを用いてもよい。なお、環境データについては、子局データ201に含めなくもよい。また、子局データ201は、通信光として送信されることになる。またさらに、環境データには、気圧データなど他のデータを含めてもよいし、その一部は省略してもよい。
【0063】
さらに、ステップS1033の送信は、バッチ送信でも、シリアル送信でも構わない。バッチ送信の場合、各子局装置103-1~103-nは、上述の所定周期などの任意の周期ごとに送信してもよいし、接続されたセンサIF装置102-1~102-4のそれぞれから検知データを受け付けたタイミングで送信してもよい。シリアル送信の場合、各子局装置103-1~103-nは、検知データをセンサIF装置102~102-4のいずれから受け付けるごとに送信を実行することになる。この場合、所定数の検知データごとに送信してもよい。
【0064】
次に、ステップS1042において、親局装置104は、各子局装置103-1~103-nから送信された通信光を受光、つまり、子局データ201を受信する。この受光は、
図1に示すPD1042で実行する。そして、ステップS1043において、親局装置104は、各子局装置103-1~103-nからの子局データ201を収集して、接続されたセンシングGW105に送信する。ここで、子局データ201の収集では、親局装置104が、上述の所定周期における子局装置103-1~103-nそれぞれの子局データ201を受信したかを判断する。そして、各子局データを受信していれば、親局装置104は、これら複数の子局データ201をセンシングGW105に送信する。この際、PD1042が複数の子局データ201を、通信光として送信してもよい。
【0065】
次に、ステップS1051において、センシングGW105は、親局装置104から複数の子局データ201を受信する。そして、ステップS1052において、センシングGW105は、受信した子局データ201のそれぞれついて、物理量変換および補正を行う。ここで、物理量変換とは、いわゆる生値である検知データを、その後の情報処理を施せるように、いわゆる物理量などに変換することを意味する。また、補正は、特性情報に含まれる変換された検知データに補正値を適用して補正することを意味する。
【0066】
ここで、より具体的なステップS1052の処理内容を説明する。まず、物理量変換として、センシングGW105は、予めセンサ種別ごとに、物理量変換を行うための変換式を記憶している。そして、センシングGW105は、受信した生値である検知データを、この変換式を用いて変換する。つまり、本実施例における物理量変換は、受信した特性情報に含まれるセンサ種別に応じた変換である。
【0067】
次に、補正について説明する。センシングGW105は、物理量変換された検知データに対し、受信した特性情報の補正値を適用して補正を行う。さらに、下水管渠1の環境に影響される検知データについて、選択的に環境データを用いた補正を行ってもよい。この補正は、センサ種別ごとに予め定められた補正式を用いることが望ましい。
【0068】
また、水位センサでの検知データについては、補正された値に対し、水位センサ(センサ101-2)の設置高さにより検知データに誤差が生じる。このため、センシングGW105は、その設置高さを記憶しておき、補正された検知データ設置高さを加えて補正を行う。なお、設置高さについては、センサ101-2もしくはセンサIF装置102-2から送信されるものを用いてもよい。また、設置高さとは、予め定めた基準からの高さを示す。
【0069】
以上で、ステップS1052の説明を終了するが、本処理は親局装置104、子局装置103やセンサIF装置102で実行してもよい。
【0070】
次に、ステップS1053において、センシングGW105は、物理量変換と補正された子局データ201から監視データ202を作成する。そして、センシングGW105は、この監視データ202をアプリケーションサーバ106に通知する。ここで、監視データ202の内容を
図8(b)に示す。監視データ202は、センサ101が設置された拠点を示す拠点、物理量変換および補正がされた検知データおよびセンサ種別を含む。ここで、センシングGW105は、自身が記憶する子局IDと設置位置(拠点)の対応表を用いて、子局データ201に含まれる子局IDから拠点を特定する。また、センサ種別は、子局データ201のセンサ種別を利用する。
【0071】
なお、本実施例では、子局データ201を監視データ202として利用してもよい。さらに、センシングGW105は、監視データ202を、作業員端末107や管理者端末108に送信してもよいし、作業員端末107や管理者端末108へはアプリケーションサーバ106から送信してもよい。
【0072】
本実施例では、ステップS1042~S1053を親局装置104とセンシングGW105の2つの装置で実行しているが、これらを1つの上位装置で実行してもよい。また、
図7では、上位装置として、親局装置104とセンシングGW105を示しているが、子局装置103も上位装置として含めてもよい。
【0073】
次に、ステップS1061において、アプリケーションサーバ106は、受信した監視データ202を出力する。この監視データ202の出力には、アプリケーションサーバ106自身の記憶装置やネットワークを介して接続されるファイルシステムへの記憶や、作業員端末107や管理者端末108への送信が含まれる。さらに、アプリケーションサーバ106は、自身が有する表示部に、監視データ202を表示してもよい。
【0074】
この出力のうち、作業員端末107や管理者端末108への出力や表示部への表示により、下水管渠1の保守、管理を行うことができる。例えば、アプリケーションサーバ106が、監視データ202を用いて、保守スケジュールを策定するができる。また、緊急に対処が必要な拠点に対し、作業員を早急に派遣できる。さらに、管理棟に駐在している管理者等の関係者で、下水管渠1の状況を共有できる。
【0075】
またさらに、アプリケーションサーバ106が、ステップS1041での所定周期に対応したタイミングで監視データ202を受信しない場合、各装置のいずれで異常があったと判断することも可能である。また、アプリケーションサーバ106に限らず、センシングシステム10において、上位の装置から下位の装置(
図7中の左側のから右側に向かって)の異常を確認することも可能である。つまり、下位の装置から上位の装置への通信が滞った場合、下位の装置もしくは光ファイバケーブル110などの通信路に異常が発生したと判断できる。
【0076】
以上の本実施例によれば、各センサの管理をより容易に行うことができる。さらに、本実施例では、1台の親局装置104に、複数の子局装置103ないしセンシングノード11を、光ファイバケーブル110を介して接続している。そして、各子局装置103には、複数のセンサ101を接続している。このため、以下の作用効果を奏する。
(1)多拠点・マルチ化
(2)高速センシング(検知)
(3)光ファイバケーブル110数節減:1芯で子局装置103の4台の光給電・上下光通信を実現できる。
(4)センサ拡張性:センサIF装置102での共通化により、センサ101を自由に選択できる。
(5)遠隔監視:下水管渠1の他、センサ101、センサIF装置102、子局装置103、親局装置104、センシングGW105、光ファイバケーブル110や光分岐111などの異常も監視できる。
【符号の説明】
【0077】
1…下水管渠、10…センシングシステム、101…センサ、102…センサIF装置、103…子局装置、104…親局装置、105…センシングGW、106…アプリケーションサーバ、107…作業員端末、108…管理者端末、109…ネットワーク