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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】カルボラン共触媒を含む触媒系
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/643 20060101AFI20231102BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
C08F4/643
C08F10/00 510
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020523331
(86)(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 US2018058390
(87)【国際公開番号】W WO2019089715
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】62/579,413
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】500507397
【氏名又は名称】ザ・テキサス・エー・アンド・エム・ユニバーシテイ・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】クロシン、ジャージィー
(72)【発明者】
【氏名】フアクジャ、ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】オゼロフ、オレグ、ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】デ モット、ジェシカ
【審査官】北田 祐介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06448447(US,B1)
【文献】米国特許第06335466(US,B1)
【文献】国際公開第2014/071401(WO,A1)
【文献】特表2001-518883(JP,A)
【文献】米国特許第07161040(US,B1)
【文献】米国特許第05731470(US,A)
【文献】特開2017-066332(JP,A)
【文献】国際公開第2012/027448(WO,A1)
【文献】Journal of Organometallic Chemistry, 2006, Vol.691, p.4956-4962
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00-4/82
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記A)および下記B)の反応生成物を含む触媒系であって、
A)下記いずれかの構造式で表される化合物である前駆触媒:
【化8】
上記構造式aおよびc中、
各Mは、独立して、チタン、ジルコニウム、またはハフニウムであり、それぞれ独立して、+2、+3、または+4の形式酸化状態であり、
各nは、0から3の整数であり、
nが0であるとき、Xは存在せず、
各Xは、独立して、中性、モノアニオン性、またはジアニオン性である単座配位子であるか、または、2つのXがまとまって、中性、モノアニオン性、またはジアニオン性である二座配位子を形成し、
Xおよびnが、構造式aまたは構造式cで表される化合物が全体として中性であるように選ばれ、
構造式aのR~R、および構造式cのR~R16は、それぞれ独立して、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、OR、SR、NO、CN、CF、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、 C(O)N(R )-、または(RNC(O)-から選択され、各Rは、独立して、(C~C30)ヒドロカルビルであり
前記(C ~C 40 ヒドロカルビル、前記(C ~C 40 ヘテロヒドロカルビルのそれぞれ、および各R~R16基は、独立して、非置換であるか、または1つ以上のR置換基で置換され、各Rは、独立して、ハロゲン原子C-、FCHO-、FHCO-、FCO-、RSi-、RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-から選択され、各Rは、独立して、非置換(C ~C 18 )アルキルであり、
構造式aの2つ以上のR~R、および構造式cの2つ以上のR~R16は、結合して1つ以上の環構造になることができ、そのような環構造はいずれの水素原子も除いて環内に3~50個の原子を有し、
構造式cの各Zは、独立して、O、S、N(C~C40)ヒドロカルビル、またはP(C~C40)ヒドロカルビルであり、
構造式cのLは、( ~C40)ヒドロカルビレンまたは( ~C40)ヘテロヒドロカルビレンであり、前記( ~C40)ヒドロカルビレンは、構造式cのZ原子(これにLが結合している)を連結する3~10個の炭素原子のリンカー骨格を含む一部分を有し、前記( ~C40)ヘテロヒドロカルビレンは、構造式cのZ原子を連結する3~10個の原子のリンカー骨格を含む一部分を有し、前記( ~C40)ヘテロヒドロカルビレンの3~10個の原子のリンカー骨格の3~10個の原子のそれぞれが、独立して、炭素原子またはヘテロ原子であり、各ヘテロ原子は、独立して、O、S、S(O)、S(O)、Si(R、Ge(R、P(R)、またはN(R)であり、各Rは、独立して、(C~C30)ヒドロカルビルであるか、または、Si(R、Ge(R、P(R)、またはN(R)のRが存在しない時は存在せず、
B)以下のi)~iii)から選択される少なくとも1つの共触媒構造:
i)以下に示す構造式1を有するアニオンを含む少なくとも1つの共触媒:
【化1】
(式中、R~R12は、それぞれ独立して、ハロゲン、置換もしくは非置換(C~C40)ヒドロカルビル、置換もしくは非置換(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Si(N(RSi(OR 、Ge(R、Ge(N(RGe(OR 、P(R、P(N(R、P(OR、N(R、NH(R)、NH、OH、SH、OR、SR、NO、CN、CF、CF、CF(R、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、 C(O)N(R )-、(RNC(O)-、または水素から選択され、各Rは、独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
~R12のうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を任意に形成することができ、
1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよく、
任意に、R~R12のうちの1つが、PH(R、PH(N(R、PH(OR)、NH(R、NH(R、NH、OH、SH、OHR、またはSHRから選択されて、中性構造を形成することができ、各Rは、独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
~R12のうちの少なくとも1つがハロゲンである)
ii)以下に示す構造式2を有するアニオンを含む少なくとも1つの共触媒:
【化2】
(式中、R13~R24は、それぞれ独立して、ハロゲン、置換もしくは非置換(C~C40)ヒドロカルビル、置換もしくは非置換(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Si(N(RSi(OR 、Ge(R、Ge(N(RGe(OR 、P(R、P(N(R、P(OR、N(R、NH(R)、NH、OH、SH、OR、SR、NO、CN、CF、CF、CF(R、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、 C(O)N(R )-、(RNC(O)-、または水素から選択され、各Rは、独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
13~R24のうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を任意に形成することができ、
1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよく、
任意に、R13~R24のうちの1つが、PH(R、PH(N(R、PH(OR)、NH(R、NH(R、NH、OH、SH、OHR、またはSHRから選択されて、中性構造を形成することができ、各Rは、独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
13~R24のうちの少なくとも1つがハロゲンである)
iii)上記i)と上記ii)の組み合わせ、
ここで、前記少なくとも1つの共触媒構造が、以下の1)~95)から選択される少なくとも1つの構造を含み、
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【化3-4】
【化3-5】
ここで、前記少なくとも1つの共触媒構造が[YX-Lから選択される少なくとも1つのカチオンをさらに含み、Xは、B、C、N、O、Al、Si、P、またはSから選択され、各Yは、独立して、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、P(R、N(R、OR、SR、NO、CN、CF、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、 C(O)N(R )-、(RNC(O)-、ハロゲン原子、または水素原子から選択され、前記(C ~C 40 ヒドロカルビル、前記(C ~C 40 ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、P(R、N(R、OR、SR、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、 C(O)N(R )-、(RNC(O)-のそれぞれが、非置換であるか、または1つ以上のR置換基で置換され、各Rは、独立して、ハロゲン原子非置換(C~C18)アルキル、FC-、FCHO-、FHCO-、FCO-、RSi-、RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-であるか、または前記Y基のうちの2つがXと一緒になって1つ以上のR置換基で任意に置換される(C~C18)ヒドロカルビレンを形成し、各Rは(C~C40)ヒドロカルビルであり、Rは、独立して、非置換(C~C18)ヒドロカルビルであり、mは、独立して、0、1、2、または3であり、Lは中性ルイス塩基であって、m=0の場合、Lは存在せず、nは、独立して、2、3、4、または5であり、2つまたは3つの[YX]が、2つ以上の(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、またはRを結びつけることによって任意に一緒に結合されていてもよい、
触媒系。
【請求項2】
構造式1または2の場合、前記(C ~C 40 ヒドロカルビルおよび/または前記(C ~C 40 ヘテロヒドロカルビルが、それぞれ独立して、1つ以上の置換基Rで置換され、各Rが、独立して、ハロゲン原子C-、FCHO-、FHCO-、FCO-、RSi-、RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-であり、各Rは、独立して、非置換(C~C18)アルキルである、請求項1に記載の触媒系。
【請求項3】
構造式1の場合、R~R12のそれぞれが非置換であり、かつ/または構造式2の場合、R13~R24のそれぞれが非置換である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項4】
構造式1の場合、R~R12のうちの2つ以上が1つ以上の環構造を形成し、前記環構造がいずれの水素原子も除いて前記環内に3~50個の原子を有し、かつ/または構造式2の場合、R13~R24のうちの2つ以上が1つ以上の環構造を形成し、前記環構造がいずれの水素原子も除いて前記環内に3~50個の原子を有する、請求項1または2に記載の触媒系。
【請求項5】
前記少なくとも1つのカチオン[Y X-L が以下からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒系。
【化7】
【請求項6】
ポリマー組成物を生成するためのプロセスであって、
エチレンまたはプロピレンを選択する工程と、前記エチレンまたはプロピレンを、請求項1~5のいずれか一項に記載の触媒系の存在下で、1つ以上のα-オレフィンコポリマーおよび/または1つ以上のジエンと重合させる工程と、を含む、プロセス。
【請求項7】
前記共触媒構造が、(a)構造式1を有する少なくとも1つのアニオン(式中、Rが(CH=CH)-D-であり、Dが、C~C18ヒドロカルビレンまたはC~C18ヘテロヒドロカルビレンを表す)、または(b)構造式2を有する少なくとも1つのアニオン(式中、R13~R24のうちの少なくとも1つが、独立して、(CH=CH)-D-から選択され、各Dが、独立して、C~C18ヒドロカルビレンまたはC~C18ヘテロヒドロカルビレンを表す)を含む、請求項1に記載の触媒系。
【請求項8】
前記前駆触媒が、(tert-ブチルアミド)(1,1-ジメチル-2,3,4,9-ヘキサヒドロナフタレニル)ジメチルシランチタンジメチル;(tert-ブチルアミド)(1,1,2,3-テトラメチル-2,3,4,9,10-η-1,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロナフタレニル)ジメチルシランチタンジメチル;(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタンジベンジル;(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタンジメチル;(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイルチタンジメチル;(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(III)2-(ジメチルアミノ)ベンジル;(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(III)2,4-ジメチルペンタジエニル;(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン;(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(II)1,3-ペンタジエン;(tert-ブチルアミド)(2-メチルインデニル)ジメチルシランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン;(tert-ブチルアミド)(2-メチルインデニル)ジメチルシランチタン(II)2,4-ヘキサジエン;または(tert-ブチルアミド)(2-メチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンである、請求項1に記載の触媒系。
【請求項9】
前記前駆触媒が以下である、請求項1に記載の触媒系。
【化9】
【請求項10】
前記前駆触媒が、ビス((2-オキシル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)プロパン-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジメチル;ビス((2-オキシル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)プロパン-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジクロリド;ビス((2-オキシル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)プロパン-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジメチル;ビス((2-オキシル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)-フェニル)-2-フェノキシ)プロパン-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジクロリド;ビス((2-オキシル-3-(1,1-ジメチルエチル)フェン-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)プロパン-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジメチル;ビス((2-オキシル-3-(1,1-ジメチルエチル)フェン-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-プロパン-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジクロリド;ビス((2-オキシル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジメチレニル-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジメチル;ビス((2-オキシル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジメチレニル-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジクロリド;ビス((2-オキシル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジメチレンニル-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジメチル;ビス((2-オキシル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジメチレニル-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジクロリド;ビス((2-オキシル-3-(1,1-ジメチルエチル)フェン-イル)-5-(メチル)-フェニル)-2-フェノキシ)-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジメチレニル-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジメチル;ビス((2-オキシル-3-(1,1-ジメチルエチル)フェン-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジメチレニル-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジクロリド;ビス((2-オキシル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-シス-シクロヘキサン-1,3-ジイルジルコニウム(IV)ジメチル;ビス((2-オキシル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-シス-シクロヘキサン-1,3-ジイルジルコニウム(IV)ジクロリド;ビス((2-オキシル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-シス-シクロヘキサン-1,3-ジイルジルコニウム(IV)ジメチル;またはビス((2-オキシル-3-(ジベンゾ-H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-シス-シクロヘキサン-1,3-ジイルジルコニウム(IV)ジクロリドである、請求項1に記載の触媒系。
【請求項11】
少なくとも下記A)および下記B)の反応生成物を含む触媒系であって、
A)下記いずれかの構造式で表される化合物である前駆触媒:
【化8】
上記構造式aおよびc中、
各Mは、独立して、チタン、ジルコニウム、またはハフニウムであり、それぞれ独立して、+2、+3、または+4の形式酸化状態であり、
各nは、0から3の整数であり、
nが0であるとき、Xは存在せず、
各Xは、独立して、中性、モノアニオン性、またはジアニオン性である単座配位子であるか、または、2つのXがまとまって、中性、モノアニオン性、またはジアニオン性である二座配位子を形成し、
Xおよびnが、構造式aまたは構造式cで表される化合物が全体として中性であるように選ばれ、
構造式aのR~R、および構造式cのR~R16は、それぞれ独立して、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、OR、SR、NO、CN、CF、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、 C(O)N(R )-、または(RNC(O)-から選択され、各Rは、独立して、(C~C30)ヒドロカルビルであり
前記(C ~C 40 ヒドロカルビル、前記(C ~C 40 ヘテロヒドロカルビルのそれぞれ、および各R~R16基は、独立して、非置換であるか、または1つ以上のR置換基で置換され、各Rは、独立して、ハロゲン原子C-、FCHO-、FHCO-、FCO-、RSi-、RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-から選択され、各Rは、独立して、非置換(C ~C 18 )アルキルであり、
構造式aの2つ以上のR~R、および構造式cの2つ以上のR~R16は、結合して1つ以上の環構造になることができ、そのような環構造はいずれの水素原子も除いて環内に3~50個の原子を有し、
構造式cの各Zは、独立して、O、S、N(C~C40)ヒドロカルビル、またはP(C~C40)ヒドロカルビルであり、
構造式cのLは、( ~C40)ヒドロカルビレンまたは( ~C40)ヘテロヒドロカルビレンであり、前記( ~C40)ヒドロカルビレンは、構造式cのZ原子(これにLが結合している)を連結する3~10個の炭素原子のリンカー骨格を含む一部分を有し、前記( ~C40)ヘテロヒドロカルビレンは、構造式cのZ原子を連結する3~10個の原子のリンカー骨格を含む一部分を有し、前記( ~C40)ヘテロヒドロカルビレンの3~10個の原子のリンカー骨格の3~10個の原子のそれぞれが、独立して、炭素原子またはヘテロ原子であり、各ヘテロ原子は、独立して、O、S、S(O)、S(O)、Si(R、Ge(R、P(R)、またはN(R)であり、各Rは、独立して、(C~C30)ヒドロカルビルであるか、または、Si(R、Ge(R、P(R)、またはN(R)のRが存在しない時は存在せず、
B)以下のi)~iii)から選択される少なくとも1つの共触媒構造:
i)以下に示す構造式1を有するアニオンを含む少なくとも1つの共触媒:
【化1】
(式中、R~R12は、それぞれ独立して、ハロゲン、置換もしくは非置換(C~C40)ヒドロカルビル、置換もしくは非置換(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Si(N(RSi(OR 、Ge(R、Ge(N(RGe(OR 、P(R、P(N(R、P(OR、N(R、NH(R)、NH、OH、SH、OR、SR、NO、CN、CF、CF、CF(R、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、 C(O)N(R )-、(RNC(O)-、または水素から選択され、各Rは、独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
~R12のうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を任意に形成することができ、
1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよく、
任意に、R~R12のうちの1つが、PH(R、PH(N(R、PH(OR)、NH(R、NH(R、NH、OH、SH、OHR、またはSHRから選択されて、中性構造を形成することができ、各Rは、独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
~R12のうちの少なくとも1つがハロゲンである)
ii)以下に示す構造式2を有するアニオンを含む少なくとも1つの共触媒:
【化2】
(式中、R13~R24は、それぞれ独立して、ハロゲン、置換もしくは非置換(C~C40)ヒドロカルビル、置換もしくは非置換(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Si(N(RSi(OR 、Ge(R、Ge(N(RGe(OR 、P(R、P(N(R、P(OR、N(R、NH(R)、NH、OH、SH、OR、SR、NO、CN、CF、CF、CF(R、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、 C(O)N(R )-、(RNC(O)-、または水素から選択され、各Rは、独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
13~R24のうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を任意に形成することができ、
1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよく、
任意に、R13~R24のうちの1つが、PH(R、PH(N(R、PH(OR)、NH(R、NH(R、NH、OH、SH、OHR、またはSHRから選択されて、中性構造を形成することができ、各Rは、独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
13~R24のうちの少なくとも1つがハロゲンである)
iii)上記i)と上記ii)の組み合わせ、
ここで、前記少なくとも1つの共触媒構造が[YX-Lから選択される少なくとも1つのカチオンをさらに含み、Xは、B、C、N、O、Al、Si、P、またはSから選択され、各Yは、独立して、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、P(R、N(R、OR、SR、NO、CN、CF、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、 C(O)N(R )-、(RNC(O)-、ハロゲン原子、または水素原子から選択され、前記(C ~C 40 ヒドロカルビル、前記(C ~C 40 ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、P(R、N(R、OR、SR、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、 C(O)N(R )-、(RNC(O)-のそれぞれが、非置換であるか、または1つ以上のR置換基で置換され、各Rは、独立して、ハロゲン原子非置換(C~C18)アルキル、FC-、FCHO-、FHCO-、FCO-、RSi-、RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-であるか、または前記Y基のうちの2つがXと一緒になって1つ以上のR置換基で任意に置換される(C~C18)ヒドロカルビレンを形成し、各Rは(C~C40)ヒドロカルビルであり、Rは、独立して、非置換(C~C18)ヒドロカルビルであり、mは、独立して、0、1、2、または3であり、Lは中性ルイス塩基であって、m=0の場合、Lは存在せず、nは、独立して、2、3、4、または5であり、2つまたは3つの[YX]が、2つ以上の(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、またはRを結びつけることによって任意に一緒に結合され得、
ここで、前記少なくとも1つのカチオン[Y X-L が、下記式(I)、式(II)、および式(III)からなる群から選択される、触媒系。
【化4】
(式(I)中、各Rが、独立して、(C~C30)アルキルおよび(C~C24)アリールから選択される)
【化5】
(式(II)中、Rは(C~C40)ヒドロカルビルであり、環Aは、酸素、窒素、および硫黄から選択される1個または2個のヘテロ原子を有する、5~7員ヘテロシクロアルキル環であり、前記ヘテロシクロアルキル環は、1個以上のハロゲン原子、非置換(C~C18)アルキル、ハロ(C~C)アルコキシ、RSi-RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-で任意に置換され、各Rは、独立して、非置換(C~C18)ヒドロカルビルである)
【化6】
(式(III)中、環Bは、酸素、窒素、および硫黄から選択される1個または2個のヘテロ原子を有する、5~7員ヘテロアリール基であり、前記ヘテロアリール基が、1個以上のハロゲン原子、非置換(C~C18)アルキル、ハロ(C~C)アルコキシ、RSi-、RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-で任意に置換され、各Rは、独立して、非置換(C~C18)ヒドロカルビルである)
【請求項12】
少なくとも下記A)および下記B)の反応生成物を含む触媒系であって、
A)以下から選択される前駆触媒:
【化9】
B)以下のi)~iii)から選択される少なくとも1つの共触媒構造:
i)以下に示す構造式1を有するアニオンを含む少なくとも1つの共触媒:
【化1】
(式中、R~R12は、それぞれ独立して、ハロゲン、置換もしくは非置換(C~C40)ヒドロカルビル、置換もしくは非置換(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Si(N(RSi(OR 、Ge(R、Ge(N(RGe(OR 、P(R、P(N(R、P(OR、N(R、NH(R)、NH、OH、SH、OR、SR、NO、CN、CF、CF、CF(R、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、 C(O)N(R )-、(RNC(O)-、または水素から選択され、各Rは、独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
~R12のうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を任意に形成することができ、
1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよく、
任意に、R~R12のうちの1つが、PH(R、PH(N(R、PH(OR)、NH(R、NH(R、NH、OH、SH、OHR、またはSHRから選択されて、中性構造を形成することができ、各Rは、独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
~R12のうちの少なくとも1つがハロゲンである)
ii)以下に示す構造式2を有するアニオンを含む少なくとも1つの共触媒:
【化2】
(式中、R13~R24は、それぞれ独立して、ハロゲン、置換もしくは非置換(C~C40)ヒドロカルビル、置換もしくは非置換(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Si(N(RSi(OR 、Ge(R、Ge(N(RGe(OR 、P(R、P(N(R、P(OR、N(R、NH(R)、NH、OH、SH、OR、SR、NO、CN、CF、CF、CF(R、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、 C(O)N(R )-、(RNC(O)-、または水素から選択され、各Rは、独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
13~R24のうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を任意に形成することができ、
1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよく、
任意に、R13~R24のうちの1つが、PH(R、PH(N(R、PH(OR)、NH(R、NH(R、NH、OH、SH、OHR、またはSHRから選択されて、中性構造を形成することができ、各Rは、独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
13~R24のうちの少なくとも1つがハロゲンである)
iii)上記i)と上記ii)の組み合わせ、
ここで、前記少なくとも1つの共触媒構造が[YX-Lから選択される少なくとも1つのカチオンをさらに含み、Xは、B、C、N、O、Al、Si、P、またはSから選択され、各Yは、独立して、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、P(R、N(R、OR、SR、NO、CN、CF、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、 C(O)N(R )-、(RNC(O)-、ハロゲン原子、または水素原子から選択され、前記(C ~C 40 ヒドロカルビル、前記(C ~C 40 ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、P(R、N(R、OR、SR、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、 C(O)N(R )-、(RNC(O)-のそれぞれが、非置換であるか、または1つ以上のR置換基で置換され、各Rは、独立して、ハロゲン原子非置換(C~C18)アルキル、FC-、FCHO-、FHCO-、FCO-、RSi-、RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-であるか、または前記Y基のうちの2つがXと一緒になって1つ以上のR置換基で任意に置換される(C~C18)ヒドロカルビレンを形成し、各Rは(C~C40)ヒドロカルビルであり、Rは、独立して、非置換(C~C18)ヒドロカルビルであり、mは、独立して、0、1、2、または3であり、Lは中性ルイス塩基であって、m=0の場合、Lは存在せず、nは、独立して、2、3、4、または5であり、2つまたは3つの[YX]が、2つ以上の(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、またはRを結びつけることによって任意に一緒に結合され得る、
触媒系。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年10月31日に出願された米国仮出願第62/579,413号の優先権の利益を主張し、その開示の全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
触媒活性であるためには、オレフィン重合前駆触媒を適切な共触媒で活性化する必要がある。共触媒は、触媒性能に多大な影響を与える。従来の共触媒は、MAOおよびアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート化合物に基づく。テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンの弱配位性は、オレフィン系重合におけるその有用性の主な理由である。多核ボラン、カルボランまたはメタラカルボランから誘導される、かさ高いアニオンを含む他のイオン重合触媒系は、米国特許第6,245,706号に記載されている。しかしながら、オレフィン系ポリマーを高い重合温度(例えば、T>170℃)で効率的に重合することができる新規の「弱配位性」触媒系に対する必要性が依然として存在する。この必要性は、以下の発明によって満たされている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
触媒系であって、少なくとも
A)前駆触媒と、
B)少なくとも1つの共触媒構造との反応生成物を含み、共触媒構造が以下のi)~iii)
i)以下に示す構造式1から選択されるアニオンを含む、少なくとも1つの共触媒
【化1】
である、ルイス酸重合触媒。
(式中、R~R12がそれぞれ独立して、ハロゲン、置換もしくは非置換(C~C40)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Si(N(R、Si(O(R、Ge(R、Ge(N(R、Ge(O(R、P(R、P(N(R、P(OR、N(R、NH(R)、NH、OH、SH、OR、SR、NO、CN、CF、CF、CF(R、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-、または水素から選択され、各Rは独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、RからR12のうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を任意に形成してもよく、1つ以上の水素原子が、重水素で任意に置換されてもよく、任意に、R~R12のうちの1つが、PH(R、PH(N(R、PH(OR)、NH(R、NH(R、NH、OH、SH、OHR、SHRから選択され、中性構造を形成してもよく、各Rが独立して、置換または非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
~R12の少なくとも1つがハロゲンである)、または
ii)以下に示す構造式2から選択されるアニオンを含む、少なくとも1つの共触媒
【化2】

(式中、R13~R24はそれぞれ独立して、ハロゲン、置換もしくは非置換(C~C40)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Si(N(R、Si(O(R、Ge(R、Ge(N(R、Ge(O(R、P(R、P(N(R、P(OR、N(R、NH(R)、NH、OH、SH、OR、SR、NO、CN、CF、CF、CF(R、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-、または水素から選択され、各Rが独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
13~R24のうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を任意に形成してもよく、1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置き換えられてもよく、任意に、R13~R24のうちの1つが、PH(R、PH(N(R、PH(OR)、NH(R、NH(R、NH、OH、SH、OHR、SHRから選択され、中性構造を形成してもよく、各Rは独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
13~R24のうちの少なくとも1つがハロゲンである)、または
iii)iとiiとの組み合わせ、から選択される、触媒系が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0004】
ハロゲン化カルボランは、高温でのオレフィン重合を効果的に触媒するために使用できることが発見された。
【0005】
上記のように、A)前駆触媒と、B)以下のi)~iii)からそれぞれ上記のように選択される少なくとも1つの共触媒構造と、の反応生成物を含む触媒系が提供される。
【0006】
触媒系は、本明細書に記載されるような2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0007】
一実施形態(以下、実施形態A)では、共触媒構造、構造式1および構造式2が、次式[YX-Lから選択されル少なくとも1つのカチオンをさらに含み、式中、XがB、C、N、O、Al、Si、P、またはSから選択され、各Yは、独立して(C~C40)-ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、P(R、N(R、OR、SR、NO、CN、CF、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-、ハロゲン原子、または水素原子から選択され、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、P(R、N(R、OR、SR、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-のそれぞれが、非置換または1つ以上のR置換基で置換されるか、各Rが独立して、ハロゲン原子、ポリフルオロ置換、ペルフルオロ置換、非置換(C~C18)アルキル、FC-、FCHO-、FHCO-、FCO-、RSi-、RGe-、RO-、RS-RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-であるか、またはXと共にY基のうちの2つが、1つ以上のR置換基で任意に置換されたヘテロ(C~C18)ヒドロカルビレン(すなわち、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基)を形成し、各Rが、(C~C40)ヒドロカルビルであり、Rが、独立して非置換(C~C18)ヒドロカルビルであり、mは、独立して0、1、2または3であり、Lは、中性ルイス塩基であり、m=0の場合、Lは存在せず、nは、独立して2、3、4または5であるか、
または2つまたは3つの[YX]が、任意に2つ以上の(C~C35)ヒドロカルビル、(C~C35)ヘテロヒドロカルビル、またはRを結びつけることによって一緒に結合され得る。
【0008】
実施形態Aの特定の実施形態では、カチオン[Y-X-Lは、以下から選択される。
【化3】
【0009】
実施形態Aの他の実施形態では、[Y-X-L中の各ヒドロカルビルおよび/またはヘテロヒドロカルビルは、独立して1つ以上の置換基Rで置換され、各Rは、独立してハロゲン原子、ポリフルオロ置換、ペルフルオロ置換、FC-、FCHO-、FHCO-、FCO-、RSi-、RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-であり、各はR独立して、非置換(C~C18)アルキルである。
【0010】
一実施形態では、構造式1(以下、実施例B)の場合、R~R12のそれぞれは、非置換であり、かつ/または構造式2(以下、実施形態C)の場合、R13~R24のそれぞれは、非置換である。一実施形態では、構造式1の場合、2つ以上のR12が、1つ以上の環構造を形成し、該環構造が、いずれの水素原子も除いて環内に3~50個の原子を有し、かつ/または構造式2の場合、R13~R24のうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を形成し、該環構造が、いずれの水素原子も除いて、環内に3~50個の原子を有する。
【0011】
実施形態Bのいくつかの実施形態では、Rは水素、ハロゲンもしくは非置換C~C18アルキル、C~Cアルコキシ(C~C)アルキルアミノ、ジ(C~C)アルキル-(C~C)アルケニルシリル、ハロ(C~C)アルコキシ、トリ(C~C)アルキルシリル、トリ(C~C)アルキルシリルオキシ、ハロ(C~C)アルキル、トリ(ジ(C~C)アルキルアミノ)シリル、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、チオ、C~Cアルカノイル、トリ(C~C)アルキルオキシシリル、ジ(C~C)アルキルアミノ、トリ(C~C)アルキルゲルミル、トリ(ジ(C~C)アルキルアミノ)ゲルミル、トリ(C~C)アルキルオキシゲルミル、ジ(C~C)アルキルホスファナイル(alkylphosphaneyl)、ジ(ジ(C~C)アルキルアミノ)ホスファナイル、モノ-もしくはジ(C~C20)アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、フェニル、またはトリフルオルメタンスルホニルオキシ(trifluormethanesulfonyloxy)である。
【0012】
実施形態Bの他の実施形態では、Rは、末端オレフィンを含有するヒドロカルビルである。末端オレフィンを含有するヒドロカルビル基の例は、式(CH=CH)-D-によって表すことができ、Dは、C~C18アルキルまたはC~Cアルキルフェニル(C~C6)アルキルを表す。このようなヒドロカルビル基の例としては、アリル、3-ブテン-1-イル、5-ヘキセン-1-イル、および4-ビニルベンジルが含まれる。
【0013】
実施形態Bの他の実施形態では、Rは、末端オレフィンを含有するヘテロヒドロカルビルである。末端オレフィンを含有するヒドロカルビル基の例は、式(CH=CH)-D-によって表すことができ、Dは、C~C18アルキルを表し、少なくとも1個の炭素原子、CH基、またはCH基は、N、O、S、またはSiから選択されるヘテロ原子、またはヘテロアリールもしくはヘテロシクロアルキル基で置き換えられる。このようなヒドロカルビル基の例には、(1-ビニルピペリジン-4-イル)メチル、4-(ビニルアミノ)ブチル、(2-(ビニルアミノ)エトキシ)メチル、および(4-ペンテン-1-イルオキシ)メチル、(1-アリル-1H-イミダゾール-4-イル)メチル、ならびに((6-アリルピリジン-3-イル)メトキシ)メチルが挙げられる。
【0014】
実施形態Cのいくつかの実施形態では、Rは、水素、ハロゲンもしくは非置換C~C18アルキル、C~Cアルコキシ(C~C)アルキルアミノ、ジ(C~C)アルキル-(C~C)アルケニルシリル、ハロ(C~C)アルコキシ、トリ(C~C)アルキルシリル、トリ(C~C)アルキルシリルオキシ、ハロ(C~C)アルキル、トリ(ジ(C~C)アルキルアミノ)シリル、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、チオ、C~Cアルカノイル、トリ(C~C)アルキルオキシシリル、ジ(C~C)アルキルアミノ、トリ(C~C)アルキルゲルミル、トリ(ジ(C~C)アルキルアミノ)ゲルミル、トリ(C~C)アルキルオキシゲルミル、ジ(C~C)アルキルホスファナイル、ジ(ジ(C~C)アルキルアミノ)ホスファナイル、モノ-またはジ(C~C20)アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、フェニル、またはトリフルオルメタンスルホニルオキシである。
【0015】
実施形態Cの他の実施形態では、Rは、末端オレフィンを含有するヒドロカルビルである。このようなヒドロカルビル基の例としては、アリル、3-ブテン-1-イル、5-ヘキセン-1-イル、および4-ビニルベンジルが挙げられる。
【0016】
実施形態Cの他の実施形態では、Rは、末端オレフィンを含有するヘテロヒドロカルビルである。末端オレフィンを含有するヒドロカルビル基の例は、式(CH=CH)-D-によって表すことができ、Dは、C~C18アルキルを表し、少なくとも1個の炭素原子、CH基、またはCH基は、N、O、S、またはSiから選択されるヘテロ原子、またはヘテロアリールもしくはヘテロシクロアルキル基で置き換えられる。このようなヒドロカルビル基の例には、(1-ビニルピペリジン-4-イル)メチル、4-(ビニルアミノ)ブチル、(2-(ビニルアミノ)エトキシ)メチル、および(4-ペンテン-1-イルオキシ)メチル、(1-アリル-1H-イミダゾール-4-イル)メチル、ならびに((6-アリルピリジン-3-イル)メトキシ)メチルが挙げられる。
【0017】
一実施形態では、構造式1の場合、R~R12のうちのいずれも環構造を形成せず、かつ/または構造式2の場合、R13~R24のうちのいずれも環構造を形成しない。一実施形態では、構造式1または2の場合、共触媒は、少なくとも3個のハロゲン原子、または少なくとも4個のハロゲン原子、または少なくとも5個のハロゲン原子、または少なくとも6個のハロゲン原子を含む。一実施形態では、共触媒は、以下の1)~95)から選択される構造を含む(以下の各構造において、各黒い点はホウ素原子を表す)。
【化4-1】
【化4-2】
【化4-3】
【化4-4】
【化4-5】
【化4-6】
【0018】
一実施形態では、共触媒は、以下、上の1)~10)、または1)~5)、または上の1)もしくは2)から選択される構造を含む。
【0019】
好適な前駆触媒の例としては、フェノキシ型遷移金属錯体(例えば、WO2007/136497、WO2007/136496およびWO2007/136494を参照)、幾何拘束型遷移金属錯体(例えば、US6034022、US6268444およびUS6121185を参照)、およびビス-メタロセン遷移金属錯体(例えば、US6245706を参照)が挙げられる。各特許参照は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
一実施形態では、前駆触媒は、以下から選択され、
【化5】
式中、構造式a~cのそれぞれの場合、各Mは、独立して、チタン、ジルコニウム、またはハフニウムであり、それぞれ独立して、+2、+3、または+4の形式酸化状態であり、各nは、0から3の整数であり、nが0であるとき、Xは存在せず、各Xは、独立して、中性、モノアニオン性、またはジアニオン性である単座配位子であるか、または、2つのXがまとまって、中性、モノアニオン性、またはジアニオン性である二座配位子を形成し、Xおよびnが、式(I)の金属-配位子錯体が全体として中性であるように選ばれ、構造式aの場合、R~R、および構造式bの場合、R~R、および構造式cの場合、R~R16は、それぞれ独立して、(C~C40)ヒドロ-カルビル、(C~C40)ヘテロ-ヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、P(RP)、N(RN)、ORC、SRC、NO、CN、CF、RCS(O)-、RCS(O)-、(RC)C=N-、RCC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-、ハロゲン原子、水素原子から選択され、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、P(R、N(R、OR、SR、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-のそれぞれ、およびR基は、独立して、非置換であるか、または1つ以上のR置換基で置換され、各Rは、独立して、ハロゲン原子、ポリフルオロ置換、ペルフルオロ置換、FC-、FCHO-、FHCO-、FCO-、RSi-、RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-から選択され、
構造式aの場合、R~R、および構造式bの場合、R~R、および構造式cの場合、R~R16は、独立して、任意に2つ以上のR基が、1つ以上の環構造に結びつけることができ、そのような環構造は、いずれの水素原子も除いて環内に3~50個の原子を有し、
構造式cの場合、各Zは、独立して、O、S、N(C~C40)ヒドロカルビル、またはP(C~C40)ヒドロカルビルであり、
構造式cの場合、Lは、(C~C40)ヒドロカルビレンまたは(C~C40)ヘテロヒドロカルビレンであり、(C~C40)ヒドロカルビレンは、構造式c(これにLが結合している)のZ原子を連結する3個の炭素原子~10個の炭素原子のリンカー骨格を含む一部分を有し、(C~C40)ヘテロヒドロカルビレンは、式(I)中のZ原子を連結する3個の原子~10個の原子のリンカー骨格を含む一部分を有し、(C~C40)ヘテロヒドロカルビレンの3個の原子~10個の原子のリンカー骨格の3~10原子のそれぞれが、独立して炭素原子またはヘテロ原子であり、各ヘテロ原子は、独立して、O、S、S(O)、S(O)、Si(R、Ge(R、P(R)、またはN(R)であり、独立して各Rは、独立して(C~C30)ヒドロカルビルであるか、または存在しない。
【0021】
一実施形態では、前駆触媒は、上記のように、構造式cから選択される。
【0022】
フェノキシ型錯体(構造式c)のいくつかの例としては、ビス((2-オキソイ1-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-y1)-5-(メチル)フェニ1)-2-フェノキシ)プロパン1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジメチル;ビス((2-オキソイ1-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-y1)-5-(メチル)フェニ1)-2-フェノキシ)プロパン-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジクロリド;ビス((2-オキソイ1-3-(ジベンゾ-IH-ピロール-1-y1)-5-(メチル)フェニ1)-2-フェノキシ)プロパン-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジメチル;ビス((2-オキソイ1-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-y1)-5-(メチル)-フェニ1)-2-フェノキシ)プロパン-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジクロリド;ビス((2-オキソイ1-3-(1,1-ジメチルエチル)フェン-I-y1)-5-(メチル)フェニ1)-2-フェンオキシ)プロパン-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジメチル;ビス((2-オキソイ1-3-(1,1-ジメチルエチル)フェン-1-y1)-5-(メチル)フェニ1)-2-フェノキシ)-プロパン-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジクロリド;ビス((2-オキソイ1-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロ-アントラセン-5-y1)-5-(メチル)フェニ1)-2-フェノキシ)-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジメチレンイ1-1;2-ジイルジルコニウム(IV)ジメチル;ビス((2-オキソイ1-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-y1)-5-(メチル)フェニ1)-2-フェノキシ)-トランスシクロヘキサン-1,2-ジメチレニル-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジクロリド;ビス((2-オキソイ1-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-y1)-5-(メチル)フェニ1)-2-フェノキシ)-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジメチレンニ1-1,2-ジイ1ジルコニウム(IV)ジメチル;ビス((2-オキソイ1-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-y1)-5-(メチル)フェニ1)-2-フェノキシ)-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジメチレニ1-1,2ジイルジルコニウム(IV)ジクロリド;ビス((2-オキソイ1-3-(1,1-ジメチルエチル)フェン-y1)-5-(メチル)-フェニ1)-2-フェノキシ)-トランス-シクロヘキサン-1,2-ジメチレニ1-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジメチル;ビス((2-オキソイ1-3-(1,1-ジメチルエチル)フェン-l-y1)-5-(メチル)フェニ1)-2-フェノキシ)-トランスシクロヘキサン-1,2-ジメチレニ1-1,2-ジイルジルコニウム(IV)ジクロリド;ビス((2-オキソイ1-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロ-アントラセン-5-y1)-5-(メチル)フェニ1)-2-フェノキシ)-シス-シクロヘキサン-1,3-ジイルジルコニウム(N)ジメチル;ビス((2-オキソイ1-3-(1,2,3,4,6,7、8,9-オクタヒドロ-アントラセン-5-y1)-5-(メチル)フェニ1)-2-フェノキシ)-シス-シクロヘキサン-1,3-ジイルジルコニウム(IV)ジクロリド;ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-y1)-5-(メチル)フェニ1)-2-フェノキシ)-シス-シクロヘキサン-1,3-ジイルジルコニウム(N)ジメチル;およびビス((2-オキソイ1-3-(dベンゾ-H-ピロール-1-y1)-5-(メチル)フェニ1)-2-フェノキシ)-シス-シクロヘキサン-1,3-ジイルジルコニウム(IV)ジクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
一実施形態では、前駆触媒は、上記のように、構造式aから選択される。
【0024】
幾何拘束型複合体(構造式a)のいくつかの例としては、(tert-ブチルアミド)(1,1-ジメチル-2,3,4,9-ヘキサヒドロナフタレニ1)ジメチルシランチタンジメチル;(tert-ブチルアミド)(1,1,2,3-テトラメチ1-2,3,4,9,10-11-1,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロナフタレニル)ジメチルシランチタンジメチル;(tert-ブチルアミド)-(テトラメチ1-5-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタンジベンジル;(tert-ブチルアミド)-(テトラメチ1-15-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタンジメチル;(tert-ブチルアミド)(テトラ-メチ1-5-シクロペンタジエニ1)-1,2-エタンジイルチタンジメチル;(tert-ブチルアミド)(テトラ-メチ1-15-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(III)2-(ジメチルアミノ)ベンジル;(tert-ブチルアミド)(テトラメチ1-15-シクロ-ペンタジエニル)ジメチルシランチタン(III)2,4-ジメチル-ペンタジエニル;(tert-ブチルアミド)-(テトラメチ1-15-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン;(tert-ブチルアミド)(テトラメチ1-15-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(II)1,3-ペンタジエン;(tert-ブチルアミド)(2-メチルインデニル)ジメチル-シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン;(tert-ブチルアミド)(2メチルインデニル)-ジメチルシランチタン(II)2,4-ヘキサジエン;および(tert-ブチル-アミド)(2-メチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
一実施形態では、前駆触媒は、上記のように、構造式bから選択される。
【0026】
ビス-メタロセン錯体(構造式b)のいくつかの例としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル;ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジエチル;ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジプロピル;ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブチル;ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル;ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジネオペンチル;ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジ(m-トリル);ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジ(p-トリル);ビス(tブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル;ビス-(tブチルシクロ-ペンタジエニル)ジルコニウムジメチル;およびビス(シクロヘキシルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
一実施形態では、共触媒は、構造式1から選択される構造を含む。さらなる実施形態では、共触媒構造は、それぞれ上記のような、以下の構造a)~j)、r)またはq)から選択される少なくとも1つのカチオンをさらに含む。
【0028】
一実施形態では、構造式1の場合、ヒドロカルビルおよび/またはヘテロヒドロカルビルは、それぞれ独立して、1つ以上の置換基RSで置換され、各RSは、独立してハロゲン原子、ポリフルオロ置換、ペルフルオロ置換、FC-、FCHO-、FHCO-、FCO-、RSi-、RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-であり、各Rは、独立して非置換(C~C18)アルキルである。
【0029】
一実施形態では、構造式1の場合、R~R12のそれぞれは、非置換である。
【0030】
一実施形態では、構造式1の場合、R~R12のうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を形成し、該環構造は、いずれの水素原子を除いて、環内に3~50個の原子を有する。
【0031】
一実施形態では、構造式1の場合、R~R12のうちのいずれも、環構造を形成しない。
【0032】
一実施形態では、構造式1の場合、共触媒は、少なくとも3個のハロゲン原子、または少なくとも4個のハロゲン原子、または少なくとも5個のハロゲン原子、または少なくとも6個のハロゲン原子を含む。
【0033】
構造式1は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0034】
一実施形態では、共触媒は、構造式2から選択される構造を含む。さらなる実施形態では、共触媒構造は、それぞれ上記のような以下の構造k)~p)から選択される少なくとも1つのカチオンをさらに含む。
【0035】
一実施形態では、構造式2の場合、ヒドロカルビルおよび/またはヘテロヒドロカルビルは、それぞれ独立して、1つ以上の置換基Rで置換され、各Rは、独立してハロゲン原子、ポリフルオロ置換、ペルフルオロ置換、FC-、FCHO-、FHCO-、FCO-、RSi-、RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-であり、各Rは、独立して、非置換(C~C18)アルキルである。
【0036】
一実施形態では、構造式2の場合、R13~R24のそれぞれは、置換されていない。
【0037】
一実施形態では、構造式2の場合、R13~R24のうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を形成し、該環構造は、いずれの水素原子も除いて環内に3~50個の原子を有する。一実施形態では、構造式2の場合、R13~R24のうちのいずれも、環構造を形成しない。
【0038】
一実施形態では、構造式2の場合、共触媒は、少なくとも3個のハロゲン原子、さらに少なくとも4個のハロゲン原子、さらに少なくとも5個のハロゲン原子、さらに少なくとも6個のハロゲン原子を含む。
【0039】
構造式2は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0040】
また、エチレンまたはプロピレンと1つ以上のα-オレフィンコポリマーおよび/または1つ以上のジエンのポリマー生成物を含む、ポリマー組成物が提供され、ポリマー生成物は、前記請求項のいずれか一項に記載の触媒系の存在下で重合される。
【0041】
また、エチレンまたはプロピレンを選択することと、請求項1~23のいずれか一項に記載の触媒系の存在下で、該エチレンまたはプロピレンを1つ以上のα-オレフィンコポリマーおよび/または1つ以上のジエンと重合することと、を含む、ポリマー組成物を生成するためのプロセスが提供される。
【0042】
一実施形態では、重合温度は、-20℃~350℃である。
【0043】
また、発明の組成物から形成される少なくとも1つの構成成分を含む物品を提供する。
【0044】
本明細書に記載されるような共触媒の一般的な合成は、以下の通りである。
【化6】
【0045】
定義
相反する記載がない限り、本開示の出願日の時点で最新のものある。
【0046】
化学化合物に関して、本明細書で使用される場合、「置換された」という用語は、置換基、すなわち、少なくとも1個の炭素原子、または好ましくは、少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、S、N、Pなど)を含む、例えば炭素原子上の水素を置き換える基を指す。置換基としては、上述したように、ハロゲン原子、ポリフルオロ置換、ペルフルオロ置換基、FC-、FCHO-、FHCO-、FCO-、(R)Si-、(R)Ge-、(R)O-、(R)S-、(R)S(O)-、(R)S(O)-、(R)P-、(R)N-、(R)C=N-、NC、(R)C(O)O-、(R)OC(O)-、(R)C(O)N(R)-、および(R)NC(O)-などのR置換基が挙げられるが、これらに限定されず、各Rは独立して、非置換(C~C18)アルキルである。
【0047】
化学化合物に関して、本明細書で使用される場合、「非置換」という用語は、少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、S、N、Pなど)を含む置換基がないことを指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」という用語は、水素原子および炭素原子のみを含有する一価(モノラジカルまたはラジカル)の化学基を指す。ヒドロカルビル基の例は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、およびアリール基である。本明細書で使用される場合、「置換ヒドロカルビル」という用語は、少なくとも1個の水素原子が、少なくとも1個のヘテロ原子を含む置換基で置換されている、ヒドロカルビルを指す。
【0049】
本明細書で使用される場合、「ヘテロヒドロカルビル」という用語は、少なくとも1個の炭素原子、またはCH基、もしくはCH基が、ヘテロ原子、または少なくとも1個のヘテロ原子を含有する化学基で置き換えられている、ヒドロカルビルを指す。このようなヘテロヒドロカルビル基の例は、CHO-(メトキシ)、CHCHNH-(エチルアミノ)、(CHCHNC-(ジメチルアミノフェニル)、CHOCHCHOCH-(メトキシエトキシメチル)である。ヘテロ原子としては、O、N、P、SiおよびSが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロヒドロカルビル基の他の例としては、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、フリル、ピロリジン-1-イルメチル、アゼパン-1-イルメチル、およびチアゾリジン-3-イルメチルなどのヘテロシクロアルキル基と、ピリジニル、ピリミジニル、ピリジン-4-イルメチル、イミダゾリル、イミダゾリルメチル、チアゾリル、およびオキサゾリルなどのヘテロアリール基と、が挙げられる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「置換ヘテロヒドロカルビル」という用語は、少なくとも1個の水素原子が、少なくとも1個のヘテロ原子を含む置換基で置換されているヘテロヒドロ-カルビルを指す。
【0051】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビレン」という用語は、水素原子および炭素原子のみを含有する二価(ジラジカル)化学基を指す。本明細書で使用される場合、「置換ヒドロカルビレン」という用語は、少なくとも1個の水素原子が、少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基で置換されているヒドロカルビレンを指す。
【0052】
本明細書で使用される場合、「ヘテロヒドロカルビレン」という用語は、少なくとも1個の炭素原子、またはCH基、もしくはCH基が、ヘテロ原子、または少なくとも1個のヘテロ原子を含有する化学基、例えば、-CHCHOCHCH-(オキシジ-(2,1-エタン)ジイル)、-CHCHCHCHO-(4-ブタンイル-1-オキシ)、-OCHCHO-(1,2-エタンジイル-ビス(オキシ))で置換されている、ヒドロカルビレンを指す。ヘテロ原子としては、O、N、P、SiおよびSが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「置換ヘテロヒドロカルビレン」という用語は、少なくとも1個の水素原子が、少なくとも1個のヘテロ原子を含む置換基で置換されている、ヘテロヒドロカルビレンを指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、フェニル(すなわち、単環式アリール)、または少なくとも1つのフェニル環を含有する二環式環系もしくは芳香族二環式環系に炭素原子のみを含有する芳香族二環式環を意味する。二環式アリールは、アズレニル、ナフチル、または単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、または単環式ヘテロシクリルに縮合したフェニルであり得る。二環式アリールは、二環式系のフェニル部分に含有される任意の炭素原子、またはナフチルまたはアズレニル環を有する任意の炭素原子を介して親分子部分に結合する。二環式アリールの縮合単環式シクロアルキルまたは単環式ヘテロシクリル部分は、1つまたは2つのオキソおよび/またはチオキソ基で任意に置換されている。二環式アリールの代表例には、アズレニル、ナフチル、ジヒドロインデン-1-イル、ジヒドロインデン-2-イル、ジヒドロインデン-3-イル、ジヒドロインデン-4-イル、2,3-ジヒドロインドール-4-イル、2,3-ジヒドロインドール-5-イル、2,3-ジヒドロインドール-6-イル、2,3-ジヒドロインドール-7-イル、インデン-1-イル、インデン-2-イル、インデン-3-イル、インデン-4-イル、ジヒドロナフタレン-2-イル、ジヒドロナフタレン-3-イル、ジヒドロナフタレン-4-イル、ジヒドロナフタレン-1-イル、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-4-イル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル、2H-クロメン-2-オン-5-イル、2H-クロメン-2-オン-6-イル、2H-クロメン-2-オン-7-イル、2H-クロメン-2-オン-8-イル、イソインドリン-1,3-ジオン-4-イル、イソインドリン-1,3-ジオン-5-イル、インデン-1-オン-4-イル、インデン-1-オン-5-イル、インデン-1-オン-6-イル、インデン-1-オン-7-イル、2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサン-5-イル、2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサン-6-イル、2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン3(4H)-オン-5-イル、2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン3(4H)-オン-6-イル、2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン3(4H)-オン-7-イル、2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン3(4H)-オン-8-イル、ベンゾ[d]オキサジン-2(3H)-オン-5-イル、ベンゾ[d]オキサジン-2(3H)-オン-6-イル、ベンゾ[d]オキサジン-2(3H)-オン-7-イル、ベンゾ[d]オキサジン-2(3H)-オン-8-yl、キナゾリン-4(3H)-オン-5-イル、キナゾリン-4(3H)-オン-6-イル、キナゾリン-4(3H)-オン-7-イル、キナゾリン-4(3H)-オン-8-イル、キノキサリン-2(1H)-オン-5-イル、キノキサリン-2(1H)-オン-6-イル、キノキサリン-2(1H)-オン-7-イル、キノキサリン-2(1H)-オン-8-イル、ベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-オン-4-イル、ベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-オン-5-イル、ベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-オン-6-イル、およびベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-オン-7-イルが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、二環式アリールは、(i)ナフチルまたは(ii)5もしくは6員単環式シクロアルキル、5もしくは6員単環式シクロアルケニル、または5もしくは6員単環式ヘテロシクリルのいずれかに縮合したフェニル環であり、縮合シクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクリル基は、独立してオキソまたはチオキソである1つまたは2つの基で任意に置換されている。
【0054】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」または「シクリル」という用語は、単環式または二環式シクロアルキル環系を意味する。単環式環系は、3~8個の炭素原子を含有する環状炭化水素基であり、このような基は、飽和または不飽和であり得るが、芳香族ではない。特定の実施形態では、シクロアルキル基は完全に飽和している。単環式シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。二環式シクロアルキル環系は、架橋単環式環または縮合二環式環である。架橋単環式環は、単環式シクロアルキル環を含有し、単環式環の隣接しない2個の炭素原子は、1~3個の追加の炭素原子のアルキレン架橋で結合されている(つまり、-(CH-の形態の架橋基で、wは1、2、または3である)。二環式環系の代表例としては、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、およびビシクロ[4.2.1]ノナンが挙げられるが、これらに限定されない。縮合二環式シクロアルキル環系は、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式ヘテロシクリル、または単環式ヘテロアリールのいずれかに縮合した単環式シクロアルキル環を含有する。架橋または縮合二環式シクロアルキルは、単環式シクロアルキル環内に含有される任意の炭素原子を介して親分子部分に結合している。シクロアルキル基は、独立してオキソまたはチオキソである1つまたは2つの基で任意に置換される。特定の実施形態では、縮合二環式シクロアルキルは、フェニル環、5もしくは6員単環式シクロアルキル、5もしくは6員単環式シクロアルケニル、5もしくは6員単環式ヘテロシクリル、または5員もしくは6員単環式ヘテロアリールのいずれかに縮合した5もしくは6員単環式シクロアルキルであり、縮合二環式シクロアルキルは、独立してオキソまたはチオキソである1つまたは2つの基により任意に置換される。
【0055】
本明細書で使用される場合、「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、-Cl、-Br、-Iまたは-Fを意味する。
【0056】
「ハロアルキル」および「ハロアルコキシ」という用語は、場合によっては、1つ以上のハロゲン原子で置換されているアルキルまたはアルコキシ基を指す。
【0057】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの複素芳香環を含有する単環式ヘテロアリールまたは二環式環系を意味する。単環式ヘテロアリールは、5または6員環であり得る。5員環は、2つの二重結合および1、2、3、または4個の窒素原子、ならびに任意に1個の酸素または硫黄原子から成る。6員環は、3つの二重結合および1、2、3、または4個の窒素原子から成る。5員または6員ヘテロアリールは、ヘテロアリール内に含有される任意の炭素原子または任意の窒素原子を介して親分子部分に結合される。単環式ヘテロアリールの代表例としては、フリル、イミダゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、およびトリアジニルが挙げられるが、これらに限定されない。二環式ヘテロアリールは、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式ヘテロシクリル、または単環式ヘテロアリールに縮合した単環式ヘテロアリールから成る。二環式ヘテロアリール基の縮合シクロアルキルまたはヘテロシクリル部分は、独立してオキソまたはチオキソである1つまたは2つの基で任意に置換されている。二環式ヘテロアリールが、縮合シクロアルキル、シクロアルケニル、またはヘテロシクリル環を含有する場合、二環式ヘテロアリール基は、二環式環系の単環式ヘテロアリール部分に含有される任意の炭素または窒素原子を介して親分子部分に結合されている。二環式ヘテロアリールが、ベンゾ環に縮合した単環式ヘテロアリールである場合、二環式ヘテロアリール基は、二環式環系内の任意の炭素原子または窒素原子を介して親分子部分に結合されている。二環式ヘテロアリールの代表例としては、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾオキサチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、シンノリニル、5,6-ジヒドロキノリン-2-イル、5,6-ジヒドロイソキノリン-1-イル、フロピリジニル、インダゾリル、インドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル、キノリニル、プリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-イル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-3-イル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-4-イル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン-1-イル、チエノピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾリル、2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキサン-5-イル、および6,7-ジヒドロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-4(5H)-オニルが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、縮合二環式ヘテロアリールは、フェニル環、5もしくは6員単環式シクロアルキル、5もしくは6員単環式シクロアルケニル、5もしくは6員単環式ヘテロシクリル、または5もしくは6員単環式ヘテロアリールのいずれかに縮合した5もしくは6員単環式ヘテロアリール環であり、縮合シクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクリル基は、独立してオキソまたはチオキソである1つまたは2つの基により任意に置換されている。
【0058】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」および「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単環式複素環または二環式複素環を意味する。単環式複素環は、環が飽和または不飽和であるが芳香族ではない、O、N、およびSから成る群から独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3、4、5、6または7員環である。3または4員環は、O、NおよびSからなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する。5員環は、0または1つの二重結合ならびにO、NおよびSからなる群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有し得る。6または7員環は、0、1または2つの二重結合ならびにO、NおよびSからなる群から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有する。単環式複素環は、単環式複素環内に含有される任意の炭素原子または任意の窒素原子を介して親分子部分に結合されている。単環式複素環の代表例としては、アゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオラニル、1,3-ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル(isothiazolinyl)、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル(thiadiazolinyl)、チアジアゾリジニル(thiadiazolidinyl)、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニルおよびトリチアニルが挙げられるが、これらに限定されない。二環式複素環は、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式複素環、または単環式ヘテロアリールのいずれかに縮合した単環式複素環である。二環式複素環は、二環式環系の単環式複素環部分に含有される任意の炭素原子または任意の窒素原子を介して親分子部分に結合している。二環式ヘテロシクリルの代表例としては、2,3-ジヒドロベンゾフラン-2-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-3-イル、インドリン-1-イル、インドリン-2-イル、インドリン-3-イル、2,3-ジヒドロベンゾチエン-2-イル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロ-1H-インドリル、およびオクタヒドロベンゾフラニルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル基は、独立してオキソまたはチオキソである1つまたは2つの基で任意に置換されている。特定の実施形態では、二環式ヘテロシクリルは、フェニル環に縮合した5もしくは6員単環式ヘテロシクリル環、5もしくは6員単環式シクロアルキル、5もしくは6員単環式シクロアルケニル、5もしくは6員単環式ヘテロシクリル、または5もしくは6員単環式ヘテロアリールであり、二環式ヘテロシクリルが、独立してオキソまたはチオキソである1つまたは2つの基で任意に置換されている。
【0059】
本明細書において使用される「組成物(composition)」という用語は、組成物を構成する材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物を含む。
【0060】
本明細書で使用される「ポリマー」という語は、同じ種類かまたは異なる種類のモノマーを重合することにより調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという一般的な用語は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、唯一の種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および本明細書において以下に定義されるようなインターポリマーという用語を包含する。例えば、触媒残渣などの微量の不純物が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれ得る。
【0061】
本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる型のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。したがって、このインターポリマーという総称は、コポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0062】
本明細書で使用される際、「オレフィン系ポリマー」という用語は、主要量のオレフィンモノマー、例えば、エチレンまたはプロピレン(ポリマーの重量に基づいて)を重合形態で含むポリマーを指し、任意に1つ以上のコモノマーを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「オレフィン系インターポリマー」という用語は、重合形態で、過半量のオレフィンモノマー、例えば、エチレンまたはプロピレン(インターポリマーの重量に基づいて)、および少なくとも1つのコモノマーを含むインターポリマーを指す。本明細書で使用される場合、「オレフィン系コポリマー」という用語は、重合形態で、過半量のオレフィンモノマー、例えば、エチレンまたはプロピレン(コポリマーの重量に基づいて)と、およびコモノマーとを2つのみのモノマー型として含むコポリマーを指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、「エチレン系ポリマー」という用語は、重合形態で、(ポリマーの重量に基づいて)過半量のエチレンモノマーを含み、任意に1つ以上のコモノマーを含み得るポリマーを指す。本明細書で使用される場合、「エチレン系インターポリマー」という用語は、重合形態で、(インターポリマーの重量に基づいて)過半量のエチレンモノマーおよび少なくとも1つのコモノマーを含むインターポリマーを指す。本明細書で使用される場合、「エチレン系コポリマー」という用語は、唯一の2つのモノマー種類として、重合形態で、(コポリマーの重量に基づいて)過半量のエチレンモノマーおよびコモノマーを含むコポリマーを指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」という用語は、重合形態で、(インターポリマーの重量に基づいて)過半量のエチレンモノマーおよび少なくとも1つのα-オレフィンを含むインターポリマーを指す。本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンコポリマー」という用語は、唯一の2つのモノマー種類として、重合形態で、(コポリマーの重量に基づいて)過半量のエチレンモノマーおよびα-オレフィンを含むコポリマーを指す。
【0065】
本明細書で使用される場合、「プロピレン系ポリマー」という用語は、
重合形態で、過半量のプロピレンモノマー(ポリマーの重量に基づいて)を含み、任意に1つ以上のコモノマーを含み得るポリマーを指す。本明細書で使用される場合、「プロピレン系インターポリマー」という用語は、重合形態で、(インターポリマーの重量に基づいて)過半量のプロピレンモノマーおよび少なくとも1つのコモノマーを含むインターポリマーを指す。本明細書で使用される場合、「プロピレン系コポリマー」という用語は、唯一の2つのモノマー種類として、重合形態で、(コポリマーの重量に基づいて)過半量のプロピレンモノマーおよびコモノマーを含むコポリマーを指す。
【0066】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/α-オレフィンインターポリマー」という用語は、重合形態で、(インターポリマーの重量に基づいて)過半量のプロピレンモノマーおよび少なくとも1つのα-オレフィンを含むインターポリマーを指す。本明細書で使用される「プロピレン/α-オレフィンコポリマー」という用語は、重合形態で、過半量のプロピレンモノマー(コポリマーの重量に基づいて)と、α-オレフィンとを2種類のみのモノマーとして含むコポリマーを指す。
【0067】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/エチレンインターポリマー」という用語は、重合形態で、(インターポリマーの重量に基づいて)過半量のプロピレンモノマーおよびエチレンを含むインターポリマーを指す。本明細書で使用される「プロピレン/エチレンコポリマー」という用語は、重合形態で、過半量のプロピレンモノマー(コポリマーの重量に基づいて)と、エチレンとを2種類のみのモノマーとして含むコポリマーを指す。
【0068】
本明細書で使用される場合、「前駆触媒」という用語は、共触媒で活性化されるとき、1つ以上のアルファ-オレフィンを重合することができる遷移金属錯体を指す。例、または前駆触媒には、ビスメタロセン錯体、幾何拘束型錯体、およびフェノキシ型錯体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順の存在を、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、除外することを意図するものではない。曖昧さを避けるために、「含む」という用語の使用を通じて主張される全ての組成物は、別段の記載がない限り、ポリマーであるかどうかに関わらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「~から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、いかなる他の成分、ステップ、または手順も除外する。「~からなる(consisting of)」という用語は、具体的に描写または列挙されていない、いかなる成分、ステップ、または手順も除外する。
【0070】
試験方法
密度-密度を測定する試料を、ASTM D-1928に従って調製する。ASTM D-792、方法Bを使用して、1時間以内の試料プレス内に測定を行う。
【0071】
メルトインデックス-メルトインデックス(I)は、ASTM D1238、条件190℃/2.16kgに従って測定し、10分ごとに溶出するグラムで報告される。メルトフローレート(I10)は、ASTM D1238、条件190℃/10kgに従って測定され、10分ごとに溶出するグラムで報告される。
【0072】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
以下の手順に従って、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを、それらの特性についてGPCにより試験した。GPCシステムは、搭載型示差屈折率検出器(RI)を装備した、Waters(Milford、MA)150℃高温クロマトグラフ(他の好適な高温GPC機器としては、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)モデル210およびモデル220が挙げられる)から成る。追加の検出器には、Polymer ChAR(Valencia、Spain),Precision Detectors(Amherst、MA)2角レーザー光散乱検出器モデル2040、およびViscotek(Houston、TX)150R 4-キャピラリー溶液粘度計からIR4赤外線検出器を挙げることができる。最後の2つの独立した検出器と、少なくとも1つの最初の検出器と、を有するGPCは、時に「3D-GPC」と称されるが、用語「GPC」単独では一般に従来のGPCを指す。試料に応じて、光散乱検出器の15度または90度のいずれかが計算のために使用される。データ収集は、Viscotek TriSEC software,Version 3および4-channel Viscotek Data Manager DM400を使用して行う。
【0073】
このシステムには、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)製のオンライン溶媒脱気機器も備わっている。4つの長さ30cmのShodex HT803 13ミクロンカラムまたは4つの20ミクロンの混合細孔サイズで充填された30cmのPolymer Labカラムなどの好適な高温GPC(MixA LS、Polymer Lab)カラムを使用することができる。試料のカルーセル区画を140℃で操作し、カラム区画を150℃で操作する。50ミリリットルの溶媒中0.1グラムのポリマーの濃度で試料を調製した。クロマトグラフ溶媒および試料調製溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。両方の溶媒を窒素でスパージした。ポリエチレン試料を160℃で4時間緩やかに撹拌する。注入量は、200マイクロリットルである。GPCを通る流速は、1mL/分に設定される。
【0074】
実施例を実行する前に、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準を実行することによって、GPCカラムセットを較正する。標準の分子量(Mw)は、1モルあたり580~8,400,000グラム/モルの範囲であり、標準物質には、6つの「カクテル」混合物が含有される。各標準物質混合物は、少なくとも一桁は離れた個々の分子量を有する。標準混合物は、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入する。ポリスチレン標準を、1,000,000g/mol以上の分子量に対して50mLの溶媒中0.025g、および1,000,000g/mol未満の分子量に対して50mLの溶媒中0.05gで調製する。ポリスチレン標準を、80℃で30分間穏やかに撹拌しながら溶解した。狭い標準物質混合物を最初に、および最高分子量構成成分を減少させる順序で実行して、分解を最小にする。ポリスチレン標準のピーク分子量を、Mark-Houwink Kとポリスチレンおよびポリエチレンの後述の(αと呼ばれることもある)値とを使用してポリエチレンMに変換する。本手順の実演については、実施例セクションを参照されたい。
【0075】
また、3D-GPCを使用して、絶対重量平均分子量(「Mw,Abs」)および固有粘度を、前述の同一条件を使用して、好適な狭いポリエチレン標準から独立して入手する。これらの狭い線状ポリエチレン標準は、Polymer Laboratories(Shropshire、UK;部品番号PL2650-0101およびPL2650-0102)から入手できる。
【0076】
多重検出器のオフセットの判定のための体系的アプローチは、Balke,Moureyらによる著書(MoureyおよびBalke,Chromatography Polym.,Chapter 12,(1992))(Balke,Thitiratsakul,Lew,Cheung,Mourey,Chromatography Polym.,Chapter 13,(1992))と一致する方法で、Dow 1683の広いポリエチレン(American Polymer Standards Corp.;Mentor、OH)から生じる三重検出器のlog(Mおよび固有粘度)結果を最適化するか、または狭いポリスチレン標準の較正曲線から生じる狭い標準カラム較正結果に一致させて実施する。検出器体積オフセット判定を説明する、分子量データは、Zimm著(Zimm,B.H.,J.Chem.Phys.,16,1099(1948))、およびKratochvil著(Kratochvil,P.,Classical Light Scattering from Polymer Solutions,Elsevier,Oxford,NY(1987))と一致する方法で取得する。分子量の判定において使用される全体的な注入濃度は、好適な線状ポリエチレンホモポリマー、またはポリエチレン標準のうちの1つから誘導される、質量検出器面積および質量検出器定数から取得する。計算された分子量は、述べたポリエチレン標準のうちの1つ以上から誘導される光散乱定数、および0.104の屈折率濃度係数、dn/dcを使用して取得する。概して、質量検出器応答および光散乱定数は、約50,000ダルトンを超える分子量を有する線形標準から判定されるべきである。粘度計の較正は、製造業者によって説明される方法を使用して、または代替的にStandard Reference Materials(SRM)1475a、1482a、1483、または1484aなどの好適な線形標準の公表値を使用して達成され得る。クロマトグラフィー濃度は、第2のバイラル係数効果(分子量に対する濃度効果)の考慮を排除するのに十分に低いと仮定される。
【0077】
w-gpcの判定
w-gp値を取得するため、クロマトグラフシステムは、Polymer Laboratories Model PL-210またはPolymer Laboratories Model PL-220のいずれかで構成する。カラムおよびカルーセル区画を140Cで操作する。3つのPolymer Laboratories製10-μm Mixed-Bカラムを、1,2,4-トリクロロベンゼンの溶媒と共に使用する。50mLの溶媒中0.1gのポリマーの濃度で試料を調製する。試料を調製するために使用した溶媒は、200ppmの酸化防止剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。160Cで4時間軽く撹拌して、試料を調製した。使用される注入量は、100マイクロリットルであり、流量は、1.0mL/分である。GPCカラムセットの較正をPolymer Laboratoriesから購入した21個の分子量分布の狭いポリスチレン標準を実施した。ポリスチレン標準液のピーク分子量は、数式1Aを使用してポリエチレン分子量に変換する。Mポリエチレン=A×(Mポリスチレン(数式1A)、Mは、分子量であり、Aは、0.4315の値を有し、Bは、1.0に等しい。三次多項式を、溶出量の関数として対数分子量較正を構築するために決定した。ポリエチレン等価分子量計算を、Viscotek TriSECソフトウェアバージョン3.0を使用して行う。重量平均分子量(Mw)の精度は、<2.6%で優良ある。
【0078】
H-NMR-別途注記のない限り、H-NMR-スペクトル(500MHzまたは400MHz)を、30℃で、Varian VNMRS-500またはVNMRS-400分光計で取得した。化学シフトは、CDCl中のTMS(δ=0.00)を基準とする。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
触媒系であって、少なくとも以下の
A)前駆触媒と、
B)少なくとも1つの共触媒構造との反応生成物を含み、前記共触媒構造が、以下のi)~iii)
i)以下に示す構造式1を有するアニオンを含む少なくとも1つの共触媒
【化1】
(式中、R~R12はそれぞれ独立して、ハロゲン、置換もしくは非置換(C~C40)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Si(N(R、Si(O(R、Ge(R、Ge(N(R、Ge(O(R、P(R、P(N(R、P(OR、N(R、NH(R)、NH、OH、SH、OR、SR、NO、CN、CF、CF、CF(R、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-、または水素から選択され、各Rは独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
~R12のうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を任意に形成することができ、
1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよく、
任意に、R~R12のうちの1つが、PH(R、PH(N(R、PH(OR)、NH(R、NH(R、NH、OH、SH、OHR、SHRから選択されて、中性構造を形成することができ、各Rは、独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
~R12のうちの少なくとも1つがハロゲンである)、または
ii)以下に示す構造式2を有するアニオンを含む、少なくとも1つの共触媒
【化2】
(式中、R13~R24はそれぞれ独立して、ハロゲン、置換もしくは非置換(C~C40)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Si(N(R、Si(O(R、Ge(R、Ge(N(R、Ge(O(R、P(R、P(N(R、P(OR、N(R、NH(R)、NH、OH、SH、OR、SR、NO、CN、CF、CF、CF(R、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-、または水素から選択され、各Rは独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
13~R24のうちの2つ以上が、任意に1つ以上の環状構造を形成することができ、
1つ以上の水素原子が、任意に重水素で置換されてもよく、
任意に、R13~R24のうちの1つが、PH(R、PH(N(R、PH(OR)、NH(R、NH(R、NH、OH、SH、OHR、SHRから選択され、中性構造を形成することができ、各Rは独立して、置換もしくは非置換(C~C35)ヒドロカルビル、または置換もしくは非置換(C~C35)ヘテロヒドロカルビルであり、
13~R24のうちの少なくとも1つがハロゲンである)、または
iii)iとiiの組み合わせ、から選択される、触媒系。
項2.
構造式1または2の場合、前記ヒドロカルビルおよび/または前記ヘテロヒドロカルビルが、それぞれ独立して、1つ以上の置換基Rで置換され、各Rが独立して、ハロゲン原子、ポリフルオロ置換、ペルフルオロ置換、FC-、FCHO-、FHCO-、FCO-、RSi-、RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-であり、各Rは独立して、非置換(C~C18)アルキルである、項1に記載の触媒系。
項3.
構造式1の場合、R~R12のうちのそれぞれが非置換であり、かつ/または構造式2の場合、R13~R24のうちのそれぞれが非置換である、項1に記載の触媒系。
項4.
構造式1の場合、R~R12のうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を形成し、前記環構造が、いずれの水素原子も除いて前記環内に3~50個の原子を有し、かつ/または構造式2の場合、R13~R24のうちの2つ以上が、1つ以上の環構造を形成し、前記環構造が、いずれの水素原子も除いて、前記環内に3~50個の原子を有する、項1および2に記載の触媒系。
項5.
構造式1の場合、R~R12のいずれも環構造を形成せず、かつ/または構造式2の場合、R13~R24のいずれも環構造を形成しない、項1、2および4のいずれか一項に記載の触媒系。
項6.
前記共触媒の前記アニオンが、少なくとも3つのハロゲン原子を含む、項1~5のいずれか一項に記載の触媒系。
項7.
前記共触媒が、以下の1)~95)から選択される構造を含む、項1~6のいずれか一項に記載の触媒系。
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【化3-4】
【化3-5】
項8.
前記共触媒構造が、構造式1を有する少なくとも1つのアニオンおよび/または構造式2を有する少なくとも1つのアニオンを含み、前記共触媒構造が、以下の[YX-Lから選択される少なくとも1つのカチオンをさらに含み、式中、Xは、B、C、N、O、Al、Si、P、またはSから選択され、各Yは独立して、(C~C40)-ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、P(R、N(R、OR、SR、NO、CN、CF、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-、ハロゲン原子、または水素原子から選択され、前記ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、P(R、N(R、OR、SR、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-のそれぞれが、非置換、または1つ以上のR置換基で置換され、各Rは独立して、ハロゲン原子、ポリフルオロ置換、ペルフルオロ置換、非置換(C~C18)アルキル、FC-、FCHO-、FHCO-、FCO-、RSi-、RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-であるか、あるいは前記Y基のうちの2つがXと一緒になって、1つ以上のR置換基で任意に置換された(C~C18)ヒドロカルビレンを形成し、各Rは、(C~C40)ヒドロカルビルであり、Rは独立して、非置換(C~C18)ヒドロカルビルであり、mは独立して、0、1、2または3であり、Lは中性ルイス塩基であり、m=0の場合、Lは存在せず、nは独立して、2、3、4または5であり、2つまたは3つの[YX]が、2つ以上の(C~C35)ヒドロカルビル、(C~C35)ヘテロヒドロカルビル、またはRを結びつけることによって任意に一緒に結合され得る、項1~7のいずれか一項に記載の触媒系。
項9.
前記共触媒構造が、構造式1を有する少なくとも1つのアニオンおよび/または構造式2を有する少なくとも1つのアニオンを含み、前記共触媒構造が、
【化4】
(ここで、各Rが、独立して(C~C30)アルキルおよび(C~C24)アリールから選択される)、
【化5】
(式中、環Aは、酸素、窒素、および硫黄から選択される1個または2個のヘテロ原子を有する、5~7員ヘテロシクロアルキル環であり、前記ヘテロシクロアルキル環は、1個以上のハロゲン原子、非置換(C~C18)アルキル、ハロ(C~C)アルコキシ、RSi-RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-で任意に置換され、各Rは、独立して非置換(C~C18)ヒドロカルビルである)、
【化6】
(式中、環Bが、酸素、窒素、および硫黄から選択される1個または2個のヘテロ原子を有する、5~7員ヘテロアリール基であり、前記ヘテロアリール基が、1個以上のハロゲン原子、非置換(C~C18)アルキル、ハロ(C~C)アルコキシ、RSi-、RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、またはRNC(O)-で任意に置換され、各Rは、独立して非置換(C~C18)ヒドロカルビルである)、から選択される少なくとも1つのカチオンをさらに含む、触媒系。
項10.
前記カチオンが、N(H)R であり、少なくとも2つのRが、(C10~C20)アルキルから選ばれる、項1~9のいずれか一項に記載の触媒系。
項11.
前記カチオンが、C(Cである、項1~8に記載の触媒系。
項12.
前記カチオンが、C(Cであり、Rが、(C~C20)アルキルである、項1~8に記載の触媒系。
項13.
前記カチオンが、[Al(R(OR であり、各Rが、(C~C30)アルキルまたは(C~C24)アリールから選ばれ、nは、1または2であるか、または2つのRが、それらが結合している前記Al原子と一緒になって環構造を形成する、項1~8に記載の触媒系。
項14.
前記カチオンが、[Fe(Cp(Rであり、nが、独立して1、2、3、4または5であり、各Rが、(C~C30)アルキルまたは(C~C24)アリールから選ばれるか、または2つ以上のRが、それらが結合している前記基と一緒になって環構造を形成する、項1~8に記載の触媒系。
項15.
前記共触媒構造が、構造式1を有する少なくとも1つのアニオンおよび/または構造式2を有する少なくとも1つのアニオンを含み、前記共触媒構造が、以下から選択される少なくとも1つのカチオンをさらに含む、項1~7に記載の触媒系。
【化7】
項16.
エチレンまたはプロピレンと1つ以上のα-オレフィンコポリマーおよび/または1つ以上のジエンとのポリマー生成物を含み、前記ポリマー生成物が、項1~15のいずれか一項に記載の触媒系の存在下で重合される、ポリマー組成物。
項17.
ポリマー組成物を生成するためのプロセスであって、
エチレンまたはプロピレンを選択することと、前記エチレンまたはプロピレンを、
項1~16のいずれか一項に記載の触媒系の存在下で、1つ以上のα-オレフィンコポリマーおよび/または1つ以上のジエンと重合させることと、を含む、プロセス。
項18.
前記共触媒構造が、(a)Rが(CH=CH)-D-であり、Dが、C~C18ヒドロカルビレンまたはC~C18ヘテロヒドロカルビレンを表す、構造式1を有する少なくとも一つのアニオンか、または(b)R13~R24のうちの少なくとも一つが、独立して(CH=CH)-D-から選択され、各Dが、独立してC~C18ヒドロカルビレンまたはC~C18ヘテロヒドロカルビレンを表す、構造式2を有する少なくとも一つのアニオン、を含む、項1に記載の触媒系。
【実施例
【0079】
実験
以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
前駆触媒(PCAT 1-4)
【化7】
共触媒-1)「An Bor」は、アニリニウムボレート[MeN(H)Ph][B(Cを表す。2)「Carb」は、アニリニウムカルボラン[MeN(H)Ph][HCB11Cl11を表す。3)「ビスHボレート」は、ビス(水素化牛脂由来アルキル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[MeN(H)Ph][HCB11Cl11を表す。原子の下付き文字の範囲は、カチオンが、様々なカチオン鎖長の混合物であることを表現する。4)「Carb-H」は、[MeN(H)Ph][HCB1111を表す。5)「ビスH Carb」は、[(C18-2237-45N(Me)H][HCB11Cl11を表す。6)「ビスH Carb-Me」は、[(C18-2237-45N(Me)H][HCB11Me11を表す。
【0080】
[MeN(H)Ph][HCB11Cl11(Carb)の合成
Arが充填されたグローブボックス内で、[MeN(H)Ph]Cl(74.0mg、0.469mmol)とNa[HCB11Cl11](255.6mg、0.469mmol)を固形物として、50mLの培養管内で混ぜ合わせ、約10 mLのCFを添加した。混合物を室温(RT)で16時間撹拌して放置した。白色沈殿物を含む溶液をセライトのパッドで濾過して、25mLのSchlenkフラスコに入れ、沈殿物を2mLのCFで3回洗浄した。濾液から揮発性物質を除去して、白色固体を得た。固体を収集し、2mLのペンタンで3回すすいだ。固体を10mLのSchlenkフラスコに移し、RTで2時間真空下で乾燥した。H NMRは、約7%の残留CF(補正したMM 650.8341g/mol)を示した。収量:243.4mg、0.3740mmol、80%。H NMR、500MHz、(CDCl):δ7.94(s、1H、NH)、7.69-7.66(m、3H、Ar-H)、7.55(d、J=8Hz、2H、Ar-H)、3.47(s、6H、MeNH-Ph)、3.32(s、1H、HCB11Cl11)。
【0081】
[MeN(H)Ph][HCB1111(Carb-H)の合成
Cs[HCB1111](347.2mg、1.26mmol)を80℃で約5mLのHOに溶解した。[MeN(H)Ph]Cl(198.4mg、1.26mmol)の水溶液をCs[HB1111]溶液と混ぜ合わせて、白色沈殿物を観察した。混合物を2時間撹拌し続け、次に室温に冷却した。白色固体をガラスフリットに収集し、2mLのHOで3回、続いて2mLのペンタンで3回洗浄した。固体を10mLのSchlenkフラスコに移し、40℃で一晩、真空下で乾燥した。収量:182.7mg、0.689mmol、55%。H NMR、500MHz、(CDCl):δ8.22(s、1H、N-H)、7.65-7.61(m、3H、Ar-H)、7.55(d、J=8Hz、2H、Ar-H)、3.41(s、6H、MeNH-Ph)、2.50(s、1H、HCB1111)、2.26-1.19(br m、11H、HCB1111)。
【0082】
[(C18-2237-45N(Me)H][HCB11Cl11(ビスH Carb)の合成
50mLのSchlenkフラスコで、10mLのフルオロベンゼン中Na[CHB11Cl11](327mg、0.600mmol)の溶液を10mLのフルオロベンゼン中[(C18-2237-45N(Me)H]]Cl(343mg、0.600mmol)の溶液に添加した。混合するとすぐに沈殿が形成され、混合物をさらに2時間撹拌し、セライトのショートパッドを通して濾過した。濾液の溶媒を除去した後、トルエン溶液をシリカゲルのショートパッドに通すことにより油を精製して、表題化合物を得た。収量:570mg、0.0538mmol、90%。H NMR(500 MHz,CDCN):δ6.78(brs、1H、NH)、3.95(s,1H,CHB11Cl11)、3.02(t,4H,NCH)、2.75(s,3H,NCH)、1.64(m,4H,CH)、1.26-1.32(m,60H,CH)、0.88(t,J=6.9 Hz,6H,CH)。13C{H}NMR(126 MHz,CDCN):δ57.1(s,alpha-CH,2C)、47.3(brs,CHB11Cl11)、40.9(s、N-Me)、32.6(s,CH,2C)、30.4~29.6(m,CH,24C)、26.8(s,CH,2C)、24.4(s,CH,2C)、23.3(s,CH,2C)、14.4(s、端末CH、2C)。11B NMR(128MHz、CDCN):δ-2.25(br、1B、p-B)、-9.72(br、5B、o/m-B)、-12.79(br、5B、o/m-B)。
【0083】
[(C18-2237-45N(Me)H][HCB11Me11(ビスH Carb-Me)の合成
磁気撹拌棒を装備した20mLのバイアルに、Cs[HCB11Me11]・2スルホラン(200mg、0.30mmol)と5mLの4:1のPhF:CHCN混合物を添加し、透明で黄色がかった溶液を手に入れた。この溶液に[(C18-2237-45N(Me)H]]Cl(171mg、0.30mmol)を添加し、白色沈殿物を形成させた。溶液を2時間撹拌し、その後セライトのプラグを通して濾過した。濾液を黄色の油に濃縮し、これをエーテルに入れ、セライトの別のプラグを通して濾過した。溶液を再び黄色の油に濃縮し、減圧下で乾燥させた。油を水で洗浄(8回、2mLずつ)し、トルエン(4回)で粉砕し、50℃で減圧下で乾燥して、0.2当量の残存するスルホランで表題化合物を得た。収量:153mg、0.178mmol、収率60%。H NMR(500MHz、アセトン-d):δ3.45(m、4H、CH)、3.17(s、3H、CH)、1.91(m、4H、CH)、1.49~1.20(m、60H、CH)、1.10(br s、1H、carb C-H)、0.88(t、J=6.9Hz、6H、CH)、0.15(s、15H、B-CH)、-0.38(s、15H、B-CH)、-0.50(s、3H、B-CH)。13C{H}NMR(126MHz、アセトン-d):δ61.4(br s、カルボラン-C)、57.3(s、アルファ-CH、2C)、40.9(s、N-Me)、33.0(s、CH、2C)、32.0~28.8(m、CH、24C)、27.6(s、ガンマ-CH、2C)、25.0(s、ベータ-CH、2C)、23.7(s、CH、2C)、14.8(s、端末CH、2C)、-0.27--4.02(br m、B-CH、11C)。11B NMR(128MHz、アセトン-d):δ0.48(br、1B、p-B)、-7.70(br、5B、o/m-B)、-11.11(br、5B、o/m-B)。
【0084】
[Na][HC=C(H)CH-CB11Cl11の合成
50mLのSchlenkフラスコに[MeNH][HCB11Cl11(500mg、0.86mmol)、2.5当量のNaH(51.5mg、2.15mmol)およびTHF(20mL)を添加した。得られた懸濁液を、泡立ちが止まるまで室温で2時間撹拌した。すべての揮発性物質を真空下で除去した後、THF(20mL)およびアリルブロミド(89μL、124.6mg、1.03mmol)を添加した。懸濁液をさらに室温で一晩撹拌した。セライトのショートパッドを通して溶液を濾過して、NaClを除去した。すべての揮発性物質を真空下で除去した後、[Na][HC=C(H)CH-CB11Cl11を白色固体として取得した。残留物を冷ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、生成物を得た。収量:427mg、0.73mmol、収率85%。H NMR(500MHz,CDCN):δ6.10(ddt、J=17.2、9.9、7.4Hz、1H)、5.13(dq、J=16.7、1.4Hz、1H)、5.08-5.01(dq、J=16.7、1.4Hz、1H)、3.01(d、J=7.3Hz、3H)。11B NMR(128MHz、CDCN):δ-3.03、-10.10、-11.73。13C NMR(125MHz、CDCN):δ137.5(s、CHCH)、116.5(s、CHCH)、54.0(brs、カルボラン-C)、29.4(s、CHCHCH)。
【0085】
[(C17N(Me)H][HC=C(H)CH-CB11Cl11の合成
50mLのSchlenkフラスコで、THF(10mL)中[Na][HC=C(H)CH-CB11Cl11(300mg、0.513mmol)の溶液をTHF(10mL)中[(C17N(Me)H][Cl](165.3mg、0.564mmol)の溶液に添加した。混合すると、すぐに沈殿物が形成された。混合物をさらに2時間撹拌し、次にセライトのショートパッドを通して濾過した。濾液を真空中で濃縮し、トルエン溶液をシリカゲルのショートパッドに通して、過剰のアミニウムクロリド塩を除去することにより、油を精製した。濾液を真空で濃縮し、[(C17N(Me)H][HCC(H)CHCB11Cl11を粘稠な淡黄色油として得た。収量:360mg、0.44mmol、収率86%。H NMR(500MHz、CDCl):δ6.16(ddt、J=17.2、9.9、7.4Hz、1H)、5.20(dq、J=16.7、1.4Hz、1H)、5.12(dq、J=16.7、1.4Hz、1H)、3.01(d、J=7.3Hz、3H)、3.15(vt、J=7.5Hz、4H)、3.08(d、J=7.4Hz、2H)、2.97(s、3H)、1.80(p、J=8.0Hz、4H)、1.44-1.21(m、22H)、0.89(t、J=7.0Hz、3H)。11B NMR(128MHz、CDCl):δ-3.53、-10.47、-11.75。13C NMR(125MHz、CDCN):δ137.6(s、CHCH、1C)、116.5(s、CHCH、1C)、57.1(s、アルファ-CH、2C)、54.0(brs、カルボラン-C、1C)、40.8(s、N-Me、1C)、32.3(s、CH、2C)、29.6(s、CH、2C)、29.5(s、CHCHCH、1C)、26.9(s、CH、2C)、24.5(s、CH、2C)、23.3(s、CH、2C)、14.4(s、端末-Me、2C)。
【0086】
代表的なエチレン/1-オクテンの重合手順
エチレンオクテン共重合は、2LのParr回分反応器中で行った。この反応器をエチレンオクテン共重合用に設計した。反応器を電気加熱マントルで加熱し、冷却水を含有する内部蛇行冷却コイルで冷却した。反応器および加熱/冷却システムの両方を、Camile TGプロセスコンピューターによって制御および監視した。反応器の底部をダンプ弁と嵌合させ、これにより反応器の内容物を、触媒失活溶液(catalyst kill solution)(典型的には、5mLのIRGAFOS 168/IRGANOX 1010/トルエン混合物)で事前に充填したSSダンプポット(SS dump pot)内にあけた。ポットおよびタンクの両方をNでパージして、ダンプポットを30ガロンのブローダウンタンクに通気した。重合または触媒メークアップのために使用した全ての化学薬品を精製カラムに通過させて、重合に影響を及ぼし得るあらゆる不純物を除去した。1-オクテン、トルエンおよびISOPAR Eを、A2アルミナを含有する第1のカラム、Q5反応物を含有する第2のカラムの2つのカラムを通過させた。エチレンをA204アルミナおよび4Aモルシーブを含有する第1のカラム、Q5反応物を含有する第2のカラムの2つのカラムに通過させた。移動に使用したNを、A204アルミナ、4Aモルシーブ、およびQ5反応物を含有する単一のカラムに通過させた。
【0087】
反応器を、ISOPAR Eおよびオクテンを含有するショットタンクから最初に充填する。ショットタンクは、タンクが取り付けられているラボスケールを使用して容量上限設定点まで充填する。溶媒添加後、反応器を重合温度設定点まで加熱する。反応圧力設定点を維持するための反応温度になったときに、反応器にエチレンを添加する。エチレン添加量を、マイクロ-モーション流量計で監視した。触媒および活性剤を適量のトルエンと混合して、所望のモル濃度溶液を獲得した。触媒および活性剤を、不活性グローブボックス内で取り扱い、シリンジ内に引き入れ、触媒ショットタンク内に圧力で移動させた。これに続いて、各5mLのトルエンで3回すすいだ。エチレンを添加する前に、触媒ショットタンクを通して10μmolのMMAOを反応器に添加した。反応器の圧力設定値が達成されたときに、触媒および活性剤を添加した。
【0088】
触媒添加直後、反応時間を監視した。通常、成功した触媒実験の最初の2分以内に、発熱が観察され、反応器圧力も低下した。次いでエチレンを添加し、Camileで反応器内の反応圧力設定点を維持した。これらの重合を10分間行い、次いで撹拌機を停止し、底部ダンプ弁を開放して反応器内容物をダンプポットに出した。ダンプポットの内容物をラボフード内に配置したトレイに注ぎ込み、そこで溶媒を一晩蒸発させた。次いで、残りのポリマーを含有するトレイを真空オーブンに移し、そこでそれらを真空下で140℃に加熱して、あらゆる残りの溶媒を除去した。トレイを周囲温度まで冷却した後、ポリマーを収量/効率について秤量し、ポリマー試験に供した。結果を表1~6に示す。
【0089】
上記の重合で共触媒として使用したアニリニウムカルボラン、[MeN(H)Ph][HCB1111]を、アニリニウムテトラキス(ペンタ-フルオロフェニル)ボレート、[MeN(H)Ph][B(C]、およびビス(水素化牛脂由来アルキル)メチル-アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[(C18-2237-45N(Me)H][B(C)]などの従来の共触媒と比較した。140℃で4つの異なる触媒系と190℃で2つの触媒系とを調査した。アニリニウムカルボラン(Carb)共触媒が、テトラ-キス(ペンタフルオロ-フェニル)ボレートに基づく活性剤と実質的に同じ活性を有する、非常に活性な触媒システムにつながることが発見された。これらの結果は、カルボランアニオンが弱配位性として良好に機能するだけでなく、高温で非常に安定であることを明確に実証している。
【0090】
本発明は、その精神および本質的な属性から逸脱することなく他の形態で実施することができ、したがって、本発明の範囲を示すものとして、前述の明細書ではなく添付の特許請求の範囲を参照する必要がある。
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】


【表5】


【表6】


【表7】


【表8】


【表9】