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特許7377818薬剤送達デバイス、ならびに薬剤送達デバイスの使用および作製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】薬剤送達デバイス、ならびに薬剤送達デバイスの使用および作製方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
A61M37/00 510
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020560491
(86)(22)【出願日】2019-05-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019030145
(87)【国際公開番号】W WO2019213218
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】62/665,485
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/693,438
(32)【優先日】2018-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501014005
【氏名又は名称】シーエスピー テクノロジーズ,インコーポレイティド
【住所又は居所原語表記】960 West Veterans Boulevard, Auburn, Alabama 36832 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジロー,ジャン-ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス,ジュニア,フランクリン リー
(72)【発明者】
【氏名】ラビン,ブルース
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/123665(WO,A1)
【文献】特表2016-513748(JP,A)
【文献】特表平10-503739(JP,A)
【文献】特表2010-518951(JP,A)
【文献】特表2004-527361(JP,A)
【文献】特表2017-510320(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170635(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
A61B 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された乾燥剤であって、環状形状を有する、乾燥剤と、
前記乾燥剤の上で前記ハウジング内に配置された付勢部材と、
前記ハウジング内に配置されたパッチであって、前記パッチの少なくとも一部が前記乾燥剤に取り囲まれており、前記パッチの少なくとも一部が薬剤を含む、パッチと、を備え、
前記付勢部材の移動が、前記薬剤を患者に投与するように前記ハウジングに対して前記パッチを移動させる、薬剤送達デバイス。
【請求項2】
前記乾燥剤が、リングまたはトーラスの形態である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記付勢部材の上で前記ハウジングに取り付けられたアクチュエータであって、前記アクチュエータが、1つ以上のヒンジを介して、前記アクチュエータの残りの部分に取り付けられており、かつ前記アクチュエータの残りの部分に対して移動可能であるように構成された、偏向可能部を含み、前記偏向可能部が、前記付勢部材に接触して、前記薬剤を前記患者に投与するように前記ハウジングに対して前記パッチを移動させるように、前記付勢部材に促すように構成されている、アクチュエータをさらに備える、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
アクチュエータが、前記付勢部材の外縁上で曲げられるように構成された少なくとも1つのリブを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記付勢部材の上で前記ハウジングに取り付けられたアクチュエータをさらに備え、前記アクチュエータの少なくとも一部が、前記付勢部材の外縁を圧着するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
ユーザの皮膚に接触するように設計された膜を支持するように構成された膜ロッカであって、前記膜ロッカが、前記ハウジングの縦軸に沿って前記ハウジングに取り付けられており、かつ前記ハウジングに対して移動可能であるように構成されており、前記膜ロッカが、前記膜ロッカの周囲に複数の離間した溝を含み、前記溝が、前記デバイスが第2のデバイスの下に積み重ねられたときに、前記溝を通した流体の通過を可能にするように構成されている、膜ロッカをさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ハウジングの下縁に近接して配置された膜ロッカであって、前記膜ロッカが、非作動状態の第1の位置と作動状態の第2の位置との間で前記ハウジングに対して移動可能であるように構成されており、前記組み合わされたハウジングおよび膜ロッカが、前記膜ロッカが前記第1の位置にあるときに、ハウジングと膜ロッカとの間でスペーサの少なくとも一部を受容するように構成されている、膜ロッカをさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスが、無菌前充填のための第1の構成と、無菌後充填のための第2の構成と、を含み、前記第1の構成において、前記膜ロッカと前記ハウジングとの間にギャップが存在し、前記ギャップが、前記ギャップ内でスペーサを受容するように構成されている、請求項6又は7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第2の構成において、前記ギャップが閉じられている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記乾燥剤が、(i)樹脂またはコポリマー、(ii)チャネリング剤、および(iii)モレキュラーシーブで形成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記乾燥剤が、(i)23重量%のPP Bormed RF830MO、(ii)8重量%のPEG 4000S Clariant、および(iii)69重量%のMolecular Sieve 4Aで形成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ハウジングが、前記ハウジングから上向きに延在する3つの離間したリブを含み、前記リブが、前記デバイス内で前記付勢部材を中央に置くように組み合わされている、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
薬剤送達デバイスであって、
上縁と、対向する下縁と、上縁と下縁との間で延在する縦軸と、を有するハウジングと、
前記上縁と下縁との間で前記ハウジング内に配置された乾燥剤と、
前記乾燥剤と前記ハウジングの前記上縁との間で前記ハウジング内に配置された付勢部材と、
前記ハウジングの前記下縁に近接して配置された膜ロッカであって、前記膜ロッカが、ユーザの皮膚に接触するように設計された膜を支持するように構成されており、前記膜ロッカが、前記縦軸に沿って前記ハウジングに対して移動可能である、膜ロッカと、を備え、
前記デバイスが、殺菌のための第1の構成と、患者への薬剤の送達のための第2の構成と、を含み、前記第1の構成において、前記膜ロッカと前記ハウジングとの間にギャップが存在し、前記ギャップが、前記ギャップ内でスペーサを受容するように構成されており、前記第2の構成において、前記ギャップが、前記ギャップが位置している前記ハウジングに前記膜ロッカが接触するように閉じられている、薬剤送達デバイス。
【請求項14】
前記膜ロッカの一部と前記ハウジングとの間に配置された前記スペーサをさらに備え、前記スペーサが、アーチ形状を有し、かつ前記膜ロッカの一部を取り囲んでいる、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記付勢部材の上で前記ハウジング内に配置されたアクチュエータをさらに備え、前記アクチュエータが、前記アクチュエータの底面から外向きに延在する突起を含み、前記突起が、前記付勢部材の開口で受容されている、請求項13または14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記乾燥剤が、環状形状を有するか、またはトーラスの形態である、請求項13~15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記乾燥剤が、(i)樹脂またはコポリマー、(ii)チャネリング剤、および(iii)モレキュラーシーブで形成されている、請求項13~16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記乾燥剤が、(i)23重量%のPP Bormed RF830MO、(ii)8重量%のPEG 4000S Clariant、および(iii)69重量%のMolecular Sieve 4Aで形成されている、請求項13~16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記ハウジングが、前記ハウジングから上向きに延在する3つの離間したリブを含み、前記リブが、前記デバイス内で前記付勢部材を中央に置くように組み合わされている、請求項13~18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
薬剤送達システムを作製する方法であって、前記薬剤送達システムが、ハウジングと、乾燥剤と、付勢部材と、膜アセンブリと、を含み、前記膜アセンブリが、非作動状態の第1の位置と作動状態の第2の位置との間で前記ハウジングに対して移動可能であり、前記方法が、
前記膜アセンブリが前記第1の位置にあり、かつスペーサが前記膜アセンブリの一部と前記ハウジングとの間のギャップ内に配置されているときに、前記薬剤送達システムを殺菌することと、
前記薬剤送達システムについて殺菌環境を維持するように、前記殺菌された薬剤送達システムをパッケージング内に挿入することと、を含む、方法。
【請求項21】
前記パッケージングから前記殺菌された薬剤送達システムを取り外すことと、
前記薬剤送達システムから前記スペーサを取り外すことと、
前記ハウジングから前記膜アセンブリを取り外すことと、
薬剤を含むパッチを前記ハウジング内に挿入することと、
前記パッチを前記薬剤送達システム内に封入するように、前記膜アセンブリを前記ハウジングに再び取り付けることと、をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記殺菌された薬剤送達システムをパッケージング内に挿入することの前に、以下のこと:
前記膜アセンブリおよび前記ハウジングから前記スペーサを分離することと、
前記ハウジングから前記膜アセンブリを分離することと、
薬剤を含むパッチを前記ハウジング内に挿入することと、
前記膜アセンブリを前記ハウジングに取り付けることと、
前記膜アセンブリと前記ハウジングとの間のギャップが閉じられるように、前記第1の位置から前記第2の位置に前記膜アセンブリを移動させることと、が行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記膜アセンブリが、複数の突起を含み、前記膜アセンブリが、フィルムに取り付けられており、前記複数の突起の各々が、前記フィルムを穿刺しており、前記方法が、
超音波振動を前記突起のうちの少なくとも1つに印加することをさらに含む、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年7月2日出願の米国仮出願第62/693,438号、発明の名称「MEDICAMENT DELIVERY DEVICE AND METHOD OF USING AND MAKING SAME」、および2018年5月1日出願の米国仮出願第62/665,485号、発明の名称「MEDICAMENT DELIVERY DEVICE AND METHOD OF USING AND MAKING SAME」の優先権を主張し、各々の主題が、その全体で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の技術は、概して、薬剤送達システム、ならびに薬剤送達システムを使用、組み立て、および作製する方法に関する。より具体的には、本開示の技術の任意選択的な一態様は、低微粒子生成での、密にシールされた低水蒸気透過、低相対湿度ヘッドスペース雰囲気の無菌ワクチン送達システムである最終製品に関する。
【背景技術】
【0003】
参照により本明細書に組み込まれる国際公開第WO2016/123665号(Junger)で記載され特許請求されるものなど、薬剤(複数可)を患者に注射するかまたは他の方法で送達するための様々な既知のシステムおよび方法がある。これらのシステムまたは方法の各々は、有益であり得る。しかしながら、モールディング、生成、または生産中に明らかな先行技術設計に関する困難性、ならびに偶発的な係合または作動、湿気の蓄積、そこを通るガス通過、およびその殺菌に関する困難性が依然としてある。
【発明の概要】
【0004】
本開示の技術の実施形態は、先行技術設計の特定の欠点を克服し、かつ上記の目的および他の目的を満たす。
【0005】
一態様では、デバイスは、4オングストローム(4A)のモレキュラーシーブを装填された3相ポリマー技術を含む。任意選択的に、デバイスは、低微粒子生成で、レーザおよびポストモールドアセンブリを介したフィルム膜切断と組み合わされた、マルチショットインジェクションモールディングまたはオーバーモールディングを利用して形成され得る。任意選択的な態様では、デバイスは、1日に約500マイクログラム未満の水蒸気透過率(MVTR)をデバイス内に提供するように、開発された約1~2個の密な締り嵌めシールを含み得る。任意の実施形態では、デバイスは、ダブルスナップフィットシステムを組み込み得、第1のスナップは、中間位置であるように設計され得、第2のスナップは、永久に閉じられた位置のために設計され得、したがって、デバイスの2つの部分をパッケージングおよび輸送のために単一のユニットにし、製品を挿入するように両方の部分を開き、末端で閉じてシールし得る。
【0006】
一態様では、デバイスは、一次パッケージングの殺菌および湿気侵入バリアに寄与しながら、内部機構および製品を機械的に保護し得る。任意選択的に、デバイスは、平滑で生体適合性があり、殺菌を継続し、かつデバイスの通常の使用を通じて張力を維持する膜を含み得る。任意の実施形態では、デバイスは、10+/-5μmの範囲で膜を収容し得る。任意の実施形態では、デバイスは、ポリマー部分にオーバーモールドされ、それによって、付勢部材およびプラスチック部分を一緒に機械的に結合し得る、可撓性部材または付勢部材(例えば、金属で形成されたばね)を利用し得る。ポリマー部分の壁厚は、オーバーモールドおよび機械的に結合されるときに、依然として約20~50ニュートンのばねトリガ力を生成するように最適化され得る。
【0007】
任意選択的に、デバイスは、単回使用の設計であり、そのため、1回の使用後廃棄されることが意図される。
【0008】
前述の概要、および本発明の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むとより十分に理解され、同様の数字は、全体を通して同様の要素を示す。本発明を例示する目的のために、様々な例示的な実施形態が図面に示される。しかしながら、本開示の技術は、示される正確な配置および手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の技術の実施形態による薬剤送達システムの上方斜視図である。
図2図1に示されているシステムの下方斜視図である。
図3図1に示されているシステムの部分分解上方斜視図である。
図4A図3に示されているシステムの構成要素の一実施形態の上方斜視図である。
図4B図4Aに示されている構成要素の側方立面図である。
図5図3に示されているシステムの別の構成要素の一実施形態の下方斜視図である。
図6A図1での線A-Aに沿った図1のシステムの断面斜視図である。
図6B】複数の接続されたスペーサの斜視図である。
図7】部分的に組み立てられた構成における、図1での線A-Aに沿った図1に示されているシステムの断面側方立面図であり、限定され制御された流体侵入を提供する3つの接触面が識別される。
図8図6Bに示されている複数の接続されたスペーサの2つのセットに取り付けられた、図1に示されているシステムの2行および2列の上方斜視図である。
図9】本開示の一実施形態による、図1に示されているシステムのアセンブリの様々な段階の複数の斜視図を示す。
図10】非作動またはシェルフライフ構成における、図1に示されているシステムの断面側方立面図である。
図11】作動またはプッシュ構成における、図1に示されているシステムの断面側方立面図である。
図12】本開示の技術の一実施形態による、図1の線A-Aに沿ったアクチュエータおよび付勢部材の少なくとも一部の断面斜視図である。
図13図12に示されているアクチュエータおよび付勢部材の側方立面図である。
図14A】リングの一部を圧着する前に示される図13のアクチュエータおよび付勢部材の一部の拡大図である。
図14B】アクチュエータおよび付勢部材の同じ部分の拡大図であるが、リングの一部の圧着後に示される。
図15】本開示の技術の一実施形態のハウジングの上方斜視図である。
図16図15に示されているハウジングの拡大上方斜視図である。
図17A図15に示されているハウジングの下方斜視図である。
図17B図14Aに示されているハウジングの一部の拡大図である。
図18図15に示されているハウジングを採用するシステムの一部の部分断面斜視図である。
図19図17Bに示されているハウジングの一部の代替的な実施形態である。
図20】本開示の技術の任意選択的な一実施形態による複数のスペーサの上方斜視図である。
図21図20に示されている複数のスペーサの上方平面図である。
図22図20に示されている複数のスペーサの側方立面図である。
図23図20に示されている複数のスペーサの別の側方立面図である。
図24図20に示されている複数のスペーサのうちの2つの側方立面図であり、スペーサは、各デバイスの膜ロッカからハウジングを分離している。
図25A】本開示の技術の一実施形態による膜アセンブリまたはロッカの斜視図である。
図25B】明確性のためにフィルムが省略された膜アセンブリの斜視図である。
図25C図25Aに示されている膜アセンブリの側方立面図である。
図25D図25Cに示されている膜アセンブリの一部の拡大図である。
図26】本開示の技術の任意選択的な一実施形態の薬剤送達システムの少なくとも一部の上方平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
システム、デバイス、および方法が実施例および実施形態によって本明細書で記載されているが、当業者は、本開示の技術のシステム、デバイス、および方法が、記載された実施形態または図面に限定されないことを認識する。図面および説明は、開示された特定の形態に限定されることを意図しないことを理解されたい。むしろ、意図は、添付された請求項の趣旨および範囲内に入るすべての修正、同等物、および代替物を包含する。本明細書で使用される任意の題目は、組織目的のみであり、説明または請求項の範囲を限定することを意味するものではない。本明細書で使用されるように、「~し得る(may)」という語は、義務的な意味(すなわち、必須を意味する)ではなく、許容的な意味(すなわち、可能性を有することを意味する)で使用される。同様に、「含む(include)」、「含む(including)」、および「含む(includes)」という語は、含むことを意味するが、それに限定されない。本明細書で具体的に示されない限り、用語「a」、「an」、および「the」は、1つの要素に限定されるものではなく、代わりに、「少なくとも1つ」を意味するものとして読み取るべきである。用語は、上記の語、その派生語、および同様の趣旨の語を含む。
【0011】
図面を詳細に参照すると、同様の数字は、全体を通して同様の要素を示しており、図1図11は、一般に10で示されるシステムまたはデバイス(「システム」および「デバイス」は、本明細書で同義的に使用されている)の任意選択的な実施形態、ならびにその態様を例示する。デバイス10は、湿気に敏感な薬剤製品の保護のために、好ましくは低相対湿度の内部雰囲気を提供する、最適化され、差別化されたカニューレフリーのニードルフリーのワクチン送達アセンブリである。任意選択的に、任意の実施形態では、本開示の技術は、単一ユニットとして、膜リングまたはロッカへの取り外し可能な取り付けのための中間位置で、薬剤供給元または無菌の充填者に提供される充填容易な設計である。任意選択的に、任意の実施形態では、無菌の充填者は、膜リングを取り外し、製品(例えば、投与される薬物(複数可)、パッチホルダ、または約500~1,000本のマイクロニードル)をデバイス10内に置き、次いで、膜リングを永久に閉じられる位置に置き、それによって、末端でデバイスを閉じてシールし、個体への薬剤の最終的な送達のためにデバイスを準備し得る。本開示の技術はまた、無菌充填動作または自動化を提供するように、システムまたはデバイスを生産および/または組み立てるための方法を提供する。
【0012】
任意選択的に、任意の実施形態では、設計は、約20~50ニュートンのばね力を生成するように金属ばねを受容、収容、および/または結合するように最適化されたポリマーの壁厚を提供する。任意選択的に、任意の実施形態では、設計は、シールされたときにデバイスが防湿であることを保証するように、開発された締り摩擦嵌めポリマーシールを提供しながら、湿気に敏感な製品を保護するために、デバイスで低相対湿度内部雰囲気を提供する。デバイスに対する「防湿」という用語は、80%相対湿度および22.2℃の周囲条件で1日に1500マイクログラム未満、任意選択的に、すべて前述の周囲条件で、1日に1000マイクログラム未満、任意選択的に1日に750マイクログラム未満、任意選択的に1日に500マイクログラム未満、任意選択的に1日に50~1000マイクログラム、任意選択的に1日に50~500マイクログラムの湿気侵入率である。
【0013】
任意選択的に、デバイス10は、薬物を含むパッチを個体に適用または投与するように設計されている。パッチは、(例えば、ばねおよび/またはユーザによって)作動されると、所望の深さまで個体の表皮に入り込み、薬剤または1つ以上の治療的に有効で活性な薬学成分を送達し得る。任意選択的に、任意の実施形態では、パッチは、表皮を穿通する突起の高密度アレイ(2.5~10k/cm)であり得、その後、乾燥ワクチンコーティング製剤は、その表面から急速に除去される。デバイス10は、例えば、デバイス10で湿気を低レベルに維持することによって、そのシェルフライフにわたって、製品または薬剤の殺菌性および性能を維持する。デバイス10は、薬剤への損傷を伴わずに、輸送、保管、および/または使用に耐えるように設計されている。デバイス10は、個体が使用するのに直感的であり、比較的少量のスペースを占有する。
【0014】
図3に示されているように、任意選択的な一実施形態では、デバイス10は、容易に組み立てられ、殺菌され、および/または薬剤を患者に容易に送達するように設計された複数の構成要素を含む。特に、デバイス10は、以下のもののうちの1つ以上を含み得る:上部もしくはアクチュエータ1、付勢部材もしくはばね2、任意選択的なリング3、乾燥剤4(例えば、乾燥剤混入ポリマーの形態)、パッチホルダもしくはハウジング5、パッチ6、膜7、膜アセンブリもしくはロッカ(入れ物、箱)8、および/またはシール9。任意選択的に、デバイス10のうちの2つ以上は、組み立て、生産、保管、および/または輸送目的のために垂直に積み重ねられ得る(例えば、図8を参照)。
【0015】
任意選択的に、隆起したリブまたはリップ1aは、アクチュエータ1の周囲全体に延在し得る。アクチュエータ1は、アクチュエータ1の少なくとも中央部が隆起したリブ1aに対して移動することを可能にする偏向可能部1bを含み得る。任意選択的に、偏向可能部1bは、例えば、1つ以上の離間および/または同心リビングヒンジ1d(図11を参照)によって、アクチュエータ1の他の部分(または残りの部分)に取り付けられ得る。したがって、任意の実施形態で使用され得る任意選択的な特徴として、アクチュエータ1は、システム10がすぐに作動されるか、または作動されているときに、ユーザに視覚的指標を提供し得る。図7に示されているように、アクチュエータ1の下面または底面は、そこから下向きまたは外向きに延在する突起1cを含み得る。しかしながら、図10に示されているように、アクチュエータ1は、突起1cを含む必要はない。
【0016】
任意選択的に、本明細書で示されているものなどの任意の実施形態では、付勢部材2は、ドームの形状であり得る。代替的に、付勢部材2は、円錐の形状であり得る。付勢部材2の外周のうちの少なくとも1つ以上の部分は、リング3の一部によって取り囲まれ得る。より具体的には、1つ以上の離間した係合フック3aが、リング3の外周または外周の近くに配置され得、その中で付勢部材2の外周の少なくとも一部を受容するようなサイズ、形状、および/または構成であり得る。リング3に取り付けられるか、または接続されるとき、付勢部材2は、上方の、非係合の、または凹状の位置(図9および図10を参照)と、下方の、係合の、または凸状の位置(図11を参照)との間で移動可能または偏向可能であり得る。したがって、付勢部材2は、ばねとして機能する。図3に示されているように、付勢部材2はまた、その中でアクチュエータ1の突起1cの少なくとも一部を受容および係合するようなサイズおよび形状である中央開口2aを含み得る。
【0017】
システム10の外形および/または構成要素は、偶発的な係合または作動の可能性を防止または少なくとも低減する。より具体的には、本明細書で記載されるシステム10の構成要素のうちの1つ以上のサイズ、形状、および/または構成は、薬剤送達の作動をもたらすかまたは実現するために特定の量または度合いの屈曲を必要とする。したがって、システム10は、偶発的にまたは意図せずに、付勢部材2を屈曲させるか、または他の方法で付勢部材2を作動させる可能性を低減するように設計されている。
【0018】
乾燥剤4は、ドーナツまたはリングの形態であり得る。乾燥剤4は、パッチ6の少なくとも一部を取り囲み、ホルダ5内に完全に収まり得る。任意選択的に、乾燥剤4の内面は、乾燥剤4とホルダ5との間の摩擦を増加させるように、1つ以上のリブを有し得る。任意選択的に、乾燥剤4のサイズ、形状、および/または構成は、デバイス10の剛性または強度に寄与し得る。
【0019】
乾燥剤4は、アラバマ州オーバーンのCSP Technologiesによって開発または製造されたもののいずれかであり得る。任意選択的に、乾燥剤4は、乾燥剤混入ポリマーの形態である。任意選択的に、乾燥剤混入ポリマーは、2つの一次成分(すなわち、2相ポリマー)、すなわち、ベースポリマーおよび活性剤として生産され得る。別の実施形態では、乾燥剤混入ポリマーは、少なくとも3つの一次成分(すなわち、3相ポリマー)として生産され得る。その全体が参照により本明細書にすべて組み込まれる、米国特許第5,911,937号、同第6,214,255号、同第6,130,263号、同第6,080,350号、同第6,174,952号、同第6,124,006号、および同第6,221,446号、ならびに米国特許公開第2016/0039955号には、3相混入ポリマーおよびそれを作製するための方法が記載されている。例えば、3相乾燥剤ポリマーは、ベースポリマー(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはそれらの混合物)と、乾燥剤材料(例えば、モレキュラーシーブまたはシリカゲル)と、チャネリング剤(例えば、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVOH)、またはポリエチレングリコール(PEG))と、を含み得る。チャネリング剤は、湿気がポリマー内に混入される乾燥剤に伝達可能な3相ポリマーでの通路を形成し得る。任意選択的に、3相乾燥剤混入ポリマーでは、ベースポリマーは、24重量%~60重量%の量で存在し、乾燥剤は、40重量%~70重量%の量で存在し、チャネリング剤は、2重量%~15重量%の量で存在する。任意選択的に、乾燥剤4は、初期組み立て時にシステム(複数可)10をホイルシールバッグ内にパッケージングすることによって保護され得、システム(複数可)10が殺菌および無菌充填先に到着するまで開かれ得ない。任意選択的に、乾燥剤4は、4.60グラム、または約400~700グラムの重さであり得る。
【0020】
任意選択的に、任意の実施形態では、乾燥剤4は、以下の成分で部分的にまたは完全に形成されている:(i)ベース樹脂、(ii)任意選択的にチャネリング剤、および(iii)限定されないが、モレキュラーシーブなどの乾燥剤材料。一実施形態では、樹脂は、核剤で修正され得る透明ポリプロピレン(PP)ランダムコポリマーである。任意の実施形態では、樹脂は、容易な加工性、高透明性、高光沢、および/または良好な剛性-衝撃バランスを示す任意の樹脂であり得る。任意選択的に、樹脂は、任意選択的に約23%の量である、Borealisによって生産されるPP Bormed RF830MOであり得る。任意選択的に、チャネリング剤は、任意選択的に約8%の量である、PEG 4000S Clariantであり得る。任意選択的に、モレキュラーシーブは、任意選択的に69%の量である、Molecular Sieve 4Aであり得る。
【0021】
一実施例として、乾燥剤4は、約23重量%のPP Bormed RF830MO、約8重量%のPEG 4000S Clariant、および約69重量%のMolecular Sieve 4Aで形成され得る。この材料組成物は、(エチレンオキサイド(ETO)などの)ガスおよび/またはスチームで殺菌され得る。この化合物または材料組成物は、少なくとも、使用されるPPのグレードのために、殺菌に十分に適合していることが試験されている。そのような試験の結果は、殺菌による吸着性能の劣化または変色を示さなかった。一実施形態では、乾燥剤は、計画されたシェルフライフに基づいて、616mgの水分容量で設計されており、かつ80%相対湿度および22.2℃の周囲条件で540μg/日の侵入を受容するように構成されている。
【0022】
任意選択的に、パッチ6は、微小突起アレイ、マイクロアレイパッチ、またはマイクロアレイニードルであり得る。任意選択的に、パッチ6は、約500~1,000本のマイクロニードルを含み得る。膜7の少なくとも下部または底部は、例えば、動作または投与中に、患者の皮膚に接触し得る。しかしながら、シール9が膜アセンブリ8から取り外されるまで、膜7の底部は、任意選択的に患者の皮膚に接触するのを防止される。
【0023】
デバイス10の1つ以上の構成要素は、非作動、積み重ね可能、またはシェルフライフ構成(図10を参照)と作動またはプッシュ構成(図11を参照)との間で移動可能または再構成可能であり得る。任意選択的に、任意の実施形態では、非作動構成は、システム(複数可)10の保管(例えば、積み重ね)および輸送のために使用される。任意選択的に、そのような構成では、システム10のうちの1つ以上は、アルミニウム(例えば、ホイル)バッグまたは容器に保管され得る。作動構成は、薬剤を患者に送達するために使用され得る。任意選択的に、システム10が非作動構成から作動構成に移動されるか、または薬剤が他の方法で送達されると、システムは廃棄され得る(例えば、デバイスは1回の使用または使い捨てである)。
【0024】
図3に示されているように、膜アセンブリ8は、ベース壁8aと、そこから上向き、外向き、および/または垂直に延在する側壁8bと、を含み得る。任意選択的に、図2に示されているように、複数の離間したセレーションまたは溝8cは、そのベース壁8a上の膜ロッカ8の外周または外周の近くに位置し得る。セレーション8cは、2つのシステム10が垂直に積み重ねられるとき、そこを通る流体(例えば、ガスまたは空気)の通過を可能にし得る。膜アセンブリ8は、第1または離間した構成(図9)と第2または完全に係合された構成(図10および図11)との間で、例えばハウジング5の縦軸Lに沿ってハウジング5に対して移動可能であり得る。より具体的には、任意の実施形態では、膜アセンブリ8の側壁8bの少なくとも一部は、ハウジング5のスロットまたはレセプタクル5a(図7を参照)内に延在し得る。任意選択的に、シール9は、ホイルカバーおよび/または持ち上げて剥がすカバーであり得る。
【0025】
図6A図9に示されているように、システム10は、1つ以上のスペーサ14を含み、および/または利用し得る。図6Bに示されているように、各スペーサ14は、任意選択的に、システム10、ハウジング5、および/または膜アセンブリ8の外壁輪郭または側壁輪郭に一致するように(少なくとも1つの平面で)形状がアーチ状であり得る。より具体的には、各スペーサ14は、円形または半円形形状を有し得る。複数のスペーサ14は、複数のシステム10を接続するように一緒に取り付けられ得る。
【0026】
任意選択的に、任意の実施形態では、ハウジング5および/またはシステム10内にパッチ6を挿入する前に、スペーサ14の少なくとも一部は、ハウジング5の下縁表面の少なくとも一部にまたはその下に配置されている。この構成では、スペーサ14は、膜アセンブリ8とハウジング5との間の(例えば、膜アセンブリ8の側壁8bの先端または上部とハウジング5のスロット5aの上面との間の)十分なまたは所定の距離を維持するように機能し得、それによって、システム10の少なくとも一部を通る流体(例えば、ガスまたは空気)の通過を可能にし得る。任意選択的に、任意の実施形態では、スペーサ14は、膜アセンブリ8がハウジング5に対抗しておよび/またはハウジング5に対してその最終位置に移動することを防止する(図9を参照)。任意選択的に、スペーサ14が膜アセンブリ8および/またはホルダ5から分離されない限りおよび分離されるまで、システム10は、末端でシールされることを防止される。スペーサ14は、膜アセンブリ8とホルダ5との間から取り外され得るかまたは分離され得、それによって、システム10が非作動または積み重ね可能な構成から作動またはプッシュ構成に末端でシールされおよび/または圧縮もしくは移動されることを可能にし得る。
【0027】
本開示の技術は、システム10の組み立てまたは部分的な組み立てのための方法を含む。任意選択的に、第1のステップとして、リング3が、付勢部材2の外周に取り付けられ得る。次に、アクチュエータ1が、組み合わされたリング3および付勢部材2に取り付けられ得る。任意選択的に、乾燥剤4が、ハウジング5内に挿入され得、および/またはハウジング5に取り付けられ得、組み合わされたアクチュエータ1、付勢部材2、およびリング3が、そこに取り付けられ得る。任意選択的に、このプロセスは、他のシステム10を組み立てるために繰り返され得る。任意選択的に、次いで、スペーサ14のアレイが、システム10のハウジング5に取り付けられ得、組み合わされた膜アセンブリ8、膜7、およびシール9が、システム10の残りの部分に取り付けられ得る。任意選択的に、システム10のこれらの組み立てられた構成要素は、ガス殺菌、気化パラシティック酸(VPA)殺菌、ガンマ殺菌、過酢酸(PAA)および/またはエチレンオキシド(EO)殺菌などの殺菌のために提示される。
【0028】
任意選択的な実施形態の一構成(例えば、部分的に組み立てられた状態)では、システム10は、流体(例えば、ガスまたは空気)がそこを通過し得、および/またはシステム10が、ガス殺菌、例えば、EO殺菌によって容易に殺菌され得るような構成または構造である。例えば、図7に示されているように、システム10は、任意選択的に、2つ以上のシステム10が垂直に積み重ねられるとき、1つ以上の接触面12を含む。接触面12は、限定された、制御された、および/または予め定義された流体(例えば、ガスまたは空気)がそこから侵入することを可能にするように設計されている。任意選択的に、セレーション8cは、流体(例えば、ガスまたは空気)が1つ以上の部分的に組み立てられたシステム10を通して浸透する能力を増加させるように、接触面12と併せて機能し得る。
【0029】
任意選択的に、システム10の少なくとも一部は、無菌充填自動化をされる前に殺菌(例えば、VPAまたはEO)され得る。より具体的には、システム10は、図9の最も左の2つの構成でVPAまたはEO殺菌され得る。任意の実施形態では、パッチ6を除く上記の構成要素のすべては、VPAまたはEO殺菌のために提示され得る。システム(複数可)10のこれらまたは特定の構成要素が適切に殺菌されると、パッチ6がハウジング5内に挿入され得るか、またはシステム10が、他の方法で無菌充填自動化において完全に組み立てられ得る。
【0030】
図9は、システム10をさらに組み立ておよび/または生成する方法の任意選択的なステップを例示する。例えば、図9に示されているように、任意選択的に、スペーサ14は、膜アセンブリ8がシステム10の残りの構成要素から分離される前に、システム10から取り外され得るか、または他の方法で膜アセンブリ8およびホルダ5から分離され得る。次いで、パッチ6が、ハウジング5内に挿入され得る。任意選択的に、パッチ6は、ハウジング5内にスナップ嵌めされ得る。次いで、膜アセンブリ8が、ハウジング5に再び取り付けられ得、次いで、ハウジング5内に押し込まれ得る。この構成では、シール9が膜アセンブリ8から取り外されると、システム10は、作動される準備ができているか、または薬剤を患者に送達する準備ができている。
【0031】
図12図14Bは、本開示の技術のアクチュエータ101の別の実施形態の少なくとも一部を示す。アクチュエータ101は、アクチュエータ101の外周から半径方向内向きに離間したリブ130を含む。リブ130は、アクチュエータ101内の円で連続的および/または均一に延在する単一の一体構造であり得る。代替的に、図12および図13に示されているように、リブ130の少なくとも上端または自由端は、任意選択的に、いくつかの別個のまたは別々の部分130aで形成され得る。リブ130の上縁または自由縁は、付勢部材102の少なくとも外縁部をその中で捕捉するように、圧着、曲げ、溶融、および/または溶接され得る。したがって、本実施形態では、先の実施形態のリング3は除去されている。異なるように述べると、付勢部材を圧着することは、圧着を使用しない実施形態で必要であり得る2ピース付勢部材またはばねの代わりに1ピース付勢部材またはばねを可能にし得る。
【0032】
任意選択的に、任意の実施形態では、図26に示されているように、いかなる膨張もしくは先端もなく、または限定された膨張もしくは先端のみで、曲げ、溶融、および/または溶接されたリブ130が、ばね102の上面の少なくとも外周に対して平坦であるか、または少なくとも概ね平坦であることが望ましくあり得る。ソノトロードが、リブを曲げ、溶融し、および/または溶接するために使用され得る。
【0033】
任意選択的に、付勢部材とアクチュエータとの間の任意の制約を回避するために、超音波動作後にハウジングの上部と溶融リブの上部との間で、少なくとも3.45mmの距離が有益であり得る。任意選択的に、付勢部材とアクチュエータとの間に0.3mmの距離が存在する。
【0034】
任意選択的に、パッチホルダの上部と付勢部材の上部との間で3.4mmの距離を有することが有益であり得る。任意選択的な一実施形態では、そのような距離が3.4mm未満であるとき、アクチュエータとの潜在的な接触があり、それは望ましくない。任意選択的な一実施形態では、そのような距離が3.4mmを超えるとき、パッチ速度に対する望ましくない影響があり得る。
【0035】
任意選択的な一実施形態では、付勢部材は、Precison Rastal stampingのWalsin SUS301で作製されている。試験では、付勢部材の力は、ダイナモメータの手動のゆっくりとした降下を伴ってダイナモメータで作動されている。試験で使用された指の直径は、19mmであった。以下は、そのような付勢部材の少なくとも特定の試験の結果である。
【表1】
【表2】
【表3】
【0036】
作動力に達するまでの距離は、およそ1mmである。付勢部材は、壊れる前に約5回作動され得る。超音波機械20kHzでの上記の圧着プロセスは、本開示の技術の少なくとも一実施形態に望ましい構成要素を生産する。任意の実施形態では、乾燥剤での1年のパッチのシェルフライフおよび400mgの総水分吸着容量を有するデバイスを生成することが任意選択的に望ましい。そのような実施形態についての侵入目標は、1000μg/日である。3年のパッチのシェルフライフを有するデバイスについては、侵入目標は、好ましくは約540μg/日である。
【0037】
図15図18は、本開示の技術のホルダまたはハウジング105の別の実施形態を示す。ホルダ105は、ホルダ105の上部に向けて上向きに延在する、少なくとも1つまたは複数の離間したリブ140を含み得る。リブ140は、有効な使用のために付勢部材102を中央に置くようなサイズ、形状、および/または構成であり得る。任意選択的に、ホルダ105は、3つの離間したリブ140を含む。各リブ140の上縁または自由縁は、ホルダ105内の分離壁142よりも高くまたはそこから上向きに延在し得る。図18に示されているように、付勢部材102、リング、および/またはアクチュエータ101は、リブ140の各々の上縁または自由縁に係合または置かれ得る。
【0038】
図17Aおよび図17Bを参照すると、ホルダ105の底面または側面は、1つまたは複数の離間した脚144を含む。脚144は、ホルダ105内でパッチ(図示せず)を閉じ込めるかまたは含むように設計されている。脚144は、パッチがホルダ105にあるとき、引っ張られた状態になる。各脚144の遠位端または自由端は、支持プラットフォーム145を含み得る。支持プラットフォーム145は、パッチの下向きの移動を限定するように配置され得る。任意選択的に、図17Bに示されているように、対向する脚144(または対向する脚144の支持プラットフォーム145の内面)間の距離または直径Dは、ちょうど3.5mm、または3.3~3.7mmの範囲である。
【0039】
脚144の柔軟性を限定するかまたは脚144の剛性を増加させるために、リブまたは支持ベース146が、少なくとも、各隣接するペアの脚144の間で延在し得る。任意選択的に、各支持ベース146は、それが支持する脚144の各々の縁を超えて少なくともわずかに延在する。各支持ベース146は、増加した厚さの隆起したリップで形成され得る。脚144は、支持ベース146を超えてさらに下向きに延在する。各支持ベース146は、ホルダ105を通って延在する開口と同じように適合するように、少なくともわずかにアーチ状であり得る。任意選択的に、支持ベース146は、脚144が耐えることができる力を1.1N増加させる。
【0040】
図19は、本開示の技術のホルダまたはハウジング205の別の実施形態を示す。ホルダ205の各脚244は、それぞれの脚からハウジング205の内壁247に半径方向に延在する支持ベース246を含む。任意選択的に、各支持ベース246の幅は、それぞれの脚244の幅未満である。
【0041】
図20図24は、本開示の技術の保持フレームまたは複数のスペーサ214の別の実施形態を示す。スペーサ214の各々は、デバイス10の殺菌を補助するための少なくとも1つのセレーションの縁を含み得る。任意選択的に、セレーションは、各スペーサ214の周囲全体で延在し、それにより、殺菌ガスがデバイス10内および2つの積み重ねられたデバイス10の間で移動することが可能になる。複数のスペーサ214は、取り付け部材250によって接続され得る。任意選択的に、各スペーサ214は、その中にデバイス10の少なくとも一部を受容するための開口を有する半円の一部を形成している。少なくとも1つまたは複数の離間した延長部252は、取り付け部材250のベース254から上向きに延在する。
【0042】
図25A図25Dは、本開示の技術の膜アセンブリまたはロッカ208の任意選択的な実施形態の様々な図を示す。特定の例では、フィルムまたは膜262を膜アセンブリ208の下方開口に取り付けることが有益であり得る。このフィルムは、強力な非粘着性表面であり得るが、鋭利な物体またはポイントで容易に穿刺され得る、パッチとユーザの皮膚との間の非刺激性および非感作性層であり得る。したがって、少なくとも特定の状況では、構造の材料により、利用されることが意図される硬質プラスチック成分と化学的または熱的に適合性がない膜アセンブリ208にポリマーフィルムまたは膜を固定することが有益であり得る。
【0043】
任意選択的に、膜アセンブリ208は、エネルギーダイレクターまたはリベットとして機能する、突出手段、または小さいニードル状もしくは釘状の突出部もしくは突起260で生成されたポリマー部品である。任意選択的に、突起260は、膜アセンブリ208の内面から上向きに延在し得る。図25Bは、各ニードル/釘状の設計の外形の一実施形態を反映している。任意選択的に、各釘/ニードル突起260は、最大20ミクロン、任意選択的に12~15ミクロンのフィルム厚を有するフッ素化エチレンプロピレン(FEP)、PFA、PTFEなどのポリマーフィルムを貫通することを可能にするのに十分な引き込みおよび鋭利性を有する。
【0044】
任意選択的に、突出部260は、フィルム262が穿通することを可能にするように等間隔に離間している。次いで、超音波の使用で、ソノトロードが、突出部260からリベット外形を生成することによってポリマーフィルムを硬質プラスチック膜アセンブリ208に固定するために、振動エネルギーを利用する。等間隔をあけることの1つの利点は、リベットステップが完了した後にフィルム262上の張力が均等に分配されることである。
【0045】
超音波機械加工、溶接、および混合では、ソノトロードは、超音波振動を生成し、この振動エネルギーをガス、液体、固体、または組織に印加するツールである。ソノトロードは、通常、テーパーの金属ロッドに取り付けられた圧電トランスデューサーのスタックで構成されている。ロッドの端が作動材料に適用される。超音波周波数で振動する交流電流が、圧電トランスデューサーに別々の電力供給ユニットによって印加される。電流は、トランスデューサーを拡張および収縮させる。電流の周波数がツールの共振周波数であるように選択されるため、ソノトロード全体が半波長共振器として機能し、その共振周波数で定常波で長手方向に振動する。超音波ソノトロードで使用される標準周波数は、20kHz~70kHzの範囲である。振動の振幅は小さく、約13~130マイクロメートルである。
【0046】
ソノトロードは、典型的には、熱処理(カーバイド)を伴うかまたはそれを伴わない、チタン、アルミニウムまたはスチールで作製されている。ソノトロードの形状(例えば、丸い、正方形、歯付き、輪郭)は、特定の用途についての振動性エネルギーの量および物理的制約に依存する。ソノトロードの形状は、特定の用途について最適化される。小さい直径のソノトロードは、プローブと呼ばれることがある。超音波溶接または切断用途について、ソノトロードは、ほとんど回折せずに、エネルギーを溶接接触エリアに直接与える。これは、振動(波伝播)が周囲の電子構成要素を損傷させ得るときに特に有用である。
【0047】
ポリマー膜は、膜内外圧力が膜にわたって印加されるときに溶質分離のために使用される半透過性材料の薄い層を有する。選択性の度合いは、主に、膜電荷および多孔性に基づく。FEPフルオロポリマーフィルムは、多くの他の材料に熱シール、熱成形、溶接、金属化、および積層され得るFEPの優れた特性を提供する。FEPは、多くの場合、0.5~20ミルの厚さで利用可能である。FEPフィルムの水分吸収性が、完全に水に浸したときに0.01%未満であるため、相対湿度の変化は、フィルムにほとんど影響を及ぼさない。Teflon(商標)FEPフルオロポリマーフィルムは、他のサーモプラスティックと比較して異常に低い吸収性を有する。これらのフィルムは、200℃(392°F)の高さの温度および最大1年の曝露で、一般的な酸または塩基を実質的に吸収しない。溶媒の吸収さえ極めて小さい。重量増加は、一般に、長期間高い温度で曝露されたときに、1%未満である。一般に、水溶液は、フィルムによってほとんど吸収されない。水分吸収は、典型的には、周囲温度および圧力で0.01%未満である。非加熱Teflon(商標)FEPフルオロポリマーは、本質的に不活性である。動物試験は、Teflon(商標)FEPが皮膚に対して非刺激性および非感作性であることを示している。FEPフィルムは非常に強力であるが、鋭利なニードル状の物体でそれを容易に穿刺することができる。FEPフィルムまたは非常に低い表面エネルギーを有する任意の他のポリマーが使用され得る。FEPフィルムは、理想的な非粘着層であり得るが、その理由により、表面処理(例えば、プラズマまたはコロナ処理)なしでは表面に容易に結合しない。
【0048】
動作において、フィルム262を膜アセンブリ208に取り付けるために、フィルム262は、膜アセンブリ208に収まるように所望の外形に(例えば、パッドの周りで切断するのに十分なブレードまたは鋭利な縁で)切断され、次いで、突起260を含むエリア上に重ね合わされる。(任意選択的にシリコーンで作製される)パッドは、シリコーンパッドの移動中にポリマーフィルム262および膜アセンブリ208の制御を維持するためにパッドが真空用のマイクロホールを有するため、このフィルム262の制御を維持する。任意選択的に、シリコーンパッドは、ポリマーフィルム262をプラスチック膜ロッカ208の釘/ニードル外形のエリアの上に置くために、手動であるか、またはロボット動作を利用するアームに取り付けられる。
【0049】
フィルム260が膜アセンブリ208上の位置にある後、真空が停止し、したがって、膜アセンブリ208が突出部260の上で所定の位置にとどまることを可能にする。シリコーンパッドは、この動作エリアから取り外され、超音波動作のソノトロードは、ポリマーフィルム260および膜アセンブリ208の上で所定の位置に置かれ、超音波と併せて押し下げるように進む。これにより、ポリマーフィルム262が突起260を穿通し、次いで、突起260がリベット形状に変形することが可能になり、したがって、フィルム262および膜アセンブリ208がデバイスの使用のための最終位置に固定される。
【0050】
したがって、シリコーンパッドは、ポリマーフィルム262が切断され、次いで、突出部260の上で所定の位置に輸送されている間、ポリマーフィルム262のポジティブな制御を維持する。パッドは、ポリマーフィルム262をその最終位置に押し下げ、次いで、シリコーンパッドは、このエリアから取り外される。
【0051】
以下の例示的な実施形態は、本開示の技術の任意選択的な態様をさらに記載し、この発明を実施するための形態の一部である。これらの例示的な実施形態は、実用上は本出願の請求項ではないが、請求項に実質的に類似した形式で示されている(各々は、文字Aが後に続く数字の指定を有する)。以下の例示的な実施形態は、「請求項」の代わりに「実施形態」としての従属関係で互いに言及する。
【0052】
1A.薬剤送達デバイスであって、
上縁と、対向する下縁と、上縁と下縁との間で延在する縦軸と、を有するハウジングと、
上縁と下縁との間でハウジング内に配置された乾燥剤と、
乾燥剤とハウジングの上縁との間でハウジング内に配置された少なくとも1つの付勢部材と、
付勢部材とハウジングの下縁との間でハウジング内に配置されたパッチであって、パッチの少なくとも一部が薬剤を含む、パッチと、を備え、
付勢部材の作動が、薬剤を患者に投与するように縦軸に沿ってパッチを移動させる、薬剤送達デバイス。
【0053】
2A.
膜と、
ハウジングの下縁に近接して配置された膜ロッカであって、膜ロッカが側壁を含み、側壁の少なくとも一部がハウジングのスロット内に延在する、膜ロッカと、をさらに備える、実施形態1Aに記載のデバイス。
【0054】
3A.膜ロッカが、ハウジングに対して移動可能である、実施形態2Aに記載のデバイス。
【0055】
4A.パッチが、微小突起アレイ、マイクロアレイパッチ、およびマイクロアレイニードルのうちの1つである、実施形態1A~3Aのいずれか1つに記載のデバイス。
【0056】
1B.薬剤送達システムを作製する方法であって、薬剤送達システムが、ハウジングと、乾燥剤と、付勢部材と、膜アセンブリと、を含み、膜アセンブリが、第1の位置と第2の位置との間でハウジングに対して移動可能であり、
膜アセンブリが第2の位置にあり、かつスペーサが膜アセンブリの一部とハウジングとの間のギャップ(隙間)内に配置されているときに、任意選択的にガス殺菌で、薬剤送達システムを殺菌することと、
膜アセンブリおよびハウジングからスペーサを分離することと、
ハウジングから膜アセンブリを分離することと、
薬剤を含むパッチをハウジング内に挿入することと、
膜アセンブリをハウジングに取り付けることと、
膜アセンブリとハウジングとの間のギャップが閉じられるように、第2の位置から第1の位置に膜アセンブリを移動させることと、
薬剤送達システムの殺菌性を維持するように、殺菌された薬剤送達システムをパッケージング内に挿入することと、を含む、方法。
【0057】
2B.パッチが、微小突起アレイ、マイクロアレイパッチ、およびマイクロアレイニードルのうちの1つである、実施形態1Bに記載の方法。
【0058】
1C.薬剤送達デバイスであって、
ハウジングと、
ハウジング内に配置された乾燥剤と、
乾燥剤の上でハウジング内に配置された少なくとも1つの付勢部材と、
ハウジング内に配置されたパッチであって、パッチの少なくとも一部が乾燥剤に取り囲まれており、パッチの少なくとも一部が薬剤を含む、パッチと、を備え、
付勢部材の移動が、薬剤を患者に投与するようにハウジングに対してパッチを移動させる、薬剤送達デバイス。
【0059】
2C.ハウジングが、乾燥剤を保持するように構成されたキャビティを形成している、実施形態1Cに記載のデバイス。
【0060】
3C.デバイスが、無菌前充填のための第1の構成と、無菌後充填のための第2の構成と、を含む、実施形態1Cに記載のデバイス。
【0061】
4C.第1の構成において、膜ロッカとハウジングとの間にギャップ(隙間)が存在し、ギャップが、ギャップ内でスペーサを受容するように構成されている、実施形態3Cに記載のデバイス。
【0062】
1D.薬剤送達デバイスであって、
縦軸を規定するハウジングと、
ハウジング内に配置された乾燥剤と、
ハウジング内に配置された付勢部材と、
ハウジングの下縁に近接して配置された膜ロッカであって、膜ロッカが、ユーザの皮膚に接触するように設計された膜を支持するように構成されており、膜ロッカが、ハウジングに対して移動可能である、膜ロッカと、を備え、
デバイスが、第1の構成と、第2の構成と、を含み、第1の構成において、膜ロッカとハウジングとの間にギャップが存在し、ギャップが、ギャップ内でスペーサを受容するように構成されている、薬剤送達デバイス。
【0063】
2D.第2の構成において、ギャップが、ギャップが位置しているハウジングに膜ロッカが接触するように閉じられている、実施形態1Dに記載のデバイス。
【0064】
3D.膜ロッカが、複数の突起を含む、実施形態1Dまたは2Dに記載のデバイス。
【0065】
4D.複数の突起の各々によって穿刺されるフィルムをさらに備える、実施形態3Dに記載のデバイス。
【0066】
5D.フィルムが、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)で形成されており、かつパッチをデバイス内に封入している、実施形態4Dに記載のデバイス。
【0067】
6D.超音波振動が、複数の突起に印加される、実施形態3D~5Dのいずれか1つに記載のデバイス。
【0068】
1E.ハウジングと、膜アセンブリと、を含む、薬剤送達デバイスであって、スペーサが薬剤送達デバイスの殺菌中に膜アセンブリの少なくとも一部とハウジングとの間に配置可能であり、かつスペーサが薬剤送達デバイスの使用前に膜アセンブリおよびハウジングから分離され得るように、膜アセンブリがハウジングに移動可能に取り付けられている、薬剤送達デバイス。
【0069】
2E.ハウジングに取り付けられたアクチュエータをさらに備え、アクチュエータが、膜アセンブリからハウジングの反対側の端でハウジングに取り付けられており、アクチュエータの少なくとも一部が、ハウジング内で付勢部材の一部を圧着するように構成されている、実施形態1Eに記載のデバイス。
【0070】
当業者は、その広範な発明概念から逸脱することなく、上記の実施形態に変更を加えることができることを理解するであろう。したがって、本開示の技術は、開示された特定の実施形態に限定されないことが理解されるが、添付の請求項によって規定される本発明の趣旨および範囲内の修正を包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14A
図14B
図15
図16
図17A
図17B
図18
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図22
図23
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図25A
図25B
図25C-25D】
図26