(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】コンプライアントピニオン駆動装置付きのクライミングロボット
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20231102BHJP
B65G 1/06 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B65G1/04 555A
B65G1/06 M
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021096055
(22)【出願日】2021-06-08
(62)【分割の表示】P 2019166804の分割
【原出願日】2019-09-13
【審査請求日】2021-06-25
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517420902
【氏名又は名称】アラート イノヴェイション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ジェイ フォスナイト
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジー ラート ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】マイケル デュケット
(72)【発明者】
【氏名】マーティン アール エリオット
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ワーハースト
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ ダブリュ スー
(72)【発明者】
【氏名】アラン グラント
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-517646(JP,A)
【文献】特開2018-070382(JP,A)
【文献】特開昭61-175369(JP,A)
【文献】国際公開第2008/012989(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/137108(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
B65G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動出庫・保管システムであって、
この自動出庫・保管システム内の垂直又は傾斜通路内を移動するよう構成された移動ロボット
と、
前記通路に設けられ、歯車歯を備えたラックと、
回転軸線回りにシャフト上で回転するよう構成されたピニオン歯車であって、前記シャフトが前記回転軸線に沿って軸方向に伸長するように構成された、前記ピニオン歯車と、
前記通路に設けられ、前記ラックと平行し且つ前記ラックに隣接するトラックと、
作動中の前記ピニオン歯車の作用によって生ずる力に反作用するように、構造体に回転して係合するように構成されたカウンターホイールと、を有し、
前記移動ロボットが前記通路内を移動するときに、前記シャフトは、伸長して前記ピニオン歯車を前記ラックと噛み合い係合させ、
前記移動ロボットが前記通路内を移動するときに、前記シャフトは、伸長して前記カウンターホイールを前記トラックと整合させ、前記カウンターホイールは、前記移動ロボットの前記通路に沿った移動中に前記
構造体に係合し、前記カウンターホイールは、前記ピニオン歯車の歯を前記ラックに対して所定の深さに位置決めし、
前記ピニオン歯車は、前記カウンターホイールが前記トラックと係合する前に前記ラックと噛み合うことを特徴とする、
自動出庫・保管システム。
【請求項2】
前記トラックは、前記カウンターホイールを前記トラックの長さに対して横切る適切な位置に維持すると共に、前記ピニオンを前記ラックの長さに対して横切る適切な位置に維持するように傾斜した側壁を有する、請求項1記載の
自動出庫・保管システム。
【請求項3】
前記カウンターホイールは、最初に前記カウンターホイールを前記トラックに合わせるときに、前記トラックから間隔を置いている、請求項1記載の
自動出庫・保管システム。
【請求項4】
前記ピニオン歯車の歯は、前記ピニオン歯車と前記ラックとの適合した係合を可能にするために、面取りされた縁部を備えている、請求項1記載の
自動出庫・保管システム。
【請求項5】
さらに、前記トラックに切欠きを有し、この切欠きは、前記シャフトが伸長して前記カウンターホイールを前記トラックと整列した位置にすることを可能にする、請求項1記載の
自動出庫・保管システム。
【請求項6】
前記ラックの歯は、前記ピニオン歯車と前記ラックとの適合した係合を可能にするために、前記切欠きの領域に面取り縁部を備えている、請求項5記載の
自動出庫・保管システム。
【請求項7】
自動出庫・保管システムであって、
この自動出庫・保管システム内の垂直又は傾斜通路内をクライミングするよう構成された移動ロボット
と、
前記通路に設けられ、歯車歯を備えたラックと、
回転軸線回りにシャフト上で回転するよう構成されたピニオン歯車であって、前記シャフトが前記回転軸線に沿って軸方向に伸長するように構成された、前記ピニオン歯車と、
前記通路に設けられ、前記ラックと平行し且つ前記ラックに隣接するトラックと、
作動中の前記ピニオン歯車の作用によって生ずる力に反作用するように、構造体に係合するように構成されたカウンターホイールと、を有し、
前記移動ロボットが前記通路をクライミングするときに、前記シャフトは、伸長して前記ピニオン歯車を前記ラックと噛み合い係合させ、
前記移動ロボットが前記通路内でクライミングするときに、前記シャフトは、伸長して前記カウンターホイールを前記トラックと整合させ、
前記移動ロボットが前記通路をクライミングするときに、前記移動ロボットの重心により、前記移動ロボットが前記シャフトを介して前記回転軸線回りに回転すると共に、前記カウンターホイールを移動させて前記トラックと係合させ
、
前記ピニオン歯車は、前記カウンターホイールが前記トラックと係合する前に前記ラックと噛み合うことを特徴とする、
自動出庫・保管システム。
【請求項8】
前記カウンターホイールは、前記トラックに係合している間、前記ピニオン歯車の歯を前記ラックに噛み合った状態に維持する、請求項7記載の
自動出庫・保管システム。
【請求項9】
前記カウンターホイールは、前記トラックと係合している間、前記ピニオン歯車の歯を前記ラックに対して所定の深さに維持する、請求項7記載の
自動出庫・保管システム。
【請求項10】
前記トラックは、前記カウンターホイールを前記トラックの長さに対して横切る適切な位置に維持すると共に、前記ピニオンを前記ラックの長さに対して横切る適切な位置に維持するように傾斜した側壁を有する、請求項7記載の
自動出庫・保管システム。
【請求項11】
前記カウンターホイールは、最初に前記カウンターホイールを前記トラックに合わせるときに、前記トラックから間隔を置いている、請求項7記載の
自動出庫・保管システム。
【請求項12】
前記ピニオン歯車の歯は、前記ピニオン歯車と前記ラックとの適合した係合を可能にするために、面取りされた縁部を備えている、請求項7記載の
自動出庫・保管システム。
【請求項13】
さらに、前記トラックに切欠きを有し、この切欠きは、前記シャフトが伸長して前記カウンターホイールを前記トラックと整列した位置にすることを可能にする、請求項7記載の
自動出庫・保管システム。
【請求項14】
前記ラックの
前記歯車歯は、前記ピニオン歯車と前記ラックとの適合した係合を可能にするために、前記切欠きの領域に面取り縁部を備えている、請求項13記載の
自動出庫・保管システム。
【請求項15】
自動出庫・保管システムであって、
この自動出庫・保管システム内の垂直又は傾斜通路内をクライミングするよう構成された移動ロボット
と、
前記通路に設けられ、歯車歯を備えたラックと、
回転軸線回りにシャフト上で回転するよう構成されたピニオン歯車であって、前記シャフトが前記回転軸線に沿って軸方向に伸長するように構成された、前記ピニオン歯車と、
前記通路に設けられ、前記ラックと平行し且つ前記ラックに隣接するトラックと、
作動中の前記ピニオン歯車の作用によって生ずる力に反作用するように、構造体に係合するように構成されたカウンターホイールと、
前記トラックに設けられた切欠きであって、前記シャフトが伸長して前記カウンターホイールを前記トラックと整列した位置にすることを可能にする前記切欠きと、を有し、
前記移動ロボットが前記通路をクライミングするときに、前記シャフトは、伸長して前記ピニオン歯車を前記ラックと噛み合い係合させ、
前記移動ロボットが前記通路内でクライミングするときに、前記シャフトは、伸長して前記カウンターホイールを前記トラックと整合させる一方、前記トラックから間隔を置いており、前記移動ロボットが前記通路をクライミングするときに、前記移動ロボットの重心により、前記移動ロボットが前記シャフトを介して前記回転軸線回りに回転すると共に、前記カウンターホイールを移動させて前記トラックと係合させ
、
前記ピニオン歯車は、前記カウンターホイールが前記トラックと係合する前に前記ラックと噛み合うことを特徴とする、
自動出庫・保管システム。
【請求項16】
前記構造体は、前記トラックの表面からなる、請求項1、7又は15に記載の自動出庫・保管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において説明する例示のかつ非限定的な実施形態は、一般に、自動リテールサプライチェーン保管・出庫システム内のロボット移動に関し、特に、移動ロボットに設けられていて、移動ロボットが垂直クライミングのために歯車ラックに係合したときに歯車ラックと耐性のある噛み合いを可能にするコンプライアントピニオン駆動装置に関する。
【0002】
〔関連出願の引照〕
本願は、2018年9月14日に出願された米国特許仮出願第62/731,300号(発明の名称:Climbing Robot with Compliant Pinion Drive)の優先権主張出願であり、発明内容全体は、これら両方の出願に共通である。上述の米国特許仮出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
サプライチェーンで使用される自動注文履行(オーダーフルフィルメント)システムは、個々の製品アイテム(本明細書においては「イーチ(each)」とも言う)に関する注文を履行することができる。伝統的な注文履行施設は、保管スペースの垂直及び水平アレイを備えたマルチレベル保管構造体内でイーチをコンテナに入れた状態で保管する。自動注文履行システムは、コンテナ又はトートを保管構造体内において保管スペースに移送したり保管スペースから移送したりするよう保管構造体内をあちこち動き回る移動ロボットをさらに含む。一実施例では、保管構造体は、保管構造体の少なくとも一部分の周りに設けられていて、移動ロボットが保管構造体までそしてこの保管構造体から移動することができるようにする水平フロア又はプラットホーム、移動ロボットが所与のレベルで水平に保管スペースに移動したりかかる保管スペースから移動したりすることができるようにする水平軌道、及び移動ロボットがレベル相互間で垂直に移動することができるようにする垂直タワーを有するのが良い。
【0004】
移動ロボットの互いに反対側の側部にピニオン歯車を提供することが知られており、かかるピニオン歯車は、垂直移動を可能にするよう垂直タワーの互いに反対側の側部に設けられた歯付きラックと噛み合う。動作原理を説明すると、移動ロボットは、垂直フロア、プラットホーム又はレールから垂直タワーに近づくのが良い。垂直タワー内にいったん位置決めされると、移動ロボット内のモータが移動ロボットの互いに反対側のピニオン歯車をこれらの共通回転軸線に沿って伸長させ、ついにはピニオン歯車がラック内に係合する。しかる後、ピニオン歯車の回転によって、ロボットを垂直タワー内で昇降させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この係合方法では、ピニオン歯車がラックに向かってかつラック中に前進しているときにピニオン歯車がラックの歯と適切に噛み合わないということが起こる場合があり、場合によっては、噛み合い係合を阻止するようレールの側部に当たって動かなくなることさえある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の実施形態は、移動ロボットに設けられていて、移動ロボットが垂直クライミングのためにラックに係合したときにラックと耐性のある噛み合いを可能にするコンプライアントピニオン駆動装置に関する。
【0007】
一実施例では、本技術は、自動出庫・保管システム内の垂直又は傾斜通路内を移動するよう構成された移動ロボットであって、通路は、歯車歯を備えたラックを有し、移動ロボットは、回転軸線回りにシャフト上で回転するよう構成されたピニオン歯車を有し、シャフトは、移動ロボットが通路内を移動しようとしているとき、ピニオン歯車をラックと噛み合い係合関係をなして位置決めするために回転軸線に沿って軸方向に伸長するよう構成され、ピニオン歯車は、シャフトの軸方向伸長時に動かなくなることなくピニオン歯車とラックの噛み合い係合を容易にするよう構成されている面取り導入部分を備えた歯車歯を有することを特徴とする移動ロボットに関する。
【0008】
別の実施例では、本技術は、自動出庫・保管システム内の垂直又は傾斜通路内を移動するよう構成された移動ロボットであって、通路は、リニア駆動装置マウントを有し、移動ロボットは、移動ロボットを通路内で動かすためのコンプライアント駆動装置組立体を有し、コンプライアント駆動装置組立体は、移動ロボット内に設けられたモータを含み、モータは、第1のスプラインを有し、コンプライアント駆動装置組立体は、第2のスプラインを備えたシャフトをさらに含み、シャフトは、モータの第1のスプラインがシャフトの第2のスプラインに力を及ぼすことによりモータによって回転軸線回りに回転するよう構成され、シャフトはさらに、回転軸線に沿って軸方向に伸長されるよう構成され、コンプライアント駆動装置組立体は、シャフトの一端部に取り付けられた駆動歯車をさらに含み、駆動歯車は、シャフトの伸長時に移動してリニア駆動装置マウントに係合するよう構成され、第1のスプライン及び第2のスプラインは、第1のスプラインと第2のスプラインとの間に回転遊びが得られるよう構成され、回転遊びにより、リニア駆動装置マウントに対する駆動歯車の幾分かの自由回転が、駆動歯車がシャフトの伸長時に動いてリニア駆動装置マウントに係合したとき、リニア駆動装置マウントに当たって駆動歯車が動かなくなるのを阻止することができることを特徴とする移動ロボットに関する。
【0009】
別の実施例では、本技術は、注文履行システムであって、注文履行システムは、互いに異なるレベルにある保管ロケーション、及び互いに異なるレベル相互間に延びる垂直又は傾斜通路を有するマルチレベル保管構造体を含み、通路は、その長さに沿ってリニア駆動装置マウントを有し、注文履行システムは、通路内のレベル相互間で移動するよう構成された移動ロボットを含み、移動ロボットは、移動ロボット内に設けられたモータを有し、モータは、第1のスプラインを有し、移動ロボットは、第2のスプラインを備えたシャフトをさらに有し、シャフトは、モータの第1のスプラインがシャフトの第2のスプラインに力を及ぼすことによりモータによって回転軸線回りに回転するよう構成され、シャフトはさらに、回転軸線に沿って軸方向に伸長されるよう構成され、移動ロボットは、シャフトの一端部に取り付けられた駆動歯車をさらに有し、駆動歯車は、シャフトの伸長時に移動してリニア駆動装置マウントに係合するよう構成され、第1のスプライン及び第2のスプラインは、第1のスプラインと第2のスプラインとの間に回転遊びが得られるよう構成され、回転遊びにより、リニア駆動装置マウントに対する駆動歯車の幾分かの自由回転が、駆動歯車がシャフトの伸長時に動いてリニア駆動装置マウントに係合したとき、リニア駆動装置マウントに当たって駆動歯車が動かなくなるのを阻止することができることを特徴とする注文履行システムに関する。
【0010】
別の実施例では、本技術は、移動ロボットを注文履行施設内の保管レベル相互間で垂直又は傾斜通路に沿って搬送する方法であって、通路は、リニア駆動装置マウントを有し、本方法は、移動ロボットの駆動歯車をリニア駆動装置マウントから間隔を置いて位置する第1の位置から駆動装置が駆動装置マウントと係合する第2の位置まで伸長させるステップを含み、駆動歯車は、シャフトに取り付けられ、本方法は、シャフト及び駆動歯車をモータによって回転させるステップをさらに含み、モータは、第1のスプラインを有し、シャフトは、第2のスプラインを有し、シャフトは、第1のスプラインによって第2のスプラインに及ぼされた力によって回転し、本方法は、リニア駆動装置マウントに当たる駆動歯車の不適切な着座を、少なくとも部分的に、第1のスプラインと第2のスプラインとの間に幾分かの遊びを提供することによって阻止するステップをさらに含み、遊びは、駆動歯車が第1の位置から第2の位置まで伸長しているときにリニア駆動装置マウントに対する駆動歯車の幾分かの自由回転を可能にすることを特徴とする方法に関する。
【0011】
この発明の概要は、詳細な説明において以下にさらに説明する単純化された形態でひとまとまりの技術的思想を導入するために設けられている。この発明の概要は、クレーム請求された発明の重要な特徴又は必須の特徴を特定するものではなく、またクレーム請求されている発明の範囲の決定にあたっての助けとして使用されるものでもない。クレーム請求されている発明は、技術の背景の項に記載された任意の又は全ての欠点を解決する具体化例には限定されない。
【0012】
次に、図を参照して本技術について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図10】クライミングロボットの部分断面図である。
【
図23】開示する実施形態の諸観点に係る一例としての注文履行システムの側面図である。
【
図24】開示する実施形態の諸観点に係る一例としての注文履行システムの正面図である。
【
図25】開示する実施形態の諸観点に係る一例としての注文履行システムの部分等角図である。
【
図26A】開示する実施形態の諸観点に係る保管構造体の一部分の略図である。
【
図26B】開示する実施形態の諸観点に係るワークステーションの等角図である。
【
図26C】開示する実施形態の諸観点に係るワークステーションの等角図である。
【
図27A】開示する実施形態の諸観点に従って水平運動から垂直運動に移行する車両の段階的進捗状況を表わす図である。
【
図27B】開示する実施形態の諸観点に従って水平運動から垂直運動に移行する車両の段階的進捗状況を表わす図である。
【
図27C】開示する実施形態の諸観点に従って水平運動から垂直運動に移行する車両の段階的進捗状況を表わす図である。
【
図27D】開示する実施形態の諸観点に従って水平運動から垂直運動に移行する車両の段階的進捗状況を表わす図である。
【
図27E】開示する実施形態の諸観点に従って水平運動から垂直運動に移行する車両の段階的進捗状況を表わす図である。
【
図27F】開示する実施形態の諸観点に従って水平運動から垂直運動に移行する車両の段階的進捗状況を表わす図である。
【
図27G】開示する実施形態の諸観点に従って水平運動から垂直運動に移行する車両の段階的進捗状況を表わす図である。
【
図28A】開示する実施形態の諸観点に従ってケース又はトート移送機構体を示す車両の図である。
【
図28B】開示する実施形態の諸観点に従ってケース又はトート移送機構体を示す車両の図である。
【
図28C】開示する実施形態の諸観点に従ってケース又はトート移送機構体を示す車両の図である。
【
図28D】開示する実施形態の諸観点に従ってケース又はトート移送機構体を示す車両の図である。
【
図28E】開示する実施形態の諸観点に従ってケース又はトート移送機構体を示す車両の図である。
【
図28F】開示する実施形態の諸観点に従ってケース又はトート移送機構体を示す車両の図である。
【
図28G】開示する実施形態の諸観点に従ってケース又はトート移送機構体を示す車両の図である。
【
図28H】開示する実施形態の諸観点に従ってケース又はトート移送機構体を示す車両の図である。
【
図28I】開示する実施形態の諸観点に従ってケース又はトート移送機構体を示す車両の図である。
【
図28J】開示する実施形態の諸観点に従ってケース又はトート移送機構体を示す車両の図である。
【
図28K】開示する実施形態の諸観点に従ってケース又はトート移送機構体を示す車両の図である。
【
図29】開示する実施形態の諸観点に係る流れ図である。
【
図30】開示する実施形態の諸観点に係る伝動装置の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
いま
図1を参照すると、クライミングロボット10の側面図が示されている。クライミングロボット10は、注文履行システム内で使用されるよう構成されており、このクライミングロボットは、2017年11月2日に公開された米国特許出願公開第2017/0313514(A1)号明細書(発明の名称:Order Fulfillment System)に記載されているような特徴を有するのが良く、この米国特許出願公開を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。注文履行システムは、マルチレベルトート保管・出庫構造体、1つ又は2つ以上のトートを注文履行システム内でピッキングし、輸送し、そして配置するよう構成された自律型ロボット車両10、1つ又は2つ以上のイーチを自律型移動ロボットのうちの1つ上のトート、例えばピッキングされるべき多数の共通イーチを収容した製品トートからプットロケーション、例えば、完全に又は部分的に履行された注文を反映する互いに異なるイーチの組み合わせを有し、ワークステーションのところで自律型移動ロボットのうちの別の1つ上に位置する場合のある注文トートに運ぶピッカ(人間、自動化、その他)を受け入れるよう構成されたワークステーション、自律型ロボット10を保管・出庫構造体とワークステーションとの間で支持し、ステージングし、そしてバッファリングするよう構成された運送デッキ、履行された注文を収容したトートを注文履行装置から排出するディスペンスステーション及び注文履行装置を補充するよう構成されたデカント又は入力インターフェース(図示せず)を含む。クライミングロボット10は、駆動ホイール12、支持ホイール14、案内ローラ16、ピニオン18、カウンターホイール19、及びカウンターホイール20を有する。以下に詳細に説明するように、ピニオン18、カウンターホイール19及びカウンターホイール20が選択的にラックに係合し、それによりロボット10が垂直に上り(クライミングし)又は下りることができるようにするラックに選択的に係合する。クライミングの間、カウンターホイール19及びカウンターホイール20は、力24がカウンターホイール20と反作用し、力26がカウンターホイール19と反作用するCG22を備えたロボット10の片持ち重量に対して反作用する。ピニオン18はさらに、カウンターホイールがモーメントに反作用している間、ロボット10の重量28を垂直に支持する。
【0015】
次に
図2を参照すると、ピニオン18の等角図が示されている。本明細書では駆動歯車ともいうピニオン18は、歯40及びキー溝42を有する。歯40は、ラックとの係合時に動かなくなること又は係合失敗を阻止するよう設けられた面取り導入部分44を有する。
【0016】
次に
図3を参照すると、ラック構造体80の等角図が示されている。また、
図4を参照すると、ラック構造体80の平面図が示されている。また、
図5を参照すると、ラック構造体80の部分断面側面図が示されている。ラック構造体80は、ラック82(本明細書ではリニア駆動装置マウントとも呼ばれる)、カウンターホイール支持面84,86、ロボット支持レール88,90、及びフレーム92を有している。ラック82の歯は、ピニオンがラック82に係合したときに動かなくなること又は係合失敗を阻止するよう設けられた面取り導入部分94を有する。切欠き96,98が設けられ、この切欠き内でカウンターホイールがラック構造体に係合する。バッカーバー(backer bar)表面102が設けられており、その結果、係合状態のピニオンは、ラック歯の係合解除に先立ってピニオンがバッカーバー102に当たることにより、ラック歯をジャンプし又はスキップすることができない。カウンターホイール支持面84,86は、詳細に説明するようにV形ホイールを心出しするために用いられるV形ホイール軌道として設けられ、表面86は、例えば、ピニオン歯車にボトムアウトすることなくピニオン歯車歯係合を設定するようカウンターホイールに設けられた嵌合面に係合する扁平な底部分98を有するとともにラック/バッカーバースペース中へのピニオン歯車の導入部として役立つ。V形部分100がホイール溝86内に心出しするようカウンターホイールの嵌合面取り部分と嵌合するようさらに設けられている。
【0017】
次に
図6を参照すると、クライミングロボット10の部分断面図が示されている。ラック82,82’がロボット10の互いに反対側の側部に位置決めされている。同様に、支持レール90,90’がロボット10の互いに反対側の側部に位置決めされている。
図6では、ロボットは、駆動ホイール12,12’が支持レール90,90’によって支持された状態で示されている。
図6~
図10に関して説明するように、ロボット10は、ラック82,82’に係合して垂直に上る。ホイール12,12’は、モータ120,120’によって別個独立に駆動される。別個独立に駆動されるモータ120,120’は、ロボット10のフレームに設置された状態で示されており、別個独立に駆動されるモータ120,120’は、スプライン又はブッシュ124,124’によりシャフト122,122’にトルクを伝達し、ピニオン18,18’及びカウンターホイール19,19’は、シャフト122,122’に結合されている。同様に、シャフト122,122’は、スプライン又はブッシュ126,126’を介してトルクをホイール12,12’に伝達する。カウンターホイール20,20’は、それぞれ、シャフト130,130’に結合され、トラニオン132がシャフト122,130を互いに結合し、トラニオン132プライムは、シャフト122’,130’を互いに結合している。モータ136が互いに逆回りの親ねじ138,138’に結合された状態で設けられており、その結果、モータ136の回転により、シャフト122,130は、シャフト122’、130’と逆に動いてラック82,82’に選択的に係合したり係合解除したりする。注目されるように、カウンターホイール19,20は、V形ホイール軌道がV形ホイール又はカウンターホイール19,20を心出しするよう用いられるときに提供されるカウンターホイール支持面84,86に係合する嵌合面を有する。係合後、サーボモータ又はモータ136を働かなくするのが良く、親ねじは、カウンターホイール19,20の嵌合面がカウンターホイール支持面84,86に係合してこれらに追従するよう後方駆動することができ、モータ136に設けられているエンコーダをモニタすることにより、エンコーダ位置を垂直又は他の動作中に記録することができ、それにより保管システム内におけるカウンターホイール内におけるカウンターホイール軌道(例えば、86,86’)の離隔距離を測定することができる。モニタ及び測定機能に加えて、限度を設定するのが良く、例えば、カウンターホイールの離隔距離が所定の最小値よりも小さい場合、モータ136を再び係合させてカウンターホイールを押し出すのが良い。例えば軌道の幅を測定し又は限度を設定するなどするためにホイール12,12’について同様な特徴が設けられるのが良い。この場合、同様に、モータが互いに逆回りの親ねじ(図示せず)に結合された状態で設けられるのが良く、その結果、モータの回転により、トラック(truck)140,140’及びかくしてホイール12,12’は、逆に動いて支持レール90,90’に選択的に係合したり係合解除したりする。詳細に説明するように、シャフト122,122’は、スプライン126を介してシャフト122とホイール12との間に遊びが提供されるような特徴を備えており、その結果、ピニオン18とラック82との係合時、システムは、過剰に拘束されないようになる。一例を挙げると、ピニオンがラックとの位置合わせ状態から離脱した場合に遊びが設けられていない場合、ホイールとホイール支持体との間に働く摩擦が滑らかな係合を阻止することになる。
図6に示されているスプライン126とシャフト122との相対的位置では、スプライン126とシャフト122との間には回転遊びが存在しない。
【0018】
次に
図7を参照すると、図面を分かりやすくするために一方の側部を示すクライミングロボット10の部分断面図が示されている。
図7に示されている状態では、親ねじ138をピニオン18がまさにラック82に係合しようとするように回転させる。
図7に示されているスプライン126とシャフト122との相対位置では、スプライン126とシャフト122との間に回転遊びが存在し、その結果、ピニオン18は、ラック82に自由に係合することができる。
【0019】
次に
図8を参照すると、分かりやすくするために一方の側部を示すクライミングロボット10の部分断面図が示されている。
図8に示されている状態では、親ねじ138をピニオン18がラック82と完全に係合するよう回転させる。
図8に示されているスプライン126とシャフト122との相対位置では、スプライン126とシャフト122との間に回転遊びが存在し、その結果、ピニオン18は、ラック82に自由に係合することができる。ピニオン18がラック82に係合し損なった場合、再試行特徴が設けられるのが良い。ここで、ピニオンとラック歯車歯の縁部の干渉/オーバーラップが存在する場合、駆動モータを用いて(シャフトのコンプライアント部分内に依然として位置した状態で)ピニオンを引っ込めて回転させるのが良く、そしてピニオンをラック中に再び挿入して戻すのが良い。一例を挙げると、ピニオンを僅かに前方に(上方駆動)回転させるのが良く、次に、ピニオン18とラック82の上首尾の係合を可能にするよう再び挿入するのが良い。
図6~
図10を参照して言及するシーケンスを逆にしてピニオンを離脱させて駆動ホイールを稼働させてその後駆動ホイールによる水平運動を行わせることができるようにするのが良いことに注目されたい。
【0020】
次に
図9を参照すると、分かりやすくするために一方の側部を示すクライミングロボット10の部分断面図が示されている。
図9に示されている状態では、ピニオン18は、ラック82と完全に係合しており、モータ120は、トルクをシャフト122及びピストン18に加え、その結果、クライミングロボットを上昇させてホイール12を支持レール90から分離している。
図9に示されたスプライン126とシャフト122との相対位置では、スプライン126とシャフト122との間に回転遊びが存在し、その結果、ホイール12は、レール90から自由に分離することができるようになっている。
【0021】
次に
図10を参照すると、分かりやすくするために一方の側部を示すクライミングロボット10の部分断面図が示されている。
図10に示されている状態では、ピニオン18は、ラック82に完全に係合し、モータ120は、トルクをシャフト122及びピストン18に加え、その結果、クライミングロボットがピニオン18及びカウンターホイール19,20によって完全に支持されるようになっている。トラック140を別個のモータ(図示せず)によって引っ込め、その結果、ホイール12は、支持レール90を通過するようになる。
図10に示されているスプライン126とシャフト122との相対位置では、スプライン126とシャフト122との間に回転遊びが存在せず、その結果、ホイールを停止させたときには遊びが存在せず、その結果、下降中、ホイールは、コンプライアンスゾーン上に心出しされたままになる。
【0022】
次に
図11を参照すると、シャフト122の等角図が示されている。また、
図12を参照すると、スプラインハブ126の等角図が示されている。スプラインハブ126は、ホイール12に取り付けられ、そしてシャフト122上で軸方向に動く。シャフト122は、トルクをピニオン18に伝達するためのキー溝162を備えたピニオン取り付け部分160を有している。シャフト122は、カウンターホイール取り付け部分164及びスプライン付き部分166をさらに有する。スプライン付き部分166は、ハブ126の内部スプライン174と嵌合する部分168,172を有し、その結果、ハブ126が部分168,172と嵌合すると、ハブ126とシャフト122との間に遊びがほとんどないか又は全くないようになる。スプライン付き部分166は、ハブ126の内部スプライン174と嵌合する部分170をさらに有し、その結果、ハブ126が部分170と嵌合すると、ハブ126とシャフト122との間に所定の回転遊びが存在し、外部スプラインの幅が狭くなっている(176)。導入部178,180がハブ126と部分168,170,172との間の滑らかな移行を可能にするよう設けられている。
【0023】
次に
図13を参照すると、変形実施形態としてのシャフト122”の等角図が示されている。また、
図14を参照すると、変形実施形態としてのボールスプラインハブ126”の等角図が示されている。ボールスプラインハブ126”は、ホイール12に取り付けられており、このボールスプラインハブは、シャフト122”上で軸方向に動く。ボールスプラインハブ126”は、再循環ボール200,202を有している。シャフト122”は、トルクをピニオン18に伝達するためのキー溝162を備えたピニオン取り付け部分160を有する。シャフト122は、カウンターホイール取り付け部分164及び溝付き部分204をさらに有する。溝付き部分204は、ハブ126”の再循環ボール200,202と嵌合するレース部分206,210を有し、その結果、ハブ126”が部分200,202と嵌合すると、ハブ126”とシャフト122”との間には回転隙間がほとんどなく又は全くないようになる。溝付き部分204は、ハブ126”の再循環ボール200,202と嵌合する部分208をさらに有し、その結果、ハブ126”が部分208と嵌合すると、ハブ126”とシャフト122”との間には所定の回転遊びが存在し、外部レースの幅が狭くなっている(212)。導入部214,216がハブ126”と部分206,208,210との間の滑らかな移行を可能にするよう設けられている。
【0024】
次に
図15を参照すると、変形実施形態としてのシャフト122’’’の等角図が示されている。また、
図16を参照すると、変形実施形態としての正方形スプライン又はハブ126’’’の等角図が示されている。正方形ハブ126’’’は、ホイール12に取り付けられ、この正方形ハブは、シャフト122’’’上で軸方向に動く。正方形ハブ126’’’は、導入面取り部242を備えた嵌合正方形部分240を有する。シャフト122’’’は、トルクをピニオン18に伝達するためのキー溝162を備えたピニオン取り付け部分160を有する。シャフト122は、カウンターホイール取り付け部分164及びスプライン又は正方向部分246をさらに有する。正方形部分246は、ハブ126’’’の嵌合正方形部分240と嵌合する部分248,252を有し、その結果、ハブ126’’’が部分248,252と嵌合すると、ハブ126’’’とシャフト122’’’との間には回転遊びがほとんどなく又は全くないようになる。正方形部分246は、ハブ126’’’の嵌合正方形部分240と嵌合する部分250をさらに有し、その結果、ハブ126’’’が部分250と嵌合すると、ハブ126’’’とシャフト122’’’との間には所定の回転遊びが存在し、外部正方形部分250の幅が狭くなっている(256)。導入部258,260がハブ126’’’と部分248,250,252との間の滑らかな移行を可能にするよう設けられている。
【0025】
次に
図17を参照すると、変形実施形態としてのシャフト300の等角図が示されている。次に
図18を参照すると、変形実施形態としてのハブ320の等角図が示されている。シャフト300は、キー溝322を備えたハブ320と嵌合した状態で示されている。シャフト300は、ピニオン18及びカウンターホイール19を備えた状態で示されている。注目されるように、モータ駆動スプライン又はブッシュ及びホイール駆動スプライン又はブッシュがシャフト上に乗っていてかつハブ320(又は、上述したハブ)とほぼ同じ特徴を有するのが良い。シャフト300は、キー付きハブの嵌合キー溝と嵌合するキー部分304,308を備えたキー302をさらに有し、その結果、キー付きハブが部分304,308と嵌合すると、ハブとシャフト300との間には回転遊びがほとんどなく又は全くないようになる。キーは、コンプライアンスを提供するために用いられるネックダウン領域を有するよう改造され、キー302は、ハブ320のキー溝と嵌合する部分306をさらに有し、その結果、ハブ320が部分306と嵌合すると、ハブとシャフト300との間に所定の回転遊びが存在するようになり、外部キー302は、部分306のところで幅が狭くなっている(310)。導入部312,314がハブと部分304,306,308との間の滑らかな移行を可能にするよう設けられている。ハブ320は、リニア軸受324、ハウジング326、及びキー322を備えたインサート328を有する。リニア軸受又はブッシュ324は、スリーブ付き又は再循環ボールブッシュであるのが良く、かかるリニア軸受又はブッシュは、シャフト上における軸受の伸長及び引っ込み作用を提供する。ハウジング326は、リニア軸受324を保持するとともに青銅、ポリマー、例えばナイロン、その他であるのが良く、かつキー溝322を備えたインサート328をさらに保持している。インサート328は、トルクをシャフトキー302に伝達し、このインサートは、トルクをモータからシャフトに又はシャフトからハブに伝達する補助キー溝330を有する。この場合、モータ又はハブブッシュ内の青銅製インサートがキーのネックダウン領域上を移動しているとき、コンプライアンスが導入される。この実施形態は、
図13に示された実施形態又はその他とほぼ同じ挙動を有するが、コンプライアント領域上を走行する転動ボールを備えていない。
【0026】
次に
図20を参照すると、シャフト340の等角図が示されている。シャフト340は、再循環ボールスプラインハブと嵌合するよう構成されたレース溝342を有する。変形例として、任意の適当なハブ又はスプラインがトルクを伝達するために使用されても良い。シャフト340は、ピニオン344及びカウンターホイール346をさらに有する。シャフト340は、ピニオン344のキー溝352,354とそれぞれ嵌合する互いに反対側に位置するキー348,350をさらに有する。キー溝532,354は、シャフトとピニオンとの間に所定量の遊びをもたらすよう追加の隙間356を備えた状態で切断されている。トルクが伝達されていないときにはキーをキー溝内に心出ししたままにするような特徴が設けられている。ピニオン344は、トーションばね362を受け入れる凹み長方形領域360を有する。ばね362は、シャフトの互いに反対側の側部に設けられていて、ピニオン344の凹部360の壁に係合するレッグ364を有する。トーションばね362は、シャフトに設けられたスロット368に係合する舌部366をさらに有する。トルクは、スロットを介してシャフトを通って舌部に伝達され、そしてトーションばね362のコンプライアントレッグ364を介してピニオンに伝達され、その結果、キー348がキー溝352に係合するまでシャフトとピニオンとの間にコンプライアンスが導入されるようになっている。
【0027】
【0028】
今、
図23~
図25を参照すると、販売形態で構成された例示の注文履行システムの側面図、正面図及び平面図がそれぞれ示されている。ここで、注文履行システムは、注文販売機械420、すなわち「OVM」又はその他として説明される場合がある。注文販売機械420は、例えば配送された商品の販売店舗又は任意の他の適切な用途で利用することができる例えばロボット車両及びラックシステムの小型化変形例を示している。例えば、車両技術を「ラストマイル(last-mile)」配送問題に適用される電子商取引で使用することができる。例えば、「ピュアプレイ(Pure-play)」電子商取引企業は、注文の大多数を顧客の家まで配送せざるを得ず、これは、コスト高となる場合がある。セルフサービス店舗の運用及びオンライン販売の両方を行う小売業者は、「クリック・アンド・コレクト(click-and-collect)」と通称されている、店舗ロケーションまで注文をピックアップする選択を顧客に提供することができるが、実際には、このモデルは、店舗人員に追加かつ予測不可能な仕事量を与え、その結果、顧客などに長い待ち時間をもたらす場合がある。ここで、注文販売機械420は、必要とする床面積(又は土地)が極めて少ないが、大量の注文を安全に保持し得る自動化された解決策を提供し、また好都合なオンデマンドアクセス及び短い業務時間も顧客に提供する。ここで、注文販売機械420は、注文販売機械(OVM)と呼ばれる場合のあるロボット車両利用型「マイクロ倉庫」であるのが良く、このロボット車両利用型「マイクロ倉庫」は、例えば、電子商取引履行センタ、例えばロボット車両を利用するシステムを備える電子商取引履行センタと関連して稼働する。一観点において、顧客注文を収容する注文トート(「Oトート」)は、OVMに配送され、OVM内に保管され、その後、要求に応じて顧客に提供されるのが良く、ロボット車両が、全ての必要なトート保管及び出庫機能を実施する。
【0029】
次に、
図26A、
図26B及び
図26Cを参照すると、注文履行ワークステーション5500が示されている。1つのワークステーション5500が
図26A及び
図26Bに示されているが、保管庫及び構造5563(本明細書に説明される保管構造と実質的に同様である)が、任意適当な数のワークステーション5500を有することができるということが理解されるべきである。例えば、
図26Aは、少なくとも3つのワークステーション5500が各保管庫レベル上に配設される、ワークステーション5500の代表的な構成を例示するが、他の観点において、任意適当な数のワークステーションは、各保管庫レベル上に配設され得る。異なるレベルのワークステーション5500は、互いに上下に積み重ねられているか、又は互い違いの配列状態に積み重ねられるなどの、互いから垂直にオフセットされ得る。一観点において、各ワークステーション5500は、2つの運送デッキ5550A,5550Bに通信可能に接続されるが、一方で他の観点において各ワークステーション5500は、任意適当な数の運送デッキに通信可能に接続され得る。一観点において、各運送デッキ5550A,5550Bは、それぞれの保管庫レベルに対応し得るが、一方で他の観点において、運送デッキ5550A,5550Bは、共通保管庫レベルに対応し得る(例えば、各保管庫/ピッキングレベルと関連付けられた1つよりも多い運送デッキが存在する)。別の観点において、運送デッキ(又は通路)に位置するか、又はそうでなければ接続される(又はその中に配設される)タワー(昇降軌道5190と実質的に同様)が存在しても良く、タワーは、ボット5100が、積み重ねられた運送デッキ5550A,5550B(又は通路)間を保管構造の任意の所望される/所定のレベルまで走行し得るように異なる保管庫レベルの運送デッキ5550A,5550B(又は通路)のうちの1つ又は2つ以上を別のタワーとの走行ループと通信可能に接続する。ワークステーション5500は、1つ又は2つ以上のイーチをボット5100のうちの1つのトート(例えば、Pトート)からボット5100のうちの別の1つのトート(例えば、Oトート)内の「プット(put)」ロケーションに輸送するピッカ5520を収容するように構成される。ワークステーション5500は、複数の高さで配列化され、人又はロボットピッカは、イーチを製品トート(Pトート)から取り出し、システム構成に応じて、かつ上述した仕方と実質的に同一の仕方で、それらを注文トート(Oトート)又は移動ロボットのいずれか内に配置する。一観点において、ワークステーション5500は、搬送レーン又は通路5501,5502,5503,5504、昇降タワー5190T及びピックステーション5530に配設されたピッカプラットホーム5510を含む。ワークステーション5500は、各運送デッキ上のボット5100がワークステーション5500へのアクセスを有するように、各運送デッキレベルに配設される。
図26Bに例示される代表的な観点において、2つの運送デッキレベル5550A,5550Bが示され、これらが共通ワークステーション5500に接続されているが、他の観点において、任意適当な数の運送デッキレベルが、共通ワークステーション5500に接続されてもよい。
【0030】
搬送レーン5501,5502,5503,5504の各々は、それぞれの運送デッキ5550A,5550Bと通信している、それぞれの入口及び/又は出口5500Eを有する。
図26Bに見られ得るように、搬送レーン5501,5504は、運送デッキ5550Bと通信している入口/出口5500Eを有するが、一方で搬送レーン5502,5503は、運送デッキ5550Aと通信している入口/出口5500Eを有する。搬送レーン5501~5504は、トート保管/保持ロケーションへのアクセスを提供する通路に関して上に説明されたレールHRRと実質的に同様であるレールWRRを含む。また
図26Bに見られ得るように、昇降タワー5190TWA~5190TWDは、昇降タワー5190Tに関して上述したのと実質的に同様の仕方で、搬送レーンの積み重ねを互いに連結する。昇降タワー5190TWA~5190TWDは、上述した昇降タワー5190Tと実質的に同一である。一例として、昇降タワー5190TWA、5190TWBは、ボット5100が搬送レーン5503,5504間を横断することができるように搬送レーン5503,5504を相互に連結している。昇降タワー5190TWC,5190TWDは、ボット5100が搬送レーン5501,5502間を横断することができるように搬送レーン5501,5502を相互に連結している。
【0031】
一観点において、搬送レーン5501~5504及びタワー5190TWA~5190TWDのうちの1つ又は2つ以上は、運送デッキ5550A,5550B及びオペレータプラットホーム5510に対してかつ度が付けられ(例えば、傾けられ又は勾配がつけられ)るのが良く、その結果、Pトート及びOトートがそれぞれのPボット及びOボットによってピッカ5520に提供されると、Pトート及びOトートは、ピッカ5520がピックステーション5530に隣接してタワー5190TWA,5190TWCによって定められたピック/配置位置からイーチをピッキングして配置するためにPトート及びOトートを視認してこれらに接近することができるよう角度が付けられる。他の観点において、搬送レーン5501~5504及びタワー5190TWA~5190TWDは、任意適当な空間的配向状態でトートをピッカ5520に提供するために、ピックステーション5530及び/又は運送デッキ5550A,5550Bとの任意の空間的関係を有するのが良い。
【0032】
一観点において、搬送レーン5501~5504、昇降タワー5190TWA~5190TWD及びピックステーション5530は、独立製品ボット(Pボット)及び注文ボット(Oボット)の経路及び位置を含む対称構造を有する。この観点において、左/右の対称的配置が存在するように、側方対称性(方向5599における)が存在し得る。例えば、左/右の対称的配置は、Pトートを運ぶPボットが、ワークステーション5500の右側に配置され、一方でOトートを運ぶOボットが、ワークステーション5500の左側に配置されるようなものであり得る。他の観点において、Pボット及びPトートは、ワークステーション5500の左側にあってもよく、一方でOボット及びOトートは、ワークステーション5500の右側にあってもよい。
【0033】
一観点において、Pボット及びOボットの両方のための専用ボットフロー入口及び出口搬送レーンが存在する。例えば、ピックステーション5530へのボットのフローは、ボットが下の搬送レーンから上の搬送に、又は他の観点において、上の搬送レーンから下の搬送レーンに走行するようなものであって良い。例えば、ボットが下の搬送レーンから上の搬送レーンに走行する場合、ピックされるイーチを運ぶPボットは、1つ又は2つ以上の下/底の搬送レーン5501に入り、イーチをピックすることができるように1つ又は2つ以上の上の搬送レーン5502までタワー5190TWCを横断し、Pボットは、1つ又は2つ以上の上の搬送レーン5502を使用してワークステーションを出る。同様に、例えば、イーチが配置されることになるOトートを運ぶOボットは、1つ又は2つ以上の下方/底の搬送レーン5504に入り、1つ又は2つ以上の上の搬送レーン5503までタワー5190TWAを横断し、その結果、イーチを配置することができ、ここでOボットは、1つ又は2つ以上の上の搬送レーン5503を使用してワークステーションを出る。他の観点において、ワークステーションへのボットの入口は、ボットが上の搬送レーン5502,5503及び下の搬送レーン5501,5504に入り、そこから出ることができるようにタイミングが取られ、タワー2190TWA~5190TWDは、ボットが共通搬送レーン5501~5504に入り、そこから出るときなどに、互いに通過するボットを走行させるために用いられる。上述の実施例では、Pトートを運ぶPボットのフロー及びOトートを運ぶOボットのフローは、両方が下の搬送レーンから上の搬送レーンへの矢印5598の方向、又は両方が上の搬送レーンから下の搬送レーンへの矢印5597の方向などの、両方が一般的に共通方向である。しかしながら、他の観点において、Pボット及びOボットのうちの1つ又は2つ以上のフローは、上の搬送レーンから下の搬送レーンへの矢印5597の方向であってもよい。例えば、Pボット及びPトートのフローは、方向5598であっても良く、他方、Oボット及びOトートのフローは、方向5597であっても良く、またその逆の関係が成り立つ。
【0034】
一観点において、ワークステーション5500の各側(例えば、製品側及び注文側)は、専用フロー方向昇降タワーを有する。例えば、ワークステーション5500の製品側の昇降タワー5190TWCは、ボットの上方フロー専用であるのが良く、他方、ワークステーション5500の製品側のタワー5190TWDは、ボットの下方フロー専用であっても良く、またその逆の関係が成り立つ。同様に、ステーション5500の注文側の昇降タワー5190TWAは、ボットの上方フロー専用であっても良く、他方、ワークステーション5500の注文側のタワー5190TWBは、ボットの下方フロー専用であっても良く、またその逆の関係が成り立つ。ワークステーション5500のそれぞれの注文又は製品側の各タワー5190TWA~5190TWDに対するボットの専用フローは、例えば、上述した仕方と実質的に同一の仕方で、ワークステーション5500のそれぞれの注文及び製品側の搬送レーン5501~5504のレベル間の方向5597,5598のうちの1つ又は2つ以上で昇降フローループを生じさせる。上述したように、2つの搬送レーンのみがワークステーションの各側で互いに上に積み重なって示されているが、他の観点において(
図54Fに示されるように)、ワークステーションの各側は、2つの搬送レーンよりも多いか又は少ないなどの、互いに上に積み重ねられた任意適当な数の搬送レーンを有しても良い。3つ以上の搬送レーンが、ワークステーション5500の製品側及び/又は注文側に、互いに上に積み重ねられて提供される場合、タワー5190TWA~5190TWDは、ボットが、搬送レーンの積み重ねの最も上の搬送レーン5502と最も下の搬送レーンとの間に配設された中間搬送レーンILからタワーに入る/出ることを可能にする中間の入口及び出口を有するのが良い。
【0035】
上述したように、ピックステーション5530に隣接するタワー5190TWA,5190TWCは、ボット(例えば、Pトート及びOトート)のピック/配置位置を規定する。例えば、ピック位置は、ボットがタワー5190TWA,5190TWCとそれぞれの最も上の搬送レーン5502,5503との間を運送することを可能にする、タワーに沿った位置のタワー5190TWA,5190TWCの頂部に実質的にあるように、タワー5190TWA,5190TWCによって定められるのが良い。上述したように、タワー5190TWA,5190TWCは、Pトート及びOトートを任意適当な空間的配向状態でピッカ5520に提供するためにピックステーション5530に対して角度が付けられるのが良い。一観点において、タワー5190TWA,5190TWCのそれぞれの1つと昇降ループを形成する他のタワー5190TWB,5190TWD(例えば、ピック/配置位置を定めるピッカ5520からタワー5190TWA,5190TWCの反対側の搬送レーン5501~5504に沿って配設される)は、タワー5190TWA,5190TWCと同一の角度が付けられても良く、又はピックステーション5530に対して任意適当な異なる角度がつけられても良い。一観点において、タワー5190TWB,5190TWDは、実質的に直立(例えば、垂直)であるのが良い。一観点では、上述したように、搬送レーン5501~5504はまた、運送デッキ5550A,5550B(及び/又は中間デッキIL)とオペレータプラットホーム5510との間の傾斜路を形成するために、ピックステーションに対して角度w〔付けられるのが良く、傾斜路は、タワー5190TWA~5190TWD及びそれぞれの搬送レーン5501~5504のうちの1つ又は2つ以上の間の実質的な直交整列を可能にして、タワー5190TWA~5190TWDから搬送レーン5501~5504への、及びその逆のボット5100の運送のための制約及び繰り返し係合の緩和を容易にする。一観点において、タワー傾斜/角度は、傾斜路ピッチを確立又は規定する。
【0036】
一観点において、ワークステーション5500は、任意適当な機械-ビジョンサブシステム(「MVS」)5560を含み、これは、上述した機械-ビジョンサブシステムと実質的に同一であるのが良い。例えば、MVS5560は、任意適当な視覚インジケータ(例えば、ディスプレイ及び/又は光源)、任意適当な聴覚インジケータ、任意適当なモーションセンサ/カメラ、任意適当なビームセンサ/ライトカーテン(例えば、ビーム/カーテンセンサの遮断)、グローブトラッキングシステム、又はピックロケーションを示す、配置ロケーションを示す、ピッキングされる/配置される数量を示す、ピッカ5520の手の動きを追跡する、ピックを検証する、かつ/あるいは配置を検証するための任意の他の適当なデバイスを含むことができる。一観点において、コントローラ5500Cは、本明細書において説明するワークステーション5500の諸観点を制御するために提供され、コントローラ5500Cは、ワークステーション5500、中央制御システムCCS(上に説明されたものなどの)、ボット5100コントローラ又はそれらの組み合わせに常駐する。コントローラ5500Cは、本明細書に説明されるようにイーチのピック及びプレースをもたらすために機械ビジョンシステム5560と通信する。
【0037】
一観点において、コントローラ5500Cは、有効なピックを識別するとともに検証するように構成され、コントローラ5500Cは、ピックがPボットからもたらされたことの確認をPボットに発行する。Pボットは、Pボットがコントローラ5500Cから発行されたピック確認を受信したとき、Pボットがピックステーション5530から自動的に移動するように構成されている(例えば、Pボットコントローラがプログラムされる)。一観点において、Pボットコントローラは、ピック確認の受信に際して、Pボットがそれぞれの搬送レーン5502の出口に横断するか、又は他の諸観点では、Pボットが、タワー5190TWDなどのタワー内に入って、ピック列に再度入るために入口搬送レーン5501に戻るようにプログラムされるのが良い。
【0038】
一観点において、コントローラ5550Cは、有効な配置を識別するとともに検証するように構成され、コントローラ5500Cは、配置がOボットからもたらされたことの確認をOボットに発行する。Oボットは、Oボットがコントローラ5500Cから発行された配置確認を受信したとき、Oボットがピックステーション5530から自動的に移動するように構成されている(例えば、Oボットコントローラがプログラムされる)。一観点において、Oボットコントローラは、配置確認の受信に際して、Oボットがそれぞれの搬送レーン5503の出口に横断するか、又は他の実施形態において、Oボットが、タワー5190TWBなどのタワー内に入って、配置列に再度入るために入口搬送レーン5504に戻るように、プログラムされ得る。一観点において、Oボットは、Oボットが運送デッキへピックステーション5530を出る、コントローラ5500CがOボットに注文完了コマンドを発行したときまで、配置列に再び入ることができる。
【0039】
図27A、
図27B、
図27C、
図27D、
図27E、
図27F、及び
図27Gは、開示された実施形態の観点に従って水平運動から垂直運動への車両推移の段階的進捗状況を表す。具体的には、ボット5100の形態の車両が示され、これは、本明細書中のどこかの場所に指示されているように、別段の指定がなければ、本開示全体を通じて説明しているボットと実質的に同一であるのが良い。
【0040】
図27A~
図27Cにおいて、ボット5100は、頁の右から左に水平に走行する。
図27D及び
図27Eにおいて、駆動歯車5140B(及び図示されないが、反対側の駆動歯車5140A)及び案内ベアリングは、ボット5100の本体から側方に伸長されて遠ざけられ、それにより昇降軌道5190に係合する。各昇降軌道5190は、駆動表面5190D、及び駆動表面5190Dの反対に配設され、昇降軌道5190の厚みによって分離された案内面5190Bを有し、駆動表面は、本明細書のどこかの場所に説明及び示されているように、歯車ラック5195を含む。
【0041】
図27F~27Gにおいて、ボット5100は、昇降軌道5190を垂直方向上方に走行する。
【0042】
図28A~28Jを参照すると、トート保持ロケーション5350とボット5100との間におけるトート5300の移送の例示の動作原理が提供される。一観点において、ボット5100は、所定のトート保持ロケーション5350まで水平レールHRRを横断する(
図29、ブロック5801)。ボット5100は、トート保持ロケーション5350に対するボット5100のロケーション決定を容易にするために任意適当なセンサ又はオドメトリを有するのが良い。トート5300がペイロードエリア5180と実質的に整列すると、フリッパ5230B,5240B(及びフリッパ5230A,5240A)を方向5399に回転させてフリッパがそれぞれのキャッチ表面5300C1,5300C2の下にかつ後ろに延びて
図28Kを参照して上述したようにトート5300をボット5100のペイロードエリア5180中にカム動作させるようにする(
図29、ブロック5803)。フリッパ5230B,5240Bは、
図28Dに示されているようにトート5300がペイロードエリア5180内の所定のペイロード位置に位置するまで、トートがトート保持ロケーション5350からボット5100のペイロードエリア5180まで方向5999Aに側方に引くように方向5399に動き続ける(
図29、ブロック5804)。一観点において、ボット5100は、トート5300がペイロードエリア5180内の所定の位置に到達したときに、再循環双方向トラバーサ5230T,5240Tの移動を停止するための、ペイロードエリア5180に対するトート5300の位置を検知する任意適当なセンサを含む。トートがボット5100上に移送されたボット5100の同一側から見てトート5300をボットからトート保持ロケーション5350に移送するため、フリッパ5230B,5240B(及びフリッパ5230A,5240A)は、フリッパ5230B,5240Bがトート5300のそれぞれのキャッチ表面5300C3,5300C4に接触するように方向5398に動かされる(
図29、ブロック5806)。フリッパ5230B,5240Bは、フリッパ5230B,5240Bがトート5300のそれぞれのキャッチ表面5300C3,5300C4と係合解除するまでフリッパ5230B,5240Bがトート5300を方向5999Bに側方に押すように方向5398に動き続け、その結果、トート5300がボット5100から部分的に押し出される(
図29、ブロック5808)。フリッパ5230A,5230A(及びフリッパ5230B,5240B)は、フリッパ5230A,5240Aがそれぞれのキャッチ表面5300C1,5300C2に係合するように方向5398に動き続け、方向5398のフリッパ5230A,5240Aのそれ以上の移動は、トート5300を方向5999Bに側方にボット5100から押し出し、トート5300は、フリッパ5230A,5240Aが方向5398に移動する際に、フリッパ5230A,5240Aがそれぞれのキャッチ表面5300C1,5300C2と係合解除するとき、トート保持ロケーション5350内に最終的に位置付けられる(
図29、ブロック5811)。フリッパ5230A,5230B,5240A,5240Bは、
図28Jに示されるようにフリッパ5230A,5230B,5240A,5240Bの開始又はホーム位置まで方向5399又は方向5398に移動され、ホーム位置は、ボット5100の中心線CL沿いに位置するのが良く、あるいはフリッパ5230A,5230B,5240A,5240Bの走行の経路沿いの任意の他の適切な位置にあっても良い(
図29、ブロック5812)。
【0043】
トート5300が、トート5300がボット5100上に押された側方側ではなく、反対の側方側ボット5100から押し出される場合、
図28Dを参照すると、フリッパ5230B,5240B(それぞれのキャッチ表面5300C1,5300C2と係合する)は、フリッパ5230B,5240Bがそれぞれのキャッチ表面5300C1,5300C2と係合解除するまでトート5300をボットから方向5999Aに部分的に押し出すように方向5399に動く(
図29、ブロック5814)。フリッパ5230A,5240A(フリッパ5230B,5240Bと共に)は、フリッパ5230A,5240Aがそれぞれのキャッチ表面5300C1,5300C2と係合解除して、トート5300を、上述した仕方と実質的に同一の仕方でトート保持ロケーションに最終的に位置付けるまで、フリッパ5230A,5240Aが、それぞれのキャッチ表面5300C1,5300C2に係合して、トート5300を方向5999Aに押すように、方向5399に動き続け(
図29、ブロック5816)、フリッパ5230A,5240A,5230B,5240Bは、開始位置に戻される(
図29、ブロック5812)。
【0044】
別の観点において、ボット5100は、再循環双方向トラバーサ5400T(上述した再循環双方向トラバーサ5230T,5240Tと実質的に同様である)に装着された1つ又は2つ以上のフリッパ(キャッチ又はパドルとも呼ばれる)5400を含むトート移送システムを有するが、この観点において、再循環双方向トラバーサ5400Tは、トート5300の一側部(例えば、底側5300B又は前側/前面5300Fなど)に係合するように構成されている。この観点において、再循環双方向トラバーサ5400Tは、方向5999に側方に移動するように、ボット5100のフレーム5100F(リニアベアリング又はスライドなど)に移動可能に装着されているフレーム5400TFを含む。例えば、リニアドライブ5410(ソレノイド、又は他のリニアアクチュエータなど)は、フレーム5100Fに装着され、かつフレーム5400TFが以下に説明されることになるように方向5999に移動するように、任意適当なトランスミッションによってフレーム5400TFに連結されるのが良い。リニアドライブ5410は、双方向駆動(ボット5100がボット5100の両側からトートを積み下ろしするときなど)であり、他方、他の観点では、リニアドライブ5410は、一方向駆動(ボット5100がボット5100の単一側方側からトートをペイロード及び荷降ろしするときなど)である。再循環双方向トラバーサ5400Tはまた、フレーム5400TFの互いに反対側の端部に設けられたスプロケット5407,5408、及びスプロケット5407,5408の間でフレーム5400TFに装着されたスプロケット5405を含む。スプロケット5405,5407,5408は、チェーン5406によって互いに連結され、1つ又は2つ以上のフリッパ5400が、上述した仕方とほぼ同一の仕方でチェーンと調和して移動するようにチェーンに装着される。スプロケット5405,5407,5408及びチェーン5406は、ボット横断表面(ボットが走行するデッキ又はレールなど)の平面と実質的に平行である共通平面内に配置されるのが良い。スプロケット5405は、共通シャフトがフレーム5400TFによって支持されているスプロケット5404を備えた共通シャフトに取り付けられている。駆動装置5401(これまたフレーム5400TFに取り付けられる)は、駆動装置5401の出力に取り付けられたスプロケット5403を有し、スプロケット5403は、駆動装置5401の作動により方向5991,5992のうちの1つ又は2つ以上への1つ又は2つ以上のフリッパ5400の移動が引き起こされるようにチェーン5402によってスプロケット5404に結合されている。
【0045】
また、
図30を参照すると、傾斜路に係合している駆動歯車、例えばスプロケット1080を備えたホイールの概略側面図が示されている。この場合、カウンターベアリング1082は、チェーン1086(本明細書では、リニア駆動装置マウントとも呼ばれる)がスプロケット1088に係合している間、カウンターレール1084に係合する。
図30は、チェーン噛み合いを可能にするとともに係合による摩耗を制限するためにゴム裏当てが設けられるのが良い初期係合状態を示している。スプロケット1088を
図8に示すようにシャフト122に取り付けるのが良いことは言うまでもない。上述したように、
図8に示されているスプライン126とシャフト122の相対位置では、スプロケット126とシャフト122との間には回転遊びが存在し、その結果、スプロケット1088は、チェーン1086に自由に係合することができるようになっている。
【符号の説明】
【0046】
10 クライミングロボット
12 駆動ホイール
16 案内ローラ
14 支持ホイール
18 ピニオン
19,20 カウンターホイール
5500 注文履行ワークステーション
5550A,5550B 運送デッキ
5563 保管構造体