IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ギューリング カーゲーの特許一覧

<>
  • 特許-深さストッパ付き切削工具 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】深さストッパ付き切削工具
(51)【国際特許分類】
   B23B 49/00 20060101AFI20231102BHJP
   B23B 51/00 20060101ALI20231102BHJP
   B23C 9/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B23B49/00 A
B23B51/00 Z
B23C9/00 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021510537
(86)(22)【出願日】2019-05-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2019061217
(87)【国際公開番号】W WO2019211364
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】102018206889.5
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508064506
【氏名又は名称】ギューリング カーゲー
【氏名又は名称原語表記】GUEHRING KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レープホルツ,フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】ファオ.プットカマー,インゴ
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第00729215(DE,C2)
【文献】実開昭58-008513(JP,U)
【文献】特開2001-009618(JP,A)
【文献】実開昭61-127913(JP,U)
【文献】実開昭55-041250(JP,U)
【文献】実開昭55-011855(JP,U)
【文献】特表2018-521861(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0274459(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 35/00-49/06
B23B 51/00-51/14
B23C 1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト(2)と切削ヘッド(3)とを備えた切削工具(1)であって、前記シャフト(2)が、少なくとも1つの回転軸受(10、11)を介して工作物への侵入深さを制限する深さストッパ(12)を支持している切削工具(1)において、
前記深さストッパ(12)は、前記少なくとも1つの回転軸受(10、11)を介して、シャフト側のストッパ(16)に向かって、前記切削ヘッド(3)から離れるようにばね付勢されており、
前記少なくとも1つの回転軸受(10、11)は、軸方向に変位可能であり、シャフト側の前記ストッパ(16)は、軸方向に調整可能な調整ストッパ(16)から形成されており、
前記調整ストッパ(16)は、前記シャフト(2)上に位置調整可能に配置されたブッシュから形成されていることを特徴とする、切削工具(1)。
【請求項2】
前記切削ヘッド(3)と前記少なくとも1つの回転軸受(10、11)との間に配置された圧縮ばね(15)を特徴とする請求項1に記載の切削工具(1)。
【請求項3】
前記圧縮ばね(15)は、前記切削ヘッド(3)に支持されていることを特徴とする、請求項に記載の切削工具(1)。
【請求項4】
前記圧縮ばね(15)は、皿ばねパッケージから形成されていることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の切削工具(1)。
【請求項5】
前記深さストッパ(12)は、前記少なくとも1つの回転軸受(10、11)を受け入れるスリーブ本体(13)に形成されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の切削工具(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの回転軸受(10、11)は、半径方向内側に突出する前記スリーブ本体(13)の環状突起(14)上に軸方向に支持されることを特徴とする、請求項に記載の切削工具(1)。
【請求項7】
前記環状突起(14)の両側に配置された2つの回転軸受(10、11)を特徴とする、請求項に記載の切削工具(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの回転軸受(10、11)は、ローラベアリングから形成されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の切削工具(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの回転軸受(10、11)と、シャフト側の前記ストッパ(16)とは、前記シャフト(2)に直接位置することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の切削工具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作物への侵入深さを制限する深さストッパを有する切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
DE 1020141 15768 B3は、工作物への切削工具の侵入深さを制限する深さストッパを有する、回転駆動切削工具、特にドリル、フライス削り、または皿穴工具を開示している。深さストッパは、特に、2つの回転軸受によって回転可能に支持されたストッパスリーブを有する。2つの回転軸受は、シャフトスリーブ上に互いに軸方向距離を置いて位置する。シャフトスリーブは、切削工具のシャフトに固定することができる。
【0003】
この公報に示された一実施形態では、2つの回転軸受は、シャフトスリーブに固定されたベアリングリングによってシャフトスリーブに軸方向に固定されている。ストッパスリーブを支持する各回転軸受の外側リングは、シャフトスリーブ上に位置する当該回転軸受の内側リングに対して、不可避の軸方向の軸受遊びによって移動させることができる。しかしながら、不可避の軸方向の軸受遊びは、切削工具の軸方向における深さストッパの正確な位置決めを困難にし、その結果、所定の目標侵入深さを容易に達成することができない。例えば、皿穴の場合、生成される皿穴表面は、それゆえ、望ましくないほどに高くまたは低くなり得る。しかしながら、しばしば、例えば、航空機の構造に皿穴を作るとき、正確な皿穴深さ、または、生成された皿穴表面の位置精度が重要である。
【0004】
この公報に示されている別の実施形態では、2つの回転軸受は、シャフトスリーブにねじ込まれた軸受ロックナットとシャフトスリーブ上のカウンタベアリングリングとの間にクランプされている。2つの回転軸受の張力、すなわち軸受遊びは、軸受ロックナットを介して調整することができる。しかしながら、軸受ロックナットの不適切な組立てまたは不適切な作動の場合、2つの回転軸受に及ぼされるクランプ力は、大きすぎるか、または小さすぎる可能性がある。締め付け力が大きすぎると、回転軸受が損傷したり、動かなくなったりすることがある。締め付け力が小さすぎると、軸受遊びが大きすぎて、深さストッパの位置決めが決定できないか、または不正確になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、切削工具上の深さストッパをできるだけ遊びがなく、かつできるだけ正確に軸方向に位置決めすることを可能にする、回転可能な深さストッパを有する切削工具を作り出すという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有する切削工具によって達成される。有利なまたは好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明による切削工具、例えば、穿孔、フライス削り、または皿穴工具は、シャフトと、シャフトに隣接する切削ヘッドとを有する。切削ヘッドは、1つ以上の切刃を有するように設計することができ、取り外し可能な様式で、例えば、形状結合および/または力結合で、または、取り外し不可能な様式で、例えば、凝集的な様式で、またはワンピース生産によって、シャフトに接続されてもよい。取り外し可能な接続は、切削ヘッドが、例えば、摩耗したときに交換されることを可能にする。取り外し不可能な接続は、切削工具の製造を単純化することができる。切削ヘッドまたは切削工具は、シャフトを介して工具ホルダ等に保持することができる。シャフトは、特に、ローラベアリング、例えばボールベアリングから形成することができる少なくとも1つの回転軸受を介して、工作物への侵入深さを制限する深さストッパを支持する。その機能に適合させるために、深さストッパは、少なくとも1つの回転軸受上で軸方向において工具送り方向とは反対の位置に固定される。本発明によれば、深さストッパは、少なくとも1つの回転軸受を介して、シャフト側のストッパに向かって、切削ヘッドから離れるようにばね付勢されるべきである。したがって、ばね付勢は、少なくとも1つの回転軸受における軸方向の軸受遊び、および/または、深さストッパと少なくとも1つの回転軸受との間の軸方向の組立て遊びを低減する。これにより、切削工具の軸方向における深さストッパの、遊びのない、正確な位置決めが可能になる。
【0008】
さらに、少なくとも1つの回転軸受が軸方向に変位可能であってシャフト側のストッパが軸方向に調整可能な調整ストッパから形成される場合、切削ヘッドに対するばね付勢される深さストッパの軸方向位置を調整することも可能である。
【0009】
好ましい実施形態では、切削工具は、複数の切刃を有する切削ヘッドを有する皿穴工具である。このタイプの工具では、通常、自由表面の研削に起因した、切削ヘッド上の切刃同士の切削高さの差が観察されうる。皿穴工具のシャフト上の深さストッパの軸方向の位置調整のために、工具送り方向における最も高い切刃から出発して、この切刃は、皿穴加工中にまず工作物を切削するか、または工作物に入り、したがって、最大の皿穴深さまたは最大の皿穴直径を生成する。この最も高い切刃に対して、座繰りのための所定の目標直径に対応する半径点が決定される。軸方向において、この半径点の高さに、深さストッパが設定されるべきゼロ線が位置する。この目的のために、深さストッパが上述のゼロ線上に載るまで、深さストッパを支持する少なくとも1つの回転軸受が、調整ストッパを介して、ばね付勢の下で、切削ヘッドの方向に調整される。ばね付勢のおかげで、深さストッパを設定するとき、軸方向の軸受遊びおよび/または組立て遊びが最小限に抑えられる。したがって、深さストッパは、最も高い切刃に対する皿穴開けのための所定の目標直径を決定するゼロ線に正確に設定されることができる。
【0010】
ばね付勢は、少なくとも1つの回転軸受を介してシャフト側のストッパに向かって深さストッパを押圧する圧縮ばねによって達成することができる。切削ヘッドに対して、圧縮ばねは、例えば、切削ヘッドの後側に直接支持されることができ、これは、組み立てられるべき構成要素の数の減少および切削工具の組立ての単純化に寄与する。代替的に、切削工具は、切削ヘッドから独立していて圧縮ばねが切削ヘッドに対して支持される、ばね止めを有することができる。
【0011】
さらに、圧縮ばねは、シャフト上に位置する皿ばねパッケージから形成することができる。使用される少なくとも1つの回転軸受および組立てに適合される安定した付勢は、皿ばねパッケージの適切な組み合わせによって、簡単かつ信頼性のある方法で達成され得る。
【0012】
さらに、ばね付勢は、少なくとも1つの回転軸受によって支持された深さストッパに、すなわち少なくとも1つの回転軸受に間接的に、または、少なくとも1つの回転軸受に直接的に、作用することができる。例えば、上述の圧縮ばねは、切削ヘッドに最も近い回転軸受の内側ベアリングリング上に支持されることができる。
【0013】
少なくとも1つの回転軸受およびシャフト側のストッパは、例えば、シャフトに固定されたブッシュを介して、すなわち間接的に、または直接的に、シャフトに配置されることができる。直接的な配置は、組み立てられる構成要素および関連する組立て遊びの減少、ならびに切削工具のシャフト上の深さストッパの組立ての単純化に寄与する。
【0014】
例えば、シャフト側のストッパが、位置調整可能にシャフトに配置されたブッシュから形成された調整ストッパである場合には、深さストッパの位置の簡単な調整が達成される。調整ストッパを形成するブッシュの軸方向の位置調整は、ねじ止めまたは変位によって行うことができる。位置が設定された後、ブッシュは、締め付けねじによって軸方向に固定することができる。好ましい実施形態では、調整ストッパは、シャフトに設けられたねじ部にねじ込まれたブッシュを有する。
【0015】
好ましい実施形態では、深さストッパは、少なくとも1つの回転軸受を収容するスリーブ本体上で、冒頭で論じたDE 1020141 15768 B3に開示された切削工具のモデルに従って設計される。スリーブ本体は、切削ヘッドの周りを把持することができる。
【0016】
この場合、深さストッパの請求項に記載のばね付勢は、シャフト側のストッパに当接する少なくとも1つの回転軸受を介して簡単な方法で達成される。スリーブ本体は、例えば、少なくとも1つの回転軸受上の半径方向内向きに突出する環状突起によって、工具送り方向とは反対の方向に支持される。
【0017】
1つの可能な実施形態では、深さストッパは、例えば、正確に1つの回転軸受によって支持されることができる。この場合、ばね付勢と、スリーブ本体およびシャフト側のストッパに対する回転軸受の配置とは、以下のように設計することができる:工具前進方向とは反対の方向に見て、ばね付勢力が、スリーブ本体に導入される。スリーブ本体の環状突起が、回転軸受の外側ベアリングリングを押圧する。回転軸受の内側ベアリングリングが、シャフト側のストッパを押圧する。
【0018】
しかしながら、好ましい実施形態では、深さストッパは、環状突起の両側に配置されてそれゆえ環状突起を通って互いに軸方向距離を置いて配置される2つの回転軸受によって支持される。この場合、ばね付勢と、スリーブ本体およびシャフト側のストッパに対する回転軸受の配置は、以下のように設計することができる:工具前進方向とは反対の方向に見て、ばね付勢力が、切削ヘッド付近の回転軸受の内側ベアリングリングに導入される。切削ヘッドに近い回転軸受の外側ベアリングリングが、スリーブ本体の環状突起を押圧する。環状突起が、切削ヘッドから遠い回転軸受の外側ベアリングリングを押圧する。切削ヘッドから遠い回転軸受の内側ベアリングリングが、シャフト側のストッパを押圧する。
【0019】
上述の実施形態では、ばね付勢は、軸受遊びおよび/または組立て遊びを最小限に抑える。
【0020】
以下に、本発明による切削工具の好ましい実施形態を、概略図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による切削工具の一例として、深さストッパを支持する皿穴工具を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図に示す皿穴工具1は、シャフト2と、シャフト2に接続された切削ヘッド3とを有する。回転軸は参照番号4で示されている。図示の実施形態では、切削ヘッド3は、複数の切刃を有するように設計され、ガイドピン5を有する。図示の実施形態では、切削ヘッド3は、シャフト2、特にシャフト2のシリンダ部6に永久的に接続されている。図示の実施形態では、多部品で形成されたシャフト2は、切削ヘッド3を支持する既述のシリンダ部6に加えて、シリンダ部6に隣接するねじ部7を有する。図示の実施形態では、ねじ部7は、シリンダ部6に永久的に接続されている。図示の実施形態では、切削ヘッド3およびシャフト2、特にシリンダ部6およびねじ部7は、特に一体品から作られている。ねじ部7は、皿穴工具1を工具ホルダ(図示せず)等に連結するための連結部品8にねじ止めされている。図に示されるように、ねじ部7は、この目的のために、連結部品8のねじ穴9にねじ込まれる。
【0023】
シャフト2のシリンダ部6は、図示の実施形態ではボールベアリングによって形成された2つのローラベアリング10、11を介して、皿穴深さを制限する深さストッパ12を支持している。2つのローラベアリング10、11の内側ベアリングリング10a、11aは、それぞれ、規定された隙間嵌めでシリンダ部6上に軸方向に変位可能に配置されている。2つのローラベアリング10、11の外側ベアリングリング10b、11bは、切削ヘッド3を取り囲む深さストッパ12のスリーブ本体13内に、規定された圧入で、互いに軸方向距離をおいて受容される。この目的のために、スリーブ本体13は、半径方向内側に突出する環状突起14を有する。2つのローラベアリング10、11は、図に示すように、環状突起14の両側で軸方向に支持されている。したがって、環状突起14の軸方向長さは、2つのローラベアリング10、11の間の軸方向距離を決定する。
【0024】
切削ヘッド3と切削ヘッドに近接したローラベアリング10との間に配置された圧縮ばね15は、ばね付勢を生成する。このばね付勢の結果として、深さストッパ12は、2つのローラベアリング10、11を介して、ねじ部7にねじ込まれた調整ストッパ16に向かって、切削ヘッド3から離れるように付勢される。図に示すように、皿ばねパッケージから形成された圧縮ばね15は、特に、切削ヘッド3の後側と、切削ヘッドに近いローラベアリング10の内側ベアリングリング10aとの間にクランプされる。さらに、切削ヘッドから遠いローラベアリング11の内側ベアリングリング11aは、シャフト2のねじ部7にねじ込まれた1つの調整ストッパ16に当接している。図示の実施形態では、調整ストッパ16は、ねじ部7にねじ込まれたローレットナットから形成されている。位置が設定された後、調整ストッパ16は、ねじ部7を押圧するとともに調整ストッパ16の半径方向に配向されたねじ穴18にねじ込まれる、締め付けねじ17によって固定することができる。
【0025】
図示の状態では、圧縮ばね15のばね力は、切削ヘッドに近いローラベアリング10の内側ベアリングリング10aに導入され、調整ストッパ16に接していて切削ヘッドから遠いベアリングリング11の内側ベアリングリング11aを介して調整ストッパ16に伝えられる。
【0026】
ばね付勢は、2つのローラベアリング10、11における軸方向の軸受遊びと、スリーブ本体13と2つのローラベアリング10、11との間の軸方向の組立て遊びとを減少させる。これにより、軸方向における深さストッパ12の、遊びのない、正確な位置決めおよび位置調整が可能となる。
【0027】
図示の実施形態では、深さストッパ12は、以下のように位置決めされる。切削ヘッド3上の切刃は、詳細には示されていないが、通常、自由表面の研削に起因した、切削高さの差がある(図には示されていない)。深さストッパ12の軸方向の位置調整のために、工具送り方向における最も高い切刃から出発して、この切刃は、皿穴開け中にまず工作物を切削するか、または工作物に入り、したがって、最大の皿穴深さまたは最大の皿穴直径を生成する。この最も高い切刃に対して、座繰りのための所定の目標直径に対応する半径点が特定される。軸方向において、この半径点の高さに、図中に破線で示された、深さストッパ12が設定されるべきゼロ線が位置する。この目的のために、深さストッパ12が上述のゼロ線17上に載るまで、深さストッパ12を支持するローラベアリング10、11が、調整ストッパ12を介して、ばね付勢に抗してまたはばね付勢の下で、切削ヘッド3の方向に調整される。ばね付勢のおかげで、深さストッパ12を設定するとき、軸方向の軸受遊びおよび/または組立て遊びが最小限に抑えられる。したがって、深さストッパ12は、最も高い切刃に対する皿穴開けのための所定の目標直径を決定する、それぞれの皿穴開け作業のために確立されたゼロ線17に正確に設定されることができる。
【0028】
もちろん、当業者であれば、特許請求の範囲および特許請求の範囲の評価から得られる特徴の組み合わせから、図面に示される実施形態に対する様々な修正が得られる。
【0029】
本発明による切削工具は皿穴工具に限定されない。また、例えば、ドリルまたはフライス工具であってもよい。それぞれの場合に存在する切削ヘッドは、1つ以上の切刃を有するように設計することができる。
【0030】
切削ヘッドとシャフトが一体に形成されている図示の実施形態とは異なり、切削ヘッドとシャフトは、例えば、異なる材料(例えば、より硬い材料からなる切削ヘッドと、より軟らかい材料からなる切削ヘッド)から別々に製造され、次いで、材料結合によって、例えばはんだ付けによって、互いに永久的に接続されることができる。切削ヘッドをシャフトに永久的に接続する代わりに、切削ヘッドを、形状結合および/または力結合によって、取り外し可能に、すなわち交換可能に、シャフトに接続することもできる。この代替案はまた、互換性に加えて、異なる材料から切削ヘッドおよびシャフトを製造して組み合わせる可能性を提供する。
【0031】
さらに、シャフトは、全体にわたって円筒形であるように設計することができる。この場合、シャフト側のストッパは、円筒形のシャフト上で軸方向に変位可能であって締め付けねじによってシャフト上に軸方向に固定することができる、ブッシュによって形成することができる。この場合、特に、上記実施形態で設けた連結部品を介在させることなく、円筒形の軸を工具ホルダ(チャック)等に直接クランプすることができる。
【0032】
基本的には、深さストッパの回転可能な取り付けには、深さストッパを支持する少なくとも1つの回転軸受で十分である。図示の実施形態のように、回転軸受は、ローラベアリング、特にボールベアリングから形成することができる。しかし、これは必ずしも必要ではない。ローラベアリングの代わりに、滑り軸受および異なる軸受タイプの組み合わせを使用することもできる。
【0033】
深さストッパは、有利には、図示の実施形態のように軸方向に変位可能である。しかし、これも必ずしも必要ではない。深さストッパは、例えば、シャフト上に常に軸方向に固定することができる。
【0034】
図示の実施形態のように、切削ヘッドと深さストッパとの間に配置された圧縮ばねによって、深さストッパに及ぼされるばね付勢を発生させることができる。基本的には、圧縮ばねの代わりに引張りばねを使用することが可能であり、この引張りばねは、シャフト側のストッパに向かって、切削ヘッドから離れるように深さストッパを軸方向に引っ張る。
【0035】
ばね付勢を発生させるために、皿ばねパッケージの代わりに、基本的には、コイルばねまたはコイルばね装置を使用することもできる。
【0036】
2つのローラベアリングおよびシャフト側が直接シャフト上に位置する図示の実施形態とは異なり、ローラベアリングおよびシャフト側ストッパは、例えば、DE 1020141 157687 B3の例に基づいて、例えば、シャフト上に固定されたブッシュを介して、すなわち間接的に、シャフト上に位置することもできる。
図1